JP2023184421A - ヒートシール紙及び紙加工品 - Google Patents

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泰友 野一色
Yasutomo Noishiki
美咲 若林
Misaki Wakabayashi
裕太 社本
Yuta SHAMOTO
萌夏 浪岡
Moka Namioka
一希 東川
Kazuki Tokawa
壮 佐藤
So Sato
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Abstract

【課題】耐落下衝撃性を有し、かつ柔軟性にも優れ、さらにヒートシール性に優れるヒートシール紙。【解決手段】紙基材の少なくとも一方の面に1層以上のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、前記ヒートシール層は、水分散性樹脂バインダーを含有し、ISO2493-1:2010に準拠して測定される、該ヒートシール紙の縦方向のISO剛度が、0.55mNm以下であり、該ヒートシール紙の横方向のISO剛度が、0.45mNm以下であり、JIS Z 1707:2019に準拠して測定される、該ヒートシール紙の突刺強度が、7.5N以上である、ことを特徴とするヒートシール紙。【選択図】なし

Description

本開示は、ヒートシール紙及び紙加工品に関する。
食品用トレイなどの包装容器や、ピロー包装用の袋などの包装体には、主にプラスチック製の材料が使用されてきた。しかしながら、環境への懸念などからプラスチック製容器に代わり、紙を使用した包装材料の検討がなされている。
国際公開第2015/008703号
特許文献1のような従来の紙は柔軟性に優れるものの、突刺強度が低く、例えばピロー包装用の袋の製造において、袋に製品を充填した際の耐落下衝撃性が不十分であった。通常、突刺強度の高い紙は硬くなりやすく、柔軟性に劣るため、耐落下衝撃性と柔軟性を両立させることは困難であった。
本開示は、耐落下衝撃性を有し、かつ柔軟性にも優れ、さらにヒートシール性に優れるヒートシール紙及びヒートシール紙を用いた紙加工品に関する。
すなわち、本開示は、以下の<1>~<12>に関する。
<1>紙基材の少なくとも一方の面に1層以上のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、
前記ヒートシール層は、水分散性樹脂バインダーを含有し、
ISO2493-1:2010に準拠して測定される、該ヒートシール紙の縦方向のISO剛度が、0.55mNm以下であり、該ヒートシール紙の横方向のISO剛度が、0.45mNm以下であり、
JIS Z 1707:2019に準拠して測定される、該ヒートシール紙の突刺強度が、7.5N以上である、
ヒートシール紙。
<2>縦方向のISO剛度が、0.05~0.20mNmであり、
横方向のISO剛度が、0.05~0.20mNmである、
<1>に記載のヒートシール紙。
<3>突刺強度が、12.5N以上である、<1>又は<2>に記載のヒートシール紙。<4>前記ヒートシール紙を離解して得られたパルプは、ISO 16065-2:2007に準拠して測定される長さ加重平均繊維長が、1.2mm~2.0mmである、<1>~<3>のいずれかに記載のヒートシール紙。
<5>坪量が、40g/m~130g/mである、<1>~<4>のいずれかに記載のヒートシール紙。
<6>比突刺強度が、0.12N/g以上である、<1>~<5>のいずれかに記載のヒートシール紙。
<7>前記ヒートシール層が滑剤をさらに含む、<1>~<6>のいずれかに記載のヒートシール紙。
<8>前記滑剤が、パラフィンワックス、カルナバワックス、およびポリオレフィンワックスよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、<7>に記載のヒートシール紙。
<9>前記ヒートシール層中の前記滑剤の含有量が、1質量%以上5質量%以下である、<7>又は<8>に記載のヒートシール紙。
<10>前記水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度が、0℃以上100℃以下である、<1>~<9>のいずれかに記載のヒートシール紙。
<11>前記水分散性樹脂バインダーが、スチレン-ブタジエン共重合体、オレフィン-脂肪酸ビニルエステル共重合体およびオレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、<1>~<10>のいずれかに記載のヒートシール紙。
<12><1>~<11>のいずれかに記載のヒートシール紙を用いてなる、紙加工品。
本開示によれば、耐落下衝撃性を有し、かつ柔軟性にも優れ、さらにヒートシール性に優れるヒートシール紙を提供することができる。また、本開示によれば、自動包装における成形性に優れるヒートシール紙を提供することができる。
耐落下衝撃性および袋柔軟性評価用の袋加工模式図
本開示において、数値範囲を表す「X以上Y以下」や「X~Y」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
縦方向とは紙基材における抄紙方向(MD)であり、繊維が配向する方向と同じである。また、横方向とは抄紙方向に対して垂直方向(CD)である。ヒートシール紙の縦方向とは紙基材のMD方向に対応する方向であり、ヒートシール紙の横方向とは紙基材のCD方向に対応する方向である。
なお、「自動包装における成形性(以下、自動包装成形性とも称する)に優れる」とは、自動包装機で連続して製袋が可能であり、かつ得られる袋の外観が良好であることを意味する。より具体的には、例えば、包装袋を自動で成形する際に、しわや外観不良の発生が抑制されると共に、成形機等への貼り付き(ブロッキング)が抑制され、成形性に優れること、さらに、製袋後の袋の変形が抑制されるなど、得られる包装袋の品質に優れると共に、生産性に優れることを意味する。
クルパック処理とは、抄紙機上で紙を微細に収縮させることによって伸張性能を与える処理である。具体的には、例えば、抄紙機ドライヤーの一部に、ニップロールのあるエンドレスの厚い弾性ゴム製ブランケットを備えたクルパック装置を設置する。湿紙である紙匹をクルパック装置に導入し、ニップロールとブランケットで圧縮する。このとき、あらかじめ伸長させておいたブランケットが収縮することで走行する紙匹を収縮させ(クレープ付与)、破断伸びを高めることができる。なお、できた縮みは後工程で伸びないように乾燥し、固定する。
本発明者らは、ヒートシール紙に使用する紙基材を製造する際のクルパック処理により、ヒートシール紙を特定のISO剛度及び突刺強度に制御することで、上記課題を解決できることを見出した。ISO剛度は、紙の折り曲げやすさを示しており、突刺強度は、紙の破れづらさを示している。ヒートシール紙が、上記特定のISO剛度及び突刺強度を有することは、適度な折り曲げやすさを有しつつ破れづらいことを示している。そのため、柔軟性及び耐落下衝撃性に優れるヒートシール紙を得ることができると、本発明者らは考えている。
ISO2493-1:2010に準拠して測定される、ヒートシール紙の縦方向のIS
O剛度が、0.55mNm以下であり、ヒートシール紙の横方向のISO剛度が、0.45mNm以下であることが必要である。
ISO剛度が上記上限を超えると、折り曲げにくくなり、柔軟性が低下する。
ヒートシール紙のISO剛度は、使用する紙基材の製造条件により制御でき、具体的にはパルプのCSF(カナダ標準ろ水度)、坪量、クルパック処理前後の速度差、紙基材を構成するパルプ広葉樹クラフトパルプ及び針葉樹クラフトパルプの質量比率などにより制御することができる。ISO剛度を大きくするには、パルプのCSFを低くする、坪量を大きくする、クルパック処理前後の速度差を大きくする、紙基材を構成する針葉樹クラフトパルプの質量比率を増やすなどの方法が挙げられる。一方、ISO剛度を小さくするには、パルプのCSFを高める、坪量を小さくする、クルパック処理前後の速度差を小さくする、紙基材を構成する針葉樹クラフトパルプの質量比率を減らすなどの方法が挙げられる。
ヒートシール紙の縦方向のISO剛度は、好ましくは0.05~0.40mNmであり、より好ましくは0.05~0.20mNmである。
ヒートシール紙の横方向のISO剛度は、好ましくは0.05~0.35mNmであり、より好ましくは0.05~0.20mNmである。
JIS Z 1707:2019に準拠して測定される、ヒートシール紙の突刺強度が7.5N以上であることが必要である。
突刺強度が上記下限未満であると、打痕や破れが生じやすくなり、耐落下衝撃性が低下する。
ヒートシール紙の突刺強度は、使用する紙基材の製造条件により制御でき、具体的には坪量、クルパック処理前後の速度差、針葉樹クラフトパルプの含有量、クルパック処理時のニップ圧などにより制御することができる。突刺強度を大きくするには、坪量を大きくする、クルパック処理前後の速度差を大きくする、針葉樹クラフトパルプの含有量を増やす、クルパック処理時のニップ圧を小さくするなどの方法が挙げられる。一方、突刺強度を小さくするには、坪量を小さくする、クルパック処理前後の速度差を小さくする、針葉樹クラフトパルプの含有量を減らす、クルパック処理時のニップ圧を大きくするなどの方法が挙げられる。
ヒートシール紙の突刺強度は、耐落下衝撃性の観点から、好ましくは8.0N以上であり、より好ましくは10.0N以上であり、さらに好ましくは13.0N以上である。突刺強度の上限は、特に限定されないが、緩衝性の観点から、好ましくは18.0N以下である。
ヒートシール紙を離解して得られたパルプは、ISO 16065-2:2007に準拠して測定される長さ加重平均繊維長が、1.2mm~2.0mmであることが好ましい。
長さ加重平均繊維長が上記下限未満であると、強度が弱いため耐落下衝撃性が悪化するが、一方で柔軟性が増す。長さ加重平均繊維長が上記上限を超えると、強度が強いため耐落下衝撃性が向上するが、一方で柔軟性が悪化しやすくなる。すなわち、上記範囲であると、袋柔軟性と耐落下衝撃性を両立させることができる。パルプの長さ加重平均繊維長は、使用するパルプの種類などにより制御することができる。
ヒートシール紙の比突刺強度は、袋柔軟性と耐落下衝撃性を高度に両立する観点から、好ましくは0.05N/g以上であり、より好ましくは0.10N/g以上であり、さらに好ましくは0.12N/g以上であり、さらにより好ましくは0.13N/g以上であ
る。比突刺強度の上限は、特に限定されないが、緩衝性の観点から、好ましくは0.30N/g以下である。上記範囲であると、柔軟性及び耐落下衝撃性に優れる。
なお、比突刺強度は突刺強度を坪量で除した値である。
[紙基材]
ヒートシール紙に用いる紙基材の坪量は、30g/m~120g/mであることが好ましく、60g/m~110g/mであることがより好ましく、70g/m~100g/mであることがさらに好ましい。坪量が上記下限未満であると、強度が弱いため耐落下衝撃性が悪化するが、一方で柔軟性が増す。坪量が上記上限を超えると、強度が強いため耐落下衝撃性が向上するが、柔軟性が悪化しやすくなる。上記範囲であると、袋柔軟性と耐落下衝撃性を両立させることができる。
ヒートシール紙に用いる紙基材の厚さは、50μm~300μmであることが好ましく、60μm~200μmであることがより好ましく、70μm~150μmであることがさらに好ましく、100μm~140μmであることがさらにより好ましい。
ヒートシール紙に用いる紙基材の密度は、0.30g/m~1.00g/mであることが好ましく、0.40g/m~0.90g/mであることがより好ましく、0.50g/m~0.80g/mであることがさらに好ましく、0.60g/m~0.70μmg/mであることがさらにより好ましい。
ヒートシール紙に用いる紙基材の、ISO2493-1:2010に準拠して測定される、縦方向のISO剛度が、0.05~0.70mNmであることが好ましく、0.08~0.60mNmであることがより好ましく、0.10~0.20mNmであることが更に好ましい。
また、ヒートシール紙に用いる紙基材の、ISO2493-1:2010に準拠して測定される、横方向のISO剛度が、0.05~0.45mNmであることが好ましく、0.08~0.35mNmであることがより好ましく、0.10~0.20mNmであることが更に好ましい。
ISO剛度が上記範囲内であると、ヒートシール紙が折り曲げやすくなり、柔軟性が向上する。
ヒートシール紙に用いる紙基材の、JIS Z 1707:2019に準拠して測定される突刺強度が、7.5N以上であることが好ましく、8.0N以上であることがより好ましく、12.5N以上であることが更に好ましい。突刺強度が上記範囲内であると、ヒートシール紙に打痕や破れが生じづらくなり、耐落下衝撃性が向上する。
紙基材の突刺強度の上限は、特に限定されないが、緩衝性の観点から、好ましくは18.0N以下である。
ヒートシール紙に用いる紙基材の比突刺強度は、0.05N/g以上であることが好ましく、0.10N/g以上であることがより好ましく、0.12N/g以上であることが更に好ましい。比突刺強度が上記範囲内であると、ヒートシール紙の柔軟性及び耐落下衝撃性が向上する。
紙基材の比突刺強度の上限は、特に限定されないが、緩衝性の観点から、好ましくは0.30N/g以下である。
次に、紙基材に使用しうる材料について説明する。紙基材は、例えばパルプを含有する。
紙基材を構成するパルプとしては、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の広葉樹クラフトパルプ;針葉樹未晒クラフトパルプ(N
UKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等の針葉樹クラフトパルプ;砕木パルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミグランドパルプ(CGP)等の機械パルプ;古紙パルプ;ケナフ、バガス、竹、コットン等の非木材繊維パルプ;合成パルプ等が挙げられる。これらのパルプは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
パルプは、広葉樹クラフトパルプ及び針葉樹クラフトパルプから選択される少なくとも1種以上を含有することが好ましく、広葉樹未晒クラフトパルプ及び針葉樹未晒クラフトパルプから選択される少なくとも1種以上を含有することがより好ましく、広葉樹未晒クラフトパルプ及び針葉樹未晒クラフトパルプを含有することがさらに好ましい。
パルプにおける針葉樹クラフトパルプの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらにより好ましくは40質量%以上である。一方、上限は、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、さらにより好ましくは85質量%以下である。
パルプにおける広葉樹クラフトパルプの含有量は、好ましくは0質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらにより好ましくは15質量%以上である。一方、上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下、さらにより好ましくは60質量%以下である。
パルプの叩解度は、とくに限定するものではないが、カナダ標準濾水度(CSF)として、200~800mLが好ましく、300~700mLがより好ましい。CSFは、JIS P 8121-2:2012「パルプ-ろ水度試験方法-第2部:カナダ標準ろ水度法」に従って測定される。
紙基材には必要に応じ添加剤を用いてもよい。添加剤としては、例えばpH調整剤(炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等)、乾燥紙力剤(ポリアクリルアミド、澱粉等)、湿潤紙力剤(ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂のいずれか)、内添サイズ剤(ロジン系、アルキルケテンダイマー等)、濾水歩留り向上剤(ポリアクリルアミド樹脂)、消泡剤、填料(炭酸カルシウム、タルク等)、染料等が挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加剤の含有量は、とくに限定されず、通常用いられている範囲であればよい。
<紙基材の製造方法>
紙基材を製造する方法としては、パルプを含有する紙料を抄紙し、抄紙の際にクルパック処理を行う方法が挙げられる。なお、紙料は、必要に応じて添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、例えば前術した添加剤が挙げられる。紙料は、パルプスラリーに必要に応じて添加剤を添加することにより調製できる。パルプスラリーは、パルプを水の存在下で叩解することにより得られる。パルプの叩解方法、叩解装置はとくに限定されず、公知の叩解方法、叩解装置を採用しうる。
叩解の際のパルプスラリーの固形分濃度は特に制限されないが、好ましくは0.5~10質量%程度であり、より好ましくは1~5質量%程度である。また、紙料又は紙基材におけるパルプの含有量は、とくに限定されず、通常用いられている範囲であればよい。例えば、紙料(固形分)又は紙基材の総質量に対して、60質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%未満がより好ましい。
紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。抄紙機としては、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機などが挙げられる。これらの抄紙機にクルパック処理を実施可能なクルパック装置を設け、クルパック処理を行えばよい。
クルパック装置としては、公知のものを用いることができる。例えば、ニップロール及びエンドレスの厚い弾性ゴム製ブランケットを備えたクルパック装置が挙げられる。上記の通り、クルパック処理においては、ニップロールとブランケットとの間に紙匹を搬入し、ニップロールとブランケットにより紙匹を圧縮する際に、あらかじめ伸長させておいたブランケットを収縮させることで紙匹を収縮させてクレープを付与する。クルパック装置は、通常、抄紙機のドライヤー装置の一部に設けられ、クレープ化させたのち乾燥し、固定する。以上の様にして紙基材を得ることができる。
クルパック装置を使用した抄紙において、クルパック処理の前後の抄紙速度の差、ニップロールの圧力によって、ISO剛度や突刺強度を制御しうる。
抄紙速度は特に制限されないが、例えば、好ましくは200~1000m/分、より好ましくは300~800m/分、さらに好ましくは400~700m/分の範囲で制御すればよい。クルパック処理の前後の速度差は、特に制限されず、坪量やパルプの材料に応じて、所望のISO剛度や突刺強度が得られるように制御すればよい。好ましくは-5~-60m/分、より好ましくは-10~-50m/分、より好ましくは-15~-40m/分である。ここでのマイナス「-」はクルパック処理後の速度が遅いことを示す。
カレンダーによるニップ圧は、特に制限されず、坪量やパルプの材料、クルパック処理の前後の速度差などに応じて、所望のISO剛度や突刺強度が得られるように制御すればよい。好ましくは100kN/m~200kN/mであり、より好ましくは130kN/m~170kN/mである。
リール水分は、特に制限されず、坪量やパルプの材料、クルパック処理の前後の速度差などに応じて、所望のISO剛度や突刺強度が得られるように制御すればよい。好ましくは2.0~12.0%であり、より好ましくは5.0~9.0%である。
[ヒートシール層]
本実施形態のヒートシール紙は、紙基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層のヒートシール層を有する。ヒートシール層は、加熱、超音波等で溶融し、接着する層である。
(水分散性樹脂バインダー)
ヒートシール層は、水分散性樹脂バインダーを含有する。水分散性樹脂バインダーとは、水溶性ではない(具体的には、25℃の水に対する溶解度が10g/L以下である)が、エマルションやサスペンションのように水中で微分散された状態となる樹脂バインダーをいう。水分散性樹脂バインダーを用いてヒートシール層を水系塗工することで、再離解性に優れ、紙として再生利用可能なヒートシール紙を得ることができる。なお、水分散性樹脂バインダーが下記の滑剤にも該当する場合は、滑剤に分類するものとする。
水分散性樹脂バインダーとしては、本発明の効果を奏するものである限り、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-不飽和カルボン酸系共重合体(たとえば、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体)、アクリル系樹脂、アクリロニトリル-スチレン系共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン系共重合体、ABS系
樹脂、AAS系樹脂、AES系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ-4-メチルペンテン-1樹脂、ポリブテン-1樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アセタール系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、オレフィン-脂肪酸ビニルエステル共重合体、オレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体、およびこれらの変性物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、スチレン-ブタジエン共重合体、オレフィン-脂肪酸ビニルエステル共重合体およびオレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、スチレン-ブタジエン共重合体、及びオレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
さらに、ヒートシール剥離強度を高くする観点からは、オレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体、オレフィン-脂肪酸ビニルエステル共重合体がより好ましく、入手容易性、コスト面およびリサイクル性の観点からは、スチレン-ブタジエン共重合体がより好ましい。
オレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体としては、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられる。中でも、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましく、エチレン-アクリル酸共重合体がより好ましい。
ヒートシール剥離強度を高くする観点から、オレフィン-脂肪酸ビニルエステル共重合体としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体が好ましい。
よって、ヒートシール層に含まれる水分散性樹脂バインダーは、スチレン-ブタジエン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、スチレン-ブタジエン共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。なお、オレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体は、アイオノマーであってもよい。
スチレン-ブタジエン共重合体としては合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては、日本ゼオン株式会社製NipolラテックスLX407G51、LX407S10、LX407S12、LX410、LX415M、LX416、LX430、LX433C、2507Hや、日本エイアンドエル株式会社製ナルスターSR-101、SR-102、SR-103、SR-115、SR-153や、JSR株式会社製スチレンブタジエンラテックス0602、0597C等が挙げられる。
エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体としては、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては、マイケルマンジャパン合同会社製のMP498345N、MP4983R、MP4990R、MFHS1279、住友精化株式会社製のザイクセン(登録商標)A、ザイクセン(登録商標)AC、三井化学株式会社製のケミパールSシリーズ等が挙げられる。
水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上である。ガラス転移温度が上記下限値以上の水分散性樹脂バインダーを使用することで、ブロッキングの発生も抑制されうる。そして、ヒートシール性の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下である。
水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度は、示差走査熱量計により測定される値を採
用するものとする。ガラス転移温度は、JIS K 7121:1987に準拠して測定する。
ヒートシール層中の水分散性樹脂バインダーの含有量は、好ましくは30質量%以上、よりに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上であり、そして、100質量%以下であってよく、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。上記範囲内であれば、高いヒートシール剥離強度を有するヒートシール紙を得ることができる。
すなわち、本発明の一実施形態によれば、ヒートシール層中のスチレン-ブタジエン共重合体、オレフィン-脂肪酸ビニルエステル共重合体およびオレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体(好ましくはエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体)からなる群から選択される少なくとも1種の含有量が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下であってよく、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
(滑剤)
ヒートシール紙の滑り性付与およびブロッキング抑制の観点から、ヒートシール層は、上記の水分散性樹脂バインダーに加えて、滑剤を含有することが好ましい。滑剤とは、ヒートシール層に配合することにより、ヒートシール層表面の摩擦係数を低減させることができる物質である。
滑剤としては、特に限定されず、たとえばワックス、金属石鹸、脂肪酸エステル等を使用することができる。滑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ワックスとしては、たとえば、動物または植物由来のワックス(たとえば、ミツロウ、カルナバワックスなど)、鉱物ワックス(たとえば、マイクロクリスタリンワックスなど)、石油ワックス等の天然ワックス;ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、ポリエステルワックス等の合成ワックス等が挙げられる。金属石鹸としては、たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸ナトリウム石鹸、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸、およびそれらの複合体等が挙げられる。上記の滑剤の中でも、融点が比較的低くワックス成分が塗工層表面に形成されやすく、ブロッキング抑制効果に優れることから、パラフィンワックス、カルナバワックスおよびポリオレフィンワックスが好ましい。すなわち、滑剤は、パラフィンワックス、カルナバワックスおよびポリオレフィンワックスよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
カルナバワックスとしては、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては中京油脂株式会社製セロゾール524等が挙げられる。パラフィンワックスとしても、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては中京油脂株式会社製ハイドリンL-700等が挙げられる。ポリエチレンワックスとしても、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としてはBYK社製Aquacer 531等が挙げられる。
ヒートシール層が滑剤を含有する場合、滑剤の含有量は、水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
ヒートシール層が滑剤を含有する場合、ヒートシール層中の滑剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好
ましくは5質量%以下である。
本実施形態において、ヒートシール層は、水分散性樹脂バインダーを含有し、水分散性樹脂バインダーに加えて、滑剤を含有することが好ましい。また、水分散性樹脂バインダー、および必要に応じて滑剤に加えて、顔料を含有してもよい。
(顔料)
本実施形態において、ヒートシール層は、上記水分散性樹脂バインダーに加えて、顔料を含有してもよい。顔料を含有することにより、ヒートシール紙を製造する際に、ヒートシール層塗工面が、ヒートシール紙の裏面に貼り付き、剥がれが生じる(ブロッキングする)という問題が抑制され、耐ブロッキング性に優れたヒートシール紙が得られる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、従来の顔料塗工層に使用されている各種顔料が例示される。顔料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。顔料としては、ヒートシール剥離強度の観点、および耐ブロッキング性の観点から、アスペクト比が20以上の顔料が好ましい。顔料のアスペクト比は、より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上、特に好ましくは60以上であり、そして、入手容易性およびヒートシール層表面の平滑性の観点から、好ましくは10,000以下、より好ましくは1,000以下、さらに好ましくは300以下である。顔料のアスペクト比は、長径/短径を意味し、後述する方法により測定してもよい。
顔料は、アスペクト比20以上の層状無機化合物であることが好ましい。層状無機化合物の形態は、平板状である。顔料が平板状であると、顔料のヒートシール層表面からの突出が抑制され、ヒートシール性を維持しつつ、耐ブロッキング性に優れたヒートシール層が得られる。
顔料は、長さ(平均粒子径)が0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。長さが0.1μm以上であると、顔料が紙基材に対して平行に配列し易い。また、長さが100μm以下であると顔料の一部がヒートシール層から突出する懸念が少ない。顔料の長さは、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは1.0μm以上であり、そして、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。
ここで、ヒートシール層中に含まれている状態での顔料の長さは、以下のようにして求められる。ヒートシール層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に顔料が20~30個程度含まれる倍率とする。画面内の顔料の個々の長さを測定する。そして、得られた長さの平均値を算出して、顔料の長さとする。なお、顔料の長さは、粒子径という表現で記載されることもある。
顔料は、厚さが200nm以下であることが好ましい。顔料の厚さは、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは80nm以下、よりさらに好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下である。また、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。顔料の平均厚さが小さい方が、高いヒートシール剥離強度が得られる。ここで、ヒートシール層中に含まれている状態での顔料の厚さは、以下のようにして求められる。ヒートシール層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に顔料が20~30個程度含まれる倍率とする。画面内の顔料の個々の厚さを測定する。そして、得られた厚さの平均値を算出して、顔料の厚さとする。
顔料の具体例としては、マイカ、ベントナイト、カオリン、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレー
ン、モンモリロナイト、重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、炭酸カルシウムと他の親水性有機化合物との複合合成顔料、サチンホワイト、リトポン、二酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、中空もしくは密実である有機顔料のプラスチックピグメント、バインダーピグメント、プラスチックビーズ、マイクロカプセルなどが挙げられる。
マイカの具体例としては、合成マイカ(たとえば、膨潤性合成マイカ)、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。また、ベントナイトの具体例としては、モンモリロナイトが挙げられる。
カオリンの具体例としては、カオリン、焼成カオリン、構造化カオリン、デラミネーテッドカオリン等の各種カオリンが例示される。
これらの中でも特に、ヒートシール剥離強度の観点、耐ブロッキング性の観点および経済性の観点から、アスペクト比が20以上の顔料が好ましく、マイカ、ベントナイト、カオリンおよびタルクのうちいずれか1種以上を含有することがより好ましく、カオリンがさらに好ましい。
ヒートシール層が顔料を含有する場合、顔料の配合量は、水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、耐ブロッキング性およびリサイクル性の観点からは、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、さらにより好ましくは8質量部以上であり、一方、ヒートシール性およびホットタック性の観点からは、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
ヒートシール層が顔料を含有する場合、ヒートシール層中の顔料の含有量は、耐ブロッキング性およびリサイクル性の観点からは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは8質量%以上であり、そして、ヒートシール性およびホットタック性の観点からは、好ましくは70質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
(他の成分)
ヒートシール層は、上記水分散性樹脂バインダー、必要に応じて滑剤または/および顔料に加えて、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、たとえば、シランカップリング剤;消泡剤;粘度調整剤;界面活性剤、アルコール等のレベリング剤;着色染料等の着色剤などが例示される。
ヒートシール層の塗工量(坪量)は、特に限定されないが、破袋しにくく、かつ、開封時には容易に開封可能な包装袋を得る観点から、好ましくは3g/m、より好ましくは5g/m以上、さらに好ましくは8g/m以上であり、そして、好ましくは30g/m以下、より好ましくは20g/m以下、さらに好ましくは15g/m以下である。
[ヒートシール紙の物性]
(ヒートシール剥離強度)
ヒートシール紙のヒートシール剥離強度は、好ましくは2.0N/15mm以上、より好ましくは3.0N/15mm以上、さらに好ましくは4.0N/15mm以上、さらに
より好ましくは5.0N/15mm以上であり、そして好ましくは10N/15mm以下、より好ましくは9.0N/15mm以下、さらに好ましくは8.0N/15mm以下である。さらに、自動包装成形性の観点からは、5.2N/15mm以上であることが好ましい。なお、ヒートシール層の剥離強度は、ヒートシール層同士を150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした際の剥離強度であり、具体的には後述の実施例に記載の方法によって測定される値である。
水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度および種類、並びに塗工量を選択することによって、剥離強度を調整することができる。たとえば、水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度を100℃以下とすることで、所定のヒートシール条件で樹脂が溶融してヒートシール層同士が良好に接着するため、所望の剥離強度を確保することができる。
(表面平滑度)
本実施形態のヒートシール紙のヒートシール層表面の王研式平滑度は、ヒートシール剥離強度を向上させる観点から、好ましくは30秒以上、より好ましくは40秒以上、さらに好ましくは50秒以上、さらにより好ましくは60秒以上であり、上限は特に限定されないが、好ましくは500秒以下、より好ましくは300秒以下、さらに好ましくは100秒以下である。
なお、ヒートシール層は、紙基材のW面(ワイヤー面)に設けてもよく、F面(フェルト面)に設けてもよく、特に限定されない。ここで、W面(ワイヤー面)とは、紙匹が形成されるときのワイヤーに接した面であり、その反対面はF面(フェルト面)である。
また、ヒートシール層と反対面(例えば、紙基材の一方の面のみにヒートシール層が設けられ、他方の面は紙基材が露出している場合は、紙基材表面)の王研式平滑度は、印刷適性を向上させる観点から、好ましくは3秒以上、より好ましくは5秒以上であり、上限は特に限定されないが、好ましくは1000秒以下、より好ましくは300秒以下、さらに好ましくは100秒以下である。
王研式平滑度は、JIS P8155:2010に準拠して測定される。
ヒートシール紙のヒートシール層表面および反対面の王研式平滑度は、後述するスーパーカレンダー処理等により、上記範囲内に調整することができる。
ヒートシール紙の坪量は、40g/m~130g/mであることが好ましく、70g/m~120g/mであることがより好ましく、80g/m~120g/mであることがさらに好ましい。坪量が上記下限以上であると強度が高くなり、成形時の破れをより抑制できる。一方、坪量が上記上限以下であると強度が適度に強く成形時の皴をより抑制できる。したがって、上記数値範囲内であると、成形性を向上させることができる。
ヒートシール紙の厚さは、50μm~300μmであることが好ましく、60μm~200μmであることがより好ましく、70μm~150μmであることがさらに好ましく、100μm~140μmであることがさらにより好ましい。
ヒートシール紙の密度は、0.40g/m~1.00g/mであることが好ましく、0.60g/m~0.90g/mであることがより好ましく、0.70g/m~0.85g/mであることがさらに好ましい。
<ヒートシール紙の製造方法>
本実施形態のヒートシール紙の製造方法は、上記のように得られた紙基材上の少なくとも一方の面上に、ヒートシール層を塗工する塗工工程を含む。なお、ヒートシール層塗工液(ヒートシール層塗料)は、二度以上塗工してもよい。
紙基材に複数のヒートシール層を形成する場合において、逐次的にヒートシール層を形
成する上記の方法が好ましいが、これに限定されるものではなく、同時多層塗工法を採用してもよい。同時多層塗工法とは、複数種の塗工液をそれぞれ別個にスリット状ノズルから吐出させて、液体状の積層体を形成し、それを紙基材上に塗工することにより、多層のヒートシール層を同時に形成する方法である。
ヒートシール層塗工液を紙基材に塗工するための塗工設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いればよい。塗工設備としては、たとえば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロールコーター、サイズプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー等が挙げられる。
ヒートシール層を乾燥するための乾燥設備には、特に限定されず、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、たとえば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板等が挙げられる。また、乾燥温度は、乾燥時間等を考慮して、適宜設定すればよい。
ヒートシール層塗工液の溶媒としては、特に限定されず、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、ヒートシール層塗工液の分散媒としては、水が好ましい。すなわち、ヒートシール層塗工液は、ヒートシール層用水系組成物であることが好ましい。
ヒートシール層塗工液の固形分量(固形分濃度)は、特に限定されず、塗工性および乾燥容易性の観点から適宜選択すればよいが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、よりさらに好ましくは40質量%以下である。
ヒートシール層の塗工量(乾燥後)の好ましい範囲は、上述した通りである。ヒートシール層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。ヒートシール層が2層以上である場合、上記の塗工量は合計塗工量を表す。
ヒートシール層を塗工乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行うことも好ましい。ここで、スーパーカレンダー処理とは、抄紙とは独立して設置され、一般には、金属ロール間、または金属ロールと弾性ロールとの間に処理対象である紙等を通し、加熱、加圧等を行うものである。スーパーカレンダー処理は、一段で行ってもよく、多段であってもよく、特に限定されない。
スーパーカレンダー処理を行うことによって、ヒートシール層表面の平滑性が向上し、その結果、ヒートシール剥離強度の向上、およびホットタック性(ヒートシール直後の剥離しにくさ)の向上につながるので好ましい。
また、ヒートシール層とは反対面(例えば、紙基材の一方の面のみにヒートシール層が設けられ、他方の面は紙基材が露出している場合は、紙基材表面)の平滑性が向上し、その結果、印刷適性が向上するので好ましい。
さらに、スーパーカレンダー処理を行うことによって、ヒートシール紙の密度が上がる傾向があり、また、上述したように表面平滑性が向上することから、製袋の際に、包装機におけるヒートシール紙の送り出しが良好になり、加工適性が向上するので好ましい。
スーパーカレンダー処理における線圧は、好ましくは10kg/cm以上、より好ましくは30kg/cm以上、さらに好ましくは50kg/cm以上であり、そして、好ましくは1000kg/cm以下、より好ましくは500kg/cm以下、さらに好ましくは
200kg/cm以下である。ただし、上記の線圧は、所望の平滑度や密度に応じて適宜変更すればよい。
また、スーパーカレンダー処理において加熱を行う場合、加熱温度は特に限定されないが、処理の効果を高めつつ、紙基材やヒートシール層の熱による劣化やヒートシール層の貼り付きを防ぐ観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
得られたヒートシール紙の用途は特に制限されず、適宜成形体とすることで、包装紙、包装袋、包装容器などの包装体、カップ、トレイなどの各種容器といった紙加工品に使用しうる。例えば、紙皿、紙カップ、紙トレイなどの紙容器や、横型ピロー包装用、縦型ピロー包装用、三方シール包装用、四方シール包装用、給袋式充填包装用、チューブ包装用、スティック包装用の袋などに使用しうる。特に、柔軟性および耐落下衝撃性に優れるため、上述した袋用途において好適に使用することができる。
以下、各物性の測定方法について記載する。
<ISO剛度>
紙基材およびヒートシール紙の縦方向及び横方向のISO剛度は、ISO2493-1:2010(紙及び板紙-曲げ抵抗試験方法-第1部:定速たわみ)に準拠して測定する

具体的には、調温及び調湿処理として、23±5℃、50±10%の環境下に1日静置した紙基材またはヒートシール紙を、幅38mm、長さ70mmに切り出したサンプルを準備する。こわさ試験機(L&W BENDING RESISTANCE TESTERコードNo.16-D、Lorentzen&Wattre社製)にて、曲げ長さを10mm、曲げ角度を15°に設定した上で、MD(縦方向)、CD(横方向)それぞれの曲げ抗力を測定した後、下記の式にてISO剛度を算出する。
Figure 2023184421000001
<突刺強度・比突刺強度>
紙基材およびヒートシール紙の突刺強度は、JIS Z 1707:2019(食品包装用プラスチックフィルム通則)に準拠して測定する。
具体的には、調温及び調湿処理として、23±5℃、50±10%の環境下に1日静置した紙基材またはヒートシール紙を用いて、引張試験機(型式RTC-1210A、株式会社エーアンドディ製)にて、突刺用の治具(株式会社エーアンドディ製)を使用し、突刺速度50mm/minに設定した上で突刺強度を測定する。
また、突刺強度を坪量で除して、比突刺強度を算出する。
<パルプの長さ加重平均繊維長>
紙基材およびヒートシール紙におけるパルプの長さ加重平均繊維長は、ISO 16065-2:2007に準拠して測定する。具体的には以下の通りである。
紙基材またはヒートシール紙を40cm角に切り出し、それをイオン交換水に浸し、固形分濃度2質量%に調整した上で、24時間浸漬する。24時間浸漬した後、標準型離解機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて、30分間離解処理を行い、パルプを繊維状に離解する。
得られたパルプ繊維のサンプルを用いて、繊維長測定機(型式FS-5 UHDベースユニット付、バルメット社製)を使用して、「長さ加重平均繊維長(ISO)」を測定す
る。なお、「長さ加重平均繊維長(ISO)」は0.2mm以上7.6mm以下の繊維を選択して計算した長さ加重平均繊維長である。
<坪量>
紙基材およびヒートシール紙の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定する。
<厚さ>
紙基材およびヒートシール紙の厚さ(紙厚)は、JIS P 8118:2014に準拠して測定する。
<密度>
紙基材およびヒートシール紙の密度は、上述した測定方法により得られた厚さ及び坪量から算出する。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。また、特にことわりがない限り、「部」は、「質量部」を表す。また、実施例および比較例の操作は、特にことわりがない限り、室温(20~25℃)、常湿(40~50%RH)の条件で行った。
<実施例1>
[紙基材の製造]
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を55:45の比率(質量比)で使用し、叩解時のスラリー濃度2質量%にて、CSF(カナダ標準ろ水度)が600mLとなるまで叩解して、パルプを調製した。
上記パルプを使用し、固形分換算でパルプ100部に対し、合成サイズ剤(荒川化学工業株式会社製、SPS400)0.15部、硫酸バンド1.2部、歩留まり剤としてポリアクリルアミド樹脂(星光PMC株式会社製、DS4433)0.65部、及び高分子凝集剤(歩留まり剤)として非イオン性ポリアクリルアミド(アライドコロイド製、パーコール47)0.035部を添加し、紙料を調製した。
上記の紙料を用いて伸縮装置(クルパック製)を備えた湿式抄紙機(ベルフォームIII型、三菱重工業株式会社製)にて、抄紙速度600m/分、リール水分7.0%で、クルパック処理前後の速度差を-20m/分、クルパック処理時のニップロールとブランケット間のニップ圧15kN/mにて抄紙し、紙の表面にクレープが付与された坪量80g/mの紙基材を得た。
[ヒートシール層塗料の調製]
スチレン/ブタジエン系共重合体の水分散液(日本ゼオン株式会社製、NipolラテックスLX407S12、固形分濃度46質量%、ガラス転移温度18℃(カタログ値))98部(固形分換算)、パラフィンワックスエマルション(中京油脂株式会社製、ハイドリンL-700、固形分濃度30質量%)2部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が33質量%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(固形分濃度33質量%)を調製した。上記スチレン/ブタジエン系共重合体は、25℃の水に対する溶解度が10g/L以下であった。
[ヒートシール紙の製造]
得られたヒートシール層塗料を、上記紙基材のW面にヒートシール層の乾燥後の塗工量が10g/mとなるように、エアナイフコーターでヒートシール層を形成し、130~
160℃のドライヤーで乾燥し、最後に線圧90kg/cmとなるようにして、塗工面にチルドロール、非塗工面にコットンロールが接触するようにし、ロールを40℃に加温して1段のスーパーカレンダー処理を行い、ヒートシール紙を得た。
<実施例2>
クルパック処理前後の速度差を-28.0m/分に変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<実施例3>
クルパック処理前後の速度差を-30.0m/分に変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<実施例4>
クルパック処理前後の速度差を-37.0m/分に変え、パルプの吐出量を調整することで坪量100g/mに変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<実施例5>
叩解後のCSF(カナダ標準ろ水度)が380mLとなるまで叩解して紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<実施例6>
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を40:60の質量比率に変え、クルパック処理前後の速度差を-25.0m/分に変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<実施例7>
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を90:10の質量比率に変え、クルパック処理前後の速度差を-40.0m/分に変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<実施例8>
クルパック処理前後の速度差を-16.0m/分に変え、パルプの吐出量を調整することで坪量50g/mに変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<実施例9>
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を30:70の質量比率に変え、クルパック処理前後の速度差を-25.0m/分に変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<実施例10>
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を100:0の質量比率に変え、クルパック処理前後の速度差を-40.0m/分に変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<実施例11>
市販のエチレン-アクリル酸共重合体A(ガラス転移温度45℃)の水分散液98部(固形分換算)と、市販のカルナバワックスの水分散液2部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が35質量%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(固形分濃度35質量%)を調製した。得られたヒートシール層塗料を使用したこと以外は実施例2と同様にして、ヒートシール層形成およびスーパーカレンダー処理を行い、ヒートシール紙を得た。
<実施例12>
パラフィンワックスエマルション2部(固形分換算)の代わりに、ポリエチレンワックスエマルション(Aquacer 531、BYK社製、固形分濃度45質量%)2部(
固形分換算)を添加してヒートシール層塗料を調製したこと以外、実施例2と同様にして、ヒートシール層形成およびスーパーカレンダー処理を行い、ヒートシール紙を得た。
<実施例13>
パラフィンワックスエマルションを添加しなかったこと以外、実施例2と同様にして、ヒートシール層形成およびスーパーカレンダー処理を行い、ヒートシール紙を得た。
<実施例14>
ヒートシール層塗料のスチレン/ブタジエン系共重合体の水分散液の代わりにエチレン/酢酸ビニル共重合体の水分散液(住化ケムテックス株式会社製、スミカフレックス470HQ、固形分濃度55質量%、ガラス転移温度0℃(カタログ値))を用い、パラフィンワックスエマルションを使用しなかったこと以外、実施例2と同様にして、ヒートシール層形成およびスーパーカレンダー処理を行い、ヒートシール紙を得た。
<実施例15>
スチレン/ブタジエン系共重合体の水分散液(日本ゼオン株式会社製、NipolラテックスLX407S12、固形分濃度46質量%、ガラス転移温度18℃(カタログ値))98部(固形分換算)、カルナバワックスエマルション(ML160RPH、マイケルマン社製、固形分濃度25質量%)2部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が33質量%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(固形分濃度33質量%)を調製したこと以外、実施例2と同様にして、ヒートシール層形成およびスーパーカレンダー処理を行い、ヒートシール紙を得た。
<実施例16>
スチレン/ブタジエン系共重合体の水分散液(日本ゼオン株式会社製、NipolラテックスLX407S12、固形分濃度46質量%、ガラス転移温度18℃(カタログ値))88部(固形分換算)、パラフィンワックスエマルション(中京油脂株式会社製、ハイドリンL-700、固形分濃度30質量%)2部(固形分換算)、カオリン(イメリス社製コンツァーエクストリーム、平均粒子径8μm、アスペクト比80~100、固形分50質量%となるように水に分散)10部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が33質量%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(固形分濃度33質量%)を調製したこと以外、実施例2と同様にして、ヒートシール層形成およびスーパーカレンダー処理を行い、ヒートシール紙を得た。
<実施例17>
ヒートシール層形成後にスーパーカレンダー処理をしなかったこと以外は実施例2と同様にして、ヒートシール紙を得た。
<比較例1>
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を45:55の質量比率に変え、クルパック処理を行わず、パルプの吐出量を調整することで坪量30g/mに変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<比較例2>
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を45:55の質量比率に変え、クルパック処理を行わずに紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<比較例3>
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を45:55の質量比率に変え、クルパック処理を行わず、パルプの吐出量を調整することで坪量100g/mに変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<比較例4>
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を45:55の質量比率に変え、クルパック処理前後の速度差を-15.0m/分に変えて紙基材を製造した以外は、実施例1と同様の条件でヒートシール紙を得た。
<比較例5>
実施例2で製造した紙基材をそのまま使用した。
得られたヒートシール紙又は紙基材を用いて以下の評価を実施した。
<袋柔軟性評価>
得られたヒートシール紙又は紙基材を切り出して、縦方向(MD)が200mm、横方向(CD)が150mmとなるシート1を得た。シート1に、幅10mmの両面テープ2(型式:スコッチ超強力両面テープ プレミアゴールド スーパー多用途PPS-10、3M社製)を、図1に示すように貼り付け、縦方向(MD)の中央(端から100mmの位置)で半分に折り込み、隙間が生じないように固定し、袋3を得た。
上記袋3へ水を充填し、水が零れるまでの充填量を評価した。数値が大きいほど良好であることを示す。
4:水の充填量が150mL以上。
3:水の充填量が100mL以上150mL未満。
2:水の充填量が50mL以上100mL未満。
1:水の充填量が50mL未満。
<耐落下衝撃性評価>
得られたヒートシール紙又は紙基材から、上記の<袋柔軟性評価>で作製した袋3と同様の袋を作製した。袋3へ重量50gの円盤型分銅(商品番号:201900401、株式会社村上衡器製作所製)を1つ充填し、<袋柔軟性評価>で使用した幅10mmの両面テープで密閉して、分銅を充填した袋を作製した。分銅を充填した袋は、調温及び調湿処理として、23±5℃、50±10%の環境下に1日静置した。
調温及び調湿処理後の袋を、袋の天面4(充填口)を上側にして、30cmの高さからSUS板の上に落下させた。さらに、落下させた袋を、今度は袋の底面5を上側にして同様に落下させた。上記の落下試験(落下回数は1つの袋につき2回)を、新たに作製した袋を使用して1水準につき合計5試験実施し、耐落下衝撃性を評価した。数値が大きいほど良好であることを示す。表中、「-」は、シールできず測定不可であったことを表す。
4:5試験全てにおいて、袋に破れ、打痕は生じなかった。
3:5試験全てにおいて、袋に破れは生じなかったが、打痕は生じた。
2:1~4試験において、袋に破れが生じた。
1:5試験全てにおいて、袋に破れが生じた。
[ヒートシール剥離強度]
2枚1組のヒートシール紙を、ヒートシール層が向き合うように重ね、ヒートシールテスター(テスター産業製、TP-701-B)を用いて、150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした。ヒートシールされた試験片を温度23℃±1℃、湿度50%±2%の室内で4時間以上静置した。続いて、ヒートシールされた試験片を15mm幅にカットし、引張試験機を用いて、引張速度300mm/minでT字剥離し、記録された最大荷重をヒートシール剥離強度とした。表中、「-」は、接着せず測定不可であったことを表す。
[自動包装成形性]
高速横型ピロー包装機(αWrapper FW3410、フジキカイ社製)を用いて、ヒートシール紙を連続で製袋した。この時中身は入れず、空袋で成形をし、外観および操業性を見て以下の判断を行った。ここで、「連続して製袋が不可能」とは、シワが発生したり、蛇行して袋にならない状態になってしまったり、断紙が起きたりする状態をいう。また、「外観が不良」とは、しわの混入、シール部のずれ、または袋の変形をいう。
A:連続して製袋が可能であり、かつ袋の外観が良好であった。
B:連続して製袋は可能であるが、袋の外観が不良であるものがわずかにあった。
C:連続して製袋が不可能であった。
実施例1~17及び比較例1~5の各物性と、評価結果を表1に示す。
Figure 2023184421000002
Figure 2023184421000003
Figure 2023184421000004
1:シート、2:両面テープ、3:袋、4:袋の天面、5:袋の底面

Claims (12)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面に1層以上のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、
    前記ヒートシール層は、水分散性樹脂バインダーを含有し、
    ISO2493-1:2010に準拠して測定される、該ヒートシール紙の縦方向のISO剛度が、0.55mNm以下であり、該ヒートシール紙の横方向のISO剛度が、0.45mNm以下であり、
    JIS Z 1707:2019に準拠して測定される、該ヒートシール紙の突刺強度が、7.5N以上である、
    ヒートシール紙。
  2. 縦方向のISO剛度が、0.05~0.20mNmであり、
    横方向のISO剛度が、0.05~0.20mNmである、
    請求項1に記載のヒートシール紙。
  3. 突刺強度が、12.5N以上である、請求項1に記載のヒートシール紙。
  4. 前記ヒートシール紙を離解して得られたパルプは、ISO 16065-2:2007に準拠して測定される長さ加重平均繊維長が、1.2mm~2.0mmである、請求項1に記載のヒートシール紙。
  5. 坪量が、40g/m~130g/mである、請求項1に記載のヒートシール紙。
  6. 比突刺強度が、0.12N/g以上である、請求項1に記載のヒートシール紙。
  7. 前記ヒートシール層が滑剤をさらに含む、請求項1に記載のヒートシール紙。
  8. 前記滑剤が、パラフィンワックス、カルナバワックス、およびポリオレフィンワックスよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項7に記載のヒートシール紙。
  9. 前記ヒートシール層中の前記滑剤の含有量が、1質量%以上5質量%以下である、請求項7に記載のヒートシール紙。
  10. 前記水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度が、0℃以上100℃以下である、請求項1に記載のヒートシール紙。
  11. 前記水分散性樹脂バインダーが、スチレン-ブタジエン共重合体、オレフィン-脂肪酸ビニルエステル共重合体およびオレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のヒートシール紙。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載のヒートシール紙を用いてなる、紙加工品。

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