JP2023508478A - 細胞培養基材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023508478000001
細胞培養基材が提供される。本発明の一実施例による細胞培養基材は、繊維が集積された繊維ウェブ、及び前記繊維ウェブの一表面に位置する繊維の少なくとも一部の繊維の間を連結するコーティング膜を含む細胞培養コーティング層を備え、前記細胞培養コーティング層は、機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質を通じて具現される。これによれば、細胞培養に役立つタンパク質などの物質を含有するにもかかわらず、常温で数年間、長期保存が可能であるので、保存安定性に非常に優れており、また細胞培養に役立つ物質の活性は、そのまま維持されるか、または最小限の低下のみが発生して初度設計した水準で細胞を培養させることができる。また、細胞培養基材に細胞付着性に優れており、付着された細胞を安定的に増殖させることができることにより高い細胞培養効率を達成できるため、幹細胞などの各種の細胞培養に広く応用できる。

Description

本発明は、細胞培養基材及びその製造方法に関する。
近年、疾病の治療において培養細胞の利用が拡大されることにより、細胞培養に対する関心及び研究が増加している。細胞培養は、細胞を生体から採取し、生体外で培養させる技術であり、培養された細胞は、皮膚、臓器、神経など身体の様々な組織に分化させて人体に移植されるか、または分化させる前の状態で人体に移植させて生着及び分化が同時に行われるようにして多様な疾病の治療に活用できる。
哺乳類細胞の培養は、生命科学及び保健科学において多くの工程の1つである。固定-依存性細胞を伴う哺乳類細胞の培養及び分析のための細胞培養基材は、よくある例では、高分子ポリマーまたはガラス製のウェル-プレートなどの容器やフィルムなどのプレートが多用されるが、細胞が容器やプレートの表面に付着される追加の表面処理が要求される。このような表面処理は、例えば、吸着、グラフティングまたはプラズマ重合技術によって表面上に吸着層を形成させるか、または適切な表面形状を具現することを含んでもよい。または、前記表面処理は、容器やプレートの表面そのものに化学的改質により行ってもよく、例えば、大気コロナ、無線周波数真空プラズマ(radio frequency vacuum plasma)、DCグロー放電(glow discharge)、及びマイクロ波プラズマ処理(microwave plasma treatments)などによって行われてもよい。
一方、幹細胞、例えば、成人幹細胞(adult stem cells、ASCs)、全分化能幹細胞(Pluriopotent stem cell)を含む各種の幹細胞及び体細胞を培養及び分化、交差分化、リプログラミングする現在の方法は、複雑な培養環境、例えば、細胞外基質タンパク質や、細胞の増殖に役立つ他のいくつかのタンパク質を用いたコーティング層を固形基材の表面上に形成させて細胞外基質のような類似した微細環境を形成させて幹細胞を培養することが一般的である。
一方、前記コーティング層は、上述した各種のタンパク質を含む溶液を単に容器やプレートなどの細胞付着表面に処理した後に乾燥させて形成するが、コーティング層内のタンパク質の活性安定性は、非常に低く、コーティング層を形成させた後、常温で数時間以内に活性を容易に失うというという問題があり、あらかじめコーティング層が形成された細胞培養基材を製造しておくことが困難であり、製造してもこれを低温で保管しなければならず、低温保管時でも保管日数が30日以内で非常に短いという問題がある。また、このような劣った保存安定性によって細胞ローディング作業直前に細胞付着表面にコーティング層を形成させることが一般的であり、これによって細胞培養作業上の不便さと、細胞培養前の準備時間が延長されるという問題がある。
本発明は、前記のような点を勘案して案出されたもので、常温で数年間、長期保存が可能であるので、保存安定性に非常に優れており、それにもかかわらず細胞培養に役立つ物質の活性は、そのまま維持されるか、または最小限の低下のみが発生して初度設計した水準で細胞を培養させることができる細胞培養基材及びその製造方法を提供することに目的がある。
また、本発明は、細胞付着性に優れており、付着された細胞を安定的に増殖させることができるため、高い細胞培養効率を達成できる細胞培養基材及びその製造方法を提供することに他の目的がある。
さらに、本発明は、前記のような優れた特性を達成できるようにする細胞培養コーティング組成物を提供することにさらに他の目的がある。
上述した課題を解決するため、本発明は、繊維が集積された繊維ウェブ、及び前記繊維ウェブの一表面に位置する繊維の少なくとも一部の繊維の間を連結するコーティング膜を含む細胞培養コーティング層を備え、前記細胞培養コーティング層は、機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質から形成された細胞培養基材を提供する。
本発明の一実施例によれば、前記機能性ペプチドは、細胞の付着、移動、増殖及び分化のいずれか1つ以上を促進させる機能を有してもよい。
また、前記繊維ウェブは、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選ばれたいずれか一つ以上の成分を含んでもよい。
また、前記ムール貝接着タンパク質は、配列番号1~配列番号14のアミノ酸配列からなる群から選ばれたいずれかのタンパク質または前記群から選ばれた1種以上のアミノ酸配列が連結されたタンパク質であってもよい。
また、前記機能性ペプチドは、RGD配列を含んでもよい。
また、前記機能性ペプチドは、配列番号15~配列番号18のアミノ酸配列からなる群から選ばれたいずれか1つ以上のペプチドまたは前記群から選ばれた1種以上のアミノ酸配列が連結されたペプチドであってもよい。
また、前記繊維ウェブの一面に対向する他面に配置された支持体をさらに含んでもよい。
また、前記繊維ウェブは、平均直径が200~1000nmであり、厚さが2~20μmであり、坪量が3~20g/m2であってもよい。
また、本発明は、(1)カルボジイミド系カップリング剤及び反応剤を含む活性溶液と機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質を準備する段階、(2)準備された活性溶液と細胞培養用融合タンパク質を混合して細胞培養コーティング組成物を製造する段階、及び(3)細胞培養コーティング組成物を繊維ウェブの表面に処理して細胞培養コーティング層を形成させる段階を含む細胞培養基材の製造方法を提供する。
本発明の一実施例によれば、前記カルボジイミド系カップリング剤は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)またはN,N'-ジシクロヘキシルカルボイミド(DCC)であり、前記反応剤は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)またはN-ヒドロキシスルホスクシンイミド(Sulfo-NHS)であってもよい。
また、前記カルボジイミド系カップリング剤と反応剤は、1:0.1~10重量比で活性溶液に含まれ、前記細胞培養コーティング組成物は、細胞培養用融合タンパク質100重量部に対して、カルボジイミド系カップリング剤が1~100重量部で混合されてもよい。
また、本発明は、被コーティング基材である多孔性細胞培養基材の表面の少なくとも一部の気孔を閉塞するコーティング膜を形成する細胞培養コーティング組成物であって、前記細胞培養コーティング組成物は、機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質、カルボジイミド系カップリング剤及び反応剤を含むことを特徴とする多孔性細胞培養基材用細胞培養コーティング組成物を提供する。
以下、本発明で用いた用語について説明する。
本発明の「細胞外基質(extracellular matrix、ECM)」とは、細胞の外部を囲む基質で、細胞と細胞の間を占めており、主にタンパク質と多糖類からなる網状構造を有することを意味するものである。
本発明による細胞培養基材は、細胞培養に役立つタンパク質のような物質を含有するにもかかわらず、常温で数年間長期保存が可能であるので、保存安定性が非常に優れており、また、細胞培養に役立つ物質の活性は、そのまま維持されるか、または最小限の低下のみが発生して初度設計した水準で細胞を培養させることができる。また、細胞培養基材への細胞付着性に優れており、付着した細胞を安定的に増殖させることができるため、高い細胞培養効率を達成できることによって、幹細胞など各種の細胞培養に広く応用できる。
図1は、本発明の一実施例による細胞培養基材の表面SEM写真である。 図2は、本発明の一実施例による細胞培養基材の表面SEM写真である。 図3は、本発明の比較例による細胞培養基材の表面SEM写真及び細胞培養結果に対する写真である。 図4は、本発明の比較例による細胞培養基材の表面SEM写真及び細胞培養結果に対する写真である。 図5は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を培養した後、2種(Nanog、Sox2)のマーカーの発現程度を撮影した写真である。 図6は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を培養した後、2種(Nanog、Sox2)のマーカーの発現程度を撮影した写真である。 図7は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を培養した後、2種(Nanog、Sox2)のマーカーの発現程度を撮影した写真である。 図8は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を同一の条件で13回継代培養した後、継代1と継代13における培養細胞を細胞染色法で染色して培養の有無を撮影した写真である。 図9は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を培養した後、時間別培養細胞数を吸光度を通じて細胞成長を測定したグラフである。 図10は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を継代培養した後、継代3と継代9におけるOct4マーカーを発現する培養細胞を撮影した写真である。 図11は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を培養した後、フローサイトメーターを用いてOct4マーカーが発現する細胞の発現程度を評価したグラフである。 図12は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を培養した後、フローサイトメーターを用いてOct4マーカーが発現する細胞の発現程度を評価したグラフである。 図13は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材について、1~3ヶ月間加速化実験を行った後、誘導多能性幹細胞を培養した写真である。 図14は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材について、1~3ヶ月間加速化実験を行った後、誘導多能性幹細胞を培養した写真である。 図15は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材について、1~3ヶ月間加速化実験を行った後、誘導多能性幹細胞を培養した写真である。 図16は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材について、1~3ヶ月間加速化実験を行った後、誘導多能性幹細胞を培養した写真である。 図17は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材について、1~3ヶ月間加速化実験を行った後、誘導多能性幹細胞を培養した写真である。 図18は、本発明の一実施例及び比較例による細胞培養基材について、1~3ヶ月間加速化実験を行った後、誘導多能性幹細胞を培養した写真である。
以下、添付の図面を参考して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現されてもよく、ここで説明する実施例に限定されない。
本発明の一実施例による細胞培養基材は、繊維が集積された繊維ウェブ及び細胞培養コーティング層を備える。
前記繊維ウェブは、播種された細胞が安着して増殖できる支持体として後述する細胞培養コーティング層に対する被コーティング面を提供する。前記繊維ウェブは、繊維が集積された3次元ネットワーク構造を有し、具体的にそれぞれの繊維が独立してフォールディング及び/又は繊維の長さ方向の定めなしにそれぞれ配列され、これらが積層されることにより構造的にさらに複雑であり、多様な3次元ネットワーク構造を形成できる。このように複雑かつ多様に形成された内部構造は、細胞の増殖に必要な栄養分を含む培養溶液の流路として機能し、繊維ウェブの内部に位置する細胞まで容易に栄養分を供給させることができ、細胞死滅を防止し、細胞増殖を向上させることができる。
このとき、一本鎖の繊維内の互いに異なる表面間及び/又は互いに異なる繊維の表面間には接着や融着が発生することができ、これを通じて3次元ネットワーク構造が構造的により安定化されることができる。
また、繊維がランダムに配列されて蓄積されて形成された繊維ウェブの表面は、表面モフォロジーによって細胞の立体的培養を誘導できる。表面モフォロジーの一例として、繊維ウェブの表面は平らでなく、凹凸のある表面が形成され、表面粗さが大きくなりうる。繊維ウェブの表面形状が凹凸であるということは、例示的に多数個の凹部及び/又は凸部を含むことにより、細胞の立体的成長効果以外に細胞が凸部の間の空間または凹部の溝により容易かつ堅固に安着できるので、細胞培養シートに安着した後に脱離する細胞の数を顕著に減少させることができるという利点がある。
前記繊維ウェブを形成する繊維は、細胞培養に使用される通常の材質の場合、制限なく使用されてもよい。一例として、前記繊維は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート及びポリカーボネートなどのポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)などのフッ素系化合物、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選ばれたいずれか一つ以上の成分を含んでもよい。ただし、細胞増殖及び回収性をすべて考慮して、繊維はフッ素系化合物を含んでもよく、それらの中でもポリビニリデンフルオライド(PVDF)を含んでもよい。繊維がPVDFである場合、細胞回収特性に優れているだけでなく、培養された細胞が播種時に細胞直径よりも小さく具現するのに有利となりうる。
前記繊維ウェブは、スパンボンド、メルトブローンなどの公知の方法でウェブ状に具現されたものでもよく、電界紡糸を通じて具現されたものでもよい。また、前記繊維ウェブは、平均直径が10nm~1.5μmの繊維から形成され、坪量が1~20g/m2であってもよい。もし、繊維の平均直径が10nm未満の場合、機械的強度に劣り、繊維ウェブの製造が難しいことがある。もし、繊維の平均直径が1.5μmを超える場合、繊維ウェブの密度(坪量)が小さくなり、熱圧着時に繊維ウェブの表面が部分的に溶融したように形成されるおそれがある。また、繊維ウェブモホロジーが細胞培養に有利なトポロジーを具現しにくく、細胞培養効率が減少するおそれがある。また、仮に坪量が1g/m2未満の場合、繊維ウェブの製造時にハンドリングが容易でないおそれがあり、坪量が20g/m2を超える場合、圧着ロールにおいて繊維ウェブが溶融されることがあり、繊維ウェブが後述する別途の支持体であるフィルムと合紙されて細胞培養シートを具現する場合、フィルムに付着しにくいことがある。また、繊維径と繊維ウェブの坪量条件を満たさない場合、細胞培養に適した表面モホロジーの具現が難しくなり、本発明が目的とする水準の細胞培養効率などを達成しにくいことがある。一方、繊維ウェブの表面が細胞培養、特に幹細胞の培養に有利なモホロジーを具現するため、好ましくは、繊維ウェブは、繊維平均直径が200~1000nmであり、厚さが2~10μmであり、坪量が3~7/m2であってもよく、これを通じて細胞培養効率が向上するとともに、培養された細胞が播種時よりも小さい直径を有するように培養できるため、より若く、状態の優れた細胞を培養させるのに有利である。特に厚さが2μm未満の場合、細胞増殖速度が非常に低下するおそれがある。また、厚さが10μmを超える場合、細胞の顕微鏡観察が難しくなり、増殖される細胞の観察が容易ではないこともある。
次に、上述した繊維ウェブ上に備えられる細胞培養コーティング層について説明する。
前記細胞培養コーティング層は、培養される細胞が播種された後に安着及び増殖を向上させることができる細胞接着表面を提供する層である。前記細胞培養コーティング層は、機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質を含んで形成される。
図1を参照して説明すると、前記細胞培養コーティング層は、繊維ウェブの表面に位置する繊維のうち、一部の繊維間の空間を連結するコーティング膜を含む。前記コーティング膜は、繊維ウェブの表面上に所々ランダムに形成されるが、繊維の間を連結するコーティング膜と繊維ウェブの表面に位置する繊維によって形成されるモホロジーは、細胞培養に対してより有利な環境を作ることができる。また、前記コーティング膜が繊維ウェブの一表面をすべて覆わないことによって、培地が内部に流入及び流出が可能であり、これを通じて繊維ウェブの表面に安着した細胞に3次元で培地を供給できるため、細胞培養に上昇した効果を得るのに有利である。
また、前記細胞培養コーティング層は、コーティング膜だけでなく、繊維ウェブを形成する繊維の一部または全部の外面の少なくとも一部の表面上に形成された被覆層を含んでもよい。また、前記コーティング膜は、繊維ウェブの表面に位置する繊維だけでなく、繊維ウェブの内部に位置する繊維や、繊維ウェブの他面に位置する繊維のうち、一部の繊維の間の空間を連結するように形成されてもよい。
細胞培養融合タンパク質を介して形成され、繊維の間の空間を連結するコーティング膜を含む細胞培養コーティング層は、細胞培養効率において非常に優れており、また、常温でも数年以上保管する場合でも、細胞培養コーティング層を形成する細胞培養用融合タンパク質が分解、変性されることによってもたらされる機能性ペプチドの活性の減少が防止または最小化されることによって保存安定性が非常に向上するという利点がある。また、前記細胞培養コーティング層は、ポリマー系の接着成分、例えば、アクリル系接着成分を使用せず、機能性ペプチドを細胞培養基材の表面に導入することにより細胞毒性がなく、細胞をより生体親和的に培養させることができるという利点がある。
前記細胞培養コーティング層は、機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質によって形成されるが、前記機能性ペプチドは、細胞培養に役立つ機能を持つ物質で、具体的には、細胞の付着、移動、増殖及び分化のいずれか一つ以上を促進させる機能を果たす物質であってもよい。前記機能性ペプチドは、このような機能を果たす公知のペプチドの場合に制限なく使用されてもよい。これに対する非制限的な例として、アドレノメドリン(Adrenomedullin)、アンギオポイエチン(Angiopoietin)、骨形成タンパク質(BMP)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、表皮成長因子(EGF)、エリスロポエチン(Erythropoietin)、線維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factor)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、顆粒球コロニー形成刺激因子(Granulocyte colony-stimulating factor、G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(Granulocyte macrophage colony-stimulating factor、GM-CSF)、成長分化因子-9(Growth differentiation factor-9、GDF9)、肝細胞成長因子(HGF)、肝癌由来増殖因子(Hepatoma-derived growth factor、HDGF)、インスリン様成長因子(Insulin-like growth factor、IGF)、表皮細胞増殖因子(Keratinocyte growth factor、KGF)、移動刺激因子(Migration-stimulating factor、MSF)、ミオスタチン(Myostatin、GDF-8)、神経成長因子(Nerve growth factor、NGF)、血小板由来成長因子(Platelet-derived growth factor、PDGF)、トロンボポエチン(Thrombopoietin、TPO)、T-細胞成長因子(T-cell growth factor、TCGF)、ニューロフィリン、形質転換成長因子-α(TGF-α)、形質転換成長因子-β(TGF-β)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6及びIL-7からなる群から選ばれたいずれか1つ以上の成長因子(GF)に含まれる所定のアミノ酸配列を含んでもよい。または、ヒアルロン酸、ヘパリン硫酸塩、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、ケラタン硫酸塩、アルジン塩、フィブリン、フィブリノーゲン、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、カドヘリン及びラミニンからなる群から選ばれたいずれか一つ以上の細胞外基質(extracellular matrix)に含まれる所定のアミノ酸の配列を含んでもよい。
一例として、前記機能性ペプチドは、アミノ酸配列内にRGD配列を含んでもよい。また、前記機能性ペプチドは、配列番号15~配列番号18のアミノ酸配列からなる群から選ばれたいずれか1つ以上のペプチドまたは前記群から選ばれた1種以上のアミノ酸配列が連結されたペプチドであってもよい。また、前記機能性ペプチドは、ビトロネクチンポリペプチド、コラーゲンポリペプチド、ラミニンポリペプチド、フィブロネクチンポリペプチド、またはそれらの変異体であってもよい。
一方、前記機能性ペプチドは、一例としてアミノ酸数がa~bのペプチドであってもよく、これを通じて長時間常温でコーティング層に含まれた状態で保管される場合にも分解、変性などが最小化または防止されるのにより有利になることがある。
また、前記機能性ペプチドは、ムール貝接着タンパク質に結合されるが、具体的にムール貝接着タンパク質のカルボキシ末端、アミノ末端またはカルボキシ末端とアミノ末端の両端に結合されてもよい。このとき、前記結合は共有結合であり、具体的にアミノ結合であってもよい。一方、機能性ペプチドとムール貝接着タンパク質は、公知の方法により結合させることができ、一例として、大腸菌を用いた組換えタンパク質生産法により製造してもよい。一方、ムール貝接着タンパク質と機能性ペプチド間に直接共有結合により結合されてもよいが、これに制限されるものではなく、架橋剤などの所定の物質を介してムール貝接着タンパク質と機能性ペプチド間に間接的に結合できることを明らかにしておく。
機能性ペプチドをムール貝接着タンパク質に結合させる理由は、ムール貝接着タンパク質が機能性ペプチドを繊維ウェブの表面に付着特性が良く固定させるのに有利であり、上述したように、ポリマー基盤の接着成分と対比して培養細胞に加えることができる毒性がなく、生体適合性に優れているためである。また、播種された細胞との付着特性が良く、播種された細胞が細胞付着の表面に安着された後、脱離を最小化できるという利点がある。
前記ムール貝接着タンパク質は、ムール貝に由来した接着タンパク質であって、ムール貝接着タンパク質と通称される公知の接着タンパク質の場合、制限なく使用されてもよい。好ましくは、前記ムール貝接着タンパク質は、配列番号1~配列番号14のアミノ酸配列からなる群から選ばれたいずれか一つのタンパク質または前記群から選ばれた1種以上のアミノ酸配列が連結されたタンパク質であってもよく、一例として配列番号13番で表されるムール貝接着タンパク質であってもよい。
一方、本発明の一実施例による細胞培養基材は、前記繊維ウェブの一面に対向する他面に配置された支持体をさらに含んでもよい。前記支持体は、繊維ウェブの機械的強度を補完する部材の場合、制限なく使用されてもよい。一例として、前記支持体は、織物、編物、不織布またはフィルムであってもよい。また、支持体の材質は、細胞培養に影響のない材質が好ましく、一例として、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドなどの材質であってもよい。一方、前記支持体と繊維ウェブは、支持体の一部分及び/又は繊維ウェブの一部が溶融による熱融着または別途の接着剤を通じて相互間に付着されてもよい。このとき、接着剤は、細胞培養への影響を最小化できるシリコーン材質の接着剤を使用してもよい。
上述した細胞培養コーティング層が備えられた本発明の一実施例による細胞培養基材は、(1)カルボジイミド系カップリング剤及び反応剤を含む活性溶液と機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質を準備する段階、(2)準備された活性溶液と細胞培養用融合タンパク質を混合して細胞培養コーティング組成物を製造する段階、及び(3)細胞培養コーティング組成物を繊維ウェブの表面に処理して細胞培養コーティング層を形成させる段階を含んで製造されてもよい。
まず、本発明による(1)段階として、カルボジイミド系カップリング剤及び反応剤を含む活性溶液と機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質を準備する段階を行う。
前記活性溶液は、カルボジイミド系カップリング剤と反応剤を含み、溶媒をさらに含んでもよい。活性溶液は、細胞培養用融合タンパク質を繊維ウェブの表面に導入させる物質で、単に細胞培養用融合タンパク質を通常の方法で繊維ウェブの表面に処理した場合と対比して細胞培養コーティング層と細胞培養基材の表面間の付着力を向上させ、繊維間の空間を連結するコーティング膜を形成させることができるという利点がある。
前記カルボジイミド系カップリング剤は、融合タンパク質が互いに結合されるようにするカップリング剤の場合、制限なく使用されてもよく、一例として、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)またはN、N'-ジシクロヘキシルカルボイミド(DCC)であってもよい。
また、前記反応剤は、カルボジイミド系カップリング剤とカップリングされた状態の融合タンパク質が水和されることを防止し、融合タンパク質が互いに結合される効率を増加させるために備えられるもので、一例として、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(Sulfo-NHS)であってもよい。一方、反応剤として従来知られているN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の場合、本発明が目的とする効果を発現するにあたって容易ではないことがある。
前記活性溶液は、前記カルボジイミド系カップリング剤と反応剤を1:0.1~10重量比で含んでもよい。もし、これらが適切な割合で含まれない場合、本発明が目的とする効果を達成しにくく、具現された細胞培養コーティング層において細胞の付着性が顕著に低下するおそれがある。
また、前記活性溶液は、反応性向上のために酢酸ナトリウムをさらに含んでもよい。このとき、前記酢酸ナトリウムは、カルボジイミド系カップリング剤100重量部に対して1~100重量部で含まれてもよい。
また、前記活性溶液は、溶媒をさらに含んでもよいが、前記溶媒は、水または有機溶媒であってもよく、一例として水であってもよい。
前記活性溶液は、製造する方法が特に限定されるものではないが、一例として酢酸ナトリウム溶液をカルボジイミド系カップリング剤溶液と反応剤溶液にそれぞれ投入して混合して2種の溶液を製造した後、2種の溶液を適切な割合で混合した後、20~50分間反応を誘導し、以後、28~35℃の恒温培養器で再び25~40分間反応させて最終活性溶液が製造されてもよい。
次に、本発明による(2)段階として、準備された活性溶液と細胞培養用融合タンパク質を混合して細胞培養コーティング組成物を製造する段階を行う。
このとき、前記細胞培養用融合タンパク質と活性溶液は、細胞培養用融合タンパク質100重量部に対してカルボジイミド系カップリング剤が1~100重量部含まれるように含量を調節して混合されてもよい。もし、カルボジイミド系カップリング剤が1重量部未満の場合、細胞が付着されないか、または分化されることがあり、100重量部を超える場合、細胞が付着後に脱離しうるため、細胞を安定的に培養しにくいことがある。
また、準備された活性溶液と細胞培養用融合タンパク質は、混合後に0超過~2時間反応を誘導した後、最終細胞培養用コーティング組成物として製造されてもよい。
次に、本発明による(3)段階として、細胞培養コーティング組成物を繊維ウェブの表面に処理して細胞培養コーティング層を形成させる段階を行う。
準備された細胞培養コーティング組成物を繊維ウェブの表面に処理する方法は、通常のコーティング方法によるものであってもよく、一例としてピペットエイドを用いた分注や含浸によるものであってもよい。細胞培養コーティング組成物を表面に処理した後、25~32℃の恒温培養器で30分~2時間反応を誘導して細胞培養コーティング層を形成させることができる。
以後、洗浄工程をさらに経ることができ、一例として、3次蒸留水を通じて3~6分ずつ計2~5回洗浄工程を繰り返して行ってもよい。洗浄工程を経た後には、空気中で自然乾燥させることができ、これを通じて細胞培養基材を製造してもよい。
一方、最終製造された細胞培養基材において、細胞培養コーティング層は、乾燥工程を経ることによって水分率が5%未満であってもよいが、このような特徴は、本発明による融合タンパク質を使用することによって発現される効果である。すなわち、細胞培養に役立つ商用化された物質は、繊維ウェブに処理した後、長期間保存できないため、通常、繊維ウェブに処理した後、数日以内に使用するしかなく、これによってコーティング後に乾燥工程を経ないことが一般的である。これに対して本発明による細胞培養基材は、数年間常温で長期保管が可能であり、結果として細胞培養コーティング層内に残存する溶媒や、洗浄工程による洗浄水は、すべて蒸発することによって非常に少ない水分率を発現しうる。
以下の表1-1及び表1-2は、上述したムール貝接着タンパク質と機能性ペプチドに対するアミノ酸配列を示す。
Figure 2023508478000002
Figure 2023508478000003
下記の実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、下記の実施例は、本発明の範囲を制限するものではなく、これは本発明の理解を助けるためのものと解釈されなければならない。
<実施例1>
滅菌処理された平均直径が260nmのPVDF繊維から形成され、坪量が4.5g/m2、厚さが5μmの繊維ウェブを準備した。以後、下記の準備例で製造された細胞培養コーティング組成物をピペットエイドを用いて繊維ウェブの表面に分注した後、30℃恒温培養器で1時間反応して繊維ウェブの表面に細胞培養コーティング層を形成させた。以後、3次蒸留水を用いて5分ずつ3回洗浄した後、クリーンベンチ内でプレート蓋を開けたまま、空気中で乾燥させて細胞培養基材を製造した。
*準備例-細胞培養コーティング組成物の製造
細胞培養用融合タンパク質は、配列番号13のムール貝接着タンパク質のカルボキシ末端に配列番号19の機能性ペプチドをアミノ末端に結合させたものを準備した。このとき、融合タンパク質は、大腸菌を用いた組換えタンパク質生産法により製造した。
一方、活性溶液を準備するため、3次蒸留水に溶解したNaOAc、NaHCO3、2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid溶液を先に製造した後、EDCとSulfo-NHS試薬がそれぞれ分注されているマイクロチューブにそれぞれ入れて、EDC溶液とSulfo-NHSを製造した。
一方、活性溶液を準備するため、3次蒸留水に溶解したNaOAc、NaHCO3、2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid溶液を先に製造した後、EDCとSulfo-NHS試薬がそれぞれ分注されているマイクロチューブにそれぞれ入れて、EDC溶液とSulfo-NHSを製造した。
細胞培養コーティング組成物を製造するためにコニカルチューブにEDC溶液を投入した後、Sulfo-NHS溶液を入れて攪拌しつつ、準備された活性溶液に細胞培養用融合タンパク質を投入した後、攪拌して細胞培養コーティング組成物を製造した。このとき、細胞培養コーティング組成物は、細胞培養用融合タンパク質100重量部に対してEDCが1重量部含まれるようにし、EDCとSulfo-NHSは、1:2重量比になるように混合し、コーティング組成物に含まれるNaOAcは、EDC100重量部に対して100重量部になるように含めた。このとき、細胞培養コーティング組成物において細胞培養用融合タンパク質の濃度は、0.05mg/mlであった。
<実施例2>
実施例1と同様に実施して製造するが、繊維ウェブを平均直径が500nmのPVDF繊維で形成し、坪量が5.8g/m2、厚さが3μmの繊維ウェブを用いて細胞培養基材を製造した。
<比較例1>
実施例1と同様に実施して製造するが、細胞培養コーティング組成物でコーティングしない繊維ウェブを細胞培養基材として使用した。
<比較例2>
実施例2と同様に実施して製造するが、細胞培養コーティング組成物でコーティングしない繊維ウェブを細胞培養基材として使用した。
<実験例1>
実施例1~2及び比較例1~2による細胞培養基材の表面に対するSEM写真を撮影し、これを図1~3に示した。
撮影結果の実施例1~2では、細胞培養コーティング層が表面に位置する繊維のうち一部の繊維間を連結するコーティング膜を含むことが観察できる。
<比較例3~4>
比較例1による細胞培養基材に細胞培養用コーティング組成物として市販中のMatrigel、Vitronectin-XFTMを当該コーティング組成物メーカーのプロトコルに基づいてコーティングさせて細胞培養基材を製造した。
<実験例2>
実施例1、比較例3及び4による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を同量を分注した後、 幹細胞培養培地(StemMACSTM)条件で培養後、DAPI、NANOG、SOX2、Mergeマーカーの発現の有無を観察し、その結果を図5(実施例1)、図6(比較例3)、図7(比較例4)に示した。
図5~図7から確認できるように、実施例1による細胞培養基材は、市販中のMatrigel、Vitronectin-XFTMと対比して細胞培養性能が類似しており、NANOG、SOX2などの未分化マーカーがよく発現されたことが分かる。
<実験例3>
実施例1及び比較例3による細胞培養基材に誘導多能性幹細胞を同量分注した後、幹細胞培養培地(StemMACSTM)条件で培養後、培養された細胞の継代1(P1)と継代13(P13)のモホロジーを細胞染色法で細胞培養の有無を確認して図8に示した。また、時間別増殖率を吸光度分析を通じて確認し、その結果を図9に示した。また、継代3(P3)及び継代9(P9)に対するOCT4マーカーの発現を免疫細胞化学法(Immunocytochemistry)で確認して評価した写真をそれぞれ図10に示した。また、誘導多能性幹細胞を幹細胞培養培地(StemMACSTM)条件で5日間培養後、Oct4マーカーに対する発現程度を評価し、その結果を図11(実施例1)及び図12(比較例3)に示した。
図8から確認できるように、実施例1による細胞培養基材は、市販中の細胞培養コーティング組成物を用いた細胞培養基材である比較例3と対比して継代1と継代13から分かるように、長期培養したときにもモホロジーにおいて差がないことが分かる。
また、図9から確認できるように、実施例1に対するダブリングタイムが29.2時間、比較例3に対するダブリングタイムが29.0時間で細胞培養効率においても類似した性能を発現することが分かる。
また、図10から確認できるように、実施例1による細胞培養基材は、市販中の細胞培養コーティング組成物を用いた細胞培養基材である比較例3と対比して長期培養した時にも継代3と継代9でOct4発現が良く、細胞培養性能が類似していることが分かる。
また、図11及び図12から分かるように、むしろ実施例1による細胞培養基材を通じて培養された場合、細胞特異的マーカーであるOct4の発現がより優れていることが分かる。
<比較例5>
比較例3と同様に実施して製造するが、比較例4の繊維ウェブに変更して細胞培養基材を製造した。
<比較例6>
比較例4と同様に実施して製造するが、比較例4の繊維ウェブに変更して細胞培養基材を製造した。
<実験例4>
実施例1、実施例2、比較例3~6による細胞培養基材を下記の方法で医療機器有効期間設定及び安定性評価によるガイドラインに従って加速老化試験を行った後、誘導多能性幹細胞を培養させて細胞培養基材の保存安定性を評価した。
具体的に、細胞培養基材をリアルタイムの老化を短縮した時間内で再現するため、上昇した温度(60℃)で細胞培養基材を0ヶ月、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月保管し、それぞれの細胞培養基材の老化期間を0年、1年、2年、3年になるように準備した。
実施例及び比較例別にそれぞれ準備された3つの誘導多能性幹細胞を同量で分注した後、幹細胞培養培地(StemMACSTM)を用いて5日間培養後、細胞染色法で染色して細胞培養の有無を確認し、光学顕微鏡で撮影して細胞培養の結果写真を図13(実施例1)、図14(比較例3)、図15(比較例4)、図16(実施例2)、図17(比較例5)、図18(比較例6)に示した。
図13~図18から確認できるように、実施例1及び実施例2による細胞培養基材の場合、老化期間が1年、2年、3年となるように加速化させた場合にもすべて細胞培養が可能であり、培養性能も優れていることが分かる。しかし、比較例3~比較例6による細胞培養基材の場合、すべて老化期間が1年~3年になるように加速化させた試片で細胞が培養されず、これを通じて実施例1による細胞培養基材の保存安定性及び細胞培養性能が非常に優れていることが分かる。
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明の思想は、本明細書に提示される実施例に制限されるものではなく、本発明の思想を理解する当業者は、同一の思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などによって他の実施例を容易に提案できるが、これも本発明の思想の範囲内にあると言える。

Claims (12)

  1. 繊維が集積された繊維ウェブと、
    前記繊維ウェブの一表面に位置する繊維の少なくとも一部の繊維の間を連結するコーティング膜を含む細胞培養コーティング層を備え、前記細胞培養コーティング層は、機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質から形成された、細胞培養基材。
  2. 前記機能性ペプチドは、細胞の付着、移動、増殖及び分化のいずれか1つ以上を促進させる機能を有することを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養基材。
  3. 前記繊維ウェブは、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選ばれたいずれか一つ以上の成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養基材。
  4. 前記ムール貝接着タンパク質は、配列番号1~配列番号14のアミノ酸配列からなる群から選ばれたいずれかのタンパク質または前記群から選ばれた1種以上のアミノ酸配列が連結されたタンパク質であることを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養基材。
  5. 前記機能性ペプチドは、RGD配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養基材。
  6. 前記機能性ペプチドは、配列番号15~配列番号18のアミノ酸配列からなる群から選ばれたいずれか1つ以上のペプチドまたは前記群から選ばれた1種以上のアミノ酸配列が連結されたペプチドであることを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養基材。
  7. 前記繊維ウェブの一面に対向する他面に配置された支持体をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養基材。
  8. 前記繊維ウェブは、平均直径が200~1000nmであり、厚さが2~20μmであり、坪量が3~20g/m2であることを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養基材。
  9. (1)カルボジイミド系カップリング剤及び反応剤を含む活性溶液と機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質を準備する段階と、
    (2)準備された活性溶液と細胞培養用融合タンパク質を混合して細胞培養コーティング組成物を製造する段階と、
    (3)細胞培養コーティング組成物を繊維ウェブの表面に処理して細胞培養コーティング層を形成させる段階と、を含む細胞培養基材の製造方法。
  10. 前記カルボジイミド系カップリング剤は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC)またはN,N'-ジシクロヘキシルカルボイミド(DCC)であり、前記反応剤は、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(Sulfo-NHS)であることを特徴とする、請求項9に記載の細胞培養基材の製造方法。
  11. 前記カルボジイミド系カップリング剤と反応剤は、1:0.1~10重量比で活性溶液に含まれ、
    前記細胞培養コーティング組成物は、細胞培養用融合タンパク質100重量部に対して、カルボジイミド系カプリング剤が1~100重量部で混合されることを特徴とする請求項9に記載の細胞培養基材の製造方法。
  12. 多孔性細胞培養基材の表面の少なくとも一部の気孔を閉塞するコーティング膜を形成する細胞培養コーティング組成物であって、前記細胞培養コーティング組成物は、機能性ペプチドがムール貝接着タンパク質に結合された細胞培養用融合タンパク質、カルボジイミド系カップリング剤及び反応剤を含むことを特徴とする、多孔性細胞培養基材用細胞培養コーティング組成物。
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