JP2023501947A - Dkk3bのペプチド模倣物および使用方法 - Google Patents

Dkk3bのペプチド模倣物および使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、多くの向上された特性を有する、ヒトDKK3bの非常に強力かつ安定なペプチド模倣物を提供する。本発明のペプチド模倣物は、限定されないが、癌/増殖性、代謝性、骨粗鬆症、神経学的、免疫学的、内分泌的、心臓血管、血液学的および炎症性の疾患を含む、種々の疾患の治療における治療薬として有用であり、βカテニンの核移行を阻害することが治療的である。

Description

関連出願
本願は、2019年10月29日に出願された米国仮出願第62/927,328号の利益を主張する。上記出願の全内容は、参照により本明細書に援用される。
発明の背景
Wnt/βカテニンシグナル伝達は、胚発生、器官形成に影響を及ぼし、組織および臓器の恒常性を維持する生命維持に必要な細胞性制御経路である。これは、分化、増殖、生存、酸化ストレス、形態形成およびその他などのいくつかの生理学的事象においても不可欠である。
しかしながら、この経路の異常な活性化は、多くの病理学的状態の原因になる。βカテニン安定化およびしばしばFrizzled受容体のWnt活性化に応答するその後の核への移行は、癌/増殖性、代謝性、骨粗鬆症、神経学的、免疫学的、内分泌学的、心臓血管、血液学的および糖尿病ほどに様々な、種々のβカテニン関連疾患において異常制御される重要な工程である。βカテニン関連障害は、βカテニンシグナル伝達経路の異常制御があり、最もしばしば核への移行の増加および標的遺伝子活性化の上昇をもたらす細胞質ゾルのβカテニンレベルの増加を有する疾患の部類である。
ヒトDKK3bは、βカテニンシグナル伝達の38kDaの細胞内制御因子であり、DKK1、DKK2およびDKK4を含むWnt制御因子の4メンバーファミリーの1つである。全てのファミリーメンバーは、該ファミリーを規定する2つの50~70残基長のシステインリッチドメイン(N-1およびC-1)を共有する。DKK3bは、分泌されるポリペプチドではなく細胞内タンパク質であり、Wnt受容体活性化を遮断しない点で他のファミリーメンバーとは異なる。その関連のある分泌される糖タンパク質であるDKK3は、そのファミリーメンバーとは異なり、その同起源の受容体Frizzledに対するWntの結合も遮断し得ない。
DKK3bは、Wnt制御分解複合体の下流に配置され、DKK3bは、βカテニンの核への移行を制御し、ユビキチン化を遮断することおよびカテニンをアクチン細胞骨格に再度方向づけることによりタンパク質分解からβカテニンを保護する能力を有する。DKK3bは、ミオシンモーターおよびアクチン繊維を使用して、星状細胞の核周辺空間と細胞膜の細胞質表面の間を迅速に往復する。DKK3bは、アクチン細胞骨格に結合するβ-トランスデューシン(transducin)リピート含有タンパク質(β-TrCP)との複合体において核に方向づけられるβカテニンを捕捉することにより、βカテニンおよびそのシグナル伝達経路に対してその制御を発揮し、そのため核移行が利用可能でなくなる。
DKK3bはまた、βカテニンに加えてデグロン(degron)構造を共有する、NF-kB、p38、DecaptorおよびErkl/2などの他のβ-TrCP標的基質を制御するように、より広範囲に作用する。NF-kB、p38およびErkl/2タンパク質も、安定化されたDKK3b依存的複合体中の細胞質微小繊維に結合する。NF-kBおよびDecaptorの場合、この隔離は、NF-kBおよびmTORシグナル伝達経路の活性化に必要なユビキチンに基づく分解を防ぎ、それにより両方のシグナル伝達経路によるシグナル伝達を抑制する。
βカテニン核進入の門番として、DKK3bは、Wnt/βカテニンシグナル伝達カスケードに影響を及ぼす新規の治療モダリティの作製のための魅力的な標的であり、異常なβカテニンシグナル伝達を拘束し、種々のβカテニン関連疾患を治療するためのこの重要な経路における介入のための治療的眺望を広げる。DKK3bおよびその発見ならびにβカテニンおよびβカテニンシグナル伝達経路の制御におけるその役割は、WO 2013/148224およびWO 2017/070092に記載される。例えば組み換え作製に適切かつ疾患の治療における治療薬としての使用に適切な細胞シグナル伝達ペプチドおよび細胞貫通ペプチドを有するDKK3bのペプチド模倣物およびDKK3bのバリアントも、WO 2013/148224およびWO 2017/070092に記載される。
用語「ペプチド模倣物」および「模倣ペプチド」は、種々の研究を通じて発見された化合物の記載について、本明細書において交換可能に使用されている。ペプチド模倣物は、ペプチド模倣物を作製するための開始参照点として使用される親タンパク質またはペプチドの生物学的機能を生物学的に模倣する、ペプチド、改変ペプチドまたは任意の他の分子などの分子であり得る。ペプチド模倣物は一般的に、親分子よりも小さく遺伝子工学で作り変えられるので、本のいくつかの利点を挙げれば、それらはしばしば、親分子よりも安定であり、製造についてより容易かつより安価であり、より少ない副作用を誘発し得、標的分子よりも強力になるように遺伝子工学で作り変えられ得る。先行技術において、用語「ペプチド模倣物」および「模倣ペプチド」が相対的なサイズを暗示するいくつかの例があるが、これらの用語は、本明細書で使用する場合、そうではないと注意書きされない限りは、本明細書に言及され、本発明に包含される種々のポリペプチド系分子のサイズを限定すると考えられるべきではない。
βカテニン異常制御に関する疾患の治療についての治療薬として有用なDKK3bのペプチド模倣物は、かかる遺伝子工学で作り変えられたペプチドに関連する多くの利点の1つ以上を提供するのに望ましい。
発明の概要
本発明は、先行技術のDKK3b治療薬と比較して、多くの向上された特性を有する非常に強力かつ安定なヒトDKK3bのペプチド模倣物を提供する。本発明のペプチド模倣物は、限定されないが、癌/増殖性、代謝性、骨粗鬆症、神経学的、免疫学的、内分泌学的、心臓血管、血液学的および炎症性の疾患などの種々の疾患の治療における治療薬として有用であり、βカテニンの核移行の阻害は治療的である。
ペプチド模倣物は、本明細書に記載されるN末端ドメイン、本明細書に記載されるN-1ドメインおよび本明細書に記載されるC末端ドメインを含む。任意に、ペプチド模倣物は、N末端ドメインとN-1ドメインの間のアミノ酸リンカーおよび/またはN-1ドメインとC末端ドメインの間のアミノ酸リンカーを含み得る。
本発明のペプチド模倣物は:
i) ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシート(pleated sheet)を含み、N末端ドメインの最初の6アミノ酸内に約2~約3個の負に荷電したアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するN末端ドメイン;
ii) 配列番号:3のアミノ酸配列を有するヒトDKK1のN-1ドメイン、配列番号:4のアミノ酸配列を有するヒトDKK2のN-1ドメイン、配列番号:5のアミノ酸配列を有するヒトDKK3bのN-1ドメインまたは配列番号:6のアミノ酸配列を有するヒトDKK4のN-1ドメインに対して少なくとも80%同一であるN-1ドメイン、ここで該N-1ドメインは、細胞貫通ペプチドをさらに含む;および
iii) ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを含み、C末端ドメインの最後の6アミノ酸内に約2~約3個の負に荷電したアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するC末端ドメイン
を含み;
ここで該ペプチド模倣物は、βカテニン核移行またはβカテニンシグナル伝達経路の阻害剤である。好ましくは、細胞貫通ドメインは、約4~約8個のアミノ酸を有するペプチドを含む。好ましくは、細胞貫通ドメインは、約4~約8個のアルギニン残基を有するペプチドを含む。好ましくは、DKK1、DKK2、DKK3bまたはDKK4のN-1ドメインの1つ以上のシステイン残基は、保存的アミノ酸で置換される。好ましくは、N-1ドメインは、配列番号:7、8、45および46の1つに対して少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、N-1ドメインは、配列番号:45に対して少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
なおさらなる好ましい局面において、本発明のペプチド模倣物は:
i) ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを含み、N末端ドメインの最初の6アミノ酸内に約2~約3個の負に荷電したアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するN末端ドメイン;
ii) ヒトDKK1のN-1ドメインのバリアント(例えば配列番号:3のアミノ酸配列を有する)、ヒトDKK2のN-1ドメインのバリアント(例えば配列番号:4のアミノ酸配列を有する)、ヒトDKK3bのN-1ドメインのバリアント(例えば配列番号:5のアミノ酸配列を有する)もしくはヒトDKK4のN-1ドメインのバリアント(例えば配列番号:6のアミノ酸配列を有する)であるN-1ドメイン;ここで該バリアントは、細胞貫通ペプチドを含み、ヒトDKK1のN-1ドメイン、ヒトDKK2のN-1ドメイン、ヒトDKK3bのN-1ドメインもしくはヒトDKK4のN-1ドメイン(例えば配列番号:3、4、5および6の1つ)に対して少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%もしくは少なくとも約80%の配列同一性を有する;または
配列番号:7、8、45、46もしくは69のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するN-1ドメイン、ここで該N-1ドメインは細胞貫通ペプチドを含む;および
iii) ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを含み、C末端ドメインの最後の6アミノ酸内に約2~約3個の負に荷電したアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するC末端ドメイン
を含み;
ここで該ペプチド模倣物は、βカテニン核移行またはβカテニンシグナル伝達経路の阻害剤である。好ましくは、細胞貫通ドメインは、約4~約8個のアミノ酸を有するペプチドである。好ましくは、細胞貫通ドメインは、約4~約8個のアルギニン残基を有するペプチドである。例えば、約4~約8個の連続アルギニン残基。好ましくは、DKK1、DKK2、DKK3bまたはDKK4のN-1ドメインの1つ以上のシステイン残基は、保存的アミノ酸で置換される。好ましくは、N-1ドメインは、配列番号:7、8、45および46の1つに対して少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、N-1ドメインは、配列番号:45に対して少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
好ましくは、ペプチド模倣物は、N末端ドメイン、N-1ドメインおよびC末端ドメインの1つ以上の間にアミノ酸リンカーを含む。ペプチド模倣物は、N末端ドメインとN-1ドメインの間のアミノ酸リンカーおよび/またはN-1ドメインとC末端ドメインの間のアミノ酸リンカーを含み得る。好ましくは、アミノ酸リンカーは、約1~約150アミノ酸長である。ある局面において、ペプチド模倣物は、N末端ドメインとN-1ドメインの間のアミノ酸リンカーを含み、該アミノ酸リンカーは、約1~約70アミノ酸長;または約1~約50アミノ酸長;または約1~約30アミノ酸長;または約1~約20アミノ酸長である。あるさらなる局面において、ペプチド模倣物は、N-1ドメインとC末端ドメインの間のアミノ酸リンカーを含み、該アミノ酸リンカーは、約1~約150アミノ酸長;または約1~約100アミノ酸長;または約1~約75アミノ酸長;または約1~約50アミノ酸長;または約1~約30アミノ酸長;または約1~約20アミノ酸長である。ある局面において、アミノ酸リンカーは約1~約2アミノ酸長である。
好ましくは、N末端ドメインは、アミノ酸位置2、4および5に負に荷電したアミノ酸を含む。好ましくは、N末端ドメインは、配列番号:59に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。また、好ましくは、N末端ドメインは、配列番号:48に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。なおさらなる局面において、N末端ドメインは、配列番号:59のアミノ配列を含むかまたはそれからなる。
好ましくは、C末端ドメインは、C末端ドメインの最後の6アミノ酸内に2つの連続した負に荷電したアミノ酸を含む。好ましくは、C末端ドメインは、C末端ドメインの最後の6アミノ酸内に2つの連続した荷電したアミノ酸を含み、1つの荷電したアミノ酸は負に荷電し、1つの荷電したアミノ酸は正の電荷である。好ましくは、負に荷電したアミノ酸は、C末端ドメインの最後のアミノ酸の直前に配置される。好ましくは、2つの連続した荷電したアミノ酸は、C末端ドメインの最後のアミノ酸の直前に配置される。好ましくは、C末端ドメインは、配列番号:60に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。また、好ましくは、C末端ドメインは、配列番号:49に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。なおさらなる局面において、C末端ドメインは、配列番号:60のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
好ましくは、ペプチド模倣物は、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は、配列番号:1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。さらなる局面において、ペプチド模倣物は、配列番号:70のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は、配列番号:66、67または68のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は、配列番号:66、67または68のアミノ酸配列を含む。
本発明は、薬学的に許容され得る賦形剤および本明細書に記載されるペプチド模倣物を含む医薬組成物を包含する。
本発明はまた、βカテニンの核移行の阻害を必要とする患者に、少なくとも1つの本発明のペプチド模倣物を投与する工程を含む、患者においてβカテニンの核移行を阻害する方法の方法を提供する。好ましくは、ペプチド模倣物は、医薬製剤の一部として送達される。好ましくは、医薬製剤は、少なくとも1つの賦形剤を含む。
好ましくは、少なくとも1つのペプチド模倣物の送達は、皮下送達、経口送達、局所送達、硝子体内(intravitreal)送達、経鼻送達、静脈内送達、動脈内送達、筋内送達、腹腔内送達および経粘膜送達の1つ以上から選択される。
好ましくは、該方法は、患者におけるβカテニンシグナル伝達経路の異常制御により引き起こされる疾患を治療するために使用される。好ましくは、該方法は、癌/増殖性、代謝性、骨粗鬆症、神経学的、免疫学的、内分泌学的、心臓血管、血液学的および炎症性の疾患からなる疾患および障害の群から選択される疾患を治療するために使用される。
本発明は、癌の治療を必要とする患者に本発明のペプチド模倣物を投与する工程を含む、該患者において癌を治療する方法を含む。好ましくは、少なくとも1つのペプチド模倣物は、医薬製剤の一部として送達され、任意に、治療的抗癌治療養生法を共投与することを含む。
本発明はまた、患者に本明細書に記載されるペプチド模倣物の治療有効量を投与する工程を含む、患者において疾患を治療する方法を含み、該疾患は、βカテニン核移行またはβカテニン経路を抑制することにより治療可能である。例えば、疾患は、癌/増殖性、代謝性、骨粗鬆症、神経学的、免疫学的、内分泌学的、心臓血管、血液学的および炎症からなる群より選択される疾患および障害の群から選択され得る。
好ましくは、本明細書に記載される方法において使用されるペプチド模倣物は、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。好ましくは、ペプチドは、配列番号:1、66、67および68のアミノ酸配列を含む。好ましくは、該方法は、患者におけるβカテニンシグナル伝達経路の異常制御により引き起こされる疾患を治療するために使用される。好ましくは、本発明の方法はさらに、治療的抗癌治療養生法を共投与することを含む。
本発明はまた、本明細書に記載されるペプチド模倣物をコードする核酸分子および該核酸分子を含むベクターまたは宿主細胞を含む。なおさらなる局面において、本明細書に記載されるペプチド模倣物をコードする核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞。宿主細胞は、哺乳動物細胞、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞および植物細胞からなる群より選択され得る。ある特定の局面において、核酸分子は、配列番号:1、66、67、68および70のアミノ酸配列を含むペプチド模倣物をコードする。例えば、ベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクターであり得る。宿主細胞は、哺乳動物細胞、例えば本明細書に記載されるベクターを含む哺乳動物細胞発現系であり得;哺乳動物細胞発現系は、例えばCHO細胞およびHEK293細胞から選択され得る。
本発明はさらに、化学合成法によるペプチド模倣物の調製のための方法およびかかる方法により調製されたペプチド模倣物を含む。
ある局面において、ペプチド模倣物はさらに、精製タグを含み得る。例えば、精製タグは、ポリヒスチジン(His)タグ、cMycタグまたはFLAGタグであり得る。本発明はまた、シグナル分泌ペプチドをさらに含むペプチド模倣物を含み;例えばシグナル分泌ペプチドは、IL-2シグナルペプチド、IgGシグナルペプチド、Igκシグナルペプチドおよびアズリシジン(azuricidin)シグナルペプチドから選択される。
図面の簡単な説明
図1は、N末端ドメイン、N-1ドメイン、N-1ドメインの推定ループ2およびC末端ドメインのアミノ酸位置を示すヒト野生型(wt)DKK3bの注釈をつけられた配列の概略図である。 図2は、TopFlashレポーター細胞におけるAC1(配列番号:1)とcpDKK3b(配列番号:2)の間のβカテニンサイレンシング活性の比較を示すグラフである。 図3は、卵巣癌細胞(OVCAR3)および結腸直腸癌細胞(Colo205)におけるAC1(配列番号:1)とcpDKK3b(配列番号:2)の間のβカテニンサイレンシング活性の比較を示すグラフである。 図4は、OVCAR3細胞の異種移植腫瘍を有するヌードマウスにおけるAC1(配列番号:1)のバイオアベイラビリティを示すグラフである。 図5は、βカテニン依存性ルシフェラーゼcDNAを発現する卵巣癌(OVCAR3)細胞を埋め込まれ、1μgのAC2で治療されたマウスについての経時的な(注射後の日数)、腫瘍βカテニンシグナル伝達(治療されない対照のパーセンテージとして)を示すグラフである。
発明の詳細な説明
定義
用語「アミノ酸(1つまたは複数)」またはペプチドと関連付けられる場合は「アミノ酸残基(1つまたは複数)」もしくは「残基(1つまたは複数)」は、本明細書において交換可能に使用される場合、全ての天然に存在するアミノ酸を含む。アミノ酸は、疎水性、極性および荷電として分類される。表1は、最も一般的なアミノ酸の分類を示し、本発明のペプチド模倣物を記載する場合、本明細書において参照される。
Figure 2023501947000001
表1に見られるもの以外のアミノ酸が、本発明のペプチド模倣物に使用され得る。例えば、アミノ酸は、翻訳後プロセッシングによるかまたは当該技術分野で周知である化学的改変技術によるなどの天然のプロセスにより改変される。
本明細書で使用する場合、句「βカテニン核移行のタンパク質阻害剤のペプチド模倣物」は、βトランスデューシンリピート含有タンパク質(β-TrCP)との複合体において、核に行くことが予定されているβカテニンに特異的に結合して、それによりβカテニンが核移行できないようにし得る本発明の合理的に設計されたペプチドをいう。
本明細書で使用する場合、句「βカテニン経路のタンパク質阻害剤のペプチド模倣物」は、βカテニン経路の構成要素と特異的に相互作用して、生物学的系に対するβカテニンの効果の低減または阻害を生じ得る本発明の合理的に設計されたペプチドをいう。本明細書で使用する場合、「βカテニン経路」は、βカテニンの上流または下流の任意のシグナル伝達経路(例えばWnt/βカテニンシグナル伝達経路を含む)をいう。本発明のペプチド模倣物によるβカテニン経路の阻害は、好ましくは、核移行を防ぎ、それによりβカテニンに支配された遺伝子発現をサイレンシングする、複数構成要素複合体中のその捕捉を標的化することにより、直接βカテニンを阻害する。
本明細書において「シグナル分泌ペプチド」とも称される「分泌認識ペプチド」(SRP)は、分泌のために成長しているポリペプチド鎖を、ER膜を通過して移動することを必要とする、ER膜におけるSRP受容体(トランスロコン)とかみ合い得る任意のペプチドを含む。
本明細書で使用する場合、用語「特異的に結合する」、「特異的に認識する」または「特異的に相互作用する」は、βカテニン核移行のタンパク質阻害剤のペプチド模倣物について言及する場合、例えばペプチド模倣物がβカテニンまたはβカテニン経路の阻害の目的で導入された細胞中に存在する他の生物学的分子と比較して、好ましくは高い親和性で、β-TrCPのWD40ドメインに対するβカテニンのデグロンを優先的にロックするペプチド模倣物をいう。同様に、本発明のペプチド模倣物はまた、高い親和性で、結合パートナーまたはβカテニンを間接的に阻害するβカテニン経路中の他の標的と優先的に結合し得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、ヒト野生型DKK3bタンパク質の標的分子に理想的には特異的に結合するべきである。これにより、ヒトDKK3bのペプチド模倣物は、ヒト野生型DKK3bタンパク質がその標的に結合する親和性と比較して、同様の親和性またはより高い親和性でβカテニンなどの標的分子と理想的には結合するべきであるが、野生型DKK3bが結合しない分子に対しては任意の有意な程度では何ら結合するべきではないことが意味される。
「ヒト野生型DKK3b」は、本明細書において「wthDKK3b」「hDKK3b」または「DKK3b」とも称され得る。ヒト野生型DKK3bは、配列番号:47のアミノ酸配列を有する。本明細書で使用する場合、「hDKK3bのN末端ドメイン」は、配列番号:47の1~約20または21の範囲のアミノ酸を含む。本明細書で使用する場合、hDKK3bのC末端ドメインは、配列番号:47の約266~約279の範囲のアミノ酸を含む。本明細書で使用する場合、hDKK3のN-1ドメインは、約74~126の範囲のアミノ酸を含む。
「保存的」アミノ酸置換は、ポリペプチド中のアミノ酸の、サイズまたは電荷などの同様の特性を有する別のアミノ酸での置換をいう。ある態様において、保存的アミノ酸置換を含むポリペプチドは、置換されないポリペプチドの少なくとも1つの活性を保持する。
本明細書で使用する場合、用語「共投与」および「共投与すること」は、被験体への少なくとも2つの剤(1つまたは複数)または治療の投与をいう。いくつかの態様において、2つ以上の剤または治療の共投与は同時である。他の態様において、第1の剤/治療は、第2の剤/治療の前に投与される。当業者は、使用される種々の剤または治療の製剤化および/または投与経路は異なり得ることを理解する。共投与のための適切な用量は、当業者により容易に決定され得る。いくつかの態様において、剤または治療が共投与される場合、それぞれの剤または治療は、それらの単独の投与について適切なものよりも低い用量で投与される。したがって、共投与は、剤または治療の共投与が潜在的に有害な(例えば毒性)剤(1つまたは複数)の必要な用量を低下する態様および/または2つ以上の剤の共投与が他の剤の共投与を介して剤の1つの有益な効果に対する被験体の感作を生じる場合に特に望ましい。
本明細書で使用する場合、用語医薬組成物」は、該組成物を、インビトロ、インビボまたはエキソビボでの診断的または治療的使用に特に適切にする活性剤(例えば結合剤)と不活性または活性な担体の組合せをいう。
本明細書で使用する場合、「診断的」または「診断的試験」は、被験体の疾患状態(state)または状態(condition)の検出、同定または特徴付けを含む。例えば疾患または状態は、疾患もしくは状態を有する被験体が特定の治療に応答する可能性を決定する、疾患もしくは状態を有する被験体の予後(またはその起こり得る進行または退縮)を決定する、疾患もしくは状態を有する被験体に対する治療の効果を決定する、または措置の将来の治療経過を決定するように特徴付けられ得る。
本発明による治療または方法の用語「効力」は、本発明による使用または方法に応答する疾患または状態の経過における変化に基づいて測定され得る。例えば、本発明による治療または方法の効力は、i)異なる関連のある臨床的終点および/またはii)異なる動物もしくはインビトロ系における治療化合物の影響などの代理マーカーに対するその影響により測定され得る。
用語「有効量」は、本明細書で使用する場合、本発明のペプチド模倣物を投与されている被験体において治療されている疾患の症状の検出可能な低減を発揮する少なくとも1つの本発明による模倣ペプチドまたはその医薬製剤の量をいう。
本明細書で使用する場合、「βカテニン核移行を阻害すること」または「βカテニンシグナル伝達経路を阻害すること」の文脈における「阻害すること(inhibiting)」または「阻害」または「阻害すること(to inhibit)」は一般的に、標的の活性を低減すること、減少すること、抑制すること、遮断することまたは拮抗することのいずれかを意味する。特に、「調整すること(modulating)」または「調整すること(to modulate)」は、標的(例えばβカテニン)の活性、(関連のあるまたは意図される)生物学的活性(例えばβカテニン核移行)を、本発明のペプチド模倣物の存在はないが同じ条件下、同じアッセイにおける標的の活性、すなわちベースラインと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または90%以上だけ低減または抑制することのいずれかを意味し得る。
用語「薬学的に許容され得る」または「薬理学的に許容され得る」は、本明細書で使用する場合、被験体に投与された場合に実質的に、有害な反応、例えば毒性、アレルギー性または免疫学的反応を生じない組成物をいう。
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得る担体」は、限定されないが、リン酸緩衝化食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば油/水または水/油エマルジョンなど)、および種々の型の湿潤剤、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング、ラウリル硫酸ナトリウム、等張および吸収遅延剤、崩壊剤(例えばジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)等を含む、標準的な医薬担体のいずれかをいう。組成物はまた、安定化剤および保存剤を含み得る。担体、安定化剤およびアジュバントの例について、例えばMartin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ. Co., Easton, Pa. (1975)参照。
本明細書で使用する場合、用語「配列同一性」は、2つのポリマー配列(例えばペプチド、ポリペプチド、核酸等)が、モノマーサブユニットの同じ連続的な組成を有する程度をいう。用語「配列類似性」は、2つのポリマー配列(例えばペプチド、ポリペプチド、核酸等)が、同様のポリマー配列を有する程度をいう。例えば、同様のアミノ酸は、同じ生物物理的特性を共有し、ファミリー(上記参照)にグループ分けされ得るものである。「パーセント配列同一性」(または「パーセント配列類似性」)は:(1)比較のウィンドウ(例えばより長い配列の長さ、より短い配列の長さ、特定のウィンドウ等)にわたり2つの最適に整列された配列を比較すること、(2)同一(または同様)のモノマーを含む位置の数を決定して(例えば同じアミノ酸が両方の配列に出現する、同様のアミノ酸が両方の配列に出現する)、適合した位置の数を得ること、(3)適合した位置の数を、比較のウィンドウ内の位置の総数で割ること(例えばより長い配列の長さ、より短い配列の長さ、特定のウィンドウ)、および(4)結果に100をかけて、パーセント配列同一性またはパーセント配列類似性を得ることにより計算される。例えば、ペプチドAおよびBが両方20アミノ酸長であり、1つの位置以外の全てで同一のアミノ酸を有する場合、ペプチドAおよびペプチドBは95%の配列同一性を有する。同一でない位置でのアミノ酸が同じ生物物理的特性を共有する場合(例えば両方が酸性)、ペプチドAおよびペプチドBは、100%の配列類似性を有する。別の例として、ペプチドCが20アミノ酸長であり、ペプチドDが15アミノ酸長であり、ペプチドDにおける15アミノ酸のうちの14個がペプチドCの一部のものと同一である場合、ペプチドCおよびDは70%の配列同一性を有するが、ペプチドDは、ペプチドCの最適な比較ウィンドウに対して93.3%の配列同一性を有する。本明細書において「パーセント配列同一性」(または「パーセント配列類似性」)を計算する目的で、整列された配列中の任意のギャップをその位置でのミスマッチとして処理する。好ましくは、比較ウィンドウは、およそおよび好ましくは約20アミノ酸~約40アミノ酸、約40アミノ酸~約60アミノ酸、約60アミノ酸~約80アミノ酸、約80アミノ酸~約100アミノ酸、約100アミノ酸~約120アミノ酸、約120アミノ酸~約140アミノ酸、約140アミノ酸~約150アミノ酸、約150アミノ酸~約155アミノ酸、約155アミノ酸から参照配列の全長までの参照配列の連続の伸長である。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的の整列は、BLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2またはMegalign (DNASTAR)ソフトウェアなどの例えば公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当該技術分野の技術内の種々の方法において達成され得る。
本明細書で使用する場合、用語「被験体」または「患者」は、本開示による組成物が、例えば実験目的、診断目的、予防目的および/または治療目的で投与され得る任意の生物をいう。典型的な被験体は、動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類およびヒトなどの哺乳動物)および/または植物を含む。好ましくは、「患者」は、治療を要求し得るもしくは治療の必要があり得る、治療を必要とする、治療を受けている、治療を受けるヒト被験体、または特定の疾患もしくは状態についての訓練された専門家によるケアの下にある被験体をいう。
本明細書で使用する場合、用語「予防すること」は、感染、疾患、障害および/または状態の開始を部分的もしくは完全に遅延すること;特定の感染、疾患、障害および/または状態の1つ以上の症状、特徴もしくは臨床的発現の開始を部分的もしくは完全に遅延すること;特定の感染、疾患、障害および/または状態の1つ以上の症状、特徴もしくは発現の開始を部分的もしくは完全に遅延すること;感染、特定の疾患、障害および/または状態からの進行を部分的もしくは完全に遅延すること;および/または感染、疾患、障害および/または状態に関連する病理学の発生のリスクを減少することをいう。
用語「タンパク質」または「ペプチド」は、本明細書で使用する場合、ペプチド結合により一緒に連結された少なくとも2つ以上のアミノ酸残基をいう。タンパク質またはペプチド中のアミノ酸配列は、標準的な形式、すなわちアミノ末端(N末端)からカルボキシル末端(C末端)へと示される。
本明細書で使用する場合、用語「治療有効量」は、感染、疾患、障害および/または状態に苦しむかまたはそれを受けやすい被験体に投与される場合、感染、疾患、障害および/または状態を治療、その症状を改善、それを診断、予防および/またはその開始を遅延するために十分な、送達される薬剤(例えば核酸、タンパク質またはペプチド、薬物、治療剤、診断剤、予防剤等)の量を意味する。例えば、癌または制御されない細胞分裂に関連する病理学において、治療有効量は、(1)腫瘍のサイズを低減する、(2)異常な細胞分裂、例えば癌細胞分裂を阻害(すなわちある程度遅延、好ましくは停止)する、(3)癌もしくは腫瘍の細胞死を誘導するおよび/または癌もしくは腫瘍の細胞増殖を阻害する、(4)癌細胞の転移を防ぐもしくは低減する、および/または(5)制御されないもしくは異常な細胞分裂に関連するかもしくはそれにより部分的に引き起こされる病理学、例えば癌もしくは新脈管形成などに関連する1つ以上の症状をある程度軽くする(または好ましくは排除する)効果を有する量をいう。
用語、疾患(または状態もしくは障害)を「治療すること」またはその「治療」は、本明細書で使用する場合、疾患にかかりやすくあり得るが、まだ疾患の症状を経験または発現しないヒト被験体または動物被験体において疾患が生じることを予防する(予防的処置)、疾患を阻害する(その発症の遅延または阻止)、疾患の症状もしくは副作用からの軽減を提供する(例えば軽減的処置)、および疾患の後退を引き起こすことをいう。例えば、癌に関して、これらの用語はまた、癌に罹患した個体の期待寿命が増加され得ることまたは疾患の症状の1つ以上が低減されることを意味する。例えば、癌に関して、「治療すること」はまた、被験体において抗腫瘍応答を高めることまたは延長することを含む。
本明細書で使用する場合、「組み合わせ」、「併用療法」および/または「組み合された治療養生法」の投与または共投与の任意の形態は、同時に、別々もしくは組み合わされた製剤のいずれかで、または分、時間もしくは日で分離された異なる時間で連続して投与もしくは共投与され得るが、いくつかの方法においては一緒になって作用して所望の治療応答を提供し得る少なくとも2つの治療活性薬物または組成物を用いた疾患の治療をいう。
本明細書で使用する場合、用語「約(about)」または「約(approximately)」は、1つ以上の目的の値に適用される場合、述べられた参照値に同様の値をいう。ある態様において、用語「約」または「約」は、そうではないと述べられないかまたはそうでなければ文脈から明らかでない限り、述べられた参照値のいずれかの方向で(より高いかまたはより低い)10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ以下内に含まれる値の範囲をいう(かかる数が可能な値の100%を超える場合を除く)。
用語「バリアント」は、それらのアミノ酸配列が天然または参照配列とは異なる分子をいう。アミノ酸配列バリアントは、天然または参照配列と比較して、アミノ酸配列内の特定の位置で置換、欠失および/または挿入を有し得る。実質的に相同は、1、2、3、4、5または6アミノ酸残基の欠失、挿入および/または置換を除く、参照されるペプチド配列に対して同一であるバリアントアミノ酸配列を意味する。2つのアミノ酸配列の同一性は、視覚的調査および/または数学的計算により、または配列比較に使用される公知のコンピュータープログラムを使用して配列情報を比較することにより、より容易に決定され得る。バリアントは、所定のアミノ酸残基が同様の物理化学的特徴を有する残基により置き換えられることを意味する、少なくとも1つの保存的に置換されたアミノ酸を有する配列を含み得る。所望のアミノ酸置換は(保存的または非保存的のいずれにせよ)、かかる置換が望ましい時点で当業者により決定され得る。好ましくは、バリアントは、天然または参照配列に対して少なくとも約50%の同一性(相同性)を有し、好ましくはそれらは、天然または参照配列に対して少なくとも約75%、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%同一(相同)である。
本明細書で使用する場合、用語「保存的アミノ酸置換」は、配列内に通常存在するアミノ酸の、同様のサイズ、電荷または極性を有する異なるアミノ酸での置換をいう。保存的置換の例としては、別の無極性残基についてイソロイシン、バリンおよびロイシンなどの無極性(疎水性)残基の置換が挙げられる。同様に、保存的置換の例としては、アルギニンとリジンの間、グルタミンとアスパラギンの間およびグリシンとセリンの間などの別のものについて1つの極性(親水性)残基の置換が挙げられる。さらに、別のものについてのリジン、アルギニンもしくはヒスチジンなどの塩基性残基の置換または別の酸性残基についてのアスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの1つの酸性残基の置換は、保存的置換のさらなる例である。非保存的置換の例としては、システイン、グルタミン、グルタミン酸もしくはリジンなどの極性(親水性)残基についてのイソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニンなどの無極性(疎水性)アミノ酸残基および/または無極性残基についての極性残基の置換が挙げられる。
本明細書で使用する場合、用語「組換え」は一般的に、天然に存在しない核酸、核酸構築物またはポリペプチドをいう。かかる天然に存在しない核酸は、改変された、例えば欠失、置換、逆位、挿入等を有する天然の核酸、および/または分子生物学技術を使用して連結される異なる起源の核酸配列の組合せ(例えば融合タンパク質(例えば2つの異なるタンパク質またはタンパク質断片の組合せから形成されるタンパク質またはポリペプチド)をコードする核酸配列、ポリペプチドをコードする核酸のプロモーター配列への組合せ、ここでコーディング配列およびプロモーター配列は、異なる供給源由来であるかまたはそうでなければ典型的に天然には一緒に存在しない(例えば核酸および構成的プロモーター)等)を含み得る。組換えはまた、組換え核酸によりコードされるポリペプチドをいう。天然に存在しない核酸またはポリペプチドは、ヒトにより改変された核酸およびポリペプチドを含む。
本明細書で使用する場合、「融合タンパク質」は、少なくとも2つの異なるタンパク質またはタンパク質断片の組合せから形成されるタンパク質をいう。融合タンパク質は、組換えDNA分子によりコードされる。
以下の表Aは、本明細書において言及されるアミノ酸配列のいくつかおよびそれらの対応する配列番号を列挙し、ここでΦ1、Φ2およびωのそれぞれは、以下に定義されるとおりである;
Figure 2023501947000002
Figure 2023501947000003
ペプチド模倣物
本発明は、DKK3bのペプチド模倣物、βカテニン核移行およびβカテニンシグナル伝達経路のタンパク質阻害剤を提供する。本発明のペプチドは、ヒト野生型DKK3b(本明細書において「wtDKK3b」または「hDKK3b」とも称される)の機能を模倣する遺伝子工学で作り変えられたペプチドである。野生型ヒトDKK3bは、配列番号:47:
Figure 2023501947000004
のアミノ酸配列を有する。
図1は、N末端ドメイン、C末端ドメイン、N-1ドメインおよびN-1ドメインのループ2領域を含むヒトwtDKK3bの概略図である。
DKK3bは、DKKタンパク質ファミリーの新規の細胞内メンバーとして以前に発見された。以前の試験は、DKK3bは、E3ユビキチンリガーゼ構成要素であるβトランスデューシンリピート含有タンパク質β-TrCPに特異的に結合すること、および次にこの複合体は、非リン酸化βカテニンに結合し、それによりその核輸送を防ぐことを示した。この発見に基づいて、ヒトDKK3bは、少なくとも2つの役割、1)βカテニン隔離;および2)βカテニン移行;nを行う。
以前の試験において、癌治療としてのDKK3bの効力を試験した。細胞貫通能力を有するヒトDKK3bは、細胞貫通(cp)ペプチドをDKK3bのN末端およびポリHisタグに融合し、細菌中で融合タンパク質を組換え的に作製することにより、治療送達のために作製された。得られた融合タンパク質は、本明細書において「cpDKK3b」と称される。cpDKK3b融合タンパク質は、配列番号:58:
Figure 2023501947000005
のアミノ酸配列を有する。
さらなる融合タンパク質は、配列番号:2:
Figure 2023501947000006
により表される。
折り畳まれないタンパク質の精製により、インビトロで細胞に添加するかまたはインビボで腫瘍保有マウスに注入した場合に、癌細胞増殖を適切かつ選択的に停止させ、腫瘍細胞アポトーシスを迅速に開始させる、線形ポリペプチド鎖が作製される(WO 2013/148224;その内容は本明細書において明確に援用される)。重要なことに、cpDKK3b融合タンパク質は、1日に2回、35日間与えた場合にマウスにおいて有害な効果を何ら有さないようであった。
向上された細胞貫通ペプチド(cp)および分泌認識ペプチド(SRP)を含む向上された特徴を有するDKK3bのバリアントを設計することにより治療用途のためにヒトDKK3bを最適化することに焦点が当てられた試験(WO2017/070092;その内容は本明細書において明確に援用される)に続く。これらの試験からのデータおよび情報に基づいて、種々の細胞貫通ペプチドおよびSRPを使用していくつかのさらなるバリアントを作製して試験した。
これらの試験により、ヒトwtDKK3bのN末端122アミノ酸およびC末端の最後の10残基が、核へのβカテニン移行の阻害および関連する腫瘍サプレッサー機能に必須であるドメイン(1つまたは複数)を有したことが見出された。N末端122アミノ酸のC末端の最後の10残基への融合により、十分に機能的な腫瘍サプレッサーが作製された。さらなる分析により、ヒト野生型DKK3bのアミノ酸12~アミノ酸70の間の残基はまた、βカテニン移行の阻害および関連のある腫瘍サプレッサー活性に必要でないことが明らかになった。
本発明者は、以前のDKK3b融合タンパク質およびバリアントは、βカテニン核移行を阻害し得るかまたはβカテニンシグナル伝達経路を阻害し得るDKK3bのペプチド模倣物の遺伝子工学での作り変えにより、有意に向上され得たことを発見した。DKK3bの阻害機能を有する、本明細書の遺伝子工学で作り変えられたペプチド模倣物は、例えば以前に記載されたcpDKK3b(配列番号:2)およびそのバリアントに対してさらなる向上および増強を提供する。本発明のタンパク質模倣物は、不必要な配列を排除し、抗原性を低減または排除し、タンパク質模倣物の組換え作製を向上および合理化し、膜透過性および細胞シグナル伝達を増加し、安定性を増加し、生物学的半減期を増加し、および/またはβカテニンの阻害剤としてもしくはβカテニン経路の阻害剤としての効力を増加するように遺伝子工学で作り変えられ得るので、例えばcpDKK3bおよびそのバリアントと比較して優れる。
例えば、本発明のペプチド模倣物はまた、例えば変性された線形のcpDKK3b融合タンパク質と比較して、折り畳まれたコンホメーション(confirmation)を有するタンパク質を提供する。本発明のペプチド模倣物の効力は、cpDKK3bのものよりも10,000倍まで高い(図2および3)。
本発明によるペプチド模倣物は、以下の特徴:
1) cpDKK3bの外因性細胞貫通cpペプチドの排除;
2) cpDKK3bのN-およびC末端ドメインの、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成し、N末端ドメインの最初の約6アミノ酸内に約2~約3個の負に荷電した残基およびC末端ドメインの最後の6アミノ酸内に約2~約3個の負に荷電したアミノ酸を含むランダムアミノ酸での置き換え;
3) N-1ドメインを除くwtDKK3bの全ての他のドメインの排除;
4) cpDKK3b N-1ドメインの、DKK1、DKK2またはDKK4のいずれか1つのN-1ドメインでの任意の置換;
5) 細胞貫通ペプチドを含むような、選択されたN-1ドメインの改変;
6) 1つ以上のシステイン残基を除去するような、N-1ドメインの任意の改変;ならびに
7) 約1~約150、約1~約100、約1~約75、約1~約50、約1~約30、約1~約20アミノ酸の任意のリンカーおよび好ましくはペプチド模倣物の1つ以上のドメインの間の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、75、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸のリンカーおよび好ましくはN末端またはC末端ドメインの領域でのこれらのリンカーは、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートの形成を容易にする2次構造を含む
を含むように遺伝子工学で作り変えられている。
外因性細胞貫通ペプチドの排除は、DKK3bの遺伝子工学で作り変えられたタンパク質模倣物中の潜在的な抗原性標的を除去する。細胞貫通ペプチドは、代わりに以下の議論されるようにタンパク質模倣物のN-1ドメインに一体化され得たことが発見された。
cpDKK3bのN末端66アミノ酸(配列番号:58のアミノ酸1~66)の、好ましくは約19~約22のランダムアミノ酸での置き換えは、ペプチド模倣物内のグリコシル化部位を排除する。本発明者は、任意のヒトDKK3bタンパク質またはそのバリアントおよびDKK3bの任意の遺伝子工学で作り変えられたペプチド模倣物のグリコシル化は、βカテニン核移行またはβカテニンシグナル伝達経路の阻害剤としてのその機能を不活性化することを発見した。これは特に、翻訳後グリコシル化が起こる哺乳動物細胞株などの細胞株における組み換え技術により産生されるペプチド模倣物に重要である。細胞の分泌機構による翻訳後グリコシル化の排除は、哺乳動物細胞を含む任意の所望の細胞系におけるペプチド模倣物の産生を可能にする。
ペプチド模倣物のN末端ドメインの機能は、cpDKK3bと比較して一般化され得る。この開示を通じて、N末端ドメインのアミノ酸位置に対して参照がなされる。哺乳動物組換え系を含む細胞性発現系を使用して産生されたほとんどのペプチドにおいて、タンパク質の1位のアミノ酸はメチオニンである。特定の細菌系において、1位のアミノ酸は、N-ホルミルメチオニン(fMet)である。化学ペプチド合成(例えば溶液および固相化学ペプチド合成など)により産生されたペプチドにおいて、N末端は、開始メチオニンを欠き得、および/または別のアミノ酸で置き換えられ得る。本発明に包含されるN末端ドメインは、1位のアミノ酸がメチオニンであるN末端ドメインおよび1位のアミノ酸位置がメチオニンではないN末端ドメインを含む。ある局面において、本明細書に記載されるペプチドおよびペプチド模倣物は、N末端ドメインの1位のアミノ酸がセリン、トレオニンまたはプロリン以外の無極性アミノ酸であるN末端ドメインを含む。さらなる局面において、N末端ドメインの1位のアミノ酸はメチオニンである。あるさらなる局面において、N末端ドメインの1位は、アラニンまたはイソロイシンである。N末端ドメインおよびペプチド模倣物の1位のアミノ酸はまた、メチオニン、fMet、またはセリン、トレオニン、またはプロリンおよびメチオニン以外の無極性アミノ酸、例えばアラニンおよびイソロイシンなどであり得る。ランダムアミノ酸配列がランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成し、N末端ドメインの最初の6アミノ酸内に少なくとも2または3個の負に荷電したアミノ酸を含む限りは、N末端ドメインのアミノ酸配列は、N末端ドメインの1位の開始アミノ酸の後、例えば1位の開始メチオニンの後でランダムであり得る。好ましくは、プロリンはヘリックスまたはβプリーツシートを安定化できないので、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成するアミノ酸は、プロリンを含まない。この戦略はさらに、N末端配列の1位のアミノ酸、例えば開始メチオニンの直後に少なくとも1つの負に荷電したアミノ酸を配置することによりさらに最適化され得る。この戦略はさらに、N末端ドメインの2、4および5位に負に荷電したアミノ酸を配置することによりさらに最適化され得る。
好ましいN末端ドメインは、以下のアミノ酸配列:MDAEDLLLKLNLAATVGTAPP(配列番号:59)を含むかまたはそれからなる。なおさらなる局面において、N末端ドメインは、配列番号:59からなる。別の例示的なN末端ドメインは、以下のアミノ酸配列:MEADELLLKLNLAATVGFAPP(配列番号:48)を有する。βカテニン核移行に対する阻害活性を保存する1つ以上のアミノ酸付加、欠失および/または保存的置換を有するバリアント配列番号:48または配列番号:59も企図される。任意のバリアントの活性に対するアミノ酸付加(1つまたは複数)、欠失(1つまたは複数)および/または置換(1つまたは複数)の効果は、常套的な方法および当該技術分野において公知で、実施例に記載されるアッセイを使用して試験され得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:59の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するN末端ドメインを含み得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:59の全長までの約20アミノ酸の連続鎖にわたり、配列番号:59の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するN末端ドメインを含み得る。さらなる局面において、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:48の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するN末端ドメインを含み得る。さらなる態様において、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:48の全長までの約20アミノ酸の連続鎖にわたり、配列番号:48の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するN末端ドメインを含み得る。
別の好ましいN末端ドメインは、以下のアミノ酸配列:DAEDLLLKLNLAATVGTAPP(配列番号:61)(第2のアミノ酸から開始する)を含む。なおさらなる局面において、N末端ドメインは、以下のアミノ酸配列:Φ1DAEDLLLKLNLAATVGTAPP(配列番号:62)を含むかまたはそれからなり、ここでΦ1は、プロリン以外の無極性アミノ酸(例えばメチオニン、アラニンおよびイソロイシンなど)であるかまたはセリンもしくはトレオニンであり;ある局面において、Φ1は、トレオニン、セリンまたはプロリンおよびメチオニン以外の無極性アミノ酸である。さらなる局面において、Φ1はアラニンまたはイソロイシンである。なおさらなる局面において、N末端ドメインは、配列番号:62からなる。ある好ましい局面において、N末端ドメインは、以下のアミノ酸配列:ADAEDLLLKLNLAATVGTAPP(配列番号:63)またはIDAEDLLLKLNLAATVGTAPP(配列番号:64)の1つを含むかまたはそれからなる。βカテニン核移行の阻害活性を保存する1つ以上のアミノ酸付加、欠失および/または保存的置換を有する配列番号:61、62、63および64のいずれかのバリアントも企図され、N末端ドメインとして使用され得る。任意のバリアントの活性に対するアミノ酸付加(1つまたは複数)、欠失(1つまたは複数)および/または置換(1つまたは複数)の効果は、常套的な方法および当該技術分野において公知で、実施例に記載されるアッセイを使用して試験され得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:61、62、63および64のいずれか1つの配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するN末端ドメインを含み得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:61、62、63および64のいずれか1つの全長までの約20アミノ酸の連続鎖にわたり、配列番号:61、62、63および64のいずれか1つの配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するN末端ドメインを含み得る。
ペプチド模倣物は、例えばアミノ酸配列の場合、本明細書に記載されるN末端ドメインを含み得、N末端から開始する(またはすなわちペプチド模倣物の第1のアミノ酸から開始する)ペプチド模倣物は、本明細書に記載される特定のN末端ドメインのもの(例えば配列番号:59、62、63または64)に対応する。例えば、アミノ酸の場合、ペプチド模倣物のアミノ酸1~21は配列番号:59、62、63または64である。
C末端ドメインはまた、N末端ドメインのものと同様の様式で一般化され得る。配列が、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成し、C末端ドメインの最後の6アミノ酸内に少なくとも2または3個の負に荷電したアミノ酸を含む限り、cpDKK3bのC末端152アミノ酸残基(例えば配列番号:2のアミノ酸174~326)は、約12~約14個のランダムアミノ酸で置き換えられる。
この戦略はさらに、最後の6アミノ酸に、少なくとも2個の連続した負に荷電したアミノ酸残基、または1つは負に荷電したアミノ酸であり、1つは正に荷電したアミノ酸である少なくとも2個の連続したアミノ酸残基を含ませることにより最適化され得る。好ましくは、連続した荷電したアミノ酸は、C末端ドメインの最後のアミノ酸の直前に配置される。例えば、C末端の最後のアミノ酸のアミノ酸位置がΨである場合、最後のアミノ酸の「直前」にある2つの連続した荷電したアミノ酸は、位置Ψ-1およびΨ-2にある。同様に、配列が、最後のアミノ酸の「直前」の3つの連続した荷電したアミノ酸を含む場合、3つの連続した荷電したアミノ酸は、位置Ψ-1、Ψ-2およびΨ-3に配置される。好ましいC末端ドメインは、以下のアミノ酸配列:TAALLIILGGDDI(配列番号:60)を含むかまたはそれからなる。C末端ドメインの別の例は、以下のアミノ酸:TSQLLIILGGDDI(配列番号:49)を含むかまたはそれからなる。
ペプチド模倣物は、例えばペプチド模倣物のC末端のアミノ酸配列(最後のアミノ酸で終了する)が、本明細書に記載される特定のC末端ドメインの配列(例えば配列番号:60)であるか;またはすなわち、ペプチド模倣物の最後の13アミノ酸が配列番号:60である場合、本明細書に記載されるC末端ドメインを含み得る。
βカテニン核移行に対する阻害活性を保存する1つ以上のアミノ酸付加、欠失および/または保存的置換を有する配列番号:60または配列番号:49のバリアントも企図される。任意のバリアントの活性に対するアミノ酸付加(1つまたは複数)、欠失(1つまたは複数)および/または置換(1つまたは複数)の効果は、常套的な方法および当該技術において公知で、実施例に記載されるアッセイを使用して試験され得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:60の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するC末端ドメインを含み得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:60の全長までの約20アミノ酸の連続鎖にわたり、配列番号:60の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するN末端ドメインを含み得る。さらなる局面において、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:49の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するC末端ドメインを含み得る。さらなる局面において、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:49の全長までの約20アミノ酸の連続鎖にわたり、配列番号:49の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するC末端ドメインを含み得る。
本発明のペプチド模倣物のN-およびC末端の上記の一般化に関して、任意の1つの科学的理論に限定されることなく、欠失分析により、ヒト野生型DKK3b(図1、配列番号:47)の残基10~70は、タンパク質を不活性化することなく排除され得ることが明らかにされた。プロリンダイマーは、ヒト野生型ヒトDKK3b(配列番号:47)のN末端から配置された20残基であって、重要であり得るタンパク質中に「ねじれ」を導入するので、20~21残基の配列長さが選択された。ヒト野生型DKK3bの2、4または5位での1つ以上の負の荷電した残基の消失は、タンパク質を不活性化するので、これらの位置での負の電荷は必須であるように思われることを明らかにする。
DKK3bのN-1ドメインは、βカテニンシグナル伝達のサイレンシングに必要とされる重要なドメインである。全てのヒトDKKファミリーメンバーのN-1ドメインの整列により、かなりの構成的保存が明らかになり、全ファミリーメンバー中のこのドメインがヒト野生型DKK3bのものと同様に機能し得る可能性を生じた。DKK3bのN-1ドメインを別のファミリーメンバーのものに交換する影響を評価する実験により、改変されたタンパク質によりβカテニンの阻害を保持しながらこれが可能であったことが示された。本明細書に記載されるペプチド模倣物のN-1ドメインは、例えば天然のヒトDKK1、天然のヒトDKK2、天然のヒトDKK3bおよび天然のヒトDKK4のN-1ドメインから選択され得るか、または天然のヒトDKK1、天然のヒトDKK2、天然のヒトDKK3bおよび天然のヒトDKK4のN-1ドメインのバリアントであり得る。ヒトDKKファミリーメンバーのそれぞれのN-1ドメインのそれぞれについてのアミノ酸配列は以下のとおりである:
Figure 2023501947000007
Figure 2023501947000008
βカテニン核移行に対する阻害活性を保存する1つ以上のアミノ酸付加、欠失および/または保存的置換を有するこれらの配列のバリアントも企図される。任意のバリアントの活性に対するアミノ酸付加(1つまたは複数)、欠失(1つまたは複数)および/または置換(1つまたは複数)の効果は、常套的な方法および当該技術において公知で、実施例に記載されるアッセイを使用して試験され得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:3、4、5および6の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するN-1ドメインを含み得る。好ましくは、配列番号:3、4、5および6のそれぞれのバリアントは、配列番号:3、4、5および6の全長までの約20アミノ酸の連続鎖に対して、約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上である配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
遺伝子工学で作り変えられたペプチド模倣物のN-1ドメインの重要な特徴は、外因性細胞貫通ペプチドを、例えばペプチド模倣物のN末端ドメインに融合する代わりに、N-1ドメイン内に細胞貫通ペプチドを含むことである。ペプチドドメインをペプチド模倣物の「内部に」含むことは、ペプチド模倣物の抗原性を低減する。
細胞貫通ペプチド(cp)は、細胞貫通能力を有することが知られるアミノ酸配列を含む。用語「細胞貫通ドメイン」、「細胞貫通領域」および「細胞貫通ペプチド」は、本明細書において交換可能に使用される。細胞貫通ペプチドは、細胞膜を通過し得る短い(典型的に約4~40アミノ酸)ペプチドである。「核局在化配列」と称されるペプチドは、細胞貫通ペプチドのサブセットである。細胞貫通ペプチドは典型的に、水溶性、カチオン性または両親媒性であり、塩基性アミノ酸(例えばリジンおよび/またはアルギニン残基)に富む。細胞貫通ペプチドはまた、正に荷電した両親媒性ペプチド、または低い正味の電荷を有する無極性残基もしくは疎水性アミノ酸群のみを含む疎水性のペプチドであり得る。
好ましくは、細胞貫通アミノ酸配列は、分泌されるタンパク質であるヒト野生型DKKファミリーメンバー内に見られるものである。個々のヒトDKKファミリーメンバーの天然の/固有の細胞貫通ドメインを表2に列挙する。
Figure 2023501947000009
他の代表的であるが非限定的な細胞貫通アミノ酸配列を表3に示す。
Figure 2023501947000010
Figure 2023501947000011
細胞貫通ペプチドの機能は配列特異的相互作用ではなく、それらの物理的特徴に依存するので、細胞貫通ペプチドは、表2に提供されおよび/または当該技術分野で公知のものの逆配列を有し得;したがって、例えば配列番号:53の逆配列は、ARAQRAAARAY(N末端側からC末端側として左から右にアミノ酸を読む)であり、これは細胞貫通ペプチドとして使用され得る。細胞膜を通過する能力を保持する1つ以上のアミノ酸付加、欠失および/または保存的置換を有するこれらの配列のバリアントも、本発明における使用に適切である。細胞貫通を媒介するCPPの能力に対するアミノ酸付加(1つまたは複数)、欠失(1つまたは複数)および/または置換(1つまたは複数)の効果は、当該技術分野で公知の常套的な方法を使用して試験され得る。
1つの好ましい細胞貫通ペプチドは、約4~約8個のアミノ酸、好ましくは約6アミノ酸を含むポリアルギニンペプチド;例えば配列番号:25などである。好ましくは、細胞貫通ペプチドは、DKKタンパク質ファミリーのN-1ドメインに配置される。好ましくは、細胞貫通ペプチドは、N-1ドメインのループ2に配置される。N-1ドメインのループ2は、配列番号:47、ヒト野生型DKK3bのアミノ酸100~114の周囲に出現する。類推により、N-1ドメインのループ2は、ヒト野生型DKK2(Gen Bank Acc. No. AAQ88780.1)のアミノ酸99~117の周囲に出現する。
ペプチド模倣物の別の好ましい特徴は、ペプチド模倣物のN-1ドメインがシステイン欠損であるということである。本明細書で使用する場合、N-1ドメイン「システイン欠損」は、野生型または天然に存在するN-1ドメイン中の少なくとも1つのシステイン残基が、保存的アミノ酸で置き換えられることである。好ましくは、1つ以上のシステイン残基は、好ましくはアラニン、トレオニンまたはセリンで置き換えられ;さらに他の好ましい局面において、1つ以上のシステイン残基は、アラニンまたはセリンで置き換えられる。例えば、ヒトDKK1のN-1ドメイン、ヒトDKK2のN-1ドメイン、ヒトDKK3bのN-1ドメインまたはヒトDKK4のN-1ドメインの1つ以上のシステイン残基は、アラニンまたはセリンで置き換えられる。好ましくは、N-1ドメインに存在する少なくとも3、4、5、6、7、8、9または10個のシステイン残基は、好ましくはアラニンまたはセリンで置換される。1つ以上のシステイン残基の置き換えは、ジスルフィド架橋のための、組換え産生の間のタンパク質模倣物の凝集を低減または排除する。凝集は、原核生物および真核生物タンパク質発現系の両方において、DKK3bタンパク質およびそのバリアントの組換え産生の間に常套的に観察される困った問題であることが見出されている。
したがって、ペプチド模倣物のN-1ドメインは、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bおよびヒトDKK4のN-1ドメインの1つ(例えば配列番号:3、4、5および6の1つ)のバリアントであり得、ここで細胞貫通ペプチドは、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bおよびヒトDKK4のN-1ドメインに付加される。好ましい局面において、細胞貫通ドメインは配列番号:25であり、ここで任意に、細胞貫通ドメインは、6個の連続したアルギニン残基(RRRRRR)である。例えば、ヒトDKK2のN-1ドメインは配列番号:4:
Figure 2023501947000012
である。
ある局面において、ペプチド模倣物のN-1ドメインは配列番号:4のバリアントであり、ここで細胞貫通ドメイン、RRRRRRはループ2に付加される。例えば、ループ2に細胞貫通ペプチドを含む配列番号:4の例示的なバリアントは:
Figure 2023501947000013
である。配列番号:73において、配列番号:4の下線を引いた部分(上に示す)はRRRRRRで置き換えられる。
なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bおよびヒトDKK4のN-1ドメインの1つ(例えば配列番号:3、4、5および6の1つ)のバリアントであり、ここで(ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bおよびヒトDKK4の)N-1ドメイン中の1つ以上のシステイン残基は、保存的アミノ酸、例えばセリンまたはアラニンで置き換えられる。なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bおよびヒトDKK4のN-1ドメインの1つ(例えば配列番号:3、4、5および6の1つ)のバリアントであり、ここで細胞貫通ペプチドはヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bおよびヒトDKK4のN-1ドメインに付加され、(ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bおよびヒトDKK4の)N-1ドメイン中の1つ以上のシステイン残基は、保存的アミノ酸、例えばセリンまたはアラニンで置き換えられる。好ましい局面において、細胞貫通ドメインは配列番号:25であり;ここで任意に、細胞貫通ドメインは6個の連続したアルギニン残基(RRRRRR)である。例えば、配列番号:73:
Figure 2023501947000014
に示される下線を引いたシステイン残基の1つ以上は、セリンまたはアラニンで置き換えられる。
配列番号:4のバリアントであるN-1ドメインの具体例は:
Figure 2023501947000015
であり、ここで下線を引いた残基は、配列番号:73内のシステイン残基を置き換えたアラニンまたはセリン残基である。配列番号:4のバリアントであるN-1ドメインの別の例は:
Figure 2023501947000016
であり、ここで各ωは、独立してアラニンまたはセリンであり、下線を引いた残基は、配列番号:73内のシステイン残基を置き換えたアラニンまたはセリン残基である。
システイン欠損であるように改変され、細胞貫通ペプチドを含むペプチド模倣物の好ましいN-1ドメインは、以下:
Figure 2023501947000017
を含む。
さらなる局面において、システイン欠損であり細胞貫通ドメインを含むペプチド模倣物の好ましいN-1ドメインは:
Figure 2023501947000018
を含むかまたはそれからなる。
いくつかの態様において、ペプチド模倣物のN-1ドメインは、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bまたはヒトDKK4由来のN-1ドメインのバリアント、例えば配列番号:3、4、5および6のいずれか1つのバリアントである。例えば、バリアントは、細胞貫通ペプチドを含み得る。さらなる例において、バリアントは、1つ以上のアミノ酸置換を含み得、ここでヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bまたはヒトDKK4のN-1ドメインの1つ以上のシステイン残基は、別のアミノ酸、例えば保存的アミノ酸で置き換えられ/置換され、例えばアラニンまたはセリンでの置換を含む。
ある局面において、ペプチド模倣物のN-1ドメインは、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bまたはヒトDKK4由来のN-1ドメインのバリアント、例えば配列番号:3、4、5および6のいずれか1つのバリアントであり、ここで:
i) バリアントは、細胞貫通ペプチドを含み;ここで任意に、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bまたはヒトDKK4のN-1ドメインの少なくとも1つのシステインは、別のアミノ酸、例えば保存的アミノ酸で置き換えられ/置換され、例えばアラニンまたはセリンでの置換を含む;ならびに
ii) 任意に、バリアントは、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bまたはヒトDKK4由来のN-1ドメインに対して少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%もしくは少なくとも約80%の配列同一性、または配列番号:3、4、5および6の1つに対して少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%もしくは少なくとも約80%の配列同一性を有する。
バリアントは細胞貫通ペプチドを含み、例えば細胞貫通ペプチドは、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bまたはヒトDKK4のN-1ドメインのアミノ酸配列に付加されるかまたはその中に一体化され;例えば細胞貫通ペプチドは、N末端の末端もしくはC末端の末端に配置され得るか、または細胞貫通ペプチドは、N-1ドメイン内、例えば以下により詳細に記載されるようにループ2内に配置され得る。バリアントはさらに、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bまたはヒトDKK4のN-1ドメインの少なくとも1つのシステインの、保存的アミノ酸での置換を含み得る。ある局面において、バリアントは、配列番号:3、4、5および6の1つに対して少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%もしくは少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する。
ある局面において、ペプチド模倣物のN-1ドメインは、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bまたはヒトDKK4由来のN-1ドメインのバリアントであり、ここで:
i) バリアントは細胞貫通ペプチドを含み、ここで任意に、ヒトDKK1、ヒトDKK2、ヒトDKK3bまたはヒトDKK4のN-1ドメインの少なくとも1つのシステインは、別のアミノ酸、例えば保存的アミノ酸で置き換えられ/置換され、例えばアラニンまたはセリンでの置換を含む;および
ii) 任意に、配列番号:7、8、45、46または69の1つに対して少なくとも約80%の配列同一性を有する。
なおさらなる局面において、ペプチド模倣物のN-1ドメインは、配列番号:7、8、45、46または69のアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し、N-1ドメインはさらに、細胞貫通ペプチドを含む。ある好ましい局面において、N-1ドメインは、配列番号:45の1つに対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する。さらなる局面において、N-1ドメインは、配列番号:69の1つに対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する。
ある局面において、細胞貫通ペプチドは、上により詳細に記載されるN-1ドメインのループ2内に配置される。
βカテニン核移行に対する阻害活性を保存する1つ以上のアミノ酸付加、欠失および/または保存的置換を有するこれらの配列のバリアントも企図される。任意のバリアントの活性に対するアミノ酸付加(1つまたは複数)、欠失(1つまたは複数)および/または置換(1つまたは複数)の効果は、常套的な方法および当該技術において公知で、実施例に記載されるアッセイを使用して試験され得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:7、8、45および46の配列に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するN-1ドメインを含み得る。
好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:59のアミノ酸配列を有するN末端ドメインを含む。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:60のアミノ酸配列を有するC末端ドメインを含む。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:45のアミノ酸配列を有するN-1ドメインを含むかまたはそれからなる。好ましいペプチド模倣物は、本明細書において「AC1」と称され、以下のように配列番号:1:
Figure 2023501947000019
のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は、配列番号:1に対して少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の同一性を有する。さらなる好ましいペプチド模倣物は、配列番号:1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、ここで開始メチオニンは、セリン、トレオニンまたはプロリンおよびメチオニン以外の無極性アミノ酸で置き換えられる。例えば、好ましいペプチド模倣物は、以下のように配列番号:65:
Figure 2023501947000020
(アミノ酸2で開始)を含み得る。なおさらなる局面において、好ましいペプチド模倣物は、以下の配列:
Figure 2023501947000021
を含むかまたはそれからなり、ここでΦ2は、プロリン以外の無極性アミノ酸(例えばメチオニン、アラニンおよびイソロイシンなど)であるか、またはセリンもしくはトレオニンであり;ある局面において、Φ2は、トレオニン、セリン、またはプロリンおよびメチオニン以外の無極性アミノ酸である。なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は、以下の配列:
Figure 2023501947000022
の1つを含むかまたはそれからなる。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:45のアミノ酸配列を有するN-1ドメインを含む)。なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は、配列番号:66、67または68に対して少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の同一性を有する。
さらなる好ましい態様において、ペプチド模倣物は:
Figure 2023501947000023
を含むかまたはそれからなり、ここでΦ2は、上で定義されるとおりであり、各ωは独立してセリンまたはアラニンである。なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は、以下の配列:
Figure 2023501947000024
の1つを含むかまたはそれからなる。なおさらなる局面において、ペプチド模倣物は:
Figure 2023501947000025
からなる群より選択される配列を有する。
さらに別の局面において、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:48のアミノ酸配列を有するN末端ドメインを含む。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:49のアミノ酸配列を有するC末端ドメインを含む。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:45のアミノ酸配列を有するN-1ドメインを含む。
βカテニン核移行に対する阻害活性を保存する1つ以上のアミノ酸付加、欠失および/または保存的置換を有する配列番号:1のバリアントも企図される。任意のバリアントの活性に対するアミノ酸付加(1つまたは複数)、欠失(1つまたは複数)および/または置換(1つまたは複数)の効果は、常套的な方法および当該技術において公知で、実施例に記載されるアッセイを使用して試験され得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:1に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、同一性または類似性は、連続したアミノ酸の所定の長さ(例えば「比較ウィンドウ」)に対して計算される。例えば、比較ウィンドウは、配列番号:1の全長までの約20アミノ酸の連続した鎖であり得る。
βカテニン核移行に対する阻害活性を保存する1つ以上のアミノ酸付加、欠失および/または保存的置換を有する配列番号:65、66、67、68、69、70、71および72のバリアントも企図される。任意のバリアントの活性に対するアミノ酸付加(1つまたは複数)、欠失(1つまたは複数)および/または置換(1つまたは複数)の効果は、常套的な方法および当該技術において公知で、実施例に記載されるアッセイを使用して試験され得る。好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、配列番号:65、66、67および68に対して少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、同一性または類似性は、連続したアミノ酸の所定の長さ(例えば「比較ウィンドウ」)に対して計算される。例えば比較ウィンドウは、配列番号:65、66、67、68、69、70、71および72の全長までの約20アミノ酸の連続した鎖であり得る。
ある局面において、ペプチド模倣物は:
i) 配列番号:59、62、63および64に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有するN末端ドメイン;
ii) 配列番号:7、8、45、46または69に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性;好ましくは配列番号:45または69に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有するN-1ドメイン;および
iii) 配列番号:60に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有するC末端ドメイン
を含む。
ペプチド模倣物はまた、N末端ドメイン、N-1ドメインおよびC末端ドメインの1つ以上の間にアミノ酸リンカーを含み得る。ペプチド模倣物は、例えばN末端ドメインとN-1ドメインの間にアミノ酸リンカーおよび/またはN-1ドメインとC末端ドメインの間にアミノ酸リンカーを含み得る。好ましくは、アミノ酸リンカーは、約1~約150アミノ酸長である。ある局面において、ペプチド模倣物は、N末端ドメインとN-1ドメインの間にアミノ酸リンカーを含み、ここでアミノ酸リンカーは、約1~約70アミノ酸長;または約1~約50アミノ酸長;または約1~約30アミノ酸長;または約1~約20アミノ酸長である。さらに他の局面において、N末端ドメインとN-1ドメインの間のアミノ酸リンカーは、約1または2アミノ酸長である。あるさらなる局面において、ペプチド模倣物は、N-1ドメインとC末端ドメインの間にアミノ酸リンカーを含み、ここでアミノ酸リンカーは、約1~約150アミノ酸長;または約1~約125アミノ酸長;または約1~約100アミノ酸長;または約1~約75アミノ酸長;または約1~約50アミノ酸長;または約1~約30アミノ酸長;または約1~約20アミノ酸長である。ある局面において、N-1ドメインとC末端ドメインの間のアミノ酸リンカーは約1~約2アミノ酸長である。
本発明のペプチド模倣物は、以下のようにも特徴付けられ得る。βカテニン核移行を阻害し得るかまたはβカテニンシグナル伝達経路を阻害し得るDKK3bのペプチド模倣物は、N末端からC末端に:
i) 式1:
NH2-Met-Y-X-Y-Y-X1
式1
(式中:
Yは、負に荷電したアミノ酸であり;
Xは、任意の無極性アミノ酸または負に荷電したアミノ酸であり;
X1は、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成する約4~約70アミノ酸、約4~約20アミノ酸または約4~約15アミノ酸のペプチドであり;
Metは、アミノ酸、メチオニンである)
のペプチドを含むN末端ドメイン;
ii) DKK1、DKK2、DKK3bまたはDKK4のN-1ドメインに対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含むN-1ドメイン、ここでN1ドメインはさらに細胞貫通ドメインを含む;および
iii) 式2
X2 - Gly-Gly-X3 -Ile-COOH
(式2)
(式中:
X2は、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成する約4~約40、約4~約20アミノ酸、約4~約15アミノ酸または約4~約8アミノ酸のペプチドであり;
Glyは、アミノ酸、グリシンであり;
X3は、2つの負に荷電したアミノ酸または1つの負に荷電したアミノ酸および1つの正に荷電したアミノ酸を含む2つの連続したアミノ酸長のペプチドである)
のペプチドを含むC末端ドメインを含み;ここで好ましくは、Yは、グルタミン酸(Glu)またはアスパラギン酸(Asp)であり;好ましくはX1は、約15~17アミノ酸長であり;好ましくはN末端ドメインは、約19~約22アミノ酸長であり;好ましくはXはアラニンであり;好ましくはN末端ドメインは、式3:
NH2-Met-Glu-X4-Asp-Glu-X1
式3a;または
NH2-Met-Asp-X4-Glu-Asp-X1
式3b
のペプチドを含み、ここで、X4は、任意の疎水性アミノ酸であり;X1は、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成する約4~約70アミノ酸のペプチドであり;好ましくは式3aまたは式3bのX4は、アラニンであり;好ましくは式3aまたは式3bのX1は、15~17アミノ酸長であり;好ましくは式3aまたは式3bのペプチドは、配列番号:59のアミノ酸配列を有するか;または代替的に、式3aまたは式3bのペプチドは、配列番号:48のアミノ酸配列を有し;好ましくはDKK1、DKK2、DKK3bまたはDKK4のN-1ドメインは、DKK1、DKK2、DKK3bまたはDKK4の天然のN-1ドメイン中に存在するシステイン残基の少なくとも1つを、保存的アミノ酸置換で置換するように改変され;好ましくは保存的アミノ酸置換は、アラニン(Ala)およびセリン(Ser)から選択され;好ましくは細胞貫通ペプチドは、約4~約8アミノ酸長であり;好ましくは細胞貫通ペプチドは約6アミノ酸長であり;好ましくは細胞貫通ペプチドは、6個のアルギニン残基を含むかまたはそれからなり;好ましくはN-1は、DKK2のN-1ドメインを含み;好ましくはDKK2のN-1ドメインは、システイン残基の少なくとも1つを、保存的アミノ酸置換で置換するように改変され;好ましくはDKK2のN-1ドメインのシステイン残基の少なくとも8個は、保存的アミノ酸置換で置換され;好ましくはN-1ドメインのシステイン残基の全ては、保存的アミノ酸置換で置換され;好ましくは保存的アミノ酸置換は、アラニン(Ala)およびセリン(Ser)から選択され;好ましくはN-1ドメインのアミノ酸配列は、配列番号:7、8、45、46および69から選択され、好ましくはX2は、約8アミノ酸長であり;好ましくはC末端ドメインは、約12~約14アミノ酸を含み;好ましくはX3は、少なくとも2つの連続した負に荷電したアミノ酸を含み、ここで各負に荷電したアミノ酸は独立して、AspおよびGluから選択され;または代替的に、X3は、少なくとも2つの連続した荷電したアミノ酸を含み、ここで1つのアミノ酸残基は正に荷電して、リジン(Lys)およびアルギニン(Arg)から選択され、1つのアミノ酸残基は負に荷電して、アスパラギン酸(Asp)およびグルタミン酸(Glu)から選択され;好ましくはC末端ドメインは、配列番号:60のアミノ酸配列を有し;または代替的に、式2のC末端ドメインは、配列番号:49のアミノ酸配列を有する。
さらなる態様において、本発明のペプチド模倣物はまた、以下のように特徴付けられ得る。βカテニン核移行を阻害し得るかまたはβカテニンシグナル伝達経路を阻害し得るDKK3bのペプチド模倣物は、N末端からC末端に:
i) 式4
NH2-Φ-Y-X-Y-Y-X1
式4
(式中:
各Yは独立して、負に荷電したアミノ酸であり;
Xは、任意の無極性アミノ酸または負に荷電したアミノ酸であり;
X1は、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成する約4~約70、約4~約20アミノ酸または約4~約15アミノ酸のペプチドであり;
Φは、プロリン以外の無極性アミノ酸であるか、またはトレオニンもしくはセリンであり;いくつかの態様において、Φは、メチオニン、アラニン、イソロイシン、セリンまたはトレオニンである)
のペプチドを含むN末端ドメイン
ii) 配列番号:3のアミノ酸配列を有するヒトDKK1のN-1ドメインのバリアント、配列番号:4のアミノ酸配列を有するDKK2のN-1ドメインのバリアント、配列番号:5のアミノ酸配列を有するDKK3bのN-1ドメインのバリアント、もしくは配列番号:6のアミノ酸配列を有するDKK4のN-1ドメインのバリアントであるN-1ドメイン;ここでバリアントは、細胞貫通ペプチドを含み、バリアントは、配列番号:3、4、5および6の1つに対して少なくとも約80%の配列同一性を有する、または
配列番号:7、8、45、46および69のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するN-1ドメイン、ここでN-1ドメインはさらに、細胞貫通ペプチドを含む;ならびに
iii) 式2
X2 - Gly-Gly-X3 -Ile-COOH
(式2)
(式中:
X2は、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成する約4~約40、約4~約20アミノ酸、約4~約15アミノ酸または約4~約8アミノ酸のペプチドであり;
Glyは、アミノ酸、グリシンであり;
X3は、2つの負に荷電したアミノ酸または1つの負に荷電したアミノ酸および1つの正に荷電したアミノ酸を含む2つの連続したアミノ酸長のペプチドである)
のペプチドを含むC末端ドメイン
を含み;ここで好ましくはYは、グルタミン酸(Glu)またはアスパラギン酸(Asp)であり;好ましくはX1は、約15~17アミノ酸長であり;好ましくはN末端ドメインは、約19~約22アミノ酸長であり;好ましくはXは、アラニンであり;好ましくはΦは、メチオニン、アラニンまたはイソロイシンであり;好ましくはN末端ドメインは、式3:
NH2-Φ-Glu-X4-Asp-Glu-X1
式3a;または
NH2-Φ-Asp-X4-Glu-Asp-X1
式3b
のペプチドを含み、ここでX4は、任意の疎水性アミノ酸であり;X1は、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成する約4~約70アミノ酸のペプチドであり;好ましくは式3aまたは式3bのX4は、アラニンであり;好ましくは式3aまたは式3bのX1は、15~17アミノ酸長であり;好ましくは式3aまたは式3bのペプチドは、配列番号:62、63または64のアミノ酸配列を有し;好ましくはN-1ドメインは、配列番号:45に対して少なくとも約80%の配列同一性を有し、細胞貫通ドメインを含み;または好ましくはDKK1、DKK2、DKK3bまたはDKK4のN-1ドメインは、DKK1、DKK2、DKK3bまたはDKK4の天然のN-1ドメインに存在するシステイン残基の少なくとも1つを、保存的アミノ酸置換で置換するように改変され;好ましくは保存的アミノ酸置換は、アラニン(Ala)およびセリン(Ser)から選択され;好ましくは細胞貫通ペプチドは、約4~約8アミノ酸長であり;好ましくは細胞貫通ペプチドは、約6アミノ酸長であり;好ましくは細胞貫通ペプチドは、6個のアルギニン残基を含むかまたはそれからなり;好ましくはN-1ドメインは、DKK2のN-1ドメインを含み;好ましくはDKK2のN-1ドメインは、システイン残基の少なくとも1つを、保存的アミノ酸置換で置換するように改変され;好ましくはDKK2のN-1ドメインのシステイン残基の少なくとも8個は、保存的アミノ酸置換で置換され;好ましくはN-1ドメインのシステイン残基の全ては、保存的アミノ酸置換で置換され;好ましくは保存的アミノ酸置換は、アラニン(Ala)およびセリン(Ser)から選択され;好ましくはN-1ドメインのアミノ酸配列は、配列番号:7、8、45、46および69の1つを含むかまたはそれからなり;好ましくはX2は、約8アミノ酸長であり;好ましくはC末端ドメインは、約12~約14アミノ酸を含み;好ましくはX3は、少なくとも2つの連続した負に荷電したアミノ酸を含み、ここで各負に荷電したアミノ酸は独立して、AspおよびGluから選択され;好ましくはC末端ドメインは、配列番号:60のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり;または代替的に、式2のC末端ドメインは、配列番号:49のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
ある局面において、N-1ドメインは、配列番号:7、8、45、46および69の1つに対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する。
治療的使用
βカテニン核移行および/またはシグナル伝達経路の阻害
Dkk3遺伝子座がDKK3bという第2の遺伝子産物でありβカテニントラフィッキングを直接調節する重要な細胞内タンパク質をコードするという発見により、βカテニンシグナル伝達経路のこの重要な構成要素の分子機能についての長年にわたる混乱が解決される。DKK3bにより、Wntリガンドから独立しており胚形成に必須であるβカテニンシグナル伝達経路における調節の新たなレベルが提供される。DKK3bは、Wnt調節分解複合体の下流に位置し、そこでは、DKK3bは、核へのβカテニントラフィッキングを調節し、βカテニンをアクチン細胞骨格に再度方向づけすることによりβカテニンをタンパク質分解から保護する能力を有する。DKK3bは、ミオシンモーターおよびアクチン線維を使用して、星状細胞において、核膜腔と形質膜の細胞質表面の間を迅速に往復する。DKK3bによるこの細胞内サイクリングにより、βカテニンを核の近傍からその形質膜貯蔵所に戻すように再配置し、調節ループの以前に認識されなかったアームを閉じ得る機能的往復サービスが提供され得る。DKK3bは、Wnt/βカテニン経路の必須の構成要素であり、分化、系統明確化(lineage specification)、多能性および腫瘍形成の原因となる調節経路に影響を与える制御の新たな重要な点を提供する前増殖性βカテニンシグナル伝達分子を直接アンタゴナイズする。
DKK3bはまた、βカテニンに加えて、NF-kB、p38、DecaptorおよびErkl/2を含む他のβ-TrCP標的基質を調節するようにより広く作用する。これは、新たな次元の調節を、細胞内の最も研究されたユビキチン-プロテアソーム系(UPS)の1つに追加する。
β-TrCP基質分解および核移入のモジュレーターとして、DKK3bは、βカテニン安定化およびその後の核への移行における介入のための新たな薬物の生成のための魅力的な標的であり、該移行は、しばしば、癌/増殖性、代謝性、骨粗鬆症、神経学的、免疫学的、内分泌学的、心臓血管的、血液学的および糖尿病ほどに異なる種々のβカテニン関連疾患において脱調節される重要なステップである。
従って、本発明は、治療有効量の本発明のペプチド模倣物をβカテニン関連疾患に苦しむ患者に投与する工程を含む、βカテニン核移行またはβカテニンシグナル伝達経路を阻害する方法を提供する。
癌治療
好ましくは、本発明は、βカテニン核移行またはβカテニンシグナル伝達経路の阻害による癌の治療のための組成物および方法を提供する。本発明のペプチド模倣物を含む組成物は、多くの型の癌の治療に有用である。本発明は、治療有効量の本発明のペプチド模倣物を含む医薬組成物を、それを必要とする癌患者に投与する方法を提供する。癌を治療するための医薬組成物、投与および組み合わせ療法を、本明細書に記載する。
用語「癌」は、本明細書で使用する場合、異常な細胞が制御なしに分裂する疾患についての一般的な用語として、その通常の意味が与えられるものとする。特に、かつ本発明の態様の背景において、癌は、脈管形成関連癌をいう。癌細胞は、近くの組織に侵入し得、血流およびリンパ系を通して体の他の部分に拡散され得る。いくつかの主な癌の型があり、例えば、癌腫は、皮膚または内部の臓器に沿って並ぶもしくは覆う組織において生じる癌である。肉腫は、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管または他の結合もしくは支持組織において生じる癌である。白血病は、骨髄等の血液形成組織において生じ、多数の異常血球を生じさせ血流に入らせる癌である。リンパ腫は、免疫系の細胞において生じる癌である。
正常細胞が特異化され、制御されかつ協調された単位として挙動するそれらの能力を喪失する場合、腫瘍が形成される。一般的に、固形腫瘍は、嚢胞または液体領域を通常含まない組織の異常な塊である(いくつかの脳腫瘍は、液体で充填された嚢胞および中央壊死領域を有する)。単一の腫瘍は、その中に細胞の異なる集団さえ有し得、それらは、片方に曲がった突起(process)が異なる。固形腫瘍は、良性(癌性ではない)または悪性(癌性)であり得る。異なる型の固形腫瘍は、それらを形成する細胞の型の名を採って命名される。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫およびリンパ腫である。白血病(血液の癌)は、一般的に固形腫瘍を形成しない。
典型的な癌としては、特に、急性リンパ芽球性白血病、成人;急性リンパ芽球性白血病、小児;急性骨髄性白血病、成人;副腎皮質癌;副腎皮質癌、小児;AIDS関連リンパ腫;AIDS関連悪性疾患;肛門癌;星状細胞腫、小児小脳;星状細胞腫、小児大脳;胆管癌、肝外;膀胱癌;膀胱癌、小児;骨癌、骨肉腫/悪性線維性組織球腫;神経膠芽腫、小児;神経膠芽腫、成人;脳幹グリオーマ、小児;脳腫瘍、成人;脳腫瘍、脳幹グリオーマ、小児;脳腫瘍、小脳星状細胞腫、小児;脳腫瘍、大脳星状細胞腫/悪性グリオーマ、小児;脳腫瘍、脳室上衣腫、小児;脳腫瘍、髄芽細胞腫、小児;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;脳腫瘍、視経路及び視床下部グリオーマ、小児;脳腫瘍、小児(その他);乳癌;乳癌及び妊娠;乳癌、小児;乳癌、男性;気管支腺腫/カルチノイド、小児;カルチノイド腫瘍、小児;カルチノイド腫瘍、胃腸;癌腫、副腎皮質;癌腫、島細胞;原発不明の癌;中枢神経系リンパ腫、原発性;小脳星状細胞腫、小児;大脳星状細胞腫/悪性グリオーマ、小児;子宮頸癌;小児癌;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄増殖性疾患;腱鞘の明細胞肉腫;結腸癌;結腸直腸癌、小児;皮膚T細胞リンパ腫;子宮内膜癌;脳室上衣腫、小児;上皮性癌、卵巣;食道癌;食道癌、小児;ユーイングファミリー腫瘍;頭蓋外胚細胞腫瘍、小児;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;眼癌、眼内メラノーマ;眼癌、網膜芽細胞腫;胆嚢癌;胃(Gastric)(胃(Stomach))癌;胃(Gastric)(胃(Stomach))癌、小児;胃腸のカルチノイド腫瘍;胚細胞腫瘍、頭蓋外、小児;胚細胞腫瘍、性腺外;胚細胞腫瘍、卵巣;妊娠性栄養膜腫瘍;グリオーマ、小児脳幹;グリオーマ、小児視経路及び視床下部;有毛細胞白血病;頭頸部癌;肝細胞(肝臓)癌、成人(原発性);肝細胞(肝臓)癌、小児(原発性);ホジキンリンパ腫、成人;ホジキンリンパ腫、小児;ホジキンリンパ腫、妊娠中;下咽頭癌;視床下部及び視経路グリオーマ、小児;眼内メラノーマ;島細胞癌(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎臓癌;喉頭癌;喉頭癌、小児;白血病、急性リンパ芽球性、成人;白血病、急性リンパ芽球性、小児;白血病、急性骨髄性、成人;白血病、急性骨髄性、小児;白血病、慢性リンパ性;白血病、慢性骨髄性;白血病、ヘアリー細胞;口唇口腔癌;肝臓癌、成人(原発性);肝臓癌、小児(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ芽球性白血病、成人急性;リンパ芽球性白血病、小児急性;リンパ性白血病、慢性;リンパ腫、AIDS関連;リンパ腫、中枢神経系(原発性);リンパ腫、皮膚T細胞;リンパ腫、ホジキン、成人;リンパ腫、ホジキン;小児;リンパ腫、妊娠中のホジキン;リンパ腫、非ホジキン、成人;リンパ腫、非ホジキン、小児;リンパ腫、妊娠中の非ホジキン;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性乳癌;悪性中皮腫、成人;悪性中皮腫、小児;悪性胸腺腫;髄芽細胞腫、小児;メラノーマ;メラノーマ、眼内;メルケル細胞癌;中皮腫、悪性;原発潜在性転移性扁平頸部癌;多発性内分泌腫瘍症候群、小児;多発性骨髄腫/形質細胞新生物;菌状息肉腫;骨髄異形成症候群;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性;骨髄増殖性疾患、慢性;鼻腔及び副鼻腔癌;鼻咽頭癌;鼻咽頭癌、小児;神経芽細胞腫;神経線維腫;非ホジキンリンパ腫、成人;非ホジキンリンパ腫、小児;妊娠中の非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺癌;口腔癌、小児;口腔口唇癌;口腔咽頭癌;骨肉腫/骨悪性線維性組織球腫;卵巣癌、小児;卵巣上皮癌;卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍(ovarian low malignant potential tumor);膵臓癌;膵臓癌、小児;膵臓癌、島細胞;副鼻腔及び鼻腔癌;副甲状腺癌;陰茎癌;褐色細胞腫;松果体及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;下垂体腫瘍;形質細胞新生物/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠及び乳癌;妊娠及びホジキンリンパ腫;妊娠及び非ホジキンリンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;原発性肝臓癌、成人;原発性肝臓癌、小児;前立腺癌;直腸癌;腎細胞(腎臓)癌;腎細胞癌、小児;腎盂及び尿管、移行上皮癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;唾液腺癌、小児;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;肉腫、カポジ;肉腫(骨肉腫)/骨悪性線維性組織球腫;肉腫、横紋筋肉腫、小児;肉腫、軟部組織、成人;肉腫、軟部組織、小児;セザリー症候群;皮膚癌;皮膚癌、小児;皮膚癌(メラノーマ);皮膚癌、メルケル細胞;小細胞肺癌;小腸癌;軟部組織肉腫、成人;軟部組織肉腫、小児;原発潜在性扁平頸部癌、転移性;胃(Stomach)(胃(Gastric))癌;胃(Stomach)(胃(Gastric))癌、小児;テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;T細胞リンパ腫、皮膚;精巣癌;胸腺腫、小児;胸腺腫、悪性;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂及び尿管の移行上皮癌;栄養膜腫瘍、妊娠性;原発部位不明、小児の癌;小児にはまれな癌;尿管及び腎盂、移行上皮癌;尿道癌;子宮肉腫;膣癌;視経路及び視床下部グリオーマ、小児;外陰部癌;ワルデンストレームマクログロブリン血症;及びウィルムス腫が挙げられるがこれらに限定されない。
腫瘍は、悪性または良性として分類され得る。両方の場合において、細胞の異常な凝集および増殖がある。悪性腫瘍の場合において、これらの細胞は、より侵襲性に挙動し、増大した侵襲性の特徴を獲得する。最終的には、腫瘍細胞は、それらが生じた微小環境から離れ、体の別の領域(非常に異なる環境を有し、それらの成長を通常導くことはない)に拡散し、それらの迅速な増殖を続け、この新たな位置で分裂する能力さえ獲得し得る。これは、転移と呼ばれる。一旦、悪性細胞が転移すると、治癒の達成はより困難である。良性腫瘍は、侵入の傾向はより低く、転移の可能性はより低い。
好ましくは、本明細書に記載される組成物および方法で治療され得る癌としては、:黒色腫(例えば転移性悪性黒色腫)、腎臓癌(例えば明細胞癌)、前立腺癌(例えばホルモン難治性前立腺腺癌)、膵臓癌(例えば腺癌)、乳癌、結腸癌、肺癌(例えば非小細胞肺癌)、食道癌、頭部および頸部の扁平上皮癌、肝臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、甲状腺癌、神経膠芽腫、神経膠腫、白血病、リンパ腫ならびに他の新生物悪性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましくは、本発明の組成物および方法は、リンパ腫、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、進行性固形腫瘍、以前に治療的療法で治療されたが以前の療法に対して難治性であるままである腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない固形腫瘍の治療のために使用される。従って、本発明は、癌患者に治療有効量の本発明のペプチド模倣物を投与する工程を含む、癌患者において腫瘍を低減することを含む。
好ましくは、本発明の組成物は、癌患者において腫瘍を低減するために使用される。用語「腫瘍を低減すること」は、本明細書で使用する場合、腫瘍塊のサイズまたは体積の低減、被験体における転移した腫瘍の数の低減、癌細胞の増殖性状態(癌細胞が増殖する程度)の低減等を言う。
癌治療のための組み合わせ療法
本発明のペプチド模倣物は単一療法として癌治療において使用され得るが、本発明の文脈において、他の治療的抗癌治療とペプチド模倣物の組み合わせも企図される。従って、本発明の方法は、1つ以上の抗癌剤およびそれらの関連する抗癌療法的治療計画と組み合わせて本発明の少なくとも1つのペプチド模倣物を投与する工程を含む。用語「剤」、「抗癌療法的」、「抗癌剤」および「治療的」は、本明細書において交換可能に使用され得、集合的に、抗癌特性を有するかまたはそうでなければ癌の治療および癌治療計画に有用な化合物および分子を言い得る。
他の治療的抗癌剤および関連する治療的抗癌治療計画としては、養子細胞移入治療計画、抗原特異的予防接種、DNA修復タンパク質の阻害(例えば核酵素(nucleic enzyme)ポリ(アデノシン5'-ジホスホ-リボース)ポリメラーゼ「ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ」の阻害剤(「PARP阻害剤」)ならびに免疫チェックポイント阻害分子、例えば細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)プログラムされた死1(PD-1)抗体、例えばペンブロリズマブおよびニボルマブの遮断などの免疫療法が挙げられる。
他の共治療的抗癌治療計画としては、アルキル化剤、抗腫瘍抗生物質、代謝拮抗剤、他の抗腫瘍抗生物質および植物由来の剤、癌の治療において有効であり、当該分野で周知であり、腫瘍増殖に関連する因子のアンタゴニストを含む小分子、例えばEGFR、ErbB2(Her2としても公知) ErbB3、ErbB4またはTNF、癌の治療のための治療的タンパク質、例えば独力でまたは他の化合物の存在下で細胞死を引き起こす自殺タンパク質(suicide protein)、および治療的抗体、例えばトラスツズマブ、ベバシズマブ、リツキシマブを含むがこれらに限定されない化学療法剤との組み合わせが挙げられる。
「免疫チェックポイントタンパク質」は、免疫系において、T細胞機能を調節する。T細胞は、細胞媒介性免疫において中心的な役割を果たす。チェックポイントタンパク質は、T細胞にシグナルを送り、T細胞機能を本質的にオフにするかまたは阻害する特異的なリガンドと相互作用する。癌細胞は、腫瘍微小環境に入るT細胞の表面上にチェックポイントタンパク質を発現するT細胞の制御を生じる癌細胞の表面上のチェックポイントタンパク質の高いレベルの発現を駆動し、よって抗癌免疫応答を抑制することにより、この系を利用する。従って、本明細書で「免疫チェックポイントタンパク質(ICP)阻害剤」と言われる剤によりチェックポイントタンパク質を阻害することにより、T細胞機能の回復および癌細胞に対する免疫応答が生じる。チェックポイントタンパク質の例としては:CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK 1、CHK2、A2aR、OX40、B-7ファミリーリガンドまたはその組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤は、チェックポイントタンパク質のリガンドと相互作用し、該チェックポイントタンパク質のリガンドは、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK 1、CHK2、OX40、A2aR、B-7ファミリーリガンドまたはその組み合わせであり得る。好ましくは、チェックポイント阻害剤は、生物製剤治療剤または小分子である。好ましくは、チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、ペプチド模倣物またはその組み合わせである。好ましくは、PD1チェックポイント阻害剤としては、1つ以上の抗PD-1抗体、例えば、ニボルマブおよびペンブロリズマブが挙げられる。
本発明に従ってペプチド模倣物を用いる治療計画はまた、癌を治療するために他の治療剤と組み合わされ得る。好ましくは、治療剤および/または抗癌剤は、抗体である。好ましくは、治療剤は、治療的タンパク質である。好ましくは、治療剤は、小分子である。好ましくは、抗癌剤は、抗原である。好ましくは、治療剤は、細胞の集団である。好ましくは、治療剤は、治療的抗体である。好ましくは、治療剤は、別の細胞傷害および/または化学療法剤である。用語「細胞傷害剤」は、本明細書で使用する場合、細胞機能を阻害しもしくは妨げ、および/または細胞死もしくは破壊を引き起こす物質を言う。化学療法剤」としては、癌の治療に有用な化合物が挙げられる。
抗体
好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、治療用抗体と組み合わされる。抗体およびその抗原結合断片の製造方法は、当該分野で周知であり、例えば、米国特許第7,247,301、US2008/0138336および米国特許第7,923,221に開示され、この全ては、その全体において参照により本明細書に援用される。本発明の方法において使用され得る治療用抗体としては、使用のために、臨床試験においてまたは臨床使用のための開発において承認された当該分野で認識されている治療用抗体のいずれかが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの態様において、1つより多い治療用抗体が、本発明の組み合わせ療法に含まれ得る。治療用抗体の非限定的な例としては、限定されることなく、以下:
・トラスツズマブ(Genentech, South San Francisco, Calif.によるHERCEPTINTM)、これは、HER-2/neu陽性乳癌または転移性乳癌を治療するために使用される;
・ベバシズマブ(GenentechによるAVASTINTM)、これは、結腸直腸癌、転移性結腸直腸癌、乳癌、転移性乳癌、非小細胞肺癌または腎臓細胞癌を治療するために使用される;
・リツキシマブ(GenentechによるRITUXANTM)、これは、非ホジキンリンパ腫または慢性リンパ性白血病を治療するために使用される;
・ペルツズマブ(GenentechによるOMNITARGTM)、これは、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌または卵巣癌を治療するために使用される;
・セツキシマブ(ImClone Systems Incorporated, New York, N.Y.によるERBITUXTM)、これは、結腸直腸癌、転移性結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、脳の癌、膵臓癌、食道癌、腎細胞癌、前立腺癌、子宮頸癌または膀胱癌を治療するために使用され得る;
・IMC-1C11 (ImClone Systems Incorporated)、これは、結腸直腸癌、頭頸部癌および他の潜在的な癌標的を治療するために使用される;
・トシツモマブならびにトシツモマブおよびヨウ素I131(Corixa Corporation, Seattle, Wash.によるBEXXARTM)、これは、非ホジキンリンパ腫を治療するために使用され、これは、トランスフォーメーションを伴うおよび伴わないCD20陽性濾胞性非ホジキンリンパ腫であり得、この疾患は、リツキシマブに対して治療抵抗性であり、化学療法後再発する;
・In111イビルツモマブチウキセタン;Y90イビルツモマブチウキセタン;I111イビルツモマブチウキセタンおよびY90イビルツモマブチウキセタン(Biogen Idec, Cambridge, Mass.によるZEVALINTM)、これは、リンパ腫または非ホジキンリンパ腫を治療するために使用され、これは、再発濾胞性リンパ腫;再発または治療抵抗性の低悪性度または濾胞性非ホジキンリンパ腫;あるいは形質転換B細胞非ホジキンリンパ腫を含み得る;
・EMD 7200(EMD Pharmaceuticals, Durham, N.C.)、これは、非小細胞肺癌または子宮頸癌を治療するために使用される;
・SGN-30(Seattle Genetics, Bothell, Wash.によるCD30抗原を標的化する遺伝子操作されたモノクローナル抗体)、これは、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫を治療するために使用される;
・SGN-15(Seattle Geneticsによるドキソルビシンにコンジュゲート化された、Lewisγ-関連抗原を標的化する遺伝子操作されたモノクローナル抗体)、これは、非小細胞肺癌を治療するために使用される;
・SGN-33(Seattle GeneticsによるCD33抗原を標的化するヒト化抗体)、これは、急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)を治療するために使用される;
・SGN-40(Seattle GeneticsによるCD40抗原を標的化するヒト化モノクローナル抗体)、これは、多発性骨髄腫または非ホジキンリンパ腫を治療するために使用される;
・SGN-35(Seattle Geneticsによるアウリスタチン(auristatin)Eにコンジュゲート化された、CD30抗原を標的化する遺伝子操作されたモノクローナル抗体)、これは、非ホジキンリンパ腫を治療するために使用される;
・SGN-70(Seattle GeneticsによるCD70抗原を標的化するヒト化抗体)、これは、腎臓癌および鼻咽腔癌を治療するために使用される;
・SGN-75(Seattle GeneticsによるSGN70抗体およびAuristatin誘導体で構成されるコンジュゲート);ならびに
・SGN-17/19(Seattle Geneticsによる抗体およびメルファランプロドラッグにコンジュゲート化された酵素を含むペプチド模倣物)、これは、黒色腫または転移性黒色腫を治療するために使用される、
が挙げられる。
本発明の方法において使用されるべき治療用抗体は、本明細書に記載されるものに限定されない。例えば、以下の承認された治療用抗体はまた、本発明の方法において使用され得る:未分化大細胞リンパ腫およびホジキンリンパ腫のためのブレンツキシマブベドチン(ADCETRISTM)、黒色腫のためのイピリムマブ(MDX-101;YERVOYTM)、慢性リンパ性白血病のためのオファツムマブ(ARZERRATM)、結腸直腸癌のためのパニツムマブ(VECTIBIXTM)、慢性リンパ性白血病のためのアレムツズマブ(CAMPATHTM)、慢性リンパ性白血病のためのオファツムマブ(ARZERRATM)、急性骨髄性白血病のためのゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARGTM)。
本発明に従う使用のための抗体はまた、免疫細胞により発現される分子を標的化し得、例えば、トレメリムマブ(CP-675,206)およびイピリムマブ(MDX-010)、これは、CTLA4を標的化し、腫瘍拒絶、再攻撃からの保護および増強された腫瘍特異的T細胞応答の効果を有する;OX86、これは、OX40を標的化し、腫瘍部位で抗原特異的CD8+ T細胞を増加させ、腫瘍拒絶を増強する;CT-011、これは、PD 1を標的化し、腫瘍特異的記憶T細胞を維持および増殖する効果を有し、NK細胞を活性化する;BMS-663513、これは、CD137を標的化し、確立された腫瘍の退縮ならびにCD8+ T細胞の増殖および維持を引き起こす、ならびにダクリズマブ(ZENAPAXTM)、これは、CD25を標的化し、CD4+CD25+FOXP3+Tregの一過性の涸渇を引き起こし、腫瘍退縮を増大させ、エフェクターT細胞の数を増加させる、であるがこれらに限定されない。これらの抗体のより詳細な考察は、例えば、Weiner et al., Nature Rev. Immunol 2010; 10:317-27に見出され得る。
治療用抗体は、抗体の断片;抗体を含む複合体;または抗体を含むコンジュゲートであり得る。抗体は、任意に、キメラまたはヒト化または完全ヒトであり得る。
ペプチドおよびタンパク質
好ましくは、本発明の方法は、治療的タンパク質またはペプチドと組み合わせての本発明のペプチド模倣物の投与を含む。癌の治療に有効な治療的タンパク質は、当該分野で周知である。好ましくは、治療的ポリペプチドまたはタンパク質は、独力でまたは他の化合物の存在下で細胞死を引き起こす「自殺タンパク質」である。
かかる自殺タンパク質の代表的な例は、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼである。さらなる例としては、水痘帯状疱疹ウイルスのチミジンキナーゼ、細菌遺伝子シトシンデアミナーゼ(これは、5-フルオロシトシンを高度に毒性の化合物である5-フルオロウラシルに変換する)、p450オキシドレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2、β-グルクロニダーゼ、ペニシリン-V-アミダーゼ、ペニシリン-G-アミダーゼ、β-ラクタマーゼ、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼA、リナマラーゼ(β-グルコシダーゼともいわれる)、大腸菌gpt遺伝子、および大腸菌Deo遺伝子が挙げられるが、他のものも当該分野において公知である。いくつかの態様において、自殺タンパク質は、プロドラッグを毒性化合物に変換する。
本明細書で使用する場合、「プロドラッグ」は、毒性生成物、即ち、腫瘍細胞に対して毒性のものに変換され得る本発明の方法において有用な任意の化合物を意味する。プロドラッグは、自殺タンパク質により毒性生成物に変換される。かかるプロドラッグの代表的な例としては:チミジンキナーゼに対してガンシクロビル、アシクロビルおよびFIAU(1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル(iod-ouracil));オキシドレダクターゼに対してイホスファミド;VZV-TKに対して6-メトキシプリンアラビノシド;シトシンデアミナーゼに対して5-フルオロシトシン;β-グルクロニダーゼに対してドキソルビシン;ニトロレダクターゼに対してCB 1954およびニトロフラゾン;ならびにカルボキシペプチダーゼ Aに対してN-(シアノアセチル)-L-フェニルアラニンまたはN-(3-クロロプロピオニル)-L-フェニルアラニンが挙げられる。プロドラッグは、当業者により容易に投与され得る。当業者は、プロドラッグの投与のための最も適切な用量および経路を容易に決定し得る。
好ましくは、治療的タンパク質またはポリペプチドは、癌サプレッサ、例えばp53またはRbであるか、あるいはかかるタンパク質またはポリペプチドをコードするヌード酸(nude acid)である。当業者は、広範囲のかかる癌サプレッサ、ならびにどのようにそれらおよび/またはそれらをコードする核酸を得るかを知っている。
抗癌/治療的タンパク質またはポリペプチドの他の例としては、プロアポトーシス治療的タンパク質およびポリペプチド、例えば、p15、p16またはp21WAF-1が挙げられる。
サイトカインおよびそれらをコードする核酸はまた、治療的タンパク質およびポリペプチドとして使用され得る。例としては:GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子);TNF-α(腫瘍壊死因子α);インターフェロン、これは、IFN-αおよびIFN-γを含むがこれらに限定されない;ならびにインターロイキン、これは、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキンβ(IL-β)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン5(IL-5)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン8(IL-8)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン13(IL-13)、インターロイキン14(IL-14)、インターロイキン15(IL-15)、インターロイキン16(IL-16)、インターロイキン18(IL-18)、インターロイキン23(IL-23)、インターロイキン24(IL-24)を含むがこれらに限定されない、が挙げられるが、他の態様が当該分野において公知である。
細胞殺傷性遺伝子のさらなる例としては、変異サイクリンG1遺伝子が挙げられるが、これに限定されない。例として、細胞殺傷性遺伝子は、サイクリンG1タンパク質のドミナントネガティブ変異(例えば、WO/01/64870)であり得る。
ワクチン
好ましくは、本発明の方法は、癌特異的免疫応答、例えば、生来のおよび適応的免疫応答の刺激のための、癌に対する宿主免疫を生成するための癌ワクチンと組み合わせての、本発明のペプチド模倣物の投与を含む。例示的なワクチンとしては、例えば、抗原ワクチン、全細胞ワクチン、樹状細胞ワクチンおよびDNAワクチンが挙げられるがこれらに限定されない。ワクチンの特定の型に依存して、ワクチン組成物は、被験体のワクチンに対する免疫応答を増強することが公知である1つ以上の適切なアジュバントを含み得る。
ワクチンは、例えば、細胞ベースであり得、即ち、抗原を同定しかつ得るために患者自身の癌細胞からの細胞を使用して作製され得る。例示的なワクチンとしては、腫瘍細胞ベースのおよび樹状細胞ベースのワクチンが挙げられ、ここで、被験体からの活性化免疫細胞は、他のタンパク質と共に同じ被験体に戻して送達され、これらの腫瘍抗原感作(primed)免疫細胞の免疫活性化をさらに容易にする。腫瘍細胞ベースのワクチンとしては、全腫瘍細胞および遺伝子改変腫瘍細胞が挙げられる。全腫瘍細胞ワクチンは、任意に、抗原提示を増強するために、例えば、腫瘍細胞または腫瘍溶解物)のいずれかを照射することにより、プロセシング(processed)され得る。ワクチン投与はまた、使用するワクチンの型に依存して、カルメット-ゲラン杆菌(BCG)またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)等のアジュバントを伴い得る。プラスミドDNAワクチンはまた、使用され得、直接注射または遺伝子銃(biolistically)を介して投与され得る。ペプチドワクチン、ウイルス遺伝子転移ベクターワクチンおよび抗原改変樹状細胞(DC)は、使用のためにも企図される。
好ましくは、ワクチンは、治療的癌ペプチドベースのワクチンである。ペプチドワクチンは、公知の配列を使用するかまたは被験体自身の腫瘍(1つまたは複数)から単離した抗原から作製され得、新生抗原および改変抗原を含み得る。例示的な抗原ベースのワクチンとしては、抗原が腫瘍特異的抗原であるものが挙げられる。例えば、腫瘍特異的抗原は、特に、癌精巣抗原、分化抗原および広く生じる過剰発現腫瘍関連抗原から選択され得る。腫瘍関連抗原からのペプチドに基づく組換えペプチドワクチンは、本方法において使用される場合、アジュバントまたは免疫モジュレーターと共に投与され得るかまたは製剤化され得る。ペプチドベースのワクチンにおいて使用するための例示的な抗原としては、以下が挙げられるがこれらに限定されず、なぜなら、このリストは、純粋に例示を表す意図であるからである。例えば、ペプチドワクチンは、MAGE、BAGE、NY-ESO-1およびSSX-2等の癌精巣抗原を含み得、これらは、成人組織で通常サイレンシングされているが、腫瘍細胞で転写的に再活性化されている遺伝子によりコードされる。あるいは、ペプチドワクチンは、組織分化関連抗原、即ち、正常な組織起源でありかつ正常および腫瘍組織の両方に共有される抗原を含み得る。例えば、ワクチンは、gp100、Melan-A/Mart-1、MAGE-3またはチロシナーゼ等の黒色腫関連抗原を含み得るか;PSAまたはPAP等の前立腺癌抗原を含み得る。ワクチンは、マンマグロビン-A等の乳癌関連抗原を含み得る。本方法で使用するためにワクチンに含まれ得る他の腫瘍抗原としては、例えば、CEA、MUC-1、HER1/Nue、hTERT、rasおよびB-rafが挙げられ得る。ワクチンで使用し得る他の適切な抗原としては、癌幹細胞またはEMTプロセスに関連するSOX-2およびOCT-4が挙げられる。
抗原ワクチンとしては、多抗原および単一抗原ワクチンが挙げられる。例示的な癌抗原としては、約5~約30アミノ酸または約6~25アミノ酸または約8~20アミノ酸を有するペプチドが挙げられ得る。
上記したように、免疫刺激アジュバント(RSLAIL-2とは異なる)は、ワクチン、特に、腫瘍関連抗原ベースのワクチンにおいて使用され得、効果的な免疫応答の生成を補助する。例えば、ワクチンは、免疫の改善を補助するために、病原体関連分子パターン(PAMP)を組み込み得る。さらなる適切なアジュバントとしては、モノホスホリル脂質Aまたは他のリポ多糖;例えば、イミキモド、レシキモド(R-848)、TLR3、IMO-8400およびリンタトリモド等のトール様受容体(TLR)アゴニストが挙げられる。使用に適切なさらなるアジュバントとしては、熱ショックタンパク質が挙げられる。
遺伝子ワクチンは、典型的に、発現カセットを保持するウイルスまたはプラスミドDNAベクターを使用する。投与の際、該ベクターは、炎症性応答の一部として体細胞または樹状細胞にトランスフェクトし、それにより、クロスプライミングまたは直接の抗原提示を生じる。好ましくは、遺伝子ワクチンは、1回の免疫において複数の抗原の送達を提供するものである。遺伝子ワクチンとしては、DNAワクチン、RNAワクチンおよびウイルスベースのワクチンが挙げられる。
本方法において使用するためのDNAワクチンは、腫瘍抗原を送達および発現するために構築される細菌プラスミドである。DNAワクチンは、任意の適切な投与の様式で投与され得、例えば、皮下または皮内注射で投与され得るが、リンパ節に直接注射されることもあり得る。送達のさらなる様式としては、例えば、遺伝子銃、エレクトロポレーション、超音波、レーザー、リポソーム、微粒子およびナノ粒子が挙げられる。
好ましくは、ワクチンは、新生抗原または複数の新生抗原を含む。好ましくは、ワクチンは、新生抗原ベースのワクチンである。好ましくは、新生抗原ベースのワクチン(NBV)組成物は、複数の癌新生抗原を一列に(in tandem)にコードし得、ここで、各新生抗原は、癌細胞において変異したタンパク質由来のポリペプチド断片である。例えば、新生抗原ワクチンは、複数の免疫原性ポリペプチド断片をコードする核酸構築物を含む第1のベクターを含み得、タンパク質の各々は癌細胞において変異し、各々の免疫原性ポリペプチド断片は、元のタンパク質からの可変数の野生型アミノ酸に隣接される1つ以上の変異アミノ酸を含み、各ポリペプチド断片は、頭から尾へと連結され、免疫原性ポリペプチドを形成する。免疫原性ポリペプチドを形成する免疫原性ポリペプチド断片の各々の長さは、変化し得る。
ウイルス遺伝子転移ベクターワクチンはまた、使用され得;かかるワクチンにおいて、組換え遺伝子操作(recombinant engineered)ウイルス、酵母、細菌等は、患者の免疫細胞に癌特異的タンパク質を導入するために使用される。腫瘍溶解性または非腫瘍溶解性であり得るベクターベースのアプローチにおいて、ベクターは、例えば、その固有の免疫刺激特性のために、ワクチンの有効性を増大し得る。例示的なウイルスベースのベクターとしては、ワクシニア、改変ワクシニア株Ankaraおよびアビポックスウイルス等のポックスウイルス科からのものが挙げられる。組換えコンピテントワクシニア感作ベクターおよび組換え非コンピテントフォウルボックス(fowlbox)ブーストベクターを含む癌ワクチンであるPROSTVACも、使用に適切である。各ベクターは、PSAならびに集合的にTRICOMと言われる3つの共刺激分子であるCD80、CD54およびCD58についてのトランスジーンを含む。他の適切なベクターベースの癌ワクチンとしては、TrovaxおよびTG4010(MUC1抗原およびIL-2をコードする)が挙げられる。使用のためのさらなるワクチンとしては、細菌および酵母ベースのワクチン、例えば、組換えリステリア菌およびサッカロミセス・セレビシエが挙げられる。
前記のワクチンは、効力を増大するためにアジュバントおよび他の免疫ブースターと組み合わされ得るかおよび/または製剤化され得る。特定のワクチンに依存して、投与は、腫瘍内または非腫瘍内(即ち全身性)のいずれかであり得る。
小分子
好ましくは、本発明の方法は、抗癌小分子と組み合わせての、本発明のペプチド模倣物の共投与を含む。癌の治療に有効な小分子は、当該分野で周知であり、腫瘍増殖に関与する因子、例えばEGFR、ErbB2(Her2としても公知) ErbB3、ErbB4またはTNFのアンタゴニストを含む。非限定的な例としては、1つ以上のチロシンキナーゼ受容体、例えばVEGF受容体、FGF受容体、EGF受容体およびPDGF受容体を標的化する小分子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKI)が挙げられる。
多くの治療的小分子RTKIは、当該分野で公知であり、バタラニブ(PTK787)、エルロチニブ(TARCEVATM)、OSI-7904、ZD6474(ZACTIMATM)、ZD6126(ANG453)、ZD1839、スニチニブ(SUTENTTM)、セマキサニブ(SU5416)、AMG706、AG013736、Imatinib(GLEEVECTM)、MLN-518、CEP-701、PKC-412、Lapatinib(GSK572016)、VELCADETM、AZD2171、ソラフェニブ(NEXAVARTM)、XL880およびCHIR-265が挙げられるがこれらに限定されない。小分子タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、例えば、Jiang et al., Cancer Metastasis Rev. 2008; 27:263-72に開示されるものはまた、本発明の方法を実施するのに有用である。かかる阻害剤は、例えば、HSP2、PRL、PTP1BまたはCdc25ホスファターゼを標的化し得る。
Bcl-2/Bcl-XLを標的化する小分子、例えば、US2008/0058322に開示されるものはまた、本発明の方法を実施するのに有用である。本発明において使用するためのさらなる例示的な小分子は、Zhang et al. Nature Reviews: Cancer 2009; 9:28-39に開示される。特に、免疫原性細胞死を生じる化学療法剤、例えば、アントラサイクリン(Kepp et al., Cancer and Metastasis Reviews 2011; 30:61-9)は、延長されたPK IL-2との相乗効果に良好に適している。
さらなる癌抗原およびワクチン
好ましくは、本発明の方法は、例えば、癌ワクチンとして使用するための、癌抗原と組み合わせての本発明のペプチド模倣物の投与を含む(例えば、Overwijk, et al. Journal of Experimental Medicine 2008; 198:569-80参照)。予防接種に使用され得る他の癌抗原としては、(i)腫瘍特異的抗原、(ii)腫瘍関連抗原、(iii)腫瘍特異的抗原を発現する細胞、(iv)腫瘍関連抗原を発現する細胞、(v)腫瘍上の胎児抗原(embryonic antigen)、(vi)自己腫瘍細胞、(vii)腫瘍特異的膜抗原、(viii)腫瘍関連膜抗原、(ix)成長因子受容体、(x)成長因子リガンドおよび(xi)癌に関連する任意の他の型の抗原または抗原提示細胞もしくは材料が挙げられるがこれらに限定されない。
癌抗原は、上皮癌抗原、(例えば、乳、胃腸、肺)、前立腺特異的癌抗原(PSA)または前立腺特異的膜抗原 (PSMA)、膀胱癌抗原、肺(例えば、小細胞肺)癌抗原、結腸癌抗原、卵巣癌抗原、脳の癌抗原、胃癌抗原、腎細胞癌抗原、膵臓癌抗原、肝臓癌抗原、食道癌抗原、頭頸部癌抗原あるいは結腸直腸癌抗原であり得る。
別の態様において、癌抗原は、リンパ腫抗原(例えば、非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫)、B細胞リンパ腫癌抗原、白血病抗原、骨髄腫(即ち、多発性骨髄腫または形質細胞骨髄腫)抗原、急性リンパ芽球性白血病抗原、慢性骨髄性白血病抗原または急性骨髄性白血病抗原である。記載された癌抗原は、ほんの例示であり、その任意の癌抗原が本発明において標的化され得る。
好ましくは、癌抗原は、全てのヒト腺癌:膵臓、結腸、乳、卵巣、肺、前立腺、頭頸部、例えば、多発性骨髄腫およびいくつかのB細胞リンパ腫上で見出されるムチン-1タンパク質またはペプチド(MUC-1)である。炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎のいずれかを有する患者は、結腸直腸癌を発症する増大したリスクにある。MUC-1は、I型膜貫通糖タンパク質である。MUC-1の主な細胞外部分は、免疫原性エピトープを含む20アミノ酸からなる多数のタンデムリピートを有する。いくつかの癌において、それは、免疫系により認識される非グリコシル化形態において曝露される(Gendler et al., J Biol Chem 1990; 265:15286-15293)。
別の態様において、癌抗原は、黒色腫および結腸癌と関連する変異B-Raf抗原である。大多数のこれらの変異は、ヌクレオチド1796においてT-Aの単一ヌクレオチド変化を示し、これは、B-Rafの活性化セグメント内の残基599でバリンからグルタミン酸への変化を生じる。Rafタンパク質はまた、全てのヒトの癌の約1/3に存在するその腫瘍形成形態である活性化Rasタンパク質のエフェクターとして癌に間接的に関連する。正常な非変異B-Rafは、細胞膜から核へとシグナルをリレーする細胞シグナル伝達に関与する。タンパク質は、通常、シグナルをリレーするのに必要な場合にのみ活性である。対照的に、変異体B-Rafは、定常的に活性であり、シグナル伝達リレーを破壊するものとして報告されている(Mercer and Pritchard, Biochim Biophys Acta (2003) 1653(1):25-40; Sharkey et al., Cancer Res. (2004) 64(5):1595-1599)。
好ましくは、癌抗原は、ヒト上皮成長因子受容体-2(HER-2/neu)抗原である。HER-2/neuを過剰発現する細胞を有する癌は、HER-2/neu+癌と言われる。例示的なHER-2/neu+癌としては、前立腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、肝臓癌(例えば、肝細胞腺癌)、腸の癌および膀胱癌が挙げられる。
HER-2/neuは、上皮成長因子受容体(EGFR)と40%の相同性を有する約645aaの細胞外結合ドメイン(ECD)、高度に疎水性の膜貫通アンカードメイン(TMD)、およびEGFRと80%の相同性を有する約580aaのカルボキシ末端細胞内ドメイン(ICD)を有する。HER-2/neuのヌクレオチド配列は、GENBANKTMで入手可能である。アクセッション番号AH002823(ヒトHER-2遺伝子、プロモーター領域およびエキソン1);M16792(ヒトHER-2遺伝子、エキソン4):M16791(ヒトHER-2遺伝子、エキソン3);M16790(ヒトHER-2遺伝子、エキソン2);およびM16789(ヒトHER-2遺伝子、プロモーター領域およびエキソン1)。HER-2/neuタンパク質についてのアミノ酸配列は、GENBANKTMで入手可能である。アクセッション番号AAA58637。これらの配列に基づいて、当業者は、有効な免疫応答を生じる適切なエピトープを見出すために、公知のアッセイを使用してHER-2/neu抗原を開発し得る。
例示的なHER-2/neu抗原としては、p369-377(HER-2/neu由来HLA-A2ペプチド);dHER2(Corixa Corporation);li-Key MHCクラスIIエピトープハイブリッド(Generex Biotechnology Corporation);ペプチドP4(アミノ酸378-398);ペプチドP7(アミノ酸610-623);ペプチドP6(アミノ酸544-560)とP7の混合物;ペプチドP4、P6およびP7の混合物;HER2[9754];等が挙げられる。
好ましくは、癌抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)抗原である。EGFR抗原は、EGFRバリアント1抗原、EGFRバリアント2抗原、EGFRバリアント3抗原および/またはEGFRバリアント4抗原であり得る。EGFRを過剰発現する細胞を有する癌は、EGFR癌と言われる。例示的なEGFR癌としては、肺癌、頭頸部癌、結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、脳の癌および膀胱癌が挙げられる。
好ましくは、癌抗原は、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)抗原である。VEGFRは、癌誘導脈管形成の調節因子と考えられている。VEGFRを過剰発現する細胞を有する癌は、VEGFR+癌と呼ばれる。例示的なVEGFR+癌としては、乳癌、肺癌、小細胞肺癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、白血病およびリンパ性白血病が挙げられる。
好ましくは、癌抗原は、前立腺特異的抗原(PSA)および/または前立腺特異的膜抗原(PSMA)であり、これらは、アンドロゲン非依存性前立腺癌において優勢に発現される。
好ましくは、癌抗原は、Gp-100糖タンパク質100(gp 100)であり、これは、黒色腫に関連する腫瘍特異的抗原である。
好ましくは、癌抗原は、癌胎児(CEA)抗原である。CEAを過剰発現する細胞を有する癌は、CEA+癌と言われる。例示的なCEA+癌としては、結腸直腸癌、胃癌および膵臓癌が挙げられる。例示的なCEA抗原としては、CAP-1(即ち、CEA aa571-579)、CAP1-6D、CAP-2(即ち、CEA aa555-579)、CAP-3(即ち、CEA aa87-89)、CAP-4(CEA aa1-11)、CAP-5(即ち、CEA aa345-354)、CAP-6(即ち、CEA aa19-28)およびCAP-7が挙げられる。
好ましくは、癌抗原は、炭水化物抗原10.9(CA 19.9)である。CA 19.9は、Lewis A血液群物質に関連するオリゴ糖であり、結腸直腸癌に関連する。
好ましくは、癌抗原は、黒色腫癌抗原である。黒色腫癌抗原は、黒色腫の治療に有用である。例示的な黒色腫癌抗原としては、MART-1(例えば、MART-1 26-35ペプチド、MART-1 27-35ペプチド);MART-1/Melan A;pMel17;pMel17/gp100;gp100(例えば、gp 100 ペプチド280-288、gp 100ペプチド154-162、gp 100ペプチド457-467);TRP-1;TRP-2;NY-ESO-1;p16;β-カテニン;mum-1;等が挙げられる。
好ましくは、癌抗原は、変異体または野生型rasペプチドである。変異体rasペプチドは、変異体K-rasペプチド、変異体N-rasペプチドおよび/または変異体H-rasペプチドであり得る。rasタンパク質における変異は、典型的に、12位(例えば、グリシンの代わりにアルギニンまたはバリン)、13位(例えば、グリシンの代わりにアスパラギン)、61位(例えば、グルタミンからロイシンへの)および/または59位で生じる。変異体rasペプチドは、肺癌抗原、胃腸癌抗原、肝癌抗原、骨髄癌抗原(例えば、急性白血病、脊髄形成異常)、皮膚癌抗原(例えば、黒色腫、基底細胞、扁平上皮細胞)、膀胱癌抗原、結腸癌抗原、結腸直腸癌抗原および腎細胞癌抗原として有用であり得る。
本発明の別の態様において、癌抗原は、変異体および/または野生型p53ペプチドである。p53ペプチドは、結腸癌抗原、肺癌抗原、乳癌抗原、肝細胞癌癌抗原、リンパ腫癌抗原、前立腺癌抗原、甲状腺癌抗原、膀胱癌抗原、膵臓癌抗原および卵巣癌抗原として使用され得る。
癌抗原は、細胞、タンパク質、ペプチド、融合タンパク質、ペプチドまたはタンパク質をコードするDNA、ペプチドまたはタンパク質をコードするRNA、糖タンパク質、リポ蛋白、リン蛋白、炭水化物、リポ多糖、脂質、それらの2つ以上の化学的に連結された組み合わせ、それらの2つ以上の融合体(fusion or)、あるいはそれらの2つ以上の混合物であり得る。別の態様において、癌抗原は、約6~約24アミノ酸;約8~約20アミノ酸;約8~約12アミノ酸;約8~約10アミノ酸;または約12~約20アミノ酸を含むペプチドである。1つの態様において、癌抗原は、MHCクラスI結合モチーフまたはMHCクラスII結合モチーフを有するペプチドである。別の態様において、癌抗原は、1つ以上の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープに対応するペプチドを含む。
細胞療法
好ましくは、本発明の方法は、治療的細胞療法と組み合わせての、本発明のペプチド模倣物の投与を含む。癌を治療するために有用な細胞療法は、周知であり、例えば、米国特許第7,402,431に開示される。好ましい態様において、細胞療法は、T細胞移植である。好ましい方法において、T細胞は、被験体への移植の前に、IL-2を伴うエキソビボで増殖される。細胞療法のための方法は、例えば、米国特許第7,402,431、US2006/0057121、米国特許第5,126,132、米国特許第6,255,073、米国特許第5,846,827、米国特許第6,251,385、米国特許第6,194,207、米国特許第5,443,983、米国特許第6,040,177、米国特許第5,766,920およびUS2008/0279836に開示される。
化学療法
好ましくは、本発明の方法は、化学療法剤と組み合わせての、本発明のペプチド模倣物の投与を含み、該化学療法剤としては、アルキル化剤、抗腫瘍抗生物質、代謝拮抗剤、他の抗腫瘍抗生物質および植物由来の剤が挙げられるが、これらに限定されない。
アルキル化剤は、生物学的に重要な分子中のアミノ、カルボキシル、スルフヒドリルおよびホスフェート基と共有結合を形成することにより細胞機能を害する薬物である。アルキル化の最も重要な部位は、DNA、RNAおよびタンパク質である。アルキル化剤は、活性について細胞増殖に依存するが、細胞周期の期(phase)特異的ではない。本発明における使用に適切なアルキル化剤としては、ビスクロロエチルアミン(ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード)、アジリジン(例えば、チオテパ)、アルキルアルコンスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、BCNU、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン)、非古典的アルキル化剤(例えば、アルトレタミン、ダカルバジンおよびプロカルバジン)、および白金化合物(例えば、カルボプラチン、オキサリプラチンおよびシスプラチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
アドリアマイシン等の抗腫瘍抗生物質は、グアニン-シトシンおよびグアニン-チミン配列でDNAにインターカレートし、自発的酸化、および鎖切断を引き起こす遊離酸素ラジカルの形成を生じる。本発明における使用に適切な他の抗生物質剤としては、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびアントラセンジオン)、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシンおよびプリカトマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明における使用に適切な代謝拮抗剤としては、フロクスウリジン、フルオロウラシル、メトトレキサート、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン、メルカプトプリン、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン、アスパラギナーゼおよびゲムシタビンが挙げられるが、これらに限定されない。
植物由来の剤としては、タキサンが挙げられ、これは、イチイ植物の針状葉(needle)から抽出される前駆体の半合成誘導体である。これらの薬物は、新規の14員環であるタキサンを有する。微小管脱会合(disassembly)を引き起こすビンカアルカロイドとは異なり、タキサン(例えば、タキソール)は、微小管会合(assembly)および安定を促進し、従って、有糸分裂での細胞周期を妨げる。他の植物由来の剤としては、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、ビノレルビン、エトポシド、テニポシドおよびドセタキセルが挙げられるが、これらに限定されない。
組み合わせ療法のための組成物
好ましくは、本発明のペプチド模倣物は、1つ以上のさらなる治療剤または他の治療剤、例えば、治療用抗体と一緒に(同時にまたは連続的に)投与される。好ましくは、ペプチド模倣物は、1つ以上の抗癌療法剤、例えば、治療用抗体の投与の前に投与される。好ましくは、ペプチド模倣物は、1つ以上の抗癌療法剤、例えば、治療用抗体の投与と同時に投与される。好ましくは、ペプチド模倣物は、1つ以上の抗癌療法剤、例えば、治療用抗体の投与に続いて投与される。好ましくは、ペプチド模倣物および1つ以上の治療剤、例えば、治療用抗体は、同時に投与される。他の態様において、ペプチド模倣物および1つ以上の治療剤、例えば、治療用抗体は、連続的に投与される。好ましくは、ペプチド模倣物および1つ以上の治療剤、例えば、治療用抗体は、互いの1、2または3日以内に投与される。
1つ以上の治療剤は、癌のための補助療法として働くもの、例えば、サイトカイン、化学療法剤、小分子、抗原または治療用抗体であり得、これは、当該分野で周知であり、上記で議論される。さらなる剤のさらなる非限定的な例としては、GM-CSF(単球および好中球の集団を増殖させる)、IL-7(記憶T細胞の生成及び生存に重要である)、インターフェロンα、腫瘍壊死因子α、IL-12および治療用抗体、例えば、抗PD-1、抗PD-L、抗CTLA4、抗CD40、抗OX40および抗CD137、PARP阻害剤、抗体が挙げられる。いくつかの態様において、被験体は、予防の同じ期間、障害の発生および/または治療の期間の間、ペプチド模倣物および1つ以上の治療剤を受ける。
好ましくは、本発明は、ペプチド模倣物と薬学的に許容可能な希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤および/またはアジュバントを含む別個の医薬組成物、ならびに1つ以上の治療剤、例えば、治療用抗体と薬学的に許容可能な希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤および/またはアジュバントを含む別の医薬組成物を提供する。
好ましくは、本発明は、同じ組成物中にペプチド模倣物および1つ以上の治療的または抗癌剤を含み、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤および/またはアジュバントと一緒にされている医薬組成物を提供する。
他の疾患の治療
本発明のペプチド模倣物は、さらなるβカテニン関連障害の治療に有用であり得、ここで、βカテニン核移行の阻害またはβカテニンシグナル伝達経路の阻害が所望される。かかる疾患および障害としては:代謝性疾患、骨粗鬆症、神経学的疾患、免疫学的疾患、内分泌学的疾患、心臓血管疾患、血液学的疾患および炎症性疾患が挙げられるがこれらに限定されない。
好ましくは、本発明は、患者の心臓血管疾患を治療する方法を提供し、該方法は、患者に治療有効量の本発明のペプチド模倣物を投与する工程を含む。「心臓血管疾患」は、本明細書において、心臓または血管に影響する疾患または障害として定義される。心臓血管疾患または障害の非限定的な例としては、主に、動脈硬化症の急性および慢性の発現、例えば、急性冠動脈症候群、脳卒中、一過性の虚血性発作、不整脈、心不全および末梢動脈疾患が挙げられる。本発明はまた、心臓血管疾患を治療するための組み合わせ療法を企図し、該組み合わせ療法は、本発明のペプチド模倣物および心臓血管疾患を治療するための当該分野で公知の任意の他の治療を含む。
好ましくは、本発明は、患者において炎症性疾患を治療する方法を提供し、該方法は、患者に治療有効量の本発明のペプチド模倣物を投与する工程を含む。本明細書に開示される組成物および方法で治療され得る炎症性疾患または状態としては、当該分野で公知のものとしての炎症またはアレルギープロセスを特徴とする任意の疾患または状態、例えば、炎症、急性炎症、慢性炎症、呼吸器疾患、アテローム性動脈硬化症、乾癬、皮膚炎、再狭窄、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、敗血症性ショック、関節リウマチ、炎症性腸疾患、炎症性骨盤疾患(inflammatory pelvic disease)、疼痛、眼性炎症性疾患、セリアック病、リー症候群、グリセロールキナーゼ欠損、家族性好酸球増加症、常染色体劣性痙性失調症(spastic ataxia)、喉頭炎症性疾患;結核、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、珪肺症および他の塵肺症が挙げられる。
本発明の方法に従って治療可能であり得る他の疾患および状態としては:加齢(Ageing)、頭痛、複合局所疼痛症候群、心臓肥大、筋ジストロフィ(2A型)、異化障害;真性糖尿病、1型糖尿病、2型、胎児発育遅延、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、心臓疾患、慢性心不全、虚血/再灌流、脳卒中、狭心症、肺疾患、嚢胞性線維症 肺高血圧、硝子膜、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝臓疾患、レプトスピラ症、腎臓疾患、腸疾患、腹膜子宮内膜症、皮膚疾患、鼻副鼻腔炎、無汗性外胚葉性形成異常(Anhidrotic Ecodermal Dysplasia)-ID、ベーチェット病、色素失調症、結核、喘息、関節炎、クローン病、結腸炎、眼アレルギー、Bielory緑内障、虫垂炎、パジェット病、膵臓炎、歯周炎(Periodonitis)、子宮内膜症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、シリカ誘導性敗血症、睡眠時無呼吸、AIDS(HIV-1)、自己免疫、抗リン脂質症候群、狼瘡、ループス腎炎、慢性疾患症候群、家族性地中海熱、遺伝性周期熱症候群、心理社会的ストレス疾患、神経病理学的疾患、家族性アミロイドポリニューロパチー、炎症ニューロパシー、外傷性脳損傷、パーキンソン病、多発性硬化症、リウマチ病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(Amyotropic lateral sclerosis)(ALS)、ハンティングトン病、網膜疾患、白内障および聴覚障害が挙げられる。
医薬組成物
本発明は、本発明の1つ以上のペプチド模倣物および1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、1つ以上のさらなる活性物質、例えば、治療的におよび/または予防的に活性な物質を任意に含み得る。製剤における一般的な考察および/または医薬剤の製造は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005(参照により本明細書に援用される)に見出され得る。
好ましくは、組成物は、ヒト、ヒト患者または被験体に投与される。本開示の目的のために、句「活性成分」は、一般的に、本明細書に記載されるように送達されるべき本発明のペプチド模倣物またはそのバリアントを言う。
本発明の医薬組成物は、1つ以上の賦形剤を使用して製剤化され得る。本明細書に記載される医薬組成物は、薬理学の分野で開発された公知または以下の任意の方法により調製され得る。一般的に、かかる調製方法は、活性成分と賦形剤および/または1つ以上の補助成分を結びつける(associate)工程を含む。
医薬製剤は、薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含み得、該賦形剤としては、本明細書で使用する場合、所望の特定の剤形に適切であるような、任意および全ての溶媒、分散媒、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、濃化または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤、リピドイド、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コアシェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質およびそれらの組み合わせが挙げられる。Remington's The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro (Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2006;参照により本明細書に援用される)は、医薬組成物の製剤化に使用される種々の賦形剤およびその調製のための公知の技術を開示する。
注射可能な調製物、例えば、滅菌注射可能な水性または油性の懸濁物は、適切な分散剤、湿潤剤および/または懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射可能な調製物は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤および/または溶媒中の滅菌注射可能な溶液、懸濁物および/またはエマルジョンであり得る。使用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒の中に、水、リンガー溶液U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒として、慣用的に使用される。この目的のために、合成モノ-またはジグリセリドを含む任意の刺激の強くない固定油が、使用され得る。オレイン酸等の脂肪酸は、注射可能なものの調製物中で使用され得る。
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することによりおよび/または滅菌固体組成物の形態で安定化剤を組み込むことにより、滅菌され得、該滅菌固体組成物は、使用前に、滅菌水または他の滅菌注射可能な媒体中に溶解され得るかまたは分散され得る。製剤における一般的な考察および/または医薬剤の製造は、例えば、Remington's The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro (Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, Md., 2006;参照により本明細書に援用される)に見出され得る。
用量および投与
本発明は、本発明のペプチド模倣物を該ペプチド模倣物の投与を必要とする被験体に投与する工程を含む方法を提供する。好ましくは、本発明のペプチド模倣物および本発明のペプチド模倣物を含む医薬組成物は、治療的に効果的な結果を生じる任意の経路により投与され得、該経路としては、経腸的、経胃腸的(gastroenteral)、硬膜外(epidural)、経口、経皮的(transdermal)、硬膜上(epidural)(硬膜上(peridural))、大脳内(大脳への)、脳室内(脳室への)、経皮的(epicutaneous)(皮膚上への適用)、皮内、(皮膚自体への)、皮下(皮膚の下)、鼻投与(鼻を通して)、静脈内(静脈への)、動脈内(動脈への)、筋内(筋肉への)、心臓内(心臓への)、骨内注入(骨髄への)、鞘内(脊柱管への)、腹腔内、(腹膜への注入または注射)、膀胱内注入、硝子体内(intravitreal)、(眼を通して)、海綿内注射、(陰茎の基部への)、腟内投与、子宮内、羊膜外(extra-amniotic)投与、経皮的(全身性分布のための無傷の皮膚を通しての拡散)、経粘膜(粘膜を通しての拡散)、ガス注入(鼻吸入(snorting))、舌下、口唇下(sublabial)、浣腸、点眼剤(結膜上に)または点耳剤において、が挙げられるが、これらに限定されない。
必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢および一般的な状態、疾患の重篤度、特定の組成物、その投与の様式、その活性の様式等に依存して被験体から被験体へと変化する。本発明に従う組成物は、典型的に、投与の容易さおよび投与量の一様性のために投与単位形態で製剤化される。しかし、本発明の組成物の総1日使用量が正常な医学的判断の範囲内で主治医により決定され得ることが理解される。任意の特定の患者についての特異的な治療的または予防的に有効な用量レベルは、種々の要素、例えば、治療される障害および障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別および食事; 使用される特定の化合物の投与の時間、投与経路および排出測度;治療の持続時間;使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;ならびに医学の分野で周知の同様の要素に依存する。
好ましくは、本発明に従う組成物は、所望の治療的、診断的または予防的効果を得るように、1日当たり被験体の体重の約0.001mg/kg~約200mg/kg、約0.001mg/kg~約0.01mg/kg、約0.003mg/kg~約0.03mg/kg、約0.005mg/kg~約0.05mg/kg、約0.015mg/kg~約0.15mg/kg、約0.02mg/kg~約0.2mg/kg、約0.03mg/kg~約0.3mg/kg、約0.05mg/kg~約0.5mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.15mg/kg~約1.5mg/kg、約0.2mg/kg~約2mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、約5mg/kg~約50mg/kg、約10mg/kg~約60mg/kg、約15mg/kg~約65mg/kg、約20mg/kg~約70mg/kgまたは約30mg/kg~約80mg/kg、約40mg/kg~約90mg/kg、約50mg/kg~約100mg/kg、約75mg/kg~約150mg/kg、約100mg/kg~約150mg/kgまたは少なくとも200mg/kgを1日当たり1回以上での送達に十分な投与量レベルで投与され得る。所望の投与量は、1日当たり3回、1日当たり2回、1日当たり1回、2日に1回、3日に1回、毎週、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回で送達され得る。ある態様において、所望の投与量は、複数回投与 (例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回またはそれより多い回数の投与)を使用して送達され得る。所望の投与量は、2週間にわたる5回の投与を含み得る。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、分割用量を使用して投与される。本明細書で使用する場合、「分割用量」は、単一の単位用量または総日用量の2回以上の用量、例えば、単一の単位用量の2回以上の投与への分割である。本明細書で使用する場合、「単一の単位用量」は、1用量での/1回での/単一経路/接触の単一の点、即ち、単一の投与事象で投与される任意の治療剤の用量である。本明細書で使用する場合、「総日用量」は、24hr期間に与えられるかまたは処方される量である。それは、単一の単位用量として投与され得る。
医薬組成物は、1日に1回投与され得るか、あるいは1日を通じた適切な間隔で2、3もしくはそれ以上のサブ用量(sub-dose)として、または連続的な注入もしくは制御放出製剤による送達を使用さえして、投与され得る。好ましくは、各サブ用量に含まれるペプチド模倣物は、総1日投与量を達成するために、対応して、より少なくなければならない。投与はまた、1回、2回、3回、4回、5回またはそれ以上の用量の複数用量スキームに従い得る。
用量は、1日、1日より多い日、週、2週間、3週間、1ヶ月またはそれ以上にわたる適切な間隔で2、3またはそれ以上のサブ用量として投与され得る。
投与量単位は、適切な時間間隔にわたる連続的な注入を使用して投与され得るか、または送達は、制御放出製剤により生じ得る。例えば、ペプチド模倣物は、1分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間またはそれ以上にわたる連続的な注入を使用して投与され得る。投与量単位はまた、例えば、従来の徐放性製剤を使用して、数日にわたって送達するために調合され得、該徐放性製剤は、数日の期間にわたって徐放性を提供する。徐放性製剤は、当該分野で周知であり、特定の部位での剤の送達に特に有用であり、例えば、本発明の剤と共に使用され得る。この態様において、投与量単位は、対応する複数の日用量を含む。
任意の特定の表現型または症状に対する単一用量の効果は、続く用量が、3日、4日または5日間隔以下で、あるいは1週、2週、3週または4週間隔以下で投与されるように、長く続き得る。
当業者は、特定の要素、例えば、疾患もしくは障害の重篤度、以前の治療、一般的な健康状態および/または被験体の年齢および存在する他の疾患であるがこれらに限定されない、が、被験体を有効に治療するのに必要な投与量およびタイミングに影響し得ることを認識している。さらに、治療有効量の組成物を用いた被験体の治療が、単一の治療または一連の治療を含み得る。本発明に含まれる個々の医薬組成物についての有効用量およびインビボ半減期の評価は、従来の方法を使用して、または適切な動物モデルを使用したインビボ試験に基づいて、なされ得る。
送達系
種々の送達系が、公知であり、本発明に従うペプチド模倣物および/またはその医薬組成物の投与に使用され得、例えば、リポソーム中の包み込み(encapsulation)、微粒子、マイクロカプセル、化合物を発現し得る組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築等である。ペプチド模倣物またはその組成物は、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚内層(lining)(例えば、口腔粘膜、直腸および腸の粘膜等)を通した吸収により投与され得、他の生物学的活性剤と一緒に投与され得る。
投与は、全身性または局所的であり得る。さらに、本発明の医薬組成物およびペプチド模倣物を、任意の適切な経路、例えば、心室内(intraventricular)および鞘内注射で中枢神経系に導入することは、望ましくあり得;心室内注射は、例えば、Ommayaレザバ等のレザバに連結された心室内カテーテルにより容易にされ得る。肺投与はまた、例えば、インヘーラーまたはネブライザ、およびエーロゾル化剤を有する製剤の使用により、使用され得る。
好ましくは、本発明の医薬組成物およびペプチド模倣物は、治療の必要な領域に局所的に投与され得(ay);これは、例えば、限定としてではなく、手術の間の局所注入、例えば、手術後の創傷包帯と組み合わせての局所適用により、注射により、カテーテルにより、坐剤によりまたは移植片により達成され得、該移植片は、多孔性、非多孔性またはゼラチン様材料であり、例えば、膜、例えば、シリコンゴム膜(sialastic membrane)または繊維である。好ましくは、本発明のペプチド模倣物を投与する場合、タンパク質が吸着しない材料を使用するように気をつけなければならない。別の態様において、化合物または組成物は、小胞、特に、リポソームに送達され得る。好ましくは、組成物は、制御放出系中で送達され得る。好ましくは、組成物は、徐放性系中で送達され得る。1つの態様において、ポンプが使用され得る。別の態様において、ポリマー性材料が、使用され得る。好ましくは、制御放出系は、治療標的の近位に配置され得、そのため、全身性用量の一部(fraction)のみを必要とする。
他の使用
β-TrCP基質、例えば、本発明に従うDKK3bのペプチド模倣物の種々の活性はまた、Dkk3b治療のためのバイオマーカーまたは付随特徴(companion diagnostics)として使用され得、(例えば、血球は、AC1治療の前および後に患者から回収され得る)。TNFもしくはホルボールエステル(PBA)、またはリポ多糖(LPS)は、回収した血球において、NF-kB活性を刺激するために使用され得る。治療前 対 後比NF-kB依存性細胞活性は、AC1活性を示す。
ペプチド模倣物の生成
ペプチド模倣物は、組換え的に生成され得るか、またはペプチド合成のための化学的方法により生成され得る。
本発明は、組換え生成のための本発明のペプチド模倣物をコードする核酸配列を提供する。好ましくは、核酸配列は、発現のために選択された宿主細胞型において発現のために最適化されたコドンである。本発明のペプチド模倣物をコードする核酸配列は、適切な発現ビヒクル、即ち、挿入されたコーディング配列の転写および翻訳に必要な要素、またはRNAウイルスベクターの場合は、複製および翻訳に必要な要素を含むベクターに挿入される。次いで、発現ビヒクルは、ペプチド模倣物を発現する適切な宿主細胞にトランスフェクトされる。
典型的に、宿主細胞のいずれかで使用される発現ベクターは、プラスミドまたはウイルス維持のための、ならびに外来性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含む。かかる配列は、集合的に「隣接配列(flanking sequence)と言われるが、典型的に、以下の操作可能に連結されたヌクレオチド配列の1つ以上を含む:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製の起点、転写終結配列、ドナーおよびアクセプタースプライシング部位を含む完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択可能マーカー要素。
任意に、ベクターは、「タグ」コード配列、即ち、コーディング配列の5'もしくは3'末端に位置するオリゴヌクレオチド分子、ポリHis(ヘキサHis等)をコードするオリゴヌクレオチド配列、またはそれに対して市販の抗体が存在する別の「タグ」、例えば、FLAG(登録商標)、HA(インフルエンザウイルスからの赤血球凝集素(hemaglutinin))またはmycを含み得る。タグは、典型的に、発現の際に抗体タンパク質に融合され、宿主細胞からの抗体のアフィニティ精製のための手段として働き得る。アフィニティ精製は、例えば、アフィニティマトリックスとして、タグに対する抗体を使用するカラムクロマトグラフィにより達成され得る。任意に、タグは、続いて、種々の手段により、例えば、切断のための特定のペプチダーゼを使用して、精製された抗体ポリペプチドから除去され得る。
形質転換された宿主細胞は、適切な条件下で培養される場合、ペプチド模倣物を合成し、該ペプチド模倣物は、続いて、培養培地から回収され得るか(宿主細胞が該ペプチド模倣物を該培地に分泌する場合)、または該ペプチド模倣物を生成する宿主細胞から直接回収され得る(該ペプチド模倣物が分泌されない場合)。適切な宿主細胞の選択は、種々の要素、例えば、所望の発現レベル、活性に所望されるまたは必要なポリペプチド改変(例えば、グリコシル化またはリン酸化)、および生物学的に活性な分子へのフォールディングの容易さに依存する。
好ましくは、宿主細胞は、哺乳動物細胞、細菌細胞、植物、微生物、藻類および真菌細胞からなる群より選択される。いくつかの態様において、細胞は、哺乳動物細胞であり、例えば、ヒト、マウス、ラット、ヤギ、ウマ、ウサギ、ハムスターまたはウシ細胞であるがこれらに限定されない。好ましくは、細胞は、確立された細胞株、例えば、HeLa、NS0、SP2/0、KEK 293T、Vero、Caco、Caco-2、MDCK、COS-1、COS-7、K562、Jurkat、CHO-K1、DG44、CHOK1SV、CHO-S、Huvec、CV-1、Huh-7、NIH3T3、HEK293、293、A549、HepG2、IMR-90、MCF-7、U-20S、Per.C6、SF9、SF21またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞であるがこれらに限定されないもの由来であり得る。
好ましくは、ペプチド模倣物をコードする核酸は、発現されたペプチド模倣物を細胞の分泌経路に送達し、それにより細胞培養培地からのペプチド模倣物の回収および精製を可能にするのに有効な外来性シグナル配列をさらにコードする。ペプチド模倣物が分泌シグナルペプチドなしに発現される場合、宿主細胞溶解物からのペプチド模倣物の回収が必要であり得る。
好ましくは、分泌認識ペプチド(SRP)は、小胞体(ER)膜を越えるトランスロケーションのためにタンパク質を標的化する任意の周知の配列モチーフである。SRPは、一般的に、分泌されたタンパク質に由来し、さらに改変され得る。好ましいSPは、AzurocidinからのSP、PTEN(染色体10上のホスファターゼおよびテンシンホモログ)からのSP、ヘパリン結合タンパク質(HPB)からのSPである。
好ましくは、ペプチド模倣物は、さらに、培養培地から精製されおよび/またはそれから濃縮される。いくつかの態様において、ペプチド模倣物は、適切な方法を使用して精製および/または濃縮される。適切な方法としては、逆相クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ゲル電気泳動等が挙げられる。特定のペプチド模倣物を精製するために使用される実際の条件は、合成戦略、および例えば、正味の電荷, 疎水性、親水性等の要素に一部依存し、当業者に明らかである。
SRPおよびポリ-His精製タグを含む本発明のペプチド模倣物の例は、以下のアミノ酸配列:
Figure 2023501947000026
を有する。
当該分野で理解されるように、SRPおよび精製タグは、本発明の医薬組成物および方法におけるペプチド模倣物を使用する前に切断される。ペプチドの化学合成のための例示的な非限定的な方法(本明細書で「ペプチド合成」と言われる)としては、Stuart and Young in "Solid Phase Peptide Synthesis," Second Edition, Pierce Chemical Company (1984), "Solid Phase Peptide Synthesis," Methods Enzymol. 289, Academic Press, Inc, New York (1997), Proteins; Structures and molecular properties, second edition (1993) W. H. Freeman and Company, Merrifield, B. "Solid phase synthesis" Science (1986)232, 241-247;およびSheppard, R. C., "Modern Methods of solid phase peptide synthesis" Science Tools (1986) 33, 9-16に記載されるものが挙げられ;各参考文献は、その全体において参照により本明細書に援用される。かかる方法は、溶液および固相化学的ペプチド合成を使用することを含む。例えば、本明細書に記載されるペプチドおよびペプチド模倣物は、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)化学を使用する自動化複数ペプチド合成機(Abimed AMS 422)上の固相戦略を使用して合成され得る。種々の合成調製物の純度は、例えば、高速液体クロマトグラフィ分析および質量分析により評価され得る。化学合成アプローチは、細胞発現系(例えば、酵母または細菌タンパク質発現系)よりも有利であり得、なぜなら、該化学合成アプローチは、広範囲な組換えタンパク質精製工程の必要が排除され得るからである(例えば、臨床使用に必要とされる)。対照的に、より長い合成ポリペプチドは、化学合成アプローチを介して生成するのに、より複雑および/または高価であり得、かかるポリペプチドは、細胞発現系を使用してより有利に生成され得る。いくつかの態様において、本記載のペプチドは、化学的に合成される(例えば、固相または液相ペプチド合成)。いくつかの態様において、ペプチド、例えば、本記載のペプチド模倣物およびN-末端ペプチドは、上記で詳細に議論されるように、N-末端メチオニン残基を欠失し得る。
キット
本発明は、本発明の方法を都合よくおよび/または効果的に実施するための種々のキットを提供する。典型的に、キットは、十分な量および/または数の構成要素を含み、ユーザーが、被験体(1人または複数)の複数治療を実施しおよび/または複数の実験およびパッケージングおよび指示を実施することができる。
いくつかの態様において、キットは、キットのペプチド模倣物の分割投与量の投与のための分割用量または指示書を提供する。
均等物および範囲
当業者は、ルーチンの実験、本明細書に記載される本発明に従う特定の態様の多くの均等物を超えないものを使用することを認識し、確実にし得る。本発明の範囲は、上記記載に限定されることを意図しないが、むしろ、添付の特許請求の範囲に示されるとおりである。
特許請求の範囲において、冠詞、例えば、「a」、「an」および「the」は、文脈からそうではないと示されまたはそうではないと明らかでない限り、1つまたは1つより多くを意味し得る。群の1つ以上の構成メンバーの間に「or」を含む請求項または記載は、文脈からそうではないと示されまたはそうではないと明らかでない限り、1つ、1つより多いまたは全ての群の構成メンバーが、所定の物またはプロセスに存在する、それに使用される、またはそうでなければそれに関連する場合、充足するとみなされる。本発明は、群の正確に1つの構成メンバーが所定の物またはプロセスに存在する、それに使用される、またはそうでなければそれに関連する態様を含む。本発明は、1つより多いまたは全ての群の構成メンバーが所定の物またはプロセスに存在する、それに使用される、またはそうでなければそれに関連する態様を含む。
用語「含む(comprising)」は、開放的であると意図され、さらなる要素または工程の含有を許容するが必要としないことも注意される。用語「含む(comprising)」が本明細書で使用される場合、用語「からなる(consisting of)」もまた、含まれかつ開示される。
範囲が与えられる場合、終点は含まれる。さらに、文脈および当業者の理解からそうではないと示されまたはそうではないと明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈にそうではないと明らかに示されない限り、範囲の下限の単位の1/10までの、本発明の異なる態様中の記載された範囲内の任意の特定の値または部分範囲(subrange)を想定し得ると理解されるべきである。
さらに、先行技術に含まれる本発明の任意の特定の態様は、任意の1つ以上の請求項から明示的に除外され得ると理解されるべきである。かかる態様は当業者に公知であるとみなされるので、該態様は、除外が本明細書において明示的に示されない場合でも、除外され得る。
本発明の組成物の任意の特定の態様;任意の製造の方法;任意の使用方法は、先行技術の存在に関連するかどうかいずれにせよ、任意の理由で、任意の1つ以上の請求項から除外され得る。
実施例
実施例1:ペプチド模倣物、AC1およびcpDKK3bの間のβカテニンサイレンシング活性の比較
ペプチド模倣物、AC1のアミノ酸配列は、(i)開始(initiator)メチオニン、それに続く(ii)ヒトアズロシジンの分泌ドメイン、(iii)4アミノ酸のスペーサー、(iv)6ヒスチジン残基、(v)9のランダムアミノ酸スペーサーおよび(vi)配列番号:1:
Figure 2023501947000027
で構成される二本鎖cDNA g-ブロックを使用して合成した。
このcDNAを、pcDNA3.4発現ベクターにクローニングした。分泌AC1の発現を、ExpiCHO-S細胞を使用して行った。分泌AC1を、Ni-NTA樹脂を使用してIMACクロマトグラフィにより精製した。
AC1(配列番号:1)および融合ペプチド、cpDKK3b(配列番号:2)を、TOPFLASHアッセイにおいてβカテニンシグナル伝達活性について評価した。
TOPLFASHレポーター細胞を、複製欠損レンチウイルスを使用して、Lef/Tcf-Luc2CPレポーター構築物を、HEK293細胞のゲノムに挿入することにより生成した。βカテニンシグナル伝達を、30mM LiClを添加することにより誘導し、増加濃度のAC1またはcpDKK3bを、培養培地に添加した。37℃で16h後、ルシフェラーゼ活性を、市販のルシフェラーゼアッセイを使用して測定した。治療実験を、4連で実施し、各実験を、少なくとも3回繰り返した。
結果を、図2に示す。AC1は、βカテニンサイレンシング活性に関して、cpDKK3bより(that)10,000倍強力である。
任意の理論に限定されることなく、AC1を含む本発明のペプチド模倣物の設計は、本明細書に開示されるペプチド模倣物を、ネイティブのDKK3bタンパク質(配列番号:47)のフォールディングに密接に関連する立体配置にフォールディングさせると考えられる。cpDKK3bは、治療的効力に必要なタンパク質負荷を劇的に増大させる変性分子である。
実施例2:癌細胞生存に対するAC1およびcpDKK3bの効果の比較
ポリリジンコート96ウェルマイクロタイターディッシュの4連のウェルに、10,000細胞の卵巣癌(OVCAR3)または結腸直腸癌(Colo205)細胞を播種し、37Cで24h増殖させた。増加濃度のAC1またはcpDKK3bを、培養培地に添加し、細胞を、37℃でさらに16h増殖させた。処理培地を、穏やかに吸引し、ウェルを、冷たいリン酸緩衝化食塩水で3回洗浄し、細胞DNAを、5μM DRAQ5で標識した。個々のウェル中のDNAを、LiCOR Odyssey Clxスキャナーの700 nmチャンネルを使用して画像化した。データを、Image Studio Ver 5.2ソフトウェア(LiCOR)を使用して処理した。データを、4連のウェルの平均として報告する。結果を、図3に示す。AC1は、癌細胞増殖の阻害に関して、cpDKK3bより(that)10,000倍強力である。
実施例3:配列番号:1のペプチド模倣物のバイオアベイラビリティ
インビボバイオレポーター遺伝子である短命の(short-lived)βカテニン駆動ホタルルシフェラーゼcDNAを、レンチウイルス感染を使用して、ヒト卵巣癌(OVCAR3)細胞に導入した。バイオレポーター発現ピューロマイシン耐性OVCAR3細胞(OVR3R細胞)を、抗生物質を用いて選択し、増殖させた。5 x 106 OVR3R細胞を、100μlの50% Matrigelに懸濁し、免疫含有(immune comprised)ヌードマウスの側腹部に(皮下)注射した。腫瘍を、試験の前に、100mm3(範囲85~105mm3)に増殖させた。
AC1の注射の前に、腫瘍局在化β-カテニンシグナル伝達を、IVIS Spectrumシリーズ生物発光光学画像化系を使用して画像化し、VivoGlo Luciferinを注射した。試験の開始時に、AC1(0.5μg)を、200μlのPBS中でIP注射し、腫瘍生物発光(BIL)を、注射後1、6、24および48時間に測定した。BIL-全フラックス(光子/s)-を、経時的に各OVR3R腫瘍について測定し、各時間でBILを、基底レベルに対して標準化した。データを、平均±se、n=6として報告する。結果を、図4に示す。
実施例4:ペプチド模倣物AC2はβカテニンシグナル伝達のインビボ時間依存性阻害を提供する
卵巣癌細胞(βカテニン依存性ルシフェラーゼcDNAを発現する5 x 106 OVCAR3細胞)を、5匹のヌードマウスの側腹部皮膚の下に移植し、腫瘍を、>100 mm3の体積まで増殖させた。腫瘍β-カテニンシグナル伝達を、IVIS Spectrumイメージャ(PerkinElmer, model: IVIS Spectrum Preclinical In Vivo Imaging System)によるインビボ画像化を使用して測定した。
試験の0日目に、各マウスは、1ミリリットルの硫酸デキストラン当たり100マイクログラム(5,000mw)を補充した生理的食塩水中に1マイクログラムの薬物を含むペプチド模倣物AC2(配列番号:75のアミノ酸配列を有する)の単回の100マイクロリットルのi.v.注射を受けた。マウスを毎日画像化した。試験の結果を図5に示し、該図5は、5匹のマウスからのデータを提供する。図5に示すように、注射したペプチド模倣物は、移植した腫瘍に到達し、βカテニンシグナル伝達の時間依存性減少を示し、該βカテニンシグナル伝達は、4日後にプラトーに達し、60%のβカテニンサイレンシングを示す。
本明細書に引用される特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用される全ての米国特許および公開または非公開の米国特許出願は、参照により援用される。本明細書に引用される全ての公開外国特許および特許出願は、本明細書により参照により援用される。本明細書に引用される全ての他の公開された参考文献、文書、原稿および科学文献は、本明細書により参照により援用される。
本発明は、その好ましい態様に関して特に示され、記載されるが、当業者は、形態および詳細における種々の変更が添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲を逸脱することなく、本発明においてなされ得ることを理解する。本明細書に記載される態様は相互に排他的ではないこと、および種々の態様からの特徴が本発明に従って全体的にまたは部分的に組み合わされ得ることも理解されるべきである。

Claims (51)

  1. i. ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを含み、N末端ドメインの最初の6アミノ酸内に約2~約3個の負に荷電したアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するN末端ドメイン;
    ii. ヒトDKK1、DKK2、DKK3bもしくはDKK4のN-1ドメインのバリアントであるN-1ドメイン、ここで該バリアントは、ヒトDKK1、DKK2、DKK3bもしくはDKK4のN-1ドメインに対して少なくとも約75%同一であり、該バリアントは、細胞貫通ペプチドを含む、または
    配列番号:7、8、45、46もしくは69に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含むN-1ドメイン、ここでN-1ドメインは細胞貫通ペプチドを含む;および
    iii. ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを含み、C末端ドメインの最後の6アミノ酸内に約2~約3個の負に荷電したアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するC末端ドメイン
    を含む、ヒトDKK3bのペプチド模倣物であって;
    βカテニン核移行またはβカテニンシグナル伝達経路の阻害剤である、ペプチド模倣物。
  2. 細胞貫通ドメインが約4~約8アミノ酸長のペプチドである、請求項1記載のペプチド模倣物。
  3. 細胞貫通ドメインが約4~約8アルギニン残基長のペプチドである、請求項1記載のペプチド。
  4. ペプチド模倣物が、それぞれ配列番号:3、4、5および6のアミノ酸配列を有するヒトDKK1、DKK2、DKK3bおよびDKK4の1つのN-1ドメインのバリアントであるN-1ドメインを含み、ヒトDKK1、DKK2、DKK3bまたはDKK4のN-1ドメインの1つ以上のシステイン残基が保存的アミノ酸で置換される、請求項1記載のペプチド模倣物。
  5. N-1ドメインが、配列番号:7、8、45、46または69に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含み、N-1ドメインが細胞貫通ペプチドを含む、請求項4記載のペプチド模倣物。
  6. N-1ドメインが、配列番号:45に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5記載のペプチド模倣物。
  7. N末端ドメインとN-1ドメインの間および/またはN-1ドメインとC末端ドメインの間にアミノ酸リンカーを含む、請求項1記載のペプチド模倣物。
  8. アミノ酸リンカーが約1~約150アミノ酸長である、請求項7記載のペプチド模倣物。
  9. アミノ酸リンカーが約1~約2アミノ酸長である、請求項8記載のペプチド模倣物。
  10. N末端ドメインが、アミノ酸位置2、4および5で負に荷電したアミノ酸を含む、請求項1記載のペプチド模倣物。
  11. N末端ドメインが、配列番号:59に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のペプチド模倣物。
  12. N末端ドメインが、配列番号:59のアミノ酸配列を含む、請求項1記載のペプチド模倣物。
  13. N末端ドメインが、Φ1DAEDLLLKLNLAATVGTAPP(配列番号:62)のアミノ酸配列を含み、Φ1が、トレオニン、セリン、またはプロリンおよびメチオニン以外の無極性アミノ酸である、請求項1記載のペプチド模倣物。
  14. N末端ドメインが、ADAEDLLLKLNLAATVGTAPP(配列番号:63)およびIDAEDLLLKLNLAATVGTAPP(配列番号:64)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項13記載のペプチド。
  15. C末端ドメインが、C末端ドメインの最後の6アミノ酸内に2つの連続した負に荷電したアミノ酸を含む、請求項1記載のペプチド模倣物。
  16. 負に荷電したアミノ酸が、C末端ドメインの最後のアミノ酸の直前に配置される、請求項15記載のペプチド模倣物。
  17. C末端ドメインが、配列番号:49に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のペプチド模倣物。
  18. C末端ドメインが、配列番号:60に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のペプチド模倣物。
  19. C末端ドメインが、配列番号:60のアミノ酸配列を含む、請求項18記載のペプチド模倣物。
  20. 配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のペプチド模倣物。
  21. 配列番号:1のアミノ酸を含む、請求項20記載のペプチド模倣物。
  22. Figure 2023501947000028
    のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む、ペプチド模倣物であって;
    Φ2が、トレオニン、セリン、またはプロリンおよびメチオニン以外の無極性アミノ酸であり;ωが、それぞれ独立してアラニンまたはセリンである、請求項1記載のペプチド模倣物。
  23. Figure 2023501947000029
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項22記載のペプチド模倣物。
  24. N末端からC末端に:
    i) NH2-Φ-Y-X-Y-Y-X1
    式4
    (式中:
    Yは、それぞれ独立して負に荷電したアミノ酸であり;
    Xは、任意の無極性アミノ酸または負に荷電したアミノ酸であり;
    X1は、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成する約4~約70のアミノ酸のペプチドであり;
    Φは、プロリン以外の無極性アミノ酸であるかまたはトレオニンもしくはセリンである);
    ii) 配列番号:3のアミノ酸配列を有するヒトDKK1のN-1ドメイン、配列番号:4のアミノ酸配列を有するヒトDKK2のN-1ドメイン、配列番号:5のアミノ酸配列を有するヒトDKK3bのN-1ドメインもしくは配列番号:6のアミノ酸配列を有するDKK4のN-1ドメインのバリアントであるN-1ドメイン;ここで該バリアントは細胞貫通ペプチドを含み、該バリアントは配列番号:3、4、5および6の1つに対して少なくとも約75%の配列同一性を有する、または
    配列番号:7、8、45もしくは46のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するN-1ドメイン、ここで該N-1ドメインは細胞貫通ペプチドを含む;ならびに
    iii) 式2
    X2-Gly-Gly-X3-Ile-COOH
    式2
    (式中:
    X2は、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成する約4~約40アミノ酸のペプチドであり;
    Glyは、アミノ酸、グリシンであり;
    X3は、2つの連続したアミノ酸長であるペプチドであり、該2つの連続したアミノ酸は、2つの負に荷電したアミノ酸または1つの負に荷電したアミノ酸および1つの正に荷電したアミノ酸である)
    のペプチドを含むC末端ドメイン
    を含む、DKK3bのペプチド模倣物であって;
    βカテニン核移行またはβカテニンシグナル伝達経路の阻害剤である、ペプチド模倣物。
  25. Yがグルタミン酸(Glu)またはアスパラギン酸(Asp)である、請求項24記載のペプチド模倣物。
  26. X1が約15~17アミノ酸長である、請求項24記載のペプチド模倣物。
  27. N末端ドメインが約19~約22アミノ酸長である、請求項24記載のペプチド模倣物。
  28. Xがアラニンである、請求項24記載のペプチド模倣物。
  29. N末端ドメインが、式3b
    NH2-Φ-Asp-X4-Glu-Asp-X1
    式3b
    (式中、X4は、任意の疎水性アミノ酸であり;
    X1は、ランダムコイル、αヘリックスまたはβプリーツシートを形成する約4~約70アミノ酸のペプチドである)
    のペプチドを含む、請求項24記載のペプチド模倣物。
  30. X4がアラニンである、請求項29記載のペプチド模倣物。
  31. X1が15~17アミノ酸長である、請求項29記載のペプチド模倣物。
  32. 式3bのペプチドが、配列番号:59に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項29記載のペプチド模倣物。
  33. N-1ドメインが、ヒトDKK2のN-1ドメインのバリアントである、請求項24記載のペプチド模倣物。
  34. ヒトDKK1、DKK2、DKK3bまたはDKK4のN-1ドメインの存在するシステイン残基の少なくとも1つが、保存的アミノ酸で置換される、請求項24および33いずれか記載のペプチド模倣物。
  35. 保存的アミノ酸置換がアラニン(Ala)およびセリン(Ser)から選択される、請求項34記載のペプチド模倣物。
  36. 細胞貫通ドメインが約4~約8アミノ酸長である、請求項24記載のペプチド模倣物。
  37. 細胞貫通ドメインが約6アミノ酸長である、請求項36記載のペプチド模倣物。
  38. 細胞貫通ドメインが6つの連続したアルギニン残基を含む、請求項37記載のペプチド模倣物。
  39. N-1ドメインのアミノ酸配列が配列番号:7、8、45および46から選択される、請求項24記載のペプチド模倣物。
  40. N-1ドメインが、配列番号:45のものに対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含み、細胞貫通ドメインを含む、請求項24記載のペプチド模倣物。
  41. N-ドメインが、配列番号:45のアミノ酸配列を含む、請求項40記載のペプチド模倣物。
  42. X2が約8アミノ酸長である、請求項24記載のペプチド模倣物。
  43. C末端ドメインが約12~約14アミノ酸を含む、請求項24記載のペプチド模倣物。
  44. X3が、少なくとも2つの連続した負に荷電したアミノ酸を含み、負に荷電したアミノ酸がそれぞれ独立してAspおよびGluから選択される、請求項24記載のペプチド模倣物。
  45. 式2のC末端ドメインが、配列番号:60に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項24記載のペプチド模倣物。
  46. 請求項1~45いずれか記載のペプチド模倣物および薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
  47. βカテニンの核移行の阻害を必要とする患者に、請求項1~45いずれか記載のペプチド模倣物の有効量を投与する工程を含む、患者においてβカテニンの核移行を阻害する方法。
  48. 患者においてβカテニンシグナル伝達経路の異常制御により生じる疾患を治療するために使用される、請求項47記載の方法。
  49. 癌/増殖性、代謝性、骨粗鬆症、神経学的、免疫学的、内分泌的、心臓血管、血液学的および炎症性の疾患からなる疾患および障害の群より選択される疾患を治療するために使用される、請求項48記載の方法。
  50. ペプチド模倣物が、配列番号:1、62、63または64のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項47記載の方法。
  51. ペプチド模倣物が、配列番号:1、62、63または64のアミノ酸配列を含む、請求項50記載の方法。
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