JP2023513820A - 相反転を用いて多孔質電極を製造する方法、およびそれから得られる装置 - Google Patents

相反転を用いて多孔質電極を製造する方法、およびそれから得られる装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023513820A
JP2023513820A JP2022549227A JP2022549227A JP2023513820A JP 2023513820 A JP2023513820 A JP 2023513820A JP 2022549227 A JP2022549227 A JP 2022549227A JP 2022549227 A JP2022549227 A JP 2022549227A JP 2023513820 A JP2023513820 A JP 2023513820A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
solvent
polymer solution
porous
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022549227A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021163690A5 (ja
Inventor
フォルナー-クエンカ アントニ
タイ-チー ワン チャールズ
リシャール ジャクモン レミー
リチャード ブルシェット フィカイル
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eindhoven Technical University
Original Assignee
Eindhoven Technical University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eindhoven Technical University filed Critical Eindhoven Technical University
Publication of JP2023513820A publication Critical patent/JP2023513820A/ja
Publication of JPWO2021163690A5 publication Critical patent/JPWO2021163690A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/96Carbon-based electrodes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/05Preparation or purification of carbon not covered by groups C01B32/15, C01B32/20, C01B32/25, C01B32/30
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/88Processes of manufacture
    • H01M4/8817Treatment of supports before application of the catalytic active composition
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/88Processes of manufacture
    • H01M4/8875Methods for shaping the electrode into free-standing bodies, like sheets, films or grids, e.g. moulding, hot-pressing, casting without support, extrusion without support
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/18Regenerative fuel cells, e.g. redox flow batteries or secondary fuel cells
    • H01M8/184Regeneration by electrochemical means
    • H01M8/188Regeneration by electrochemical means by recharging of redox couples containing fluids; Redox flow type batteries
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2004/00Particle morphology
    • C01P2004/01Particle morphology depicted by an image
    • C01P2004/03Particle morphology depicted by an image obtained by SEM
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2006/00Physical properties of inorganic compounds
    • C01P2006/40Electric properties
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

多孔質電極の形成方法が提供される。そのような多孔質電極、ひいてはその形成技術は、レドックスフロー電池と併せて有益な用途を有する。本方法は、製造プロセスの一部として相反転の使用を含む。例示的な一実施形態において、ポリマーブレンドキャスティングを行うと共にポリマー溶液を1つの溶媒に浸漬し、次いで、引き続き第2の溶媒に浸漬して相反転を誘導する。相反転により、ポリマー溶液からの2つのポリマーが分離し、一方のポリマーは、単体の多孔質ポリマーとして残り、他方のポリマーは、ポリマー溶液が配置されていた2つの溶媒と共に残る。所望の多孔質電極構成を形成するために、多孔質ポリマーに後処理を実施することができる。本発明の電極は、例えばレドックスフロー電池に使用できる。さまざまな配合技術およびレシピも、得られた多孔質電極の構成と共に提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月14日に出願された「Methods of Formulating Porous Electrodes Using Phase Inversion and Resulting Devices from the Same」と題する米国仮特許出願第62/976,601号、および2020年8月28日に出願された「Methods of Formulating Porous Electrodes Using Phase Inversion, and Resulting Devices from the Same」と題する米国仮特許出願第63/071,595号の優先権および利益を主張し、その全体を参照することにより、その内容を本明細書に援用するものとする。
政府の権利
本発明は、エネルギー省認可番号DE-AC02-06CH11357の政府支援を受けて行われた。政府は、本発明について一定の権利を有する。
分野
本開示は、多孔質電極を製造するための方法および技術に関し、より具体的には、製造における相反転技術の利用に関する。多孔質電極は、とりわけ、例えばレドックスフロー電池に使用することができる。得られた電極、電池、および他のシステムも本開示に包含される。
背景
電気化学的プロセスは、進化を遂げるグローバルな電力システムにおいて、中心的な役割を果たしていくものである。なぜなら、電気および化学エネルギーの効率的な相互変換により、送電網の脱炭素化を支え、自動車に電力を供給し、かつ持続可能な化学製造のための新たな機会を提供するクリーンな技術の展開が可能となるからである。エネルギー貯蔵および変換のための既存の電気化学的技術は、性能、コスト、および規模に関する厳しい要求を満たすことができないため、これらの新たな必要性を満たすためには抜本的な改革が必要である。
流れ場、電極、および膜を含む電気化学スタックにおける科学および工学の進歩は、幅広い技術範囲にわたって劇的なコスト削減をもたらすことが可能である。例えば、多孔質電極は、熱力学、動力学、および輸送に関連する電気化学セルにおいて、複数の、ときに重要な機能および/または役割を担う。これらの機能および/または役割によって、セルの性能および耐久性、ならびに実現可能な動作条件が決定され得る。電極は、電気化学反応のための表面(例えば、レドックス反応のための触媒サイト)を提供することができ、とりわけ、低液圧抵抗で均一な液体電解質分布を可能にし、圧縮下での良好な機械的特性を維持し(例えば、許容圧力降下を決定し、機械的圧縮を緩和し)、かつ電子および熱を伝導することができる。しかしながら、新たな用途を開発していくに当たり、多孔質電極および他の電気化学スタックの材料をシステマティックに設計および提供する方法に関する知識は限られている。その結果、入手可能ではあるが、これらの技術および用途に適合していない材料の強制的な転用が生じた。さらに、一般的に、経験的アプローチに基づき開発される現世代の材料は、表面化学(例えば、組成の不均一性)およびモルフォロジー(例えば、広い細孔径分布)の制御に欠けるので、性能、耐久性、および結果的にその材料から作られたシステムのコストが、根本的に制限される。
電極性能を最大化するためには、微細構造および表面化学を用途に特化したターゲットに合わせる能力が必須である。このことは、特にレドックスフロー電池(RFB)に関係する。レドックスフロー電池(RFB)において、可溶化されたレドックス活性種は、充放電中に反応器内の多孔質電極を強制的に通過させられる。その分離されたエネルギーと電力密度、スケーラビリティー、および再生可能エネルギーを送電網に組み込むことができる潜在能力の点において、RFBは長期のエネルギー貯蔵に適していると思われる。しかしながら、広範な採用に至るには、さらなるコスト削減を要する。電力出力の改善により、リアクタ、または電気化学スタック、コストを削減することは、経済的ギャップを埋めるための効果的な戦略である。残念ながら、市販の多孔質炭素材料は機能的である一方で、その特性プロファイルは、多くの既存および開発中のRFB系を支えるレドックス対(例えば、水性レドックス対)にとって最適とは言えない。調整可能な表面化学を伴う有利な微細構造の決定論的製造によって、さらに大きな設計空間を探求することができ、電極レベルのパフォーマンスデスクリプタのさらなる理解が可能となる。
今日の電気化学技術において使用される多孔質電極のほとんどは、装置の組立ておよび操作に関連する固有の特性(例えば、多孔性、体積比表面積、可撓性)を与える範囲のさまざまな方法により、コヒーレント構造に組み立てられたマイクロメトリック炭素繊維に基づいている。図1に示すように、従来の製造方法は、エネルギー集約型、材料集約型、および時間集約型であり、得られる電極の微細構造および表面化学に対する制御が限定的である。例えば、場合によっては、拡散媒体内の気孔率の勾配は、流れ分布(例えば、燃料電池におけるガス拡散層)を受動的に制御する手段として必要とされることがある。現在の方法では、単一材料とは逆に、さまざまな気孔率を有する複数の電極層を積層して電気化学セルを形成するので、複雑さおよびコストが増大する。
したがって、特にRFBのようなレドックス活性流体の対流に依存するシステムと組み合わせて使用される多孔質電極を改良し、そのような多孔質電極を大規模に製造し利用することに関連するコストやその他の複雑さを低減しつつ、既存技術と同等またはそれ以上のエネルギー貯蔵、変換、耐久性などの性能を可能にする必要がある。
概要
本開示は、ガス状または液状の反応物の対流(例えば、強制対流)に依存し、レドックスフロー電池(RFB)、低温燃料電池、および電解槽を含むが、これらに限定されない電気化学システムで使用するための多孔質炭素電極を製造する新しい方法の開発に関する。より具体的には、本開示は、とりわけRFBに適した一連の特性を有する多孔質電極の改良のためのタンデムアプローチを提供する。少なくとも1つの例において、合成設計パラメータにより細孔径、勾配、および構造が調整可能である相互接続された多孔質微細構造を備えた、高表面積炭素電極を製造するボトムアップ法が提供される。分光法、顕微鏡法、および物理化学的キャラクタリゼーションをセル性能に組み合わせることで、RFB用多孔質材料における構造と機能との関係を解明するための材料プラットフォームの実現可能性を実証する。
いくつかの実施形態では、非溶剤型誘導相分離(NIPS)を実施し、電気化学フロー技術を可能にするRFB電極としての使用に適した調整可能な多孔質構造体を合成することができる。そのような実施形態において、気孔形成ポリビニルピロリドン(PVP)に対する足場形成ポリアクリロニトリル(PAN)の相対濃度の変化は、顕著な微細構造および多孔性を有する電極をもたらす。2つの一般的なレドックス種(例えば、オールバナジウムおよびFe2+3+)を用いたフローセルの研究により、これらの電極が従来の炭素繊維電極よりも性能が優れていることが明らかにされ得る。
これらのアプローチの結果はRFBを対象としているが、当業者は、本明細書で提示される方法、含意、および技術が、高度に工学的な多孔質電極が有益である電気化学装置、および/または対流に依存する電気化学システム、例えば燃料電池へと、より広く拡張され得ることを認識するであろう。というのも、そのような装置、および/またはシステムでは、一方の側がより多孔質でもう一方の側はより高密度であるため、本技術において望まれるような勾配が提供されるからである。本技術を組み込むことができる他のさらなる例は、特にコーティングとの組み合わせた場合、電解質配合、液相および/または有機相合成用の電気化学セル化学反応器、水電解槽中の多孔質輸送層、CO2-電解槽中のガス拡散電極、液相電気化学変換反応器用の液体拡散電極、電気化学的プロセスによる分離(例えば、容量性脱イオン、イオン選択性電極)、および/または電解質を通る流れを伴う分子センサ/検出の用途を含むが、これらに限られない。
多孔質電極を製造する例示的な方法は、ポリマー溶液を第1の溶媒に曝露することと、次いでポリマー溶液を第2の溶媒に曝露すること、とを含む。ポリマー溶液は、第1のポリマー、および第2のポリマーを含む。第2の溶媒は、ポリマー溶液の第1のポリマーが、ポリマー溶液の第2のポリマー、第1の溶媒、および第2の溶媒のそれぞれから分離されるような相反転を誘導するのに有効である。第1のポリマーは多孔質であり、多孔質膜を形成する。本明細書で提示されるように、他の形態では、溶媒を使用することなく2つのポリマーを分離ことができる。
本方法はまた、多孔質膜に1つ以上の後処理作業を行うことを含んでもよい。非限定的な例を挙げれば、本方法は、多孔質膜の架橋、および/または多孔質膜の炭化もしくは多孔質膜の黒鉛化のうちの1つを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、多孔質膜を第2の溶媒から除去すること、多孔質膜を乾燥させること、多孔質膜を熱安定化すること、かつ多孔質膜を炭化または黒鉛化することを含み得る。後処理作業はまた、多孔質の第1のポリマーから、所望の電極構成を有する電極を形成することを含んでもよい。前記電極は、レドックスフロー電池に関連付けることができる。
この方法はまた、引き続きポリマー溶液を第2の溶媒に曝露する温度を調節することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー溶液の第1の溶媒への曝露は、第1の溶媒を含む第1の浴で行われ、次いでポリマー溶液の第2の溶媒への曝露は、第2の溶媒を含む第2の浴で行われる。そのようないくつかの実施形態において、本方法は、ロール・ツー・ロール処理システムを操作して、ポリマー溶液を第1の浴から第2の浴に移動させ、かつ第1のポリマーを第2の浴から別の場所に移動させることを含んでもよい。本方法が、多孔性の第1のポリマーを第2のポリマー、第1の溶媒、および第2の溶媒の各々から分離する際に、多孔性の第1のポリマーに対して1つ以上の後処理作業を実施することも含む場合、別の場所を、1つ以上の後処理作業のうちの少なくとも1つの後処理作業が実施される場所とすることができる。
ポリマー溶液の第1の溶媒への曝露は、ポリマー溶液と第1の溶媒との組合せをガラス型に注型することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1のポリマーは疎水性でもよく、第2のポリマーは親水性でもよく、第2の溶媒は水を含んでもよい。ポリマー溶液を第1の溶媒に曝露した結果、第1のポリマーおよび第2のポリマーのうちの少なくとも1つのスキン層が形成されることがあり、このスキン層は除去される。相反転後、第1のポリマーは、マクロボイドを実質的に有さないことがある。相反転後の第1のポリマーの細孔径は、ほぼ約0.5ナノメートルから約300マイクロメートルの範囲でよい。
この方法は、相反転で生じる第1のポリマーの細孔径の制御を含んでもよい。例えば、第1のポリマーの第1のセクションが1つの範囲の細孔径を有し、第1のポリマーの第2のセクションが第2の範囲の細孔径を有し、第1および第2の範囲の細孔径が異なる範囲を含むように、制御してもよい。第1のセクションおよび第2のセクションは、第1のポリマーの厚さに沿って、第1のポリマーの長さに沿って、または第1のポリマーの幅に沿って、互いに区別することができる。
ポリマー溶液の例示的な一実施形態は、疎水性を有する第1のポリマーおよび親水性を有する第2のポリマーを含む。第1および第2のポリマーは、第1の溶媒と混合することによってポリマー溶液を形成するように構成される。得られたポリマー溶液は、第2の溶媒により相反転を経て第1のポリマーと第2のポリマーとに分離されるように構成される。水を含む第2の溶媒により、相反転により第1のポリマーが、それぞれ第2のポリマー、第1の溶媒および第2の溶媒から分離され、第2のポリマーは、第1の溶媒および第2の溶媒のそれぞれと共に残存する。
本明細書においては、多くのさまざまなレシピが提供されるか、または本開示を考慮してそれらを導き出すことが可能であるが、いくつかの実施形態において、第1のポリマーは、ポリアクリロニトリルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、ポリビニルピロリドンを含んでもよい。非限定的な例として、第1のポリマーと第2のポリマーとの比は、約1:1であってもよい。いくつかのそのような実施形態では、第1のポリマーは1グラムのポリアクリロニトリルを含んでもよく、第2のポリマーは、1グラムのポリビニルピロリドンを含んでもよい。さらなる非限定的な例として、第1のポリマーと第2のポリマーとの比は、約3:4であってもよい。いくつかのそのような実施形態において、第1のポリマーは0.857グラムのポリアクリロニトリルを含んでもよく、第2のポリマーは、1.143グラムのポリビニルピロリドンを含んでもよい。さらに別の非限定的な例として、第1のポリマーと第2のポリマーとの比は、約2:3であってもよい。いくつかのそのような実施形態において、第1のポリマーは0.8グラムのポリアクリロニトリルを含むことができ、第2のポリマーは1.2グラムのポリビニルピロリドンを含んでもよい。ポリアクリロニトリルおよびポリビニルピロリドンの代わりに、またはそれに加えて、他のポリマーを使用してもよく、また他の比率および量で使用してもよい。いくつかの実施形態において、初期ポリマー溶液の全固形分を、第1の溶媒に対して、第1および第2のポリマーの約16重量%から約19重量%の範囲で変更することにより、細孔径分布を調整することができる。
多孔質膜形成キットは、本明細書の上記または他の箇所に提示されるようなポリマー溶液、第1の溶媒、および第2の溶媒を含んでもよい。第1の溶媒は、第1のポリマーおよび第2のポリマーと混合してポリマー溶液を形成するように構成してもよく、第2の溶媒は、相反転により第1のポリマーを第2のポリマーから分離するように構成してもよい。第2の溶媒は、水を含んでもよい。第1の溶媒は、ジメチルホルムアミドを含んでもよい。例えば、第1の溶媒は、10mLのジメチルホルムアミドを含んでもよい。
レドックスフロー電池を製造する例示的な実施形態は、第1のポリマーと第2のポリマーとを含むポリマー溶液を第1の溶媒に曝露すること、かつ前記ポリマー溶液を第2の溶媒に曝露し、第1のポリマーを、ポリマー溶液に含まれる第2のポリマー、第1の溶媒および第2の溶媒のそれぞれから分離することを含んでもよい。第1のポリマーから、多孔質電極が形成される。
本開示は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
「Powering up fuel cells from SGL Carbon GmbH of Meitingen, Germany」と題し、https://www.sglcarbon.com/pdf/SIGRACET-Whitepaper.pdfで入手可能な論文から再現された、ガス拡散層製造プロセスの一例を示す概略図である。 多孔質電極の製造方法論の例示的な一実施形態を示す概略図である。 (I)マクロボイド、(II)実質的に等しいサイズのボイド、例えばイソポーラスなボイド、および(III)気孔率勾配を有する多孔質電極における、さまざまな微細構造の拡大図である。 相分離を使用して平坦なシート状炭化材料を製造する方法の例示的な一実施形態の概略図である。 相分離した材料由来の多孔質電極のX線コンピュータ断層撮影からの1:1再構成3Dレンダリング、および前記材料のさまざまな平面における代表的な断面図である。 相分離した材料由来の多孔質電極のX線コンピュータ断層撮影からの3:4再構成3Dレンダリング、および前記材料のさまざまな平面における代表的な断面図である。 相分離した材料由来の多孔質電極のX線コンピュータ断層撮影からの2:3再構成3Dレンダリング、および前記材料のさまざまな平面における代表的な断面図である。 市販のSGL 29AA電極と比較した、図4Aから図4Cに示した電極の分極曲線を示すグラフである。 図2の製造方法論を利用するロール・ツー・ロール連続製造プロセスの例示的な一実施形態の概略図である。 多層材料を有する低温酸性燃料電池の例示的な一実施形態の概略側面図である。 相分離を有する低温酸性燃料電池の概略側面図である。 市販の織物電極(AvCarb 1071)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 市販のカーボンペーパー(SGL 29AA)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 PAN:PVP質量比2:3である電極の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図2に示される方法で製造された材料を単一の電解質フローセルに組み込むことによる放電分極曲線を示す図である。 図2に示される方法で製造された材料を単一の電解質フローセルに組み込むことを示す図である。 オールバナジウムフルセルに、図2に示される方法で調製した材料を組み込むことによる電力密度曲線を有する放電分極曲線からの電気化学インピーダンス分光法曲線を示す図である。 オールバナジウムフルセルに、図2に示される方法で製造された材料を組み込むことによる電気化学インピーダンス分光法曲線を示す図である。
詳細な説明
次に、本明細書に開示される方法およびその方法により得られる装置およびシステムの技術、構造、機能、製造および使用の原理の全体的な理解のために、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ以上の例が、添付の図面に示されている。当業者は、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示された方法、およびその方法により得られる装置およびシステムが、非限定的で例示的な実施形態であり、本開示の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示または説明された構成は、他の実施形態の構成と組み合わせてもよい。このような修正および変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。さらに、構成、側面、物体、または工程などに「第1」、「第2」、「第3」などと記載されている点において、このような数値順序は概して任意であり、したがってこのような番号付けは入れ替え可能である。さらに、本開示が、記載された方法およびシステムのRFBへの適用を記載している点において、そのような開示は、一般的に水性フロー電池に適用されるが、非水性フロー電池に適用してもよい。
本開示は、RFBで使用する多孔質電極を合成するために、相反転としても知られるポリマー相分離100のプロセスの使用を提示する。この技術の非限定的な一例を図2に示す。図示するように、ポリマーXおよびポリマーYの2つのポリマーを含むポリマーまたはポリマー溶液を、溶媒Aとして示される第1の溶媒に溶解させてもよい。この作業は、ポリマーを膜としてキャストすることができるので、ポリマーブレンドキャスティングと呼ばれることもある。いくつかの実施形態において、2つのポリマーのうちの一方が疎水性(例えば、ポリアクリロニトリル)であり、他方が親水性(例えば、ポリビニルピロリドン)であってもよい。溶媒Aの一例として、ジメチルホルムアミドを挙げることができる。ポリマー溶液を溶媒Aに浸漬した結果、ポリマー溶液のスキン層が除去される。スキン層を除去することにより、スキン層を残す場合と比較して、得られる膜の透過性が向上し、RFB用途と併せて使用する場合に物質輸送が向上し、得られる膜と併せて使用される細孔が増加することが見出された。実際には、これらの向上点のうちの少なくともいくつかにより、使用の際の資本コストおよび運用コストが改善される。これは、驚くべき結果であった。なぜなら、本開示以前では、ポリマーおよびポリマー溶液のスキン層はたいていの場合はそのまま保持されていたからである。少なくともいくつかの実施形態において、凝固浴、すなわち溶媒Bに浸漬する前に、キャストされたポリマー/ポリマー/溶媒配合物の上に半透膜を配置してもよい。これにより、膜への浸透を遅らせることができ、したがって微細構造制御のさらなるハンドルが与えられる。
さらに、いくつかの実施形態において、溶媒Aを含む溶媒浴は、マクロボイドの除去に役立ち、このこともまた、微細構造制御の達成するための鍵となる発見であり、また同時に驚くべき結果でもあった。これは、少なくとも、簡略かつ短い工程で、例えばポリマー溶液と接触する溶媒A(ポリマー+添加剤+溶媒A)がポリマー溶液に拡散してポリマー濃度を低下させるなど、いくつかの態様に基づいて電極の微細構造を調整することができることによる。これにより、最上層がシステマティックに除去され、膜最上面の細孔径を調整することができる。別の態様では、溶媒Bへの浸漬前にポリマー溶液に吸着された溶媒Aの薄い層を有することにより、ポリマー溶液への溶媒Aの流入およびポリマー溶液からの溶媒Bの流出を調節する緩衝層が形成される。これによっても、膜微細構造において、マクロボイドをシステマティックに除去することができる。少なくともこれら2つの態様の結果として、溶媒Aを用いたポリマー溶液の処理は、ポリマー濃度が低い試料においても、マクロボイドの形成およびスキン層の形成の双方を妨げることができる。低いポリマー濃度を有するこれらの試料は、同じ試料を溶媒Aで処理することなく溶媒Bに直接浸漬した場合に比べ、大幅に大きな細孔径/勾配を示すことができる。
また、ポリマーブレンドキャスティング工程により、プロセスの間、および得られる材料において、大きな(すなわち、既存の方法よりも大きな)柔軟性が付与される。例えば、本開示のポリマーブレンドキャスティングにより、混合組成物の形成における柔軟性が高まる。より具体的には、1つ以上の溶媒、ポリマー、および/または他の添加剤の構成を、ポリマーブレンドキャスティング工程を考慮して、より容易に調整することができる。
非限定的な例として、本開示は、ポリマーブレンドキャスティング工程において溶媒Aを利用するが、その代わりに溶媒の混合物を利用することもできる。あるいはトリガー、例えば温度に反応して相分離を受けるように構成されたポリマーブレンドキャスティング工程において、溶媒を利用する代わりにポリマーを利用することができる。溶媒を用いずに相分離を誘導する他の方法を用いることもできる。
さらなる例として、本開示のポリマーブレンドキャスティングは、キャスティング技術によって高められた柔軟性を提供する。本開示がナイフキャスティングを提示する点において、ポリマーブレンドを堆積させるために他の技術を使用することができる。例えば、より複雑な形状が望まれる場合、注入法と併せてマスクを使用することができる。所望のモールド形状および深さをパターン形成、形成、またはさもなければ、他の形式で成形する能力は、本開示が提示する向上した形状制御の点において、本開示により可能となる。得られる材料および/または電極の厚さを制御できることは、性能全体にとって特に有益であり得る。あるいはまたはさらに、2種以上のポリマーブレンドを互いの上にキャストして、多層材料を得ることができる。そのような例において、第1のポリマーブレンドは、第1のサイズ範囲の細孔を生じるようにブレンドし、かつ/または処理してもよく、第2のポリマーブレンドは、第2のサイズ範囲の細孔を生じるようにブレンドおよび/または処理してもよい。2つのサイズ範囲は異なる(すなわち、一方は他方よりも大きな細孔径を有する)。結果として、得られる材料および/または電極は、材料および/または電極の異なる部分にわたって異なる細孔径を有することができ、異なる部分は、材料および/または電極(すなわち、本明細書の他のいずれかの箇所に記載される第1のポリマー)の厚さに沿って区別される。他の実施形態において、異なる細孔径は、材料および/または電極(すなわち、本明細書の他のいずれかの箇所に記載される第1のポリマー)の長さに沿ってまたは材料および/または電極(すなわち、本明細書の他のいずれかの箇所に記載される第1のポリマー)の幅に沿って区別される部分に形成することができる。すでに記載したような異なる層または部分を有する多層材料を含む実施形態において、多層材料が異なる多孔度を有するように構成されて、層(または部分)にわたって勾配が生じる場合、異なる層(または部分)が異なる気孔率を有することを可能にしながら、複数の層を同時に処理することができる。このことは、異なる気孔率を達成するために各層(または部分)を別々に処理しなくてはならない場合よりも効率的であり得る。例えば、ナイフキャスティングを利用して、ブレンドされた材料をキャストする場合、異なる気孔率を依然として有しながら、異なる層(または部分)がほぼ同時にキャストされるように、ナイフを層(または部分)に同時に適用することができる。これは、燃料電池の形成を含むがこれに限定されない多くの状況において有利であり得る。
さらに別の例として、本開示のポリマーブレンドキャスティングでは、1つ以上の添加剤の容易な使用を可能にすることによって、柔軟性が高まる。電位添加剤の非限定的な例としては、炭化の後まで残存し得るポリマーブレンドに電極触媒材料(例えば、無機材料)を添加することを含む。添加剤はまた、溶媒A、溶媒Bのいずれか、および/またはポリマーブレンドを形成するために使用されるいずれかの材料に添加することもできる。例えば、直接的に表面官能化を行うために、添加剤を凝固浴、すなわち溶媒Bに添加することができる。
さらに、本開示を考慮して、同一膜および/または同一電極上などで、さまざまな細孔径を達成することができる。表面領域にわたって細孔径を変化させることが可能なため、従来は容易に達成できなかった利点が得られる。なぜなら、膜/電極/その他のさまざまな部分を、特定の利点および/または機能を提供するように配合することができるからである。例えば、制御された構造を有する大きな細孔、例えば、50μmより大きい細孔を得ることができる。本開示以前は、相反転膜の用途(例えば、水ろ過)の大部分は、目的の溶質(例えば、細菌、懸濁液中の固形物など)を保持することが可能なように、小さな細孔(例えば、サブミクロン単位の細孔)を必要とした。相対的にも絶対的にも大きな細孔の使用は、少なくとも透過性を高め、その結果、圧力が低下しポンピングコストが減少し、一方で、対流物質輸送を向上させるという理由により、本開示の文脈において有益である。しかしながら、小さな細孔は、当業者によって理解されるように、拡散距離の縮小による局所的物質移動の向上、およびより早い反応速度をもたらす大きな表面積などを含むがそれらに限定されない利点も有し得る。
いくつかの例においては、例えば勾配構造を可能にするために、マクロボイドを低減または排除することが望ましいが、一方で、他のいくつかの例においては、マクロボイドを有することが、例えばより大きな圧力低下をもたらすために役立つ場合がある。マクロボイドを含むのがよいのか、低減するのがよいのか、または排除するのがよいのかは、関連する化学物質および材料を含むがそれらに限定されないさまざまな要因に依存し得る。
キャスティング工程で得られた材料を、引き続き、溶媒Bとして示される第2の溶媒へと浸漬することができる。この作業は、ときに相反転と呼ばれる。溶媒Bは、2つのポリマーのうちの一方、すなわち、ポリマーXまたはポリマーYのいずれかを選択的に溶解し、他方のポリマーから構成される多孔質足場を残すように選択される。この相反転作業により、最終構造の信頼性がもう一段高まる。これにより、溶媒Bの性質を調整して、相反転の熱力学特性および/または動力学特性を変化させることが可能となる。例えば、凝固温度が重要な役割を果たす可能性があり、より高い温度では、たいてい大きな細孔が形成され、より多くのマクロボイドが形成される可能性が高まる。さらに、上記したように添加剤を含ませることにより相反転に影響を与え、かつポリマーの多孔質足場を機能化することもできる。
得られた足場102は、図2の第3画像に図示されており、ここで、ポリマーXは多孔質であり、ポリマーYは溶媒Aおよび溶媒B中に存在していた。すなわち、ポリマーYは溶媒Bに選択的に溶解するポリマーである。本明細書で提示されるプロセスの結果として、ポリマーXにおける細孔を従来の形成技術よりもさらに制御することができ、それにより、膜および/または電極の表面領域にわたって、さまざまなサイズの細孔を戦略的に形成することが可能となる。大きなサイズ差を計画的に設定することができ、これにより、得られる膜および/または電極上に特定の結果および特徴を存在させるように制御することが可能となる。この例では、従来の炭素繊維基板から、本開示によって提供される新しい構造に移行することによって、より良好な電極性能が得られた。本開示を考慮すると、高度に制御可能な細孔径を有する足場を得ることができる。
例えば、いくつかの実施形態において、多孔質ポリマーの細孔径は、おおよそ約0.5ナノメートルから約100マイクロメートルの範囲にあり、マクロボイドはさらに大きく、例えば約200マイクロメートル以上である。マクロボイドは、おおよそ約50マイクロメートルから約300マイクロメートル、約50マイクロメートルから約400マイクロメートル、約50マイクロメートルから約700マイクロメートル、および/または約50マイクロメートルから約1ミリメートルの範囲のフィンガー状構造を含む場合がある。さらに、いくつかの実施形態において、細孔径は、マイクロボイドまたはマイクロ孔と称されることもあるより小さい孔を含んでもよく、これはとりわけ、RFB用途に望ましいと考えられる電極内の高表面積領域の提供を助けることができる。ここでも、これらのサイズを制御できることが、特に本開示の利点であり、上記を超えるサイズ範囲にわたる細孔径さえをも達成することができるためである。現存する市販材料は、概して、厚さ方向(すなわち、当業者によって理解される「貫平面」)にわたる細孔径分布を制御することはできないが、これは本開示によって可能となる。さらに、本開示は、約40の勾配係数を特徴とする電極に至るまで、ほぼ単峰性の細孔径分布を特徴とする材料を製造する能力を示した。ここで、勾配係数は、最大細孔と最小細孔との比(それぞれ最下層および最上層)である。さらに、いくつかの実施形態では、本開示により、二峰性および三峰性の細孔径分布を得ることができる。「マイクロ孔」は、おおよそ約0.1μmから約10μmの範囲の細孔を含むことが理解されるであろう。本明細書で使用される「マイクロ孔」という用語は、国際純粋応用化学連合(IUPAC)による公式な定義とは異なり、マイクロ孔を、典型的には0.2nm未満の等価直径を有する孔と限定する。
細孔径は、さまざまな方法で制御することができる。例えば、ポリマーブレンド上の溶媒を置き換えることによって制御することができる。さらなる例として、ポリマー(例えば、本明細書で提示されるポリマーXおよび/またはPVP)の分子量を変更することによって制御することができる。あるいはまたはこれに加えて、温度調整により、細孔径を調節することもできる。溶媒の置換、ポリマーの分子量変更、および温度調整のそれぞれについては、以下でより詳細に論じる。残りのパラメータを維持しながらこれらのうちの1つ以上のパラメータを変更することにより、製造された電極の細孔径分布(PSD)、多孔率、または電気化学的にアクセス可能な表面積(ECSA)のうちの1つ以上を制御できることが理解されるであろう。
いくつかの実施形態において、勾配は、例えば温度工程、および/またはさまざまなプレウェッティング工程によって調節することも可能である。さらに、スキン層の除去、保持、またはモルフォロジーは、プレソルベント浴、すなわち溶媒A、および/またはキャストされたポリマーと接触している蒸気雰囲気(すなわち、相対湿度)を調整することによって制御することができる。得られた足場102は、引き続き1つ以上の後処理にかけることも可能である。これらの処理は、例として、熱処理を含むことができる。非限定的に例示される熱処理としては、ポリマーを架橋し、かつ/または炭化/熱分解して、炭素質の多孔質電極を形成することが挙げられる。他の処理としては、周囲雰囲気の一部としての窒素、酸素、オゾン、アルゴン、ヘリウム、炭素などの使用が挙げられる。本開示と併せて利用することができる合成方法論は、以下でさらに説明するように柔軟に適用し得る。
提示された方法論の少なくともいくつかの主要な利点には、(1)最終的な電極の微細構造を調整するための複数の合成のためのハンドル、(2)異なる特性を有する幅広いポリマー前駆体パレット、(3)既存の大規模製造インフラへの適合性、および/または(4)最終製品に好ましい特性を付与するために、添加剤(例えば、電極触媒、反応物)をポリマーブレンドへ導入する機会、が含まれる。本明細書において提示される方法は、とりわけ、ポリマーおよび溶媒の選択、相分離温度、沈殿浴、添加剤の使用、および/または最終的な熱処理を含むがこれらに限定されない一連の所望の特性を得るために利用できる多自由度を有し得るか、さもなければ本開示から導き出すことができる。
当業者であれば、相分離プロセスを開始する方法がさらに存在することを認識するであろう。このような相分離プロセスのいくつかの非限定的な例としては、重合誘起相分離、温度誘起相分離、非溶媒誘起相分離、または蒸気誘起相分離が含まれる。上記の相分離プロセスの1つ以上を単独で、または組み合わせて実行し、実施可能な電極を形成できることが理解されるであろう。当業者であれば、本開示を考慮して、記載された方法およびシステムと、これらの非限定的な例(例えば、重合誘起相分離、温度誘起相分離、非溶媒誘起相分離、または蒸気誘起相分離)の1つ以上とを結びつけて相分離プロセスを開始することができるであろう。本開示によって提示される非溶媒を利用する相分離の例としては、以下でさらに説明するように、材料を非溶媒に浸漬して沈殿を開始することを含む非溶媒誘起相分離(NIPS)を含む。浸漬、相分離された材料の乾燥、および/または熱安定化および炭化工程がNIPSにおいて使用される点において、多孔性電極の製造方法の一般的な要素の詳細な説明は、図2に関する上記の考察を考慮して、簡略化のために省略する。
図3Aおよび図3Bは、NIPSを用いてRFB電極を製造する例示的な実施形態を示す。これは、現在の繊維材料では得られないが、容易に調整可能なパラメータのシステマティックな変更によって得ることができる固有の特性プロファイルを有し、長い範囲にわたり相互接続された微細構造を有する非繊維細孔材料、例えば多孔質電極の製造を可能にする。相互接続された多孔質網目構造は、勾配気孔率を有する電極を得るための機会を提供し、勾配気孔率を有する電極は、送電網および間欠的な再生可能エネルギー源に接続可能であり、かつスーパーキャパシタ用途、および電気感知用途のための電極として使用可能である。このようなNIPS電極の比較は、運動系および物質輸送の過電圧が低下するため、標準的なSGL 29AA電極を凌駕することができ、NIPS電極を用いた高出力稼働に大きな期待が持てることを示唆している。
NIPS電極に含まれる微細構造のいくつかの例示的な実施形態を、図3Aに示す。(I)に示すように、多孔質電極の微細構造は、電極に散在する1つ以上のマクロボイド110を含み得る。マクロボイド110は、約100μm超の非球形空隙の領域を含んでもよく、これらの領域は、より小さいボイドを有する多孔質網目構造と相互接続され、白抜きの状態になっている。より小さい細孔径を有する残りの細孔112は、ミクロ孔を含んでもよく、または電極の残りの全領域にわたって実質的にイソポーラスであってもよい。上述のように、多孔質電極の微細構造中にマクロボイドを有することは、圧力損失を低下させるのに役立つ場合がある一方で、いくつかの実施形態では、より均一な多孔質、例えば、イソポーラスである代わりに、または全体にわたって気孔率勾配を有する代わりに、マクロボイドの排除が望まれる。これらの微細構造を、(II)および(III)に示す。いくつかの実施形態では、細孔径の変化は電極の厚さにわたり生じ得るが、その際、電極内における輸送現象にとって有益なように、膜に近づくにつれ、より小さい細孔(つまりより大きな表面積)となる。
複雑な細孔プロファイルを有する電極が、いくつかの異なる繊維製造プロセスの代わりに、NIPSによる単一の製造プロセスで得られることが理解されるであろう。例えば、NIPSは、強制対流を有する電気化学系に適した多孔質電極を合成するために使用することができる。
図3Bは、幾何学的に均一な電極などの平坦なシート状炭化材料を得るために使用される、NIPSを用いた相分離プロセスを示す。図示されるように、ポリアクリロニトリル(PAN)と細孔形成ポリビニルピロリドン(PVP)との粘性混合物を溶媒に溶解させることができる。いくつかの非限定的な溶媒の例としては、とりわけ、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、PolarClean(R)(メチル-5-(ジメチルアミノ)-2-メチル-5-オキソペンタン酸、N,Nジメチルアセトアミド、TEP(トリエチルホスフェート)、およびテトラヒドロフラン(THF)を挙げることができる。混合物は、加熱後に完全に混合され、ガラスモールドにキャストしてもよい。キャストされた混合物は、その後、非溶媒、例えば、水浴(1)に浸漬してもよく、これにより溶媒/非溶媒交換を通じてポリマーが豊富な領域とポリマーが希薄な領域とへの相分離が開始される。浸漬および溶媒/非溶媒交換の間、水溶性PVPは溶液中に浸出し、不溶性の多孔質PAN足場が残される。次いで、相分離した材料を乾燥させ(2)、(例えば、以下の実験の項で説明するように)熱安定化および炭化を経て、多孔質電極を形成することができる。
プロセスにおいて1つ以上のパラメータを変更することで、得られる多孔質電極の多孔性に影響を及ぼし得ることが理解されるであろう。例えば、上述のNIPSプロセスを用いることにより、さまざまな微細構造を有する多孔質電極を製造することができる。図3Aに示すマクロボイド含有電極、イソポーラス電極、および/または勾配多孔質電極は、ポリマー濃度、浴温度、および溶液粘度を含む容易にアクセス可能なパラメータの範囲を変更することにより製造することができる。
本開示では、多孔質電極(例えば、RFB電極)の製造に使用することができるさまざまなレシピを考察するが、非限定的な効果的レシピの1つは、以下の通りである:
ポリマーを溶融させるために、合計で約2グラムのポリマーを、約10mLのジメチルホルムアミド(DMF)中で、ポリアクリロニトリル(PAN)、およびポリビニルピロリドン(PVP)と、両者の比を変えて混合した。以下の3つの比を、ポリマー溶融物のレシピに使用した:
~1:1- ~PAN 1グラム、~PVP 1グラム、~DMF 10mL;
~3:4- ~PAN 0.857グラム、~PVP 1.143グラム、~DMF 10mL;および
~2:3- ~PAN 0.8グラム、~PVP 1.2グラム、~DMF 10mL。
ポリマーを攪拌して混合した後、得られたブレンドを、得られる膜寸法を調整するために制御可能な長さ、幅、および厚さを有する長方形または正方形のガラス型へキャストできる。キャスティング後、ガラス型および膜を高含水浴に下げ、疎水性(PAN)と親水性(PVP)との相分離を促し、それにより自立膜構造を形成することができる。膜を、約10時間(当業者であれば、時間はこれよりも長くても短くてもよいことを、例えば、少なくとも約1時間、または少なくとも約15時間でもよいことを認識するであろう)浸し、その後取り出し、真空下で約80℃で乾燥し、約2℃/分の昇温速度および(加圧して反りを防ぐために)約90グラムの重りを用いて、約270℃の空気中で約1時間熱安定化し、次に、窒素雰囲気中で約90グラムの重りを用いて(1)約5℃/分の昇温速度で、約850℃で約40分間、かつ(2)約5℃/分の昇温速度で、約1050℃で、約40分間炭化させた。
上記のレシピに関連し、本開示を考慮して、明確な三次元形態を有する材料が得られるさらなる派生レシピが作成されており、かつ作成可能である。例えば、多孔質構造に存在するマクロボイドを低減、または排除さえすることができ、本明細書においては実質的にマクロボイドを有さないとも言及され、水性ポリマー膜の界面に形成される高密度な「スキン」層の存在および厚みは制御可能で、広範囲にわたる細孔径(例えば、~0.5ナノメートルから~100マイクロメートル、ただし、いくつかの実施形態では、細孔径は、約400マイクロメートル、約700マイクロメートル、および/または約1ミリメートルにまで及ぶことがある)は調整可能で、電極の厚さにわたって気孔率勾配を付与することができる。いくつかの実施形態において、マクロボイドを実質的に含まない多孔質構造とは、マクロボイドにより覆われた多孔質構造が表面積の1%以下で存在することを意味する。少なくとも本開示に関して、マクロボイドは、明確で不連続な空間であると考えられ、この空間は視覚的に明らかであり、より具体的には、構造内の同じ表面積にわたる平均細孔径と比較して、断面長さにおいて相対的に大きい(例えば、5倍以上)。本明細書に記載されるように、ポリマーYに対するとポリマーXの比の調整、溶媒Aへの材料の前浸漬、および/または溶媒Bに関連する浴に関連する混合凝固浴は全て、マクロボイドを低減、最小化、または全てまとめて除去することができる方法である。
さらに、上記のレシピは、決して限定されるものではない。示される値および材料は、本開示の利益を達成するために使用することができる値および材料のいくつかの代表的な例に過ぎない。NIPSキャスティング溶液中の、PVPに対する足場形成PANの比率を変化させることで、関連するが異なる一連の特性を有し、その結果として電気化学性能を有する材料群を生成することができる。他の比率、量、および材料を使用して、ポリマーブレンドおよび溶媒を形成することもできる。非限定的な例として、第2の溶媒は、高含水浴として上記に記載されている。いくつかの例において、高含水浴は100%水であってよいが、他の例においては、100%未満(例えば、70%以上)であってもよく、それでもなお高含水である。さらに、上記のように、添加剤との併用を含め、水の代わりに他の非溶媒を使用することもできる。さらなる非限定的な例として、上記のレシピは、膜を第2の溶媒に10時間浸漬することを提示し、少なくとも約1時間、少なくとも約15時間の選択肢も提示するが、これらの時間は、多くの場合、さらに短く、秒または分単位でもよい。第2の溶媒に浸すのに必要な時間量は、少なくとも部分的に、溶媒の厚さ、粘度、および/もしくは化学組成、ならびに/または膜の厚さおよび/もしくは化学組成によって影響を受ける可能性がある。そのような一例として、以下に記載するロール・ツー・ロール・プロセス技術を挙げることができる。ロール・ツー・ロール・プロセス技術では、製造プロセスにおいて、第2の溶媒へのブレンドの曝露は数秒間であってよい。ロール・ツー・ロール・プロセスを稼働させ続けることは、実施可能でスケールアップされた加工方法を得るために重要であり得るので、相反転を迅速に行うことで、処理の滞りを回避することができる。さらに別の非限定的な例として、上記のレシピは、約80℃の真空中で乾燥を行うことを提示するが、本開示の精神から逸脱しなければ、真空でなくとも、かつ/または80℃超もしくは未満の他の温度で乾燥を行う別の乾燥技術も利用することができる。例えば、どのような形態で膜に圧力が加えられても、同じ最終結果を得るためには十分である。
図4Aから図4Cは、PVPに対するPANの比率を変化させた試料から多孔質電極を製造する上記レシピの例示的な実施態様を示す。PVPに対するPANの比率は、簡略化のために、PSP-1:1、PSP-3:4、およびPSP-2:3と記載する。PSPは、相分離された材料を示し、比は、質量によるPAN:PVPの相対量である。各PSP電極の断面を比較すると、PSP-3:4の実施形態が、いずれも実質的に類似の構造を有するPSP-1:1およびPSP-2:3の実施形態に比べより多くの配向されたマクロボイドを含むことが示されている。さらに、PVPの含有量をPANよりも増加させると、全体的な気孔率が上昇する。実際に、定量化可能な物性、例えば、気孔率、PSDは、使用するPANとPVPとの比次第で向上させることができる。
図5は、推定線速度を5cm s-1として、図4Aから図4Cの相分離した電極サンプルに所定の過電圧を印加した場合の電流出力を、SGL29 AA新品電極と比較して示す。合成された電極の平均厚さは、約670±56μmであったが、それとは異なる厚さであってもよい。図示されるように、1:1のPSP電極(I)は、3:4のPSP電極(II)および2:3のPSP電極(II)と比較してより低い分極損失を示した。さらに、全てのPSP電極は、PAN:PVP比に関係なく、単一電解質塩化鉄フローセル(2M HCl水性支持電解質中でFe2+/Fe3+ 50%充電状態)中のSGL 29AA電極(IV)と比較して著しく低い分極損失を示した。
多孔質電極を製造するための相分離プロセスの汎用性は、RFB中の製造された電極の微細構造/インサイチュー性能のキャラクタリゼーションによって評価することができる。例えば、キャスト溶媒を交換することにより、合成された多孔質電極の細孔径分布(PSD)および/または電気化学的にアクセス可能な表面積(ECSA)を微調整することができる。向上した性能を示すキャスト溶媒のいくつかの非限定的な例としては、とりわけジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)を挙げることができる。例えばDMSOの場合、この最上層の形成はシステマティックで、キャストポリマーを凝固浴に浸す前の静置時間をより長くしても、抑制することができなかった。NMPの場合、静置時間を約10分から約20分まで延長すると、最上層形成の抑制、およびDMFでキャストされた電極と比較して同様の性能を得るのに役立つことが判明した。異なる溶媒の混合物を使用することで、たとえ相分離プロセスが複雑化したとしても、電極微細構造の制御をより高めることができることを、当業者は認識するであろう。
いくつかの実施形態において、高密度な最上層が形成されるために、溶剤が多孔質電極の最終性能に悪影響を及ぼすことがある。例えば、高密度な最上層が形成されると、電極を介したイオンの動きが減少することがあり、これにより電力密度が影響を受けるため、電極の性能にとって有害である場合がある。
また、PSDは、初期ポリマー溶液の全固形分を変えていくことで微調整が可能である。固形分のPSD調整が、約16%から約19%(PAN+PVPの重量/溶媒の重量)の範囲の内容物について観察されたが、PANおよびPVPの相対的な固形分をより広い範囲で変化させて、細孔径分布をさらに変化させることが可能であることが理解されるであろう。気孔率およびPSDはそれぞれ、相対的な固形分の変化から影響を受けやすく、したがって、固形分を変更することによって調整することができる。
さらに、いくつかの実施形態において、凝固浴温度の変化は、PSDに最小限の影響しか与えない傾向があるのに対し、得られる多孔質電極のECSAにおいては、より大きな影響がみられる。例えば、約5℃から約40℃の範囲の凝固浴温度の場合、約40℃の試料のECSAは、約5℃および約21℃の浴のECSAよりも大きかったが、PSDは比較的安定したままであったことが見出された。例えば、約40℃の浴では、DMFからキャストされたその他の全ての電極と比較して、ECSAが5倍に増加しており、これらは全て、約0.6から0.8m-1であった。
大量生産のスケールアップ
上記で提示された合成方法論は、例えばロール・ツー・ロール・プロセス技術による大量生産にも適合する。図6は、ロール・ツー・ロール・プロセス技術に従った本方法論の適用の非限定的な一例を示す。
図6に示すように、図2に示すのと同等のポリマーブレンドキャスティングは、ポリマー溶液(2)を混合(1)し、次いで、例えば、ドクターブレードまたはナイフ(3)を使用して、混合された溶液をキャストし、得られる注型品を実質的に平らにすることによって実施される。ポリマー溶液(2)の製造には、多数のさまざまなポリマーを使用することができ、上述の溶液および本明細書に開示される、または本開示によって可能となる他の派生品を含むが、これらに限定されない。同様に、ポリマーまたはポリマー溶液を混合またはブレンドするために多くのさまざまな技術を使用することができ、したがって、ミキサーまたは混合の作業を参照することは、決して限定されるものではない。2つのポリマーを互いに会合、混合などさせるために知られている他の技術を利用することができる。同様に、混合ポリマー溶液をキャストするために多くのさまざまな技術を使用することができ、したがって、キャストするためにナイフまたはブレードの使用を参照することは、決して限定されるものではない。非限定的な例として、混合ポリマー溶液をキャストするためにナイフまたはブレードを使用することに代えて、または加えて、噴霧により混合ポリマー溶液をキャストすることができる。
図6に示す流体浴(4)は、図2の相反転部分と同等である。図示のように、キャストされた混合溶液は、ロールを用いて浴に送達される。本開示を見た当業者は、図6に示すようなロール・ツー・ロール・プロセス技術がどのように稼働するのか理解するであろうから、その詳細な説明は不要である。図示するように、キャストされた材料を、キャスト工程から相反転浴へ、次いで、さまざまな後処理ステーションへと移動させるために使用される少なくとも4つのロールまたはプーリが存在する。より少ない、またはより多くのロールが使用可能で、ロールに関する多くのさまざまな構成が可能である。本開示を見た当業者は、製造される膜および/または電極の全体に影響を及ぼすように調整される、さまざまな要素を理解するであろう。これらの多くの要素は上記されているが、さらなる非限定的な例として、電極が相分離している流体浴の高さを制御することにより、例えば、得られる膜および/または電極の厚さに影響を与えることが可能である。さらに別の非限定的な例として、プロセスに関連する静水圧も、結果に影響を及ぼすことがある。図2および図6において示される相反転処理を、当業者に公知の、かつ/または本明細書において示される他の追加の後処理またはコーティング工程と組み合わせることができる。これらの後処理またはコーティング工程は、とりわけポリマー・コーティングの塗布および電気触媒の噴霧を含むが、それらに限定されない。
流体浴(4)から、図2の第3画像に示すポリマーXのような多孔性ポリマーが現れる。図2と同様に、1つ以上の後処理作業を、多孔質ポリマーに対して行うことができる。図6に示される実施形態では、架橋(5)、炭化(6)および切断(7)の3つの後処理作業が存在し、より少ない、またはより多い後処理可能を実施することができ、架橋、炭化、および切断以外の作業を含むことがある。図示するように、架橋は空気中で実施可能で、空気は、チャンバ、浴、または多孔質ポリマーが移動する他の領域の空気である。いくつかの実施形態では、空気は、おおよそ約230℃から約330℃の範囲、例えば約270℃であってよいが、他の温度も可能である。温度変化は、得られる膜および/または電極の機械的特性に影響を及ぼすことがある。典型的には、この温度は、以下でさらに説明する炭化などの、実行可能ないくつかの他の後処理工程が行われる温度よりも低い。このような後処理架橋プロセスのために可能な温度のおおよその範囲は、約650℃から約3000℃であり得る。架橋の結果、ポリマー足場の機械的特性を改善することができる。ここでは特に、「得られる膜および/または電極」の参照がポリマー足場についての参照として、互換的に使用される。
図示された第2の後処理作業の例としては、炭化が挙げられる。または、後処理作業の例として、黒鉛化が挙げられる。黒鉛化は典型的には炭化よりもさらに高い温度、例えば約2000℃を超える温度で起こり、これにより、炭素含有量が閾値を超え(例えば、とりわけ約95%超、約97.5%超、または約99.5%超)、構造が黒鉛化する。示されるように、炭化または黒鉛化は、チャンバ、浴、または多孔質ポリマーが移動する他の領域内に存在するNまたはArなどの不活性雰囲気中で起こり得る。他方で、熱安定化および/または架橋は、典型的には空気中で起こる。いくつかの実施形態では、炭化が起こり得る温度は、おおよそ約650℃~約2000℃の範囲であってよく、黒鉛化が起こる温度は、約2000℃よりも高い。炭化または黒鉛化の結果、多孔質材料は電子、および熱を伝導することができる。
図示された第3の後処理作業の例としては、切断が挙げられる。切断は、他の後処理の前または後に行うことができるが、図示の実施形態では、切断は最終的な後処理作業である。切断により、多孔質ポリマーを所望の形状および/またはサイズにすることができ、このような形状およびサイズは、得られた多孔質ポリマーが一緒に使用される他の部品の構成に、少なくとも部分的に依存する。当業者は、ポリマーロールから所望の量および形状の多孔質ポリマーを切断するための多くのさまざまな技術を認識するであろう。本開示は、使用者が、サイズ、形状、および材料を、電極に使用するために選択的に設計することを可能にし、よって使用者が、所望の使用のために理想的な電極を選択的に設計することを可能にする。これは、本明細書で提供される他の調整可能な特徴の中でも、特に、例えば、キャスティング用金型のサイズ、および/または炭化/黒鉛化中の圧縮によって、得られる膜および/または電極の厚さを調整できるためである。
本開示によって提示される大量生産は、図1に示される方法のような既存の製造方法に比べて、主要な製造および潜在的なコスト上の利点を提供する。例えば、本開示は、炭素繊維製造工程(例えば、紡糸、サイジング、細断、分散、抄紙の5つの工程)を除くことによるプロセス工程の削減を提示する。これらの工程は、キャスト(例えば、基板上へのポリマー溶液のドクターブレード堆積)、および相分離のための沈殿溶液中へのポリマー溶液の浸漬によって置き換えられる。図示された熱工程は、図1に記載されたプロセスに共通する従来の炭化工程であってもよいが、本製造方法によりもたらされる例示された性能により、より低温で電極を製造することができる。これらの性能結果を以下でより詳細に検討する。
図7Aおよび図7Bは、上述の方法論を利用する燃料電池200の例示的な実施形態を示す。例えば、図7Aは、プロトン交換膜202、触媒層204、マイクロ孔質層(MPL)206、およびガス拡散層(GDL)208を含む低温酸性燃料電池200の反応器構成要素を示す。GDL208は、典型的には、疎水性を高めるためにフッ素化ポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングされた炭素繊維基材で構成されている。触媒層204、マイクロ孔質層206、およびガス拡散層208は全て、ガス状反応物を混相(気体および気体および液体)である生成物に相互変換することを可能にする、燃料電池200のための電極を含む。図示されるように、電位210をGDLに印加することができ、これにより燃料電池200のアノードの酸化とカソードの還元とを引き起こすことができる。例えば、放電の際、アノードで水素を酸化させてプロトンおよび電子を放出することができ、プロトンおよび電子はカソードで酸素と反応して水を形成する。
図7Bは、プロトン交換膜202および触媒層204の反対側に形成された相分離電極材料212を有する燃料電池200を示す。当業者は、現在の燃料電池輸送層が、それらの特定の役割に非常に特化されており、細孔径、形態および触媒組成の範囲を示すことを認識するであろう。これらの多孔質拡散電極の設計は、装置の性能に影響を及ぼし得る。なぜなら、拡散電極は、触媒部位への反応ガスの輸送、電気化学的に生成された水の除去、電子および熱の伝導、および/または積層体の機械的圧縮の吸収など、いくつかの機能性を満たすからである。
相分離された電極材料212が有する異方性および位置依存性の微細構造特徴は、多層配置の必要性を排除することができる。これは、高密度層を膜の方に向け、多孔質層を流れ場の方に向けることによって達成することができる。触媒層204を膜202と電極との間に導入することにより、反応を起こすことができる。支持体として機能し得る相分離電極212の高密度領域上に、触媒層204を堆積させることにより、燃料電池200において使用されるこの電極の製造が可能となる場合がある。燃料電池200の構成要素数削減は、製造、生産コスト削減に役立ち、燃料電池の構成要素の向きは、本実施形態の低温酸性燃料電池200に代えて、またはこれに加えて、室温の燃料電池の必要性に合わせて調整できることが理解されよう。
実施例の性能の結果
RFB用の多孔質電極の開発との関係において、調製した材料を、その微細構造特性および性能指標を明らかにするために、顕微鏡および電気化学的手法で特性決定した。流動下で容量測定により得られる電気化学活性表面積について、参照SGL 29AA電極では約0.2m-1であるのに対して、新規材料では、約3m-1とすることができる。本実施例では、いずれの試料に対しても、例えば、空気中での熱処理または粗さを増やすために表面をエッチングすることによって表面積を増加させる処理はしなかった。
調製した材料(2:3-PAN:PVP-比)を、2つのレドックス化学物質、すなわち、図8に示すような単一電解質フローセル内の塩化鉄酸化還元対と、図9Aおよび図9Bに示すようなオールバナジウムフルセルで試験した。図8Dおよび図8Eにおいて示される分極およびインピーダンス曲線は、参照市販材料と比較して、著しい性能向上(すなわち、より低い過電圧で同じ電流密度を達成)を示す。より具体的には、図8Aから図8Cに関して、市販の織物電極(AvCarb 1071)、市販のカーボンペーパー(SGL 29AA)、およびPAN:PVPの質量比が2:3である、上記の技術で製造された電極の3つの電極の性能を比較する。走査型電子顕微鏡写真をまず示す。2M HCl水性支持電解質中で0.5M Fe2+/3+(50%充電状態)に基づく単一電解質フローセル、鉄試験に使用できるDaramic 175などの膜/セパレータ、5 cm s-1の電解質速度、およびフロースルー流れ場を使用して、3つの電極を、それらのフローセルにおける電気化学性能に基づいて比較する。電流-電圧曲線(左下)および電気化学インピーダンス分光法(右下)は、記載された技術で製造された電極が、電流-電圧曲線における最も低い勾配およびナイキスト線図におけるより低い抵抗によって示されるように、市販の材料よりも大幅に優れていることを示す。これらの違いは、少なくとも部分的には、運動量的および物質輸送の過電圧が減少し、その結果、RFB全体の効率が向上することによってもたらされると考えられる。
図9Aおよび9Bに関して、2つの材料、すなわち、市販のSGL 29AA紙と本開示を参照して調製した電極とを、2.6M HSO水性支持電解質中の1.5M V(約50%充電状態)オールバナジウムフルセル、Nafion 212膜、10cm s-1の電解質速度、フロースルー流れ場を使用して、比較する。例えば、燃料電池、電解槽および/またはレドックスフロー電池などの別の実施形態では、インターデジタル流れ場、サーペンタイン流れ場、パラレル流れ場および/またはフロースルー流れ場などの流れ場設計を使用してもよい。新しい電極材料は、市販の電極よりも性能が優れており、より低い物質移動および運動量損失を特徴としているため、全体的な電圧効率が向上する。言い換えれば、反応器の電力密度を高めることは、よりコンパクトな反応器をもたらし、結果として、材料コストの削減、または同じ反応器サイズでより大きな出力をもたらすことができる。図8Aから図8E、ならびに図9Aおよび図9Bに示されている試料は、受け取ったまま試験されたため、いかなる後処理も施されていない。
特に、合成された材料は、約1050℃の炭化温度で調製されたが、従来技術の材料を調整するための温度である約1800℃、またはさらに高い温度、例えば約2500℃よりも大幅に低い。これにより、電気化学性能向上のための高温プロセスを制御する能力が得られ、熱プロセス工程が製造コストに最も大きく寄与する可能性があるために有益であり得る。Minke et al, Journal of Power Sources, Volume 342, February 28, 2017年, p. 116-124の“Carbon felt and carbon fiber - A techno-economic assessment of fellow electrodes for redox flow battery applications”を参照。
NIPS製造による多孔質電極の合成
多孔質電極を合成する別の実施形態において、図3Aおよび図3Bで説明されるNIPS製造による多孔質電極のための膜の形成は、浸漬した際にPVPおよびDMFを凝固浴中に溶解させて多孔質PAN骨格を残すことを含み得る。その後のポリマー膜の熱安定化および炭化によって、所望の導電性電極を得ることができる。これら別の実施形態において、例えば、以下の量のPANおよびPVPを10mLのDMFに混合することによって試料を作製することができる:1gのPAN対1gのPVP(質量比で1:1のPAN:PVP)、0.857gのPAN対1.143gのPVP(質量比で3:4のPAN:PVP)、または0.8gのPAN対1.2gのPVP(質量比で3:4のPAN:PVP)。粉末および溶媒は、70℃の油浴で加熱した後、引き続き完全に混合することができる。いくつかの実施形態において、1.1mmの深さを有する5×7cmの切欠きを使用して、混合ポリマー溶液をキャストするための自前のガラス型を18×18cmのガラス板上に作ることができる。室温まで冷却すれば、ポリマー溶液を切欠き内に注ぐことができ、ドクターブレードのエッジを使用して、溶液をガラス切欠き内に均一にキャストすることができる。室温で10分後、キャストされた溶液を、水浴(水面高さは、キャストされた溶液から6cm上)に注意深く浸漬することができる。ポリマー足場は、室温で一晩相分離させた後、脱イオン(DI)水(Milli-Q Millipore、18.2MΩcm)浴に移し、70℃で一晩放置して多孔質構造体内にまだ残っているPVPを除去する。その後、ポリマー足場を、2枚の紙シートの間で乾燥させ、テフロン板の間に置いて80℃のオーブンに入れ4時間を上回る時間乾燥させることができる。各ポリマー足場は、厚さ0.399cm、5.1×10.8cmのアルミナセラミックブロック(McMaster-Carr社製)100グラムをテフロン板の上に置き、圧縮することができる。
PAN膜を熱安定化することで、ポリマー網目構造を架橋し、電極の最終的な機械的特性を向上させることができる。いくつかの実施形態において、膜は、2枚のアルミナ紙(Profiltra B.V.社製)と2つのセラミック板との間に挟むことができる。各膜は、熱安定化の間にセラミック板の上に置かれる100グラムの重りで圧縮することができる。膜は、270℃の空気中で、2℃/分の昇温速度で1時間、熱安定化させることができる。熱安定化に直接引き続き、膜をセラミック板で挟み、2L/分の窒素流下で管状オーブンに入れることができる。次いで、膜を炭化シーケンスに曝露することができる。炭化シーケンスは室温から850℃まで昇温(5℃/分の昇温速度)、40分間保持、850℃から1050℃まで昇温(5℃/分の昇温速度)、40分間保持、室温まで冷却を含む。当業者は、上記の別の実施形態が、本開示によって可能になる非限定的な例であることを認識するであろう。
商業用途
開示された技術は、特定のセルの化学的性質に合わせて調整されたRFB電極を製造するために使用することができる。この方法によって製造された電極は、現在の炭素繊維床電極よりも安価であり得る。さらに、開示された技術により、表面化学および微細構造を制御することにより、装置の電力密度を向上させることができ、その結果、反応器およびシステムの設置面積が小さくなる(したがって、コストが削減される)。
RFBの分野での用途以外でも、開示された方法論は、他の技術、例えば、中でも、固体高分子型燃料電池、アルカリ燃料電池、可逆燃料電池、リン酸または高温燃料電池、金属空気電池、CO/HO電解槽、および容量性脱イオンに直接影響を及ぼし得る。さらに、電気触媒をポリマー混合物に選択的に添加して、炭素質、三次元足場、および/または装飾金属粒子を共存させるさらなる利点を有する不均一電極を製造することも可能である。
本開示に関連するさらなる情報を提供する追加の参考文献としては、以下のものが挙げられ、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる:
K.J. Kim, M.-S. Park, Y.-J. Kim, J.H. Kim, S.X. Dou, M. Skyllas-Kazacos, J. Mater. Chem. A. 3 (2015) 16913-16933. doi:10.1039/C5TA02613J.
A. Forner-Cuenca, E.E. Penn, AM. Oliveira, F.R. Brushett, J. Electrochem. Soc. 166 (2019) A2230-A2241. doi:10.1149/2.0611910jes.
AZ. Weber, M.M. Mench, J.P. Meyers, P.N. Ross, J.T. Gostick, Q. Liu, J. Appl. Electrochem. 41 (2011) 1137. doi:10.1007/s10800-011-0348-2.
上述した実施形態の例は、以下のものを含むことができる:
1.第1のポリマーと第2のポリマーとを含むポリマー溶液を第1の溶媒に曝露すること、および
引き続き、前記ポリマー溶液を、相反転を誘導するのに有効である第2の溶媒に曝露することを含み、これによって、前記ポリマー溶液の前記第1のポリマーは、前記ポリマー溶液の前記第2のポリマー、前記第1の溶媒、および前記第2の溶媒のそれぞれから分離され、前記第1のポリマーは多孔質であり、多孔質膜を形成する、
多孔質電極を製造する方法。
2.前記多孔質膜に対して1つ以上の後処理作業を行うことをさらに含む、請求項1記載の方法。
3.前記1つ以上の後処理作業が、前記多孔質膜を架橋させることを含む、請求項2記載の方法。
4.前記1つ以上の後処理作業が、前記多孔質膜の炭化または前記多孔質膜の黒鉛化のうちの1つを含む、請求項2または3記載の方法。
5.前記多孔質膜を前記第2の溶媒から取り出すこと、
前記多孔質膜を乾燥させること、
前記多孔質膜を熱安定化させること、および
前記多孔質膜を炭化することまたは黒鉛化することのうちの1つをさらに含む、請求項2から4までのいずれか1項記載の方法。
6.前記1つ以上の後処理作業が、多孔質の前記第1のポリマーから、所望の電極構成を有する電極を構成することを含む、請求項2から5までのいずれか1項記載の方法。
7.前記電極をレドックスフロー電池に関連付けることをさらに含む、請求項6記載の方法。
8.前記ポリマー溶液を第2の溶媒に引き続き曝露する作業を行う温度を調整することをさらに含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
9.ポリマー溶液を第1の溶媒に曝露することが、前記第1の溶媒が配置された第1の浴内で行われ、次いで、前記ポリマー溶液を第2の溶媒に曝露することが、前記第2の溶媒が配置された第2の浴内で行われる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
10.ロール・ツー・ロール処理システムを操作し、前記ポリマー溶液を前記第1の浴から前記第2の浴に移動させること、
前記ロール・ツー・ロール処理システムを操作し、前記第1のポリマーを前記第2の浴から別の位置に移動させること、および
場合によっては、本方法が、多孔質の前記第1のポリマーを前記第2のポリマー、前記第1の溶媒、および前記第2の溶媒のそれぞれから分離する際に、前記多孔質の第1のポリマーに対して1つ以上の後処理作業を実施することをさらに含み、前記別の位置は、前記1つ以上の後処理作業のうちの少なくとも1つの後処理作業を実施する位置である、請求項9記載の方法。
11.ポリマー溶液を第1の溶媒に曝露することが、前記ポリマー溶液と前記第1の溶媒との組合せをガラス型上にキャストすることをさらに含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
12.前記第1のポリマーが疎水性であり、前記第2のポリマーが親水性であり、前記第2の溶媒が水を含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
13.ポリマー溶液を第1の溶媒に曝露した結果、前記第1のポリマーおよび前記第2のポリマーのうちの少なくとも1つの除去すべきスキン層が生じる、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
14.前記相反転後の前記第1のポリマーにマクロボイドが実質的に存在しない、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
15.前記相反転後の前記第1のポリマーの細孔径が、ほぼ約0.5ナノメートルから約300マイクロメートルの範囲である、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
16.前記相反転により生じる前記第1のポリマーの細孔径を制御することをさらに含む、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
17.前記相反転により生じる前記第1のポリマーの細孔径を制御することが、前記第1のポリマーの第1のセクションに細孔径を形成することと、前記第1のポリマーの第2のセクションに細孔径を形成することとを含み、前記第1のセクションの細孔径は、前記第2のセクションの細孔径とは異なる範囲を有する、請求項16記載の方法。
18.前記第1のセクションおよび前記第2のセクションを、前記第1のポリマーの厚さに沿って互いに区別する、請求項17記載の方法。
19.前記第1のセクションおよび前記第2のセクションを、前記第1のポリマーの長さに沿って互いに区別する、請求項17記載の方法。
20.疎水性を有する第1のポリマー、および
親水性を有する第2のポリマーを含み、
前記第1および前記第2のポリマーは、第1の溶媒と混合することによってポリマー溶液を形成するように構成されており、
得られた前記ポリマー溶液が、相反転により、水を含む第2の溶媒によって前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとに分離されるように構成されており、これによって、前記相反転により、前記第1のポリマーが、前記第2のポリマー、前記第1の溶媒および前記第2の溶媒のそれぞれから分離され、前記第2のポリマーは、前記第1の溶媒および前記第2の溶媒のそれぞれと共に残存する、ポリマー溶液。
21.前記第1のポリマーが、ポリアクリロニトリルを含む、請求項20記載のポリマー溶液。
22.前記第2のポリマーが、ポリビニルピロリドンを含む、請求項20または21記載のポリマー溶液。
23.前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとの比が、約1:1である、請求項20から22までのいずれか1項記載のポリマー溶液。
24.前記第1のポリマーが、1グラムのポリアクリロニトリルを含み、前記第2のポリマーが、1グラムのポリビニルピロリドンを含む、請求項23記載のポリマー溶液。
25.前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとの比が、約3:4である、請求項20から22までのいずれか1項記載のポリマー溶液。
26.前記第1のポリマーが、0.857グラムのポリアクリロニトリルを含み、前記第2のポリマーが、1.143グラムのポリビニルピロリドンを含む、請求項25記載のポリマー溶液。
27.前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとの比が、約2:3である、請求項20から22までのいずれか1項記載のポリマー溶液。
28.前記第1のポリマーが、0.8グラムのポリアクリロニトリルを含み、前記第2のポリマーが、1.2グラムのポリビニルピロリドンを含む、請求項27記載のポリマー溶液。
29.初期の前記ポリマー溶液の全固形分を、前記第1の溶媒に対して、前記第1および前記第2のポリマーの約16重量%から約19重量%の範囲で変化させることにより、細孔径分布が調整される、請求項20から28までのいずれか1項記載のポリマー溶液。
30.請求項20から29までのいずれか1項記載のポリマー溶液、
前記第1のポリマーおよび前記第2のポリマーと混合して前記ポリマー溶液を形成するように構成された第1の溶媒、および
相反転により前記第1のポリマーを前記第2のポリマーから分離するように構成された第2の溶媒を含み、前記第2の溶媒は水を含む、多孔質膜形成キット。
31.前記第1の溶媒が、ジメチルホルムアミドを含む、請求項30記載の多孔質膜形成キット。
32.前記第1の溶媒が、10mLのジメチルホルムアミドを含む、請求項31記載の多孔質膜形成キット。
33.第1のポリマーと第2のポリマーとを含むポリマー溶液を第1の溶媒に曝露すること、および
前記ポリマー溶液を第2の溶媒に曝露して、前記第1のポリマーを前記ポリマー溶液の前記第2のポリマー、前記第1の溶媒、および前記第2の溶媒のそれぞれから分離し、前記第1のポリマーから、多孔質電極を形成することを含む、レドックスフロー電池を製造する方法。
当業者であれば、上述した実施形態に基づいて、本発明のさらなる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示されている場合を除き、特に図示および記載されたものによって限定されるべきではない。本明細書で引用される全ての刊行物および参考文献は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
本開示の内容により支持されるいくつかの非限定的な請求項を以下に示す。

Claims (33)

  1. 第1のポリマーと第2のポリマーとを含むポリマー溶液を第1の溶媒に曝露すること、および
    引き続き、前記ポリマー溶液を、相反転を誘導するのに有効である第2の溶媒に曝露することを含み、これによって、前記ポリマー溶液の前記第1のポリマーは、前記ポリマー溶液の前記第2のポリマー、前記第1の溶媒、および前記第2の溶媒のそれぞれから分離され、前記第1のポリマーは多孔質であり、多孔質膜を形成する、
    多孔質電極を製造する方法。
  2. 前記多孔質膜に対して1つ以上の後処理作業を行うことをさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記1つ以上の後処理作業が、前記多孔質膜を架橋させることを含む、請求項2記載の方法。
  4. 前記1つ以上の後処理作業が、前記多孔質膜の炭化または前記多孔質膜の黒鉛化のうちの1つを含む、請求項2記載の方法。
  5. 前記多孔質膜を前記第2の溶媒から取り出すこと、
    前記多孔質膜を乾燥させること、
    前記多孔質膜を熱安定化させること、および
    前記多孔質膜を炭化することまたは黒鉛化することのうちの1つをさらに含む、請求項2記載の方法。
  6. 前記1つ以上の後処理作業が、多孔質の前記第1のポリマーから、所望の電極構成を有する電極を構成することを含む、請求項2記載の方法。
  7. 前記電極をレドックスフロー電池に関連付けることをさらに含む、請求項6記載の方法。
  8. 前記ポリマー溶液を第2の溶媒に引き続き曝露する作業を行う温度を調整することをさらに含む、請求項1記載の方法。
  9. ポリマー溶液を第1の溶媒に曝露することが、前記第1の溶媒が配置された第1の浴内で行われ、次いで、前記ポリマー溶液を第2の溶媒に曝露することが、前記第2の溶媒が配置された第2の浴内で行われる、請求項1記載の方法。
  10. ロール・ツー・ロール処理システムを操作し、前記ポリマー溶液を前記第1の浴から前記第2の浴に移動させること、
    前記ロール・ツー・ロール処理システムを操作し、前記第1のポリマーを前記第2の浴から別の位置に移動させること、および
    場合によっては、本方法が、多孔質の前記第1のポリマーを前記第2のポリマー、前記第1の溶媒、および前記第2の溶媒のそれぞれから分離する際に、前記多孔質の第1のポリマーに対して1つ以上の後処理作業を実施することをさらに含み、前記別の位置は、前記1つ以上の後処理作業のうちの少なくとも1つの後処理作業を実施する位置である、請求項9記載の方法。
  11. ポリマー溶液を第1の溶媒に曝露することが、前記ポリマー溶液と前記第1の溶媒との組合せをガラス型上にキャストすることをさらに含む、請求項1記載の方法。
  12. 前記第1のポリマーが疎水性であり、前記第2のポリマーが親水性であり、前記第2の溶媒が水を含む、請求項1記載の方法。
  13. ポリマー溶液を第1の溶媒に曝露した結果、前記第1のポリマーおよび前記第2のポリマーのうちの少なくとも1つの除去すべきスキン層が生じる、請求項1記載の方法。
  14. 前記相反転後の前記第1のポリマーにマクロボイドが実質的に存在しない、請求項1記載の方法。
  15. 前記相反転後の前記第1のポリマーの細孔径が、ほぼ約0.5ナノメートルから約300マイクロメートルの範囲である、請求項1記載の方法。
  16. 前記相反転により生じる前記第1のポリマーの細孔径を制御することをさらに含む、請求項1記載の方法。
  17. 前記相反転により生じる前記第1のポリマーの細孔径を制御することが、前記第1のポリマーの第1のセクションに細孔径を形成することと、前記第1のポリマーの第2のセクションに細孔径を形成することとを含み、前記第1のセクションの細孔径は、前記第2のセクションの細孔径とは異なる範囲を有する、請求項16記載の方法。
  18. 前記第1のセクションおよび前記第2のセクションを、前記第1のポリマーの厚さに沿って互いに区別する、請求項17記載の方法。
  19. 前記第1のセクションおよび前記第2のセクションを、前記第1のポリマーの長さに沿って互いに区別する、請求項17記載の方法。
  20. 疎水性を有する第1のポリマー、および
    親水性を有する第2のポリマーを含み、
    前記第1および前記第2のポリマーは、第1の溶媒と混合することによってポリマー溶液を形成するように構成されており、
    得られた前記ポリマー溶液が、相反転により、水を含む第2の溶媒によって前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとに分離されるように構成されており、これによって、前記相反転により、前記第1のポリマーが、前記第2のポリマー、前記第1の溶媒および前記第2の溶媒のそれぞれから分離され、前記第2のポリマーは、前記第1の溶媒および前記第2の溶媒のそれぞれと共に残存する、
    ポリマー溶液。
  21. 前記第1のポリマーが、ポリアクリロニトリルを含む、請求項20記載のポリマー溶液。
  22. 前記第2のポリマーが、ポリビニルピロリドンを含む、請求項20記載のポリマー溶液。
  23. 前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとの比が、約1:1である、請求項20記載のポリマー溶液。
  24. 前記第1のポリマーが、1グラムのポリアクリロニトリルを含み、前記第2のポリマーが、1グラムのポリビニルピロリドンを含む、請求項23記載のポリマー溶液。
  25. 前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとの比が、約3:4である、請求項20記載のポリマー溶液。
  26. 前記第1のポリマーが、0.857グラムのポリアクリロニトリルを含み、前記第2のポリマーが、1.143グラムのポリビニルピロリドンを含む、請求項25記載のポリマー溶液。
  27. 前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとの比が、約2:3である、請求項20記載のポリマー溶液。
  28. 前記第1のポリマーが、0.8グラムのポリアクリロニトリルを含み、前記第2のポリマーが、1.2グラムのポリビニルピロリドンを含む、請求項27記載のポリマー溶液。
  29. 初期の前記ポリマー溶液の全固形分を、前記第1の溶媒に対して、前記第1および前記第2のポリマーの約16重量%から約19重量%の範囲で変化させることにより、細孔径分布が調整される、請求項20記載のポリマー溶液。
  30. 請求項20記載のポリマー溶液、
    前記第1のポリマーおよび前記第2のポリマーと混合して前記ポリマー溶液を形成するように構成された第1の溶媒、および
    相反転により前記第1のポリマーを前記第2のポリマーから分離するように構成された第2の溶媒を含み、前記第2の溶媒は水を含む、
    多孔質膜形成キット。
  31. 前記第1の溶媒が、ジメチルホルムアミドを含む、請求項30記載の多孔質膜形成キット。
  32. 前記第1の溶媒が、10mLのジメチルホルムアミドを含む、請求項31記載の多孔質膜形成キット。
  33. 第1のポリマーと第2のポリマーとを含むポリマー溶液を第1の溶媒に曝露すること、および
    前記ポリマー溶液を第2の溶媒に曝露して、前記第1のポリマーを前記ポリマー溶液の前記第2のポリマー、前記第1の溶媒、および前記第2の溶媒のそれぞれから分離し、前記第1のポリマーから、多孔質電極を形成することを含む、
    レドックスフロー電池を製造する方法。
JP2022549227A 2020-02-14 2021-02-16 相反転を用いて多孔質電極を製造する方法、およびそれから得られる装置 Pending JP2023513820A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202062976601P 2020-02-14 2020-02-14
US62/976,601 2020-02-14
US202063071595P 2020-08-28 2020-08-28
US63/071,595 2020-08-28
PCT/US2021/018211 WO2021163690A1 (en) 2020-02-14 2021-02-16 Methods of formulating porous electrodes using phase inversion, and resulting devices from the same

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2023513820A true JP2023513820A (ja) 2023-04-03
JPWO2021163690A5 JPWO2021163690A5 (ja) 2024-03-14

Family

ID=77271901

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022549227A Pending JP2023513820A (ja) 2020-02-14 2021-02-16 相反転を用いて多孔質電極を製造する方法、およびそれから得られる装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20210257630A1 (ja)
EP (1) EP4104228A4 (ja)
JP (1) JP2023513820A (ja)
WO (1) WO2021163690A1 (ja)

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4992172A (en) * 1987-09-14 1991-02-12 Gelman Sciences, Inc. Blotting methods using polyaldehyde activated membranes
US7165682B1 (en) * 2003-07-16 2007-01-23 Accord Partner Limited Defect free composite membranes, method for producing said membranes and use of the same
KR20090003249A (ko) * 2006-02-20 2009-01-09 다이셀 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 다공성 필름 및 다공성 필름을 이용한 적층체
KR100791791B1 (ko) * 2006-03-10 2008-01-04 주식회사 엘지화학 다공성 활성층이 코팅된 전극, 그 제조방법 및 이를 구비한전기화학소자
CN102822247B (zh) * 2010-04-14 2016-06-08 3M创新有限公司 图案化梯度聚合物膜和方法
WO2013120011A1 (en) * 2012-02-09 2013-08-15 Energ2 Technologies, Inc. Preparation of polymeric resins and carbon materials
CN104684632A (zh) * 2012-09-14 2015-06-03 伊沃夸水处理技术有限责任公司 用于膜的聚合物共混物
CN105050949A (zh) * 2012-11-26 2015-11-11 佐治亚-太平洋化工品有限公司 聚合物树脂和碳材料的制备
US9947932B2 (en) * 2013-03-08 2018-04-17 Ford Global Technologies, Llc Lithium-air battery cathodes and methods of making the same
JP6284818B2 (ja) * 2014-04-24 2018-02-28 株式会社ダイセル 微細孔と取り扱い強度を有した多孔膜積層体及びその製造方法
CN106532081B (zh) * 2015-09-09 2019-08-27 中国科学院大连化学物理研究所 一种液流电池用具有分级孔结构的多孔膜及其制备和应用
FR3054078B1 (fr) * 2016-07-13 2018-09-07 Institut Polytechnique De Grenoble Materiau a conduction ionique pour generateur electrochimique et procedes de fabrication
US10734656B2 (en) * 2016-08-16 2020-08-04 University Of South Carolina Fabrication method for micro-tubular solid oxide cells
JP6855843B2 (ja) * 2017-03-01 2021-04-07 三菱ケミカル株式会社 レドックスフロー電池用電極とその製造方法、およびレドックスフロー電池
PL3396025T3 (pl) * 2017-04-26 2020-11-30 Siemens Aktiengesellschaft Sposób ciągłego wytwarzania do wytwarzania niewzmacnianego elementu składowego ogniwa elektrochemicznego
CN110785514B (zh) * 2017-06-23 2023-03-31 西门子能源全球有限公司 用于制造气体扩散电极的方法和气体扩散电极
US11267920B2 (en) * 2018-02-02 2022-03-08 Triad National Security, Llc Hierarchical printed product and composition and method for making the same

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021163690A1 (en) 2021-08-19
US20210257630A1 (en) 2021-08-19
EP4104228A1 (en) 2022-12-21
EP4104228A4 (en) 2023-12-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wan et al. Non‐solvent induced phase separation enables designer redox flow battery electrodes
EP2529441B1 (en) Method of manufacturing proton-conducting membranes
EP1648047B1 (en) Polymer electrolyte for a direct oxidation fuel cell, method of preparing the same, and direct oxidation fuell cell comprising the same
KR100684730B1 (ko) 직접 산화형 연료 전지용 고분자 전해질 막, 이의 제조 방법 및 이를 포함하는 직접 산화형 연료 전지 장치
Lee et al. Cellulose nanocrystals–blended zirconia/polysulfone composite separator for alkaline electrolyzer at low electrolyte contents
JP2011517331A (ja) 電気化学デバイス用材料
CN109233274B (zh) 一种具有纳米多孔结构的聚苯并咪唑膜及其制备方法
KR101315744B1 (ko) 고체 고분자 전해질형 연료전지용 다층 강화 복합전해질 막, 그 제조방법, 그 막을 구비한 막-전극 어셈블리 및 연료전지
Teng et al. A polydopamine-coated polyamide thin film composite membrane with enhanced selectivity and stability for vanadium redox flow battery
KR101818757B1 (ko) 내재적 미세기공성 고분자를 이용한 다공성 탄소구조체 및 이를 포함하는 전지용 전극
JP2003317729A (ja) 多孔質黒鉛フィルムを用いた燃料電池用電極、膜−電極接合体及び燃料電池
KR20150060510A (ko) 이온 교환막 및 그 제조방법
WO2003036655A1 (fr) Solution d'electrolyte polymere pour la production d'une electrode de pile a combustible
JP2003128409A (ja) 多孔質炭素膜構造体、触媒担持体、燃料電池用電極、電極接合体、及び燃料電池
JP4524579B2 (ja) プロトン伝導性複合体並びに電気化学デバイス
JP2023513820A (ja) 相反転を用いて多孔質電極を製造する方法、およびそれから得られる装置
KR20170113431A (ko) 강화막, 이를 포함하는 전기화학 전지 및 연료 전지, 및 상기 강화막의 제조방법
KR20110054607A (ko) 강화 복합 전해질 막 및 그의 제조방법
US20240006619A1 (en) Catalyst for fuel cell
JP2005093217A (ja) 燃料電池用電極、その製造方法、膜−電極接合体及び燃料電池
KR20190141865A (ko) 이온교환막의 제조방법
KR20120060969A (ko) 탄소 기재, 탄소 기재의 제조 방법, 탄소 기재를 포함하는 기체확산층, 기체확산층을 포함하는 연료전지
RU2355071C1 (ru) Электрод топливного элемента, способ формирования активного слоя электрода и применение электрода
CN116199934A (zh) 质子传导膜和制备质子传导膜的方法
Forner-Cuenca et al. Nonsolvent induced phase separation for the synthesis of novel porous carbonaceous electrodes for redox flow batteries

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240216

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240304