JP2023182376A - プラスチックフィルム印刷物の製造方法および筒状プラスチックフィルム - Google Patents

プラスチックフィルム印刷物の製造方法および筒状プラスチックフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】筒状プラスチックフィルムの表面に微滴化されたインキを直接吹き付けて印刷する方法により印刷する際においてフィルムとインクヘッドとの擦れが起こりにくく、且つ鮮明な印刷が可能なプラスチックフィルム印刷物の製造方法を提供する。【解決手段】プラスチックフィルム印刷物の製造方法は、筒状プラスチックフィルム1の内面1a同士がブロッキングした状態で、インクジェット印刷により筒状プラスチックフィルム1の外面1b上にインキを塗布して印刷層を形成する印刷工程を少なくとも備える。【選択図】図1

Description

本発明は、グラビア印刷やオフセット印刷のように版下を作製する必要がなく、例えば、プラスチックフィルムに、微滴化されたインキを直接吹き付けて印刷するインクジェット印刷方法に関する。また、本発明は、上記インクジェット印刷方法に好ましく使用できる筒状プラスチックフィルムを提供する。
従来、プラスチックフィルム、詳しくは多層プラスチックフィルムへの印刷では、グラビア印刷が主流であった。これに対し、高精細で解像度の高い印刷ができるインクジェット印刷がフィルム業界に2007年ころから取り入れられてきている。インクジェット印刷はグラビア印刷と異なって版下を作製する必要がないことから、製造コストが安いという特徴がある。また、インクジェット方式で微滴化されたインキを直接吹き付けて印刷することで、鮮やかで綺麗な印刷が可能である。さらに、多品種小ロットで印刷でき、例えば、季節ごとに絵柄を変えた包装体を提供することも可能である。
インクジェット印刷では、鮮明な印刷をするためにはフィルムとインクヘッドとの距離をできるだけ近接させることが重要である。このようなインクジェット印刷において、従来ではフラットフィルムに印刷することが多いが、筒状(チューブ状)のフィルムに印刷する場合、内面のエアーだまりなどに起因して筒状フィルムが膨らみ、フィルムとインクヘッドとの擦れが発生し、印刷不良が問題となる場合がある。従来のグラビア印刷では、版胴にフィルムを押し付けて印刷するので、フィルムに多少のエアーだまりがあってもインクヘッドとの擦れは問題にならなかった。しかし、インクジェット印刷ではフィルムをガイドロールのみで搬送して印刷を連続的に行うため、フィルムのエアーだまりなどが発生した場合、インクヘッドとの擦れを抑えてくれる機構がない。
フィルムとインクヘッドとの擦れを解消するためには、通常、フィルムとインクヘッドとの距離を長く設定することが考えられる。例えば特許文献1には、フィルムとインクジェットヘッドのインク吐出口との距離を長くしても安定した吐出ができる印刷物の製造方法が開示されている。
特開2020-62784号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、インクヘッドのインク吐出口から吐出されたインクがフィルム表面に着弾するまでの距離が長くなるため、上述のように、印刷が不鮮明になったり、スジが発生したりしやすい。このため、フィルムとインクヘッドとの擦れが起こりにくく、且つ鮮明な印刷が可能な印刷方法が求められる。
従って、本発明の目的は、筒状プラスチックフィルムの表面に微滴化されたインキを直接吹き付けて印刷する方法により印刷する際においてフィルムとインクヘッドとの擦れが起こりにくく、且つ鮮明な印刷が可能なプラスチックフィルム印刷物の製造方法を提供する。さらに上記プラスチックフィルム印刷物の製造に適する筒状プラスチックフィルムを提供する。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、筒状プラスチックフィルムの内面同士をブロッキングした状態で印刷することにより、筒状プラスチックフィルムの表面にインクジェット印刷方法により印刷する際においてフィルムとインクヘッドとの擦れが起こりにくく、且つ鮮明な印刷が可能であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、筒状プラスチックフィルムの内面同士がブロッキングした状態で、インクジェット印刷により上記筒状プラスチックフィルムの外面上にインキを塗布して印刷層を形成する印刷工程を備える、プラスチックフィルム印刷物の製造方法を提供する。
上記ブロッキングした状態における上記内面同士の剥離強度は20~50Nであることが好ましい。
上記筒状プラスチックフィルムのTD方向両端において内面同士が接着していることが好ましい。
上記筒状プラスチックフィルムのTD方向内部において内面同士が接着していることが好ましい。
上記筒状プラスチックフィルムにおいて内面同士が接着している領域はMD方向に延びていることが好ましい。
上記製造方法は、共押出インフレーション法により上記筒状プラスチックフィルムを成形する成形工程を備えていてもよい。
上記製造方法は、上記印刷工程の後、上記筒状プラスチックフィルムにおける上記ブロッキングを解消して内面同士を剥離させる内面剥離工程を備えていてもよい。
また、本発明は、内面同士がブロッキングした筒状プラスチックフィルムであり、上記筒状プラスチックフィルムの内面を提供する層はアンチブロッキング剤を含有し、上記層中の上記アンチブロッキング剤の含有割合は0.1~1.4質量%であり、上記層の密度は0.905~0.930g/cm3である、インクジェット印刷用筒状プラスチックフィルムを提供する。上記ブロッキングした状態における上記内面同士の剥離強度は20~50Nであることが好ましい。
本発明の筒状プラスチック印刷物の製造方法によれば、筒状プラスチックフィルムの表面にインクジェット印刷方法により印刷する際においてフィルムとインクヘッドとの擦れが起こりにくい。また、擦れが起こりにくく、フィルムとインクヘッドとの距離を短くすることができるため、筒状プラスチックフィルムの外面上に鮮明に印刷することができる。
印刷工程において筒状プラスチックフィルムの内面同士がブロッキングしている状態のTD方向断面図を示す。 印刷工程において筒状プラスチックフィルムの内面同士がブロッキングしていない状態のTD方向断面図を示す。 印刷工程における筒状プラスチックフィルムの一実施形態の上面図を示す。 実施例において行った内層同士の剥離強度の測定方法を説明するための概略断面図を示す。 実施例において行ったエアーだまりの評価方法を説明するための概略断面図を示す。
本発明の筒状プラスチックフィルム印刷物の製造方法は、筒状プラスチックフィルムの内面同士がブロッキングした状態で、インクジェット印刷により上記筒状プラスチックフィルムの外面上にインキを塗布して印刷層を形成する印刷工程を少なくとも備える。
(印刷工程)
上記印刷工程では、筒状プラスチックフィルムの内面同士がブロッキングした状態で、筒の開口面がMD方向となるように筒状プラスチックフィルムを搬送しながら、インクジェット印刷により筒状プラスチックフィルム外面上に連続的に印刷を行う。図1に、内面同士がブロッキングしている状態の筒状プラスチックフィルムのTD方向断面図、および、筒状プラスチックフィルムとインクヘッドとの位置関係を示す。図1に示すように、筒状プラスチックフィルム1は印刷時において内面1a同士がブロッキングしている。これにより、筒状プラスチックフィルム1の内部にエアーだまりが生じにくく、筒状プラスチックフィルム1の外面1b上に印刷する際において、インクヘッド2との距離が短い場合であっても擦れが発生しにくい。一方、図2に示すように、筒状プラスチックフィルム1において内面1a同士がブロッキングしていない場合、筒状プラスチックフィルム1内にエアーだまりが生じており、筒状プラスチックフィルム1とインクヘッド2と擦れが生じている。
上記ブロッキングした状態における上記内面同士の剥離強度は、20N以上であることが好ましく、より好ましくは30N以上である。上記剥離強度が20N以上であると、印刷時のブロッキングが充分維持される。上記剥離強度は、後述の内面剥離工程において筒状プラスチックフィルムにおけるブロッキングを解消して内面同士を剥離させる際に容易に剥離できる観点から、50N以下が好ましく、より好ましくは40N以下である。上記剥離強度は、剥離角度180°、常温、剥離速度300mm/min、サンプル測定面積50mm×100mmの条件で測定される値である。
上記ブロッキングとは、内面同士が密着していながら、界面剥離により容易に剥離可能であることをいうものとする。なお、意図的に剥離しなくても、例えば接触するのみで剥離する程度の密着力で密着している場合はブロッキングしていないものとする。具体的には例えば内面同士の剥離強度は15N以下である。これに対し、後述の「接着」とは、内面同士が接着しており、剥離に凝集破壊を伴うなど容易に剥離できないことをいうものとする。上記ブロッキングは、筒状プラスチックフィルムの成形時において形成されたものであってもよいし、搬送ロール等による押圧で形成されたものであってもよい。また、上記ブロッキングは、少なくとも一部に形成されていればよく、筒状プラスチックフィルムの内面において全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。中でも、インクヘッドからのインク塗布時においてTD方向全域に対して50%以上(好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上)形成されていることが好ましい。50%以上の場合、内面にエアーがよりたまりにくくなり印刷時にインクヘッドに擦れる可能性がよりいっそう低くなる。50%未満の場合、内面にエアーがたまりやすくなり印刷時にインクヘッドに擦れる可能性が高くなる。
上記筒状プラスチックフィルムは、TD方向両端において内面同士が接着していることが好ましく、TD方向両端においてMD方向に延びるように(連続的に)接着していることがより好ましい。筒状プラスチックのTD方向両端は内部のエアーだまりが発生しやすいところ、両端の内面同士が接着していることで、両端におけるこのような問題の発生をよりいっそう抑制することができる。上記接着は、公知乃至慣用の方法で行うことができ、ヒートシール、ホットメルトなどが挙げられる。中でも、両端の内面同士のみを選択的に接着させることができる観点から、ヒートシールが好ましい。また、ヒートシール部分は、上記筒状プラスチックフィルムを切断して得られる袋体の端部とすることができる。
上記筒状プラスチックフィルムは、TD方向内部において内面同士が接着していることが好ましく、TD方向中央部において内面同士が接着していることがより好ましい。また、TD方向内部(特に、TD方向中央部)においてMD方向に延びるように(連続的に)接着していることがより好ましい。TD方向内部の内面同士が接着していることで、TD方向内部におけるエアーだまりの問題の発生をよりいっそう抑制することができる。上記接着は、公知乃至慣用の方法で行うことができ、ヒートシール、ホットメルトなどが挙げられる。中でも、フィルムの内面同士を選択的に接着させることができる観点から、ヒートシールが好ましい。また、ヒートシール部分は、上記筒状プラスチックフィルムを切断して得られる袋体の端部とすることができる。上記TD方向内部における接着部分は、一箇所のみであってもよいし、二箇所以上であってもよく、各箇所においてMD方向に延びるように接着していることが好ましい。接着箇所が多いほどインクヘッドとの擦れが起こりにくいが、接着箇所は得られる袋体に応じて形成することが好ましい。
生産効率の点からも、TD方向に内面同士が接着している部分があることが好ましい。筒状プラスチックフィルムでは、内面同士の接着部分がない場合はMD方向に1列でしか印刷ができないが、MD方向に連続した接着部分が両端を除いてTD方向に複数ある場合、とりわけ、2か所以上の接着部分がある場合は、一度に複数列の印刷ができ、生産効率があがる。
図3に、印刷工程における筒状プラスチックフィルムの上面図を示す。筒状プラスチックフィルム1は開口面がMD方向となるようにMD方向に搬送されている。筒状プラスチックフィルム1において、TD方向の両端11および12はMD方向に延びるようにヒートシールが施されてヒートシール部14が形成され、ヒートシール部14において内面同士が接着している。また、筒状プラスチックフィルム1において、TD方向の中央部13はMD方向に延びるようにヒートシール部14が形成され、ヒートシール部14において内面同士が接着している。図3に示す態様では、TD方向端部11,12、および中央部13がヒートシール部14であり、MD方向に連続した接着部分が、両端を除いてTD方向に1箇所(中央部13)存在する。このため、TD方向端部11および中央部13間の非接着領域15a、および、TD方向端部12および中央部13間の非接着領域15bの2列でそれぞれ同一または異なったデザインの印刷を行うことができ、1列のみの印刷を行う場合に比べて生産効率が高い。
上記筒状プラスチックフィルムとインクヘッドとの最短距離は、特に限定されないが、2mm以下が好ましく、より好ましくは2mm未満である。上記最短距離が小さいほど印刷がより鮮明となる。また、本発明の製造方法によれば、インクヘッドとの擦れが生じにくいため、上記最短距離を従来よりも小さくして印刷することができる。その他、上記印刷工程における搬送速度等の印刷条件は特に限定されない。
上記印刷工程における被印刷物である筒状プラスチックフィルムは、筒状であればよく、例えば、筒状体の周方向にフィルムの貼り合わせ部や継ぎ手等の接続部を有しないシームレスの筒状フィルム、複数のフラットフィルムの端部同士が貼り合わせられた筒状フィルム、一枚のフラットフィルムの両端同士が貼り合わせられた筒状フィルムなどが挙げられる。中でも、シームレスの筒状フィルムが好ましい。上記シームレスの筒状フィルムとしては、インフレーション法等の樹脂溶融押出法により筒状に成形された筒状フィルムが挙げられる。中でも、インフレーション法により筒状に成形された筒状フィルム(インフレーションフィルム)が好ましく、さらには、内面がブロッキングしやすい観点から、水冷法で製造されたインフレーションフィルム(水冷インフレーションフィルム)が特に好ましい。
上記筒状プラスチックフィルムは、単層であってもよく、複層であってもよい。単層で構成される上記筒状プラスチックフィルムは上記単層が筒状プラスチックフィルムの内面と外面とを提供する。複層で構成される上記筒状プラスチックフィルムは内層と外層とを少なくとも備え、上記外層が上記外面を提供し、上記内層が上記内面を提供する。上記筒状プラスチックフィルムが複層である場合、上記筒状プラスチックフィルムは共押出法(特に、共押出インフレーション法)により成形された筒状プラスチックフィルムであることが好ましい。
上記筒状プラスチックフィルムの構成は、多層フィルムを構成する層の数、層を構成する樹脂の種類、および相互の厚み関係等のいずれにも原理的には関係ない。上記筒状プラスチックフィルムは、シーラント層(内層)、中間層、外層がこの順で積層された、少なくとも3層を有するものが好ましい。上記外層はポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリスチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。上記ポリアミドとしては、例えば、6-ナイロン、66-ナイロン、6-66ナイロン、12-ナイロン、6-12ナイロン、アモルファスナイロンなどが挙げられる。上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。上記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
上記筒状プラスチックフィルムの内面を提供する層(筒状プラスチックフィルムが複層である場合は上記内層)はポリオレフィンを含むことが好ましい。上記ポリオレフィンとしては、ポリエチレンが好ましく、より好ましくは直鎖上低密度ポリエチレン(LLDPE)である。上記内層中のポリオレフィンの含有割合は、80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。上記各層を構成する樹脂の種類は、それぞれ、一種のみであってもよいし、二種以上であってもよい。
上記内面を提供する層の密度は、特に限定されないが、0.895~0.940g/cm3が好ましく、より好ましくは0.905~0.930g/cm3である。上記層の密度が上記範囲内であると、内面同士のブロッキングがより適度に生じやすい。
上記内面を提供する層は、アンチブロッキング剤を含むことが好ましい。アンチブロッキング剤を含むと、印刷工程後において内面同士を剥離させやすい。上記アンチブロッキング剤は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記アンチブロッキング剤としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、フィルムに用いられる公知乃至慣用のものが使用でき、例えば、シリカ、ゼオライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、カオリン等の粘土化合物粒子やガラス等の無機粒子;PMMA等のアクリル系樹脂、超高分子量PE等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、これらの樹脂を構成する単量体の共重合体等の有機粒子などが挙げられる。
上記アンチブロッキング剤の量は、内面を提供する層を構成する成分に応じて適宜調整される。例えば、上記内面を提供する層が樹脂層である場合、樹脂の種類により適宜調整される。上記内面を提供する層中のアンチブロッキング剤の含有割合は、上記層の総量に対して、例えば0.1~1.4質量%である。上記含有割合が0.1質量%以上であると、印刷工程後において内面同士をより容易に剥離することができる。上記含有割合が1.4質量%以下であると、印刷工程中において上記ブロッキングをより充分に維持することができる。
上記筒状プラスチックの内面を提供する層が樹脂層である場合、上記樹脂層は、樹脂およびアンチブロッキング剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤(スリップ剤)、難燃化剤、充填剤、着色剤などが挙げられる。上記滑剤を含むと、上記ブロッキングを解消した後において再ブロッキングを抑制することができる。上記その他の成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記筒状プラスチックフィルムの内面をブロッキングさせる方法は、アンチブロッキング剤やその他の添加剤の添加や添加量の調整のみには限定されない。上記ブロッキングの程度は、例えば、フィルム総厚さや、フィルムのコシなど様々な要因に起因する。また、一枚のフラットフィルムの両端同士が貼り合わせられた筒状フィルムは、両端同士の貼り合わせと共にフィルムに圧力をかけて内面同士のブロッキングを形成してもよい。内面同士がブロッキングしていない筒状フィルムやブロッキングが比較的弱い筒状フィルムについては、適宜フィルムに圧力や熱をかけて内面同士の適度なブロッキングを形成してもよい。
上記筒状プラスチックフィルムの総厚さ(外面から内面までの距離)は、袋体に充填する液体の質量、耐衝撃性、コストに応じて適宜調整でき、例えば20~200μm、好ましくは40~100μmである。
上記筒状プラスチックフィルムは無延伸フィルムであることが好ましい。なお、本明細書において、「無延伸フィルム」とは、製造過程において意図的に延伸させたものではないフィルムをいい、ロールトゥロールによる搬送や巻き取り等により結果としてわずかに延伸されたもの(例えば、延伸倍率1.05倍以下)は含まれる。
上記製造方法は、上記印刷工程以外のその他の工程を備えていてもよい。上記その他の工程としては、樹脂組成物から筒状プラスチックフィルムを成形する工程(成形工程)、上記印刷工程の後、上記筒状プラスチックフィルムにおける上記ブロッキングを解消して内面同士を剥離させる工程(内面剥離工程)などが挙げられる。
(成形工程)
上記成形工程における成形方法としては、公知乃至慣用の成形方法を挙げることができる。中でも、樹脂溶融押出法が好ましく、より好ましくはインフレーション法、さらに好ましくは水冷インフレーション法である。これらの方法によれば、内面同士がブロッキングしやすいシームレスの筒状プラスチックフィルムを容易に作製することができる。
上記筒状プラスチックフィルムが複層である場合、上記成形工程では、共押出法により筒状プラスチックフィルムを成形することが好ましい。すなわち、上記成形工程では、共押出インフレーション法(特に、共押出水冷インフレーション法)により上記筒状プラスチックフィルムを成形することが好ましい。上記成形工程における加熱温度、冷却温度、巻き取り速度等の成形条件は、筒状プラスチックフィルムの構成により適宜調整されるものであり、特に限定されない。
(内面剥離工程)
上記内面剥離工程では、上記印刷工程において維持されていた内面同士のブロッキングを解消して内面同士を剥離させる。上記剥離は、公知乃至慣用の方法で行うことができ、例えば筒状プラスチックフィルム内部にエアーを吹き込む方法が挙げられる。
また、上記その他の工程として、上記印刷工程を経た筒状プラスチックフィルムについて、内面同士を部分的に接着する工程や切断する工程を備えていてもよい。上記接着および上記切断は、所望の形状に応じてTD方向およびMD方向それぞれについて行うことができる。例えば、上記印刷工程を経た筒状プラスチックフィルムについて、TD方向に接着(例えばヒートシール)し、当該接着部に沿ってTD方向に切断することにより、得られる袋体の底部を形成することができる。また、上記筒状プラスチックフィルムのTD方向内部に、MD方向に沿って接着を施し、当該接着部に沿ってMD方向に切断することにより、得られる袋体の側部を形成することができる。このように、接着工程を適宜組み合わせた切断工程を経ることにより、上記筒状プラスチックフィルムから、底部を有する筒状プラスチックフィルムである個々の袋体を製造することができる。
本発明の筒状プラスチックフィルムの製造方法によれば、筒状プラスチックフィルムの表面にインクジェット印刷方法により印刷する際においてフィルムとインクヘッドとの擦れが起こりにくい。また、擦れが起こりにくく、フィルムとインクヘッドとの距離を短くすることができるため、筒状プラスチックフィルムの外面上に鮮明に印刷することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。表1に、フィルム層厚さ、内層の樹脂の種類および密度、並びにアンチブロッキング剤の配合量を示した。
なお、共押出水冷インフレーション法による共押出の条件は下記の通りである。
<インフレーション法の条件>
・押出設備:共押出水冷インフレーション装置
・押出温度:200℃(直鎖状低密度ポリエチレン)、250℃(6ナイロン)、180℃(無水マレイン酸変性ポリオレフィン)
・冷却水温度:10~60℃
実施例1
外層を構成する原料(外層用原料)として、6ナイロン(6NY)を用いた。
接着層を構成する原料(接着層用原料)として、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂を用いた。
内層を構成する原料(内層用原料)として、直鎖状低密度ポリエチレンに、アンチブロッキング剤(AB剤)としての合成ゼオライト(球状、平均粒子径:7μm)を混合したものを用いた。
上記で準備した各層用原料を用いて、水冷共押出インフレーション法によりチューブ状共押出フィルムを作製した。
上記チューブ状共押出フィルムについて、押しつぶして扁平状とし、TD方向両端部を200℃で加熱して幅8mmの接着領域を形成し、[外層16μm/接着層7μm/内層47μm](総厚さ70μm)の積層構成からなる実施例1の多層共押出サイドシールフィルムを作製した。
実施例2
内層中の合成ゼオライトの配合量を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、[外層16μm/接着層7μm/内層47μm](総厚さ70μm)の積層構成からなる実施例2の多層共押出サイドシールフィルムを作製した。
実施例3
TD方向両端部のみではなく中央部にもMD方向に連続した接着領域を形成したこと以外は実施例1と同様にして、[外層16μm/接着層7μm/内層47μm](総厚さ70μm)の積層構成からなる実施例2の多層共押出サイドシールフィルムを作製した。
実施例4
TD方向両端部を加熱せず接着領域を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、[外層16μm/接着層7μm/内層47μm](総厚さ70μm)の積層構成からなる実施例3の多層共押出チューブフィルムを作製した。
実施例5
厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(以下ONYフィルムという)にドライラミネート接着剤を塗布し、80℃のオーブン中で1分乾燥し、乾燥後の接着剤の塗布量が3.0g/m2になるようにし、これに[外層17μm/接着層5μm/内層28μm](総厚さ50μm)の積層構成からなる多層共押出フィルムを積層してラミネート物を製造した。その後、サイドをシールしてチューブ状にし、[外層17μm/接着層5μm/内層28μm/接着剤/ONYフィルム15μm](総厚さ70μm)の積層構成からなる実施例5の多層共押出チューブフィルムを作製した。
比較例1
内層中の合成ゼオライトの配合量を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、[外層16μm/接着層7μm/内層47μm](総厚さ70μm)の積層構成からなる比較例1の多層共押出サイドシールフィルムを作製した。
比較例2
TD方向両端部を加熱せず接着領域を形成しなかったこと以外は比較例1と同様にして、[外層16μm/接着層7μm/内層47μm](総厚さ70μm)の積層構成からなる比較例1の多層共押出チューブフィルムを作製した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた各フィルム(筒状フィルム)について以下の通り評価した。結果を表1に示す。
(1)内層同士の剥離強度
実施例および比較例で得られた各筒状フィルムから、内面同士が密着している領域が50×100mmとなるように切り取って、2枚のフィルムの内層同士が密着した測定サンプルを得た。図4に示すように、測定長さLが100mmとなるように上記測定サンプルSの端部を剥離し、一端部の剥離した一方のフィルムSaと、他端部の剥離した他方のフィルムSbとを同時に180°の方向(図4に示す矢印の方向)に、剥離速度300mm/minで引っ張った際の抵抗力(剥離強度)を測定した。その結果、比較例の試験サンプルは、剥離強度を測定できたものの、測定開始直後に剥離し、ブロッキングが形成されていなかったと判断された。
(2)エアーだまり
実施例および比較例で得られた長尺状の各筒状フィルムを、図5に示すように、インクヘッド2a~2cおよびガイドロール3a~3dが設置された印刷機に、矢印Dで示す方向に500m搬送した。その際に、筒状フィルム1の内部にエアーだまりが発生するか否かを目視で確認した。内部のエアーだまりは、搬送後すぐには確認されずとも、徐々にエアーがたまっていくため、ある程度長尺で流した後の状態を確認した。また、エアーだまりは通常ガイドロール3aの手前(Pで示す部分)で観察されやすい。そして、エアーだまりが解消されていた場合を◎、エアーだまりが少しあるが印刷に影響がない場合を○、エアーだまりがありインクヘッドに擦れる場合を×として評価した。
Figure 2023182376000002
表1に示す通り、内面にブロッキングが形成された実施例の筒状フィルムを印刷機にて搬送した際にエアーだまりの発生が抑えられており、インクヘッドへの擦れを防止することができると評価された。一方、内面にブロッキングが形成されていないと判断された比較例の筒状フィルムを印刷機にて搬送した際、エアーだまりが発生し、インクヘッドへの擦れが発生した。
以下、本開示に係る発明のバリエーションを記載する。
[付記1]筒状プラスチックフィルムの内面同士がブロッキングした状態で、インクジェット印刷により前記筒状プラスチックフィルムの外面上にインキを塗布して印刷層を形成する印刷工程を備える、プラスチックフィルム印刷物の製造方法。
[付記2]前記ブロッキングした状態における前記内面同士の剥離強度は20~50Nである付記1に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
[付記3]前記筒状プラスチックフィルムのTD方向両端において内面同士が接着している付記1または2に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
[付記4]前記筒状プラスチックフィルムのTD方向内部において内面同士が接着している付記3に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
[付記5]前記筒状プラスチックフィルムにおいて内面同士が接着している領域はMD方向に延びている付記3または4に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
[付記6]共押出インフレーション法により前記筒状プラスチックフィルムを成形する成形工程を備える、付記1~5のいずれか1つに記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
[付記7]前記印刷工程の後、前記筒状プラスチックフィルムにおける前記ブロッキングを解消して内面同士を剥離させる内面剥離工程を備える、付記1~6のいずれか1つに記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
[付記8]内面同士がブロッキングした筒状プラスチックフィルムであり、
前記筒状プラスチックフィルムの内面を提供する層はアンチブロッキング剤を含有し、前記層中の前記アンチブロッキング剤の含有割合は0.1~1.4質量%であり、
前記層の密度は0.905~0.930g/cm3である、インクジェット印刷用筒状プラスチックフィルム。
[付記9]前記ブロッキングした状態における前記内面同士の剥離強度は20~50Nである付記8に記載の筒状プラスチックフィルム。
1 筒状プラスチックフィルム
1a 内面
1b 外面
11,12 TD方向端部
13 TD方向中央部
14 ヒートシール部
15a,b 非接着領域
2,2a,2b,2c インクヘッド
3a,3b,3c,3d ガイドロール

Claims (9)

  1. 筒状プラスチックフィルムの内面同士がブロッキングした状態で、インクジェット印刷により前記筒状プラスチックフィルムの外面上にインキを塗布して印刷層を形成する印刷工程を備える、プラスチックフィルム印刷物の製造方法。
  2. 前記ブロッキングした状態における前記内面同士の剥離強度は20~50Nである請求項1に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
  3. 前記筒状プラスチックフィルムのTD方向両端において内面同士が接着している請求項1または2に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
  4. 前記筒状プラスチックフィルムのTD方向内部において内面同士が接着している請求項3に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
  5. 前記筒状プラスチックフィルムにおいて内面同士が接着している領域はMD方向に延びている請求項3に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
  6. 共押出インフレーション法により前記筒状プラスチックフィルムを成形する成形工程を備える、請求項1または2に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
  7. 前記印刷工程の後、前記筒状プラスチックフィルムにおける前記ブロッキングを解消して内面同士を剥離させる内面剥離工程を備える、請求項1または2に記載のプラスチックフィルム印刷物の製造方法。
  8. 内面同士がブロッキングした筒状プラスチックフィルムであり、
    前記筒状プラスチックフィルムの内面を提供する層はアンチブロッキング剤を含有し、前記層中の前記アンチブロッキング剤の含有割合は0.1~1.4質量%であり、
    前記層の密度は0.905~0.930g/cm3である、インクジェット印刷用筒状プラスチックフィルム。
  9. 前記ブロッキングした状態における前記内面同士の剥離強度は20~50Nである請求項8に記載の筒状プラスチックフィルム。
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