JP2023500935A - 重度の肝障害を有する対象における非転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療のためのアンドロゲン受容体阻害剤 - Google Patents

重度の肝障害を有する対象における非転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療のためのアンドロゲン受容体阻害剤 Download PDF

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Abstract

本明細書では、限定されないが、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドを含むアンドロゲン受容体阻害剤による、重度の肝障害を有する対象における非転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療方法が記載される。

Description

技術分野
本明細書では、限定されないが、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドを含むアンドロゲン受容体阻害剤による、重度の肝障害を有する対象における非転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療方法が開示される。
背景
前立腺癌は、診断頻度が2番目に高い癌であり、男性における癌の死因の6位であり、世界中の男性の全ての新たな癌症例の14%(903,500)及び全ての癌死亡の6%(258,400)を占める。前立腺癌の診断から死亡までの過程は、疾患の程度、ホルモン状態、及び検出可能な転移の有無:限局性疾患、放射線療法又は手術後に検出可能な転移なく前立腺特異的抗原(PSA)のレベルが上昇していること、並びに非去勢病期又は去勢病期における臨床的転移に基づいて、一連の臨床段階として最善に分類される。手術、放射線照射、又はこれらの併用は、限局性疾患の患者にとって治癒的なものになり得るが、これらの患者のうちのかなりの割合は、PSAレベルの上昇をエビデンスとする再発性疾患を有し、これはまた、特に高リスク群における転移形成、疾患の終末期への移行をもたらす場合がある。
アンドロゲンの除去は、標準的治療であり、概して転帰、すなわちPSAの低下、腫瘍が増殖しない安定期、続いて、PSAの上昇、及び去勢抵抗性疾患としての再生が予測可能である。長年にわたり、ADTは、転移性前立腺癌の患者のための標準治療であった。
前立腺癌患者のサブグループはまた、重度の肝障害を有する。
特に重度の肝障害を有する患者について、既存の療法の潜在的な治療的欠陥を克服するアンドロゲン受容体阻害剤が必要とされている。開示される方法は、これら及び他の重要な必要性に関する。
概要
本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌(non-metastatic castration-resistant prostate cancer、nmCRPC)を治療するための方法であって、重度の肝障害を有するかかる治療を必要とするヒト男性に、1日当たり約30mg~1日当たり約480mgの用量でアパルタミドを投与することを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、方法を記載する。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、正常な心臓の状態及び機能を有する。特定の実施形態では、正常な心臓の状態及び機能は、洞調律、1分当たり約50~約100拍の心拍数、及び約480ms以下のQTc間隔を含む。更なる実施形態では、ヒト男性は、約45mL/分/17.3m以下のクレアチニンクリアランスを有する。なお更なる実施形態では、ヒト男性は、安定した肝障害を有する。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、約90~約170mmHgの収縮期の血圧を有する。特定の実施形態では、ヒト男性は、約100mmHg未満の拡張期の血圧を有する。
いくつかの実施形態では、ヒト男性は、重度の肝障害のための併用療法を受ける。特定の実施形態では、併用療法は、降圧剤、カルシウムチャネルブロッカー、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、利尿薬、コレステロール低下薬、経口抗糖尿病薬、及び電解質置換のうちの1つ以上を含む。更なる実施形態では、ヒト男性は、CYP2C8又はCYP3A4の強力な阻害剤又は誘導剤を投与されない。
更なる実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、アパルタミドによる治療を受けない重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴わない。更なる実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、アパルタミドによる治療を受けない重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴う。
特定の実施形態では、nmCRPCは、高リスクnmCRPCである。いくつかの実施形態では、アパルタミドの投与は、アパルタミドによる治療を受けないnmCRPCを有するヒト男性の集団の無転移生存率と比較し、ヒト男性の無転移生存の増加を提供する。特定の実施形態では、ヒト男性は、10ヶ月以下である前立腺特異的抗原倍加時間(prostate-specific antigen doubling time、PSADT)を有する。
いくつかの実施形態では、ヒト男性は、癌の治療のための少なくとも1つの前療法を受けている。更なる実施形態では、癌の治療のための前療法は、ビカルタミド、フルタミド、又はニルタミドである。なお更なる実施形態では、ヒト男性は、治療未経験である。
いくつかの実施形態では、アパルタミドは、ヒト男性に毎日投与される。特定の実施形態では、アパルタミドは、ヒト男性に経口投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、継続的な連日投与スケジュールでヒト男性に経口投与される。
なお更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約180mg~1日当たり約480mgの用量でヒト男性に経口投与される。特定の実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約240mgの用量でヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、アパルタミドは、約60mgの用量及び1日当たり4回の頻度でヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約120mgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、アパルタミドは、固体剤形として製剤化される。特定の実施形態では、アパルタミドは、錠剤として製剤化される。
特定の実施形態では、アパルタミドは、アンドロゲン除去療法(androgen deprivation therapy、ADT)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、アパルタミドは、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストと組み合わせて投与される。特定の実施形態では、アパルタミドは、両側精巣摘出と同時に使用される。
また、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)を治療するための方法であって、ヒト男性が重度の肝障害を有するか否かを判定することと、ヒト男性が重度の肝障害を有する場合、1日当たり約30mg~1日当たり約480mgの用量でヒト男性にアパルタミドを投与して、nmCRPCを治療することと、を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、正常な心臓の状態及び機能を有する。特定の実施形態では、正常な心臓の状態及び機能は、洞調律、1分当たり約50~約100拍の心拍数、及び約480ms以下のQTc間隔を含む。更なる実施形態では、ヒト男性は、約45mL/分/17.3m以下のクレアチニンクリアランスを有する。なお更なる実施形態では、ヒト男性は、安定した肝障害を有する。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、約90~約170mmHgの収縮期の血圧を有する。特定の実施形態では、ヒト男性は、約100mmHg未満の拡張期の血圧を有する。
いくつかの実施形態では、ヒト男性は、重度の肝障害のための併用療法を受ける。特定の実施形態では、併用療法は、降圧剤、カルシウムチャネルブロッカー、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、利尿薬、コレステロール低下薬、経口抗糖尿病薬、及び電解質置換のうちの1つ以上を含む。更なる実施形態では、ヒト男性は、CYP2C8又はCYP3A4の強力な阻害剤又は誘導剤を投与されない。
特定の実施形態では、ヒト男性が重度の肝障害を有する場合、アパルタミドの治療有効量が調整される。
発明の概要、並びに以下の発明を実施するための形態は、添付の図面と併せて読むことで、更に理解される。開示の方法を図示する目的で、図面には、本方法の例示的な実施形態が示されている。ただし、本方法は、ここに開示されている特定の実施形態に限定されるものではない。図面:
実施例1に記載の臨床試験研究の時間及び事象スケジュールの、スクリーニング段階及び非盲検段階である-1~8日目(図1A)及び非盲検段階の10日目~57日目(図1B)の概略図を示す。 実施例1に記載の臨床試験研究の時間及び事象スケジュールの、スクリーニング段階及び非盲検段階である-1~8日目(図1A)及び非盲検段階の10日目~57日目(図1B)の概略図を示す。 実施例1に記載の臨床試験研究の時間及び事象スケジュールの、スクリーニング段階及び非盲検段階である-1~8日目(図1A)及び非盲検段階の10日目~57日目(図1B)の概略図を示す。 実施例1に記載の臨床試験研究の時間及び事象スケジュールの、スクリーニング段階及び非盲検段階である-1~8日目(図1A)及び非盲検段階の10日目~57日目(図1B)の概略図を示す。
実施態様の詳細な記述
別個の実施形態との関連において明確性のために本明細書に記載される、本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態内に組み合わされて提供されてもよいことが理解される。すなわち、明白に不適合であるか又は具体的に除外されない限り、各個々の実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせ可能と見なされ、このような組合せは、別の実施形態であると見なされる。逆に、説明を簡単にするために単一の実施形態との関連において述べられる本発明の異なる特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせとして提供される場合もある。最後に、実施形態は、一連の工程の一部として又はより全般的な構造の一部として記載され得るが、その各工程をそれ自体が独立する実施形態であると考えてもよく、他と組み合わせ可能である。
移行句「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting)」は、特許用語において概ね受け入れられている意味を含意することを意図しており、すなわち、(i)「備える/含む(comprising)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではなく、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において特定されていない、あらゆる要素、工程、又は成分を除外し、並びに(iii)「から本質的になる」は、特定される材料又は工程、並びに、請求される特許の基本的かつ新しい特徴(複数可)に実質的に影響しないものに、特許請求の範囲を制限する。より具体的には、基本的及び新規の特徴は、本方法が、本明細書の他の箇所で記載する、ヒト男性比較集団の生存性と比較して、ヒト男性集団の生存性を改善できることを含むが、それに限定されない、本明細書に記載される利益のうちの少なくとも1つを提供可能であることに関する。
用語「備える/含む(comprising)」(又はその均等語)で記載される実施形態はまた、実施形態として、「からなる」及び「から本質的になる」という用語で独立して記載されるものを提供する。
値が、記述語「約」の使用によって近似値として表現されるとき、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。概して、用語「約」の使用は、開示する発明主題によって得ようとしている所望の特性に依存して変動し得る近似値を示し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者は、これを日常的な問題として解釈することができる。場合によっては、特定の値に対して用いられる有効数字の数は、用語「約」の程度を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合、一連の値において用いられている漸次的変化を用いて、各値について用語「約」に利用可能な意図する範囲を決定することができる。存在する場合、全ての範囲は、包括的かつ組み合わせ可能である。すなわち、範囲で記述される値への言及は、その範囲内の全ての値を含む。
特に指定されない場合、用語「約」は、関連する値の±10%の変動を意味するが、更なる実施形態では、±5%、±15%、±20%、±25%、又は±50%の変動である場合も含む。
リストが提示される場合、特に指定しない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈すべきである。
本発明は、その全てが本開示の一部を形成する、添付図面及び実施例に関連して解釈される以下の記載を参照することにより、より容易に理解することができる。本発明は、本明細書に記載するか又は示す特定の製品、方法、条件又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用する専門用語は実施例を用いて特定の実施形態を記載する目的のためだけのものであり、いずれかの請求した発明を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。同様に、特に指定しない限り、可能な機序又は作用様式又は改善理由に関する任意の記載は、単に例示を意図したものであり、本明細書における発明は、任意のこのような提案されている機序又は作用様式又は改善理由の正確さ又は不正確さによって制約を受けるものではない。この文書全体を通して、これらの記載が、様々な化合物、組成物、及びそれらの化合物及び組成物を使用する方法に言及することが認識される。すなわち、本開示において、組成物又は組成物を使用する方法に関連する特徴又は実施形態を記載又は特許請求する場合、そのような記載又は請求は、これらの特徴又は実施形態をこれらの文脈のそれぞれ(すなわち、組成物及び使用方法)に示すことを意図することが理解される。
本開示において、治療の方法を記載する場合、これらの方法は例えば抗アンドロゲン剤若しくはアンドロゲン受容体阻害剤のような化合物、又はそのような治療の方法に使用される組成物の観点からも定義され得る。方法はまた、例えば抗アンドロゲン剤若しくはアンドロゲン受容体阻害剤のような化合物の使用、又はそのような方法による治療のための薬剤を製造する組成物の観点からも定義され得る。
アンドロゲン受容体(androgen receptor、AR)は、ステロイド及び核内受容体スーパーファミリーの一員である。この大きいファミリーのタンパク質の中で、脊椎動物のステロイド受容体は5種類のみが知られており、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、糖質コルチコイド受容体、及び鉱質コルチコイド受容体が挙げられる。ARは、細胞内転写因子として働く可溶性タンパク質である。ARの機能は、アンドロゲンの結合によって制御されており、この結合によって、受容体-タンパク質相互作用、及び受容体-DNA相互作用に影響を及ぼす、受容体の連続的な立体構造変化が起きる。
ARは、アンドロゲン標的組織、例えば、前立腺、骨格筋、肝臓、及び中枢神経系(CNS)で主に発現しており、前立腺、副腎、及び副睾丸で最も発現レベルが高い。ARは、テストステロン及び5-ジヒドロテストステロン(5a-DHT)などの内因性アンドロゲンの結合によって活性化され得る。
アンドロゲン受容体(AR)は、Xql 1-12に位置する110kDの核内受容体であり、アンドロゲンによる活性化を受けると、標的遺伝子の転写を介在し、前立腺上皮細胞の増殖及び分化を調節する。他のステロイド受容体と同様に、非結合型のARは、主に細胞質内に存在し、リガンド結合ドメインとの相互作用によって、熱ショックタンパク質(HSP)複合体と結合している。アゴニストが結合すると、ARは一連の立体構造の変化を起こして、熱ショックタンパク質がARから解離し、変形したARは、二量体化、リン酸化、及び、核移行シグナルによってもたらされる核への移行を受ける。次いで、移行した受容体は、3つのランダムヌクレオチドを間に含む、6ヌクレオチドの半部位コンセンサス配列5’-TGTTCT-3’を特徴とするアンドロゲン応答配列(ARE)と結合し、AR遺伝子の標的のプロモーター又はエンハンサー領域に位置付けられる。他の転写共調節因子(活性化補助因子及び補助抑制因子を含む)及び転写機構の補充によって、ARによって調節される遺伝子発現のトランス活性化を更に確実にする。これらのプロセスの全ては、リガンド結合ドメインにおける、リガンド誘導型立体構造変化によって開始される。
AR機能消失変異を有する遺伝的雄、及び遺伝子操作でARを欠損したマウスで、前立腺が発達しないこと、又は前立腺癌が進行しないことから、ARシグナル伝達は、前立腺などの雄性生殖器の発達及び維持に重要である。この前立腺細胞のARシグナル伝達への依存は、腫瘍性形質転換においても継続する。アンドロゲンの除去(例えば、GnRHアゴニストを用いる)は、引き続き前立腺癌治療の中心である。しかしながら、アンドロゲンの除去は、通常限定された期間において有効であり、前立腺癌は発達して、循環アンドロゲンが低レベルであっても成長能を取り戻す。
去勢抵抗性前立腺癌(Castration resistant prostate cancer、CRPC)は、終末期の表現型であり、ほとんど全ての患者が前立腺癌で死亡する。興味深いことに、CRPCのうちのごく一部は、ARシグナル伝達の必要性を回避している一方で、CRPCのほとんどは、多くの場合「アンドロゲン非依存性前立腺癌」又は「ホルモン不応性前立腺癌」と呼ばれるものの、ARシグナル伝達に対するその系統依存性を保持している。
前立腺癌は、米国の男性における癌死の2番目に一般的な原因であり、米国の男性6名につき約1人が、生涯の間にこの疾患であるとして診断される。腫瘍を根絶することを目的とする治療は、男性の30%においてうまくいかず、該当者は再発性疾患を発症する。この疾患は、血漿の前立腺特異的抗原(PSA)の上昇として通常最初に現れ、続いて遠隔部位まで浸潤する。前立腺癌細胞が、増殖及び生存についてアンドロゲン受容体(AR)に依存することを考慮すると、これらの男性は、テストステロンの産生を阻止する薬物(例えばGnRHアゴニスト)を単独で、又は、あらゆる残留テストステロンのARに対する影響と拮抗する抗アンドロゲン剤(例えばビカルタミド)を併用して、治療される。このアプローチは、一部の患者において、PSAの低下及び可視腫瘍の退縮(存在する場合)によって証拠付けられるように有効であるが、この後、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)として再生し、ほとんどの患者が最終的に死亡する。CRPCの分子基準での最近の研究では、CRPSが引き続きARシグナル伝達に依存し、獲得された抵抗のキーとなる機序は、ARタンパク質のレベルの上昇であることが実証されている(Nat.Med,2004,10,33-39)。去勢感受性前立腺癌及び去勢抵抗性前立腺癌における活性を有するAR標的化剤は、この終末期疾患の治療に有望である。
前立腺癌の診断から死亡までの過程は、疾患の程度、ホルモン状態、及び検出可能な転移の有無、限局性疾患、放射線療法又は手術後の検出可能な転移のない前立腺特異的抗原(PSA)の上昇レベル、及び非去勢病期又は去勢病期における臨床的転移に基づいて、一連の臨床病期として最良に分類される。手術、放射線照射、又はこれらの併用は、限局性疾患の患者にとって治癒的なものになり得るが、これらの患者のうちのかなりの割合は、PSAレベルの上昇によって証拠付けられる再発性疾患を有し、これはまた、特に高リスク群における転移形成、疾患の終末期への移行をもたらす場合がある。
アンドロゲンの除去は、標準的治療であり、概して転帰、すなわちPSAの低下、腫瘍が増殖しない安定期、続いて、PSAの上昇、及び去勢抵抗性疾患としての再生が予測可能である。去勢抵抗性前立腺癌の分子プロファイリング研究では、一般的に、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子の増幅又は他の機構によって生じ得る、AR発現の増加が示される。
抗アンドロゲン剤は、前立腺癌の初期段階での治療に有用である。しかし、前立腺癌は、多くの場合、継続的なアンドロゲン除去又は抗アンドロゲン療法の存在下で疾患が進行する、「ホルモン不応性」の病期に進行する。抗アンドロゲン離脱症候群の症例もまた、抗アンドロゲンによる長期治療後に報告されている。抗アンドロゲン離脱症候群は、一般的に臨床的に観察され、抗アンドロゲン療法の中止時に観察される腫瘍退縮又は症候緩和の観点から定義される。受容体の結合特異性の低下をもたらすAR変異体と、これら抗アンドロゲン剤がアゴニスト作用を示す能力は、少なくとも部分的にこの現象の要因となり得る。例えば、ヒドロキシフルタミド及びビカルタミドはそれぞれ、T877A及びW741L/W741CのAR変異体におけるARアゴニストとして作用する。
ARの過剰発現により去勢抵抗性となった状況の前立腺癌細胞において、ビカルタミドなどの特定の抗アンドロゲン化合物は、アンタゴニスト/アゴニスト特性が混合されていることが実証された(Science,2009 May 8;324(5928):787-90)。このアゴニスト活性は、抗アンドロゲン離脱症候群と呼ばれる臨床所見を説明するのに役立つ。この抗アンドロゲン剤離脱症候群では、ARアンタゴニスト剤の投与を受けている男性患者の約30%で、治療継続を中止したときに血清PSAの低下が生じている(J Clin.Oncol,1993.11(8):p.1566-72)。
前立腺癌段階
前立腺癌の初期段階では、癌は前立腺に限局されている。これらの初期段階では、治療は、典型的には、前立腺の手術による除去又は前立腺に対する放射線療法のいずれかを伴い、又は一部の患者においては積極的な治療介入はせず確認のみを行う。前立腺癌が限局的なものであり、介入を必要とする初期段階において、手術又は放射線療法は、癌細胞を排除することにより根治的なものである。約30%の場合、これらの処置は失敗し、前立腺癌は、典型的にはPSAレベルの上昇によって証拠付けられるように進行し続ける。これらの早期治療計画後に前立腺癌が進行した男性は、進行性又は再発性前立腺癌を有すると言われる。
前立腺癌細胞は増殖及び生存についてアンドロゲン受容体(AR)に依存することから、進行性前立腺癌を有する男性は、テストステロンの産生を阻止する薬物(例えばGnRHアゴニスト)を単独で使用して、又は、あらゆる残留テストステロンのARに対する影響と拮抗する抗アンドロゲン剤(例えばビカルタミド)を併用して、治療される。これらの治療は、血清テストステロンを去勢レベルまで低減させ、これは概して、ある程度の期間は疾患の増悪を遅延させる。このアプローチは、一部の患者において、PSAの低下及び観察され得る腫瘍の退縮によって証拠付けられるように有効である。しかし最終的にはこの後、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と呼ばれる再生があり、ほとんどの患者が最終的に死亡する。去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)は、前立腺癌が身体の他の部分に転移したかどうかに応じて、非転移性又は転移性として分類される。
いくつかの実施形態では、アパルタミドによる治療の前に非転移性CRPCを有する男性は、以下を有するものとして特徴付けられる:
1.神経内分泌分化又は小細胞特徴を有さない前立腺の組織学的又は細胞学的に確認された腺癌、転移形成のリスクが高いもの。
2.継続的なアンドロゲン除去療法(ADP)中/精巣摘出後に示される去勢抵抗性前立腺癌。例えば、1週の間隔で、PSAのうちの3つの連続的上昇として特定され、2つが最低点よりも50%上昇し、最終的にはPSA>2ng/mLとなる。
3.無作為化から4週間以内に、及び試験全体にわたって、去勢レベルのテストステロン(<50ng/dL[1.72nmol/L])を維持する。
4.骨スキャン、CT、又はMRIスキャンによると遠隔転移がない。
抗アンドロゲン剤
本明細書で使用するとき、用語「抗アンドロゲン剤」は、概ね受け入れられている意味を有し、体内の正常な反応を示す組織に対するアンドロゲンの生物学的作用を、妨害、つまり阻害することができるホルモン受容体アンタゴニスト化合物の群を指す場合がある。いくつかの実施形態において、抗アンドロゲン剤は小分子である。いくつかの実施形態において、抗アンドロゲン剤はAR阻害剤である。いくつかの実施形態において、抗アンドロゲン剤はAR完全阻害剤である。任意の抗アンドロゲン剤が、本明細書に記載の実施形態において使用されてもよく、例えば、アパルタミドなどの特定の抗アンドロゲン剤に関連する実施形態において、他の抗アンドロゲン剤も有用であり得ることが想定される。
本明細書で使用するとき、用語「ARアンタゴニスト」又は「AR阻害剤」は本明細書で互換的に使用され、ARポリペプチドの少なくとも1つの活性を阻害する、つまり低下させる薬剤を指す。例示的なAR活性としては、活性化補助因子の結合、DNAの結合、リガンドの結合、又は核移行が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用するとき、「完全アンタゴニスト」又は「完全阻害剤」は、有効濃度において、ARポリペプチドの活性を本質的に完全に阻害するアンタゴニストを指す。本明細書で使用するとき、「部分アンタゴニスト」は、ARポリペプチドの活性を部分的に阻害可能であるが、最高濃度においても完全アンタゴニストではないアンタゴニストを指す。「本質的に完全に」とは、ARポリペプチドの活性の少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又はそれ以上の阻害を意味する。
特定の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、野生型アンドロゲン受容体ポリペプチドに対して完全アンタゴニスト活性を示す。これらのアンドロゲン受容体阻害剤は、例えば、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)において、上昇したレベルのARを発現する細胞における完全アンタゴニストとして作用する。
例示的なアンドロゲン受容体完全阻害剤としては、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(別名アパルタミド、ARN-509、又はJNJ-56021927、CAS番号956104-40-8)、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(別名MDV3100又はエンザルタミド、CAS番号915087-33-1)、4-[7-(4-シアノ-3-トリフルオロメチルフェニル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(RD162、CAS番号915087-27-3)、及びN-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミド(別名ダロルタミド)が挙げられる。これらのアンドロゲン受容体完全阻害剤のいずれも、本明細書に記載の実施形態において有用であり得る。
いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、ARポリペプチドのリガンド結合部位で又はその付近でARポリペプチドに結合する。
Figure 2023500935000001
Figure 2023500935000002
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法において企図されるアンドロゲン受容体阻害剤は、ダロルタミド、アンドロゲン応答要素へのDNA結合、及び活性化補助因子動員など、ARの核移行を阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法において企図されるアンドロゲン受容体阻害剤は、AR過剰発現の前立腺癌細胞においてアゴニスト活性を示さない。
アパルタミドは、ARのリガンド結合ドメインに直接結合するアンドロゲン受容体阻害剤であり、核移行、DNAに対するAR結合、及びARの標的遺伝子調節を損ない、それによって腫瘍増殖を阻害し、アポトーシスを促進する。アパルタミドは、ビカルタミドよりも高い親和性でARに結合し、非去勢のホルモン感受性及びビカルタミド耐性ヒト前立腺癌異種移植モデルにおいて、部分的又は完全な腫瘍退縮を誘導する(Clegg et al.Cancer Res.March 15,2012 72;1494)。アパルタミドは、AR過剰発現の状況においてビカルタミドで見られる部分的アゴニスト活性を欠いている。
ダロルタミド、BAY1841788、又はODM-201は、2つのジアステレオマー、ORM-16497及びORM-16555を含む、アンドロゲン受容体阻害剤である。これは、他の第2世代の抗アンドロゲン剤に対する耐性がある既知のAR変異体に対して、活性を有する。ダロルタミドは、ARに高い親和性で結合し、その後、ARのアンドロゲン誘導型核移行及びAR遺伝子の標的の転写を損ねる。Matsubara,N.,Mukai,H.,Hosono,A.et al.Cancer Chemother.Pharmacol.(2017)80:1063。
特定の用語
本明細書で使用される用語は、一般的に受け入れられている意味を有するが、疑義を避けるために、定義の一部がここに提供される。
本明細書で使用するとき、用語「癌」は、制御なく増殖する傾向があり、いくつかの場合では浸潤(拡散)する傾向がある、細胞の異常な増殖を指す。
本明細書で使用するとき、用語「前立腺癌」は、前立腺の組織学的又は細胞学的に確認された腺癌を指す。
用語「アンドロゲン除去療法(ADT)」は、前立腺癌患者におけるアンドロゲンレベルの、去勢レベルのテストステロン(<50ng/dL)までの低減を指す。このような治療としては、精巣摘出、又はゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト若しくはアンタゴニストの使用を挙げることができる。ADTとしては、外科的去勢(精巣摘出)、及び/又は黄体形成ホルモン-放出ホルモン(「luteinizing hormone-releasing hormone、LHRH」)/ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)のアゴニスト又はアンタゴニストのヒトに対する投与が挙げられる。GnRHアゴニスト又はアンタゴニストの例は、ロイプロリド、ブセレリン、ナフェレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、デガレリクス、オザレリクス、ABT-620(エラゴリクス)、TAK-385(レルゴリクス)、EP-100、KLH-2109、若しくはトリプトレリンであるか、又はそれを含む。特定の実施形態では、GnRHアゴニストの例としては、ゴセレリン酢酸塩、ヒストレリン酢酸塩、ロイプロリド酢酸塩、及びトリプトレリンパルモ酸塩が挙げられる。
用語「限局性進行性前立腺癌」は、全ての活性癌細胞が前立腺及び関連器官又は隣接器官(例えば、精嚢、膀胱頸部、及び直腸壁)に限定して現れる、前立腺癌を指す。
用語「高リスク限局性前立腺癌」は、治癒目的での一次療法後に転移又は再発性疾患を発症する可能性の高い、限局性進行性前立腺癌を指す。いくつかの実施形態では、転移形成に関する高リスクは、<20ケ月、<19ケ月、<18ケ月、<17ケ月、<16ケ月、<15ケ月、<14ケ月、<13ケ月、<12ケ月、又は<11ケ月、<10ケ月、<9ケ月、<8ケ月、<7ケ月、<6ケ月、<5ケ月、<4ケ月、<3ケ月、<2ケ月、又は<1ケ月の前立腺特異抗原倍加時間(PSADT)として規定される。いくつかの実施形態では、転移形成に関する高リスクは、<10ケ月の前立腺特異抗原倍加時間(PSADT)として定義される。いくつかの実施形態では、転移形成に関する高リスクは、高いグリーソンスコア又は巨大腫瘍を有するものとして規定される。
疑義を避けるために、用語「去勢感受性前立腺癌」及び「ホルモン感受性前立腺癌」は同じ意味を有し、互換的に使用される。
用語「去勢感受性前立腺癌」及び「ホルモン感受性前立腺癌」は、限局性疾患、生化学的再燃のいずれかとして、又は転移状況において、アンドロゲン除去療法(ADT)に応答する癌を指す。
用語「転移性去勢感受性前立腺癌」及び「転移性ホルモン感受性前立腺癌」は、身体の他の領域、例えば、男性の体内の骨、リンパ節、又は他の部分まで浸潤(転移)した、アンドロゲン除去療法(ADT)に応答する癌を指す。
用語「非転移性去勢感受性前立腺癌」は、男性における浸潤(転移)していない、アンドロゲン除去療法(ADT)に応答する癌を指す。いくつかの実施形態では、非転移性去勢感受性前立腺癌は、骨スキャン及びコンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴撮像(MRI)スキャンによって評価される。[0089]本明細書で使用するとき、用語「CRPC」は、去勢抵抗性前立腺癌を指す。CRPCは、前立腺癌細胞の増殖を刺激する男性ホルモンの抑制にもかかわらず、増殖を継続する前立腺癌である。
用語「転移性去勢抵抗性前立腺癌」は、人体の他の部分に転移した去勢抵抗性前立腺癌を指す。
転移性去勢感受性前立腺癌(CSPC)は、テストステロン抑制療法に依然として応答する前立腺癌を指す。
本明細書で使用するとき、用語「nmCRPC」は、非転移性去勢抵抗性前立腺癌を指す。いくつかの実施形態では、nmCRPCは、骨スキャン及びコンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴造影法(MRI)スキャンによって評価される。
用語「化学療法で未治療の転移性去勢抵抗性前立腺癌」は、それまでに化学療法薬により治療されていない転移性去勢抵抗性前立腺癌を指す。
用語「酢酸アビラテロン-プレドニゾン治療後の非転移性去勢抵抗性前立腺癌」は、酢酸アビラテロンで既に治療された非転移性去勢抵抗性前立腺癌を指す。
用語「高リスクnmCRPC」は、nmCRPCを有する男性の、転移が発症する確率が高いことを指す。いくつかの実施形態では、転移形成に関する高リスクは、<20ケ月、<19ケ月、<18ケ月、<17ケ月、<16ケ月、<15ケ月、<14ケ月、<13ケ月、<12ケ月、又は<11ケ月、<10ケ月、<9ケ月、<8ケ月、<7ケ月、<6ケ月、<5ケ月、<4ケ月、<3ケ月、<2ケ月、又は<1ケ月の前立腺特異抗原倍加時間(PSADT)として規定される。いくつかの実施形態では、転移形成に関する高リスクは、<10ケ月の前立腺特異抗原倍加時間(PSADT)として定義される。いくつかの実施形態では、転移形成の高リスクは、局所領域的な再発(例えば、一次腫瘍床、膀胱頸部、吻合部、骨盤リンパ節)を有するものとして特定される。
本明細書で使用するとき、用語「共投与」などは、選択された療法薬の単一の患者への投与を包含し、薬剤が同じ若しくは異なる投与経路によって、又は同じ若しくは異なる時間で投与される、治療レジメンを含むことが意図される。
本明細書で使用するとき、用語「医薬的組み合わせ」とは、2つ以上の活性成分の混合又は組み合わせから得られる製品を意味し、活性成分の固定された組み合わせ及び非固定の組み合わせの両方を含む。用語「固定された組み合わせ」とは、活性成分、例えば、アパルタミド及び共剤の両方が、単一単位又は単一剤形の形態で同時に患者に投与されることを意味する。用語「非固定の組み合わせ」とは、活性成分、例えば、アパルタミド及び共剤が、特定の中断時間の制限なしで、同時に、並行的に、又は連続してのいずれかで、別個の単位又は別個の剤形として患者に投与され、このような投与が、ヒトの男性の体内における2つの活性成分の安全かつ有効なレベルを提供することを、意味する。後者はまた、カクテル療法、例えば、3つ以上の活性成分の投与にも当てはまる。
用語「FDHT-PET」は、18F-16P-フルオロ-5a-ジヒドロテストステロン陽電子放出断層撮影を指し、これは、ジヒドロテストステロンに基づくトレーサーを使用する技術であり、患者のアンドロゲン受容体に結合するリガンドの目視評価が可能になる。これを使用して、アンドロゲン受容体指向療法の薬物動態を評価することができる。
用語「継続的な連日投与スケジュール」は、特定の療法薬について休薬日を含まない、当該特定の療法薬の投与を指す。いくつかの実施形態では、特定の療法薬の継続的な連日投与スケジュールは、毎日およそ同時刻に特定の療法薬を投与すること、を含む。
用語「治療する」及び「治療」は、病態に冒された患者の処置を指し、癌細胞を死滅させることにより病態を緩和する作用ばかりでなく、病態の進行の阻害をもたらす作用も指し、進行の速度の低下、進行の速度の停止、病態の寛解、及び病態の治癒を含む。予防措置としての治療(すなわち、予防法)も含まれる。別途記載のない限り、用語「治療する」、及び「治療」は、記載される効果の全体を指すが、他の実施形態では、これらの用語はまた、記載される効果のうちのいずれか1つを指す場合もあり、又は少なくとも1つの効果を除外したものを指す場合もある。
用語「無転移生存」又は「MFS」は、定義された期間又は死亡にかけて、癌が拡散することなく生存している、治験における被験者の割合を指す。MFSは、通常、治験における組み入れ、無作為化、又は治療の開始からの時間として報告される。MFSを、個体又は治験母集団について報告する。アンドロゲン受容体阻害剤によるCRPCの治療の状況において、無転移生存の増加は、プラセボでの治療と比較して、いずれが最初に起きるにせよ浸潤を有する癌又は死亡なしと観察される時間の延長になる。いくつかの実施形態では、無転移生存の増加は、約1ケ月、約2ケ月、約3ケ月、約4ケ月、約5ケ月、約6ケ月、約7ケ月、約8ケ月、約10ケ月、約11ケ月、約12ケ月、約13ケ月、約14ケ月、約15ケ月、約16ケ月、約17ケ月、約18ケ月、約19ケ月、約20ケ月、又は20ケ月超である。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤の投与は、ヒト男性の無転移生存の増加を提供し、任意に、無転移生存の増加は、非転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する、プラセボにより治療したヒト男性の母集団の平均生存率に対するものである。いくつかの実施形態では、無転移生存は、いずれが最初に起きるにせよBICRにより確認される骨若しくは軟組織の遠隔転移又は任意の原因による死亡についての最初の証拠に関する時間までの、無作為化からの期間を指す。
用語「転移までの時間」は、X線写真で検出可能な骨又は軟組織の遠隔転移のBICRにより確認された最初の証拠を示すスキャンの時間までの、無作為化からの時間である。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤の投与は、転移までの期間(time to metastasis、TTM)によって測定される改善された抗腫瘍活性を提供する。
用語「放射線画像診断による無増悪生存期間」は、いずれが最初に起きるにせよ進行性疾患の撮像による最初の文書作成又は死亡までの無作為化からの期間である。被験者が、コンピュータ断層撮影若しくは磁気共鳴撮像によって測定される軟組織病変の増悪、又は、骨スキャンでの新たな病変のいずれかを有する場合、その被験者は放射線画像診断による進行性疾患を有すると見なされる。
用語「無増悪生存」は、RECIST v1.1に基づくものであり、以下のように定義される:少なくとも1つの測定可能な病変を有する被験者について、進行性疾患は、治験での最小合計を基準として、標的病変直径の合計の少なくとも20%の増加として定義される(これは、治験で最も小さい場合、ベースライン合計を含む)。20%の相対的増加に加えて、合計はまた、少なくとも5mmの絶対増加を示す必要がある。更に、1つ以上の新たな病変の出現もまた、進行と見なされる。CT又はMRIスキャンで観察された測定不能な疾患のみを有する被験者について、明白な進行(全体的な疾患の状態の変化を表すもの)、又は1つ以上の新たな病変の出現は、進行と見なされた。骨スキャンで検出された新たな骨病変について、進行を確認するため、第2の撮像診断法(例えば、CT又はMRI)を必要とした。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤の投与は、無増悪生存率で測定される改善された抗腫瘍活性を提供する。
用語「前立腺癌-特定生存」は、前立腺癌に起因する死亡日までの無作為化からの期間として定義される。
用語「PFS2」は、最初の試験での無作為化から、第2の疾患の増悪又は何らかの原因による死亡までの時間を意味する。
用語「病状進行までの時間」は、以下のいずれかにおける(いずれが先に起きるにせよ)、CRFの文書作成までの、無作為化からの時間として定義される:(1)骨格関連事象(SRE)の発症:病的骨折、脊髄圧迫、又は手術による介入若しくは放射線療法の必要性;(2)新たな全身抗癌療法の開始を必要とする疾患関連症状の疼痛の進行又は悪化;又は(3)手術による介入又は放射線療法を必要とする局所領域的な腫瘍の進行に起因する臨床的に重大な症状の発症。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤の投与は、病状進行までの時間によって測定される改善された抗腫瘍活性を提供する。
用語「疼痛増悪までの期間」は、疼痛増悪(3週以上間隔を空けた2回の連続する評価時で観察された、簡易疼痛質問票(Brief Pain Inventory-Short Form、BPI-SF)の最も悪い疼痛強度におけるベースラインからの2ポイントの平均増加、いずれが最初に起きるにせよ、オピオイドの非減量、又は長期のオピオイドの開始を受けた患者で4を超える平均最悪疼痛スコアを伴う)までの無作為化からの期間として定義される。疼痛増悪までの期間のエンドポイントについて、BPI-SF最悪疼痛(項目3)を用いる。スコアは、0~10の範囲であり、より低いスコアは、より低いレベルの疼痛強度を表し、2の変化は、最小重要差であった。
用語「骨格関連イベントまでの期間(SRE)」は、SRE(症候性病的骨折、脊髄圧迫、骨への放射線、又は骨に対する手術)が最初に観察された日付までの無作為化の日付からの期間として定義される。
用語「長期のオピオイド使用までの期間」は、無作為化の日付から、確認された長期のオピオイドの使用の初日までの時間として定義される。長期のオピオイドの使用は、経口製剤の場合は3週以上、非経口製剤の場合は7日以上のオピオイド鎮痛剤の投与として定義された。試験エントリ時において、オピオイドを既に受けていた患者については、長期のオピオイドの使用は、経口製剤の場合は3週以上、非経口製剤の場合は7日以上継続したオピオイド鎮痛剤の1日の総用量における≧30%の増加として定義された。患者の前立腺癌以外の治療のための、オピオイド鎮痛剤の必要に応じた投与(例えば、非固定的な又はスケジュールされていない投与)又は長期のオピオイド使用では、試験治療の中止は必要でなかった。
用語「症候性局所的増悪までの期間」は、いずれが最初に起きるにせよ症候性局所的増悪までの無作為化の日付からの期間として定義される。症候性局所的増悪の例としては、尿道閉塞又は膀胱下尿道閉塞が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「ECOG PSグレードの悪化までの期間」は、ECOG PSグレードにおける悪化の最初の日付までの無作為化の日付からの期間として定義される(少なくとも1ポイントのECOG PSグレードの悪化として定義される)。
用語「全生存」は、任意の原因による死亡日までの、無作為化からの時間として定義される。解析時に生きている被験者についての生存データは、生存が判明している中で最も直近の日付で打ち切ることとした。加えて、ベースライン情報後に生存していない被験者について、無作為化の日付でデータを打ち切ることとし、居所がわからず追跡できなくなる被験者、又は同意を撤回する被験者については、データを、被験者の生存が判明している中で最も直近の日付で打ち切ることとした。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤の投与は、全生存によって測定される改善された抗腫瘍活性を提供する。
用語「細胞毒性化学療法までの期間」は、新たな細胞毒性化学療法の文書作成までの無作為化からの期間として定義される。
用語「第1の後続療法による無増悪生存期間(PFS2)」は、(いずれが最初に起きるにせよ)、第1の後続抗癌療法中の治験責任医師の評価による疾患の増悪(PSA、X線写真、症候、又は任意の組み合わせによるもの)までの、又は第2の後続抗癌療法の開始前の死亡(任意の原因)までの、無作為化からの期間として定義される。
用語「PSA増悪までの期間」は、前立腺癌ワーキンググループ2基準に基づいた、PSA増悪の日付までの、無作為化からの期間として定義される。Scher HI,et al.J Clin Oncol 2008;26:1148-1159。
用語「第2の無増悪生存までの期間」は、いずれが最初に起きるにせよ、患者が前立腺癌の第1の後続療法を受けている間の、治験責任医師が判定した疾患の増悪(PSA増悪、撮像における増悪、又は臨床的増悪)の最初の発生、又は任意の原因による死亡までの、無作為化からの期間として定義される。後続療法後に文書作成された進行のない被験者については、進行データは、無増悪であることが既知の直近の日付、又は死亡日で打ち切る。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤の投与は、第1の後続療法による無憎悪生存で測定される改善された抗腫瘍活性を提供する。
前立腺癌ワーキンググループ(Prostate Cancer Working Group、PCWG2)基準によって、前立腺特異的抗原応答及びPSAの進行までの時間を、MFSの一次解析の時点で評価する。PSAの進行までの時間は、PCWG2によるPSAの進行の基準が満たされる時点までの、無作為化からの時間として計算される。
本明細書で使用するとき、用語「プラセボ」は、アンドロゲン受容体阻害剤を含まない、医薬組成物の投与を意味する。非転移性去勢耐性前立腺癌の治療の状況において、アンドロゲン受容体阻害剤又はプラセボを投与される男性は、GnRHアゴニスト/アンタゴニストの共投与又は精巣摘出のいずれかによって、去勢レベルのテストステロンを継続して維持する必要がある。
本明細書で使用するとき、用語「生存効果」は、投与される薬物の治験における無作為化の時点から死亡までの、患者の生存の増加を意味する。いくつかの実施形態では、生存利益は、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約15ヶ月、約20ヶ月、約25ヶ月、約30ヶ月、約35ヶ月、約40ヶ月、約45ヶ月、約50ヶ月、約55ヶ月、約60ヶ月、約80ヶ月、約100ヶ月、又は100ヶ月超である。
用語「無作為化」は、臨床治験を指すとき、患者が臨床治験に適格であることが確認され、治療群に割り当てられるときを指す。
本明細書で使用するとき、用語「疾患増悪に関連する症状の遅延」とは、投与された薬物の治験での無作為化時からの、疼痛、尿路閉塞などの症状の発症のまでの時間の増加、及び生活の質に関する検討時間の増加を意味する。
用語「キット」及び「製造物品」は、同義語として使用される。
用語「被験者/対象」及び「患者」、並びに「ヒト」は、互換的に使用される。
用語「重度の肝障害」は、修正された肝臓疾患の重症度のChild-Pugh分類(Modified Child-Pugh Classification of Severity of Liver Disease)に従う、分類Cのスコア10~15を達成する者を指す。
治療レジメン
一態様において、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢耐性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効量のアンドロゲン受容体阻害剤を、重度の肝障害を有する、かかる治療を必要とするヒト男性に投与することを含むか、投与することからなるか、又は投与することから本質的になる、方法が記載され、アンドロゲン受容体阻害剤は、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(アパルタミド)、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(エンザルタミド)、4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(RD162)、又は、N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾル-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(ダロルタミド)のうちの1つ以上である。
一態様において、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効量の4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(アパルタミド)を、重度の肝障害を有する、かかる治療を必要とするヒト男性に投与することを、含むか、それらからなるか、又は本質的にそれからなる、方法が記載される。
一態様において、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効量の4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(エンザルタミド)を、重度の肝障害を有する、かかる治療を必要とするヒト男性に投与することを、含むか、それらからなるか、又は本質的にそれからなる、方法が記載される。
一態様において、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効量の4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(RD162)を、重度の肝障害を有する、かかる治療を必要とするヒト男性に投与することを、含むか、それらからなるか、又は本質的にそれからなる、方法が記載される。
一態様において、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効量のN-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(ダロルタミド)を、重度の肝障害を有する、かかる治療を必要とするヒト男性に投与することを、含むか、それらからなるか、又は本質的にそれからなる、方法が記載される。
以下の開示において、「非転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療する方法」は、あるいは、非転移性去勢抵抗性前立腺癌を有するヒト男性を治療する方法として記述され得る。簡潔にするために、各可能な代替物は解析されないが、それぞれは、完全に記載されているかのように別個に検討される。
特定の実施形態では、ヒト男性は、正常な心臓の状態及び機能を有する。いくつかの実施形態では、正常な心臓の状態及び機能は、洞調律、1分当たり約50~約100拍の心拍数、約480ms以下のQT補正(QT corrected、QTc)間隔、120mg以上のQRS間隔、220ms以上のPR間隔、若しくは健康な心臓の状態及び機能に一致する形態、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、正常な心臓の状態及び機能は、洞調律、1分当たり約50~約100拍の心拍数、約480ms以下のQT補正(QTc)間隔を含む。
いくつかの実施形態では、ヒト男性は、約45mL/分/17.3m以下のクレアチニンクリアランス(creatinine clearance、CrCL)を有する。クレアチニンクリアランスは、慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD-EPI)のクレアチニン式に従って計算される。
なお更なる実施形態では、ヒト男性は、安定した肝障害を有する。本明細書で使用される場合、「安定した肝障害」は、参加者の直近の病歴によって文書化されたスクリーニング訪問の前の直近90日以内に、疾患状態の臨床的に有意な変化がないことを指す。疾患状態における臨床的に有意な変化がないことの例としては、限定されないが、肝障害の臨床徴候の悪化がないこと、及び/又は50%超による総ビリルビン若しくはプロトロンビン時間(prothrombin time、PT)の悪化がないこと、が挙げられる。
特定の実施形態では、ヒト男性は、制御された高血圧を有する。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、肝障害の主要な診断に直接関連する医学的問題を有する。
いくつかの実施形態では、ヒト男性は、約90~約170mmHgの収縮期の血圧を有する。特定の実施形態では、ヒト男性は、約100mmHg未満の拡張期の血圧を有する。更なる実施形態では、ヒト男性は、約90~約170mmHgの収縮期及び約100mmHg未満の拡張期の血圧を有する。本明細書で使用される場合、「血圧」は、ヒト男性が仰臥位で5分間いた後に取得された血圧測定値を指す。血圧が範囲外である場合、最大2回の反復評価が許可される。
いくつかの実施形態では、ヒト男性は、重度の肝障害のための併用療法を受ける。特定の実施形態では、併用療法は、降圧剤、カルシウムチャネルブロッカー、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、利尿薬、コレステロール低下薬、経口抗糖尿病薬、及び電解質置換のうちの1つ以上を含む。降圧剤の例としては、アルファ-1及びベータ-ブロッカーが挙げられる。
重度の肝障害を有する被験者に対する全ての許容される併用薬の投与量は、アンドロゲン受容体阻害剤の投与前及び投与中に最低2週間安定化され得る。長期的に摂取される薬物のわずかな用量調整は、アンドロゲン受容体阻害剤を投与する前の2週間以内に許容され得る。
いくつかの実施形態では、ヒト男性は、他の医学的症状のための併用療法を受ける。他の医学的症状のための許容される併用療法の例としては、限定されないが、ビタミン、プロテインサプリメント、ラクツロース、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、メトロニダゾール、及び経口L-オルニチン-L-アスパルテートが挙げられる。
更なる実施形態では、ヒト男性は、CYP2C8又はCYP3A4の強力な阻害剤又は誘導剤を投与されない。強力なCYP3A4阻害剤の例としては、限定されないが、イトラコナゾール、クラリスロマイシン、デラビルジン、アタザナビル、インジナビル、ネファゾドン、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、テリスロマイシン、及びボリコナゾールが挙げられる。強力なCYP3A4誘導剤の例としては、限定されないが、フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、及びセント・ジョーンズ・ワート(St. John's wort)が挙げられる。CYP2C8阻害剤の例としては、限定されないが、ゲムフィブロジル、フェロジピン、及びザフィルルカストが挙げられる。CYP2C8誘導剤の例としては、限定されないが、リファンピンが挙げられる。
更なる実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、アパルタミドによる治療を受けない重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴わない。いくつかの実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、重度の肝障害に対する治療を受けるがアパルタミドによる治療を受けない、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴わない。いくつかの実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、プラセボを投与される、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴わない。いくつかの実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、治療を受けない、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴わない。
特定の実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、アパルタミドによる治療を受けない、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴う。いくつかの実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、重度の肝障害に対する治療を受けるがアパルタミドによる治療を受けない、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴う。いくつかの実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、プラセボを投与される、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴う。いくつかの実施形態では、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性へのアパルタミドの投与は、治療を受けない、重度の肝障害を有するnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴う。
本明細書で使用される場合、用語「有害事象」は、アンドロゲン受容体阻害剤を投与されたヒト男性における、何らかの目的とは異なる医学的発生を意味する。有害事象(adverse event、AE)は、必ずしも治療と因果関係を有するわけではない。したがって、AEは、それがアンドロゲン受容体阻害剤に関連するか否かを問わないが、一時的にアンドロゲン受容体阻害剤の使用と関連するいかなる好適でない及び意図しない徴候(異常所見を含む)、症状又は疾患であり得る。これには、新たな発症又はベースライン状態からの重症度若しくは頻度における悪化である任意の発症、あるいは検査室試験の異常を含む診断手順の異常な結果が含まれる。
更なる実施形態では、有害事象は、アンドロゲン受容体阻害剤の投与後に発生し得る。アンドロゲン受容体阻害剤の投与後に起こる有害事象の例としては、治療中に発生した有害事象(treatment-emergent adverse event、TEAE)及びベースラインから悪化した有害事象が挙げられる。特定の実施形態では、有害事象は報告される。本明細書で使用する場合、「申告される有害事象」とは、被験者がそれについて具体的に質問される既定の局所的及び全身的事象である。特定の実施形態では、有害事象は報告されない。本明細書で使用される場合、「申告されない有害事象」とは、被験者がそれについて具体的に質問されないものである。
特定の実施形態では、有害事象は重篤な有害事象(serious adverse event、SAE)である。本明細書で使用される場合、用語「重篤な有害事象」又は「SAE」は、何らかの用量での目的とは異なる何らかの医学的発生であり、すなわち、死に至ること、生命を脅かすこと、患者の入院又は既に入院していることの延長を必要とすること、永続的若しくは顕著な器官にわたる不安定/能力障害をもたらすこと、先天性異常/先天性欠損であること、医薬品を介する何らかの感染因子の供給が疑われること、医学的に重要であること、又はそれらの任意の組み合わせである。
本明細書で用いる場合、「生命を脅かすこと」とは、被験者が、その事象の時点で死亡のリスクがあったことを意味する。「生命を脅かすこと」とは、より重度であれば死に至り得た事象を指すものではない。SAEが医学的に重要であるか否かの判定においては、直ちに生命を脅かしたり、又は死若しくは入院に至らなくとも、緊急報告が、被験者を危険にさらす恐れがあったり、又は上記の定義に挙げられている他の結果のうちの1つを防止するための介入が必要となり得る重要な医学的事象などの他の状況においても適切であるか否かを決定する際に、医学的及び科学的判断を実行する必要がある。
特定の実施形態では、有害事象は、列挙されていない又は予期せぬ有害事象である。性質又は重症度が適用可能な製品参照安全性情報と一致しない場合、有害事象は、記載されていないと見なされる。いくつかの実施形態では、有害事象は、アンドロゲン受容体阻害剤の使用に関連する。
アンドロゲン受容体阻害剤の投与と有害事象との間に妥当な因果関係がある場合、有害事象は「関連する」という。有害事象がアンドロゲン受容体阻害剤の使用に関連しない場合、有害事象は「関連しない」。
また、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)を治療するための方法であって、ヒト男性が重度の肝障害を有するか否かを判定することと、ヒト男性が重度の肝障害を有する場合、1日当たり約30mg~1日当たり約480mgの用量でヒト男性にアパルタミドを投与して、nmCRPCを治療することと、を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、正常な心臓の状態及び機能を有する。特定の実施形態では、正常な心臓の状態及び機能は、洞調律、1分当たり約50~約100拍の心拍数、及び約480ms以下のQTc間隔を含む。更なる実施形態では、ヒト男性は、約45mL/分/17.3m以下のクレアチニンクリアランスを有する。なお更なる実施形態では、ヒト男性は、安定した肝障害を有する。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、約90~約170mmHgの収縮期の血圧を有する。特定の実施形態では、ヒト男性は、約100mmHg未満の拡張期の血圧を有する。
特定の実施形態では、nmCRPCは、高リスクnmCRPCである。いくつかの実施形態では、アパルタミドの投与は、アパルタミドによる治療を受けないnmCRPCを有するヒト男性の集団の無転移生存率と比較し、ヒト男性の無転移生存の増加を提供する。特定の実施形態では、ヒト男性は、10ヶ月以下である前立腺特異的抗原倍加時間(PSADT)を有する。
いくつかの実施形態では、ヒト男性は、癌の治療のための少なくとも1つの前療法を受けている。更なる実施形態では、癌の治療のための前療法は、1つ以上、若しくは酢酸アビラテロンに加えた、プレドニゾン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、化学療法、ドセタキセル、カバジタキセル、ラジウム-223、又はシプロイセル-Tを含む。なお更なる実施形態では、癌の治療のための前療法は、ビカルタミド、フルタミド、又はニルタミドである。更なる実施形態では、ヒト男性は、治療未経験である。
いくつかの実施形態では、広義にはアンドロゲン受容体阻害剤、具体的にはアパルタミド、エンザルタミド、RD162、又はダロルタミドは、アンドロゲン除去療法(ADT)と組み合わせて投与される。更なる実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、少なくとも1つのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニストと組み合わせて投与される。なお更なる実施形態では、少なくとも1つのGnRHアゴニスト又はアンタゴニストが、ロイプロリド、ブセレリン、ナフェレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、デガレリクス、オザレリクス、ABT-620(エラゴリクス)、TAK-385(レルゴリクス)、EP-100、KLH-2109、若しくはトリプトレリンであるか、又はそれを含む。
医師は、指示、推奨、及び慣行に従ってGnRHアゴニストを処方することができる。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、ロイプロリドである。いくつかの実施形態では、ロイプロリドは、4週ごとに約7.5mg、又は3ヶ月ごとに22.5mg、又は4ヶ月ごとに約30mg、又は6ヶ月ごとに約45mgの用量で、デポ注射として投与される。約3日~約12ケ月の期間にわたる約0.01mg~約200mgのロイプロリド、好ましくは約3日~約12ケ月の期間にわたる約3.6mgのロイプロリドで、ロイプロリドが投与される。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、ブセレリンである。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、ナフェレリンである。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、ヒストレリンである。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、ヒストレリン酢酸塩である。いくつかの実施形態では、ヒストレリン酢酸塩は、12ケ月の期間にわたって約50mgのヒストリン酢酸塩、又は1日当たり約50μgのヒストレリン酢酸で投与される。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、ゴセレリンである。いくつかの実施形態では、ゴセレリンは、4週ごとに約3.6mg、又は12週ごとに約10.8mgの用量で皮下埋め込みとして投与される。いくつかの実施形態では、ゴセレリンは、約28日~約3ケ月の期間にわたって約0.01mg~約20mgのゴセレリン、好ましくは約28日~約3ケ月の期間にわたって約3.6mg~約10.8mgのゴセレリンで投与される。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、デスロレリンである。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、デガレリクスである。いくつかの実施形態では、デガレリクスは、約240mgの用量で皮下注射として投与され、続いて4週ごとに約80mg投与される。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、オザレリクスである。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、オザレリクスである。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、ABT-620(エラゴリクス)である。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、TAK-385(レルゴリクス)である。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、EP-100である。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、KLH-2109である。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、トリプトレリンである。いくつかの実施形態では、トリプトレリンは、約1ケ月の期間にわたって約0.01mg~約20mgのトリプトレリン、好ましくは約1ケ月の期間にわたって約3.75mgのトリプトレリンで投与される。
特定の実施形態では、広義にはアンドロゲン受容体阻害剤、具体的にはアパルタミド、エンザルタミド、RD162、又はダロルタミドは、両側精巣摘出と併用される。特定の実施形態では、広義にはアンドロゲン受容体阻害剤、具体的にはアパルタミド、エンザルタミド、RD162、又はダロルタミドは、両側精巣摘出後に投与される。
投与方法
一態様において、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するための方法であって、重度の肝障害を有する、かかる治療を必要とするヒト男性に、治療有効量のアンドロゲン受容体阻害剤を投与することを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、方法が記載され、アンドロゲン受容体阻害剤は、アパルタミド、エンザルタミド、RD162、又はダロルタミドのうちの1つ以上である。更なる態様において、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するための方法であって、重度の肝障害を有する、かかる治療を必要とするヒト男性に、1日当たり約10mg~1日当たり約1,200mgの用量で、アンドロゲン受容体阻害剤を投与することを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、方法が記載され、アンドロゲン受容体阻害剤は、アパルタミド、エンザルタミド、RD162、又はダロルタミドのうちの1つ以上である。
広義には、ヒトにおける本明細書に記載の疾患又は症状の治療に使用されるアンドロゲン受容体阻害剤の用量は、典型的には、1日当たり10mg~1200mgの範囲である。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日当たり約30mg~1日当たり約1200mgの用量でヒトに投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日当たり約30mg~1日当たり約600mgの用量でヒトに投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日当たり約30mg、1日当たり約60mg、1日当たり約90mg、1日当たり約120mg、1日当たり約160mg、1日当たり約180mg、1日当たり約240mg、1日当たり約300mg、1日当たり約390mg、1日当たり約480mg、1日当たり約600mg、1日当たり約780mg、1日当たり約960mg、又は1日当たり約1200mgの用量でヒトに投与される。
特定の実施形態では、本明細書に記載のヒトにおける疾患又は状態の治療に用いられる、広義にはアンドロゲン受容体阻害剤、具体的にはアパルタミド、エンザルタミド、RD162、又はダロルタミドの用量は、30~40mg/日、40~50mg/日、50~60mg/日、60~70mg/日、70~80mg/日、80~90mg/日、90~100mg/日、100~120mg/日、120~140mg/日、140~160mg/日、160~180mg/日、180~200mg/日、200~220mg/日、220~240mg/日、240~260mg/日、260~280mg/日、280~300mg/日、300~320mg/日、320~340mg/日、340~360mg/日、360~380mg/日、380~400mg/日、400~420mg/日、420~440mg/日、440~460mg/日、460~480mg/日、480~500mg/日、500~520mg/日、520~540mg/日、540~560mg/日、560~580mg/日、580~600mg/日、600~620mg/日、620~640mg/日、640~660mg/日、660~680mg/日、680~700mg/日、700~720mg/日、720~740mg/日、740~760mg/日、760~780mg/日、780~800mg/日、800~820mg/日、820~840mg/日、840~860mg/日、860~880mg/日、880~900mg/日、900~920mg/日、920~940mg/日、940~960mg/日、960~980mg/日、980~1000mg/日、1000~1020mg/日、1020~1040mg/日、1040~1060mg/日、1060~1080mg/日、1080~1100mg/日、1100~1120mg/日、1120~1140mg/日、1140~1160mg/日、1160~1180mg/日、1180~1200mg/日、又は、これらの範囲の2つ若しくは3つ以上によって定義されるいかなる範囲、又はこれらにおいて引用されるいかなる単一の値でもあり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒトにおける疾患又は状態の治療に用いられる、広義にはアンドロゲン受容体阻害剤、具体的にはアパルタミド、エンザルタミド、RD162、又はダロルタミドの用量は、0.3~0.4mg/kg/日、0.4~0.5mg/kg/日、0.5~0.6mg/kg/日、0.6~0.7mg/kg/日、0.7~0.8mg/kg/日、0.8~0.9mg/kg/日、0.9~1mg/kg/日、1~1.2mg/kg/日、1.2~1.4mg/kg/日、1.4~1.6mg/kg/日、1.6~1.8mg/kg/日、1.8~2mg/kg/日、2~2.2mg/kg/日、2.2~2.4mg/kg/日、2.4~2.6mg/kg/日、2.6~2.8mg/kg/日、2.8~3.0mg/kg/日、3.0~3.2mg/kg/日、3.2~3.4mg/kg/日、3.4~3.6mg/kg/日、3.6~3.8mg/kg/日、3.8~4.0mg/kg/日、4.0~4.2mg/kg/日、4.2~4.4mg/kg/日、4.4~4.6mg/kg/日、4.6~4.8mg/kg/日、又は、これらの範囲の2つ若しくは3つ以上によって定義されるいかなる範囲、又はこれらにおいて引用されるいかなる単一の値でもあり得る。
更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約30mg~1日当たり約480mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約30mg~1日当たり約300mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約30mg~1日当たり約240mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約30mg~1日当たり約120mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約30mg~1日当たり約60mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約60mg~1日当たり約300mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約60mg~1日当たり約240mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約60mg~1日当たり約120mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約120mg~1日当たり約300mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約120mg~1日当たり約240mgの用量でヒト男性に投与される。なお更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約180mg~1日当たり約480mgの用量でヒト男性に投与される。いくつかの実施形態では、アパルタミドは、(a)1日当たり約30mg、(b)1日当たり約60mg、(c)1日当たり約90mg、(d)1日当たり約120mg、又は(d)1日当たり約240mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約240mgの用量でヒト男性に投与される。特定の実施形態では、アパルタミドは、約60mgの用量及び1日当たり4回の頻度でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約120mgの用量でヒト男性に投与される。更なる実施形態では、アパルタミドは、1日当たり約60mgの用量でヒト男性に投与される。
いくつかの実施形態では、エンザルタミドは、1日当たり約160mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、1日当たり160mgを超えるエンザルタミドが投与される。
いくつかの実施形態では、RD162は、1日当たり約30mg~1日当たり約480mgの用量でヒト男性に経口投与される。なお更なる実施形態では、RD162は、1日当たり約180mg~1日当たり約480mgの用量でヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、RD162は、(a)1日当たり約30mg、(b)1日当たり約60mg、(c)1日当たり約90mg、(d)1日当たり約120mg、又は(d)1日当たり約240mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、RD162は、1日当たり約240mgの用量でヒト男性に経口投与される。
いくつかの実施形態では、ダロルタミドは、1日当たり約1200mgの用量で経口投与される。いくつかの実施形態では、1日当たり1200mgを超えるダロルタミドが投与される。いくつかの実施形態では、ダロルタミドは、1日2回の頻度で600mgの用量で投与される。
ヒトにおける疾患の状態又は状態の改善が観察されない特定の実施形態では、広義にはアンドロゲン受容体阻害剤、具体的にはアパルタミド、エンザルタミド、RD162、又はダロルタミドの1日用量は増加する。いくつかの実施形態では、1日1回の投与スケジュールは、1日2回の投与スケジュールに変更される。いくつかの実施形態では、投与されるアンドロゲン受容体阻害剤の量を増加させるために、1日3回の投与スケジュールが用いられる。
いくつかの実施形態では、ヒトに与えられる、広義にはアンドロゲン受容体阻害剤、具体的にはアパルタミド、エンザルタミド、RD162、又はダロルタミドの量は、限定されないが、疾患又は状態の状態及び重症度、並びにヒトの特徴(例えば、体重)、並びに投与される特定の追加の療法薬(適用可能な場合)などの因子に応じて変化する。
一態様において、本明細書では、ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効量のアンドロゲン受容体阻害剤を、重度の肝障害を有する、かかる治療を必要とするヒト男性に投与することを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、方法が記載され、アンドロゲン受容体阻害剤は経口投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、毎日投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日3回投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日4回投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日おきに投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、週に1回投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、週に2回投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1週おきに投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、継続的な連日投薬スケジュールで経口投与される。
一実施形態では、所望のアンドロゲン受容体阻害剤の用量は、単回用量で、若しくは同時に(若しくは短期間に)投与される分割用量で、又は適切な間隔で、例えば、1日当たり2回、3回、4回、又はそれ以上のサブ用量で、与えられるのが好都合である。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日1回、同時に(又は短期間に)投与される分割用量で簡便に投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日2回等分されて投与される分割用量で簡便に投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日3回等分されて投与される分割用量で簡便に投与される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、1日4回等分されて投与される分割用量で簡便に投与される。
特定の実施形態では、所望のアンドロゲン受容体阻害剤の用量は、1日を通して、部分単位投与によって送達されるアンドロゲン受容体阻害剤の総量が、1日の総投与量となるように、1日を通して1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の部分単位投与量で送達され得る。
更なる実施形態では、アパルタミドは、ヒト男性に毎日投与される。なお更なる実施形態では、アパルタミドは、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、アパルタミドは、継続的な連日投与スケジュールで男性ヒトに経口投与される。
更なる実施形態では、エンザルタミドは、ヒト男性に毎日投与される。なお更なる実施形態では、エンザルタミドは、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、エンザルタミドは、継続的な連日投与スケジュールでヒト男性に経口投与される。
更なる実施形態では、RD162は、ヒト男性に毎日投与される。なお更なる実施形態では、RD162は、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、RD162は、継続的な連日投与スケジュールでヒト男性に経口投与される。
更なる実施形態では、ダロルタミドは、ヒト男性に毎日投与される。なお更なる別の実施形態では、ダロルタミドは、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、ダロルタミドは、継続的な連日投与スケジュールでヒト男性に経口投与される。
投与経路及び医薬組成物
本明細書に記載される療法薬は、任意の好適な要領又は好適な製剤で投与される。療法薬の好適な投与経路としては、経口及び非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)が挙げられるが、これらに限定されない。全ての製剤は、ヒトへの投与に好適な用量である。医薬組成物の概要は、かかる開示に関して参照により本明細書に組み込まれているが、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins 1999)に記載されている。
安全性を調べる試験はまた、薬物への暴露がもたらし得る、任意の潜在的な有害な影響の特定を求めるものである。有効性は、多くの場合、適切な状況、例えば、厳しく制御された臨床治験において試験された場合、活性医薬成分が偽薬又は他の介入よりも健康効果を示すかどうかを判定することによって、測定される。
別途記載のない限り、本明細書で使用するとき、用語「有効量」又は「治療有効量」は、疾患又は状態の増悪を停止又は遅延させることを含む、内在する疾患又は状態を治療する、アンドロゲン受容体阻害剤の投与量を意味する。
製剤、組成物、又は成分に関して、本明細書で使用するとき、用語「許容可能な」とは、治療中のヒト男性の全身的な健康に対する、その製剤、組成物又は成分の、その有害な影響を実質的に上回る有益な効果を意味する。
いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、固体剤形として製剤化される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、経口用量形態、単位経口用量形態、又は固体用量形態(例えば、カプセル、錠剤、又は丸剤)として製剤化される。いくつかの実施形態では、例えば、アンドロゲン受容体阻害剤は、錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、アパルタミドである。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、エンザルタミドである。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、RD162である。いくつかの実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、ダロルタミドである。
製剤はまた、これらの材料のうちの2つ以上を組み合わせて含んでもよい。アンドロゲン受容体阻害剤を含有する固体経口剤形は、各々が参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2014113260号及び中国特許出願公開第104857157号に開示のようにソフトゲルカプセルとして提供され得、又は、各々が参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2016090098号、同第2016090101号、同第2016090105号、及び同第2014043208号に開示のように錠剤として提供され得る。本発明の固体経口剤形の調製に好適な技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,edited by AR.Gennaro,1990,Chapter 89及びRemington-The Science,and Practice of Pharmacy,21st edition,2005,Chapter 45に記載されている。
特定の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害剤は、固体単位剤形、及び経口投与に好適な固体単位剤形で製剤化される。単位剤形は、単位用量形態当たり約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220若しくは240mg、又はこれらの値の2つで画定される範囲の量のアンドロゲン受容体阻害剤を含有し得る。
本発明の医薬組成物を調剤するには、従来の医薬配合技術により、活性医薬成分を、医薬担体とよく混合し、この担体は、投与(例えば、経口又は非経口)のために望まれる調剤の形態に応じて、広範な形態をとることができる。医薬的に許容される好適な担体は、当該技術分野において周知である。これらの医薬的に許容される担体のいくつかの説明は、米国薬剤師会及び英国薬剤師会によって出版されたThe Handbook of Pharmaceutical Excipientsに見出すことができる。
例えば、再構成又は吸入用の乾燥粉末、顆粒、カプセル、カプレット、ゲルキャップ、丸剤及び錠剤(各々、速放性、徐放性、及び持続放出性の製剤を含む)などの固体経口調剤において、好適な担体及び添加剤としては、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、滑剤、崩壊剤などが挙げられるが、これらに限定されない。投与が容易であるので、錠剤及びカプセルは最も有利な経口投与単位形態であり、この場合、固体医薬担体が使用されることは明らかである。望まれる場合、標準的な技術により、錠剤に、糖衣、ゼラチンコーティング、フィルムコーティング、又は腸溶剤コーティングしてもよい。
好ましくは、これらの組成物は、経口、鼻腔内、舌下、眼内、経皮的、非経口、膣内、乾燥粉末吸入剤、又は他の吸入剤若しくは吸送手段による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル、再構成又は吸入用の乾燥粉末、顆粒、トローチ剤、滅菌溶液又は懸濁液、定量エアロゾル又は液体スプレー、点滴剤、又は坐剤等からの単位剤形である。
これらの製剤は、従来の製剤技術によって製造される。錠剤などの固形医薬組成物を調剤するために、主要な活性成分は、医薬担体、例えば、希釈剤、結合剤、粘着剤、崩壊剤、潤滑剤、粘着防止剤、及び滑剤などの従来の錠剤形成成分と混合される。好適な希釈剤としては、デンプン(すなわち、加水分解され得る、トウモロデンプンコシ、小麦デンプン、又はジャガイモデンプン)、ラクトース(顆粒化、噴霧乾燥品、又は無水)、スクロース、スクロース系希釈剤(菓子製造元の糖;スクロース+約7~10重量%の転化糖;スクロース+約3重量%の変性デキストリン;スクロース+約4重量%の転化糖、約0.1~0.2重量%のトウモロコシデンプン及びステアリン酸マグネシウム)、デキストロース、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、微結晶セルロース(すなわち、FMC Corp.から入手可能なAVICEL微結晶セルロース)、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物などが挙げられるが、これらに限定されない。好適な結合剤及び粘着剤としては、アカシアガム、グアーガム、トラガントガム、スクロース、ゼラチン、グルコース、デンプン、及びセルロース系のもの(すなわち、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースなど)、水溶性又は分散性結合剤(すなわち、アルギン酸及びその塩、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ヒドロキシエチルセルロース[すなわち、Hoechst Celaneselから入手可能なTYLOSE]、ポリエチレングリコール、多糖類酸、ベントナイト、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリレート、及びアルファ化デンプン)などが挙げられるが、これらに限定されない。好適な崩壊剤としては、デンプン(トウモロコシ、ジャガイモなど)、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファ化デンプン、粘土(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、セルロース(架橋されたカルボキシメチルセルロースナトリウム及び微結晶セルロース)、アルギネート、アルファ化デンプン(すなわち、コーンスターチなど)、ガム(すなわち、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、及びトラガントガム)、並びに架橋されたポリビニルピロリドンなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適な潤滑剤及び粘着防止剤としては、ステアレート(マグネシウム、カルシウム、及びナトリウム)、ステアリン酸、タルクワックス、ステアロウェット(stearowet)、ホウ酸、塩化ナトリウム、DL-ロイシン、カーボワックス4000、カーボワックス6000、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸マグネシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適な滑剤には、タルク、コーンスターチ、シリカ(すなわち、Cabotから入手可能なCAB-O-SILシリカ、W.R.Grace/Davisonから入手可能なSYLOIDシリカ、及びDegussaから入手可能なAEROSILシリカ)などが挙げられるが、これらに限定されない。甘味剤及び風味剤が、経口剤形の美味性を改善するために、チュアブルの固体剤形に添加されてもよい。更に、着色剤及びコーティングが、薬物の識別を容易にするため又は美的目的で、固体剤形に添加又は付与されてもよい。これらの担体は、医薬的活性物質と共に製剤化され、医薬的活性物質の正確で適切な用量に治療的放出プロファイルを提供する。
本発明の一態様は、アンドロゲン受容体阻害剤を含む固体分散体である。固体分散体を調製するための様々な手法が存在し、当該手方法としては、溶融押出(例えば、高温溶融押出)、噴霧乾燥、及び溶液蒸発、特に高温溶融押出及び噴霧乾燥が挙げられ、噴霧乾燥が好ましい。本発明の一態様は、本明細書に記載したような固体分散体からなる粒子である。本発明の一態様では、本明細書に記載されるような粒子は、入手可能であり、特に、広義にはアンドロゲン受容体阻害剤、より具体的にはアパルタミド、HPMCASを好適な溶媒に含む混合物を噴霧乾燥させることによって、入手可能である。一態様では、粒子は入手可能であり、具体的には、溶融押出によって入手可能である。
HPMCAS、つまりヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート又はヒプロメロースアセテートサクシネート(CAS番号71138-97-1)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの酢酸エステル及びモノコハク酸エステルの混合物である(IUPAC名:セルロース、2-ヒドロキシプロピルメチルエーテル、酢酸塩、水素ブタンジオエート)。置換度/置換率(アセチル含量、コハク酸含量)及び粒径(微粉化及び粒状)に基づいて区別された種々のグレードが入手可能である。本発明の一態様では、アパルタミドを有する分散体中のHPMCASは、HPMCAS LG(粒状グレード)又はHPMCAS LF(微粉化グレード)(Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd)であり、特にHPMCAS LGである。
本明細書で提供される医薬組成物における使用に好適な結合剤としては、デンプン、セルロース、及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニール1ピロリドン、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で提供される医薬組成物における使用に好適な充填剤の例としては、微結晶セルロース、粉末化セルロース、マンニトール、ラクトース、リン酸カルシウム、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物における結合剤又は充填剤は、典型的には、医薬組成物又は剤形の約50~約99重量%で存在する。
崩壊剤は、水性環境に暴露されたとき崩壊する錠剤を提供するために、組成物に使用することができる。過度に多くの崩壊剤を含有する錠剤は、保管中に崩壊することがある一方で、過度に少なくしか含有していない錠剤は、所望の速度で、又は所望の条件下で崩壊しないことがある。したがって、活性成分の放出を不利に変更するほど過度に多くなく、また過度に少なくもない、十分な量の崩壊剤を使用して、固体経口剤形を形成する必要がある。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に基づいて変化し、当業者であれば容易に認識可能である。典型的な医薬組成物は、約0.5~約15重量%の崩壊剤、特に約1~約5重量%の崩壊剤を含む。本明細書で提供される医薬組成物に使用することができる崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、他のセルロース、ガム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で提供される医薬組成物に使用することができる潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、水素添加植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。潤滑剤は、典型的には、それらが組み込まれる医薬組成物又は剤形の約1重量%未満の量で使用される。
圧縮錠剤製剤は、任意に、色、光保護、及び/又は味覚マスキングを提供するためにフィルムコーティングされていてもよい。錠剤はまた、患者のAPIへの生物学的暴露を最適化又は最大化するために、胃腸管における放出の開始及び/又は速度を調節するようコーティングされていてもよい。
ハードカプセル製剤は、例えばゼラチン、又はヒプロメロースからなるシェルに、アパルタミド又はエンザルタミドのブレンド又は造粒物を充填することによって製造することができる。
ソフトゲルカプセル製剤を製造することができる。
経口使用を意図した医薬組成物は、固体分散製剤、及び本明細書に記載の方法による上記ブレンド材料、並びに医薬組成物製造に関する技術分野に既知の他の方法から調剤することができる。このような組成物は、医薬的に優れた口に合う調剤を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤、及び防腐剤からなる群から選択される、1つ以上の薬剤を更に含有してもよい。
錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に好適な無毒性の医薬的に許容される賦形剤と混合された状態で含有してもよい。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、造粒剤、及び崩壊剤、結合剤、滑剤、潤滑剤、及び酸化防止剤、例えば、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びブチル化ヒドロキシトルエンであってもよい。錠剤は、未コーティングであってもよく、又は外観を修正するためフィルムコーティングされていてもよく、又は胃腸管における崩壊及び吸収の遅延により長期にわたって作用を持続させるため、機能性コートでコーティングされていてもよい。
経口使用のための組成物はまた、活性成分が不活性の固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、若しくはデンプンと混合されたカプセル(例えば、ハードゼラチン)として、又は活性成分が液体若しくは半液体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、分画グリセリド、界面活性剤、若しくはオリーブ油と混合されたソフトゼラチンカプセルとして与えられてもよい。水性懸濁液は、活性物質を水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混合された状態で含有する。水を加えることによる水性懸濁液の調剤に好適な分散性の粉末及び顆粒によって、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つ以上の防腐剤と混合された活性成分が得られる。本発明の特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、希釈剤系、崩壊剤、塩、潤滑剤、滑剤、及びフィルムコートをそれぞれ、約3重量/重量%~約58重量/重量%、約4重量/重量%~約20重量/重量%、約4重量/重量%~約20重量/重量%、約0.5重量/重量%~約4重量/重量%、約0重量/重量%~約2重量/重量%、及び約1重量/重量%~約5重量/重量%、又はそれぞれ、約18重量/重量%~約40重量/重量%、約7重量/重量%~約15重量/重量%、約7重量/重量%~約18重量/重量%、約1.0重量/重量%~約3.0重量/重量%、約0.1重量/重量%~約1.0重量/重量%、及び約2.0重量/重量%~約4.0重量/重量%の濃度で含む。特定の実施形態では、固体分散製剤は、希釈剤、1つ以上の崩壊剤、潤滑剤、及び滑剤とブレンドされている。例示的なブレンド組成物又は経口剤形は、マンニトール、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、塩化ナトリウム、コロイダルシリカ、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
崩壊剤は、約4重量/重量%~約20重量/重量%、又は約7重量/重量%~約15重量/重量%の濃度で存在してもよい。塩もまた、存在してもよく、それが塩化ナトリウム、塩化カリウム、又はこれらの組み合わせであってもよい。塩と崩壊剤との組み合わせは、最終医薬組成物の約5重量/重量%~約35重量/重量%の濃度で存在する。
特定の実施形態では、コア錠剤の非活性成分は、無水コロイダルシリカ、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース-アセテートスクシネート、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、及びケイ化微結晶セルロースである。他の実施形態では、錠剤は、以下の賦形剤、すなわち、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、タルク、及び二酸化チタンからなる、フィルムコーティングで仕上げられている。
他の実施形態では、医薬組成物の単回単位投与は、約60mgのアパルタミドを、含む、それからなる、又はそれから本質的になる。いくつかの実施形態では、医薬組成物の単回単位投与の複数回用量は、約60mgのアパルタミドを、含む、それからなる、又はそれから本質的になるものであり、例えば、4回又は個々の単位剤形がヒトに投与される。アパルタミドの合計1日用量は、1日当たり約240mgであってもよい。
いくつかの実施形態では、医薬組成物の単回単位投与は、約40mgのエンザルタミドを、含む、それからなる、又はそれから本質的になる。いくつかの実施形態では、医薬組成物の単回単位投与の複数回投与は、約40mgのエンザルタミドを、含む、それからなる、又はそれから本質的になるものであり、例えば、4回又は個々の単位剤形が、ヒトに投与される。エンザルタミドの全1日用量は、1日当たり約160mgであってもよい。
なお更なる実施形態では、医薬組成物の単回単位投与は、約300mgのダロルタミドを、含む、それからなる、又はそれから本質的になる。いくつかの実施形態では、医薬組成物の単回単位用量の複数回投与は、約300mgのダロルタミドを、含む、それからなる、又はそれから本質的になるものであり、例えば、2回又は個々の単位剤形が、ヒトに投与される。ダロルタミドの合計1日用量は、1日に2回で約600mgであってもよい。ダロルタミドの合計1日用量は、1日当たり約1200mgであってもよい。
経口投与のための全ての製剤は、かかる投与に好適な剤形である。
これらの実施例は、本明細書に提供される特許請求の範囲を限定するものではなく、例示のみを目的として提供される。
実施例1:正常な肝機能を有する被験者と比較して、重度の肝障害を有する被験者におけるアパルタミドの薬物動態を評価するための単回用量の非盲検試験
目的
主要目的
正常な肝機能を有する被験者と比較して、重度の肝障害を有する被験者におけるアパルタミドの単回投与薬物動態(pharmacokinetics、PK)を特徴付けること。
副次的目的
重度の肝障害を有する被験者における単回投与アパルタミドの安全性プロファイルを評価すること。
試験デザイン
実施例1に記載の試験を、本明細書に記載の基準に従って実施する。これは、重度の肝障害(Child-PughクラスC)を有する被験者又は正常な肝機能を有する健康な被験者のいずれかにおける、アパルタミドの非盲検、単回投与、多施設、非無作為化、第1相PK試験である。重度の肝障害を有する被験者(クラスC、Child Pughスコア10~15)を、肝臓疾患の重症度の改変されたChild-Pugh分類に従い特定する。
Child-Pughの分類を使用したスコア付けは、以下の表1のとおりである。
●5又は6の合計スコア:軽度肝障害
●7~9の合計スコア:中程度肝障害
●10~15の合計スコア:重度肝障害
Figure 2023500935000003
アパルタミドは、前立腺癌患者において使用されると予想される。概して、患者集団の肝機能は、正常な健康な被験者の肝機能と同様である。したがって、正常な肝機能を有する健康な被験者は正常な肝機能を有する意図された患者集団を代表することが予想されるため、健康な男性被験者を本試験において対照群として用いる。
書面によるインフォームドコンセントの提供の後、被験者を21日以内(21日目~2日目)にスクリーニングする。スクリーニング段階の間、被験者を、包含及び除外基準について評価する。非盲検治療段階の間、重度の肝障害を有する適格な被験者及び正常な肝機能を有する被験者は、絶食条件下で1日目に120mgの単回経口投与を受ける。投与前の少なくとも10時間及び投与後の2時間、食物を制限する(その後、軽いスナックを与える)。昼食を、投与の4時間後に提供する。
被験者は、-1日目から8日目の168時間の薬物動態(PK)血液サンプル採取の完了まで、試験施設に入院する。被験者は、アパルタミド及びN-デスメチルアパルタミドの血漿濃度の測定のために、10、12、及び15日目に試験施設に戻り、続いて、57日目までPK評価のために毎週試験施設に戻る。血漿タンパク質の結合(Plasma protein binding、PPB)を、アパルタミド及びN-デスメチルアパルタミドのCmaxの時間付近における投与前血漿サンプル及び投与後血漿サンプルを使用して検査し、非結合画分を評価する。被験者の安全性及び許容性を、試験の間終始モニターする。試験終了時の検査は、1,344時間のPKサンプリングの完了する、57日目に行う。試験終了前に試験から離脱した被験者については、臨床現場から離脱する前に実施されたものを試験終了時の検査とする。個々の被験者についての試験への参加期間は、約78日(スクリーニングを含む)である。
合計16人の被験者が本試験に登録されると予想される。重度(クラスC)の肝障害を有する被験者は、肝臓疾患の重症度に関する改変されたChild-Pugh分類に従って分類される。肝障害を有する被験者が全ての検査が完了した後に、正常な肝機能を有する被験者が登録される。対照群の健康な被験者は、重度群の肝障害被験者に対して、年齢(平均±10歳)及び体格指数(body mass index、BMI、平均±20%)について一致する。
1,008時間のPK血液サンプリングの完了前に試験から離脱した被験者は、同じ肝機能群に属する被験者と交換され得る。正常な肝機能を有する交換被験者はまた、一致基準を満たす必要がある。
調査期間
個々の被験者についての試験への参加期間は、約78日(スクリーニングを含む)である。
被験者の選択
全般的な考慮事項
約16人の被験者(ベースラインで、改変されたChild-Pugh分類に従って重度の肝障害[クラスC]を有する8人の被験者、及び対照群における正常な肝機能を有する8人の健康な被験者)が登録される。重度の肝障害を有する被験者の試験が完了した(又は少なくとも1,008時間のPK時点が完了した)後、平均年齢(±10年)及び平均BMI(±20%)に関して同等である対照群の被験者が登録される(ICFに署名している必要がある)。
18~80歳の男性を、その男性の肝機能(正常な肝機能、又は重度の肝障害)に従って2つの群に登録する。肝障害の程度は、肝臓疾患の重症度に関する改変されたChild-Pugh分類に基づく。この分類を使用して、2つの臨床特徴(肝性脳症及び腹水)及び3つの検査室ベースのパラメータ(アルブミン、ビリルビン、及びINR/プロトロンビン時間)に基づいて、また肝性脳症及び腹水に対する薬剤の使用を考慮に入れ、被験者をグループ化する。少なくとも16人の被験者(肝臓機能当たり8人)は、割り当てられた治療を完了することを意図している。
全ての必要な検査の完了前に試験から離脱した被験者は、同じ肝機能群に属する被験者と交換される。正常な肝機能を有する交換被験者はまた、一致基準を満たす必要がある。
組み入れ基準
全ての被験者は、本試験に登録されるために、下記の基準を満たす必要がある:
●18~80歳の男性であること。
●被験者が、試験の目的及びそれに必要な手順を理解し、試験に参加する意思があることを示すインフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名すること。被験者は、治験責任医師によってインフォームドコンセントを提供する能力を欠いていると判断されるような、肝性脳症≧グレード3を有していない必要がある。治験責任医師によってインフォームドコンセントを妨げないと判断される軽度又は中程度の肝性脳症であれば許可する。
●禁止事項及び制限事項に従うこと。
●治験責任医師によって適切と見なされる適切な避妊方法を使用することに同意するべきこと。
●体格指数(BMI:体重[kg]/身長[m])が18.0~40.0kg/m、及び体重>50kgであること。なお、スクリーニング中に肝障害及び腹水により穿刺術を受けた被験者は、その後にその被験者のBMIを再計算する必要がある。再計算されたBMIにより、被験者の適格性を判定する。
●非喫煙者、又は1日当たり10本以下のシガレット、又は2本以下のシガー、又は2本以下のパイプタバコの軽度の喫煙者であり、入院期間中、1日当たり4本のシガレット又は1本のシガーの喫煙制限に同意すること。
正常な肝機能を有する被験者は、試験に登録されるために、以下の追加の組み入れ基準を満たす必要がある。
●治験責任医師によって臨床的に有意でないと見なされない限り、病歴、身体検査、バイタルサイン、及び検査室評価から、臨床的に有意な所見がない、良好な健康状態である必要がある。
●12リードECGが、以下の正常な心臓伝導及び機能と一致すること
○洞調律
○1分当たり50~100拍の心拍数
○QT補正(QTc)間隔、≦450ms(Fridericia補正;QTcF)
○≦120msのQRS間隔
○PR間隔≦220ms
○健康な心臓伝導及び機能と一致する形態
●被験者は、≦正常上限(upper limit of normal、ULN)の、血清ビリルビン、血清アルブミン、INR、アラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine amino transferase、ALT)、及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase、AST)レベルを有する必要がある。
●被験者は、正常限界内、かつ慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD-EPI)のクレアチニン式に従って計算したときの>60mL/分/1.73mのクレアチニンクリアランス(CrCL)の、血清クレアチニンを有する必要がある。
●肝障害が、年齢(±10歳)及びBMI(平均の±20%)に関して試験群と実験的に同等であること。
●スクリーニングで(被験者が5分間仰臥位をとった後の)血圧が、収縮期で95~150mmHg、拡張期で90mmHg以下であること。血圧が範囲外である場合、最大2回の反復評価が許可される。
重度の肝障害を有する被験者は、試験に登録されるために、以下の追加の組み入れ基準を満たす必要がある:
●12リードECGが、以下の正常な心臓伝導及び機能と一致する
○洞調律、
○1分当たり50~100拍の心拍数、
○QTc間隔≦480ms(Fridericia補正;QTcF)、
●被験者は、スクリーニング中に治験責任医師によって決定された、試験薬の投与前-1日目における、10~15の総Child-Pughスコアを有する必要がある。臨床診断(例えば、超音波検査、肝臓生検、肝臓/脾臓スキャン、検査室結果又は臨床所見)を実証するソース文書、及び病歴は、治験責任医師によってレビューされ、署名される。
●被験者は、慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD-EPI)のクレアチニン式に従って計算したときの≧45mL/分/1.73m以上のクレアチニンクリアランス(CrCL)を有する必要がある。
●患者の最近の病歴(肝障害の臨床徴候の悪化なし、総ビリルビン又はプロトロンビン時間(PT)の50%超の悪化なし)による文書によると、スクリーニング訪問の前の直近90日以内の疾患状態の臨床的に有意な変化なしと定義される、安定した肝障害。
●高血圧を制御されている被験者、及び肝障害の主要診断に直接関連する問題を有する被験者が含まれ得る。治験責任医師及び治験依頼者が、症状が追加のリスク因子をもたらさず、試験の目的及び手順を妨げないことを考慮する場合に、被験者は、同時に安定した医学的状態を有し得、試験に含まれ得る(すなわち、軽度の変性関節疾患、制御された糖尿病、制御された甲状腺の症状、症例に応じて対処された他の状態を有する被験者)。生化学的又は血液学的試験の結果が検査室の参照範囲内にない場合、治験責任医師がこれらを臨床的に有意でないと判断した場合にのみ、被験者を登録することができる。被験者の肝臓の基礎症状に関連する検査室結果は、正常範囲外であり得る。
●(被験者が5分間仰臥位をとった後の)血圧が、収縮期で90~170mmHg、拡張期で100mmHg以下であること。BPが範囲外である場合、最大2回の反復評価が許容される。
●基礎疾患の病期又は肝障害に関連する医学的症状を治療するための併用薬は許容される。被験者は、投与前に少なくとも2週間、並びに試験中に、一定の用量の薬物及び/又は治療レジメンに供される必要がある。
本実施例で参照される慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)のクレアチニン式は、以下のように表される:推定糸球体濾過率=141×min(SCr/κ、1)α×max(SCr/κ、1)-1.209×0.993年齢×1.018[女性の場合]×1.159[黒人の場合]。eGFRは、mL/分/1.73mとして表される。SCr(標準化された血清クレアチニン)=mg/dL。κ=0.7(女性)又は0.9(男性)。α=-0.329(女性)又は-0.411(男性)。Min=SCr/κ又は1の最小値を示す。Max=SCr/κ又は1の最大値を示す。年齢=歳。
除外基準
以下の基準のいずれかに該当する被験者候補は、試験への参加から除外される。
全ての被験者:
●スクリーニングTSHレベル>ULN;
●(限定されないが)心臓不整脈又は他の心臓疾患、血液学的疾患、凝固障害(任意の異常な出血又は血液疾患を含む)、気管支障害性呼吸器疾患、制御されない真性糖尿病、又は腎不全、神経的若しくは精神的疾患、顕著な感染症、又は治験責任医師によると被験者を除外するべきであるか、若しくは研究結果の解釈に干渉し得る何らかの他の病気を含む、臨床的に重要な医学的病気。肝臓の基礎疾患に関連する異常な凝固パラメータ及び他の異常では、重度の肝障害を有する被験者は除外されない。
●12時間にわたる絶食が不可能である。
●活動性のある胆嚢又は胆道疾患(例えば、胆嚢炎又は症候性胆石症)。
●過去の胆嚢摘出術。
●試験の実施に干渉するであろう予め計画された外科的手術又は手順。
●本試験に登録している間、又は試験薬の直近の投薬の後3ヶ月以内に、子供の父親となる予定である男性。
●スクリーニング前6ヶ月以内に、精神疾患の診断及び統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)(DSM-V)(第5版)基準に従う薬物乱用の履歴があること、又はスクリーニング及び-1日目に、乱用薬物(バルビツレート、オピエート、コカイン、カンナビノイド、アンフェタミン、及びベンゾジアゼピンを含む)の試験結果が陽性であること(肝障害を有する被験者の場合、承認された治療薬の使用によって試験が陽性となった場合にのみ、許容した)。
●発作又は発作の前兆となり得る症状の病歴(すなわち、一過性虚血発作、脳卒中、脳動静脈奇形、脳又は髄膜における新生物など)。
●試験薬の吸収、代謝、又は排泄を変化させ得る、肝障害を除く、任意の外科的又は医学的症状(例えば、胃切除術、クローン病)。
●臨床的に顕著なアレルギーの病歴。
●アパルタミド又はその賦形剤に対する既知のアレルギー、過敏症、又は不耐性。
●試験薬の投与前の3ヶ月以内における、血液若しくは血液製品の供与又は血液の実質的な喪失(500mL超)、又は試験中に血液若しくは血液製品を供与する意図。
●試験薬の投与が計画される前、1ヶ月以内、又は薬物の半減期の5倍未満の期間内、のいずれか長い期間内に、実験薬を受容したか、若しくは実験用の医療デバイスを使用した。
●固体の経口剤形を水の補助と共に嚥下できない(参加者は、試験薬を噛んだり、分解、溶解、又は破砕することができない)。
●スクリーニング訪問時のヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)1及びHIV2抗体の試験が陽性。
●適切な静脈アクセスの欠如。
正常な肝機能を有する被験者:
●性能機能不全(異常な性欲、勃起不全など)又は性的機能に影響を与える何らか病状の存在。
●200ng/dL未満の血清テストステロンレベルのスクリーニング。
●試験薬の投与が計画される14日以内に、アセトアミノフェンを除く、(ビタミン及びハーブサプリメントを含む)任意の処方箋薬又は非処方箋薬の使用(治験責任医師が、以前の薬剤の特定の使用を理解することができない限り、試験の状況で臨床的に無関係)。アセトアミノフェンの使用は、試験薬投与の3日前には許容されない。
●A型肝炎の免疫グロブリンM陽性、B型肝炎表面抗原(Hepatitis B surface antigen、HBsAg)陽性、B型肝炎又はC型肝炎抗体の陽性血清。B型肝炎表面抗体が陽性であることは、被験者がB型肝炎ワクチンの証拠を提供できる場合、除外とはならない。
●スクリーニング前の5年以内の精神疾患の診断及び統計マニュアル(第5版)(DSM-V)基準に従うアルコール中毒の履歴、又はスクリーニング時及び-1日目のアルコール酒気検査が陽性。
●治験責任医師によって適切と見なされた、スクリーニング時又は-1日目における、臨床的に顕著な、血液学的又は臨床化学的異常値。
肝臓機能障害を有する被験者:
●試験薬投与前2週間以内の、2g/日超の用量でのアセトアミノフェンの使用。
●薬物代謝酵素を誘導又は阻害することが既知である薬剤(CYP2C8及び/又はCYP3A4)を必要とすることであり、それは1日目の最低2週間前には中止する必要がある(予備試験及び併用療法)。
●制御されないか又は顕著な心臓疾患の病歴又は現在の診断結果であり、以下のいずれかを含む、試験への参加のための安全性に対する顕著なリスクを示す。
○最近の心筋梗塞(チェックインの6ヶ月以内)
○ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)のクラスIII又はIVのうっ血性心不全
○不安定な狭心症(チェックインの6ヶ月以内)
○臨床的に顕著な(症候性の)心不整脈(例えば、ペースメーカーなしの持続的な心室性頻脈、第2又は第3度の房室ブロック)
○制御されない高血圧
●ジルベール症候群、肝移植、ウィルソン病、自己免疫性肝疾患、うまくバンディングで治療されない場合の、スクリーニングの前3ヵ月以内の食道静脈瘤の出血、既知の胃静脈瘤、スクリーニング前の3ヵ月以内の特発性細菌感染腹膜炎、胆汁うっ滞肝臓疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変症又は原発性硬化性胆管炎)、過去2年間以内の胆汁敗血症の履歴、又は門脈体静脈シャント。スクリーニング期間の少なくとも6ヶ月前に実施される場合、経頸骨内肝全身性シャント(transjugular intrahepatic portosystemic shunt、TIPS)を有する被験者は許容される。
●以前の肝細胞癌との診断。
●急性若しくは悪化する肝炎、治験責任医師又は治験依頼者の医療的モニターのいずれかの判断による、肝障害の臨床的及び/又は検査室的徴候の広範な変化又は悪化によって示される肝機能の変動又は急速な低下。
●治験責任医師の意見においては、アルコールの現在又は最近の乱用の証拠は、スクリーニング時又は-1日目における、試験手順又は陽性アルコール息検査による被験者の安全性又はコンプライアンスを損なう。
●試験薬投与の2週間以内に肝機能不全を悪化させることが既知である治療を受けたこと。
●スクリーニング時に活動性の肝炎感染症の治療のための抗ウイルス療法を行うこと。
●スクリーニング時の臨床的に顕著な検査室所見の存在は、除外の理由となり、特に以下が挙げられる:
○ヘモグロビン<8.5g/dL
○血小板数<25,000/mm
○ALT又はAST>5×ULN。
禁止事項及び制限事項
潜在被験者は、試験期間中に参加に適格であるためには、以下の禁止事項及び制限事項を遵守する意思がある。
●試験薬投与の少なくとも12時間前から、試験薬投与の168時間後(8日目)まで、試験施設に滞在する必要がある。試験終了までの後続の検査のために、試験施設に戻ることに同意する必要がある。
●性交中にコンドームを常に使用することに(また、以前に精管切除術を行った場合、又は妊娠中の女性との性交の場合も)、又は、試験中及び試験薬を受けた後3ヶ月間、節制することに同意する必要がある。妊娠可能な女性との性的活動の場合、試験の期間中及び試験薬を受けた後3ヶ月間、別の有効な避妊法(ホルモン収縮症[ピル、パッチ、注射、インプラント]、子宮内デバイス[IUD]、子宮内ホルモン放出システム[IUS]、チューブ状リガンド/閉塞、又は子宮摘出術/両側卵巣切除術若しくは卵管摘除術)と共に、コンドームが必要である。
●試験全体を通して、正常な肝機能を有する健康な被験者については、試験薬以外の処方箋薬又は非処方箋薬(ビタミン及びハーブサプリメントを含む)は、アセトアミノフェンを除いて許容されない。主要な治験責任医師は、治験依頼者と相談して、禁止薬の摂取の場合、被験者が研究から除外されるべきか否かを判定する。
●アルコール、グレープフルーツジュース、又はSevilleオレンジを含有する食品又は飲料は、1日目の24時間(グレープフルーツジュース及びSevilleオレンジの場合、72時間)前から、最後のPK試料が57日目に1,344時間で収集されるまで、消費してはいけない。
●試験薬の投与の48時間前から、及び入院中、メチルキサンチン含有製品(すなわち、チョコレートバー又は飲料、コーヒー、茶、若しくはコーラ)の摂取を控える必要があり、また、試験全体にわたり、外来訪問(スクリーニング期間を含む)の場合には、カフェインの過剰な摂取を回避する(すなわち、約500mg/日以下、茶若しくはコーヒーの場合カップ5杯、コーラの場合缶8本までとする)必要がある。
●スクリーニングの72時間前又は-1日目の前に、尿薬物スクリーニング試験での偽陽性を回避するために、いかなる芥子粒含有食品も摂取しない必要がある。
●試験施設に入院中は、施設の食事を摂取する必要がある。過度の摂食は許容されない。
●スクリーニング中及び-1日目における、アルコール、並びにバルビツレート、オピエート、コカイン、カンナビノイド、アンフェタミン、及びベンゾジアゼピンなどの薬物、の両方についての、乱用試験で陰性である必要がある。血液、尿、又は唾液サンプルを、試験前及び試験中の両方で採取し、薬物乱用、アルコール、及びカフェインの最近の使用を無作為にスクリーニングすることができる。薬物スクリーニングに干渉し得る薬物(例えば、オピエート、カンナビノイド、及びベンゾジアゼピン)の処方を受ける患者についての陽性試験は許容され得る。
●薬物摂取の予定日の3日以内に最近の発熱(38℃超)を有する場合、試験薬摂取の開始は、体温が少なくとも72時間正常になるまで延期すべきである。
●被験者は、試験の完了後少なくとも2ヶ月間、又は試験薬を受けた後少なくとも3ヶ月間、治験薬の試験に参加するために血液を供与しないよう勧告される。
●被験者は、試験薬を受けた後に少なくとも3ヶ月まで、薬物投与からの精子を供与しない。
●試験施設に入院する際及び48時間前に、全てのタイプのジョギング及び激しい運動を控える必要がある。
●CYP2C8及び/又はCYP3A4の強力な阻害剤又は誘導剤は、試験中に許容されず、試験薬投与前に最低2週間中止する必要がある。
被験者の完了
被験者が57日目まで(当日を含む)の評価を完了した場合(試験終了[end-of-study、EOS]訪問)、被験者が試験を完了したと見なす。
試験薬、製剤、投与量、及び投与モード
用量及び投与
試験薬投与前に、被験者は、少なくとも10時間、食品及び飲料(非炭酸水を除く)について絶食する。非炭酸水は、試験薬投与の1時間前まで許容される。
被験者は、120mgのアパルタミドの単回経口投与:絶食条件下での2×60mgの錠剤製剤、を受ける。試験薬は、1日目の午前8時~午前10時に、240mLの非炭酸水を用いて摂取する。必要に応じて、追加の50mLの水が許容される。試験薬は、噛んだり、割ったり、溶解したり、又は砕いたりせずに、丸ごと(1分以内に)飲み込む必要がある。被験者に、投与の(早くとも)1時間後に非炭酸水240mLを投与する。水の飲用は、それ以降から許容される。
被験者は、投与の約2時間後に軽いスナックを、試験薬投与の約4時間後に昼食を与えられる。試験薬投与の正確な日付及び時間を、ソース文書に記録する。
試験薬の物理的記述
本試験で与えられるアパルタミドは、SDP(噴霧乾燥粉末)として60mgの薬物をヒドロキシプロピルメチルセルロース-アセテートコハク酸(hydroxypropyl methylcellulose-acetate succinate、HPMC AS)ポリマー中に1/3の比(API[活性医薬成分]/ポリマー)で含有する60mgの錠剤として製剤化されたものである。このコーティングされた経口用錠剤はまた、以下の不活性成分を含む:コロイド状無水シリカ、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、及びコーティング粉末グリーンOPADRY II。錠剤のコア重量は、700mgである。60mgの錠剤製剤の寸法は、約17mm×9mmである。
試験前及び併用治療
被験者は、その医師からの同意を取得することなく、医師から指示された日常的な摂取薬剤の摂取を停止するべきではない。
健康な被験者の場合:試験開始(1日目)の14日以内又は5半減期以内に、被験者が全ての前の薬剤を中止しない場合、治験責任医師が、以前の薬剤の特定の使用が試験の状況で臨床的に関連しないことを理解することができる場合、被験者男性は試験に含まれ得る。
試験全体を通して、試験薬以外の処方箋薬又は非処方箋薬(ワクチン、ビタミン、及びハーブサプリメントを含む)の使用は禁止され、この点、投与前に治験責任医師と治験依頼者との間で最初に相談するものとするが、治験責任医師及び治験依頼者が相談し得る前に治療又はワクチン接種が必要な場合には、開始されるべきである。被験者は、治験依頼者及び治験責任医師の両方が同意する場合、試験の継続が許容される。
アセトアミノフェン又はイブプロフェンの使用は、試験薬投与の3日前まで許容される。試験全体を通して、500mgのアセトアミノフェンの1日当たり最大3回の投与、及び1週間当たり3g以下が、頭痛又は他の疼痛の治療のために許容される。アセトアミノフェンを使用する場合、用量及び投薬レジメン及び使用の理由を、CRFに記録する必要がある。試験全体を通じて、400mgのイブプロフェンの1日当たり最大3回の投与、及び24時間当たり1200mg以下が、頭痛又は他の疼痛の治療のために許容される。イブプロフェンを使用する場合、用量及び投薬レジメン及び使用の理由を、CRFに記録する必要がある。
重度の肝障害を有する被験者の場合:アセトアミノフェンの使用は、試験薬投与の3日前まで許容される。試験全体を通して、500mgのアセトアミノフェンの1日当たり最大3回の投与、及び1週間当たり3g以下が、頭痛又は他の疼痛の治療のために許容される。アセトアミノフェンを使用する場合、用量及び投薬レジメン及び使用の理由を、CRFに記録する必要がある。
重度の肝障害を有する被験者は、医学的な必要に応じて、それらの処方された薬物の摂取を継続することが許容される。
重度の肝障害を有する被験者は、試験薬投与の少なくとも2時間後まで、許容された併用薬の使用を維持するよう指示される。他の薬剤の吸収に影響を与えることが既知である薬物、例えば、コレスチラミン又は非吸収性の制酸剤は、試験薬投与の少なくとも6時間後に投与すべきである。
CYP2C8及び/又はCYP3A4の強力な阻害剤又は誘導剤である薬物は、試験中に許容されず、試験薬投与前の最低2週間中止する必要がある。
試験評価
概論
図1A及び図1Bは、スクリーニング段階の-21日目~-2日目の時間及び事象スケジュール、並びに非盲検段階の-1~8日目(図1A)、及び非盲検段階の10~57日目(図1B)を示す。図1A及び図1Bの脚注は、以下のとおりである:(a)スクリーニング後~1日目までに、被験者がもはや適格基準を満たさない程に、被験者の状態が変化する場合(追加の医療記録の検査室結果又は受信を含む)、被験者は、試験から除外されるべきである。(b)スクリーニングにおける完全な検査、またそうでなければ、略式検査(最小限の心血管、呼吸器、及び胃腸の検査、任意でAE/症状によって示されるような追加の身体系を含む)。(c)-1日目の2週間前までに超音波スクリーニングが得られることは要件とされない。(d)肝障害を有する被験者にのみ適用可能。(e)安全性検査室試験は、絶食条件(10時間の絶食の後)で行うようスケジュールする。安全性の理由から早期離脱する場合、安全性検査室試験は絶食条件下とは解釈しない可能性がある。(f)スクリーニング安全性評価が-1日目の-48時間以内に完了した場合、反復する必要はなく、-1日目の安全性評価が、-1日目の-48時間以内に完了したものとすることができる。(g)一晩絶食した後、試験薬を、午前8時~午前10時に各被験者に投与する。(h)試験薬投与前に血液サンプルを採取する。(i)PK血液サンプル採取の2時間後、任意に軽いスナックを与える。PK血液サンプル採取の4時間後、昼食を与える。(j)10日目、12日目、15日目、22日目、29日目、36日目、43日目、50日目又は57日目の経過観察訪問がなかった場合、PKサンプルを±1日以内、好ましくは朝に採取し得る。(k)57日目又は早期離脱の日において、試験終了評価を実施する。(l)TSHのみが必要であり、甲状腺代替療法の被験者に対してのみ必要である。
薬物動態
合計及び非結合のアパルタミド及びN-デスメチルアパルタミド濃度の測定のため、連続的な血液サンプル採取を、投与前及び投与後1,344時間超(57日目)に行う。
PK分析は、実際のサンプリング時間を使用して、個々の濃度-時間データに基づき、アパルタミド及びN-デスメチルアパルタミドの以下の血漿PKパラメータは、必要に応じて、測定される:Cmax、Cmax_unb、tmax、AUClast、AUClast_unb、AUC、AUC∞_unb、%AUC∞、ex、CL/F、CLunb/F、Vd/F、t1/2、λ、tlast、並びにCmax、AUClast及びAUCについての代謝産物対親薬物比(metabolite to parent drug ratio、MPR)。適切と見なされる場合、追加のPKパラメータが含まれ得る。
安全性
安全性及び忍容性は、有害事象(AE)、身体検査、バイタルサイン、12リード心電図(electrocardiogram、ECG)、及び臨床検査パラメータ(血液学的及び血清化学的)によって試験全体を通して評価する。
AEを特定するために治験責任医師によって使用されるCRFで使用される逐語は、国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities、MedDRA)を使用してコードされ、有害事象の国立癌研究所共通用語基準(NCI-CTCAEバージョン5.0)を使用してグレード付けされる。治療期間中の発症を伴う全ての報告されたAE(すなわち、TEAE、及びベースラインから悪化したAE)は、分析に含める。各AEについて、所与の事象の少なくとも1つの発生を経験する被験者の割合は、治療群によってまとめられる。
臨床検査試験、タンパク質結合、及びPK評価のためのこの試験で採取された血液の最大量は、240mLを超えない。
以下の臨床検査試験を実施する:スクリーニング、血清学、尿薬物スクリーニング、及びアルコール試験における血液学的パネル、血清化学的パネル、テストステロン及びTSH。
有害事象の報告及び重症度基準
有害事象及び重篤な有害事象を検出する方法:AE又はSAEを検出する際、バイアスを導入しないよう注意する。被験者の非盲検かつ非誘導的な言葉による質問は、AEの発生について問診するための好ましい方法である。
AE/SAEの重症度評価は、NCI-CTCAEバージョン5.0を使用して完了すべきである。NCI CTCAEに列挙されていないAE/SAEは、表2に示すグレード基準を用いて治験責任医師によりグレード付けされる。治験責任医師は、被験者が直接経験していない事象の重症度(例えば、検査室の異常)を評価する際、臨床的判断を使用すべきである。
Figure 2023500935000004
統計的方法
サンプルサイズの決定
軽度及び中程度の肝障害を有する被験者対健康な対照、に関する試験データは、アパルタミドの(AUClast及びAUC)及びCmaxそれぞれについて、AUCの総変動係数(coefficient of variation、CV)の27%及び35%以下であった。総CVに対するAUC 27%(AUClast及びAUC)を仮定すると、各群当たり8人の被験者サンプルサイズは、試験と対照との間の幾何平均比の点推定値が90%信頼レベルで真平均比の(80%、125%)内に入るのに十分である。総CVに対するCmax 35%を仮定すると、各群当たり8人の被験者の試料サイズは、試験群と対照群との間の幾何平均比の点推定値が90%信頼レベルで真平均比の(75%、134%)内に入るのに十分である。
約16人の被験者を登録する(重度の肝障害を有する8人の被験者、及び正常な肝機能を有する8人の被験者)。被験者が試験を完了しない場合、同じ分類内の追加の被験者が登録され得る。
薬物動態
PK集団に含まれる全ての被験者は、十分かつ解釈可能な濃度時間データを有する。
目的の主要なPKパラメータは、アパルタミド及び活性代謝産物の両方について、AUC及びCmaxである。適切な場合、PKパラメータは、非結合濃度に関しても測定する。算術平均、SD、変動係数、幾何平均、中央値、最小値、及び最大値を含む統計値は、各サンプリング時間における血漿中濃度及び各グループの全てのPKパラメータについて計算する。
分散分析(analysis of variance、ANOVA)モデルを、対数変換した総アパルタミドのPKパラメータデータ(AUC、AUClast、及びCmax)に適用する。AUC、AUClast、及びCmaxについての幾何平均比及び関連する90% CIを構築し、重度肝障害対(vs)正常肝機能の比較を行う。結果を、逆変換後に元のスケールで示す。探索目的のため、非結合アパルタミド及びN-デスメチルアパルタミドのPKパラメータについて同じ分析を実施する。
安全性
安全性集団は、少なくとも1回の試験薬の投与を受けた全ての被験者を含む。全ての検査室評価のベースライン、12リードECG測定及びバイタルサインは、試験薬投与前に行われた直近の評価として定義する。安全性は、AEの発生率及びタイプ、並びに臨床検査の試験値、身体検査の結果、12リードECGの変化、及び治療終了訪問を含むスクリーニング段階からのバイタルサイン測定値を試験することによって評価する。
本明細書に記載の実施例及び実施形態は例示の目的のみであり、当業者に提示された様々な修正又は変更が、本出願の趣旨及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲内に含まれる。

Claims (40)

  1. ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)を治療するための方法であって、重度の肝障害を有する、かかる治療を必要とするヒト男性に、1日当たり約30mg~1日当たり約480mgの用量でアパルタミドを投与することを含む、方法。
  2. 前記ヒト男性が、正常な心臓の状態及び機能を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記正常な心臓の状態及び機能が、洞調律、1分当たり約50~約100拍の心拍数、及び約480ms以下のQTc間隔を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ヒト男性が、約45mL/分/17.3m以下のクレアチニンクリアランスを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ヒト男性が、安定した肝障害を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ヒト男性が、約90~約170mmHgの収縮期の血圧を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ヒト男性が、約100mmHg未満の拡張期の血圧を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記ヒト男性が、前記重度の肝障害のための併用療法を受ける、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記併用療法が、降圧剤、カルシウムチャネルブロッカー、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、利尿薬、コレステロール低下薬、経口抗糖尿病薬、及び電解質置換のうちの1つ以上を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ヒト男性が、CYP2C8又はCYP3A4の強力な阻害剤又は誘導剤を投与されない、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. アパルタミドの投与が、アパルタミドによる治療を受けないnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴わない、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. アパルタミドの投与が、アパルタミドによる治療を受けないnmCRPCを有するヒト男性と比較し、有害事象のリスクの増加を伴う、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記nmCRPCが、高リスクnmCRPCである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記アパルタミドの投与が、アパルタミドによる治療を受けないnmCRPCを有するヒト男性の集団の無転移生存率と比較し、前記ヒト男性の無転移生存の増加を提供する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記ヒト男性が、10ヶ月以下である前立腺特異的抗原倍加時間(PSADT)を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記ヒト男性が、癌の治療のための少なくとも1つの前療法を受けている、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 癌の治療のための前記前療法が、ビカルタミド、フルタミド、又はニルタミドである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記ヒト男性が、治療未経験である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記アパルタミドが、前記ヒト男性に毎日投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記アパルタミドが、前記ヒト男性に経口投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記アパルタミドが、前記ヒト男性に継続的な連日投与スケジュールで経口投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記アパルタミドが、前記ヒト男性に1日当たり約180mg~1日当たり約480mgの用量で経口投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記アパルタミドが、前記ヒト男性に1日当たり約240mgの用量で経口投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記アパルタミドが、前記ヒト男性に約60mgの用量及び1日当たり4回の頻度で経口投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記アパルタミドが、1日当たり約120mgの用量で投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記アパルタミドが、固体剤形として製剤化される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記アパルタミドが、錠剤として製剤化される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記アパルタミドが、アンドロゲン除去療法(ADT)と組み合わせて投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記アパルタミドが、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストと組み合わせて投与される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記アパルタミドが、両側精巣摘出と併用される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. ヒト男性における非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)を治療するための方法であって、
    ●前記ヒト男性が重度の肝障害を有するか否かを判定することと、
    ●前記ヒト男性が重度の肝障害を有する場合、前記ヒト男性に1日当たり約30mg~1日当たり約480mgの用量でアパルタミドを投与して、前記nmCRPCを治療することと、を含む、方法。
  32. 正常な心臓の状態及び機能が、洞調律、1分当たり約50~約100拍の心拍数、及び約480ms以下のQTc間隔を含む、請求項31に記載の方法。
  33. 前記ヒト男性が、約45mL/分/17.3m以下のクレアチニンクリアランスを有する、請求項31又は32に記載の方法。
  34. 前記ヒト男性が、安定した肝障害を有する、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記ヒト男性が、約90~約170mmHgの収縮期の血圧を有する、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記ヒト男性が、約100mmHg未満の拡張期の血圧を有する、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記ヒト男性が、前記重度の肝障害のための併用療法を受ける、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記併用療法が、降圧剤、カルシウムチャネルブロッカー、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、利尿薬、コレステロール低下薬、経口抗糖尿病薬、及び電解質置換を含む、請求項37に記載の方法。
  39. 前記ヒト男性が、CYP2C8又はCYP3A4の強力な阻害剤又は誘導剤を投与されない、請求項31~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記ヒト男性が重度の肝障害を有する場合、アパルタミドの治療有効量が調整される、請求項31~39のいずれか一項に記載の方法。
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