JP2023510380A - 標的剤の放出制御のための組成物及び方法 - Google Patents

標的剤の放出制御のための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

高分子(タンパク質やポリペプチドなど)の放出制御のための組成物及び方法が提供される。前記組成物は、少なくとも1つの第1のヒドロゲル形成ポリマー及び少なくとも1つの第2のヒドロゲル形成ポリマーを含む。また、組成物を調製及び使用する方法も提供される。

Description

高分子(タンパク質やポリペプチドなど)の放出制御のための組成物及び方法が提供される。前記組成物は、少なくとも1つの第1のヒドロゲル形成ポリマー及び少なくとも1つの第2のヒドロゲル形成ポリマーを含む。また、組成物を調製及び使用する方法も提供される。
ヒドロゲルは、水又は他の材料(例えば高分子)がポリマーネットワーク内に取り込まれたポリマーの三次元ネットワークである。ポリマーマトリックスによって形成される三次元的な空隙の大きさを、 「メッシュサイズ」 又はξと呼ぶ。理論的には、メッシュサイズを高分子(例えば、タンパク質、ポリペプチド、アプタマーなど)と同様に制御することで、高分子の制御が可能である。
しかし、前駆体ポリマーの多分散性、架橋工程のランダム性、高分子ネットワーク構築を阻害するカーゴタンパク質の存在などにより、メッシュサイズとその分布を正確に制御することは困難である。そのため、メッシュサイズを制御したデポシステムでは、常に満足のいく放出特性が得られない。緩いメッシュにある高分子は放出可能であるが、きついメッシュにある高分子はほとんど拡散しないため、物理的に固定されていると考えることができる。ポリマーマトリックスの架橋が分解可能であれば、より緊密なメッシュサイズが拡大し、捕捉された高分子の部分を遊離させることができる。従って、デポメッシュワークの分解に積載分子の放出を結合することは、薬物放出挙動をより良く制御するための有効な戦略となり得る。
ヒドロゲルへの高分子の封入に関する問題は、高分子がしばしばポリマーネットワークに共有結合しており、遊離タンパク質ではないことであった。
従って、タンパク質、ポリペプチド及びアプタマーなどの高分子の徐放を達成するためには、汎用性があり、効果的かつ/又はカスタマイズ可能なアプローチが強く求められている。
本開示は、高分子 (タンパク質及びポリペプチドなど) の制御放出のための組成物及び方法を提供する。本開示のシステム及び方法(例えば、第1の修飾と第2の修飾との間の質量比は、約1未満である)により、高分子とポリマーとの間の望ましくない共有結合を排除することができる。例えば、高分子の少なくとも約20% (例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約96%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又はそれ以上)の部分は、ヒドロゲルネットワーク中で遊離している。さらに、本開示の組成物及び方法は、適切なヒドロゲル環境(例えば、硬さ、ゲル化時間、膨潤速度など)を調整することができる。高分子は、ポリマーによって形成された構造(例えばヒドロゲル)内に保持されてもよく、これは、長時間(例えば、数日、数週間、又は数ヶ月にわたって)の間に分解(例えば、加水分解による開裂)されてもよい。分解は生理的条件下で起こる。ポリマー及びその分解生成物は、生体適合性であってもよい。ポリマー構造(例えばヒドロゲル)は、In situで形成されてもよく、例えば、ポリマー構造(例えば、ヒドロゲル)を形成可能な組成物(例えば、液体製剤)を組織内に導入 (注入)し、ポリマー構造(例えば、ヒドロゲル)は、導入されると同時に組織内にIn situで形成されてもよい。ヒドロゲルからの標的分子の放出を制御することができる。
一態様では、本開示は、少なくとも1つの第1のヒドロゲル形成ポリマー及び少なくとも1つの第2のヒドロゲル形成ポリマーを含む組成物を提供し、前記第1のヒドロゲル形成ポリマーは、前記ヒドロゲル形成第2のポリマーと反応して前記ヒドロゲルを形成することができ、前記ヒドロゲルは分解性であり、標的剤の徐放を可能にし、ここで、前記第1のヒドロゲル形成ポリマーは、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を含み、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第1の修飾を含み、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、求電子性であり、前記第2のヒドロゲル形成ポリマーは、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を含み、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第2の修飾を含み、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、求核性である。前記第1のヒドロゲル形成ポリマーと前記第2のヒドロゲル形成ポリマーとの質量比が1未満である。
いくつかの実施形態では、前記第1の修飾は、ビニル、アクリロイル、チオール、アルケン、チオールエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、イミドエステル、フルオロフェニルエステル、炭酸塩、カルボジイミド、ジスルフィド、アジリジン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記第1の修飾は、ビニルスルホン、マレイミド、アクリレート、メタクリル酸、エポキシド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。例えば、前記第1の修飾は、マレイミド又はビニルスルホンである。
いくつかの実施形態では、前記第2の修飾は、チオール、アミン、アジド、ヒドラジド、ジエン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン及びそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
いくつかの実施形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーは、多糖類、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、前記ヒドロゲルは、分解酵素の関与なしに加水分解可能である。
いくつかの実施形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーの少なくとも1つは、分解性リンカーを含む。
いくつかの実施形態で、前記分解性リンカーは、加水分解性官能基を含む。
いくつかの実施形態では、前記加水分解性官能基は、エステル基、無水物基、及びアミド基から選択される。
いくつかの実施形態では、ステル基から選択される。
いくつかの実施形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約40%未満の第1の平均修飾度 (第1のDM) を有し、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約40%未満の第2の平均修飾度 (第2のDM) を有する。
いくつかの実施形態では、前記第1のDMと前記第2のDMとの比は、約3:1~約1:3である。
いくつかの実施形態では、前記組成物中の前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体との間のモル比は、約3:1~約1:3である。
いくつかの実施形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又はそれらの組み合わせであり、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又はそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び前記第2のヒドロゲル形成ポリマーは、約1 kDa~約500 kDaの重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、前記組成物は粉末である。
いくつかの実施形態では、前記組成物は、液体組成物であり、前記液体組成物中の前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーの濃度は、約1% w/vから約50% w/vである。
別の態様では、本開示は、標的剤の徐放のためのヒドロゲルを提供し、ここで、ヒドロゲルは、組成物と共に形成される。
いくつかの実施形態では、前記ヒドロゲルは、標的剤をさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記標的剤は、高分子を含む。
いくつかの実施形態では、前記標的剤は、分子量が少なくとも80 kDaの高分子を含む。
いくつかの実施形態では、前記標的剤は、タンパク質又はポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態では、前記標的剤の少なくとも約20%は、ヒドロゲルに結合していない遊離の標的剤である。
いくつかの実施形態では、前記標的剤の約50%未満は、前記ヒドロゲルから最初の24時間以内に累積的に放出され、前記標的剤の残りの部分は、約1~約36ヶ月以内に前記ヒドロゲルから累積的に放出される。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、巨視的ヒドロゲル及び微粉化ヒドロゲルを含む。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、微粉化ヒドロゲルをさらに含む。例えば、ヒドロゲルは、巨視的ヒドロゲル中に微粉化ヒドロゲルをさらに含む。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲルを製造する方法を提供し、a)組成物を提供すること、b)前記組成物を緩衝剤と混合してポリマー溶液を形成すること、及びc)前記ポリマー溶液をヒドロゲルの形成を可能にする条件に付すこと、を含む。
いくつかの実施形態では、前記対象は、それを必要とする対象に前記ポリマー溶液を注入することを含む。
いくつかの実施形態では、前記対象は、約1℃~約45℃で前記組成物をインキュベートすることを含む。
いくつかの実施形態では、前記ポリマー溶液は、前記標的剤をさらに含む。別の態様では、本開示は、組成物を製造する方法を提供し、a)前駆体ポリマーを分解性リンカーで架橋して、第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は第1のヒドロゲル形成ポリマーを得ること;及びb)前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーと追加のポリマーとを混合し、前記追加のポリマーが、前記ヒドロゲルの形成を可能にする状態下で前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーと反応し得ること、を含む。
別の態様では、本開示は、標的剤を徐放する方法を提供し、前記標的剤を組成物と混合して混合物を得ること、及び前記混合物を、前記標的剤の徐放が可能なヒドロゲルの形成を可能にする条件に付すことを含む。
別の態様では、本開示は、標的剤をヒドロゲル中に封入することを含む、標的剤の徐放のための方法を提供する。
別の態様では、本開示は、a)組成物;及びb)a)の組成物を用いて形成されたヒドロゲルによって徐放されるべき標的剤、を含む、キットを提供する。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲルを調製するための組成物の使用を提供する。
別の態様では、本開示は、標的剤の徐放のための組成物又はヒドロゲルの使用を提供する。
本開示のさらなる形態及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。ここでは、本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明される。 理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て開示から逸脱することなく、様々な明白な点で修正可能である。従って、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
参照による援用
本明細書に記載されているすべての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願が、参照によって組み込まれるように具体的かつ個別に指示された場合と同じ程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に特に記載されている。 本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が採用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、及び添付の図面(本明細書中の 「図」 及び 「図」 もまた)を参照することによって得られる。
に、ビニルスルホンをグラフト化したデキストラン (DX-VS) 、チオールグラフトデキストラン (DX-DTTとPDT)の合成スキームを示す 。 に、エステル結合を有する修飾官能化デキストラン (DX-O-SH及びDX-O (Me) -SH) の合成スキームを示す。 に、分解性リンカーを有する修飾官能化デキストラン (DX-SH-VA-SH及びDX-SH-VMA-SH) の合成スキームを示す。 に、3つの形態のヒドロゲルを示す。 に、エステルリンカーで変化させた選択された加水分解性ヒドロゲル製剤の膨潤比 (Wt/W0) プロフィールを示す。 図6A~6Bに、明視野 (A) 及びUV (B) 下で加水分解性ヒドロゲルから放出されたF-IgG (FITC-IgG、すなわちフルオレセインFITCで標識されたIgG)のサイズを示す非還元SDS-PAGEを示す。 に、加水分解性ヒドロゲルから放出されたベバシズマブの分子量を示す非還元SDS-PAGEを示す。 に、初期ポリマー濃度が変化する非分解性デキストランベースのヒドロゲル処方物からのIgGの累積分割放出を示す。 に、F-IgGの累積放出特性に対するヒドロゲル分解速度の影響が示されており、 (A) バルク浸食による膨潤比の変化である。(B) F-IgGの累積放出。(C) 製剤1 (C‐1) と製剤2 (C‐2) のF‐IgG放出とヒドロゲル膨潤。 に、F-IgG (A) 及び対応するヒドロゲル膨潤 (B) の累積放出を示す。 図11Aに、インビボ薬物動態タンパク質ベバシズマブ及びベバシズマブでカプセル化されたヒドロゲルを示す。図11Bは、ヒドロゲルからのベバシズマブのin vitro放出を示す。 に、ウサギの眼におけるタンパク質封入ヒドロゲルのインビボ生体適合性を示す。 に、架橋分解を伴わない、及び架橋分解の間のヒドロゲルからのタンパク質放出を示す概略図を示す。 に、巨視的ヒドロゲル中の微粉化ヒドロゲルの概略図を示す。 に、分解性リンカーのフォーマットを示す。 に、HA-MIのNMR結果を示す。 に、異なるDMを有するHA-MIによって形成されたヒドロゲルの膨潤比を示す。 に、HA-MIによって形成されたヒドロゲルの累積放出を示す。
本明細書では、本発明の様々な実施形態が示され、説明されてきたが、そのような実施形態が単なる例として提供されることは当業者には明らかであろう。 本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更、及び置換が生じ得る。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物が使用され得ることを理解されたい。
定義
本明細書で使用される 「ポリマー」 という用語は、一般に、重合によって形成され、本質的に繰り返し構造単位からなる化合物又は化合物の混合物を指す。
本明細書で使用される 「ヒドロゲル」という用語は、一般に、水溶液(例えば水)中に懸濁された1つ以上のポリマーを含むゲル又はゲル様構造体を指す。すべてのヒドロゲルは、互いに水素結合とからみ合いの結果として、マクロマー間にある程度の物理的引力をもっている。通常、生物医学的用途を意図したヒドロゲルは、付加的な静電相互作用又は化学的架橋によって強化され得る。
本明細書で使用される「徐放」という用語は、一般に、長期間(例えば、数日、数週間、又は数ヶ月)にわたって比較的ゆっくりと標的剤を放出するためのプロセスを指す。
本明細書で使用される「分解可能な」という用語は、一般に、生理学的条件下(例えば、約37℃及びpHは約6.5~8)で分解され得るポリマー構造(例えば、ポリマー鎖)の特性を指す。分解には、化学的分解(例えば加水分解開裂)、物理的分解(例えば、光子開裂)、生物学的分解(例えば酵素切断)がある。場合によっては、加水分解であってもよく、場合によっては、加水分解は架橋で起こってもよい。
本明細書で使用される「加水分解性」ヒドロゲルという用語は、一般に、少なくとも部分的に加水分解することができるポリマー構造(例えば、ポリマー鎖)を指す。例えば、加水分解性構造は、加水分解性基及び/又はエステルを含む架橋剤を用いて、直鎖状又は分岐状の非加水分解性前駆体ポリマーを架橋することによって形成されてもよい。線状又は分岐状前駆体ポリマーは、1つ以上の修飾によって修飾されてもよい。例えば、加水分解性官能基としては、エステル基、無水物基、及びアミド基がから選択されてもよい。例えば、加水分解性構造は、ポリ乳酸(PLA)やポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)のような、モノマー間の結合が加水分解可能であるポリマーとは異なるものであってよい。
本明細書で使用される 「ヒドロゲル形成ポリマー」 という用語は、一般に、ヒドロゲルを形成することができる天然のポリマー又は合成ポリマーを指す。ヒドロゲル形成ポリマーは、その合成起源、組成、静電的性質及びゲル形成機構に従って分類することができる。場合によっては、非分解性ヒドロゲル形成ポリマーは、微細に制御された分解性を付与するために、それらの構造に組み込まれた分解性領域を有していてもよい。ヒドロゲル形成ポリマーは、少なくとも第1のヒドロゲル形成ポリマーと、少なくとも第2のヒドロゲル形成ポリマーとを含み、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、第2のヒドロゲル形成ポリマーとは異なっていてもよい。第1のヒドロゲル形成ポリマーは、第2のヒドロゲル形成ポリマーと作用してヒドロゲルを形成してもよい。
本明細書で使用される 「加水分解可能な」 という用語は、一般に、加水分解され得る特性を指す。例えば、酵素等の触媒を用いることなく、生理的温度 (30℃~40℃) 、pH (6.5から7.5)で加水分解することができる性質。通常、加水分解は1分子の水分子が1つ以上の化学結合を分解する化学反応である。
本明細書で使用される 「求電子性」 という用語は、一般に、電子対に対する親和性を有することを意味する。求電子物質(例えば、分子又は分子の一部)は電子対受容体であってもよい。いくつかの実施形態では、求電子性分子又は基は、ビニル、アクリロイル、チオール、アルケン、チオールエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、イミドエステル、フルオロフェニルエステル、炭酸塩、カルボジイミド、ジスルフィド、アジリジン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、求電子性分子又は基は、ビニルスルホン、マレイミド、アクリレート、メタクリル酸、エポキシド、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。
本明細書で使用される 「求核性」 という用語は、一般に、求電子性物質との反応に関して化学結合を形成するために電子対を供与することができる特性を有することを指す。いくつかの実施形態では、この用語は、物質の求核性及び電解質に対する親和性を指す場合がある。いくつかの実施形態では、求核物質(例えば、分子又は分子の一部)は、チオール、アミン、アジド、ヒドラジド、アミン、ジエン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。求核性の分子又は基が作用する
本明細書で使用される 「親水性」 という用語は、一般に、水に対する親和性を有し、水を吸収するか、又は水に濡らすことができることを指す。親水性分子又は分子の一部は、水及び他の極性物質との相互作用が、油又は他の疎水性溶媒との相互作用よりも熱力学的に有利なものである。
本明細書で使用される「エステル基」という用語は、一般に、少なくとも1つの-OH(ヒドロキシル)基が-O-アルキル(アルコキシ)基で置換されている酸(有機又は無機)由来の化学基を指す。例えば、エステル基は、オキシエステル基及びチオールエステル基から選択することができる。
本明細書で使用される 「平均修飾度 (DM) 」 という用語は、一般に、ポリマー中の100反復単位当たりのペンダント基の数を指す。DMはヒドロゲル形成ポリマー誘導体の修飾の程度を反映している可能性がある。
本明細書で使用される「多分散性」という用語 は、一般に、ポリマーの鎖長が広範囲の分子質量にわたって変化する場合、分散性又は不均一性の観点からポリマーの特性を指す。多分散性指数
Figure 2023510380000001
は、重合度に応じて算出することができる。
Figure 2023510380000002
ここで、Mwは重量平均重合度であり、Mnは数平均分子量である。例えば、分解性骨格を含むヒドロゲル形成ポリマーは、4以下の多分散性を有する。
本明細書で使用される 「架橋」 という用語は、一般に、1つのポリマー鎖を別のポリマー鎖に連結する結合を指す。共有結合でもイオン結合でもよい。「ポリマー鎖」 は、合成ポリマー又は天然ポリマー (ヒアルロン酸など) を指すことができる。ポリマー化学において、ポリマーが 「架橋」 されていると言われる場合、それは通常、ポリマーのバルク全体が架橋方法に曝されたことを意味する。
本明細書で使用される 「前駆体ポリマー」という用語 は、一般に、別のポリマー構造を形成するために使用されるか、又はさらに修飾されるポリマーを指す。この物質は反応基によりさらに重合して高分子量の構造を形成することができる。
本明細書で使用される 「組成物」 という用語は、一般に、種々の元素又は成分の生成物 (液体又は固体) を指す。
本明細書で使用される「生体適合性の」又は「生体適合性」という用語は、一般に、毒性、傷害性、又は生理的反応性がないこと、及び/又は免疫学的拒絶反応を引き起こさないことによって生体組織又は生体系に適合する状態を意味する。
「約」 という用語は、数値の文脈で用いられる場合、一般に、指示値の上又は下の1%~15%未満(例えば、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満又は15%未満)の値を指す。
値の範囲(例えば、数値範囲)が提供される場合、文脈が明確に指示しない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値は、その範囲の上限及び下限と、その記載された範囲内の他の記載された又は介在する値との間で、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、より小さい範囲に含まれてもよく、また、記載された範囲の任意の具体的に除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、含まれる限界の一方又は両方を除く範囲も本発明に含まれる。
別段指定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は同等の任意の方法及び材料も、本発明の実施又は試験において使用することができるが、ここで、好ましい方法及び材料について説明する。本明細書に記載されたすべての刊行物は、引用された刊行物に関連する方法及び/又は材料を開示及び記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用されるように、単数形 「a」 、 「and」 、及び 「the」 は、文脈が明確に他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、 「粒子」 への言及は、複数のそのような粒子を含み、 「配列」 への言及は、1つ以上の前記配列及び当業者に公知のその等価物への言及を含むなどである。
本開示を読んだ当業者には理解されるように、本明細書に記載され、図示された個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離又は組み合わせることができる別個の構成要素及び特徴を有する。記載された方法は、記載されたイベントの順序で、又は論理的に可能な他の順序で実行することができる。これは、そのようなすべての組み合わせに対応することを意図している。
本開示では、1種以上のヒドロゲル形成ポリマーを含む組成物、及びその製造方法及び使用方法を提供する。また、本開示は、ヒドロゲル、ならびにその製造及び使用方法を提供する。
一態様では、本開示は、少なくとも 1つの(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上の) 第1のヒドロゲル形成ポリマー及び少なくとも 1つの(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上の) 第2のヒドロゲル形成ポリマーを含むことができる組成物を提供し、前記第1のヒドロゲル形成ポリマーは、前記ヒドロゲル形成第2のポリマーと反応して、前記ヒドロゲルを形成することができ、前記ヒドロゲルは、分解性 (例えば、加水分解性、酵素分解性、又は他の方法で切断可能) であり、標的剤の徐放を可能にする。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を含み、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第1の修飾を含み、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、求電子性であり得る。
いくつかの実施形態では、第1の修飾は、ビニル、アクリロイル、チオール、アルケン、チオールエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、イミドエステル、フルオロフェニルエステル、炭酸塩、カルボジイミド、ジスルフィド、アジリジン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、第1の修飾は、ビニル、チオール、アルケン、チオールエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、イミドエステル、フルオロフェニルエステル、カーボネート、カルボジイミド、ジスルフィド、アジリジン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
いくつかの実施形態では、前記第1の修飾は、ビニルスルホン、マレイミド、アクリレート、メタクリル酸、エポキシド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、前記第1の修飾は、マレイミド、アクリレート、メタクリル酸、エポキシド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。例えば、前記第1の修飾は、マレイミド又はビニルスルホンである。
いくつかの実施形態では、第1の修飾は、ビニル、マレイミド、アクリレート、メタクリル酸、エポキシド、チオール、アルケン、チオールエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、イミドエステル、フルオロフェニルエステル、炭酸塩、カルボジイミド、ジスルフィド、アジリジン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。例えば、前記第1の修飾は、マレイミド又はビニルスルホンである。
本開示では、第2のヒドロゲル形成ポリマーは、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を含み、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第2の修飾体を含み、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、求核性であり得る。
いくつかの実施形態では、第2の修飾は、チオール、アミン、アジド、ヒドラジド、アミン、ジエン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、第2の修飾は、アミン、アジド、ヒドラジド、アミン、ジエン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。
いくつかの実施形態では、第1の修飾は、ビニル、アクリロイル(例えば、マレイミド、アクリレート、メタクリル酸、エポキシド及びそれらの任意の組み合わせ)、チオール、アルケン、チオールエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、アルキルハライド、スルホニルハライド、エポキシド、イミドエステル、フルオロフェニルエステル、炭酸塩、カルボジイミド、ジスルフィド、アジリジン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。第2の修飾は、チオール、アミン、アジド、ヒドラジド、アミン、ジエン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
いくつかの実施形態では、第1の修飾は、ビニル、アクリロイル(例えば、ビニルスルホン、マレイミド、アクリレート、メタクリレート、エポキシド及びそれらの任意の組合せ)、チオール、アルケン、チオールエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、イミドエステル、フルオロフェニルエステル、炭酸塩、カルボジイミド、ジスルフィド、アジリジン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。第2の修飾は、アミン、アジド、ヒドラジド、アミン、ジエン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
いくつかの実施形態では、組成物において、第1の修飾は、1つ以上のビニルスルホンを含み得、第2の修飾は、1つ以上のチオールを含み得る。
いくつかの実施形態では、第1のポリマー誘導体は、第2のポリマー誘導体と反応してヒドロゲルを形成し得る。
本開示では、組成物中の第1のヒドロゲル形成ポリマーと第2のヒドロゲル形成ポリマーとの間の質量比は、約1未満(例えば、約0.95未満、約0.9未満、約0.85未満、約0.8未満、約0.75未満、約0.7未満、約0.65未満、約0.6未満、約0.55未満、約0.5未満、約0.45未満、約0.4未満、約0.35未満、約0.3未満、約0.25未満、約0.2未満、約0.15未満、約0.1未満、約0.05未満、又はそれ以下)であり得る。
いくつかの実施形態では、組成物中の第1のヒドロゲル形成ポリマーと第2のヒドロゲル形成ポリマーとの質量比は、約0~約1、例えば、約0~約0.99、約0~約0.95、約0~約0.9、約0~約0.8、約0~約0.7、約0~約0.6、約0~約0.5、約0~約0.49、約0~約0.45、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0.51~約1、約0.55~約1、約0.6~約1、約0.7~約1、約0.8~約1、約0.9~約1、約0.1~約0.5、約0.1~約0.49、約0.1~約0.45、約0.1~約0.4、約0.2~約0.3、約0.5~約0.99、約0.51~約0.99、約0.6~約0.9、また約0.7~約0.8などである。
いくつかの実施形態では、組成物中の第一のヒドロゲル形成ポリマーと第二のヒドロゲル形成ポリマーとの間の質量比は、約0.95、約0.9、約0.85、約0.8、約0.75、約0.7、約0.67、約0.65、約0.6、約0.55、約0.5、約0.45、約0.4、約0.35、約0.3、約0.25、約0.2、約0.15、約0.1、又は約0.05などであり得る。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と反応してヒドロゲルを形成し得る。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、多糖類、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
本開示では、第2のヒドロゲル形成ポリマーは、多糖類、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
場合によっては、多糖は、ホモグリカン、すなわち1つの単糖、例えばコロミン酸からなる主鎖を有する多糖であってもよい。又は、ヘテログリカン、すなわち、交互又はより少ない規則的配列のいずれかで主鎖に1つ以上の糖残基を有する多糖類であってもよい;例えばジェラン;サクシノグリカン;アラビノガラクタン;Astragalusのトラガカントゴム、トラガカントゴム又はトラガントゴム;Sterculia urensのGum Karaya;Anogeissus latifoliaのガムガッティ及びその誘導体。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
場合によっては、組成物中の第1のヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、それらの誘導体、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されてもよい。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマーはヒアルロン酸であってもよい。
本開示では、第2のヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、それらの誘導体、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。場合によっては、第2のヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
場合によっては、組成物中の第2のヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。場合によっては、第2のヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、デキストラン、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマーはヒアルロン酸であってもよい。
本開示では、組成物中の第1のヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。組成物中の第2のヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、その誘導体からなる群から選択されてもよく、組成物中の第2のヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、その誘導体からなる群から選択されてもよく、組成物中の第2のヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約40%未満(例えば、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約2%未満、約0.5%未満又はそれ以下)の第1の平均修飾度 (第1のDM) を有し得る。
場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約0%~約40% (例えば、約0.001%~約19.5%、約0.001%~約4.9%、約0.5%~約5%、約5.5%~約19.5%、約8%~約19%、約9~約20.0%、約8.5%~約18%、又は、約8.5%~約17.5%、約0.001%~約39.5%、約0.001%~約35%、約0.001%~約30%、約0.001%~約7.5%、約9.5%~約20%、約20%~約30%、又は、約20%~約40%、約10%%~約40%など)の平均DMを有していてもよい。
本開示では、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約40%未満(例えば、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約2%未満、約0.5%未満又はそれ以下)の第2の平均修飾度 (第2のDM) を有し得る。
場合によっては、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約0%~約40% (例えば、約0.001%~約19.5%、約0.001%~約4.5%、約0.001%~約4.9%、約0.5%~約5%、約5%~約8%、約5.1%~約7.9%、約5.5%~約19.9%、約8%~約19.9%、約8.1%~約19.9%、約8.5%~約18%、又は、約8.5%~約17.5%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約10%~約40%など)の平均DMを有していてもよい。
本開示では、第1のDMと第2のDMとの間の比率は、約3:1~約1:3 (例えば、約3:1~約1:3、約3:1.5~約1:3、約3:2~約1:3、約3:2.5~約1:3、約3:1~約1:2.5、約3:1~約1:2、約3:1~約1:1.5、約2.5:1~約1:3、約2:1~約1:3、約1.5:1~約1:3など)であり得る。
本開示では、組成物中の第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体との間のモル比は、約3:1~約1:3 (例えば、約3:1~約1:3、約3:1.5~約1:3、約3:2~約1:3、約3:2.5~約1:3、約3:1~約1:2.5、約3:1~約1:2、約3:1~約1:1.5、約2.5:1~約1:3、約2:1~約1:3、約1.5:1~約1:3など)であり得る。
本開示では、組成物中の第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体との間の体積比は、約10:1~約1:10 (例えば、約10:1~約1:10、約8:1~約1:10、約6:1~約1:10、約5:1~約1:10、約4:1~約1:10、約3:1~約1:10、約2:1~約1:10、約1.75:1~約1:10、約1.5:1~約1:10、約1.25:1~約1:10、約1:1~約1:10、約1:1.25~約1:10、約1:1.5~約1:10、約1:1.75~約1:10、約1:2から約1:10、約1:3~約1:10、約1:4~約1:10まで、約1:5~約1:10、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、約1.75:1~約1:1.75、約1.5:1~約1:1.5、約1.25:1~約1:1.25、または約1.1:1~1:1.1など)であり得る。
場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を1つ以上のビニルスルホン基で修飾し、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を1つ以上のチオール基で修飾してもよい。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を1つ以上のマレイミド基で修飾し、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を1つ以上のチオール基で修飾してもよい。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を1つ以上のアクリレート基で修飾し、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を1つ以上のアミン基で修飾してもよい。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を1つ以上のメタクリル酸で修飾し、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を1つ以上のアミン基で修飾してもよい。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のマレイミド基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のマレイミド基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のアクリレート基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のアクリレート基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のメタクリレート基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のメタクリル酸で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又は、それらの組み合わせであり得る。
本開示では、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のアミン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のアミン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又は、それらの組み合わせであり得る。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のマレイミド基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のマレイミド基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のアクリレート基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のアクリレート基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のメタクリル酸で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のメタクリル酸で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又はこれらの組み合わせであってもよく、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のアミン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のアミン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又は、それらの組み合わせであり得る。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のマレイミド基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のマレイミド基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のアクリレート基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のメタクリル酸で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のメタクリル酸で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又はこれらの組み合わせであってもよく、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のアミン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のアミン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又は、それらの組み合わせであり得る。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のマレイミド基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のアクリレート基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のアクリレート基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のメタクリル酸で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のメタクリル酸で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又はそれらの組み合わせであってもよく、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上のアミン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のアミン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又は、それらの組み合わせであり得る。
例えば、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のマレイミド基で修飾されたヒアルロン酸誘導体であってもよく、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体であってもよい。
例えば、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のマレイミド基で修飾されたデキストラン誘導体であってもよく、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体であってもよい。
本開示では、前記ヒドロゲルは、分解酵素の関与なしに加水分解可能である。
本開示では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーの少なくとも1つは、分解性リンカーを含む。いくつかの実施形態では、分解性リンカーは、加水分解可能であり得る。別の実施形態では、加水分解は架橋で起こり得る。
本開示では、分解性リンカーは、加水分解性官能基を含むことができる。例えば、加水分解性官能基は、エステル基、無水物基、及びアミド基から選択され得る。
本開示では、エステル基は、オキシエステル基及びチオールエステル基から選択され得る。例えば、オキシエステル基は-COORの官能基を有してもよく、チオールエステル基はRーSーCOーR’の官能基を有してもよく、これはカルボン酸とチオールとのエステル化の生成物であってもよい。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、約1 kDa~約500 kDa (例えば、約1 kDa~約500 kDa、約3 kDa~約500 kDa、約5 kDa~約500 kDa、約7 kDa~約500 kDa、約10 kDa~約500 kDa、約50 kDa~約500 kDa、約100 kDa~約500 kDa、約150 kDa~約500 kDa、約200 kDa~約500 kDa、約250 kDa~約500 kDa、約300 kDa~約500 kDa、約350 kDa~約500 kDa、約400 kDa~約500 kDa、約450 kDa~約500 kDa、約1 kDa~約39 kDa、約41 kDa~約200 kDa、又は約41 kDa~約500 kDa)の重量平均分子量を有し得る。
場合によっては、第一のヒドロゲル形成ポリマーは、500 kDa 未満(例えば、490 kDa未満、480 kDa未満、450 kDa未満、400 kDa未満、300 kDa未満、200 kDa未満、150 kDa未満、100 kDa未満、50 kDa未満、40 kDa未満、30 kDa未満、20 kDa未満、10 kDa未満又はそれ以下)の重量平均分子量を有していてもよい。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、1 kDa以上 (例えば、1 kDa以上、5 kDa以上、10 kDa以上、20 kDa以上、30 kDa以上、40 kDa以上、41 kD以上、45 kDa以上、50 kDa以上、100 kDa以上、200 kD以上、300 kDa以上、400 kDa以上、又はそれ以上)の重量平均分子量を有していてもよい。
本開示では、第2のヒドロゲル形成ポリマーは、約1 kDa~約500 kDa (例えば、約1 kDa~約500 kDa、約3 kDa~約500 kDa、約5 kDa~約500 kDa、約7 kDa~約500 kDa、約10 kDa~約500 kDa、約50 kDa~約500 kDa、約100 kDa~約500 kDa、約150 kDa~約500 kDa、約200 kDa~約500 kDa、約250 kDa~約500 kDa、約300 kDa~約500 kDa、約350 kDa~約500 kDa、約400 kDa~約500 kDa、約450 kDa~約500 kDa、約1 kDa~約39 kDa、約41 kDa~約200 kDa、又は約41 kDa~約500 kDa)の重量平均分子量を有し得る。
場合によっては、第二のヒドロゲル形成ポリマーは、500 kDa未満 (例えば、490 kDa未満、480 kDa未満、450 kDa未満、400 kDa未満、300 kDa未満、200 kDa未満、150 kDa未満、100 kDa未満、50 kDa未満、40 kDa未満、30 kDa未満、20 kDa未満、10 kDa未満又はそれ以下)の重量平均分子量を有していてもよい。場合によっては、第1のヒドロゲル形成ポリマーは、1 kDa (例えば、1 kDa以上、5 kDa以上、10 kDa以上、20 kDa以上、30 kDa以上、40 kDa以上、41 kDa以上、45 kDa以上、50 kDa以上、100 kDa以上、200 kDa以上、300 kDa以上、400 kDa以上、又はそれ以上)の重量平均分子量を有していてもよい。
場合によっては、組成物は粉末であってもよい。
場合によっては、組成物は液体組成物であり得、液体組成物中の1つ以上のヒドロゲル形成ポリマーの濃度は、約1% w/v~約30% w/v (例えば、約1% w/v~約50% w/v、約5% w/v~約50% w/v、約10% w/v~約50% w/v、約15% w/v~約50w/v、約20% w/v~約50% w/v、約25% w/v~約50% w/v、約30% w/v~約50% w/v、約35% w/v~約50% w/v、約40% w/v~約50%w/v、約50% w/v~約50%w/v、約1% w/v~約45% w/v、約1% w/v~約40% w/v、約1% w/v~約35% w/v、約1% w/v~約30% w/v、約w/v~約25% w/v、約1% w/v~約20% w/v、約11% w/v~約15% w/v、約1%w/v~約10% w/v、約1% w/v~約5% w/vなど)である。
本開示では、分解性骨格を含むヒドロゲル形成ポリマーは、前駆体ポリマーを分解性リンカーでグラフトすることによって形成され得、分解性リンカーは、前駆体ポリマー間の分解性結合の形成を可能にし得る。
場合によっては、前駆体ポリマーは、親水性及び/又は水溶性であってもよい。
場合によっては、前駆体ポリマーは、非加水分解性、酵素的に非分解性、又は他の方法では非切断性であってもよい。例えば、分解性リンカーが加水分解、酵素及び他の明確な経路によって分解された場合、前駆体ポリマーは影響を受けず、分解性骨格の構造を維持することができる。
本開示では、前駆体ポリマーは、多糖類、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
場合によっては、前駆体ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
本開示では、前駆体ポリマーは、1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)修飾を含む誘導体であり得、前駆体ポリマーの修飾度は、約40%未満である(例えば、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20未満、約18%未満、約16%未満、約14%未満、約12%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約4%未満、約2%未満、約1%未満又はそれ以下)。
本開示では、前駆体ポリマーの修飾は、アクリレート、メタクリル酸、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
本開示では、分解性リンカーは、2つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)修飾を含み得、分解性リンカーの修飾度は、約40%未満である(例えば、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約1%又はそれ以下)。
本開示では、分解性リンカーの修飾は、アクリレート、メタクリル酸、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
本開示では、前駆体ポリマーは、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)ビニルスルホン基で修飾された誘導体、又はそれらの組合せであり得、分解性リンカーは2つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)チオール基の修飾を含む。例えば、ビニルスルホン基は、以下の官能基を有していてもよい
Figure 2023510380000003
場合によっては、前駆体ポリマーは、1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)チオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)チオール基で修飾されたデキストラン誘導体、又はそれらの組み合わせであってもよく、分解性リンカーは、2つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)ビニルスルホン基の修飾を含む。
本開示では、分解性リンカーは、ジビニルメタクリレート、ジビニルアクリレート、及びそれらの誘導体から選択され得る。
場合によっては、分解性リンカーは、以下の群から選択されてもよい:
Figure 2023510380000004
本開示では、分解性リンカーは、モジュレーター、エステルを含み得る。場合によっては、分解性リンカーはリンカーをさらに含んでいてもよい。場合によっては、前記エステルは、前記モジュレーターによって修飾されてもよい。例えば、前記エステルの一方の側を前記モジュレーターで修飾されてもよく、又は、前記エステルの両方の側を前記モジュレーターで修飾されてもよい。場合によっては、該モジュレーターで両側に修飾された該エステルを有する分解性リンカーは、該モジュレーターで片側に修飾された該エステルを有する分解性リンカーよりも著しく安定化されていてもよい。場合によっては、該モジュレーターで両側に修飾された該エステルを有する分解性リンカーは、該モジュレーターで片側に修飾された該エステルを有する分解性リンカーよりも遅いエステル加水分解速度を示すことがある。
場合によっては、分解性リンカーは、モジュレーター、エステル、及びリンカーを含んでいてもよい。例えば、分解性リンカーは、図15に示すフォーマットを含んでいてもよい。
場合によっては、2つの変調器が同じであっても、異なるものであってもよい。場合によっては、2つのモジュレータが同じであってもよい。
場合によっては、前記エステルは、以下の群から選択されてもよい。
Figure 2023510380000005
場合によっては、前記モジュレーターは、疎水性又は親水性であってもよい。場合によっては、疎水性モジュレーターは、親水性モジュレーターよりも分解性リンカーの安定性を高めることがある。場合によっては、疎水性モジュレーターは、水環境における分解性リンカーの溶解度を低下させることがある。
場合によっては、前記モジュレーターは、電子吸引性又は電子供与性であってもよい。
場合によっては、前記モジュレータは、以下のグループから選択されてもよい。
Figure 2023510380000006
場合によっては、前記リンカーは、以下のグループから選択されてもよい:
Figure 2023510380000007
場合によっては、ヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、式 (1) 、(2) 、 (3) 、(4) 又はそれらの組み合わせの修飾を含んでいてもよい。
Figure 2023510380000008
ここで、Pはポリマーであり、Aはリンカー又は修飾剤又はその両方の組み合わせであり、Bはリンカー又は修飾剤又はその両方の組み合わせであり、Aと同一又は異なるものであり、
Figure 2023510380000009
エステルであり、Nは求核剤であり、Eは求電子剤である。
場合によっては、前駆体ポリマーの濃度が、ヒドロゲル形成ポリマーの加水分解分解に影響を及すことがある。
場合によっては、ヒドロゲル形成ポリマー(例えば前駆体ポリマー)の平均修飾度(DM)が、ヒドロゲル形成ポリマーの加水分解分解に影響を及ぼすことがある。
場合によっては、ヒドロゲル形成ポリマー(例えば前駆体ポリマー)の平均分子量 (Mw) が、ヒドロゲル形成ポリマーの加水分解分解に影響を及ぼすことがある。
別の態様では、本開示は、標的剤の徐放のためのヒドロゲルを提供し、ここで、ヒドロゲルは、組成物と共に形成され得る。
本開示では、ヒドロゲルは、前駆体ポリマー又は架橋剤が分解されるときに解離し得る。場合によっては、ヒドロゲルの分解生成物の分子量が広範囲に及ぶこともある。
本開示では、架橋分解の前後のヒドロゲル網目構造からのタンパク質の放出を図13に示すことができ、ここで、線はポリマーネットワークを表し、点線は架橋分解後のポリマーを表し、薄い背景は水を表し、三角形の物体はタンパク質を表し、塗りつぶした円は架橋を表す。
本開示では、ヒドロゲルは、標的剤をさらに含み得る。
場合によっては、標的剤は、少なくとも約80 kDaの分子量の巨大分子、例えば、少なくとも約80 kDaの分子量、少なくとも約90 kDaの分子量、少なくとも約100 kDaの分子量、少なくとも約120 kDaの分子量、少なくとも約150 kDaの分子量、少なくとも約180 kDaの分子量、少なくとも約200 kDaの分子量、少なくとも約250 kDaの分子量、少なくとも約300 kDa、又は、それ以上の分子量を含む。
場合によっては、標的剤は高分子を含む。例えば、標的剤は、タンパク質又はポリペプチドを含んでいてもよい。
本開示では、前記標的剤の少なくとも約20% (例えば、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約96%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は、それ以上)は、前記ヒドロゲルに結合していない遊離標的剤(例えばタンパク質)であり得る。いくつかの実施形態では、前記標的剤の少なくとも約80% (例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約96%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は、それ以上)は、前記ヒドロゲルに結合していない遊離標的剤(例えばタンパク質)であり得る。
本開示では、標的剤の約50%未満(例えば、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満又は、それ以下)は、最初の24時間(例えば、最初の24時間以内、22時間以内、20時間以内、18時間以内、16時間以内、14時間以内、12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内)以内にヒドロゲルから累積的に放出され得、標的剤の残りの部分は、約1~約36ヶ月(例えば、約1~約36ヶ月、約1~約30ヶ月、約1~約24ヶ月、約1~約18ヶ月、約1~約12ヶ月、約1~約10ヶ月、約1~約9ヶ月、約1~約8ヶ月、約1~約7ヶ月、約1~約6ヶ月、約1~約5ヶ月、約1~約4ヶ月、約1~約2ヶ月、約1~約3ヶ月、約4~約36ヶ月、約5~約36ヶ月、約6~約36ヶ月、約7~約36ヶ月、約8~約36ヶ月、約9~約36ヶ月、約10~約36ヶ月、約12~約36ヶ月、約14~約36ヶ月、約16~約36ヶ月、約18~約36ヶ月、約18~約24ヶ月、約20~約24ヶ月、約22~約24ヶ月)でヒドロゲルから累積的に放出され得る。
本開示では、標的剤は、1日超、1週間超、1ヵ月超、3ヵ月超、4ヵ月超、5ヵ月超、6ヵ月超、7ヵ月超、8ヵ月超、9ヵ月超、10ヵ月超、11ヵ月超、12ヵ月超、24ヵ月超、又は36ヵ月超でヒドロゲルから累積的に放出され得る。
本開示では、最初の24時間(例えば、最初の24時間以内、22時間以内、20時間以内、18時間以内、16時間以内、14時間以内、12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内)は、標的剤を含有するヒドロゲルが形成された時点から開始され得る。
本開示では、ヒドロゲルは、予め調製されたヒドロゲルであり得、又は混合及び注入によって体内にヒドロゲルを形成するポリマーの組成物であり得る。場合によっては、ヒドロゲルは、ミクロンサイズのヒドロゲル (微粉化ヒドロゲル) 、又は約センチメートル以上のサイズの通常のヒドロゲル (巨視的ヒドロゲル) であってもよい。他の場合には、ヒドロゲル又はポリマーの溶媒は、微粉化ヒドロゲル (巨視的ヒドロゲル中の微粉化ヒドロゲル) を含んでいてもよい。
場合によっては、上記のヒドロゲルミクロスフェア中の溶媒は、タンパク質を含んでいてもよく、又はタンパク質を封入する微粉化ヒドロゲルを含んでいてもよい。
場合によっては、巨視的ヒドロゲルは、微粉化したヒドロゲルを捕捉することがある。場合によっては、微粉化されたヒドロゲルは、高分子を物理的に捕捉することがある。
例えば、ヒドロゲルは、in situ形成巨視的ヒドロゲル及び予め形成された微粉化ヒドロゲル (図14) を含んでいてもよい。in situ形成巨視的ヒドロゲルは、予備成形微粉化ヒドロゲルを封入することができ、予備成形微粉化ヒドロゲルは、高分子を物理的に封入することができる。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲルを製造するための方法を提供し、その方法は、a)本開示の組成物を提供すること;b)組成物を緩衝剤と混合してポリマー溶液を形成すること;及びc)ポリマー溶液をヒドロゲルの形成を可能にする条件に付すことを含んでいてもよい。
本開示では、対象は、ポリマー溶液を必要とする対象に注入することを含み得る。
場合によっては、対象は、組成物を約1℃~約45℃ (例えば、約1℃~約10℃、約1℃~約8℃、約1℃~約6℃、約2℃~約6℃、約3℃~約5℃、約1℃~約45℃、約2℃~約45℃、約3℃~約45℃、約4℃~約45℃、約6℃~約45℃、約8℃~約45℃、約10℃~約45℃、約15℃~約45℃、約15℃~約40℃、約20℃~約37℃、約20℃~約45℃、約25℃~約45℃、約30℃~約45℃、約31℃~約45℃、約32℃~約45℃、約33℃~約45℃、約34℃~約45℃、約35℃~約45℃、約36℃~約45℃、約37℃~約45℃、約38℃~約45℃、約39℃~約45℃、約40℃~約45℃、約41℃~約45℃、約42℃~約45℃、約43℃~約45℃、又は約44℃~約45℃など。)でインキュベートすることを含んでいてもよい)
本開示では、ポリマー溶液は、標的剤をさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、第2のヒドロゲル形成ポリマーは、DX-O (Me) -DTTを含まなくてもよい。
別の態様では、本開示は、組成物を製造するための方法を提供し、a)前駆体ポリマーを分解性リンカーでグラフト化して、第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は第2のヒドロゲル形成ポリマーを得ること;及びb)第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は第2のヒドロゲル形成ポリマーと追加ポリマー(例えば、第2のヒドロゲル形成ポリマー又は第1のヒドロゲル形成ポリマー)をヒドロゲルの形成を可能にする条件下で混和することを含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、a) 、b) 、及びc) の工程は、1回以上(例えば、1回、2回、3回以上)実施され得る。例えば、a)、b)及びc)の工程は、巨視的ヒドロゲル又は微小化ヒドロゲルを製造するために1回実施されてもよい。別の例では、a)、b)及びc)の工程は、巨視的ヒドロゲル中の微粉化ヒドロゲルを製造するために3回実施されてもよい。
別の態様では、本開示は、標的剤を徐放する方法を提供し、その方法は、標的剤を組成物と混合して混合物を得ることと、標的剤を徐放できるヒドロゲルの形成を可能にする条件に混合物を付すことと、を含んでいてもよい。
別の態様では、本開示は、標的剤の徐放のための方法を提供し、この方法は、ヒドロゲル中に標的剤を捕捉することを含み得る。
場合によっては、方法は、組成物を約1℃~約45℃ (例えば、約1℃~約10℃、約1℃~約8℃、約1℃~約6℃、約2℃~約6℃、約3℃~約5℃、約1℃~約45℃、約2℃~約45℃、約3℃~約45℃、約4℃~約45℃、約6℃~約45℃、約8℃~約45℃、約10℃~約45℃、約15℃~約45℃、約15℃~約40℃、約20℃~約37℃、約20℃~約45℃、約25℃~約45℃、約30℃~約45℃、約31℃~約45℃、約32℃~約45℃、約33℃~約45℃、約34℃~約45℃、約35℃~約45℃、約36℃~約45℃、約37℃~約45℃、約38℃~約45℃、約39℃~約45℃、約40℃~約45℃、約41℃~約45℃、約42℃~約45℃、約43℃~約45℃、又は約44℃~約45℃など)でインキュベートすることを含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、方法は、組成物を約1℃~約45℃ (例えば、約1℃~約10℃、約1℃~約8℃、約1℃~約6℃、約2℃~約6℃、約3℃~約5℃、約1℃~約15℃、約1℃~約20℃、約1℃~約30℃、約1℃~約40℃、約32℃~約40℃、約35℃~約40℃、例えば約37℃)でインキュベートすることを含み得る。
別の態様では、本開示はキットを提供し、キットは、a)組成物;及びb)a)の組成物を用いて形成されたヒドロゲルによって徐放される標的剤を含み得る。
場合によっては、キットは、安定剤、増量剤、充填剤、希釈剤、抗付着剤、結合剤、コーティング剤、着色剤、崩壊剤、フレーバー、芳香剤、潤滑剤、及び/又は抗酸化剤のうちの1つ以上をさらに含んでいてもよい。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲルを調製するための組成物の使用を提供する。
別の態様では、本開示は、標的剤の徐放のための組成物又はヒドロゲルの使用を提供する。
本開示のさらなる形態及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。ここでは、本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明される。 理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て開示から逸脱することなく、様々な明白な点で修正可能である。 従って、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
実施例
以下の実施例は、当業者に本発明の製造方法及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために記載されており、本発明者らが発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではなくまた以下の実験がすべて又は唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用する数値(例えば、量、温度等。)の正確性を確保するための努力がなされてきたが、いくつかの実験誤差や偏差を考慮に入れるべきである。特に明記しない限り、部品は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又は大気圧に近い。標準的な略語が使用されてもよく、例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;s又はsec、秒;min、分;h又はhr、時間;aa、アミノ酸;nt、ヌクレオチド;i.m、筋肉内;i.p、腹腔内;s.c、皮下などと記載される。
実施例1 非加水分解性リンカーを介したビニルスルホン(VS) 及びチオール (SH) 基のデキストラン又はヒアルロン酸への結合
デキストラン (DX) とヒアルロン酸 (HA) を、以前に報告した方法(引用文献は、Y.Yu及びY.Chau、 「Y. Yu and Y. Chau, “One-step ‘click’method for generating vinyl sulfone groups on hydroxyl-containing water-soluble polymers,” Biomacromolecules, vol. 13, pp. 937-942, 2012.を参照されたい)を用いてビニルスルホン (VS) とチオール (SH) で官能化した。簡単に説明すると、分子量150 kDa (Wako) 、40 kDa (Sigma) 及び6 kDa (Sigma) の3つのデキストラン、又は29 kDa及び150 kDaのヒアルロン酸を、撹拌混合 (図1) を用いて、0.02 M水酸化ナトリウム溶液 (DXの場合) 及び0.1 M水酸化ナトリウム溶液 (HAの場合) 中のヒドロキシル基に過剰の (ヒドロキシルに対する1.2~1.5当量) ジビニルスルホン(DVS、97%は阻害剤としてヒドロキノンを650 ppm未満含有、Aldrich)を反応させることによって、VSペンダント基でグラフト化した。反応pHを5以下に低下させるために濃HClを添加して反応を停止させ、 VS修飾の程度を反応時間によって制御した。生成物を周囲温度下で脱イオン水に対する透析(Spectra/Por(商標)セルロース膜、7 kD MWCO、スペクトル)によって精製して過剰のDVSを除去し、その後凍結乾燥した。凍結乾燥した生成物は、使用時に-20℃以下で保存した。修飾度 (DM) はデキストランのピラノース単位当たり又はHAの二糖類単位当たりのVS基の数として計算した。VS基のDMは残留内部HDO (δ4.75、300 MHz)を用いた 1H NMR分光法から推定した。ビニルプロトンの相対量:δ6.27~6.44(q、 2 H、=CH2)、δ6.82~6.97(m、1 H、-CH=);ピラノースの相対量δ4.87~5.29(m、C1の1 H);二糖類の相対量:δ2.0 (m、3 H、-CH3)。
疎水性が変化したチオールドナー、すなわちジチオトレイトール(DTT、99%、J&K)、 1、 3‐プロパンジチオール(PDT、99%、Sigma-Aldrich)をDX‐VSに反応させて非加水分解性DX‐SHを合成した。DTT抱合のために、DX-VSを0.1 Mリン酸緩衝液(pH 7.4) に溶解し、窒素ガスでパージして溶存酸素を除去した。DTTを水に溶解し、次いでVS群に対して過剰 (6当量) のDX-VS溶液に添加し、撹拌混合により周囲温度下で2時間反応させた。(1 M) 希塩酸を用いてpHを3に低下させることにより反応を停止させた。過剰のDTTを透析(7 kD MWCO) により脱イオン水 (pH=3) 中の希薄HCl溶液に対して除去し、凍結乾燥により乾燥した。PDT結合のために、DX-VSを90℃の油浴中で2%塩化リチウム (DMF/2% LiCl) と共にジメチルホルムアミドに溶解し、次いで周囲温度まで冷却し、窒素でパージした。PDTを過剰に(6当量) VSに添加し、トリエチルアミン(TEA、99%、Sigma-Aldrich)を触媒として添加した (0.5当量) 。混合物を1時間反応させ、生成物をイソプロパノール中で沈殿させ、ペレットを水に再懸濁し、さらにDX-DTTについて記載したように透析によって精製した。
1H NMRスペクトルにおけるVS関連ピークの消失によりVSの完全な反応を確認した。DX-SH上のチオール基の実際のDMはEllmanのアッセイより測定された「u Y, Chau Y. “Formulation of in situ chemically cross-linked hydrogel depots for protein release: from the blob model perspective”Biomacromolecules.2015;16 (1) :56-65を参照されたい)
実施例2 加水分解性エステルリンカーを用いたチオール(SH) のデキストランへの共役
2.1 エステル結合を介したアクリル酸官能基化デキストラン(DX-O-CA)の合成 Ramirezの方法に従ってクロロアセチル基で官能化したデキストラン(DX-O-CA)を合成した(図2、Ramirez JC, Sanchez-Chaves M, Arranz F., "Functionalization of dextran with chloroacetate groups: immobilization of bioactive carboxylic acids".Polymer (Guildf).1994;35(12):2651-2655. doi:10.1016/0032-3861(94)90394-8を参照されたい)。簡単に述べると、デキストラン (40kDa) を90℃の油浴でDMF/2% LiClに溶解した。デキストラン溶液を周囲温度まで冷却し、次いでピリジン(99%、VWRケミカルBDH)を溶液 (デキストランのOHに対して1当量) に添加した。クロロアセチルクロリド(99%、シグマ)を添加して (デキストランのOHに対して0.1~0.5当量) 、2~6時間反応させた。DMは塩化クロロアセチルの量と反応時間によって制御できる。生成物DX-O-CAをイソプロパノール中での再沈殿によって精製し、真空中で乾燥した。アクリレートのDMを、1 H NMR:クロロ酢酸:δ4.29-4.37(m、2H、-CH2-)を用いて定量した。
2.2 DX-O-CAへのチオールドナーの結合
乾燥DX-O-CAを0.5 Mリン酸緩衝液(pH 7.4) に溶解し、次いで窒素ガスでパージした。DTT水溶液(CAに対して6~10当量) をDX-O-CAに添加し、周囲温度下で二時間反応させた (図2).反応を希塩酸を添加して停止し、反応pHを4に低下させた。過剰なDTTを透析(7kD MWCO) により脱イオン水で除去し、凍結乾燥により乾燥した。チオールのDMはEllmanアッセイを用いて定量した。
2.3 エステル結合によるメタクリル酸エステル官能化デキストラン(DX‐O‐MeA) の合成
メタクリル酸エステルは、Kim及びChuのプロトコール (図2) に従って、オキシエステル結合を介してデキストランに結合された。簡単に述べると、デキストラン(150 kDa又は40 kDa) を90℃の油浴でDMF/2% LiCl (5 w/v%) に溶解し、周囲温度まで冷却した。無水メタクリル酸(MA、94%、Aldrich)を添加し (ピラノースに0.3~0.5 X) 、触媒TEAを添加した (MAに0.01~0.1当量) 。反応を周囲温度下で一晩撹拌混合しながら進行させた。中間体デキストラン‐メタクリル酸(DX‐O‐MeA) をイソプロパノールを用いて3回沈殿させ、ペレットを真空乾燥した。乾燥ペレットを水に再懸濁し、さらに透析(7 kD MWCO) によって脱イオン水に対して精製し、凍結乾燥した。メタクリル酸のDMを 1 H NMR分光法を用いて定量した:ビニルプロトン:δ5.71~6.20(d、 2 H、=CH2)、メチルプロトン:δ1.9 (m、3 H、-CH3)。
2.4 DX-O-MeAへのチオールドナーの結合
凍結乾燥DX-O-MeAをDMSOに2~5% w/vで溶解し、窒素ガスでパージした。疎水性が異なる4種類のチオールドナー:1、 2‐エタンジチオール(EDT、98%、Sigma-Aldrich);1、 3-プロパンジチオール(PDT、99%、Sigma-Aldrich);2、 3-ジメルカプト-1-プロパノール(DMP、98%、Sigma-Aldrich);とDTTをTEA (0.5 eqからMA) 触媒Michael付加によりDX‐O‐MeAに結合した。チオールドナーを過剰に (MAに対して6~10当量) 添加し、攪拌混合 (図2) により周囲温度で1時間反応させた。チオール化デキストランを収集し、 DX‐O‐MeAに対して同じ方法を用いて精製した。MAの完全な消費は、 1H NMRスペクトルにおける消失関連シグナルにより確認した。チオール基のDMはEllmanアッセイにより定量した。
2.5 アクリル酸ビニル(VA) 及びメタクリル酸ビニル (VMA) のデキストランへの結合
アクリル酸ビニル (VA) 及びメタクリル酸ビニル (VMA) を、図3に示すようにデキストランに結合させた。非加水分解性DX-DTT又はDX-PDT (実施例1から得られた) をジメチルスルホキシド(DMSO、99%、Sigma-Aldrich)に2~5% w/vで溶解し、窒素でパージした。アクリル酸ビニル(VA、98%、Sigma-Aldrich)又はメタクリル酸ビニル(VMA、98%、Sigma-Aldrich)を過剰に添加した (SHに対して10~20当量) 。TEAを0.5% v/vの最終濃度で触媒として添加した。反応は、撹拌混合を用いて周囲温度下で1時間実施した。ポリマーをイソプロパノール中で沈殿させ、ペレットを真空中で短時間乾燥し、脱イオン水に再溶解し、さらに脱イオン水に対する透析 (7 kD MWCO) によって精製し、次いで凍結乾燥によって乾燥した。ビニルのDMを`1‘H NMR分光法:ビニルプロトン:δ7.10~7.22(日、 1 H)を用いて定量した。これらの2つの重合体をDX‐SH‐VA及びDX‐SH‐VMAと命名した。
2.6 DX-SH-VA及びDX-SH-VMAへのチオール基の結合
乾燥DX-SH-VA又はDX-SH-VMAを2~5% w/vでDMOSに溶解し、窒素ガスでパージした。ラジカル開始剤Iー2959 (イルガキュア-2959、98%シグマ-アルドリッチ)を最終濃度0.5 w/v%で添加した。チオール供与体 (PDT又はDTT) を過剰に添加し (ビニルに対して10当量) 、ラジカルチオールーエン付加によってビニル基に共役させた。反応は、石英管中で、UV-A (354 nm) 照射下、周囲温度で3時間、撹拌混合により進行させた。最終生成物を沈殿及び透析によって精製し、前の実施例と同様に凍結乾燥した。チオールのDMはEllmanアッセイを用いて定量した。
得られた種々の加水分解性エステルリンカーを有する修飾デキストランを表1に示す。
Figure 2023510380000010
重合体は[ポリマー、分子量、官能基、DM]の形式で略した。例えば、40 kDa及び5% DMを有するVS修飾デキストランは、DX 40 k-VS_5及びDX 40 k-DTT_5として示された。イースターリンカーを有する-SH官能化デキストランは、 「DX-O-SH」 と略記される。
実施例3 加水分解基含有マレイミド修飾ヒアルロン酸(HAーMI) の合成
分子量27 kDaのヒアルロン酸 (HA) をContipro a.s (ドルニ・ドブルック)から得た。分子はマレイミド基 (MI分子) を含む (構造:
Figure 2023510380000011
)契約研究機関である中国南方科技大学が提供した。4ー(4、 6-ジメトキシ-1、 3、5-トリアジン-2-イル)ー4ーメチルモルホリニウムクロリド (DMTMM) をアラジンバイオテクノロジーから得た。実施例1と同様に非加水分解性チオール修飾デキストラン (DXーSH) を合成した。
27 kDaのHAを1 mMのPBに24 mg/mlの濃度で溶解した。MI分子を1 mMのPBに9.72 mg/mlの濃度で溶解した。溶解が完了した後、等量のHA溶液及びMI溶液を、それぞれ2 mlで撹拌することにより、20 mlのガラスシンチレーションバイアル中で混合した。次いで、DMTMM 66.4 mgを添加する前に、0.1 M NaOH溶液400 ul又は800μLを滴下してpH値を調整した。MIからDMTMMへのHAからの‐COOHと‐NH2のモル比は1:0.5:2であった。160μLの25% NaClを添加し、50 mLコニカルチューブ中の20 mLエタノール中で沈殿させることにより、反応を72時間で停止した。沈殿物を、8000 rpmで5分間の遠心分離及び上澄液のデカンティングによって分離した。残渣ペレットをDI 10 mLに再溶解し、さらに3日間、4 Lの0.6 mM HCl溶液 (pH=4) 中での透析によって精製した。透析緩衝液を1日2回交換した。2日間の凍結乾燥後、白色の綿様固体が得られた。生成物の構造を1H NMRによって特性化した。結果を図16に示す。HA‐MIの合成に成功した。
実施例4 ヒドロゲルの調製
ヒドロゲルは、巨視的ヒドロゲル、微粉化ヒドロゲル、又は巨視的ヒドロゲル中の微粉化ヒドロゲルの3つの形態であり得る (図4) 。
4.1 ブランク及びタンパク質含有ヒドロゲルの調製
ブランクのヒドロゲルを、 1:1の体積比で異なる‐VSと‐SH官能化重合体を混合することによって形成した。-VS官能化ヒドロゲル前駆体 (DX-VS) をpH 7 PBSに溶解した。チオール官能化重合体(DX-DTT及び加水分解性DX-O-SH)を溶解時のジスルフィド架橋を最小にするために水に溶解した。前駆体ポリマーを4℃で完全に混合し、約30~50 ulの半球状液滴として疎水性表面上にピペットで注入し、次いで、周囲温度で湿度の高いチャンバー中で一晩インキュベートした。緩和状態での半球ヒドロゲルの湿重量を初期重量W0と定義した。IgGタンパク質としてベバシズマブ(Avastin (商標) Roche Ltd. (スイスバーゼル))とIgGーFITC (Sigma-Aldrichのヒト血清から)の2種類を用いた。タンパク質負荷ヒドロゲルは、pH調整タンパク質溶液 (pH=7) 中にVSポリマーを溶解することを除いて、ブランクヒドロゲルと同じ方法を使用して形成され、特に指定されない限り、-VSポリマーは、積載タンパク質と残りのVS基との望ましくない反応を最小限に抑えるために、質量比1:2で-SHポリマーと混合された。特に明記しない限り、 in vivo適用に用いた製剤では、 HA‐VSをpH調整したアバスチン溶液に溶解し、そのpHは0.4 M Na2HPO4 緩衝液の1/10容量を加えて約7であった。DX-SHをアバスチン溶液に直接溶解した。
4.2 微粉化ヒドロゲルの調製
溶解したHA-VS及びDX-SHを、実施例3.1に記載したようにアバスチン溶液に溶解し、十分に混合した。約400μLを20 mLの油相に移し、通常のボルテックスを用いて周囲温度下で最大速度で一時間撹拌し、微粉化ヒドロゲル (微小ゲル) を形成した。油相は、SPANー80/TWEENー80/nーヘプタンの体積比2:1:97の混合物であった。微小ゲルを短時間スピンダウンした後、上清油相を廃棄した。微小ゲルを、それぞれ6回、過剰の無水エタノール及びDI水で連続的に洗浄した。微小ゲルは、5000 rpm未満の遠心分離を用いて各洗浄工程後に収集された。その後、アバスチンを微小ゲルに添加し、使用時に4℃で保存した。
あるいは、粒子は、微小流体デバイスによって調製することができる。
4.3 巨視的ヒドロゲル中の微粉化ヒドロゲルの調製
HA-VSを0.1 Mリン酸緩衝液(pH 7.4) に溶解し、DX-SHをDI水に溶解した。2つの成分を完全に混合し、一時的に氷に保存した。この混合物をマクロゲル前駆体として用いる。実施例3.2に従って調製した微小ゲルを遠心管に移した。過剰のアバスチン溶液をピペッティングによって除去し、微小ゲルを秤量した。液体形態のマクロゲル前駆体を1:1の重量比で微小ゲルに添加し、混合した。in vivo研究のために、混合物をウサギ硝子体チャンバーに注入した。in vitro放出及び分解/膨潤研究のために、混合物を約30~50 ulの半球状液滴として疎水性表面上にピペットで滴下し、次いで周囲温度の湿潤チャンバー中で一晩インキュベートした。
実施例5 ヒドロゲルの膨潤及び分解の測定
ヒドロゲルを2ml遠心管に入れ、0.02 w/v%NaN3を含む1 ml PBSを膨潤緩衝液として用い、 37℃でインキュベートした。所定の時点で、ヒドロゲルを膨潤緩衝液から取り出し、ティッシュペーパーを用いて注意深くブロット乾燥し、重量を測定した。ヒドロゲルの膨潤比 (Qw) は、膨潤前sのヒドロゲルの重量 (W0) に対する時間t (Wt) での湿潤重量として定義した。
実施例6 加水分解性ポリマーの加水分解速度の測定
これらの加水分解性ヒドロゲル前駆体のエステル加水分解速度は、前述したようにD2O中の1H NMRを用いて測定した (Lau CML、 Jahanmir G、 Chau Y.“Local environment-dependent kinetics of ester hydrolysis revealed by direct 1H NMR measurement of degrading hydrogels”.Acta Biomater.October 2019を参照されたい.).簡単に述べると、試料高分子を溶媒としてD2O (99.8原子%D、J&K)を用いて調製した0.2 Mりん酸緩衝液(pD 7.7) に溶解し、 37℃でインキュベートした。 1H NMRスペクトルをVarian水銀300 MHz高分解能NMRスペクトロメータ上のVNMRJ 2.2 D (Agilent、米国)を用いて周期的に記録した。エステル加水分解速度をエステル隣接メチル積分の変化から計算した。
ChemAxon (https://chemicalize.com/) が開発したオンラインプラットフォームChemicalizeを用いてpKa値を予測した。
実施例7エステルリンカー化学を調節することによるヒドロゲル分解の制御
種々のデキストラン共役エステル結合体の構造及び計算された加水分解半減期を要約し、比較した (表2) 。溶媒としてD2Oを用いて調製したpD 7.7リン酸塩緩衝液中での1H NMRスペクトルにおけるエステル隣接メチル基の特徴的化学シフトに基づいてエステルのt 0.5を測定した。
Figure 2023510380000012
DX‐O‐DTTは簡単なエステル化学を有し、エステルはデキストランピラノースに直接結合した。DX-O (Me) -DTTはDX-O-DTTとは異なり、カルボニル基の隣に炭素が1つ多く、メチル基が1つある。メチル基の増加及び疎水性ならびに電子供与効果は、分解時間を8時間から2週間に増加させた (図5) 。加水分解半減期をさらに増加させるために、より疎水性のチオールドナーPDTをDTTの代わりに用いた。 疎水性の増加は、エステルt0.5を約5.6日から約7.4日までさらに延長した (表2) 。
上記ヒドロゲル製剤はすべて数週間以内に分解し、これはほとんどの放出制御適用には短すぎた。結果は、 OH-に対するカルボニル感受性のみに影響する、上記エステルリンカーではカルボニル側のみが修飾されるという制限に帰せられた。しかし、アルキルオキシ側の脱離傾向は変化しなかった。デキストランヒドロキシ基の最も強い酸性pKaが37℃で11.8であることを考えると(Larsen C. "Macromolecular prodrugs.XIII.Determination of the ionization constant of dextran by potentiometric titration and from kinetic analysis of the hydrolysis of dextran indomethacin Ester conjugates".Int J Pharm.1989 52(1):55-61を参照されたい)、例えばヒドロキシのpKaを増加させる電子吸引性の隣接基を結合させるなど、何らかの修飾があれば半減期が延長され、逆もまた然りである。この原理に従って、二つの脱離基、 1‐ (ヒドロキシメチルチオ) ‐4‐メルカプト‐2、 3‐ブタンジオール及びpKa値がそれぞれ15.8及び15.6の(3‐メルカプトプロピルチオ) メタノールを設計した。
DX‐DTT‐VMA‐DTTの実験測定半減期は約54 d、 DX‐DTT‐VMA‐PDTでは53 dであった。結果は反応機構の一般的理解とよく一致し、より悪い脱離基 (R‐OH) はエステル半減期を延長した。加えて、アルキルオキシ側がDTTで安定化された場合、 DX‐PDT‐VMA‐DTTの半減期が約113 dであるので、カルボニル側の疎水性モジュレータは相乗効果を示した (表2) 。
実施例8 ポリマーネットワークへのタンパク質共有結合の防止
8.1 ネイティブなSDS-PAGEによるタンパク質完全性分析
表3のIgG積載 (FーIgG及びベバシズマブ) ヒドロゲルを、種々のVSポリマー/SHポリマー比で実施例3.1に記載したように得た。
ヒドロゲルを2 mlチューブに入れ、1 mlのPBSをゲルに加えた。次いで、ゲルが完全に分解するまで、チューブを37℃でインキュベートした。 分解産物の非還元SDS‐PAGEを行い、分解後のタンパク質のMWを評価した。PBS中のF-IgG及びF-IgGは5% DMの30% DX-VSを溶解し、アバスチン及び30%でアバスチンに溶解した5% DMのDX-VSを対照として用いた。SDS-PAGE実験は、メーカーのガイドラインに従って、ミニ-PROTEANシステム(Bio-Rad Laboratories、米国)と共にプレキャスト4-15%勾配ゲル(BeyoGel Plus PAGE、中国Beyotime)を用いて行われた。タンパク質は前染色タンパク質ラダー(BeyoColor 6.5-270 kDa、中国Beyotime)に関してクマシーブルー(中国BeyoBlue社) (又はFITC-IgG、F-IgGについてはUVモードで撮像)で染色した。ゲル中の遊離タンパク質のパーセンテージを定量するために、オンラインチュートリアル (https://di.uq.edu.au/community-and-alumni/sparq-ed/sparq-ed-services/using-imagej-quantify-blots) に従ったImageJ 1.52を用いて、放出されたIgGのバンド強度を非カプセル化IgGタンパク質のバンド強度と比較した。
8.2 実験結果
完全に分解されたヒドロゲルから放出された後のタンパク質サイズを評価するために、非還元SDS-PAGEを実施した (図6-7) 。加水分解性ヒドロゲルは、DX 40 k-VS及びDX 40 k-O (Me) -DTT、両方とも5%のDMを有するものを、異なる濃度で混合することによって調製した (表3及び図) 。6).F-IgGの負荷及びインキュベーションは、前述したものと同じであった。全てのヒドロゲルが完全に分解した後、 F‐IgGと分解生成物の粗混合物を精製することなく非還元SDS‐PAGE分析にかけた。天然F-IgG及び天然DX 40 kを有するF-IgGを対照として含めた。PAGEゲルを、それぞれ明視野 (図6A) 及びUV (図6B) 下で画像化した。大部分のタンパク質は、 VSポリマ/SHポリマ質量比 (以後、VS/SH比と呼ぶ) がヒドロゲル前駆体への化学的共役から0.67より高いとき、ウェルに捕捉された。VS/SH比の0.67への低下は、望ましくないVS‐アミン結合を阻害し、チオールがアミンよりビニルスルホンに対するより高い反応選択性を有するため、負荷したタンパク質をそれらの天然の立体配座で保持するのに有効であった。市販の F-IgG はポリクローナルであり、安定化剤として BSA を添加しているため(製品説明には記載されていないが、技術サポートで明らかにした)、SDS-PAGE ゲルには複数のバンドが観察された。
5%のDMを有するDX 40 k‐VSとDX 40 k‐O (Me) ‐DTTから成るヒドロゲルから放出されたモノクローナル抗体ベバシズマブを、異なる濃度で同じ方法を用いて分析した。結果は同様であり、タンパク質がポリマーに結合しないためには、VS/SH比は1未満であるべきである (表4及び図7).第7レーンと比較して、第2レーンから第6レーンの遊離タンパク量は99.1%、97%、 98.9%、 90.7%、 12.3%であった。
Figure 2023510380000013
Figure 2023510380000014
実施例9 ヒドロゲルデポからのタンパク質放出の測定
ヒドロゲルを2ml又は4mlチューブに入れ、0.02 w/v%NaN3を含む1ml PBSを放出緩衝液として用いた。NaN3を添加して、長期インキュベーション中の放出緩衝液中の細菌増殖を防止した。明記しない限り、PBSのpHは7.4であった。場合によっては、pHを4.5に調整した。各時点で、放出緩衝液を取り出し、新しい緩衝液と交換した。放出緩衝液中の本薬濃度は、Bradford's Assay (Bio-Rad Laboratories、 Inc. (米国カリフォルニア州))を用いて製造販売業者の指示に従って測定された。F‐IgGの濃度を96ウェルプレートを用いて490/520 nm励起/発光で吸光分光分析により測定した。蛍光強度-IgG濃度標準曲線を、それぞれpH 4.5及びpH 7.4のPBSで確立した。
実施例10 ヒドロゲルメッシュサイズを操作することによる初期放出の制御
ヒドロゲルの平均メッシュサイズ (ξavg) とその多分散性は、理論的に高分子網目中の溶質分子の拡散挙動を支配する重要なパラメータであると考えられる。ポリマー濃度を変化させた非加水分解性ヒドロゲルからのモデルタンパク質ベバシズマブの累積放出を調べ、初期放出とξavgの間の関係を示した。ξavgは緩和状態でのみポリマー濃度の変化により調節した (表5) 。分子量とDMは異なる群で同じであった。ポリマー濃度を9%から30% w/vに増加させることによって、初日の初期放出の割合を90%からわずか10%に制御した (図8) 。
Figure 2023510380000015
実施例11 架橋分解による持続性タンパク質放出
タンパク質放出挙動は2相からなる。初期相では、タンパク質はヒドロゲルから放出され、放出速度はポリマー濃度に関連した。全てのヒドロゲル製剤において、タンパク質がゲルから放出されない、あるいは非常に遅い速度で放出されない第二相が見られた。
DX-VSと架橋するためにDX 40 k-O (Me) -DTTを用いる加水分解性ゲルを、実施例3に記載したように合成した。ポリマー濃度とVS/SH比の処方を表6に示した。F‐IgGを全てのヒドロゲルのモデルタンパク質として用いた。
Figure 2023510380000016
DX-O (Me) -DTT中のエステルは、DX-VSで架橋されたとき、溶液状態 (表6) で約5.6 d、ヒドロゲル状態で2.9 dの加水分解半減期(pH 7.4で37℃)を有する (au CML、 Jahanmir G、 Chau Y. Chau Y. “Local environment-dependent kinetics of ester hydrolysis revealed by direct 1H NMR measurement of degrading hydrogels Acta Biomater.October 2019 を参照されたい)
ヒドロゲルの高分子マトリックスは高度に水和されているので、加水分解開裂速度はヒドロゲル全体に遍在すると予想される。従って、加水分解性ヒドロゲルは表面よりもむしろバルクで主に分解する。架橋におけるエステルのランダムな開裂は、架橋の有効数の減少をもたらす。Floryのモデルによると (Peppas NA、 Lustig SRSolute Diffusion in Hydrophilic Network Structures.In: Peppas NA、 ed. Hydrogels in Medicine and Pharmacy. (『医薬品におけるヒドロゲル』) 。Vol. 1.Fundamentals.Boca Raton, FL: CRCプレス;1986:57ー83を参照されたい) では、架橋の数が減少するとゲルの弾性エネルギーが減少し、それに応じて膨潤比が増加する。従って、経時的な膨潤比の変化を指標バルク浸食として用いた (図9 A) 。
すべての製剤において、タンパク質の一部は、非分解性ゲル (図8) については、放出されないか、又はほとんど検出不可能な速度で放出されたが、すべてのタンパク質は、加水分解性架橋を含むヒドロゲル (図9 B) において放出された。前駆体ポリマーのDM及び分子量が一定に保たれた場合、全ポリマー濃度を15%から30% w/vに増加させると、初期放出が減少し、より滑らかな劣化駆動放出特性を得ることができる (図9B) 。
総ポリマー濃度を30% w/vに維持すると、DMは5%から8%に増加し、DX-VSの分子量は40 kDaから150 kDaに増加し、ゲル寿命は12日から30日以上に延長した (図9A) 。
負荷IgGの放出挙動は初期段階で分解性及び非加水分解性ヒドロゲル間で類似しており、その後放出曲線は分岐した。IgG分子は、メッシュ構造が完全に崩壊するまで加水分解性ヒドロゲルから徐々に放出されたが、IgG放出速度は、非加水分解性ヒドロゲルについては非常に低かった (図9B) 。
放出緩衝液のpHを変えることによるヒドロゲル分解とタンパク質放出の間の関係をさらに調べた。pHを7.4から4.5に低下させるとOHー触媒加水分解開裂が抑制され、これは膨潤速度の変化に反映される。初期放出相を除いて、タンパク質の放出速度はpH 4.5で有意に低下したが、 pH 7.4では有意に加速された。
pHを7.4と4.5の間で交互に変えると、 pH変化に応じてIgGの迅速/緩徐放出パターンが生じた。
これらのデータはIgG放出が分解依存性であることを示唆した。
実施例12 異なる加水分解性骨格の混合によるタンパク質放出速度の制御
2つの加水分解性ヒドロゲル製剤、急速分解性成分A (リンカーS 2、t0.5=5.6 d)及び緩徐分解性成分B (リンカーL 2、t0.5=54 d)を実施例3に記載したように調製した。製剤を表7に示す。
Figure 2023510380000017
他のすべての製剤パラメータは同じままであった。重合体濃度を30% w/vに制御し、 VS/SH比を0.5にした。成分A及びBを2つの比率で混合した: 25 A/75 Bと50 A/50 Bの2種のハイブリッドヒドロゲルを得た。図10は、37℃、pH 7.4におけるF-IgG (A) 及び対応するヒドロゲル膨潤 (B) の累積放出を示したデータは平均値±標準偏差 (n=3) で示した。
例13 タンパク質封入ヒドロゲルのIn vivo薬物動態
実施例3に記載したように、ヒドロゲル1、2及び3を得た。HA‐VSとDX‐DTT‐VMA‐DTTからなるヒドロゲル1は、ポリマ質量比が1:2で全ポリマ濃度が23%であった。巨視的ヒドロゲル中の微粉化ヒドロゲルからなるヒドロゲル2。HA-VS及びDX-DTT-VMA-DTTからなる微粉化ヒドロゲルは、ポリマー質量比が1:2であり、総ポリマー濃度が23%であり、HA-VS及びDX-DTT-VMA-DTTからなる巨視的ヒドロゲルは、ポリマー質量比が1:2であり、総ポリマー濃度が18%である。HA‐VSとDX‐DTT‐VMA‐DTTからなるヒドロゲルを高分子質量比1:2、全高分子濃度23%で微粉化した。 ヒドロゲル1、2及び3の処方を表8に示す。
ヒドロゲル製剤1及び2は、in vitroで少なくとも3ヵ月間ベバシズマブを放出することができた。製剤3のin vitro放出動態は、粒子が放出測定中にピペッティングによって除去される可能性があるため測定しなかったが、製剤2 (図11 B) の微小ゲルと同じであるため、製剤1及び2と同様のタンパク質を放出し続けることが予想される。
Figure 2023510380000018
13.1 ウサギの硝子体内注射
3~4 kgの雌ニュージーランド白色ウサギを用いた。全ての処理前に、ウサギをケタミン/メデトミジン混合物の筋肉内注射により麻酔した。ヒドロゲル前駆体を前述のように調製し、氷浴中で冷却した。十分に混合した後、混合物を29ゲージ、長さ12 mmの針を有するインスリン注射器に装填した。 注射前に麻酔ウサギの角膜をアルカインで局所麻酔し、次いでトブレックスで消毒した。ベバシズマブ約1 mgを含有する約40μLを、上耳側縁より3 mm後方の扁平部の眼に硝子体内注入した。注射後の感染を避けるため、トブラマイシン軟膏を眼表面に塗布した。PBS又はベバシズマブ (アバスチン) のボーラス投与も同様に行った。
網膜眼底及び硝子体内ヒドロゲルは、オペレーティングシステムiOS 9 (アップル、米国)を有するiPhone 6 Sに取り付けられた眼底造影システム(Volk iNview、Volk Optical、米国)を用いて、定期的に視覚的に検査された。検査前にウサギを麻酔し、ミドリアシル(商標)で瞳孔を拡張した。視神経乳頭近傍の上、下、側頭、鼻領域を記録した。
IOPは、製造者のマニュアル指示に従い眼圧計(TonoVet、icare、フィンランド)を用いて測定した。平均IOPは各時点で各眼の6つの測定値から算出した。
13.2 ウサギ眼におけるタンパク質の測定
各時点で31ゲージ針を備えたインスリン注射器を用いて前房から約150μLの房水を採取した。採取した試料は、2%w/vウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSで等量希釈し、測定まで-80℃の冷凍庫で保存した。房水中のベバシズマブは、Yuら(Y.Yu、 X.Lin、 Q.Wang、 M.He、 andY.Chau、 "Long-term therapeutic effect in nonhuman primate eye from a single injection of anti-VEGF controlled release hydrogel、" Bioeng.Transl.Med.、 2019参照)に従ってサンドイッチ酵素結合免疫吸着測定(ELISA)により定量化された。簡単に述べると、凍結乾燥したVEGFA-165をストックとして100ug/mLで水に溶解し、PBSで希釈してコーティング用濃度として0.3ug/mLとした。洗浄緩衝液として0.05%v/v TWEEN20を含むPBSを使用した。ブロッキング緩衝液は1% w/v BSA in PBSを使用した。ベバシズマブ標準品、水性サンプル、IgG-HRPは同様に1%BSAで希釈した。
高親和性96ウェルプレートを、アバスチン/PBS 0.25μg/mLの90 uLで、4℃で一晩かけ被覆した。350 uL 1% BSAで2時間遮断した後、ベバシズマブ標準及び100 uLの水性体液試料をさらに2時間インキュベートし、続いて1μg/mL濃度で100μLのIgG-HRPを1時間インキュベートした。各工程後、各ウェルを300μLの洗浄緩衝液で3回洗浄した。コーティングを除いて、全てのインキュベーション段階を周囲温度で実施した。その後、各ウェルに100uLのTMBを添加し、色の濃さに応じて15~30分間暗所でインキュベートした。十分な青色を呈した後、各ウェルに50μLの2M HClを加えて反応を停止させ、黄色に発色させた。標準品は3連で測定し、水性試料は2連で測定した。Varioskan LUXプレートリーダー(ThermoFishers社製)で450 nmの吸光度を測定し,SkanIt 6.0(ThermoFisher社製) を用いて5パラメータロジスティック(5PL)アルゴリズムで吸光度のベバシズマブ濃度標準曲線をフィッティングし た。
13.3 実験結果
ボーラス投与では、眼内濃度は一次消失速度で減少した。算出された半減期は4日であった。 対照的に、三つのヒドロゲル製剤すべてについて、消失速度は約40日後に有意に減少した。57日目に、ベバシズマブの水性濃度はボーラス注射群ではもはや検出されなかったが、すべてのヒドロゲル群で検出され続け、ヒドロゲルが数カ月にわたって眼中にタンパク質を放出することができたことを示した (図11 A) 。ボーラス投与後の眼内ベバシズマブ濃度のシミュレーションは、一次消失動態と計算された半減期に基づいて行われた。
実施例14 ウサギの眼におけるタンパク質封入ヒドロゲルのIn vivo生体適合性
ウサギの眼に3種類のゲル(表8の製剤1、2及び3)) を注射すると、このゲルは短期的にも長期的にも動物に適合することが示される。網膜構造又は媒体透明度の全体的な変化は、三つの処方の全てについて見られない (図12) 。
実施例15 HA-MI及びDX-SHによって形成されたヒドロゲルの分解及びタンパク質放出
15.1 実施例3で得られた27 kDa及び3%及び18% DMの膨潤試験HA-MIをリン酸緩衝液 (PB) に120 mg/mlで溶解し、ここで3% DMのHA-MIを0.02 M PBSに溶解し、18% DMのHA-MIを0.1 M PBSに溶解した。40 kDaと5% DMのDEX‐SHを240 mg/mlでPBに溶解した。完全溶解後、両溶液を、1:1の体積比(MI樹脂/SH樹脂の質量比又はMI/SH比=0.5)で混合する前に、冷蔵庫で15分間冷却した。形成されたゲルを最初の質量について加重し、次いで、アジ化ナトリウム0.03%を含有するPBS 2 mlに移した。膨潤試験は37℃のインキュベーター中で行った。各時点で、ゲルをブロット乾燥及び重量測定し、緩衝液をアジ化ナトリウム0.03%を含有する新鮮なPBSで置換した。
結果を図に示す。17は、ポリマーが分解可能であり、ヒドロゲルのゲル寿命が300時間以上であることを示している。
15.2 遊離試験
27 kDa及び18% DM (8 mg) のHA-MIを67μLのPBSに溶解した。40 kDa及び6% DM (16.13 mg) のDEX-SHを67μLのアバスチンに溶解した。完全に溶解した後、両方の溶液を15分間アイスボックス中で冷却した。室温のパラフィルム片上で、各HA-MI及びDEX-SH溶液20μLを混合し(MI/SH比=0.5)、ゲルを37℃で30分間インキュベートし、ゲルを形成した。その後、ゲルを重量測定し、遠心管に移した。0.03%のアジ化ナトリウムを含むPBSを放出緩衝液として用いた。各時点で、緩衝液を取り出し、新しい緩衝液と置き換えた。タンパク質濃度は、製造業者の指示 (Biorad) によりBradfordアッセイにより測定された。
結果を図に示す。18は、タンパク質が200時間を超えて前記ヒドロゲルから累積的に放出されたことを示した。
本明細書では、本発明の好ましい実施形態が示され、説明されてきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明は、明細書中で提供される具体例によって限定されることは意図されない。上述の明細書を参照して本発明を説明したが、本明細書の実施形態の説明及び図示は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。 本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更、及び置換が生じ得る。さらに、本発明のすべての態様は、種々の条件及び変数に依存する本明細書に記載された特定の描写、構成又は相対的比率に限定されないことが理解されるものとする。 本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物が、本発明の実施において使用され得ることを理解されたい。 従って、本発明は、そのような代替物、修正物、変形物又は均等物も包含するものと考えられる。 以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造ならびにそれらの均等物がそれによってカバーされることが意図される。

Claims (37)

  1. 少なくとも1つの第1のヒドロゲル形成ポリマー及び少なくとも1つの第2のヒドロゲル形成ポリマーを含む組成物であって、前記第1のヒドロゲル形成ポリマーは、前記ヒドロゲル形成第2のポリマーと反応して前記ヒドロゲルを形成することができ、前記ヒドロゲルは分解性であり、標的剤の持続放出を可能にし、ここで、前記第1のヒドロゲル形成ポリマーは、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を含み、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第1の修飾を含み、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、求電子性であり、前記第2のヒドロゲル形成ポリマーは、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を含み、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第2の修飾を含み、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、求核性であることを特徴とする組成物。
    前記第1のヒドロゲル形成ポリマーと前記第2のヒドロゲル形成ポリマーとの質量比が1未満である。
  2. 前記第1の修飾が、ビニル、アクリロイル、チオール、アルケン、チオールエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、イミドエステル、フルオロフェニルエステル、炭酸塩、カルボジイミド、ジスルフィド、アジリジン及びそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記第1の修飾が、ビニルスルホン、マレイミド、アクリレート、メタクリル酸、エポキシド及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~2のいずれか一項に記載の組成物。
  4. 前記第2の修飾が、チオール、アミン、アジド、ヒドラジド、ジエン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン及びそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーが、多糖類、その誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1~4のいずれかに一項に記載の組成物。
  6. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーが、ヒアルロン酸、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーが、デキストラン、ヒアルロン酸、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記ヒドロゲルが、分解酵素の関与なしに加水分解可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーの少なくとも1つが分解性リンカーを含む、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
  10. 前記分解性リンカーが加水分解性官能基を含む、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記加水分解性官能基が、エステル基、無水物基、及びアミド基から選択される、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記エステル基が、オキシエステル基及びチオールエステル基から選択される、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体が約40%未満の第1の平均修飾度 (第1のDM) を有し、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体が約40%未満の第2の平均修飾度 (第2のDM) を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 前記第1のDMと前記第2のDMとの比が約3:1~約1:3である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体が、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又はそれらの組合せであり、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体が、1つ以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、又はそれらの組合せである、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
  16. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び前記第2のヒドロゲル形成ポリマーが、約1 kDa~約500 kDaの重量平均分子量を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
  17. 前記組成物が粉末である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
  18. 前記組成物が液体組成物であり、前記液体組成物中の前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーの濃度が約1% w/v約50% w/vである、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
  19. 請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物で形成された、標的剤の徐放性ヒドロゲル。
  20. 前記ヒドロゲルが、標的剤をさらに含む、請求項19に記載のヒドロゲル。
  21. 前記標的剤が高分子を含む、請求項19~20のいずれか一項記載のヒドロゲル。
  22. 前記標的剤が、分子量が少なくとも約80kDaの高分子を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
  23. 前記標的剤の少なくとも約20%が、前記ヒドロゲルに結合していない遊離の標的剤である、請求項19~22のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
  24. 前記標的剤が、タンパク質又はポリペプチドを含む、請求項19~23のいずれか一項記載のヒドロゲル。
  25. 前記標的剤の約50%未満が、前記ヒドロゲルから最初の24時間以内に累積的に放出され、前記標的剤の残りの部分が、約1~約36ヵ月以内に前記ヒドロゲルから累積的に放出される、請求項19~24のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
  26. 巨視的ヒドロゲル及び微粉化ヒドロゲルを含む、請求項19~25のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
  27. 請求項26に記載の微粉化ヒドロゲルをさらに含む、請求項19~26のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
  28. 請求項19~27のいずれか一項に記載のヒドロゲルを調製する方法であって、以下を含む:請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を提供すること;前記組成物を緩衝剤と混合してポリマー溶液を形成すること;及び前記ポリマー溶液をヒドロゲルの形成を可能にする条件に付すこと。
  29. 前記対象が、前記ポリマー溶液を必要とする対象に注入することを含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記対象が、約1℃~約45℃で前記組成物をインキュベートすることを含む、請求項29に記載の方法。
  31. 前記ポリマー溶液が、前記標的剤をさらに含む、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、以下を含む:前駆体ポリマーを分解性リンカーでグラフト化して、第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は第2のヒドロゲル形成ポリマーを得ること;及び前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリシーを混合し、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマーがヒドロゲルの形成を可能にする条件下で反応し得ること。
  33. 請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物と前記目的剤とを混合して混合物を得、前記混合物を前記目的剤の徐放が可能なヒドロゲルの形成が可能な条件に付すことを含む、目的剤の徐放方法。
  34. 標的剤をヒドロゲル中に封入することを含む、請求項19~27のいずれか一項に記載の標的剤の徐放方法。
  35. 請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物;及び以下を含む、キット。
    a)の組成物を用いて形成されたヒドロゲルによって徐放されるべき標的剤。
  36. ヒドロゲルを製造するための請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  37. 標的剤の徐放のための、請求項1~18のいずれかに記載の組成物、又は請求項19~26のいずれかに記載のヒドロゲルの使用。
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