JP7440099B2 - 標的作用物質の制御放出のための組成物及び方法 - Google Patents

標的作用物質の制御放出のための組成物及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7440099B2
JP7440099B2 JP2021502884A JP2021502884A JP7440099B2 JP 7440099 B2 JP7440099 B2 JP 7440099B2 JP 2021502884 A JP2021502884 A JP 2021502884A JP 2021502884 A JP2021502884 A JP 2021502884A JP 7440099 B2 JP7440099 B2 JP 7440099B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogel
forming polymer
derivative
degradable
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021502884A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021531289A (ja
Inventor
イン チョウ
チー ミン ローレンス ラウ
ユー ユー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hong Kong University of Science and Technology HKUST
Original Assignee
Hong Kong University of Science and Technology HKUST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hong Kong University of Science and Technology HKUST filed Critical Hong Kong University of Science and Technology HKUST
Publication of JP2021531289A publication Critical patent/JP2021531289A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7440099B2 publication Critical patent/JP7440099B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/06Ointments; Bases therefor; Other semi-solid forms, e.g. creams, sticks, gels
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/22Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against growth factors ; against growth regulators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/06Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite
    • A61K47/20Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite containing sulfur, e.g. dimethyl sulfoxide [DMSO], docusate, sodium lauryl sulfate or aminosulfonic acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/30Macromolecular organic or inorganic compounds, e.g. inorganic polyphosphates
    • A61K47/36Polysaccharides; Derivatives thereof, e.g. gums, starch, alginate, dextrin, hyaluronic acid, chitosan, inulin, agar or pectin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0012Galenical forms characterised by the site of application
    • A61K9/0019Injectable compositions; Intramuscular, intravenous, arterial, subcutaneous administration; Compositions to be administered through the skin in an invasive manner
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L5/00Compositions of polysaccharides or of their derivatives not provided for in groups C08L1/00 or C08L3/00
    • C08L5/02Dextran; Derivatives thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/545Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the dose, timing or administration schedule

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

高分子(例えば、タンパク質、ポリペプチド、又はアプタマー)に基づく治療薬は、本質的に不安定であり、分解、変性、及び凝集の影響を受けやすく、これら全ては機能喪失につながる。反復投与は、そのような制約に取り組むための現在の方略である。比較的長期間(例えば、6ヶ月~12ヶ月)にわたる持続放出は、多回投与方略よりも優れた選択肢の1つである。
持続放出を達成するための1つのアプローチは、高分子自体(例えば、タンパク質、ポリペプチド、又はアプタマー)を修飾(modify)して、その循環時間を延長し、及び/又はその安定性を高めることである。しかしながら、そのようなアプローチは分子特異的であり、しばしば莫大な財政投資及び時間投資を必要とする。
また、高分子(例えば、タンパク質、ポリペプチド、又はアプタマー)の送達のためにヒドロゲルを使用することも試みられてきた。しかしながら、現在利用可能なヒドロゲルシステムは、満たされていない要求にあまり十分に応えることはできていない。化学的架橋されたヒドロゲルは通常、負荷された高分子を数日で放出する。物理的に絡み合ったシステムでは、最長のin vitro放出期間は約2ヶ月以内であった。
したがって、タンパク質、ポリペプチド、及びアプタマー等の高分子の持続放出を達成するために、汎用性があり、効果的であり、及び/又はカスタマイズ可能なアプローチが強く必要とされている。
本開示は、高分子(タンパク質及びポリペプチド等)の制御放出のための組成物及び方法を提供する。本開示のシステム及び方法を用いて、高分子の放出速度を予測及び制御することができる。高分子は、ポリマーによって形成された構造物(例えば、ヒドロゲル)内に保持され得て、その構造物は、長期間の間に(例えば、数日、数週間、又は更に数ヶ月にわたって)分解(例えば、加水分解的切断によって)され得る。分解は生理学的条件下で起こり得る。ポリマーだけでなくその分解生成物も生体適合性であり得る。ポリマー構造物(例えば、ヒドロゲル)は、in situで形成され得る。例えば、ポリマー構造物(例えば、ヒドロゲル)を形成することができる組成物(例えば、液体配合物)を組織中に導入(注入)することができ、その後に、導入されたら組織内にin situでポリマー構造物(例えば、ヒドロゲル)が形成され得る。
一態様では、本開示は、1種以上のヒドロゲル形成ポリマーを含む組成物であって、前記ヒドロゲルは標的作用物質(target agent)の持続放出を可能にし、前記1種以上のヒドロゲル形成ポリマーのうち少なくとも1種は分解性骨格を含み、ここで、前記分解性骨格は、分解性リンカーによって連結された前駆体ポリマーを含む、組成物を提供する。
幾つかの実施の形態では、分解性リンカーは、加水分解性であり、酵素的に分解性であり、又はそうでなければ切断可能である。
幾つかの実施の形態では、前記ヒドロゲル形成ポリマーは、親水性及び/又は水溶性である。
幾つかの実施の形態では、前記分解性リンカーは、加水分解性官能基を含む。
幾つかの実施の形態では、前記加水分解性官能基は、エステル基、無水物基、及びアミド基から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記エステル基は、オキシエステル基及びチオールエステル基から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記ヒドロゲル形成ポリマーは、多糖、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記ヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記ヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記ヒドロゲル形成ポリマーは、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1個以上の修飾により修飾された誘導体を含む。
幾つかの実施の形態では、前記ヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約20%未満の平均修飾度(DM)を有する。
幾つかの実施の形態では、組成物は、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を少なくとも含み、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第1の修飾を含み、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第2の修飾を含み、前記第1の修飾は、前記第2の修飾とは異なり、前記第1のポリマー誘導体は、前記第2のポリマー誘導体と反応して、前記ヒドロゲルを形成することができる。
幾つかの実施の形態では、前記組成物中の前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体の質量比は、約3:1~約1:3である。
幾つかの実施の形態では、前記組成物中の前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体のモル比は、約10:1~約1:10である。
幾つかの実施の形態では、前記組成物中の前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体の体積比は、約3:1~約1:3である。
幾つかの実施の形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第1のDMを有し、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第2のDMを有し、前記第1のDMと前記第2のDMの比は、約3:1~約1:3である。
幾つかの実施の形態では、前記第1の修飾及び前記第2の修飾は、それぞれ独立して、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1個以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせである。
幾つかの実施の形態では、前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、前記分解性骨格を含む。
幾つかの実施の形態では、前記ヒドロゲル形成ポリマーは、約10kDa~約500kDaの重量平均分子量を有する。
幾つかの実施の形態では、前記組成物は、粉末である。
幾つかの実施の形態では、前記組成物は、液体組成物であり、前記液体組成物中の前記1種以上のヒドロゲル形成ポリマーの濃度は、約10%(重量/体積)~約40%(重量/体積)である。
幾つかの実施の形態では、前記分解性骨格を含む前記ヒドロゲル形成ポリマーは、4以下の多分散性を有する。
幾つかの実施の形態では、前記分解性骨格を含む前記ヒドロゲル形成ポリマーは、前記分解性リンカーを用いて前記前駆体ポリマーを架橋させることによって形成され、ここで、前記分解性リンカーは、前記前駆体ポリマー間での分解性連結部の形成を可能にする。
幾つかの実施の形態では、前記前駆体ポリマーは、親水性及び/又は水溶性である。
幾つかの実施の形態では、前記前駆体ポリマーは、非加水分解性であり、酵素的に非分解性であり、又はそうでなければ切断不可能である。
幾つかの実施の形態では、前記前駆体ポリマーは、多糖、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記前駆体ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記前駆体ポリマーは、1個以上の修飾を含む誘導体であり、前記前駆体ポリマーの修飾度は、約20%未満である。
幾つかの実施の形態では、前記分解性骨格を含む前記ヒドロゲル形成ポリマーの形成のために、前記分解性リンカーと前記前駆体ポリマー上の前記修飾のモル比は、約1:1~約1:10である。
幾つかの実施の形態では、前記分解性骨格を含む前記ヒドロゲル形成ポリマーの形成のために、前記分解性リンカーの量は、前記前駆体ポリマー当たり約1個~5個の前記修飾を架橋させるのに相当する。
幾つかの実施の形態では、前記前駆体ポリマーの前記修飾は、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記分解性リンカーは、2個以上の修飾を含み、前記分解性リンカーの修飾度は、約30%未満である。
幾つかの実施の形態では、前記分解性リンカーの前記修飾は、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記前駆体ポリマーは、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり、前記分解性リンカーは、2個以上のチオール基修飾を含む。
幾つかの実施の形態では、前記前駆体ポリマーは、1個以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり、前記分解性リンカーは、2個以上のビニルスルホン基修飾を含む。
幾つかの実施の形態では、前記分解性リンカーは、ジビニルメタクリレート、ジビニルアクリレート、及びそれらの誘導体から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記分解性リンカーは、以下の群:
Figure 0007440099000001
から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記前駆体ポリマーは、2kDa~20kDaの重量平均分子量を有する。
別の態様では、本開示は、標的作用物質の持続放出のためのヒドロゲルであって、前記ヒドロゲルは、組成物を用いて形成される、ヒドロゲルを提供する。
幾つかの実施の形態では、前記ヒドロゲルは、前記標的作用物質を更に含む。
幾つかの実施の形態では、前記標的作用物質は、高分子を含む。
幾つかの実施の形態では、前記標的作用物質は、タンパク質又はポリペプチドを含む。
幾つかの実施の形態では、前記標的作用物質の約30%未満は、最初の24時間以内に前記ヒドロゲルから累積的に(cumulatively)放出され、前記標的作用物質の残りの部分は、約3ヶ月~約36ヶ月で前記ヒドロゲルから累積的に放出される。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲルを製造する方法であって、
a)組成物を準備することと、
b)前記組成物をバッファーと混合して、ポリマー溶液を形成することと、
c)前記ポリマー溶液を、前記ヒドロゲルの形成を可能にする条件に曝露することと、
を含む、方法を提供する。
幾つかの実施の形態では、前記曝露は、それを必要とする対象(subject)に前記ポリマー溶液を注入することを含む。
幾つかの実施の形態では、前記曝露は、前記組成物を約30℃~約45℃でインキュベートすることを含む。
幾つかの実施の形態では、前記ポリマー溶液は、前記標的作用物質を更に含む。
別の態様では、本開示は、組成物を製造する方法であって、
a)前記分解性リンカーを用いて前記前駆体ポリマーを架橋させて、前記分解性骨格を含む前記ヒドロゲル形成ポリマーを得ることと、
b)前記分解性骨格を含む前記ヒドロゲル形成ポリマーを、前記ヒドロゲルの形成を可能にする条件下で前記分解性骨格を含む前記ヒドロゲル形成ポリマーと反応し得る追加のポリマーと混合することと、
を含む、方法を提供する。
別の態様では、本開示は、標的作用物質を持続放出する方法であって、前記標的作用物質を組成物と混合して混合物を得ることと、前記混合物を、前記標的作用物質を持続放出し得るヒドロゲルの形成を可能にする条件に曝露することとを含む、方法を提供する。
別の態様では、本開示は、標的作用物質を持続放出する方法であって、ヒドロゲル内に前記標的作用物質を閉じ込めることを含む、方法を提供する。
別の態様では、本開示は、a)組成物と、b)前記a)の組成物を用いて形成されたヒドロゲルによって持続放出される標的作用物質とを含むキットを提供する。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲルを作製するための組成物の使用を提供する。
別の態様では、本開示は、標的作用物質の持続放出のための組成物又はヒドロゲルの使用を提供する。
本開示の付加的な態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみを示し、説明する以下の発明を実施するための形態から当業者に容易に明らかとなる。認識されるように、本開示では他の種々の実施形態が可能であり、その幾つかの細部を全て本開示から逸脱することのない様々な明白な点で変更することが可能である。したがって、図面及び本明細書は限定的なものではなく、本質的に例示的なものであるとみなされる。
参照による援用
本明細書に記載の全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的に及び個々に引用することにより本明細書の一部をなすことが示された場合と同じ程度において引用することにより本明細書の一部をなす。
本発明の新規の特徴は添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の特徴及び利点は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の発明を実施するための形態及び添付の図面(さらに、本明細書での「図」("figure" and "FIG."))を参照することによってより良好に理解される。
ビニルスルホンがグラフトされたデキストラン(DX-VS)(図1A)及びチオールがグラフトされたデキストラン(DX-SH)(図1B)の合成スキームを示す図である。 ジチオール-エステルリンカーの合成スキームを示す図である。 エステルを有するデキストラン(DX-O-SH)の合成スキームを示す図である。 ジチオール-エステルリンカーを使用するcxDX6k-VS骨格の予備架橋の合成スキームを示す図である。 ジチオール-エステルリンカーのH-NMRスペクトルを示す図である。 時間に対する、接合部溶解性ヒドロゲルの代表的な膨潤プロファイル及びFitc標識されたDX40kDa-VSのその対応するポリマーの質量損失プロファイルを示す図である。 2種類の加水分解性配合物、すなわち接合部溶解性ヒドロゲル及び骨格溶解性ヒドロゲルを示す図である。 連結部の加水分解に誘導されるヒドロゲル膨潤プロファイルに対する、ポリマー濃度、修飾度、ポリマーの分子量の影響を示す図である。 接合部溶解性ヒドロゲル及び骨格溶解性ヒドロゲルの分解プロファイルを示す図である。 初期ポリマー濃度を変動させた非分解性のデキストランに基づくヒドロゲル配合物からのIgGの累積的放出割合を示す図である。 接合部溶解性配合物及び非分解性配合物のIgGの放出プロファイル及び膨潤プロファイルを示す図である。 接合部溶解性ヒドロゲルの膨潤プロファイル及び択一的なpHの変更を伴う放出バッファー中でのIgGの放出を示す図である。 種々の網目構造物によって制御されるヒドロゲル網目構造物からのタンパク質の放出を示す図である。 非分解性ヒドロゲル及び加水分解性ヒドロゲルからのIgGの放出の結果を示す図である。 骨格溶解性ヒドロゲル及び接合部溶解性ヒドロゲルの安定性を示す図である。 骨格溶解性ヒドロゲルのヒドロゲル膨潤プロファイルを示す図である。 分解性リンカーの構成を示す図である。 ヒドロゲルの形成及び分解を示す図である。 接合部溶解性ヒドロゲルのヒドロゲル膨潤プロファイルを示す図である。 骨格溶解性ヒドロゲルのヒドロゲル膨潤プロファイルを示す図である。 接合部溶解性ヒドロゲル配合物及び骨格溶解性ヒドロゲル配合物、並びにこれら2つを種々の比で組み合わせた混合物からのタンパク質(Fitc標識された免疫グロブリンG)放出プロファイルを示す図である。
本明細書では本発明の様々な実施形態を示して説明したが、かかる実施形態は例としてのみ提供されていることは当業者には明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を想到するであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替物を使用することができることを理解されたい。
定義
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、一般に、重合によって形成され、反復構造単位から本質的になる化学化合物又は化合物の混合物を指す。
本明細書で使用される「ヒドロゲル」という用語は、一般に、水溶液(例えば、水)に懸濁された1つ以上のポリマーを含むゲル又はゲル状構造を指す。全てのヒドロゲルは、水素結合及び相互の絡み合いの結果として、マクロマー間に或る程度の物理的引力を有する。通常、組織工学用途を対象とするヒドロゲルは、追加の静電相互作用又は化学的架橋によって強化され得る。
本明細書で使用される「持続放出」という用語は、一般に、長期間(例えば、数日、数週間、又は数ヶ月)にわたって比較的ゆっくりと標的作用物質を放出する過程を指す。
本明細書で使用される「分解性骨格」という用語は、一般に、生理学的条件下(例えば、約37℃及びpHが約6.5~8)で分解され得るポリマー構造物(例えば、ポリマー鎖)を指す。幾つかの場合には、骨格は部分的分解性であり、分解性リンカーを通じて共に連結された非分解性ポリマー(例えば、前駆体ポリマー)によって形成される。分解は、化学的分解(例えば、加水分解的切断)又は生物学的分解(例えば、酵素的切断)であり得る。本開示では、分解性骨格はまた、骨格溶解性とも称され得る。
本明細書で使用される「加水分解性骨格」という用語は、一般に、少なくとも部分的に加水分解され得るポリマー構造物(例えば、ポリマー鎖)を指す。例えば、加水分解性基及び/又はエステルを含む架橋剤を使用して線状又は分岐状の非加水分解性前駆体ポリマーを架橋させることによって、加水分解性骨格を形成することができる。線状又は分岐状の前駆体ポリマーは、1個以上の修飾により修飾されていてもよい。例えば、加水分解性官能基は、エステル基、無水物基、及びアミド基から選択され得る。例えば、加水分解性骨格は、ポリ乳酸(PLA)又はポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)等のモノマーの重合から成長したポリマーとは相違し得る。
本明細書で使用される「ヒドロゲル形成ポリマー」という用語は、一般に、ヒドロゲルを形成することができる天然に存在するポリマー又は合成ポリマーを指す。ヒドロゲル形成ポリマーは、それらの合成起源、組成、静電的性質、及びゲル形成メカニズムに従って分類することができる。幾つかの場合には、非分解性ヒドロゲル形成ポリマーは、精細に制御された分解性を与えるために、それらの構造に組み込まれた分解性領域を有し得る。
本明細書で使用される「加水分解性」という用語は、一般に、加水分解され得る特性、例えば、触媒(例えば酵素)を用いずに生理学的温度(30℃~40℃)及びpH(6.5~7.5)で加水分解され得る特性、を指す。通常、加水分解は、水分子が物質に付加される化学的過程である。このような反応では、分子の片割れが水素イオンを獲得して、化合物内の化学結合が破壊され得る。
本明細書で使用される「親水性」という用語は、一般に、水に対して親和性を有し、水を吸収し得る又は水により濡らされ得ることを指す。親水性の分子又は分子の一部は、水及び他の極性物質との相互作用が、油又は他の疎水性溶剤との相互作用よりも熱力学的に有利なものである。
本明細書で使用される「エステル基」という用語は、一般に、少なくとも1つの-OH(ヒドロキシル)基が-O-アルキル(アルコキシ)基で置き換えられている酸(有機又は無機)から誘導される化学基を指す。例えば、エステル基は、オキシエステル基及びチオールエステル基から選択され得る。
本明細書で使用される「平均修飾度(DM)」という用語は、一般に、ポリマー中の100個の繰返単位当たりのペンダント基の数を指す。DMは、ヒドロゲル形成ポリマー誘導体の修飾度を表し得る。
本明細書で使用される「多分散性」という用語は、一般に、ポリマーの鎖長が広範囲の分子量に及ぶ場合の分散性又は不均一性に関するポリマーの特性を指す。多分散性指数(D)は、重合度に従って計算され得る。D=Mw/Mn、ここでMwは重量平均重合度であり、Mnは数平均分子量である。例えば、分解性骨格を含むヒドロゲル形成ポリマーは、4以下の多分散性を有する。
本明細書で使用される「架橋」という用語は、一般に、或るポリマー鎖を別のポリマー鎖に連結する結合を指す。架橋は、共有結合又はイオン結合であり得る。「ポリマー鎖」は、合成ポリマー又は天然ポリマー(タンパク質等)を指す場合がある。高分子化学では、合成ポリマーが「架橋される」といわれる場合、通常はポリマーのバルク全体が架橋法に曝されたことを意味する。生じる機械的特性の変更は、架橋密度に強く依存する。架橋は熱、圧力、pHの変化又は放射線によって開始する化学反応によって形成することができる。
本明細書で使用される「前駆体ポリマー」という用語は、一般に、別のポリマー構造物を形成するために又は更に修飾するために使用されるポリマーを指す。この材料を反応性基により更に重合させて、より高分子量の構造物を形成することができる。
本明細書で使用される「組成物」という用語は、一般に、様々な元素又は成分の生成物(液体状態又は固体状態)を指す。
「約」という用語は、数値との関連で使用される場合、一般に、指定の値を1%~15%未満(例えば、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満又は15%未満)上回る又は下回る値を指す。
値の範囲(例えば、数値範囲)が提示される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り、下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間にある各々の値、及びその提示の範囲内の任意の他の提示される又は間にある値が本発明に包含されることが理解される。提示の範囲内の限界が具体的に除外される場合、これらのより小さな範囲の上限及び下限を、独立してこのより小さな範囲内に含めることができ、同様に本発明に包含される。提示の範囲が一方又は両方の限界を含む場合、これらの含まれる限界の一方又は両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
他に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を次に説明する。本明細書で言及される全ての刊行物は、それによって引用される刊行物と関連して上記方法及び/又は材料を開示及び説明するため引用することにより本明細書の一部をなす。
本明細書で使用される場合、文脈上他に明らかに指示されない限り、数量を特定していない単数形(the singular forms "a," "and" and "the")は、複数の指示対象を含む。このため、例えば、「粒子(a particle)」への言及は、複数のかかる粒子を含み、「配列(the sequence)」への言及は、1つ以上の該配列及び当業者に既知のその均等物等への言及を含む。
本開示を読むことで当業者に理解されるように、本明細書に記載及び説明される個々の実施形態は各々、本発明の範囲又は趣旨を逸脱しない限り、他の幾つかの実施形態のいずれかの特徴部から容易に分離するか又はそれと組み合わせることができる個別の構成要素及び特徴部を有する。任意の記載の方法を記載の事象の順序又は論理的に可能な任意の他の順序で行うことができる。これは、全てのかかる組み合わせを支持することを意図したものである。
本開示は、1種以上のヒドロゲル形成ポリマーを含む組成物、並びに該組成物を作製及び使用する方法を提供する。そして、本開示は、ヒドロゲル並びにヒドロゲルを作製及び使用する方法を提供する。
一態様では、本開示は、1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種又はそれ以上)のヒドロゲル形成ポリマーを含み得る組成物であって、上記ヒドロゲルは標的作用物質の持続放出を可能にし、上記1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種又はそれ以上)のヒドロゲル形成ポリマーのうち少なくとも1種は分解性骨格を含み、ここで、上記分解性骨格は、分解性リンカーによって連結された前駆体ポリマーを含む、組成物を提供する。
本開示では、分解性リンカーは、加水分解性であり、酵素的に分解性であり、又はそうでなければ切断可能であり得る。
本開示では、ヒドロゲル形成ポリマーは、親水性及び/又は水溶性であり得る。
本開示では、分解性リンカーは、加水分解性官能基を含むことができる。例えば、加水分解性官能基は、エステル基、無水物基、及びアミド基から選択することができる。
本開示では、エステル基は、オキシエステル基及びチオールエステル基から選択され得る。例えば、オキシエステル基は-COORの官能基を有し得て、チオールエステル基は、カルボン酸とチオールとの間のエステル化の生成物であり得るR-S-CO-R’の官能基を有し得る。
幾つかの場合には、ヒドロゲル形成ポリマーは、多糖、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
幾つかの場合には、多糖はホモグリカン類、すなわち、単一種の糖からなる主鎖を有する多糖類、例えばコロミン酸であり得る、又はヘテログリカン類、すなわち主鎖中に2種以上の糖残基を交互の順序で若しくはより規則性の低い順序で有する多糖類、例えばジェラン類、スクシノグリカン類、アラビノガラクタン類、トラガカント又はアストラガルス(Astragalus)由来のトラガカントガム若しくはトラガント、ステルクリア・ウレンス(Sterculia urens)由来のカラヤガム、アノゲイサス・ラティフォリア(Anogeissus latifolia)由来のガティガム及びそれらの誘導体であり得る。
幾つかの場合には、ポリエチレングリコールの構造は、一般に、H-(O-CH-CH-OHとして表現され得る。ポリエチレングリコールは、300g/mol~10000000g/molの広範囲の分子量で存在し得る。
本開示では、ヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
幾つかの場合には、ヒドロゲル形成ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
本開示では、ヒドロゲル形成ポリマーは、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1個以上の修飾により修飾された誘導体を含む。
本開示では、ヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約20%未満(例えば、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約4%未満、約2%未満、約0.5%未満又はそれ以下)の平均修飾度(DM)を有し得る。
本開示では、組成物は、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を少なくとも含み得て、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第1の修飾を含み、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第2の修飾を含み得て、第1の修飾は、第2の修飾とは異なっていてもよく、第1のポリマー誘導体は、第2のポリマー誘導体と反応して、ヒドロゲルを形成することができる。
本開示では、組成物中の第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体の質量比は、約3:1~約1:3(例えば、約3:1~約1:3、約3:1.5~約1:3、約3:2~約1:3、約3:2.5~約1:3、約3:1~約1:2.5、約3:1~約1:2、約3:1~約1:1.5、約2.5:1~約1:3、約2:1~約1:3、約1.5:1~約1:3等)であり得る。
本開示では、組成物中の第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体のモル比は、約10:1~約1:10(例えば、約10:1~約1:10、約8:1~約1:10、約6:1~約1:10、約5:1~約1:10、約4:1~約1:10、約3:1~約1:10、約2:1~約1:10、約1.75:1~約1:10、約1.5:1~約1:10、約1.25:1~約1:10、約1:1~約1:10、約1:1.25~約1:10、約1:1.5~約1:10、約1:1.75~約1:10、約1:2~約1:10、約1:3~約1:10、約1:4~約1:10、約1:5~約1:10、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、約1.75:1~約1:1.75、約1.5:1~約1:1.5、約1.25:1~約1:1.25、又は約1.1:1~約1:1.1等)であり得る。
本開示では、組成物中の第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体の体積比は、約3:1~約1:3(例えば、約3:1~約1:3、約3:1.5~約1:3、約3:2~約1:3、約3:2.5~約1:3、約3:1~約1:2.5、約3:1~約1:2、約3:1~約1:1.5、約2.5:1~約1:3、約2:1~約1:3、約1.5:1~約1:3等)であり得る。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は第1のDMを有し得て、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は第2のDMを有し得て、第1のDMと第2のDMの比は、約3:1~約1:3(例えば、約3:1~約1:3、約3:1.5~約1:3、約3:2~約1:3、約3:2.5~約1:3、約3:1~約1:2.5、約3:1~約1:2、約3:1~約1:1.5、約2.5:1~約1:3、約2:1~約1:3、約1.5:1~約1:3等)であり得る。
幾つかの場合には、第1の修飾及び第2の修飾は、それぞれ独立して、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
本開示では、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり得て、第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1個以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり得る。
幾つかの場合には、第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び/又は第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、分解性骨格を含み得る。
本開示では、ヒドロゲル形成ポリマーは、約10kDa~約500kDa(例えば、約10kDa~約500kDa、約50kDa~約500kDa、約100kDa~約500kDa、約150kDa~約500kDa、約200kDa~約500kDa、約250kDa~約500kDa、約300kDa~約500kDa、約350kDa~約500kDa、約400kDa~約500kDa、約450kDa~約500kDa)の重量平均分子量を有し得る。
幾つかの場合には、組成物は粉末であり得る。
幾つかの場合には、組成物は液体組成物であり得て、液体組成物中の1種以上のヒドロゲル形成ポリマーの濃度は、約10%(重量/体積)~約40%(重量/体積)(例えば、約10%(重量/体積)~約40%(重量/体積)、約15%(重量/体積)~約40%(重量/体積)、約20%(重量/体積)~約40%(重量/体積)、約25%(重量/体積)~約40%(重量/体積)、約30%(重量/体積)~約40%(重量/体積)、約35%(重量/体積)~約40%(重量/体積)、約38%(重量/体積)~約40%(重量/体積)等)である。
本開示では、分解性骨格を含むヒドロゲル形成ポリマーは、4以下(例えば、4、3、2、1、0.5又はそれ以下)の多分散性を有し得る。
本開示では、分解性骨格を含むヒドロゲル形成ポリマーは、分解性リンカーを用いて前駆体ポリマーを架橋させることによって形成することができ、分解性リンカーは、前駆体ポリマー間での分解性連結部の形成を可能にすることができる。
幾つかの場合には、前駆体ポリマーは、親水性及び/又は水溶性であり得る。
幾つかの場合には、前駆体ポリマーは、非加水分解性であり、酵素的に非分解性であり、又はそうでなければ切断不可能であり得る。例えば、分解性リンカーが加水分解、酵素及び他の明確な経路によって分解された場合に、前駆体ポリマーは影響を受けず、分解性骨格の構造を維持することができる。
本開示では、前駆体ポリマーは、多糖、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
幾つかの場合には、前駆体ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
本開示では、前駆体ポリマーは、1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上)の修飾を含む誘導体であり得て、前駆体ポリマーの修飾度は、約20%未満(例えば、約20%未満、約18%未満、約16%未満、約14%未満、約12%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約4%未満、約2%未満、約1%未満又はそれ以下)である。
本開示では、ヒドロゲル形成ポリマーを形成するための組成物は分解性骨格を含み、分解性リンカーと前駆体ポリマー上の修飾のモル比は、約1:1~約1:10(例えば、約1:1~約1:10、約1:2~約1:10、約1:3~約1:10、約1:4~約1:10、約1:5~約1:10、約1:6~約1:10、約1:7~約1:10、約1:8~約1:10、約1:9~約1:10等)であり得る。
本開示では、ヒドロゲル形成ポリマーを形成するための組成物は分解性骨格を含み、分解性リンカーの量は、前駆体ポリマー当たり約1個~5個(例えば、約1個、2個、3個、4個、5個等)の修飾を架橋させるのに相当し得る。
本開示では、前駆体ポリマーの修飾は、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
本開示では、分解性リンカーは、2個以上(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上)の修飾を含み得て、分解性リンカーの修飾度は、約30%未満(例えば、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満又はそれ以下)である。
本開示では、分解性リンカーの修飾は、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
本開示では、前駆体ポリマーは、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上)のビニルスルホン基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり得て、分解性リンカーは、2個以上(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上)のチオール基修飾を含む。例えば、ビニルスルホン基は、
Figure 0007440099000002
の官能基を有し得る。
幾つかの場合には、前駆体ポリマーは、1個以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上)のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上)のチオール基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり得て、分解性リンカーは、2個以上(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上)のビニルスルホン基修飾を含む。
本開示では、分解性リンカーは、ジビニルメタクリレート、ジビニルアクリレート、及びそれらの誘導体から選択することができる。
幾つかの場合には、分解性リンカーは、以下の群:
Figure 0007440099000003
から選択することができる。
本開示では、分解性リンカーは、モジュレーター、エステルを含み得る。幾つかの場合には、分解性リンカーは、リンカーを更に含み得る。幾つかの場合には、上記エステルは、上記モジュレーターで修飾されていてもよい。例えば、上記エステルの一方の側が上記モジュレーターで修飾されていてもよく、又は上記エステルの両側2つが上記モジュレーターで修飾されていてもよい。幾つかの場合には、両側が上記モジュレーターで修飾された上記エステルを有する分解性リンカーは、一方の側が上記モジュレーターで修飾された上記エステルを有する分解性リンカーより大幅に安定化され得る。幾つかの場合には、両側が上記モジュレーターで修飾された上記エステルを有する分解性リンカーは、一方の側が上記モジュレーターで修飾された上記エステルを有する分解性リンカーより遅いエステル加水分解速度を示し得る。
幾つかの場合には、分解性リンカーは、モジュレーター、エステル、及びリンカーを含み得る。例えば、分解性リンカーは、図17に示される構成を含み得る。
幾つかの場合には、2つのモジュレーターは同じ又は異なっていてもよい。幾つかの場合には、2つのモジュレーターは同じであってもよい。
幾つかの場合には、上記エステルは、以下の群:
Figure 0007440099000004
から選択され得る。
幾つかの場合には、上記モジュレーターは、疎水性であり得る又は親水性であり得る。幾つかの場合には、疎水性モジュレーターは、親水性モジュレーターよりも分解性リンカーの安定性を促進することができる。幾つかの場合には、疎水性モジュレーターは、水性環境中での分解性リンカーの溶解性を減少させることができる。
幾つかの場合には、上記モジュレーターは、以下の群:
Figure 0007440099000005
から選択され得る。
幾つかの場合には、上記リンカーは、以下の群:
Figure 0007440099000006
から選択され得る。
本開示では、前駆体ポリマーは、2kDa~20kDa(例えば、2kDa、4kDa、6kDa、8kDa、10kDa、12kDa、14kDa、16kDa、18kDa、20kDa等)の重量平均分子量を有し得る。
幾つかの場合には、前駆体ポリマーの分子量は、ヒドロゲル形成ポリマーの加水分解的分解に影響を与え得る。例えば、前駆体ポリマーの分子量は、前駆体ポリマーの比較的高い濃度でさえ比較的低い粘度を達成するために100kDa未満であり得る。
幾つかの場合には、前駆体ポリマーの濃度は、ヒドロゲル形成ポリマーの加水分解的分解に影響を与え得る。
幾つかの場合には、ヒドロゲル形成ポリマー(例えば、前駆体ポリマー)の平均修飾度(DM)は、ヒドロゲル形成ポリマーの加水分解的分解に影響を与え得る。
幾つかの場合には、分解性骨格は、水性環境中で良好な溶解性を維持し得る。
別の態様では、本開示は、上記組成物を用いて形成され得る、標的作用物質の持続放出のためのヒドロゲルを提供する。
本開示では、ヒドロゲルは、前駆体ポリマーが切断されるにつれて解離し得る。幾つかの場合には、ヒドロゲルの分解生成物の分子量は、広範囲の値に及び得る。ヒドロゲルの形成及び分解は図18に示され得る。
本開示では、ヒドロゲルはまた、より低い粘度、対応する接合部溶解性ヒドロゲルよりも遅い調整された分解速度を有する等の他の多くの利点を有し得る。
本開示では、種々の網目構造物によって制御されるヒドロゲル網目構造物からのタンパク質の放出は図13に示され得る。
本開示では、ヒドロゲルは、標的作用物質を更に含み得る。
幾つかの場合には、標的作用物質は高分子を含む。例えば、標的作用物質は、タンパク質又はポリペプチドを含み得る。
本開示では、標的作用物質の約30%未満(例えば、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満又はそれ以下)が最初の24時間以内(例えば、最初の24時間以内、22時間以内、20時間以内、18時間以内、16時間以内、14時間以内、12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内又はそれ以下)にヒドロゲルから累積的に放出され得て、標的作用物質の残りの部分は、約3ヶ月~約36ヶ月(例えば、約3ヶ月~約36ヶ月、約4ヶ月~約36ヶ月、約5ヶ月~約36ヶ月、約6ヶ月~約36ヶ月、約7ヶ月~約36ヶ月、約8ヶ月~約36ヶ月、約9ヶ月~約36ヶ月、約10ヶ月~約36ヶ月、約12ヶ月~約36ヶ月、約14ヶ月~約36ヶ月、約16ヶ月~約36ヶ月、約18ヶ月~約36ヶ月、約18ヶ月~約24ヶ月、約20ヶ月~約24ヶ月、約22ヶ月~約24ヶ月)でヒドロゲルから累積的に放出され得る。
本開示では、最初の24時間(例えば、最初の24時間以内、22時間以内、20時間以内、18時間以内、16時間以内、14時間以内、12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内又はそれ以下)は、標的作用物質を含むヒドロゲルが形成されたら計時を始めることができる。
本開示では、ヒドロゲルの安定性又は累積的放出は図15に示され得る。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲルを製造する方法を提供し、該方法は、a)上記組成物を準備することと、b)該組成物をバッファーと混合して、ポリマー溶液を形成することと、c)ポリマー溶液を、ヒドロゲルの形成を可能にする条件に曝露することとを含み得る。
本開示では、上記曝露は、それを必要とする対象にポリマー溶液を注入することを含み得る。
幾つかの場合には、上記曝露は、組成物を約30℃~約45℃(例えば、約30℃~約45℃、約31℃~約45℃、約32℃~約45℃、約33℃~約45℃、約34℃~約45℃、約35℃~約45℃、約36℃~約45℃、約37℃~約45℃、約38℃~約45℃、約39℃~約45℃、約40℃~約45℃、約41℃~約45℃、約42℃~約45℃、約43℃~約45℃、約44℃~約45℃等)でインキュベートすることを含み得る。
本開示では、ポリマー溶液は、標的作用物質を更に含み得る。
別の態様では、本開示は、上記組成物を製造する方法であって、a)分解性リンカーを用いて前駆体ポリマーを架橋させて、分解性骨格を含むヒドロゲル形成ポリマーを得ることと、b)分解性骨格を含むヒドロゲル形成ポリマーを、ヒドロゲルの形成を可能にする条件下で分解性骨格を含むヒドロゲル形成ポリマーと反応し得る追加のポリマーと混合することとを含み得る、方法を提供する。
別の態様では、本開示は、標的作用物質を持続放出する方法を提供し、該方法は、標的作用物質を組成物と混合して混合物を得ることと、上記混合物を、標的作用物質を持続放出し得るヒドロゲルの形成を可能にする条件に曝露することとを含み得る。
別の態様では、本開示は、標的作用物質を持続放出する方法を提供し、該方法は、標的作用物質をヒドロゲル内に閉じ込めることを含み得る。
幾つかの実施形態では、上記方法は、組成物を約30℃~約45℃で(例えば、約32℃~約40℃で、約35℃~約40℃で、例えば、約37℃で)インキュベートすることを含み得る。
別の態様では、本開示はキットを提供し、該キットは、a)上記組成物と、b)a)の組成物を用いて形成されたヒドロゲルによって持続放出される標的作用物質とを含み得る。
幾つかの場合には、キットは、以下のもの、すなわち、安定剤、増量剤、充填剤、希釈剤、付着防止剤、結合剤、被覆剤、着色剤、崩壊剤、フレーバー剤、芳香剤、潤滑剤、及び/又は酸化防止剤の1つ以上を更に含み得る。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲルを作製するための上記組成物の使用を提供する。
別の態様では、本開示は、標的作用物質の持続放出のための上記組成物又は上記ヒドロゲルの使用を提供する。
本開示の付加的な態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみを示し、説明する以下の発明を実施するための形態から当業者に容易に明らかとなる。認識されるように、本開示では他の種々の実施形態が可能であり、その幾つかの細部を全て本開示から逸脱することのない様々な明白な点で変更することが可能である。したがって、図面及び本明細書は限定的なものではなく、本質的に例示的なものであるとみなされる。
以下の実施例は、当業者に本発明の製造方法及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために記載されており、本発明者らが自身の発明とみなす範囲を限定することを意図するものではなく、また以下の実験は行われる全て又は唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関して正確性を確保するための努力がなされたが、幾らかの実験誤差及び偏差を考慮しなくてはならない。特に明記しない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。標準の略語、例えばbp、塩基対(複数の場合もある);kb、キロベース(複数の場合もある);pl、ピコリットル(複数の場合もある);s又はsec、秒(複数の場合もある);min、分(複数の場合もある);h又はhr、時間(複数の場合もある);aa、アミノ酸(複数の場合もある);nt、ヌクレオチド(複数の場合もある);i.m.、筋肉内(筋肉内に);i.p.、腹腔内(腹腔内に);s.c.、皮下(皮下に)等が使用される場合もある。
実施例1 非加水分解性デキストラン-VS及びデキストラン-SHの製造
ビニルスルホン(VS)官能化デキストラン及びチオール(SH)官能化デキストラン、つまりDX-VS及びDX-SHを、以前に報告された方法(Y. Yu及びY. Chau著,「ヒドロキシル含有水溶性ポリマー上にビニルスルホン基を生成させるための一段階「クリック」法(One-step 'click' method for generating vinyl sulfone groups on hydroxyl-containing water-soluble polymers)」,Biomacromolecules, vol. 13, pp. 937-942, 2012.を参照)を使用して合成した。簡潔に言えば、ジビニルスルホン(DVS)を、水性アルカリ性条件でデキストラン上のヒドロキシル基と反応させて、DX-VSを作製する(反応1A、図1A)。チオール官能化デキストランは2つの方法で作製した:1つ目は、ジチオトレイトール(DTT)を使用してリン酸緩衝液中でDX-VS上のVS基と反応させて、DX-SHを作製した(反応1B、図1B)。この生成物を水中での透析によって精製し、凍結乾燥によって乾燥形のポリマーを製造した。修飾度(DM)を、ペンダント基の数/ポリマーの繰返単位の数として定義した。DX-VSのDMはH NMRを使用して推定し、DX-SHのDMはエルマンのアッセイによって推定した。
実施例2 ジチオール-エステルリンカーの製造及び特性決定
DL-ジチオトレイトール(DTT)(図2A)又は1,2-エタンジチオール(図2B)をビニルメタクリレート(VMA)の両腕に反応させてチオール基を結合させることによって、2種類のジチオール-エステルリンカーを合成した。DTTの結合のために、VMA及びDTTをジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解させ、ラジカル開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)を添加した。この混合物を窒素で30分間パージして、密閉された石英フラスコ内の溶存空気を排出した。6時間UV照射した後に、DTT-VMA-DTTを冷エーテルで沈殿させて、過剰な未結合DTTを除去した。ペレットを水中に再懸濁し、透析及び凍結乾燥によって精製した。
1,2-エタンジチオールのVMAへの結合は、同じプロトコルを使用してDCM中で実施した。
同じプロトコルを用いて、DTP(1,3-プロパンジチオール)とVMAとを反応させて、DTP-VMA-DTPを形成し、DTE(1,2-エタンジチオール)とVMAとを反応させて、DTE-VMA-DTEを形成し、DTEとVA(ビニルアクリレート)とを反応させて、DTE-VA-DTEを形成した。
生成物DTE-VMA-DTEを一晩真空乾燥して、DCM及び過剰の1,2-エタンジチオールを蒸発させた。残りの油状液体をDMF中に再懸濁し、使用にあたり-20℃で貯蔵した。生成物のジチオール-エステルリンカーを、質量スペクトル及びH NMRによって確認した。
粗精製後のDMSO中のジチオール-エステルリンカーのH-NMRスペクトルは図5A~図5Cに示されており、ここで、図5AはDTT-VMA-DTTを示しており、図5BはDTP-VMA-DTPを示しており、図5BはDTE-VMA-DTEを示している。
実施例3 加水分解性デキストラン-O-SH及びジチオール-エステルで架橋されたデキストラン-VSの製造
3.1 加水分解性デキストラン-O-SHの製造
Kim及びChuのプロトコル(S. H. Kim及びC. C. Chu著,「デキストラン-メタクリレートヒドロゲルの合成及び特性決定並びにSEMによる構造研究(Synthesis and characterization of dextran-methacrylate hydrogels and structural study by SEM.)」,J. Biomed. Mater. Res., vol. 49, no. 4, pp. 517-27, 2000を参照)に従って、メタクリレートをオキシエステル連結を介してデキストランに結合させた。デキストランを90℃の油浴でDMF/2%LiCl(5%(重量/体積))中に溶解させた。デキストランが完全に溶解した後に、無水メタクリレート(MA、デキストラン上のヒドロキシル基に対して0.3当量~0.5当量)及びトリエチルアミン(TEA、MAに対して0.01当量)を添加し、周囲温度に戻して一晩反応させた。中間体のデキストラン-メタクリレート(DX-O-MA)をイソプロパノール中で沈殿させた後に、水中での透析及び凍結乾燥によって精製した。MAのDMをH NMRを使用して推定した。第2工程では、DX-O-MA(5%(重量/体積))及びDTT(MAに対して6当量)を周囲温度でDMSO中に溶解させ、Nでパージして溶存空気を排除した。TEA(MAに対して0.5当量)を使用して一晩反応を触媒した。チオールのDMをH NMR及びエルマンのアッセイによって測定した。エステルを有するデキストラン(DX-O-SH)の合成スキームは図3に示される。
3.2 ビニルスルホン官能化デキストラン及びチオール官能化デキストランの特徴
実施例1及び実施例3で製造されたポリマーの特徴を測定して評価した。結果を表1に示す。表1では、修飾度(DM)は、ポリマー鎖当たりの繰返単位に対するグラフト化された官能基の比として定義される。
Figure 0007440099000007
3.3 ジチオール-エステルで架橋されたデキストラン-VSの製造
ジチオール-エステルリンカーを使用して、短鎖DX6k-VSを架橋させた。DX6k-VSをDMSO中に10%(重量/体積)で溶解させ、Nでパージして溶存空気を排除した。実施例2で製造されたジチオール-エステルリンカーを、DX6k-VS鎖当たり1.2個~4個のVSを架橋させるのに相当する量で添加した(図4を参照)。VSに対して0.125当量~0.5当量でTEAを触媒として添加した。反応物がエルマンのアッセイにおいて陰性の結果を示したら、架橋反応を止めた。架橋が完了した後に、イソプロパノールを用いてCXDX6-VSを沈殿させた後に、水に対する透析によって精製し、最後に凍結乾燥し、使用にあたり-20℃で貯蔵した。
上記のことから、骨格溶解性ヒドロゲルが、2種類のポリマー前駆体、すなわち、ペダントVSを有する予備架橋された加水分解性デキストラン鎖及びDX40k-SHを用いて配合されたことが示される。
低分子量のDx6k-VSを、最初にジチオール-エステルリンカーを用いて架橋させて、より長い鎖を構成した(cxDX6k-VSと略される)。架橋工程の間に、短鎖のポリマー濃度をその理論上の重なり合い濃度よりも高く保つことで鎖間架橋を促進した。ジチオール-エステルリンカーの供給比は、Dx6k-VS鎖当たり2個のVS基を架橋するのに必要な量を下回るべきである。ジチオリンカー/VS比がより高いと、過剰架橋の可能性が高まり、ゲル化につながる。cxDX6k-VS種における残りの遊離VS基を第2工程の架橋のために使用し、これを使用して、DX40k-SHと架橋させて、ポリマーネットワークを形成した。「骨格溶解性」という呼称は、cxDX6k-VSポリマーの「骨格」上のエステルで加水分解的切断が起こるという特徴を強調している。cxDX6k-VSとDX40k-SHとの間の接合部は加水分解性ではない。
3.4 2種類の加水分解性配合物の比較
2種類の加水分解性配合物、すなわち接合部溶解性ヒドロゲル及び骨格溶解性ヒドロゲルを配合した。2種の配合物は、加水分解性エステルの配置によって区別された(図7A及び図7Bを参照、図7Aは接合部溶解性網目構造物を示しているのに対して、図7Bは骨格溶解性網目構造物を示している)。接合部溶解性配合物では、エステルはポリマー鎖とチオールとの間に配置されるため(DX-O-SHと略記される)、どの架橋接合部も加水分解性であった。合成が単純であるため、ポリマー間の架橋接合部の間に切断可能な基を配置するこの方略は、分解性ヒドロゲルを形成する最も一般的な方法である。完全な加水分解後の分解生成物は、前駆体ポリマーと同様の分子量を有することとなる。
実施例4 エステル加水分解によるヒドロゲルの分解
ヒドロゲルのキャスティング
DX-VS又はcxDX-VSを、pH7.4の0.1Mのリン酸バッファー、又はpH調整されたIgG溶液(pH7.4)中に所望の濃度で溶解させた。DX-O-SH/DX-SHを水中に溶解させた。2種の前駆体ポリマー溶液を4℃でしっかり混ぜた後に、ピペット操作して半球形の液滴として疎水性表面上に載せた。ポリマー溶液の液滴を加湿チャンバー内にて周囲温度で一晩又は37℃で1時間インキュベートしてゲル化させた。
物質膨潤試験(mass swelling test)によるヒドロゲル中のエステルの加水分解速度の測定
次に、ヒドロゲルをpH7.4のPBS/0.02%(重量/体積)のNaN中で37℃にてインキュベートした。様々な時点でのヒドロゲルの湿重量を測定した。ヒドロゲル上の表面液体をティッシュペーパーで念入りに排出して乾燥させた。崩壊時間を、ヒドロゲルが弱すぎて取り扱えなくなった時間として定義した。
エステル加水分解によるヒドロゲルの分解
膨潤プロファイルを使用して、加水分解性配合物のin vitroでの分解を測定した。前駆体ポリマーを、それぞれ-VS及び-SHで官能化した。-VS基及び-SH基は、マイケル付加を介してポリマーを架橋させて、ネットワークを形成する。ヒドロゲル膨潤比を、緩和状態での湿重量(W)に対する時間tでの湿重量(W)として定義した。ヒドロゲルを過剰なバッファー中に浸漬させると、緩和状態のヒドロゲルは、平衡状態に達するまで膨潤又は収縮し得る。特定のポリマー(この研究ではデキストランを使用した)で構成されたヒドロゲルの膨潤比は、温度及び溶剤に依存する。37℃でのPBS(pH7.4)中のデキストランに基づくヒドロゲルの場合に、平衡化過程は、完了までに実験的に24時間~48時間かかる。その過程の間に、緩和状態の絡み合う点で同時に局在しない未反応の-VS基及び-SH基は、反応して新しい架橋を形成する見込みがあり得る。ヒドロゲルの架橋密度は、平衡状態で最大に達した。更なる架橋も分解も起こらないと、膨潤比は定常となることとなる。更なる架橋、例えば未反応のチオール基間のジスルフィド架橋が存在する場合に、膨潤比は減少することとなる。分解性ヒドロゲルは、最初は徐々に膨潤し、後期段階で崩壊する。全てのエステルが同じ加水分解速度を共有すると仮定すると、接合部の切断は無作為であり、ポリマーネットワーク上のその位置とは無関係である。分解の早期段階では、ほとんどのポリマーは依然として連続したネットワークとして共有結合で架橋されており、ネットワークから脱離したポリマーのごく一部のみが拡散及びレプテーションによって逸脱し得る。ポリマーの逸脱によるゲルの重量減少は、水分子の流入によるゲルの重量増加よりも小さく、ヒドロゲルの膨潤が観察された(図6)。分解の後期段階では、ポリマーのかなりの部分が脱離し始め、ヒドロゲルはその完全性を失い、急速に崩壊して、断片となる。
図6は、時間に対する、PBS中37℃での接合部溶解性ヒドロゲルの代表的な膨潤プロファイル及びFitc標識されたDX40kDa-VSのその対応するポリマーの質量損失プロファイルを示す。とりわけ、Fitc-DX40k-VS(濃度10%/DM9%)は、DX40k-O-SH(濃度20%/DM8%)と架橋された。
実施例5 様々なヒドロゲルのパラメーターにより影響されるヒドロゲルの加水分解
接合部溶解性ヒドロゲルを使用して、ポリマー濃度、修飾度(DM)、及びポリマー分子量等の様々なヒドロゲルのパラメーターが分解動態に対して及ぼす影響を実証した。一般に、ヒドロゲルが崩壊するのに要する時間は、DM、ポリマー濃度、及び分子量と相関している。DM及び分子量を固定した場合に、配合物の初期ポリマー濃度が高いほど、ヒドロゲルネットワークが崩壊するのにより長い時間を要した(図8A)。ポリマー濃度及び分子量を一定に保った場合に、DMが高いほど、ゲル崩壊時間は延長された(図8B、図8D)。高分子量を有する前駆体ポリマーを使用して配合されたヒドロゲルは、より長時間の崩壊時間を有していた(図8C)。微視的レベルでの接合部の切断を巨視的レベルでのヒドロゲルの測定可能な膨潤挙動と相関させる数学モデルは、確率的分解を説明することが報告された(G. Jahanmir、M. J. Abdekhodaie、及びY. Chau著,「ヒドロゲルの分解挙動の確率的モデリング(Stochastic Modeling of Degradation Behavior of Hydrogels)」,Macromolecules, vol. 51, no. 11, pp. 3941-3952, Jun. 2018を参照)。溶剤-ポリマー相互作用パラメーター、前駆体ポリマーの分子量及びポリマー濃度、切断可能な架橋剤のDM、並びに切断速度定数を含む初期構造パラメーターを入力することにより、そのモデルは、ヒドロゲルの膨潤プロファイル及び崩壊時間の定量的な予測を与える。
図8A~図8Dでは、連結部の加水分解に誘導されるヒドロゲル膨潤プロファイルに対して影響を与える様々な要因(ポリマー濃度、修飾度、ポリマーの分子量)をPBS中37℃で測定した。これらのパラメーターは、キャプションに(ポリマー濃度/修飾度)として示されている。見やすさのためにエラーバーは省略した。
実施例6 様々なリンカーにより影響されるヒドロゲルの加水分解
2種類のジチオール-エステルリンカー(DTT-VMA-DTT及びDTE-VMA-DTE)を合成した。これらの2種のリンカーは、異なる加水分解速度を示すと予想された。DTT-VMA-DTTリンカーは、接合部溶解性ヒドロゲル中のエステルからなる連結の化学構造を模倣するように設計された。骨格溶解性ヒドロゲルが、接合部溶解性ヒドロゲルよりもはるかにゆっくりと分解することは予想外であった(図9)。エステルの化学構造が類似しているため、分解速度の違いは他の要因に起因すると考えられる。骨格溶解性ネットワークの構造は、確かに非常に大きな分子量(数百kDa)のポリマーと架橋された接合部溶解性ネットワークを模倣したが、切断可能な架橋密度は比較的低かった。しかしながら、ヒドロゲル前駆体ポリマーが、ゲル化前に比較的大幅に低い分子量を有することにより、大幅に低い粘度に至ったため、in situで形成するヒドロゲルは実際に注入が容易であった。
図9は、接合部溶解性ヒドロゲル及び骨格溶解性ヒドロゲルのpH7.4、37℃での分解プロファイルを示す。配合は(ポリマー濃度/修飾度)として示されている。エラーバーは、平均からの1SDを表す。
実施例7 ヒドロゲルからのモデルタンパク質(IgG)の放出
分解性ヒドロゲルデポ剤からのタンパク質放出の測定
FITC標識されたIgG(F-IgG、150kDa)及びベバシズマブ(150kDa)をモデルタンパク質として放出させた。モデルタンパク質を負荷したヒドロゲルをpH7.4のPBS/0.02%(重量/体積)のNaN中で37℃にてインキュベートした。試料採取時点ごとに、新しい放出バッファーに交換した。ヒドロゲルが放出したF-IgGを、490nm/520nmの励起/発光での分光測光法によって測定した。F-IgGの蛍光強度-濃度標準曲線はpH4.5及びpH7.4で確認した。ベバシズマブの濃度を、ブラッドフォードアッセイによって測定した。
相対的な細孔/薬物サイズ比の制御は、ヒドロゲルからの高分子の放出を制御するために一般的に使用される方略である。ヒドロゲルに負荷されたタンパク質分子は、ポリマーネットワークを通じて水相に拡散する。隣接する架橋間の距離として定義されるメッシュサイズは、ヒドロゲル中の細孔サイズと相関するパラメーターである。以前の報告で、本発明者らは、De Gennesのブロブ理論を適用して、化学的架橋されたポリマー-ポリマーヒドロゲルの平均メッシュサイズを、式:
Figure 0007440099000008
を使用して概算した(Y. Yu及びY. Chau著,「タンパク質放出のためのin situで化学的架橋されたヒドロゲルデポ剤の形成:ブロブモデルの観点から(Formulation of In Situ Chemically Cross-Linked Hydrogel Depots for Protein Release: From the Blob Model Perspective)」,Biomacromolecules, vol. 16, no. 1, pp. 56-65, Jan. 2015を参照)。
上記式中、Qは緩和状態から平衡状態へのヒドロゲルの膨潤比であり、Rはポリマーの回転半径であり、c及びcは、それぞれポリマーの濃度及び重なり合い濃度であり、νはフローリーのポリマー-溶媒相互作用パラメーターである。このモデルを使用して計算されたメッシュサイズは平均値であり、系内のメッシュの分布は考慮されていないことに留意されたい。また、推定されたメッシュサイズの値は、「網目構造物」中の実際の細孔サイズの指標であるにすぎず、実際の細孔サイズと等しくはない。この推定方法は、合理的な配合設計を導く迅速なツールを提供する。
非分解性ヒドロゲルからのモデルタンパク質(IgG)の放出
図10により、種々の初期ポリマー濃度での様々な非分解性のデキストランに基づくヒドロゲルからのIgG(150kDa)の放出プロファイルが実証された。網目構造物に基づく物理的障害によってのみタンパク質放出を制御することを目的としているため、SH対VSのモル比を2倍過剰に保って、VS基による架橋を最大化した。それというのも、遊離-VSは負荷されたIgGをアミンへの結合を介して、しかしより遅い速度で固定化し得るからである。
前駆体ポリマー(DX40k-VS及びDX40k-SH)の分子量のDMを固定した場合に、緩和状態でのポリマー濃度は、放出速度、初期バーストによる損失割合、及び負荷されたIgGの持続放出部分に影響を与えた。本出願では、「初期バースト」を、最初の24時間で放出されるIgG割合として定義した。上述のように、VS-SH付加を介して架橋されたデキストランに基づくヒドロゲルは、平衡状態に達するまでに24時間~48時間を要した。この過程の間に、ヒドロゲルは或る程度の膨潤又は収縮を経て、その後に平衡状態に達した。この動的期間の間の負荷されたタンパク質の輸送は本研究の範囲外であり、別の原稿で論じる。平均メッシュサイズを小さくすることは、初期バーストを抑制するのに効果的であった(図10)。ポリマー濃度が9%(重量/体積)から30%(重量/体積)に増加すると、バースト放出される割合は90%から10%にまで抑制された。他方で、メッシュサイズの縮小は、IgGの放出速度の低下とも相関していた。ヒドロゲルに負荷されたIgG分子が確率的ポリマーネットワーク中に無作為に分布していると考えると、単一の拡散係数では網目構造物内のIgGの運動を説明することはできない。曲線状のIgG放出傾向線(図10)により、網目構造物に負荷されたIgG分子が混合拡散係数を有することも示された。したがって、1日目から60日目までに放出された累積的IgG割合対初期バースト後に網目構造物内に残っている量の比として定義される「持続放出」割合を比較した。ポリマー濃度が9%(重量/体積)から30%(重量/体積)に増加すると、「持続放出」された割合は80%からたった11%にまで減少した。ほとんどのIgGは、30%(重量/体積)のヒドロゲル内に捕捉された。
図10は、初期ポリマー濃度を変動させた非分解性のデキストランに基づくヒドロゲル配合物からのIgGの累積的放出割合(pH7.4、37℃)を示す。ヒドロゲルの配合は(DM/ポリマー濃度)として示されている。crelaxは、緩和状態でのヒドロゲルのポリマー濃度である。ξは、式1を使用して概算されたメッシュサイズである。エラーバーは、平均からの1SDを表す。24時間後及び60日後に種々の配合物から放出されたIgG割合が右側に列挙されている。
非分解性ヒドロゲルから得られたIgG放出データは、特に数ヶ月にわたる制御放出を目的とした配合設計におけるジレンマを明らかにした。初期バーストを下げるにはメッシュサイズを小さくすることが好ましいが、それと引き換えに放出が不完全となる。他方で、メッシュサイズを大きくすることによって完全な放出が達成され得たが、負荷されたIgGのほとんどは制御された様式で放出されなかった。そのような限定を踏まえて、ヒドロゲルデポ剤からのタンパク質のメッシュにより制御された拡散駆動型の放出を補完するために網目構造物の分解を利用した。例えば、IgGの約80%が30%(重量/体積)の非分解性ヒドロゲル内に捕捉された。メッシュ開口の速度を制御することにより固定化されたIgG分子が放出され得て、放出速度は分解速度の関数であると仮定される。
実施例8 加水分解性ヒドロゲルからのモデルタンパク質(IgG)の放出
接合部溶解性ヒドロゲルのIgG放出プロファイルを、同じポリマー濃度及びDMを有するそれらの対応する非分解性配合物と比較した(図11)。網目構造物が動的になったので、分解可能な特徴は、負荷されたタンパク質の放出に更なる複雑さを加えた。15%(重量/体積)の接合部溶解性ヒドロゲル及び非分解性ヒドロゲルからのIgGの放出曲線は、初期から中期までの段階で十分に重なった。最初の2日間のバースト放出が、初期段階の主要な放出で優位を占めた。分解の後期段階(300%超の膨潤比)で、ヒドロゲル網目構造物はその完全性を失い始め、ヒドロゲルの崩壊時に残りの全てのIgG分子を急速に放出した。ポリマー濃度を30%に高めると、分解性ヒドロゲルは、非分解性ヒドロゲルと比較して異なる放出プロファイルを示した。30%(重量/体積)のヒドロゲル内の網目構造物は、実験的にバースト放出を抑制するのに十分に緻密であったため、連続放出は網目構造物の分解に起因すると考えられた。
図11は、接合部溶解性配合物(A及びB)及び非分解性配合物(A’及びB’)のPBS中37℃でのIgGの放出プロファイル(左側、実線)及び膨潤プロファイル(右側、点線)を示す。ヒドロゲルの配合は(DM/ポリマー濃度)として示されている。crelaxは、緩和状態でのヒドロゲルのポリマー濃度である。エラーバーは、平均からの1SDを表す。
非分解性ヒドロゲル及び加水分解性ヒドロゲルからのIgGの放出の結果は図14にも示されている。
加水分解性の(hydrolytically degradable)ヒドロゲルのIgG放出プロファイルを、それらの対応する非分解性配合物と比較した(図21A及び図21B)。例えば、10%のJ+90%のBは、加水分解性ヒドロゲル及び非分解性ヒドロゲルの質量比が混合時に約1:9であった混合ヒドロゲルを表す。
図21A及び図21BにおけるIgGの放出の結果は、加水分解性ヒドロゲル及び非分解性ヒドロゲルの比で放出プロファイルを操作することができることを示している。そして、IgGタンパク質の放出速度はバルク分解速度によって左右された。
実施例9 択一的なpHバッファーによって影響されるIgG放出
IgG放出が網目構造物の分解に依存することを更に確認するために、択一的なpHバッファー中でインキュベートされた接合部溶解性ヒドロゲルからのIgG放出を測定した(図12)。メタクリレート由来のエステルの加水分解速度定数は、37℃下でそれぞれpH4.5及び7.4にて、およそ8×10-5-1及び4×10-2-1であった(W. N. van Dijk-Wolthuis、M. J. van Steenbergen、W. J. Underberg、及びW. E. Hennink著,「水溶液中のメタクリル化デキストランの分解動態(Degradation kinetics of methacrylated dextrans in aqueous solution.)」,J. Pharm. Sci., vol. 86, no. 4, pp. 413-7, 1997を参照)ため、ヒドロゲル分解はpH変化に従って停止及び再開された。したがって、定常状態のヒドロゲル網目構造物と分解中のヒドロゲル網目構造物とからのIgG放出プロファイルを直接比較した。初期バーストを差し引くと、pH7.4領域でのIgG放出速度はpH4.5領域よりも大幅に素早く、網目構造物の分解が、負荷されたIgG放出で優位を占めるという仮説と一致した。別の興味深い点は、負荷されたIgGの放出速度が平均メッシュサイズと無関係であることであった。上記の式1によると、平均メッシュサイズはQ 1/3だけ膨らむこととなる。したがって、領域での平均メッシュサイズはC1>B1>A1であるが、放出曲線の傾きは類似していた。それに対して、領域B1のメッシュサイズはA1よりも大きいはずであるが、A1の傾きはB1よりも急であったことから、メッシュの開口速度が律速段階であることを示している。
図12は、接合部溶解性ヒドロゲルの膨潤プロファイル及び択一的なpH変更を伴う放出バッファー中でのIgGの放出を示す。配合の詳細:DX40k-VS(5%のDM/10%(重量/体積))とDX40k-O-SH(8%のDM/20%(重量/体積))とが架橋された。
実施例10 物質膨潤試験によるヒドロゲル中のエステルの加水分解速度の測定
実施例1~実施例3で製造されたポリマーを使用するヒドロゲルは、表2の配合に従って製造された。
Figure 0007440099000009
次いで、ヒドロゲルをpH7.4のPBS/0.02%(重量/体積)のNaN中で37℃にてインキュベートした。様々な時点でのヒドロゲルの湿重量を測定した。ヒドロゲル上の表面液体をティッシュペーパーで念入りに排出して乾燥させた。崩壊時間を、ヒドロゲルが弱すぎて取り扱えなくなった時間として定義した。
図19は、接合部溶解性ヒドロゲルのヒドロゲル膨潤プロファイルを示す。図19の結果から、配合物JL-6が、ポリマー間の接合部を構成する同じ化学的性質の加水分解性エステルを有したことを指摘することができる。
したがって、分子量、ポリマー濃度、及び修飾度等の構造的パラメーターを操作することによって、ヒドロゲル中のエステルの加水分解速度を調整することができる。
実施例1~実施例3で製造されたポリマーを使用するヒドロゲルは、表3の配合に従って製造された。BL-1~BL-4は、分解性骨格中の分解性リンカーが異なっていた。
Figure 0007440099000010
次いで、ヒドロゲルをpH7.4のPBS/0.02%(重量/体積)のNaN中で37℃にてインキュベートした。様々な時点でのヒドロゲルの湿重量を測定した。ヒドロゲル上の表面液体をティッシュペーパーで念入りに排出して乾燥させた。崩壊時間を、ヒドロゲルが弱すぎて取り扱えなくなった時間として定義した。図20は、骨格溶解性ヒドロゲルのヒドロゲル膨潤プロファイルを示す図である。
実施例1~実施例3で製造されたポリマーを使用するヒドロゲルを製造した。これらのヒドロゲルは、分解性骨格中の分解性リンカーが異なっていた。
次いで、ヒドロゲルをpH7.4のPBS/0.02%(重量/体積)のNaN中で37℃にてインキュベートした。様々な時点でのヒドロゲルの湿重量を測定した。ヒドロゲル上の表面液体をティッシュペーパーで念入りに排出して乾燥させた。崩壊時間を、ヒドロゲルが弱すぎて取り扱えなくなった時間として定義した。図16は、骨格溶解性ヒドロゲルのヒドロゲル膨潤プロファイルを示す図である。
実施例11 加水分解半減期の測定
加水分解半減期を、DO中の0.2Mのリン酸バッファー(pH7.4)中で37℃にて測定した。
表4は、種々の分解性リンカーの加水分解半減期の結果を示している。
Figure 0007440099000011
表4の結果から、エステルの片側でのみ修飾されたモジュレーターは、分解性リンカーのエステル加水分解速度に対してほとんど影響を与えないのに対して、エステルの両側で修飾されたモジュレーターは、分解性リンカーの安定化を大幅に促進することが示される。そして、疎水性モジュレーターは、親水性モジュレーターよりも分解性リンカーを安定化させるのにより有用であることが示される。しかしながら、疎水性モジュレーターは、水性バッファー中での分解性リンカーの溶解性を減少させることができる。
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、説明されたが、かかる実施形態は例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明が本明細書内で提供される具体的な例によって限定されることを意図するものではない。上記の明細書を参照して本発明を説明したが、本明細書の実施形態の記載及び実例は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。ここで、当業者は本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を想到するであろう。さらに、本発明の全ての態様は、様々な条件及び変項に依存する本明細書に規定される具体的な描写、構成又は相対的割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する際に利用され得ることを理解されたい。したがって、本発明は、任意のかかる代替、修正、変形又は均等物も網羅することが企図される。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、特許請求の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの同等物がそれによって網羅されることが意図される。

Claims (37)

  1. 少なくとも第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を含む組成物であって、
    前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第1の修飾を含み、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第2の修飾を含み、前記第1の修飾はビニルスルホン、前記第2の修飾はチオールであるか、又は前記第1の修飾はチオール、前記第2の修飾はビニルスルホンであり
    前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と反応して、ヒドロゲルを形成することができ、前記ヒドロゲルはそれが標的作用物質を含むときは当該標的作用物質の持続放出を可能にし、
    前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び/又は前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、分解性骨格を含み、ここで、前記分解性骨格は、分解又は切断可能な分解性リンカーによって連結された非分解性又は切断不可能な前駆体ポリマーを含み、
    前記分解性リンカーは、2個以上の修飾を含み、
    前記分解性リンカーの前記修飾は、ビニルスルホン、及びチオールから選択される、
    組成物。
  2. 前記分解性リンカーは、分解酵素を伴わずに加水分解性である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び/又は第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、親水性及び/又は水溶性である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、多糖、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、デキストラン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約20%未満の平均修飾度を有する、請求項に記載の組成物。
  7. 前記組成物中の前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体の質量比は、約3:1~約1:3である、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記組成物中の前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体のモル比は、約10:1~約1:10である、請求項に記載の組成物。
  9. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第1の平均修飾度を有し、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、第2の平均修飾度を有し、前記第1の平均修飾度と前記第2の平均修飾度の比は、約3:1~約1:3である、請求項又はに記載の組成物。
  10. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり、前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、1個以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせである、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、約10kDa~約500kDaの重量平均分子量を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 前記分解性骨格を含む前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び/又は第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、4以下の多分散性を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 前記分解性骨格を含む前記第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体及び/又は第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、前記分解性リンカーを用いて前記前駆体ポリマーを架橋させることによって形成され、ここで、前記分解性リンカーは、前記前駆体ポリマー間での分解性連結部の形成を可能にする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 前記前駆体ポリマーは、親水性及び/又は水溶性である、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記前駆体ポリマーは、非加水分解性であり、酵素的に非分解性であり、又はそうでなければ切断不可能である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
  16. 前記前駆体ポリマーは、多糖、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
  17. 前記前駆体ポリマーは、デキストラン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
  18. 前記前駆体ポリマーは、1個以上の修飾を含む誘導体であり、前記前駆体ポリマーの平均修飾度は、約20%未満である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
  19. 前記分解性骨格を含む前記ヒドロゲル形成ポリマーの形成のために、前記分解性リンカーと前記前駆体ポリマー上の前記修飾のモル比は、約1:1~約1:10である、請求項18に記載の組成物。
  20. 前記前駆体ポリマーの前記修飾は、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、チオール、アミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項18又は19に記載の組成物。
  21. 前記分解性リンカーの平均修飾度は、約30%未満である、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
  22. 前記前駆体ポリマーは、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のビニルスルホン基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり、前記分解性リンカーは、2個以上のチオール基修飾を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
  23. 前記前駆体ポリマーは、1個以上のチオール基で修飾されたデキストラン誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸誘導体、1個以上のチオール基で修飾されたポリエチレングリコール誘導体、又はそれらの組み合わせであり、前記分解性リンカーは、2個以上のビニルスルホン基修飾を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
  24. 前記分解性リンカーは、ビニルメタクリレート及びビニルアクリレートから選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
  25. 前記分解性リンカーは、以下の群:
    Figure 0007440099000012

    から選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
  26. 前記前駆体ポリマーは、2kDa~20kDaの重量平均分子量を有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。
  27. 標的作用物質持続放出するために使用されるヒドロゲルであって、前記ヒドロゲルは、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物を用いて形成される、ヒドロゲル。
  28. 前記ヒドロゲルは、前記標的作用物質を更に含む、請求項27に記載のヒドロゲル。
  29. 前記標的作用物質は、タンパク質又はポリペプチドを含む、請求項27又は28に記載のヒドロゲル。
  30. 前記標的作用物質の約30%未満は、最初の24時間以内に前記ヒドロゲルから累積的に放出され、前記標的作用物質の残りの部分は、約3ヶ月~約36ヶ月で前記ヒドロゲルから累積的に放出される、請求項2729のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
  31. 請求項2730のいずれか一項に記載のヒドロゲルを製造する方法であって、
    a)請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物を準備することと、
    b)前記組成物をバッファーと混合して、ポリマー溶液を形成することと、
    c)前記ポリマー溶液を、前記ヒドロゲルの形成を可能にする条件に曝露することと、を含む、方法。
  32. 前記曝露は、前記組成物を約30℃~約45℃でインキュベートすることを含む、請求項31に記載の方法。
  33. 前記ポリマー溶液は、標的作用物質を更に含む、請求項31又は32に記載の方法。
  34. 下記の工程を有する請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法
    a)分解又は切断可能な分解性リンカーを用いて非分解性又は切断不可能な前駆体ポリマーを架橋させて、分解性骨格を含む第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体又は分解性骨格を含む第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を得る工程
    b)前記分解性骨格を含む第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体又は前記分解性骨格を含む第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体を、ヒドロゲルの形成を可能にする条件下で、それぞれ第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体又は第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と混合する工程:
    ここで前記第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体又は第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体は、それぞれ前記分解性骨格を含む第1のヒドロゲル形成ポリマー誘導体又は第2のヒドロゲル形成ポリマー誘導体と反応し得る。
  35. 請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物と標的作用物質との混合物を含む、前記標的作用物質を持続放出するために用いられる医薬組成物であって、前記混合物は前記標的作用物質を持続放出し得るヒドロゲルの形成を可能にするものである、医薬組成物。
  36. 請求項2730のいずれか一項に記載のヒドロゲルを含む、標的作用物質を持続放出するために用いられる医薬組成物であって、前記標的作用物質が前記ヒドロゲルに封入されている、医薬組成物。
  37. a)請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物と、
    b)前記a)の組成物を用いて形成されたヒドロゲルによって持続放出される標的作用物質と、
    を含むキット。
JP2021502884A 2018-07-20 2019-07-19 標的作用物質の制御放出のための組成物及び方法 Active JP7440099B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201862701122P 2018-07-20 2018-07-20
US62/701,122 2018-07-20
PCT/CN2019/096795 WO2020015737A1 (en) 2018-07-20 2019-07-19 Compositions and methods for controlled release of target agent

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021531289A JP2021531289A (ja) 2021-11-18
JP7440099B2 true JP7440099B2 (ja) 2024-02-28

Family

ID=69163600

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021502884A Active JP7440099B2 (ja) 2018-07-20 2019-07-19 標的作用物質の制御放出のための組成物及び方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US12109307B2 (ja)
EP (1) EP3823592A4 (ja)
JP (1) JP7440099B2 (ja)
CN (1) CN112702992A (ja)
WO (1) WO2020015737A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20230093832A1 (en) * 2020-01-16 2023-03-30 The Hong Kong University Of Science And Technology Compositions and methods for controlled release of target agent
US20230173074A1 (en) * 2020-04-23 2023-06-08 Pleryon Therapeutics (Shenzhen) Limited Biocompatible material and methods for making and using the same

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012506840A (ja) 2008-09-25 2012-03-22 インヴィーヴォ セラプーティクス コーポレーション 脊髄の損傷、炎症および免疫疾患に用いられる局所的に放出を制御しうる治療薬
US20120114615A1 (en) 2008-12-22 2012-05-10 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Hydrolytically degradable polysaccharide hydrogels

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000078285A1 (en) * 1999-06-18 2000-12-28 University Of Medicine And Dentistry Of New Jersey Controlled release of therapeutics by in-situ entrapment by matrix cross-linking
WO2008098019A2 (en) 2007-02-05 2008-08-14 Carbylan Biosurgery, Inc. Polymer formulations for delivery of bioactive agents
EP2459239A1 (en) * 2009-07-30 2012-06-06 Carbylan Biosurgery, Inc. Modified hyaluronic acid polymer compositions and related methods
US10226417B2 (en) * 2011-09-16 2019-03-12 Peter Jarrett Drug delivery systems and applications
AU2012347926B2 (en) * 2011-12-05 2018-03-15 Incept, Llc Medical organogel processes and compositions
CN104307049B (zh) * 2014-09-29 2016-04-13 四川大学华西医院 一种仿细胞外基质可注射的原位水凝胶及其制备方法与应用

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012506840A (ja) 2008-09-25 2012-03-22 インヴィーヴォ セラプーティクス コーポレーション 脊髄の損傷、炎症および免疫疾患に用いられる局所的に放出を制御しうる治療薬
US20120114615A1 (en) 2008-12-22 2012-05-10 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Hydrolytically degradable polysaccharide hydrogels

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Biomacromolecules,2014年10月14日,2015, 16,56-65
Macromolecules,2018年05月15日,51,3941-3952
Trans Vis Sci Tech.,2015年,4(2),Article 5, 1-11

Also Published As

Publication number Publication date
WO2020015737A1 (en) 2020-01-23
US20210220266A1 (en) 2021-07-22
US12109307B2 (en) 2024-10-08
EP3823592A4 (en) 2022-05-04
JP2021531289A (ja) 2021-11-18
EP3823592A1 (en) 2021-05-26
CN112702992A (zh) 2021-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Banks et al. Chemical modification of alginate for controlled oral drug delivery
Buwalda et al. Hydrogels in a historical perspective: From simple networks to smart materials
CN107949598B (zh) 制备基于壳聚糖和负电荷聚电解质的水凝胶的方法以及由该水凝胶得到的蜂窝多孔材料
JP5165281B2 (ja) 2反応剤型の医療用含水ゲル形成剤、及び、これより得られるヒアルロン酸ゲル
Tan et al. Thermo-sensitive alginate-based injectable hydrogel for tissue engineering
Hennink et al. Novel crosslinking methods to design hydrogels
CN110498936A (zh) 一种透明质酸钠/海藻酸钠注射型复合水凝胶的制备方法
JP7440099B2 (ja) 標的作用物質の制御放出のための組成物及び方法
KR100737954B1 (ko) 조직재생을 위한 히알루론산-기초된 주사형 하이드로겔
WO2009006780A1 (fr) Procédé pour la formation d'un hydrogel biocompatible à gélification rapide et préparation d'un agent de pulvérisation
WO2017165389A2 (en) Alginate hydrogel compositions
JP2003516810A (ja) 分解性ポリ(ビニルアルコール)ヒドロゲル
JP6811956B2 (ja) 分解制御性ハイドロゲル
CN102827446A (zh) 一种温度响应型可注射水凝胶及其制备方法和用途
EP3167000A1 (en) Thiolated peg-pva hydrogels
CN109912791B (zh) 一种羧基化peg衍生物、基于该peg衍生物的水凝胶、及它们的制备方法和应用
Augustine et al. Crosslinking strategies to develop hydrogels for biomedical applications
CN101928355B (zh) 一种氨基化海藻酸及其制备方法
CN108463256B (zh) 生物可降解的植入物
CN109337098A (zh) 一种酶响应型结肠靶向载药凝胶的制备方法
David et al. MICRO-/NANOSTRUCTURED POLYMERIC MATERIALS: POLY (∊-CAPROLACTONE) CROSSLINKED COLLAGEN SPONGES.
RU2708327C2 (ru) Производные сульфатированных полисахаридов, их способ получения, модификация и применение
EP3986491B1 (en) Crosslinkable hydrogel compositions
Singh et al. Alginate-based hydrogels: synthesis, characterization, and biomedical applications
US20070249733A1 (en) High Molecular Substance Beads Having Water-Insoluble Inorganic Compounds Encapsulated Therein, Their Preparation Method and Use

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210323

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220304

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230207

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230427

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230703

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7440099

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150