JP2023502508A - 好中球エラスターゼ活性のポリペプチド阻害剤およびその使用 - Google Patents

好中球エラスターゼ活性のポリペプチド阻害剤およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明はビトロネクチンと結合する能力が低下し、PAI-1クリアランス受容体LDL受容体関連タンパク質1(LRP1)と相互作用する能力が低下し、好中球細胞外トラップ(NET)の存在下で好中球エラスターゼを効率的に阻害する能力を有するプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤1(PAI-1)の変異体を含むポリペプチドを特徴とする。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、Fcドメイン単量体または部分に任意に融合されたPAI-1変異体を含む。本発明はまた、異常な好中球エラスターゼ活性(実施例として、特発性肺線維症)を特徴とする疾患および状態を治療するためにポリペプチドを使用する医薬組成物および方法を特徴とする。

Description

発明の詳細な説明
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2019年11月21日に出願された米国仮出願第62/938,859号の優先権および利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
〔発明の分野〕
本発明は、ビトロネクチンと結合する能力が低下し、PAI-1クリアランス受容体LDL受容体関連タンパク質1(LDL receptor-related protein 1:LRP1)と相互作用する能力が低下し、好中球細胞外トラップ(NETs)の存在下で好中球エラスターゼ(NE)を効率的に阻害する能力を有するプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(plasminogen activator inhibitor 1:PAI-1)の変異体を含むポリペプチドを特徴とする。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、Fcドメインの単量体または部分に任意に融合されたPAI-1変異体を含む。本発明はまた、異常な好中球エラスターゼ活性(例えば、特発性肺線維症)を有することを特徴とする疾患および状態を治療するためのポリペプチドを用いた医薬組成物および方法を特徴とする。
〔はじめに〕
特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)は進行性かつ慢性の肺疾患であり、呼吸不全および死亡をもたらす。IPFは進行性肺疾患による最も一般的な死因であり、全世界では約500万人が罹患している。診断後の推定生存期間中央値はわずか3~5年である(Chakraborty et al., (2014) Expert Opin Investig Drugs, 23:893-910; Spagnolo et al., (2015) Pharmacology & Therapeutics 152:18-27; Tzouvelekis et al., (2015) Therapeutics and Clinical Risk Management 11:359-370; Lederer DJ and Martinez FJ. The New England journal of medicine. 2018;378:1811-1823を参照のこと)。米国では約130,000人のIPF患者が存在し、毎年推定30,000~40,000人の新規症例が診断されている(Ley,B., and Collard,H.R. 2013. Epidemiology of idiopathic pulmonary fibrosis. Clin. Epidemiol. 5:483-492; Lynch,J.P., III, et al., 2016. Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Epidemiology, Clinical Features, Prognosis, and Management. Semin. Respir. Crit Care Med. 37:331-357を参照のこと)。IPFの有病率は100,000人当たり14.0~42.7症例であり、年間発症率は100,000人当たり6.8~16.3症例であり、使用される診断基準の厳格さに依存する(Jones, M.G., and Richeldi, L. Semin. Respir. Crit. Care Med. 2016; 37:477-484を参照のこと)。IPFの有病率は年齢とともに上昇し、ほとんどのIPF患者は診断時に年齢が60歳であるか、さらに高齢である。この疾患は女性よりも男性においてより一般的であり(Fernandez Perez E R et al., (2010) Chest 137(1):129-137を参照のこと)、ほとんどの患者は、現在または過去の喫煙者である(Jones, MG and Richeldi, L., Semin. Respir. Care Med. 2016, 37:477-484を参照のこと)。
IPFの病因は不明のままである。しかしながら、喫煙、粉塵暴露、および感染因子などの潜在的因子がIPFの発症と関連している。IPFは、上皮細胞および内皮細胞のアポトーシス、線維芽細胞の過形成、ならびに細胞外マトリックスリモデリングの結果として、肺の構造が進行的かつ不可逆的に歪むことを特徴とする(Chakraborty et al., (2014) Expert Opin Investig Drugs, 23:893-910を参照のこと)。間質性線維症が肺構造の歪みを伴って進行すると、肺のコンプライアンスが低下し、呼吸に伴う労作が増大し、呼吸困難に至る。典型的には、肺機能は時間とともに緩徐に低下するが、一部の患者は急速な低下を経験し、特に疾患の後期には入院または死亡に至る可能性がある。
IPF治療剤の開発は進行が遅れている。IPFを治療するための最初の2つの薬剤、ピルフェニドンおよびニンテダニブは2014年末にようやく承認された(King et al., (2014) N Engl J Med 370:2083-92; Richeldi et al., (2014) N Engl J Med 370:2071-82; Richeldi, L, et al., Am. J. Med. Sci. 2019, 357:370-373を参照のこと)。しかしながら、これら2つの薬物は限られた効果しかなく、重大な副作用を有し、複雑な投与計画を必要とする。最近実施されたピルフェニドン、シルデナフィル、ボセンタン、エタネルセプト、およびインターフェロンガンマ-1bの第3期臨床試験では、主要評価項目における有効性を示すことができなかった。N-アセチルシステイン(NAC)、コルチコステロイド、ならびに免疫抑制薬のシクロホスファミドおよびアザチオプリンがよく処方されるが、これらの薬物の使用が患者の転帰を改善するか、または疾患の自然経過を変化させるという証拠はほとんどない(Collard H R et al., (2004) Chest 125(6):2169-2174; Walter N et al., (2006) Proc Am Thorac Soc 3(4):377-381を参照のこと)。肺移植は生存率を改善する唯一の治療法であるが、ほとんどのIPF患者は年齢または併発状態のために移植に適格ではない。IPF患者は通常、咳嗽および呼吸困難の対症療法、低酸素血症に対する酸素補給、禁煙、肺リハビリテーション、ならびに気道感染の予防および制御などの対症療法により管理される。
IPFを治療するための改善された方法が必要とされている。
本発明はこの必要性に対応するものである。
〔発明の概要〕
プラスミノーゲン-アクチベーターインヒビター1(PAI-1)と標的酵素との複合体がLDL受容体関連タンパク質1(LRP1)に強固に結合することは十分に確立されている一方で、この相互作用の分子的な詳細は十分に明らかにされていない。さらに、遊離PAI-1のLRP1との相互作用の性質に関して、文献においてかなりの議論がある。本発明の実施形態を開発する過程で行われた実験において、遊離PAI-1およびPAI-1と低分子量ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)との複合体のLRP1への結合を試験した。データから、uPA:PAI-1複合体がPAI-1単独よりも約100倍増加した親和性でLRP1に結合することを確認している。PAI-1の化学修飾から、PAI-1およびuPA:PAI-1複合体の両方のLRP1への相互作用のためのPAI-1のリシン残基が必須で必要であることを確認している。表面プラズモン共鳴測定は、PAI-1およびuPA:PAI-1複合体の複数の部位がLRP1の相補的部位と相互作用する2価結合モデルを支持している。結合のイオン強度依存性は、PAI-1のLRP1との相互作用のための2つの重要な荷電残基およびuPA:PAI-1複合体のLRP1との相互作用のための3つの荷電残基の関与を示唆している。uPA:PAI-1複合体の3つの領域のLRP1のLDLaリピートとの相互作用から生じる親和性の増強は、LRP1に対するuPA:PAI-1複合体の親和性の増加についての分子的な説明を提供する。変異解析により、LRP1の結合とPAI-1の低分子阻害剤であるCDE-096(特異的PAI-1阻害剤)の結合部位との重複が明らかになり、PAI-1のLRP1との相互作用におけるK207、uPA:PAI-1複合体のLRP1との相互作用におけるK207、K88、およびK80の重要な役割も明らかにしている。
本発明の実施形態を開発する過程で行われた実験から、PAI-1およびプロテアーゼ:PAI-1複合体のLRP1との相対的な結合親和性を明らかにした。さらに、プロテアーゼ:PAI-1複合体のLRP1への結合が主にPAI-1の決定基に起因するかどうかを決定するために実験を行った。さらに、遊離PAI-1および標的プロテアーゼ(ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA))との複合体におけるPAI-1のLRP1へのそれらの結合に関与する特異的アミノ酸残基を決定するために実験を行った。実際、変異解析により、LRP1の結合とPAI-1の低分子阻害剤であるCDE-096の結合部位との重複が明らかになり、PAI-1のLRP1との相互作用ではK207、uPA:PAI-1複合体のLRP1との相互作用ではK207、K88、およびK80の重要な役割も明らかにしている。
IPFは、肺機能を劇的に制限し得る間質性瘢痕組織形成によって特徴付けられている。米国では約130,000人のIPF患者が存在し、毎年推定30,000~40,000人の新規症例が診断されている(Ley,B., and Collard,H.R. 2013. Epidemiology of idiopathic pulmonary fibrosis. Clin. Epidemiol. 5:483-492; Lynch,J.P., III, et al., 2016. Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Epidemiology, Clinical Features, Prognosis, and Management. Semin. Respir. Crit Care Med. 37:331-357を参照のこと)。IPFの診断後の平均余命は、一般的に3~5年である(Lederer, D.J. and Martinez, F.J., NEJM 2018, 378:1811-1823を参照のこと)。肺移植以外に有効な治療処置はない。IPFの進行を止める治療法の欠如は、重大な課題を提示し、主要な満たされていない医療ニーズである。現在承認されている2つの薬剤であるピルフェニドンおよびニンテダニブは疾患の進行を遅らせることが示されているが、進行を止めることはなく、失われた肺機能を回復させることはできない。そのため、IPF治療のための新規治療法は、疾患管理に必要である。
本発明は、NEを阻害すること、特にNETsに結合したNEを阻害することができる変異PA1-Iポリペプチドを含む組成物を提供することによって、このニーズに対処する。本明細書では、ビトロネクチンおよびLRP1と結合する能力を減少させながら、NE活性を阻害することができるPAI-1変異体が提供される。実際、本発明のための実施形態を開発する過程で行われた実験は、そのようなPAI-1変異体がそのようなビトロネクチン結合に関与するPAI-1アミノ酸残基を改変(例えば、R101AおよびQ123K)することによってビトロネクチンとの結合能を阻害することによって、NE活性に関連する状態(例えば、IPF)を治療するための改善された効果を有することを実証した。
実際、本発明のための実施形態を開発する過程で行われた実験では、セルピンマッピング技術を利用し、NETs環境内でNEを効率的に阻害可能なNEの阻害剤として、変異体型のPA1-1(例えば、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有する)を同定した。このような変異体型のPA1-Iは、NETsの主成分であるDNAに結合したNEを不可逆的に阻害することが示された。ここで、FDAが承認したAralastと商標付けられたヒト血漿由来のA1ATは効果がない。特定の実施形態において、このような変異体型のPAI-1は、ヒトIgG-Fcとさらに関連する。
したがって、本発明は、ビトロネクチン結合に関与するアミノ酸残基を改変(例えば、R101AおよびQ123K)することによって、NE活性を阻害することができる一方、ビトロネクチンとの結合能が減少し、その結果、LRP1結合に関与するアミノ酸残基(例えば、K207、K88、およびK80)を改変することによって薬物動態(pharmacokinetics:PK)を改善し、その結果、NE活性に関連する状態(例えば、IPF)を治療するための効果を改善する、PAI-1変異体を含むポリペプチドであることを特徴とする。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、Fcドメインの単量体または部分のN末端またはC末端に融合されたPAI-1変異体を含む(例えば、PKを改善する目的のために)。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、Fcドメインの単量体または部分のN末端またはC末端に融合されたPAI-1変異体を含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分は、ポリペプチドの安定性を増加させるか、または薬物動態を改善する。
このような部分は、アミノ酸または他の共有結合によって融合または結合され得、ポリペプチドの安定性を増加し得る。Fcドメインの単量体に融合したPAI-1変異体を含むポリペプチドはまた、2つのFcドメインの単量体間の相互作用によって、二量体(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)を形成し得る。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体が結合した本明細書に記載のポリペプチドは、リンカーによってポリペプチドに融合されている。いくつかの実施形態において、リンカーはアミノ酸スペーサーである。
本発明のポリペプチドはNE活性を阻害するために使用され得、NETsに結合したNE活性を阻害するために使用され得る。さらに、本発明のポリペプチドは、異常なNE活性を有することを特徴とする状態(例えば、IPF)を有する対象を治療するために使用され得る。さらに、本発明のポリペプチドは、対象が異常なNE活性を有することを特徴とする状態(例えば、IPF)によって苦しむことを予防するために使用され得る。さらに、本発明のポリペプチドはまた、異常なNE活性を伴う疾患または状態を発症するまたは有する危険性を有する対象においてNE活性に作用させるために使用され得る。
いくつかの実施形態において、本発明はPAI-1変異体を含むポリペプチドであって、当該変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有するポリペプチドであることを特徴とする。いくつかの実施形態において、PAI-1変異体は、配列番号5に示されるように、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを含む。いくつかの実施形態において、PAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:R101AおよびQ123Kを含む。いくつかの実施形態において、PAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを含む。いくつかの実施形態において、PAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内の以下の変異:I91L、R101A、Q123K、K207A、V343A、R346Vを含む。この変異体は、特にNETS中のNEに対して完全な活性を有するFc型において、延長された半減期を有するはずである。
いくつかの実施形態において、本発明は、Fcドメインの単量体または部分と結合したPAI-1変異体を含むポリペプチドであって、当該変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有するポリペプチドであることを特徴とする。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分と結合したPAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分と結合したPAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内の以下の変異:R101AおよびQ123Kを含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分と結合したPAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを含む(配列番号7)。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分と結合したPAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、K207A、V343A、R346Vを含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、NEを阻害することができ、特に、NETsに結合したNEを阻害することができる。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有するPAI-1変異体を含むポリペプチド)をコードする核酸分子であることを特徴とする。別の態様において、本発明はまた、本明細書に記載の核酸分子を含むベクターであることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載のポリペプチドを発現する宿主細胞であって、前記宿主細胞は、前記の2つの態様に記載の核酸分子またはベクターを含み、前記核酸分子または前記ベクターは、前記宿主細胞において発現される、宿主細胞であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載のポリペプチドを調製する方法、前記方法は、a)本明細書中に記載の核酸分子またはベクターを含む宿主細胞を準備する工程、およびb)前記ポリペプチドの形成を可能にする条件下で、前記宿主細胞中で前記核酸分子または前記ベクターを発現させる工程を含む、方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載のポリペプチド、核酸分子、またはベクター、および1つ以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む薬学的組成物であることを特徴とする。薬学的組成物のいくつかの実施形態において、ポリペプチド、核酸分子、またはベクターは治療有効量である。
別の態様において、本発明はまた、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有するPAI-1変異体をそれぞれ含む2つの同一のポリペプチド(例えば、ホモ二量体)を含むコンストラクトであって、当該変異体は、Fcドメイン単量体のN末端またはC末端に融合されているコンストラクトであることを特徴とする。コンストラクトにおいて、2つのポリペプチドの2つのFcドメイン単量体は相互作用して、Fcドメインを形成する。
別の態様において、本発明はまた、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内の以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上の異なる組み合わせを有するPAI-1変異体をそれぞれ含む2つの異なるポリペプチド(例えば、ヘテロ二量体)を含むコンストラクトであって、2つの変異体は、Fcドメイン単量体のN末端またはC末端に融合されている、コンストラクトであることを特徴とする。コンストラクトにおいて、2つのポリペプチドの2つのFcドメイン単量体は相互作用して、Fcドメインを形成するコンストラクトであることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、NE活性の阻害を必要とする対象におけるNE活性を阻害する方法であることを特徴とする。別の態様において、本発明は、NE活性の阻害を必要とする対象におけるNETsに結合したNE活性を阻害する方法であることを特徴とする。当該方法は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を対象に投与する工程を含む。
対象におけるNE活性またはNETs内に結合したNE活性を阻害する方法のいくつかの実施形態において、前記対象は、IPFおよび/または異常なNE活性を有することを特徴とする状態(例えば、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫)を有する。対象におけるNE活性またはNET内に結合したNE活性を阻害する方法のいくつかの実施形態において、前記対象は、A1AT活性および/または発現欠損を有する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、IPFを有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、嚢胞性線維症を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、COPDを有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、肺気腫を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、急性呼吸困難症候群(ARDS)を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、虚血再潅流傷害を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、エタノール誘発慢性膵炎を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、関節リウマチ(RA)を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、播種性血管内凝固(DIC)を有する対象に投与することによって、対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、潰瘍性大腸炎(UC)を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載される薬学的組成物の、治療有効量を、クローン病を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、好中球病理を伴う皮膚疾患を有する対象に投与することによって、対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、A1AT活性および/または発現の欠損を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、異常なNE活性および/または発現を有することを特徴とする任意の状態を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、欠損したA1AT活性および/または発現を有する特徴とする任意の状態を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
上記の任意の態様のうちのいくつかの実施形態において、対象は、異常なNE活性を有すること特徴とする状態(例えば、IPF、COPD、嚢胞性線維症、肺気腫、ARDS、虚血再潅流、慢性膵炎、RA、DIC、UC、クローン病、皮膚疾患)を有するか、または発症する危険性がある。
上記の任意の態様のうちのいくつかの実施形態において、対象は、欠損したA1AT活性および/または発現を特徴とする状態を有するか、または発症する危険性がある。
〔図面の簡単な説明〕
図1.PAI-1およびLMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合に対するPAI-1のリシン残基の必須の役割。A.LMWuPA:PAI-1複合体および遊離PAI-1のLRP1への結合はSPRによって分析し、Req値は平衡測定によって決定した。3つの独立した実験を行い、平均±SEをプロットした。KD値(LMWuPA:PAI-1については0.9±0.2nM、PAI-1については74±13nM)を非線形回帰分析によって決定した。B.PAI-1(レーン1)および化学修飾PAI-1(レーン2)は、LMWuPAと複合体を形成する(それぞれレーン3および4)。レーン5、LMWuPA。C.スルホ-NHS-酢酸で化学修飾された250nMのPAI-1および300nMのPAI-1を、LRP1を固定化したSPRチップ上に注入した。D.9nMのLMWuPA:PAI-1複合体および化学修飾されたPAI-1で形成された80nMの複合体を、LRP1が固定化されたSPRチップ上に注入した。
図2.PAI-1のLRP1への結合は、イオン強度に依存する。A.漸増濃度のNaClを含む緩衝液中の漸増濃度のPAI-1を、LRP-1が被覆されたSPRチップ上に注入し、Req値を決定した。データを、各NaCl濃度についてRmaxに正規化している。上の曲線から下へのNaClの濃度:150mM、250mM、500mM、750mM、および1000mM。B.LRP1に結合するPAI-1のDebye-Huckelプロット。各イオン強度(150、250、500、750、および1000mMのNaCl)におけるKD値を、平衡SPR測定によって測定した。3つの独立した実験を行い、プロットした値は平均±SEである。1.5±0.1の傾きを、線形回帰分析によって決定した。傾きについては、個々の実験の線形回帰分析の結果を平均することによって、類似の値が得られた。
図3.PAI-1のLRP1への結合は、2価結合モデルによって十分に説明される。(A)PAI-1の2つの異なる領域のLRP1の相補的部位との相互作用に関する2価結合モデルの模式図。(B)漸増濃度のPAI-1(9.4、37.5、75、300nM)を、LRP1が結合したSPRチップ上に注入した。各濃度の解離をSPRデータから測定し、t=0での初期値を100%に正規化した。データを2指数関数的減衰(青線)にフィッティングした。C.漸増濃度のPAI-1(3.9、7.8、15.6、31.2、62.5、125nM)をLRP1が結合したチップ上に注入した。実験データ(黒線)の2価結合モデルへのフィッティングは、青線で示す。示されたデータは、実施された6つの独立した実験の代表の実験である。
図4.LRP1のクラスタIVへのPAI-1の結合は、2価結合モデルによくフィットする。(A)LRP1のドメイン構成を示す模式図。リガンド結合リピートのクラスタ(赤丸)をI、II、III、およびIVと標識した。(B)漸増濃度のPAI-1(9.4、15.6、31、62.5、125nM)をLRP1クラスタIVが結合したSPRチップ上に注入した。各濃度の解離をSPRデータから測定し、t=0での初期値を100%に正規化した。データを2指数関数的減衰にフィッティングした(青線)。C.漸増濃度のPAI-1(3.9、7.8、15.6、31.2、62.5、125nM)を、LRP1クラスタIVが結合したチップ上に注入した。実験データ(黒線)の2価結合モデルへの適合は、青線で示す。示されたデータは、実施された3つの独立した実験の代表である。
図5.CDE-096は、HMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合を阻害する。A.1nMのHMWuPA:PAI-1複合体を、CDE-096の非存在下(上の曲線)および漸増濃度のCDE-096(15.6、31.2、62.5、125、250、500nM)存在下で、LRP1が結合したSPRチップ上に流した。B.パネルAからの会合相(association phase)の最初の傾き対CDE-096濃度のプロット。70±11nMのIC50を、非線形回帰分析によって決定した。データは、2つの独立した実験の代表の実験である。
図6.LMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合は、イオン強度に依存する。A.漸増濃度のuPA:PAI-1複合体を、漸増濃度のNaClの存在下で、LRP-1が被覆したSPRチップ上に流し、Req値を決定した。データを、各NaCl濃度についてRmaxに正規化する。上の曲線から下へのNaCl濃度:150mM、250mM、500mM、750mM、および1000mM。B.LRP1に結合するLMWuPA:PAI-1のDebye-Huckelプロット。各イオン強度(150mM、250mM、500mM、750mM、および1000mMのNaCl)におけるKD値を、平衡SPR測定によって測定した。3つの独立した実験を行い、平均±SEをプロットした。2.4±0.4の傾きを、線形回帰分析によって決定した。個々の実験の線形回帰分析の結果を平均することによって、同一の値が得られた。
図7.LMWuPA:PAI-1複合体は、複合体動態モデルを介してLRP1に結合する。A)LMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合を分析するために使用されるモデル。スキームIにおいて、LMWuPA:PAI-1は、2価モデルを介して結合する。より高濃度のLMWuPA:PAI-1では、結合の1価モデルが生じる(スキームII)。B)漸増濃度のLMWuPA:PAI-1複合体(3.12、6.25、12.5、25、50nM)を、LRP1が結合したチップ上に注入した。各濃度の解離をSPRデータから測定し、t=0での初期値を100%に正規化した。B.漸増濃度のLMWuPA:PAI-1(0.78、1.56、3.12、6.25、12.5、25、および50nM)をLRP1に結合したチップ上に注入した。スキームIおよびIIを含むモデルへの実験データ(黒線)のフィッティングを示す(青線)。データは、3つの独立した実験の代表である。
図8.LRP1のクラスタIVに結合するLMWuPA:PAI-1複合体の動態解析。A)漸増濃度のuPA:PAI-1複合体(0.6、1.2、2.5、5、10、20、および40nM)を、LRP1に結合したチップ上に注入した。各濃度の解離をSPRデータから測定し、t=0での初期値を100%に正規化した。B)漸増濃度のLMWuPA:PAI-1(0.6、1.2、2.5、5、10、20および40nM)をLRP1結合チップ上に注入した。実験データ(黒線)のスキームIおよびIIモデル(青線)へのフィッティング。データは、3つの独立した実験の代表である。
図9.LMWuPA:PAI-1のLRP1を介した細胞への取り込みは、リシン残基の変異を含むPAI-1と複合体を形成するときに低下する。I91L PAI-1または示された変異体PAI-1分子と形成された5nMの125I標識したLMWuPA:PAI-1複合体を、過剰のRAPの非存在下または存在下で、37℃で6時間、WI-38ヒト線維芽細胞とインキュベートした。インキュベーション後、内在化した複合体の量を定量した。実験は3回行った。
図10.野生型PAI-1核酸配列(配列番号1);野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号2);および成熟野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)が提供される。
図11.野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異体:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを有するポリペプチドをコードする成熟変異体PAI-1核酸配列(配列番号4);ならびに野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異体:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを有する成熟変異体PAI-1アミノ酸配列(配列番号5)が提供される。
図12.野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有するポリペプチドをコードする成熟変異体PAI-1/Fc核酸配列(配列番号6);ならびに野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有する成熟変異体PAI-1/Fcアミノ酸配列(配列番号7)が提供される。
図13は、MDI-1001がAralastよりも良好に炎症性netsを標的とすることを示す。
図14は、Aralast、Avelestat、MDI-1002、MDI-1003、およびMDI-1004のインビトロでの比較を示す。
図15は、MDI-1003がCF痰中のNETsを標的とすることを示す。
図16は、エラスターゼ活性を阻害剤濃度の関数として示す。
図17は、MDI-1002が急性肺損傷から保護することを示す。
図18は、MDI-1002が肺線維症から保護することを示す。
図19は、MDI-1002がブレオマイシン後の回復を改善しないことを示す。
図20は、吸入されたMDI-1003が急性肺損傷から保護することを示す。
図21は、MDI-1003がMDI-1001よりも良好に肺線維症から保護することを示す。
図22は、MDI-1003がブレオマイシン後の回復を改善することを示す。
図23は、MDI-1002およびMDI-1004のFc融合体のコンストラクトを示す。
図24は、MDI-1002およびMDI-1004のFc融合体の発現を示す。
図25は、Fc融合体がPKを改善することを示す。
図26は、LRP1結合残基の変異がDNA NETsの存在下で好中球エラスターゼの阻害に影響を及ぼし、それによって、NETsにおけるクリアランス受容体、LRP1との相互作用の減少、およびエラスターゼに対する活性の保持を実証することを示す。
〔定義〕
本明細書中で使用される場合、用語「Fcドメイン」は、2つのFcドメイン単量体の二量体をいう。Fcドメインは、少なくともC2ドメインおよびC3ドメインを含むヒトFcドメインに対して、少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または100%の配列同一性)を有する。Fcドメイン単量体は、第2および第3の抗体定常ドメイン(C2およびC3)を含む。いくつかの実施形態において、Fcドメイン単量体はまた、ヒンジドメインを含む。Fcドメインは、抗原認識領域(例えば、可変ドメインまたは相補性決定領域(complementarity determining region:CDR))として作用することができる免疫グロブリンの任意の一部を含まない。野生型Fcドメインでは、2つのFcドメイン単量体が2つのC3抗体定常ドメイン間の相互作用、ならびに二量体化する2つのFcドメイン単量体のヒンジドメインの間に形成される1つ以上のジスルフィド結合によって二量化する。いくつかの実施形態において、Fcドメインは、「デッドFcドメイン」に典型的なエフェクター機能を欠くように変異され得る。特定の実施形態において、Fcドメイン中のそれぞれのFcドメイン単量体は、FcドメインとFcγ受容体との間の相互作用または結合を減少させるために、C2抗体定常ドメイン中にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、FcドメインがFcドメインの二量体化を低減または阻害する1つ以上のアミノ酸置換を含む。Fcドメインは、IgG、IgE、IgM、IgA、またはIgDを含む任意の免疫グロブリン抗体アイソタイプであり得る。さらに、Fcドメインは、IgGサブタイプ(例えば、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、またはIgG4)であり得る。Fcドメインはまた、天然に存在しないFcドメイン、例えば、組み換えFcドメインであり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「融合」または「結合(attached)」は、化学的コンジュゲーション、組み換え法、および化学結合(例えば、アミド結合)を含む手段による、2つ以上の要素、成分、またはタンパク質ドメイン(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)の組み合わせまたは結合を記述するために使用される。例えば、直列に並んだ2つの単一ペプチドを融合させて、化学的コンジュゲーション、化学結合、ペプチドリンカー、または任意の他の共有結合の手段を介して、1つの連続したタンパク質構造(例えば、ポリペプチド)を形成することができる。
本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、単量体がアミド結合を介して一緒に共有結合されているアミノ酸残基である、単一のポリマーを表す。ポリペプチドは、天然に存在するか、組み換えであるか、または合成的に産生されるかのいずれかの任意のアミノ酸配列を包含することが意図される。
本明細書中で使用される場合、用語「ホモ二量体」は、2つの同一の巨大分子(例えば、タンパク質または核酸)によって形成される分子コンストラクトをいう。2つの同一の単量体は、共有結合または非共有結合によってホモ二量体を形成し得る。例えば、2つのFcドメイン単量体が同じ配列を含む場合、Fcドメインは、2つのFcドメイン単量体のホモ二量体であり得る。別の例では、Fcドメイン単量体に融合したPAI-1変異体を含む本明細書に記載のポリペプチドは、ホモ二量体中にFcドメインを形成する2つのFcドメイン単量体の相互作用を介してホモ二量体を形成し得る。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロ二量体」は、2つの異なる巨大分子(例えば、タンパク質または核酸)によって形成される分子コンストラクトをいう。2つの単量体は、共有結合または非共有結合によってヘテロ二量体を形成し得る。例えば、Fcドメイン単量体に融合されたPAI-1変異体を含む本明細書に記載のポリペプチドは、2つのFcドメイン単量体の相互作用を介してヘテロ二量体を形成し得、それぞれは、ヘテロ二量体中にFcドメインを形成する、異なるPAI-1変異体に融合されている。
本明細書中で使用される場合、用語「宿主細胞」は、タンパク質をそれらの対応する核酸から発現するために必要な細胞成分(例えば、オルガネラ)を含むビヒクルをいう。核酸は、典型的には当技術分野で公知の従来技術(形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクションなど)によって宿主細胞に導入され得る核酸ベクターに含まれる。宿主細胞は、原核細胞(例えば、細菌細胞)、または真核細胞(例えば、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞またはHEK293細胞))であってもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」は、異常なNE活性および/または欠損したA1AT活性を有することを特徴とする任意の状態(例えば、IPF、COPD、嚢胞性線維症、肺気腫、ARDS、虚血再潅流、慢性膵炎、RA、DIC、UC、クローン病、皮膚疾患)などの疾患を有する患者を治療する際に所望の治療効果を達成するために有効な、本発明のポリペプチド、核酸、もしくはベクター、または本発明のポリペプチド、核酸、もしくはベクトルを含む薬学的組成物の量をいう。用語「治療有効量」はまた、このような状態を有する患者を治療する際に所望の治療効果を達成するために有効な、本発明のポリペプチド、核酸、もしくはベクター、または本発明のポリペプチド、核酸、もしくはベクターを含む薬学的組成物の量をいう。特に、ポリペプチド、核酸、またはベクターの治療有効量は、有害な副作用を回避する。
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的組成物」は、活性成分ならびに活性成分の投与方法への適合を可能にするための賦形剤および希釈剤を含む、医学または薬学的製剤を指す。本発明の薬学的組成物は、ポリペプチド、核酸、またはベクターと適合している薬学的に許容可能な成分を含む。薬学的組成物は、経口投与のための錠剤もしくはカプセル形態、または静脈内もしくは皮下投与のための水性形態であり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な担体または賦形剤」は、薬学的組成物中の賦形剤または希釈剤をいう。薬学的に許容可能な担体は、製剤の他の成分と適合していなければならず、患者に有害であってはならない。本発明において、薬学的に許容される担体または賦形剤は、PAI-1変異体、ポリペプチドをコードする核酸分子、またはそのような核酸分子を含むベクターを含むポリペプチドに十分な薬学的安定性を提供しなければならない。担体または賦形剤の性質は、投与様式によって異なる。例えば、静脈内投与のためには水溶液担体が一般的に使用され、経口投与のためには固形担体が好ましい。
本明細書中で使用される場合、用語「治療および/または予防する」は、本発明の方法および組成物を用いて、疾患(例えば、異常なNE活性および/または欠損したA1AT活性を有することを特徴とする任意の状態(例えば、IPF、COPD、嚢胞性線維症、肺気腫))を治療および/または予防することを指す。一般的に、このような疾患を治療することは、対象が疾患を発症し、および/または既にその疾患を有すると診断された後に生じる。このような疾患を予防することは、対象が疾患を発症する危険性がある場合に行われる工程または手順をいう。対象は、医師により疾患を発症する症状または危険因子があると判断された徴候または軽度の症状を示すこと、または疾患を発症する家族歴もしくは遺伝的素因を有するがまだ疾患を発症していないことがある。
本明細書中で使用される場合、用語「対象」は、哺乳動物(例えば、好ましくはヒト)をいう。哺乳動物としては、ヒト、ならびにサル、マウス、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシなどの家畜および牧畜が挙げられるが、これらに限定されない。
〔発明の詳細な説明〕
IPFは、肺機能を劇的に制限し得る間質性瘢痕組織形成によって特徴付けられている。米国では約130,000人のIPF患者が存在し、毎年推定30,000~40,000人の新規症例が診断されている(Ley,B., and Collard,H.R. 2013. Epidemiology of idiopathic pulmonary fibrosis. Clin. Epidemiol. 5:483-492; Lynch,J.P., III, et al., 2016. Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Epidemiology, Clinical Features, Prognosis, and Management. Semin. Respir. Crit Care Med. 37:331-357を参照のこと)。IPFの診断後の平均余命は、一般的に3~5年である(Lederer, D.J., and Martinez, F.J., NEJM 2018; 378:1811-1823を参照のこと)。肺移植以外に有効な治療処置はない。IPFの進行を止める治療法の欠如は、重大な課題を提示し、主要な満たされていない医療ニーズである。現在承認されている2つの薬剤であるピルフェニドンおよびニンテダニブは疾患の進行を遅らせることが示されているが、進行を止めることはなく、失われた肺機能を回復させることはできない。そのため、IPF治療のための新規治療法は、疾患管理に必要である。
本発明はNEを阻害すること、特にNETsに結合したNEを阻害することができる変異PA1-Iポリペプチドを含む組成物を提供することによって、このニーズに対処する。
本発明は、NEを阻害すること、特にNETsに結合したNEを阻害することができる変異PA1-Iポリペプチドを含む組成物を提供することによって、このニーズに対処する。本明細書では、ビトロネクチンおよび/またはLRP1と結合する能力を減少させながら、NE活性を阻害することができるPAI-1変異体が提供される。実際、本発明のための実施形態を開発する過程で行われた実験は、そのようなPAI-1変異体がそのようなビトロネクチン結合に関与するPAI-1アミノ酸残基を改変(例えば、R101AおよびQ123K)することによってビトロネクチンとの結合能を阻害することによって、NE活性に関連する状態(例えば、IPF)を治療するための改善された効果を有することを実証した。
本発明のための実施形態を開発する過程で行われた実験では、セルピンマッピング技術を利用し、NETs環境内でNEを効率的に阻害可能なNEの阻害剤として、変異体型のPA1-I(例えば、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有する)を同定した。このような変異体型のPA1-Iは、NETsの主成分であるDNAに結合したNEを不可逆的に阻害することが示された。ここで、FDAが承認したAralastと商標付けられたヒト血漿由来のA1ATは効果がない。特定の実施形態において、このような変異体型のPAI-1は、ヒトIgG-Fcとさらに関連する。
先天的な免疫応答の一環として、好中球は、末梢血中に最も多く存在する白血球であり、感染に対する防御の最前部にある。好中球は、食作用によって、ならびに酸素依存性および酸素非依存性のメカニズムによって、微生物感染を効率的に除去する。最近、DNA、ヒストン、および抗菌ペプチドから構成されるNETsの放出という新しい好中球抗菌メカニズムが説明された。このような変異体型のPAI-1は、IPFにおけるかなりの量の肺機能の喪失(Obayashi,Y., et al., 1997Chest 112:1338-1343; Schaaf,B., et al., 2000 Respiration 67:52-59; Takemasa,A., et al., 2012 Eur. Respir. J 40:1475-1482; Kristensen,J.H., et al., 2015 BMC. Pulm. Med. 15:53を参照のこと)および他の破壊的な肺疾患(Gregory,A.D., et al., 2015 J Leukoc. Biol. 98:143-152を参照のこと)(例えば、嚢胞性線維症および慢性閉塞性肺疾患(COPD))の原因であるNEを特異的に標的とした初めての治療法を示す。より効果的な治療および疾患の逆転の可能性のあるこの見通しは、この奇病に苦しんでいる患者にとって非常に魅力的であろう。
このような変異体型のPAI-1の臨床適応には、特発性肺線維症(NE-NETsは肺線維芽細胞の分化を含む線維症の病因に関与するため)、COPD(Grabcanovic-Musija, F., et al., 2015 Respir. Res. 16:59を参照のこと)、NE-NETsが上昇し、これらの疾患が明らかになると現在の治療選択肢が制限される肺疾患を示す嚢胞性線維症、肺気腫、ARDS、虚血再潅流、慢性膵炎、RA、DIC、UC、クローン病、および皮膚疾患が含まれる。
したがって、本発明は、ビトロネクチン結合に関与するアミノ酸残基を改変(例えば、R101AおよびQ123K)および/またはLRP1結合に関与するアミノ酸残基(例えば、K207、K88、およびK80)を改変することによって、NE活性を阻害することができる一方、ビトロネクチンおよびLRP1との結合能が減少し、その結果、薬物動態(PK)の改善およびNE活性に関連する状態(例えば、IPF)を治療するための効果を改善する、PAI-1変異体を含むポリペプチドであることを特徴とする。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、Fcドメインの単量体または部分のN末端またはC末端に融合されたPAI-1変異体を含む(例えば、PKを改善する目的のために)。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、Fcドメインの単量体または部分のN末端またはC末端に融合されたPAI-1変異体を含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分は、ポリペプチドの安定性を増加させるか、または薬物動態を改善する。Fcドメイン単量体に融合されたPAI-1変異体を含むポリペプチドはまた、2つのFcドメイン単量体間の相互作用を通して、二量体(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)を形成し得る。本明細書に記載のPAI-1変異体は、NE活性を阻害することができ、NEがNETs内に結合しているNE活性を阻害することができる。本発明はまた、本明細書に記載のPAI-1変異体を含むポリペプチドを対象に投与することによって、対象における異常なNE活性および/または欠損したA1AT活性を含む疾患および状態を治療する方法を含む。
エラスターゼは、活性化された好中球、およびマクロファージ、および単球によって放出されるセリンプロテイナーゼである。炎症反応の間、好中球は活性化され、エラスターゼを放出し、タンパク質分解を介して組織破壊を引き起こす。肺において、エラスターゼは弾性組織を分解し、肺気腫を引き起こす。エラスターゼはまた、嚢胞性線維症(CF)ならびに成体および乳児の両方の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)における悪化因子である。エラスターゼはまた、TNF媒介性炎症(Massague, J. et al., Annu. Rev. Biochem. 62:515-541 (1993)を参照のこと)およびHIV感染(Bristow, C. L. et al., International Immunol. 7:239-249 (1995)に関与している。
エラスターゼは、プラスミノーゲンアクチベーターよりも広いスペクトルの反応度を有し、プラスミノーゲンアクチベーターの各々は、前駆体基質に優先的に作用してそれを活性化する。
エラスターゼに対する自然防御は、αアンチトリプシン(αAT)またはαプロテイナーゼインヒビター(αPI)と呼ばれるタンパク質である。αATが不足している患者、とりわけ喫煙者は、肺気腫を起こしやすい。さらに、喫煙は炎症を誘発する。このようなαAT欠損では、酵素は存在する(CRM)が、機能的に障害がある。さらに、正常な酵素を有する個人においてさえ、喫煙は、αATを直接的に不活性化する。したがって、エラスターゼの改善された阻害剤は、影響を受けやすい対象における肺気腫の予防のために、またはこの疾患および他の関連疾患に繋がる病態生理学的プロセスの回復のために、非常に望ましいであろう。
主要なPAIは、血中の多くのプロテイナーゼインヒビター、ならびに無関係または未知の機能を有する他のタンパク質を含むセリンプロテイナーゼインヒビター(セルピン)遺伝子スーパーファミリーに属する(Gettins, P. G. W., and Olson, S. T. (2016) Inhibitory serpins. New insights into their folding, polymerization, regulation and clearance. Biochem. J. 473, 2273-2293を参照のこと)。セルピンは、共通の三次構造を共有し、共通の原種から進化してきた。セルピンは、凝固、線維素溶解、補体活性化、排卵、血管新生、炎症、新生物、ウイルス病原生、およびアレルギー性反応を含む多くのプロセスを調節する。
セルピンは、自殺阻害剤として作用し、標的プロテイナーゼと一度だけ反応してドデシル硫酸ナトリウム(SDS)安定複合体を形成する。これらの複合体は、解離して、αAT結晶構造に見られるものと同様の切断された阻害剤と共に遊離活性酵素を産生し得る(Gettins, P. G. W., and Olson, S. T. (2016) Inhibitory serpins. New insights into their folding, polymerization, regulation and clearance. Biochem. J. 473, 2273-2293を参照のこと)。
PAI-1は、PA系の主要な調節因子の1つと考えられる。これは、50kDaの分子量を有する一本鎖糖タンパク質であり(Van Mourik J A et al., J Biol Chem (1984) 259:14914-14921を参照のこと)、そしてtPAおよびuPAの一本鎖形態および二本鎖形態について公知の最も効率的な阻害剤である(Lawrence D et al., Eur J Biochem (1989) 186:523-533を参照のこと)。PAI-1はまた、プラスミンおよびトリプシンを阻害し(Hekman C M et al., Biochemistry (1988) 27:2911-2918を参照のこと)、トロンビンおよび活性化プロテインCを阻害するが、効率ははるかに低い。
PAI-1 cDNAは、典型的な分泌シグナル配列を含む402個のアミノ酸のタンパク質をコードする(Ny et al., supra; Ginsburg et al., 1986, supraを参照のこと)。細胞培養物から単離された成熟ヒトPAI-1は、ほぼ等しい大きさの381個および379個のアミノ酸の2つの変異体から構成される。図10は、ヒト野生型PAI-1核酸配列(配列番号1);ヒト野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号2);およびヒト成熟野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)を提供する。
PAI-1は、15~20%の炭水化物を含む3つの潜在的なN結合グリコシル化部位を有する糖タンパク質である(Van Mourik J A et al., supra)。成熟PAI-1は、システイン残基を含まず、大腸菌由来の組み換えPAI-1の効率的な発現および単離を容易にする。大腸菌で産生されるPAI-1は、グリコシル化されていないが、機能的には天然のPAI-1と非常に類似している。組み換えPAI-1は、本質的に活性な形態で大腸菌から単離することができ(下記を参照のこと)、これは、哺乳動物細胞培養物から精製されたPAI-1と対照的である(Lawrence et al., 1989, supra; Hekman et al., 1988, supra)。
PAI-1は、細胞によって産生され、培養培地中に分泌される際に活性型で存在し、時間とともに培養培地中に蓄積する不活性型または潜在型で存在する(Hekman C M et al, J Biol Chem (1985) 260:11581-11587, Levin E G et al, Blood (1987) 70:1090-1098を参照のこと)。活性型は、37℃で約1時間の半減期で、自発的に潜在型に変換する(Lawrence et al., supra, Hekman et al., supra; Levin E G et al, 1987, supraを参照のこと)。
潜在型は、変性剤である負に荷電したリン脂質またはVnで処理することによって、活性型に変換することができる(Lambers et al, supra, Hekman et al, supra; Wun T-C et al, J Biol Chem (1989) 264:7862-7868を参照のこと)。ウサギに注入された潜在PAI-1は、未知のメカニズムによりインビボで再活性化された。おそらくコンフォメーション変化による活性構造と潜在構造との間の可逆的な相互変換は、他のセルピンと比較してPAI-1の特有の特徴である。潜在型は、よりエネルギー的に有利であるように思われる。
潜在型のPAI-1の三次元構造を解いた。この構造において、反応中心ループのN末端側の全体はβシートA中に中心のストランドとして挿入され(Mottonen et al., supraを参照のこと)、これは、増加した安定性(Lawrence, D. A. et al., Biochemistry 33:3643-3648 (1994)を参照のこと)、ならびに阻害活性の欠如を説明している。
2つのプラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)および組織型プラスミノーゲンアクチベーターの活性は、線維素溶解および創傷治癒を調節するセリンプロテイナーゼインヒビター(セルピン)であるプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)によって調節され、血栓症および線維性疾患と関連している。セルピンは、セルピンの反応中心ループの切断に続く特有のメカニズムによってセリンプロテアーゼを阻害するように機能し、これはセルピンのコンフォメーション変化を誘導し、結果としてプロテアーゼ阻害を生じる(レビューについては、(Gettins, P. G. W., and Olson, S. T. (2016) Biochem. J. 473, 2273-2293)を参照のこと)。一旦、セルピンがプロテアーゼと複合体を形成すると、複合体は、LDL受容体関連タンパク質1(LRP1)に結合することによって、肝臓中の血液循環から迅速に除去される(Kounnas, M. Z., Church, F. C., Argraves, W. S., and Strickland, D. K. (1996) J. Biol. Chem. 271, 6523-6529を参照のこと)。
LRP1はもともと、アルファ-マクログロブリンプロテアーゼ複合体の除去に関与する肝臓受容体(Ashcom, J. D., et al., (1990) J. Cell Biol. 110, 1041-1048; Moestrup, S. K., and Gliemann, J. (1989) J. Biol. Chem. 264, 15574-15577を参照のこと)およびカイロミクロンレムナントリポタンパク質粒子の受容体(Rohlmann, A., et al., (1998) J. Clin. Invest. 101, 689-695を参照のこと)として同定された。そのエンドサイトーシスの役割に加えて、LRP1はまた、種々のシグナル伝達経路を調節する(Gonias, S. L. (2018) Arter. Thromb Vasc Biol. 38, 2548-2549; Strickland, D. K., et al., (2014) Thromb. Vasc. Biol. 34, 487-498を参照のこと)。この大きな受容体の細胞外ドメインは、LDLaリピート、EGF様リピート、およびβ-プロペラドメインのクラスタからなるモジュールから構成されている。新しく合成されたLRP1の細胞表面への効率的な送達には、受容体関連タンパク質(RAP)と呼ばれる小胞体内在性シャペロンの関与を必要とする(Strickland, D. K., et al., (1991) J. Biol. Chem. 266, 13364-13369; Willnow, T. E., et al., (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 92, 4537-41; Bu, G., et al., (1995) EMBO J. 14, 2269-80を参照のこと)。
LRP1が比較的高い親和性を有する多数の構造的に無関係なリガンドを認識するという事実は、リガンド/受容体相互作用の性質に関して疑問を提起している。これがどのように起こり得るかについての見識は、K256およびK270が、RAPの第3のドメインがLRP1に結合するために必須であるという認識から(Migliorini, M. M., et al., (2003) J. Biol. Chem. 278, 17986-17992を参照のこと)、およびLDL受容体由来の2つのLDLaリピートとの複合体におけるRAPの第3ドメインの結晶構造(Fisher, C., et al., (2006) Mol. Cell. 22, 277-283を参照のこと)から生じる。これらの研究は、RAPのK256およびK270のε-アミノ基が受容体上に酸性ポケットを形成するLDLaリピート内のアスパラギン酸残基のカルボン酸塩と塩架橋を形成することを明らかにした。現在まで、アルファ2-マクログロブリン(αM)を含むいくつかのリガンド(Arandjelovic, S., Hall, B. D., and Gonias, S. L. (2005) Arch. Biochem. Biophys. 438, 29-35を参照のこと)および血液凝固因子VIII(van den Biggelaar, et al., (2015) J. Biol. Chem. 290, 16463-76; Young, P. A., et al., (2016) J. Biol. Chem. 291, 26035-26044を参照のこと)は、重要なリシン残基を含む相互作用を介してLRP1と相互作用する。
リシン残基は、PAI-1のLRP1との相互作用に寄与するように思われている(Horn, I., et al., (1998) Thromb. Haemost. 1, 20-22; Rodenburg, K. W., et al., (1998) Biochem. J. 329, 55-63; Gettins, P. G. W., and Dolmer, K. (2016) J. Biol. Chem. 291, 800-812を参照のこと)が、PAI-1のLRP1との相互作用を調査した研究の結果、矛盾するデータが得られた。第1に、PAI-1対プロテアーゼ:PAI-1複合体のLRP1に対する相対的な親和性に関して疑問が存在する。ほとんどの研究は、プロテアーゼとの複合体中のPAI-1のみが、高い親和性でLRP1に結合することを実証した(Horn, I., et al., (1998) Thromb. Haemost. 1, 20-22; Stefansson, S. (1998) J. Biol. Chem. 273, 6358-6366; Nykjaer, A., et al., (1992) J. Biol. Chem. 267, 14543-14546; Horn, I. R., et al., (1997) J. Biol. Chem. 272, 13608-13613を参照のこと)。対照的に、他の研究(Gettins, P. G. W., and Dolmer, K. (2016) J. Biol. Chem. 291, 800-812; Jensen, J. K., et al., (2009) J. Biol. Chem. 284, 17989-17997を参照のこと)は、PAI-1が単独で、LRP1に由来する断片に高い親和性で結合することを報告している。第2に、プロテアーゼ:PAI-1複合体がPAI-1単独よりも高い親和性でLRP1に結合するという所見に基づいて、何人かは、PAI-1とのプロテアーゼ複合体の形成が、LRP1によって認識されるPAI-1の潜在的エピトープを露出させることを提案した(Horn, I., et al., (1998) Thromb. Haemost. 1, 20-22; Stefansson, S. (1998) J. Biol. Chem. 273, 6358-6366を参照のこと)。対照的に、他者はプロテアーゼ自体がLRP1と相互作用し、高親和性相互作用に寄与し得ることを主張した(Skeldal, S., et al., (2006) FEBS J. 273, 5143-5159を参照のこと)。最後に、多くの研究が、種々の塩基性残基がアラニンに変異した場合のLRP1に対するPAI-1の親和性の変化を報告している(Horn, I., et al., (1998) Thromb. Haemost. 1, 20-22; Stefansson, S. (1998) J. Biol. Chem. 273, 6358-6366; Skeldal, S., et al., (2006) FEBS J. 273, 5143-5159を参照のこと)が、リシン残基が結合部位を構成するというコンセンサスはほとんどないように見受けられる。
本発明の実施形態を開発する過程で行われた実験では、PAI-1およびプロテアーゼ:PAI-1複合体のLRP1との相対的な結合親和性を明らかにした。さらに、プロテアーゼ:PAI-1複合体のLRP1への結合が主にPAI-1の決定基に起因するかどうかを決定するための実験を行った。さらに、LRP1へのそれらの結合に関与する標的プロテアーゼ(ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA))との複合体における遊離PAI-1およびPAI-1中の特異的アミノ酸残基を決定するための実験を行った。実際に、変異解析により、LRP1結合とPAI-1の低分子阻害剤であるCDE-096の結合部位との重複が明らかになり、PAI-1のLRP1との相互作用においてはK207が、uPA:PAI-1複合体のLRP1との相互作用においてはK207、K88、およびK80が重要な役割を果たしていた。
本発明のための実施形態を開発する過程で行われた実験では、セルピンマッピング技術を利用し、NETs環境内でNEを効率的に阻害可能なNEの阻害剤として、変異体型のPA1-I(例えば、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有する)を同定した。このような変異体型のPA1-Iは、NETsの主成分であるDNAに結合したNEを不可逆的に阻害することが示された。ここで、FDAが承認したAralastと商標付けられたヒト血漿由来のA1ATは効果がない。特定の実施形態において、このような変異体型のPAI-1は、ヒトIgG-Fcとさらに結合する。
したがって、本発明は、PAI-1変異体を含むポリペプチドであることを特徴とする。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、Fcドメインの単量体または部分のN末端またはC末端に融合されたPAI-1変異体を含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、Fcドメインの単量体または部分のN末端またはC末端に融合されたPAI-1変異体を含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分は、ポリペプチドの安定性を増加させるか、または薬物動態を改善する。
このような部分は、アミノ酸または他の共有結合によって融合または結合され得、ポリペプチドの安定性を増加し得る。Fcドメインの単量体に融合したPAI-1変異体を含むポリペプチドはまた、2つのFcドメインの単量体間の相互作用によって、二量体(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)を形成し得る。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体が結合した本明細書に記載のポリペプチドは、リンカーによってポリペプチドに融合されている。いくつかの実施形態において、リンカーはアミノ酸スペーサーである。
本発明のポリペプチドはNE活性を阻害するために使用され得、NETsに結合したNE活性を阻害するために使用され得る。さらに、本発明のポリペプチドは、異常なNE活性を有することを特徴とする状態(例えば、IPF)を有する対象を治療するために使用され得る。さらに、本発明のポリペプチドは、対象が異常なNE活性を有することを特徴とする状態(例えば、IPF)によって苦しむことを予防するために使用され得る。さらに、本発明のポリペプチドはまた、異常なNE活性を伴う疾患または状態を発症するまたは有する危険性を有する対象においてNE活性に作用させるために使用され得る。
いくつかの実施形態において、本発明はPAI-1変異体を含むポリペプチドであって、当該変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有するポリペプチドであることを特徴とする。いくつかの実施形態において、PAI-1変異体は、配列番号5に示されるように、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを含む。いくつかの実施形態において、PAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:R101AおよびQ123Kを含む。いくつかの実施形態において、PAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、Fcドメインの単量体または部分と結合したPAI-1変異体を含むポリペプチドであって、当該変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有するポリペプチドであることを特徴とする。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分と結合したPAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分と結合したPAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内の以下の変異:R101AおよびQ123Kを含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインの単量体または部分と結合したPAI-1変異体は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを含む(配列番号7)。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、NEを阻害すること、特に、NETsに結合したNEを阻害することが可能である。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有するPAI-1変異体を含むポリペプチド)をコードする核酸分子であることを特徴とする。別の態様において、本発明はまた、本明細書に記載の核酸分子を含むベクターであることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載のポリペプチドを発現する宿主細胞であって、前記宿主細胞は、前記の2つの態様に記載の核酸分子またはベクターを含み、前記核酸分子または前記ベクターは、前記宿主細胞において発現される、宿主細胞であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載のポリペプチドを調製する方法、前記方法は、a)本明細書中に記載の核酸分子またはベクターを含む宿主細胞を準備する工程、およびb)前記ポリペプチドの形成を可能にする条件下で、前記宿主細胞中で前記核酸分子または前記ベクターを発現させる工程を含む、方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載のポリペプチド、核酸分子、またはベクター、および1つ以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む薬学的組成物であることを特徴とする。薬学的組成物のいくつかの実施形態において、ポリペプチド、核酸分子、またはベクターは治療有効量である。
図11は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを有するポリペプチドをコードする成熟変異体PAI-1の核酸配列(配列番号4)を提供し;野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを有する成熟変異体PAI-1アミノ酸配列(配列番号5)を提供する。
図12は、野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有するポリペプチドをコードする成熟変異体PAI-1/Fc核酸配列(配列番号6)を提供し;野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有する成熟変異体PAI-1/Fcアミノ酸配列(配列番号7)を提供する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、ポリペプチドの血清半減期を増加させるために、免疫グロブリンのFcドメイン単量体またはFcドメインの断片に融合されたPAI-1変異体を含み得る。Fcドメイン単量体に融合したPAI-1変異体を含むポリペプチドは、二量体中にFcドメインを形成する2つのFcドメイン単量体間の相互作用を通して、二量体(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)を形成し得る。当該分野で従来から知られているように、Fcドメインは、免疫グロブリンのC末端に見られるタンパク質構造である。Fcドメインは、C3抗体定常ドメイン間の相互作用によって二量体化される2つのFcドメイン単量体を含む。野生型Fcドメインは、Fc受容体(例えば、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、FcγRIIIb、FcγRIVに結合する最小限の構成を形成する。いくつかの実施形態において、Fcドメインは、「デッド」Fcドメインに典型的なエフェクター機能を欠くように変異され得る。例えば、Fcドメインは、FcドメインとFcγ受容体との間の相互作用を最小限に抑えることが知られている特定のアミノ酸置換を含み得る。
本発明のポリペプチドは、宿主細胞から産生され得る。宿主細胞は、本明細書に記載のポリペプチドおよび融合ポリペプチドをそれらの対応する核酸から発現させるために必要な細胞成分(例えば、オルガネラ)を含むビヒクルをいう。核酸は、当該分野で公知の従来技術(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、感染など)によって宿主細胞に導入され得る核酸ベクターに含まれ得る。核酸ベクターの選択は、使用される宿主細胞に部分的に依存する。一般的に、好ましい宿主細胞は、真核生物(例えば、哺乳動物)または原核生物(例えば、細菌)由来のいずれかである。
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸配列は、当該分野で公知の種々の方法によって調製され得る。これらの方法としては、オリゴヌクレオチド媒介(または部位特異的)変異導入およびPCR変異導入が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のポリペプチドをコードする核酸分子は、通常の技術(例えば、遺伝子合成)を用いて得られ得る。あるいは、野生型PAI-1をコードする核酸分子が当該分野で通常の技術(例えば、QuikChange(商標)mutagenesis)を用いて、特定のアミノ酸置換を含むように変異させ得る。核酸分子は、ヌクレオチドシンセサイザーまたはPCR技術を用いて合成することができる。
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、原核または真核宿主細胞において核酸分子を複製および発現することが可能なベクターに挿入され得る。多くのベクターは、当該分野で利用可能であり、本発明の目的のために使用され得る。各ベクターは、特定の宿主細胞との相溶性のために調節および最適化され得る種々の成分を含み得る。例えば、ベクター成分は、複製の起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位、シグナル配列、目的のタンパク質をコードする核酸配列、および転写終結配列を含み得るが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞は、本発明のための宿主細胞として使用され得る。哺乳動物細胞型の例としては、ヒト胎児腎臓(HEK)(例えば、HEK293、HEK293F)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、COS、PC3、Vero、MC3T3、NS0、Sp2/0、VERY、BHK、MDCK、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT20、T47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内生的に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、およびHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、大腸菌細胞はまた、本発明のための宿主細胞として使用され得る。大腸菌株の例としては、大腸菌294(ATCC(登録商標)31,446)、大腸菌λ1776(ATCC(登録商標)31,537、大腸菌BL21(DE3)(ATCC(登録商標)BAA-1025)、および大腸菌RV308(ATCC(登録商標)31,608)が挙げられるが、これらに限定されない。種々の宿主細胞は、タンパク質生成物の翻訳後の処理および修飾(例えば、グリコシル化)のための特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。適切な細胞株または宿主系は、発現されるポリペプチドの正確な改変および処理を確実にするように選択され得る。上述した発現ベクターは、当該分野における従来技術、例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、および直接マイクロインジェクションを用いて、適切な宿主細胞に導入され得る。一旦ベクターがタンパク質産生のために宿主細胞に導入されると、宿主細胞は、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適切なように改変された従来の栄養培地中で培養される。治療用タンパク質の発現方法は、当該分野において公知であり、例えば、Paulina Balbas, Argelia Lorence (eds.) Recombinant Gene Expression: Reviews and Protocols (Methods in Molecular Biology), Humana Press; 2nd ed. 2004 and Vladimir Voynov and Justin A. Caravella (eds.) Therapeutic Proteins: Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology) Humana Press; 2nd ed. 2012を参照されたい。
本発明のポリペプチドを産生するために使用される宿主細胞は、当該分野で公知であり、選択された宿主細胞の培養に適切な培地中で増殖され得る。哺乳動物宿主細胞に適した培地の例としては、最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Expi293(商標)発現培地、ウシ胎仔血清(FBS)を補充したDMEM、およびRPMI-1640が挙げられる。細菌宿主細胞に適した培地の例としては、選択剤(例えば、アンピシリン)などの必要なサプリメントが加えられたLuria broth(LB)が挙げられる。宿主細胞は、約20℃.~約39℃.など(例えば、25℃.~約37℃.、好ましくは37℃.)の適切な温度、および5~10%などのCOレベルで培養される。培地のpHは、一般的に、主に宿主生物に依存して、約6.8~7.4(例えば、7.0)である。誘導性プロモーターが本発明の発現ベクターにおいて使用される場合、タンパク質発現は、プロモーターの活性化に適切な条件下で誘導される。
いくつかの実施形態において、使用される発現ベクターおよび宿主細胞に依存して、発現されたタンパク質は、宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)から細胞培養培地中に分泌され得る。タンパク質回収は、細胞培養培地を濾過して、細胞残屑を除去することを含み得る。タンパク質はさらに精製され得る。本発明のポリペプチドは、タンパク質精製の分野で公知の任意の方法(例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、およびサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度)によって、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によって、精製され得る。例えば、タンパク質は、プロテインAカラム(例えば、POROSプロテインAクロマトグラフィー)とクロマトグラフィーカラム(例えば、POROS HS-50陽イオン交換クロマトグラフィー)などのアフィニティーカラム、濾過、限外濾過、塩析、および透析法を適切に選択し、組み合わせることによって単離および精製することができる。
他の実施形態において、宿主細胞は、発現されたタンパク質を回収するために、浸透圧ショック、超音波処理、または溶解によって破壊され得る。一旦細胞が破壊されると、細胞残屑は、遠心分離または濾過によって除去され得る。いくつかの例において、ポリペプチドは、精製を容易にするために、マーカー配列(例えば、ペプチド)にコンジュゲートされ得る。マーカーアミノ酸配列の例は、ヘキサヒスチジンペプチド(Hisタグ)であり、これは、マイクロモーラーの親和性でニッケルが官能基化されたアガロースアフィニティカラムに結合する。精製に有用な他のペプチドタグとしては、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する赤血球凝集素「HA」タグが挙げられるが、これらに限定されない(Wilson et al., Cell 37:767, 1984を参照のこと)。
あるいは、本発明のポリペプチドは、例えば、遺伝子治療という文脈において、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を含むベクター(ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えば、改変ワクシニアアンカラ(MVA)などのワクシニアウイルスベクター)、アデノ随伴ウイルスベクター、およびアルファウイルスベクター)など)を投与することによって、対象(例えば、ヒト)の細胞によって産生され得る。ベクターは、対象の細胞内に入ると(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、感染などによって)、ポリペプチドの発現を促進し、次いで、ポリペプチドは細胞から分泌され得る。疾患または病気の治療が所望の結果である場合、さらなる処置は必要とされ得ない。タンパク質の収集が所望される場合、血液は対象から収集され得、タンパク質は当該分野で公知の方法によって血液から精製され得る。
本発明は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、PAI-1変異体(例えば、野生型PAI-1(配列番号1)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有するPAI-1変異体)を含むポリペプチド)を含む薬学的組成物であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、治療用タンパク質として、C末端伸長(例えば、1、2、3、4、5、6、またはそれ以上の追加アミノ酸)を有するPAI-1変異体を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、治療用タンパク質としての部分(例えば、Fcドメイン単量体、またはその二量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換を有するFcドメイン(例えば、二量体化を減少させる1つ以上の置換))に融合されたPAI-1変異体を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、第1の部分(例えば、Fcドメイン単量体、またはその二量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換を有するFcドメイン(例えば、二量体化を減少させる1つ以上の置換))に融合されたPAI-1変異体を含むポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドを含む本発明の薬学的組成物は、他の剤(例えば、治療用生物学的製剤および/もしくは小分子)または組成物と組み合わせて、治療において使用され得る。治療有効量のポリペプチドに加えて、薬学的組成物は、当業者に公知の方法によって製剤化することができる、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子(DNAもしくはRNA(例えば、mRNA))、またはこのような核酸分子を含むベクターを含む。
薬学的組成物中の許容される担体および賦形剤は、使用される投与量および濃度でレシピエントに対して無毒である。許容される担体および賦形剤は、緩衝液(リン酸塩、クエン酸塩、HEPES、およびTAEなど)、抗酸化剤(アスコルビン酸およびメチオニンなど)、防腐剤(塩化ヘキサメトニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、レゾルシノール、および塩化ベンザルコニウムなど)、タンパク質(ヒト血清アルブミン、ゼラチン、デキストラン、および免疫グロブリンなど)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、アミノ酸(グリシン、グルタミン、ヒスチジン、およびリジンなど)、ならびに炭水化物(グルコース、マンノース、スクロース、およびソルビトールなど)を含み得る。本発明の薬学的組成物は、注射可能な製剤の形態で非経口的に投与することができる。注射用薬学的組成物は、無菌溶液または任意の薬学的に許容される液体をビヒクルとして用いて製剤化することができる。薬学的に許容されるビヒクルとしては、滅菌水、生理食塩水、および細胞培養培地(例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、α-改変イーグル培地(α-MEM)、F-12培地)が挙げられるが、これらに限定されない。製剤化方法は当該分野で公知であり、例えば、Banga (ed.) Therapeutic Peptides and Proteins: Formulation, Processing and Delivery Systems (3rd ed.) Taylor & Francis Group, CRC Press (2015)を参照されたい。
本発明の薬学的組成物は、ヒドロキシルメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルなどのマイクロカプセル中で調製され得る。本発明の薬学的組成物はまた、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセルなどの他の薬物送達システムにおいて調製され得る。このような技術は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 22thedition (2012)に記載されている。インビボ投与のために使用される薬学的組成物は、無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に行うことができる。
本発明の薬学的組成物はまた、徐放性製剤として調製され得る。徐放性製剤の適切な例としては、本発明のポリペプチドを含む固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられる。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、含水ゲル、ポリアクタイド(polyactides)、L-グルタミン酸とy-エチル-L-グルタミン酸とのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。いくつかの徐放性製剤は、数ヶ月(例えば、1~6ヶ月)にわたって分子の放出を可能にし、一方、他の製剤は、より短い期間(例えば、数日~数週間)にわたって本発明の薬学的組成物を放出する。
薬学的組成物は、必要に応じて単位用量の形態で形成され得る。薬学的調製物に含まれる活性成分(例えば、本発明のポリペプチド)の量は、指定された範囲内の適切な投与量が与えられるような量である(例えば、0.01~100mg/kg体重の範囲内の投与量)。
遺伝子治療のための薬学的組成物は、許容される希釈剤中に存在することができ、または遺伝子送達ビヒクルが包埋された徐放性マトリックスを含むことができる。送達方法として流体力学的注入が使用される場合、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードする核酸分子を含む薬学的組成物または核酸分子を含むベクター(例えば、ウイルスベクター)は、大量の輸液で静脈内に迅速に送達される。インビボ遺伝子送達ビヒクルとして使用され得るベクターとしては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えば、改変ワクシニアアンカラなどのワクシニアウイルスベクター)、アデノ随伴ウイルスベクター、およびアルファウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
治療用タンパク質として本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物は、例えば、静脈内投与、非経口投与、皮下投与、筋肉内投与、動脈内投与、髄腔内投与、または腹腔内投与のために製剤化され得る。薬学的組成物はまた、経口、経鼻、スプレー、エアロゾル、直腸、または膣投与のために製剤化され得るか、またはそれらを介して投与され得る。注射可能な製剤については、種々の有効な薬学的担体が当該分野で公知である。例えば、ASHP Handbook on Injectable Drugs, Toissel, 18th ed. (2014)を参照のこと。
いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を含む薬学的組成物、またはこのような核酸分子を含むベクターは、遺伝子送達によって投与され得る。遺伝子送達の方法は、当業者に周知である。インビボ遺伝子送達および発現に使用され得るベクターとしては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えば、改変ワクシニアアンカラ(MVA)などのワクシニアウイルスベクター)、アデノ随伴ウイルスベクター、およびアルファウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドをコードするmRNA分子は、対象に直接投与され得る。
本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸分子またはそのような核酸分子を含むベクターは、ハイドロダイナミック注入のプラットフォームを用いて投与され得る。ハイドロダイナミック注入法において、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸分子は、遺伝子組み換えされたプラスミド(例えば、ウイルスプラスミド)中の強力なプロモーターの制御下に置かれる。プラスミドは、多くの場合、大量の輸液で静脈内に迅速に送達される。流体力学的注入は、制御された静脈内の流体力学的圧力を用いて、細胞透過性を増強するため、大量の輸液の迅速な注入から上昇した圧力は、静脈からの輸液およびプラスミドの溢出をもたらす。核酸分子の発現は、主に肝臓によって駆動される。マウスでは、尾静脈へのプラスミドの注入によって流体力学的注入が行われることが多い。特定の実施形態において、本明細書中に記載のポリペプチドをコードするmRNA分子は、流体力学的注入を用いて投与され得る。
本発明の薬学的組成物の投与量は、投与経路、治療される疾病、および対象の物理的特性(例えば、年齢、体重、全身の健康)を含む因子に依存する。本発明の薬学的組成物は、0.01~500mg/kg(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450、または500mg/kg)、より具体的な実施形態において、約0.1~約30mg/kg、より具体的な実施形態において、約0.3~約30mg/kgの範囲の本発明のポリペプチドの投与量を含み得る。投与量は、疾患の程度および対象の異なるパラメータなどの従来の因子にしたがって、医師によって適合され得る。
薬学的組成物は、投薬処方と適合する様式で、そして症状の改善(improvement)または改善(remediation)をもたらすために治療的に有効であるような量で投与される。薬学的組成物は、種々の投薬形態、例えば、静脈内投薬形態、皮下投薬形態、および経口投薬形態(例えば、摂取可能な溶液、薬物放出カプセル)で投与される。一般的に、治療用タンパク質は、0.1~100mg/kg、例えば、1~50mg/kgで投与される。本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物は、それを必要とする対象に、例えば、1回以上(例えば、1~10回またはそれ以上)、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、四半期毎、隔年、毎年、または医学的に必要に応じて投与され得る。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物は、それを必要とする対象に、毎週、隔週、毎月、隔月、または四半期毎に投与され得る。投与量は、単回投与方式または複数回投与方式のいずれかで与えられ得る。投与の間のタイミングは、病状が改善するにつれて、または患者の健康が増加するにつれて、減少し得る。
本発明は、ヒトPAI-1由来の1つ以上の特定のアミノ酸を置換することにより、NE活性を阻害し、NEがNETs内に結合しているNE活性を阻害することが可能になるという発見に基づく。これらのPAI-1変異体の特性は、異常なNE活性および/または欠損したA1AT活性によって特徴付けられる疾患の治療において使用され得る有用な治療薬を作製する。
別の態様において、本発明は、それを必要な対象におけるNE活性を阻害する方法を特徴とする。別の態様において、本発明は、それを必要とする対象におけるNETsに結合したNE活性を阻害する方法を特徴とする。当該方法は、本明細書に記載されるポリペプチド、核酸分子、もしくはベクトル、または本明細書に記載される薬学的組成物の治療有効量を対象に投与する工程を含む。
対象におけるNE活性またはNETs内に結合したNEの活性を阻害する方法のいくつかの実施形態において、対象は、IPFおよび/または異常なNE活性を特徴とする状態(例えば、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫)を有する。対象におけるNE活性またはNETs内に結合したNEの活性を阻害する方法のいくつかの実施形態において、対象は、A1AT活性および/または発現欠損を有する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、IPFを有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、嚢胞性線維症を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、COPDを有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、肺気腫を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、急性呼吸困難症候群(ARDS)を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、虚血再潅流傷害を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、エタノール誘導慢性膵炎を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、関節リウマチ(RA)を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、播種性血管内凝固(DIC)を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、潰瘍性大腸炎(UC)を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、クローン病を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、好中球病理を伴う皮膚疾患を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、A1AT活性および/または発現欠損を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、異常なNE活性および/または発現を有することを特徴とする任意の状態を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の、ポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の薬学的組成物の、治療有効量を、欠損したA1AT活性および/または発現を有することを特徴とする任意の状態を有する対象に投与することによって、当該対象を治療する方法であることを特徴とする。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、異常なNE活性を有することを特徴とする状態(例えば、IPF、COPD、嚢胞性線維症、肺気腫)を有するか、または発症する危険性がある。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、欠損したA1AT活性および/または発現を有することを特徴とする状態を有するか、または発症する危険性がある。
当業者は、上記が単に、本発明の特定の好ましい実施形態の詳細な説明を表すことを容易に認識するであろう。上述した組成物および方法の種々の改変および変更は、当該分野で利用可能な専門知識を用いて容易に達成することができ、本発明の範囲内である。
〔実験〕
〔実施例I.〕
本実施例において、LMWuPA:PAI-1複合体がPAI-1単独よりも高い親和性でLRP1に結合することを実証する。
LRP1に対するPAI-1およびプロテアーゼ:PAI-1複合体の相対的な親和性に関する文献に存在する矛盾を解決するために、最初の実験は、遊離PAI-1およびLMWuPAに複合したPAI-1のLRP1への結合を比較した。特に、LMWuPA自体はLRP1に結合しない。野生型PAI-1は比較的不安定であり、潜在型に急速に変換するので、本実施例における実験およびすべてのその後の研究(特に指定しない限り)では、PAI-1の安定性を2.0時間の半減期から18.4時間に延長するPAI-1のI91L変異体(Berkenpas, M. B., Lawrence, D. A., and Ginsburg, D. (1995) EMBO J. 14, 2969-77を参照のこと)を使用した。I91L PAI-1とLMWuPAとの複合体を形成する実験を行い、平衡SPR測定を用いて、当該複合体のLRP1への結合を遊離PAI-1のLRP1への結合と比較した。データ(図1A)から、LMWuPA:PAI-1複合体がPAI-1単独よりもLRP1にほぼ2桁強く結合することは明らかである(LMWuPA:PAI-1のK=0.9±0.2nM、一方PAI-1のKD=74±13nM)。
〔実施例II.〕
本実施例において、PAI-1のリシン残基がPAI-1およびLMWuPA:PAI-1複合体の両方のLRP1への結合に必須であることを実証する。
PAI-1のLRP1との相互作用に対するリシン残基の寄与を測定するために、これらの残基を、リシン残基の第1級アミンと安定な共有アミド結合を形成するスルホ-NHS-アセテートで化学的に修飾した。この修飾は、PAI-1がLMWuPAと安定な複合体を形成することを妨げない(図1B)。しかしながら、注目すべきことに、この修飾は、遊離PAI-1(図1C)およびLMWuPAと修飾PAI-1との複合体(図1D)の両方の結合がLRP1に結合することを妨げた。これらの結果から、PAI-1のリシン残基がPAI-1およびLMWuPA:PA1-1複合体の両方のLRP1への結合に寄与することは明らかである。
〔実施例III.〕
本実施例において、2つの荷電残基がPAI-1のLRP1への結合に関与することを実証する。
次に、PAI-1のLRP1への結合におけるイオン強度の効果を調べる実験を行った。これらの実験の結果から、PAI-1のLRP1への結合がイオン強度に依存することは明らかである(図2A)。図2Bは、Log10をイオン強度に対してプロットした、Debye-Huckelプロットの形でプロットされたデータを示す。これらの結果は、傾き(傾き=1.5±0.1)によって示されるように、PAI-1のLRP1との結合における2つのイオン相互作用の関与を示唆している。これは、リガンドにある特定のリシン残基の2つ(またはそれ以上)のε-アミノ基がLDLaリピート内のアスパラギン酸残基のカルボン酸塩と塩架橋を形成する、LDL受容体ファミリーメンバーへのリガンドの結合のための標準モデルと一致する(Fisher, C., et al., (2006) Mol. Cell. 22, 277-283)。
〔実施例IV.〕
本実施例において、動態解析がPAI-1のLRP1への結合についての2価モデルを支持することを実証する。
図2のデータは、PAI-1のLRP1との相互作用における以上の2つの荷電残基の関与を示唆しており、高い親和性結合が、荷電残基をそれぞれ含むPAI-1の2つの領域の、LRP1の2つのLDLaリピートとの相互作用によって媒介されるアビディティー効果から生じる2価結合モデルの可能性を高めている(図3A)。同様のモデルが、FVIIIのLRP1への結合について提案されている(16)。このモデルを試験するために、表面プラズモン共鳴実験を用いて、I91L PAI-1のLRP1への結合を調べる動態測定を行った。潜在的なメカニズムについての見識を得るために、最初に、LRP1からのPAI-1解離の動態を、種々の濃度のリガンドで比較した(図3B)。これらの結果から、解離動態が2つの相:速い相とそれに続くはるかに遅い相で起こることは明らかである。さらに、2価モデルについて予想されるように、解離動態はリガンド濃度とは無関係である。実験データのフィッティングから決定された解離速度定数を、会合および解離動態が同時にグローバル2価モデルにフィットする場合の解離相についての初期推定値として使用した。このフィッティングによって、実験データが2価結合モデルによって十分に説明されることが明らかとなった(図3C)。最良のフィッティングからの動態データ(表I)から、PAI-1のLRP1との急速な会合が複合体Iを形成し、複合体IIへの変換が97秒の半減期であることは明らかである。重要なことに、動態解析(65±6nM)から導出された平衡結合定数Kの値は、SPRデータの平衡解析によって決定された56±4nMのK値に近い。I91L PAI-1および野生型PAI-1のLRP1への結合の間に何らかの差が生じるかどうかを究明するために、野生型PAI-1のLRP1との詳細な結合動態も調べた。動態および平衡結合データを表Iにまとめ、I91L安定変異体の速度定数およびK値と類似している野生型PAI-1の速度定数およびK値を明らかにしている。
Figure 2023502508000002
LRP1のリガンド結合領域は、主にクラスタI、II、III、およびIVと呼ばれるLDLaリピートのクラスタに局在する(図4A)。これらのクラスタのうち、ほとんどのリガンドは、クラスタII、III、またはIVに結合する。したがって、クラスタII、III、およびIVへのPAI-1の結合も調べた実験を行った。最初の実験から、I91L PAI-1がクラスタIIおよびIVに対して類似の親和性で相互作用するが、クラスタIIIに対してはるかに弱い親和性で相互作用することが明らかになった。次に、LRP1の主要なリガンド結合領域であるクラスタIVを用いて、詳細な実験を行った。図4Bから、クラスタIVからのPAI-1の解離も2相で起こり、PAI-1濃度とは無関係であることを確認している。実験データとのフィッティングの比較から、結合が2価結合モデルと一致することを明らかにしている(図4C)。最良のフィッティングパラメータを表Iにまとめ、SPRデータの平衡解析によって推定された49±18nMのK値に近い動態データから導かれた55±5nMのK値が明らかになっている。したがって、これらの結果から、クラスタIVへのI91L PAI-1の結合が全長LRP1へのその結合に類似していることを明らかになっている。
〔実施例V.〕
本実施例において、PAI-1のLRP1への結合におけるK207の重要な役割を実証する。
PAI-1の化学修飾によってLRP1との相互作用におけるリシン残基の重要な役割を明らかにしたので、PAI-1のLRP1への結合に寄与する特定のリシン残基を同定するために研究を始めた。PAI-1のLRP1との相互作用に重要であり得るPAI-1の領域についてのさらなる見識を得るために、CDE-096がHMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合をブロックする可能性を試験した。CDE-096は、PAI-1に可逆的に結合し、アロステリック機構を介してPAI-1のプロテアーゼとの相互作用を阻害する小分子阻害剤である(Li, S.-H., et al., (2013) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 110, E4941-9を参照のこと)。CDE-096は、uPA:PAI-1複合体にも結合する。CDE-096をHMWuPA:PAI-1複合体に加えた場合、HMWuPA:PAI-1のLRP1への結合の用量依存的阻害が観察された(図5A)。70nMのIC50を、CDE-096濃度に対する会合曲線の最初の傾きを再プロットすることによって決定した(図5B)。
構造研究から、K207およびK263がCDE-096のPAI-1との結合に寄与することを明らかにしている(Li, S.-H., et al., (2013) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 110, E4941-9を参照のこと)。したがって、クラスタIIからのLDLaリピートへのPAI-1の結合に重要であると以前に同定されてきたK69、K80、およびK88と共に、分析にPAI-1のこれらの変異体を含む実験を行った(Gettins, P. G. W., and Dolmer, K. (2016) J. Biol. Chem. 291, 800-812を参照のこと)。これらの研究では、SPR平衡測定によってK値を決定し、そのデータを表IIにまとめた。データは、K207のアラニンへの変異がPAI-1のLRP1への結合に最大の影響を及ぼし、親和性を19倍低下させたことを実証している。さらに、K69、K80、およびK88のアラニンへの変異はそれぞれ、LPR1に対する親和性の7倍、7倍、および9倍の低下をもたらした。興味深いことに、K80およびK207の両方に変異を有するPAI-1分子、またはK80、K207、およびK88がすべてアラニンに置換された変異体は、K207A変異体単独のものよりも結合の親和性を実質的に低下させず、それぞれ20倍および21倍のKの上昇をもたらした。
表IIのデータはまた、PAI-1の3次元構造に基づく特定の側鎖の比表面積を示す。側鎖基のアクセス可能な表面積の割合は、タンパク質の溶媒にアクセス可能な面積を、拡張されたGly-Xaa-Glyトリペプチド内の残基について計算されたアクセス可能な表面積で割ったものであり(Willard, L., et al., (2003) Nucleic Acids Res. 31, 3316-3319を参照のこと)、1に近い値は完全にアクセス可能であり、ゼロに近い値は埋もれている。R76E PAI-1変異体は、LRP1結合が不十分である(Stefansson, S. (1998) J. Biol. Chem. 273, 6358-6366を参照のこと)。R76は、PAI-1のLRP1への結合に直接関与することが提案されている(Gettins, P. G. W., and Dolmer, K. (2016) J. Biol. Chem. 291, 800-812を参照のこと)。しかしながら、0.24のASA値から、この残基が埋もれており、LRP1との直接的な相互作用に利用できないことを明らかにしている。同様に、以前の研究で関係があるとされていたK263およびK122も、部分的に構造に埋もれているので、LRP1との直接的な相互作用には利用できない。
Figure 2023502508000003
〔実施例VI.〕
本実施例において、LMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合が複雑なメカニズムを介して起こることを説明する。
LMWuPA:PA1のLRP1への結合を特徴付けるために、結合のイオン強度依存性を調べる実験を行った。図6Aに示される結果は、イオン強度に対する結合の有意な依存性を実証している。Debye-Huckelプロット(図6B)は、2.4±0.3の傾きを生じ、結合における2~3イオン相互作用の関与を示唆している。
相互作用の動態を調べると、LMWuPA:PAI-1複合体のより高い濃度で解離速度が変化することが観察された(図7B)。これは図7Cのデータからも明らかであり、より速い解離がより高いLMWuPA:PAI-1濃度で認められ、これは複数の結合機構を示唆している。これは、RAPドメインD1D2のLRP1への結合について以前に観察された(Prasad, J. M., et al., (2016) J. Biol. Chem. 291, 18430-18439を参照のこと)。したがって、実験に、LMWuPA:PAI-1複合体がLRP1の第2の別個の部位に結合して1価の複合体を形成することができる第2のスキームもモデルに組み込んだ(複合体III、図7A、スキームII)。モデルを単純化するために、スキームIIにおけるka1およびkd1はスキームIにおける最初の段階でka1とkd1とが同一であると仮定した。実験SPRデータをスキームIおよびスキームIIの両方を含むモデルにフィッティングさせると、優れたフィッティングが得られ(図7C)、速度パラメータを表IIIにまとめた。LMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への高い親和性結合は、PAI-1単独のKよりも約100倍大きいKが確認され、これは主にLMWuPA:PAI-1複合体の解離速度が遅いことに起因する(表IのPAI-1のkd1およびkd2を表IIIのLMWuPA:PAI-1複合体のそれらの値と比較されたい)。
Figure 2023502508000004
実験において、SPRチップ上に固定化されたLRP1のクラスタIVへのLMWuPA:PAI-1複合体の結合も試験した。LMWuPA:PAI-1の全長LRP1への結合と同様に、解離速度はリガンド濃度とは無関係ではないため(図8A)、実験において、データを図7Aに記載のモデルにフィッティングさせた。データはフィッティングによって十分に説明され(図8B)、これらのフィッティングから得られたパラメータを表IIIにまとめ、LMWuPA:PAI-1複合体は、全長LRP1よりもクラスタIVにわずかに弱く結合することを明らかにしている。これらの結果は、LMWuPA:PAI-1複合体が、クラスタIVの外側にあるLRP1の領域とも相互作用し得ることを示唆する。
〔実施例VII.〕
本実施例において、PA1-I変異体がLMWuPA:PAI-1複合体のLRP1との相互作用にさらなる残基が関与していることを明らかにすることを実証する。
PAI-1の類似のリシン残基がuPA:PAI-1複合体のLRP1との相互作用にも関与しているかどうかを決定するために、LMWuPAと変異体PAI-1分子との複合体も形成し、これらの複合体のLRP1への結合を測定する実験を行った。これらの研究の結果を表IIにまとめている。興味深いことに、PAI-1のLRP1への結合とは異なり、PAI-1の個々の変異体(K69A、K88A、およびK207A)はLMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合に最小限の影響しか与えなかったが、K80Aは5.8倍のKの低下をもたらした。K80AとK207Aの二重変異を含むPAI-1分子は、LMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合を23倍減少させた。驚くべきことに、K80A、K207A、およびK88Aの三重変異は、244倍の親和性の低下をもたらし(表II)、LRP1への結合のためのLMWuPA:PAI-1複合体におけるこれらの3つの残基の重要な役割を明らかにした。
次に、実験において、二重または三重変異を含むPAI-1分子から形成されたPAI-1とLMWuPAとの複合体の細胞取り込みを試験した(図9)。その結果、LMWuPAと複合体を形成した場合、PAI-1の二重および三重変異体はLRP1を発現する細胞に効果的に取り込まれなかったことを明らかにしている。
〔実施例VIII.〕
本実施例において、実施例I~VIIに利用される材料および方法を記載する。
(試薬)
LMWuPA、HMWuPA、WT PAI-1 HMWuPA:PAI-1複合体およびI91L PAI-1は、Molecular Innovationsから購入した。変異体PAI-1タンパク質を、記載されるように産生し、精製した。LRP1を、記載されるようにヒト胎盤から精製した(Ashcom, J. D., et al., (1990) J. Cell Biol. 110, 1041-1048を参照のこと)。LRP1リガンド結合クラスタII、III、およびIVは、RnD Systemsから購入した。CDE096は、記載されるように合成した(Li, S.-H., et al., (2013) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 110, E4941-9を参照のこと)。Biacore研究に使用したLMWuPA:PAI-1複合体は、PAI-1をPBS中1.2倍モル過剰のLMWuPAと共に室温で1時間インキュベートすることによって形成した。複合体形成は4~20%トリス-glyゲル(Novex)上でタンパク質を分析し、コロイドブルー染色で染色することによって確認した。
(I91LPAI-1の化学修飾)
リシン側鎖中の第1級アミンをブロックするためのI91L PAI-1の化学修飾を、Sulfo-NHS-アセテート(Thermo-Fisher Scientific)を用いて行った。スルホ-NHS-酢酸を50mg/mlでPBSに溶解した。55ugのI91L PAI1を、PBS中のI91L PAI-1中の全アミノ基に対して50倍過剰のスルホ-NHS-アセテートと共に4℃で3時間インキュベートした。改変I91L PAI-1タンパク質を、NAP(商標)-5 Sephadex G-25カラム(GE Healthcare)を用いて0.01M HEPES、0.15MNaCl pH7.4中で脱塩し、過剰のスルホ-NHS-アセテートを除去した。
(表面プラズモン共鳴)
精製したLRP1を、10mMの酢酸ナトリウム、pH4中の20μg/mlのLRP1の作業溶液を用いて、10,000応答単位のレベルまでCM5センサチップ表面上に固定化した。LRP1リガンド結合クラスタIVを、製造業者の説明書(BIAcore AB)に従って、10mMの酢酸ナトリウム、pH4中の20μg/mlのクラスタIVの作業溶液を用いて、2,000応答単位のレベルまでCM5センサチップ表面上に固定化した。追加のフローセルを活性化し、タンパク質を含まない1Mエタノールアミンでブロックして、対照表面として作用させた。特に明記しない限り、結合実験は、HBS-P緩衝液(0.01MのHEPES、0.15MのNaCl、0.005%のsurfactant P、1mMのCaCl2、pH7.4)中で行った。イオン強度依存性のために、10mMのHEPES、.0005%のsurfactant P、1mM CaCl2と、様々な濃度のNaCl(0.15M、0.25M、0.5M、0.75M、および1.0M)とを用いて、pH7.4の緩衝液を作製した。全ての実験は、25℃、20μl/分の流速で、BIAcore 3000機器で行った。100mMのリン酸を100μl/分の流量で15秒注入することによって、センサチップ表面を再生した。
(SPRデータ分析)
解離速度は、GraphPad Prism 7.04ソフトウェアを用いて2-expential減衰にフィッティングさせた。BIAevaluation shotwareで利用可能な数値積分アルゴリズムを用いて、動態データを2価モデル(スキーム1)に対して分析した:
Figure 2023502508000005
式中、Aはリガンドを表し(PAI-1またはLMWuPA:PAI-1複合体)、BはLRP1を表し、AB1はサイト1のリガンド:LRP1複合体を表し、AB2はサイト2のリガンド:LRP1複合体を表す。フィッティング処理を容易にするために、kd1とkd2の推定値を、2つの指数関数的減衰モデルにグローバルに解離データをフィッティングすることによって得た。次いで、これらの値を、フィッティング処理における初期推定値として用いた。LMWuPA:PAI-1複合体の場合、データは先に記載したように、以下のスキームにフィッティングさせた:
Figure 2023502508000006
平衡結合データはReqを得るために、擬一次処理に会合速度をフィッティングさせることによって決定した。次いで、Reqを全リガンド濃度に対してプロットし、GraphPad Prism 7.04ソフトウェアにおける非線形回帰分析を用いて結合等温線にフィットさせた:
y=Bmax*L/(KD+L)
式中、Bmaxは飽和時のReq値であり、Lは遊離リガンド濃度であり、KDは平衡結合定数である。遊離リガンド濃度はこれらの実験では未知であるので、この式の使用は、添加されたリガンドの総量がSPRチップに結合したLRP-1に結合したリガンドの量よりもはるかに多いと仮定している。
(CDE-096による阻害)
HMWuPA-PAI-1複合体を、0.01MのHEPES、0.15MのNaCl、1mMのCaCl2、0.0005%のsurfactant P、0.1%のDMSO、0~500nMのCDE-096を含むpH7.8中で2nMに希釈した。BiacoreにおけるLRP1への結合は、泳動緩衝液が0.01MのHEPES、0.15MのNaCl、1mMのCaCl2、0.0005%のsurfactant P、0.1%のDMSO、pH7.8であったこと以外は、上記のように行った。
(細胞によるLMWuPA PAI-1複合体の取り込み)
WI38細胞を、予めポリ-D-リジンヒドロブロミド(Sigma)でコーティングした12ウェル組織培養プレートにプレーティングした。ヨウ素化された複合体で処理する前に、細胞をアッセイ緩衝液(DMEM、1%のBSA、20mMのHEPES)中で1時間インキュベートした。LMWuPAを、1mMの6-アミノカプロン酸(Aldrich)を含むPBS中のIodo-gen(Pierce)を用いて、I-125ヨウ化ナトリウム(Perkin Elmer NEZ033)でヨウ素化した。ヨウ素化されたタンパク質を、PD-10カラム(GE Healthcare)を用いてPBS中で脱塩して遊離ヨウ素を除去した。標識された複合体を、I91L PAI-1およびその変異体(0.8uM)をI-125 LMWuPA(0.4uM)と共に室温で1時間インキュベートすることによって形成した。得られた複合体を、アッセイ緩衝液単独または1uM RAPを含むアッセイ緩衝液中で5nMに希釈し、37℃で6時間細胞上に置いた。培地を除去し、細胞を2mlのPBSで洗浄し、50ug/mlのプロテイナーゼKを含むトリプシン(Corning 25-0520)で処理した。細胞を4000rpmで4分間遠心分離した。上清を除去し、細胞ペレットを計数して内在化したモルを決定した。
〔実施例IX.〕
本実施例において、大腸菌における野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異R101AおよびQ123Kを有するPAI-1変異体(以下、「MDI-1003)の精製を記載する。
上清を遠心清澄化した200mlのMDI-1003ファーメンターライセートを、0.05Mのリン酸ナトリウム、0.1Mの塩化ナトリウム、0.001MのEDTA、pH6.6に対して透析し、次いで、室温で約0.5ml/分の流速でヘパリン-セファロース6Bカラム(10×5.0cm)においてクロマトグラフィーにかけた。ヘパリン-セファロース6Bカラムを、2Lの0.05Mのリン酸ナトリウム、0.1Mの塩化ナトリウム、0.001MのEDTA、pH6.6で洗浄した後、同じ緩衝液中の1.0Mの塩化ナトリウムへの600ml勾配溶出を行った。PAI-1含有画分をプールし、固体硫酸アンモニウムを18%飽和まで加えた。0.05Mのリン酸カリウム、0.1Mの塩化ナトリウム、0.001MのEDTA、pH6.6、30%の飽和硫酸アンモニウム中で予め平衡化したフェニル-セファロースFast Flow(Low Sub)カラム(10×2.5cm)において、室温で約0.5ml/分の流速で、PAI-1をクロマトグラフィーにかけた。フェニル-セファロースFast Flowカラムを、500mlの0.05Mのリン酸カリウム、0.1Mの塩化ナトリウム、0.001MのEDTA、pH6.6、30%の飽和硫酸アンモニウムで洗浄した後、同じ緩衝液中の0%硫酸アンモニウムへの400mlの勾配溶出を行った。PAI-1含有画分をプールし、固体硫酸アンモニウムを65%飽和まで加えることによって沈殿させた。沈殿物を0.05Mのリン酸ナトリウム、0.1Mの塩化ナトリウム、0.001MのEDTA、pH6.6で3.5mg/mlに溶解し、次いで同じ緩衝液に対して大規模に透析した。ヘパリン-セファロース6Bカラム後の収率は、80mgのタンパク質を含む90mlであった(レーン1)。フェニル-セファロースFast Flowカラム後の収率は、47mgのタンパク質を含む80mlであった(レーン2)。最終収量は、38mgの高度に精製されたHPAI-AVI-AKタンパク質を含む12mlであった。
〔実施例X.〕
(エラスターゼ濃度のためのCF痰滴定)
CF患者由来の痰を、1g痰あたり2mLの冷PBS中で抽出し、次いで、滑らかになるまで手でホモジナイズする。10,000×gで20分間遠心分離し(4℃)、エラスターゼ滴定のために上清(sup)を保存する。次に、精製したHNEを40nMに希釈し、0、2.5、5、7.5、10、12.5、15、および20uLを各ウェル(黒いプレート)に加え、40mMのHepes、100mMのNaCl、pH7.4、0.005%のTween-20で量を100uLにする。500uMのMeOSuc-AAPV-AMC100uLを加え、速度論的に10分ex370 em440を読み取る。傾きおよび切片に注意されたい。
CF痰を希釈し、各ウェルに0、2.5、5、7.5、10、12.5、15、および20uLを加え、40mMのHepes、100mMのNaCL、pH7.4、0.005%のTween-20で体積を100uLにし、500uMのMeOSuc-AAPV-AMC100uLを加え、速度論的に10分のex370、em440を読み取る。精製したHNEの傾きおよび切片を用いて、CF痰中のエラスターゼ濃度を逆算する。
(IC50/速度)
50nMのHNEまたはCF痰+/-サケ精子DNAまたはヘパリンを室温で30分間インキュベートする。ブラックプレート(40mMのHepes、100mMのNaCl、pH7.4、0.005%のTween-20で希釈)中にエラスターゼ阻害剤を段階的に希釈し、最終容量を90uLとする。10uLのHNE/DNA/ヘパリンを上記から90uLの阻害剤に加える。必要に応じて、30秒間、1分間、2分間、またはそれ以上、室温でインキュベートする。500uMのMeOSucAAPV-AMC100uLを各ウェルに加え、速度論的に10分ex370、em440を読み取る。
(e速度計算)
obs=Ln(nMエラスターゼ残量/nMエラスタンス開始))/時間(秒)
阻害剤の濃度およびVmaxおよびKに対してプロットされたKobsは、非線形フィットミカエリス-メンテンによって決定される。
=Vmax/K
(AVIおよびAVI-AKのPK試験)
8週齢のC57BL/6J雄マウスに20mg/kgを静脈内(IV)ボーラス投与し、AVIまたはAVI-AKの薬物動態特性を評価した。血液を0.5、1、2、6、および24時間後に採取し、血漿中のPAI-1の量を測定した。
(LPS注射による急性肺水腫)
野生型C57BL/6Jマウス(雄8週齢)にLPS(2mg/mLで25マイクロL)を気管内注入し、続いてビヒクル、AVI、AVI-AK、またはアラスト(1.3mg/mLで30マイクロL)を気管内治療した。18時間後、動物をPBS潅流し、湿潤肺重量および総エラスターゼを得た。
(肺抽出と均質化)
全肺湿重量を得る。0.4MのHepes250uL、0.1MのNaCl、pH7.4、1%のTx-100を加え、ホモジナイザーで高速で1分間粉砕する。10,000×g(4℃)で10分間遠心分離し、新しい管に上清を移し、10,000×g 10分間再スピンさせる。アッセイのために新しいチューブに上清を移す。
(線維症アッセイ)
線維症アッセイは、本質的に記載の通りであった(Blood, 2011, 118:2313-2321)。簡潔には、重量および年齢が一致した(6~8週齢で18~22g)WTマウスを、0日目に、1回用量の気管内ブレオマイシン(50Lの無菌PBS中1.15u/kg)で処理して、肺線維症を誘導した。1日目に開始して、マウスに、MDI-1001、MDI-1002、MDI-1003、または生理食塩水のいずれかを1日2回投与して(4mg/kg IP)、急性損傷相(acute injury phase)を治療する。21日目にマウスを屠殺し、記載のヒドロキシプロリン測定値から肺線維症を決定する(Blood, 2011, 118:2313-2321を参照のこと)。
(HFc-AVI-AK発現ベクターおよびトランスフェクトCHO細胞株の構築)
部位特異的変異導入(QuickChange II Kit、Agilent、Santa Clara、CA)によってヒトPAI-1 cDNAの成熟形態に以下の変異を導入した:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346V。変異体V343A、R346V、I91L(AVI)は安定した活性PAI-1表現型を伝えるのに対し、変異体R101A、Q123K(AK)は還元ビトロネクチン結合フェノタイプを導入する。改変cDNA(AVI-AKと命名)を、ヒンジ領域配列(HFc)を含むドメイン2および3からなるヒト免疫グロビン(IgG1)定常領域からなるN末端融合ペプチド配列を有するpcDNA5/FRTプラスミドにクローニングした。コンストラクトの完全性は、制限消化物スクリーニングおよびDNA配列決定により確認した。検証したHFc-AVI-AK融合プラスミドをGeneJuice試薬(Novagen/Millipore)を用いて、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)Flp-In細胞(InVitrogen)にpOG44プラスミド(Flp組み換え酵素遺伝子を有する)を9:1の割合で同時トランスフェクトし、融合タンパク質配列の単一コピーの組み込みを促進した。トランスフェクトした細胞を37℃、6%のCO2で48時間インキュベートした後、100ug/mlのヒグロマイシン(Invivogen)を加えて、組み込まれたAVI-AK cDNAを有する細胞を選択した。Ham’s F12培地(10%のウシ胎児血清およびハイグロマイシンを補充)中でのトランスフェクト細胞の選択および増殖に続いて、細胞培養物を無血清培地(CHOgro、Mirus Bio)中での増殖に適応させて、非接着増殖を促進し、細胞密度を増幅し、精製を単純化した。タンパク質発現は、構成的サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターによって調節され、したがって、HFc-AVI-AKを含有する細胞上清媒体を、下流処理のために約3~5日ごとに回収した。
(HFc-AVI-AKの精製)
条件培地をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.0)で1:1に希釈して、PBS中で平衡化した15~20mlのタンパク質A/タンパク質Gレジンを含むカラムに適用し、次いでPBSで十分に洗浄した。結合した融合タンパク質を、0.1Mのグリシン、0.1MのNaCl、pH3.0で溶出し、0.5Mの酢酸ナトリウム、pH5.6に集めて、pHを安定化させ、>95%の純粋なタンパク質を得た。次いで、タンパク質溶出液を、0.05Mのリン酸ナトリウム、0.1MのNaCl、pH6.6中で平衡化したヘパリンセファロースに直ちに適用し、次いで洗浄し、0.05Mのリン酸ナトリウム、1MのNaCl、pH6.6で溶出した。この第2の工程は、PAI-1の特有の特性を利用して、タンパク質を濃縮し、>99%の純度を達成している。
(結果)
-MDI-1001-野生型成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の安定化変異を有するPAI-1変異体:I91L、およびNE阻害を可能にする変異体V343AおよびR346V
-MDI-1002-MDI-1001変異体を有するFc融合タンパク質
-MDI-1003-PAI-1のビトロネクチン結合機能を無効にする野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内にさらなる変異:R101AおよびQ123Kを有するMDI-1001のPAI-1変異体
-MDI-1004-MDI-1003変異体を有するFc融合タンパク質
図13は、MDI-1001がAralastよりも良好に炎症性netsを標的とすることを示す。
図14は、Aralast、Avelestat、MDI-1002、MDI-1003、およびMDI-1004のインビトロでの比較を示す。
図15は、MDI-1003がCF痰中のNETsを標的とすることを示す。
図16は、エラスターゼ活性を阻害剤濃度の関数として示す。
図17は、MDI-1002が急性肺損傷から保護することを示す。
図18は、MDI-1002が肺線維症から保護することを示す。
図19は、MDI-1002がブレオマイシン後の回復を改善しないことを示す。
図20は、吸入されたMDI-1003が急性肺損傷から保護することを示す。
図21は、MDI-1003がMDI-1001よりも良好に肺線維症から保護することを示す。
図22は、MDI-1003がブレオマイシン後の回復を改善することを示す。
図23は、MDI-1002およびMDI-1004のFc融合体のコンストラクトを示す。
図24は、MDI-1002およびMDI-1004のFc融合体の発現を示す。
図25は、Fc融合体がPKを改善することを示す。
図26は、好中球エラスターゼプラスまたはマイナスDNA NETに対する阻害曲線を示す。このデータは、好中球エラスターゼに対する最適な活性を与えた変異がクリアランス受容体への結合を減少させる表IIに示される変異の各々と組み合わせることができることを示す。その結果、分子の薬物動態が改善される。全部で7つの変異体があり、6つは単一の受容体結合変異を有し、1つは2つの受容体結合変異を有する。後者の二重変異体は、クリアランス受容体結合においてさらに大きな減少の可能性のある変異を組み合わせることができることを示している。これらは、I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vの変異も含む。
各変異体のMDIの名称は以下の通りである:
K69AはMDI-1005である
K80AはMDI-1006である
K88AはMDI-1007である
K176AはMDI-1008である
K207AはMDI-1009である
K263AはMDI-1010である
K69A-K207AはMDI-1011である
これらの変異は、DNAの存在下でNET結合および好中球エラスターゼの阻害を保持しながら、クリアランス受容体への結合の低下を実証している。好ましい変異はK207Aであるが、これは遊離阻害剤のクリアランス受容体結合を19倍減少させるが、阻害されたプロテアーゼ複合体の結合を1.6倍しか減少させないからである(本願の表IIを参照のこと)。これにより、この変異を有する阻害剤の薬物動態は有意に増加するが、阻害後でもエラスターゼ複合体の除去が可能である。
本発明を完全に説明してきたが、本発明の範囲またはその任意の実施形態に影響を及ぼすことなく、広範かつ同等の範囲の条件、製剤、および他のパラメータ内で同じことを実施できることが、当業者には理解されるであろう。本明細書に記載された全ての特許、特許出願、および刊行物は、その全体が参照により本明細書に完全に組み込まれる。
〔参照による組み込み〕
本明細書で言及される特許文献および科学論文(本明細書に記載される参考文献が挙げられるが、これらに限定されない)の各々の開示全体はすべての目的のために、参照により組み込まれる。
〔等価物〕
本発明は、その精神または本質的特性から逸脱することなく、他の特定の形態内で実施されてもよい。したがって、前述の実施形態は、本明細書で説明される本発明を限定するのではなく、すべての点で例示的であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の同等の意味および範囲内に入るすべての変更はその中に包含されることが意図される。
PAI-1およびLMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合に対するPAI-1のリシン残基の必須の役割。A.LMWuPA:PAI-1複合体および遊離PAI-1のLRP1への結合はSPRによって分析し、Req値は平衡測定によって決定した。3つの独立した実験を行い、平均±SEをプロットした。KD値(LMWuPA:PAI-1については0.9±0.2nM、PAI-1については74±13nM)を非線形回帰分析によって決定した。B.PAI-1(レーン1)および化学修飾PAI-1(レーン2)は、LMWuPAと複合体を形成する(それぞれレーン3および4)。レーン5、LMWuPA。C.スルホ-NHS-酢酸で化学修飾された250nMのPAI-1および300nMのPAI-1を、LRP1を固定化したSPRチップ上に注入した。D.9nMのLMWuPA:PAI-1複合体および化学修飾されたPAI-1で形成された80nMの複合体を、LRP1が固定化されたSPRチップ上に注入した。 PAI-1のLRP1への結合は、イオン強度に依存する。A.漸増濃度のNaClを含む緩衝液中の漸増濃度のPAI-1を、LRP-1が被覆されたSPRチップ上に注入し、Req値を決定した。データを、各NaCl濃度についてRmaxに正規化している。上の曲線から下へのNaClの濃度:150mM、250mM、500mM、750mM、および1000mM。B.LRP1に結合するPAI-1のDebye-Huckelプロット。各イオン強度(150、250、500、750、および1000mMのNaCl)におけるKD値を、平衡SPR測定によって測定した。3つの独立した実験を行い、プロットした値は平均±SEである。1.5±0.1の傾きを、線形回帰分析によって決定した。傾きについては、個々の実験の線形回帰分析の結果を平均することによって、類似の値が得られた。 PAI-1のLRP1への結合は、2価結合モデルによって十分に説明される。(A)PAI-1の2つの異なる領域のLRP1の相補的部位との相互作用に関する2価結合モデルの模式図。(B)漸増濃度のPAI-1(9.4、37.5、75、300nM)を、LRP1が結合したSPRチップ上に注入した。各濃度の解離をSPRデータから測定し、t=0での初期値を100%に正規化した。データを2指数関数的減衰(青線)にフィッティングした。C.漸増濃度のPAI-1(3.9、7.8、15.6、31.2、62.5、125nM)をLRP1が結合したチップ上に注入した。実験データ(黒線)の2価結合モデルへのフィッティングは、青線で示す。示されたデータは、実施された6つの独立した実験の代表の実験である。 LRP1のクラスタIVへのPAI-1の結合は、2価結合モデルによくフィットする。(A)LRP1のドメイン構成を示す模式図。リガンド結合リピートのクラスタ(赤丸)をI、II、III、およびIVと標識した。(B)漸増濃度のPAI-1(9.4、15.6、31、62.5、125nM)をLRP1クラスタIVが結合したSPRチップ上に注入した。各濃度の解離をSPRデータから測定し、t=0での初期値を100%に正規化した。データを2指数関数的減衰にフィッティングした(青線)。C.漸増濃度のPAI-1(3.9、7.8、15.6、31.2、62.5、125nM)を、LRP1クラスタIVが結合したチップ上に注入した。実験データ(黒線)の2価結合モデルへの適合は、青線で示す。示されたデータは、実施された3つの独立した実験の代表である。 CDE-096は、HMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合を阻害する。A.1nMのHMWuPA:PAI-1複合体を、CDE-096の非存在下(上の曲線)および漸増濃度のCDE-096(15.6、31.2、62.5、125、250、500nM)存在下で、LRP1が結合したSPRチップ上に流した。B.パネルAからの会合相(association phase)の最初の傾き対CDE-096濃度のプロット。70±11nMのIC50を、非線形回帰分析によって決定した。データは、2つの独立した実験の代表の実験である。 LMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合は、イオン強度に依存する。A.漸増濃度のuPA:PAI-1複合体を、漸増濃度のNaClの存在下で、LRP-1が被覆したSPRチップ上に流し、Req値を決定した。データを、各NaCl濃度についてRmaxに正規化する。上の曲線から下へのNaCl濃度:150mM、250mM、500mM、750mM、および1000mM。B.LRP1に結合するLMWuPA:PAI-1のDebye-Huckelプロット。各イオン強度(150mM、250mM、500mM、750mM、および1000mMのNaCl)におけるKD値を、平衡SPR測定によって測定した。3つの独立した実験を行い、平均±SEをプロットした。2.4±0.4の傾きを、線形回帰分析によって決定した。個々の実験の線形回帰分析の結果を平均することによって、同一の値が得られた。 LMWuPA:PAI-1複合体は、複合体動態モデルを介してLRP1に結合する。A)LMWuPA:PAI-1複合体のLRP1への結合を分析するために使用されるモデル。スキームIにおいて、LMWuPA:PAI-1は、2価モデルを介して結合する。より高濃度のLMWuPA:PAI-1では、結合の1価モデルが生じる(スキームII)。B)漸増濃度のLMWuPA:PAI-1複合体(3.12、6.25、12.5、25、50nM)を、LRP1が結合したチップ上に注入した。各濃度の解離をSPRデータから測定し、t=0での初期値を100%に正規化した。B.漸増濃度のLMWuPA:PAI-1(0.78、1.56、3.12、6.25、12.5、25、および50nM)をLRP1に結合したチップ上に注入した。スキームIおよびIIを含むモデルへの実験データ(黒線)のフィッティングを示す(青線)。データは、3つの独立した実験の代表である。 LRP1のクラスタIVに結合するLMWuPA:PAI-1複合体の動態解析。A)漸増濃度のuPA:PAI-1複合体(0.6、1.2、2.5、5、10、20、および40nM)を、LRP1に結合したチップ上に注入した。各濃度の解離をSPRデータから測定し、t=0での初期値を100%に正規化した。B)漸増濃度のLMWuPA:PAI-1(0.6、1.2、2.5、5、10、20および40nM)をLRP1結合チップ上に注入した。実験データ(黒線)のスキームIおよびIIモデル(青線)へのフィッティング。データは、3つの独立した実験の代表である。 LMWuPA:PAI-1のLRP1を介した細胞への取り込みは、リシン残基の変異を含むPAI-1と複合体を形成するときに低下する。I91L PAI-1または示された変異体PAI-1分子と形成された5nMの125I標識したLMWuPA:PAI-1複合体を、過剰のRAPの非存在下または存在下で、37℃で6時間、WI-38ヒト線維芽細胞とインキュベートした。インキュベーション後、内在化した複合体の量を定量した。実験は3回行った。 野生型PAI-1核酸配列(配列番号1);野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号2);および成熟野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)が提供される。 野生型PAI-1核酸配列(配列番号1);野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号2);および成熟野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)が提供される。 野生型PAI-1核酸配列(配列番号1);野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号2);および成熟野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)が提供される。 野生型PAI-1核酸配列(配列番号1);野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号2);および成熟野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)が提供される。 野生型PAI-1核酸配列(配列番号1);野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号2);および成熟野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)が提供される。 野生型PAI-1核酸配列(配列番号1);野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号2);および成熟野生型PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)が提供される。 野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異体:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを有するポリペプチドをコードする成熟変異体PAI-1核酸配列(配列番号4);ならびに野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異体:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを有する成熟変異体PAI-1アミノ酸配列(配列番号5)が提供される。 野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有するポリペプチドをコードする成熟変異体PAI-1/Fc核酸配列(配列番号6);ならびに野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有する成熟変異体PAI-1/Fcアミノ酸配列(配列番号7)が提供される。 野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有するポリペプチドをコードする成熟変異体PAI-1/Fc核酸配列(配列番号6);ならびに野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有する成熟変異体PAI-1/Fcアミノ酸配列(配列番号7)が提供される。 野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有するポリペプチドをコードする成熟変異体PAI-1/Fc核酸配列(配列番号6);ならびに野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有する成熟変異体PAI-1/Fcアミノ酸配列(配列番号7)が提供される。 図13は、MDI-1001がAralastよりも良好に炎症性netsを標的とすることを示す。 図14は、Aralast、Avelestat、MDI-1002、MDI-1003、およびMDI-1004のインビトロでの比較を示す。 図15は、MDI-1003がCF痰中のNETsを標的とすることを示す。 図16は、エラスターゼ活性を阻害剤濃度の関数として示す。 図17は、MDI-1002が急性肺損傷から保護することを示す。 図18は、MDI-1002が肺線維症から保護することを示す。 図19は、MDI-1002がブレオマイシン後の回復を改善しないことを示す。 図20は、吸入されたMDI-1003が急性肺損傷から保護することを示す。 図21は、MDI-1003がMDI-1001よりも良好に肺線維症から保護することを示す。 図22は、MDI-1003がブレオマイシン後の回復を改善することを示す。 図23は、MDI-1002およびMDI-1004のFc融合体のコンストラクトを示す。 図24は、MDI-1002およびMDI-1004のFc融合体の発現を示す。 図25は、Fc融合体がPKを改善することを示す。 図26は、LRP1結合残基の変異がDNA NETsの存在下で好中球エラスターゼの阻害に影響を及ぼし、それによって、NETsにおけるクリアランス受容体、LRP1との相互作用の減少、およびエラスターゼに対する活性の保持を実証することを示す。 図26は、LRP1結合残基の変異がDNA NETsの存在下で好中球エラスターゼの阻害に影響を及ぼし、それによって、NETsにおけるクリアランス受容体、LRP1との相互作用の減少、およびエラスターゼに対する活性の保持を実証することを示す。

Claims (28)

  1. 野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vの1つ以上を有するプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)変異体を含む、ポリペプチド。
  2. 前記変異体は、Fcドメインの単量体または部分に結合されている、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記変異体は、Fcドメインまたは部分に結合されている、請求項2に記載のポリペプチド。
  4. 前記変異の少なくとも1つは、K207A、K88A、およびK80Aから選択される、請求項1に記載のポリペプチド。
  5. Fcドメインまたは部分に結合されている前記ポリペプチドは、
    a)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を有するか、
    b)野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:R101AおよびQ123Kを有するか、
    c)野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:K69A、K80A、K88A、I91L、R101A、K122A、Q123K、K176A、K207A、K263A、V343A、およびR346Vを有するか、または
    d)野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、K207A、V343A、R346Vを有する、
    請求項4に記載のポリペプチド。
  6. 前記ポリペプチドは、
    a)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を有するか、
    b)野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:R101AおよびQ123Kを有するか、
    c)野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、V343A、R346Vを有するか、または
    d)野生型ヒト成熟PAI-1アミノ酸配列(配列番号3)内に以下の変異:I91L、R101A、Q123K、K207A、V343A、R346Vを有する、
    請求項1に記載のポリペプチド。
  7. 前記ポリペプチドは、以下の特徴
    a)好中球エラスターゼ(NE)活性を阻害することができる、
    b)ビトロネクチンに結合する能力が減少する、および
    c)LRP1に結合する能力が減少する、
    のうち1つ以上を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
  8. 前記ポリペプチドは、好中球エラスターゼ活性を阻害することができ、
    前記好中球エラスターゼは、好中球細胞外トラップ(NET)内に結合している、
    請求項1に記載のポリペプチド。
  9. 請求項1に記載のポリペプチドをコードする、核酸分子。
  10. 請求項9に記載の核酸分子を含む、ベクター。
  11. 請求項1に記載のポリペプチドを発現する宿主細胞であって、
    前記宿主細胞は、請求項9に記載の核酸分子または請求項10に記載のベクターを含み、
    前記核酸分子または前記ベクターは、前記宿主細胞において発現される、宿主細胞。
  12. 請求項1に記載のポリペプチドを調製する方法であって、
    前記方法は、
    a)請求項11に記載の核酸分子または請求項10に記載のベクターを含む宿主細胞を準備する工程、および
    b)ポリペプチドの形成を可能にする条件下で、前記宿主細胞中で前記核酸分子または前記ベクターを発現させる工程を含む、方法。
  13. 請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、または請求項10に記載のベクター、および1つ以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、薬学的組成物。
  14. 前記ポリペプチドは治療有効量である、請求項13に記載の薬学的組成物。
  15. NE活性の阻害を必要とする対象におけるNE活性を阻害する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  16. 前記対象は、IPF、嚢胞性線維症、COPD、ARDS、肺気腫、虚血再潅流障害、エタノール誘発慢性膵炎、関節リウマチ(RA)、播種性血管内凝固(DIC)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病、または好中球病理を伴う皮膚疾患を有する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記対象は、異常なNE活性および/または欠損したA1AT活性を有することを特徴とする任意の疾患を有する、請求項15に記載の方法。
  18. IPFを有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  19. 嚢胞性線維症を有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  20. COPDを有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  21. 肺気腫を有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  22. 虚血再潅流障害を有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  23. エタノール誘発慢性膵炎を有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  24. 関節リウマチ(RA)を有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  25. 播種性血管内凝固(DIC)を有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  26. 潰瘍性大腸炎(UC)を有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  27. クローン病を有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  28. 好中球病理を伴う皮膚疾患を有する対象を治療する方法であって、請求項1に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項13に記載の薬学的組成物の、治療有効量を前記対象に投与する、方法。
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