JP2023503541A - Hmoの混合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること;ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入する一方でIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること;及び/又はラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減することにおける使用のためのヒトミルクオリゴ糖(HMO)、それらにおける使用のためのHMOを含む合成組成物、並びにそれらのための方法に関する。【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、ラクトース不耐のIBS患者における症状を管理するための方法、化合物及び組成物に関する。
[発明の背景]
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛、便通の変化、腹部不快感、腹部膨満、及び疲労などの慢性症状を有する臨床的に異質な腸機能障害である。患者に対する通例の臨床試験は通常、異常を示さないが、それらの腸は、バルーン吹送試験などのある特定の刺激に対してより感受性であり得る。IBSの全世界での罹患率は、約10~20%であるが、ある特定の国においてはより高い場合がある。IBSの原因は知られていないが、脳腸軸の破壊、急性胃腸感染症、小腸での細菌の過剰増殖、抗生物質の使用及び腸管ディスバイオシスは、重要なリスク因子であると考えられる(Kim et al.Digest.Dis.Sci.57,3213(2012))。多くの患者は、それらの糞便において、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の存在量が健康な対照より少ないように見える(Pittayanon et al.Gastroenterology 157,97(2019))。他のリスク因子は、若い年齢、持続する発熱、不安、及び抑うつである。ある特定の患者は、慢性の低度の炎症の徴候を示すが、他の点ではほとんど又は全く観察可能な臨床症状がない。
IBSを有する患者は、健康な個体より乳製品に対する不耐性を報告する可能性がより高い(Yang et al.Alim.Pharm.Therap.39,302(2014))。また、容易に発酵される炭水化物の吸収障害(ラクターゼ欠損症を有する患者におけるラクトースなど)が、多くの患者においてIBSの原因であることが提案されている。IBSと食物不耐性の間の関連の根底にある機構は、不明である。しかしながら、いくつかの研究は、精神的(例えば、不安)及び胃腸管(GI)機能不全(例えば、腸通過の変化、内臓感覚過敏)の両方を含む共有された病理学を示唆している。ラクトース不耐症は、ラクトースが小腸において非効率的に消化されるため生じる。これは、小腸を覆う細胞によって産生される酵素ベータ-ガラクトシダーゼの発現の低下又は活性の障害に起因する。ベータ-ガラクトシダーゼは、ラクトースを2つの糖;グルコース及びガラクトースに分解し、続いてこれらは細胞膜を通って輸送され、血流に吸収される。ベータ-ガラクトシダーゼが存在しない場合、又は十分なレベルで存在しない場合、未消化のラクトースは、小腸を通過して大腸に入る。ここで、エシェリキア属(Escherichia)及びクロストリジウム属(Clostridium)などの多くの異なる細菌は、ラクトースを代謝する能力を有し、酸及びガスに変換する。したがって、未消化のラクトースは、結腸においてガスの生成の増加を引き起こし得る。加えて、未消化のラクトースは、結腸の浸透圧負荷に影響を及ぼす可能性があり、結腸運動を変化させる可能性がある。まとめると、これらの事象は、下痢、痙攣、腹部膨満及び腹痛などの胃腸管症状につながる可能性がある。実際に、ラクトース不耐症を有する個体の33~97%は、乳製品の摂取の後にこれらの症状を報告する。
現在、ラクトース不耐症の治療のための広く受け入れられている療法はない。しかしながら、状態の管理のための既存の戦略は、ラクトース含有乳食品(牛乳、ソフトチーズ及びアイスクリーム)の回避及びラクトースを含有する食事の前にラクターゼを摂取することを含む。食事由来のラクトースを制限することは、胃腸愁訴を改善する可能性があるが、乳製品の少ない又はそれがない食事の長期間の効果は、乳製品が、カルシウム、タンパク質、リボフラビン、ビタミンA及びビタミンDなどのひとまとめの必須栄養分を提供するため関心事であり得る。食事カルシウムは、ビタミン及びミネラルの推奨される1日の割当ての重要な部分であり、多くの人々にとって、乳製品の少ない又はそれがない食事により推奨される1日のカルシウム摂取量を達成することができない。別の選択肢は、高価なラクトースが低減された乳製品の限定的な範囲の摂取である。ラクターゼの摂取は有効であるが、食事の前に摂取されなければならず、まれではあるが、重篤なアレルギー関連副作用になる可能性がある。
ラクトース不耐症の診断は、ラクトース負荷試験を使用して比較的容易である一方で、IBSの診断は難しい。IBSを診断するための信頼できるバイオマーカーに基づく試験はない。診断は一般に、IBS様症状をもたらす状態を除外すること及び続いて患者の症状を分類するための手順に従うことを含む。一旦診断されると、患者は通常、Rome IV診断基準に従って、便硬度に基づく3種の症状サブタイプ:下痢型(IBS-D)、便秘型(IBS-C)、並びに下痢及び便秘の両方の交互のエピソードを伴う混合型サブタイプ(IBS-M)に分類される。ラクトース不耐であり且つIBSに罹患している患者を診断することは、ラクトース不耐症の除外がIBSを診断するための手順の一部であるためさらに難しい。
IBS症状の管理は一般に、症状を軽減する試みに焦点を当てる。介入は、食事の調整、プロバイオティクス、抗生物質、薬物療法、及び心理的介入などの様々な形態をとる。しかしながら、大部分の治療は、不十分であり、大部分の患者は、腹痛、便通の変化、腹部膨満、疲労、及び他の症状を経験し続ける。IBS治療において最近発展しているのは、低FODMAP食事である。この食事は、患者にFODMAP炭水化物の摂取を制限することを要求する。これらは、小腸において不十分に吸収され、浸透圧的に活性であり、且つ水素を生成する腸管細菌によって発酵される発酵性のオリゴ糖、二糖、単糖及びポリオールである。この食事へのアドヒアランスは、一部のIBS患者に関して症状の改善をもたらした。低FODMAP食事は、食事中のラクトースを除去するか又は減少させるはずであり、したがって、ラクトース不耐のIBS患者が症状を管理するのを助けるはずである。しかしながら、FODMAP炭水化物のいくつかは、有益な繊維であり、それらを含有する食品は、一般的な、高栄養分のフルーツ、野菜及びマメ科植物である。さらに、乳製品の除去は、長期間の栄養上の結果を有する。また、長期間にわたって低FODMAP食事に従うことは非常に困難である。
近年、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)が、IBSの症状を管理するための可能な手法として提案されている(国際公開第2016/066175号パンフレット)。HMOは、ヒト乳汁に見出される可溶性グリカンの不均一な混合物である。それらは、ヒト乳汁中のラクトース及び脂質に続く3番目に多い存在量の固形成分であり、5~25g/lの濃度で存在する(Bode:Human milk oligosaccharides and their beneficial effects,in:Handbook of dietary and nutritional aspects of human breast milk(Zibadi et al.,eds.),pp.515-31,Wageningen Academic Publishers(2013))。HMOは、小腸において酵素的加水分解に抵抗性であり、したがって、大部分は消化されず、吸収されず、そのまま結腸に到達する。結腸に到達するHMOの大部分は、特定の細菌の増殖を選択的に刺激することによって腸内エコシステムを形づくる基質として働く。HMOは、乳幼児の腸内細菌叢を実質的に調節し、人工栄養の乳幼児及び母乳で育てた乳幼児の細菌叢の相違に決定的な役割を果たすと考えられる。これらの相違は、人工栄養の乳幼児におけるより多様な腸内細菌叢と比較して、母乳で育てた乳幼児の腸内でビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の優勢を含む。ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の株は腸内の健康によい影響があると考えられるため、これは、乳幼児にとって有益であるとみなされる。
しかしながら、HMOは、それらの還元末端でラクトースを含有し;通常、1種以上のβ-N-アセチル-ラクトサミニル、β-ラクト-N-ビオシル、αL-フコピラノシル及び/又はα-N-アセチル-ノイラミニル(シアリル)部分に結合される。さらに、工業用HMOは一般に、ラクトースが供給溶液として使用される発酵により生成される。結果的に、工業的に生成されるHMOは、一定量の遊離ラクトースを含有し、ラクトース不耐のIBS患者の症状の管理におけるそれらの使用は、直感に反する。
したがって、ラクトース不耐のIBS患者におけるIBS症状の管理のための方法及び化合物;特に、患者が食事にラクトース含有製品を含むことを許容する方法及び化合物が依然として必要とされている。
[発明の概要]
本発明の第1の態様は、
- ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、
- ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入する一方でIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、及び/又は
- ラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減すること
における使用のためのヒトミルクオリゴ糖(HMO)に関する。
本発明の第2の態様は、
- ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、
- ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入する一方でIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、及び/又は
- ラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減すること
における使用のための合成組成物であって、
少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を含む組成物に関する。
好ましくは、合成組成物は、1g~15gのHMO;より好ましくは、2g~10gの量を含有する。例えば、合成組成物は、3g~7gのHMOを含有し得る。
合成組成物は、ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria);例えば、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)を含有し得る。
本発明の第3の態様は、
- ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、
- ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入する一方でIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、及び/又は
- ラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減すること
における使用のためのパックであって、
少なくとも14の個々の1日用量の有効量の少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を含むパックに関する。
好ましくは、パックにおける各用量は、約1g~15gのヒトミルクオリゴ糖、好ましくは、2g~10g、より好ましくは3g~7gを含有する。
パックは、好ましくは、少なくとも約21の1日用量;例えば、約28の1日用量を含む。
パックは、ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria);例えば、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)を含有し得る。
本発明の第4の態様は、ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減するための方法であって、患者に有効量の少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を投与することを含む方法に関する。
本発明の第5の態様は、ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入する一方でIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減するための方法であって、ラクトースの供給源の摂取の前に患者に有効量の少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を投与することを含む方法に関する。
好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖は、ラクトースの供給源の摂取の前に少なくとも1週間、より好ましくは、少なくとも2週間投与される。
好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖はさらに、ラクトースの供給源の摂取の後に投与される。
本発明の第6の態様は、ラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減する方法であって、患者に有効量の少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を投与することを含む方法に関する。
好ましくは、非胃腸管症状は、睡眠障害、頭痛、活力減退、疲労、集中困難、不安、抑うつ、及び皮疹のうちの1つ以上である。
好ましくは、少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、ラクトースの供給源の摂取の前に投与される。より好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖はさらに、ラクトースの供給源の摂取の後に投与される。
投与されるHMOの量は、好ましくは、ヒトの腸管における酪酸産生細菌及び/又はビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)の存在量を増加させるのに有効である。さらに、投与されるHMOの量は、好ましくは、特に結腸におけるヒトの腸管バリア特性を改善するのに有効である。
好ましくは、ヒトに、1日当たり1g~15gのHMO;より好ましくは1日当たり2g~10gの量が投与される。例えば、ヒトに、1日当たり3g~7gが投与され得る。好ましくは、ヒトに、少なくとも1週間;より好ましくは少なくとも2週間HMOが投与される。
患者に、初期の間により高い用量及び維持期の間により低い用量が投与され得る。好ましくは、ヒトに、初期の間に少なくとも1週間;より好ましくは少なくとも2週間HMOが投与される。初期は、ラクトースの供給源の摂取の前に起こり得る。ヒトに、維持の間に少なくとも4週間;より好ましくは少なくとも8週間HMOが投与され得る。維持期は、ラクトースの供給源の摂取の後に起こり得る。初期の間に投与される用量は、好ましくは、1日当たり約3g~約10g(例えば、1日当たり約4g~約7.5g)であり、維持期の間に投与される用量は、好ましくは、1日当たり約2g~約7.5g(例えば、1日当たり約2g~約5g)である。
ある特定の実施形態では、HMOは、中性HMO又は酸性HMOであり得る。中性HMOは、1種以上のフコシル化HMO又は1種以上の非フコシル化HMOであり得る。好ましくは、HMOは、2’-FL、3-FL、DFL、LNT、LNnT、3’-SL、6’-SL、LNFP-I又はその混合物から選択される。好ましくは、HMOは、2’-FL並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;2’-FL及びDFLの少なくとも1つ並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ(例えば、2’-FL、DFL並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ);2’-FL及び6’-SL;DFL及び6’-SL;2’-FL、DFL及び6’-SL;2’-FL、6’-SL並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;並びに2’-FL、DFL、6’-SL並びにLNnT及び/又はLNTの少なくとも1つを含む。
[発明の詳細な説明]
現在、驚くべきことに、ラクトース不耐のIBS患者への1種以上のヒトミルクオリゴ糖(HMO)の経口又は経腸投与は、患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減することが見出されている。さらに、HMOの投与は、ラクトースの供給源のラクトース不耐のIBS患者の食事への再導入を許容する。また、驚くべきことに、HMOのラクトース不耐のIBS患者への投与は、患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減することが見出されている。したがって、患者は、IBS症状をより良好に管理することができるだけではなく、ラクトースの供給源を再導入するか又は乳製品などのラクトースの供給源の摂取を増加させることも可能であり得る。
HMOはまた、患者の胃腸管におけるビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)、特に、B.アドレセンティス(B.adolescentis)系統発生群のビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)の存在量を優先的に増加させる。ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)は、ビフィドバクテリウム・ロングム・ロングム(Bifidobacterium longum longum)又はビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティス(Bifidobacterium longum infantis)であり得る。これらの細菌は、乳酸塩及び酪酸産生細菌によって酪酸塩に変換され得る短鎖脂肪酸酢酸塩などの代謝産物を産生する。短鎖脂肪酸の増加は、消化器の健康を改善し、腸管バリアを強くする。不十分な腸管バリアは、IBS症状の原因であり得る。さらに、ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)の増加は、ベータ-ガラクトシダーゼのより高い活性をもたらし、したがって、結腸における未消化のラクトースのより良好な消化をもたらし得る。加えて、ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)は、エシェリキア属(Escherichia)及びクロストリジウム属(Clostridium)などの水素生産菌の増殖を阻害することができるため、これは、ラクトースの細菌消化を水素発酵から遠ざける。これにより、過剰なガス生成などのラクトース不耐症の症状を低減する。
本明細書では、以下の用語は以下の意味を有する。
「B.アドレセンティス(B.adolescentis)系統発生群のビフィドバクテリウム属(Bifidobacteria)」は、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アンギュラツム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・カシワノヘンス(Bifidobacterium kashiwanohense)、ビフィドバクテリウム・デンタム(Bifidobacterium dentum)及びビフィドバクテリウム・スターコリス(Bifidobacterium stercoris)からなる群から選択される細菌を意味する(Duranti et al,Appl.Environ.Microbiol.79,336(2013)、Bottacini et al.Microbial Cell Fact.13:S4(2014))。好ましくは、B.アドレセンティス(B.adolescentis)系統発生群のビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)は、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)及び/又はビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)である。
「有効量」は、ヒトにおいて所望の転帰をもたらすのに十分なHMOの量を意味する。有効量は、所望の転帰を達成する1つ以上の用量において投与され得る。
「経腸投与」は、胃腸管(胃を含む)において組成物の堆積をもたらす患者への組成物の送達のための任意の従来の形態を意味する。経腸投与の方法は、経鼻胃管又は空腸管、経口、舌下及び直腸を通して食物を摂取することを含む。
「ヒトミルクオリゴ糖」又は「HMO」は、ヒトの母乳において見出される複合糖質を意味する(Urashima et al.:Milk Oligosaccharides.Nova Science Publisher(2011);Chen Adv.Carbohydr.Chem.Biochem.72,113(2015))。HMOは、1つ以上のβ-N-アセチル-ラクトサミニル及び/又は1つ以上のβ-ラクト-N-ビオシル単位によって伸長され得る還元末端でラクトース単位を含むコア構造を有し、そのコア構造は、αL-フコピラノシル及び/又はα-N-アセチル-ノイラミニル(シアリル)部分によって置換され得る。この点に関して、非酸性(又は中性)HMOは、シアリル残基を欠き、酸性HMOは、それらの構造において少なくとも1つのシアリル残基を有する。非酸性(又は中性)HMOは、フコシル化されてもよいし、フコシル化されなくてもよい。そのような中性非フコシル化HMOの例としては、ラクト-N-テトラオース(LNT)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、ラクト-N-ネオヘキサオース(LNnH)、パラ-ラクト-N-ネオヘキサオース(pLNnH)、パラ-ラクト-N-ヘキサオース(pLNH)及びラクト-N-ヘキサオース(LNH)が挙げられる。中性フコシル化HMOの例としては、2’-フコシルラクトース(2’-FL)、ラクト-N-フコペンタオースI(LNFP-I)、ラクト-N-ジフコヘキサオースI(LNDFH-I)、3-フコシルラクトース(3-FL)、ジフコシルラクトース(DFL)、ラクト-N-フコペンタオースII(LNFP-II)、ラクト-N-フコペンタオースIII(LNFP-III)、ラクト-N-ジフコヘキサオースIII(LNDFH-III)、フコシル-ラクト-N-ヘキサオースII(FLNH-II)、ラクト-N-フコペンタオースV(LNFP-V)、ラクト-N-ジフコヘキサオースII(LNDFH-II)、フコシル-ラクト-N-ヘキサオースI(FLNH-I)、フコシル-パラ-ラクト-N-ヘキサオースI(FpLNH-I)、フコシル-パラ-ラクト-N-ネオヘキサオースII(FpLNnHII)及びフコシル-ラクト-N-ネオヘキサオース(FLNnH)が挙げられる。酸性HMOの例としては、3’-シアリルラクトース(3’-SL)、6’-シアリルラクトース(6’-SL)、3-フコシル-3’-シアリルラクトース(FSL)、LST a、フコシル-LST a(FLST a)、LST b、フコシル-LST b(FLST b)、LST c、フコシル-LST c(FLSTc)、シアリル-LNH(SLNH)、シアリル-ラクト-N-ヘキサオース(SLNH)、シアリル-ラクト-N-ネオヘキサオースI(SLNH-I)、シアリル-ラクト-N-ネオヘキサオースII(SLNH-II)及びジシアリル-ラクト-N-テトラオース(DSLNT)が挙げられる。
「過敏性腸症候群」(IBSと略記される)は、再発性の腹痛が排便又は排便習慣の変化と関連する腸機能障害を意味する。不規則な排便習慣は通常、腹部膨満/膨満感の症状と同様に存在する(すなわち、便秘、下痢又は便秘及び下痢の混合)。Rome IV診断基準の下で診断されるとき、患者は、最後の3ヶ月において平均して少なくとも1日/週の再発性の腹痛を経験しなければならず、疼痛は、以下の基準のうちの2つ以上と関連しなければならない:(1)排便に関連する;(2)便の頻度の変化と関連する;及び(3)便の形状(外観)の変化と関連する。症状の発生は、診断の少なくとも6ヶ月前に起こるべきであり、症状は、最後の3ヶ月の間存在するべきである。
「ラクトース不耐症」は、小腸におけるラクターゼ酵素の発現の低減又は活性の障害に起因するラクトースを許容する能力の障害を意味する。症状が発症するまでに許容できるラクトースの量は、冒される患者によって変動する。共通の胃腸管症状としては、腹痛、腹部膨満、下痢、ガス、及び嘔気が挙げられる。共通の非胃腸管症状としては、睡眠障害、頭痛、活力減退、疲労、集中困難、不安、抑うつ、及び皮疹が挙げられる。
「細菌叢」、「ミクロフローラ」及び「ミクロビオーム」は、通常、身体の器官又は部分、具体的には、ヒトの胃腸管器官に生息する生きている微生物の集団を意味する。胃腸管細菌叢の最も支配的なメンバーとしては、ファーミキューテス門(Firmicutes)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、放線菌門(Actinobacteria)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、シネルギステス門(Synergistetes)、ベルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)、フソバクテリウム門(Fusobacteria)、及びユリアーキオータ門(Euryarchaeota);属レベルで、バクテロイデス属(Bacteroides)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ロゼブリア属(Roseburia)、アリスティペス属(Alistipes)、コリンセラ属(Collinsella)、ブラウティア属(Blautia)、コプロコッカス属(Coprococcus)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)及びドレア属(Dorea);種レベルで、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、アリスティペス・ピュトレディニス(Alistipes putredinis)、パラバクテロイデス・メルダエ(Parabacteroides merdae)、ルミノコッカス・ブローミイ(Ruminococcus bromii)、ドレア・ロンギカテナ(Dorea longicatena)、バクテロイデス・カカエ(Bacteroides caccae)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、ユーバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、ルミノコッカス・トルキース(Ruminococcus torques)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii)、ルミノコッカス・ラクタリス(Ruminococcus lactaris)、コリンゼラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、ドレア・フォルミシゲネランス(Dorea formicigenerans)、バクテロイデス・ブルガータス(Bacteroides vulgatus)及びロゼブリア・インテスティナリス(Roseburia intestinalis)の微生物が挙げられる。胃腸管細菌叢としては、胃腸管の上皮を覆う粘膜層に位置するか又は付着される粘膜関連細菌叢、及び胃腸管の管腔に見出される管腔関連細菌叢が挙げられる。
「細菌叢の調節」は、細菌叢に対する影響、例えば、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、バルネシエラ属(Barnesiella)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)及び/又は他の酪酸産生細菌の常在の腸管存在量の増加をもたらす影響の改変又は制御を発揮することを意味する。別の例において、影響は、ルミノコッカス・グナバス(Ruminococcus gnavus)及び/又はプロテオバクテリア門(Proteobacteria)の腸管存在量の減少をもたらし得る。「プロテオバクテリア門(Proteobacteria)」は、グラム陰性細菌の門であり、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、ビブリオ属(Vibrio)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、エルシニア属(Yersinia)及び多くの他の注目すべき属などの多種多様の病原性細菌を含む。
「経口投与」は、口を通したヒトへの組成物の送達のための任意の従来の形態を意味する。したがって、経口投与は、経腸投与の形態である。
本文脈における「予防的治療」又は「予防」は、疾患の発症又は再発のリスクを減少させるために与えられる治療又はそのために取られる行為を意味する。
「症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減すること」は、後の時点で症状の重症度及び/又は発生を低減することを意味する。
「ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)の相対的存在量」は、ヒトの胃腸管の細菌叢における他のビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)に対するビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)種の存在量を意味する。
「ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)の相対増殖」は、ヒトの胃腸管の細菌叢における他のビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)に対するあるビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の増殖を意味する。
「二次予防」は、高リスク患者における当該状態の発症の予防、又は既に当該状態を有する患者における症状の再発の予防を意味する。「高リスク」患者は、当該状態を発症しやすい個体;例えば、当該状態の家族歴を有する人である。
「合成組成物」は、人工的に調製される組成物を意味し、好ましくは、例えば、化学反応、酵素反応又は組換えによって、エクスビボで化学的に及び/又は生物学的に生成される少なくとも1つの化合物を含有する組成物を意味する。いくつかの実施形態では、本発明の合成組成物は、天然に存在する組成物と同一であってもよいが、好ましくは同一ではない。合成組成物は通常、ラクトース不耐のIBS患者においてIBS症状を低減することができる1種以上のHMOを含む1種以上の化合物を含む。また、いくつかの実施形態では、合成組成物は、上述の化合物の有効性に有害な影響を及ぼさない1つ以上の栄養的に又は薬学的に活性な成分を含み得る。本発明の合成組成物のいくつかの非限定的な実施形態はまた下に記載される。
「治療する」は、治療されている人における転帰を改善するか若しくは安定化するか又は根底にある栄養上の必要性に対処する目的を有して医学的状態又は疾患に対処することを意味する。したがって、治療することは、治療されている人の栄養上の必要性に対処することによる医学的状態又は疾患の食事又は栄養上の管理を含む。「治療すること」及び「治療」は、文法的に対応する意味を有する。
「療法」は、疾患又は病態の症状を減少させるか又は消失させるために与えられる治療又はそのために取られる行為を意味する。
HMOは、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、又はヤギ種を含むが、これらに限定されない哺乳動物によって分泌される乳汁からよく知られる手順によって単離され得るか又は濃縮され得る。HMOはまた、細菌発酵、酵素的プロセス、化学合成、又はこれらの技術の組み合わせを使用するよく知られるプロセスによって生成され得る。例として、化学反応を使用して、LNnTを、国際公開第2011/100980号パンフレット及び国際公開第2013/044928号パンフレットに記載されるとおりに作製することができ、LNTを、国際公開第2012/155916号パンフレット及び国際公開第2013/044928号パンフレットに記載されるとおりに合成することができ、LNT及びLNnTの混合物を、国際公開第2013/091660号パンフレットに記載されるとおりに作製することができ、2’-FLを、国際公開第2010/115934号パンフレット及び国際公開第2010/115935号パンフレットに記載されるとおりに作製することができ、3-FLを、国際公開第2013/139344号パンフレットに記載されるとおりに作製することができ、6’-SL及びその塩を、国際公開第2010/100979号パンフレットに記載されるとおりに作製することができ、シアル酸付加オリゴ糖を、国際公開第2012/113404号パンフレットに記載されるとおりに作製することができ、ヒトミルクオリゴ糖の混合物を、国際公開第2012/113405号パンフレットに記載されるとおりに作製することができる。酵素的生成の例として、シアル酸付加オリゴ糖を、国際公開第2012/007588号パンフレットに記載されるとおりに作製することができ、フコシル化オリゴ糖を、国際公開第2012/127410号パンフレットに記載されるとおりに作製することができ、ヒトミルクオリゴ糖の有利に多様化されたブレンドを、国際公開第2012/156897号パンフレット及び国際公開第2012/156898号パンフレットに記載されるとおりに作製することができる。遺伝子改変のE.コリ(E.coli)を使用してフコース又はシアル酸によって任意選択により置換されたコア(非フコシル化中性)ヒトミルクオリゴ糖を作製する方法を記載する生物工学的方法は、国際公開第01/04341号パンフレット及び国際公開第2007/101862号パンフレットに見出され得る。
HMOは、単一のHMOであり得るか又は本発明の目的に適した任意のHMOの混合物であり得る。
一実施形態では、混合物は、中性HMO、好ましくは、少なくとも第1の中性HMO及び少なくとも第2の中性HMOを含むか、それらからなるか又はそれらから本質的になり、第1の中性HMOは、フコシル化された中性HMOであり、第2の中性HMOは、コアHMO(フコシル化されていない中性HMOとも称される)である。特に、HMOの混合物は、2’-FL、3-FL、DFL、LNFP-I、LNFP-II、LNFP-III、LNFP-V、LNDFH-I、LNDFH-II、LNDFH-III、FLNH-I、FLNH-II、FLNnH、FpLNH-I及びF-pLNnH IIからなるリストから選択されるフコシル化HMO、並びにLNT、LNnT、LNH、LNnH、pLNH及びpLNnHからなるリストから選択されるコアHMOを含有し得る。より好ましくは、中性HMOの混合物は、2’-FL、3-FL及びDFLからなるリストから選択されるフコシル化HMO、並びにLNT及びLNnTからなるリストから選択されるコアHMOを含有するか、それらからなるか又はそれらから本質的になり;有利には、混合物は、2’-FL並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;又は2’-FL及びDFLの少なくとも1つ並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;又は2’-FL、DFL並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つを含むか、それらからなるか又はそれらから本質的になる。
他の実施形態では、混合物は、少なくとも第1の(酸性)HMO及び少なくとも第2の(中性)HMOを含むか、それらからなるか又はそれらから本質的になり、第1の(酸性)HMOは、3’-SL、6’-SL及びFSLからなるリストから選択され、第2の(中性)HMOは、2’-FL、3-FL、DFL、LNT及びLNnTからなるリストから選択され;有利には、混合物は、2’-FL及び6’-SL;又は6’-SL並びに2’-FL及びDFLの少なくとも1つ;又は2’-FL、6’-SL並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;又は2’-FL、DFL、6’-SL並びにLNnT及び/又はLNTの少なくとも1つを含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる。
一実施形態では、合成組成物は、栄養組成物の形態であり得る。例えば、栄養組成物は、食品組成物、再水和溶液、医療食又は特別な医学的目的のための食品、栄養補助食品などであり得る。栄養組成物は、タンパク質、脂質及び/又は消化できる炭水化物の供給源を含有してもよく、粉末又は液体形態で存在してもよい。組成物は、唯一の栄養源になるように又は栄養補助食品として設計され得る。
好適なタンパク質供給源としては、ミルクタンパク質、ダイズタンパク質、コメタンパク質、エンドウマメタンパク質及びカラスムギタンパク質、又はその混合物が挙げられる。ミルクタンパク質は、ミルクタンパク質濃縮物、ミルクタンパク質単離物、ホエイタンパク質若しくはカゼイン、又はその両方の混合物の形態であり得る。タンパク質は、完全なタンパク質又は部分的に加水分解されたか若しくは広範に加水分解されたかのいずれかの加水分解されたタンパク質であり得る。加水分解されたタンパク質は、炎症を起こした又は易感染性のGI管を有するヒトにとって重要であり得るより容易な消化の利点を提供する。タンパク質はまた、遊離アミノ酸の形態で提供され得る。タンパク質は、栄養組成物のエネルギーの約5%~約30%、通常、約10%~20%を含み得る。理想的には、タンパク質の供給源は、過剰量のラクトースを含まない。
タンパク質供給源は、グルタミン、スレオニン、システイン、セリン、プロリン、又はこれらのアミノ酸の組み合わせの供給源であり得る。グルタミン供給源は、グルタミンジペプチド及び/又はグルタミンに富むタンパク質であり得る。グルタミンは、エネルギー源としての腸細胞によるグルタミンの使用に起因して含まれ得る。スレオニン、セリン及びプロリンは、ムチンの産生に重要なアミノ酸である。ムチンは、GI管を覆い、腸管バリア機能及び粘膜治癒を改善することができる。システインは、身体の抗酸化防御に重要なグルタチオンの主要な前駆体である。
好適な消化できる炭水化物としては、マルトデキストリン、加水分解された又は修飾されたデンプン又はトウモロコシデンプン、グルコースポリマー、コーンシロップ、コーンシロップ固形物、高フルクトースコーンシロップ、コメ由来炭水化物、エンドウマメ由来炭水化物、ジャガイモ由来炭水化物、タピオカ、スクロース、グルコース、フルクトース、スクロース、ハチミツ、糖アルコール(例えば、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール)、又はその混合物が挙げられる。好ましくは、組成物は、添加されたラクトース又は他のFODMAP炭水化物が減少しているか又はそれを含まない。一般に、消化できる炭水化物は、栄養組成物のエネルギーの約35%~約55%を提供する。好適な消化できる炭水化物は、低デキストロース当量(DE)のマルトデキストリンである。
好適な脂質としては、中鎖トリグリセリド(MCT)及び長鎖トリグリセリド(LCT)が挙げられる。好ましくは、脂質は、MCT及びLCTの混合物である。例えば、MCTは、脂質の約30重量%~約70重量%、より具体的には約50重量%~約60重量%を含み得る。MCTは、炎症を起こした又は易感染性のGI管を有するヒトにとって重要であり得るより容易な消化の利点を提供する。一般に、脂質は、栄養組成物のエネルギーの約35%~約50%を提供する。脂質は、ある特定の必須脂肪酸(オメガ-3及びオメガ-6脂肪酸)を含有し得る。好ましくは、これらの多価不飽和脂肪酸は、脂質供給源の総エネルギーの約30%未満を提供する。
長鎖トリグリセリドの好適な供給源は、ナタネ油、ヒマワリ種子油、パーム油、ダイズ油、乳脂肪、トウモロコシ油、高オレイン酸油、及びダイズレシチンである。分画されたココナッツ油は、中鎖トリグリセリドの好適な供給源である。栄養組成物の脂質プロファイルは、好ましくは、約4:1~約10:1の多価不飽和脂肪酸オメガ-6(n-6)とオメガ-3(n-3)比を有するように設計される。例えば、n-6とn-3の脂肪酸の比は、約6:1~約9:1であり得る。
栄養組成物はまた、ビタミン及びミネラルを含み得る。栄養組成物が、栄養の唯一の供給源であることが意図される場合、それは、好ましくは、完全なビタミン及びミネラルのプロファイルを含む。ビタミンの例としては、ビタミンA,B-複合体(B1、B2、B6及びB12など)、C、D、E及びK、ナイアシン並びにパントテン酸、葉酸及びビオチンなどの酸ビタミンが挙げられる。ミネラルの例としては、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、ヨウ素、銅、リン、マンガン、カリウム、クロム、モリブデン、セレン、ニッケル、錫、ケイ素、バナジウム及びホウ素が挙げられる。
栄養組成物はまた、ルテイン、リコピン、ゼアキサンチン、及びベータ-カロテンなどのカロテノイドを含み得る。含まれるカロテノイドの総量は、約0.001μg/ml~約10μg/mlで変動し得る。ルテインは、約0.001μg/ml~約10μg/ml、好ましくは、約0.044μg/ml~約5μg/mlのルテインの量で含まれ得る。リコピンは、約0.001μg/ml~約10μg/ml、好ましくは、約0.0185μg/ml~約5μg/mlのリコピンの量で含まれ得る。ベータ-カロテンは、約0.001μg/ml~約10μg/ml、例えば、約0.034μg/ml~約5μg/mlのベータ-カロテンを含み得る。
栄養組成物はまた、好ましくは、低減された濃度のナトリウム;例えば、約300mg/l~約400mg/lを含有する。残りの電解質は、腎機能に対して過度の腎溶質負荷をもたらすことなく必要性を満たす濃度設定において存在し得る。例えば、カリウムは、好ましくは、約1180~約1300mg/lの範囲で存在し;塩素イオンは、好ましくは、約680~約800mg/lの範囲で存在する。
栄養組成物はまた、保存剤、乳化剤、増粘剤、緩衝剤、繊維及びプレバイオティクス(例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖)、プロバイオティクス(例えば、B.アニマリス亜種ラクティス(B.animalis subsp.lactis) BB-12、B.ラクティス(B.lactis) HN019、B.ラクティス(B.lactis) Bi07、B.インファンティス(B.infantis) ATCC 15697、L.ラムノサス(L.rhamnosus) GG、L.ラムノサス(L.rhamnosus) HNOOl、L.アシドフィルス(L.acidophilus) LA-5、L.アシドフィルス(L.acidophilus) NCFM、L.ファーメンタム(L.fermentum) CECT5716、B.ロングム(B.longum) BB536、B.ロングム(B.longum) AH1205、B.ロングム(B.longum) AH1206、B.ブレベ(B.breve) M-16V、L.ロイテリ(L.reuteri) ATCC 55730、L.ロイテリ(L.reuteri) ATCC PTA-6485、L.ロイテリ(L.reuteri) DSM 17938)、トコフェロール、カロテノイド、アスコルビン酸塩/ビタミンC、パルミチン酸アスコルビル、ポリフェノール、グルタチオン、及びスーパーオキシドジスムターゼ(メロン)を含む抗酸化/抗炎症化合物、他の生理活性因子(例えば、成長ホルモン、サイトカイン、TFG-β)、着色剤、香料、並びに安定剤、潤滑剤などの様々な他の従来の成分を含有し得る。
栄養組成物は、可溶性粉末、液体濃縮物、又は使用準備済の製剤として製剤化され得る。組成物は、経鼻胃管を介して又は経口により必要なヒトに供給され得る。様々な香料及び他の添加剤も存在し得る。
栄養組成物は、固体又は液体形態で栄養組成物を調製するための任意の一般的に使用される製造技術によって調製され得る。例えば、組成物は、様々な供給溶液を合わせることによって調製され得る。脂肪中タンパク質型供給溶液は、脂質供給源を加熱し、混合し、続いて乳化剤(例えば、レシチン)、脂溶性ビタミン、及びタンパク質供給源の少なくとも一部を加熱し、撹拌しながら加えることによって調製され得る。次に、炭水化物供給溶液は、ミネラル、微量及び極微量ミネラル、増粘剤又は懸濁剤を加熱し、撹拌しながら水に加えることによって調製される。得られる溶液を、加熱及び撹拌を続けながら10分間保持した後、炭水化物(例えば、HMO及び消化できる炭水化物供給源)を加える。次に、得られる供給溶液を、加熱し、撹拌しながら混ぜ合わせ、pHを6.6~7.0に調整した後、組成物を、高温の短時間のプロセシングにかけ、その間、組成物を加熱処理し、乳化し、均質化し、続いて冷却する。水溶液ビタミン及びアスコルビン酸を加え、必要があればpHを所望の範囲に調整し、香料を加え、水を加えて、所望の全体の固体レベルを実現する。
液体生成物のために、次に、得られる溶液を、無菌的に包装して、無菌的に包装された栄養組成物を形成することができる。この形態において、栄養組成物は、供給準備済みであるか又は濃縮された液体形態であり得る。或いは、組成物は、噴霧乾燥され、加工され、再構成可能な粉末として包装され得る。
栄養生成物が、供給準備済みの栄養液体である場合、液体の重量による液体中のHMOの総濃度は、約0.2%~約1.0%、例えば、約0.3%~約0.7%を含む約0.1%~約1.5%であることが好ましい場合がある。栄養生成物が、濃縮された栄養液体である場合、液体の重量による液体中のHMOの総濃度は、約0.4%~約2.0%、例えば、約0.6%~約1.5%を含む約0.2%~約3.0%であることが好ましい場合がある。
別の実施形態では、栄養組成物は、単位剤形において存在する。単位剤形は、許容される食品グレードの担体、例えば、リン酸緩衝食塩水溶液、水中のエタノール、水及び油/水又は水/油エマルションなどのエマルションの混合物、並びに様々な湿潤剤又は賦形剤を含有し得る。単位剤形はまた、ヒトに投与されるときに有害な、アレルギー性の又は他の点で望まれない反応をもたらさない他の材料を含有し得る。担体及び他の材料は、溶媒、分散剤、被覆剤、吸収促進剤、制御放出剤、並びにデンプン、ポリオール、顆粒剤、結晶セルロース、希釈剤、潤滑剤、結合剤、及び崩壊剤などの1つ以上の不活性賦形剤を含み得る。好ましくは、単位剤形は、最小量の結合剤及び/又は賦形剤とともに主にHMOを含む。単位剤形は、栄養的に不完全であるか又は栄養の唯一の供給源として意図されないとき、特に好適である。
単位剤形は、例えば、既定量の混合物を含有する錠剤、カプセル、若しくは小丸薬として、又は既定濃度の混合物を含有する粉末若しくは顆粒又は既定濃度の混合物を含有する水性又は非水性液体中のゲル、ペースト、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ、ボーラス、煉薬、若しくはスラリーとして経口的に投与され得る。経口投与される組成物は、1つ以上の結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、香味料、及び保水剤を含み得る。錠剤などの経口投与される組成物は、任意選択によりコーティングされてもよく、HMOの持続放出、遅延放出又は制御放出をもたらすように製剤化されてもよい。
単位剤形はまた、経鼻胃管又は直接的な注入によってGI管又は胃に投与され得る。
単位剤形はまた、抗生物質、プロバイオティクス、鎮痛剤、及び抗炎症剤などの治療剤を含み得る。
ヒトに関する栄養組成物の適切な投与量は、HMOの濃度、ヒトの状態、免疫状態、体重及び年齢などの要因に基づいて従来の様式で決定され得る。いくつかの場合、投与量は、HMOがヒトの母乳において見出されるものと同様の濃度で送達されるようなものとなる。必要となるHMOの量は、一般に、1日当たり約1g~約15g、ある特定の実施形態では、1日当たり約2g~約10g、例えば、1日当たり約3g~約7gの範囲であろう。適切な用量レジメンは、当業者に知られる方法によって決定され得る。
さらなる実施形態では、HMOは、医薬組成物として製剤化され得る。医薬組成物は、薬学的に許容される担体、例えば、リン酸緩衝食塩水溶液、水中のエタノール、水及び油/水又は水/油エマルションなどのエマルションの混合物、並びに様々な湿潤剤又は賦形剤を含有し得る。医薬組成物はまた、ヒトに投与されるときに有害な、アレルギー性の又は他の点で望まれない反応をもたらさない他の材料を含有し得る。担体及び他の材料は、溶媒、分散剤、被覆剤、吸収促進剤、制御放出剤、並びにデンプン、ポリオール、顆粒剤、結晶セルロース、希釈剤、潤滑剤、結合剤、及び崩壊剤などの1つ以上の不活性賦形剤を含み得る。
医薬組成物は、例えば、既定量を含有する錠剤、カプセル、若しくは小丸薬として、又は既定濃度を含有する粉末若しくは顆粒又は既定濃度を含有する水性又は非水性液体中のゲル、ペースト、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ、ボーラス、煉薬、若しくはスラリーとして経口的に投与され得る。経口投与される組成物は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、香味料、及び保水剤を含み得る。錠剤などの経口投与される組成物は、任意選択によりコーティングされてもよく、その中で混合物の持続放出、遅延放出又は制御放出をもたらすように製剤化されてもよい。
医薬組成物はまた、肛門坐剤、エアロゾルチューブ、経鼻胃管又は直接的な注入によってGI管又は胃に投与され得る。
医薬組成物また、抗生物質、プロバイオティクス、鎮痛剤、及び抗炎症剤などの治療剤を含み得る。医薬組成物の適切な投与量は、HMOの濃度、患者の状態、免疫状態、体重及び年齢などの要因に基づいて従来の様式で決定され得る。いくつかの場合、投与量は、HMOがヒトの母乳において見出されるものと同様の濃度で送達されるようなものとなる。必要となるHMOの量は、一般に、1日当たり約1g~約15g、ある特定の実施形態では、1日当たり約2g~約10g、例えば、1日当たり約3g~約7gの範囲であろう。適切な用量レジメンは、当業者に知られる方法によって決定され得る。
ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減し、ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入し、且つ/又はラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減するために、投与されるために必要となるHMOの量は、IBS症状のリスク及び重症度、任意の根底にある医学的状態又は疾患、年齢、組成物の形態、及び投与されている他の医薬などの要因に依存して変動することになる。さらに、その量は、HMOが予防的に使用されているかどうか(用量が比較的高い可能性があるとき)又はHMOが維持の間に使用されているかどうか(用量が比較的低い可能性があるとき)に依存して変動し得る。しかしながら、必要となる量は、医師によって容易に設定することができ、一般に、1日当たり約1g~約15g、ある特定の実施形態では、1日当たり約2g~約10g、例えば、1日当たり約3g~約7gの範囲であろう。適切な用量は、例えば、体重及び/又は状態、管理されているIBS症状、他の病気及び/又は疾患の重症度、副作用の発生率及び/又は重症度並びに投与の様式を含むいくつかの要因に基づいて決定され得る。適切な用量範囲は、当業者に知られる方法によって決定され得る。初期の間、用量は、比較的高くてもよい(例えば、1日当たり3g~15g、好ましくは、1日当たり3mg~10g)。維持期の間、用量は、減少されてもよい(例えば、1日当たり1g~10g、好ましくは、1日当たり2g~7.5g)。
[実施例]
[実施例1]
合計317名の男性及び女性の患者が、17のクリニックから試験に参加するために採用される。患者は、スクリーニング時に18歳を超え;医療提供者からのIBSの目下の臨床診断を有し;且つRome IV IBS診断基準を満たす場合、試験に参加するのに適格である。患者は、医師によってセリアック病、憩室炎、炎症性腸疾患又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症であると診断される場合、参加から除外される。
全ての患者は、クリニックでのスクリーニング来院に参加し、そこで、記載されたインフォームドコンセントが得られ、組み入れ基準及び除外基準が確認される。治験への組み入れの後、患者は、電子的なベースライン調査(調査1)に記入する。調査は、ブリストル便形状スケール(BSFS)、IBS症状重症度スコア(IBS-SSS)、IBS特異的胃腸管症状評価尺度(GSRS-IBS)、及びIBS生活の質(IBS-QoL)などのいくつかの検証済みの質問票を含む。患者はまた、ラクトース不耐であるかどうかを示す。採用された317名の患者のうち67名が、ラクトース不耐症を示す。
調査1が完了してから、患者は、4週間毎日2種のHMO(4:1混合物中の2’-FL及びLNnT)の組み合わせで構成されるHMO製品を摂取する。HMO製品は、それぞれが5gの2種のHMOを含有するシングルサーブスティックパックにおいて提供され、各患者は、1日当たり1個のスティックパックの内容物を摂取する。
4週間後、患者は、同じ検証済みの質問票並びに介入に対する遵守、HMO製品の理解、及び有害事象(AE)に対する質問を含む2回目の電子的調査(調査2)を完成させる。次に、患者は、次の4週間毎日HMO製品を摂取する。4週間後、患者は、同じ検証済みの質問票並びに介入に対する遵守、HMO製品の理解、及び有害事象(AE)に対する質問を含む3回目の電子的調査(調査3)を完成させる。患者は、再び4週間HMO製品を摂取した後、最終調査(調査4)に進む。調査4は、同じ検証済みの質問票並びに介入に対する遵守、HMO製品の理解、及び有害事象(AE)に対する質問を含む。
主要転帰及び副次的転帰の両方に関して、二要因混合計画分散分析(ANOVA)が、被験者間要因としての3種のIBSサブタイプ及び被験者内要因としての2つの時点(12週目に対するベースライン)とともに分析のために使用される。分析は、患者が介入を開始したかどうかにかかわらず製品の出荷を受けた全ての患者からのデータを含み、中止された患者からの欠測データポイントを埋めるために最後に得られた観測値を繰り越す治療企図(ITT)の方法論を使用して実施される。
治験における有効性の主要評価項目は、BSFSによって測定される異常な便硬度を伴う便通の割合におけるベースラインからの平均変化である。副次的評価項目は、IBS-SSSによって測定される全体的なIBS重症度、GSRS-IBSによって測定される胃腸管症状の重症度、及びIBS-QoLによって測定される患者の健康に関連する生活の質のベースラインからの変化を含む。安全性は、治験期間全体にわたって有害事象を収集し、観測することによって評価される。
合計で49名のラクトース不耐の患者が治験を完了する。ラクトース不耐の患者は、異常な便通(ブリストル便形状スケールのタイプ1、2、6、又は7)の全体的なパーセンテージ、及び全体的なIBS症状の重症度においてベースラインから12週目までに著しい低減を示す。患者はまた、健康に関連する生活の質における著しい改善を示す。症状の改善の大部分は、介入の最初の4週間で起こる。ラクトース不耐のサブグループにおける症状の改善は、他のIBS患者と同様である。結果は、以下の表に示される。
Figure 2023503541000001
67名のラクトース不耐の患者が、ラクトース耐性の患者と同様の有害事象を報告する。大部分が軽度であると評価される。
[実施例2]
IBSの糞便中のビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)の存在量を増加させる異なるHMOの能力は、バッチ培養の発酵系において評価される。以下のHMOが試験される:2’-FL、LNnT、LNT、3’-SL、6’-SL並びに2’-FL及びDFLの混合物。
糞便試料は、IBS-D患者、IBS-C患者及び健康被験者から回収される。バッチ発酵槽が設置され(300mlの作業体積)、各発酵槽は無菌的に、糞便試料、基礎的な培養培地及びHMOの1つが混入される。温度は、水浴を循環させることによって37℃(ヒト体温)で一定に維持され、pHは、6.8に調節される。
バッチ発酵槽は、0時間、8時間、及び48時間で採取された試料により48時間稼働される。試料は、
・細菌集団を数え上げるためのフローサイトメトリーと組み合わせた蛍光インサイツハイブリダイゼーション法(Flow-FISH)。11種の遺伝型プローブを使用して、全細菌を含む腸内細菌叢の支配的な細菌分類群の16S rRNAの特定の領域を標的化する。
を使用する分析にかけられる。
ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)の存在量は、HMOの添加を伴うIBS及び健康な糞便試料において増加する。ビフィドバクテリウム属(Bifidobacteria)は、ラクトース不耐の症状をもたらすガスの生成を伴わずにラクトースを摂取することができ、HMOがラクトース不耐のIBS患者においてビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)を増加させるのに好適であることを示す。
[実施例3]
HMO 2’-FL及びLNnTは、4:1の質量比でロータリーブレンダーに導入される。0.25w%量のステアリン酸マグネシウムが、ブレンダーに導入され、混合物が10分間ブレンドされる。次に、混合物は、流動層中で塊にされ、5グラムのスティックパックに充填され、パックは密封される。
[実施例4]
実施例3の手順が、凝塊の形成工程が省略されることを除いて繰り返される。

Claims (22)

  1. ・ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、
    ・ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入する一方で前記IBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、及び/又は
    ・ラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減すること
    における使用のためのヒトミルクオリゴ糖(HMO)。
  2. ・ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、
    ・ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入する一方で前記IBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、及び/又は
    ・ラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減すること
    における使用のための合成組成物であって、
    少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を含む組成物。
  3. 1g~15gの前記ヒトミルクオリゴ糖、好ましくは、2g~10g、より好ましくは、3g~7gの量を含有する、請求項2に記載の使用のための合成組成物。
  4. ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria);例えば、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)をさらに含む、請求項2又は請求項3に記載の使用のための合成組成物。
  5. 前記ヒトミルクオリゴ糖が、2’-FL、3-FL、DFL、LNT、LNnT、3’-SL、6’-SL、LNFP-I又はその混合物を含む、請求項1に記載の使用のためのヒトミルクオリゴ糖又は請求項2~4のいずれか一項に記載の使用のための合成組成物。
  6. 前記ヒトミルクオリゴ糖が、2’-FL及びDFLの少なくとも1つ、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つである、請求項5に記載の使用のためのヒトミルクオリゴ糖又は合成組成物。
  7. ・ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、
    ・ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入する一方で前記IBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減すること、及び/又は
    ・ラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減すること
    における使用のためのパックであって、
    少なくとも14の個々の1日用量の有効量の少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を含むパック。
  8. 各用量が、約1g~15gの前記ヒトミルクオリゴ糖、好ましくは、2g~10g、より好ましくは、3g~7gを含有する、請求項7に記載の使用のためのパック。
  9. 少なくとも約21の1日用量;例えば、約28の1日用量を含む、請求項7又は請求項8に記載の使用のためのパック。
  10. 各1日用量がさらに、ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria);例えば、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の使用のためのパック。
  11. ラクトース不耐のIBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減するための方法であって、前記患者に有効量の少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を投与することを含む方法。
  12. ラクトース不耐のIBS患者の食事にラクトースの供給源を再導入する一方で前記IBS患者において胃腸管IBS症状の重症度及び/又は症状の発生を予防的に低減するための方法であって、ラクトースの前記供給源の摂取の前に前記患者に有効量の少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を投与することを含む方法。
  13. 前記HMOが、ラクトースの前記供給源の摂取の前に少なくとも1週間、より好ましくは、少なくとも2週間投与される、請求項12に記載の方法。
  14. ラクトースの前記供給源の摂取の後に前記HMOを投与することをさらに含む、請求項12又は13に記載の方法。
  15. ラクトース不耐のIBS患者において非胃腸管症状の重症度及び/又は発生を低減するための方法であって、前記患者に有効量の少なくとも1種のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を投与することを含む方法。
  16. 前記非胃腸管症状が、睡眠障害、頭痛、活力減退、疲労、集中困難、不安、抑うつ、及び皮疹のうちの1つ以上である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記ヒトが、1日当たり2g~10gの量の前記HMOを投与される、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記ヒトミルクオリゴ糖が、少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも2週間投与される、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記ヒトが、初期の間により高い用量、続いて維持期により低い用量を投与される、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記より高い用量が、1日当たり約3g~約10g(例えば、1日当たり約4g~約7.5g)であり、前記より低い用量が、1日当たり約2g~約7.5g(例えば、1日当たり約2g~約5g)である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ヒトミルクオリゴ糖が、2’-FL、3-FL、DFL、LNT、LNnT、3’-SL、6’-SL、LNFP-I又はその混合物を含む、請求項11~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記ヒトミルクオリゴ糖が、2’-FL及びDFLの少なくとも1つ、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つである、請求項21に記載の方法。
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