JP2023507846A - プログラニュリン変異体 - Google Patents

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Abstract

プログラニュリン変異体、及びプログラニュリン変異体とFcポリペプチドとを含む融合タンパク質を本明細書において提供する。プログラニュリン関連障害(例えば、前頭側頭型認知症(FTD)などの神経変性疾患)を処置するために、そのようなタンパク質を使用する方法も、本明細書において提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月23日出願の米国特許仮出願第62/953,099号、及び2020年10月14日出願の米国特許仮出願第63/091,819号の優先権を主張し、それらの開示は、あらゆる目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2020年12月14日に作成された前記ASCIIコピーは、102342-003920PC-1219188_SL.txtと名付けられており、サイズは543,756バイトである。
背景
前頭側頭型認知症(FTD)は、認知症を有する全患者の5~10%を占めかつ65歳未満で認知症を発症した患者の10~20%を占める、進行性の神経変性障害である(Rademakers et al.,Nat Rev Neurol.8(8):423-34,2012(非特許文献1))。いくつかの遺伝子がFTDに関連付けられているが、FTDにおいて最も頻繁に変異する遺伝子のうちの1つがGRNであり、これは、ヒト染色体17q21に位置し、システインリッチなタンパク質であるプログラニュリン(PGRN)(プロエピセリン及びアクログラニンとしても公知)をコードする。GRNにおける浸透性の高い変異は、家族性FTDの常染色体優性形態の原因として、2006年に最初に報告された(Baker et al.,Nature.442(7105):916-9,2006(非特許文献2);Cruts et al.,Nature.2006 Aug 24;442(7105):920-4(非特許文献3);Gass et al.,Hum Mol Genet.15(20):2988-3001,2006(非特許文献4))。最近の推定では、GRN変異は、家族歴が陽性であるFTD患者の5~20%、及び孤発性症例の1~5%を占めると示唆されている(Rademakers et al.、前出)。
FTDの原因としてGRN変異が同定された後に、プログラニュリンのレベルの低下及びプログラニュリン機能喪失が、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、及びリソソーム蓄積症が原因である神経変性障害を含む複数の神経変性疾患及び障害に関連付けられている(Petkau and Leavitt.2014.Trends Neurosci 37(7):388-398(非特許文献5))。したがって、プログラニュリン機能の喪失もしくはプログラニュリンのレベルの低下が原因である障害、またはプログラニュリンのレベルの上昇が有益である障害に対処することができる治療を開発する必要がある。
Rademakers et al.,Nat Rev Neurol.8(8):423-34,2012 Baker et al.,Nature.442(7105):916-9,2006 Cruts et al.,Nature.2006 Aug 24;442(7105):920-4 Gass et al.,Hum Mol Genet.15(20):2988-3001,2006 Petkau and Leavitt.2014.Trends Neurosci 37(7):388-398
概要
プログラニュリン変異体、ならびにプログラニュリンまたはその変異体を含む融合タンパク質、ならびに神経変性疾患(例えば、FTD)、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、加齢黄斑変性(AMD)、またはプログラニュリン関連障害を含む、プログラニュリンのレベルの上昇が有益である任意の疾患を処置するためにそのような変異体または融合タンパク質を使用する方法を、本明細書において提供する。本明細書において提供されるプログラニュリン変異体は、野生型プログラニュリンのC末端に改変または付加を有する。本明細書に記載のとおり、プログラニュリン変異体を含有する融合タンパク質は、そのタンパク質がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から組み換え発現され、かつ精製されるときに、野生型プログラニュリンを含有する融合タンパク質と比較して、そのタンパク質のプログラニュリン部分においてC末端切断を受けにくい。
一態様では、本開示は、配列番号2に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列、及び配列番号2の残基574から576に対応する位置におけるXにより定義される配列(ここで、X、X、及びXは、それぞれ独立にアミノ酸であり、合わさってQLLではない)を含むプログラニュリン変異体を特徴とする。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号2に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号2に対して少なくとも98%の同一性(例えば、少なくとも99%)を有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号2に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号2に対して少なくとも98%の同一性(例えば、少なくとも99%)を有する配列を含む。
この態様の一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列:
Figure 2023507846000001
を含み、ここで、Xは合わさってQLLではない。
一部の実施形態では、Xは、R、H、K、D、E、S、T、N、Q、L、F、Y、P、またはVである。一部の実施形態では、Xは、H、K、D、E、S、T、N、Q、G、P、A、Y、V、I、F、L、またはRである。一部の実施形態では、Xは、L、Y、またはPである。
一部の実施形態では、Xは、XIL、XFL、XQL、PXL、QXL、またはVXLである。一部の実施形態では、Xは、XLであり、一部の実施形態では、XL中のXは、A、R、N、D、C、Q、E、G、H、I、K、M、F、P、S、T、W、Y、またはVである。
特定の実施形態では、Xは、PIL、PFL、QQL、VVL、またはVTLである。特定の実施形態では、Xは、PPL、PYL、QQL、QHL、またはQRLである。
別の態様では、本開示は、配列番号2に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列、及び配列番号2の残基576に対応する位置に隣接しかつそのC末端側にあるYQLL(配列番号137)により定義される配列(ここで、Yは、Lであるか、または存在せず、かつYは、Rであるか、または存在しない)を含むプログラニュリン変異体を特徴とする。
一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列:
Figure 2023507846000002
を含む。
一部の実施形態では、YはLである。一部の実施形態では、YはRである。一部の実施形態では、Y及びYは両方とも存在しない。
別の態様では、本開示は、配列番号2に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列、及び配列番号2の残基574から576に対応する位置におけるXにより定義される配列(ここで、X、X、及びXは、それぞれ独立にアミノ酸であり、合わさってQLLではない)を含むプログラニュリン変異体を含むポリペプチドを特徴とする。一部の実施形態では、ポリペプチド中のプログラニュリン変異体は、配列番号2に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、97%、98%、または99%)の同一性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチド中のプログラニュリン変異体は、配列番号2に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、97%、98%、または99%)の同一性を有する配列を含む。
この態様の一部の実施形態では、ポリペプチド中のプログラニュリン変異体は、配列:
Figure 2023507846000003
を含み、ここで、XはQQLではない。
この態様の一部の実施形態では、Xは、R、H、K、D、E、S、T、N、Q、L、F、Y、P、またはVである。一部の実施形態では、Xは、H、K、D、E、S、T、N、Q、G、P、A、Y、V、I、F、L、またはRである。一部の実施形態では、Xは、L、Y、またはPである。
一部の実施形態では、XはXILである。ある特定の実施形態では、XIL中のXは、R、H、K、E、P、N、F、またはY(例えば、R、H、K、E、またはP)であってよい。
一部の実施形態では、XはXFLである。ある特定の実施形態では、XFL中のXは、R、H、K、D、E、S、T、N、Q、L、F、Y、またはPであってよい。
一部の実施形態では、XはXQLである。ある特定の実施形態では、XQL中のXは、R、H、K、D、E、N、L、F、Y、またはQであってよい。
一部の実施形態では、XはPXLである。ある特定の実施形態では、PXL中のXは、H、K、D、E、S、T、N、Q、G、P、A、Y、V、I、F、L、またはR(例えば、H、K、D、E、S、T、N、Q、G、P、A、Y、V、I、またはF)であってよい。
一部の実施形態では、XはQXLである。ある特定の実施形態では、QXL中のXは、R、H、K、D、E、N、P、Y、またはQであってよい。
一部の実施形態では、XはVXLである。ある特定の実施形態では、VXL中のXは、VまたはTであってよい。
一部の実施形態では、XはXLである。ある特定の実施形態では、XL中のXは、A、R、N、D、C、Q、E、G、H、I、K、M、F、P、S、T、W、Y、またはVである。
一部の実施形態では、XはPILである。一部の実施形態では、XはPFLである。一部の実施形態では、XはQQLである。一部の実施形態では、XはVVLである。一部の実施形態では、XはVTLである。一部の実施形態では、XはPPLである。一部の実施形態では、XはPYLである。一部の実施形態では、XはQRLである。一部の実施形態では、XはQHLである。
別の態様では、本開示は、プログラニュリン変異体を含むポリペプチドを特徴とし、ここで、プログラニュリン変異体は、配列番号2に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性、及び配列番号2の残基576に対応する位置に隣接しかつそのC末端側にあるYQLL(配列番号137)により定義される配列を含み、ここで、Yは、Lであるか、または存在せず、かつYは、Rであるか、または存在しない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列:
Figure 2023507846000004
を有するプログラニュリン変異体を含む。
一部の実施形態では、YはLである。一部の実施形態では、YはRである。一部の実施形態では、Y及びYは両方とも存在しない。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドはさらに、プログラニュリン変異体に連結しているFcポリペプチドを含む。FcポリペプチドのN末端またはC末端が、プログラニュリン変異体に連結していてよい。一部の実施形態では、Fcポリペプチドは、ペプチド結合により、またはポリペプチドリンカーによりプログラニュリン変異体に連結している。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、1~50(例えば、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~50、10~50、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50、1、5、10、15、20、25、30、35、40、または45)アミノ酸長である。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、柔軟なポリペプチドリンカー、例えば、グリシンリッチなリンカーである。ある特定の実施形態では、グリシンリッチなリンカーは、GS(配列番号90)または(GS)(配列番号91)である。
ある特定の実施形態では、Fcポリペプチドは、配列番号64~67からなる群から選択される配列を含む。ある特定の実施形態では、Fcポリペプチドは、トランスフェリン受容体(TfR;すなわち、TfR結合Fcポリペプチド)に特異的に結合する改変Fcポリペプチドである。一部の実施形態では、Fcポリペプチド(例えば、TfR結合Fcポリペプチド)は、配列番号68~87及び129~132(例えば、配列番号70、75、80、85、及び129~132)からなる群から選択される配列を含む。
特定の実施形態では、Fcポリペプチド(例えば、TfR結合Fcポリペプチド)は、配列番号70、75、80、85、及び129~132から選択される配列を含む。
別の態様では、本開示は、(a)本明細書に記載のプログラニュリン変異体;(b)(a)のプログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチド;及び(c)第1のFcポリペプチドと共にFcポリペプチド二量体を形成する第2のFcポリペプチドを含む融合タンパク質を特徴とする。この態様の一部の実施形態では、第2のFcポリペプチドはまた、野生型プログラニュリンまたは本明細書に記載のプログラニュリン変異体(すなわち、第2のプログラニュリンポリペプチド)に連結している。第1のFcポリペプチドに連結しているプログラニュリン変異体及び第2のFcポリペプチドに連結しているプログラニュリン変異体は、同じであっても、または異なってもよい。
一部の実施形態では、第1のFcポリペプチドは、ペプチド結合により、またはポリペプチドリンカーにより、プログラニュリン変異体に連結しており、かつ/または第2のFcポリペプチドは、ペプチド結合により、またはポリペプチドリンカーにより、プログラニュリン変異体に連結している。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、1~50(例えば、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~50、10~50、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50、1、5、10、15、20、25、30、35、40、または45)アミノ酸長である。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、柔軟なポリペプチドリンカー、例えば、グリシンリッチなリンカーである。ある特定の実施形態では、グリシンリッチなリンカーは、GS(配列番号90)または(GS)(配列番号91)である。
この態様の一部の実施形態では、第1のFcポリペプチドのC末端は、プログラニュリンのN末端に連結しており、かつ/または第2のFcポリペプチドのC末端は、プログラニュリン変異体のN末端に連結している。
一部の実施形態では、第1のFcポリペプチドまたは第2のFcポリペプチドは、トランスフェリン受容体に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、第1のFcポリペプチドまたは第2のFcポリペプチドは独立に、配列番号68~87及び129~132からなる群から選択される配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のFcポリペプチドまたは第2のFcポリペプチドは独立に、配列番号70、75、80、85、及び129~132から選択される配列を含む。
一部の実施形態では、第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドはそれぞれ、ヘテロ二量体化を促進する改変を含む。例えば、第1のFcポリペプチドは、EUナンバリングによる、T366S、L368A、及びY407V置換を含み、かつ第2のFcポリペプチドは、T366W置換を含む。一部の実施形態では、第1のFcポリペプチドは、EUナンバリングによる、T366W置換を含み、かつ第2のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407V置換を含む。
一部の実施形態では、第1のFcポリペプチド及び/または第2のFcポリペプチドは独立に、エフェクター機能を低下させる改変を含む。ある特定の実施形態では、エフェクター機能を低下させる改変は、EUナンバリングによる、L234A及びL235A置換である。
一部の実施形態では、第1のFcポリペプチドは、配列番号64~67からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、第2のFcポリペプチドは、配列番号68~87及び129~132からなる群から選択される配列(例えば、配列番号70、75、80、85、及び129~132)を含む。
この態様の一部の実施形態では、第1のFcポリペプチドは、EUナンバリングによる、T366S、L368A、及びY407V置換ならびにL234A及びL235A置換を含み、かつ第2のFcポリペプチドは、T366W置換ならびにL234A及びL235A置換を含む。一部の実施形態では、第1のFcポリペプチドは、EUナンバリングによる、T366W置換ならびにL234A及びL235A置換を含み、かつ第2のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407V置換ならびにL234A及びL235A置換を含む。
この態様の一部の実施形態では、ヒンジ領域またはその一部が、第1のFcポリペプチド及び/または第2のFcポリペプチドに連結している。
一部の実施形態では、融合タンパク質のソルチリン結合についてのKは、約100nM未満(例えば、約95nM、90nM、85nM、80nM、75nM、70nM、65nM、60nM、55nM、50nM、45nM、または40nM未満)である。一部の実施形態では、融合タンパク質のソルチリン結合についてのKは、第1のポリペプチド中に配列番号2を含む融合タンパク質と比べて、ソルチリン結合の10倍未満の低下を示す。一部の実施形態では、融合タンパク質のソルチリン結合についてのKは、第1のポリペプチドにおいて配列番号2を含む融合タンパク質と比べて、ソルチリン結合の5倍未満の低下を示す。
一部の実施形態では、融合タンパク質のソルチリン結合についてのEC50は、約25nM未満(例えば、約20nM、15nM、10nM、5nM、4nM、3nM、2.5nM、2nM、1.5nM、または1nM未満)である。特定の実施形態では、融合タンパク質のソルチリン結合についてのEC50は、第1のポリペプチド中に配列番号2を含む融合タンパク質と比べて、ソルチリン結合の10倍未満の低下を示す。ある特定の実施形態では、EC50は、本明細書に記載のとおりの(例えば、実施例4に記載のとおりの)ELISAにより測定される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質ソルチリン結合についてのEC50は、基準融合タンパク質と比べて、ソルチリン結合の10倍未満の低下を示し、ここで、基準融合タンパク質は、(i)配列番号2を含む第1のポリペプチド及び(ii)第1のFcポリペプチドと共にFcポリペプチド二量体を形成する第2のFcポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、融合タンパク質のソルチリン結合についてのEC50は、基準融合タンパク質と比べて、ソルチリン結合の10倍未満の低下を示し、ここで、基準融合タンパク質は、(i)配列番号108を含む第1のポリペプチド及び(ii)第1のFcポリペプチドと共にFcポリペプチド二量体を形成する第2のFcポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、基準融合タンパク質をHEK細胞において生成する。一部の実施形態では、基準融合タンパク質を、実質的に本明細書に記載のとおりに(例えば、実施例1に記載のとおりに)精製する。
一部の実施形態では、融合タンパク質をチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において生成する。特定の実施形態では、融合タンパク質の50%超(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%超)は、融合タンパク質のプログラニュリン変異体部分のC末端で切断されない。一部の実施形態では、融合タンパク質を、プロテインAクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用カラムクロマトグラフィー、及び透析からなる群から選択される1つまたは複数の方法により、融合タンパク質発現細胞を含む細胞培養培地から精製する。一部の実施形態では、融合タンパク質を、実質的に本明細書に記載とおりに(例えば、実施例1に記載のとおりに)精製する。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のプログラニュリン変異体または融合タンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を特徴とする。
別の態様では、本開示は、複数の本明細書に記載の融合タンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を特徴とする。一部の実施形態では、複数の融合タンパク質のうちの50%超(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%超)が、融合タンパク質のプログラニュリン変異体におけるインタクトなC末端を含む。
別の態様では、本開示は、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、AMD、またはプログラニュリン関連障害を有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載のプログラニュリン変異体、本明細書に記載の融合タンパク質、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む前記方法を特徴とする。特定の実施形態では、対象は神経変性疾患を有する。
別の態様では、本開示は、対象においてプログラニュリンまたはその変異体の量を増加させる方法であって、本明細書に記載のプログラニュリン変異体、本明細書に記載の融合タンパク質、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む前記方法を特徴とする。ある特定の実施形態では、対象は、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、AMD、またはプログラニュリン関連障害を有する。特定の実施形態では、対象は神経変性疾患を有する。
別の態様では、本開示は、対象においてカテプシンD活性を低下させる方法であって、本明細書に記載のプログラニュリン変異体、本明細書に記載の融合タンパク質、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む前記方法を特徴とする。ある特定の実施形態では、対象は、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、AMD、またはプログラニュリン関連障害を有する。特定の実施形態では、対象は神経変性疾患を有する。
別の態様では、本開示は、対象においてリソソーム分解を増加させるか、またはリソソーム機能を改善する方法であって、本明細書に記載のプログラニュリン変異体、本明細書に記載の融合タンパク質、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む前記方法を特徴とする。ある特定の実施形態では、対象は、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、AMD、またはプログラニュリン関連障害を有する。特定の実施形態では、対象は神経変性疾患を有する。
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、神経変性疾患は、前頭側頭型認知症(FTD)、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、ニーマン・ピック病A型(NPA)、ニーマン・ピック病B型(NPB)、ニーマン・ピック病C型(NPC)、C9ORF72関連筋萎縮性側索硬化症(ALS)/FTD、孤発性ALS、アルツハイマー病(AD)、ゴーシェ病、またはパーキンソン病である。ある特定の実施形態では、神経変性疾患はFTDである。
実施形態は、FTDの処置を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書に記載のプログラニュリン変異体または融合タンパク質を対象に投与することを含む前記方法にも関する。一部の実施形態では、FTDはC9ORF72関連FTDである。
前述の方法のいずれかの一部の実施形態では、対象は、プログラニュリンをコードする遺伝子に変異を有する。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のプログラニュリン変異体またはポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを特徴とする。別の態様では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むベクターを特徴とする。別の態様では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはベクターを含む宿主細胞を特徴とする。一部の実施形態では、宿主細胞はさらに、第2のFcポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、第2のFcポリペプチドは、配列番号61及び64~87のいずれか1つから選択される配列を有する。別の態様では、本開示は、ポリペプチドを生成するための方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドが発現される条件下で培養することを含む前記方法を特徴とする。
別の態様では、本明細書に記載の疾患または障害を処置するために、化合物を評価する、または本明細書に記載のプログラニュリン変異体もしくは融合タンパク質、またはその医薬組成物もしくは投薬レジメンに対する対象の応答をモニタリングするための方法であって、(a)プログラニュリン関連障害を有する対象からの試験試料における1種または複数のビス(モノアシルグリセロ)ホスファート(BMP)種及び/またはグルコシルスフィンゴシン(GlcSph)の存在量を測定することであって、その際、試験試料または対象が、化合物またはその医薬組成物で処置されている(例えば、本明細書に記載の融合タンパク質で処置されている)、前記測定すること;(b)(a)において測定された1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphと、1種または複数の基準値との間の存在量の差異を比較すること;ならびに(c)比較から、化合物、その医薬組成物、または投薬レジメン(例えば、本明細書に記載の融合タンパク質)が疾患または障害を処置するために1種または複数のBMP種レベル及び/またはGlcSphレベルを改善するか否かを決定することを含む前記方法を提供する。
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法はさらに、別の試験試料または対象を別の化合物で処置すること、及び1種または複数のBMP種レベル及び/またはGlcSphレベルを改善する候補化合物を選択することを含む。
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法はさらに、(d)試験試料または対象に対する化合物(例えば、本明細書に記載の融合タンパク質)の投与の量または頻度を維持する、または調節すること;及び(e)化合物を試験試料または対象に投与することを含む。
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法はさらに、プログラニュリン関連障害を処置するために、対象に、本明細書に記載のプログラニュリン変異体を投与して、1種または複数のBMP種レベル及び/またはGlcSphレベルを改善することを含む。一部の実施形態では、プログラニュリン関連障害の1つまたは複数の徴候または症状のうちの少なくとも1つが、処置後に寛解される。
一部の実施形態では、処置は、本明細書に記載の融合タンパク質を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、処置は、化合物のライブラリを複数の対象または試験試料に投与することを含む。
一部の実施形態では、1種または複数のBMP種の存在量及びGlcSphの存在量の両方を対象からの同じ試験試料から測定することができる。他の実施形態では、2つの試験試料(例えば、同じ時間に、または異なる時間に採取)を対象から採取することができ、その際、一方の試験試料は、1種または複数のBMP種の存在量を測定するために使用することでき、他方の試験試料は、GlcSphの存在量を測定するために使用することができる。2つの試験試料は、対象の同じ体液、細胞、または組織(例えば、全血、血漿、細胞、組織、血清、脳脊髄液、間質液、痰、尿、またはリンパ液)から採取することができる。他の実施形態では、2つの試験試料は、対象の異なる体液、細胞、または組織から採取することができ、例えば、一方の試料は血漿であってよく、他方の試料は脳組織であってよい。
一部の実施形態では、基準値は、基準対象または基準対象の集団(例えば、平均値)から得られた基準試料において測定される。一部の実施形態では、基準値は、基準試料で測定された1種または複数のBMP種の存在量である。一部の実施形態では、基準値は、基準試料において測定されたGlcSphの存在量である。一部の実施形態では、基準試料は、試験試料と同じ種類の細胞、組織、または体液である。一部の実施形態では、異なる種類の細胞、組織、または体液からの少なくとも2つの基準値を測定する。
一部の実施形態では、基準試料は、健康な対照である。一部の実施形態では、基準対象または基準対象の集団は、プログラニュリン関連障害またはプログラニュリンのレベルの低下を有さない。特定の実施形態では、基準対象または基準対象の集団は、そのようないずれの徴候または症状も有さない。
一部の実施形態では、BMP種レベルが、健康な対照またはプログラニュリン関連障害に関連しない対照と比較して、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象の骨髄細胞からインビトロで得られた骨髄由来マクロファージ(BMDM)では上昇している。
一部の実施形態では、BMP種レベルが、健康な対照またはプログラニュリン関連障害に関連しない対照と比較して、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象の肝臓、脳、脳脊髄液、血漿、または尿では低下している。
一部の実施形態では、GlcSphレベルが、健康な対照またはプログラニュリン関連障害に関連しない対照と比較して、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象の例えば、全血、血漿、細胞、組織、血清、脳脊髄液、間質液、痰、尿、リンパ液、またはそれらの組合せでは上昇している。特定の実施形態では、GlcSphレベルの上昇を、対象の血漿において見い出すことができる。
一部の実施形態では、GlcSphレベルが、健康な対照またはプログラニュリン関連障害に関連しない対照と比較して、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象の脳では、例えば、脳の前頭葉及び/または側頭葉では上昇している。特定の実施形態では、GlcSphレベルの上昇を、前頭葉、例えば、上前頭回、中前頭回、下前頭回、及び/または中心前回の1つまたは複数の領域において見い出すことができる。
一部の実施形態では、GlcSphレベルが、健康な対照またはプログラニュリン関連障害に関連しない対照と比較して、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象の血液細胞、脳細胞、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄由来マクロファージ(BMDM)、網膜色素上皮(RPE)細胞、赤血球、白血球、神経細胞、ミクログリア細胞、大脳皮質細胞、脊髄細胞、骨髄細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、脾細胞、肺細胞、眼細胞、絨毛膜絨毛細胞、筋細胞、皮膚細胞、線維芽細胞、心臓細胞、リンパ節細胞、またはそれらの組合せなどの細胞では上昇している。一部の実施形態では、GlcSphレベルの上昇が、血液細胞において見い出され得る。一部の実施形態では、GlcSphレベルの上昇が、脳細胞において見い出され得る。
一部の実施形態では、GlcSphレベルが、健康な対照またはプログラニュリン関連障害に関連しない対照と比較して、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象の脳組織、大脳皮質組織、脊髄組織、肝臓組織、腎臓組織、筋肉組織、心臓組織、眼組織、網膜組織、リンパ節、骨髄、皮膚組織、血管組織、肺組織、脾臓組織、心臓弁組織、またはそれらの組合せなどの組織では上昇している。一部の実施形態では、GlcSphレベルの上昇が、対象の脳の前頭葉または側頭葉からの脳組織などの脳組織において見い出され得る。特定の実施形態では、GlcSphレベルの上昇が、前頭葉の上前頭回、中前頭回、下前頭回、及び/または中心前回において見い出され得る。
さらなる実施形態では、GlcSphレベルが、健康な対照またはプログラニュリン関連障害に関連しない対照と比較して、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象のエンドソーム、リソソーム、細胞外小胞、エキソソーム、マイクロベシクル、またはそれらの組合せでは上昇している。
一部の実施形態では、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象の試験試料におけるBMP種及び/またはGlcSphの存在量は、健康な対照またはプログラニュリン関連障害に関連しない対照などの対照の基準値と比較して、少なくとも約1.2倍、1.5倍、または2倍の差を有する。他の実施形態では、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象の試験試料におけるBMP種及び/またはGlcSphの存在量は、健康な対照またはプログラニュリン関連障害に関連しない対照などの対照の基準値と比較して、約1.2倍から約5倍(例えば、約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍)の差を有する。一部の実施形態では、基準値と比較しての差は、約2倍から約3倍(例えば、約2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、または3倍)である。一部の実施形態では、対象は、プログラニュリンのレベルの低下に関連する障害及び/またはプログラニュリンのレベルの低下に関連する障害の1つもしくは複数の徴候もしくは症状を有する。
一部の実施形態では、基準値は、処置前のBMP種値及び/またはGlcSph値である。一部の実施形態では、対象を、プログラニュリンのレベルの低下またはプログラニュリン関連障害について処置し、かつ試験試料は、処置を開始する前に対象から得られた1つまたは複数の処置前試験試料、及び処置を開始した後に対象から得られた1つまたは複数の処置後試験試料を含む。一部の実施形態では、前記方法はさらに、処置後の1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphのうちの少なくとも1つの存在量が、健康な対照と比べて、処置前の1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphよりも改善を示すときに、対象が処置に応答していると決定することを含む。
一部の実施形態では、前記方法は、(a)対象から得られた試験試料において1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphの存在量を測定すること;(b)試験試料または対象を化合物、医薬組成物、またはその投薬レジメンで処置すること(例えば、試験試料または対象を本明細書に記載のFc二量体:PGRN融合タンパク質で処置すること);(c)処置された対象から得られた試験試料において1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphの存在量を測定すること、ならびに(d)ステップ(a)及び(c)において測定された1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphの存在量を比較すること;ならびに(e)化合物または投薬レジメンが、プログラニュリン関連障害を処置するためにBMPレベル及び/またはGlcSphレベルを改善するか否かを決定することを含む。
一部の実施形態では、2つ以上の処置後試験試料を、処置を開始した後の異なる時点で得て、前記方法はさらに、処置後試料において測定された1種または複数のBMP種のうちの少なくとも1つの存在量が、処置前試料において測定された対応する1種または複数のBMP種の存在量よりも、a)BMDMでは低いか、またはb)肝臓、脳、脳脊髄液、血漿、または尿では高いときに、対象が処置に応答していると決定することを含む。一部の実施形態では、処置後試料において測定された1種または複数のBMP種のうちの少なくとも1つの存在量が、処置前試料において測定された対応する1種または複数のBMP種の存在量よりも、a)BMDMでは少なくとも約1.2倍低いか、またはb)肝臓、脳、脳脊髄液、血漿、または尿では少なくとも約1.2倍高いときに、対象が処置に応答していると決定する。
一部の実施形態では、2つ以上の処置後試験試料を、処置を開始した後の異なる時点で得て、前記方法はさらに、処置後試料において測定されたGlcSphの存在量が、処置前試料において測定されたGlcSphの存在量よりも、例えば、全血、血漿、細胞、組織、血清、脳脊髄液、間質液、痰、尿、またはリンパ液では低いときに、対象が処置に応答していると決定することを含む。一部の実施形態では、処置後試料において測定されたGlcSphの存在量が、処置前試料において測定されたGlcSphの存在量よりも、例えば、全血、血漿、細胞、組織、血清、脳脊髄液、間質液、痰、尿、またはリンパ液では少なくとも約1.2倍(例えば、少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または10倍)低いときに、対象は、処置に応答していると決定する。
一部の実施形態では、BMP種レベル及び/またはGlcSphレベルの改善は、健康な対照またはプログラニュリン関連障害と関連しない対照などの対照の基準値と比べて、処置前のBMP種レベル及び/またはGlcSphレベルを上回る改善である。一部の実施形態では、改善されたBMP種レベル及び/またはGlcSphレベルは、値において、処置前BMP種レベル及び/またはGlcSphレベルが対照に対するよりも、対照に近い。一部の実施形態では、改善されたBMP種レベル及び/またはGlcSphレベルは、対照と比較して、20%、15%、10%、または5%未満の差を有する。一部の実施形態では、改善されたBMP種レベル及び/またはGlcSphレベルは、健康な対照と比較して、10%または5%未満の差を有する。一部の実施形態では、改善されたBMP種レベル及び/またはGlcSphレベルは、健康な対照と比較して、5%未満の差を有する。
一部の実施形態では、前記方法はさらに、1つまたは複数の処置後試験試料のうちの少なくとも1つにおいて測定された1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphのうちの少なくとも1つの存在量が、健康な対照の対応する基準値とおよそ同じであるときに、対象が処置に応答していると決定することを含む。
一部の実施形態では、試験もしくは基準試料または1つもしくは複数の基準値は、細胞、組織、全血、血漿、血清、脳脊髄液、間質液、痰、尿、大便、気管支肺胞上皮洗浄液、リンパ液、精液、母液、羊水、またはそれらの組合せを含むか、またはそれに関する。一部の実施形態では、細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)、BMDM、網膜色素上皮(RPE)細胞、血液細胞、赤血球、白血球、神経細胞、ミクログリア細胞、脳細胞、大脳皮質細胞、脊髄細胞、骨髄細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、脾細胞、肺細胞、眼細胞、絨毛膜絨毛細胞、筋細胞、皮膚細胞、線維芽細胞、心臓細胞、リンパ節細胞、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、細胞は培養細胞である。一部の実施形態では、培養細胞は、BMDMまたはRPE細胞である。
一部の実施形態では、組織は、脳組織、大脳皮質組織、脊髄組織、肝臓組織、腎臓組織、筋肉組織、心臓組織、眼組織、網膜組織、リンパ節、骨髄、皮膚組織、血管組織、肺組織、脾臓組織、心臓弁組織、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、試験及び/または基準試料を細胞及び/または組織から精製し、これは、エンドソーム、リソソーム、細胞外小胞、エキソソーム、マイクロベシクル、またはそれらの組合せを含む。
一部の実施形態では、1種または複数のBMP種は、2種以上のBMP種を含む。一部の実施形態では、1種または複数のBMP種は、BMP(16:0_18:1)、BMP(16:0_18:2)、BMP(18:0_18:0)、BMP(18:0_18:1)、BMP(18:1_18:1)、BMP(16:0_20:3)、BMP(18:1_20:2)、BMP(18:0_20:4)、BMP(16:0_22:5)、BMP(20:4_20:4)、BMP(22:6_22:6)、BMP(20:4_20:5)、BMP(18:2_18:2)、BMP(16:0_20:4)、BMP(18:0_18:2)、BMP(18:0e_22:6)、BMP(18:1e_20:4)、BMP(18:3_22:5)、BMP(20:4_22:6)、BMP(18:0e_20:4)、BMP(18:2_20:4)、BMP(18:1_22:6)、BMP(18:1_20:4)、BMP(18:0_22:6)、またはそれらの組合せを含む。
一部の実施形態では、1種または複数のBMP種は、BMP(18:1_18:1)、BMP(18:0_20:4)、BMP(20:4_20:4)、BMP(22:6_22:6)、BMP(20:4_22:6)、BMP(18:1_22:6)、BMP(18:1_20:4)、BMP(18:0_22:6)、BMP(18:3_22:5)、またはそれらの組合せを含む。
一部の実施形態では、試験試料は培養細胞を含み、かつ1種または複数のBMP種はBMP(18:1_18:1)を含む。一部の実施形態では、試験試料は、血漿、組織、尿、脳脊髄液(CSF)、及び/または脳もしくは肝臓組織を含み、かつ1種または複数のBMP種はBMP(22:6_22:6)を含む。一部の実施形態では、試験試料は肝臓組織を含み、かつ1種または複数のBMP種は、BMP(22:6_22:6)、BMP(18:3_22:5)、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、試験試料はCSFまたは尿を含み、かつ1種または複数のBMP種はBMP(22:6_22:6)を含む。一部の実施形態では、試験試料はミクログリアを含み、かつ1種または複数のBMP種はBMP(18:3_22:5)を含む。
一部の実施形態では、1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphの存在量を、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)を使用して測定する。一部の実施形態では、内部BMP及び/またはGlcSph標準を、ステップ(a)において1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphの存在量を測定するために、及び/または対応する基準値を決定するために使用する。一部の実施形態では、内部BMP及び/またはGlcSph標準は、対象及び/または基準対象または基準対象の集団には天然には存在しないBMP種及び/またはGlcSphを含む。一部の実施形態では、内部BMP標準は、BMP(14:0_14:0)を含む。一部の実施形態では、内部GlcSph標準は、ジュウテリウム標識GlcSphを含む。
一部の実施形態では、対象は、プログラニュリン発現、プロセシング、グリコシル化、細胞取り込み、輸送、及び/または機能に関連する障害を有するか、またはそれを発症するリスクがある。一部の実施形態では、対象及び/または基準対象もしくは基準対象の集団は、プログラニュリンのレベルの低下及び/またはプログラニュリンのレベルの低下に関連する障害を有し、かつ試験試料は候補化合物(例えば、本明細書に記載のFc二量体:PGRN融合タンパク質)と接触している。一部の実施形態では、対象及び/または基準対象もしくは基準対象の集団は、プログラニュリンのレベルの低下に関連する障害の1つまたは複数の徴候または症状を有する。一部の実施形態では、対象及び/または基準対象もしくは基準対象の集団は、グラニュリン(GRN)遺伝子において変異を有する。一部の実施形態では、GRN遺伝子における変異は、プログラニュリン発現及び/または活性を低下させる。一部の実施形態では、対象は、アテローム性動脈硬化症、ゴーシェ病(例えば、ゴーシェ病1、2、または3型)、またはAMDを有するか、またはそれを発症するリスクがある。一部の実施形態では、対象は、TDP-43に関連する障害(例えば、ADまたはALS)を有するか、またはそれを発症するリスクがある。
一部の実施形態では、対象及び/または基準対象は、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、イヌ、またはブタである。
別の態様では、本開示は、対象においてプログラニュリン変異体レベルをモニタリングするためのキットを提供する。一部の実施形態では、前記キットは、対象から得られた試験試料及び/または基準対象もしくは基準対象の集団から得られた基準試料において1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphの存在量を測定するためのBMP及び/またはGlcSph標準を含む。一部の実施形態では、BMP及び/またはGlcSph標準は、対象及び/または基準対象に天然には存在しないBMP種及び/またはGlcSphを含む。一部の実施形態では、BMP標準は、BMP(14:0_14:0)を含む。一部の実施形態では、GlcSph標準は、ジュウテリウム標識GlcSphである。
一部の実施形態では、キットはさらに、対象及び/または基準対象から試料を得る、試料をプロセシングする、1種または複数のBMP種の存在量を測定する、GlcSphの存在量を測定する、またはそれらの組合せのための試薬を含む。一部の実施形態では、キットはさらに、取扱説明書を含む。
A及びBは、本明細書に開示のとおりの例示的な融合タンパク質が純度98%超まで精製されたことを実証するクロマトグラフィートレースを示している。 種々の緩衝液中での、本明細書に開示のとおりの例示的な融合タンパク質の熱特性を実証する表を示している。 本明細書に開示のとおりの例示的な融合タンパク質の凍結解凍安定性を示すクロマトグラムを含む。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質のソルチリン結合を示すグラフである。 本明細書に開示のとおりの例示的な融合タンパク質が、GRN KO/hTfR.KIマウスの骨髄から得られた培養細胞においてインビトロでBMPレベルを低下させ得ることを示すグラフである。 GRN KO/hTfR.KIマウスの血漿(7日間)における本明細書に開示の例示的な融合タンパク質のタンパク質濃度の代表的なプロットを示している。 GRN KO/hTfR.KIマウスの脳(投薬後7日)における本明細書に開示の例示的な融合タンパク質のタンパク質濃度の代表的なプロットを示している。 GRN KO/hTfR.KIマウスの肝臓(投薬後7日)における本明細書に開示の例示的な融合タンパク質のタンパク質濃度の代表的なプロットを示している。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の投与後の、投薬後7日目でのGRN KO/hTfR.KIマウスの脳におけるTREM2レベルの代表的なプロットを含む。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の投与後の、投薬後7日目でのGRN KO/hTfR.KIマウスの肝臓におけるTREM2レベルの代表的なプロットを含む。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の投与後の、投薬後7日目でのGRN KO/hTfR.KIマウスの脳におけるBMPレベルの代表的なプロットを含む。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の投与後の、投薬後7日目でのGRN KO/hTfR.KIマウスの肝臓におけるBMPレベルの代表的なプロットを含む。 本明細書に開示のとおりの融合体1が、GRN KO/hTfR.KIマウスの脳においてGlcSphレベルを低下させ得ることを示すグラフである。 本明細書に開示のとおりの融合体1が、GRN KO/hTfR.KIマウスの脳においてGlcSphレベルを低下させ得ることを示すグラフである。 本明細書に開示のとおりの融合体1が、GRN KO/hTfR.KIマウスにおいてBMPジ-18:1レベルを修正し得ることを示すグラフである。 本明細書に開示のとおりの融合体1が、GRN KO/hTfR.KIマウスにおいてBMPジ-22:6レベルを修正し得ることを示すグラフである。 本明細書に開示のとおりの融合体1が、投薬後2週目に、GRN KO/hTfR.KIマウスの脳におけるグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)活性を野生型レベルに修正し得ることを示すグラフである。 8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の脳タンパク質レベルを示す散布図である。平均±SEM及びp値:ダネット多重比較検定と共に一元ANOVAを表示している;****p<0.0001。 8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の肝臓タンパク質レベルを示す散布図である。平均±SEM及びp値:ダネット多重比較検定と共に一元ANOVAを表示している;**p<0.01及び****p<0.0001。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスの脳における代表的なBMP種のレベルを示す散布図である。平均±SEM及びp値:ダネット多重比較検定と共に一元ANOVAを表示している;**p<0.01及び****p<0.0001。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける代表的なBMP種のCSFレベルを示す散布図である。平均±SEM及びp値:ダネット多重比較検定と共に一元ANOVAを表示している;p<0.05及び****p<0.0001。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスの肝臓における代表的なBMP種のレベルを示す散布図である。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける代表的なBMP種の血漿レベルを示す散布図である。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける脳グルコシルスフィンゴシン(GlcSph)レベルを示す散布図である。平均±SEM及びp値:ダネット多重比較検定と共に一元ANOVAを表示している;****p<0.0001。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける肝臓グルコシルスフィンゴシン(GlcSph)レベルを示す散布図である。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおけるCSFニューロフィラメント(Nf-L)レベルを示す散布図である。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける相対的脳Trem2レベルを示す散布図である。平均±SEM及びp値:ダネット多重比較検定と共に一元ANOVAを表示している;p<0.05及び****p<0.0001。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける相対的脳CD68レベルを示す散布図である。平均±SEM及びp値:ダネット多重比較検定と共に一元ANOVAを表示している;**p<0.01及び***p<0.001。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける相対的脳Iba1レベルを示す散布図である。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおける相対的脳GFAPレベルを示す散布図である。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスにおけるBMP種及び脂質の相対的変化を示すヒートマップである。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスのニューロン、星状細胞、及びミクログリア細胞における代表的なBMP種のレベルを示す散布図を提供している。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスのニューロン、星状細胞、及びミクログリア細胞における代表的なBMP種のレベルを示す散布図を提供している。 本明細書に開示の例示的な融合タンパク質の8週間の投薬後の、GRN KO/hTfR.KIマウスのニューロン、星状細胞、及びミクログリア細胞における代表的なBMP種のレベルを示す散布図を提供している。
詳細な説明
I.序文
プログラニュリンのレベルを上昇させることは、特に対象のプログラニュリンレベルが低下している場合に、多くの疾患を処置するために有用であり得る。本発明者らは、野生型プログラニュリンのC末端が、CHO細胞で発現される場合に切断されていて、そのことがソルチリン結合の障害をもたらすことを発見した。ソルチリンはプログラニュリンに直接的に結合して、細胞リソソームへのプログラニュリンの取り込み及び輸送に関係する。この切断を減少させるために、本発明者らは、C末端にアミノ酸改変を有するプログラニュリン変異体、さらには、Fcポリペプチドに連結した1つまたは複数のプログラニュリン変異体を含む融合タンパク質を開発した。具体的には、本明細書に記載のある特定の変異体は、野生型プログラニュリンと比較して、野生型プログラニュリンのC末端のQLL配列中に1つまたは複数のアミノ酸置換を有するか、またはC末端に付加された追加のアミノ酸を有する。重要なことに、これらのプログラニュリン変異体は、ソルチリン結合を維持し得る。したがって、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質は、神経変性疾患(例えば、FTD)、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、AMD、またはプログラニュリン関連障害を含む、そのような疾患を処置するために適切である。
これらのプログラニュリン変異体の開発に加えて、本発明者らは、Fc分子に融合したプログラニュリン変異体を含有する融合タンパク質も開発した。場合によっては、融合タンパク質は、二量体Fcポリペプチドを含み、その際、Fcポリペプチドモノマーの少なくとも一方は、プログラニュリン変異体に連結している。Fcポリペプチドは、プログラニュリンレベルを上昇させることができ、場合によっては、追加の機能特性をタンパク質に付与するように改変することができる。
本発明者らは、血液脳関門(BBB)を通過してのプログラニュリンまたはその変異体の送達を促進する融合タンパク質も開発した。これらのタンパク質は、二量体を形成するFcポリペプチド及び改変Fcポリペプチドと、Fc領域及び/または改変Fc領域に連結しているプログラニュリンまたはその変異体とを含む。改変Fc領域は、TfRなどのBBB受容体に特異的に結合し得る。対象に投与されると、融合タンパク質は、BBBを形成する内皮上に存在するTfR受容体に結合する。融合タンパク質は、BBBを通過して経細胞輸送され得、したがって、脳におけるその濃度を、例えば、と比較して上昇させる。
プログラニュリン(PGRN)(プロエピセリン及びアクログラニンとしても公知)は、遺伝子GRNによりコードされるシステインリッチなタンパク質であり、ヒト染色体17q21に位置する。プログラニュリンは、リソソームタンパク質、さらには、それぞれ約60アミノ酸長である保存グラニュリンペプチドの7.5回タンデムリピートからなる分泌タンパク質であり、かつ様々な細胞外プロテアーゼ(例えば、エラスターゼ)及びリソソームプロテアーゼ(例えば、カテプシンL)による切断により放出され得る(Kao et al.,Nat Rev Neurosci.18(6):325-333,2017)。概して、プログラニュリンは、先天免疫の制御における細胞自律的及び非細胞自律的役割の両方、さらには、リソソームの機能の役割を果たすと考えられ、その際、様々なカテプシン及び他のヒドロラーゼの活性及びレベルを調節する(Kao et al.、前出)。プログラニュリンは、神経栄養機能も有し、神経突起伸展及びニューロン生存を促進する(Kao et al.、前出)。
II.定義
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、内容が明らかに別段に指定していない限り、複数の言及も含む。したがって、例えば、「1つのポリペプチド(a polypeptide)」への言及は、2つ以上のそのような分子を含み得る、などである。
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、数値または範囲において指定された量を修飾するために使用される場合、その数値、さらには、当業者に公知の値から合理的な偏差、例えば±20%、±10%、または±5%が、挙げられている値の意図されている意味の範囲内であることを示す。
「プログラニュリン」または「PRGN」は、遺伝子GRNによりコードされるシステインリッチなリソソームタンパク質を指す。プログラニュリンは、ヒトプログラニュリン配列、例えば、配列番号1または2の配列を含んでよい。プログラニュリンは、配列番号1の配列を含んでよく、その際、最初の17のアミノ酸はシグナルペプチドを示す。プログラニュリンは、成熟プログラニュリンを含んでよく、その際、17アミノ酸シグナルペプチドは切断されている。成熟プログラニュリンは、配列番号2の配列を含んでよい。プログラニュリンは、シグナルペプチドを含む形態か、または成熟形態かのいずれかでの非ヒト種、例えば、マウス(アクセッション番号NP_032201.2)、ラット(NP_058809.2またはNP_001139314.1)、及びチンパンジー(XP_016787144.1またはXP_016787145.1)からの配列を含んでよい。
「プログラニュリン変異体」または「PRGN変異体」は、野生型プログラニュリンの配列変異体を指す。プログラニュリン変異体は、野生型プログラニュリンの機能と同様か、または実質的に同じ機能を有することができ、例えば、プログラニュリン変異体も、ソルチリンまたはプロサポシンに結合し、様々なリソソームタンパク質(例えば、カテプシン)の活性及びレベルを調節し、神経突起伸展及びニューロン生存、及び/または本明細書に記載の任意の他の機能を促進する。
「プログラニュリン関連障害」という用語は、発現、プロセシング、グリコシル化、細胞取り込み、輸送、及び/または機能を含む、プログラニュリンに関する任意の病的状態を指す。「プログラニュリンのレベルの低下に関連する障害」という用語は、細胞、組織、及び/または対象内での正常な生理学的機能を可能にするには不十分である(すなわち、可能にするには低すぎる)プログラニュリンのレベルから直接的または間接的に生じる任意の病的状態、さらには、そのような状態の前兆を指す。例えば、プログラニュリン関連障害は、プログラニュリン遺伝子(GRN)における変異が原因であり得るか、またはそれと関連し得る。一部の実施形態では、プログラニュリン関連障害は、神経変性疾患(例えば、FTD)またはリソソーム貯蔵障害である。
「プログラニュリンレベル」という用語は、対象か、または試料(例えば、対象から得られた試料)のいずれかに存在するプログラニュリンの量、濃度、及び/または活性レベルを指す。プログラニュリンレベルは、存在するプログラニュリンの絶対的な量、濃度、及び/または活性レベルを指し得るか、または相対的な量、濃度、及び/または活性レベルを指し得る。この用語はまた、存在するプログラニュリン及び/またはプログラニュリンmRNA(例えば、GRN遺伝子から発現される)の量または濃度を指す。
「骨髄由来マクロファージ」または「BMDM」という用語は、哺乳類骨髄(例えば、対象から得られた骨髄)からインビトロで生成されるか、または誘導されるマクロファージ細胞を指す。非限定的例として、BMDMは、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)などのサイトカインの存在下で未分化骨髄細胞を培養することにより生成することができる。
「トランスフェリン受容体」または「TfR」は、本開示の文脈で使用される場合、トランスフェリン受容体タンパク質1を指す。ヒトトランスフェリン受容体1ポリペプチド配列は、配列番号109において記述される。他の種からのトランスフェリン受容体タンパク質1配列も公知である(例えば、チンパンジー、アクセッション番号XP_003310238.1;アカゲザル、NP_001244232.1;イヌ、NP_001003111.1;ウシ、NP_001193506.1;マウス、NP_035768.1;ラット、NP_073203.1;及びニワトリ、NP_990587.1)。「トランスフェリン受容体」という用語は、トランスフェリン受容体タンパク質1染色体遺伝子座にある遺伝子によりコードされる例示的な基準配列、例えば、ヒト配列の対立遺伝子変異型も包含する。全長トランスフェリン受容体タンパク質は、短いN末端細胞内領域、膜貫通領域、及び大きい細胞外ドメインを含む。細胞外ドメインは、3つのドメイン:プロテアーゼ様ドメイン、らせんドメイン、及び頂端ドメインにより特徴づけられる。
本明細書で使用される場合、「Fcポリペプチド」という用語は、構造ドメインとしてIgフォールドにより特徴づけられる天然に存在する免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのC末端領域を指す。Fcポリペプチドは、少なくともCH2ドメイン及び/またはCH3ドメインを含む定常領域配列を含み、かつヒンジ領域の少なくとも一部を含んでよい。一般に、Fcポリペプチドは可変領域を含まない。
「改変Fcポリペプチド」は、野生型免疫グロブリン重鎖Fcポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも1つの変異、例えば、置換、欠失、または挿入を有するが、天然FcポリペプチドのIgフォールドまたは構造全体を維持しているFcポリペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「Fcポリペプチド二量体」という用語は、2つのFcポリペプチドの二量体を指す。一部の実施形態では、2つのFcポリペプチドは、2つのCH3ドメインの間での相互作用により二量体化する。ヒンジ領域またはヒンジ領域の一部が2つのFcポリペプチド中に存在するならば、1つまたは複数のジスルフィド結合が、2つの二量体化Fcポリペプチドのヒンジ領域間でも形成し得る。
「改変Fcポリペプチド二量体」は、少なくとも1つのFcポリペプチドが、野生型免疫グロブリン重鎖Fcポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも1つの変異、例えば、置換、欠失、または挿入を有する改変Fcポリペプチドである、2つのFcポリペプチドの二量体を指す。例えば、改変Fcポリペプチド二量体は、TfRに特異的に結合し、かつ野生型免疫グロブリン重鎖Fcポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも1つの変異、例えば、置換、欠失、または挿入を有する少なくとも1つの改変Fcポリペプチドを有するものであってよい。
「CH3ドメイン」及び「CH2ドメイン」という用語は、本明細書で使用される場合、免疫グロブリン定常領域ドメインポリペプチドを指す。本出願の目的では、CH3ドメインポリペプチドは、EUナンバリングスキームによりナンバリングされた場合に、およそ341位からおよそ447位のアミノ酸のセグメントを指し、かつCH2ドメインポリペプチドは、EUナンバリングスキームによりナンバリングされた場合に、およそ231位からおよそ340位のアミノ酸のセグメントを指し、かつヒンジ領域配列を含まない。CH2及びCH3ドメインポリペプチドは、IMGT(ImMunoGeneTics)ナンバリングスキームによりナンバリングされてもよく、その際、IMGT Scientificチャートナンバリング(IMGTウェブサイト)によれば、CH2ドメインナンバリングは1~110であり、かつCH3ドメインナンバリングは1~107である。CH2及びCH3ドメインは、免疫グロブリンのFc領域の一部である。Fc領域は、EUナンバリングスキームによりナンバリングされた場合に、およそ231位からおよそ447位のアミノ酸のセグメントを指すが、本明細書で使用される場合、抗体のヒンジ領域の少なくとも一部を含んでよい。例示的なヒンジ領域配列は、ヒトIgG1ヒンジ配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号88)である。
CH3またはCH2ドメインに関する「野生型」、「天然」、及び「天然に存在する」という用語は、天然に生じる配列を有するドメインを指すために本明細書において使用される。
本開示の文脈では、ミュータントポリペプチドまたはミュータントポリヌクレオチドに関する「ミュータント」という用語は、「変異体」と互換的に使用される。所与の野生型CH3またはCH2ドメイン基準配列に対する変異体は、天然に存在する対立遺伝子変異型を含んでよい。「非天然に」生じるCH3またはCH2ドメインは、細胞中に天然に存在せず、かつ遺伝子改変により、例えば、天然CH3ドメインまたはCH2ドメインポリヌクレオチドまたはポリペプチドの遺伝子工学技術または変異誘発技術を使用して生成される変異体またはミュータントドメインを指す。「変異体」は、野生型に対して少なくとも1つのアミノ酸変異を含む任意のドメインを含む。変異には、置換、挿入、及び欠失が含まれ得る。
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、さらには天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。
天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによりコードされるもの、さらには、後で改変されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタマート及びO-ホスホセリンである。「アミノ酸類似体」は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合したα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド主鎖を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を維持している。「アミノ酸模倣体」は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化学化合物を指す。
天然に存在するα-アミノ酸には、限定ではないが、アラニン(Ala)、システイン(Cys)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、フェニルアラニン(Phe)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、アスパラギン(Asn)、プロリン(Pro)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、バリン(Val)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、及びそれらの組合せが含まれる。天然に存在するα-アミノ酸の立体異性体には、限定ではないが、D-アラニン(D-Ala)、D-システイン(D-Cys)、D-アスパラギン酸(D-Asp)、D-グルタミン酸(D-Glu)、D-フェニルアラニン(D-Phe)、D-ヒスチジン(D-His)、D-イソロイシン(D-Ile)、D-アルギニン(D-Arg)、D-リシン(D-Lys)、D-ロイシン(D-Leu)、D-メチオニン(D-Met)、D-アスパラギン(D-Asn)、D-プロリン(D-Pro)、D-グルタミン(D-Gln)、D-セリン(D-Ser)、D-トレオニン(D-Thr)、D-バリン(D-Val)、D-トリプトファン(D-Trp)、D-チロシン(D-Tyr)、及びそれらの組合せが含まれる。
アミノ酸は本明細書において、それらの一般に公知の3文字記号によっても、またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1文字記号によっても言及され得る。
「ポリペプチド」及び「ペプチド」という用語は本明細書において、一本鎖中のアミノ酸残基のポリマーに言及するために互換的に使用される。この用語は、1個または複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工の化学的模倣体であるアミノ酸ポリマー、さらには、天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに当てはまる。アミノ酸ポリマーは、もっぱらL-アミノ酸、もっぱらD-アミノ酸、またはL及びDアミノ酸の混合物を含んでよい。
「タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、一本鎖ポリペプチドのポリペプチドまたは二量体(すなわち、2つ)または多量体(すなわち、3つ以上)のいずれかを指す。タンパク質の一本鎖ポリペプチドは、共有結合、例えば、ジスルフィド結合により、または非共有結合性相互作用により接続していてよい。
「保存的置換」、「保存的変異」、または「保存的改変変異体」という用語は、同様の特徴を有すると分類され得る別のアミノ酸でのアミノ酸置換をもたらす改変形態を指す。この手法で定義される保存的アミノ酸基のカテゴリーの例には、Glu(グルタミン酸またはE)、Asp(アスパラギン酸またはD)、Asn(アスパラギンまたはN)、Gln(グルタミンまたはQ)、Lys(リシンまたはK)、Arg(アルギニンまたはR)、及びHis(ヒスチジンまたはH)を含む「荷電/極性基」;Phe(フェニルアラニンまたはF)、Tyr(チロシンまたはY)、Trp(トリプトファンまたはW)、及び(ヒスチジンまたはH)を含む「芳香族基」;ならびにGly(グリシンまたはG)、Ala(アラニンまたはA)、Val(バリンまたはV)、Leu(ロイシンまたはL)、Ile(イソロイシンまたはI)、Met(メチオニンまたはM)、Ser(セリンまたはS)、Thr(トレオニンまたはT)、及びCys(システインまたはC)を含む「脂肪族基」が含まれ得る。各グループの中で、サブグループも同定することができる。例えば、荷電または極性アミノ酸のグループは、Lys、Arg及びHisを含む「正に荷電したサブグループ」;Glu及びAspを含む「負に荷電したサブグループ」;ならびにAsn及びGlnを含む「極性サブグループ」を含むサブグループに細分することができる。別の例では、芳香族または環式基は、Pro、His及びTrpを含む「窒素環サブグループ」;ならびにPhe及びTyrを含む「フェニルサブグループ」を含むサブグループに細分することができる。さらに別の例では、脂肪族基は、サブグループ、例えば、Val、Leu、Gly、及びAlaを含む「脂肪族非極性サブグループ」;ならびにMet、Ser、Thr、及びCysを含む「脂肪族弱極性サブグループ」に細分することができる。保存的変異のカテゴリーの例には、これらに限定されないが:正電荷が維持され得るように、ArgからLys、またはその逆;負電荷が維持され得るように、AspからGlu、またはその逆;遊離-OHが維持され得るように、ThrからSer、またはその逆;及び遊離-NHが維持され得るように、AsnからGln、またはその逆など、上のサブグループ内でのアミノ酸のアミノ酸置換が含まれる。一部の実施形態では、天然に存在する疎水性アミノ酸は、疎水性を保存するために、例えば、活性部位において、疎水性アミノ酸で置換される。
2つ以上のポリペプチド配列の文脈における「同一の」または「同一性」パーセントという用語は、配列比較アルゴリズムを使用して、または手動のアラインメント及び外観検査により測定された場合に、比較ウィンドウ、または指名領域にわたる最大対応のために比較し、アラインさせた場合に、同じであるか、または特定の領域にわたって同一であるアミノ酸残基の特定のパーセンテージ、例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%またはそれ以上を有する、2つ以上の配列またはサブ配列を指す。
ポリペプチドの配列比較では、典型的には、1つのアミノ酸配列が、基準配列としての役割を果たし、それに対して、候補配列が比較される。アラインメントは、当業者が利用可能な様々な方法、例えば、目視によるアラインメントを使用して、または公知のアルゴリズムを使用する公共利用可能なソフトウェアを使用して最大アラインメントを達成することにより実行することができる。そのようなプログラムには、BLASTプログラム、ALIGN、ALIGN-2(Genentech、South San Francisco、Calif.)またはMegalign(DNASTAR)が含まれる。最大アラインメントを達成するためにアラインメントで使用されるパラメーターは、当業者により決定され得る。本出願の目的でのポリペプチド配列の配列比較では、2つのタンパク質配列をデフォルトのパラメーターでアラインさせるためにBLASTPアルゴリズム標準タンパク質BLASTを使用する。
「に対応する」、「を参照して決定された」、または「を参照してナンバリングされた」という用語は、ポリペプチド配列中の所与のアミノ酸残基を同定する文脈において使用される場合、所与のアミノ酸配列が基準配列と最大にアラインされて比較された場合の特定の基準配列の残基の位置を指す。したがって、例えば、改変Fcポリペプチド中のアミノ酸残基が、配列番号61中のアミノ酸「に対応する」のは、その残基が、配列番号61と最適にアラインさせた場合に配列番号61中のアミノ酸とアラインするときである。基準配列とアラインさせるポリペプチドは、基準配列と同じ長さである必要はない。
「結合親和性」は、本明細書で使用される場合、2つの分子、例えば、ポリペプチド上の単一の結合部位と、それが結合する標的、例えば、トランスフェリン受容体との間の非共有結合性相互作用の強度を指す。したがって、例えば、この用語は、別段に示されていない限り、または文脈から明らかでない限り、ポリペプチドとその標的との間の1:1相互作用を指し得る。結合親和性は、会合速度定数(k、time-1-1)で割った解離速度定数(k、time-1)を指す平衡解離定数(K)を測定することにより定量化することができる。Kは、例えば、表面プラスモン共鳴(SPR)法、例えば、Biacore(商標)システム;KinExA(登録商標)などの結合平衡除外アッセイ;及びバイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBio(登録商標)Octet(登録商標)プラットフォームを使用)を使用して、複合体形成及び解離のキネティクスを測定することにより決定することができる。本明細書で使用される場合、「結合親和性」には、ポリペプチドとその標的との間の1:1相互作用を反映するものなどの正規の結合親和性だけではなく、Kがそのために計算されてアビド結合(avid binding)を反映し得る見掛けの親和性も含まれる。
標的、例えば、トランスフェリン受容体に「特異的に結合する」または「選択的に結合する」という語句は、本明細書に記載のとおりのトランスフェリン受容体結合改変Fcポリペプチドを含むポリペプチドに関する場合、構造的に異なる標的、例えば、トランスフェリン受容体ファミリーではない標的に結合するよりも高い親和性、高い結合活性、及び/または長い期間で、そのポリペプチドが標的に結合する結合反応を指す。典型的な実施形態では、ポリペプチドは、同じ親和性アッセイ条件下でアッセイされた場合に、関連しない標的と比較して、トランスフェリン受容体について少なくとも5倍、10倍、25倍、50倍、100倍、1000倍、10,000倍、またはそれよりも高い親和性を有する。特定の標的(例えば、TfR)「に特異的に結合すること」、「に特異的に結合する」、または「について特異的である」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、結合する標的について、例えば、10-4Mまたはそれ以下、例えば、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、または10-12Mの平衡解離定数Kを有する分子により示され得る。一部の実施形態では、改変Fcポリペプチドは、複数の種のうちで保存されている(例えば、複数の種のうちで構造的に保存されている)、例えば、非ヒト霊長類とヒト種との間で保存されている(例えば、非ヒト霊長類とヒト種との間で構造的に保存されている)トランスフェリン受容体上のエピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、ヒトトランスフェリン受容体に排他的に結合し得る。
「処置」、「処置すること」などという用語は本明細書において、所望の薬理学的及び/または生理的作用を得ることを一般に意味するために使用される。「処置すること」または「処置」は、減退、寛解、患者の生存の向上、生存時間もしくは率の上昇、症状の減少もしくは障害を患者にとってより許容可能なものとすること、変性もしくは衰退の速度を減速させること、または患者の身体的もしくは心理的健康を改善することなどの任意の客観的または主観的パラメーターを含めて、神経変性疾患(例えば、FTD、NCL、NPA、NPB、NPC、C9ORF72関連ALS/FTD、孤発性ALS、AD、ゴーシェ病(例えば、ゴーシェ病1、2、または3型)、及びパーキンソン病)、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、AMD、及びプログラニュリン関連障害を含む疾患の処置または寛解の成功の任意の兆候を指す。症状の処置または寛解は、客観的または主観的パラメーターに基づき得る。処置の作用は、処置を受けていない個体もしくは個体のプールと、または処置前もしくは処置中の異なる時点での同じ患者と比較することができる。
「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用される場合、これらに限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、及びモルモット)、ウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、及び他の哺乳類種を含む哺乳類を指す。一実施形態では、患者はヒトである。
「薬学的に許容される添加剤」という用語は、これらに限定されないが、緩衝剤、担体、または防腐剤など、ヒトまたは動物において使用するために生物学的または薬理学的に適合性である非医薬品活性成分を指す。
本明細書で使用される場合、作用物質の「治療量」または「治療有効量」は、対象において疾患の症状を処置する作用物質の量である。
「投与する」という用語は、作用物質、化合物、または組成物を生物学的作用の所望の部位に送達する方法を指す。これらの方法には、これらに限定されないが、局所送達、非経口送達、静脈内送達、皮内送達、筋肉内送達、髄腔内送達、結腸送達、直腸送達、または腹腔内送達が含まれる。一実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドを静脈内投与する。
III.プログラニュリン補充療法
一部の態様では、プログラニュリン変異体及びそれを含む融合タンパク質を、本明細書において記載する。本明細書に記載の融合タンパク質は、Fcポリペプチド二量体及びプログラニュリン変異体を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質はさらに、第2のプログラニュリンまたはその変異体(例えば、野生型プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体)を含む。Fcポリペプチド二量体中のFcポリペプチドは、改変(例えば、ヘテロ二量体化を促進する1つまたは複数の改変)を含んでもよいし、または野生型Fcポリペプチドであってもよい。一部の実施形態では、Fcポリペプチド二量体中の一方または両方のFcポリペプチドは、BBB受容体、例えば、TfRへの結合をもたらす改変を含んでもよい。Fcポリペプチド二量体中の一方または両方のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであってもよい。プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体は、N末端またはC末端でFcポリペプチド(例えば、野生型FcポリペプチドまたはTfR結合Fcポリペプチド)に接続していてよい。一部の実施形態では、プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体は、直接的に(例えば、ペプチド結合を介して)、またはリンカーにより、Fcポリペプチド(例えば、野生型FcポリペプチドまたはTfR結合Fcポリペプチド)に接続していてよい。さらなる実施形態では、ヒンジ領域またはその一部が、Fcポリペプチド(例えば、野生型FcポリペプチドまたはTfR結合Fcポリペプチド)のN末端に存在してもよい。ヒンジ領域またはその一部が存在する場合、プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体は、直接的に、またはリンカーによりヒンジ領域またはその一部のN末端に接続していてよい。
神経変性疾患では、プログラニュリンが不足していることがある。FTDで、さらには、ゴーシェ病及びADなどの他の疾患では、プログラニュリンが不足していることがある。融合タンパク質に組み込まれたプログラニュリンまたはプログラニュリン変異体は、ソルチリンまたはプロサポシンに結合し得る(例えば、ソルチリンに結合し得る)。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在するプログラニュリンまたはプログラニュリン変異体は、FcポリペプチドまたはTfR結合Fcポリペプチドと接続していない場合のその活性と比較して、その活性の少なくとも25%を維持する。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在するプログラニュリンまたはプログラニュリン変異体は、FcポリペプチドまたはTfR結合Fcポリペプチドと接続していない場合のその活性と比較して、その活性の少なくとも10%、または少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、または95%)を維持する。
一部の実施形態では、FcポリペプチドまたはTfR結合Fcポリペプチドとの融合は、プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体の発現及び/または活性を低下させない。
IV.プログラニュリン変異体
野生型プログラニュリンのC末端にアミノ酸改変または付加を有するプログラニュリン変異体を、本明細書において提供する。プログラニュリン変異体は、成熟野生型プログラニュリン(例えば、配列番号2)に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、ならびに野生型プログラニュリンのC末端にアミノ酸改変または付加を有する野生型プログラニュリンの機能性変異体である。
一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、プログラニュリン変異体のC末端の最後の3つのアミノ酸がQLLではないように、野生型プログラニュリンのC末端に改変を含む。例えば、プログラニュリン変異体は、配列番号2に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である配列を有し得、その際、配列番号2の残基574~576に対応する位置は、Xにより定義されるアミノ酸配列を有し、ただし、Xが合わさってQLLではないことを条件とする。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は配列:
Figure 2023507846000005
を有し、ここで、X、X、及びXのそれぞれは独立にアミノ酸であり、かつXは合わさってQLLではない。ある特定の実施形態では、Xは、R、H、K、D、E、S、T、N、Q、L、F、Y、P、またはVである。ある特定の実施形態では、Xは、H、K、D、E、S、T、N、Q、G、P、A、Y、V、I、F、L、またはRである。ある特定の実施形態では、Xは、L、Y、またはPである。
一部の実施形態では、Xは、PXLである。ある特定の実施形態では、PXL中のXは、H、K、D、E、S、T、N、Q、G、P、A、Y、V、I、F、L、またはR(例えば、H、K、D、E、S、T、N、Q、G、P、A、Y、V、I、またはF)であってよい。例えば、プログラニュリン変異体は、配列番号4~18のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にPHL、PKL、PDL、PEL、PSL、PTL、PNL、PQL、PGL、PPL、PAL、PYL、PVL、PIL、またはPFLを有する。特に、プログラニュリン変異体は、配列番号13の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にPPLを有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号13の配列を有する。特に、プログラニュリン変異体は、配列番号15の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にPYLを有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号15の配列を有する。特に、プログラニュリン変異体は、配列番号17の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にPILを有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号17の配列を有する。特に、プログラニュリン変異体は、配列番号18の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体はC末端にPFLを有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号18の配列を有する。
一部の実施形態では、XはQXLである。ある特定の実施形態では、QXL中のXは、R、H、K、D、E、N、P、Y、またはQであり得る。例えば、プログラニュリン変異体は、配列番号19~27のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にQRL、QHL、QKL、QDL、QEL、QNL、QPL、QYL、またはQQLを有する。特に、プログラニュリン変異体は、配列番号19の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にQRLを有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号19の配列を有する。特に、プログラニュリン変異体は、配列番号20の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にQHLを有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号20の配列を有する。特に、プログラニュリン変異体は、配列番号27の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体はC末端にQQLを有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号27の配列を有する。
一部の実施形態では、Xは、VXLである。ある特定の実施形態では、VXL中のXは、VまたはTであってよい。例えば、プログラニュリン変異体は、配列番号28及び29のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にVVLまたはVTLを有する。特に、プログラニュリン変異体は、配列番号28の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にVVLを有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号28の配列を有する。特に、プログラニュリン変異体は、配列番号29の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にVTLを有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号29の配列を有する。
一部の実施形態では、Xは、XILである。ある特定の実施形態では、XIL中のXは、R、H、K、E、P、N、F、またはY(例えば、R、H、K、E、またはP)であってよい。例えば、プログラニュリン変異体は、配列番号30~33及び17のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にRIL、HIL、KIL、EIL、またはPILを有する。
一部の実施形態では、Xは、XFLである。ある特定の実施形態では、XFL中のXは、R、H、K、D、E、S、T、N、Q、L、F、Y、またはPであってよい。例えば、プログラニュリン変異体は、配列番号34~45及び18のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にRFL、HFL、KFL、DFL、EFL、SFL、TFL、NFL、QFL、LFL、FFL、YFL、またはPFLを有する。
一部の実施形態では、Xは、XQLである。ある特定の実施形態では、XQL中のXは、R、H、K、D、E、N、L、F、Y、またはQであってよい。例えば、プログラニュリン変異体は、配列番号46~54及び27のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にRQL、HQL、KQL、DQL、EQL、NQL、LQL、FQL、YQL、またはQQLを有する。
さらなる実施形態では、Xは、XLであり、その際、Xは、A、R、N、D、C、Q、E、G、H、I、K、M、F、P、S、T、W、Y、またはVである。
他の実施形態では、プログラニュリン変異体は、野生型プログラニュリンと比較して、C末端に追加のアミノ酸を含む。例えば、プログラニュリン変異体は、野生型プログラニュリンのC末端に付加されたアミノ酸QLLまたはLRQLL(配列番号58)を含んでよい。例えば、プログラニュリン変異体は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列及び配列番号2の残基576に対応する位置に隣接しかつそのC末端側にあるYQLL(配列番号137)により定義される配列を含んでよく、その際、Yは、Lであるか、または存在せず、かつYは、Rであるか、または存在しない。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列:
Figure 2023507846000006
を含む。
一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号56の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にアミノ酸QLLQLL(配列番号59)を有する。特定の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号56の配列を有する。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号57の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有してよく、その際、プログラニュリン変異体は、C末端にアミノ酸QLLLRQLL(配列番号60)を有する。特定の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号57の配列を有する。
本明細書に記載のプログラニュリン変異体(例えば、配列番号3~57、111~121、127、及び128のいずれか1つの配列を有するプログラニュリン変異体は、N末端またはC末端でFcポリペプチド(例えば、野生型Fcポリペプチドまたは改変Fcポリペプチド)に接続していてよい。一部の実施形態では、Fcポリペプチドに連結しているプログラニュリン変異体は、配列番号13、15、17、18、19、20、及び27~29のいずれか1つから選択される配列を有してよい)。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、直接的に(例えば、ペプチド結合を介して)、またはリンカーによりFcポリペプチド(例えば、野生型Fcポリペプチドまたは改変Fcポリペプチド)に接続していてよい。ヒンジ領域またはその一部がFcポリペプチド(例えば、野生型Fcポリペプチドまたは改変Fcポリペプチド)のN末端に存在するならば、プログラニュリン変異体は、直接的に、またはリンカーによりヒンジ領域またはその一部のN末端に接続していてよい。
さらに、本明細書に記載のプログラニュリン変異体は、CHO細胞から生成することができる。特定の実施形態では、生成されるプログラニュリン変異体のうちの50%超(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%超)は、C末端で短縮されていない(例えば、インタクトなまま)。特定の実施形態では、プログラニュリン変異体のうちの50%超(例えば、55%、65%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%超)は、野生型プログラニュリン(例えば、HEK細胞から生成される野生型プログラニュリン)と比べて10倍未満(例えば、9倍、8倍、7倍、6倍、または5倍未満)低下したK値で、ソルチリンに結合し得る。例えば、プロテインAクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用カラムクロマトグラフィー、及び/または透析を含む精製スキームにより、プログラニュリン変異体を、プログラニュリン変異体発現細胞を含有する細胞培養培地から精製することができる。
V.Fcポリペプチド及びその改変
一部の態様では、本明細書に記載の融合タンパク質は、プログラニュリン変異体と、二量体中のいずれか一方または両方のFcポリペプチドが野生型Fcポリペプチドと比べてアミノ酸改変を含有するFcポリペプチド二量体とを含んでよい。一部の実施形態では、Fcポリペプチド(例えば、改変Fcポリペプチド)中のアミノ酸改変は、BBB受容体(例えば、TfR)へのFcポリペプチド二量体の結合をもたらし、二量体中の2つのFcポリペプチドのヘテロ二量体化を促進し、エフェクター機能を調節し、血清半減期を延長し、グリコシル化に影響を及ぼし、及び/またはヒトにおける免疫原性を低下させることができる。一部の実施形態では、融合タンパク質中に存在するFcポリペプチドは独立に、対応する野生型Fcポリペプチド(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4Fcポリペプチド)に対して少なくとも約85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有する。改変Fcポリペプチド(例えば、TfR結合Fcポリペプチド)の例及び説明は、例えば、その全体が参照により本明細書に援用される国際特許公開WO2018/152326において見い出すことができる。
BBB受容体結合のためのFcポリペプチド改変
BBBを通過して輸送され得るプログラニュリン変異体を含む融合タンパク質を、本明細書において提供する。そのようなタンパク質は、BBB受容体に結合する改変Fcポリペプチドを含む。BBB受容体は、BBB内皮、さらには他の細胞及び組織種上に発現される。一部の実施形態では、BBB受容体はTfRである。
BBB受容体、例えば、TfRに結合する改変Fcポリペプチドに導入されるものを含めて、様々なFc改変において指定されるアミノ酸残基は本明細書では、EUインデックスナンバリングを使用してナンバリングされる。任意のFcポリペプチド、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fcポリペプチドは、本明細書に記載のとおりの1つまたは複数の位置において改変、例えば、アミノ酸置換を有し得る。一部の実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合活性のために改変されるドメインは、IgG1 CH3ドメインなどのヒトIg CH3ドメインである。CH3ドメインは、任意のIgGサブタイプのもの、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4からのものであってもよい。IgG1抗体の文脈では、CH3ドメインは、EUナンバリングスキームによりナンバリングされた場合におよそ341位からおよそ447位のアミノ酸のセグメントを指す。
一部の実施形態では、TfRに特異的に結合する改変Fcポリペプチドは、TfRの頂端ドメインに結合し、かつTfRへのトランスフェリンの結合を遮断する、または別段に阻害することなくTfRに結合し得る。一部の実施形態では、TfRへのトランスフェリンの結合は、実質的に阻害されない。一部の実施形態では、TfRへのトランスフェリンの結合は、約50%未満(例えば、約45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満)阻害される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、1つもしくは複数、少なくとも1、2、または3つの置換;及び一部の実施形態では、少なくとも4、5、6、7、8、9、または10の置換を、EUナンバリングスキームによる266、267、268、269、270、271、295、297、298、及び299を含むアミノ酸位置に含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1、2、または3つの置換;及び一部の実施形態では、少なくとも4、5、6、7、8、または9つの置換を、EUナンバリングスキームによる274、276、283、285、286、287、288、289、及び290を含むアミノ酸位置に含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1、2、または3つの置換;及び一部の実施形態では、少なくとも4、5、6、7、8、9、または10の置換を、EUナンバリングスキームによる268、269、270、271、272、292、293、294、296、及び300を含むアミノ酸位置に含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1、2、または3つの置換;及び一部の実施形態では、少なくとも4、5、6、7、8、または9つの置換を、EUナンバリングスキームによる272、274、276、322、324、326、329、330、及び331を含むアミノ酸位置に含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1、2、または3つの置換;及び一部の実施形態では、少なくとも4、5、6、または7つの置換を、EUナンバリングスキームによる345、346、347、349、437、438、439、及び440を含むアミノ酸位置に含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1、2、または3つの置換;及び一部の実施形態では、少なくとも4、5、6、7、8、または9つの置換を、EUナンバリングスキームによるアミノ酸位置384、386、387、388、389、390、413、416、及び421に含む。一部の実施形態では、388及び/または421位のアミノ酸は、芳香族アミノ酸、例えば、Trp、Phe、またはTyrである。一部の実施形態では、388位のアミノ酸はTrpである。一部の実施形態では、421位の芳香族アミノ酸は、TrpまたはPheである。追加の実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドはさらに、1つまたは複数の置換を、EUナンバリングスキームによる391、392、414、415、424、及び426位を含む位置に含む。一部の実施形態では、414位は、Lys、Arg、Gly、またはProであり;424位は、Ser、Thr、Glu、またはLysであり;及び/または426位は、Ser、Trp、またはGlyである。追加の実施形態では、改変Fcポリペプチドはさらに、1、2、または3つの置換を、EUナンバリングスキームによる414、424、及び426を含む位置に含む。一部の実施形態では、414位は、Lys、Arg、Gly、またはProであり;424位は、Ser、Thr、Glu、またはLysであり;及び/または426位は、Ser、Trp、またはGlyである。
一部の実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、配列番号68の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、かつ一部の実施形態では、150位にGlu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にAla、160位にAsn、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを有し、その際、各位は配列番号68を参照してナンバリングされている。特定の実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、配列番号68の配列を有する。本明細書に記載の融合タンパク質の一部の実施形態では、Fcポリペプチド二量体中の2つのFcポリペプチドの一方は、配列番号68の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであってよく、Fcポリペプチド二量体中の他方のFcポリペプチドは、野生型Fcポリペプチドの配列(例えば、配列番号61)を有する。本明細書に記載の融合タンパク質の他の実施形態では、Fcポリペプチド二量体中のFcポリペプチドは両方とも、配列番号68の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであってよい。
一部の実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、配列番号78の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、かつ一部の実施形態では、150位にLeu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にSer、160位にSer、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを有し、その際、各位は配列番号78を参照してナンバリングされている。特定の実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、配列番号78の配列を有する。本明細書に記載の融合タンパク質の一部の実施形態では、Fcポリペプチド二量体中の2つのFcポリペプチドの一方は、配列番号78の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであってよく、Fcポリペプチド二量体中の他方のFcポリペプチドは、野生型Fcポリペプチド(例えば、配列番号61)の配列を有してよい。本明細書に記載の融合タンパク質の他の実施形態では、Fcポリペプチド二量体中のFcポリペプチドは両方とも、配列番号78の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであってよい。
ヘテロ二量体化のためのFcポリペプチド改変
一部の実施形態では、融合タンパク質中に存在するFcポリペプチドは、ヘテロ二量体形成を促進し、かつホモ二量体形成を妨害するノブ及びホール変異を含む。一般に、それらの改変は、突起がキャビティに配置され得、ヘテロ二量体形成を促進し、したがってホモ二量体形成を妨害するように、第1のポリペプチドの界面に突起(「ノブ」)を、及び第2のポリペプチドの界面に対応するキャビティ(「ホール」)を導入する。第1のポリペプチドの界面からの小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えることにより、突起は構築される。大きなアミノ酸側鎖を、より小さな側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)で置き換えることにより、突起と同一または同様のサイズの補償キャビティを第2のポリペプチドの界面に作製する。一部の実施形態では、そのような追加の変異は、BBB受容体、例えば、TfRへのポリペプチドの結合に対してマイナスの作用を有さない、Fcポリペプチド中の位置にある。
二量体化のためのノブ及びホールアプローチの一例示的実施形態では、融合タンパク質中に存在するFcポリペプチドの一方の366位(EUナンバリングスキームによりナンバリング)が、天然トレオニンの代わりにトリプトファンを含む。二量体中の他方のFcポリペプチドは、天然チロシンの代わりに、407位(EUナンバリングスキームによりナンバリング)にバリンを有する。他方のFcポリペプチドはさらに、366位(EUナンバリングスキームによりナンバリング)の天然トレオニンがセリンで置き換えられていて、かつ368位(EUナンバリングスキームによりナンバリング)の天然ロイシンがアラニンで置き換えられている置換を含んでよい。したがって、本明細書に記載の融合タンパク質のFcポリペプチドの一方は、T366Wノブ変異を有し、かつ他方のFcポリペプチドは、典型的にはT366S及びL368Aホール変異を伴うY407V変異を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在する一方または両方のFcポリペプチドを、ヘテロ二量体化のための他の改変、例えば、天然に荷電されているCH3-CH3界面内の接触残基の静電操作または疎水性パッチ改変を含むように操作することもできる。
例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、T366Wノブ変異及び配列番号64の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する一方のFcポリペプチドと、T366S、L368A、及びY407Vホール変異及び配列番号66の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する他方のFcポリペプチドとを有する、Fcポリペプチド二量体を含有し得る。ある特定の実施形態では、Fcポリペプチド二量体中の一方または両方のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであってよい。特定の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(i)配列番号66の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号66を参照してナンバリングされる位置で、136位にSer、138位にAla、及び177位にValを含む第1のFcポリペプチドと、(ii)配列番号69の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号69を参照してナンバリングされる位置で、136位にTrpを含み、かつ一部の実施形態では150位にGlu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にAla、160位にAsn、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを有する第2のFcポリペプチドとを有するFcポリペプチド二量体を含んでよい。特定の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(i)配列番号66の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号66を参照してナンバリングされる位置で、136位にSer、138位にAla、及び177位にValを含む第1のFcポリペプチドと、(ii)配列番号79の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号79を参照してナンバリングされる位置で、136位にTrpを含み、かつ一部の実施形態では、150位にLeu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にSer、160位にSer、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを有する第2のFcポリペプチドとを有するFcポリペプチド二量体を含んでよい。
特定の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(i)配列番号64の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号64を参照してナンバリングされる位置で、136位にTrpを含む第1のFcポリペプチドと、(ii)配列番号71の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号71を参照してナンバリングされる位置で、136位にSer、138位にAla、及び177位にValを含み、かつ一部の実施形態では、150位にGlu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にAla、160位にAsn、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを有する第2のFcポリペプチドとを含んでよい。特定の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(i)配列番号64の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号64を参照してナンバリングされる位置で、136位にTrpを含む第1のFcポリペプチド二量体と、(ii)配列番号81の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号81を参照してナンバリングされる位置で、136位にSer、138位にAla、及び177位にValを含み、かつ一部の実施形態では、150位にLeu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にSer、160位にSer、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを有する第2のFcポリペプチドとを含んでよい。
エフェクター機能を調節するためのFcポリペプチド改変
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在する一方または両方のFcポリペプチドは、エフェクター機能を低下させる改変を含んでよく、すなわち、エフェクター機能を媒介するエフェクター細胞上に発現されるFc受容体に結合したときに、ある特定の生物学的機能を誘導する能力が低下している。抗体エフェクター機能の例には、これらに限定されないが、C1q結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節、及びB細胞活性化が含まれる。エフェクター機能は、抗体クラスで変化し得る。例えば、天然ヒトIgG1及びIgG3抗体は、免疫系細胞上に存在する適切なFc受容体に結合すると、ADCC及びCDC活性を誘発し得;かつ天然ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4は、免疫細胞上に存在する適切なFc受容体に結合すると、ADCP機能を誘発し得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在する一方または両方のFcポリペプチドは、エフェクター機能を低下させる、または除去する改変を含んでよい。エフェクター機能を低下させる例示的なFcポリペプチド変異は、これらに限定されないが、CH2ドメインにおける、例えば、EUナンバリングスキームによる234及び235位における置換を含む。例えば、一部の実施形態では、一方または両方のFcポリペプチドが、234及び235位にアラニン残基を含んでよい。したがって、一方または両方のFcポリペプチドがL234A及びL235A(LALA)置換を有してよい。
エフェクター機能を調節する追加のFcポリペプチド変異には、これに限定されないが、次が含まれる:329位は、プロリンがグリシンもしくはアルギニン、またはFcのプロリン329とFcγ RIIIのトリプトファン残基Trp87及びTrp110との間で形成されるFc/Fcγ受容体界面を破壊するために十分に大きなアミノ酸残基で置換されている変異を有する。追加の例示的な置換には、EUナンバリングスキームによるS228P、E233P、L235E、N297A、N297D、及びP331Sが含まれる。複数の置換、例えば、EUナンバリングスキームによる、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A;ヒトIgG1 Fc領域のL234A、L235A、及びP329G;ヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL235E;ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びG237A;ヒトIgG1 Fc領域のL234A、L235A、及びG237A;ヒトIgG2 Fc領域のV234A及びG237A;ヒトIgG4 Fc領域のL235A、G237A、及びE318A;ならびにヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL236Eが存在してもよい。一部の実施形態では、一方または両方のFcポリペプチドは、ADCCを調節する1つまたは複数のアミノ酸置換、例えば、EUナンバリングスキームによる298、333、及び/または334位に置換を有してよい。
例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(i)配列番号67の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が配列番号67を参照してナンバリングされる位置で、4位にAla、5位にAla、136位にSer、138位にAla、及び177位にValを含む第1のFcポリペプチドと、(ii)配列番号70の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が配列番号70を参照してナンバリングされる位置で、4位にAla、5位にAla、136位にTrpを含み、かつ一部の実施形態では、150位にGlu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にAla、160位にAsn、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを有する第2のFcポリペプチドとを有するFcポリペプチド二量体を含有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(i)配列番号67の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号67を参照してナンバリングされる位置で、4位にAla、5位にAla、136位にSer、138位にAla、及び177位にValを含む第1のFcポリペプチドと、(ii)配列番号80の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号80を参照してナンバリングされる位置で、4位にAla、5位にAla、136位にTrpを含み、かつ一部の実施形態では、150位にLeu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にSer、160位にSer、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを有する第2のFcポリペプチドとを有するFcポリペプチド二量体を含有し得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(i)配列番号65の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号65を参照してナンバリングされる位置で、4位にAla、5位にAla、及び136位にTrpを含む第1のFcポリペプチドと、(ii)配列番号72の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号72を参照してナンバリングされる位置で、4位にAla、5位にAla、136位にSer、138位にAla、及び177位にValを含み、かつ一部の実施形態では、150位にGlu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にAla、160位にAsn、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを有する第2のFcポリペプチドとを有するFcポリペプチド二量体を含有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(i)配列番号65の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が配列番号65を参照してナンバリングされる位置で、4位にAla、5位にAla、及び136位にTrpを含む第1のFcポリペプチドと、(ii)配列番号82の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、その配列が、配列番号82を参照してナンバリングされる位置で、4位にAla、5位にAla、136位にSer、138位にAla、及び177位にValを含み、かつ一部の実施形態では、150位にLeu、154位にTyr、156位にThr、157位にGlu、158位にTrp、159位にSer、160位にSer、183位にThr、185位にGlu、186位にGlu、及び191位にPheを含む第2のFcポリペプチドとを有するFcポリペプチド二量体を含有し得る。
血清半減期を延長するためのFcポリペプチド改変
一部の実施形態では、血清半減期を増強する改変を導入してよい。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質中に存在する一方または両方のFcポリペプチドは、EUナンバリングスキームによりナンバリングされた場合に、252位にチロシン、254位にトレオニン、及び256位にグルタミン酸を含んでよい。したがって、一方または両方のFcポリペプチドは、M252Y、S254T、及びT256E置換を有してよい。別法では、一方または両方のFcポリペプチドは、EUナンバリングスキームによりナンバリングされた場合に、M428L及びN434S置換を有してよい。別法では、一方または両方のFcポリペプチドは、N434SまたはN434A置換を有してよい。
一部の実施形態では、Fcポリペプチドの一方または両方は、その露出C末端リシン(例えば、EUナンバリングによる、Fcポリペプチドの447位のLys残基)を除去されている。C末端リシン残基は、Fcドメインにおいて高度に保存されていて、タンパク質産生の間に、細胞機構により完全に、または部分的に除去され得る。一部の実施形態では、Fcポリペプチド中のC末端リシンの除去は、融合タンパク質の安定性を向上させ得る。
一部の実施形態では、ヒンジ領域(例えば、配列番号88)またはその一部(例えば、配列番号89)を、Fcポリペプチドまたは本明細書に記載の改変Fcポリペプチドに接続させることができる。ヒンジ領域は、任意の免疫グロブリンサブクラスまたはアイソタイプからのものであってよい。例示的な免疫グロブリンヒンジは、IgG1ヒンジ領域、例えば、ヒトIgG1ヒンジアミノ酸配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号88)またはその一部(例えば、DKTHTCPPCP;配列番号89)などのIgGヒンジ領域である。一部の実施形態では、ヒンジ領域は、FcポリペプチドのN末端の領域にある。
VI.プログラニュリンとFCポリペプチドとの間の連結
一部の実施形態では、Fcポリペプチドは、リンカー、例えば、ポリペプチドリンカーにより、プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体に接続している。一部の実施形態では、Fcポリペプチドは、ペプチド結合により、またはポリペプチドリンカーによりプログラニュリンまたはプログラニュリン変異体に接続しており、例えば、融合ポリペプチドである。ポリペプチドリンカーは、接続するFcポリペプチドに対してプログラニュリンまたはプログラニュリン変異体の回転を許す;及び/またはプロテアーゼによる消化に対する耐性を示すように構成されてよい。ポリペプチドリンカーは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、またはそれらの組合せを含んでよい。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、例えば、Gly、Asn、Ser、Thr、Alaなどのアミノ酸を含有する柔軟なリンカーであってよい。そのようなリンカーは、既知のパラメーターを使用して設計され、かつ任意の長さであってよく、かつ任意の長さのリピート単位(例えば、Gly及びSer残基のリピート単位)を任意の数で含有してよい。例えば、リンカーは、2、3、4、5、またはそれ以上のGly-Ser(配列番号90)リピートなどのリピートまたは単一のGly-Ser(配列番号90)を有してよい。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、例えば、中枢神経系中に存在する酵素により切断可能なプロテアーゼ切断部位を含んでよい。一部の実施形態では、ヒンジ領域(例えば、配列番号88)またはその一部(例えば、配列番号89)がFcポリペプチドのN末端と接続している場合、プログラニュリンまたはその変異体のC末端は、ヒンジ領域またはその一部のN末端に、ペプチド結合により、またはポリペプチドリンカー(例えば、Gly-Ser(配列番号90)リピートまたは単一のGly-Ser(配列番号90))により接続していてよい。
一部の実施形態では、プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体は、例えば、Gly-Serリンカー(配列番号90)または(Gly-Ser)リンカー(配列番号91)により、FcポリペプチドのN末端に接続している。一部の実施形態では、Fcポリペプチドは、ヒンジ配列または一部のヒンジ配列を、リンカーに接続しているか、またはプログラニュリンに直接接続しているN末端に含んでよい。
一部の実施形態では、プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体は、例えば、Gly-Serリンカー(配列番号90)または(Gly-Ser)リンカー(配列番号91)により、FcポリペプチドのC末端に接続している。一部の実施形態では、FcポリペプチドのC末端は、プログラニュリンに直接接続している。
一部の実施形態では、Fcポリペプチドとプログラニュリンまたはプログラニュリン変異体との間のポリペプチドリンカーは、3~50、3~25、3~10、3~5、3、5、7、10、25、または50)アミノ酸を有し得る。適切なポリペプチドリンカーは当技術分野で公知であり(例えば、Chen et al.Adv.Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369,2013に記載のとおり)、例えば、グリシン及びセリンなどの柔軟なアミノ酸残基を含有するポリペプチドリンカーを含む。ある特定の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、ポリグリシンリンカー、例えば、(Gly)(配列番号138)であってよく、ここで、nは、1から10の間の整数である。ある特定の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、(GS)(配列番号139)、(GGS)(配列番号140)、(GGGGS)(配列番号133),(GGSG)(配列番号134)、または(SGGG)(配列番号135)のモチーフ、例えば、複数またはリピートモチーフを含み得、ここで、nは、1から10の間の整数である。他の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、グリシン及びセリン以外のアミノ酸、例えば、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号94)、EGKSSGSGSESKST(配列番号95)、及びGSAGSAAGSGEF(配列番号96)も含有し得る。他の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、硬いポリペプチドリンカーであってもよい。一部の実施形態では、硬いポリペプチドリンカーは、セグメント内(intra-segment)水素結合及び/またはセグメント内塩橋により安定化され得るαヘリックス構造を取り入れることができる。Chen et al.Adv.Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369,2013に記載されているとおり、硬いポリペプチドリンカーの例には、これらに限定されないが、A(EAAAK)A(配列番号136)(ここで、nは、1から5の間の整数である)、及び(XP)(配列番号141)(ここで、Xは、Ala、Lys、またはGluであり、かつnは、1から10の間の整数である)が含まれる。
一部の実施形態では、プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体は、化学的架橋作用物質によりFcポリペプチドに接続している。そのようなコンジュゲートは、周知の化学的架橋試薬及びプロトコルを用いて生成することができる。例えば、当業者に公知であり、かつポリペプチドを目的の作用物質と架橋するために有用である多数の化学的架橋作用物質がある。例えば、架橋作用物質は、段階的に分子を連結するために使用することができるヘテロ二官能性架橋剤である。ヘテロ二官能性架橋剤は、タンパク質をコンジュゲートするために、より特異的なカップリング方法を設計し、それにより、ホモ-タンパク質ポリマーなどの望ましくない副反応の発生を減少させる能力を提供する。広範囲の様々なヘテロ二官能性架橋剤が、当技術分野で公知であり、それには、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)またはその水溶性類似体N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ-NHS)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS);N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾアート(SIAB)、スクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)ブチラート(SMPB)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC);4-スクシンイミジルオキシカルボニル-a-メチル-a-(2-ピリジルジチオ)-トルエン(SMPT)、N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、及びスクシンイミジル6-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート]ヘキサノアート(LC-SPDP)が含まれる。N-ヒドロキシスクシンイミド部分を有する架橋剤は、一般に高い水溶性を有するN-ヒドロキシスルホスクシンイミド類似体として入手することができる。加えて、連結鎖内にジスルフィド架橋を有する架橋剤を、インビボでのリンカー切断の量を減少させるように、代わりにアルキル誘導体として合成することができる。ヘテロ二官能性架橋剤に加えて、ホモ二官能性及び光反応性架橋剤を含む多くの他の架橋剤が存在する。ジスクシンイミジルスベラート(Disuccimidyl subcrate)(DSS)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)及びジメチルピメルイミダート.2HCl(DMP)が、有用なホモ二官能性架橋剤の例であり、かつビス-[B-(4-アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド(BASED)及びN-スクシンイミジル-6(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサノアート(SANPAH)が、有用な光反応性架橋剤の例である。
VII.例示的な融合タンパク質
一部の態様では、本明細書に記載の融合タンパク質は、プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドと;第1のFcポリペプチドとFcポリペプチド二量体を形成する第2のFcポリペプチドとを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質はさらに、第2のプログラニュリンまたはその変異体(例えば、野生型プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体)を含む。一部の実施形態では、第1のFcポリペプチドは、改変Fcポリペプチドであり、かつ/または第2のFcポリペプチドは、改変Fcポリペプチドである。一部の実施形態では、改変Fcポリペプチドは、他方のFcポリペプチドとのそのヘテロ二量体化を促進する1つまたは複数の改変を含む。一部の実施形態では、改変Fcポリペプチドは、エフェクター機能を低下させる1つまたは複数の改変を含む。一部の実施形態では、改変Fcポリペプチドは、血清半減期を延長する1つまたは複数の改変を含む。一部の実施形態では、改変Fcポリペプチドは、BBB受容体、例えば、TfRへの結合を付与する1つまたは複数の改変を含む。
他の態様では、本明細書に記載の融合タンパク質は、Fcポリペプチドを含む第1のポリペプチド鎖と、BBB(例えば、TfR)受容体に特異的に結合する改変Fcポリペプチド、例えば、TfR結合Fcポリペプチドを含み、第1のポリペプチド鎖中のFcポリペプチドと二量体化してFcポリペプチド二量体を形成する第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、第1または第2のポリペプチド鎖のいずれかに接続していてよいプログラニュリン変異体を含む。ある特定の実施形態では、プログラニュリン変異体は、ポリペプチドリンカーにより、第1のポリペプチド鎖のN末端またはC末端に接続している。ある特定の実施形態では、プログラニュリン変異体は、ポリペプチドリンカーにより第2のポリペプチド鎖のN末端またはC末端に接続している。
一部の実施形態では、融合タンパク質は、2つのプログラニュリン変異体を含む。ある特定の実施形態では、第1のプログラニュリン変異体は、第1のポリペプチド鎖のN末端に接続しており、かつ第2のプログラニュリン変異体は、第2のポリペプチド鎖のN末端に接続している。ある特定の実施形態では、第1のプログラニュリン変異体は、第1のポリペプチド鎖のN末端に接続しており、かつ第2のプログラニュリン変異体は、第2のポリペプチド鎖のC末端に接続している。ある特定の実施形態では、第1のプログラニュリン変異体は、第1のポリペプチド鎖のC末端に接続しており、かつ第2のプログラニュリン変異体は、第2のポリペプチド鎖のN末端に接続している。ある特定の実施形態では、第1のプログラニュリン変異体は、第1のポリペプチド鎖のC末端に接続しており、かつ第2のプログラニュリン変異体は、第2のポリペプチド鎖のC末端に接続している。
一部の実施形態では、融合タンパク質は、プログラニュリン変異体及び野生型プログラニュリンを含む。ある特定の実施形態では、プログラニュリン変異体は、第1のポリペプチド鎖のN末端に接続しており、かつ野生型プログラニュリンは、第2のポリペプチド鎖のN末端に接続している。ある特定の実施形態では、プログラニュリン変異体は、第1のポリペプチド鎖のN末端に接続しており、かつ野生型プログラニュリンは、第2のポリペプチド鎖のC末端に接続している。ある特定の実施形態では、プログラニュリン変異体は、第1のポリペプチド鎖のC末端に接続しており、かつ野生型プログラニュリンは、第2のポリペプチド鎖のN末端に接続している。ある特定の実施形態では、プログラニュリン変異体は、第1のポリペプチド鎖のC末端に接続しており、かつ野生型プログラニュリンは、第2のポリペプチド鎖のC末端に接続している。ある特定の実施形態では、野生型プログラニュリンは、第1のポリペプチド鎖のN末端に接続しており、かつプログラニュリン変異体は、第2のポリペプチド鎖のN末端に接続している。ある特定の実施形態では、野生型プログラニュリンは、第1のポリペプチド鎖のN末端に接続しており、かつプログラニュリン変異体は、第2のポリペプチド鎖のC末端に接続している。ある特定の実施形態では、野生型プログラニュリンは、第1のポリペプチド鎖のC末端に接続しており、かつプログラニュリン変異体は、第2のポリペプチド鎖のN末端に接続している。ある特定の実施形態では、野生型プログラニュリンは、第1のポリペプチド鎖のC末端に接続しており、かつプログラニュリン変異体は、第2のポリペプチド鎖のC末端に接続している。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質のソルチリン結合についてのKは、約100nM未満(例えば、約95nM、90nM、85nM、80nM、75nM、70nM、65nM、60nM、55nM、50nM、45nM、または40nM未満)である。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質のソルチリン結合についてのEC50は、約25nM未満(例えば、約20nM、15nM、10nM、5nM、4nM、3nM、2.5nM、2nM、1.5nM、または1nM未満)である。特定の実施形態では、融合タンパク質のソルチリン結合についてのEC50は、ソルチリン結合において、第1のポリペプチド中に配列番号2を含む融合タンパク質と比べて、約10倍未満(例えば、約9倍、8倍、7倍、6倍、または5倍未満)の低下を示す。一部の実施形態では、融合タンパク質のソルチリン結合についてのEC50は、ソルチリン結合において、第1のポリペプチド中に配列番号108を含む融合タンパク質と比べて、約10倍未満(例えば、約9倍、8倍、7倍、6倍、または5倍未満)の低下を示す。ある特定の実施形態では、EC50は、ELISAにより測定される。ELISAによりソルチリン結合についてのEC50を測定するための例示的な方法を、本明細書において記載する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質をCHO細胞において生成する。特定の実施形態では、融合タンパク質(例えば、CHO細胞から生成された融合タンパク質)の50%超(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%超)は、融合タンパク質のプログラニュリン変異体部分のC末端で切断されない。
特定の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)T366S、L368A、及びY407V(ホール)置換ならびにL234A及びL235A(LALA)置換を含む改変Fcポリペプチドに接続しているプログラニュリン変異体を含む第1のポリペプチド鎖と;(b)TfRに結合し、かつT366W(ノブ)置換ならびにL234A及びL235A(LALA)置換を含む改変Fcポリペプチドを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。プログラニュリン変異体は、配列番号4~54、111~121、及び127~128のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、プログラニュリン変異体の574~576位が、配列番号4~54、111~121、及び127~128において定義されるとおりである配列を含み得る。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号56に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、プログラニュリン変異体の574~579位が配列番号56において定義されているとおりである配列を含み得る。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、配列番号57に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有し、その際、プログラニュリン変異体の574~581位が配列番号57において定義されているとおりである配列を含み得る。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、改変FcポリペプチドのN末端またはC末端(例えば、C末端)に接続していてよい。特定の実施形態では、ヒンジ領域またはその一部は、第1及び第2のポリペプチド鎖中の改変FcポリペプチドのそれぞれのN末端に接続している。特定の実施形態では、ポリペプチドリンカー(例えば、GGGGS(配列番号90)またはGGGGSGGGGS(配列番号91))は、第1のポリペプチド鎖中のプログラニュリン変異体と改変Fcポリペプチドとの間に存在する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号98の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号98を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にPro、812位にIle、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号75を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は配列番号98の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は配列番号75の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は配列番号98の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は配列番号130の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号99の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号99を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にPro、812位にPhe、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号75を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は配列番号99の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は配列番号75の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は配列番号99の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は配列番号130の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号100の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号100を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にGln、812位にGln、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号75を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号100の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号75の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号100の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号130の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号101の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号101を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にVal、812位にVal、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号75を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号101の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号75の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号101の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号130の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号102の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号102を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にVal、812位にThr、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号75を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号102の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号75の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号102の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号130の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号123の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号123を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にPro、812位にPro、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号75を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号123の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号75の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号123の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号130の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号124の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号124を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にPro、812位にTyr、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号75を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号124の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号75の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号124の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号130の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号125の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号125を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にGln、812位にArg、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号75を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む配列を含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号125の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号75の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号125の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号130の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号126の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号126を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にGln、812位にHis、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号75を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号126の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号75の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号126の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号130の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号98の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号98を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にPro、812位にIle、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号85の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも95%、98%、または99%の同一性)を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号85を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号98の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号85の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号98の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号132の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号99の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号99を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にPro、812位にPhe、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号85の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号85を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号99の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号85の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号99の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号132の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号100の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号100を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にGln、812位にGln、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号85の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号85を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号100の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号85の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号100の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号132の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号101の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号101を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にVal、812位にVal、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号85の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号85を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号101の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号85の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号101の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号132の配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号102の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号102を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、187位にVal、811位にVal、812位にThr、及び813位にLeuを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号85の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号85を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号102の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号85の配列を含む。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号102の配列を含み、かつ第2のポリペプチド鎖は、配列番号132の配列を含む。
特定の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)TfRに結合し、かつT366S、L368A、及びY407V(ホール)置換ならびにL234A及びL235A(LALA)置換を含む改変Fcポリペプチドを含む第1のポリペプチド鎖と;(b)T366W(ノブ)置換ならびにL234A及びL235A(LALA)置換を含む改変Fcポリペプチドに接続しているプログラニュリン変異体を含む第2のポリペプチド鎖とを含む。プログラニュリン変異体は、配列番号3~57、111~121、及び127~128のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を有し得る。一部の実施形態では、プログラニュリン変異体は、改変FcポリペプチドのN末端またはC末端(例えば、C末端)に接続していてよい。特定の実施形態では、ヒンジ領域またはその一部は、第1及び第2のポリペプチド鎖中の改変FcポリペプチドのそれぞれのN末端に接続している。特定の実施形態では、ポリペプチドリンカー(例えば、GGGGS(配列番号90)またはGGGGSGGGGS(配列番号91))が、第2のポリペプチド鎖中のプログラニュリン変異体と改変Fcポリペプチドとの間に存在する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号77の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号77を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号103の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号103を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にPro、812位にIle、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号77の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号77を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号104の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号104を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にPro、812位にPhe、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号77の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号77を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号105の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号105を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にGln、812位にGln、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号77の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号77を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号106の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号106を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にVal、812位にVal、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号77の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号77を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にGlu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にAla、170位にAsn、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号107の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号107を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にVal、812位にThr、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号87の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号87を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号103の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号103を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にPro、812位にIle、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号87の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号87を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号104の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号104を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にPro、812位にPhe、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号87の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号87を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号105の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号105を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にGln、812位にGln、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号87の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号87を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号106の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号106を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にVal、812位にVal、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、(a)配列番号87の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その際、その配列が、配列番号87を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にSer、148位にAla、160位にLeu、164位にTyr、166位にThr、167位にGlu、168位にTrp、169位にSer、170位にSer、187位にVal、193位にThr、195位にGlu、196位にGlu、及び201位にPheを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)プログラニュリン変異体及び改変Fcポリペプチドを含み、その際、配列番号107の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)の同一性または100%の同一性を有する配列を含み、その配列が、配列番号107を参照してナンバリングされる位置で、14位にAla、15位にAla、146位にTrp、811位にVal、812位にThr、及び813位にLeuを含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
VIII.結合特性
本明細書に記載の融合タンパク質は、幅広い結合親和性を有し得る。例えば、一部の実施形態では、タンパク質は、BBB受容体、例えば、TfRについて、1pM~10μM程度の範囲の親和性を有する。一部の実施形態では、TfRについての親和性は、1nM~5μM、または10nM~1μMの範囲である。
BBB受容体、例えば、TfRへの結合を分析するために結合親和性、結合キネティクス、及び交差反応性を分析するための方法は、当技術分野で公知である。これらの方法には、これらに限定されないが、固相結合アッセイ(例えば、ELISAアッセイ)、免疫沈降、表面プラスモン共鳴(例えば、Biacore(商標)(GE Healthcare、Piscataway、NJ))、結合平衡除外アッセイ(例えば、KinExA(登録商標))、フローサイトメトリー、蛍光標識細胞分取(FACS)、BioLayer干渉法(例えば、Octet(登録商標)(ForteBio,Inc.、Menlo Park、CA))、及びウェスタンブロット分析が含まれる。一部の実施形態では、ELISAを使用して、結合親和性及び/または交差反応性を決定する。ELISAアッセイを実行するための方法は当技術分野で公知であり、下の実施例セクションにおいても記載する。一部の実施形態では、表面プラスモン共鳴(SPR)を使用して、結合親和性、結合キネティクス、及び/または交差反応性を決定する。一部の実施形態では、結合平衡除外アッセイを使用して、結合親和性、結合キネティクス、及び/または交差反応性を決定する。一部の実施形態では、バイオレイヤー干渉アッセイを使用して、結合親和性、結合キネティクス、及び/または交差反応性を決定する。
融合タンパク質の作用の評価
インビトロまたはインビボで活性を測定するアッセイを含む様々なアッセイを使用して、プログラニュリンまたはその変異体を含む本明細書に記載の融合タンパク質の活性を評価することができる。実施例において記載されているとおり、骨髄由来マクロファージ(BMDM)を使用し、かつヒトプログラニュリン及びヒトFcに対する抗体を用いて免疫染色して、本明細書に記載の融合タンパク質の細胞取り込みをアッセイすることができる。細胞を本明細書に記載の融合タンパク質(実施例6及び7)で処理した後に、GRN変異が原因である細胞作用(例えば、カテプシンD活性の増大ならびにCtsl、Tmem106b、及びPsapなどのリソソーム遺伝子のmRNAレベルの上昇)を再び評価することができる。蛍光プローブ及びqPCR技術をこれらのアッセイにおいて使用することができる。最後に、実施例9及び10に示されているとおり、野生型及び/または遺伝子導入マウスを使用して、本明細書に記載の融合タンパク質の薬物動態特性及び脳取り込みを決定することができる。
細胞試料では、アッセイは、細胞を崩壊させ、オープンなマイクロベシクルを破壊することを含み得る。細胞の崩壊は、凍結解凍及び/または音波処理を使用することにより達成することができる。一部の実施形態では、組織試料を評価する。マイクロベシクルが確実に分解されてオープンになるように、音波処理ステップ前に実行される複数回、例えば、2、3、4、5、またはそれ以上の凍結解凍サイクルを使用して、組織試料を評価することができる。
本明細書に記載のアッセイにより評価することができる試料には、例えば、脳、肝臓、腎臓、肺、脾臓、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)、及び尿が含まれる。一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりのプログラニュリンまたはその変異体を含む融合タンパク質を与えられた患者からのCSF試料を評価することができる。
IX.ビス(モノアシルグリセロ)ホスファート(BMP)
(例えば、試料における、細胞における、組織における、及び/または対象における)プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体のレベルをモニタリングする方法であって、プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体レベルの決定が、(例えば、試料における、細胞における、組織における、及び/または対象における)BMPの存在量を測定することを含む、前記方法を本明細書において提供する。
BMPは、式I:
Figure 2023507846000007
で図示される構造を有する、負の電荷をもつ(例えば、後期エンドソーム及びリソソーム内で通常は存在するpHで)グリセロリン脂質である。BMP分子は、2つの脂肪酸側鎖を含む。式I中のR及びR’は、典型的には14、16、18、20、または22個の炭素原子をそれぞれ含有する、独立に選択される飽和または不飽和脂肪族鎖を表す。脂肪酸側鎖が不飽和である場合、これは、1、2、3、4、5、6つ、またはそれよりも多い炭素-炭素二重結合を含有し得る。さらに、BMP分子は、1個または2個のアルキルエーテル置換基を含有してよく、その際、一方または両方の脂肪酸側鎖のカルボニル酸素が、2個の水素原子で置き換えられる。特定のBMP種を記載するために本明細書において使用されている命名法は、2つの脂肪酸側鎖を有する種に関し、その際、脂肪酸側鎖の構造が、BMPフォーマットの括弧内に示される(例えば、BMP(18:1_18:1))。数字は、「脂肪酸炭素原子:二重結合の数」の数の標準的な脂肪酸表記フォーマットに従っている。接頭辞「e-」は、アルキルエーテル置換基の存在を示すために使用され、その際、脂肪酸側鎖のカルボニル酸素は2個の水素原子で置き換えられている。例えば、「BMP(16:0e_18:0)」中の「e」は、16個の炭素原子を有する側鎖がアルキルエーテル置換基であることを示している。
本開示の方法の一部の実施形態では、1種のBMP種の存在量を測定する。一部の実施形態では、2種以上のBMP種の存在量を測定する。一部の実施形態では、表1中のBMP種の少なくとも2、3、4、5種、またはそれ以上の存在量を測定する。2種以上のBMP種の存在量を測定する場合、異なるBMP種の任意の組合せを使用することができる。
一部の実施形態では、1種よりも多いBMP種の存在量を合計することができ、総存在量を、基準値と比較する。例えば、1種または複数のBMP種(例えば、表1に列挙されているBMP種)の存在量を合計し、次いで、総存在量を基準値と比較することができる。
(表1)BMP種
Figure 2023507846000008
Figure 2023507846000009
場合によっては、1種または複数のBMP種が、他と比較した場合に、ある種類の試料で、例えば、細胞ベースの試料(例えば、培養細胞)と組織ベースまたは血液試料などで示差的に発現されることがある(例えば、より豊富に、またはより少なく)。したがって、一部の実施形態では、1種または複数のBMP種の選択(すなわち、存在量を測定するための)は、試料の種類に依存する。一部の実施形態では、例えば、試料(例えば、試験試料及び/または基準試料)がBMDMを含む場合には、1種または複数のBMP種は、BMP(18:1_18:1)を含む。他の実施形態では、例えば、試料が組織(例えば、脳組織、肝臓組織)または血漿、尿、もしくはCSFを含む場合、1種または複数のBMP種は、BMP(20:4_20:4)を含む。他の実施形態では、例えば、試料が組織(例えば、脳組織、肝臓組織)または血漿、尿、もしくはCSFを含む場合、1種または複数のBMP種は、BMP(22:6_22:6)を含む。
一部の実施形態では、内部BMP標準(例えば、BMP(14:0_14:0))を使用して、試料中の1種または複数のBMP種の存在量を測定する、及び/または基準値を決定する(例えば、基準試料中の1種または複数のBMP種の存在量を測定する)。例えば、試料中に存在する1種または複数のBMP種の量を決定することができるように、既知の量の内部BMP標準を試料(例えば、試験試料及び/または基準試料)に添加して、校正点として役立てることができる。一部の実施形態では、試料からBMPを抽出または単離する際に使用される試薬(例えば、メタノール)を、内部BMP標準で「スパイクする」。典型的には、内部BMP標準は、対象において天然には生じないものである。
X.グルコシルスフィンゴシン(GLCSPH)
(例えば、試料における、細胞における、組織における、及び/または対象における)プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体のレベルをモニタリングする方法であって、プログラニュリンまたはプログラニュリン変異体のレベルの決定が、(例えば、試料における、細胞における、組織における、及び/または対象における)グルコシルスフィンゴシン(GlcSph)の存在量を測定することを含む、前記方法を本明細書において提供する。
GlcSphは、式I:
Figure 2023507846000010
で図示される構造を有するリソグリコスフィンゴ脂質である。
GlcSphは、グルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)の基質であり、GCアーゼ活性の低下を示すヒトゴーシェ病患者及びマウスモデルの細胞及び組織において蓄積することが見い出されている。GlcSphの蓄積は、ゴーシェ病において観察される内臓及びニューロン病変に関係している。
一部の実施形態では、GlcSphの存在量を基準値と比較することができる。一部の実施形態では、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象は、基準値と比較してGlcSphレベルが上昇しており、例えば、対象の試験試料におけるGlcSphの存在量は、基準値の少なくとも約1.2倍(例えば、約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、またはそれ以上)であり得る。一部の実施形態では、基準値は、対象が処置を受ける前の、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象の試験試料におけるGlcSphレベルである。
前記方法の一部の実施形態では、基準値を、基準対象または基準対象の集団から得られた基準試料において測定する。基準対象または基準対象の集団は、健康な対照対象または健康な対照対象の集団であり得る。基準対象または基準対象の集団は、プログラニュリン関連障害またはプログラニュリンのレベルの低下を有さない対象または対象集団であり得る。一部の実施形態では、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象が処置を受けた後に、対象からの試験試料におけるGlcSphレベルは、対象が任意の処置を受ける前の対象からの試験試料におけるGlcSphレベルを超えて改善し得る。一部の実施形態では、改善されたGlcSphレベルは、対象が処置を受ける前の、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象におけるGlcSphレベルよりも、基準値(例えば、健康な対照対象または健康な対照対象の集団から得られた基準試料で測定された基準値)に近く、例えば、改善されたGlcSphレベルは、基準レベルの約20%、15%、10%、または5%以内である。一部の実施形態では、改善されたGlcSphレベルは、基準レベルと実質的に同じである。
場合によっては、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象では、基準値と比較してのGlcSphレベルの上昇が、例えば、対象の全血、血漿、細胞、組織、血清、脳脊髄液、間質液、痰、尿、リンパ液、またはそれらの組合せにおいて見い出され得る。特定の実施形態では、GlcSphレベルの上昇が、対象の血漿において見い出され得る。本開示の方法の一部の実施形態では、プログラニュリン関連障害を有するか、もしくは有するリスクがある対象から採取された試験試料または1つもしくは複数の基準値は、血漿を含むか、それに関してよい。
さらに、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象では、基準値と比較してのGlcSphレベルの上昇が、対象の脳、例えば、脳の前頭葉及び/または側頭葉において見い出され得る。特定の実施形態では、GlcSphの増加が、前頭葉の1つまたは複数の領域、例えば、上前頭回、中前頭回、下前頭回、及び/または中心前回において見い出され得る。
本明細書に記載の方法において使用されるプログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象から採取された試験試料は、血液細胞、脳細胞、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄由来マクロファージ(BMDM)、網膜色素上皮(RPE)細胞、赤血球、白血球、神経細胞、ミクログリア細胞、大脳皮質細胞、脊髄細胞、骨髄細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、脾臓細胞、肺細胞、眼細胞、絨毛膜絨毛細胞、筋細胞、皮膚細胞、線維芽細胞、心臓細胞、リンパ節細胞、またはそれらの組合せなどの細胞を含み得る。一部の実施形態では、試験試料は血液細胞を含む。一部の実施形態では、試験試料は脳細胞を含む。
本明細書に記載の方法において使用されるプログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象から採取された試験試料は、脳組織、大脳皮質組織、脊髄組織、肝臓組織、腎臓組織、筋肉組織、心臓組織、眼組織、網膜組織、リンパ節、骨髄、皮膚組織、血管組織、肺組織、脾臓組織、心臓弁組織、またはそれらの組合せなどの組織を含み得る。一部の実施形態では、試験試料は、対象の脳の前頭葉または側頭葉からの脳組織などの脳組織を含む。特定の実施形態では、試験試料において使用される脳組織は、上前頭回、中前頭回、下前頭回、及び/または中心前回からのものであり得る。
プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象から採取された試験試料は、エンドソーム、リソソーム、細胞外小胞、エキソソーム、マイクロベシクル、またはそれらの組合せを含み得る。
一部の実施形態では、内部GlcSph標準を使用して、プログラニュリン関連障害を有するか、または有するリスクがある対象からの試験試料におけるGlcSphの存在量を測定する、及び/または基準値を決定する(例えば、基準試料におけるGlcSphの存在量を測定する)。例えば、試料中に存在するGlcSphの量を決定することができるように、既知の量の内部GlcSph標準を試料(例えば、試験試料及び/または基準試料)に添加して、校正点として役立てることができる。一部の実施形態では、試料からGlcSphを抽出または単離する際に使用される試薬(例えば、メタノール)を、内部GlcSph標準で「スパイクする」。典型的には、内部GlcSph標準は、対象において天然には生じないものである。一部の実施形態では、内部GlcSphは、実施例において使用されるGlcSph(d5)など、ジュウテリウム標識GlcSphである。
XI.処置に対する応答のモニタリング
一態様では、本開示は、対象(例えば、標的対象)においてプログラニュリンレベルまたはプログラニュリン変異体レベルをモニタリングする方法を提供する。別の態様では、疾患または障害(例えば、本明細書に記載のいずれか)を処置するための本明細書に記載のプログラニュリン変異体もしくは融合タンパク質、またはその医薬組成物もしくは投薬レジメンに対する、対象の応答をモニタリングする方法を提供する。
典型的には、試験試料における1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphのそれぞれの存在量を、1つまたは複数の基準値(例えば、対応する基準値)と比較する。一部の実施形態では、BMP値及び/またはGlcSph値を処置前、及び処置後の1つまたは複数の時点で測定する。後の時点で得られた存在量の値を、処置前の値と、さらには、健康な、または罹患対照のものなどの対照値と比較して、対象が治療に対してどのように応答しているかを決定することができる。1つまたは複数の基準値は、試験試料の細胞、組織、または体液に対応する異なる細胞、組織、または体液からであってよい。
一部の実施形態では、基準値は、基準試料において測定される1種または複数のBMP種の存在量である。一部の実施形態では、基準値は、基準試料において測定されるGlcSphの存在量である。基準値は、測定された存在量の値(例えば、基準試料において測定された存在量の値)であってもよいし、または測定された存在量の値に由来するか、もしくはそれから外挿されてもよい。一部の実施形態では、例えば、基準値が複数の試料または対象の集団から得られる場合には、基準値は、ある範囲の値である。さらに、基準値は、単一の値(例えば、測定された存在量の値、平均値、または中央値)、またはある範囲の値として、標準偏差または標準誤差を伴って、または伴わずに表され得る。
2つ以上の試験試料を(例えば、対象から)得る場合、それらを得る時点は、約1、12、24時間、もしくはそれ以上;約1、2、3、4、5、6、7日、もしくはそれ以上;約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週間、もしくはそれ以上;またはさらに長く、離れていてよい。3つ以上の試験試料を得る場合、各試験試料を得る時間の間の時間間隔はすべて、同じであってもよいし、間隔はすべて異なってもよいし、またはそれらの組合せであってもよい。
一部の実施形態では、第1の試験試料及び第2の試験試料を両方とも、対象を処置した後に対象(例えば、標的対象)から得る、すなわち、第1の試験試料を処置中に、第2の試験試料よりも早い時点で対象から得る。一部の実施形態では、第1の試験試料を、対象をプログラニュリンのレベルの低下に関連する障害について処置する前に得て(すなわち、処置前試験試料)、かつ第2の試験試料を、対象をプログラニュリンのレベルの低下に関連する障害について処置した後に得る(すなわち、処置後試験試料)。一部の実施形態では、1つより多い(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の)処置前及び/または処置後試験試料を対象から得る。さらに、得られる処置前及び処置後試験試料の数は、同じである必要はない。
一部の実施形態では、測定されるBMP種の存在量が、対象が何らかの処置を受ける前に対象からの基準試料において得られた基準値の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%以内である場合に、対象が処置に応答していないと決定することができる。
一部の実施形態では、測定されるBMP種の存在量が、健康な対照対象からの基準試料において得られた基準値の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%以内である場合に、対象が処置に応答していると決定することができる。
一部の実施形態では、測定されるGlcSphの存在量が、対象が何らかの処置を受ける前に対象からの基準試料において得られた基準値の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%以内である場合に、対象が処置に応答していないと決定することができる。
一部の実施形態では、測定されるGlcSphの存在量が、健康な対照対象からの基準試料において得られた基準値の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%以内である場合に、対象が処置に応答していると決定することができる。
対象(例えば、標的対象)が、(例えば、プログラニュリンのレベルの低下に関連する障害についての)処置に応答していない場合、一部の実施形態では、1種または複数の治療薬(例えば、プログラニュリン)の投薬量を変更する(例えば、増加させる)、及び/または投薬間隔を変更する(例えば、投与の間の時間を短縮する)。一部の実施形態では、対象が処置に応答していない場合、別の治療薬を選択する。一部の実施形態では、対象が処置に応答していない場合、1種または複数の治療薬を中止する。
XII.BMP及びGlcSph検出技術
一部の実施形態では、抗体を使用して、1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphの存在量を検出する、及び/または測定することができる。一部の実施形態では、抗体に結合したBMP種を、顕微鏡法またはELISAなどにより検出することができる。一部の実施形態では、抗体に結合したGlcSphを、顕微鏡法またはELISAなどにより検出することができる。
他の実施形態では、質量分析法(MS)を使用して、本開示の方法により1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphの存在量を検出する、及び/または測定する。質量分析法は、化合物をイオン化して、生じたイオンをそれらの質量電荷比(m/Q、m/q、m/Z、またはm/zと省略)により選別する技術である。気体、液体、または固体で存在し得る試料(例えば、BMP分子及び/またはGlcSph分子を含む)をイオン化し、次いで、生じたイオンを電場及び/または磁場を介して加速して、それらが、それらの質量電荷比により分離するようにする。イオンは最終的に、イオン検出器に衝突して、質量スペクトログラムを生成する。検出イオンの質量電荷比をそれらの相対存在度と一緒に使用して、時には既知の質量(例えば、全体か、またはインタクトな分子の質量)を検出されたイオンの質量に対して補正することにより、及び/または質量スペクトログラムにおいて検出されるパターンを認識することにより、親化合物(複数可)を同定することができる。
一部の実施形態では、1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphを、単一の質量分析器(例えば、四重極型)を使用する単一のMSにより検出することができる。一部の実施形態では、典型的には合間に分子断片化ステップを有する複数のラウンドの質量分析法を実行するために一連の質量分析器(例えば、3つの質量分析器)を使用するタンデム質量分析法(MS/MS)により、1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphを検出することができる。
断片化のために、これらに限定されないが、衝突誘起解離(CID)、電子捕獲解離(ECD)、電子移動解離(ETD)、赤外多光子解離(IRMPD)、黒体赤外放射解離(BIRD)、電子脱離解離(EDD)、及び表面誘起解離(SID)を含むいくつかの方法を使用することができる。
タンデム質量分析計を使用して、フルスキャン、プロダクトイオンスキャン、プリカーサーイオンスキャン、ニュートラルロススキャン、及び選択(または複数)反応モニタリング(SRMまたはMRM)スキャンを含む異なる種類の実験を実行することができる。フルスキャン実験では、両方の質量分析計(例えば、Q1及びQ3)の全体の質量範囲(またはその一部)をスキャンし、第2の質量分析計(例えば、Q2)はいかなる衝突ガスも含有しない。これにより、試料中に含有されるすべてのイオンを検出することができる。プロダクトイオンスキャン実験では、特定の質量電荷比を第1の質量分析計(例えば、Q1)用に選択し、第2の質量分析計(例えば、Q2)を衝突ガスで充満させて、選択した質量電荷比を有するイオンを断片化し、次いで、第3の質量分析計(例えば、Q3)の全体の質量範囲(またはその一部)をスキャンする。これにより、選択したプリカーサーイオンのすべての断片イオンを検出することができる。プリカーサーイオンスキャン実験では、第1の質量分析(例えば、Q1)の全体の質量範囲(またはその一部)をスキャンし、第2の質量分析計(例えば、Q2)を衝突ガスで充満させて、スキャン範囲内のイオンを断片化し、特定の質量電荷比を第3の質量分析計(例えば、Q3)用に選択する。プロダクトイオンの検出の間の時間と、その検出の直前に選択した特定の質量電荷比とを相関させることにより、この種類の実験により、ユーザーは、どのプリカーサーイオン(複数可)が目的のプロダクトイオンを生成させた可能性があるのかを決定することができる。ニュートラルロススキャン実験では、第1の質量分析計(例えば、Q1)の全体の質量範囲(またはその一部)をスキャンし、第2の質量分析計(例えば、Q2)を衝突ガスで充満させて、スキャン範囲内のすべてのイオンを断片化し、第3の質量分析計(例えば、Q3)を、プリカーサースキャン範囲内のすべての潜在的なイオンに生じた単一の特定の質量の断片化誘起喪失に対応する特定の範囲にわたってスキャンする。この種類の実験により、目的の特定の化学基(例えば、メチル基)を共通して喪失したすべてのプリカーサーの同定が可能となる。MRM実験では、ある特定の質量電荷比を第1の質量分析計(例えば、Q1)用に選択し、第2の質量分析計(例えば、Q2)を衝突ガスで充満させ、第3の質量分析計(例えば、Q3)を別の特定の質量電荷比用に設定する。この種類の実験により、第3の質量分析計において選択された生成物に断片化されることが既知である分子の高度に特異的な検出が可能となる。MS及びMS/MS方法は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれるGrebe et al.Clin.Biochem.Rev.(2011)32:5-31においてさらに記載されている。
さらに、MS及びMS/MS技術を液体クロマトグラフィー(LC)またはガスクロマトグラフィー(GC)技術と連結することができる。そのような液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)、ガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS)、及びガスクロマトグラフィー-タンデム質量分析法(GC-MS/MS)方法は、典型的にはMSまたはMS/MS単独で可能であるものを超えて強化された質量分解及び質量決定を可能にする。
液体クロマトグラフィーは、流体が均一に微細物質のカラムを通って、またはキャピラリー通路を通って浸透する際に、流体溶液の1つ以上の構成成分を選択的に遅延させるプロセスを指す。その遅延は、1つまたは複数の固定相とバルク流体(すなわち、移動相)との間において、流体が固定相(複数可)に対して動く際の、混合物の構成成分の分布から生じる。ときには「高圧液体クロマトグラフィー」としても公知の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、移動相を圧力下で固定相、典型的には、密に充填されたカラムに押し入れることにより分離度が向上しているLCの変形である。
さらに、「超高圧液体クロマトグラフィー」、または「超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)」としても公知の超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)は、慣用のHPLC技術よりもかなり高い圧力を使用して実行されるHPLCの変形である。
ガスクロマトグラフィーは、分解せずに気化させ得る化合物を分離及び/または分析するための方法を指す。移動相は典型的には、不活性なガス(例えば、ヘリウム)または非反応性ガス(例えば、窒素)であるキャリアガスであり、固定相は典型的には、「カラム」として役立つガラス製または金属製管内部の不活性な固体支持体に配置された微視的液体またはポリマー層である。目的のガス状化合物がカラム内の固定相と相互作用するにつれて、それらは示差的に遅延して、異なる時間にカラムから溶出する。次いで、分離化合物を質量分析計に導入することができる。
一部の実施形態では、抗体ベースの方法を使用して、1種または複数のBMP種及び/またはGlcSphの存在量を検出する、及び/または測定する。適切な方法の非限定的例には、ELISA、免疫蛍光、及びラジオイムノアッセイ(RIA)技術が含まれる。ELISA、免疫蛍光、及びRIA技術を実行するための方法は、当技術分野で公知である。
試料が、検出のために十分な量でBMP及び/またはGlcSphを含んでいて、その存在量を測定することができる限り、任意の数の試料の種類を試験試料及び/または基準試料として、本開示の方法において使用することができる。非限定的例には、細胞、組織、血液(例えば、全血、血漿、血清)、体液(例えば、脳脊髄液、尿、気管支肺胞上皮洗浄液、リンパ液、精液、母液、羊水)、糞便、痰、またはそれらの任意の組合せが含まれる。適切な細胞型の非限定的例には、BMDM、血液細胞(例えば、PBMC、赤血球、白血球)、神経細胞(例えば、脳細胞、大脳皮質細胞、脊髄細胞)、骨髄細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、脾臓細胞、肺細胞、眼細胞(例えば、RPE細胞などの網膜細胞)、絨毛膜絨毛細胞、筋細胞、皮膚細胞、線維芽細胞、心臓細胞、リンパ節細胞、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、試料は、細胞の一部を含む。一部の実施形態では、試料を細胞または組織から精製する。精製試料の非限定的例には、エンドソーム、リソソーム、細胞外小胞(例えば、エキソソーム、マイクロベシクル)、及びそれらの組合せが含まれる。
一部の実施形態では、試料(例えば、試験試料及び/または基準試料)は、培養細胞である細胞を含む。非限定的例には、BMDM及びRPE細胞が含まれる。例えば、PBMCを含む試料を調達して、そこに含まれる単球を培養することにより、BMDMを得ることができる。
適切な組織試料種の非限定的例には、神経組織(例えば、脳組織、大脳皮質組織、脊髄組織)、肝臓組織、腎臓組織、筋肉組織、心臓組織、眼組織(例えば、網膜組織)、リンパ節、骨髄、皮膚組織、血管組織、肺組織、脾臓組織、心臓弁組織、及びそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、試験試料及び/または基準試料は、脳組織または肝臓組織を含む。一部の実施形態では、試験及び/または基準試料は血漿を含む。
XIII.核酸、ベクター、及び宿主細胞
本明細書に記載のとおりの融合タンパク質中に含有されるポリペプチド鎖を典型的には、組み換え方法を使用して調製する。したがって、一部の態様では、本開示は、本明細書に記載のとおりのプログラニュリン変異体、ポリペプチド、または融合タンパク質のいずれかをコードする核酸配列を含む単離核酸、及びその核酸が導入されていて、ポリペプチドをコードする核酸を複製する、及び/またはポリペプチドを発現するために使用される宿主細胞を提供する。一部の実施形態では、宿主細胞は真核、例えば、ヒト細胞である。
別の態様では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及びポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。前記ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であってよい。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはDNAである。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドはcDNAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはRNAである。
本開示は、配列番号98~108及び123~126のいずれか1つの配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離核酸を提供する。配列番号3~57、111~121、127、及び128のいずれか1つの配列を有するプログラニュリン変異体をコードする核酸配列を含む単離核酸も本明細書において提供する。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、核酸コンストラクト内に含まれる。一部の実施形態では、コンストラクトは、複製可能なベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、プラスミド、ウイルス性ベクター、ファージミド、酵母染色体ベクター、及び非エピソーム哺乳類ベクターから選択される。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、発現コンストラクト中の1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結している。一連の実施形態では、核酸発現コンストラクトを、表面発現ライブラリとして使用するために適応させる。一部の実施形態では、ライブラリを、酵母における表面発現のために適応させる。一部の実施形態では、ライブラリを、ファージにおける表面発現のために適応させる。別の一連の実施形態では、核酸発現コンストラクトを、ミリグラムまたはグラム量でのポリペプチドの単離を可能にするシステムにおけるポリペプチドの発現のために適応させる。一部の実施形態では、システムは、哺乳類細胞発現系である。一部の実施形態では、システムは酵母細胞発現系である。
組み換えポリペプチドを生成するための発現ビヒクルには、プラスミド及び他のベクターが含まれる。例えば、適切なベクターには、E.coliなどの原核細胞における発現では、次の種類のプラスミドが含まれる:pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、及びpUC由来プラスミド。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neo、及びpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適切な哺乳類発現ベクターの例である。別法では、ウシパピローマウイルス(BPV-1)、またはエプスタイン-バーウイルス(pHEBo、pREP由来、及びp205)などのウイルスの誘導体を、真核細胞におけるポリペプチドの一過性発現のために使用することができる。一部の実施形態では、バキュロウイルス発現系の使用により組み換えポリペプチドを発現させることが望ましいことがある。そのようなバキュロウイルス発現系の例には、pVL由来ベクター(pVL1392、pVL1393、及びpVL941など)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1など)、及びpBlueBac由来ベクターが含まれる。追加の発現系には、アデノウイルス性、アデノ随伴ウイルス、及び他のウイルス発現系が含まれる。
ベクターを任意の適切な宿主細胞に形質転換することができる。一部の実施形態では、宿主細胞、例えば、細菌または酵母細胞を、表面発現ライブラリとして使用するために適合させることができる。一部の細胞では、比較的大量のポリペプチドを発現させるために、ベクターを宿主細胞で発現させる。そのような宿主細胞には、哺乳類細胞、酵母細胞、昆虫細胞、及び原核細胞が含まれる。一部の実施形態では、細胞は、CHO細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、NS0細胞、Y0細胞、HEK293細胞、COS細胞、Vero細胞、またはHeLa細胞などの哺乳類細胞である。特定の実施形態では、細胞はCHO細胞である。
本明細書に記載の融合タンパク質のための1つまたは複数のプログラニュリン変異体をコードする発現ベクターをトランスフェクトされた宿主細胞は、1つまたは複数のポリペプチドの発現が生じることを可能にする適切な条件下で培養することができる。ポリペプチド(複数可)が分泌されて、細胞とポリペプチド(複数可)を含有する培地との混合物から単離され得る。別法では、ポリペプチド(複数可)は、細胞質中に、または膜分画中に保持され、所望の方法を使用して、細胞を採取し、溶解し、単離されたポリペプチド(複数可)を単離することができる。
XIV.医薬組成物及びキット
他の態様では、本開示によるプログラニュリン変異体または融合タンパク質を含む医薬組成物及びキットを提供する。
医薬組成物
本開示において使用するための製剤を調製するためのガイダンスは、当業者に知られている医薬調製及び処方のための任意の数のハンドブックにおいて見い出すことができる。
一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載のとおりのプログラニュリン変異体または融合タンパク質を含み、かつさらに、1種または複数の薬学的に許容される担体及び/または添加剤を含む。薬学的に許容される担体には、生理学的に適合性であり、かつ活性薬剤の活性を妨害しないか、または別段に阻害しない任意の溶媒、分散媒体、またはコーティングが含まれる。
プログラニュリン変異体または融合タンパク質は、注射による非経口投与のために製剤化することができる。典型的には、インビボ投与において使用するための医薬組成物は無菌であり、例えば、熱減菌、蒸気減菌、滅菌濾過、または照射されている。
本明細書に記載の医薬組成物の投薬量及び所望の薬物濃度は、構想されている特定の使用に応じて変化し得る。
キット
一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体または融合タンパク質を含む、神経変性疾患(例えば、FTD、NCL、NPA、NPB、NPC、C9ORF72関連ALS/FTD、孤発性ALS、AD、ゴーシェ病(例えば、ゴーシェ病2及び3型)、及びパーキンソン病)、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、及びAMD、及びプログラニュリン関連障害)を処置する際に使用するためのキットを提供する。
一部の実施形態では、キットはさらに、1種または複数の追加の治療薬を含む。例えば、一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載のとおりのプログラニュリン変異体または融合タンパク質を含み、さらに、本明細書に記載のいずれかの疾患または障害(例えば、神経変性疾患(例えば、FTD))の処置において使用するための1種または複数の追加の治療薬を含む。一部の実施形態では、キットはさらに、本明細書に記載の方法を実行するための用法(すなわち、プロトコル)を含む指示用資料(例えば、プログラニュリン変異体を含む融合タンパク質を投与するためにキットを使用するための指示書)を含む。指示用資料は典型的には、文書によるか、または印刷された資料を含むが、それらは、そのようなものに限定されない。そのような指示を保存し、かつ、それらをエンドユーザーに伝達することができる任意の媒体を本開示は企図している。そのような媒体には、これらに限定されないが、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD-ROM)などが含まれる。そのような媒体には、そのような指示用資料を提供するインターネットサイトのアドレスも含まれ得る。
XV.適応症
一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を、1つの神経変性疾患または複数の神経変性疾患を処置するために使用する。例えば、本明細書に記載の融合タンパク質は、AD、原発性加齢性タウオパチー、レビー小体型認知症、進行性核上麻痺(PSP)、FTD、染色体17番に連鎖したパーキンソン症候群を伴うFTD、嗜銀顆粒性認知症、ALS、グアム島のALS/パーキンソン症候群-認知症複合(ALS-PDC)、大脳皮質基底核変性症、慢性外傷性脳症、クロイツフェルト-ヤコブ病、ボクサー認知症、石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病、ダウン症候群、家族性イギリス型認知症、家族性デンマーク型認知症、ゲルストマン-シュトラウスラー-シャインカー病、球状グリア性タウオパチー、認知症を伴うグアドループ島パーキンソン症候群、グアドループ島PSP、ハレルフォルデン-スパッツ病、スフェロイドを伴う遺伝性びまん性白質脳症(HDLS)、封入体筋炎、多発性萎縮症、筋強直性ジストロフィー、那須-ハコラ病、神経原線維変化優位型認知症、NPC、パリド-ポント-黒質変性症、パーキンソン病、ピック病、脳炎後パーキンソン症候群、プリオンタンパク質脳アミロイドアンギオパチー、進行性皮質下グリオーシス、亜急性硬化性全脳炎、及び神経原線維変化型認知症からなる群から選択される1つまたは複数の神経変性疾患を処置するために使用することができる。
いくつかの神経変性疾患は、細胞及び生体機能障害、さらには臨床的異常を最終的にもたらす非消化または部分的に消化された高分子の蓄積により特徴づけられるリソソーム貯蔵障害が原因であるか、またはそれに関連し得る。リソソームの貯蔵障害は、蓄積した基質の種類により定義され、コレステロール貯蔵障害、スフィンゴ脂質蓄積症、オリゴ糖代謝異常、ムコリピドーシス、ムコ多糖症、リポタンパク質貯蔵障害、神経セロイドリポフスチン症などと分類され得る。場合によっては、リソソームの貯蔵障害には、リソソーム酵素の正常な翻訳後修飾に必要なタンパク質、または適正なリソソーム輸送に重要なタンパク質などの高分子の蓄積をもたらすタンパク質の不足または欠失も含まれる。リソソーム貯蔵障害が原因であるか、またはそれに関連し得る神経変性疾患の例には、例えば、FTD、NCL、NPA、NPB、NPC、C9ORF72関連ALS/FTD、孤発性ALS、AD、ゴーシェ病(例えば、ゴーシェ病2及び3型)、及びパーキンソン病が含まれる。一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を使用して、例えば、前述の神経変性疾患のいずれかを含むリソソーム貯蔵障害が原因であるか、またはそれに関連する神経変性疾患を処置する。
他の障害の例には、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、及びAMDが含まれる。そのような障害は、本明細書に記載のプログラニュリン変異体または融合タンパク質の投与から利益を受け得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を使用して、FTDを処置する。FTDは、進行性神経変性障害である。FTDは、前頭葉及び側頭葉の選択的関与を示す幅広い臨床的、病的、及び遺伝的に不均一な疾患を含む(Gazzina et al.,Eur J Pharmacol.817:76-85,2017)。FTDの臨床症状には、行動及び人格の変化、前頭葉実行欠損、及び言語機能障害が含まれる。臨床的表現型の相違に基づき、行動障害型FTD(bvFTD)、及び非流暢性/失文法性亜型PPA(avPPA)または意味性亜型PPA(svPPA)のいずれかであり得る原発性進行性失語症(PPA)などの種々の症状が同定されている。これらの臨床症状は、大脳皮質基底核症候群(CBS)、進行性核上麻痺(PSP)、及びALSなどの非定型パーキンソン症候群とも重複し得る(Gazzina et al.,Eur J Pharmacol.817:76-85,2017)。FTDは、ニューロン及び星状細胞におけるタウ病変またはニューロンにおける細胞質ユビキチン封入体を含む様々な神経病理学的特徴に関連する。43kDa(TDP-43)の分子量を有するトランス活性化DNA結合タンパク質は、FTD、さらにはALSの症例の大部分において蓄積する最も顕著なユビキチン化タンパク質病変である(Petkau and Leavitt、前出)。FTDは、早発性認知症の重大な原因であり、症例の最高80%が45から64歳の間に現れる。この疾患は、有意な家族性要素も示し、症例の約30~50%で疾患の家族歴が報告されている(Petkau and Leavitt、前出)。
一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を使用して、GRNの変異に関連するか、またはそれに随伴する障害を処置する。いくつかの遺伝子がFTDに関連しているが、FTDにおいて最も頻繁に変異している遺伝子の1つがGRNであり、これは、ヒト染色体17q21に位置し、システインリッチなタンパク質プログラニュリン(プロエピセリン及びアクログラニンとしても公知)をコードする。最近の推定では、GRN変異は、家族歴が陽性であるFTD患者の5~20%及び孤発性症例の1~5%を占めることが示唆されている(Rademakers et al.、前出)。GRN関連FTDにおける神経変性及び疾患プロセスの根底にある正確な分子及び細胞機構は未知であるが、患者の脳の組織分析と組み合わせたGRNノックアウトマウスの表現型特性決定により、炎症及びリソソーム欠損の両方が疾患の中核であることが示唆されている(Kao et al.,Nat Rev Neurosci.18(6):325-333,2017)。実際に、大量のグリオーシスが患者の皮質領域に存在し(Lui et al.,Cell.165(4):921-35,2016)、リソソーム障害を示すリソソーム色素であるリポフスチンが、発症前個体及び患者の両方を含む変異GRN保因者の眼及び皮質において報告されている(Ward et al.,Sci Transl Med.9(385),2017)。
70を超えるGRN疾患変異が報告されていて、遺伝子全体にマッピングされており、その結果として、それらは機能喪失(LOF)アレルであると確認または予測されている(Ji et al.J Med Genet.54:145-154,2017)。FTDに関連する多くのヘテロ接合変異は、主にナンセンスmRNA崩壊の結果としてのmRNAレベルの約50%の低下、及び匹敵するプログラニュリンタンパク質レベルの低下を引き起こす(Petkau and Leavitt,前出;Kao et al.、前出)。低レベルのプログラニュリンは、発症前個体を含む保因者の血液(血清)及び脳脊髄液(CSF)においても見い出される(Finch et al.,Nat Rev Neurosci.18(6):325-333,2017;Goossens et al.,Alzheimers Res Ther.10(1):31,2018;Meeter et al.,Dement Geriatr Cogn Dis Extra.6(2):330-340,2016)。したがって、ハプロ不全がGRN関連FTDにおける主な疾患機構であると考えられ、保因者においてプログラニュリンレベルを上昇させる治療アプローチがFTDの発症年齢、さらには、進行を遅延させ得ることを示唆している(Petkau and Leavitt、前出;Kao et al.、前出)。この見解は、遺伝子TMEM106Bの変異体がプログラニュリンのレベルを25%上昇させ、かつGRN関連FTDの発症時期を13年遅延させることを示すヒト遺伝子研究により裏付けられている(Nicholson and Rademakers,Acta Neuropathol.132(5):639-651,2016)。
ホモ接合型GRN変異も報告されているが、保因者は、リソソーム貯蔵障害であるNCL(バッテン病;生児出生100,000あたり発生率1~2.5;Cotman et al.,Curr Neurol Neurosci Rep.13(8):366,2013)として公知のかなり異なる臨床表現型を表す(Smith et al.,Am J Hum Genet.90(6):1102-7,2012;Almeida et al.,Neurobiol Aging.41:200.e1-200.e5,2016)。GRNは実際に、NCLに関連すると報告されている14の神経セロイドリポフスチン症(CLN)遺伝子のうちの1つであり、GRNは、CLN11としても公知である(Kollmann et al.,Biochim Biophys Acta.1832(11):1866-81,2013)。本明細書に記載のプログラニュリン変異体または融合タンパク質は、抗炎症特性及びリソソーム機能の増強を示し得、そのいずれも、NCLにおいて有利であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を使用して、NCLを処置することができる。
GBA遺伝子にホモ接合型変異を保有するゴーシェ病の患者は、それらの血清において低レベルのプログラニュリンを有する(Jian et al.,EBioMedicine 11:127-137,2016)。GBAにヘテロ接合型変異を有するパーキンソン病患者も、低レベルのプログラニュリンを有することがある。一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を使用して、ゴーシェ病またはパーキンソン病を処置することができる。
GRNにおける変異体は、ADに関連しており(Rademakers et al.,前出;Brouwers et al.,Neurology.71(9):656-64,2008;Lee et al.,Neurodegener Dis.8(4):216-20,2011;Viswanathan et al.,Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet.150B(5):747-50,2009)、かつTDP-43病変はAD患者の脳において共通している(Youmans and Wolozin,Exp Neurol.237(1):90-5,2012)。プログラニュリン遺伝子送達は、ADのマウスモデルにおいてアミロイド負荷量を減少させることも示されている(van Kampen and Kay,PLoS One.12(8):e0182896,2017)。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を使用して、ADを処置することができる。
NPA及びNPBは、酸性スフィンゴミエリナーゼ(SMPD1)をコードする遺伝子における変異から生じる。NPCは、コレステロール輸送に関係する遺伝子、すなわち、NPC1及びNPC2における変異から生じる(Kolter and Sandhoff,Annu Rev Cell Dev Biol.21:81-103,2005;Kobayashi et al.,Nat Cell Biol.1(2):113-8,1999)。一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を使用して、NPA、NPB、及び/またはNPCを処置することができる。
大部分のALS症例が、TDP-43病変を示し、これは、GRN変異を持つ患者とも共有される(Petkau and Leavitt,Trends Neurosci.37(7):388-98,2014;Rademakers et al.,Nat Rev Neurol.8(8):423-34,2012)。すべてのALS症例のうちでも、C9ORF72遺伝子内のGGGGCCリピート伸長が、ALSの最も共通する原因及びFTDの重大な原因である。北米及び欧州の個体群において報告された平均変異頻度は、家族性ALSで37%、孤発性ALSで6%、家族性FTDで21%、かつ孤発性FTD患者で6%である(Rademakers et al.、前出)。加えて、GRN関連FTDにおいて防護的であるTMEM106B変異体は、C9ORF72遺伝子においてリピート伸長を保有するFTD患者においても防護的である(van Blitterswijk et al.,Acta Neuropathol.127(3):397-406,2014)。一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を使用して、例えば、リソソーム機能を促進する、及び/または炎症を減少させることにより、C9ORF72関連ALS/FTDにおけるTDP-43病変を減少させることができる。
AMDは、変性疾患であり、先進国における失明の主原因である。これは、網膜の中心近傍の小さな点であり鮮明な中心視覚に必要な眼の一部である黄斑に、損傷を引き起こす。眼内の変性変化及び視覚の喪失は、リソソーム機能の障害及び網膜後部の有害なタンパク質の蓄積に起因し得る(Viiri et al.,PLoS One.8(7):e69563,2013)。疾患が進行するにつれて、中心視覚領域における網膜の感覚細胞が損傷し、中心視覚の喪失に至る。一部の実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体及び融合タンパク質を使用して、AMDを処置することができる。
XVI.治療方法
本明細書に記載のプログラニュリン変異体または融合タンパク質を使用して、神経変性疾患(例えば、FTD、NCL、NPA、NPB、NPC、C9ORF72関連ALS/FTD、孤発性ALS、AD、ゴーシェ病(例えば、ゴーシェ病2型及び3型)、及びパーキンソン病)、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、AMD、またはプログラニュリン関連障害を治療的に処置することができる。
本明細書に記載のプログラニュリン変異体または融合タンパク質を対象に、治療有効量または用量で投与することができる。投薬量は、投与頻度、選択された投与経路、組成物の処方、患者応答、状態の重症度、対象の体重、及び処方医の判断を含む複数の因子により変化し得る。投薬量は、個々の患者による必要に応じて、経時的に増加または減少させることができる。一部の実施形態では、患者は最初に低用量を与えられ、次いでこれを、患者に許容される有効な投薬量まで増加させる。
様々な実施形態では、本明細書に記載のプログラニュリン変異体または融合タンパク質を任意の経路により投与する。一部の実施形態では、前記タンパク質を非経口送達により投与する。一部の実施形態では、前記タンパク質を静脈内投与する。一部の実施形態では、前記タンパク質を腹腔内送達により投与する。
XVII.実施例
本開示を、具体的な例により、さらに詳細に記載することとする。次の実施例は、例示を目的として提供するものにすぎず、本開示を何らかの手法で限定することを意図したものではない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更または改変することができる様々な重大ではないパラメーターを容易に認めるであろう。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して確度を保証する努力は成されているが、多少の実験誤差及び偏差が存在し得る。本開示の実行では、別段に示されていない限り、当技術分野の技能の範囲内のタンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術及び薬理学の従来の方法を用いることとする。そのような技術は、文献において完全に説明されている。加えて、ある特定のライブラリに適用されたとおりの操作方法を、本明細書に記載の他のライブラリにも適用することができることは当業者には明らかであるはずである。
実施例1.組み換えFc二量体:PGRN融合タンパク質の発現及び精製
組み換えFc二量体:PGRN融合タンパク質を発現させるために、PEIMax(MW40,000、Linear、Polysciences)を1:4のDNA(μg)対PEI(μL)の比で用いるGlutamine Synthetase(GS)ノックアウトチャイニーズハムスター卵巣(CHO)K1細胞(Horizon Discovery)の一過性トランスフェクションにより、コンストラクトを発現させた。細胞を初めに増殖させ、かつBalanCD Transfectory CHO(Irvine Scientific)中で、37℃でトランスフェクトした。トランスフェクション後に、細胞培養温度を32℃にシフトさせ、培養の持続期間を5%CO及び湿度80%で、オービタルシェーカー(Infors Multitron)内で維持した。栄養素供給物であるBalanCD CHO Feed 4(Irvine Scientific)を培養の1日目に、初期培養体積の20%で添加した。7日後に、タンパク質を遠心により採取し、続いて、0.22um PESフィルターを用いて濾過した。
HEK細胞で発現される融合タンパク質については、Expi293(Thermo-Fisher)において、製造者指示(Thermo-Fisher)に従ってExpifectamine(商標)293/プラスミドDNA複合体を細胞に、密度2×10細胞/mLでトランスフェクトした。トランスフェクション後に、細胞を37℃で、CO6~8%の加湿雰囲気で、オービタルシェーカー(Infors HT Multitron)内でインキュベートした。トランスフェクション後1日目に、Expifectamine(商標)トランスフェクション促進剤1及び2を培養物に添加した。培地上清をトランスフェクションから96時間後に遠心により採取した。清澄化上清に、EDTA非含有プロテアーゼ阻害薬(Roche)を補充し、-80℃で貯蔵した。
組み換え融合タンパク質精製のために、清澄化培地上清をHiTrap MabSelect Prisma Protein Aアフィニティーカラム(GE Healthcare Life Sciences)に負荷し、0.5M NaClを含むPBS緩衝液、pH7.4中0.5%(v/v)Triton X-100)で洗浄した。融合タンパク質を、100mM NaClを含む50mMクエン酸緩衝液、pH3.5~3.6で溶離した。アフィニティーカラムからの溶離液を(1)1×PBSの最終緩衝液へのタンデム緩衝液交換(tandem buffer exchange)のために、HiTrap(登録商標)脱塩カラム(GE Healthcare Life Sciences)に負荷するか、または(2)溶離液のpHを調節するために、アルギニン-コハク酸緩衝液(1Mアルギニン、685mMコハク酸、pH5.0)を添加することにより中和した。ある特定の融合タンパク質では、アフィニティーカラムからの溶離液を、カチオン交換カラム(SP HP、HiTrap(商標))に負荷して、200mM NaCl、pH5.0でカラムを洗浄することによりさらに処理した。次いで、融合タンパク質を、20カラム体積超のNaCl溶液の勾配(200mM~500mM)を適用することによりカラムから溶離した。次いで、タンパク質95%超を含有する画分を一緒にプールした。プールした画分に、硫酸アンモニウムを約1Mの最終濃度まで添加し、その後、溶液を、疎水性相互作用カラム(Butyl HP、HiTrap(商標))に負荷した。カラムを0.1Mクエン酸緩衝液中1M硫酸アンモニウム、pH6.0で洗浄し、20カラム体積超の硫酸アンモニウムの勾配(1Mから0へ)を適用することにより、タンパク質を溶離した。タンパク質95%超を含有するプールした画分を合わせ、スクロース6%を含有する10mMリン酸ナトリウム緩衝液中で透析した。精製タンパク質を10mMリン酸ナトリウム、スクロース6%、pH6.5で得た。下の表2及び3は、例示的な融合タンパク質の配列を示している。
図1A及びBは、融合タンパク質が純度98%超まで精製されたことを示す代表的なデータを含む。
(表2)Fc二量体:PGRN融合タンパク質の配列
Figure 2023507846000011
(表3)Fc二量体:PGRN融合タンパク質の追加の配列
Figure 2023507846000012
Figure 2023507846000013
実施例2.Fc二量体:PGRN融合タンパク質のC末端切断のトップダウン質量分析
Exactive plus EMR質量分析計に連結されたThermo Ultimate 3000 UHPLCを使用して、ペプチドマッピングにより、またはトップダウン質量分析法により、CHO細胞から発現されて精製されたインタクトなFc二量体:PGRN融合タンパク質を測定した。比較のために、HEK293細胞またはCHO細胞で発現された野生型PGRN配列を含有する融合タンパク質(融合体11)も評価した。
トップダウン質量分析
PBS緩衝液または配合緩衝液(10mMリン酸緩衝液、pH6.5、6%スクロース)中のおよそ10μgの試料を分析のために注入した。Thermo MabPAC RPカラム(4μm、2.1×50mm、P/N88648)を用いて、55℃のカラム温度で、HO中の0.1トリフルオロ酢酸(TFA)の移動相(A)及びアセトニトリルの移動相(B)を0.3mL/分の流速で用いて、液体クロマトグラフィー(LC)を実行した。勾配を(B)20%で開始し、(B)70%まで増加させ、その後、(B)20%に戻した。214nm及び280nmでUV/Visを用いて、検出を実施した。EMR質量分析計を2つのAll Ion Fragmentation Analysis(AIF)スキャンで操作した。
第1のAIF設定:スキャン範囲350~5000m/z。CE:25。インソースCID 90ev。解像度設定:17,500及びAGCターゲット3e6、最大IT:200ms。マイクロスキャン:1。
第2のAIF設定:スキャン範囲350~5000m/z。CE:200。インソースCID 90ev。解像度設定:35,000及びAGCターゲット1e6、最大IT:200ms。マイクロスキャン:5。
エレクトロスプレーイオン化(ESI)源条件:シースガス流速:25、Auxガス速度:4。スプレー電圧3kV、キャピラリー温度325℃、SレンズRFレベル125。Auxガスヒーター温度300℃。EMRモード、オン。捕捉ガス圧設定2.0。
トップダウン気相反応は、PGRNのC末端の切断を、アスパラギン酸(D)及びプロリン(P)(これらは、配列番号2の569位及び570位に対応する)のアミノ酸の間で誘導して、異なるプログラニュリン変異体の別個のC末端配列に対応する配列を有する7アミノ酸長のインタクトなペプチドを生成した。切断されたペプチドは、C末端からの連続喪失を呈した。ペプチドXICピークを、20ppm(百万分率)を使用して抽出し、曲線下面積(AUC)を使用して、全タンパク質に対するインタクトなタンパク質のパーセンテージを計算した。
ペプチドマッピング分析
試料を調製するために、50mM炭酸水素塩(pH7.8)中のおよそ40μgの試料をAspN(New England Biolabs、Cat.P8014S)と共に、1:40(w/w)の酵素:タンパク質比で、30分間にわたって37℃でインキュベートした。ギ酸(1%)を添加して反応をクエンチし、試料を分析のためにLCMSバイアルに移した。UV/Vis及びQ Exactive Orbitrapエレクトロスプレーイオン化質量分析計(Thermo Scientific、CA,USA)に連結されたUHPLC Vanquish(Thermo Scientific、CA,USA)での液体クロマトグラフィーにより、ペプチドマッピング分析を実行した。各分析のために、0.20mL/分の流速を用いて、40℃で、陽イオン化モード下で、試料25μLをCSH C18 1.7μm、2.1×150mmカラム(Waters)に注入した。移動相Aは、0.1%ギ酸を含む水からなり、移動相Bは、0.1%ギ酸を含むアセトニトリルからなった。勾配を(B)1%で開始し、50分かけて3ステップで(B)1%から10%、(B)10%から40%まで、及び(B)40%から70%まで増加させ、その後、(B)1%に戻した。UV/Visトレースを280及び214nmの波長で記録し、ポジティブモード下でのFull MS-ddMS2捕捉を使用して、データを収集した。ピーク面積を使用して、インタクトなペプチド及び切断されたペプチドのパーセンテージを計算した。
下の表4は、融合体1の95%超が、インタクトなC末端を有し、かつ融合体2の80%超が、インタクトなC末端を有することを示している。短縮型融合タンパク質(例えば、C末端で1~3個のアミノ酸を失っている融合タンパク質)の存在は、5%未満(融合体1)及び20%未満(融合体2)であった。表4において、「-L」、「-IL」、「-PIL」、「-FL」、及び「-PFL」は、融合タンパク質から切断された末端アミノ酸を指す。追加の融合タンパク質でのデータは、表8A及び8Bにおいて見い出すことができる。基準点として、HEK細胞で発現された場合、野生型PGRNを含有する融合タンパク質(融合体11)の約95%がインタクトなままであった一方で、CHO細胞で発現された場合、融合体11の7%がインタクトなままであった。
(表4)
Figure 2023507846000014
実施例3.熱安定性及び凍結解凍安定性
融合タンパク質の熱安定性をPrometheus機器(NanoTemper)により測定した。溶融プロファイル(T、Tonset)を作成するために、内部蛍光を使用して、温度上昇中のタンパク質をモニタリングする。融合体1及び融合体2での結果を図2に例示する。
融合タンパク質に対して凍結解凍分析を行った。簡単に述べると、タンパク質試料をドライアイス上で約10分間にわたってインキュベートし、その後、試料を室温にして、30分間インキュベートした。その凍結解凍サイクルを5回繰り返し、その後、試料を4℃にし、SEC-HPLC(Waters BEH SECカラム、200Å 1.7μm、30cm、10%(v/v)エタノールを含む2×PBSの移動相を使用、流速0.2mL/分)を使用して分析した。融合体1及び融合体2の結果は図3に図示されている。
融合体1及び融合体2で得られた結果(図2及び3)は、その2つの融合タンパク質が良好な熱安定性及び良好な凍結解凍安定性を有することを示している。
実施例4.ソルチリンへの組み換えFc二量体:PGRN融合タンパク質の結合
GE Healthcare Biacore 8K機器で、Series S Sensor Chip CM5及びHBS-EP+泳動緩衝液を用いて25℃で、すべての表面プラスモン共鳴(SPR)実験を実行した。ソルチリンについてのFc二量体:PGRN融合タンパク質の結合親和性を測定するために、GE Healthcare Human Antibody Capture Kit(ヒトソルチリン用)またはBiacore(商標)Sensor Chip Protein A(カニクイザル及びマウスソルチリン用、Cytiva、#29127555)で固定化されたセンサーチップを用いて、融合タンパク質を捕捉した。マルチサイクルキネティクスを0.4nM~100nMの範囲のソルチリン分析物の3倍濃度系列で用いて、300秒の接触時間、600秒の解離時間、及び30μL/分の流速を可能にした。1:1キネティクスモデルを使用して、ソルチリン結合の結合キネティクスを評価した。ソルチリンへのFc二量体:PGRN融合タンパク質のBiacore結合データは、下の表5~7に示されている。ソルチリン分析物は次のとおり供給された:ヒトソルチリン(R&D Systems);マウスソルチリン(R&D Systems);カニクイザルソルチリン(社内、UniProt A0A2K5VHG2に基づく)。
表5に示されているとおり、融合体1は、融合体2と比べてヒトソルチリンについて強い親和性を示した。HEK細胞で発現される野生型PGRNを含有する融合タンパク質(融合体11)に対して、融合体1は、融合体2(およそ14倍)よりも、ヒトソルチリンについて、結合親和性のより小さな低下(およそ3倍)を示した。ヒトソルチリン結合親和性の低下は、野生型PGRN融合タンパク質と比べて、融合体1及び融合体2の両方についての急速なオフレートキネティクスから生じていると考えられる。HEK細胞で発現される野生型PGRN融合タンパク質(融合体11)に対して、融合体1は、マウスソルチリンについてはほぼ同じ結合親和性、及びカニクイザルソルチリンについては約2~3倍弱い結合親和性を示した。
(表5)ヒトソルチリン結合
Figure 2023507846000015
(表6)マウスソルチリン結合
Figure 2023507846000016
(表7)カニクイザルソルチリン結合
Figure 2023507846000017
追加の融合タンパク質のソルチリン結合をSPR(前出に記載)により、または固定化ソルチリンへのFc二量体:PGRN融合タンパク質の結合を測定する標準的な比色ELISAアッセイにより分析した。ELISAにより測定するために、組み換えHisタグ付きソルチリン(R&D Systems、Cat.3154-ST-050)を、ニッケルコーティングされた96ウェルプレート上に固定化した。インタクトなタンパク質及びC末端切断されたタンパク質の混合物を含有する融合タンパク質(表8A及び8B中の「インタクト%」)を系列希釈法で3%BSA/TBST中で希釈して、コーティングされたウェルに添加した。融合タンパク質と共に室温で2時間にわたってインキュベートした後に、ウェルをTBSTで洗浄した。3%BSA/TBST中で希釈された抗ヒトIgG抗体(ヤギ抗ヒトIgG HRP抗体、Jackson ImmunoResearch Cat.109-035-088)と共に、室温で1時間にわたってインキュベートすることにより、結合した融合タンパク質を検出した。検出抗体と共にインキュベートした後に、ウェルをTBSTで洗浄し、TMB溶液(Surmodics、Cat.TMBW-1000-01)と共に5分間にわたってインキュベートした。顕色反応を450nM停止液(Surmodics,Cat.LSTP-1000-01)で停止し、BioTek Synergy Plate Reader(Model Neo2)を使用して、吸光度を450nmで測定した。例示的な融合タンパク質での結果を表8A及び8Bに提示する。示されている場合を除いて、表8A及び8Bに列挙されているすべての融合タンパク質はCHO細胞から発現させた。
(表8A)
Figure 2023507846000018
(表8B)
Figure 2023507846000019
融合体30、33、40、43~51、53、55~59、61、62~67、69、71、及び72は、SPRにより測定すると、ソルチリン結合をほとんど示さないか、まったく示さなかった。
融合体1及び融合体2を、ヒトTfRへの結合について表面プラスモン共鳴(SPR)によってもアッセイした。表面プラスモン共鳴(SPR)実験を、GE Healthcare Biacore 8K機器で、Series S Sensor Chip CM5及びHBS-EP+泳動緩衝液を用いて25℃で実行した。hTfRについての融合タンパク質の結合親和性を測定するために、センサーチップにストレプトアビジンを固定化し、ビオチン化-AviTag-hTfRを捕捉した。シングルサイクルキネティクスを、25nM~2μMの範囲である3倍濃度系列の融合タンパク質分析物で用いて、80秒の接触時間、180秒の解離時間、及び30μL/分の流速を可能にした。定常状態親和性モデルを使用して、融合タンパク質が約50nM~150nMの親和性でhTfRに結合し得ることを実証した。
実施例5.インビトロ機能アッセイ
Trouplin et al.J.Vis.Exp.2013(81)50966においてと同様の方法を用いて、BMDMを、GRN KO/hTfR.KIマウスの骨髄からインビトロで得たが(下記)、組み換えM-CSFを細胞増殖培地に直接添加して、分化を誘導した。48時間にわたって、片対数タイトレーションでの融合体11、融合体1、及び融合体2で、BMDMを処理した。細胞脂質を、内部標準混合物を含有するメタノールの添加により抽出し、BMP存在量を、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS/MS)によりQ-trap 6500(SCIEX)で測定した。GRN KO/hTfR.KI BMDMは、GRN WT/hTfR.KI BMDMと比べて、BMP36:2の約2.5倍の増加を有した。融合体1及び融合体2の両方が、同等の有効性で、用量依存的にBMP蓄積を回復させた(図5)。野生型PGRNを含有する融合タンパク質(融合体11)と比べて、融合体1は、非常に類似したインビトロ効力を示した。
液体クロマトグラフィー-質量分析法
BMP分析を、エレクトロスプレー質量分析法(Sciex 6500+ QTRAP、Sciex、Framingham、MA、USA)に連結された液体クロマトグラフィー(Shimadzu Nexera X system、Shimadzu Scientific Instrument、Columbia、MD、USA)により実行した。各分析で、試料5μLを、0.40mL/分の流速を使用して55℃でBEHアミド1.7μm、2.1×150mmカラム(Waters Corporation、Milford、Massachusetts、USA)上に注入した。移動相Aは、10mMギ酸アンモニウム+0.1%ギ酸を含む水からなった。移動相Bは、0.1%ギ酸を含むアセトニトリルからなった。勾配を次のとおりにプログラムした:B95%で0.0~1.0分;1.0~7.0分でB50%に;7.0~7.1分でB95%に;及びB95%で7.1~12.0分。エレクトロスプレーイオン化を、次の設定を用いて陰イオンモードで実行した:カーテンガスは25;衝突ガスは中等度に設定;イオンスプレー電圧は-4500;温度は600;イオン源ガス1は50;イオン源ガス2は60;衝突エネルギーは-50、CXPは-15;DPは-60;EPは-10;滞留時間は20ms。Analyst 1.6.3(Sciex)を多重反応モニタリングモード(MRM)で、以前に記載されたもの(Ullman et al.2020.Sci Transl Med 12(545):eaay1163)と同様の収集パラメーターで使用して、データ収集を実行した。MRM遷移パラメーターを用いて、BMP種を検出した。内部標準としてBMP(14:0_14:0)を使用して、BMP種を定量化した。BMP種をそれらの保持時間及びMRM特性に基づき同定した。同位体重複について補正した後に、MultiQuant 3.02(Sciex)を用いて、定量化を実行した。BMP種を総タンパク質量、組織重量または生物体液体積のいずれかに対して正規化した。ビシンコニン酸(BCA)アッセイ(Pierce、Rockford、IL、USA)を使用して、タンパク質濃度を測定した。
プリカーサー(Q1)[M-H]及びプロダクトイオン(Q3)m/z遷移を使用して、BMP種を測定した。本明細書では、略語を使用して、2つの側鎖を有する種に言及するが、その際、脂肪酸側鎖の構造を、BMPフォーマットの括弧内に示す(例えば、BMP(18:1_18:1))。数字は、脂肪酸炭素原子の数:二重結合の数の標準的な脂肪酸表記フォーマットに従っている。別法では、BMP種は、一般的に、炭素原子の総数:二重結合の総数により言及され得;同様の値を有する種は、それらのQ1及びQ3値により識別され得る。
実施例6.GRN KO/hTfR.KIマウスにおいて融合タンパク質はBBBを通過して、関連する薬力学的エンドポイントを補正する
BBBを通過するその能力を試験するために、融合体1(表2)を、hTfR KIマウスと交雑させたGRN KOマウス(Jackson Laboratory、Stock No.013175)(GRN KO/hTfR.KIマウス)に、尾静脈を介して注射した。hTfR KIマウスは国際特許公開WO2018152285に記載されている。GRN KO/hTfR.KIマウスを作製するために、第1のラウンドの交配で、GRNヘテロ接合型(GRN HET)マウスをTfRms/huKIホモ接合型(TfRms/hu.KI HOM)マウスと交雑させて、GRN HET×TfRms/hu.KI HET後代を作製した。次いで、GRN HET×TfRms/hu.KI HETマウスをTfRms/hu.KI HOMマウスと交雑させて、この第2のラウンドでGRN HET×TfRms/hu.KI HOM後代を得た。第3の最終ラウンドの交配で、GRN HET×TfRms/hu.KI HOMマウスをGRN HET×TfRms/hu.KI HOMマウスと交雑させて、最終のGRN KO×TfRms/hu.KI HOMマウスを作製し、それをこの研究で使用した。
2~3か月齢のGRN KO/hTfR.KIマウスに、単回用量の滅菌生理食塩水(ビヒクル)または0.5、1.5、5、もしくは15mg/kgの融合体1を、尾静脈を介して静脈内投与した。血漿単離のために、投与後3日目に、マウスから、顎下採血により採血した。投与後7日目に、マウスをアベルチンで鎮静させ、心臓穿刺を実行して、血漿単離のために全血を収集した。動物を、5mL/分の速度で、5~8分にわたって、または肝臓から血液が除去されるまで、冷却した1×PBSで経心的に潅流した。肝臓及び脳の左半球の一部分100mgを収集した。血液試料を4℃にて1000×gで遠心し、その後、上部血漿層を取り出し、ドライアイスで瞬間凍結し、下記のとおり分析するまで-80℃以下で貯蔵した。すべての組織試料を直ちにドライアイスで瞬間凍結し、下記のとおり分析するまで-80℃以下で貯蔵した。
(表9)研究設計/実験群
Figure 2023507846000020
組織試料において融合タンパク質含有率を測定するために、組織試料を秤量し、1×プロテアーゼ阻害薬(Roche)及び1×ホスファターゼ阻害薬(Roche)を補充された10倍重量体積(volume by weight)の細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technologies;20mMトリス-HCl pH7.5、150mM NaCl、1mM NaEDTA、1mM EGTA、1%Triton、2.5mMピロリン酸ナトリウム、1mMベータ-グリセロホスファート、1mM NaVO、及び1μg/mLロイペプチン)中で均質化した。TissueLyzerを3mm金属ビーズと共に2×3分間にわたって29Hzで使用して、試料を均質化した。均質化の後に、テーブルトップ型遠心分離器で、最大速度で、20分間にわたって4℃で試料を回転させた。上清を新たな管に移し、上清の一部をFc-PGRN ELISAアッセイ(Fc捕捉及びPGRN検出ELISA)及びFc-Fc ELISAアッセイ(Fc捕捉及びFc検出ELISA)により分析した。
試料でのBMP分析を実施例5に記載されているとおりに実施した。
可溶性TREM2(sTREM2)レベルを次のとおりに測定した:Trem2アッセイのために、1μg/mLビオチン化ヒツジ抗マウス抗体(R&D Systems BAF1729)で終夜、4℃でコーティングすることにより、MSD GOLD 96wスモールスポットストレプトアビジンプレート(MSD L45SA)を調製した。翌日、MSDプレートを、トリトンを含むトリス緩衝生理食塩水(TBST)ですすぎ、かつ2時間にわたって、TBST中3%ウシ血清アルブミンを用いて、600rpmで振盪しながらブロックした。MSDプレートを再び、TBSTですすぎ、脳溶解産物を遮断溶液中で5倍希釈し、MSDプレートに添加して、1時間にわたって600rpmでインキュベートした。次のTBSTでのすすぎの後に、スルホタグ付きヒツジ抗マウス抗体(R&D Systems AF1729)をプレートに添加し、1時間にわたって、再び600rpmでインキュベートし、最後のすすぎを行い、その後、水中で希釈された2×MSD読出し緩衝液を添加した。次いで、プレートを、MSD Meso Sector S600を使用して読み取った。Trem2シグナルをタンパク質濃度に対して正規化し、GraphPad Prismでプロットした。
図6A~6Cは、GRN KO/hTfR.KIマウスの血漿、脳、及び肝臓における融合体1の薬物動態を図示している。中空の円形は、ビヒクル処置GRN WTコホートを表し、四角形はビヒクル処置GRN KOコホートを表す。融合タンパク質処置GRN KOコホートは、三角形(15mg/kg)、ひし形(5mg/kg)、アステリスク(1.5mg/kg)及び×印(0.5mg/kg)により表されている。すべての用量で、投与後7日目に、融合タンパク質が血漿、脳及び肝臓から除去され、その際、組織中で検出されるタンパク質は0.1nM未満であり、かつ血漿中で検出されるタンパク質では約1nMであった。
図7A及び7Bは、投与後7日目のGRN KO/hTfR.KIマウスの脳及び肝臓組織におけるTREM2レベルを図示している。中空の円形は、ビヒクル処置GRN WTコホートを表し、四角形はビヒクル処置GRN KOコホートを表す。融合タンパク質処置GRN KOコホートは、三角形(15mg/kg)、ひし形(5mg/kg)、アステリスク(1.5mg/kg)及び×印(0.5mg/kg)により表されている。脳では5mg/kg及び15mg/kgの用量レベルでTREM2レベルを回復させることができた一方で、肝臓では1.5mg/kgの低い用量レベルでもTREM2レベルを回復させることができた。
図8A及び8Bは、投与後7日目のGRN KO/hTfR.KIマウスの脳及び肝臓組織におけるBMP(18:1/18:1)のレベルを図示している。中空の円形は、ビヒクル処置GRN WTコホートを表し、四角形はビヒクル処置GRN KOコホートを表す。融合タンパク質処置GRN KOコホートは、三角形(15mg/kg)、ひし形(5mg/kg)、アステリスク(1.5mg/kg)及び×印(0.5mg/kg)により表されている。脳では1.5mg/kgの低い用量レベルでもBMPレベルを回復させることができた一方で、肝臓ではすべての用量でBMPレベルを回復させた。同様の結果が、BMP(20:4/20:4)及びBMP(22:6/22:6)を含む他のBMP種で観察された。
図6A~6C、7A及び7B、ならびに8A及び8Bのデータは、融合体1がGRN KO/hTfR.KIマウスの脳においてBBBを通過して、グラニュリン欠損の関連PDエンドポイントを補正することができることを示している。
実施例7.GRN KO/hTfR.KIマウスの脳組織におけるグルコシルスフィンゴシンレベルの回復
脂質抽出及びグルコシルスフィンゴシン分析のための脳収集及び処理
融合体1(表2に記載のとおり)またはいずれのTfR結合能も有さない対応する融合タンパク質を、単回用量で、尾静脈を介して5mg/kgで、GRN KO/hTfR.KIマウス(図9における「Grn KO」)に注射した。対応する融合タンパク質は、配列番号122の配列を有する第1のポリペプチドと、配列番号108の配列を有する第2のポリペプチドとを含む。両方の融合タンパク質を、実施例1に記載されているとおりにCHO細胞から発現させて、精製した。融合タンパク質の投与後7日目に、マウスを屠殺して、脳、肝臓及び血漿におけるグルコシルスフィンゴシン(GlcSph)レベルを検査した。致死量のトリブロモエタノールで麻酔をかけた後に、マウスを、氷冷PBSで心臓潅流した。次いで、前頭葉18~20mgを氷上で収集し、秤量し、1.5 Safe-Lockエッペンドルフ管に、3mmステンレス鋼床と一緒に移し、次いで、急速冷凍させた。リピドーム分析用に脳試料を調製するために、LCMSグレードのメタノール400μLを内部標準と共に試料に添加した。次いで、組織を、Qiagen Tissuelyserを用いて30秒間にわたって、4℃にて25Hzで均質化した。次いで、試料を20分間にわたって4℃にて21,000xgで遠心した。回転の後に、上清を96ウェルV底ハーフディープウェルプレートに移し、-20℃で1時間にわたって貯蔵して、タンパク質をさらに沈澱させた。このインキュベーションの後に、試料をさらに10分間にわたって、4℃にて21,000xgで回転させた。100μLの上清を、ガラスインサートを備えた96ウェルプレート(Analytical Sales & Services、Ref# 27350)に移した。次いで、試料を窒素流下で乾燥させ(約2時間)、次いで、5mMギ酸アンモニウム及び0.5%ギ酸を含むアセトニトリル/イソプロパノール/水100μL(92.5/5/2.5、v/v/v)に再懸濁させた。
グルコシルスフィンゴシンのためのLCMSアッセイ
グルコシルスフィンゴシン(GlcSph)分析を、エレクトロスプレー質量分析法(Sciex QTRAP 6500+ Sciex、Framingham、MA、USA)に連結した液体クロマトグラフィー(Shimadzu Nexera X2 system、Shimadzu Scientific Instrument、Columbia、MD、USA)により実行した。各分析のために、0.45mL/分の流速を使用して45℃で、試料10μLをHALO HILIC 2.0μm、3.0×150mmカラム(Advanced Materials Technology、PN 91813-701)に注入した。移動相Aは、5mMギ酸アンモニウム及び0.5%ギ酸を含む92.5/5/2.5のACN/IPA/H2Oからなった。移動相Bは、5mMギ酸アンモニウム及び0.5%ギ酸を含む92.5/5/2.5のH2O/IPA/ACNからなった。勾配は次のとおりにプログラムした:B100%で0.0~3.1分、B95%で3.2分、B85%で5.7分、B85%で7.1分まで保持、7.25分でB0%に低下、8.75分まで保持、10.65分で100%まで増加させて戻して11分まで保持。エレクトロスプレーイオン化を、次の設定を適用して陽イオンモードで実行した:カーテンガスは25;衝突ガスは中等度に設定;イオンスプレー電圧は5500;温度は350℃;イオン源ガス1は55;イオン源ガス2は60。Analyst 1.6(Sciex)を多重反応モニタリングモード(MRM)で次のパラメーターで使用して、データ収集を実行した:滞留時間(msec)及び衝突エネルギー(CE);エントランスポテンシャル(EP)は10;及び衝突セルイグジットポテンシャル(CXP)は12.5。データ収集パラメーターは、以前に記載されたもの(Ullman et al.2020.Sci Transl Med 12(545):eaay1163)と同様であった。GlcSphを、同位体標識内部標準GlcSph(d5)を使用して定量化した。MultiQuant 3.02(Sciex)を用いて、定量化を実行した。
グルコシルスフィンゴシンの脳での結果
GRN KO及びGRN WTマウス、さらには5mg/kg用量の融合体1または対応する融合タンパク質をIV投与されたGRN KOマウスの脳におけるGlcSphレベルを評価した(図9)。GRN KO脳のGlcSphレベルは平均で、WT同腹子の4.13倍の値であった(それぞれ23.91±1.963ng/μL vs.5.782±1.262ng/μL、p=<0.0001)。融合体1処置マウスでは、GRN WTマウスに対して88%の回復があった(7.866±0.8237ng/μL、p=0.0002)。逆に、非CNS標的化の対応融合タンパク質で処置されたGRN KOマウスは、WT GlcSphレベルに対して22%の回復しか示さなかった(19.92±3.486ng/μL、p=0.5619)。
実施例8. GRN KO/hTfR.KIマウスにおけるBMP及びグルコシルスフィンゴシン補正の永続性
融合体1(表2に記載のとおり、実施例1に記載のとおりにCHO細胞から発現及び精製)を単回用量で尾静脈を介して、次の用量でGRN KO/hTfR.KIマウスに注射した:1mg/kg、2.5mg/kg、及び5mg/kg。対照のために、GRN KO/hTfR.KI及びGRN野生型/hTfR.KIマウスに生理食塩水を注射した。融合タンパク質または生理食塩水の投与後2、3及び6週間目に、マウスのコホートを屠殺して、脳におけるBMP及びグルコシルスフィンゴシン(GlcSph)レベルを検査した。マウスに麻酔をかけ、それらの脳組織を実施例7に記載のとおりに調製した。BMP及びGlcSphレベルをそれぞれ、実施例5及び7に記載のとおりに測定した。結果は、図10~12に図示されている。
グルコシルスフィンゴシンの脳での結果
GRN KO/hTfR.KI及びGRN野生型/hTfR.KIマウスにおけるグルコシルスフィンゴシン(GlcSph)レベルを評価した。図10に図示されているとおり、GRN KO/hTfR.KIにおけるGlcSphレベルは、GRN野生型/hTfR.KIマウスと比べて約4倍上昇した。融合体1の投与はすべての用量で、GRN KO/hTfR.KIにおけるGlcSphレベルの上昇を補正し、その際、投与された最大用量(5mg/kg)は、すべての融合タンパク質処置コホートの最大の改善を示した。投与後6週間でも部分的な補正が観察されたが、投与後2週目に、融合体1の単回用量で、ほぼGRN野生型レベルへの最大補正が観察された。
BMPの脳での結果
以前に報告されたとおり、GRN KO/hTfR.KIにおけるBMPレベルは、不十分なレベルのプログラニュリンにより影響を受ける。融合体1をGRN KO/hTfR.KIに投与することで、この影響を補正することができた。代表的なBMP種のレベルは図11及び12に図示されている。融合体1の投与はすべての用量で、GRN KO/hTfR.KIにおけるBMPレベルを補正した。投与された最大用量で、投与後2週目にBMPレベルの最大補正が観察され、その際、投与後3週目に部分的な補正が維持された。
実施例9.GRN KO/hTfR.KIマウスにおけるGCアーゼ活性の回復
融合体1(表2に記載されているとおり、実施例1に記載のとおりにCHO細胞から発現及び精製)を、尾静脈を介して、実施例8に記載の用量で、GRN KO/hTfR.KIマウスに注射した。対照のために、GRN KO/hTfR.KI及びGRN野生型/hTfR.KIマウスに、生理食塩水を注射した。融合タンパク質または生理食塩水の投与後2、3及び6週間目に、マウスのコホートを屠殺して、脳におけるグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)酵素活性を検査した。マウスに麻酔をかけ、それらの脳組織を実施例7に記載のとおりに調製した。GCアーゼ活性を次のとおりにアッセイした。脳組織をPBS緩衝液中1%NP-40中で溶解させた。脳溶解産物試料における総タンパク質レベルをBCAアッセイにより測定し、試料をGCアーゼ活性の測定のために正規化した。組織試料を初めに、GBA活性緩衝液(0.5%タウロコール酸ナトリウム及び0.25%Triton X-100を含むリン酸クエン酸緩衝液(Sigma-Aldrich cat# P4809))中で希釈し、96ウェルプレートのウェルに添加した。続いて、4-MUグルコース基質(Sigma-Aldrich、Cat.M3633-1G)を1mMの最終濃度まで各試料ウェルに添加した。プレートにカバーをし、700RPMで5分間にわたって室温で撹拌し、その後、非COインキュベーターに移し、37℃で3時間にわたってインキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、停止液(500mMグリシン、300mM NaOH、pH9.8)を試料に添加して酵素反応を停止し、BioTekプレートリーダーで酵素活性を測定した。結果は、図13に図示されている。
図13に図示されているとおり、投与後2週目に、融合体1の投与は、GRN KO/hTfR.KIマウスの脳におけるGCアーゼ活性を野生型レベルまで補正した。
実施例10.融合タンパク質の長期投薬は、GRN KO/hTfR.KIマウスにおいて遠位バイオマーカーを回復させる
本明細書に記載のとおりの融合タンパク質の長期投薬が遠位バイオマーカーを回復させ得るか否かを決定するために、研究を実施した。融合タンパク質を、7か月齢GRN KO/hTfR.KIマウスに、5mg/kgで1週間に1回、8週間にわたって腹腔内送達により投与した。対照のために、GRN KO/hTfR.KI及びGRN野生型/hTfR.KIマウス(「hTfR.KIマウス」とも称される)に生理食塩水を注射した。CD4の注射を各コホートのマウスに対して、融合タンパク質の最初の投与と共に開始し、かつその後は、2週ごとに与えた。血漿単離のために、(投与後)0、2、4、6、及び8週目に、血液試料を顎下採血により採血した。融合タンパク質の8回目の最後の投与から24時間後に、マウスのコホートを屠殺し;末端血液及びCSF試料を得、脳及び肝臓組織を収集し、既に記載したとおりに(実施例6)、保存した。実施例6に記載のFc:Fc:ELISAを使用して、投与された融合タンパク質の量を脳及び肝臓において測定した。BMP、グルコシルスフィンゴシン(GlcSph)、及びTrem2レベルを脳、肝臓、血漿、及び/またはCSFにおいて分析した。加えて、グリオーシスの特定のマーカー(CD68、Iba1、GFAP)を脳組織において分析し、ニューロフィラメント軽鎖(Nf-L)レベルをCSF及び血漿試料において分析した。BMP、TREM2、及びGlcSphレベルをそれぞれ実施例5、6、及び7に記載のとおりに測定した。CSF Nf-Lレベル及びグリオーシスマーカーの脳レベルを、下記のとおりに測定した。表10は実験設計の概要を提示しており、結果は、図14~28において図示されている。
(表10)長期投薬研究のための研究設計/実験群
Figure 2023507846000021
Nf-LのCSF及び血漿分析のための方法
既に記載されたとおりに、また製造者の推奨に従って(Ullman et al.2020.Sci Transl Med 12(545):eaay1163)、CSF及び血漿Nf-Lレベルを分析した。簡単に述べると、Quanterix Simoa Neurofilament Light Advantage(NFL)キットを用いる。簡単に述べると、試料希釈剤(Quanterix 102252)で脳脊髄液を100倍希釈し、血漿を10倍希釈し、次いで、Simoa検出器試薬及びビーズ試薬(Quanterix 103159、102246)を添加し、試料を30分間にわたって30℃で、800rpmで振盪しながらインキュベートした。この後、Simoa Microplate Washerで、Quanterix2ステッププロトコルに従って、試料プレートをSimoa Wash Buffer A(Quanterix 103078)で洗浄し、SBG試薬(Quanterix 102250)を添加し、試料を再び、30℃、800rpmで、さらに10分間にわたってインキュベートした。2ステップウォッシャープロトコルを継続し、その際、緩衝液の最終吸引の前に、試料ビーズをSimoa Wash Buffer B(Quanterix 103079)に2回再懸濁した。10分間にわたって室温で乾燥させた後に、試料Nf-L濃度を、Nf-L分析プロトコルを用いてQuanterix SR-X機器で測定し、Quanterixアッセイキットに備えられている較正曲線に対して挿入した。
グリオーシスマーカーのためのアッセイ
PBS経心潅流及び4%PFA中での後固定の後に、マウス半脳を冠状切断した。簡単に述べると、多数の脳(最高40)をトリムし、単一のゼラチンブロックに載せ、次いで、40μmの厚さで環状切断した。次いで、染色まで、包埋脳切片を含むゼラチンシートを抗原保存溶液(50%PBS:50%エチレングリコール+1%PVP)中で貯蔵した。切片をグリオーシスマーカーGFAP(ロバ抗ニワトリ、Novus NBP1-05198、1:1000)、Iba1(ロバ抗ヤギ、Novus NB100-1028、1:1500)及びCD68(ロバ抗ラット、BioRad MCA1957、1:500)について染色した。簡単に述べると、切片を、振動させながら室温で4時間にわたって、ブロッキング緩衝液(PBS+1%BSA+0.1%フィッシュゼラチン+0.5%トリトンX-100)中でインキュベートし、次いで、上に列挙した濃度で一次抗体を含む抗体希釈緩衝液に移し、振動させながら4℃で終夜貯蔵した。PBS中で3回洗浄した後に、次いで、試料を、二次抗体を含む抗体希釈緩衝液に移し(1:500希釈)、振動させながら室温で4時間にわたってインキュベートした。次いで、試料をPBS+DAPI(Invitrogen D1306 1:10,000)で20分間洗浄し、次いで、PBSでさらに2回洗浄し、その後、Prolong Glassハードセット・マウンティング媒体(Life Tech P36984)と共に2×3インチスライドに載せ、終夜、室温で乾燥させた。Zeiss Axio Scan.Z1デジタルスライドスキャナを用いて、全脳半球を20倍で画像化した。Zeiss Zen Blue 3.2ソフトウェアを用いて、画像分析を完了した。視床ROIを抽出し、ローリングボール閾値化アプローチを使用して、総視床面積と比べて、各グリオーシスマーカーの面積を決定した。1つの脳あたり1~3個の切片を分析し、平均被覆パーセント値を画像全体で算出した。
CNS細胞型の単離
CNS細胞を選別するための単一細胞懸濁液を調製するために、脳組織を解剖し、製造者プロトコルに従って成体脳解離キット(Miltenyi Biotec 130-107-677)を使用して、単一細胞懸濁液に処理した。細胞をFc遮断し(Biolegend #101320、1:100)、フローサイトメトリー分析のために、死細胞を除外するためのFixable Viability Stain BV510(BD Biosciences #564406、1:100)、CD11b-BV421(BD Biosciences 562605、1:100)、ACSA2-APC(Miltenyi #130-117-386、1:100)、及びThy1-PE(R&D #FAB7335P、1:100)を用いて染色した。細胞をPBS/1%BSAで洗浄し、100μmフィルターに通して濾過し、その後、100μmノズルを備えたFACS Aria III(BD Biosciences)で、CD11b+ミクログリア、ACSA2+星状細胞、及びThy1+ニューロンを選別した。選別された細胞を、リピドーム及びメタボローム分析のために内部標準が添加されているMSグレードのメタノールに直接収集した。実施例1に記載の方法と同様の方法を使用して、GAG、BMP、ガングリオシド、GlcCer、及びGalCerを測定するための細胞溶解産物調製及びLCMSアッセイを実行した。
結果
図14及び15は、処置されたGRN KOマウスコホートの脳及び肝臓組織における、投与された融合タンパク質の濃度についての情報を提供している。図14及び15に図示されているとおり、融合体1及び11におけるTfR結合は、非TfR結合Fc:PGRNタンパク質と比べて、タンパク質の脳取り込みの有意な上昇を推し進めた。加えて、融合体1での8週までの毎週の処置は、同じものの単回腹腔内用量と比べて、タンパク質の脳取り込みを減少させなかった。他方で、肝臓におけるFc:PGRNの曝露量は、おそらく末梢からのTfR媒介クリアランスの欠如により、融合体1及び融合体11の曝露量よりも大きかった。
図16~19は、処置されたGRN KOマウスコホートの脳、CSF、肝臓、及び血漿における例示的なBMP(ジ-22:6)のレベルについての情報を提供している。図16及び17において図示されているとおり、8週までの融合体1及び融合体11の毎週の投与は両方とも、ビヒクル処置またはFc:PGRNでの処置と比べて、CNSコンパートメント(脳、CSF)におけるBMPレベルの回復を改善した。末梢(肝臓、血漿)では、Fc:PGRN、融合体1、及び融合体11の投与は、同等の効果で、BMPレベルを回復させた。
図20及び21は、処置されたGRN KOマウスコホートの脳及び肝臓組織におけるGlcSphレベルについての情報を提供している。図20に図示されているとおり、8週までの融合体1及び融合体11の毎週の投与は、ビヒクル処置及びFc:PGRNでの処置と比べて、脳におけるGlcSphレベルを統計学的に有意に回復させた。末梢では(図21)、Fc:PGRN、融合体1及び融合体11の毎週の投与は、同等の効果で、GlcSphレベルを回復させた。
図22は、処置されたGRN KOマウスコホートにおけるCSF Nf-Lレベルについての情報を提供している。図22において図示されているとおり、GRN KOマウスにおける融合体1の毎週投与の8週後に、CSF Nf-Lの減少傾向が観察された。対照的に、CSF Nf-Lは、Fc:PGRNまたは融合体11での毎週処置により補正されないようであった。
図23は、処置されたGRN KOマウスコホートの脳における相対的TREM2レベルについての情報を提供している。図23において図示されているとおり、8週までの融合体1の毎週投与は、ビヒクル処置と比べて統計学的に有意に、脳組織におけるTREM2レベルを低下させた。融合体11の毎週投与も、GRN KOマウスの脳においてTREM2レベルを低下させたが、効果は、融合体1の毎週投与で観察された効果ほどには大きくなかった。
図24~26は、処置されたGRN KOマウスコホートの脳(視床)におけるグリオーシスマーカーについての情報を提供している。図24~26において図示されているとおり、8週までのFc:PGRN、融合体1、及び融合体11の毎週投与は、ビヒクル処置と比べて、GRN KOマウスの脳においてCD68、Iba1、及びGFAPのレベルを低下させた。
図27は、処置されたGRN KOマウスコホートの脳組織から選別されたニューロン、星状細胞、及びミクログリア細胞におけるBMP及びある特定の脂質のヒートマップである。図27に図示されているとおり、8週までの融合体1の毎週投与は、ミクログリア、星状細胞及びニューロン全体で、BMP表現型を回復させた。この回復はミクログリア細胞において最も顕著であったが、星状細胞及びニューロンにおいても、補正がより低い程度で観察された。図28~30は、(ビヒクル処置されたGRN野生型(hTfR.KI)コホートのCNS細胞と比べて)処置されたGRN KOのニューロン、星状細胞、及びミクログリア細胞の選別された集団における、融合体1の投与時の、ある特定のBMP種(BMP 18:1/18:1、BMP 22:6/22:6、及びBMP 20:4/20:4)を補正する傾向を図示している。
本明細書に記載の実施例及び実施形態が例示を目的としたものに過ぎないこと、及びその観点から様々な変更または変化が当業者に示唆され、かつ本出願の趣旨及び範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれ得ることは理解される。本明細書において引用された配列アクセッション番号の配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
略式の配列表
Figure 2023507846000022
Figure 2023507846000023
Figure 2023507846000024
Figure 2023507846000025
Figure 2023507846000026
Figure 2023507846000027
Figure 2023507846000028
Figure 2023507846000029
Figure 2023507846000030
Figure 2023507846000031
Figure 2023507846000032
Figure 2023507846000033
Figure 2023507846000034
Figure 2023507846000035
Figure 2023507846000036

Claims (123)

  1. 配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、及び配列番号2の残基574から576に対応する位置におけるXにより定義される配列を含む、プログラニュリン変異体であって、
    ここで、X、X、及びXが、それぞれ独立にアミノ酸であり、合わさってQLLではない、
    プログラニュリン変異体。
  2. 配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項1に記載のプログラニュリン変異体。
  3. 配列番号2に対して少なくとも98%の同一性を有する、請求項1または2に記載のプログラニュリン変異体。
  4. 配列番号2に対して少なくとも99%の同一性を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  5. 配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のプログラニュリン変異体。
  6. 配列番号2に対して少なくとも98%の同一性を有する配列を含む、請求項1または5に記載のプログラニュリン変異体。
  7. 配列番号2に対して少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、請求項1、5、及び6のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  8. 配列:
    Figure 2023507846000037
    を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  9. が、R、H、K、D、E、S、T、N、Q、L、F、Y、P、またはVである、請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  10. が、H、K、D、E、S、T、N、Q、G、P、A、Y、V、I、F、L、またはRである、請求項1~9のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  11. が、L、Y、またはPである、請求項1~10のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  12. が、XIL、XFL、XQL、PXL、QXL、またはVXLである、請求項1~11のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  13. が、XLである、請求項1~11のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  14. が、A、R、N、D、C、Q、E、G、H、I、K、M、F、P、S、T、W、Y、またはVである、請求項13に記載のプログラニュリン変異体。
  15. が、PIL、PFL、QQL、VVL、またはVTLである、請求項1~11のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  16. が、PPL、PYL、QQL、QHL、またはQRLである、請求項1~11のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  17. 配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、及び配列番号2の残基576に対応する位置に隣接しかつそのC末端側にあるYQLL(配列番号137)により定義される配列を含む、プログラニュリン変異体であって、
    ここで、YがLであるか、または存在せず、かつYがRであるか、または存在しない、
    プログラニュリン変異体。
  18. 前記プログラニュリン変異体が、配列:
    Figure 2023507846000038
    を含み、
    ここで、YがLであるか、または存在せず、かつYがRであるか、または存在しない、
    請求項17に記載のプログラニュリン変異体。
  19. がLである、請求項17または18に記載のプログラニュリン変異体。
  20. がRである、請求項17~19のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体。
  21. 及びYが両方とも存在しない、請求項17または18に記載のプログラニュリン変異体。
  22. 配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、及び配列番号2の残基574から576に対応する位置におけるXにより定義される配列を含む、プログラニュリン変異体であって、
    ここで、X、X、及びXが、それぞれ独立にアミノ酸であり、合わさってQLLではない、
    プログラニュリン変異体
    を含む、ポリペプチド。
  23. 前記プログラニュリン変異体が、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項22に記載のポリペプチド。
  24. 前記プログラニュリン変異体が、配列番号2に対して少なくとも98%の同一性を有する、請求項22または23に記載のポリペプチド。
  25. 前記プログラニュリン変異体が、配列番号2に対して少なくとも99%の同一性を有する、請求項22~24のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  26. 前記プログラニュリン変異体が、配列:
    Figure 2023507846000039
    を有する、請求項22~25のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  27. が、R、H、K、D、E、S、T、N、Q、L、F、Y、P、またはVである、請求項22~26のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  28. が、H、K、D、E、S、T、N、Q、G、P、A、Y、V、I、F、L、またはRである、請求項22~27のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  29. が、L、Y、またはPである、請求項22~28のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  30. が、XIL、XFL、またはXQLである、請求項22~29のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  31. が、PXL、QXL、またはVXLである、請求項22~29のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  32. が、XLである、請求項22~29のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  33. が、A、R、N、D、C、Q、E、G、H、I、K、M、F、P、S、T、W、Y、またはVである、請求項32に記載のポリペプチド。
  34. がPILである、請求項22~30のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  35. がPFLである、請求項22~30のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  36. がQQLである、請求項22~30のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  37. がVVLである、請求項22~29及び31のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  38. がVTLである、請求項22~29及び31のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  39. がPPLである、請求項22~29及び31のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  40. がPYLである、請求項22~29及び31のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  41. がQRLである、請求項22~29及び31のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  42. がQHLである、請求項22~29及び31のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  43. 配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、及び配列番号2の残基576に対応する位置に隣接しかつそのC末端側にあるYQLL(配列番号137)により定義される配列を含む、プログラニュリン変異体であって、
    ここで、YがLであるか、または存在せず、かつYがRであるか、または存在しない、
    プログラニュリン変異体
    を含む、ポリペプチド。
  44. 前記プログラニュリン変異体が、配列:
    Figure 2023507846000040
    を含み、
    ここで、YがLであるか、または存在せず、かつYがRであるか、または存在しない、
    請求項43に記載のポリペプチド。
  45. がLである、請求項44に記載のポリペプチド。
  46. がRである、請求項43~45のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  47. 及びYが両方とも存在しない、請求項43または44に記載のポリペプチド。
  48. 前記プログラニュリン変異体に連結しているFcポリペプチドをさらに含む、請求項22~47のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  49. 前記FcポリペプチドのN末端またはC末端が、前記プログラニュリン変異体に連結している、請求項48に記載のポリペプチド。
  50. 前記Fcポリペプチドが、ペプチド結合により、またはポリペプチドリンカーにより前記プログラニュリン変異体に連結している、請求項48または49に記載のポリペプチド。
  51. 前記ポリペプチドリンカーが1~50アミノ酸長である、請求項50に記載のポリペプチド。
  52. 前記ポリペプチドリンカーが柔軟なポリペプチドリンカーである、請求項50または51に記載のポリペプチド。
  53. 前記柔軟なポリペプチドリンカーが、グリシンリッチなリンカーである、請求項52に記載のポリペプチド。
  54. 前記グリシンリッチなリンカーが、GS(配列番号90)または(GS)(配列番号91)である、請求項53に記載のポリペプチド。
  55. 前記Fcポリペプチドが、配列番号64~67からなる群から選択される配列を含む、請求項48~54のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  56. 前記Fcポリペプチドが、トランスフェリン受容体に特異的に結合する改変Fcポリペプチドである、請求項48~54のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  57. 前記Fcポリペプチドが、配列番号68~87及び129~132からなる群から選択される配列を含む、請求項56に記載のポリペプチド。
  58. 前記Fcポリペプチドが、配列番号70、75、80、85、及び129~132から選択される配列を含む、請求項57に記載のポリペプチド。
  59. (a)請求項1~21のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体;
    (b)(a)のプログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチド;及び
    (c)前記第1のFcポリペプチドと共にFcポリペプチド二量体を形成する第2のFcポリペプチド
    を含む、融合タンパク質。
  60. 前記第2のFcポリペプチドが、請求項1~21のいずれか1項に記載の第2のプログラニュリン変異体に連結している、請求項59に記載の融合タンパク質。
  61. 前記第1のFcポリペプチドが、ペプチド結合により、またはポリペプチドリンカーにより前記プログラニュリン変異体に連結しており、かつ/または前記第2のFcポリペプチドが、ペプチド結合により、またはポリペプチドリンカーにより前記プログラニュリン変異体に連結している、請求項59または60に記載の融合タンパク質。
  62. 前記ポリペプチドリンカーが1~50アミノ酸長である、請求項61に記載の融合タンパク質。
  63. 前記ポリペプチドリンカーが、柔軟なポリペプチドリンカーである、請求項61または62に記載の融合タンパク質。
  64. 前記柔軟なポリペプチドリンカーが、グリシンリッチなリンカーである、請求項63に記載の融合タンパク質。
  65. 前記グリシンリッチなリンカーが、GS(配列番号90)または(GS)(配列番号91)である、請求項64に記載の融合タンパク質。
  66. 前記第1のFcポリペプチドのC末端が、前記プログラニュリンのN末端に連結しており、かつ/または前記第2のFcポリペプチドのC末端が、前記プログラニュリン変異体のN末端に連結している、請求項59~65のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  67. 前記第1のFcポリペプチドまたは前記第2のFcポリペプチドが、トランスフェリン受容体に特異的に結合する、請求項59~66のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  68. 前記第1のFcポリペプチド及び前記第2のFcポリペプチドがそれぞれ、ヘテロ二量体化を促進する改変を含む、請求項59~67のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  69. (i)前記第1のFcポリペプチドが、EUナンバリングによる、T366W置換を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、T366S、L368A、及びY407V置換を含む;または
    (ii)前記第1のFcポリペプチドが、EUナンバリングによる、T366S、L368A、及びY407V置換を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、T366W置換を含む、
    請求項68に記載の融合タンパク質。
  70. 前記第1のFcポリペプチド及び/または前記第2のFcポリペプチドが独立に、エフェクター機能を低下させる改変を含む、請求項59~69のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  71. エフェクター機能を低下させる改変が、EUナンバリングによる、L234A及びL235A置換である、請求項70に記載の融合タンパク質。
  72. 前記第1のFcポリペプチドが、配列番号64~67からなる群から選択される配列を含む、請求項59~71のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  73. 前記第2のFcポリペプチドが、配列番号68~87及び129~132からなる群から選択される配列を含む、請求項59~72のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  74. 前記第2のFcポリペプチドが、配列番号70、75、80、85、及び129~132からなる群から選択される配列を含む、請求項73に記載の融合タンパク質。
  75. ヒンジ領域またはその一部が、前記第1のFcポリペプチド及び/または前記第2のFcポリペプチドに連結している、請求項59~74のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  76. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号98の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号75の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  77. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号98の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号130の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  78. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号99の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号75の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  79. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号99の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号130の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  80. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号100の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号75の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  81. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号100の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号130の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  82. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号101の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号75の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  83. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号101の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号130の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  84. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号102の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号75の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  85. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号102の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号130の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  86. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号123の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号75の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  87. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号123の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号130の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  88. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号124の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号75の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  89. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号124の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号130の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  90. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号125の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号75の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  91. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号125の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号130の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  92. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号126の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号75の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  93. 前記プログラニュリン変異体に連結している第1のFcポリペプチドが、配列番号126の配列を含み、かつ前記第2のFcポリペプチドが、配列番号130の配列を含む、請求項59~75のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  94. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において生成される、請求項59~93のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  95. 実質的に実施例1に記載のとおりに精製されている、請求項94に記載の融合タンパク質。
  96. 前記融合タンパク質の第1のポリペプチド中のプログラニュリン変異体の50%超が、C末端で短縮されていない、請求項59~95のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  97. 前記融合タンパク質のソルチリン結合についてのK値が、約100nM未満である、請求項59~96のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  98. 前記融合タンパク質のソルチリン結合についてのEC50が、約25nM未満である、請求項59~97のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  99. EC50がELISAにより測定される、請求項98に記載の融合タンパク質。
  100. 前記ELISAアッセイが、実質的に実施例4に記載のとおりに実施される、請求項99に記載の融合タンパク質。
  101. 前記融合タンパク質のソルチリン結合についてのEC50が、基準融合タンパク質と比べて、ソルチリン結合における10倍未満の低下を示し、ここで、前記基準融合タンパク質が、(i)配列番号2を含む第1のポリペプチドと、(ii)前記第1のFcポリペプチドと共にFcポリペプチド二量体を形成する第2のFcポリペプチドとを含む、請求項59~100のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  102. 前記融合タンパク質のソルチリン結合についてのEC50が、基準融合タンパク質と比べて、ソルチリン結合における10倍未満の低下を示し、ここで、前記基準融合タンパク質が、(i)配列番号108を含む第1のポリペプチドと、(ii)前記第1のFcポリペプチドと共にFcポリペプチド二量体を形成する第2のFcポリペプチドとを含む、請求項59~101のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  103. 前記基準融合タンパク質がHEK細胞において生成される、請求項101または102に記載の融合タンパク質。
  104. 前記基準融合タンパク質が、実質的に実施例1に記載のとおりに精製されている、請求項103に記載の融合タンパク質。
  105. 請求項1~21のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体、請求項22~58のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項59~104のいずれか1項に記載の融合タンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
  106. 複数の、請求項59~104のいずれか1項に記載の融合タンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
  107. 前記複数の融合タンパク質の50%超が、前記融合タンパク質のプログラニュリン変異体におけるインタクトなC末端を含む、請求項106に記載の医薬組成物。
  108. 神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、加齢黄斑変性(AMD)、またはプログラニュリン関連障害を有する対象を処置する方法であって、請求項1~21のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体、請求項22~58のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項59~104のいずれか1項に記載の融合タンパク質、または請求項105~107のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  109. 対象において、プログラニュリンまたはその変異体の量を増加させる方法であって、請求項1~21のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体、請求項22~58のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項59~104のいずれか1項に記載の融合タンパク質、または請求項105~107のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  110. 対象においてカテプシンD活性を低下させる方法であって、請求項1~21のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体、請求項22~58のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項59~104のいずれか1項に記載の融合タンパク質、または請求項105~107のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  111. プログラニュリン関連障害を有する対象においてリソソーム分解を増加させる方法であって、請求項1~21のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体、請求項22~58のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項59~104のいずれか1項に記載の融合タンパク質、または請求項105~107のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  112. プログラニュリン関連障害を有する対象においてリソソーム機能を改善するまたは回復させる方法であって、請求項1~21のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体、請求項22~58のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項59~104のいずれか1項に記載の融合タンパク質、または請求項105~107のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  113. 前記対象が、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、TDP-43に関連する障害、またはAMDを有する、請求項109~112のいずれか1項に記載の方法。
  114. 前記対象が神経変性疾患を有する、請求項108~113のいずれか1項に記載の方法。
  115. 前記神経変性疾患が、前頭側頭型認知症(FTD)、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、ニーマン・ピック病A型(NPA)、ニーマン・ピック病B型(NPB)、ニーマン・ピック病C型(NPC)、C9ORF72関連筋萎縮性側索硬化症(ALS)/FTD、孤発性ALS、アルツハイマー病(AD)、ゴーシェ病、及びパーキンソン病からなる群から選択される、請求項114に記載の方法。
  116. 前記神経変性疾患がFTDである、請求項115に記載の方法。
  117. 前記対象がプログラニュリンをコードする遺伝子において変異を有する、請求項108~116のいずれか1項に記載の方法。
  118. 請求項1~21のいずれか1項に記載のプログラニュリン変異体または請求項22~58のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含む、ポリヌクレオチド。
  119. 請求項118に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
  120. 請求項118に記載のポリヌクレオチドまたは請求項119に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  121. 第2のFcポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドをさらに含む、請求項120に記載の宿主細胞。
  122. 前記第2のFcポリペプチドが、配列番号61及び64~87のいずれか1つから選択される配列を有する、請求項121に記載の宿主細胞。
  123. ポリペプチドを生成するための方法であって、請求項118に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドが発現する条件下で宿主細胞を培養することを含む、前記方法。
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