JP2023519664A - ポリオレフィン生成のための連鎖移動剤としての置換シラン - Google Patents

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Abstract

複数の実施形態は、反応器システムでのフリーラジカル重合によってオレフィン系ポリマーを作製する方法に関する。本方法は、オレフィン系モノマーのフリーラジカル重合を開始することと、オレフィン系モノマーのフリーラジカル重合の継続中にオレフィン系ポリマーの成長を伝播することと、オレフィン系ポリマーの成長を停止する連鎖移動剤を反応器システムに添加することと、を含む。連鎖移動剤は、シランを含む。好適なシランの例は、トリエチルシラン、ジエチルメチルシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、n-ブチルシラン、ジメチルフェニルシラン、フェニルシラン、クロロジメチルシラン、ジイソプロピルアミノシラン、1,2-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、トリメチルシラン、(トリメチルシリル)ジメチルシラン、及びビス(トリメチルシリル)メチルシランである。【選択図】なし

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年3月31日に出願された米国特許仮出願第63/002,636号に対する優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
本開示の実施形態は、概ね、オレフィン重合連鎖移動剤及びプロセス、より具体的には、連鎖移動剤として置換シランを使用するフリーラジカル重合によってオレフィン系ポリマーを作製する方法に関する。
連鎖移動剤(chain transfer agent、CTA)又は「テロゲン」は、フリーラジカル重合プロセスでメルトインデックスを制御するために使用される。「連鎖移動」はポリマー鎖の成長の停止に関連し、したがってポリマー材料の最終的な分子量を制限する。連鎖移動剤は、典型的には、成長中のポリマー鎖と反応し、鎖の重合反応を停止させる水素原子ドナーである。既知のCTAには、飽和炭化水素又は不飽和炭化水素、アルデヒド、ケトン、及びアルコールなどの多くの種類の水素原子ドナー化合物が含まれる。プロセスで使用される連鎖移動剤の濃度及び種類を操作することにより、ポリマー鎖の平均長さ及び分子量分布に影響を及ぼし得る。更に、このことは、分子量に関連するメルトインデックス(I又はMI)に影響を及ぼす。
水素原子の供与後、CTAは、新しいポリマー鎖を開始することができるラジカルを形成し得る。その結果、元のCTAは、新しいポリマー鎖又は既存のポリマー鎖に組み込まれ、それによって元のCTAに関連するポリマー鎖に新しい官能基を導入する。CTAは、通常はモノマー重合/コモノマー重合の結果ではないポリマー鎖に新しい官能基を導入する場合がある。
CTAの存在下で生成された低密度オレフィン系ポリマーは、加工性、ヘイズ、光沢、及び透明度などのフィルム光学特性、密度、剛性、降伏点、フィルム延伸、並びに引き裂き強度などの多くの物理的特性が改変される。例えば、CTAとして作用するα-オレフィンは、組み込まれる際に短鎖分岐をポリマー鎖に導入することもできるであろう。
既知のCTAは、2つの分類、低活性CTA及び高活性CTAのうちの1つに属する。低活性CTAは、典型的には1未満である連鎖移動定数(chain transfer constant、Cs)を有し、典型的には飽和炭化水素若しくは不飽和炭化水素、アルデヒド、又はケトンである。高活性CTAは、典型的には1以上のCsを有し、硫黄又はリンを含有する。高活性CTAは、オレフィン重合においてより効率的な傾向があるが、高活性CTAはまた、得られたポリマーに硫黄又はリンが含まれるようになる。このようなポリマーが食品用途に含まれる場合、例えば、ポリマーの経時的な分解により、不快な臭気及び味が発生するおそれがある。したがって、得られるポリマーに硫黄及びリンを組み込まないフリーラジカル重合によって低密度オレフィン系ポリマーを作製する高活性CTA及び方法が必要とされている。
いくつかの実施形態によれば、反応器システムでのフリーラジカル重合によってオレフィン系ポリマーを作製する方法は、オレフィン系モノマーのフリーラジカル重合を開始することと、当該オレフィン系モノマーのフリーラジカル重合の継続中に当該オレフィン系ポリマーの成長を伝播することと、当該オレフィン系ポリマーの成長を停止する連鎖移動剤を当該反応器システムに添加することと、を含む。連鎖移動剤は、式(1)のシランを含み、
Figure 2023519664000001
式中、R、R、R、及びRは、独立して、水素原子、(C1~C40)ヒドロカルビル、-N(R、-Si(R、-OSi(R、-OR、及び-R-Si(Rから選択され、各Rは、独立して、水素原子及び(C1~C40)ヒドロカルビルから選択され、各Rは、(C1~C40)ヒドロカルビレンであり、任意選択で、R、R、R、及びRのうちの任意の2つ、又は同じ窒素原子に結合した任意の2つのR、若しくは同じケイ素原子に結合した任意の2つのRは、いかなる水素原子も除いて、環に3~50個の原子を有する環を形成するように結合される。
添付の図面と併せて読むと、「発明の概要」及び「発明を実施するための形態」がよりよく理解されるであろう。しかしながら、特許請求される発明の範囲は、示される正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。図面の構成要素は、必ずしも縮尺どおりではない。図面において、同じような参照番号は、いくつかの図を通して対応する部分を示している。
開示された管状反応器システム100の要素を説明するプロセス図である。 本明細書に記載の例示的なシステムについてのGPC-LS特性評価解析の、従来法で較正された対数GPC分子量範囲及びその一部の濃度正規化光散乱(LS)クロマトグラフ曲線である。 本明細書に記載の例示的なシステムについてのGPC-LS特性評価解析の、従来法で較正された対数GPC分子量範囲及びその一部の濃度正規化光散乱(LS)クロマトグラフ曲線である。
いくつかの実施形態によれば、CTAは、低密度オレフィン系ポリマー、例えば、狭い分子量分布を有する低密度エチレン系ポリマーを作製するために使用され得、このポリマーは、ブローフィルム及びキャストフィルムに使用され得、単独で又は他のポリマーとブレンドして使用され得る。
高活性CTAは、フリーラジカル重合中に十分に高い活性を有し得、成長するモノマー鎖は、別のモノマー分子との伝播にわたってCTAによって供与される水素原子の受容を優先する。CTAは、連鎖移動定数(Cs)が1より大きい場合、高活性CTAとみなされる。プロセス流体中の高活性CTAは、反応が進行するにつれて、CTAの相対濃度がモノマーの濃度に対して低下するように消費される。反応が続き、追加のCTAが提供されない場合、反応系中のCTAの量が反応の終了近くの分子量を制御するには不十分であるように、高活性CTAを枯渇させてもよい。
プロセスの開始時に高活性CTAを使用することにより、高分子量ポリマー鎖の形成は、プロセスの開始時に抑制され、得られるポリマーは、より狭い分子量分布を有する。その抑制により、プロセスの後期の段階で形成する多分岐した高分子量ポリマー鎖が形成されることを防ぐ。更に、その抑制は、プロセスシステムの性能を改善することによって、シングルパスプロセス全体の転化率を改善する。
しかしながら、フリーラジカル重合プロセスにおいて高活性CTA自体を効果的に使用することは困難である。補うために、追加の高活性CTAをプロセスの後期で添加してもよい。あるいは、少なくとも1つの高活性CTAと少なくとも1つの低活性CTAとの組み合わせを、プロセスの開始時に組み込んでもよい。このようなプロセスでは、反応が開始から終了まで進むにつれて、高活性CTAは、モノマーが比較的高濃度である期間中、特に2つ以上の反応ゾーン(すなわち、開始剤注入点)を有する管状反応器システムで優先的に消費される。低活性CTAは、モノマーに対する濃度及びモノマーとの反応速度の両方が高活性CTAよりも低いため、プロセスの早期に優先的には消費されない。プロセスの後期では、モノマー及び高活性CTAの両方が実質的に消費され、低活性CTAは、形成中のポリマー鎖とあまり反応していないため、低活性CTAは、分子量を制御するための連鎖移動をサポートすることでプロセスに対してより大きな影響力を持つ。
複数の実施形態によれば、反応器システムでのフリーラジカル重合によってオレフィン系ポリマーを作製する方法は、オレフィン系モノマーのフリーラジカル重合を開始することと、当該オレフィン系モノマーのフリーラジカル重合の継続中に当該オレフィン系ポリマーの成長を伝播することと、当該オレフィン系ポリマーの成長を停止する連鎖移動剤を当該反応装置システムに添加することと、を含み得る。連鎖移動剤は、シランを含む。複数の実施形態において、フリーラジカル重合は、高圧過酸化物開始フリーラジカル重合であり得る。
オレフィン系ポリマーを作製する方法の複数の実施形態において、CTAは、式(1)のシランを含み得、
Figure 2023519664000002
式中、R、R、R、及びRは、独立して、水素原子、(C1~C40)ヒドロカルビル、-N(R、Si(R、-OSi(R、-OR、及び-R-Si(Rから選択される。各Rは、独立して、水素原子及び(C1~C40)ヒドロカルビルから選択される。各Rは、(C1~C40)ヒドロカルビレンである。任意選択で、R、R、R、及びRのうちの任意の2つ、又は同じ窒素原子に結合した任意の2つのR、若しくは同じケイ素原子に結合した任意の2つのRは、いかなる水素原子も除いて、環に3~50個の原子を有する環を形成するように結合されている。複数の実施形態において、式(1)のシランは、トリエチルシラン又はジエチルメチルシランではない。
特定の炭素原子を含有する化学基を記載するために使用する場合、「(Cx~Cy)」の形状を有する括弧付きの表現は、化学基の非置換形態がx及びyを含めてx個の炭素原子~y個の炭素原子を有することを意味する。例えば、(C1~C50)アルキルは、その非置換型で1~50個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態及び一般構造において、特定の化学基は、Rなどの1つ以上の置換基によって置換されてもよい。括弧付きの「(Cx~Cy)」を使用して定義されるR置換化学基は、任意の基Rの識別に応じてy個を超える炭素原子を含有してもよい。例えば、「Rがフェニル(-C)であるとき、厳密に1つの基Rで置換された(C1~C50)アルキル」は、7~56個の炭素原子を含み得る。したがって、一般に、括弧付きの「(Cx~Cy)」を使用して定義される化学基が炭素原子を含有する1つ以上の置換基Rによって置換されるとき、化学基の炭素原子の最小合計数及び最大合計数は、x及びyの両方にすべての炭素原子を含有する置換基R由来の炭素原子の合計数を加えることによって決定される。
「置換」という用語は、対応する非置換化合物の炭素原子若しくはヘテロ原子又は官能基に結合した少なくとも1つの水素原子(-H)が置換基(例えば、R)によって置き換えられることを意味する。「過置換」という用語は、対応する非置換化合物若しくは官能基の炭素原子又はヘテロ原子に結合したすべての水素原子(H)が置換基(例えば、R)によって置き換えられることを意味する。「多置換」という用語は、対応する非置換化合物若しくは官能基の炭素原子又はヘテロ原子に結合した少なくとも2個の、ただしすべてよりは少ない水素原子が、置換基によって置き換えられることを意味する。「-H」という用語は、別の原子に共有結合している水素又は水素ラジカルを意味する。「水素」及び「-H」は交換可能であり、明記されていない限り、同一の意味を有する。
「(C1~C40)ヒドロカルビル」という用語は、1~40個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルを意味し、「(C1~C40)ヒドロカルビレン」という用語は、1~40個の炭素原子を有する炭化水素ジラジカルを意味し、その場合、各炭化水素ラジカル及び各炭化水素ジラジカルは、芳香族又は非芳香族、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖、環式(3個以上の炭素を有し、単環式及び多環式、縮合及び非縮合の多環式、並びに二環式を含む)又は非環式であり、1つ以上のRによって置換されているか又は置換されていない。
本開示では、(C1~C40)ヒドロカルビルは、非置換又は置換の、(C1~C40)アルキル、(C3~C40)シクロアルキル、(C3~C20)シクロアルキル-(C1~C20)アルキレン、(C6~C40)アリール、又は(C6~C20)アリール-(C1~C20)アルキレン(ベンジル(-CH-C))であり得る。
「(C1~C40)アルキル」という用語は、非置換であるか又は1つ以上のRで置換されている、1~40個の炭素原子の飽和直鎖炭化水素ラジカル又は飽和分岐鎖炭化水素ラジカルを意味する。非置換(C1~C40)アルキルの例は、非置換(C1~C20)アルキル、非置換(C1~C10)アルキル、非置換(C1~C5)アルキル、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、1-ノニル、及び1-デシルである。置換(C1~C40)アルキルの例は、置換(C1~C20)アルキル、置換(C1~C10)アルキル、トリフルオロメチル、及び[C45]アルキルである。「[C45]アルキル」という用語は、置換基を含めてラジカル中に最大45個の炭素原子が存在し、例えば、それぞれ、(C1~C5)アルキルである1つのRによって置換された(C27~C40)アルキルであることを意味する。各(C1~C5)アルキルは、メチル、トリフルオロメチル、エチル、1-プロピル、1-メチルエチル、又は1,1-ジメチルエチルであり得る。
「(C6~C40)アリール」という用語は、6~40個の炭素原子の非置換又は(1つ以上のRによって)置換された、単環式、二環式、又は三環式芳香族炭化水素ラジカルを意味し、炭素原子のうちの少なくとも6~14個は、芳香環炭素原子である。単環式芳香族炭化水素ラジカルは、1つの芳香環を含み、二環式芳香族炭化水素ラジカルは、2つの環を有し、三環式芳香族炭化水素ラジカルは、3つの環を有する。二環式又は三環式の芳香族炭化水素ラジカルが存在するとき、そのラジカルの環のうちの少なくとも1つは、芳香族である。芳香族ラジカルの他の1つの環又は複数の環は独立して、縮合又は非縮合、及び芳香族又は非芳香族であり得る。非置換(C6~C40)アリールの例としては、非置換(C6~C20)アリール、非置換(C6~C18)アリール、2-(C1~C5)アルキル-フェニル、フェニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、インダセニル、ヘキサヒドロインダセニル、インデニル、ジヒドロインデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、及びフェナントレンが挙げられる。置換(C6~C40)アリールの例としては、置換(C1~C20)アリール、置換(C6~C18)アリール、2,4-ビス([C20]アルキル)-フェニル、ポリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、及びフルオレン-9-オン-1-イルが挙げられる。「[C20]アルキル」という用語は、置換基を含めてラジカル中に最大20個の炭素原子が存在し、例えば、それぞれ、(C1~C5)アルキルである1つのRによって置換された(C2~C15)アルキルであることを意味する。
「(C3~C40)シクロアルキル」という用語は、非置換であるか又は1つ以上のRで置換されている、3~40個の炭素原子の飽和環式炭化水素ラジカルを意味する。他のシクロアルキル基(例えば、(Cx~Cy)シクロアルキル)は、x~y個の炭素原子を有し、非置換であるか又は1つ以上のRによって置換されているかのいずれかであるのと同様の様式で定義される。非置換(C3~C40)シクロアルキルの例は、非置換(C3~C20)シクロアルキル、非置換(C3~C10)シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシルである。置換(C3~C40)シクロアルキルの例は、置換(C3~C20)シクロアルキル、置換(C3~C10)シクロアルキル、シクロペンタノン-2-イル、及び1-フルオロシクロヘキシルである。
(C1~C40)ヒドロカルビレンの例としては、非置換又は置換の、(C6~C40)アリーレン、(C3~C40)シクロアルキレン、及び(C1~C40)アルキレン(例えば、(C1~C20)アルキレン)が挙げられる。ジラジカルは、同じ炭素原子上(例えば、-CH-)若しくは隣接する炭素原子上(すなわち、1,2-ジラジカル)にあってもよいか、又は1個、2個、若しくは3個以上の介在する炭素原子によって離間されている(例えば、1,3-ジラジカル、1,4-ジラジカルなど)。いくつかのジラジカルとしては、1,2-、1,3-、1,4-、又はα,ω-ジラジカルが挙げられ、他のものとしては1,2-ジラジカルが挙げられる。α,ω-ジラジカルは、ラジカル炭素間に最大の炭素骨格間隔を有するジラジカルである。(C2~C20)アルキレンα,ω-ジラジカルのいくつかの例としては、エタン-1,2-ジイル(すなわち、-CHCH-)、プロパン-1,3-ジイル(すなわち、-CHCHCH-)、2-メチルプロパン-1,3-ジイル(すなわち、-CHCH(CH)CH-)が挙げられる。(C6~C40)アリーレンα,ω-ジラジカルのいくつかの例としては、フェニル-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、又はナフタレン-3,7-ジイルが挙げられる。
複数の実施形態において、CTAは、硫黄又はリンを含まない。
複数の実施形態において、CTAは、トリエチルシラン、ジエチルメチルシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、n-ブチルシラン、ジメチルフェニルシラン、フェニルシラン、クロロジメチルシラン、ジイソプロピルアミノシラン、1,2-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、及びビス(ジメチルシリル)エーテルから選択される式(1)のシランを含む。複数の実施形態において、CTAは、トリメチルシラン、(トリメチルシリル)ジメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)メチルシラン、及びトリス(トリメチルシリル)シランから選択される式(1)のシランを含む。複数の実施形態において、CTAは、トリス(トリメチルシリル)シランを含む。
本明細書のオレフィン系ポリマーを作製する方法において、CTAが式(1)のシランを含む高活性CTAである場合、約0.90g/cm~約0.94g/cmの密度、約2~約30の分子量分布M/M、0.1グラム毎10分~約50グラム毎10分のメルトインデックスIである低密度オレフィン系ポリマーを得ることができる。いくつかの実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマーから本質的になり得る。いくつかの実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマーからなり得る。
低密度オレフィン系ポリマーは、オレフィン、例えば、エチレンのホモポリマーであり得るか、又はオレフィン及び少なくとも1つのコモノマーからなるオレフィン系インターポリマーであり得る。例えばエチレン/α-オレフィンインターポリマー中のエチレンに加えて、オレフィン系インターポリマーへの組み込みに有用なコモノマーには、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、及び1-オクテン、非共役ジエン、ポリエン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4-ヘキサジエン)、オクタジエン、スチレン、ハロ置換スチレン、アルキル置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、ナフテン類、シクロアルケン(例えば、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロオクテン)、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。エチレンは、多くの場合、プロペン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンなどの少なくとも1つのC~C20α-オレフィンと共重合される。
ケイ素を更に含む低密度オレフィン系ポリマーは、以下に記載されるトリプル検出器ゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定される従来法で較正された、いずれもグラム/mol単位の分子量Mw,GPCと絶対分子量Mw,Absとの数値関係、及び以下に記載されるゼロ剪断粘度法によって測定される190℃でのゼロ剪断粘度η(パスカル秒)を示すことができる。更に、ケイ素を更に含む低密度オレフィン系ポリマーは、従来法で較正された分子量、絶対分子量、及び3D-GPC法によるgpcBR分岐指数で決定される0.05より大きいgpcBR値によって特性評価される長鎖分岐を示すゼロ剪断粘度関係を示すことができる。
濃度規格化光散乱(light scattering、LS)応答値と従来法で較正された分子量Mw,GPCの対数値との関係を示し、他の低密度オレフィン系ポリマーのものとは異なる、ケイ素を更に含む低密度オレフィン系ポリマーを開示する。差異を、GPC-LS特性評価値(Y)と呼ばれる関係でとらえる。GPC-LS特性評価値(Y)は、以下に記載されるGPC-LS特性評価法によって測定される。2.1より大きいGPC-LS特性評価値(Y)を有し、長鎖分岐を有するオレフィン系ポリマーを開示する。長鎖分岐は、以下に記載される3D-GPC法によるgpcBR分岐指数で決定される0.05より大きいgpcBR値を特徴とする。2.3より大きい又は2.4より大きいGPC-LS特性評価値(Y)を有するオレフィン系ポリマーもまた開示される。2.1~10の範囲内の所与のGPC-LS特性評価値(Y)を有するオレフィン系ポリマーもまた開示される。
複数の実施形態による方法は、低密度オレフィン系ポリマー及び副生成熱を生成するためのオレフィン、例えば、エチレン及び任意選択で少なくとも1つのコモノマーを重合するための高圧フリーラジカル反応器プロセスであり得る。複数の実施形態において、フリーラジカル重合は、過酸化物系開始剤が使用され得るような過酸化物開始フリーラジカル重合である。複数の実施形態において、フリーラジカル重合は、高圧過酸化物開始フリーラジカル重合である。複数の実施形態において、過酸化物開始剤に加えて、金属触媒が含まれ得る。他の実施形態において、金属触媒は、含まれなくてもよい。
本明細書で使用する場合、「高圧」という用語は、100MPaより大きい、110MPaより大きい、120MPaより大きい、130MPaより大きい、140MPaより大きい、又は150MPaより大きい圧力を意味する。複数の実施形態において、圧力は、100MPa以上400MPa以下、110MPa以上390MPa以下、120MPa以上380MPa以下、130MPa以上370MPa以下、140MPa以上360MPa以下、150MPa以上350MPa以下、160MPa以上340MPa以下、170MPa以上330MPa以下、180MPa以上320MPa以下、190MPa以上310MPa以下、又は200MPa以上300MPa以下の範囲であり得る 複数の実施形態による方法は、従来のプロセスで製造されたポリマーと比較してより狭い分子量分布の低密度オレフィン系ポリマーの形成を補助するために、少なくとも1つの高活性CTA、及び場合によっては少なくとも1つの高活性CTAと少なくとも1つの低活性CTAの混合物を含むことができ、これらの用語は、上記で定義されている。
複数の実施形態において、反応器システムは、1つ以上の反応ゾーンを有する反応器を含み得る。反応器は、オートクレーブ反応器、管状反応器、又はオートクレーブ反応器と管状反応器との組み合わせであり得る。2つの種類の反応器は、2つの異なる種類の高圧フリーラジカル開始重合プロセスを可能にする。第1の種類のプロセスにおいて、1つ以上の反応ゾーンを有する撹拌オートクレーブ反応器は、開始剤若しくはモノマー供給物、又はその両方が少なくとも1つの注入点を介して充填される。第2の種類のプロセスにおいて、管状反応器は、1つ以上の反応ゾーンを有するジャケット付き管である。好適な反応器の長さは、100メートル~3000メートル、又は1000メートル~2000メートルであり得るが、これらに限定されない。どちらの種類の反応器でも反応ゾーンの始まりは、典型的には反応の開始剤、オレフィン、CTA、コモノマー(複数可)、又はこれらの組み合わせのいずれかの側部注入によって定義される。高圧プロセスは、1つ以上の反応ゾーンを有するオートクレーブ反応器若しくは管状反応器で、又はそれぞれが1つ以上の反応ゾーンを含むオートクレーブ反応器及び管状反応器の組み合わせで実施することができる。
いくつかの実施形態において、オレフィン系ポリマーを作製するための方法は、フリーラジカル重合が誘導されることになる反応ゾーンの上流の高圧供給物に開始剤を注入することを含み得る。したがって、フリーラジカル重合を開始することは、過酸化物開始剤を反応器システムに添加することを含み得る。フリーラジカル開始剤の例としては、有機過酸化物(organic peroxide、PO)などの酸素系開始剤が挙げられる。例示的な開始剤としては、ペルオキシピバル酸t-ブチル、ジ-t-ブチルペルオキシド、ペルオキシ酢酸t-ブチル、ペルオキシオクタン酸t-ブチル、及びペルオキシ-2-エチルヘキサン酸t-ブチル、並びにこれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。これらの有機ペルオキシ開始剤は、高圧供給物の総重量に基づいて0.0001重量%~0.01重量%の例示的な開始剤の量で反応器システムに注入され得る。
管状反応器に関して、管状反応器にオレフィン及び任意選択で少なくとも1つのコモノマーを供給することに加えて、他の成分を反応器に供給して、オレフィン系ポリマーが形成される際にフリーラジカル反応を開始、かつサポートすることができる。追加の成分としては、反応開始剤、触媒、及びCTAが挙げられ得るが、これらに限定されない。複数の実施形態において、管状反応器は、CTAに対するオレフィン比を制御し、したがってポリマー特性を制御するために新鮮なオレフィンを供給する代替の場所を有するマルチゾーン管状反応器である。新鮮なオレフィンモノマーを複数の場所で同時に添加して、所望のCTAに対するオレフィンモノマー比を達成する。新鮮なCTAを複数の場所で同時に添加して、所望のオレフィンモノマーに対するCTA比を達成することができる。好適な管状重合反応器の非限定的な例としては、国際公開第2013059042(A1)号及び同第2013078018(A2)号に開示される管状反応器及び重合条件が挙げられ、各参照の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、フリーラジカル重合の反応器システムは、複数の反応器ゾーン(3~6か所反応器ゾーン)を有する管状反応器を含む。それぞれの反応器ゾーンの最高温度は、150℃~360℃、又は170℃~350℃、又は200℃~340℃である。各反応器ゾーンの圧力は、100MPa~380MPa、又は110MPa~340MPa、又は110MPa~300MPaである。
複数の実施形態において、フリーラジカル重合の反応器システムは、オレフィンから部分的になるプロセス流体がフリーラジカル重合され、高い発熱反応を起こす管状重合反応を含む。その反応は、反応の初期開始温度が120℃~200℃であるが、反応器の最高温度が160℃~360℃のとき、乱流プロセス流体流の高い動作圧力(例えば、100MPa~400MPa)下で発生する(したがって、低密度オレフィン系ポリマーは、「高圧」ポリマーとも称される)。管に沿った特定の点で、フリーラジカル重合中に生成される熱の一部は、管の壁を通して除去され得る。管状反応器の典型的なシングルパス転化率値は、約20%~40%の範囲である。管状反応器システムは、通常、転化効率を改善するための少なくとも1つのモノマー再循環ループも含む。
典型的な管状重合反応システムを図1に示す。管反応器システム100は、典型的には約250メートル~約2000メートルの長さの管2を有する。管の長さ及び直径は、プロセス流体の滞留時間及び速度、並びに管2の熱添加/熱除去能力に影響を及ぼす。好適な反応器の長さは、100メートル~3000メートル、及びいくつかは500メートル~2000メートルであり得るが、これらに限定されない。管2は、また、所望のシステム処理量、動作圧力範囲並びに混合及び反応のための乱流の程度に基づいて約30mm~約100mmの作業内径を有する。作業内径は、乱流混合、反応開始剤及び供給物の注入、並びにプロセス流体のスロットル(すなわち、圧力損失を犠牲にしてプロセス流体速度を加速する)などのプロセスの異なる部分に対応するために管2に沿った点で広がったり狭くなったりしてもよい。
いくつかの実施形態において、プロセス流体の平均速度は、少なくとも10メートル毎秒、又は最大25メートル毎秒である。プロセス流体速度は、プロセス全体の処理量、オレフィン転化率、熱除去能力、また、いくつかの反応ゾーンを有するプロセスについては、局所反応開始温度並びにCTA及びプロセス開始剤の注入量の管理に影響を及ぼし得る。
図1及び管状反応器システム100を参照すると、多段階圧縮器又は並列運転する2つ以上の圧縮器であり得る第1の圧縮器4は、その取り入れ側で新鮮なモノマー/コモノマー供給物源、すなわち新鮮供給導管6と、低圧システム再循環導管8とに接続されている。
引き続き図1を参照すると、第2の圧縮器、例えば、多段階圧縮器であり得るハイパー圧縮器5は、その取り入れ側で一次圧縮器4の排出口と、2つの再循環流のうちの2番目、すなわち高圧システム再循環導管26とに接続されている。
ハイパー圧縮器5による加圧後、プロセス流体は、上流プロセス供給流としての導管12を介して管2に供給される。いくつかの開示されたプロセスにおいて、プロセス流体は分割され、異なる供給位置で管2に供給される。このようなプロセスにおいて、プロセス流体の一部は、第1の反応ゾーンへの上流プロセス供給流として導管12を介して管2に供給され、次いで、他の部分(プロセス流体中で作製された分割数に応じて)は、他の反応ゾーンへの下流のプロセス供給流として様々な導管14を介して管2に供給され得る。
いくつかの実施形態において、本方法の反応器システムは、第1の反応ゾーン及び少なくとも1つの他の反応ゾーンを含む、新鮮な供給物を添加し得るいくつかの反応ゾーンを含み得る。複数の反応ゾーンを有することで、第1の反応ゾーンの下流にある管2内のプロセス流体よりも低温である供給流(例えば、開始剤、モノマー)の導入を介してシステム内の熱を除去することによって、全オレフィン転化率を改善することができる。複数の反応ゾーン及び供給ゾーンを有する管状反応器システムは、管反応器が全体的に低い平均ピーク反応器温度で動作するのを可能にし得る。これは、複数の反応器又は供給ゾーンと、類似の非複数の反応ゾーン又は供給ゾーン管状反応器との間で、転化率が同じに保たれることを想定している。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、導管14を通過する下流のプロセス供給物は、反応システムへの注入前に冷却され得るか、又は下流のプロセス供給物は、本質的により低温であり得、それによって重合の(再)開始前の反応プロセス流体全体の温度を低下させ得る。プロセスを冷却することで、追加の開始剤を添加することを可能にし、それによってモノマー/コモノマーのシングルパス転化率を改善し得る。いくつかの実施形態において、下流プロセス供給流(複数可)の温度は、好ましくは120℃未満、又は50℃未満、又は更に30℃未満である。より低い平均反応器温度は、長鎖分岐の全体的なレベルを低下させ得、これにより、より狭い分子量分布の生成物を生成し得る。更に、管に沿った複数の供給位置を使用することで、光学特性が重要な基準であり得るフィルム樹脂などの用途で使用するための狭い分子量分布の樹脂を生成し得る。複数の供給位置はまた、複数の反応ゾーンを有さない類似のシステムと比較して分子量分布の狭小化ももたらし得る。
いくつかの実施形態において、反応器システムは、2つ以上の反応ゾーンを有する反応器を含む。このような反応器において、1つ以上のフリーラジカル開始剤又は触媒導管7は、各反応ゾーンの開始時近く又は開始時に、開始剤又は触媒を管2に輸送する。
開示されたオレフィン系ポリマーをもたらすフリーラジカル重合反応は、開始剤又は触媒が存在する各反応ゾーンで生じる。反応は、大量の熱を発生させる発熱反応である。冷却しないと、プロセス流体中の断熱温度の上昇及びオレフィン系ポリマー(熱を吸収し保持する)は、好ましくない反応をもたらすであろう。このような反応は、オレフィン分解(オレフィン及びポリオレフィンは、燃焼を伴わない反応で分解され、基本生成物になる)、又は分子量分布が広がるような過剰な長鎖分岐を含み得る。
従来のプロセスにおいて、高分子量ポリマー鎖が形成し、反応器管壁の内側に「プレートアウト」し、プロセスを断熱し、熱除去を妨げる。しかしながら、高活性CTAの使用及び10メートル毎秒を超えるプロセス流体速度を含むいくつかの実施形態において、この断熱層が形成される度合いは低くなる。これは、高活性CTAを使用しない同等のプロセスに対して、熱除去プロセスを改善する。
いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、高活性CTAを含む重合方法は、高活性CTAが使用されない重合方法を上回るいくつかの利点を提示すると考えられる。例えば、低活性CTAの代わりに高活性CTAをプロセスに加える場合、定常状態動作中に管状反応器から熱を除去する能力は、以下の、(a)少なくとも1%より多い熱、またおそらく少なくとも3%より多い熱が、少なくとも1つの反応ゾーンから除去され得る効果、及び/又は(b)反応システムから熱を除去する熱交換器で使用される熱除去媒体の入口温度と出口温度との間の平均温度差(温度「Δ」)が、類似のプロセスにて類似の熱交換器で使用される類似の熱除去媒体のものより統計的に有意に高く(すなわち、一定期間にわたって温度Δの標準偏差の3倍より大きい)なり得る効果、及び/又は(c)反応システムから熱を除去する熱交換器で使用される熱除去媒体の出口温度における差が、類似のプロセスにて類似の熱交換器で使用される類似の熱除去媒体のものより一定期間少なくとも1℃高くなり得る効果、を有するように思われる。
いくつかの実施形態において、反応器システムにCTAを添加することは、少なくとも1つの高活性CTAをプロセス流体に添加することを含み得る。いくつかの実施形態において、反応器システムにCTAを添加することは、少なくとも2つのCTA、例えば、1つの高活性CTA及び1つの低活性CTAをプロセス流体に添加することを含み得る。管2内のフリーラジカル重合中の相対的特性を利用するために、2つ以上のCTAを使用することができる。
いくつかの実施形態において、CTAは、管2に導入される前に、プロセス流体とできるだけ均一にブレンドされるように添加される。管状反応器システム100の物理的レイアウト並びにプロセス流体及びCTAの化学的特性に応じて、このようなブレンドすることは、低圧システム再循環導管8用のブースター圧縮器21の入口にて、一次圧縮器4の入口内で、ハイパー圧縮器5の入口内で、ハイパー圧縮器5の出口にて、管2の入口にて、又は第1の過酸化物注入とともにCTAを注入することによって達成することができる。
図1には示されていないが、管反応器2へのCTAの選択的な供給が可能である。このような場合、CTAは、図1に示すように、CTA源23を使用する代わりに、導管12又は導管14に選択的に注入されることによって管2に供給され得る。特定の場合において、CTAは、CTA供給源23から導管12を介して上流プロセス供給流にのみ注入され得る。CTA源23からのCTAの注入に関する開示されたプロセスにおけるこの柔軟性は、第1の反応ゾーンにのみ、又は異なる反応ゾーンにのみ、又は反応ゾーンのいくつか若しくはすべてにCTAの選択的な注入を可能にする。それはまた、反応システムの性能及びオレフィン系ポリマー特性を最適化するために、異なるCs特性を有するCTAを含む異なるCTAの注入がCTA源23から異なるゾーンへ注入されるのを可能にする(例えば、第1の反応ゾーンに注入される高活性CTA及び少なくとも1つの他の反応ゾーンに注入される低活性CTA)。
2つ以上のCTAが反応器システムに添加される実施形態において、CTAのうちの一方は、Cs<1を有し得、他方のCTAは、Cs>1を有し得る。このようなプロセスにおいて、プロセスの異なる部分で有効性をカスタマイズするか、又はオレフィン系ポリマー特性を最適化するために、CTAは、異なる供給速度又は量でシステムに供給され得る。複数の実施形態において、低活性CTAの供給速度は、再循環流26及び再循環流8のうちいずれか一方又は両方で検出された再循環された低活性CTAの量によって調節され得る。CTAの供給量、CTA同士の比率、及び新鮮な供給導管6でのオレフィンの量に対するCTAの相対量は、管2及び反応器システム100の配置、生成速度、CTAの相対的な活性、並びに管2の全体的な滞留時間を含むいくつかの要因に応じて変化するが、これらに限定されない。CTAの供給量及び比率はまた、溶融粘度、全体的な生成量、目標分子量分布、所望のメルトインデックス、第1のゾーンのピーク温度、残留CTA又はCTA副生成物、並びに管プロセスの流体速度などの最終的なオレフィン系ポリマー特性に基づいて調節され得る。
複数の実施形態において、プロセス流体中のCTAの濃度は、約1モルppm~約600モルppm、又は約1モルppm~約200モルppmである。複数の実施形態において、開示されたCTA濃度は、導管12などの上流プロセス供給流にて見られる。複数の実施形態において、上流プロセス供給流中の高活性CTAの濃度は、約1モルppm~約600モルppm、又は約1モルppm~約200モルppmである。高活性CTA及び低活性CTAの両方を使用する実施形態において、プロセス流体中のモル/時間単位での低活性CTAに対するモル/時間単位での高活性CTAの比であるCTAモル流量比は、約0.01~約100、又は約0.05~約5、又は約0.05~約0.5である。
図1を参照すると、反応から形成されたオレフィン系ポリマー、未反応モノマー(及び該当する場合コモノマー)、並びに溶媒及びCTAなどの未使用供給物、又は分解生成物及び副反応生成物の混合物は、管出口16からプロセスの分離部へと通過する。管反応器システム100のプロセスの分離部及び再還流部は、管2の出口からの生成ポリマーとプロセス流体との混合物を受け取る高圧分離器(high pressure separator、HPS)18を含む。HPS18の尾部は、ポリマー、並びにポリマーに溶解され得る残りの任意の未反応モノマー/コモノマー及び他の未使用供給物を低圧分離器(low-pressure separator、LPS)20に移す。未反応モノマーを含むより高圧の軽量物流は、流れを冷却して浄化し、不活性ガスをパージするための精製システム24を含み得る高圧システム再循環導管26を通過し、一次圧縮器4からハイパー圧縮器5へ通過するプロセス流体を再び一緒にする。
加熱除去媒体が液体である場合、反応器は、熱伝達をもたらしかつプロセス流体及びオレフィン系ポリマーを冷却する熱交換器30を含んでもよい。
複数の実施形態において、オレフィン転化率の全体的な改善がある。全体的な改善は、プロセスの早期の高分子量ポリマー鎖の形成の低減、熱伝達の改善、及びより多くのフリーラジカル開始剤を使用する能力に起因する。同等の定常状態条件であれば、1より大きいCsを有する少なくとも1つのCTAが反応器システムに添加される開示されたプロセスのオレフィン転化率は、1より大きいCsを有するCTAを欠く同様のプロセスのオレフィン転化率よりも少なくとも0.3%高い可能性がある。
最終用途
開示されたオレフィン系ポリマーを使用して作製された最終用途生成物としては、すべてのタイプのフィルム(例えば、ブローコーティング、キャストコーティング、及び押出コーティング(単層又は多層))、成形品(例えば、ブロー成形品及び回転成形品)、ワイヤ及びケーブルのコーティング及び配合物、架橋用途、発泡体(例えば、連続気泡又は閉鎖気泡でブローされる)、並びに他の熱可塑性用途が挙げられる。開示されたオレフィン系ポリマーはまた、他のポリオレフィンとのブレンド成分としても有用である。
開示されたオレフィン系ポリマーの実施形態から最終用途生成物として生成され得るフィルムの種類には、サイレージ用フィルム、封止材、サイロバック、延伸フィルム、ディスプレイパッケージング、収縮フィルム、及び重量物輸送袋が挙げられる。加えて、ブローコーティング、キャストコーティング、及び押出コーティング(単層又は多層)はまた、開示されたオレフィン系ポリマーを使用して生成され得る。
定義
本明細書で使用する「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドを意味する。ブレンドは、混和性であっても、混和性でなくてもよい(分子レベルで相分離していない)。ブレンドは、相分離していても、相分離していなくてもよい。ブレンドは、透過電子分光法、光散乱、x線散乱、及び当技術分野において既知の他の方法から決定される1つ以上のドメイン構成を含有してもよいか、又は含有しなくてもよい。
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、並びに組成物の材料間の相互作用及び反応から形成された反応生成物及び分解生成物を含む。
「オレフィン系ポリマー」という用語は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50モル%を超える重合オレフィンモノマー及び任意選択で少なくとも1つのコモノマーから形成されるポリマーを指す。オレフィンのホモポリマーもまた、オレフィン系ポリマーである。
「エチレン系ポリマー」という用語は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50モル%を超える重合エチレンモノマー及び任意選択で少なくとも1つのコモノマーから形成されるポリマーを指す。エチレンのホモポリマーもまた、エチレン系ポリマーである。
「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」という用語は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50モル%を超える重合エチレンモノマー及び少なくとも1つのα-オレフィンコモノマーから形成されるインターポリマーを指す。
「ホモポリマー」という用語は、エチレンなどの単一の種類のモノマーのみから形成されるポリマーを指す。
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。インターポリマーという用語は、通常、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられるコポリマー、及びターポリマーなどの3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」又は「高分岐ポリエチレン」とも称され得、ポリマーが、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用して100MPaを上回る圧力で、オートクレーブ若しくは管状反応器中で部分的に又は完全に重合されることを意味するように定義される(例えば、米国特許第4,599,392号(McKinney,et al.)を参照)。
「ポリマー」という用語は、同じ種類のモノマーであるか又は異なる種類のモノマーであるかにかかわらず、1つ以上のモノマーを重合することによって調製される化合物を指す。ポリマーという用語は、「ホモポリマー」及び「インターポリマー」という用語を包含する。
試験方法
密度:ポリマーの密度測定のための試料をASTM D1928に従って調製する。測定は、ASTM D792、方法Bを使用して、試料の加圧成形から1時間以内に行われる。
メルトインデックス:エチレン系ポリマーのメルトインデックス又はIは、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定される。
溶融強度:溶融強度測定は、Gottfert Rheotester 2000キャピラリレオメータに取り付けたGottfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.;Rock Hill,S.C.)で行った。ポリマー溶融物は、2.0mmのキャピラリー直径及び15のアスペクト比(キャピラリー長さ/キャピラリー半径)の平らな入射角(180度)のキャピラリーダイから押し出される。試料を190℃で10分間平衡化した後、ピストンを0.265mm/秒の一定のピストン速度で動作させる。標準試験温度は、190℃である。試料は、ダイの100mm下方にある加速ニップのセットに、2.4mm/秒の加速度で一軸延伸される。引張力は、ニップロールの巻き取り速度の関数として記録される。溶融強度は、ストランドが破断する前のプラトー力(cN)として報告される。以下の条件は、溶融強度測定で使用される。プランジャ速度=0.265mm/秒、ホイール加速度=2.4mm/s、キャピラリー直径=2.0mm、キャピラリー長さ=30mm、バレル直径=12mm。
動的機械分光法(dynamic mechanical spectroscopy、DMS):動的振動剪断測定は、TA Instruments(New Castle,Del.)のARESシステムによって190℃にて不活性窒素雰囲気下で25mmの平行平板を用いてギャップ2.0mm及び10%の一定歪みで測定した。周波数間隔は、5点/10進数対数間隔で0.03~300ラジアン/秒である。応力応答を振幅及び位相に関して分析し、そこから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、複素弾性率(G)、tanδ、位相角δ、及び複素粘度(η)を計算する。複素弾性率Gは、それぞれ、その実数成分をG’及びその虚数成分をG’’とする複素数である(G=G’+iG’’)。Gの大きさは、|G|=(G’+G’’1/2として報告される。tanδ及び位相角δの両方は、材料の相対弾性に関連する。tanδは、損失弾性率と貯蔵弾性率との比であり、すなわち、tanδ=G’/G’であり、位相角δは、δ=tan-1(G’’/G’)から得ることができる。複素粘度ηはまた、その実数成分をη’及びその虚数成分をη’’とする複素数である。ηの大きさは以下のように報告され、
Figure 2023519664000003
式中、ωは、ラジアン/秒の角周波数である。
DSC:示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)は、広範囲の温度について所与の温度で試料の結晶化度を測定するために使用され得る。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)及びオートサンプラモジュールを備えるTA Instruments Q1000 DSCを使用して、この分析を実施する。試験中、50mL/分の窒素パージガス流を使用する。各試料を薄膜へとプレス成形し、プレス中約175℃で溶融させる。次いで、溶融した試料を室温(約25℃)まで空冷する。3~10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に置き、圧着して閉じる。次いで、試験片の熱特性を決定するために分析を行う。試料の熱挙動は、試料温度を昇降して熱流対温度のプロファイルを作成することにより決定される。熱履歴を除去するために、まず試料を180℃まで急速に加熱し、3分間等温保持した。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で3分間等温保持する。次いで、試料を、10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線及び第2の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、結晶化の開始から-20℃にベースラインエンドポイントを設定することによって分析される。加熱曲線は、-20℃から溶融終了にベースラインエンドポイントを設定することによって分析される。決定される値は、ピーク溶融温度(T)、ピーク結晶化温度(T)、融解熱(H)(ジュール毎グラム単位)、及び式1を使用して計算したポリエチレン試料の結晶化度%である。
Figure 2023519664000004
融解熱(H)及びピーク溶融温度は、第2の熱曲線から報告される。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定される。
トリプル検出器ゲル浸透クロマトグラフィー:トリプル検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(3D-GPC又はTD-GPC)システムは、Waters(Milford,Mass.)150℃高温クロマトグラフからなる(他の好適な高温GPC機器には、オンボード型示差屈折率検出器(RI)を装備したPolymer Laboratories(Shropshire,UK)モデル210及びモデル220を含む)。追加の検出器として、Polymer ChAR(Valencia,Spain)製のIR4赤外線検出器、Precision Detectors(Amherst,Mass.)製の2角レーザー光散乱(LS)検出器モデル2040、及びViscotek(Houston,Tex.)製の150R4-キャピラリー溶液粘度計を挙げることができる。後者の2つの独立した検出器及び前者の検出器のうちの少なくとも1つを備えるGPCは、「3D-GPC」又は「TD-GPC」と称さることもあるが、「GPC」という用語だけで一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15度又は90度のいずれかが計算のために使用される。データ収集は、Viscotek TriSEC software,Version 3及び4-channel Viscotek Data Manager DM400を使用して行う。このシステムには、Polymer Laboratories(Shropshire,United Kingdom)製のオンライン溶媒脱気機器も備わっている。
これらに限定されないが、4つの30cm長のShodex HT803 13マイクロメートルカラム又は4つの20マイクロメートルの混合細孔サイズパッキングの30cmのPolymer Labsカラム(MixA LS,Polymer Labs)を含む好適な高温GPCカラムを使用し得る。試料のカルーセルコンパートメントを140℃で作動させ、カラムコンパートメントを150℃で作動させる。50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で試料を調製した。クロマトグラフ溶媒及び試料調製溶媒は、トリクロロベンゼン(trichloro benzene、TCB)中に200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有する。両方の溶媒を窒素でスパージした。ポリエチレン試料を160℃で4時間緩やかに撹拌する。注入体積は200マイクロリットルである。GPCを通る流速は1mL/分に設定される。
GPCカラムセットは、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を実行することによって較正される。標準物質の分子量(MW)は、580~8,400,000の範囲であり、標準物質は、6つの「カクテル」混合物に含有されている。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも10倍の間隔を有する。標準物質混合物は、Polymer Laboratoriesから購入する。ポリスチレン標準物質を、1,000,000以上の分子量に対して50mLの溶媒中0.025g、及び1,000,000未満の分子量に対して50mLの溶媒中0.05gで調製する。ポリスチレン標準物質を、80℃で30分間、穏やかに撹拌しながら溶解させる。狭い標準物質混合物を最初にかつ最高分子量成分を減少させる順序で実行して、分解を最小にする。ポリスチレン標準物質ピーク分子量を、式2を使用してポリエチレン分子量に変換し(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載)、
Figure 2023519664000005
式中、Mは(示されるように)ポリエチレン又はポリスチレンの分子量であり、Bは1.0に等しい。Aは約0.38~約0.44の範囲であり得、以下の3D-GPC法によるgpcBR分岐指数、具体的には式9で概説されているように較正時に広い分子量分布のポリエチレン標準物質を用いて決定される。このポリエチレン較正法を使用してM/Mのような分子量値及び関連する統計値を得ることは、本明細書においてWilliams及びWardの方法として定義される。
マルチ検出器オフセットを決定するための系統的手法は、Balke、Moureyらによって公表されたもの(Mourey and Balke,Chromatography Polym.,Chapter12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.,Chapter13,(1992))と一致する方法で実施され、Dow1683の分布が広いポリスチレン(American Polymer Standards Corp.;Mentor,Ohio)又はその等価物からのトリプル検出器対数(MW及び固有粘度)結果を、分布が狭いポリスチレン標準物質較正曲線からの分布が狭い標準カラム較正結果に最適化する。分子量データは、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))及びKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,N.Y.(1987))によって公開されたものと一致する方法で得られた。分子量の判定において使用される全体の注入濃度は、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、又は既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物質のうちの1つから誘導される、質量検出器面積及び質量検出器定数から得られる。計算された分子量は、前述のポリエチレン標準物質のうちの1つ以上から誘導される光散乱定数、及び0.104の屈折率濃度係数do/dcを使用して取得する。一般に、質量検出器応答及び光散乱定数は、約50,000ダルトンを超える分子量を有する直鎖状標準物質から判定されるべきである。粘度計の較正は、製造業者によって説明される方法を使用して、あるいはStandard Reference Materials(SRM)1475a、1482a、1483、又は1484aなどの好適な直鎖状標準物質の公表値を使用して達成され得る。クロマトグラフィー濃度は、第2のバイラル係数効果(分子量に対する濃度効果)の考慮を排除するのに十分に低いと仮定される。
3D-GPCによるgpcBR分岐指数:3D-GPC構成において、ポリエチレン標準物質及びポリスチレン標準物質を使用して、ポリスチレン及びポリエチレンの2つのポリマーそれぞれについて独立してMark-Houwink定数K及びαを測定することができる。以下の方法を利用してWilliams及びWardポリエチレン等価分子量を改良するために、これらを使用することができる。
gpcBR分岐指数は、前述のように、最初に光散乱、粘度、及び濃度検出器を較正することによって決定される。次いで、ベースラインが光散乱、粘度計、及び濃度のクロマトグラムから差し引かれる。その後、屈折率クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す光散乱及び粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持体積範囲のすべての積分を確保するために、積分ウィンドウを設定する。次いで、直鎖状ポリエチレン標準物質を使用して、前述のようにポリエチレン及びポリスチレンのMark-Houwink定数を確立する。定数を得ると、式3及び式4に示すように、2つの値を使用して、溶出量の関数としてのポリエチレン分子量及びポリエチレン固有粘度の2つの線形参照従来較正を構成する。
Figure 2023519664000006
gpcBR分岐指数は、Yau,Wallace W.,「Examples of Using3D-GPC-TREF for Polyolefin Characterization」,Macromol.Symp.,2007,257,29-45に記載されるような長鎖分岐の特性評価のためのロバストな方法である。この指数は、ポリマー検出器面積全体に有利なg’値の判定及び分岐頻度計算において従来使用されているスライス毎の3D-GPC計算を回避する。3D-GPCデータから、ピーク面積方法を使用する光散乱(LS)検出器によって試料バルクの絶対重量平均分子量(Mw;Abs)を得ることができる。
3D-GPCにより、重量平均分子量(「Mw;Abs」)及び固有粘度も、式5と式6を用いてそれぞれ得られる。
Figure 2023519664000007
Figure 2023519664000008
式5の面積計算は、全体的な試料面積として、検出器ノイズ及びGPC設定によってベースライン及び積分限界に対して引き起こされる変動の影響を受けにくいため、より高い精度を提供する。更に重要なことに、ピーク面積の計算は、検出器のボリュームオフセットの影響を受けない。同様に、高精度試料固有粘度(IV)は、式6に示す面積方法によって得られ、
Figure 2023519664000009
式中、DPは、オンライン粘度計から直接監視される差圧信号を表す。
gpcBR分岐指数を決定するために、試料ポリマーの光散乱溶出面積を使用して、試料の分子量を決定する。試料ポリマー用の粘度検出器の溶出面積は、試料の固有粘度(IV又は[η])を決定するために使用される。
最初に、SRM1475a又は等価物などの直鎖状ポリエチレン標準物質試料の分子量及び固有粘度は、式7及び式8につき溶出量の関数として分子量及び固有粘度の両方について従来の較正(「cc」)を使用して決定される。
Figure 2023519664000010
式9は、gpcBR分岐指数を決定するために使用され、
Figure 2023519664000011
式中、[η]は測定された固有粘度であり、[η]ccは、従来の較正からの固有粘度であり、Mは、測定された重量平均分子量であり、Mw,ccは、従来の較正の重量平均分子量である。式(5)を使用する光散乱(LS)による重量平均分子量は、一般に「絶対重量平均分子量」又は「MW,Abs」と称される。従来のGPC分子量較正曲線(「従来の較正」)を使用する式(7)からのMw,ccは、「ポリマー鎖骨格分子量」、「従来の重量平均分子量」、及び「Mw,GPC」と称されることが多い。
下付き文字「cc」が付いたすべての統計値は、それぞれの溶出量、前述の対応する従来の較正、及び保持体積分子量較正から導出される濃度(C)を使用して決定される。下付き文字のない値は、質量検出器、LALLS、及び粘度計面積に基づく測定値である。KPEの値は、直鎖状参照試料がゼロのgpcBR測定値を有するまで繰り返し調整される。例えば、この特定の場合において、gpcBRを判定するためのα及びLog Kの最終値は、ポリエチレンではそれぞれ0.725及び-3.355、ポリスチレンではそれぞれ0.722及び-3.993である。
一旦前述の手順を使用してK値及びα値を決定したら、分岐試料を使用して手順を繰り返す。最良の「cc」較正値として最終的なMark-Houwink定数を使用して分岐試料を分析し、式5~式8を適用する。
gpcBRの解釈は以下のとおりである。直鎖状ポリマーの場合、LS及び粘度計によって測定した値は従来の較正標準に近くなるため、式9から計算したgpcBRはゼロに近くなる。分岐ポリマーの場合、測定したポリマー分子量が計算したMw,ccよりも高く、かつ計算したIVccが測定したポリマーIVよりも高いため、特に高レベルの長鎖分岐ではgpcBRはゼロよりも大きくなる。実際、gpcBR値は、ポリマーの分岐の結果としての分子サイズの収縮効果によるIVの分数変化を表している。0.5又は2.0のgpcBR値は、等価重量の直鎖状ポリマー分子に対する、それぞれ50%及び200%のレベルでのIVの分子サイズ収縮効果を意味する。
これらの特定の実施例では、従来の「g’指数」及び分岐頻度の計算と比較してgpcBRを使用する利点は、gpcBRの精度がより高いことによるものである。gpcBR指数決定に使用されるすべてのパラメータは、良好な精度で得られ、濃度検出器からの高分子量での低3D-GPC検出器応答による悪影響を受けない。検出器体積の整列の誤差も、gpcBR指数決定の精度には影響しないはずである。
ゼロ剪断粘度:クリープ測定のための試験片をプログラム可能な四面体ベンチトッププレスで調製する。プログラムは、177℃にて5分間、10Paの圧力で溶融物を保持する。次いで、チェースをベンチに取り出して室温まで冷却する。次いで、円状試験片を、パンチプレス及び直径25mmの手持ちダイを使用してプラークからダイカットする。試験片は、約1.8mmの厚さである。
ゼロ剪断粘度は、190℃で直径25mmの平行プレートを用いてAR-G2応力制御レオメーター(TA Instruments;New Castle,Del.)で行ったクリープ試験で得られたものである。IRGAFOS168及びIRGANOX1010(Ciba Specialty Chemicals;Glattbrugg,Switzerland)の2:1混合物である2000ppmの酸化防止剤を添加して、圧縮成形前に各試料を安定化させる。ゼロ点調整の前に、レオメーターオーブンを少なくとも60分間190℃の試験温度に設定する。この試験温度で、圧縮成形された試料のディスクをプレート間に挿入し、5分間かけて平衡状態にさせる。次いで、上側プレートを所望の試験間隙(1.5m)の上方50μmに下げる。あらゆる余分な材料をトリミングし、上側プレートを所望の間隙まで下げる。測定は、流速5L/分の窒素パージ下で行われる。初期値のクリープ時間を6時間に設定する。
すべての試料に5Pa~20Paの低剪断応力を印加して、定常状態の剪断速度がニュートン領域にあるように十分低くなることを確実にする。定常状態を、log(J(t))対log(t)のプロットの最後の10%時間ウィンドウ内のすべてのデータについて線形回帰を取ることによって決定した。ここで、J(t)は、クリープコンプライアンスであり、tは、クリープ時間である。線形回帰の傾きが0.97より大きい場合、定常状態に達したとみなし、次いでクリープ試験を停止する。この試験のすべての場合において、試料は6時間以内に定常状態に達する。定常状態の剪断速度を、ε対t(εは歪みである)のプロットの最後の10%の時間ウィンドウ内のすべてのデータのすべての線形回帰の傾きから決定する。ゼロ剪断粘度は、加えられた応力の定常状態の剪断速度との比から決定される。
クリープ試験の前後で,同じ試験片を10%歪みでの0.1rad/秒~100rad/秒で動的振動剪断試験を実施する。2つの試験の複素粘度値を比較する。0.1rad/秒における粘度値の差が5%より大きい場合、クリープ試験中に試料が劣化したとみなし、結果を廃棄する。
表面ヘイズ及び内部ヘイズ:内部ヘイズ及び全ヘイズについて測定した試料は、ASTM D1003に従ってサンプリングされ、かつ調製される。Azegard Plus(BYK-Gardner USA;Columbia,Md.)を試験に使用する。表面ヘイズは、全ヘイズと内部ヘイズとの差として決定した。表面ヘイズは、フィルムの表面粗さに関連する傾向があり、表面ヘイズは、表面粗さの増加とともに増加する。内部ヘイズに対する表面ヘイズの比率は、表面ヘイズ値を内部ヘイズ値で割ったものである。
インフレーションフィルム製造条件:試料フィルムは、表1の条件を使用して、45mmのCOVEX単層インフレーションフィルムライン(Barcelona,Spain)上で生成された押出インフレーションフィルムである。
Figure 2023519664000012
GPC-LS特性評価:予め決定した分子量範囲を使用して、特定の試料の濃度正規化LSクロマトグラム応答曲線を解析することは、比較的低い密度の類似及び市販のエチレン系ポリマーから実施形態のポリマーを区別するのに有用である。「GPC-LS特性評価」パラメータYは、特定の材料の分子量分布(molecular weight distribution、MWD)とGPC-LSプロファイルとの固有の組み合わせをとらえるように設計されている。重要な特性は、メルトインデックス(I)、MWD、長鎖分岐、及びヘイズである。低ヘイズを有するポリマーについて望ましい属性は、より高いメルトインデックス(I)、より狭いMWD、及びより低い長鎖分岐値である。このGPC-LS特性評価値は、低い長鎖分岐、狭いMWD、及び高メルトインデックス(I)の特徴をとらえるように設計されている。図2は、GPC-LSを使用するための実施例及び指針を提供する。
本発明の実施形態を識別するための特性評価方法:低密度エチレン系ポリマーなどの長鎖分岐を有するエチレン系ポリマーを、「GPC-LS特性評価」と呼ばれる分析技術を使用することによって区別することができる。GPC-LS特性評価方法において、この決定は、試料の分子量範囲にわたって従来法で較正された3D-GPC(「cc-GPC」)によって処理した試料についての光散乱(LS)検出器応答を使用して行われる。試料の分子量は、縮尺の目的のために対数値に変換される。LS応答は「濃度正規化」されているため、試料間でLS応答を比較することができるが、それは、非正規化LS信号は正規化を行わなければ試料毎に大きく変動する可能性があることが当技術分野で知られているからである。プロットすると、cc-GPC分子量の範囲の対数値及び濃度正規化LS値は、図2に示すような濃度正規化LSクロマトグラム曲線を形成する。
濃度正規化LSクロマトグラム曲線が利用可能になると、GPC-LS特性評価値の決定は容易である。GPC-LS特性評価方法において、GPC-LS特性評価値(Y)は、式10を使用して決定される。
Figure 2023519664000013
GPC-LS特性評価値は、指定された2つのcc-GPC分子量値の対数値での濃度正規化LSクロマトグラム曲線の2点間の関連する2つの面積(A及びB)と指数化された直線(x)の傾きとの間の関係である。特定のcc-GPC分子量値は、長鎖分岐を有するポリマー鎖を含有することが知られている分子量分率をひとまとめにしようとする。
分析の第1の工程は、濃度正規化されたLS応答値対試験されるポリマーについてのcc-GPC分子量の対数値を表す濃度正規化LSクロマトグラム曲線の作成である。
第2の工程は、濃度正規化LSクロマトグラム曲線上の2つの点の間を直線で結ぶことである。直線及び点は、面積A及び面積Bの決定のための基礎を提供する。2つの点、第1の点及び第2の点は、濃度正規化LSクロマトグラム曲線上に位置し、2つのcc-GPC分子量値についての対数値(第1の対数cc-GPC分子量値及び第2の対数cc-GPC分子量値)での濃度正規化LS応答値(第1の濃度正規化LS応答値及び第2の濃度正規化LS応答値)を表す。第1の点(図2上の点1)は、cc-GPC分子量350,000グラム/モルの対数値(第1の対数cc-GPC分子量値を表す)に対応する濃度正規化LSクロマトグラム曲線(第1の濃度正規化LS応答値を表す)上にあると定義され、その値は、約5.54である。第2の点(図2上の点2)は、cc-GPC分子量1,150,000グラム/モルの対数値(第2の対数cc-GPC分子量値を表す)に対応する濃度正規化LS応答値(第2の濃度正規化LS応答値を表す)の濃度正規化LSクロマトグラム曲線に沿っているとして定義され、その値は、約6.06である。長鎖分岐における区別は、通常、100万グラム/モルのcc-GPC分子量付近で示されることが当技術分野で既知である。
第3の工程は、2つの対数cc-GPC分子量値間の直線と濃度正規化LSクロマトグラム曲線と.の間の面積Aを決定することである。面積Aは、A1からA2を引いた値として定義される。複数の実施形態において、面積Aは、cc-GPC分子量350,000グラム/モルの対数値とcc-GPC分子量1,150,000グラム/モルの対数値の間の値の範囲に対して定義される。
A1は、直線と正規化LSクロマトグラム曲線との間に囲まれた面積として定義され、直線の濃度規格化LS応答値は、2つの対数cc-GPC分子量値間の濃度正規化LSクロマトグラム曲線の濃度規格化LS応答値より大きい。
図2からわかるように、A1と定義される面積は、2つの対数cc-GPC分子量の間の全範囲を満たしており、したがってA=A1である。多くの場合、直線は、対数cc-GPC分子量範囲の濃度正規化LSクロマトグラム曲線の「上方」であり、点1及び点2を除いて、濃度正規化LSクロマトグラム曲線と交わることはない。これらの場合において、A=A1及びA2=0である。しかしながら、いくつかの実施形態において、AはA1に等しくない。図3に示す濃度正規化LSクロマトグラム曲線は、これが発生し得る場合の例を示す。
いくつかの実施形態において、図3からわかるように、直線は、点1及び点2以外の少なくとも1つの点で濃度正規化LSクロマトグラム曲線と交差し得る(図3の「直線の交差」を参照)。そのような状況にいて、A1は、以前に定義したように決定される。図3に示す例について、A1は、濃度正規化LSクロマトグラム曲線と、およそ5.8の対数cc-GPC分子量値から対数cc-GPC分子量1,150,000グラム/モルの直線との間の面積となるであろう。
A2は、A1の逆であるとして定義される。A2は直線と濃度正規化LSクロマトグラム曲線との間に囲まれた面積であり、直線の濃度正規化LS応答は、2つの対数cc-GPC分子量値の間の濃度正規化LSクロマトグラム曲線の濃度正規化LS応答より小さい。図3に示す例について、A2は、濃度規格化LS応答曲線と、およそ5.8の対数cc-GPC分子量値から対数cc-GPC分子量350,000グラム/モルの直線との間の面積である。
Aの合計値を計算する際に、Aは、再び、面積A1から面積A2を引いた値として定義される。いくつかの実施形態において、図3のグラフからわかるように、直線が濃度正規化LS応答曲線の上方よりも下方により多くの面積を画定していることを反映して、Aは負の値になり得る。
第4の工程は、対数cc-GPC分子量範囲についての濃度正規化LSクロマトグラム曲線下の面積Bを決定することである。Bは、2つの対数cc-GPC分子量値間の濃度正規化LSクロマトグラム曲線下の面積として定義される。面積Bは、面積Aの分析に依存しない。
第5の工程は、xの値、勾配指数値を決定することである。xの値は、面積A及び面積Bを決定するために設定した直線の傾きを考慮している。xの値は、直線の勾配ではない。しかしながら、それは、点1と点2の間の差を反映した値を表す。xの値は、式11によって定義され、
Figure 2023519664000014
式中、「LS応答」は、それぞれ、点1及び点2についての濃度正規化LS応答値であり、「log MW」は、それぞれ、点1及び点2についての対数cc-GPC分子量である。いくつかの実施形態において、xの値は、負であり、直線が下り勾配であることを示す。いくつかの実施形態において、直線は、点1と点2の間で少なくとも1度、正規化LSクロマトグラム曲線と交差し得る。
最後に、x、A、及びBが確立されると、先に示した式10を用いてGPC-LS特性評価値(Y)を決定する。
LSクロマトグラム応答曲線を検討する場合、約logMW 6でのLSピークの大きさがポリマーの長鎖分岐の程度に関係することは既知である。logMW 6 LSピークが小さいほど、直線の角度がより急になるので、LSプロットの線分の傾きの値はより負になる。この結果、直線(x)値のより負に指数化された傾きがもたらされる。式10の関係から、x値がより負の値であれば、Yの正の値もより大きくなるように寄与している。
式10でYに寄与する他の用語は、A/Bの面積比である。A/B比が高いほど、Y値は大きくなる。この比率は、ポリマーのメルトインデックス(I)及びMWDの値に影響される。更にこの2つの値は、高MW領域の6のLogMW付近にあるLSプレピークから主要なポリマーピークがどのくらい引き離されているかに影響を及ぼす。より高いメルトインデックス(I)値は、より低いMWを意味し、2つの応答ピーク間の分離がより明確であることを示す。このことから、高MW部分と低MW部分の間に深い谷ができるであろう。より深い谷は、「A」と指定される、線分の下により大きな面積を作り出す。狭いMWDは、LS応答曲線の幅が広くないことを意味し、プロットにおける深い谷及び更により大きなAを作製する同様の効果を有する。
押出マルチパス:2つ以上の樹脂の大気中安定性(酸化攻撃及び分解に対する耐性)の相対的な測定は、ポリマー試料を大気条件下で加熱された押出機に数回通過させ、次いで、各通過後にメルトインデックス(I)などの物理的特性を試験することによって試験され得る。
ポリマー試料は、LEISTRIZ micro-18ツインスクリュー押出機(American Leistritz Extruder Corporation,Somerville,N.J.から入手)を通して処理される。押出機は、HAAKE(商標)PolyLab System(Thermo Fischer Scientific;Waltham,Mass.)コンピュータシステムによって制御され、かつ駆動される。押出機は、それぞれ90mm長の6つの加熱ゾーン及び3mmのストランド孔を備える加熱ダイからなる。第1のゾーンは、供給口であり、供給ポリマーの架橋を防止するために流水を用いてジャケット冷却される。第1のゾーンは、K-TRON KV2T20ツインオーガー式供給機(Pitman,N.J.)からのポリマー供給を受け取るための開放コーンが装備されている。5つの加熱ゾーンは、それぞれ、135℃、165℃、200℃、220℃、及び220℃に設定されている。押出機の端にあるダイを220℃に加熱する。
各スクリューは、18mmの直径及び540mmの長さを有し、L/D比は30になる。第1の5つのゾーンのスクリュースタックは、勾配30度(非垂直)の開放型前進設計からなる。スクリュースタックの最終ゾーンは、勾配20度(非垂直)のやや狭めの勾配がある前進設計である。全体的なスクリュー設計はポリマーにほとんど剪断力を付与せず、主に加熱されたバレル部分を通って材料が前進する。溶融ポリマーは、溶融材料をダイに押し込むのに十分な背圧を提供するために、よりきつい勾配の要素を通ってスクリューの端付近で圧縮される。
処理時に、スクリューは毎分250回転(rpm)で回転する。ポリマーは、分析のために各パスの後に試料、好ましくは約50gを取得するのを可能にしながら、必要な多くのパスを処理するのに十分なポリマーを供給機によって押出機に供給される。
得られた溶融ポリマーストランドは、冷水浴中に送られ、そこで固化する。固化後、ポリマーストランドは、エアナイフを通過して水を除去し、その後、ストランドチョッパによってポリマーペレットに切断される。ペレット化されると、分析用試料が得られ、その後、必要に応じて、追加の処理のために残りを供給機に戻す。
本開示の1つ以上の特徴は、以下の実施例を考慮して例示される。
実施例1:重合-オートクレーブ反応器
添加剤Aは、Gelest,Inc.から入手したトリス(トリメチルシリル)シランである。
開始剤:第2の316ステンレス鋼供給容器内で、過酸化物開始剤ペルオキシ酢酸tert-ブチル(tert-butyl peroxyacetate、TPA、ISOPAR(商標)H中の20重量%溶液)及び過酸化物開始剤ペルオキシオクタン酸ter-ブチル(ter-butyl peroxyoctoate、TPO)をISOPAR Eと組み合わせて、3000質量ppmのTPA及び5000質量ppmのTPO(1:1モルTPA/モルTPOの比率)を生成した。容器は、使用前に70psigの窒素で5回パッドを入れ、パッドを外し、操作中は窒素パッドの下に保たれた。
エチレンを5500gm/時、193MPaの圧力で、撹拌(1600rpm)300mL高圧CSTR反応器に注入し、内部反応器温度を215℃に制御するように外部加熱ジャケットを設定した。様々な連鎖移動剤を連続して添加し、それぞれの連鎖移動効果を判定した。最初に、プロピレン(CTA)を6.2MPaの圧力でエチレン流に添加し、2g/10分のMIを有する最終生成物を生成する速度で制御した後、混合物を193MPaに圧縮して反応器に注入した。適切な添加剤溶液の溶液は、高圧ポンプを介して193MPaの圧力で直接反応器にポンプで送られた。過酸化物開始剤溶液を、エチレン転化率を12%近くに制御する速度で、側壁を介して193MPaの圧力で反応器に直接添加した。以下の表2に示すすべての実験において、ISOPAR Eを40.7グラム/時間の速度で添加し、TPAを0.123グラム/時間の速度で添加し、TPOを0.202グラム/時間の速度で添加した。材料の相対的なCsを決定するために、比較連鎖移動剤を実行した。比較例1(ISOPAR E)を複数の濃度で実行し、関連する温度及び圧力でのCsを決定した。これは0.030となった。この値をその後の計算で使用した。
添加剤AのCsの決定において、ISOPAR E中に希釈して反応器に供給する必要があった。追加の連鎖移動の影響を考慮するために、ISOPAR Eと添加剤Aとの合計Csは、すべてのCTAのモル供給量とエチレンのモル供給量との間の関係から決定された。その後、決定したISOPAR EのCsを差し引いて、添加物AだけのCsを得た。
各実験の重合手順の詳細を以下の表に示す。
Figure 2023519664000015
Figure 2023519664000016
Figure 2023519664000017
Csは、Mayo式に従って誘導され(Mayo,F.R.,Chain Transfer in the Polymerization of Styrene:The Reaction of Solvents with Free Radicals.J.Am.Chem.Soc.1943,65,2324-2329)、
Figure 2023519664000018
式中、χは、数平均重合度である。χは、以下の関係によりLDPEのメルトインデックス(I)から決定される(Mortimer,G.A.,Chain Transfer in Ethylene PolymerizationIV:Additional Study at1360Atm and 130℃.J.Polym.Sci.A-1 1970,8,1513-1523)。
Figure 2023519664000019
実施例2:重合-トリエチルシランの存在下でのオートクレーブ反応器
化学物質:CTAトリエチルシラン(CAS番号:617-86-7)は、純度>95%を有し、溶媒は、n-ヘプタンであり、開始剤は、TBPA(Tx-F)であった。
方法:実験1:200gのn-ヘプタン中の100gのシランの溶液を調製した。開始剤溶液は、500mLのn-ヘプタンあたり9gのTrigonox F(ペルオキシ酢酸t-ブチル)35重量%を含有した。実験2:シランは、納入時のまま純粋で使用した。開始剤溶液の濃度は、500mLのn-ヘプタンあたり2.8gのTrigonox F(ペルオキシ酢酸t-ブチル)35重量%であった。
CTAとしてトリエチルシランを、54mL連続撹拌槽反応器で評価した。HPLCポンプによるCTAの注入は、コンプレッサーの第3段の吸引側で約250バールで行われた。開始剤溶液のリザーバを窒素でパージし、その後、過酸化物高圧ポンプを充填した。CTA供給タンクを空気雰囲気下に保った。反応器と圧力逃がし弁との間のキャピラリーを140℃に加熱した。磁気駆動撹拌器の底部を、周囲温度で水道水を使用して水冷却した。エチレンを撹拌器を通して完全に供給し、反応器に入れる前に過酸化物及びCTAをエチレンに供給した。実験は2000バールで行った。反応器の温度は、反応器の外側にある加熱マントルを使って約200℃~約220℃になるように制御した。反応器での転化率は、n-ヘプタンで希釈したTrigonox F(ペルオキシ酢酸t-ブチル)の過酸化物混合物の流速で調整した。メルトインデックスは、潜在的CTAとして研究されている純粋な化合物の流量を調整するか、又はn-ヘプタン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、若しくは酢酸エチル中の化合物の混合物の流量を調整することによって調整した。
以下の表は、重合条件及び得られたポリマーの特性をまとめたものである。
Figure 2023519664000020
Figure 2023519664000021
表でまとめた実験については、Csは、Mayo式(式12)に従って、χは、実施例1に関して上述したように誘導した。
実施例3:酢酸ビニルの重合
化学物質:すべての化学物質は、Aldrich又はStremのいずれかから購入した。酢酸ビニルを毎日、使用前に蒸留した。トルエン中のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)開始剤溶液は、毎日新しく作製した。
方法:グローブボックス内で、酢酸ビニル10mL、適量の連鎖移動剤、トルエン中の0.25MのAIBN溶液25マイクロリットルをバイアル中で混合することによって、試料を調製した。その後、各バイアルを密封し、60℃の還流式シェーカーに入れた。各バイアルを監視し、粘度の明らかな増加が観察されたとき、反応混合物を0.02gのジ-tertブチルメチルフェノール阻害剤を含有するn-ヘキサン20mLに注いだ。得られたポリマーを濾過により収集し、130℃で1時間、乾燥させた。最終ポリマーをGPCによって分析して分子量を決定した。
連鎖移動定数は、異なるレベルの連鎖移動剤で実験を行い、得られたポリマーの分子量を測定するによって決定した。Mayo式(式12)を使用した。
エチレンのCsは、以下の式を使用して予測した。
Figure 2023519664000022
酢酸ビニルの測定Cs値及び式14に基づいて予測されるエチレンのCs値を表7に示す。
Figure 2023519664000023
態様
一態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、反応器システムのフリーラジカル重合によってオレフィン系ポリマーを作製する方法は、オレフィン系モノマーのフリーラジカル重合を開始することと、当該オレフィン系モノマーのフリーラジカル重合の継続中に当該オレフィン系ポリマーの成長を伝播することと、当該オレフィン系ポリマーの成長を停止する連鎖移動剤を当該反応器システムに添加することと、を含む。当該連鎖移動剤は、式(1)のシランを含み、
Figure 2023519664000024
式中、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、(C1~C40)ヒドロカルビル、-N(R、-Si(R、-OSi(R、-OR、及び-R-Si(Rから選択され、各Rは、独立して、水素原子及び(C1~C40)ヒドロカルビルから選択され、各Rは、(C1~C40)ヒドロカルビレンであり、任意選択で、R、R、R、及びRのうちの任意の2つ、又は同じ窒素原子に結合した任意の2つのR、若しくは同じケイ素原子に結合した任意の2つのRは、いかなる水素原子も除いて、環に3~50個の原子を有する環を形成するように結合される。
第2の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該連鎖移動剤は、硫黄又はリンを含まない。
第3の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、式(1)の当該シランは、トリエチルシラン、ジエチルメチルシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、n-ブチルシラン、ジメチルフェニルシラン、フェニルシラン、クロロジメチルシラン、ジイソプロピルアミノシラン、1,2-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、及び1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンからなる群から選択される。
第4の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、式(1)の当該シランは、トリメチルシラン、(トリメチルシリル)ジメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)メチルシラン、及びトリス(トリメチルシリル)シランからなる群から選択される。
第5の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、式(1)の当該シランは、トリス(トリメチルシリル)シランを含む。
第6の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該反応器システムは、少なくとも1つの管状反応器、又は少なくとも1つのオートクレーブ反応器、又は少なくとも1つの管状反応器と少なくとも1つのオートクレーブ反応器との組み合わせを含む。
第7の態様によれば、単独又は任意の他の態様と組み合わせて、当該反応器システムは、少なくとも1つの管状反応器、又は少なくとも1つのオートクレーブ反応器、又は少なくとも1つの管状反応器と少なくとも1つのオートクレーブ反応器との組み合わせを含み、式(1)の当該シランは、トリス(トリメチルシリル)シランを含む。
第8の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該反応器システムは、少なくとも1つの管状反応器を含む。
第9の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該反応器システムは、少なくとも1つの管状反応器を含み、式(1)の当該シランは、トリス(トリメチルシリル)シランを含む。
第10の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該反応器システムは、当該オレフィン系重合体の成長を伝播する間、100MPa以上の圧力を含む。
第11の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該オレフィン系モノマーは、エチレンを含む。
第12の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該オレフィン系ポリマーは、エチレンからなる。
第13の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該(C1~C40)ヒドロカルビレンは、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、2-メチルプロパン-1,3-ジイル、フェニル-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、及びナフタレン-3,7-ジイルから選択される。
第14の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該(C1~C40)ヒドロカルビレンは、フェニル-1,4-ジイルである。
第15の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、当該フリーラジカル重合は、高圧過酸化物開始フリーラジカル重合である。
第16の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、フリーラジカル重合を当該開始することは、過酸化物開始剤を当該反応器システムに添加することを含む。
第17の態様によれば、単独で又は任意の他の態様と組み合わせて、フリーラジカル重合を当該開始することは、過酸化物開始剤を当該当該反応器システムに添加することを含み、過酸化物開始剤は、ペルオキシピバル酸t-ブチル、ジ-t-ブチルペルオキシド、ペルオキシ酢酸t-ブチル、ペルオキシオクタン酸t-ブチル、及びペルオキシ-2-エチルヘキサン酸t-ブチル、並びにこれらの混合物から選択される。
特許請求の範囲に記載の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正を加えることができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、このような変更及び変形が添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入る限り、記載した実施形態の変更及び変形を包含することが意図される。

Claims (15)

  1. 反応器システムでのフリーラジカル重合によってオレフィン系ポリマーを作製する方法であって、前記方法は、
    前記反応器システムでのオレフィン系モノマーのフリーラジカル重合を開始することと、
    前記オレフィン系モノマーのフリーラジカル重合の継続中に前記オレフィン系ポリマーの成長を伝播することと、
    前記オレフィン系ポリマーの成長を停止する連鎖移動剤を前記反応器システムに添加することと、を含み、
    前記連鎖移動剤は、式(1)のシランを含み、
    Figure 2023519664000025
    式中、
    、R、R、及びRは、独立して、水素原子、(C1~C40)ヒドロカルビル、-N(R、-Si(R、-OSi(R、-OR、及び-R-Si(Rから選択され、
    各Rは、独立して、水素原子及び(C1~C40)ヒドロカルビルから選択され、
    各Rは、(C1~C40)ヒドロカルビレンであり、
    任意選択で、R、R、R、及びRのうちの任意の2つ、又は同じ窒素原子に結合した任意の2つのR、若しくは同じケイ素原子に結合した任意の2つのRは、いかなる水素原子も除いて、環に3~50個の原子を有する環を形成するように結合されている、方法。
  2. 前記連鎖移動剤は、硫黄又はリンを含まない、請求項1に記載の方法。
  3. 式(1)の前記シランは、トリエチルシラン、ジエチルメチルシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、N-ブチルシラン、ジメチルフェニルシラン、フェニルシラン、クロロジメチルシラン、ジイソプロピルアミノシラン、1,2-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、及び1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 式(1)の前記シランは、トリメチルシラン、(トリメチルシリル)ジメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)メチルシラン、及びトリス(トリメチルシリル)シランからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 式(1)の前記シランは、トリス(トリメチルシリル)シランを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記反応器システムは、少なくとも1つの管状反応器、又は少なくとも1つのオートクレーブ反応器、又は少なくとも1つの管状反応器と少なくとも1つのオートクレーブ反応器との組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 式(1)の前記シランは、トリス(トリメチルシリル)シランを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記反応器システムは、少なくとも1つの管状反応器を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 式(1)の前記シランは、トリス(トリメチルシリル)シランを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記反応器システムは、前記オレフィン系重合体の成長を伝播する間、100MPa以上の圧力を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記(C1~C40)ヒドロカルビレンは、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、2-メチルプロパン-1,3-ジイル、フェニル-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、及びナフタレン-3,7-ジイルから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記(C1~C40)ヒドロカルビレンは、フェニル-1,4-ジイルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記フリーラジカル重合は、高圧過酸化物開始フリーラジカル重合である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記フリーラジカル重合を前記開始することは、過酸化物開始剤を前記反応器システムに添加することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記過酸化物開始剤は、ペルオキシピバル酸t-ブチル、ジ-t-ブチルペルオキシド、ペルオキシ酢酸t-ブチル、ペルオキシオクタン酸t-ブチル、及びペルオキシ-2-エチルヘキサン酸t-ブチル、並びにこれらの混合物から選択される、請求項14に記載の方法。

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