JP2023510051A - 新規な結晶形形態のエドキサバン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、現在市販されているエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物は、結晶性が極めて悪く、水分により安定性が阻害され、固体の色も淡黄色固体であり、製剤時の打錠が容易ではないという問題点を有している。したがって、本発明は、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の問題点である結晶性、吸湿性、また製剤の容易性を克服した球状形態を有するエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形及びその製造方法に関する。
エドキサバン(Edoxaban)は、大韓民国登録特許公報第10-0863113号及び第10-1708528号に記載されているN-(5-クロロピリジン-2-イル)-N-((1S、2R、4S)-4-[(ジメチルアミノ)カルボニル]-2-[(5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-イル)カルボニル]アミノシクロヘキシル)エタンジアミドであって、下記の構造式(化1)で表われる。
エドキサバンは、活性化血液凝固第X因子(FXa)の阻害作用を示し、血栓性疾患の予防及び/または治療薬として有用な化合物である。これは、大韓民国登録特許公報第10-1424843号及び第10-1708528号において、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の結晶形形態として報告されており、これは、リクシアナ(Lixiana)という商品名で市販される錠剤製品の主成分である。
大韓民国登録特許公報第10-1424842号のエドキサバン医薬組成物の特許では、塩酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩1水和物等が開示されている。
大韓民国登録特許公報第10-1708528号には、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の結晶1型及び2型についての内容が開示されているが、一般の結晶化方法で製造するとき、結晶1型と2型を再現性を有して収得するのに問題点があり、蒸気吸着法とジオキサン及びジメチルスルホキシドのような一般の溶媒とは異なる溶媒を用いるという極めて複雑な方法で結晶形を収得する。
また、大韓民国登録特許公報第10-1708528号による方法を用いて結晶化したときも、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物結晶形の結晶性が極めて悪く、吸湿による安定性が脆弱であるという報告がある。
そして、現在報告されたエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の固体は、淡黄色を帯びる固体であり、剤形過程における打錠時、高い粘着性と静電気力により、一定に打錠するのが困難であるという報告があり、粒子の流れ性も低く、これを改善するための努力が至急な実情である。
中国公開特許公報CN105753888 Aには、エドキサバン遊離塩基の合成製法が報告され、中国公開特許公報CN107663213 Aには、エドキサバン遊離塩基3水和物結晶形が報告されている。しかし、中国公開特許公報CN107663213 Aには、結晶形を判断可能な粉末X線回折(PXRD、Powder X-Ray Diffraction)パターン及び温度示差走査熱量(DSC、Differential Scanning Calorimetry)に対する結晶形による分析結果が報告されていない。
したがって、本発明者等は、中国公開特許公報CN107663213 Aに報告された実施例に基づいて、エドキサバン遊離塩基3水和物結晶形を製造しようとしたが、これは失敗した。その理由としては、多結晶の形態が全て混合されており、単結晶自体を収得することができないことが確認された[図4]。
また、現在市販されているエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物のような酸付加塩は、水分と親和的であるので、水分及び相対湿度に対する安定性の問題点を有しており、エドキサバンの保管及び貯蔵過程での安定性を阻害する。しかし、このようなエドキサバン遊離塩基形態の結晶形として開発すれば、遊離塩基自体が中性分子であって、水分と親和的ではないので、保管及び貯蔵過程での安定性を改善することができる。
しかしながら、現在報告されたエドキサバン塩及び結晶形では、エドキサバン遊離塩基の無水結晶形は、存在せず、球状形態の結晶形状のエドキサバン遊離塩基の結晶形も存在しない。
球状結晶粒子は、球状結晶化により、複雑な方法で製造される特別な結晶の形状である。この球状形態の結晶は、製剤の容易性である粘着性、流れ性、静電気力を向上させるのみならず、固体形態の安定性を向上させるのに重要な役割をする。したがって、この球状結晶粒子を製造する方法は、極めて高難度の結晶化技術を要する方法であって、その方法が極めて複雑である(Crystals 2019, 9, 53)。
このため、本発明者等は、エドキサバン酸付加塩の問題点である結晶性、固体の色、水分による安定性、製剤の容易性を改善するために、新規な無水結晶形としてエドキサバン遊離塩基を確保した。
したがって、本発明者等は、熱力学的に安定であり、吸湿性が低く、常温での保管が容易であり、高い結晶性を示し、固体の色が白色を帯び、打錠が容易な球状結晶粒子であるとともに、酸付加塩を製造しなくても、剤形化に有利な、新規な無水結晶形のエドキサバン遊離塩基を開示しようとする。
本発明者等は、現在市販されているエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の低い結晶性、複雑な結晶化方法、製剤の容易性、淡黄色の固体色、また、保管及び貯蔵過程での安定性に対する問題点を克服し、剤形化に容易な性質である優れた粘着性、均一性を有し、静電気力が低く、高い結晶性を有し、白色を呈する球状形態のエドキサバン遊離塩基の新規な無水結晶形を開発した。
本発明の一具現例によれば、本発明は、粉末X線回折(PXRD)分析において、6.633±0.2、11.185±0.2、13.425±0.2、18.057±0.2、18.942±0.2、19.989±0.2、22.431±0.2、25.073±0.2、及び26.763±0.2において特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有することを特徴とするエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形を提供する。
例えば、本発明に係るエドキサバン遊離塩基の結晶形の一具現例の粉末X線回折の強度及びピーク位置は、下記の表1の通りである。
(エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形のPXRDにおける強度及びピーク位置)
また、本発明は、密閉パンを使った温度示差走査熱量(DSC)分析において、昇温速度を10℃/miNとしたとき、吸熱開始温度117.18℃±3℃及び吸熱温度121.19℃±3℃、吸熱開始温度299.37℃±3℃、吸熱温度300.13℃±3℃において吸熱ピークを示すエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形を提供する。
また、本発明は、密閉パンを使った温度示差走査熱量(DSC)分析において、昇温速度を10℃/miNとしたとき、吸熱開始温度117.18℃±3℃及び吸熱温度121.19℃±3℃、吸熱開始温度299.37℃±3℃、吸熱温度300.13℃±3℃において吸熱ピークを示すエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形を提供する。
また、本発明は、熱重量分析(TGA、Thermogravimetric analysis)において、100℃以前の熱重量減少のない無水結晶形形態のエドキサバン遊離塩基を提供する。
本発明者等は、従来のエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の問題点である低い結晶性、水分による安定性、製剤の容易性、固体の色を克服することができる新規な結晶性固体としてのエドキサバン遊離塩基を得ようとした。
本発明者等は、従来のエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物が有する短所を克服するとともに、純度に優れ、物理化学的性質及び安定性に優れたエドキサバンの新規な結晶性遊離塩基を得ようとした。
その結果、本発明者等は、上述した長所を有するエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形を製造することができる方法及び条件を開発し、かくして製造されたエドキサバン遊離塩基は、熱力学的に安定し、打錠が容易な球状結晶粒子を有し、白色固体として結晶性に優れ、それ自体として医薬品の主成分で用いることができ、また他の塩原料を製造するとき、中間体として使用するのに適したことを糾明した。
本発明の一具現例によれば、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の粉末X線回折パターンを示す。
本発明の一具現例によれば、本発明の新規な結晶形のエドキサバン遊離塩基は、図2の温度示差走査熱量(DSC)分析の熱量曲線の特徴を有する。
本発明の一具現例によれば、本発明の新規な結晶形のエドキサバン遊離塩基は、図3の熱重量分析(TGA)の100℃以前の水分による重量減少がないことを特徴とする無水結晶形形態を示す。
本発明は、現在市販されているエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の低い結晶性、結晶の色、保管及び貯蔵過程での水分による安定性、悪い製剤の容易性等の問題点を克服した、球状結晶粒子形態のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形形態であって、医薬品の主成分として用いるのに適している。
本発明の他の様態によれば、本発明は、次の段階を含む結晶形のエドキサバン遊離塩基の製造方法を提供する:
(a)エドキサバン酸付加塩をメチレンクロライド溶媒に溶解または懸濁し、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを調節した後、有機層を分離する段階;
(b)前記段階(a)の結果物に、吸湿剤として硫酸マグネシウム(MgSO4)または硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加して撹拌する段階;
(c)前記段階(b)の結果物を濾過した後、減圧濃縮及び乾燥する段階;
(d)前記段階(c)の結果物に、水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルアセテート、ヘキサンを添加し、激しい撹拌及び選択的シーディング(seeding)により、結晶形のエドキサバン遊離塩基を収得する段階。
段階(a)エドキサバン酸付加塩処理
本発明において、エドキサバン酸付加塩をメチレンクロライド溶媒及びエチルアセテート溶媒に溶かしまたは懸濁し、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを調節した後、抽出により有機層を分離して得る段階を含む。
本発明において、エドキサバン酸付加塩をメチレンクロライド溶媒及びエチルアセテート溶媒に溶かしまたは懸濁し、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを調節した後、抽出により有機層を分離して得る段階を含む。
一方、エドキサバン酸付加塩に加える炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム水溶液及びメチレンクロライド溶媒の処理は、その順序によらない。
本発明において用いられるエドキサバン酸付加塩は、エドキサバンの様々な酸付加塩を含み、例えば、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物及びエドキサバン塩酸塩が利用可能である。
炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム水溶液の処理によるpH調節は、9-10の条件とすることを意味する。
段階(b)-(c):再結晶化による結晶形のエドキサバン遊離塩基の収得
段階(b)において、吸湿剤として硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを添加して撹拌し、水分を除去する過程を意味する。
段階(b)において、吸湿剤として硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを添加して撹拌し、水分を除去する過程を意味する。
段階(c)において、結果物を、好ましくは5℃で濾過し、50℃以下で減圧濃縮及び乾燥を行う段階を意味する。
段階(d):再結晶化によるエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の収得
前記段階(c)の結果物または前記段階(a)の出発物質に、水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルアセテート、及びヘキサン等の溶媒を加え、激しい撹拌及び必要に応じて選択的シーディング(seeding)により、結晶性エドキサバン遊離塩基を収得する。
前記段階(c)の結果物または前記段階(a)の出発物質に、水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルアセテート、及びヘキサン等の溶媒を加え、激しい撹拌及び必要に応じて選択的シーディング(seeding)により、結晶性エドキサバン遊離塩基を収得する。
水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルアセテート、及びヘキサン等の溶媒の割合は、様々に製造することができ、溶媒の使用量は、具体的にエドキサバン遊離塩基1gに対して10-50mlである。
結晶化のためにエドキサバン遊離塩基と溶媒を激しく撹拌することが有利であり、撹拌時間は、1-8時間、より具体的に1-4時間である。
撹拌時、本発明に係るエドキサバン結晶性遊離塩基を選択的にシーディング(seeding)し、結晶の析出時間を早めることができる。シーディングは、必須ではないが、数時間撹拌しても結晶形固体が析出されない場合に効果的である。
本発明の効果は、以下の通りである。
本発明に係るエドキサバン遊離塩基は、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物に比べて、経時変化による類縁物質の発生を極小化して、製品の保管過程における不純物生成量を少なくし、製剤の安定性を高めることができる。
また、本発明に係る球状結晶粒子を有するエドキサバン遊離塩基は、高い結晶性を有し、結晶の色が白色であり、製剤の容易性である流度、均一性に優れ、静電気力がなく、物理化学的性質に優れた性質を有するので、薬学組成物の有用な主成分として用いられ得る。
また、本発明に係るエドキサバン遊離塩基は、エドキサバンの他の塩形態の主成分を製造するとき、中間体として用いられ得る。
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳述する。これらの実施例は、ひたすら本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨により、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
[実施例1]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の製造
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸水素ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、イソプロパノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(イソプロパノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形3.2gを収得した。
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸水素ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、イソプロパノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(イソプロパノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形3.2gを収得した。
[実施例2]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の製造
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをエチルアセテート100mLに投入して溶解した。10%炭酸水素ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、イソプロパノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(イソプロパノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.7gを収得した。
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをエチルアセテート100mLに投入して溶解した。10%炭酸水素ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、イソプロパノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(イソプロパノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.7gを収得した。
[実施例3]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の製造
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、イソプロパノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(イソプロパノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.1gを収得した。
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、イソプロパノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(イソプロパノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.1gを収得した。
[実施例4]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の製造
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、メタノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(メタノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.5gを収得した。
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、メタノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(メタノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.5gを収得した。
[実施例5]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の製造
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、エタノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(エタノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.6gを収得した。
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、エタノール50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(エタノール5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.6gを収得した。
[実施例6]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の製造
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、ヘキサン50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(ヘキサン5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.5gを収得した。
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、ヘキサン50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(ヘキサン5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.5gを収得した。
[実施例7]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の製造
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、エチルアセテート50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(エチルアセテート5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.4gを収得した。
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、エチルアセテート50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(エチルアセテート5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.4gを収得した。
[実施例8]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の製造
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、アセトン50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(アセトン5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.6gを収得した。
常温で、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物5gをメチレンクロライド100mLに投入して溶解した。10%炭酸ナトリウム水溶液を投入し、10分間撹拌しながら、pHを9-10程度に合わせた後、有機層を分離した。硫酸マグネシウムを用いて有機層の水分を除去した後、濾過して45℃で減圧濃縮した。以後、アセトン50mLを投入した後、常温で2時間撹拌してから、濾過して(アセトン5mLで洗浄)、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形2.6gを収得した。
[比較実施例1]大韓民国登録特許公報第10-1708528号により、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の製造
エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形と比較評価するために、大韓民国登録特許公報第10-1708528号に記載された実施例により、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物を製造した。製造過程において、結晶1型と2型が十分に析出されず、混合した形態にのみ示されたので、製造されたエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の結晶形を特定せずに、比較評価した。[図5]に示すように、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の結晶性が極めて悪いことが確認される。
エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形と比較評価するために、大韓民国登録特許公報第10-1708528号に記載された実施例により、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物を製造した。製造過程において、結晶1型と2型が十分に析出されず、混合した形態にのみ示されたので、製造されたエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の結晶形を特定せずに、比較評価した。[図5]に示すように、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の結晶性が極めて悪いことが確認される。
[比較実施例2]中国特許公報CN107663213 Aの実施例により、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の製造
エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形と比較評価するために、中国公開特許公報CN107663213 Aに記載された実施例により、エドキサバン遊離塩基3水和物を製造しようとしたが、[図4]に示すように、多結晶形態の結晶が析出されて単結晶を製造することができなかった。したがって、本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形と中国公開特許公報CN107663213 Aのエドキサバン遊離塩基3水和物とは、物理的特性を比較することができなかった。
エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形と比較評価するために、中国公開特許公報CN107663213 Aに記載された実施例により、エドキサバン遊離塩基3水和物を製造しようとしたが、[図4]に示すように、多結晶形態の結晶が析出されて単結晶を製造することができなかった。したがって、本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形と中国公開特許公報CN107663213 Aのエドキサバン遊離塩基3水和物とは、物理的特性を比較することができなかった。
[実験例1]粉末X線回折(PXRD)
PXRD分析(図1参照)を、CuKα放射線を用いて(D8 Advance)X線粉末回折計上において行った。器具には、管動力が装備されており、電流量は、45kV及び40mAに設定した。発散及び散乱スリットは、1°に設定し、受光スリットは、0.2mmに設定した。5から35°2θまで3°/分(0.4秒/0.02°間隔)のθ-2θ連続スキャンを用いた。
PXRD分析(図1参照)を、CuKα放射線を用いて(D8 Advance)X線粉末回折計上において行った。器具には、管動力が装備されており、電流量は、45kV及び40mAに設定した。発散及び散乱スリットは、1°に設定し、受光スリットは、0.2mmに設定した。5から35°2θまで3°/分(0.4秒/0.02°間隔)のθ-2θ連続スキャンを用いた。
[実験例2]熱重量分析法(TGA)
TA社から入手したTGA Q50を用いて、窒素浄化下で、30℃から350℃まで10℃/minのスキャン速度で、TGAパンを用いて測定(図3参照)を行った。
TA社から入手したTGA Q50を用いて、窒素浄化下で、30℃から350℃まで10℃/minのスキャン速度で、TGAパンを用いて測定(図3参照)を行った。
[実験例3]温度示差走査熱量法(DSC)
TA社から入手したDSC Q50を用いて、窒素浄化下で、20℃から350℃まで10℃/minのスキャン速度で、密閉パンでDSC測定(図2参照)を行った。
TA社から入手したDSC Q50を用いて、窒素浄化下で、20℃から350℃まで10℃/minのスキャン速度で、密閉パンでDSC測定(図2参照)を行った。
[実験例4]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の溶解度の評価
前記実施例で製造したエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の水溶解度及びpH6.8での溶解度を測定し、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物と比較するために、先ず、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物を10μg/mlから50μg/mlまで濃度を設定し、10倍希釈した後、直線性を示した。示された直線性におけるR2=0.992として信頼することができる数値を得た。この直線性を用いて、5mlの水とpH6.8の水溶液に固体が沈殿されるまで、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物とエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形を投入した。その後、1時間撹拌してから、1時間静置した。静置された溶液の上澄液1mlをサンプリングしてから、メタノールを用いて10倍希釈し、希釈された溶媒をHPLCで分析した後、エドキサバンピークの広さを用いて溶解度を測定した。その結果を、以下の[表2]にまとめた。
前記実施例で製造したエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の水溶解度及びpH6.8での溶解度を測定し、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物と比較するために、先ず、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物を10μg/mlから50μg/mlまで濃度を設定し、10倍希釈した後、直線性を示した。示された直線性におけるR2=0.992として信頼することができる数値を得た。この直線性を用いて、5mlの水とpH6.8の水溶液に固体が沈殿されるまで、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物とエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形を投入した。その後、1時間撹拌してから、1時間静置した。静置された溶液の上澄液1mlをサンプリングしてから、メタノールを用いて10倍希釈し、希釈された溶媒をHPLCで分析した後、エドキサバンピークの広さを用いて溶解度を測定した。その結果を、以下の[表2]にまとめた。
(エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の溶解度)
前記表2に示したように、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形とエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の溶解度は、同等な結果を示した。したがって、酸付加塩ではなく、遊離塩基でも、酸付加塩と同等な溶解度を示すことが確認された。
前記表2に示したように、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形とエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の溶解度は、同等な結果を示した。したがって、酸付加塩ではなく、遊離塩基でも、酸付加塩と同等な溶解度を示すことが確認された。
したがって、結晶性が悪く、安定性も低く、製剤の容易性が極めて悪い淡黄色固体のエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の使用よりも、水溶解度が同等であり、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の問題点を克服した本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形を医薬品原料として直ちに使えることが確認された。
[実験例5]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形とエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の加速、苛酷評価
医薬品の安定性試験とは、医薬品等の貯蔵方法及び使用期間を設定するために、適切な規格を設定した後、決まった試験法に基づき、有意な変化を判断して有効期間を設定するようになるので、薬物の適正な安定性の確保は、薬物の製品化にあたって極めて重要な要素の一つである。
したがって、本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の製品化可能性を確認するために、結晶性のエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物を対照群として、ICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)のガイドラインにより加速及び苛酷安定性を実施し、アメリカ薬局方(USP、Pharmacopoeia of the United States of America)に記載された高速液体クロマトグラフィー(HPLC、High-performance liquid chromatography)分析法を用いて分析した後、その結果を表3及び4に示す。
実施例により製造されたエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形とエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の加速、苛酷条件の安定性試験を7日間実施した。その結果、表3及び4に示すように、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形は、純度の影響を受けることなく、安定して維持されたが、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物は、3日から純度が低くなり、安定性が悪いことが確認された。
したがって、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の加速、苛酷条件での安定性は、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物よりも改善したことが確認された。
[実験例6]エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の球状結晶粒子及び結晶性、また粒子の流度、均一性、静電気力の比較評価
固体粉末の場合、打錠時、賦形剤との混合性、粒子の流度、粒子の均一性等が極めて重要である。一般に、粒径分布図上において、粒子分布が対称的であるとともに、極めて均一な形態が打錠が容易であると言われている。
固体粉末の場合、打錠時、賦形剤との混合性、粒子の流度、粒子の均一性等が極めて重要である。一般に、粒径分布図上において、粒子分布が対称的であるとともに、極めて均一な形態が打錠が容易であると言われている。
図5は、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形とエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の結晶形状を撮った光学顕微鏡画像である。その結果、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形は、球状形態の結晶粒子形状が均等な分布で示されることが確認された。これは、打錠の容易性を向上させることができる重要な結果である。しかし、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物は、結晶性があまり良好でない結晶形状を示し、結晶の粒子も一定でないことが確認された。
本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形とエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の粒子分布度を比較分析した。粒度は、一般に、固体分散法を用いて、マスターサイザー2000(mastersizer 2000)装備を用いて測定した。前記本発明のエドキサバン遊離塩基とエドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物の粒度を、図6にそれぞれ示す。
図6に示すように、本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の場合、対称的な峰状の一定の分布を示すのに対して、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物は、広くて分かれた多峰状の非対称的な粒子分布図を有することが確認された。したがって、粒子の粒度が、エドキサバン遊離塩基の新規な結晶形において良好であることが予測される。球状結晶粒子は、一定の流れ性及び静電気力と粘着性を改善させ、打錠時、極めて容易な固体としての活用を示すことができる。したがって、本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形は、球状結晶粒子であるので、打錠の容易性が向上される。
また、図7において、本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形の結晶形状は、白色の均等な分布の粒子形状を有しており、図5の光学顕微鏡の結果、球状結晶粒子の形態を示した。しかし、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物は、均等ではなく、不均一に凝集した粒子形態を有し、淡黄色の固体色を帯びる。
図8では、それぞれの固体の粘着性を確認することができる。エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物は、粘性が強く、静電気力により、包装材(ポリ袋)にくっついていることが確認されるが、本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形は、静電気力がなく、均等な粒子形態を示すことが確認された。
結論として、本発明のエドキサバン遊離塩基の新規な結晶形は、球状結晶粒子として、エドキサバンp-トルエンスルホン酸塩1水和物よりも、結晶性が高く、結晶の色が白色であり、また打錠が容易な固体形態であり、粒子の粒度、均一性、静電気力が極めて向上して、製剤学的打錠に極めて容易な固体形態であることが確認された。
以上、本発明の特定部分を詳述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、これらの具体的な技術は、単に好適な具現例に過ぎず、本発明の範囲がこれらに制限されるのではないことは明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とその等価物により定義されるべきである。
Claims (5)
- 粉末X線回折(PXRD)分析において、2θ回折角6.633±0.2、11.185±0.2、13.425±0.2、18.057±0.2、18.942±0.2、19.989±0.2、22.431±0.2、25.073±0.2、及び26.763±0.2で特徴的なピークを有するエドキサバン遊離塩基の結晶形。
- 前記結晶形のエドキサバン遊離塩基は、図1に示された粉末X線回折パターンを有することを特徴とする請求項1に記載のエドキサバン遊離塩基の結晶形。
- 温度示差走査熱量(DSC)分析において、昇温速度10℃/minとしたとき、吸熱開始温度117.18℃±3℃及び吸熱温度121.19℃±3℃、吸熱開始温度299.37℃±3℃、吸熱温度300.13℃±3℃で吸熱ピークを示す請求項1に記載のエドキサバン遊離塩基の結晶形。
- 熱重量分析(TGA)において、100℃付近で水分の質量減少がない無水結晶形形態である請求項1に記載のエドキサバン遊離塩基の結晶形。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の結晶形のエドキサバン遊離塩基を主成分とする血栓性疾患の予防または治療用として有用な薬剤学的組成物。
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