JP2022535718A - 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の症状の処置において使用するためのヒトミルクオリゴ糖 - Google Patents

非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の症状の処置において使用するためのヒトミルクオリゴ糖 Download PDF

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Abstract

本発明は、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減する際、並びに患者において非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減する際に使用するための、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)、HMOを含む合成組成物、及び方法に関する。【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を有する人の症状を管理するための方法、化合物及び組成物に関する。
[発明の背景]
非セリアックグルテン過敏症としても知られている非セリアック小麦過敏症は、セリアック病及び小麦アレルギーと共に、グルテン関連障害である(Leccioli et al.Nutrients 9,1203(2017))。非セリアック小麦過敏症は、小麦及び/又はグルテンの摂取が他のグルテン関連障害で見られるものと同様の症状をもたらし得る、非アレルギー状態及び非自己免疫状態である。この状態は、症状が小麦及び/又はグルテンの使用中止によって軽減され、小麦及び/又はグルテンを再導入すると再出現するので、小麦及び/又はグルテン過敏症と考えられる。しかしながら、この状態を有する患者は、セリアック病又はグルテンアレルギーに関連する特徴的な自己免疫マーカー又はアレルギーマーカーを示さない。それにもかかわらず、臨床症状は、セリアック病及びグルテンアレルギーと類似している。最も頻度の高い胃腸症状には、腹部膨満、腹痛、心窩部痛、下痢、及び便秘が含まれる。非胃腸症状には、疲労、頭痛、不安、「ぼんやりした心(foggy mind)」又は集中困難、鬱及び皮膚発疹が含まれる。これらの症状は、小麦及び/又はグルテンへの曝露の後、数時間~数日以内に発生する可能性があり、そして小麦及び/又はグルテンの使用を中止すると消失し得る。
非セリアック小麦過敏症の原因は不明である。この状態は、セリアック病及びグルテンアレルギーにおいて見られるように、潜在的に多数のトリガーに関係し得る。開始トリガーは、主に、腸上皮の小麦及び/又はグルテンへの曝露を含み、免疫介在性及び/又は非免疫介在性応答をもたらす。T細胞の関与の証拠が欠けており、toll様受容体(TLR)の関与が明らかであるため、この状態は適応免疫応答というよりもむしろ自然免疫応答であり得る。
この状態は、特異的なトリガーが特定されていないので、セリアック病及びグルテンアレルギーとは異なるメカニズムに関係し得る。セリアック病のトリガーであるグルテンはこの状態の重大なトリガーであり得るが、それが主要なトリガーであるのか、又は本当にトリガーであるのかという疑念が増大している。いくつかの他の食物由来の刺激も重要なトリガーであり得る。これらには、アルファアミラーゼ/トリプシン阻害剤(ATI)、発酵性オリゴ糖、二糖、単糖及びポリオール(FODMAPS)並びに他の短鎖フルクタンが含まれる。特に、ATIは、病態に関与している。免疫応答の開始におけるATIの役割は動物及びヒト研究モデルにおいて示されており、セリアック病及び非セリアック小麦過敏症の両方において重要な経口抗原であると考えられる。ATIは、主として、TLR複合体の活性化を介して、マクロファージ、好中球及び腸樹状細胞に関係する自然免疫応答を誘発する。反対に、典型的なグリアジン誘導性の腸応答は特徴的に見られないので、グリアジンは主要なトリガーではないと思われ、加えて、グリアジンは主に、非セリアック小麦過敏症を有する患者では見出されていない適応免疫マーカー(例えば、IL-6、IL-21及びINF-γ)を活性化する。
非セリアック小麦過敏症を有する患者は、TLR2発現レベルの上昇、α及びβ上皮内リンパ球の数の増大、並びにT制御性細胞の数の減少を示す。また、これらの患者は、リポ多糖結合タンパク質(LBP)及び可溶性CD14タンパク質のレベルが上昇している。さらに、これらの患者は、腸上皮細胞傷害マーカーである脂肪酸結合タンパク質2(FABP2)の循環レベルが上昇している(Uhde et al.Gut 65,1930(2016))。現在、非セリアック小麦過敏症を有する患者は、抗原に固有層を横断させる腸透過性の増大を示すことが認められている。
腸内細菌叢の変化も、非セリアック小麦過敏症における役割を果たし得る。患者に見られる免疫マーカーは主として自然免疫応答マーカーであり、これは、細菌叢が役割を有することの証拠を提供する。しかしながら、細菌叢の役割の証拠はまだ不明である。組成の観点から、患者はより少ない存在量の酪酸産生細菌及びビフィズス菌を有し得ると思われる。
さらに、この状態は、いくつかの遺伝的素因を有する個人において発生するといういくつかの証拠がある。遺伝的素因は一般集団よりも高いが、強い遺伝的要素を有するセリアック病患者よりも低い。しかしながら、遺伝子とのこの関連性は、現在のところ定かではない。
この状態の診断は複雑であり、多くの患者はそのプロセスをたどることを嫌がる。診断の第1のステップは、セリアック病、並びに小麦及び/又はグルテンアレルギーの除外である。これは、6週間にわたって患者にグルテン含有食を与えることによって行われる。この期間中に、小麦アレルギー(すなわち、小麦特異的IgE及び皮膚プリックテスト)、及びセリアック病(すなわち、IgA-tTG、IgG-DGP及びIgA-EMA)を除外するためにいくつかのテストが実施される。必要であれば、確認のために十二指腸生検を行うことができる。第2のステップは、患者に6週間の無グルテン食を開始させ、症状応答をモニターすることからなる。この症状応答は、胃腸症状評価スケール(GSRS)及び数値評価スケール(NRS)を用いて評価される。食事を開始して6週間で患者が症状の改善を示すことができなければ、この状態の診断は除外され、IBS及び他の腸機能障害などの他の診断を調査する必要がある。第3のステップは、グルテン含有食の再導入を含む。このステップでは、患者は2つのプロトコルのうちの1つにランダムに割り当てられる。患者は、無グルテン食+プラセボ、又は無グルテン食+グルテンのいずれかを1週間受ける。次に、患者は、厳密な無グルテン食の1週間のウォッシュアウト期間が置かれた後、1週間クロスオーバーされる。グルテンを含まない食事を導入したときの30%の症状改善、又はグルテン含有食を導入したときの30%の症状出現は、陽性結果を示す。この30%値よりも低いと、陰性結果であると考えられる。
診断の難しさは、この状態の有症率が明確でないことを意味する。しかしながら、この状態はより一般的な診断になりつつある。結果として、この状態の有症率は、西洋人で0.6~6%と大きく異なると報告されている。この診断能力の欠如の結果、患者は、正式な臨床検査又は医師による管理推奨なしに自己診断後に無グルテン食を開始することになる。このために、無グルテン食の摂取は、西欧諸国において人気が高まってきている。2015年7月に行われたギャラップ世論調査では、米国人の20%が無グルテン食を選び、17%は無グルテン食を避けると回答することが示された。
現在、この状態の治療法は存在せず、唯一許容される処置は患者に無グルテン食を与えることであり、これは多くの場合、腸内及び腸管外症状の解消を助ける。しかしながら、推奨されるのは、その後無グルテン食を一生続けることである。グルテンを含有する穀物は多数の必須栄養素、特に繊維も含有するので、このことの栄養的な結果は不明である。また、グルテン含有食の除去は、患者の生活の質に著しい影響を与え得る。厄介な症状を誘発することなく、その人が小麦及び/又はグルテンを摂取できるようにする治療介入を患者に提供できることの方が良いであろう。
したがって、小麦及び/又はグルテンの摂取を可能にし得る、ヒトにおける非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症の管理のための方法及び化合物が依然として必要とされている。さらに、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減するための方法及び化合物が依然として必要とされている。
[発明の概要]
本発明の第1の態様は、
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において、症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減する際、
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の食事に小麦及び/又はグルテンを再導入する際、
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、前記患者の食事への小麦及び/又はグルテンの再導入時に、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症の症状の発生又は再発生のリスクを低減する際、及び/又は
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減する際
に使用するためのヒトミルクオリゴ糖(HMO)に関する。
本発明の第2の態様は、
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において、症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減する際、
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の食事に小麦及び/又はグルテンを再導入する際、
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、前記患者の食事への小麦及び/又はグルテンの再導入時に、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症の症状の発生又は再発生のリスクを低減する際、及び/又は
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減する際
に使用するための合成組成物に関し、本組成物は、少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)を含む。
好ましくは、合成組成物は、1g~15g、より好ましくは2g~10gの量のHMOを含有する。例えば、合成組成物は、3g~7gのHMOを含有し得る。
合成組成物は、ビフィズス菌、例えば、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)を含有し得る。
本発明の第3の態様は、
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において、症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減する際、
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の食事に小麦及び/又はグルテンを再導入する際、
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、前記患者の食事への小麦及び/又はグルテンの再導入時に、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症の症状の発生又は再発生のリスクを低減する際、及び/又は
- 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減する際
に使用するためのパックに関し、本パックは、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)の個別の1日用量を少なくとも14個含む。
好ましくは、パック内の各用量は、約1g~15g、好ましくは2g~10g、より好ましくは3g~7gのヒトミルクオリゴ糖を含有する。
パックは、好ましくは、少なくとも約21個の1日用量、例えば、約28個の1日用量を含む。
パックは、ビフィズス菌、例えば、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)を含有し得る。
本発明の第4の態様は、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減するための方法に関し、本方法は、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)をヒトに投与することを含む。
好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖は、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも2週間にわたって投与される。
好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖は、小麦及び/又はグルテンの摂取の後にさらに投与される。
本発明の第5の態様は、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の食事に小麦及び/又はグルテンを再導入するための方法に関し、本方法は、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)をヒトに投与することを含む。
好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖は、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも2週間にわたって投与される。
好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖は、小麦及び/又はグルテンの摂取の後にさらに投与される。
本発明の第6の態様は、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、前記患者の食事への小麦及び/又はグルテンの再導入時に、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症の症状の発生又は再発生のリスクを低減するための方法に関し、本方法は、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)を患者に投与することを含む。
好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖は、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも2週間にわたって投与される。
好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖は、小麦及び/又はグルテンの摂取の後にさらに投与される。
本発明の第7の態様は、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減する方法に関し、本方法は、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)を患者に投与することを含む。
好ましくは、非胃腸症状は、睡眠障害、頭痛、エネルギー不足、集中力欠如、不安、鬱、及び皮膚発疹のうちの1つ又は複数である。
好ましくは、少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に投与される。より好ましくは、ヒトミルクオリゴ糖は、小麦及び/又はグルテンの摂取の後にさらに投与される。
投与されるHMOの量は、好ましくは、ヒトの腸内の酪酸産生細菌及び/又はビフィズス菌の存在量を増大させるのに有効である。さらに、投与されるHMOの量は、好ましくは、ヒトの腸のバリア特性、特に結腸におけるバリア特性を改善するのに有効である。
好ましくは、ヒトは、1日当たり1g~15g、より好ましくは1日当たり2g~10gの量のHMOを投与される。例えば、ヒトは、1日当たり3g~7gを投与され得る。好ましくは、ヒトは、少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも2週間にわたってHMOを投与される。
患者は、初期段階中にはより多い用量、そして維持段階中にはより少ない用量を投与され得る。好ましくは、ヒトは、初期段階中に少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも2週間にわたってHMOを投与される。初期段階は、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に存在し得る。ヒトは、維持段階中に少なくとも4週間、より好ましくは少なくとも8週間にわたってHMOを投与され得る。維持段階は、小麦及び/又はグルテンの摂取の後に存在し得る。初期段階中に投与される用量は、好ましくは、1日当たり約3g~約10g(例えば、1日当たり約4g~約7.5g)であり、維持段階中に投与される用量は、好ましくは、1日当たり約2g~約7.5g(例えば、1日当たり約2g~約5g)である。
特定の実施形態では、HMOは、中性HMO又は酸性HMOであり得る。中性HMOは、1つ若しくは複数のフコシル化HMO、又は1つ若しくは複数の非フコシル化HMOであり得る。好ましくは、HMOは、2’-FL、3-FL、DFL、LNT、LNnT、3’-SL、6’-SL、LNFP-I又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、HMOは、2’-FL、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;2’-FL及びDFLの少なくとも1つ、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ(例えば、2’-FL、DFL、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ);2’-FL及び6’-SL;DFL及び6’-SL;2’-FL、DFL及び6’-SL;2’-FL、6’-SL、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;そして2’-FL、DFL、6’-SL、並びにLNnT及び/又はLNTの少なくとも1つを含む。
[発明の詳細な説明]
驚くべきことに、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者への1つ又は複数のヒトミルクオリゴ糖(HMO)の経口又は腸内投与は、小麦及び/又はグルテンを後に摂取する非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において、症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減できることが今見出された。さらに、1つ又は複数のヒトミルクオリゴ糖(HMO)の経口又は腸内投与により、患者は、食事に小麦及び/又はグルテンを再導入できるようになる。また驚くべきことに、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者への1つ又は複数のヒトミルクオリゴ糖(HMO)の経口又は腸内投与は、患者の非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減することも見出された。またHMOは、消化管内のビフィズス菌、特にB.アドレセンティス(B.adolescentis)系統発生群のビフィズス菌、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)の存在量を優先的に増大させる。これらの細菌はラクテート及びアセテートを産生し、これらは次に、酪酸産生細菌によってブチレートに変換され得る。
ヒトミルクオリゴ糖は、人乳中に見られる可溶性グリカンの不均一な混合物である。これは、人乳中でラクトース及び脂質に次いで3番目に豊富な固体成分であり、5~25g/lの濃度で存在する(Bode:Human milk oligosaccharides and their beneficial effects,in:Handbook of dietary and nutritional aspects of human breast milk(Zibadi et al.,eds.),pp.515-31,Wageningen Academic Publishers(2013))。HMOは小腸での酵素加水分解に対して抵抗性であり、したがって、ほとんど消化及び吸収されずに、無傷で結腸に到達する。結腸に到達するHMOの大部分は、特定の細菌の増殖を選択的に刺激することによって腸の生態系を形成するための基質としての機能を果たす。HMOは、乳児の腸内細菌叢を実質的に調節し、人工栄養児と母乳栄養児の細菌叢の違いにおいて決定的な役割を果たすと考えられる。これらの違いとしては、人工栄養児のより多様な腸内細菌叢と比較して、母乳栄養児の腸内のビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の優勢が挙げられる。ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の菌株は腸の健康に対して好影響を与えると考えられるので、このことは、乳児にとって有益であるとみなされる。
またHMOは、消化管内のビフィズス菌、特にB.アドレセンティス(B.adolescentis)系統発生群のビフィズス菌、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)の存在量を優先的に増大させる。
本明細書では、以下の用語は以下の意味を有する。
「B.アドレセンティス(B.adolescentis)系統発生群のビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)」は、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アングラツム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラツム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・カシワノヘンス(Bifidobacterium kashiwanohense)、ビフィドバクテリウム・デンツム(Bifidobacterium dentum)及びビフィドバクテリウム・ステルコリス(Bifidobacterium stercoris)からなる群から選択される細菌を意味する(Duranti et al.Appl.Environ.Microbiol.79,336(2013),Bottacini et al.Microbial Cell Fact.13:S4(2014))。好ましくは、B.アドレセンティス(B.adolescentis)系統発生群のビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)は、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)及び/又はビフィドバクテリウム・シュードカテヌラツム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)である。
「有効量」は、ヒトにおいて所望の処置結果を与えるのに十分な量のHMOを提供する組成物の量を意味する。所望の処置結果を達成するために、有効量は、1回又は複数回の用量で投与することができる。
「腸内投与」は、消化管(胃を含む)内で組成物の堆積を引き起こす、非乳児に組成物を送達するための任意の従来の形態を意味する。腸内投与の方法には、経鼻胃管又は空腸管、経口、舌下及び直腸による供給が含まれる。
「ヒトミルクオリゴ糖」又は「HMO」は、ヒト母乳中に見られる複合炭水化物を意味する(Urashima et al.:Milk Oligosaccharides.Nova Science Publisher(2011);Chen Adv.Carbohydr.Chem.Biochem.72,113(2015))。HMOは、1つ若しくは複数のβ-N-アセチル-ラクトサミニル、及び/又は1つ若しくは複数のβ-ラクト-N-ビオシル単位によって伸長され得る、還元末端にラクトース単位を含むコア構造を有し、このコア構造は、αL-フコピラノシル及び/又はα-N-アセチル-ノイラミニル(シアリル)部分によって置換され得る。これに関して、非酸性(又は中性)HMOはシアリル残基を欠いており、酸性HMOは、その構造内に少なくとも1つのシアリル残基を有する。非酸性(又は中性)HMOは、フコシル化又は非フコシル化され得る。このような中性非フコシル化HMOの例としては、ラクト-N-テトラオース(LNT)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、ラクト-N-ネオヘキサオース(LNnH)、パラ-ラクト-N-ネオヘキサオース(pLNnH)、パラ-ラクト-N-ヘキサオース(pLNH)及びラクト-N-ヘキサオース(LNH)が挙げられる。中性フコシル化HMOの例としては、2’-フコシルラクトース(2’-FL)、ラクト-N-フコペンタオースI(LNFP-I)、ラクト-N-ジフコヘキサオースI(LNDFH-I)、3-フコシルラクトース(3-FL)、ジフコシルラクトース(DFL)、ラクト-N-フコペンタオースII(LNFP-II)、ラクト-N-フコペンタオースIII(LNFP-III)、ラクト-N-ジフコヘキサオースIII(LNDFH-III)、フコシル-ラクト-N-ヘキサオースII(FLNH-II)、ラクト-N-フコペンタオースV(LNFP-V)、ラクト-N-ジフコヘキサオースII(LNDFH-II)、フコシル-ラクト-N-ヘキサオースI(FLNH-I)、フコシル-パラ-ラクト-N-ヘキサオースI(FpLNH-I)、フコシル-パラ-ラクト-N-ネオヘキサオースII(FpLNnH II)及びフコシル-ラクト-N-ネオヘキサオース(FLNnH)が挙げられる。酸性HMOの例としては、3’-シアリルラクトース(3’-SL)、6’-シアリルラクトース(6’-SL)、3-フコシル-3’-シアリルラクトース(FSL)、LST a、フコシル-LST a(FLST a)、LST b、フコシル-LST b(FLST b)、LST c、フコシル-LST c(FLST c)、シアリル-LNH(SLNH)、シアリル-ラクト-N-ヘキサオース(SLNH)、シアリル-ラクト-N-ネオヘキサオースI(SLNH-I)、シアリル-ラクト-N-ネオヘキサオースII(SLNH-II)及びジシアリル-ラクト-N-テトラオース(DSLNT)が挙げられる。
「細菌叢」、「ミクロフローラ」及び「ミクロビオーム」は、通常ヒトの身体の器官又は一部、特に胃腸器官に存在する、生きている微生物の群集を意味する。胃腸内細菌叢の最も優勢なメンバーとしては、ファーミキューテス門(Firmicutes)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、シネルギステス門(Synergistetes)、ベルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)、フソバクテリウム門(Fusobacteria)、及びユリアーキオータ門(Euryarchaeota)の微生物;属レベルでは、バクテロイデス属(Bacteroides)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ローズブリア属(Roseburia)、アリスティペス属(Alistipes)、コリンセラ属(Collinsella)、ブラウティア属(Blautia)、コプロコッカス属(Coprococcus)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)及びドレア属(Dorea);種レベルでは、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、アリスティペス・プトレディニス(Alistipes putredinis)、パラバクテロイデス・メルダエ(Parabacteroides merdae)、ルミノコッカス・ブロミイ(Ruminococcus bromii)、ドレア・ロンギカテナ(Dorea longicatena)、バクテロイデス・カッカエ(Bacteroides caccae)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、ユーバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、ルミノコッカス・トルケス(Ruminococcus torques)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii)、ルミノコッカス・ラクタリス(Ruminococcus lactaris)、コリンセラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、ドレア・フォルミキゲネランス(Dorea formicigenerans)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)及びロセブリア・インテスティナリス(Roseburia intestinalis)が挙げられる。胃腸内細菌叢には、消化管の上皮を被覆する粘膜層内に位置するか又は付着した粘膜関連細菌叢と、消化管の内腔に見られる管腔関連細菌叢とが含まれる。
「細菌叢の調節」は、細菌叢に対する調節又は制御作用、例えば、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、バルネシエラ属(Barnesiella)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)及び/又は他の酪酸産生細菌の常在性の腸内存在量の増大をもたらす作用を与えることを意味する。別の例では、この作用は、ルミノコッカス・グナブス(Ruminococcus gnavus)及び/又はプロテオバクテリア門(Proteobacteria)の腸内存在量の減少をもたらし得る。「プロテオバクテリア」はグラム陰性細菌の門であり、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、ビブリオ属(Vibrio)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、エルシニア(Yersinia)属及び多数の他の注目すべき属などの様々な種類の病原性細菌が含まれる。
「非セリアック小麦過敏症」は、セリアック病又は小麦アレルギーのいずれによる影響も受けていない対象において、グルテン含有食の摂取に関連する腸内及び腸管外症状を特徴とする症候群を意味する。「非セリアックグルテン過敏症」は同じ意味を有し、2つの用語は互換的に使用される。グルテン含有食は、通常、小麦、大麦及びライ麦などのグルテン含有穀物を含有する。
「非乳児ヒト」又は「非乳児」は、3歳以上のヒトを意味する。非乳児ヒトは、子供、ティーンエイジャー、成人又は高齢者であり得る。
「経口投与」は、組成物をヒトに口から送達するための任意の従来の形態を意味する。したがって、経口投与は、腸内投与の一形態である。
本明細書の文脈における「予防的処置」又は「予防」は、疾患の発症又は再発のリスクを低下させるために与えられる処置又は取られる行動を意味する。
「症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減する」は、その後の時点で、小麦及び/又はグルテンへの曝露時に症状の重症度及び/又は発生を低減することを意味する。
「ビフィズス菌の相対存在量」は、ヒトの消化管の細菌叢内の他のビフィズス菌に対する、ある1つのビフィズス菌種の存在量を意味する。
「ビフィズス菌の相対増殖」は、ヒトの消化管の細菌叢内の他のビフィズス菌に対する、ある1つのビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の増殖を意味する。
「二次予防」は、高リスク患者における状態の発症の予防、又は既にその状態を有する患者における症状の再発の防止を意味する。「高リスク」患者は、その状態を発生する素因のある個人、例えば、その状態の家族歴がある人である。
「合成組成物」は人工的に調製された組成物を意味し、好ましくは、生体外で化学的及び/又は生物学的に、例えば、化学反応、酵素反応、又は組換えによって生成される少なくとも1つの化合物を含有する組成物を意味する。いくつかの実施形態では、本発明の合成組成物は天然に存在する組成物と同一であってもよいが、好ましくは、同一ではない。合成組成物は、通常、ヒトにおける小麦及び/又はグルテン過敏症の症状を低減するか、或いは耐性を引き起こすことができる、1つ又は複数のHMOを含む1つ又は複数の化合物を含む。また、いくつかの実施形態では、合成組成物は、上記の化合物の効力に悪影響を与えない、1つ又は複数の栄養的又は薬学的に活性な成分を含み得る。また本発明の合成組成物のいくつかの非限定的な実施形態は、以下に記載される。
「処置する(treat)」は、処置されている人における結果を改善又は安定化する目的で、或いは基本的な栄養必要量に対処する目的で、医学的状態又は疾患に対処することを意味する。したがって、処置は、処置されている人の栄養必要量に対処することによる、医学的状態又は疾患の食事又は栄養管理を含む。「処置すること(treating)」及び「処置(treatment)」は、文法的に対応する意味を有する。
「治療」は、疾患又は病態の症状を低減又は排除するために与えられる処置又は取られる行動を意味する。
HMOは、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、又はヤギ種を含むがこれらに限定されない哺乳類により分泌されるミルクから、周知のプロセスによって単離又は濃縮することができる。HMOは、微生物発酵、酵素プロセス、化学合成、又はこれらの技術の組み合わせを用いる周知のプロセスによって生成することもできる。例として、化学的性質を用いて、LNnTは、国際公開第2011/100980号パンフレット及び国際公開第2013/044928号パンフレットに記載されるように製造することができ、LNTは、国際公開第2012/155916号パンフレット及び国際公開第2013/044928号パンフレットに記載されるように合成することができ、LNT及びLNnTの混合物は、国際公開第2013/091660号パンフレットに記載されるように製造することができ、2’-FLは、国際公開第2010/115934号パンフレット及び国際公開第2010/115935号パンフレットに記載されるように製造することができ、3-FLは、国際公開第2013/139344号パンフレットに記載されるように製造することができ、6’-SL及びその塩は、国際公開第2010/100979号パンフレットに記載されるように製造することができ、シアリル化オリゴ糖は、国際公開第2012/113404号パンフレットに記載されるように製造することができ、そしてヒトミルクオリゴ糖の混合物は、国際公開第2012/113405号パンフレットに記載されるように製造することができる。酵素生成の例として、シアリル化オリゴ糖は、国際公開第2012/007588号パンフレットに記載されるように製造することができ、フコシル化オリゴ糖は、国際公開第2012/127410号パンフレットに記載されるように製造することができ、そして有利に多様化されたヒトミルクオリゴ糖のブレンドは、国際公開第2012/156897号パンフレット及び国際公開第2012/156898号パンフレットに記載されるように製造することができる。遺伝子改変大腸菌(E.coli)を用いて、フコース又はシアル酸によって任意選択的に置換されたコア(非フコシル化中性)ヒトミルクオリゴ糖を製造する方法を説明するバイオテクノロジー法は、国際公開第01/04341号パンフレット及び国際公開第2007/101862号パンフレットにおいて見出すことができる。
上記態様のいずれかにおけるHMOは、本発明の目的に適した単一のHMO又は任意のHMOの混合物であり得る。
一実施形態では、混合物は、中性HMO、好ましくは少なくとも第1の中性HMO及び少なくとも第2の中性HMOを含むか、これらからなるか、又はこれらから本質的になり、ここで、第1の中性HMOはフコシル化中性HMOであり、第2の中性HMOはコアHMO(非フコシル化中性HMOとも呼ばれる)である。特に、HMOの混合物は、2’-FL、3-FL、DFL、LNFP-I、LNFP-II、LNFP-III、LNFP-V、LNDFH-I、LNDFH-II、LNDFH-III、FLNH-I、FLNH-II、FLNnH、FpLNH-I及びF-pLNnH IIからなるリストから選択されるフコシル化HMOと、LNT、LNnT、LNH、LNnH、pLNH及びpLNnHからなるリストから選択されるコアHMOとを含有し得る。より好ましくは、中性HMOの混合物は、2’-FL、3-FL及びDFLからなるリストから選択されるフコシル化HMOと、LNT及びLNnTからなるリストから選択されるコアHMOとを含有するか、これらからなるか、又はこれらから本質的になる。有利には、混合物は、2’-FL、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;若しくは2’-FL及びDFLの少なくとも1つ、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;若しくは2’-FL、DFL、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つを含むか、これらからなるか、又はこれらから本質的になる。
他の実施形態では、混合物は、少なくとも第1の(酸性)HMO及び少なくとも第2の(中性)HMOを含むか、これらからなるか、又はこれらから本質的になり、ここで、第1の(酸性)HMOは、3’-SL、6’-SL及びFSLからなるリストから選択され、第2の(中性)HMOは、2’-FL、3-FL、DFL、LNT及びLNnTからなるリストから選択される。有利には、混合物は、2’-FL及び6’-SL;若しくは6’-SL、並びに2’-FL及びDFLの少なくとも1つ;若しくは2’-FL、6’-SL、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つ;若しくは2’-FL、DFL、6’-SL、並びにLNnT及び/又はLNTの少なくとも1つを含むか、これらからなるか、又はこれらから本質的になる。
さらに、一実施形態では、合成組成物は、栄養組成物の形態であり得る。例えば、栄養組成物は、食品組成物、水分補給溶液、医療食品又は特別な医療目的のための食品、栄養サプリメントなどであり得る。栄養組成物は、タンパク質、脂質及び/又は消化可能な炭水化物の供給源を含有することができ、粉末又は液体形態であり得る。組成物は唯一の栄養源であるように、又は栄養サプリメントとして設計することができる。
適切なタンパク質源には、乳タンパク質、大豆タンパク質、米タンパク質、エンドウ豆タンパク質及びオート麦タンパク質、又はこれらの混合物が含まれる。乳タンパク質は、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質単離物、乳清タンパク質若しくはカゼイン、又は両方の混合物の形態であり得る。タンパク質は、タンパク質全体、又は部分的に加水分解されるか若しくは広範囲に加水分解された加水分解タンパク質であり得る。加水分解タンパク質は消化がより容易であるという利点を提供し、これは、炎症性又は易感染性の消化管を有するヒトにとって重要であり得る。タンパク質は、遊離アミノ酸の形態で提供されることも可能である。タンパク質は、栄養組成物のエネルギーの約5%~約30%、通常は約10%~20%を構成することができる。
タンパク質源は、グルタミン、スレオニン、システイン、セリン、プロリン、又はこれらのアミノ酸の組み合わせの供給源であり得る。グルタミン源は、グルタミンジペプチド及び/又はグルタミン強化タンパク質であり得る。グルタミンは腸細胞によりエネルギー源として使用されるため、グルタミンが包含され得る。スレオニン、セリン及びプロリンは、ムチンの産生のために重要なアミノ酸である。ムチンは消化管を被覆し、腸のバリア機能及び粘膜の治癒を改善することができる。システインは、身体の抗酸化防御の鍵であるグルタチオンの主要な前駆体である。
適切な消化可能な炭水化物には、マルトデキストリン、加水分解若しくは加工デンプン若しくはコーンスターチ、グルコースポリマー、コーンシロップ、コーンシロップ固体、高フルクトースコーンシロップ、米由来の炭水化物、エンドウ豆由来の炭水化物、ジャガイモ由来の炭水化物、タピオカ、スクロース、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、ハチミツ、糖アルコール(例えば、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール)、又はこれらの混合物が含まれる。好ましくは、組成物は、添加ラクトース又は他のFODMAP炭水化物が低減されているか、又は含まない。一般に、消化可能な炭水化物は、栄養組成物のエネルギーの約35%~約55%を提供する。特に適切な消化可能な炭水化物は、低デキストロース当量(DE)マルトデキストリンである。
適切な脂質には、中鎖トリグリセリド(MCT)及び長鎖トリグリセリド(LCT)が含まれる。好ましくは、脂質は、MCT及びLCTの混合物である。例えば、MCTは、脂質の約30重量%~約70重量%、より具体的には約50重量%~約60重量%を構成することができる。MCTは消化がより容易であるという利点を提供し、これは、炎症性又は易感染性の消化管を有するヒトにとって重要であり得る。一般的に、脂質は、栄養組成物のエネルギーの約35%~約50%を提供する。脂質は、必須脂肪酸(オメガ-3及びオメガ-6脂肪酸)を含有することができる。好ましくは、これらの多価不飽和脂肪酸は、脂質源の総エネルギーの約30%未満を提供する。
長鎖トリグリセリドの適切な供給源は、菜種油、ヒマワリ種子油、ヤシ油、大豆油、乳脂肪、コーン油、高オレイン酸油、及び大豆レシチンである。分画したココナッツ油は、中鎖トリグリセリドの適切な供給源である。栄養組成物の脂質プロファイルは、好ましくは、約4:1~約10:1の多価不飽和脂肪酸オメガ-6(n-6)対オメガ-3(n-3)比を有するように設計される。例えば、n-6対n-3脂肪酸比は、約6:1~約9:1であり得る。
栄養組成物は、ビタミン及びミネラルも含み得る。栄養組成物は、唯一の栄養源であることが意図される場合、好ましくは、完全なビタミン及びミネラルプロファイルを含む。ビタミンの例としては、ビタミンA、B複合体(例えば、B1、B2、B6及びB12)、C、D、E及びK、ナイアシン、並びにパントテン酸、葉酸及びビオチンなどの酸ビタミンが挙げられる。ミネラルの例としては、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、ヨウ素、銅、リン、マンガン、カリウム、クロム、モリブデン、セレン、ニッケル、スズ、ケイ素、バナジウム及びホウ素が挙げられる。
栄養組成物は、ルテイン、リコピン、ゼアキサンチン、及びベータ-カロテンなどのカロテノイドも含むことができる。含有されるカロテノイドの総量は、約0.001μg/ml~約10μg/mlで異なり得る。ルテインは、約0.001μg/ml~約10μg/ml、好ましくは約0.044μg/ml~約5μg/mlのルテインの量で含有され得る。リコピンは、約0.001μg/ml~約10μg/ml、好ましくは約0.0185μg/ml~約5μg/mlのリコピンの量で含有され得る。ベータ-カロテンは、約0.001μg/ml~約10mg/ml、例えば、約0.034μg/ml~約5μg/mlのベータ-カロテンを含むことができる。
栄養組成物は、好ましくは、低減された濃度、例えば、約300mg/l~約400mg/lのナトリウムも含有する。残りの電解質は、腎機能に過度の腎溶質負荷を与えることなく必要性を満たすように設定された濃度で存在し得る。例えば、カリウムは、好ましくは約1180~約1300mg/lの範囲で存在し、塩化物は、好ましくは約680~約800mg/lの範囲で存在する。
栄養組成物は、防腐剤、乳化剤、増粘剤、緩衝剤、繊維及びプレバイオティクス(例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖)、プロバイオティクス(例えば、B.アニマリス亜種ラクティス(B.animalis subsp.lactis)BB-12、B.ラクティス(B.lactis)HN019、B.ラクティス(B.lactis)Bi07、B.インファンティス(B.infantis)ATCC 15697、L.ラムノサス(L.rhamnosus)GG、L.ラムノサス(L.rhamnosus)HNOOl、L.アシドフィルス(L.acidophilus)LA-5、L.アシドフィルス(L.acidophilus)NCFM、L.フェルメンツム(L.fermentum)CECT5716、B.ロングム(B.longum)BB536、B.ロングム(B.longum)AH1205、B.ロングム(B.longum)AH1206、B.ブレーベ(B.breve)M-16V、L.レウテリ(L.reuteri)ATCC 55730、L.レウテリ(L.reuteri)ATCC PTA-6485、L.レウテリ(L.reuteri)DSM 17938)、抗酸化剤/抗炎症化合物(トコフェロール、カロテノイド、アスコルベート/ビタミンC、パルミチン酸アスコルビル、ポリフェノール、グルタチオン、及びスーパーオキシドジスムターゼ(メロン)を含む)、他の生物活性因子(例えば、成長ホルモン、サイトカイン、TFG-β)、着色剤、香料、及び安定剤、潤滑剤などの種々の他の従来の成分も含有することができる。
栄養組成物は、可溶性粉末、液体濃縮物、又はすぐに使える製剤として配合することができる。組成物は、経鼻胃管を介して又は経口的に、必要としているヒトに供給することができる。種々の香料、繊維及び他の添加剤も存在することができる。
栄養組成物は、固体又は液体形態の栄養組成物を調製するために一般的に使用される任意の製造技術によって調製することができる。例えば、組成物は、種々の供給溶液を混ぜ合わせることによって調製され得る。脂肪中タンパク質供給溶液は、脂質源を加熱及び混合し、次に、乳化剤(例えば、レシチン)、脂溶性ビタミン、及びタンパク質源の少なくとも一部を加熱及び攪拌しながら添加することによって調製され得る。次に、炭水化物供給溶液は、ミネラル、微量及び超微量ミネラル、増粘剤又は懸濁化剤を、加熱及び攪拌しながら水に添加することによって調製される。得られた溶液は加熱及び攪拌を継続しながら10分間保持された後、炭水化物(例えば、HMO及び消化可能な炭水化物源)が添加される。得られた供給溶液は、次に、加熱及び攪拌しながら一緒にブレンドされ、pHが6.6~7.0に調整され、その後、組成物は高温短時間処理にさらされ、その間に組成物は加熱処理され、乳化され、均質化されてから、冷却される。水溶性ビタミン及びアスコルビン酸が添加され、必要であればpHが所望の範囲に調整され、香料が添加され、水が添加されて、所望の全固体レベルを達成する。
液体製品の場合、得られた溶液は次に無菌的に包装されて、無菌包装栄養組成物を形成することができる。この形態では、栄養組成物は、すぐに供給できる形態又は濃縮液体形態であり得る。或いは、組成物はスプレー乾燥及び加工され、再構成可能な粉末として包装され得る。
栄養製品がすぐに供給できる栄養液体である場合、液体中のHMOの総濃度は、液体の重量により、約0.2%~約1.0%、例えば約0.3%~約0.7%を含む、約0.1%~約1.5%であるのが好ましいことがある。栄養製品が濃縮栄養液体である場合、液体中のHMOの総濃度は、液体の重量により、約0.4%~約2.0%、例えば、約0.6%~約1.5%を含む、約0.2%~約3.0%であるのが好ましいことがある。
別の実施形態では、栄養組成物は単位剤形である。単位剤形は、許容される食品グレードの担体、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、水中のエタノールの混合物、水、及びエマルション(例えば、油/水又は水/油エマルション)、並びに種々の湿潤剤又は賦形剤を含有することができる。単位剤形は、ヒトに投与されたときに有害反応、アレルギー反応、又は他の望ましくない反応を生じない他の材料も含有することができる。担体及び他の材料は、溶媒、分散剤、コーティング、吸収促進剤、制御放出剤、並びに1つ又は複数の不活性賦形剤、例えば、デンプン、ポリオール、造粒剤、微結晶性セルロース、希釈剤、潤滑剤、結合剤、及び崩壊剤を含むことができる。
本発明の単位剤形は、例えば、所定量の混合物を含有する錠剤、カプセル、若しくはペレットとして、又は所定濃度の混合物を含有する粉末若しくは顆粒として、又は所定濃度の混合物を含有する水性若しくは非水性液体中のゲル、ペースト、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ、ボーラス、舐剤、若しくはスラリーとして経口投与することができる。経口投与される組成物は、1つ又は複数の結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、香味剤、及び保湿剤を含むことができる。錠剤などの経口投与される組成物は、任意選択的に被覆することができ、HMOの持続、遅延又は制御放出を提供するように配合することができる。
本発明の単位剤形は、経鼻胃管、又は消化管若しくは胃への直接注入によって投与することもできる。
本発明の単位剤形は、抗生物質、プロバイオティクス、鎮痛薬、及び抗炎症薬などの治療薬も含むことができる。このような組成物のヒトに適した投与量は、ヒトの状態、免疫状態、体重及び年齢などの因子に基づいて従来の方法で決定することができる。場合により、投与量は、ヒト母乳中の組成物のHMOに見られるものと同様の濃度であり得る。必要とされる量は一般的に1日当たり約1g~約15g、特定の実施形態では1日当たり約2g~約10g、例えば1日当たり約3g~約7gの範囲であり得る。適切な用法は、当業者に知られている方法によって決定することができる。
さらなる実施形態において、HMOは、医薬組成物として配合することができる。医薬組成物は、薬学的に許容される担体、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、水中のエタノールの混合物、水、及びエマルション(例えば、油/水又は水/油エマルション)、並びに種々の湿潤剤又は賦形剤を含有することができる。医薬組成物は、非乳児に投与されたときに有害反応、アレルギー反応、又は他の望ましくない反応を生じない他の材料も含有することができる。担体及び他の材料は、溶媒、分散剤、コーティング、吸収促進剤、制御放出剤、並びに1つ又は複数の不活性賦形剤、例えば、デンプン、ポリオール、造粒剤、微結晶性セルロース、希釈剤、潤滑剤、結合剤、及び崩壊剤を含むことができる。
医薬組成物は、例えば、所定量を含有する錠剤、カプセル、若しくはペレットとして、又は所定濃度を含有する粉末若しくは顆粒として、又は所定濃度を含有する水性若しくは非水性液体中のゲル、ペースト、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ、ボーラス、舐剤、若しくはスラリーとして経口投与することができる。経口投与される組成物は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、香味剤、及び保湿剤を含むことができる。錠剤などの経口投与される組成物は、任意選択的に被覆することができ、その中の混合物の持続、遅延又は制御放出を提供するように配合することができる。
医薬組成物は、直腸坐薬、エアロゾル管、経鼻胃管、又は消化管若しくは胃への直接注入によって投与することもできる。
医薬組成物は、抗生物質、プロバイオティクス、鎮痛薬、及び抗炎症薬などの治療薬も含むことができる。ヒトに適したこれらの組成物の投与量は、状態、免疫状態、体重及び年齢などの因子に基づいて従来の方法で決定することができる。場合により、投与量は、ヒト母乳中のHMOに見られるものと同様の濃度であり得る。必要とされる量は一般的に1日当たり約1g~約15g、特定の実施形態では1日当たり約2g~約10g、例えば1日当たり約3g~約7gの範囲であり得る。適切な用法は、従来の方法によって決定することができる。
非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において症状の重症度及び/又は発生を低減するため、或いは非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者の食事に小麦及び/又はグルテンを再導入するために、投与される必要があるHMOの量は、疲労のリスク及び重症度、根底にある任意の医学的状態又は疾患、年齢、組成物の形態、並びに投与されている他の薬物などの因子に応じて異なり得る。さらに、量は、HMOが予防的に使用されているか(用量がより多い可能性のある場合)、又はHMOが維持段階で使用されているか(用量がより少ない可能性のある場合)に応じて異なり得る。しかしながら、必要とされる量は医師によって容易に設定することができ、一般に、1日当たり約1g~約15g、特定の実施形態では1日当たり約2g~約10g、例えば1日当たり約3g~約7gの範囲であり得る。適切な用量は、例えば、体重及び/又は状態、処置又は予防されている疲労の重症度、他の病気及び/又は疾患、副作用の発生率及び/又は重症度、並びに投与の方法を含むいくつかの因子に基づいて決定することができる。適切な用量範囲は、当業者に知られている方法によって決定され得る。小麦及び/又はグルテンの摂取前の初期段階の間、投薬量はより多い可能性がある(例えば、1日当たり3g~15g、好ましくは1日当たり3mg~10g)。維持段階の間、投薬量を低減することができる(例えば、1日当たり1g~10g、好ましくは1日当たり2g~7.5g)。
[実施例]
[実施例1]
合計40人の男女の患者を研究への参加のために採用する。各患者は、小麦及び/又はグルテン過敏症であると自己診断している。参加者は基本的なスクリーニング調査を完了し、そこで、任意の他の医学的状態、並びに種々の胃腸及び生活の質の症状の重症度を表示する。症状を測定するために、スコア1が「症状なし」を意味し、スコア5が「重篤な症状」を意味する5段階リッカート尺度が使用される。
各参加者は、3週間分の約4gのHMOの1日用量に十分な量のHMOが提供される。HMOは、2’-FL単独又は2’-FL及びLNnTの4:1混合物(重量による)のいずれかで提供される。参加者は、その通常の食事を継続する。
3週間の摂取の後、各参加者は2回目の調査を完了し、そこで、種々の胃腸及び生活の質の症状の重症度を表示する。同じ5段階リッカート尺度を使用して、症状を評価する。
次に、各参加者は、さらに3週間分の約4gのHMOの1日用量に十分な追加量のHMOが提供される。プロセスは6週間後、9週間後、及び12週間後に繰り返される。
12週間の過程で、参加者は、胃腸症状の低減、特に、痛み、下痢、腹部膨満及びガスの低減を表示する。さらに、患者は、疲労の改善を表示する。
[実施例2]
非セリアックグルテン過敏症コンセンサス基準を用いて、18~75歳の非セリアック小麦過敏症患者を消化器外来センターから採用する。患者がセリアック病特異的IgA抗筋内膜及び/又は抗TG2抗体に陽性であるか、又はセリアック病に特徴的な組織学的所見を示す場合、その患者は除外される。さらに、患者が小麦アレルギー特異的IgE血清学的検査又は皮膚プリックテストに陽性である場合、その患者は除外される。他の除外基準は、炎症性腸疾患、精神障害、腹部大手術(特に、腸切除)、真性糖尿病、全身性自己免疫疾患、これまでのアナフィラキシー発症、あらゆる全身性障害、妊娠中又は授乳中の女性、及び既に薬理療法を受けている患者である。
最初の来診(スクリーニング)時に、研究について書面及び口頭の両方の情報を各患者に与える。インフォームドコンセント用紙にサインをするように患者に依頼する。病歴の全面的な再調査によって各患者を評価し、適格性分析のための血液サンプルを採取する。便のサンプリングのための器具を各患者に配布する。次の来診までそのサンプルを冷凍庫に保存するように患者に指示する。無グルテン食について各患者を教育する。専門の医療関係者が食事について説明し、食事が記載され、許容される食品及び許容されない食品が列挙され、そして食品ラベルを読む方法についてアドバイスされている小冊子を各患者に提供する。また患者には、その食事についてのあらゆる質問のために、その登録センターへの直接の連絡先(電子メール及び電話による)も与えられる。
合計80人の患者が含まれる。それぞれ40人の患者である2つの群に患者をランダムに分け、1つの群は処置製品、1つの群はプラセボ製品を8週間摂取する。処置製品は5グラムの2’-FL及びLNnTの組み合わせを含有し、プラセボ製品は5グラムのグルコースを含有する。製品は両方とも単位投与容器内の粉末形態である。
2回目の来診(治療介入の開始)時に、適格基準性をチェックし、適格対象を治験の2つの群にランダムに分ける。身体的及び精神的な健康の症状、胃腸症状、生活の質、並びに便の硬さ(SF36、GSRS、BSFS及びQoL質問票により測定される)について評価を行う。電子コンプライアンス日記の使用についての説明書と共に、治験補足物(trial supplementation)を配布する。便サンプルを集め、新しいサンプルを採取するための器具を配布する。患者に厳密な無グルテン食を8週間与える。
バイオマーカー及び免疫細胞研究並びにバイオバンキングのために血液サンプルを採取する。血液サンプルからの血清をクライオチューブに移し、-80℃で貯蔵する。以下のバイオマーカーを測定する:TNF-α、IL-1β、IL-8、IL-6、IL-12、IL-10、MIP-1β、hs-CRP、リポ多糖結合タンパク質、脂肪酸結合タンパク質2、トリプターゼ、抗フラジェリン、ゾヌリン、ヒスタミン、プロスタグランジン2及びコルチゾール。免疫細胞のレベルを決定するために血液においてフローサイトメトリーを実施する。
便サンプルを分析まで-80℃で貯蔵する。16S rRNA遺伝子配列を使用して、便サンプルにおいて微生物学的分析を実施する。
8週間後の3回目の来診時に、便サンプルを集め、血液サンプルを採取し、身体的及び精神的な健康の症状、胃腸症状、生活の質、並びに便の硬さ(SF36、GSRS、BSFS及びQoL質問票により測定される)について評価を行う。治験補足物及び新しいサンプルを採取するための器具を配布する。次に、1週間にわたって、10gのグルテンの1日用量に相当するグルテン含有食を各患者に与える。
治療介入の最後(9週目)に、各患者は医療チームに面会する。身体検査を行い、症状(GSRS、IBS-SSS、BSFS及びQoLスケールなどにより測定される)を再評価する。治験補足製品を集めて、コンプライアンスをチェックする。便サンプル及び血液サンプルを集め、これまでのように分析する。
処置製品を受けている患者では、プラセボ群と比較して、GSRSスコアの低下、及び便の硬さの改善が報告される。血液の分析により、処置患者は、炎症マーカーのレベルの低下、粘膜関門の改善を示す腸透過性の低下、及び制御性免疫細胞の増加を有していることが示される。便の分析により、処置患者は、細菌過剰増殖/ディスバイオシスのレベルの低下、及びより高レベルのビフィズス菌、特に、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)系統発生群のメンバーのビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)及びビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)を有していることが示される。さらに、処置製品を受けている患者では、頭痛の頻度及び重症度の低下、エネルギーレベルの改善、睡眠障害の改善、より少ない不安、より少ない鬱、より少ない「ぼんやりした心」又は集中力欠如、並びに生活の質の改善が示される。
[実施例3]
杯細胞のヒトLS174T細胞培養モデルにおいてMUC2、TFF3、EIMβ、CHST5、及びGAL3ST2の発現を誘導するその能力に関して、2’-FL及びLNnTを試験する。ヒトLS174T細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC)から入手する。5%のCOを含有する空気中37℃において、使用説明書に従って補充した最小必須培地(MEM)中でLS174T細胞を維持する。所要の濃度になるように細胞培養グレードの水中に2’-FL及びLNnTを溶解させる。0又は5mgのHMO/mlを含有するHMO溶液によりLS174T細胞を処理する。
LS174T細胞を集め、Trizol試薬中に懸濁し、製造業者の使用説明書に従ってRNA分析キット(Qiagen)を用いて全RNAを単離し、Nanodrop分析(Thermo Fisher Scientific)を用いてRNA単離物を定量する。大容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems)を用いてRNA単離物を逆転写してcDNAを作成し、次にこれを用いて、定量的RT-PCRにより遺伝子発現を評価する。
定量的RT-PCRのために、Applied Biosystemsから、MUC2、TFF3、CHST5及びGAL3ST2の発現アッセイを含む特異的なTaqMAN遺伝子発現アッセイを入手する。定量的リアルタイムPCRは、TaqMAN PCR Master Mix(Applied Biosystems)を用いて実施される。Applied Biosystems 7900HT Fast Real-Time PCR Systemを用いて、384ウェルプレートにおいて反応を2回繰り返して実行する。SDS 2.3ソフトウェアを用いて結果を分析し、デルタCt法により計算する。全てのサンプルをGus-β発現に対して基準化し、未処理の対照に対して誘導倍率(fold induction)を計算する。遺伝子発現は、HMOを含まない対照細胞と比較した増大倍率として表される。実験は、3回繰り返される。
結果は、2’-FL及びLNnTによる処理が、対照培養物と比較して、MUC2及びTFF3遺伝子の発現を増大させることを示す。それぞれCHST5及びGAL3ST2の最小の誘導又は誘導の欠如によって証明されるように、杯細胞遺伝子の発現の増大は特異的であって、一般的ではない。MUC2及びTFF3は粘膜関門の重要な成分であり、粘膜関門の機能を改善する。
[実施例4]
HMOの2’-FL及びLNnTを、4:1の質量比でロータリーブレンダーに導入する。0.25w%の量のステアリン酸マグネシウムをブレンダーに導入し、混合物を10分間ブレンドする。次に、混合物を流動床で凝集させ、5グラムのスティックパックに充填し、パックを密封する。

Claims (21)

  1. ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において、症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減する際、
    ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の食事に小麦及び/又はグルテンを再導入する際、
    ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、前記患者の食事への小麦及び/又はグルテンの再導入時に、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症の症状の発生又は再発生のリスクを低減する際、及び/又は
    ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減する際
    に使用するための、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)。
  2. ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において、症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減する際、
    ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の食事に小麦及び/又はグルテンを再導入する際、
    ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、前記患者の食事への小麦及び/又はグルテンの再導入時に、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症の症状の発生又は再発生のリスクを低減する際、及び/又は
    ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減する際
    に使用するための合成組成物であって、少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)を含む組成物。
  3. 1g~15g、好ましくは2g~10g、より好ましくは3g~7gの量の前記ヒトミルクオリゴ糖を含有する、請求項2に記載の使用のための合成組成物。
  4. 前記ヒトミルクオリゴ糖は、2’-FL、3-FL、DFL、LNT、LNnT、3’-SL、6’-SL、LNFP-I又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の使用のためのヒトミルクオリゴ糖又は請求項2若しくは3に記載の使用のための合成組成物。
  5. 前記ヒトミルクオリゴ糖は、2’-FL及びDFLの少なくとも1つ、並びにLNnT及びLNTの少なくとも1つである、請求項4に記載の使用のためのヒトミルクオリゴ糖又は合成組成物。
  6. ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において、症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減する際、
    ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の食事に小麦及び/又はグルテンを再導入する際、
    ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、前記患者の食事への小麦及び/又はグルテンの再導入時に、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症の症状の発生又は再発生のリスクを低減する際、及び/又は
    ・ 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減する際
    に使用するためのパックであって、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)の個別の1日用量を少なくとも14個含むパック。
  7. 前記各用量は、約1g~15g、好ましくは2g~10g、より好ましくは3g~7gのヒトミルクオリゴ糖を含有する、請求項6に記載の使用のためのパック。
  8. 少なくとも約21個の1日用量、例えば約28個の1日用量を含む、請求項6又は7に記載の使用のためのパック。
  9. 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症患者において症状の重症度及び/又は発生を予防的に低減するための方法であって、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)を前記患者に投与することを含む方法。
  10. 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者の食事に小麦及び/又はグルテンを再導入するための方法であって、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)を前記患者に投与することを含む方法。
  11. 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において、前記患者の食事への小麦及び/又はグルテンの再導入時に、非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症の症状の発生又は再発生のリスクを低減するための方法であって、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)を前記患者に投与することを含む方法。
  12. 前記患者は、1日当たり2g~10gの量の前記HMOを投与される、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 小麦及び/又はグルテンの摂取の後に、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖を投与することをさらに含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記ヒトミルクオリゴ糖は、小麦及び/又はグルテンの摂取の前に、少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも2週間にわたって投与される、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 非セリアック小麦及び/又はグルテン過敏症を患っている患者において非胃腸症状の重症度及び/又は発生を低減するための方法であって、有効量の少なくとも1つのヒトミルクオリゴ糖(HMO)を前記患者に投与することを含む方法。
  16. 前記非胃腸症状は、睡眠障害、頭痛、エネルギー不足、集中力欠如、不安、鬱、及び皮膚発疹のうちの1つ又は複数である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記患者は、1日当たり2g~10gの量の前記HMOを投与される、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 前記ヒトは、小麦及び/又はグルテンの摂取前の初期段階中にはより多い用量を投与され、小麦及び/又はグルテンの摂取後は、より少ない維持用量を投与される、請求項9~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記より多い用量は、1日当たり約3g~約10g(例えば、1日当たり約4g~約7.5g)であり、前記より少ない維持用量は、1日当たり約2g~約7.5g(例えば、1日当たり約2g~約5g)である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記ヒトミルクオリゴ糖は、2’-FL、3-FL、DFL、LNT、LNnT、3’-SL、6’-SL、LNFP-I又はこれらの混合物を含む、請求項9~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記ヒトミルクオリゴ糖は、2’-FL及びDFLのうちの少なくとも1つ、並びにLNnT及びLNTのうちの少なくとも1つである、請求項20に記載の方法。
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