JP2023511850A - 表面活性が変更されたヒュームドシリカ - Google Patents

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Abstract

表面活性が変更されたヒュームドシリカオルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される表面処理剤で表面処理されたヒュームドシリカ粉末であり、a)水素化リチウムアルミニウムとの反応により測定される、BET表面積に対するシラノール基数dSiOHが少なくとも0.85SiOH/nm2であり、b)メタノール-水混合物中のメタノールのメタノール湿潤性が40体積%を超え、c)タンピング密度が200g/L以下である、粉末。【選択図】なし

Description

本発明は、極性が増大した疎水化ヒュームドシリカ粉末、ならびにその調製方法およびその使用に関する。
シリカ粉末、特にヒュームドシリカ粉末は、さまざまな用途に非常に有用な添加剤である。これらの用途のほんの一部を挙げると、ヒュームドシリカは、塗料、コーティング、シリコーン、およびその他の液体系のレオロジー改質剤または沈降防止剤として使用できる。ヒュームドシリカ粉末は、粉末の流動性を改善したり、シリコーン組成物の機械的または光学的特性を最適化したり、医薬品または化粧品、接着剤またはシーリング剤、トナー、およびその他の組成物用の充填剤として使用したりできる。
特定用途への適合性を決定するシリカ材料の重要な特性の1つは、表面の極性に関連している。未処理シリカは、表面に極性シラノール基が存在するため親水性である。ただし、シリカの表面極性は、オルガノシランなどの表面改質剤で処理することによって大幅に減少させることができる。
先行技術の記載
特許文献1は、ゴムなどのポリマー組成物を補強するのに有用な疎水性無機酸化物、具体的には、メタノール湿潤性が15~45%の沈降シリカの調製を記載している。沈降シリカの性質上、それらは、2~15OH/nmという比較的高い水酸基含有量を有している。
ヒュームドシリカは、その調製プロセスが全く異なるため、沈降シリカとは根本的に異なる粒子特性を持っている。したがって、シラノール基の相対含有量が異なることとは別に、タンピング密度(ヒュームドシリカの場合は約50g/Lであるのに対し、沈降シリカの場合は200g/Lを超える)およびその他の多くの特性が全く異なっている。これらの異なる特性により、ヒュームドシリカと沈降シリカの適用分野は相違する。
特許文献2および特許文献3は、平均粒度が10~120μm、タンピング密度が220~700g/L、細孔容積が0.5~2.5mL/gのヒュームドシリカをベースとする顆粒の調製を開示している。そのような顆粒は、ヒュームドシリカ粉末を水に分散させ、その分散液を噴霧乾燥し、必要に応じて加熱および/またはシランで表面処理することによって調製される。顆粒は、触媒担体として、またはガラス用途に使用できる。特許文献2および特許文献3に記載されているシリカ顆粒は、その調製方法の点で、タンピング密度が約50g/Lの典型的なヒュームドシリカ粉末とは異なる。上述の用途の多くでは、高密度化された顆粒の使用は不可能であるか、あるいはタンピング密度が200g/L未満の典型的な高密度化されていない粉末の使用よりも好ましくない。
このようなヒュームド疎水性シリカ粉末は、例えば特許文献4に記載されているように、対応する親水性シリカをシランで処理することによって調製することができる。そのような疎水性シリカは、炭素含有量が1重量%を超え、高い疎水性(メタノール湿潤性値が50%を超える)を特徴とする。したがって、本願の実施例1、3、5、6、8は、3.0~5.7重量%の炭素含有量、および55~85%のメタノール湿潤性を有する疎水性シリカを示している。メタノール湿潤性は、炭素含有量の増加とシアーズ数の減少に伴って増加する。後者の値は、水酸化ナトリウム溶液を用いた滴定により測定される、未変性(親水性)シリカ中のシリカ基量に対する、シリカの遊離(すなわち、表面改質されていない)酸性シラノール基の比を示している。特許文献4の実施例のシリカ粉末のシアーズ数は、8~22%の範囲である。同じ分析方法に関して特許文献5で適用されているように、未処理の親水性シリカ粉末のシラノール基の表面積量に対する相対値を2 SiOH/nmとすると、特許文献4の実施例は、0.16~0.44SiOH/nmの範囲でシラノール基の絶対値を示す。特許文献4に記載されているシリカは、極性が比較的低いため、極性系(例:水系極性系)との相溶性が比較的低い。
疎水性シリカ粉末の極性を高める方法の1つは、親水性シリカをシランと反応させる前に水で処理することである。したがって、特許文献6の実施例は、シリカ粉末に水を噴霧し、次いでヘキサメチルジシラザン(HMDS)を噴霧し、続いて65~285℃で熱処理することを開示している。得られた疎水性シリカ(本発明の比較例2)は、50%を超えるメタノール湿潤性と、BET表面積に対して約0.82SiOH/nmのシラノール基量と、を示している。このような疎水化シリカは改善されてきたが、極性系との相溶性は依然として限定されている。
このような疎水化シリカ材料と極性系との相溶性をさらに改善すると考えられる方法の1つは、疎水化に使用されるシランの量を減らすことである。したがって、特許文献5は、シラノール基密度が0.9~1.7SiOH/nm粒子表面であり、メタノール湿潤性値が30%未満で、水系樹脂に組み込むことができる部分疎水性シリカの調製を記載している。そのような部分疎水性粒子の調製は、BET表面積が100m/gのシリカ1gあたり、0.015~0.15ミリモルの少量のシランを使用することによって行われる。特許文献5に示されているそのようなシリカの例は、炭素含有量が0.3~1重量%、メタノール湿潤性値が0~15%である。したがって、そのようなシリカ粒子は、その表面に疎水性基の大部分が存在しないため、極性系と相溶性があるが、疎水性は低くなる。特許文献4の教示を考慮すると、シリカ粒子に、高い疎水性と、極性系との良好な相溶性(すなわち、向上した極性)と、の両方を持たせることは一般に不可能であるように見える。
課題および解決策
したがって、ヒュームド疎水化シリカ粉末と、極性成分と非極性成分の両方を有する系(例:有機結合剤を含む水性コーティング配合物)と、の良好な相溶性は、多くの場合、課題が残っている。ヘキサメチルジシラザン(HMDS)などの典型的な疎水性処理試薬で疎水化されたヒュームドシリカ粒子は、混合時に極性結合剤系から分離したままになるか、または最終的な硬化コーティングフィルムに割れを生じる。したがって、材料密度が制限された新しいヒュームドシリカ粉末であり、極性系および非極性系の両方(例:水性配合物)と相溶性があり、かつシリカ材料の高い装填量、硬化前後の高い均質性を備えた組成物の調製を可能にするヒュームドシリカ粉末が必要とされている。特許文献5は、この目的に関し、シリカ粉末の部分的な疎水化を達成するために少量のシランを使用することを示唆している。しかしながら、こうして調製されたシリカの疎水性は不十分である。さらに、この場合、シリカ表面の均一な疎水化を達成することは非常に困難である。
国際公開公報第01/12731A1号 欧州特許公開公報第1700824A1号 欧州特許公開公報第0725037A1号 欧州特許公開公報第0686676A1号 欧州特許公開公報第1433749A1号 国際公開公報第2009/015970A1号
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、材料密度が制限され、高い疎水性と向上した極性との両方を備えたヒュームドシリカ粉末であり、これらの表面特性が材料全体に均一に分布しており、水系有機コーティングなどの極性/非極性系への組み込みに適したヒュームドシリカ粉末を提供することである。
本発明は、オルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される表面処理剤で表面処理されたヒュームドシリカ粉末であり、
a)水素化リチウムアルミニウムとの反応により測定される、BET表面積に対するシラノール基数dSiOHが少なくとも0.85SiOH/nmであり、
b)メタノール-水混合物中のメタノールのメタノール湿潤性が40体積% を超え、
c)タンピング密度が200g/L以下である、粉末
を提供するものである。
本発明に係るシリカ粉末は、上記の技術的問題を解決する。このようなシリカ材料は、非極性配合物および極性配合物(例:水性アクリレート組成物)との相溶性が高く、そのような組成物のシリカ装填量を増大させることができる。
シリカ粉末
本発明の文脈における用語「粉末」は、微粒子を包含する。
本発明のシリカ粉末のBET表面積に対するシラノール基数dSiOH(SiOH-基/nmで表される)は、特許文献3の8頁17行~9頁12行に詳細に記載されている方法で、シリカ粉末と水素化リチウムアルミニウムとの反応により測定することができる。シリカのシラノール(SiOH)基を水素化リチウムアルミニウム(LiAlH)と反応させ、この反応中に生成されるガス状水素の量と、試料中のシラノール基量nOH(単位:ミリモルSiOH/g)とを求める。試験材料の対応するBET表面積(単位:m/g)を使用すると、シラノール基含有量(単位:ミリモルOH/g)を、BET表面積に対するシラノール基数dSiOHに簡単に変換できる。
OH[SiOH/nm]=(nOH[ミリモルSiOH/g]×N)/(BET[m/g]×1021
(式中、Nは、アボガドロ数(~6.022*1023)である。)
本発明のシリカ粉末は、BET表面積に対する水酸基数dOHが少なくとも0.85SiOH/nm、好ましくは少なくとも0.87SiOH/nm、より好ましくは少なくとも0.89SiOH/nm、より好ましくは少なくとも0.91SiOH/nm、より好ましくは0.91SiOH/nm~2.50SiOH/nm、より好ましくは0.92SiOH/nm~2.40SiOH/nm、より好ましくは0.93SiOH/nm~2.30SiOH/nm、より好ましくは0.94SiOH/nm~2.20SiOH/nm、より好ましくは0.95SiOH/nm~2.10SiOH/nm、より好ましくは0.96SiOH/nm~2.00SiOH/nm、より好ましくは0.97SiOH/nm~1.90SiOH/nm、より好ましくは0.98SiOH/nm~1.80SiOH/nm、より好ましくは0.99SiOH/nm~1.75SiOH/nm、より好ましくは1.00SiOH/nm~1.70SiOH/nm、より好ましくは1.05SiOH/nm~1.65SiOH/nmである。
本発明に係るシリカ粉末は、好ましくは、シラノール基含有量が0.03ミリモルSiOH/gを超え、より好ましくは0.04ミリモルSiOH/g~0.50ミリモルSiOH/g、より好ましくは0.05ミリモルSiOH/g~0.45ミリモルSiOH/g、より好ましくは0.07ミリモルSiOH/g~0.40ミリモルSiOH/g、より好ましくは0.10ミリモルSiOH/g~0.40ミリモルSiOH/g、より好ましくは0.15ミリモルSiOH/g~0.35ミリモルSiOH/gである。
シリカ粉末のBET表面積に対する表面処理剤中のケイ素原子数d[Si]は、本発明のシリカ粉末中に存在する、1個のケイ素原子を含む表面処理基またはそのような表面処理基の画分の表面積量に対する相対値を示す。
シリカ粉末のBET表面積に対する表面処理剤中のケイ素原子数d[Si]は、少なくとも1.0Si原子/nm、好ましくは1.2Si原子/nm~10Si原子/nm、より好ましくは1.3Si原子/nm~9.0Si原子/nm、より好ましくは1.4Si原子/nm~8.0Si原子/nm、より好ましくは1.5Si原子/nm~7.0Si原子/nm、より好ましくは1.8Si原子/nm~6.0Si原子/nm、より好ましくは2.0Si原子/nm~5.0Si原子/nmである。
本発明のシリカ粉末のBET表面積に対する表面処理剤中のケイ素原子数d[Si][単位:Si原子/nm]は、表面処理の存在に関するシリカ粉末の炭素含有量(C*、重量%)から計算することができ、表面処理の化学構造、具体的には、表面処理剤のケイ素原子あたりの炭素原子数(NC/Si)を考慮する。
[Si][Si原子/nm]=(C*[重量%]×N)/(Mr[g/モル]×NC/Si×BET[m/g]×1020
(式中、Mr=12,011g/モルは炭素の原子量であり、
は、アボガドロ数(~6.022*1023)であり、
C/Siは、表面処理剤中のケイ素原子に対する炭素原子の割合である。)
したがって、クロロトリメチルシラン[(CHSiCl]の場合、NC/Si=3である。ヘキサメチルジシラザン[HMDS、(CHSi)NH]の場合、NC/Si=3である。ポリメチルジシロキサン[PDMS]の場合、NC/Si=2である。
ケイ素原子を含む2つの異なる表面処理剤の混合物の場合、適用した表面処理剤のモル平均NC/Si値を使用することを除いて、上記と同じ計算方法を使用することができる。したがって、HMDSとPDMSの1:1モル混合物(50:50モル%)を表面処理剤として使用する場合、(2*0.5+3*0.5)のNC/Si値=2.5をd[Si]の計算に使用しなければならない。
表面処理の存在に関連するシリカ粉末の炭素含有量(C*)は、内部標準を用いた固体NMR分析(Hまたは13C NMR分析) を使用するか、または測定可能な場合は、表面処理の存在とは関係のない炭素含有量の抽出による元素分析により測定した炭素含有量から計算することにより、直接測定することができる。最も単純なケースでは、元素分析法によって測定できる本発明のシリカ粉末の炭素含有量はすべて、表面処理剤に由来する。したがって、例えば、他の追加成分を含まないヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ粉末の場合、Cの値は、元素分析によって測定された炭素含有量の値に対応する。
本発明に係るシリカ粉末は、炭素含有量が、0.2重量%~15重量%、好ましくは0.3重量%~12重量%、より好ましくは0.5重量%~10重量%、より好ましくは1.0重量%~8重量%、よりいっそう好ましくは1.2重量%~5重量%、さらにより好ましくは1.5重量%~3.5重量%であってよい。炭素含有量は、EN ISO3262-20:2000(第8章)に準拠した元素分析により測定できる。分析試料を、燃焼剤を備えたセラミックるつぼに秤量し、誘導炉内で酸素流下で加熱する。存在する炭素をCOに酸化する。COガスの量を赤外線検出器によって定量化する。本発明に係るシリカ粉末の記載された炭素含有量は、シリカの全炭素含有成分を指すが、炭化ケイ素などの不燃性化合物は除かれる。
本発明のシリカ粉末のdSiOHおよびd[Si]の値を分析することは、本発明に係るシリカ粉末の親水性および疎水性の両方の程度を特徴付けるのに役立つ。
本発明に係るシリカ粉末のd[Si]/dSiOH比は、好ましくは0.5~10、より好ましくは0.8~7.0、より好ましくは1.0~5.0、より好ましくは1.2~4.5、より好ましくは1.5~4.0、より好ましくは1.7~3.5、より好ましくは1.8~3.4、より好ましくは1.9~3.3、より好ましくは2.0~3.2、より好ましくは2.1~3.1、より好ましくは2.2~3.1である。
10を超えるd[si]/dSiOHの高い比率は、遊離シラノール基の含有量が比較的低く、したがって極性系に対する材料の親和性が低い、疎水性の高い粒子に対応している。対照的に、0.5未満のd[si]/dSiOHの低い比率は、遊離シラノール基の含有量が比較的高く、極性系との相溶性が高いが疎水性が低い高極性材料の特徴である。本発明のシリカ粉末は、好ましくは、d[si]/dSiOHが0.5~10であり、そのため、極性系(例:水系コーティング配合物)に組み込まれるのに十分なほど極性であるが、非極性系(例:水系コーティング組成物の有機結合剤)と相溶できるほど依然として疎水性が高い。
重要なことは、シラノール基と表面処理種との両方が、本発明に係るシリカの表面に均一に分布しているということである。
本発明に係るシリカ粉末は、好ましくは、数値中央粒径d50が最大で500μm、より好ましくは0.1μm~250μm、より好ましくは1μm~200μm、より好ましくは2μm~100μm、より好ましくは5μm~80μm、より好ましくは10μm~60μmである。シリカ粉末の数値中央粒径は、レーザー回折粒径分析により、ISO13320:2009に準拠して測定できる。測定された粒径分布を使用して中央値d50を規定する。これは、数値中央粒径として、全粒子の50%を超えない粒径を反映している。
さまざまな粉末状または粗粒状の粉粒体のタンピング密度(「タップ密度」とも呼ばれる)は、DIN ISO787-11:1995「顔料および増量剤の一般的試験法-第11部:タンピング後のタンピング容積と見かけ密度の測定」に従って測定できる。これには、攪拌およびタンピング後のベッドの見かけ密度の測定が含まれる。本発明のシリカ粉末は、タンピング密度が200g/L以下、好ましくは20g/L~200g/L、より好ましくは25g/L~150g/L、より好ましくは30g/L~100g/L、より好ましくは35g/L~80g/L、より好ましくは40g/L~70g/Lである。
本発明のシリカ粉末は、BET表面積が20m/gを超え、好ましくは30m/g~500m/g、より好ましくは50m/g~400m/g、より好ましくは70m/g~300m/g、最も好ましくは80m/g~200m/gである。単にBET表面積とも呼ばれる比表面積は、ブルナウアー・エメット・テラー法による窒素吸着により、DIN9277:2014に準拠して測定することができる。
シリカ粉末の乾燥減量(LOD)は、好ましくは5.0重量%未満、より好ましくは3.0重量%未満、より好ましくは2.0重量%未満、より好ましくは1.0重量%未満、より好ましくは0.8重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である。乾燥減量は、ASTM D280-01(方法A)に準拠して測定できる。
本発明に係るシリカ粉末の細孔容積、かさ密度、骨格密度および気孔率の値は、DIN ISO15901-1に準拠した水銀圧入法により測定することができる。H.L RitterおよびL.C Drake in Ind. Eng. Chem. Anal.第17編(1945年)782~786頁および787~791頁により最初に記載されたこの方法の原理は、加えられた圧力の関数として、多孔質固体に圧入された水銀の体積を測定することが基になっている。適用圧力(一般に最大で400~420MPa)で、水銀が浸透できる細孔のみ(すなわち、一般に細孔径が4nmを超える細孔のみ)が検出される。液体水銀は、プローブの多孔質固体の表面を濡らさず、圧力下でのみ細孔に浸透する。適用されるべき圧力は、細孔開口部の開口幅に反比例する。円筒状細孔の場合、細孔半径rと圧力pの関係は、ウォッシュバーン法(Washburn equation)で求められる。
=-(2×σ/p)×cosθ
(式中、rは細孔半径であり、pは圧力であり、σは水銀の表面張力(0.48N/m)であり、θは水銀の接触角(140度)である。)
4nmを超える細孔の累積細孔容積は、最大圧力417MPaでの測定限界まで、DIN ISO15901-1に準拠した水銀圧入法により測定可能なすべての細孔の累積細孔容積に対応している。
DIN ISO15901-1に準拠した水銀圧入法により測定される本発明のシリカ粉末の4nmを超える細孔の累積細孔容積は、好ましくは少なくとも8.0cm/g、より好ましくは8.0cm/g~20cm/g、より好ましくは8.5cm/g~19.0cm/g、より好ましくは9.0cm/g~18.0cm/g、より好ましくは9.5cm/g~17.0cm/g、より好ましくは10.0cm/g~16.0cm/g、より好ましくは10.5cm/g~15.5cm/g、より好ましくは11.0cm/g~15.0cm/g、より好ましくは11.5cm/g~14.5cm/g、より好ましくは12.0cm/g~14.0cm/gである。
DIN ISO15901-1に準拠した水銀圧入法で測定した4μm未満の細孔の累積細孔容積は、(直径4nm未満の細孔に対応する細孔容積を除いて、)この方法で測定可能な4μm未満の全細孔の累積細孔容積に相当する。
DIN ISO15901-1に準拠して水銀圧入法により測定される本発明のシリカ粉末の4μmを超える細孔の累積細孔容積は、好ましくは1.5cm/g~7.0cm/g、より好ましくは2.0cm/g~6.0cm/g、より好ましくは2.5cm/g~5.5cm/g、より好ましくは2.7cm/g~5.0cm/g、より好ましくは3.0cm/g~4.9cm/g、より好ましくは3.1cm/g~4.8cm/g、より好ましくは3.2cm/g~4.7cm/g、より好ましくは3.3cm/g~4.7cm/g、より好ましくは3.4cm/g~4.6cm/g、より好ましくは3.5cm/g~4.5cm/gである。
本発明に係るシリカ粉末の4nmを超える細孔の累積細孔容積に対する、4μm未満の細孔の細孔容積のパーセント比は、好ましくは50%未満、より好ましくは10%~50%、より好ましくは15%~45%であり、より好ましくは20%~40%、より好ましくは25%~35%である。4nmを超える細孔の累積細孔容積に対する、4μm未満の細孔の細孔容積のパーセント比は、前者を後者の細孔容積で割り、100%を掛けることによって求めることができる。
DIN ISO15901-1に準拠して水銀圧入法により測定されるかさ密度は、最も大きな開いた気孔の体積を差し引いた後の材料の単位体積あたりの単位重量として規定される。本発明の文脈において、典型的な最大細孔は、0.0031MPaの圧入圧力に対応する。
本発明に係るシリカ粉末は、好ましくは、DIN ISO15901-1に準拠した水銀圧入法により0.0031MPaで測定されたかさ密度dbulkが、0.20g/mL未満、より好ましくは0.020g/mL~0.150g/mL、より好ましくは0.040g/mL~0.100g/mL、より好ましくは0.045g/mL~0.095g/mL、より好ましくは0.050g/mL~0.090g/mL、より好ましくは0.055g/mL~0.085g/mL、より好ましくは0.060g/mL~0.080g/mL、より好ましくは0.065g/mL~0.075g/mLである。
材料の試料の骨格密度は、材料の気孔率を考慮しない密度、つまり、試料の質量を、全細孔の体積を除いたこの試料の体積で割った比である。本発明に係るシリカ粉末の骨格密度は、(最大圧入圧力:417MPaで)4nmを超える全細孔の体積を、材料が占めると推定される体積から除いた後、DIN ISO15901-1に準拠した水銀圧入法による試料の分析結果から計算することができる。
417MPaでDIN ISO15901-1に準拠した水銀圧入により測定される本発明のシリカ粉末の骨格密度は、好ましくは少なくとも0.40g/cm、より好ましくは少なくとも0.50g/cm、より好ましくは0.50g/cm~2.00g/cm、より好ましくは0.51g/cm~1.90g/cm、より好ましくは0.52g/cm~1.80g/cm、より好ましくは0.53g/cm~1.70g/cm、より好ましくは0.54g/cm~1.60g/cm、より好ましくは0.55g/cm~1.50g/cm、より好ましくは0.56g/cm~1.40g/cm、より好ましくは0.57g/cm~1.35g/cm、より好ましくは0.58g/cm~1.30g/cm、より好ましくは0.59g/cm~1.25g/cm、より好ましくは0.60g/cm~1.20g/cm、より好ましくは0.65g/cm~1.10g/cm、より好ましくは0.70g/cm~1.00g/cmである。
従来のシリカ粉末と比較した場合、本発明に係るシリカ粉末の比較的高い骨格密度は、明らかに、そのような材料の製造方法の熱処理工程に起因している。
本発明に係るシリカ粉末の気孔率は、上記の水銀圧入法により測定されたかさ密度(dbulk)および骨格密度(dsk)の値から、次の式に従って計算することができる:
P=100%*(1-dbulk/dsk
本発明のシリカ粉末は、好ましくは、気孔率が少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは70%~99%、より好ましくは75%~97%、より好ましくは80%~95%、より好ましくは82%~93%、より好ましくは84%~90%である。
シリカ
本発明のシリカ粉末は、個々の化合物(二酸化ケイ素)、シリカ系混合酸化物、シリカ系ドープ酸化物、またはそれらの混合物を含んでいてもよい。好ましくは、シリカ粉末は個々の化合物(二酸化ケイ素)からなる。
本発明に係るシリカ粉末は、好ましくは、非晶質シリカを含む。非晶質または非結晶性シリカは、結晶性シリカの特徴である(例えば、石英中に存在する)長距離秩序を欠いている。
本発明のシリカ粉末は、発熱性(ヒュームド)シリカ粉末、ヒュームドシリカ系の発熱性混合酸化物粉末、ヒュームドシリカ系のドープ酸化物粉末、またはそれらの混合物である。ヒュームドシリカは、火炎加水分解または火炎酸化によって調製される。これには、一般に水素/酸素炎中で、加水分解性または酸化可能な出発物質を酸化または加水分解することが含まれる。熱分解法に使用される出発物質は、有機物質と無機物質を含んでいる。四塩化ケイ素が特に適している。このようにして得られた親水性シリカは非晶質である。ヒュームドシリカは一般に凝集した形をしている。「凝集」とは、発生の最初に形成された一次粒子と呼ばれるものが、その後の反応で互いに強固に結合し、三次元ネットワークを形成することを意味すると理解される。一次粒子は実質的に細孔がなく、その表面に遊離ヒドロキシル基を有する。このような親水性シリカは、必要に応じて、例えば反応性シランで処理することにより、疎水化することができる。
/O炎中で、揮発性金属化合物(例:塩化物)の形で少なくとも2つの異なる金属源を同時に反応させることにより、発熱性混合酸化物を生成することも知られている。このような酸化物の一例は、Evonik社がAerosil(登録商標)MOX170の名前で製造しているSiO/Al混合酸化物である。Aerosil(登録商標)MOX170を製造する場合、SiClとAlClの混合物を火炎中で直接加水分解する。ドイツ特許公開公報第952 891号、ドイツ特許公開公報第25 33 925号、およびドイツ特許公開公報第27 02 896号に記載されているように、例えばメチルトリクロロシラン、トリクロロシランなどの対応するシランも、塩化物の代わりにまたは塩化物に加えて、原料として使用されてよい。
このように調製された混合酸化物のすべての成分(例えば、前述の場合のシリカおよびアルミナ)は、一般に、複数の金属酸化物の機械的混合物、ドープ金属酸化物などの他の種類の材料とは対照的に、混合酸化物材料全体に均一に分布している。後者の場合、例えば複数の金属酸化物の混合物の場合、対応する純粋酸化物の分離領域が存在する可能性があり、これがそのような混合物の特性を決定する。
本発明のシリカ粉末は、主成分として二酸化ケイ素を含む。好ましくは、シリカ粉末は、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは70重量%~99.9重量%、より好ましくは80重量%~99.5重量%、より好ましくは90重量%~99.0重量%、より好ましくは92重量%~98.5重量%、より好ましくは95重量%~98.0重量%の二酸化ケイ素を含んでいる。
表面処理剤
本発明において、用語「表面処理剤で疎水化された」は、シリカを含む材料と、ケイ素原子を含む対応する表面処理剤と、の化学反応に関係し、これは、ケイ素原子を含む疎水性基でシリカ表面を完全にまたは部分的に変性することにより、シリカを含む材料に疎水性を付与する。
本発明の文脈における用語「疎水化された」または「疎水性」は、水などの極性媒体に対して親和性の低い表面処理粒子に関係している。対照的に、親水性粒子は、水などの極性媒体に対して高い親和性を持っている。疎水性材料の疎水性は、通常、適切な非極性基をシリカ表面に適用することにより得られる。疎水性酸化物(例:シリカ)の疎水性の程度は、例えば国際公開公報第2011/076518A1号の5~6頁に詳細に記載されているように、そのメタノール湿潤性などのパラメータによって測定することができる。純水中では、疎水性シリカは水から完全に分離し、溶媒で濡れることなくその表面に浮いている。対照的に、純粋メタノール中では、疎水性シリカは、溶媒全体に分布しており、完全に濡れている。メタノール湿潤性の測定では、シリカがまだ濡れていない時の最大メタノール含有量を、メタノール/水試験混合物中で測定する。これは、使用したシリカの100%が、試験混合物と接触した後、濡れていない状態で試験混合物から分離したままであることを意味する。メタノール/水混合物中のこのメタノール含有量(体積%)は、メタノール湿潤性と呼ばれる。このようなメタノール湿潤性のレベルが高いほど、シリカはより疎水性になる。メタノール湿潤性が低いほど、材料の疎水性が低くなり、親水性が高くなる。
本発明のシリカ粉末は、メタノール含有量のメタノール湿潤性が、メタノール/水混合物中において、40体積%を超え、より好ましくは40体積%~90体積%、より好ましくは45体積%~85体積%、特に好ましくは45体積%~80体積%、最も好ましくは50体積%~75体積%である。
表面処理剤は、オルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
好ましいオルガノシランの1つのタイプは、一般式:
R’(RO)Si(C2n+1) (Ia)、および
R’(RO)Si(C2n-1) (Ib)
(式中、R=アルキル、例えば、メチル-、エチル-、n-プロピル-、i-プロピル-、ブチル-など、
R’=アルキルまたはシクロアルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル、シクロヘキシル、オクチル、ヘキサデシルなど、
n=1~20、
x+y=3、
x=0~2、および
y=1~3である。)
のアルキルオルガノシランである。
式(Ia)および(Ib)のアルキルオルガノシランの中で、特に好ましいのは、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシランである。
表面処理に使用されるオルガノシランは、ClまたはBrなどのハロゲンを含んでいてもよい。以下のタイプのハロゲン化オルガノシランが特に好ましい:
‐以下の一般式のオルガノシラン:
Si(C2n+1) (IIa)、および
Si(C2n-1) (IIb)
(式中、X=Cl、Br;n=1~20である。)
‐以下の一般式のオルガノシラン:
(R’)Si(C2n+1) (IIIa)および
(R’)Si(C2n-1) (IIIb)
(式中、X=Cl、Br;R’=アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキルなど;n=1~20である。)
‐以下の一般式のオルガノシラン:
X(R’)Si(C2n+1) (IVa)および
X(R’)Si(C2n-1) (IVb)
(式中、X=Cl、Br;R’=アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキルなど;n=1~20である。)
式(II)~(IV)のハロゲン化オルガノシランのうち、特に好ましいのは、ジメチルジクロロシランおよびクロロトリメチルシランである。
使用されるオルガノシランは、アルキル置換基またはハロゲン置換基の他に、例えばフッ素置換基または複数の官能基も含むことができる。以下の一般式の官能化オルガノシランを使用することが好ましい。
(R’ ’)(RO)Si(CHR’ (V)
(式中、R’ ’=メチル、エチル、プロピルなどのアルキル、またはClもしくはBrなどのハロゲン、
R=メチル、エチル、プロピルなどのアルキル、
x+y=3
x=0~2、
y=1~3、
m=1~20、
R’=メチル-、アリール(例えば、フェニルまたは置換フェニル残基)、ヘテロアリール-C、OCF-CHF-CF、-C13、-O-CF-CHF、-NH、-N、-SCN、-CH=CH、-NH-CH-CH-NH、-N-(CH-CH-NH、-OOC(CH)C=CH、-OCH-CH(O)CH、-NH-CO-N-CO-(CH、-NH-COO-CH、-NH-COO-CH-CH、-NH-(CHSi(OR)、-S-(CHSi(OR)、-SH、-NR(式中、R=アルキル、アリール;R=H、アルキル、アリール;R=H、アルキル、アリール、ベンジル、CNR(式中、R=H、アルキル;R=H、アルキル)である。)である。)
式(V)の官能化オルガノシランのうち、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
一般式R’RSiNH-SiRR’(VI)(式中、Rは=メチル、エチル、プロピルなどのアルキル;R’=アルキル、ビニルである。)のシラザンも表面処理剤として適している。式(VI)の最も好ましいシラザンは、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)である。
オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D6)などの環状ポリシロキサンも表面処理剤として適している。環状ポリシロキサンの中で、D4を使用することが最も好ましい。
別の有用なタイプの表面処理剤は、一般式(VII):
Figure 2023511850000001
(式中、Y=H、CH、C2n+1(式中、n=1~20)、Si(CH(式中、a=2~3、b=0または1、a+b=3)、
X=H、OH、OCH、C2m+1(式中、m=1~20)、
R、R’=CoH2o+1(式中、o=1~20)などのアルキル、フェニルおよび置換フェニル残基などアリール、ヘテロアリール、(CH-NH(式中、k=1~10)、H、
u=2~1000、好ましくはu=3~100である。)
のポリシロキサンまたはシリコーンオイルである。
式(VII)のポリシロキサンおよびシリコーンオイルの中で、最も好ましくは、ポリジメチルシロキサンが表面処理剤として使用される。そのようなポリジメチルシロキサンは、通常、モル質量が162g/モル~7500g/モル、密度が0.76g/mL~1.07g/mL、粘度が0.6mPa・s~1000000mPa・sである。
シリカ粉末の製造方法
本発明はさらに、以下の工程を含む、本発明に係るシリカ粉末の製造方法を提供する。
a)タンピング密度が200g/L以下の親水性シリカ粉末に、300℃~1400℃の温度で熱処理を施す工程;
b)オルガノシラン、シラザン、非環式ポリシロキサン、環式ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される表面処理剤と、水と、の存在下で、工程a)で熱処理に付された親水性シリカ粉末を表面処理する工程;
c)必要に応じて、工程a)および/または工程b)の後、シリカを破砕または粉砕する工程。
本発明に係る方法の工程a)において、親水性シリカ粉末の熱処理は、300℃~1400℃、好ましくは400℃~1350℃、より好ましくは500℃~1300℃、より好ましくは600℃~1250℃、より好ましくは700℃~1220℃、より好ましくは800℃~1200℃、より好ましくは900℃~1180℃、より好ましくは950℃~1150℃、より好ましくは980℃~1140℃で行われる。工程a)の持続時間は、適用される温度に左右され、一般に1秒~20時間、好ましくは1分~10時間、より好ましくは5分~5時間である。
本発明に係る方法の工程a)の熱処理は、遊離シラノール基の縮合およびO-Si-O架橋の形成により遊離シラノール基数を減少させる。
本発明に係る方法の工程a)で生成される親水性シリカは、好ましくは、水素化リチウムアルミニウムとの反応により測定される、BET表面積に対するシラノール基数dSiOHが、2.0SiOH/nm未満、より好ましくは0.3~1.9SiOH/nm、より好ましくは0.4~1.8SiOH/nm、より好ましくは0.5~1.7SiOH/nm、より好ましくは0.5~1.6SiOH/nm、より好ましくは0.5~1.5SiOH/nm、より好ましくは0.6~1.4SiOH/nm、より好ましくは0.7~1.3SiOH/nmである。
本発明に係る方法の工程b)では、工程a)で熱処理を施した親水性シリカ粉末を、表面処理剤と水の存在下で表面処理する。
本発明に係る方法の工程b)における表面処理剤中のケイ素原子に対する水のモル比は、好ましくは0.1~100、より好ましくは0.5~50、より好ましくは1.0~10、より好ましくは1.2~9、より好ましくは1.5~8、より好ましくは2~7である。
本発明に係る方法の工程b)における表面処理剤と水の両方の使用は、本発明に係るシリカ粉末の独特の特性、すなわちその比較的高い疎水性と比較的高い極性を達成するために不可欠である。
表面処理剤および/または水は、好ましくは、本発明の方法において液体の形で使用される。
本発明に係る方法の工程b)は、10℃~250℃の温度で1分~24時間実施されることができる。工程b)の時間および持続時間は、方法および/または目標とするシリカ特性の特定の要件に従って選択することができる。したがって、通常、処理温度が低いほど、疎水化時間が長くなる。本発明の好ましい一実施形態では、親水性シリカの疎水化は、10~80℃で3~24時間、好ましくは5~24時間行われる。本発明の別の好ましい実施形態では、方法の工程b)は、90~200℃、好ましくは100~180℃、最も好ましくは120~160℃で、0.5~10時間、好ましくは1~8時間実施される。本発明に係る方法の工程b)は、0.1~10バール、好ましくは0.5~8バール、より好ましくは1~7バール、最も好ましくは1.1~5バールの圧力下で行うことができる。最も好ましくは、工程b)は、反応温度で、使用される表面処理剤の自然蒸気圧下、閉鎖系で実施される。
本発明に係る方法の工程b)において、工程a)で熱処理された親水性シリカは、好ましくは、最初に液体水、次に液体表面処理剤を噴霧されるか、または最初に液体表面処理剤、次に液体水を噴霧されるか、または水と液体表面処理剤の液体混合物を周囲温度(約25℃)で噴霧された後、混合物を50℃~400℃の温度で1~6時間熱処理する。
工程b)の表面処理のための別の方法は、工程a)で熱処理された親水性シリカを、最初に水で、次に表面処理剤で処理し、または最初に表面処理剤で、次に水で処理し、または水と表面処理剤との混合物で処理し、(水および/または表面処理剤は、蒸気形態である。)その後、混合物を50℃~800℃の温度で0.5~6時間にわたって熱処理することにより行うことができる。
工程b)における疎水化後の熱処理は、例えば窒素などの保護ガス下で行うことができる。表面処理は、噴霧装置を備えた加熱可能なミキサーおよび乾燥機で、連続的またはバッチ式に行うことができる。適切な装置は、例えば、プラウシェアミキサーまたはプレート、サイクロン、または流動床乾燥機であってよい。
使用する表面処理剤の量は、粒子と、適用する表面処理剤とのタイプに左右される。しかし、通常、工程a)で熱処理された親水性シリカの量に対し、1重量%~25重量%、好ましくは2重量%~20重量%、より好ましくは5重量%~18重量%の表面処理剤が使用される。
使用する水の量も、粒子と、適用する表面処理剤とのタイプによって異なる。しかし、通常、工程a)で熱処理された親水性シリカの量に対し、0.5重量%~15重量%、好ましくは1重量%~12重量%、より好ましくは2重量%~10重量%の水が使用される。
水と表面処理剤の必要量は、使用する親水性シリカのBET表面積に左右され得る。したがって、好ましくは、工程a)で熱処理された親水性シリカのBET比表面積1mあたり、0.1μモル~100μモル、より好ましくは1μモル~50μモル、より好ましくは3.0μモル~20μモルの表面処理剤中のケイ素原子と、0.1μモル~500μモル、より好ましくは1μモル~100μモル、より好ましくは10μモル~50μモルの水と、を使用する。
本発明に係る方法の任意工程c)では、工程a)で熱処理された親水性シリカおよび/または工程b)で得られた疎水化シリカを破砕または粉砕する。したがって、特に、工程a)および/または工程b)において、粗い粒子が使用または得られる場合は、それらは、1つまたは2つの後続工程c)で粉砕されて、シリカ粉末が得られる。
本発明に係る方法の任意工程c)における破砕または粉砕は、この目的に適したすべての機械(例:ミル)によって実現できる。
シリカ粉末が工程a)および工程b)の両方で使用され、かつ得られる場合、粉砕は必要ない。それでもなお、この場合に得られたシリカ粉末は、よりいっそう小さなシリカ粒子を得るために、さらに破砕(例えば、粉砕)されることができる。
シリカ粉末を含む組成物
本発明の別の主題は、本発明のシリカ粉末を含む組成物である。
本発明に係る組成物は、少なくとも1つの結合剤を含むことができ、それは、組成物の個々の部分を互いに、そして必要に応じて1つまたは複数の充填剤および/または他の添加剤に結合し、それにより、組成物の機械的特性を向上することができる。このような結合剤は、有機または無機物質を含むことができる。結合剤は、必要に応じて反応性有機物質を含んでいる。有機結合剤は、例えば、(メタ)アクリレート、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アラビアゴム、カゼイン、植物油、ポリウレタン、シリコーン樹脂、ワックス、セルロース接着剤、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。このような有機物質は、例えば、溶媒の蒸発、重合、架橋反応、または別の種類の物理的または化学的変換により、使用する組成物の硬化を引き起こすことができる。このような硬化は、例えば、熱によって、またはUV放射もしくは他の放射の作用下で行うことができる。単一(一)成分(1-C)と、多成分系、具体的には二成分系(2-C)との両方を結合剤として適用することができる。本発明にとって特に好ましいのは、(好ましくは二成分系としての)水系または水混和性(メタ)アクリレート系結合剤とエポキシ樹脂である。
有機結合剤に加えて、またはその代替物として、本発明の組成物は、無機硬化性物質を含むことができる。鉱物結合剤とも呼ばれるこのような無機結合剤は、添加物質を互いに結合させるという、有機結合剤と本質的に同じ役割を果たす。さらに、無機結合剤は、非水硬性結合剤と水硬性結合剤に分けられる。非水硬性結合剤は、空気中でのみ硬化する、カルシウム石灰、ドロマイト石灰、石膏、硬石膏などの水溶性結合剤である。水硬性結合剤は、空気中および水の存在下で硬化し、硬化後は水不溶性になる結合剤である。それらには、水硬性石灰、セメント、および石工セメントが含まれる。異なる無機結合剤の混合物も、本発明の組成物に使用することができる。
シリカ粉末および結合剤とは別に、本発明に係る組成物は、少なくとも1つの溶媒および/または充填剤および/または他の添加剤を付加的に含むことができる。
本発明の組成物に使用する溶媒は、水、アルコール、脂肪族および芳香族炭化水素、エーテル、エステル、アルデヒド、ケトン、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。例えば、使用する溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、およびアセトンであってよい。特に好ましくは、断熱組成物に使用する溶媒は、沸点が300℃未満、特に好ましくは200℃未満である。このような比較的揮発性の溶媒は、本発明に係る組成物の硬化時に容易に蒸発または気化することができる。最も好ましくは、本発明の組成物は唯一の溶媒として水を含む。
シリカ粉末の使用
本発明に係るシリカ粉末は、
‐塗料またはコーティング、シリコーン、医薬品または化粧品、接着剤またはシーリング剤、トナー組成物の成分として、
‐液体系のレオロジー特性を改質するために、
‐沈降防止剤として、
‐粉末の流動性を向上させるために、
‐シリコーン組成物の機械的または光学的特性を向上させるために、
使用することができる。
さらに、本発明のシリカ粉末の独特の特性により、少なくとも2つの異なる表面処理剤で表面処理されたシリカを生成するための前駆体として、それを使用することが可能となる。したがって、本発明に係るシリカ粉末は、少なくとも1つの(第1)表面処理剤で表面処理される。BET表面積に対するシラノール基数(dSiOH)が比較的多いため、そのようなシリカ材料は、少なくとも1つの、好ましくは前に使用されたものとは別の、(第2)表面処理剤でさらに処理され、少なくとも2つの異なる表面処理剤で表面処理されたシリカ粉末を得ることができる。
したがって、少なくとも1つの第1表面処理剤で表面処理された本発明に係るシリカ粉末は、表面処理剤(すなわち、少なくとも2つの異なる表面処理剤であり、そのうちの少なくとも1つは第1表面処理剤とは異なる表面処理剤)で表面処理されたシリカの調製に使用することができる。
この方法は、適用する表面処理剤の量と比率を正確に制御できるため、シランの混合物による疎水化に関して、全く異なるものである。さらに、これにより、新しい特性を有し、かつさまざまな表面処理剤がシリカ表面の特定の場所を占めている粒子の作製が可能となる。
分析方法、パラメータの測定/計算
メタノール湿潤性[メタノール/水混合物中のメタノールの体積%]は、国際公開公報第2011/076518A1号の5~6頁に詳細に記載されている方法に従って測定した。
炭素含有量[重量%]は、EN ISO3262-20:2000(第8章)に準拠した元素分析により測定した。分析試料を、燃焼剤を備えたセラミックるつぼに秤量し、誘導炉内で酸素流下で加熱した。存在する炭素をCOに酸化する。COガスの量を赤外線検出器によって定量化する。SiCは燃焼しないので、炭素含有量の値には影響しない。
BET表面積に対するシラノール基数dSiOH[単位:SiOH/nm]は、特許文献3の8頁17行目~9頁12行目に詳細に記載されているように、シリカ粉末の予備乾燥試料と水素化リチウムアルミニウム溶液との反応によって測定した。
本発明のシリカ粉末のBET表面積に対する表面処理剤中のケイ素原子数d[Si][単位:Si原子/nm]を、表面処理の存在に関連する炭素含有量から計算し、表面処理の化学構造、例えば、表面処理剤のケイ素原子あたりの炭素数(NC/Si)を考慮する。
[Si][Si原子/nm]=(C*[重量%]×N)/(Mr[g/モル]×NC/Si×BET[m/g]×1020) (3)
(式中、Mr=12,011g/モルは炭素の原子量であり、
は、アボガドロ数(~6.022*1023)であり、
C/Siは、表面処理剤中のケイ素原子に対する炭素の割合である。)
[Si]/dSiOH比は、BET表面積に対する表面処理剤中のケイ素原子数(d[Si])を、BET表面積に対するシラノール基数(dSiOH)で割ることによって計算した。
乾燥減量(LOD、単位:重量%)は、ASTM D280-01(方法A)に準拠して測定した。
BET比表面積[m/g]は、ブルナウアー・エメット・テラー法による窒素吸着により、DIN9277:2014に準拠して測定した。
シリカ粉末の調製
シリカ粉末の調製に係るプロセスパラメータを表1に記載する。対応するシリカ粉末の物理化学的特性を表2に記載する。
比較例1
HMDSで疎水化したシリカ粉末AEROSIL(登録商標)R812(BET=172m/g、製造元:EVONIK Resource Efficiency GmbH社)を基準物質として使用した。
比較例2
特許文献6の(発明性のある)実施例に従って、水の存在下、HMDSを用いて、BET=302m/gの親水性シリカを疎水化することにより、シリカ粉末を調製し、基準物質として使用した。
比較例3
熱処理
AEROSIL(登録商標)300親水性シリカ粉末(BET=300m/g、製造元:EVONIK Resource Efficiency GmbH社)を、Schroder Industrieofen GmbH社製のXR310室窯内で熱処理した。この目的のために、ベッド高が最大1cmの複数層に温度プログラムを施した。温度勾配は、目標温度である1025℃まで300K/時間であった。保持時間は3時間であった。次いで、取り出すまで試料を(積極的な冷却無しで)冷やした。
疎水化
熱処理した粉末の疎水化を気相上で高温で行った。この目的のために、疎水化剤としてのヘキサメチルジシラザン(HMDS、熱処理した親水性シリカ粉末の重量に対して8.6重量%)を蒸発させた。シリカ粉末を薄層状にしてデシケーター内で100℃に加熱し、次いで排気した。その後、圧力が300ミリバールに上昇するまで、気化したHMDSをデシケーターに入れた。試料を空気でパージした後、デシケーターから取り出した。
実施例1
実施例1のシリカ粉末は、比較例3と同様に調製したが、疎水化部分については以下のように行った。
焼結工程後の親水性シリカ粉末(100g)を接地金属バケツに入れ、プロペラミキサーで500rpmで混合し、25℃で連続攪拌しながら水(2.8g)をその表面に噴霧し、続いてヘキサメチルジシラザン(HMDS)(11g)を噴霧した。混合を15分間続けた。この後、圧力補正のために、直径0.5~1mmの穴がいくつかあいている蓋でバケツを密閉し、オーブン内で145℃で6時間保管した。この後、シリカ粉末を乾燥パンに入れ、厚さ最大1cmの薄層状にして、窒素雰囲気中、145℃のオーブンで3時間乾燥させ、揮発分を蒸発させた。
実施例2
実施例2のシリカ粉末は、比較例3と同様に調製したが、疎水化部分については以下のように行った。
焼結工程後の親水性シリカ粉末(100g)を接地金属バケツに入れ、プロペラミキサーで500rpmで混合し、25℃で連続攪拌しながら水(5.0g)をその表面に噴霧し、続いてヘキサメチルジシラザン(HMDS)(10g)を噴霧した。混合を15分間続けた。この後、圧力補正のために、直径0.5~1mmの穴がいくつかあいている蓋でバケツを密閉し、オーブン内で145℃で6時間保管した。この後、シリカ粉末を乾燥パンに入れ、厚さ最大1cmの薄層状にして、窒素雰囲気中、145℃のオーブンで3時間乾燥させ、揮発分を蒸発させた。
実施例3
実施例3のシリカ粉末は、比較例3と同様に調製したが、疎水化部分については以下のように行った。
焼結工程後の親水性シリカ粉末(100g)を接地金属バケツに入れ、プロペラミキサーで500rpmで混合し、25℃で連続攪拌しながら水(10g)をその表面に噴霧し、続いてヘキサメチルジシラザン(HMDS)(15g)を噴霧した。混合を15分間続けた。この後、圧力補正のために、直径0.5~1mmの穴がいくつかあいている蓋でバケツを密閉し、オーブン内で145℃で6時間保管した。この後、シリカ粉末を乾燥パンに入れ、厚さ最大1cmの薄層状にして、窒素雰囲気中、145℃のオーブンで3時間乾燥させ、揮発分を蒸発させた。
実施例4
実施例4のシリカ粉末は、比較例3と同様に調製したが、疎水化部分については以下のように行った。
焼結工程後の親水性シリカ粉末(100g)を接地金属バケツに入れ、プロペラミキサーで500rpmで混合し、25℃で連続攪拌しながら水(10g)をその表面に噴霧し、続いてヘキサメチルジシラザン(HMDS)(9.4g)を噴霧した。混合を15分間続けた。この後、圧力補正のために、直径0.5~1mmの穴がいくつかあいている蓋でバケツを密閉し、オーブン内で145℃で6時間保管した。この後、シリカ粉末を乾燥パンに入れ、厚さ最大1cmの薄層状にして、窒素雰囲気中、145℃のオーブンで3時間乾燥させ、揮発分を蒸発させた。
比較例1~3および実施例1のシリカ粉末はすべて、親水性シリカ粉末のBET表面積に対し、同量の表面処理剤(HMDS)を使用して調製した(表1)。比較例1および3では、疎水化時に水を使用せず、比較例2では、熱処理を行わなかった(表1)。本発明に係る実施例1~4は、適用したHMDSと水の量のみが相違している(表1)。
このようにして得られたシリカ粉末の物理化学的性質を表2にまとめた。比較例2で調製したシリカ粉末は、比較例1(0.46SIOH/nm)と比較例3(0.16SIOH/nm)との両方のシリカよりも高いdSiOH数(0.82SIOH/nm)を示している。しかし、本発明に係る実施例1~4のシリカ粉末のdSiOH数は、依然としてかなり高い(0.91~1.23SIOH/nm)。実施例1~4のシリカ材料の疎水性は、比較例2のシリカの疎水性に匹敵する。したがって、実施例1~4は、比較例2のシリカと比較した場合、同様の疎水性で極性が増加したシリカ粉末を示している。
Figure 2023511850000002
Figure 2023511850000003

Claims (15)

  1. オルガノシラン、シラザン、非環状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される表面処理剤で表面処理されたヒュームドシリカ粉末であり、
    a)水素化リチウムアルミニウムとの反応により測定される、BET表面積に対するシラノール基数dSiOHが少なくとも0.85SiOH/nmであり、
    b)メタノール-水混合物中のメタノールのメタノール湿潤性が40体積% を超え、
    c)タンピング密度が200g/L以下である、粉末。
  2. BET表面積が30~500m/gである、請求項1記載のシリカ粉末。
  3. 前記表面処理剤が、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、クロロトリメチルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ポリジメチルシロキサン、およびそれらの混合物、からなる群から選択される、請求項1または請求項2記載のシリカ粉末。
  4. 数値中央粒径d50が100μm未満である、請求項1~請求項3のいずれか一項記載のシリカ粉末。
  5. 炭素含有量が0.5重量%~10重量%である、請求項1~請求項4のいずれか一項記載のシリカ粉末。
  6. BET表面積に対する、前記表面処理剤中のケイ素原子数d[Si]が少なくとも1.0[Si原子]/nmである、請求項1~請求項5のいずれか一項記載のシリカ粉末。
  7. 前記シリカは、DIN ISO 15901-1に準拠した水銀圧入法により測定される、4nmを超える細孔の累積細孔容積が少なくとも8.0cm/gである、請求項1~請求項6のいずれか一項記載のシリカ粉末。
  8. 0.0031MPaで、DIN ISO 15901-1に準拠した水銀圧入法により測定される嵩密度dbulkが0.20g/mL未満である、請求項1~請求項7のいずれか一項記載のシリカ粉末。
  9. 417MPaで、DIN ISO 15901-1に準拠した水銀圧入法により測定される骨格密度が少なくとも0.50g/mLである、請求項1~請求項8のいずれか一項記載のシリカ粉末。
  10. DIN ISO 15901-1に準拠した水銀圧入法により測定される気孔率P=(1-dbulk/dsk)が少なくとも60%である、請求項1~請求項9のいずれか一項記載のシリカ粉末。
  11. 比d[si]/dSiOHが0.5~10である、請求項1~請求項10のいずれか一項記載のシリカ粉末。
  12. 以下の工程:
    a)タンピング密度が200g/L以下の親水性シリカ粉末に、300℃~1400℃の温度で熱処理を施す工程;
    b)オルガノシラン、シラザン、非環式ポリシロキサン、環式ポリシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される表面処理剤と、水と、の存在下で、前記工程a)で熱処理に付された前記親水性シリカ粉末を表面処理する工程;
    c)工程a)および/または工程b)の後、必要に応じてシリカを破砕または粉砕する工程
    を有する、請求項1~請求項11のいずれか一項記載のシリカ粉末の製造方法。
  13. 請求項1~請求項11のいずれか一項記載のシリカ粉末を含む組成物。
  14. 少なくとも2つの異なる表面処理剤で表面処理されたシリカを調製するための、少なくとも1つの第1表面処理剤で表面処理された請求項1~請求項11のいずれか一項記載のシリカ粉末の使用であり、
    前記少なくとも2つの異なる表面処理剤のうちの少なくとも1つは、前記第1表面処理剤とは異なる、使用。
  15. ‐塗料またはコーティング、シリコーン、医薬品または化粧品、接着剤またはシーリング剤、トナー組成物の構成要素としての、ならびに
    ‐液体系のレオロジー特性を変化させるための、
    ‐沈降防止剤としての、
    ‐粉末の流動性を改善するための、および
    ‐シリコーン組成物の機械的または光学的特性を改善するための
    請求項1~請求項11のいずれか一項記載のシリカ粉末の使用。
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