JP2023184284A - ロボットハンド - Google Patents

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Abstract

【課題】操作性を向上できるロボットハンドを提供すること。【解決手段】ロボットハンドのハンド部20は、基部21と、基部に支持された指部22を備える。指部は、複数の関節231,232,233と、指部の長手方向において基部からもっとも離れた関節よりも先端側に設けられた指先端部25を有する。指先端部は、物体100の下に差し入れる爪部251と、爪部における物体との接触面とは反対の面である裏面上に設けられた突出部253を含む。爪部は、基部に対して突出部よりも離れた位置まで延びている。【選択図】図23

Description

この明細書における開示は、ロボットハンドに関する。
特許文献1は、ロボットハンドを開示している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
特開2008-149444号公報
特許文献1に開示されたロボットハンドは、操作性に劣る。たとえば摘まみ操作(把持操作)は可能であるが、めくり操作には適さない。上記した観点において、または言及されていない他の観点において、ロボットハンドにはさらなる改良が求められている。
開示されるひとつの目的は、操作性を向上できるロボットハンドを提供することにある。
ここに開示されたロボットハンドは、
基部(21)と、
基部に支持された指部(22)と、
を備え、
指部は、複数の関節(231,232、233)と、指部の長手方向において基部からもっとも離れた関節よりも先端側に設けられた指先端部(25)と、を有し、
指先端部は、物体(100)の下に差し入れる爪部(251)と、爪部における物体との接触面とは反対の面である裏面上に設けられた突出部(253)と、を含み、
爪部は、基部に対して突出部よりも離れた位置まで延びている。
開示されたロボットハンドによれば、突出部よりも先端側に延びた爪部を、物体の下に差し入れることができる。また、爪部上に突出部が存在することで、存在しない構成に較べて後述する角度θsを大きくすることができる。角度θsが大きいため、ずらしを伴うめくり操作をし易い。めくり操作と把持操作を両立できるため、操作性を向上できるロボットハンドを提供することができる。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
第1実施形態に係るロボットハンドを示す図である。 ハンド部を示す上面図である。 ハンド部を示す側面図である。 指先端部の構造を示す側面図である。 下入れ動作を示す図である。 めくり動作を示す図である。 めくり動作を示す図である。 把持動作を示す図である。 制御部が実行する処理を示すフローチャートである。 めくり処理を示すフローチャートである。 物体に加える力を示す図である。 関節に加える力を示す図である。 めくり要件およびずらし要件が成立する範囲を示す図である。 下入れ操作の一例を示す図である。 質量を大きくしたときの、めくり要件およびずらし要件が成立する範囲を示す図である。 重心位置を左にずらしたときの、めくり要件およびずらし要件が成立する範囲を示す図である。 長さを短くしたときの、めくり要件およびずらし要件が成立する範囲を示す図である。 長さの長短とずらし易さとの関係を示す図である。 第2実施形態に係るロボットハンドにおいて、指先端部の構造を示す側面図である。 物体と指先端部の位置関係を示す図である。 角度θbと角度θsの関係を示す図である。 高さHbと角度θsの関係を示す図である。 下入れ動作を示す図である。 めくり動作を示す図である。 把持動作を示す図である。 指先端部の構造の変形例を示す図である。 指先端部の構造の変形例を示す図である。 指先端部の構造の変形例を示す図である。 めくり要件およびずらし要件が成立する範囲と、角度θa、摩擦係数μの関係を示す図である。 第3実施形態に係るロボットハンドを示す図である。 角度θaの変化を示す図である。 変形例を示す図である。 変形例を示す図である。 第4実施形態に係るロボットハンドにおいて、制御部が実行するめくり処理を示すフローチャートである。
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るロボットハンドの概略構成を示す図である。図1に示すように、ロボットハンド10は、ハンド部20と、駆動部30と、制御部40を備えている。図1ではハンド部20を簡素化し、後述する指部22を1本のみ示している。
ロボットハンド10は、ハンド装置、ロボットハンドシステムなどと称されることがある。ロボットハンド10は、物体100を操作する。物体100は、対象物、操作対象物、ワークなどと称されることがある。ロボットハンド10は、図示しないロボットアームの先端に取り付けて使用してもよいし、単体で使用してもよい。
<ハンド部>
図2は、ハンド部20を示す上面図である。図3は、ハンド部20を示す側面図である。図中のX方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交する位置関係にある。図2および図3は、ハンド部20の一例を示している。
ハンド部20は、基部21と、基部21に支持された指部22を備えている。基部21は、掌部と称されることがある。指部22は、第1指部221と、第2指部222と、第3指部223を含んでいる。3つの指部22は、それぞれ基部21に支持されている。第1指部221および第2指部222は、屈曲状態において互いに対向するように、X方向に並んで配置されている。X方向において、第1指部221は基部21の一端に連なり、第2指部222は基部21の他端に連なっている。Y方向において、第3指部223は、基部21の一端に連なっている。
一例として指部22のそれぞれは、3つの関節23と、2つのリンク24と、指先端部25を備えている。指部22は、リンク機構を備えて構成されている。関節23は、回転軸を有している。関節23は、回転軸周りの回転が可能に構成されている。関節23は、第1関節231と、第2関節232と、第3関節233を含んでいる。第1関節231は、基部21にもっとも近い位置の関節23である。第3関節233は、基部21からもっとも離れた位置、つまり指先にもっとも近い位置の関節23である。第2関節232は、第1関節231と第3関節233の間の位置の関節23である。
リンク24は、第1リンク241と、第2リンク242を含んでいる。第1リンク241は、第1関節231と第2関節232とを連結している。第2リンク242は、第2関節232と第3関節233とを連結している。指先端部25は、指部22において第3関節233よりも先端側に設けられている。指先端部25の詳細構造については、後述する。
指部22は、第1関節231を介して基部21に連結されている。第1リンク241は、第1関節231を介して、基部21に連結されている。基部21および第1リンク241は、第1関節231の回転軸周りに相対的に回動可能となっている。回動により、基部21に対する第1リンク241のなす角度(後述のθ1)が変化する。
第2リンク242は、第2関節232を介して第1リンク241に連結されている。第1リンク241および第2リンク242は、第2関節232の回転軸周りに相対的に回動可能となっている。回動により、第1リンク241に対する第2リンク242のなす角度(後述のθ2)が変化する。
指先端部25は、第3関節233を介して第2リンク242に連結されている。第2リンク242および指先端部25は、第3関節233の回転軸周りに相対的に回動可能となっている。回動により、第2リンク242に対する指先端部25のなす角度(後述のθ3)が変化する。
共通(単一)の指部22において、各関節23の回転軸は互いに略平行である。略平行とは、完全に平行のみならず、概ね平行も含む。たとえば第1指部221において、第1関節231の回転軸、第2関節232の回転軸、および第3関節233の回転軸は、Y方向に略平行である。
各指部22は、関節23を除く表面部分の少なくとも一部に、図示しない弾性部材を有してもよい。ゴム、ウレタンなどの弾性部材を設けることで、たとえば物体との摩擦が増加し、操作を安定化することができる。
ハンド部20が備える指部22の本数は、3つに限定されない。ハンド部20は、指部22を少なくともひとつ備えればよく、好ましくは複数備えるとよい。ハンド部20は、2つの指部22を備えてもよいし、4つ以上の指部22を備えてもよい。
指部22が3つの関節23を備える例を示したが、これに限定されない。指部22は、複数の関節23を備えればよい。たとえば関節23を2つ備えてもよいし、4つ以上備えてもよい。
3つ以上の関節23を備える構成において、たとえばZ方向に略平行な回転軸を有する関節23を、基部21に対してもっとも近い位置に設けてもよい。これにより、指部22は、図2に一点鎖線の矢印で示すように、側方への開閉動作が可能になる。つまり、屈曲動作と開閉動作が可能な指部22を提供することができる。なお、すべての指部22が開閉動作可能に設けられてもよいし、一部の指部22のみが開閉動作可能に設けられてもよい。
指先端部25と第3関節233との間に、リンクを備えてもよい。指部22は、基部21からもっとも離れた位置の関節23よりも先端側の部分として、リンクと指先端部25を備えてもよい。3つの関節23を備える構成において、リンクは、指先端部25と第3関節233との間に配置される。
<指先端部の構造>
図4は、指先端部25の構造を示している。指先端部25は、爪部251と、腹部252を有している。
爪部251は、物体100を操作するときに、物体100に接触する接触面2511と、接触面2511とは反対の面である裏面2512を有している。爪部251は、腹部252上に配置されている。爪部251と腹部252の位置関係より、接触面2511は爪部251の下面、裏面2512は爪部251の上面と称されることがある。
爪部251は、指部22の長手方向(延設方向)において指部22の先端をなす端面2513を有している。端面2513は、接触面2511および裏面2512に連なっている。
爪部251は、長手方向において、腹部252よりも先端側に延びている。つまり突出している。接触面2511および裏面2512のうち、端面2513との境界から所定範囲の部分は、腹部252によって覆われない露出部となっている。指先端部25のうち、指部22の先端から所定範囲には、爪部251のみが存在している。
爪部251は、操作対象である物体100と、物体100に接触する非操作対象(たとえば台座)との間に差し入れる部分である。具体的には、爪部251のうち、上記した露出部に対応する先端部分を差し入れる。差し入れにより、種々の操作が可能となる。一例として本実施形態では、爪部251の先端部分を、台座に配置された物体100の下、つまり物体100と台座との間の隙間に差し入れる。
このため、爪部251の少なくとも先端部分は、薄く、硬く、低摩擦であることが好ましい。薄いと、物体100の下に差し入れやすい。ヤング率が大きい(硬い)と、台座の表面を凹ませて物体100の下に差し入れやすい。摩擦係数が小さいと、滑りによって物体100の下に差し入れやすい。一例として本実施形態の爪部251の厚みは0.5mm、ヤング率は1GPa、摩擦係数は0.1である。爪部251は、薄板状である。爪部251は、素材の特性によって低摩擦を実現してもよいし、先端部分の表面にコーティングを施すことで低摩擦を実現してもよい。
腹部252は、爪部251の接触面2511上に設けられている。腹部252は、爪部251の接触面2511上に設けられた凸構造部である。腹部252は、接触面2511のうち、端面2513との境界(端部)から所定範囲を除く部分に設けられている。腹部252は、爪部251とともに物体100に接触する部分である。腹部252は、物体100を支持する部分である。腹部252は、物体100に接触する。爪部251および腹部252は、人間の指先を模擬した構造部である。
腹部252は、物体100に接触する表面として、指先側の端面2521と、端面2521に連なり、接触面2511に対向する面とは反対の面である上面2522を有している。端面2521は、上面2522に連なる側面のうち、長手方向における先端側の面である。端面2521と接触面2511とのなす角度、つまり腹部252の先端の角度は、θaである。一例として角度θaは鋭角、つまり端面2521は傾斜面である。上面2522は、略平坦である。接触面2511から上面2522までの長さ、つまり腹部252の高さは、Haである。
<駆動部>
図1は、駆動部30の一例を示している。駆動部30は、駆動機構、アクチュエータなどと称されることがある。便宜上、図1では、駆動部30のうち、第1指部221の第1関節231に対応する要素のみを示している。第1指部221の第1関節231を、以下では単に第1関節231と示すことがある。
駆動部30は、モータ31と、減速機32と、ワイヤ33を備えている。駆動部30は、第1指部221の第1関節231に対応する要素として、第1駆動部301と、第2駆動部302を含んでいる。第1駆動部301および第2駆動部302は、互いに共通の第1関節231を駆動する。第1駆動部301および第2駆動部302を、単に駆動部301,302と称することがある。
一例として第1駆動部301は、モータ311と、減速機321と、ワイヤ331を備えている。第2駆動部302は、モータ312と、減速機322と、ワイヤ332を備えている。図1では、モータ311をM1、モータ312をM2と示している。減速機321をG1、減速機322をG2と示している。
駆動部30により駆動される関節23は、たとえば図示しないプーリを同軸に備えている。第1駆動部301のワイヤ331は、第1関節231のプーリに巻き付けられている。モータ311は、減速機321により調整した動力を、ワイヤ331を介してプーリに伝達する。モータ311は、減速機321を介してワイヤ331に引っ張り力を加えることで、第1関節231を駆動する。モータ311は、ワイヤ331に引っ張り力を加えることで、第1関節231に対して回転軸周りの一方向に回転するトルクを加える。第1関節231は、モータ311の引っ張り力により、たとえば物体100に力を加える向きに回転する。図1に示す例において、第1関節231は反時計周りに回転する。
第2駆動部302のワイヤ332は、第1関節231のプーリに巻き付けられている。モータ312は、減速機322により調整した動力を、ワイヤ332を介してプーリに伝達する。モータ312は、減速機322を介してワイヤ332に引っ張り力を加えることで、第1関節231に対して一方向とは逆向きに回転するトルクを加える。第1関節231は、ワイヤ332を介したモータ312の引っ張り力により、物体100に力を加える向きと逆向きに回転する。図1に示す例において、第1関節231は時計周りに回転する。一方向への回転を正回転、一方向とは逆向きの回転を逆回転と称することがある。モータ312は、たとえばモータ311に対応するワイヤ331を巻き取るように機能する。
駆動部30は、上記した構成に限定されない。ワイヤ33の代わりにVベルトを用いてもよい。モータ31は、関節23やリンク24に内蔵されてもよい。減速機32は、必要に応じて配置されればよい。たとえばモータ31のみによって出力トルクが十分に得られるのであれば、減速機32を排除した構成としてもよい。
第1駆動部301は、第1関節231を正回転させるトルクだけでなく、逆回転させるトルクを印加可能に構成されてもよい。たとえばモータ311は、減速機321を介して、逆回転用の図示しないワイヤに引っ張り力を加えることで、第1関節231に対して逆向きに回転するトルクを加えてもよい。
第2駆動部302は、第1関節231を逆回転させるトルクだけでなく、正回転させるトルクを印加可能に構成されてもよい。たとえばモータ312は、減速機322を介して、正回転用の図示しないワイヤに引っ張り力を加えることで、第1関節231に対して逆向きに回転するトルクを加えてもよい。
関節23の回転方向は、モータ31の駆動により関節23に印加される正回転トルクと、物体100からの反力を含む外力との大小関係により決まる。正回転トルクが物体100からの反力を含む外力よりも大きい場合、関節23は正回転する。正回転トルクが物体100からの反力を含む外力よりも小さい場合、関節23は逆回転、つまりバックドライブする。
減速機32の減速比が小さいと、正回転トルクは小さくなり、外力は大きくなる。減速比が大きいと、正回転トルクは大きくなり、外力は小さくなる。このように、減速比が小さいと関節23がバックドライブし易い。減速比が大きいと、関節23がバックドライブし難いため、物体100に大きな力が必要な操作に有利になる。
一例として減速機321の減速比は、1~5程度である。減速比が小さいため、第1駆動部301はバックドライブし易い。駆動部30は、バックドライブ機能を有している。関節23に正回転トルクを印加する駆動部の少なくともひとつは、バックドライブ可能に構成されている。第1関節231に対応する駆動部30は、バックドライブ可能である。減速機322の減速比は、特に限定されない。減速機322の減速比は、減速機321の減速比と同程度でもよいし、減速機321よりも大きくてもよい。たとえば第2駆動部302が正回転トルクを印加可能な構成において、減速機321,322の減速比を異ならせ、操作に応じて駆動部301,302を選択して用いるようにしてもよい。操作に適した駆動部301,302を用いることで、ロバスト性を向上することができる。
上記した構成を、第1指部221の第2関節232や他の指部22の関節23を適用してもよい。つまり、すべての関節23に対して、第1駆動部301および第2駆動部302を個別に設けてもよい。これに代えて、関節23の一部のみに、第1駆動部301および第2駆動部302を個別に設けてもよい。たとえば関節23の一部が駆動部30によって駆動されない関節、たとえばフリーの関節の場合、残りの関節23に対して第1駆動部301および第2駆動部302を設けてもよい。
<制御部>
図1に示すように、制御部40は、制御回路41と、駆動回路42を備えている。制御回路41は、コントローラと称されることがある。制御回路41は、図示しないカメラやセンサなどから物体100の動作に影響を与える情報を取得し、取得した情報に基づいて、物体100に目標動作をさせるために必要な各関節23の目標トルクを設定する。制御回路41は、目標トルクに応じた駆動指令を駆動回路42に出力する。
制御回路41は、たとえばプロセッサ411と、メモリ412を備えている。メモリ412は、たとえばRAM、ROMを含んでいる。RAMは、Random Access Memoryの略称である。ROMは、Read Only Memoryの略称である。プロセッサ411は、RAMを一時的な記憶領域として用いつつROMに記憶されたプログラムを実行することで、所定の処理(制御)を実行する。プロセッサ411は、プログラムに含まれる複数の命令を実行することで、複数の機能部を構築する。プログラムの保存媒体は、ROMに限定されない。たとえばHDDやSSDなど、多様な記憶媒体を採用可能である。HDDは、Hard-disk Driveの略称である。SSDは、Solid State Driveの略称である。
プロセッサ411は、たとえばCPU、MPU、GPU、DFPなどである。CPUは、Central Processing Unitの略称である。MPUは、Micro-Processing Unitの略称である。GPUは、Graphics Processing Unitの略称である。DFPは、Data Flow Processorの略称である。制御回路41は、CPU、MPU、GPUなど、複数種類の演算処理装置を組み合わせて実現されてもよい。
制御回路41は、SoCとして実現されてもよい。SoCは、System on Chipの略称である。制御回路41は、ASICやFPGAを用いて実現されてもよい。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略称である。
駆動回路42は、モータドライバと称されることがある。駆動回路42は、駆動指令に応じた駆動電流をモータ31(311,312)に付与し、モータ31を動作させる。
<ハンド部の動作>
図5~図8は、物体100を把持するまでのハンド部20の動作を示している。ハンド部20は、物体100を把持するまでの間に、下入れ動作、めくり動作、および把持動作を行う。図5は、下入れ動作の一例を示している。図6および図7は、めくり動作の一例を示している。図8は、把持動作の一例を示している。図5~図8では、腹部252の表面を端面2521から上面2522にわたって曲面でつなぐ形状としている。ここでは、第1指部221および第2指部222を用いて物体100を把持する例を示す。
物体100は、初期的に台座110に配置される。台座110は、変位しない作業台でもよいし、Vベルトのように可動式のものでもよい。台座110は、指部22によって表面を押されると凹む柔軟性を有するのが好ましい。一例として台座110はゴム部材を備えており、ゴム部材が表面をなしている。
物体100を把持するにあたり、まずハンド部20は、図5に示すように下入れ動作をする。具体的には、第2指部222の指先端部25によってX方向における物体100の一端を押さえた(固定した)状態で、第1指部221の指先端部25の爪部251を物体100の他端の下に差し入れる。たとえば指先端部25によって台座110の表面を凹ませつつ、爪部251の先端部分を物体100の他端の下に差し入れる。下入れ時には、少なくとも爪部251の先端部分の接触面2511が物体100に接触する。下入れ動作は、潜り込ませ動作、滑り込ませ動作などと称されることがある。
次いでハンド部20は、図6および図7に示すめくり動作をする。図6はめくり動作の途中の状態を示しており、図7はめくり動作が完了した状態を示している。具体的には、下入れ時同様、第2指部222の指先端部25によって物体100の一端を押さえた状態で、第1指部221の関節23の駆動により物体100の他端側を持ち上げる。このようにして、物体100をめくり上げる。
後述するめくり要件およびずらし要件を満たすように、第1指部221は動作する。めくり動作は、ずらし動作を含む。ずらしは、めくり中に生じる。めくりは、ずらしを伴う。ずらしは、めくりと同時に起こる。ずらしとは、第1指部221の指先端部25による物体100の支持位置、つまり物体100の被支持位置をずらすことをいう。ずらし動作を含むめくり動作により、指先端部25の支持位置は、爪部251の先端部分から腹部252の表面にずれる。一例として指先端部25の支持位置は、爪部251から、端面2521を経由して上面2522までずれる。このように支持位置を爪部251からずらすことで、把持動作を行い易くなる。物体100は、腹部252の表面に沿って並進しつつ、めくり上がる。以下では、ずらしを伴うめくりを、単にめくりと示すことがある。
次いでハンド部20は、図8に示す把持動作をする。具体的には、第1指部221と第2指部222により、物体100を把持する。第1指部221の支持位置と第2指部222の支持位置が互いに近いほうが、安定して把持できる。このため、第1指部221の関節23の駆動により、第1指部221による支持位置を第2指部222の支持位置に近づけて把持する。必要に応じて、第2指部222の関節23を駆動させてもよい。把持動作は、指部22の移動を含む。一例として図8に示すように、第1指部221の腹部252の表面と第2指部222の腹部252の表面とで、物体100を把持する。
<制御方法>
図9は、制御部40の制御回路41が実行する処理、つまりロボットハンド10の制御方法の一例を示すフローチャートである。一例として、図5~図8に示したハンド部20の動作のために制御部40が実行する処理を示している。
制御部40の制御回路41は、ハンド部20による物体100の操作方法を決定する。一例として制御回路41は、ユーザが入力した操作方法を取得することで操作方法を決定してもよい。制御回路41は、ユーザの入力に基づいて操作方法を判断し、決定してもよい。たとえばユーザにより物体100の目標位置が入力されると、制御回路41が、目標位置に最適な操作方法を判断し、決定してもよい。
制御回路41は、カメラやセンサなどの情報を取得することで操作方法を決定してもよい。制御回路41は、メモリ412に格納されたプログラムを実行することで、取得した情報に基づいて操作方法を決定してもよい。
制御回路41は、物体100をめくって把持する操作方法を決定すると、図9に示す処理を開始する。制御回路41は、まずアプローチ処理を実行する(ステップS10)。アプローチ処理は、ハンド部20を下入れ直前の位置まで操作する処理である。下入れ直前の状態とは、たとえば第1指部221の指先端部25が物体100および/または台座110に接触する直前の状態である。これに代えて、第1指部221の指先端部25が物体100および/または台座110に初期的に接触した状態を下入れ直前の状態としてもよい。
制御回路41は、カメラなどから指部22および物体100の初期位置に関する情報を取得する。制御回路41は、指先端部25を初期位置から目標位置、つまり下入れ直前の位置まで動かすのに必要なトルクを設定する。制御回路41は、設定したトルクを対応する関節23に印加するように駆動部30を制御する。これにより、第2指部222の関節23が駆動し、第2指部222の指先端部25が物体100の一端に接触する。また、第1指部221の関節23が駆動し、指先端部25が物体100および/または台座110に接触する直前の位置まで移動する。
次いで制御回路41は、下入れ処理を実行する(ステップS20)。下入れ処理は、下入れ動作を実行するようにハンド部20を操作するための処理である。
制御回路41は、カメラなどから、アプローチ処理完了後の指部22および物体100の位置(第1位置)に関する情報を取得する。制御回路41は、指先端部25を第1位置から目標位置、つまり図5に例示した下入れ完了の位置まで動かすのに必要なトルクを設定する。制御回路41は、設定したトルクを対応する関節23に印加するように駆動部30を制御する。これにより、第1指部221の関節23が駆動し、指先端部25が台座110の表面を凹ませながら物体100の他端側の下に滑り込む。
次いで制御回路41は、めくり処理を実行する(ステップS30)。めくり処理は、ずらし処理を含むため、めくりおよびずらし処理(めくり・ずらし処理)と称されることがある。めくり処理は、ずらしを伴うめくり動作を実行するようにハンド部20を操作するための処理である。図10は、めくり処理を示すフローチャートである。図11は、物体100に加える力を示す図である。図12は、関節23に加える力を示す図である。
図10に示すように、制御回路41は、カメラなどから、下入れ処理完了後の指部22および物体100の位置(第2位置)に関する情報を取得する(ステップS31)。制御回路41は、指先端部25を第2位置から目標位置、つまり図7に例示しためくり動作完了の位置まで動かすのに必要なトルクを設定する。制御回路41は、後述するめくり要件とずらし要件の両方を満たしつつ、目標位置まで第1指部221の指先端部25を動かすようにトルクを設定する。
制御回路41は、目標動作を実現するために、物体100に加える力Fd,Fsを、めくり要件とずらし要件を満たす範囲で設定する(ステップS32)。図11に示すように、指部22(指先端部25)に力Fを加えることで、指先端部25から物体100に力Fd,Fsを加える。つまり、めくり要件とずらし要件を満たす力Fd,Fs(力ベクトル)を、物体100と指先端部25との間に生成させる。力Fdは、垂直抗力である。力Fsは、物体100を動かす力であり、垂直抗力Fdに直交する方向(水平方向)の力である。
数式1は、めくり要件を示す式である。めくり要件は、回転要件と称されることがある。Mrotは、物体100の支点101周りの回転モーメントである。Mrot>0を満たすことで、物体100がめくり上がる。Lは、支点101から作用点102までの物体100の長さである。mは、物体100の質量である。θは、基準面(台座110の表面)に対する物体100のなす角度である。θxは、基準面と平行な面に対して垂直抗力Fdの作用方向のなす角度である。第4項は、慣性モーメントJに角度θの2階微分値である角加速度を乗算したものである。数式1では、重心位置を長さLの中心としている。
Figure 2023184284000002
数式2は、ずらし要件を示す式である。ずらし要件は、並進要件と称されることがある。μmaxは、最大静止摩擦係数である。FSliは、最大静止摩擦力である。Fs>Fsliを満たすことで、物体100をずらすことができる。
Figure 2023184284000003
制御回路41は、数式1,2を満たす範囲で、力Fd,Fsを設定する。力Fd,Fsは、図12に示すようにX方向の力FxとZ方向の力Fzに座標変換される。そして、目標位置より、角度θ1,θ2,θ3が決まる。角度θ1は、基部21に対する第1リンク241のなす角度である。角度θ2は、第1リンク241に対する第2リンク242のなす角度である。角度θ3は、第2リンク242に対する指先端部25のなす角度である。
次いで制御回路41は、角度θ1,θ2,θ3と、各関節23の運動方程式とにより、トルクT1,T2,T3を設定する(ステップS33)。トルクT1は、第1関節231に加えるトルクである。トルクT2は、第2関節232に加えるトルクである。トルクT3は、第3関節233に加えるトルクである。
制御回路41は、設定したトルクT1,T2,T3を対応する関節23に印加するように駆動部30の制御を実行する(ステップS34)。一例として駆動部30は、第1関節231に対して正回転方向の所定のトルクT1を印加する。駆動部30は、物体100の端部のひとつを持ち上げてずらしが生じるように、第3関節233に対して正回転方向のトルクT3を印加する。このように、第1関節231に対して正回転方向のトルクT1を印加しつつ、第3関節233が正回転するようにトルクT3を印加する。駆動部30は、角度θ2を維持するように第2関節232に対してトルクT2を印加する。
次いで制御回路41は、制御実行により、ずれ(ずらし)が発生したか否かを判定する(ステップS35)。指先端部25の支持位置、つまり物体100の被支持位置のずれ(ずらし)については、たとえばカメラ、モータエンコーダ、関節エンコーダ、触覚センサなどによって検出が可能である。ずれが生じた場合には、目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS36)。目標位置に到達した場合には、めくり処理を終了し、図9に示すステップS40に移行する。
一方、ずれが生じていない場合には、ずれが生じるようにトルクを再設定する。一例として、トルクT3の増大を決定し(ステップS37)、ステップS33に戻って、決定したトルクT3を設定する。たとえば増大の決定ごとに、所定値加算するようにトルクT3を設定する。トルクT3の増大により第3関節233がさらに正回転し、角度θ3が大きくなる。つまり図13に示すように、物体100がさらに持ち上げり、ずれが生じ易くなる。トルクT1については、所定値を維持するように設定する。トルクT2については、角度θ2を維持するように設定する。このように、ずれが生じるまで、トルクT3を大きくしていく。
ずれ(ずらし)とは、上記したように、指先端部25による物体100の支持位置、つまり物体100の被支持位置がずれることを指す。トルクT3を大きくすると物体100の端部のひとつが持ち上がって、上記した角度θが大きくなる。これにより、物体100が指先端部25の表面に沿って並進し易くなる。つまり、ずれが生じ易くなる。
ずれが生じたものの、ステップS36において目標位置に到達していない場合、角度θ3またはトルクT3の維持を決定し(ステップS38)、ステップS33に戻る。ステップS3では、たとえば角度θ3を維持するようにトルクT3を設定する。または、トルクT3を所定値に維持するように設定する。トルクT1については、所定値を維持するように設定する。トルクT2については、角度θ2を維持するように設定する。
ずらしを伴うめくり処理が終了すると、制御回路41は把持処理を実行する(ステップS40)。把持処理は、図8に示した動作を実行するようにハンド部20を操作するための処理である。
制御回路41は、カメラなどから指部22および物体100の位置(第3位置)に関する情報を取得する。制御回路41は、指先端部25を第3位置から目標位置、つまり図8に例示した把持完了の位置まで動かすのに必要なトルクを設定する。制御回路41は、知られた把持要件を満たしつつ、目標位置まで指部22を移動させるように、トルクを設定する。制御回路41は、設定したトルクを対応する関節23に印加するように駆動部30を制御する。
一例として駆動部30は、正回転方向のトルクT1を印加する。また、逆回転方向のトルクT3を印加する。これにより、物体100との接触状態を維持しつつ、指先端部25による物体100の支持位置を下方にずらす。たとえば指先端部25の先端が台座110の表面に接触するまで可能にずらす。このように、第1指部221の支持位置を、第2指部222の支持位置に近づける。そして、第1指部221の腹部252の上面2522と第2指部222の腹部252の上面2522とで、物体100を把持する。このとき、第1指部221の腹部252の上面2522は、第2指部222の腹部252の上面2522に対して略平行である。制御回路41は、把持処理を実行すると一連の処理を終了する。
第1関節231に対応する駆動部30はバックドライブ可能である。めくり操作において、第1関節231は、正回転トルクT1と物体100からの反力を含む外力との大小関係に応じて、正回転方向もしくは逆回転方向に回転する。正回転トルクT1が外力よりも大きい場合、第1関節231は正回転する。外力が正回転トルクT1よりも大きい場合、第1関節231は逆回転する。
なお、めくり操作において第2関節232の角度θ2を維持する、つまり第2関節232をロック状態とする例を示したが、これに限定されない。めくり要件とすらし要件を満たす範囲であれば、角度θ2が変化するようなトルクT2を設定してもよい。トルクT1,T3についても、上記した例に限定されない。
たとえばステップS35でずれが生じない場合、正回転方向のトルクT1を大きくしてもよい。ただし、トルクT1を大きくし過ぎると、反力を含む外力の大小にかかわらず、第1関節231が正回転することになる。トルクT1については、外力が比較的に小さいときには正回転し、外力が比較的に大きいときには逆回転するように設定される。
ステップS37またはステップS38の処理を実行した後に、ステップS33に戻って以降の処理を実行する例を示したが、これに限定されない。ステップS32に戻って以降の処理を実行してもよいし、ステップS31に戻って以降の処理を実行してもよい。
<第1実施形態のまとめ>
上記したように、本実施形態のロボットハンド10によれば、めくり操作をするときに、めくり要件とずらし要件の両方を満たす力ベクトルを、物体100と指部22(221)の先端との間に生成させる。また、駆動部30がバックドライブ可能であり、これにより指部22の先端が物体100の軌道に追従する。
よって、摩擦係数などのパラメータに誤差/ばらつきがあっても、物体100をめくりつつ指部22の支持位置をずらすことができる。つまり、めくり上げの途中にずらしが生じる。指部22の支持位置をずらすため、ずらさずにめくる場合よりも、次の操作に繋げやすい。この結果、操作性を向上することができる。
図13は、めくり要件とずらし要件を満たす範囲を示している。図13は、両要件が成立する角度θと摩擦係数との関係を示している。図13に示すハッチング部分が、両要件を満たす範囲である。両要件を満たす範囲は、トルクT1を大きくすると広くなり、トルクT1を小さくすると狭くなる。一例として物体100を平面矩形状、物体100のX方向の長さを5cm、質量mを5g、摩擦係数を0~1.5、物体100の重心位置をX方向の中心、柔らかさを剛体とした。また、トルクT1を、0.03Nmとした。
たとえば摩擦係数が0.5の場合、角度θが12度程度でずらしが生じる。つまり12度程度までめくり上げるとずらしが生じる。摩擦係数が1.0の場合、角度θが22度程度でずらしが生じる。摩擦係数がばらついても、駆動部30のバックドライブ機能により、指先端部25が物体100の軌道に追従する。よって、角度θの異なる任意のタイミングで、ずらしを生じさせることができる。
制御回路41は、めくり操作において、めくり要件とずらし要件を満たすように指部22(221)の駆動を制御すればよい。一例として本実施形態の制御回路41は、物体100を持ち上げる方向、つまり正回転方向に第3関節233を回転させる。また、第1関節231に対して物体100に力を加える方向、つまり正回転方向にトルクT1を印加するよう制御する。これにより、指部22の先端は物体100から離反せずに物体100の軌道に追従する。よって、物体100をめくり上げる途中でずらしが生じ易い。
特に、めくり操作において、一定値で維持するようにトルクT1を設定し、角度θ2を維持するようにトルクT2を設定する。これにより、簡素な制御で、ずらしを含むめくり操作を実現することができる。
ハンド部20が備える指部22の本数は、特に限定されない。1本でもよい。たとえば壁などに物体100の一端を押し付けた状態で、1本の指部22にて物体100をめくり上げることもできる。また、めくった後に、壁との間で物体100を把持することもできる。
一例として本実施形態では、ハンド部20の指部22が、第1指部221と第2指部222を含んでいる。そして、制御回路41は、第2指部222にて物体100の一端を押さえた状態で、第1指部221の先端と物体100との間にめくり要件およびずらし要件を満たす力ベクトルを生成させるよう駆動部30を制御する。これにより、多様な操作が可能となる。指部22を1本備える構成に較べて操作性を向上することができる。
めくり操作において、第2指部222の制御は特に限定されない。一例として本実施形態では、少なくとも第2指部222が逆折れ可能に構成されている。第2指部222は、人間の指の屈曲方向とは逆方向にも屈曲可能である。たとえば関節23の可動域は、-90度~90度程度である。たとえば図3に示す第2指部222は、逆折れ状態ではなく、言うなれば正方向に折れた状態である。一方、図5~図8に示す第2指部222は、逆折れ状態である。第2指部222は、第2関節232を頂点とする逆折れ状態である。第2関節232は、第2指部222の腹部252側に凸である。
図6および図7に示したように、制御回路41は、めくり操作をするときに、第2指部222が逆折れ状態となるように駆動部30を制御する。これにより、第2指部222が物体100に対する壁/ストッパとして機能する。よって、第1指部221による物体100のめくり過ぎを防止することができる。
制御回路41が実行する操作は、ずらしを含むめくり操作を少なくとも含めばよい。一例として本実施形態の制御回路41は、下入れ操作を行ってからめくり操作を実行し、めくり操作の後に把持操作を実行する。めくり操作がずらしを伴わない場合、支持位置は爪部251の先端部分のままであるため、爪部251が引っ掛かり、把持操作(次の操作)に移行し難い。本実施形態では、めくり操作がずらしを伴う。具体的には、めくり操作中に、指先端部25の支持位置が、爪部251から腹部252の表面にずれる。これにより、めくり操作から把持操作に移行し易い。よって、物体100を台座110に配置された状態からめくって把持する一連の操作に好適である。この一連の操作において、操作性を向上することができる。
下入れ操作は、特に限定されない。台座110上に配置され、一端が押さえられた物体100の他端の下に、指部22の先端を差し入れる操作であればよい。たとえば制御回路41は、図14の右側に示すように物体100に対する第1指部221のめくり開始の位置を、第1関節231による力ベクトルが水平以下となるように設定するのが好ましい。図14において、第1関節231による力ベクトルを実線矢印で示している。図14の左側は下入れ操作の途中段階を示しており、右側は下入れ完了の状態、つまりめくり開始の位置を示している。図14では、指先端部25が、爪部251と腹部252のみを有している。図14に示す一点鎖線は、爪部251の先端部分と第1関節231の回転軸とをつなぐ仮想線である。
これによれば、下入れ操作においても、第1関節231および第3関節233のそれぞれに正回転方向のトルクを印加すればよい。つまり、同じ制御手法で下入れ操作とめくり操作を実現できる。第3関節233の動作方向が同じであるため、下入れ操作からめくり操作をスムースに繋ぐことができる。なお、爪部251の先端部分は、めくり開始において回転軸の直下よりも左側に位置する。つまり仮想線が左側に傾いている。この位置関係において、第1関節231による力ベクトルは、XY面に平行な水平以下となる。
把持操作は、特に限定されない。一例として本実施形態の制御回路41は、第1関節231に対して正回転方向のトルクT1を印加し、第3関節233を逆回転方向させるように駆動部30を制御する。これによれば、図7および図8に示したように、物体100との接触状態を維持しつつ、第1指部221の指先端部25による物体100の支持位置を下方にずらすことができる。つまり、物体100の落下を抑制しつつ、第1指部221の支持位置を第2指部222の支持位置に近づけることができる。
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。
<各種パラメータとめくり要件およびずらし要件の成立範囲>
図15~図17は、先行実施形態に示した図13同様、めくり要件およびずらし要件が成立する範囲を示している。図15~図17では、図13の条件の一部を変更している。図15は、図13の条件に対して物体100の質量mを大きくしている。一例として物体100の質量を、図13の5gから50gに変更した。図15に示すように、質量mを大きくすると、成立範囲が狭くなる。つまり、ずらしが生じない範囲が広くなる。
図16は、図13の条件に対して物体100の重心位置を左側にずらしている。一例として重心位置を左端とした。図16に示すように、重心位置を左側にずらすと、成立範囲が狭くなる。なお、数式3は、めくり要件式を示している。長さLgは、支点101から重心位置までの長さである。
Figure 2023184284000004
数式3に示すように、質量m、長さLgが大きくなるほど、第3項の負の値が大きくなり、物体100をめくり難くなる。これに対しては、トルクT1を大きくすることで、成立範囲を広くすることができる。トルクT1を大きくすると、力Fd,Fsが大きくなり、めくり要件を満たし易くなる。たとえば図15に示す破線は、質量mが50gにおいて、トルクT1を0.03Nmから0.3Nmに変更したときの成立範囲の左端を示している。
図17は、図13の条件に対して物体100のサイズを小さくしている。一例として長さLを1cmとした。図17に示すように、サイズを小さくすると、成立範囲が狭くなる。図18は、サイズ(長さL)とめくり動作との関係を示している。左側はサイズ大の場合のめくり動作のイメージ、右側はサイズ小の場合のめくり動作のイメージである。図18に示すように、物体100のサイズが小さい場合、第3関節233の角度変化、つまり後述する指先端部25の角度ψの角度変化が小さいため、ずらし要件を満たし難い。
このような課題に鑑み、本実施形態では、めくり中にずらしを生じ易い構成、特に小物体のずらしを生じ易い構成を提案する。物体100のサイズによらず、ずらしを生じ易い構成を提案する。
<指先端部の構造>
図19は、本実施形態に係るロボットハンド10において、指先端部25の構造を示している。指先端部25は、上記した爪部251および腹部252に加えて、突出部253を有している。
爪部251は、腹部252と突出部253の間に配置されている。爪部251は、長手方向において、腹部252および突出部253よりも先端側に延びている。つまり突出している。裏面2512のうち、端面2513との境界である端部2514から所定範囲の部分は、突出部253によって覆われない露出部となっている。指先端部25のうち、指部22の先端から所定範囲には、爪部251のみが存在している。一例として接触面2511の露出部と裏面2512の露出部とは、高さ方向の平面視において略一致している。端部2514は、裏面2512と端面2513との角部である。
突出部253は、爪部251の裏面2512上に設けられている。突出部253は、ずらしを伴うめくり操作をし易くするために設けられている。突出部253は、爪部251の裏面2512上に設けられた凸構造部である。突出部253は、指先側の端面2531と、端面2531に連なり、裏面2512に対向する面とは反対の面である上面2532を有している。端面2531は、上面2532に連なる側面のうち、長手方向における先端側の面である。
上面2532は、略平坦である。裏面2512から上面2532までの長さ、つまり突出部253の高さは、Hbである。上面2532の端部2533は、端面2531との境界をなしている。一例として端部2533は、上面2532と端面2531との角部である。図19に一点鎖線で示す仮想線ILは、上面2532の端部2533と爪部251の端部2514とを結ぶ線である。仮想線ILと裏面2512とのなす角度は、θbである。
突出部253は、爪部251同様、硬く、低摩擦であることが好ましい。ヤング率が大きい(硬い)ほうが、爪部251を物体100の下に差し入れやすい。また、指先端部25が、端部2533を物体100との接点として回動し易い。摩擦係数が小さいほうが、爪部251を物体100の下に差し入れやすい。一例として突出部253のヤング率および摩擦係数は、爪部251と同程度である。
上記したように、指先端部25は、爪部251および腹部252を備える指先構造部に、突出部253を付加してなる。
図20は、下入れ操作およびめくり操作に適した、突出部253の構造検討に用いたモデルを示す図である。図20は、下入れが完了した状態を示している。
図20において、角度θsは、爪部251に接触する物体100の下面と腹部252の端面2521とのなす角度である。Lは、物体100の長さである。ψは、突出部253の上面2532と台座110の表面とのなす角度である。つまり、指先端部25の角度である。数式4は、指先端部25および物体100の位置関係を示す式である。
Figure 2023184284000005
角度θsが大きいほど、物体100が端面2521に沿って移動し易い。角度θsが大きいほど、腹部252を表面に沿って物体100がずれ易い。角度θsが大きいほど、物体100をずらしてめくり上げやすい。数式4に示すように、角度θsは、角度θb、高さHbの影響を受ける。
図21は、角度θbと角度θsの関係を示している。ここでは、長さL=2cm、角度θa=45度、高さの比Hb/Ha=1、ψ=15度とした。図21に示すように、角度θbが大きいほど、角度θsが大きくなる。しかしながら、角度θbが60度より大きくなると、下入れし難くなる。よって、角度θbは、60度以下が好ましい。
また、角度θbの変化量(傾き)は、30度を下回ると大きくなる。角度θbが30度を下回ると、角度θsが急激に小さくなる。よって、角度θbは、30度以上が好ましい。一例として本実施形態では、角度θbを30度以上、60度以下の範囲内で設定している。
図22は、高さHbと角度θsとの関係を示している。ここでは、長さL=2cm、角度θa=45度、角度θb=45度、ψ=15度とした。図22に示すように、高さHbが高いほど、角度θsは大きくなる。ただし、高さHbが高いと物体100が爪部251の下に入り込み、下入れ操作ができない虞がある。よって、下入れ操作を可能な範囲で、高さHbを高くするのが好ましい。例示した長さL=2cmの物体100のような小物体を扱う場合には、高さHbを10mm以下にするとよい。
なお、角度θsは、数式4に示すように腹部252の角度θaの影響を受ける。角度θaが小さいほど角度θsが大きくなり、ずらしを伴うめくり操作をし易くなる。反面、把持操作をし難くなる。また、摩擦係数が小さいと、めくり操作をし易くなる反面、把持操作をし難くなる。ヤング率が大きいと、めくり操作をし易くなる反面、把持し難くなる。よって、めくり操作と把持操作を両立させるには、それぞれ中程度の大きさが好ましい。一例として本実施形態の腹部252の角度θaは45度、摩擦係数は0.5、ヤング率は5GPaである。
このように、端面2521は、長手方向において指部22の先端に近づくほど長手方向に直交する高さ方向において接触面2511に近づく傾斜面であることが好ましい。また、腹部252は、爪部251および突出部253よりも摩擦係数が小さいおよび/またはヤング率が大きいことが好ましい。高さHa,Hbは互いに略等しくてもよいし、異なってもよい。端面2521,2531の傾斜角度は互いに略等しくてもよいし、異なってもよい。
<第2実施形態のまとめ>
上記したように、本実施形態のロボットハンド10は、指先端部25に突出部253を備えている。突出部253は、爪部251の裏面2512上に設けられている。爪部251は、突出部253よりも先端側に延びている。このため、爪部251の先端部分を物体100の下に差し入れる下入れ操作をし易い。
図23~図25は、サイズの小さい物体100の操作の一例を示している。図23は、下入れ動作を示す図である。図24は、ずらしを伴うめくり動作を示す図である。図25は、把持動作を示す図である。本実施形態では、突出部253が存在することで、存在しない構成に較べて上記した角度θsが大きい。角度θsが大きいため、図23および図24に示すように、たとえば突出部253の端部2533を支点に指先端部25が回転することで、物体100をずらしつつめくり上げることができる。具体的には、物体100の端部のひとつが腹部252の端面2521に沿って上方にずれ、物体100がめくり上がる。そして、図25に示すように、第1指部221の腹部252の端面2521と、第2指部222の腹部252の上面2522とで物体100を把持する。
このように、爪部251上に突出部253が存在することで、存在しない構成に較べて上記した角度θsを大きくすることができる。角度θsが大きいため、ずらしを伴うめくり操作をし易い。物体100のサイズが小さくても、ずらしを伴うめくり操作をし易い。めくり操作と把持操作を両立できるため、操作性を向上できるロボットハンド10を提供することができる。もちろん、物体100のサイズが大きくても、角度θsを大きくすることができるので、操作性を向上することができる。
突出部253の端部2533および爪部251の端部2514を結ぶ仮想線ILと、爪部251の裏面2512とのなす角度θbは、特に限定されない。好ましくは、角度θbを30度以上にするとよい。角度θbを30度以上にすると、上記したように角度θsを大きくすることができる。これにより、ずらしを伴うめくり操作をさらにし易くすることができる。第3関節233の回転量を大きくしなくても、つまり角度θ3を大きくしなくても、めくり操作をすることができる。好ましくは角度θbを60度以下にするとよい。角度θbを60度以下にすると、下入れ操作をしやすくできる。
爪部251、腹部252,および突出部253の摩擦係数、ヤング率は特に限定されない。好ましくは、爪部251および突出部253を、腹部252よりも摩擦係数が小さいおよび/またはヤング率が大きい構成とするとよい。これにより、下入れ操作をし易くなる。また、めくり操作と把持操作を両立することができる。
腹部252の角度θaは特に限定されない。たとえば角度θaを90度程度としてもよい。90度としても、腹部252の表面の摩擦係数が小さく、第3関節233の回転量が大きければ、ずらしを伴うめくり操作が可能である。好ましくは、角度θaを鋭角にするとよい。つまり端面2521を、長手方向において指部22の先端に近づくほど、高さ方向において接触面2511に近づく傾斜を備えた面にするとよい。これによれば、角度θsが大きくなる。よって、めくり操作をし易くすることができる。
本実施形態に記載の構成は、めくり操作に好適である。使用態様は、先行実施形態に記載の一連の操作に限定されない。物体100のサイズによらず、角度θsを大きくすることができるので、操作性を向上することができる。特に小物体に好適である。
<変形例>
図26に示すように、腹部252の端面2521に、外に凸のRを付けてもよい。これによれば、平面に較べてずらしや把持をし易くすることができる。また、突出部253の端面2531に、外に凸のRを付けてもよい。これによれば、ずらしが生じ易くなる。図15では、外に凸のRの例を示したが、これに代えて端面2521に、内に凸のRを付けてもよい。外に凸のほうが、端面2521で物体100を把持しやすい。端面2531に、内に凸のRを付けてもよい。なお、Rを付けた面とは、曲率のついた面(曲面)である。
図27に示すように、爪部251の先端部分に、Rを付けてもよい。これによれば、物体100が柔らかい場合に、爪部251の先端部分(突出部分)が物体100に突き刺さるのを抑制することができる。また、先端部分が突き出し過ぎないようにするとよい。これによっても、爪部251の先端部分が物体100に突き刺さるのを抑制することができる。たとえば、R(曲率半径)を0.5mm、突き出し量を1mm程度にするとよい。
図28に示すように、突出部253の先端側を切り欠いた(排除した)構造としてもよい。図28では、比較のため、図19に示した突出部253を破線で示している。図28に示すように、突出部253は、図19に較べて指部22の先端(端面2513)から離れた位置に配置されている。つまり腹部252は、突出部253よりも指部22の先端に近い位置まで設けられている。高さ方向の平面視において、裏面2512の露出部は、接触面2511の露出部よりも広い。指部22の長手方向において、裏面2512の露出部は、接触面2511の露出部よりも長い。
図28では、腹部252が突出部253よりも指部22の先端に近い位置まで設けられており、裏面2512の露出部が接触面2511の露出部よりも広い。これにより裏面2512の先端側に、空間(スペース)が存在する。したがって、爪部251の先端部分が、小さな隙間に入りやすい。よって、ずらしを生じ易くしつつ、爪部251を物体100の下に差し入れ易くすることができる。
本実施形態に記載の構成は、第1実施形態に記載の構成との組み合わせが可能である。
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、物体100に接触(支持)する腹部252の傾斜角度を一定(固定)とした。また、腹部252の表面の摩擦係数は一定(固定)とした。これに代えて、腹部252の傾斜角度を操作に応じて異ならせてもよい。また、腹部252の表面の摩擦係数を操作に応じて異ならせてもよい。
図29は、めくり要件およびずらし要件が両立する範囲と、角度θa、摩擦係数μとの関係を示している。前提条件として、図11に示した力Fを10N、質量mを0.1kg、長さLを5cmとした。図29に示す実線よりも左側の領域が、つまりハッチングを付した領域が、両要件が成立する範囲である。図29に示すように、腹部252の角度θaが小さいほど、両要件が成立しやすい。また、摩擦係数μが小さいほど、両要件が成立しやすい。このように、ずらしを伴うめくり操作には、角度θa、摩擦係数μが小さいほうが好ましい。一方、把持操作には、角度θa、摩擦係数μが大きい方が好ましい。好ましい角度θa、摩擦係数μは、めくり操作と把持操作とでトレードオフの関係にある。
図30は、本実施形態に係るロボットハンド10を示す図である。ロボットハンド10のうち、指先端部25と制御部40を示している。指先端部25の腹部252は、ピエゾアクチュエータ2523を備えている。制御部40は、ピエゾアクチュエータ2523を駆動する駆動回路43を備えている。駆動回路43は、制御回路41からの指示に従ってピエゾアクチュエータへの通電を切り替える。通電の切り替えにより、ピエゾアクチュエータ2523は駆動、つまり伸縮する。
図31は、腹部252の伸縮を示している。図31では、ピエゾアクチュエータ2523の図示を省略している。ピエゾアクチュエータ2523は、たとえば通電により伸び、通電を遮断することで縮む。ピエゾアクチュエータ2523が伸びることで、腹部252が伸びる(拡張する)。これにより、角度θaは大きくなる。一方、ピエゾアクチュエータ2523が縮むことで、腹部252が縮む。これにより、角度θaは小さくなる。
制御回路41は、ずらしを伴うめくり操作において角度θaが小さくなり、把持操作において角度θaが大きくなるように、駆動回路43を介してピエゾアクチュエータ2523の駆動を制御する。
<第3実施形態のまとめ>
本実施形態では、ピエゾアクチュエータ2523を備えることにより、腹部252が角度θa(傾斜角度)を調整可能である。制御部40は、めくり操作をするときの角度θaが把持操作をするときの角度θaよりも小さくなるように、角度θaを制御する。めくり要件およびずらし要件を満たすように、角度θaはめくり操作時に小さくなる。よって、めくり操作と把持操作のいずれについてもさらに操作性を向上することができる。
<変形例>
腹部252の角度θaを調整可能な構成は、上記した例に限定されない。たとえば腹部252が、磁性エラストマを備えてもよい。磁性エラストマは、シリコンゲルやゴムなどの柔軟素材に、微小な強磁性粒子を含有させたものである。図示しない駆動回路は、制御回路41からの指示に従って腹部252(磁性エラストマ)への外部磁場の印加を切り替える。
外部磁場を印加すると、図32に示すようにばね定数k(弾性率)が大きくなり、角度θaが大きくなる。外部磁場を遮断すると、ばね定数kが小さくなり、角度θaが小さくなる。制御部40は、操作に応じてばね定数k、ひいては角度θaが切り替わるように制御する。制御部40は、めくり操作をするときの角度θaが把持操作をするときの角度θaよりも小さくなるように、角度θaを制御する。よって、めくり操作と把持操作のいずれについてもさらに操作性を向上することができる。
操作に応じて角度θaを切り替える例を示したが、これに限定されない。腹部252の表面の摩擦係数を切り替えてもよい。腹部252は、たとえば表面に複合シートを備える。図示しない駆動回路は、制御回路41からの指示に従って複合シートに印加する外力を切り替える。
外力を印加しないと、複合シートの繊維が延びた状態となり、図33の左側に示すように腹部の252の表面は平坦となる。つまり、摩擦係数μが大きくなる。外力を所定方向から印加して複合シートを圧縮すると、複合シートを構成する一部の繊維が押されて部分的に突出し、図33の右側に示すように複数の微細突起が形成される。これにより、摩擦係数μが小さくなる。制御部40は、めくり操作をするときの摩擦係数μが把持操作をするときの摩擦係数μよりも小さくなるように、摩擦係数μを制御する。めくり要件およびずらし要件を満たすように、摩擦係数μはめくり操作時に小さくなる。よって、めくり操作と把持操作のいずれについてもさらに操作性を向上することができる。
本実施形態に記載の構成は、第2実施形態に記載の構成との組み合わせが可能である。
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、ずれは生じたか否かを判定した。これに代えて、ずれの判定とともに、ずれの発生タイミングを取得して摩擦係数を推定し、フィードバック制御するようにしてもよい。
図34は、本実施形態に係るロボットハンド10において、制御回路41が実行するめくり処理を示すフローチャートである。図34は、ステップS39を備える点で図10とは異なっている。制御回路41は、ステップS36でNO判定の場合に、ステップS39の処理を実行する。図34では、一例としてステップS38の後にステップS39を実行するが、ステップS38の前に実行してもよい。
上記したように、指先端部25の支持位置、つまり物体100の被支持位置のずれ(ずらし)については、たとえばカメラ、モータエンコーダ、関節エンコーダ、触覚センサなどのずれ検知手段によって検出が可能である。ステップS39において、制御回路41は、ずれの検知手段からずれ発生タイミングを取得し、物体100の摩擦係数μを推定する。ずれ発生タイミングとは、たとえばずれが生じたときの角度θである。図13に示した関係に基づいて、制御回路41は、角度θから摩擦係数μを推定する。
制御回路41は、推定した摩擦係数に基づいて、ステップS33の処理を実行する。つまり、摩擦係数に基づくフィードバック制御を実行する。具体的には、想定範囲よりも摩擦係数が大きい場合に、制御回路41はトルクT1を増加させて設定する。想定範囲よりも摩擦係数が小さい場合に、制御回路41はトルクT1を減少させて設定する。
<第4実施形態のまとめ>
本実施形態では、制御部40(制御回路41)が、ずれの発生タイミングに基づいて物体100の摩擦係数を推定する。そして、制御回路41は、推定した摩擦係数に基づいてトルクをフィードバック制御する。
想定範囲よりも摩擦係数が大きい場合、つまり物体100が滑りにくい場合、制御回路41はトルクT1を増加させる。これにより、めくり要件およびずらし要件が成立する範囲が広がる。よって、めくりを伴うずらし操作を、より確実に行うことができる。
想定範囲よりも摩擦係数が小さい場合、つまり物体100が滑り易い場合、制御回路41はトルクT1を減少(低減)させる。これにより、無駄な出力を抑制し、物体100やハンド部20が予期せず動いたり変形したりするリスクを低減することができる。よって、めくりを伴うずらし操作を、より確実に行うことができる。
<変形例>
制御回路41は、推定した摩擦係数をメモリに格納しておき、次の物体100を操作する際に、メモリに格納された摩擦係数に基づいてステップS33の処理を実行し、トルクT1を設定してもよい。これに代えて、制御回路41は、推定した摩擦係数に基づいて設定したトルクT1をメモリに格納しておき、次の物体100を操作する際に、メモリに格納された値をトルクT1として設定してもよい。
制御回路41は、摩擦係数に基づいて第2指部222の角度を制御してもよい。第2指部222の角度とは、物体100側において指先端部25を含む第2指部222と台座110の表面とのなす角度である。想定範囲よりも摩擦係数が大きい場合、物体100が滑りにくいため、物体100をより高い位置まで持ち上げる必要がある。制御回路41は、指先端部25の角度が大きくなるように、第2指部222の駆動を制御する。これにより、高い位置までめくり上げる物体100に対して、第2指部222が物体100に対する壁/ストッパとして機能する。よって、物体100のめくり過ぎを防止し、めくりを伴うずらし操作をより確実に行うことができる。
想定範囲よりも摩擦係数が小さい場合、ずらしを生じさせるための高さは低くなる。制御回路41は、指先端部25の角度が小さくなるように、第2指部222の駆動を制御する。ずらしを生じ易いため、第1指部221の指先端部25の角度ψも小さくてよい。制御回路41は、指先端部25の角度ψが小さくなるように、第3関節233の駆動を制御してもよい。制御回路41は、めくり操作中に第2指部222の角度を変更してもよいし、次の物体100を操作するときに摩擦係数を反映してもよい。
制御回路41は、摩擦係数に基づいて、第3実施形態に示した指先端部25の特性を制御してもよい。想定範囲よりも摩擦係数が大きい場合、制御回路41は指先端部25の角度θaを小さくするように制御する。想定範囲よりも摩擦係数が小さい場合、制御回路41は指先端部25の角度θaを大きくするように制御する。これにより、めくりを伴うずらし操作を、より確実に行うことができる。なお、角度θaを大きくすると、把持操作を確実に行うことができる。
想定範囲よりも摩擦係数が大きい場合、制御回路41は指先端部25の腹部表面の摩擦係数が比較的小さくなるように制御する。これにより、ずらしが生じ易くなり、めくりを伴うずらし操作をより確実に行うことができる。想定範囲よりも摩擦係数が小さい場合、制御回路41は指先端部25の腹部表面の摩擦係数が比較的大きくなるように制御する。これにより、めくりを含むずらしが安定化し、めくりを伴うずらし操作をより確実に行うことができる。なお、腹部表面の摩擦係数を大きくすると、把持操作を確実に行うことができる。
制御回路41は、めくり操作において推定した摩擦係数をメモリに格納し、めくり操作に続く把持操作をする際に、メモリに格納された摩擦係数に基づいてステップS40の処理を実行してもよい。
本実施形態に記載の構成は、第1実施形態に記載の構成、第2実施形態に記載の構成、第3実施形態に記載の構成との組み合わせが可能である。
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
空間的に相対的な用語「内」、「外」、「裏」、「下」、「低」、「上」、「高」などは、図示されているような、ひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係を説明する記載を容易にするためにここでは利用されている。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用または操作中の装置の異なる向きを包含することを意図することができる。例えば、図中の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の「下」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、用語「下」は、上と下の両方の向きを包含することができる。この装置は、他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、この明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
<技術的思想1>
基部(21)と、
前記基部に支持された指部(22)と、
を備え、
前記指部は、複数の関節(231,232、233)と、前記指部の長手方向において前記基部からもっとも離れた前記関節よりも先端側に設けられた指先端部(25)と、を有し、
前記指先端部は、物体(100)の下に差し入れる爪部(251)と、前記爪部における前記物体との接触面とは反対の面である裏面上に設けられた突出部(253)と、を含み、
前記爪部は、前記基部に対して前記突出部よりも離れた位置まで延びている、ロボットハンド。
<技術的思想2>
前記突出部は、指先側の端面(2531)と、前記端面に連なり、前記裏面に対向する面とは反対の面である上面(2532)と、を有する、技術的思想1に記載のロボットハンド。
<技術的思想3>
前記突出部の前記上面における前記端面側の端部および前記裏面における指先側の端部を結ぶ仮想線と、前記裏面とのなす角度が30度以上である、技術的思想2に記載のロボットハンド。
<技術的思想4>
前記突出部の前記上面における前記端面側の端部および前記裏面における指先側の端部を結ぶ仮想線と、前記裏面とのなす角度が60度以下である、技術的思想2または技術的思想3に記載のロボットハンド。
<技術的思想5>
前記指先端部は、前記接触面上に設けられた腹部(252)を含み、
前記爪部は、前記基部に対して前記腹部よりも離れた位置まで延びている、技術的思想1~5いずれか1つに記載のロボットハンド。
<技術的思想6>
前記爪部および前記突出部は、前記腹部よりも摩擦係数が小さいおよび/またはヤング率が大きい、技術的思想5に記載のロボットハンド。
<技術的思想7>
前記腹部は、前記突出部よりも前記指部の先端に近い位置まで設けられている、技術的思想5または技術的思想6に記載のロボットハンド。
<技術的思想8>
前記腹部は、指先側の端面(2521)と、前記端面に連なり、前記接触面に対向する面とは反対の面(2522)と、を有し、
前記腹部の前記端面は、前記長手方向において前記指部の先端に近づくほど前記長手方向に直交する高さ方向において前記接触面に近づく傾斜面である、技術的思想5~7いずれか1つに記載のロボットハンド。
<技術的思想9>
前記腹部は、前記爪部に対する前記端面の傾斜角度を調整可能であり、
めくり要件およびずらし要件を満たすことで、前記物体をめくるときの前記傾斜角度が前記物体を把持するときの前記傾斜角度よりも小さくなるように、前記腹部の前記傾斜角度を制御する制御部(40)をさらに備える、技術的思想8に記載のロボットハンド。
<技術的思想10>
前記腹部は、表面の摩擦係数を調整可能であり、
めくり要件およびずらし要件を満たすことで、前記物体をめくるときの摩擦係数が前記物体を把持するときの摩擦係数よりも小さくなるように、前記腹部の摩擦係数を制御する制御部(40)をさらに備える、技術的思想8に記載のロボットハンド。
10…ロボットハンド、20…ハンド部、21…基部、22…指部、221…第1指部、222…第2指部、223…第3指部、23…関節、231…第1関節、232…第2関節、233…第3関節、24…リンク、241…第1リンク、242…第2リンク、25…指先端部、251…爪部、2511…接触面、2512…裏面、2513…端面、2514…端部、252…腹部、2521…端面、2522…上面、2523…ピエゾアクチュエータ、253…突出部、2531…端面、2532…上面、2533…端部、30…駆動部、301…第1駆動部、302…第2駆動部、31,311,312…モータ、32,321,322…減速機、33,331,332…ワイヤ、40…制御部、41…制御回路、411…プロセッサ、412…メモリ、42,43…駆動回路、100…物体、101…支点、102…作用点、110…台座

Claims (10)

  1. 基部(21)と、
    前記基部に支持された指部(22)と、
    を備え、
    前記指部は、複数の関節(231,232、233)と、前記指部の長手方向において前記基部からもっとも離れた前記関節よりも先端側に設けられた指先端部(25)と、を有し、
    前記指先端部は、物体(100)の下に差し入れる爪部(251)と、前記爪部における前記物体との接触面とは反対の面である裏面上に設けられた突出部(253)と、を含み、
    前記爪部は、前記基部に対して前記突出部よりも離れた位置まで延びている、ロボットハンド。
  2. 前記突出部は、指先側の端面(2531)と、前記端面に連なり、前記裏面に対向する面とは反対の面である上面(2532)と、を有する、請求項1に記載のロボットハンド。
  3. 前記突出部の前記上面における前記端面側の端部および前記裏面における指先側の端部を結ぶ仮想線と、前記裏面とのなす角度が30度以上である、請求項2に記載のロボットハンド。
  4. 前記突出部の前記上面における前記端面側の端部および前記裏面における指先側の端部を結ぶ仮想線と、前記裏面とのなす角度が60度以下である、請求項2または請求項3に記載のロボットハンド。
  5. 前記指先端部は、前記接触面上に設けられた腹部(252)を含み、
    前記爪部は、前記基部に対して前記腹部よりも離れた位置まで延びている、請求項1に記載のロボットハンド。
  6. 前記爪部および前記突出部は、前記腹部よりも摩擦係数が小さいおよび/またはヤング率が大きい、請求項5に記載のロボットハンド。
  7. 前記腹部は、前記突出部よりも前記指部の先端に近い位置まで設けられている、請求項5に記載のロボットハンド。
  8. 前記腹部は、指先側の端面(2521)と、前記端面に連なり、前記接触面に対向する面とは反対の面(2522)と、を有し、
    前記端面は、前記長手方向において前記指部の先端に近づくほど前記長手方向に直交する高さ方向において前記接触面に近づく傾斜面である、請求項5~7いずれか1項に記載のロボットハンド。
  9. 前記腹部は、前記爪部に対する前記端面の傾斜角度を調整可能であり、
    めくり要件およびずらし要件を満たすことで、前記物体をめくるときの前記傾斜角度が前記物体を把持するときの前記傾斜角度よりも小さくなるように、前記腹部の前記傾斜角度を制御する制御部(40)をさらに備える、請求項8に記載のロボットハンド。
  10. 前記腹部は、表面の摩擦係数を調整可能であり、
    めくり要件およびずらし要件を満たすことで、前記物体をめくるときの摩擦係数が前記物体を把持するときの摩擦係数よりも小さくなるように、前記腹部の摩擦係数を制御する制御部(40)をさらに備える、請求項8に記載のロボットハンド。
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