JP2023509916A - トリシアノヘキサン精製方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は一般に、アジポニトリル製造の副生成物または副産物ストリームの精製によりトリシアノヘキサン(TCH)を回収するためのプロセスに関する。特に、本開示は、トリシアノヘキサン(TCH)を精製するためのプロセスであって、(a)アジポニトリルおよびTCHを含むアジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;(b)蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分を含む第2の塔底重質分ストリームと、TCHおよび10wt.%未満の不純物を含むTCHストリームとを形成するステップとを有し;蒸留塔が低圧蒸留塔であるプロセスに関する。【選択図】なし

Description

関連出願に対する参照
[0001]本願は、2019年12月30日に出願された米国仮出願第62/955,086号に対する優先権を主張し、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
[0002]本開示は一般に、工業プロセスの副産物ストリームの精製によるトリシアノヘキサン(TCH)の製造に関する。より具体的には、本開示は、アジポニトリルの製造によって生じるストリーム中に存在するTCHを回収するためのプロセスに関する。
[0003]シアノカーボン、例えば、シアノ官能基を有する有機化合物が公知であり、様々な用途に広く使用されている。これらの化合物の多くは、アクリロニトリルおよびアジポニトリル(ADN)を含め、様々なポリマー、例えばナイロン、ポリアクリロニトリル、またはアクリロニトリルブタジエンスチレンを調製するためのモノマーとして使用されている。特にアジポニトリルは、ナイロン-6,6の製造のために水素化して1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン(HMD))とすることができる。シアノカーボンを製造するためのいくつかのプロセスが当技術分野で公知である。例えば、従来の1つのアジポニトリル製造経路は、米国特許第3,844,911号に記載されているように、アクリロニトリルの電解水素化二量化(electrohydrodimerization)を利用する。
[0004]この製造方法および他の製造方法は、多くの場合、少量の望ましい副産物を含むストリームを生じる。例えば、アジポニトリル製造プロセスの従来のストリームの中には、少量ではあるが、有意ではないとは言えない量の残存アジポニトリルを含有するものもあり得る。典型的には、これらのストリームの分離は非効率的であり、これらの量のアジポニトリルを効果的に捕捉することができなかった。結果として、ストリームは廃棄物ストリームとして処理され、例えば焼却され、これらの副産物は完全に失われる結果となっている。したがって、貴重なアジポニトリルは、捕捉されることがない。
[0005]いくつかのADN分離/精製プロセスが公知である。しかし、これらのプロセスは一般に、より高濃度のアジポニトリルを含む粗アジポニトリル生成物ストリームの精製に関するものである。
[0006]例えば、米国特許第3,451,900号は、アジポニトリル、シクロペンタノン、2-シアン-シクロペンテン-(1)-イル-アミン、およびアジポニトリルよりも沸点が高い他の成分を含有する反応生成物から純粋なアジポニトリルを製造する方法であって、シクロペンタノンと2-シアン-シクロペンテン-(1)-イル-アミンがアジポニトリルから蒸留される方法に関し、その改善点は、反応生成物をアジポニトリルおよび全ての低沸点成分を含む蒸留物と、アジポニトリルよりも沸点が高い成分を含む残在物とに分離するための蒸留に供すること、ならびにその後前記蒸留物を低沸点不純物をアジポニトリルから分離するための多段階真空蒸留プロセスに供することを含む。
[0007]また、米国特許第6,599,398号は、アジポニトリル、アミノカプロニトリルおよびヘキサメチレンジアミンの混合物から精製されたアジポニトリルを回収するためのプロセスに関し、プロセスは、(1)蒸留塔において、ADNの少なくとも7%がビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)および2-シアノシクロペンチリデンイミン(CPI)と共に蒸留物に入るような水頭圧で混合物が蒸留される第1の蒸留と、(2)第2の蒸留塔において、第1の蒸留からの蒸留物がアジポニトリルとBHMTとの最低温度共沸を引き起こすのに十分な水頭圧で蒸留される第2の蒸留という2回の逐次蒸留を利用し、それにより、BHMTおよびCPIの大部分が第2の蒸留から蒸留物として取り出され、BHMTとCPIの両方を実質的に含まないアジポニトリルが塔底物として取り出されることを可能とする。
[0008]公知の技術に鑑みても、低アジポニトリル含有量のシアノカーボン製造プロセスストリームから残存するアジポニトリルの量を効果的に回収でき、全体的な製造効率の著しい改善をもたらすプロセスに対する必要性が存在する。
[0009]本開示は、工業プロセスストリーム、とりわけ、アジポニトリルの製造からのプロセスストリームからTCHを回収するためのプロセスを提供する。一態様において、本開示は、トリシアノヘキサン(TCH)を精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルおよびTCHを含むアジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)1つまたは複数の蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分を含む第2の塔底重質分ストリームと、TCHおよび10wt.%未満の不純物を含むTCHストリームとを形成するステップとを含み;蒸留塔が低圧蒸留塔であるプロセスを提供する。場合によっては、低圧蒸留塔は、真空下で運転される。場合によっては、低圧蒸留塔は、100mmHg未満の塔頂部圧力で運転される。場合によっては、低圧蒸留塔は、100mmHg未満の塔底部圧力で運転される。場合によっては、蒸留塔は再沸器を含み、再沸器は、250℃超の温度で運転される。場合によっては、蒸留塔は再沸器を含み、再沸器は、熱油システムを利用する。場合によっては、ステップa)は、アジポニトリルプロセスストリームをフラッシングするステップ、ワイプ膜式蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップ、および/または流下膜式蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップを含む。場合によっては、ステップa)は、少なくとも250℃の温度で行われる。場合によっては、TCHストリームは、1wt.%未満の不純物を含む。場合によっては、第1の塔頂軽質分ストリームは、0wt.%~20wt.%の重質分を含む。場合によっては、プロセスは、0wt.%~40wt.%の高沸点成分を任意に含む第2の塔底重質分ストリームの少なくとも一部をリサイクルするステップをさらに含む。場合によっては、ステップb)は、第1の蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、第2の塔頂軽質分ストリームと第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;第2の蒸留塔において第2の塔底重質分ストリームを分離して、第3の塔底重質分ストリームと第3の塔頂TCHストリームとを形成するステップとをさらに含む。これらの場合のいくつかにおいて、プロセスは、第3の塔底重質分ストリームの少なくとも一部を第2の塔底重質分ストリームおよび/または第1の塔頂軽質分ストリームへとリサイクルするステップをさらに含んでもよい。場合によっては、プロセスは、TCHストリームを処理して精製されたTCHストリームを形成する処理ステップをさらに含む。処理ステップは、窒素ストリッピングまたはモレキュラーシーブでの処理を含んでもよい。精製されたTCHストリームは、0.1wt.%未満の不純物、20ppm未満の水、および/または5ppm未満の金属を含んでもよい。場合によっては、アジポニトリルプロセスストリームは、アジポニトリル製造および/またはアジポニトリル精製プロセスにより生成される副産物ストリームである。場合によっては、第1の塔底重質分ストリームおよび/または第2の塔頂軽質分ストリームは、アジポニトリル製造および/またはアジポニトリル精製プロセスへとリサイクルされる。
[0010]別の態様において、本開示は、TCHを精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルおよびTCHを含むアジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび重質分を含む第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;c)第2の塔底重質分ストリームを蒸留して、TCHおよび5wt.%未満の不純物を含む第3の塔頂軽質分ストリームと、重質分を含む第3の塔底重質分ストリームとを形成するステップとを含み;ステップb)またはステップc)が低圧蒸留塔において蒸留するステップを含むプロセスを提供する。場合によっては、低圧蒸留塔は再沸器を含み、再沸器は250℃超の温度で運転される。
[0011]別の態様において、本開示は、TCHを精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルおよびTCHを含むアジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)第1の塔頂軽質分ストリームを蒸留して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、重質分を含む第2の塔底重質分ストリームと、TCHおよび軽質分を含む塔側抜出液(side draw)とを形成するステップと;c)第2のフラッシュ室において塔側抜出液を分離して、TCHおよび5wt.%未満の不純物を含む第3の塔底重質分ストリームを形成するステップとを含み、ステップb)またはステップc)が、低圧蒸留塔において蒸留するステップを含むプロセスを提供する。場合によっては、低圧蒸留塔は再沸器を含み、再沸器は250℃超の温度で運転される。
[0012]別の態様において、本開示は、TCHを精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)第1の塔頂軽質分ストリームを蒸留して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび重質分を含む第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;c)第2の塔底重質分ストリームを蒸留して、TCHおよび不純物を含む第3の蒸留物と、重質分を含む第3の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;d)第3の蒸留物を蒸留して、低沸点成分を含む第4の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび5wt.%未満の不純物を含む第4の塔底重質分ストリームとを形成するステップとを含み、ステップb)、ステップc)、またはステップd)が、低圧蒸留塔において蒸留するステップを含むプロセスを提供する。場合によっては、低圧蒸留塔は再沸器を含み、再沸器は250℃超の温度で運転される。
[0013]別の態様において、本開示は、TCHを精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)第1の塔頂軽質分ストリームを蒸留して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび重質分を含む第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;c)第2の塔底重質分ストリームを蒸留して、TCHおよび不純物を含む第3の蒸留物と、重質分を含む第3の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;d)第2のフラッシュ室において第3の蒸留物を分離して、低沸点成分を含む第4の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび5wt.%未満の不純物を含む第4の塔底重質分ストリームとを形成するステップとを含み、ステップb)、ステップc)、またはステップd)が、低圧蒸留塔において蒸留するステップを含むプロセスを提供する。場合によっては、低圧蒸留塔は再沸器を含み、再沸器は、250℃超の温度で運転される。
[0014]本開示は、添付の図面を参照して以下に詳細に記載されるが、同様の数字は同様の部分を指定する。
[0015]図1は、中間アジポニトリルストリームを生成するためのプロセスの実施形態の図式的概観を図示する。 [0016]図2は、中間アジポニトリルストリームを生成するためのプロセスの別の実施形態の図式的概観を図示する。 [0017]図3は、中間アジポニトリルストリームを生成するためのプロセスの別の実施形態の図式的概観を図示する。 [0018]図4は、中間アジポニトリルストリームを生成するためのプロセスの別の実施形態の図式的概観を図示する。 [0019]図5は、中間アジポニトリルストリームを生成するためのプロセスの別の実施形態の図式的概観を図示する。
序論
[0020]上記のように、従来のシアノカーボン製造プロセスストリームの多くは、一定量(少量)の望ましい副産物、例えばアジポニトリルと、TCHを例えば1,3,6-トリシアノヘキサンおよび/または1,2,6-トリシアノヘキサンとして含有する。従来のプロセスにおいて、これらの量のアジポニトリルおよび/またはTCHの分離および/または回収は、効果的ではなく、実用的でないことが証明されている。TCHの分離および/または回収のための従来のプロセスは、例えば、成分の沸点の違いに依存する。シアノカーボン製造ストリーム中に存在するTCHおよび他の高沸点成分は、高い沸点、例えば、300℃超、350℃超または400℃超の沸点を有するため、従来のプロセスは、ストリームを沸騰させるために極めて高い温度に依存する。
[0021]しかし、シアノカーボン製造プロセスストリーム中のある特定の成分は、従来の分離プロセス中に分解しやすいことが発見されている。分解生成物は、商業的に望ましいTCHの純度を満たす能力を制限することが見出されている。従来のTCH回収プロセスは、この分解を考慮しておらず、結果として追加の精製ステップを必要とし、効率の低下を招いている。
[0022]さらに、本発明者らは現在、プロセスストリームが曝露される温度が分解に影響し、温度を制御することによって分解を制御、例えば低減または排除できることを見出している。特に、ある特定の高沸点成分は、分解してより高い沸点とより低い沸点の両方を有する不純物となりやすい。高温高圧への長時間の曝露は、高沸点成分の分解を助長し、温度が高くなるにつれて分解速度が上昇する。温度を低下させるため、本発明者らは、TCHを効率的に分離、精製し、分解を軽減または排除する本明細書に記載のプロセスのための特殊な運転パラメータを発見している。特に、発明者らは、低圧塔運転が、任意に高い再沸器運転温度と組み合わせると、予想外の分離効率を実現することを見出した。再沸器温度が高いほど、分解に繋がる一方で、他の成分の効果的な分離に寄与し得るものと想定される。驚くべきことに、低圧塔運転は、高温再沸器運転で発生し得る有害な要因、例えば分解をいずれも著しく軽減することが見出されている。したがって、低圧塔運転と高い再沸器運転温度との組み合わせは、予想外に分解生成物の形成を制限しながらいくつかの副産物の効果的な分離を実現することが見出されている。
[0023]従来の精製スキームは、成分の分解やその分離効率への影響に対処しないプロセスストリームに着目してきた。典型的には、精製スキームは、高温とそれによる分解を助長する高沸点成分を相当量含むプロセスストリームには着目してこなかった。例えば、従来の精製スキームは、相当量のTCHを含むプロセスストリームの分離および/または精製には着目してこなかった。結果として、これらの精製スキームは、実際に高沸点成分を含むプロセスストリームの分離および/または精製に使用するには、効果的ではなく、実用的ではないことが証明されている。分解に対処できないため、従来のスキームは、本明細書に記載のプロセスストリームに関しては、指針をほとんど、または全く提供しない。
[0024]場合によっては、本開示は、TCHを精製するためのプロセスに関する。プロセスは、アジポニトリルプロセスストリームを分離して、第1の塔頂軽質分ストリームと第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップを含む。アジポニトリルプロセスストリームはアジポニトリルを含み、場合によっては、アジポニトリルプロセスストリームは、従来のアジポニトリルプロセスストリームと比較して、低アジポニトリル含有量、例えば、50wt.%未満のアジポニトリルを有する。アジポニトリルプロセスストリームは、TCHをさらに含んでもよい(アジポニトリルプロセスストリームの組成に関する追加の情報は、以下に提供される)。第1の塔頂軽質分ストリームは、低沸点成分、例えば、TCHよりも低い沸点を有する成分を含む。第1の塔底重質分ストリームは、高沸点成分、例えば、TCHよりも高い沸点を有する成分、および固体不純物を含む。
[0025]プロセスは、蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、第2の塔頂軽質分ストリームと、第2の塔底重質分ストリームと、TCHストリームとを形成するステップも含む。第2の塔頂軽質分ストリームは、低沸点成分を含む。第2の塔底重質分ストリームは、高沸点成分を含む。TCHストリームは、TCHおよび10wt.%未満の不純物を含む。
[0026]重要なことに、蒸留塔は、低圧蒸留塔であってもよい。一例として、低圧蒸留塔は、真空下で運転されてもよい。別の例として、低圧蒸留塔は、100mmHg未満の塔頂部圧力で運転され、および/または100mmHg未満の塔底部圧力で運転される。発明者らは、分離を行うことにより塔温度を低下させることができ、これが、驚くべきことに、例えば分解を低減または排除することによって分離効率の向上を実現することを見出している。
[0027]重要なことに、蒸留塔は、高温再沸器を含んでもよい。例えば、蒸留塔は、250℃超の温度で作動する再沸器を含んでもよい。そのような高温で運転するため、再沸器は、特殊な設備を利用してもよい。一例として、蒸留塔は、250℃超の温度で作動し、熱油システムを利用する再沸器を含む。
[0028]開示されたプロセスの分離は効果的であり、他の副産物、例えば、アジポニトリルを考慮に入れており、それも分離し回収することができる。アジポニトリルは高温で分解することが見出されているため、本発明者らは、TCH精製プロセスにおいてアジポニトリルを考慮することも重要であることを見出している。従来のスキームは、アジポニトリルとTCHの両方を効果的に捕捉しないことが見出されている。
[0029]第1の分離ステップは、多様であってもよいが、典型的には前述の第1の塔頂軽質分ストリームをもたらすものであり、典型的にはいずれの固体不純物も第1の塔底重質分ストリームへと分離するものである。場合によっては、プロセスの第1の分離ステップは、アジポニトリルプロセスストリームをフラッシングするステップを含む。場合によっては、第1の分離ステップは、ワイプ膜式蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップを含む。場合によっては、第1の分離ステップは、流下膜式蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップを含む。
[0030]場合によっては、アジポニトリルプロセスストリームの第2の分離ステップは、1つまたは複数の蒸留塔においてアジポニトリルプロセスストリームを分離するステップを含む。一例として、第2の分離ステップは、第1の蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、第2の塔頂軽質分ストリームと第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと、第2の蒸留塔において第2の塔底重質分ストリームを分離して、第3の塔底重質分ストリームと、TCHストリームであってもよい第3の塔頂軽質分ストリームとを形成するステップとを含んでもよい。
[0031]別の例として、第2の分離ステップは、蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、第2の塔頂軽質分ストリームと、第2の塔底重質分ストリームと、塔側抜出液とを形成するステップと、フラッシュ室において塔側抜出液を分離して、TCHストリームであってもよい第3の塔底重質分ストリームを形成するステップとを含んでもよい。
[0032]別の例として、第2の分離ステップは、第1の蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、第2の塔頂軽質分ストリームと第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと、第2の蒸留塔において第2の塔底重質分ストリームを分離して、第3の塔頂軽質分ストリームと第3の塔底重質分ストリームとを形成するステップと、第3の蒸留塔において第3の塔頂軽質分ストリームを分離して、第4の塔頂軽質分ストリームと、TCHストリームであってもよい第4の塔底重質分ストリームとを形成するステップとを含んでもよい。
[0033]別の例として、第2の分離ステップは、第1の蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、第2の塔頂軽質分ストリームと第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと、第2の蒸留塔において第2の塔底重質分ストリームを分離して、第3の塔頂軽質分ストリームと第3の塔底重質分ストリームとを形成するステップと、フラッシュ室において第3の塔頂軽質分ストリームを分離して、第4の塔頂軽質分ストリームと、TCHストリームであってもよい第4の塔底重質分ストリームとを形成するステップとを含んでもよい。
[0034]第2の分離ステップのこれらの例のそれぞれにおいて、第1の蒸留塔、第2の蒸留塔、および/または第3の蒸留塔のそれぞれは、低圧蒸留塔であってもよい。第2の分離ステップのこれらの例のそれぞれにおいて、第1の蒸留塔、第2の蒸留塔、および/または第3の蒸留塔のそれぞれは、250℃超の温度で作動する、および/または熱油システムを利用する再沸器を含んでもよい。
アジポニトリルプロセスストリーム
[0035]上記のように、アジポニトリルプロセスストリームは特定の組成を有し、これは、驚くべきことに、開示されたプロセスを採用すると効率的に分離することが見出されている。特に、アジポニトリルプロセスストリームは、アジポニトリル、TCH、高沸点成分、および低沸点成分を含んでもよい。従来の分離プロセスは、少量のアジポニトリルおよび/またはTCHを単離するのが困難であった。いくつかの実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、別の工業化学製造プロセスの1つまたは複数のプロセスストリームであってもよい。例えば、アジポニトリルプロセスストリームは、異なるプロセスまたはシステム、例えば、アジポニトリル、アクリロニトリル、シアン化アリル、ブチロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアラミド、またはこれらの組み合わせの製造からの1つまたは複数のプロセスストリームを含んでもよい。特定の場合において、アジポニトリルプロセスストリームは、アジポニトリル製造プロセスからの1つまたは複数のプロセスストリーム、パージストリーム、またはフラッシュ後留であってもよい。場合によっては、複数のプロセスからのストリームを組み合わせてストリームを形成してもよい。従来のプロセスにおいては、そのようなアジポニトリル含有(および/またはTCH含有)ストリームは多くの場合、廃棄物ストリームとして処理され、例えば、放出または焼却され、貴重な成分は回収されない。本明細書に記載のように、これらのストリームからアジポニトリルおよび/またはTCHを回収することにより、(残存)アジポニトリルを回収して使用または販売し、したがって、効率および収益性を高めることができる。
[0036]アジポニトリルプロセスストリームは、40wt%未満のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、35wt%未満、30wt%未満、20wt%未満、18wt%未満、15wt%未満、12wt%未満、10wt%未満、または5wt%未満であってもよい。範囲の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、0.1wt%~40wt%のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、0.5wt%~30wt%、1wt%~20wt%、1wt%~18wt%、1wt%~10wt%、2wt%~15wt%、3wt%~15wt%、または5wt%~15wt%であってもよい。下限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、0.1wt%超のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、0.3wt%超、0.5wt%超、0.7wt%超、1.0wt%超、1.5wt%超、2wt%超、または5wt%超であってもよい。
[0037]いくつかの実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、25wt.%未満のTCHを含み、例えば、20wt.%未満、18wt.%未満、15wt.%未満、12wt.%未満、10wt.%未満、または5wt.%未満である。範囲の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、0.1wt.%~25wt.%のTCHを含んでもよく、0.5wt.%~23wt.%、0.5wt.%~20wt.%、1wt.%~15wt.%、1.5wt.%~12wt.%、または2wt.%~11wt.%であってもよい。下限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、0.1wt.%超のTCHを含んでもよく、例えば、0.3wt.%超、0.5wt.%超、0.7wt.%超、1.0wt.%超、1.5wt.%超、2wt.%超、または5wt.%超であってもよい。
[0038]いくつかの実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、より多量のTCHを含む。一実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、供給ストリームの全重量を基準として0wt.%~90wt.%の範囲の量のTCHを含み、例えば、0wt.%~89wt.%、0wt.%~88wt.%、0wt.%~85wt.%、0wt.%~84wt.%、10wt.%~90wt.%、10wt.%~89wt.%、10wt.%~88wt.%、10wt.%~85wt.%、10wt.%~84wt.%、20wt.%~90wt.%、20wt.%~89wt.%、20wt.%~88wt.%、20wt.%~85wt.%、20wt.%~84wt.%、30wt.%~90wt.%、30wt.%~89wt.%、30wt.%~88wt.%、30wt.%~85wt.%、30wt.%~84wt.%、40wt.%~90wt.%、40wt.%~89wt.%、40wt.%~88wt.%、40wt.%~85wt.%、40wt.%~84wt.%、50wt.%~90wt.%、50wt.%~89wt.%、50wt.%~88wt.%、50wt.%~85wt.%、70wt%~90wt%、または50wt.%~84wt.%である。上限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、90wt.%未満のTCHを含んでもよく、例えば、89wt.%、88wt.%未満、85wt.%未満、または84wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、0wt.%超のTCHを含んでもよく、例えば、10wt.%超、20wt.%超、30wt.%超、40wt.%超、50wt%超、または60wt%超、または70wt%超であってもよい。
[0039]場合によっては、アジポニトリルプロセスストリームは、低沸点成分も含む。一般に、低沸点成分は、比較的低い沸点を有する不純物である。例えば、低沸点成分のそれぞれは、大気圧で415℃未満の沸点を有してもよく、例えば、410℃未満、400℃未満、395℃未満、または390℃未満であってもよい。アジポニトリルプロセスストリーム中に存在し得る低沸点成分の例には、様々なシアノカーボン、例えば、アクリロニトリル、プロピオニトリル、ヒドロキシプロピオニトリル、モノシアノエチルプロピルアミン、スクシノニトリル、メチルグルタロニトリル、アジポニトリル、2-シアノシクロペンチリデンイミン、ビス-2-シアノエチルエーテル、ジ(2-シアノエチル)アミン、ジ-2-シアノエチルプロピルアミン、シアノバレルアミド、およびこれらの組み合わせが含まれる。
[0040]一実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、0wt.%~70wt.%の範囲の量の低沸点成分を含み、例えば、0wt.%~65wt.%、0wt.%~60wt.%、0wt.%~55wt.%、0wt.%~50wt.%、5wt.%~70wt.%、5wt.%~65wt.%、5wt.%~60wt.%、5wt.%~55wt.%、5wt.%~50wt.%、10wt.%~70wt.%、10wt.%~65wt.%、10wt.%~60wt.%、10wt.%~55wt.%、10wt.%~50wt.%、12wt.%~70wt.%、12wt.%~65wt.%、12wt.%~60wt.%、12wt.%~55wt.%、1wt%~20wt%、2wt%~15wt%、3wt%~15wt%、1wt%~10wt%、12wt.%~50wt.%、15wt.%~70wt.%、15wt.%~65wt.%、15wt.%~60wt.%、15wt.%~55wt.%、または15wt.%~50wt.%である。上限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、70wt.%未満の低沸点成分を含んでもよく、例えば、65wt.%未満、60wt.%未満、55wt.%未満、50wt.%未満、20wt%未満、15wt%未満、または15wt%未満であってもよい。下限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、0wt.%超の低沸点成分を含んでもよく、例えば、1wt%超、2wt%超、3wt%超、5wt.%超、10wt.%超、12wt.%超、または15wt.%超であってもよい。
[0041]アジポニトリルプロセスストリームは、高沸点成分も含む。一般に、高沸点成分は、比較的高い沸点を有する不純物である。例えば、高沸点成分のそれぞれは、395℃超の沸点を有してもよく、例えば、400℃超、405℃超、408℃超、410℃超、または415℃超であってもよい。粗アジポニトリルストリーム中に存在し得る高沸点成分の例には、異性体トリシアノヘキサン、トリ(2-シアノエチル)アミン、およびこれらの組み合わせが含まれる。
[0042]一実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、0wt.%~50wt.%の範囲の量の高沸点成分を含み、例えば、0wt.%~40wt.%、0wt.%~35wt.%、0wt.%~25wt.%、0wt.%~20wt.%、0.5wt.%~50wt.%、0.5wt.%~40wt.%、0.5wt.%~35wt.%、0.5wt.%~25wt.%、0.5wt.%~20wt.%、1wt.%~50wt.%、1wt.%~40wt.%、1wt.%~35wt.%、1wt.%~25wt.%、1wt.%~20wt.%、2wt.%~50wt.%、2wt.%~40wt.%、2wt.%~35wt.%、2wt.%~25wt.%、2wt.%~20wt.%、3wt.%~50wt.%、3wt.%~40wt.%、3wt.%~35wt.%、3wt.%~25wt.%、3wt.%~20wt.%、5wt%~15wt%、5wt.%~50wt.%、5wt.%~40wt.%、5wt.%~35wt.%、5wt.%~25wt.%、または5wt.%~20wt.%である。上限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、50wt.%未満の高沸点成分を含んでもよく、例えば、40wt.%未満、35wt.%未満、30wt.%未満、25wt.%未満、または20wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、0wt.%超を含んでもよく、例えば、0.5wt.%超、1wt.%超、2wt.%超、3wt.%超、または5wt.%超であってもよい。
[0043]いくつかの実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、固体不純物も含んでもよい。これらの不純物は、この温度および圧力条件下では固体である様々な有機不純物を含んでもよい。例えば、固体不純物は、固体シアノカーボン化合物を含んでもよい。一実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、0wt.%~25wt.%の範囲の量の固体不純物を含み、例えば、0wt.%~20wt.%、0wt.%~15wt.%、または0wt.%~10wt.%である。上限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、25wt.%未満を含んでもよく、例えば、20wt.%未満、15wt.%未満、または10wt.%未満であってもよい。
[0044]いくつかの実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、ニトリル(一般に、例えば、高沸点および/または低沸点ニトリル)を含む。一実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームは、供給ストリームの全重量を基準として0wt.%~90wt.%の範囲の量のニトリルを含み、例えば、0wt.%~89wt.%、0wt.%~88wt.%、0wt.%~85wt.%、0wt.%~84wt.%、10wt.%~90wt.%、10wt.%~89wt.%、10wt.%~88wt.%、10wt.%~85wt.%、10wt.%~84wt.%、20wt.%~90wt.%、20wt.%~89wt.%、20wt.%~88wt.%、20wt.%~85wt.%、20wt.%~84wt.%、30wt.%~90wt.%、30wt.%~89wt.%、30wt.%~88wt.%、30wt.%~85wt.%、30wt.%~84wt.%、40wt.%~90wt.%、40wt.%~89wt.%、40wt.%~88wt.%、40wt.%~85wt.%、40wt.%~84wt.%、50wt.%~90wt.%、50wt.%~89wt.%、50wt.%~88wt.%、50wt.%~85wt.%、または50wt.%~84wt.%である。上限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、90wt.%未満のニトリルを含んでもよく、例えば、89wt.%、88wt.%未満、85wt.%未満、または84wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、アジポニトリルプロセスストリームは、0wt.%超のニトリルを含んでもよく、例えば、10wt.%超、20wt.%超、30wt.%超、40wt.%超、または50超であってもよい。
第1の分離ステップ
[0045]上記のように、アジポニトリルプロセスストリームは、分離されて、TCHおよび低沸点成分(軽質分)と、(任意に低量の)高沸点成分(重質分)とを含む第1の塔頂軽質分ストリーム(塔頂ストリーム)と、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリーム(塔底ストリーム)とを形成する。第1の分離ステップは、場合によっては、アジポニトリルプロセスストリーム中に存在する重質分および/または固体不純物のかなりの部分(全てではないとしても)を除去する。発明者らは、さらなる加工の前に重質分を除去することは、高沸点成分の分解を有益に減少させ、それにより全精製プロセスの効率を向上させることを見出している。この最初の重質分の除去を行わないと、追加の非TCH成分が形成され、次いでこれを分離しなければならず、追加の操作と不確実性が生じる。さらに、発明者らは、重質分と固体不純物を早期に除去すると、塔の汚染が低減し、それが下流の効率を向上させ、それに続く分離操作の必要性を排除または低減することも見出している。
[0046]いくつかの実施形態において、第1の分離ステップは、フラッシャー、例えば、フラッシュ蒸発器における分離を含む。これらの実施形態において、アジポニトリルプロセスストリームを蒸発させ、第1の塔頂軽質分ストリームと第1の塔底重質分ストリームとに分離する。様々なフラッシャーが当業者には公知であり、本明細書に記載の分離が達成される限り、任意適切なフラッシャーを採用してもよい。いくつかの実施形態において、フラッシャーにおける分離は、供給ストリームを加熱することなく、圧力を低下させることにより、例えば、断熱フラッシュにより引き起こされてもよい。他の実施形態において、フラッシャーにおける分離は、圧力を変化させることなく供給ストリームの温度を上昇させることにより引き起こされてもよい。さらに他の実施形態において、フラッシャーにおける分離は、供給ストリームを加熱しながら圧力を低下させることにより引き起こされてもよい。
[0047]いくつかの実施形態において、フラッシングステップは、減圧で、例えば真空下でフラッシュ蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを分離するステップを含む。いくつかの実施形態において、フラッシュ蒸発器内の圧力は、3333.06Pa(25torr)未満に減圧され、例えば、2666.45Pa(20torr)未満、1333.22Pa(10torr)未満、または666.612Pa(5torr)未満とされる。いくつかの実施形態において、フラッシングステップのフラッシュ室は、一定の温度に保たれる。いくつかの実施形態において、フラッシュ室の温度は、175℃~235℃であってもよく、例えば、180℃~230℃、185℃~225℃、または190℃~220℃であってもよい。
[0048]いくつかの実施形態において、第1の分離ステップは、ワイプ膜式蒸発器(WFE)により達成される。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態において、第1の蒸発ステップは、WFEにおいてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップを含む。当業者は、本明細書に記載のプロセスに従いWFEを利用する方法を理解する。
[0049]いくつかの実施形態において、第1の分離ステップは、流下膜式蒸発器により達成される。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態において、第1の蒸発ステップは、流下膜式蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップを含む。当業者は、本明細書に記載のプロセスに従い流下膜式蒸発器を利用する方法を理解する。
[0050]第1の塔底ストリームは、高沸点成分(重質分)を含む。第1の塔底ストリーム中に存在し得る重質分の例には、異性体トリシアノヘキサン、トリ(2-シアノエチル)アミン、およびこれらの組み合わせが含まれる。一実施形態において、分離ステップはフラッシャーで行われ、第1の塔底ストリームは、異性体トリシアノヘキサンおよびトリ(2-シアノエチル)アミンを含む。第1の塔底ストリームは、固体不純物も含んでもよい。一実施形態において、フラッシングステップは、アジポニトリルプロセスストリームから固体不純物を全て(実質的に全て)除去する。別の言い方をすれば、本実施形態において、フラッシュ塔頂ストリームは、事実上0wt.%の固体不純物を含む。他の実施形態において、フラッシングステップは、100%未満の固体不純物を除去してもよく、例えば、99.9%未満、99%未満、または98%未満を除去してもよい。
[0051]第1の塔頂軽質分ストリームは、90wt%未満のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、75wt%未満、50wt%未満、40wt%未満、35wt%未満、30wt%未満、20wt%未満、18wt%未満、15wt%未満、12wt%未満、10wt%未満、5wt%未満、4wt%未満、3wt%未満、または2wt%未満であってもよい。範囲の観点からは、第1の塔頂軽質分ストリームは、0.1wt%~90wt%のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、0.1wt%~75wt%、0.1wt%~40wt%、0.1wt%~10wt%、0.1wt%~5wt%、0.5wt%~5wt%、0.5wt%~3wt%、0.5wt%~30wt%、1wt%~20wt%、2wt%~20wt%、5wt%~18wt%、または5wt%~15wt%であってもよい。下限の観点からは、第1の塔頂軽質分ストリームは、0.1wt%超のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、0.3wt%超、0.5wt%超、0.7wt%超、1.0wt%超、1.5wt%超、2wt%超、または5wt%超であってもよい。
[0052]いくつかの実施形態において、第1の塔頂軽質分ストリームは、99wt.%未満のTCHを含み、例えば、97wt%未満、90wt%未満、80wt%未満、70wt%未満、50wt.%未満、35wt.%未満、25wt.%未満、20wt.%未満、18wt.%未満、15wt.%未満、12wt.%未満、10wt.%未満、または5wt.%未満である。範囲の観点からは、第1の塔頂軽質分ストリームは、0.1wt%~99wt%のTCHを含んでもよく、例えば、50wt%~99wt%、75wt%~98wt%、85wt%98wt%、90wt%~97wt%、0.1wt.%~25wt.%、0.5wt.%~23wt.%、0.5wt.%~20wt.%、1wt.%~15wt.%、1.5wt.%~12wt.%、または2wt.%~11wt.%であってもよい。下限の観点からは、第1の塔頂軽質分ストリームは、0.1wt.%超のTCHを含んでもよく、例えば、0.3wt.%超、0.5wt.%超、0.7wt.%超、1.0wt.%超、1.5wt.%超、2wt.%超、5wt.%超、25wt%超、50wt%超、75wt%超、85wt%超、85wt%超、または90wt%超であってもよい。
[0053]一実施形態において、第1の塔頂軽質分ストリームは、0wt.%~70wt.%の範囲の量の軽質分を含み、例えば、0.1wt%~30wt%、0.1wt%~50wt%、0wt.%~25wt.%、0wt.%~20wt.%、0wt.%~15wt.%、0wt.%~10wt.%、1wt.%~30wt.%、1wt.%~25wt.%、1wt.%~20wt.%、1wt.%~15wt.%、1wt.%~10wt.%、2wt.%~30wt.%、2wt.%~25wt.%、2wt.%~20wt.%、2wt.%~15wt.%、2wt.%~10wt.%、3wt.%~30wt.%、3wt.%~25wt.%、3wt.%~20wt.%、0.1wt.%~10wt.%、0.1wt.%~5wt.%、0.3wt.%~3wt.%、0.5wt.%~2wt.%、1wt.%~3wt.%、3wt.%~15wt.%、3wt.%~10wt.%、4wt.%~30wt.%、4wt.%~25wt.%、4wt.%~20wt.%、4wt.%~15wt.%、4wt.%~10wt.%、5wt.%~30wt.%、5wt.%~25wt.%、5wt.%~20wt.%、5wt.%~15wt.%、または5wt.%~10wt.%である。上限の観点からは、第1の塔頂軽質分ストリームは、70wt.%未満の軽質分を含んでもよく、例えば、50wt%未満、30wt%未満、25wt.%未満、20wt.%未満、15wt.%未満、10wt.%未満、5wt%未満、3wt%未満、または2wt%未満であってもよい。下限の観点からは、第1の塔頂軽質分ストリームは、0wt.%超の軽質分を含んでもよく、例えば、0.1wt%超、0.3wt%超、0.5wt%超、1wt.%超、2wt.%超、3wt.%超、4wt.%超、または5wt.%超であってもよい。
[0054]一実施形態において、第1の塔頂軽質分ストリームは、0wt.%~20wt.%の範囲の量の重質分を含み、例えば、0wt.%~15wt.%、0wt.%~10wt.%、0wt.%~8wt.%、0wt.%~5wt.%、0.5wt.%~20wt.%、0.5wt.%~15wt.%、0.5wt.%~10wt.%、0.5wt.%~8wt.%、0.5wt.%~5wt.%、1wt.%~20wt.%、1wt.%~15wt.%、1wt.%~10wt.%、1wt.%~8wt.%、1wt.%~5wt.%、1.5wt.%~20wt.%、1.5wt.%~15wt.%、1.5wt.%~10wt.%、1.5wt.%~8wt.%、1.5wt.%~5wt.%、2wt.%~20wt.%、2wt.%~15wt.%、2wt.%~10wt.%、2wt.%~8wt.%、2wt.%~5wt.%、2.5wt.%~20wt.%、2.5wt.%~15wt.%、2.5wt.%~10wt.%、2.5wt.%~8wt.%、または2.5wt.%~5wt.%である。上限の観点からは、第1の塔頂軽質分ストリームは、20wt.%未満の重質分を含んでもよく、例えば、15wt.%未満、10wt.%未満、8wt.%未満、または5wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、第1の塔頂軽質分ストリームは、0wt.%超の重質分を含んでもよく、例えば、0.5wt.%超、1wt.%超、1.5wt.%超、2wt.%超、または2.5wt.%超であってもよい。
[0055]場合によっては、第1の分離ステップは、第1の塔頂軽質分ストリームから重質分のかなりの部分を除去する。別の言い方をすれば、第1の塔頂軽質分ストリームは、含むとしても、アジポニトリルストリーム中に最初に存在する重質分のうちの少量を含む。いくつかの実施形態において、第1の中間アジポニトリルストリームは、供給ストリーム中に存在する重質分の70%未満を含み、例えば、65%未満、60%未満、55%未満、または50%未満である。
[0056]一実施形態において、第1の塔頂軽質分ストリームは、0wt.%~20wt.%の範囲の量の重質分を含み、例えば、0wt.%~15wt.%、0wt.%~10wt.%、0wt.%~8wt.%、0wt.%~5wt.%、0.5wt.%~20wt.%、0.5wt.%~15wt.%、0.5wt.%~10wt.%、0.5wt.%~8wt.%、0.5wt.%~5wt.%、1wt.%~20wt.%、1wt.%~15wt.%、1wt.%~10wt.%、1wt.%~8wt.%、1wt.%~5wt.%、1.5wt.%~20wt.%、1.5wt.%~15wt.%、1.5wt.%~10wt.%、1.5wt.%~8wt.%、1.5wt.%~5wt.%、2wt.%~20wt.%、2wt.%~15wt.%、2wt.%~10wt.%、2wt.%~8wt.%、2wt.%~5wt.%、2.5wt.%~20wt.%、2.5wt.%~15wt.%、2.5wt.%~10wt.%、2.5wt.%~8wt.%、または2.5wt.%~5wt.%である。上限の観点からは、第1の塔頂軽質分ストリームは、20wt.%未満の重質分を含んでもよく、例えば、15wt.%未満、10wt.%未満、8wt.%未満、または5wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、第1の中間塔頂軽質分は、0wt.%超の重質分を含んでもよく、例えば、0.5wt.%超、1wt.%超、1.5wt.%超、2wt.%超、または2.5wt.%超であってもよい。
第2の分離ステップ
[0057]上記のように、第1の塔頂軽質分ストリームは、第2の分離ステップにおいて分離されて、低沸点成分(軽質分)を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分(重質分)を含む第2の塔底重質分ストリームと、TCHストリームとを形成する。分離ステップは、場合によっては、第1の塔頂軽質分ストリーム中に存在する低沸点成分および高沸点成分のかなりの部分(全てではないとしても)を除去する。いくつかの実施形態において、分離ステップは、2つの塔を含み、第1の蒸留塔は塔頂ストリーム(アジポニトリルを含む)としての軽質分ストリームと、第2の塔底ストリームとを形成する。次いで、第2の塔底ストリームは第2の蒸留塔において分離されて、第3の塔底ストリームとしての重質分ストリームと、第3の塔頂ストリームとしてのTCHストリームを形成する。
[0058]第2の分離ステップは、1つもしくは複数の蒸留塔および/または1つもしくは複数のフラッシュ蒸発器における第1の塔頂ストリームの分離を含んでもよい。1つまたは複数の蒸留塔の構造は、非常に様々であってもよい。様々な蒸留塔が当業者に公知であり、本明細書に記載の分離が達成される限り、任意適切な塔を第2の分離ステップに採用してもよい。例えば、蒸留塔は、任意適切な分離デバイスまたは分離デバイスの組み合わせを含んでもよい。例えば、蒸留塔は、塔、例えば、標準的な蒸留塔、抽出蒸留塔および/または共沸蒸留塔を含んでもよい。同様に、上記のように、様々なフラッシャーが当業者に公知であり、本明細書に記載の分離が達成される限り、任意適切なフラッシャーを第2の分離工程に採用してもよい。例えば、フラッシャーは、断熱フラッシュ蒸発器、加熱フラッシュ蒸発器、もしくはワイプ膜式蒸発器、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
[0059]第2の分離ステップの実施形態は、前述のストリームが形成される限り、1つもしくは複数の蒸留塔および/または1つもしくは複数のフラッシャーの任意の組み合わせを含んでもよい。
[0060]場合によっては、この分離ステップは、1つまたは複数の塔、例えば、2つの塔を含む。いくつかの実施形態において、この分離ステップは、2つの塔を含み、第1の蒸留塔は、塔頂ストリームとしての軽質分ストリームと、中間塔底ストリームを形成する。次いで、中間塔底ストリームは第2の蒸留塔において分離されて、塔底ストリームとしての重質分ストリームと、塔頂ストリームとしてのTCHストリームとを形成する。
[0061]上記のように、低圧塔運転は、予想外に効果的であることが見出されている。例えば、低圧運転は、驚くべきことに、例えば、分解を低減もしくは排除することにより分離効率の向上を実現し、および/または高温再沸器運転で生じ得る有害な要因、例えば分解をいずれも軽減する。いくつかの実施形態において、第2の分離の蒸留塔の少なくとも1つは、低圧蒸留塔である。一実施形態において、低圧蒸留塔は、100mmHg未満の塔頂部圧力で運転され、例えば、80mmHg未満、60mmHg未満、40mmHg未満、20mmHg未満、15mmHg未満、10mmHg未満、5mmHg未満、または3mmHg未満で運転される。一実施形態において、低圧蒸留塔は、100mmHg未満の塔底部圧力で運転され、例えば、80mmHg未満、60mmHg未満、40mmHg未満、20mmHg未満、15mmHg未満、10mmHg未満、5mmHg未満、または3mmHg未満で運転される。
[0062]いくつかの態様において、精製プロセスは、高温再沸器を採用してもよい。場合によっては、高温再沸器と低圧塔は、相乗的に高度に効果的な分離を達成する。再沸器は蒸留塔に熱を供給し、それにより蒸留塔の塔底にある液体を沸騰させるのに使用される熱交換器である。プロセスのいくつかの実施形態において、第2の分離ステップにおける1つまたは複数(例えば、全て)の蒸留塔の再沸器は、高温で作動する。一実施形態において、再沸器は、235℃超の温度で作動し、例えば、240℃超、250℃超、275℃超、300℃超、325℃超、350℃超、または375℃超で作動する。前述の運転パラメータは、他の塔にも適用可能である。
[0063]一実施形態において、例えば、第2の分離ステップは、2つの連続する蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離するステップを含む。本実施形態において、第1の塔頂軽質分ストリームは、第1の蒸留塔において分離される。第2の塔頂軽質分ストリームが、第1の蒸留塔の塔頂(例えば、塔頂部および/または比較的高い位置の塔側抜出口(side draw))から収集され、第2の塔底(中間)重質分ストリームが、第1の蒸留塔の塔底(例えば、塔底部および/または比較的低い位置の塔側抜出口)から収集される。次いで、第2の塔底(中間)重質分ストリームの少なくとも一部が、第2の蒸留塔において分離される。第3の塔底重質分ストリームが、第2の蒸留塔の塔底(例えば、塔底部および/または比較的低い位置の塔側抜出口)から収集される。TCHストリームは、第2の蒸留塔の塔頂(例えば、塔頂部および/または比較的高い位置の塔側抜出口)から、例えば、第3の塔頂軽質分ストリームとして収集される。
[0064]別の実施形態において、第2の分離ステップは、蒸留塔および蒸発器(例えば、フラッシャー、WFE、または流下膜式蒸発器)において第1の塔頂軽質分ストリームを分離するステップを含む。本実施形態において、第1の蒸留塔は、第1の蒸留塔において分離される。第2の塔頂軽質分ストリームが、第1の蒸留塔の塔頂(例えば、塔頂部および/または比較的高い位置の塔側抜出口)から収集され、第2の塔底重質分ストリームが、第1の蒸留塔の塔底(例えば、塔底部および/または比較的低い位置の塔側抜出口)から収集され、塔側抜出液が、第1の蒸留塔の側流(side cut)として収集される。次いで、塔側抜出液の少なくとも一部が、蒸発器において分離される。第3の塔頂軽質分ストリームが、蒸発器の頂部から収集され、TCHストリームは、蒸発器の塔底から、例えば、第3の塔底重質分ストリームとして収集される。
[0065]別の実施形態において、第2の分離ステップは、3つの蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離するステップを含む。本実施形態において、第1の塔頂軽質分ストリームは、第1の蒸留塔において分離される。第2の塔頂軽質分ストリームが、第1の蒸留塔の塔頂(例えば、塔頂部および/または比較的高い位置の塔側抜出口)から収集され、第2の塔底重質分ストリームが、第1の蒸留塔の塔底(例えば、塔底部および/または比較的低い位置の塔側抜出口)から収集される。次いで、第2の塔底重質分ストリームの少なくとも一部が、第2の蒸留塔において分離される。第3の塔頂軽質分ストリームが、第2の蒸留塔の塔頂(例えば、塔頂部および/または比較的高い位置の塔側抜出口)から収集され、第3の塔底重質分ストリームが、第2の蒸留塔の塔底(例えば、塔底部および/または比較的低い位置の塔側抜出口)から収集される。次いで、第3の塔頂軽質分ストリームの少なくとも一部が、第3の蒸留塔において分離される。第4の塔底重質分ストリームが、第3の蒸留塔の塔底(例えば、塔底部および/または比較的低い位置の塔側抜出口)から収集され、TCHストリームは、第3の蒸留塔の頂部(例えば、塔頂部および/または比較的高い位置の塔側抜出口)から、例えば、第4の塔頂軽質分ストリームとして収集される。
[0066]別の実施形態において、第2の分離ステップは、2つの蒸留塔および蒸発器(例えば、フラッシャー、WFE、または流下膜式蒸発器)において第1の塔頂軽質分ストリームを分離するステップを含む。本実施形態において、第1の塔頂軽質分ストリームは、第1の蒸留塔において分離される。第2の塔頂軽質分ストリームが、第1の蒸留塔の塔頂(例えば、塔頂部および/または比較的高い位置の塔側抜出口)から収集され、第2の塔底重質分ストリームが、第1の蒸留塔の塔底(例えば、塔底部および/または比較的低い位置の塔側抜出口)から収集される。次いで、第2の塔底重質分ストリームの少なくとも一部が第2の蒸留塔において分離される。第3の塔頂軽質分ストリームが、第2の蒸留塔の塔頂(例えば、塔頂部および/または比較的高い位置の塔側抜出口)から収集され、第3の塔底重質分ストリームが、第2の蒸留塔の塔底(例えば、塔底部および/または比較的低い位置の塔側抜出口)から収集される。次いで、第3の塔頂軽質分ストリームの少なくとも一部が、蒸発器において分離される。第4の塔頂軽質分ストリームが、蒸発器の頂部から収集され、TCHストリームは、蒸発器の塔底から、例えば、第4の塔底重質分ストリームとして収集される。
第2の塔頂軽質分ストリーム
[0067]いくつかの実施形態において、第2の塔頂軽質分ストリームは、1wt%超のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、5wt%超、6wt%超、10wt%超、20wt%超、25wt%超、30wt%超、35wt%超、または50wt%超であってもよい。範囲の観点からは、第2の塔頂軽質分ストリームは、1wt%~95wt%のアジポニトリルを含んでもよく、5wt%~95wt%、7wt%~75wt%、5wt%~35wt%、6wt%~30wt%、25wt%~75wt%、30wt%~70wt%、または40wt%~60wt%であってもよい。下限の観点からは、第2の塔頂軽質分ストリームは、95wt%未満のTCHを含み、例えば、90wt%未満、85wt%未満、80wt%未満、75wt%未満、65wt%未満、または60wt%未満である。
[0068]いくつかの実施形態において、第2の塔頂軽質分ストリームは、1wt%超のTCHを含んでもよく、例えば、5wt%超、10wt%超、20wt%超、25wt%超、30wt%超、35wt%超、50wt%超、60wt%超、または70wt%超であってもよい。範囲の観点からは、第2の塔頂軽質分ストリームは、1wt%~95wt%のTCHを含んでもよく、5wt%~95wt%、20wt%~95wt%、30wt%~95wt%、45wt%~80wt%、50wt%~95wt%、60wt%~90wt%、70wt%~90wt%、25wt%~75wt%、30wt%~70wt%、または40wt%~60wt%であってもよい。下限の観点からは、第2の塔頂軽質分ストリームは、95wt%未満のTCHを含み、例えば、90wt%未満、85wt%未満、80wt%未満、75wt%未満、65wt%未満、または60wt%未満である。
[0069]第2の塔頂軽質分ストリームは、70wt%未満の軽質分を含んでもよく、例えば、50wt%未満、35wt%未満、25wt%未満、20wt%未満、15wt%未満、12wt%未満、または10wt%未満であってもよい。範囲の観点からは、第2の塔頂軽質分ストリームは、0.1wt%~70wt%の軽質分を含んでもよく、例えば、0.1wt%~50wt%、0.1wt%~25wt%、0.5wt%~25wt%、10wt%~25wt%、1wt%~20wt%、2wt%~18wt%、2wt%~15wt%、または2wt%~10wt%であってもよい。下限の観点からは、第2の塔頂軽質分ストリームは、0.1wt%超の軽質分を含んでもよく、例えば、0.3wt%超、0.5wt%超、0.7wt%超、1.0wt%超、1.5wt%超、2wt%超、または5wt%超であってもよい。上記のように、場合によっては、「軽質分」という用語は、低沸点、例えば、アジポニトリルよりも低い沸点またはTCHよりも低い沸点を有する成分を指す。
[0070]第2の塔頂軽質分ストリームは、高沸点成分(重質分)を含んでもよい。一実施形態において、第2の塔頂軽質分ストリームは、0.1wt%~50wt%の範囲の量の高沸点成分を含み、例えば、0.1wt.%~20wt.%、0.1wt.%~10wt.%、0.5wt.%~10wt.%、0.5wt.%~5wt.%、1wt.%~3wt.%、5wt.%~50wt.%、例えば、5wt.%~45wt.%、5wt.%~40wt.%、5wt.%~35wt.%、5wt.%~30wt.%、8wt.%~50wt.%、8wt.%~45wt.%、8wt.%~40wt.%、8wt.%~35wt.%、8wt.%~30wt.%、10wt.%~50wt.%、10wt.%~45wt.%、10wt.%~40wt.%、10wt.%~35wt.%、10wt.%~30wt.%、12wt.%~50wt.%、12wt.%~45wt.%、12wt.%~40wt.%、12wt.%~35wt.%、12wt.%~30wt.%、15wt.%~50wt.%、15wt.%~45wt.%、15wt.%~40wt.%、15wt.%~35wt.%、または15wt.%~30wt.%である。上限の観点からは、第2の塔頂軽質分ストリームは、50wt.%未満の高沸点成分を含んでもよく、例えば、45wt.%未満、40wt.%未満、35wt.%未満、30wt.%未満、20wt.%未満、10wt.%未満、5wt.%未満、または3wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、(第2の)中間アジポニトリルストリームは、0.1wt.%超の高沸点成分を含んでもよく、例えば、0.5wt%超、1wt.%超、5wt.%超、8wt.%超、10wt.%超、12wt.%超、または15wt.%超であってもよい。
[0071]場合によっては、第2の塔頂軽質分ストリームの分離は、2塔システムにおいて達成されてもよい。第1の塔は、第2の塔頂軽質分ストリームと、中間塔底ストリームを生じ、中間塔底ストリームは第2の塔に供給される。中間塔底ストリームは、多量のTCHを含んでもよく、次いで、例えば、1つまたは複数の追加の塔においてさらに分離されてもよい。中間塔底ストリームは、多量のTCHを含んでもよく、次いで、例えば、1つまたは複数の追加の塔においてさらに分離されてもよい。例えば、中間塔底ストリームは、いくつかの実施形態において、90wt.%~100wt.%の範囲のより多量のTCHを含み、例えば、90wt.%~99.9wt.%、90wt.%~99wt.%、90wt.%~98wt.%、92.5wt.%~100wt.%、92.5wt.%~99.9wt.%、92.5wt.%~99wt.%、92.5~98wt.%、95wt.%~100wt.%、95wt.%~99.9wt.%、95wt.%~99wt.%、95~98wt.%、97.5wt.%~100wt.%、97.5wt.%~99.9wt.%、97.5~99wt.%、または97.5~98wt.%である。上限の観点からは、中間塔底ストリームは、100wt.%未満のTCHを含んでもよく、例えば、99.9wt.%未満、99wt.%未満、または98wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、中間塔底ストリームは、90wt.%超を含んでもよく、例えば、92.5wt.%超、95wt.%超、または97.5wt.%超であってもよい。
[0072]中間塔底ストリームは、少量のアジポニトリルおよび軽質分(本明細書においてTCHストリームについて検討したのと同様の量)をさらに含んでもよい。中間塔底ストリームは、重質分(本明細書において(第2の)塔頂軽質分ストリームについて検討したのと同様の量)をさらに含んでもよい。
[0073]場合によっては、中間塔底ストリームは、さらに分離されて、例えば、塔底重質分ストリームとTCHストリームとを生じてもよい。
(第2の塔底)重質分ストリーム
[0074]第2の塔底重質分ストリームは、高沸点成分(重質分)を含む。一実施形態において、第2の塔底重質分ストリームは、0.1wt%~50wt%の範囲の量の高沸点成分を含み、例えば、0.1wt.%~20wt.%、0.1wt.%~10wt.%、0.5wt.%~10wt.%、0.5wt.%~5wt.%、1wt.%~3wt.%、5wt.%~50wt.%、例えば、5wt.%~45wt.%、5wt.%~40wt.%、5wt.%~35wt.%、5wt.%~30wt.%、8wt.%~50wt.%、8wt.%~45wt.%、8wt.%~40wt.%、8wt.%~35wt.%、8wt.%~30wt.%、10wt.%~50wt.%、10wt.%~45wt.%、10wt.%~40wt.%、10wt.%~35wt.%、10wt.%~30wt.%、12wt.%~50wt.%、12wt.%~45wt.%、12wt.%~40wt.%、12wt.%~35wt.%、12wt.%~30wt.%、15wt.%~50wt.%、15wt.%~45wt.%、15wt.%~40wt.%、15wt.%~35wt.%、または15wt.%~30wt.%である。上限の観点からは、第2の塔底重質分ストリームは、50wt.%未満の高沸点成分を含んでもよく、例えば、45wt.%未満、40wt.%未満、35wt.%未満、30wt.%未満、20wt.%未満、10wt.%未満、5wt.%未満、または3wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、第2の塔底重質分ストリームは、0.1wt.%超の高沸点成分を含んでもよく、例えば、0.5wt%超、1wt.%超、5wt.%超、8wt.%超、10wt.%超、12wt.%、または15wt.%超であってもよい。
[0075]いくつかの実施形態において、重質分ストリームは、場合によっては2塔システムの第2の塔からの塔底ストリームであってもよく、重質分だけでなく多量のTCHも含んでもよい。場合によっては、重質分ストリームは、90wt.%~100wt.%の範囲の量のTCHを含んでもよく、例えば、90wt.%~99.9wt.%、90wt.%~99wt.%、90wt.%~98wt.%、92.5wt.%~100wt.%、92.5wt.%~99.9wt.%、92.5wt.%~99wt.%、92.5~98wt.%、95wt.%~100wt.%、95wt.%~99.9wt.%、95wt.%~99wt.%、95~98wt.%、97.5wt.%~100wt.%、97.5wt.%~99.9wt.%、97.5~99wt.%、または97.5~98wt.%であってもよい。上限の観点からは、重質分ストリームは、100wt.%未満のTCHを含んでもよく、例えば、99.9wt.%未満99wt.%未満、または98wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、重質分ストリームは、90wt.%超を含んでもよく、例えば、92.5wt.%超、95wt.%超、または97.5wt.%超であってもよい。
[0076]いくつかの実施形態において、重質分ストリームは、少量の軽質分および/またはアジポニトリル(本明細書においてTCHストリームについて検討したのと同様の量)を含んでもよい。
TCHストリーム
[0077]TCHストリームは、1wt%超のTCHを含んでもよく、例えば、5wt%超、10wt%超、20wt%超、25wt%超、30wt%超、35wt%超、50wt%超、75wt%超、85wt%超、90wt%超、93%超、または95wt%超であってもよい。範囲の観点からは、TCHストリームは、1wt%~99.9wt%のTCHを含んでもよく、例えば、25wt%~99.9wt%、50wt%~99.9wt%、75wt%~99.9wt%、90wt%~99.9wt%、85wt%~99.5wt%、5wt%~99wt%、50wt%~99wt%、5wt%~95wt%、25wt%~90wt%、45wt%~90wt%、または50wt%~85wt%であってもよい。上限の観点からは、TCHストリームは、99.9wt%未満のTCHを含み、例えば、99wt%未満、99.5wt%未満、95wt%未満、90wt%未満、85wt%未満、80wt%未満、75wt%未満、または65wt%未満である。
[0078]いくつかの実施形態において、TCHストリームは、90wt.%~100wt.%の範囲のより多量のTCHを含み、例えば、90wt.%~99.9wt.%、90wt.%~99wt.%、90wt.%~98wt.%、92.5wt.%~100wt.%、92.5wt.%~99.9wt.%、92.5wt.%~99wt.%、92.5~98wt.%、95wt.%~100wt.%、95wt.%~99.9wt.%、95wt.%~99wt.%、95~98wt.%、97.5wt.%~100wt.%、97.5wt.%~99.9wt.%、97.5~99wt.%、または97.5~98wt.%である。上限の観点からは、TCHストリームは、100wt.%未満のTCHを含んでもよく、例えば、99.9wt.%未満、99wt.%未満、または98wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、TCHストリームは、90wt.%超を含んでもよく、例えば、92.5wt.%超、95wt.%超、または97.5wt.%超であってもよい。従来のプロセスでは、このような高いTCH純度レベルを達成することはできなかった。
[0079]一実施形態において、TCHストリームは、0wt.%~10wt.%の範囲の量の不純物、例えば、重質分および/または軽質分を含み、例えば、0wt.%~7.5wt.%、0wt.%~5wt.%、0wt.%~2.5wt.%、0.1wt.%~10wt.%、0.1wt.%~7.5wt.%、0.1wt.%~5wt.%、0.1wt.%~2.5wt.%、0.1wt.%~1.5wt.%、0.2wt.%~1.2wt.%、0.3wt.%~1.5wt.%、0.5wt.%~1.0wt.%、1wt.%~10wt.%、1wt.%~7.5wt.%、1wt.%~5wt.%、1wt.%~2.5wt.%、2wt.%~10wt.%、2wt.%~7.5wt.%、2wt.%~5wt.%、または2wt.%~2.5wt.%である。上限の観点からは、TCHストリームは、10wt.%未満の不純物を含んでもよく、例えば、7.5wt.%未満、5wt.%未満、2.5wt.%未満、1.5wt.%未満、1.2wt.%、または1.0wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、TCHストリームは、0wt.%超の不純物を含んでもよく、例えば、0.1wt.%超、1wt.%超、または2wt.%超であってもよい。TCHストリームは、これらの量のアミンおよび/またはニトリルを含んでもよい。場合によっては、分離においてより低い圧力を使用すると、驚くべきことに、TCHの沸点に近い沸点を有する成分、例えば、CVAの分離が改善される。これらの範囲および限界は、重質分および軽質分に個別に、または組み合わされて適用される。
[0080]一実施形態において、TCHストリームは、0wt.%~0.05wt.%のアジポニトリル、0wt.%~0.1wt.%のジ(2-シアノエチル)アミン、0wt.%~0.05wt.%のシアノバレルアミド、および0wt.%~0.05wt.%のトリ(2-シアノエチル)アミンを含む。
[0081]TCHストリームは、25wt.%未満のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、23wt.%未満、20wt.%未満、18wt.%未満、15wt.%未満、12wt.%未満、10wt.%未満、8wt.%未満、5wt.%未満、3wt.%未満、1wt.%未満、0.05wt.%未満、または0.03wt.%未満であってもよい。範囲の観点からは、TCHストリームは、0.001wt.%~25wt.%のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、0.05wt.%~5wt.%、0.1wt.%~25wt.%、0.5wt.%~22wt.%、1wt.%~20wt.%、2wt.%~20wt.%、または5wt.%~18wt.%であってもよい。下限の観点からは、TCHストリームは、0.001wt.%超のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、0.01wt%超、0.01wt.%超、0.5wt.%超、1.0wt.%超、2.0wt.%超、5.0wt.%超、10wt.%、または15wt.%超であってもよい。
精製
[0082]場合によっては、第1の塔頂ストリーム(第1の塔からの)は、任意に1つまたは複数の蒸留塔によって精製されて、50wt%超のアジポニトリルを含む精製されたアジポニトリルストリームを形成する。場合によっては、第1の塔頂ストリームは、プロセス外の既存の精製設備を使用して、例えば、異なるプロセスのための分離トレインにおいて精製されてもよい。
[0083]いくつかの実施形態において、精製されたアジポニトリルストリームは、10wt%超のアジポニトリルを含み、例えば、25wt%超、50wt%超、75wt%超、90wt%超、92wt%超、95wt%超、または97wt%超である。範囲の観点からは、精製されたアジポニトリルストリームは、50wt%~100wt%のアジポニトリルを含んでもよく、例えば、50wt%~99.5wt%、65wt%~99wt%、75wt%~99wt%、90wt%~97wt%、または90wt%~95wt%であってもよい。
[0084]場合によっては、精製されたアジポニトリルストリームとTCHストリームの両方が存在する(本明細書に記載のように)。いくつかの実施形態において、精製されたアジポニトリルストリームは、95wt%超のアジポニトリルを含み、TCHストリームは、95wt%超のTCHを含む。
[0085]場合によっては、第1の塔頂ストリームの精製は、外部のシステム、例えばアジポニトリル製造プロセスにおける精製プロセスなどにおいて行われてもよい。
分解
[0086]上記のように、発明者らは現在、従来のアジポニトリル精製プロセスにおいては、ある特定の高沸点成分がより高い沸点および/またはより低い沸点の両方を有する不純物に分解されやすいことを見出している。発明者らはまた、アジポニトリルおよびTCHであっても、従来のプロセスにおいて高温高圧に曝露されると分解する可能性があることを見出している。特に、発明者らは現在、例えば塔における高温高圧への長時間曝露が、高沸点成分の分解を助長することを見出している。さらに、発明者らは、温度が高くなるにつれて分解速度が上昇することを見出している。
[0087]従来のプロセスは、高沸点成分、例えば大気圧で約407℃のTCHの存在のため、典型的にはプロセスストリームを高温に曝露することを必要とする。したがって、当業者であれば理解できるように、TCHの精製は従来、プロセスストリームを高温、例えば、少なくとも350℃、少なくとも375℃、少なくとも400℃、または少なくとも410℃に曝露することを必要とする。しかし、これらの高温では、本発明者らは、高沸点成分、例えばTCHおよびアジポニトリルが急速に分解することを見出している。結果として、従来のプロセスは、非常に非効率的となる。しかし、本明細書に開示する特定のプロセスパラメータを利用することにより、この分解を効果的に軽減または排除することができる。
[0088]一態様において、精製プロセスは、例えば、分離操作においてプロセスストリームが高温に曝露される滞留時間を短縮することにより分解を抑制してもよい。一般に、プロセスストリームは、塔内で高温および/または高圧に曝露されることがある。長時間の曝露を減らすため、プロセスは、所与の塔(またはフラッシャー)におけるストリームの滞留時間を短縮してもよい。例えば、プロセスは、塔における(第1もしくは第2の)中間アジポニトリルストリームまたはTCHストリーム(もしくは別の精製ストリーム)の滞留時間を制御してもよい。一実施形態において、プロセスは、塔における(第1もしくは第2の)中間アジポニトリルストリームまたはTCHストリーム(もしくは別の精製ストリーム)の滞留時間を8時間未満に制限し、例えば、7時間未満、6時間未満、5時間未満、または4時間未満とする。
[0089]いくつかの態様において、精製プロセスは、第2の分離ステップにおいて1つまたは複数(例えば、全て)の蒸留塔を減圧で運転することにより分解を抑制してもよい。圧力が低いほど、高沸点成分の沸点が低下し、高温への曝露を用いたプロセスストリームの効果的な分離が可能となる。別の言い方をすれば、第2の分離の蒸留塔の少なくとも1つは、低圧蒸留塔である。一実施形態において、低圧蒸留塔は、100mmHg未満の塔頂部圧力で運転され、例えば、80mmHg未満、60mmHg未満、40mmHg未満、20mmHg未満、15mmHg未満、10mmHg未満、5mmHg未満、または3mmHg未満とされる。一実施形態において、低圧蒸留塔は、100mmHg未満の塔底部圧力で運転され、例えば、80mmHg未満、60mmHg未満、40mmHg未満、20mmHg未満、15mmHg未満、10mmHg未満、5mmHg未満、または3mmHg未満とされる。一実施形態において、低圧蒸留塔は、真空下で運転される。
[0090]一態様において、分離および/または精製ステップは、プロセスストリームの高温への曝露を低減することにより分解を抑制してもよい。例えば、プロセスは、例えば分離ステップにおいて、TCHストリーム(または別の精製ストリーム)の(第1または第2の)中間アジポニトリルストリームが曝露される温度を制御してもよい。一実施形態において、精製プロセスは、分離ステップが行われる温度を制限する。例えば、運転温度は、350℃未満に制限されてもよく、例えば、325℃未満、300℃未満、275℃未満、または250℃未満とされてもよい。範囲の観点からは、運転温度は、225℃~350℃の範囲であってもよく、例えば、250℃~325℃もしくは275℃~300℃、または250℃~275℃であってもよい。
[0091]いくつかの態様において、プロセスは、ストリームが曝露される温度と、その温度に曝露される時間の両方を制御してもよい。例えば、プロセスは、塔における(第1もしくは第2の)中間アジポニトリルストリームまたはTCHストリーム(もしくは別の精製ストリーム)の滞留時間だけでなく、その蒸留塔の温度も制御してもよい。一実施形態において、230℃超の温度におけるストリームの滞留時間は8時間未満である。温度および滞留時間に関する前述の範囲および限界は、互いに組み合わされてもよい。
[0092]いくつかの態様において、プロセスは、ストリームが曝露される温度と曝露される圧力の両方を制御してもよい。一実施形態において、プロセスは、ストリームが300℃超の温度または4666.28Pa(35torr)超の圧力に曝露されないように制御されてもよい。
[0093]他の態様において、プロセスは、ある特定の物理的な特徴を備えた塔を利用することにより分解を抑制してもよい。特に、精製プロセスにおいて採用される蒸留塔は、ある特定の形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、蒸留塔は、高温への曝露を最小限に抑えるため、比較的小さな液溜めを有する。これらの実施形態において、各塔の液溜めは、より小さい直径となるように先細りになっていてもよく、そうすると、より高い温度への曝露の低減が可能となる。
[0094]そのような高温で効果的に作動するように、再沸器は、特殊なシステムを必要としてもよい。いくつかの実施形態において、再沸器は、高温を支えるのに十分な熱油システムを利用する。当業者は、本明細書に記載のプロセスに従い熱油システムを利用する方法を理解する。
[0095]従来の精製プロセスに対するこれらの改変は、高沸点成分の分解を低減させる。いくつかの実施形態において、これらの改変は、分離の効率を上昇させる。例えば、低圧(例えば、真空下)で蒸留塔を運転すると、分離すべき成分の沸点が低下する。これにより、第2の分離ステップ中に分解する第1の塔頂ストリーム中の高沸点成分を、高沸点成分が分解し得る高温に曝露することなくストリームを分離することが可能となる。
[0096]同様に、高温再沸器(例えば、熱油システムを利用する再沸器)と共に蒸留塔を運転することは、効率を向上させることが見出されている。高温への曝露は分解を助長するが、本発明者らは、驚くべきことに、高温再沸器が実際に分解を低減することを見出している。理論に拘束されるものではないが、これは、蒸発速度が上昇し、それにより塔内の成分の分離速度が上昇するためであると考えられる。結果として、塔内の所与のストリームの保持時間を短縮することができる。
[0097]一実施形態において、第1の塔頂軽質分ストリーム、第2の塔底重質分ストリーム、またはTCHストリーム(もしくは別のプロセスストリーム)中の分解する高沸点成分の量は、ストリーム中の高沸点成分の50wt.%未満であり、例えば、45wt.%未満、40wt.%未満、または30wt.%未満である。下限の観点からは、分解する高沸点成分の量は、ストリーム中の高沸点成分の0wt.%超であってもよく、例えば、5wt.%超、10wt.%超、または15wt.%超であってもよい。範囲の観点からは、分解する高沸点成分の量は、0wt.%~50wt.%であってもよく、例えば、0wt.%~45wt.%、0wt.%~40wt.%、0wt.%~30wt.%、5wt.%~50wt.%、5wt.%~45wt.%、5wt.%~40wt.%、5wt.%~30wt.%、10wt.%~50wt.%、10wt.%~45wt.%、10wt.%~40wt.%、10wt.%~30wt.%、15wt.%~50wt.%、15wt.%~45wt.%、15wt.%~40wt.%、または15wt.%~30wt.%であってもよい。
[0098]いくつかの実施形態において、様々なプロセスストリームは、個々に1wt.%未満の高沸点成分の分解生成物を含み、例えば、0.8wt.%未満、0.5wt.%未満、0.3wt.%未満、0.1wt.%未満、0.05wt.%、または0.01wt.%未満である。
[0099]上記のように、高沸点成分は、分解して他の高沸点不純物および/または低沸点不純物になり得る。場合によっては、高沸点成分は、分解して、そうでなければ系中に存在しない他の高沸点不純物になり得る。別の言い方をすれば、分解は、系中の高沸点不純物化合物の総数の増加を引き起こし得る。本明細書に記載のように、分解を抑制することにより、分解によって引き起こされる系中に存在する高沸点不純物化合物の総数の増加を低減できる。
リサイクルステップ
[0100]いくつかの実施形態において、プロセスは、分離ステップ中に形成される(塔底または重質分)ストリームの少なくとも一部を、上流のある点(対象物)へとリサイクルするリサイクルステップを含む。例えば、リサイクルステップは、塔またはフラッシャーの1つの重質分ストリームの少なくとも一部を、プロセスにおける上流のある点にリサイクルするステップを含んでもよい。いくつかの実施形態において、リサイクルステップは、分離ステップの重質分ストリームの少なくとも一部を、フラッシングステップのフラッシャー塔頂ストリームへとリサイクルするステップを含む。いくつかの実施形態において、リサイクルステップは、精製ステップの塔底ストリームの少なくとも一部を、フラッシングステップのフラッシャー塔頂ストリーム、および/または分離ステップの塔底ストリームへとリサイクルするステップを含む。
[0101]一実施形態において、リサイクルされたストリームは重質分を含み、これらの重質分の濃度は、驚くべきことに、結果として得られるTCHストリームの純度に影響を与え、塔頂ストリーム中の高沸点成分の濃度を0wt.%~10wt.%に制御するのに役立つことがある。場合によっては、リサイクルストリーム中の高沸点成分の濃度が様々な塔頂ストリーム中の高沸点成分の量の低下に繋がり、それが結果的にアジポニトリルおよび/またはTCHの純度の上昇に繋がる。
[0102]場合によっては、リサイクルされたストリームは、0wt.%~40wt.%の範囲の量の重質分を含み、例えば、0wt.%~37.5wt.%、0wt.%~35wt.%、0wt.%~32.5wt.%、0wt.%~30wt.%、5wt.%~40wt.%、5wt.%~37.5wt.%、5wt.%~35wt.%、5wt.%~32.5wt.%、5wt.%~30wt.%、10wt.%~40wt.%、10wt.%~37.5wt.%、10wt.%~35wt.%、10wt.%~32.5wt.%、10wt.%~30wt.%、15wt.%~40wt.%、15wt.%~37.5wt.%、15wt.%~35wt.%、15wt.%~32.5wt.%、15wt.%~30wt.%、20wt.%~40wt.%、20wt.%~37.5wt.%、20wt.%~35wt.%、20wt.%~32.5wt.%、または20wt.%~30wt.%である。上限の観点からは、リサイクルされたストリームは、40wt.%未満の高沸点成分を含んでもよく、例えば、37.5wt.%未満、35wt.%未満、32.5wt.%未満、または30wt.%未満であってもよい。下限の観点からは、リサイクルされたストリームは、0wt.%超の高沸点成分を含んでもよく、例えば、5wt.%超、10wt.%超、15wt.%超、または20wt.%超であってもよい。
[0103]いくつかの態様において、リサイクルステップは、対象物中の重質分の濃度を制御する。例えば、リサイクルステップは、重質分を含有するストリームをフラッシャーストリームへとリサイクルすることにより、フラッシャー塔頂ストリーム中の重質分の濃度を制御してもよい。
[0104]一実施形態において、リサイクルすることで、リサイクルステップは対象物中の重質分の濃度を0wt.%~10wt.%となるように制御し、例えば、0wt.%~9wt.%、0wt.%~8wt.%、0wt.%~7wt.%、1wt.%~10wt.%、1wt.%~9wt.%、1wt.%~8wt.%、1wt.%~7wt.%、2wt.%~10wt.%、2wt.%~9wt.%、2wt.%~8wt.%、2wt.%~7wt.%、3wt.%~10wt.%、3wt.%~9wt.%、3wt.%~8wt.%、または3wt.%~7wt.%とする。上限の観点からは、リサイクルステップは、対象物中の重質分の濃度を10wt.%未満となるように制御してもよく、例えば、9wt.%未満、8wt.%未満、または7wt.%未満としてもよい。下限の観点からは、リサイクルステップは、対象物中の重質分の濃度を0wt.%超となるように制御してもよく、例えば、1wt.%超、2wt.%超、または3wt.%超としてもよい。
[0105]例示的な分離および/または精製スキームは、2019年5月24に出願された米国仮特許第62/852,604号に開示されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
構成
[0106]図1~5は、本明細書に開示されるTCH精製プロセスのいくつかの構成の図式的概観を示す。
[0107]図1は、アジポニトリル分離プロセスの一実施形態100を示す。本実施形態において、アジポニトリルプロセスストリーム101は、フラッシュ蒸発器102において分離されて、第1の塔頂ストリーム103と第1の塔底ストリーム104とを形成する。次いで、第1の塔頂ストリーム103は、第1の蒸留塔105において分離されて、第2の塔頂ストリーム106としての軽質分ストリームと、第2の塔底ストリーム107とを形成する。次いで、第2の塔底ストリームは、第2の蒸留塔108において分離されて、第3の塔底ストリーム109としての重質分ストリームと、第3の塔頂ストリーム110としてのTCHストリームとを形成する。本実施形態は、任意のリサイクルステップ111も備え、これにより第3の塔底ストリーム109の一部が第1の塔頂ストリーム103および/または第2の塔底ストリーム107へとリサイクルされる。
[0108]図2は、アジポニトリル分離プロセスの別の実施形態200を示す。本実施形態において、アジポニトリルプロセスストリーム201は、フラッシュ蒸発器202において分離されて、第1の塔頂ストリーム203と第1の塔底ストリーム204とを形成する。次いで、第1の塔頂ストリーム203は第1の蒸留塔205において分離されて、第2の塔頂ストリーム206としての軽質分ストリームと、第2の塔底ストリーム207と、塔側抜出液208とを形成する。次いで、塔側抜出液208はフラッシャー209において分離されて、第3の塔底ストリーム210としてのTCHストリームと、第3の塔頂ストリーム211とを形成する。
[0109]図3は、アジポニトリル分離プロセスの別の実施形態300を示す。本実施形態において、アジポニトリルプロセスストリーム301は、フラッシュ蒸発器302において分離されて、第1の塔頂ストリーム303と第1の塔底ストリーム304とを形成する。次いで、第1の塔頂ストリーム303は第1の蒸留塔305において分離されて、第2の塔頂ストリーム306としての軽質分ストリームと、第2の塔底ストリーム307とを形成する。次いで、第2の塔底ストリーム307は第2の蒸留塔308において分離されて、第3の塔底ストリーム309としての重質分ストリームと、第3の塔頂または蒸留物ストリーム310とを形成する。次いで第3の塔頂ストリーム310は第3の蒸留塔311において分離されて、第4の塔頂ストリーム312と、第4の塔底ストリーム313としてのTCHストリームとを形成する。
[0110]図4は、アジポニトリル分離プロセスの別の実施形態400を示す。本実施形態において、アジポニトリルプロセスストリーム401は、フラッシュ蒸発器402において分離されて、第1の塔頂ストリーム403と第1の塔底ストリーム404とを形成する。次いで、第1の塔頂ストリーム403は第1の蒸留塔405において分離されて、第2の塔頂ストリーム406としての軽質分ストリームと、第2の塔底ストリーム407とを形成する。次いで、第2の塔底ストリーム407は第2の蒸留塔408において分離されて、第3の塔底ストリーム409としての重質分ストリームと、第3の塔頂または蒸留物ストリーム410とを形成する。次いで、第3の塔頂ストリーム410はフラッシャー411において分離されて、第4の塔頂ストリーム412と、第4の塔底ストリーム413としてのTCHストリームとを形成する。
[0111]図5は、アジポニトリル分離プロセスの別の実施形態500を示す。本実施形態において、アジポニトリルプロセスストリーム501は、フラッシュ蒸発器502において分離されて、第1の塔頂ストリーム503と第1の塔底ストリーム504とを形成する。次いで、第1の塔頂ストリーム503は第1の蒸留塔505において分離されて、第2の塔頂ストリーム506としての軽質分ストリームと、第2の塔底ストリーム507とを形成する。次いで、第2の塔底ストリーム507は第2の蒸留塔508において分離されて、第3の塔底ストリーム509としての重質分ストリームと、第3の塔頂ストリーム510としてのTCHストリームとを形成する。本実施形態は、任意のリサイクルステップ511も備えており、これにより第3の塔底ストリーム509の一部が第1の塔頂ストリーム503および/または第2の塔底ストリーム507へとリサイクルされる。本実施形態は、処理ステップ512も備えており、これによりTCHストリーム510は、精製されたTCHストリーム513を得るためのさらなる処理に供される。
[0112]本開示は、下記の非限定例を参照することによりさらに理解される。
[0113]実施例1および2については、アジポニトリル製造および精製プロセスからアジポニトリルプロセスストリームを収集した。実施例1および2のアジポニトリルプロセスストリームは、本明細書に記載されるような分離プロセス、例えば、図1に記載にされるのと同様の分離に供給した。
[0114]アジポニトリルプロセスストリームは、ワイプ膜式蒸発器において複数回、例えば2回または4回分離した。ワイプ膜式蒸発器を複数回通過させることにより、塔頂(第1の塔頂軽質分ストリーム)と、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを生成した。第1の塔底重質分ストリームは、廃棄した。第1の塔頂軽質分ストリームおよび第1の塔底ストリームの組成を、表1に示す。TCH含有量は、場合によっては、TCHおよびその異性体を含んでいた。
Figure 2023509916000001
[0115]第1の塔頂軽質分ストリームを、第1の蒸留塔において蒸留した。第1の蒸留塔は、塔底部温度約255℃、および1mmHgで運転し、第1の蒸留塔における第1の塔頂軽質分ストリームの滞留時間は4時間未満であった。第1の蒸留塔は、第2の塔頂軽質分ストリームを生成した。第1の蒸留塔は、中間塔底ストリームも生成し、これは、高濃度のTCHと多少の重質分を含有していた。
[0116]実施例1および/または2の第1の塔頂軽質分ストリームを、第1の蒸留塔において蒸留した。第1の蒸留塔は、塔底部(再沸器)温度約255℃、運転圧力約1mmHgで運転し、第1の蒸留塔における第1の塔頂軽質分ストリームの滞留時間は4時間未満であった。第1の蒸留塔は、第2の塔頂軽質分ストリームを生成した。このストリームのサンプルを様々な時点で収集し、分析した。これらのサンプルの組成が、表2aに示されている。場合によっては、ワイプ膜式蒸発器におけるサイクル数が、結果として得られる塔頂の組成に影響を与えることが見出された。
Figure 2023509916000002
[0117]第1の蒸留塔は、第2の塔底ストリームも生成し、これは、高濃度のTCHと多少の重質分を含有していた。このストリームのサンプルを様々な時点で収集し、分析した。これらのサンプルの組成が、表2bに示されている。
Figure 2023509916000003
[0118]次いで、第2の塔底ストリームを第2の蒸留塔において蒸留した。第2の蒸留塔は、塔底部(再沸器)温度約263℃、運転圧力約1mmHgで運転し、第2の蒸留塔における第2の塔底ストリームの滞留時間は4時間未満であった。第2の蒸留塔は、第3の塔底ストリーム(重質分ストリーム)を生成した。重質分ストリームは、リサイクルおよび/または廃棄することができる。第2の蒸留塔は、第3の塔頂ストリーム(TCHストリーム)も生成した。これらのストリームのサンプルを様々な時点で収集し、分析した。これらのサンプルの組成が、表3a~3dに示されている。
Figure 2023509916000004
Figure 2023509916000005
Figure 2023509916000006
Figure 2023509916000007
[0119]上記の表が示すように、実施例1および2では、低塔圧および高再沸器温度、例えば11mmHg未満および235℃超で行われた精製プロセスで、高純度のTCHストリームが生成された。特に、精製プロセスは、97wt.%超のTCHを含むTCHストリームを生じ、例えば、ほとんどの場合、99wt.%超であり、測定可能なアジポニトリルまたは軽質分をほとんどまたは全く含まなかった。示されるように、中間塔底ストリームおよび/または第2の塔底重質分ストリーム中の重質分の濃度は、本明細書に開示される範囲および限界内に維持された。
[0120]示されるように、塔への供給物のアジポニトリル濃度が高いほど、塔の塔頂における濃度向上が驚くほど改善されることが予想外に見出された。同様の設備を使用したシミュレーションでは、塔供給物中のアジポニトリル濃度が10wt%を超えると塔頂でのアジポニトリル濃度が有利に高くなり、例えば、50%超となる。
実施形態
[0121]以下に使用される場合、一連の実施形態への参照はいずれも、それらの実施形態のそれぞれへの選言的な参照であると理解すべきである(例えば、「実施形態1~4」は、「実施形態1、2、3、または4」と理解すべきである)。
[0122]実施形態1は、トリシアノヘキサン(TCH)を精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルおよびTCHを含むアジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)1つまたは複数の蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分を含む第2の塔底重質分ストリームと、TCHおよび10wt.%未満の不純物を含むTCHストリームとを形成するステップとを含み;蒸留塔が低圧蒸留塔であるプロセスである。
[0123]実施形態2は、低圧蒸留塔が真空下で運転される、実施形態1のプロセスである。
[0124]実施形態3は、低圧蒸留塔が100mmHg未満の塔頂部圧力で運転される、実施形態1~2のプロセスである。
[0125]実施形態4は、低圧蒸留塔が100mmHg未満の塔底部圧力で運転される、実施形態1~3のプロセスである。
[0126]実施形態5は、蒸留塔が再沸器を含み、再沸器が250℃超の温度で運転される、実施形態1~4のプロセスである。
[0127]実施形態6は、蒸留塔が再沸器を含み、再沸器が熱油システムを利用する、実施形態1~5のプロセスである。
[0128]実施形態7は、ステップa)が、アジポニトリルプロセスストリームをフラッシングするステップ、ワイプ膜式蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップ、および/または流下膜式蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップを含む、実施形態1~6のプロセスである。
[0129]実施形態8は、ステップa)が少なくとも250℃の温度で行われる、実施形態1~7のプロセスである。
[0130]実施形態9は、TCHストリームが1wt.%未満の不純物を含む、実施形態1~8のプロセスである。
[0131]実施形態10は、第1の塔頂軽質分ストリームが0wt.%~20wt.%の重質分を含む、実施形態1~9のプロセスである。
[0132]実施形態11は、0wt.%~40wt.%の高沸点成分を任意に含む第2の塔底重質分ストリームの少なくとも一部をリサイクルするステップをさらに含む、実施形態1~10のプロセスである。
[0133]実施形態12は、ステップb)が、第1の蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、第2の塔頂軽質分ストリームと第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;第2の蒸留塔において第2の塔底重質分ストリームを分離して、第3の塔底重質分ストリームと第3の塔頂TCHストリームとを形成するステップとをさらに含む、実施形態1~11のプロセスである。
[0134]実施形態13は、第3の塔底重質分ストリームの少なくとも一部を第2の塔底重質分ストリームおよび/または第1の塔頂軽質分ストリームへとリサイクルするステップをさらに含む、実施形態12のプロセスである。
[0135]実施形態14は、TCHストリームを処理して精製されたTCHストリームを形成する処理ステップをさらに含む、実施形態1~13のプロセスである。
[0136]実施形態15は、処理ステップが、窒素ストリッピングまたはモレキュラーシーブでの処理を含む、実施形態14のプロセスである。
[0137]実施形態16は、精製されたTCHストリームが0.1wt.%未満の不純物、20ppm未満の水、および/または5ppm未満の金属を含む、実施形態14~15のプロセスである。
[0138]実施形態17は、アジポニトリルプロセスストリームが、アジポニトリル製造および/またはアジポニトリル精製プロセスにより生成される副産物ストリームである、実施形態1~16のプロセスである。
[0139]実施形態18は、第1の塔底重質分ストリームおよび/または第2の塔頂軽質分ストリームが、アジポニトリル製造および/またはアジポニトリル精製プロセスへとリサイクルされる、実施形態17のプロセスである。
[0140]実施形態19は、TCHを精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルおよびTCHを含むアジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび重質分を含む第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;c)第2の塔底重質分ストリームを蒸留して、TCHおよび5wt.%未満の不純物を含む第3の塔頂軽質分ストリームと、重質分を含む第3の塔底重質分ストリームとを形成するステップとを含み;ステップb)またはステップc)が低圧蒸留塔において蒸留するステップを含むプロセスである。
[0141]実施形態20は、低圧蒸留塔が再沸器を含み、再沸器が250℃超の温度で運転される、実施形態19のプロセスである。
[0142]実施形態21は、TCHを精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルおよびTCHを含むアジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)第1の塔頂軽質分ストリームを蒸留して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、重質分を含む第2の塔底重質分ストリームと、TCHおよび軽質分を含む塔側抜出液とを形成するステップと;c)第2のフラッシュ室において塔側抜出液を分離して、TCHおよび5wt.%未満の不純物を含む第3の塔底重質分ストリームを形成するステップとを含み、ステップb)またはステップc)が、低圧蒸留塔において蒸留するステップを含むプロセスである。
[0143]実施形態22は、低圧蒸留塔が再沸器を含み、再沸器が250℃超の温度で運転される、実施形態21のプロセスである。
[0144]実施形態23は、TCHを精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)第1の塔頂軽質分ストリームを蒸留して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび重質分を含む第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;c)第2の塔底重質分ストリームを蒸留して、TCHおよび不純物を含む第3の蒸留物と、重質分を含む第3の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;d)第3の蒸留物を蒸留して、低沸点成分を含む第4の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび5wt.%未満の不純物を含む第4の塔底重質分ストリームとを形成するステップとを含み、ステップb)、ステップc)、またはステップd)が、低圧蒸留塔において蒸留するステップを含むプロセスである。
[0145]実施形態24は、低圧蒸留塔が再沸器を含み、再沸器が250℃超の温度で運転される、実施形態23のプロセスである。
[0146]実施形態25は、TCHを精製するためのプロセスであって、a)アジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;b)第1の塔頂軽質分ストリームを蒸留して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび重質分を含む第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;c)第2の塔底重質分ストリームを蒸留して、TCHおよび不純物を含む第3の蒸留物と、重質分を含む第3の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;d)第2のフラッシュ室において第3の蒸留物を分離して、低沸点成分を含む第4の塔頂軽質分ストリームと、TCHおよび5wt.%未満の不純物を含む第4の塔底重質分ストリームとを形成するステップとを含み、ステップb)、ステップc)、またはステップd)が、低圧蒸留塔において蒸留するステップを含むプロセスである。
[0147]実施形態26は、低圧蒸留塔が再沸器を含み、再沸器が250℃超の温度で運転される、実施形態25のプロセスである。
[0148]本発明を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲内の修正は、当業者には容易に明らかとなる。前述の検討、本技術分野における関連知識、ならびに背景技術および発明を実施するための形態に関連して先に検討した参考文献を考慮すると、その開示は、参照により全て本明細書に組み込まれる。加えて、理解すべきことであるが、本発明の態様と、以下に、および/または添付の特許請求の範囲に記載された様々な実施形態および様々な特徴の一部とは、全部または一部を組み合わせても入れ替えてもよい。様々な実施形態の前述の説明において、別の実施形態に言及する実施形態は、当業者には理解されるように、他の実施形態と適切に組み合わせることができる。さらに、当業者であれば、前述の説明は例示に過ぎず、限定を意図したものではないことを理解する。

Claims (15)

  1. トリシアノヘキサン(TCH)を精製するためのプロセスであって、
    a)アジポニトリルおよびTCHを含むアジポニトリルプロセスストリームを分離して、低沸点成分および高沸点成分を含む第1の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分および固体不純物を含む第1の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;
    b)1つまたは複数の蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、低沸点成分を含む第2の塔頂軽質分ストリームと、高沸点成分を含む重質分ストリームと、TCHおよび10wt.%未満の不純物を含むTCHストリームとを形成するステップとを含み;
    蒸留塔が低圧蒸留塔である、プロセス。
  2. 低圧蒸留塔が真空下で運転される、請求項1に記載のプロセス。
  3. 低圧蒸留塔が100mmHg未満の塔頂部圧力で運転される、請求項1に記載のプロセス。
  4. 低圧蒸留塔が100mmHg未満の塔底部圧力で運転される、請求項1に記載のプロセス。
  5. 蒸留塔が再沸器を含み、再沸器が250℃超の温度で運転される、請求項1に記載のプロセス。
  6. 蒸留塔が再沸器を含み、再沸器が熱油システムを利用する、請求項1に記載のプロセス。
  7. ステップa)が、アジポニトリルプロセスストリームをフラッシングするステップ、ワイプ膜式蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップ、および/または流下膜式蒸発器においてアジポニトリルプロセスストリームを処理するステップを含む、請求項1に記載のプロセス。
  8. TCHストリームが1wt.%未満の不純物を含む、請求項1に記載のプロセス。
  9. 第1の塔頂軽質分ストリームが0wt.%~20wt.%の重質分を含む、請求項1に記載のプロセス。
  10. 0wt.%~40wt.%の高沸点成分を任意に含む第2の塔底重質分ストリームの少なくとも一部をリサイクルするステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
  11. ステップb)が、
    第1の蒸留塔において第1の塔頂軽質分ストリームを分離して、第2の塔頂軽質分ストリームと第2の塔底重質分ストリームとを形成するステップと;
    第2の蒸留塔において第2の塔底重質分ストリームを分離して、第3の塔底重質分ストリームと第3の塔頂TCHストリームとを形成するステップと
    をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
  12. 第3の塔底重質分ストリームの少なくとも一部を第2の塔底重質分ストリームおよび/または第1の塔頂軽質分ストリームへとリサイクルするステップをさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
  13. 精製されたTCHストリームが0.1wt.%未満の不純物、20ppm未満の水、および/または5ppm未満の金属を含む、請求項1に記載のプロセス。
  14. アジポニトリルプロセスストリームが、アジポニトリル製造および/またはアジポニトリル精製プロセスにより生成される副産物ストリームである、請求項1に記載のプロセス。
  15. 第1の塔底重質分ストリームおよび/または第2の塔頂軽質分ストリームが、アジポニトリル製造および/またはアジポニトリル精製プロセスへとリサイクルされる、請求項14に記載のプロセス。
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