JP2023181808A - イヤフォン、音響制御方法およびプログラム - Google Patents

イヤフォン、音響制御方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】周囲の環境に応じてイヤフォンの密閉または開放状態を適応的に制御する。【解決手段】イヤフォンは、内部に空間を有し、装着者の外耳道側の一端側から周囲環境側の他端側までを通気可能な経路を有するハウジングと、ハウジングの内部に収納され、経路をオープン状態およびクローズ状態のいずれかに切り替え可能なバルブと、ハウジングの一端側に配置され、装着者の発話音声を収音可能なマイクと、オープン状態およびクローズ状態を制御する制御部と、を備える。制御部は、マイクにより装着者の発話音声を収音している動作を含む通話中である第1動作中、経路をオープン状態に切り替え、第1動作中とは異なる状態である第2動作中、経路をオープン状態とクローズ状態のいずれかに切り替える。【選択図】図9

Description

本開示は、イヤフォン、音響制御方法およびプログラムに関する。
特許文献1には、携帯電話のような装置に接続可能なイヤフォンが開示されている。このイヤフォンは、外耳道を実質的に覆って配置されるように成形および構成され、外耳道へ音を発するスピーカ要素を収容したハウジングであって、外耳道側を向いた内端から周辺側を向いた外端まで伸びるチャンネルを有するハウジングと、チャンネルが実質的に閉鎖されている閉鎖状態とチャンネルが周囲からの音を通す開放状態とを切り替え可能な閉鎖手段と、を備える。また、このイヤフォンは、装置が電話動作モードである場合、イヤフォンを自動的に開放状態に切り替え、装置がオーディオプレイヤー動作モードである場合、イヤフォンを自動的に閉鎖状態に切り替える。
特表2009-525629号公報
近年、イヤフォンには、イヤフォン外部の音をなるべく装着者に聴こえにくくするためのノイズキャンセル技術が搭載されているものが多い。また、装着者の発話音声を収音するためのマイクが搭載されたイヤフォンも登場している。これは、例えば昨今、普及しているテレワーク等の際に行われるリモート会議において装着者がイヤフォンを装着した状態で手軽に参加可能とするためであると考えられる。
しかしながら、イヤフォンは依然として外部の音をなるべく遮断するために、装着者の耳を塞ぐ形態を取っているものが多い。このため、上述したリモート会議等でイヤフォンが耳を塞ぐ形態で装着した場合、装着者が自ら発話した時の音声(発話音声)は装着者の耳の外から進入せず、装着者の体内を伝って鼓膜に到達する発話音声が装着者の耳の中で反響する状態となり、装着者にとっては自ら発話した声がモゴモゴとしたような違和感を持ってしまう状態となる。さらに、発話時ではない音楽再生中であっても、装着者がイヤフォンを使用する環境もしくは装着者の嗜好によっては、外音を取り込む状態と逆に外音を遮断する状態とを使い分けることが好ましい場合も考えられ得る。
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、装着者の使用状況に応じて音の聴き取り易さを適応的に調整し、装着者の違和感を抑制することを目的とする。
本開示は、内部に空間を有し、装着者の外耳道側の一端側から周囲環境側の他端側までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路をオープン状態およびクローズ状態のいずれかに切り替え可能なバルブと、前記ハウジングの一端側に配置され、前記装着者の発話音声を収音可能なマイクと、前記オープン状態および前記クローズ状態を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記マイクにより前記装着者の発話音声を収音している動作を含む通話中である第1動作中、前記経路を前記オープン状態に切り替え、前記第1動作中とは異なる状態である第2動作中、前記経路を前記オープン状態と前記クローズ状態のいずれかに切り替える、イヤフォンを提供する。
また、本開示は、内部に空間を有し、装着者の外耳道側の一端側から周囲環境側の他端側までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路をオープン状態およびクローズ状態のいずれかに切り替え可能なバルブと、を有するイヤフォンによる音響制御方法であって、前記ハウジングの一端側に配置され、前記装着者の発話音声を収音可能なマイクにより前記装着者の発話音声を収音している動作を含む通話中である第1動作中、前記経路を前記オープン状態に切り替えるステップと、前記第1動作中とは異なる状態である第2動作中、前記経路を前記オープン状態と前記クローズ状態のいずれかに切り替えるステップと、を有する、音響制御方法を提供する。
また、本開示は、内部に空間を有し、装着者の外耳道側の一端側から周囲環境側の他端側までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路をオープン状態およびクローズ状態のいずれかに切り替え可能なバルブと、を有するイヤフォンに、前記ハウジングの一端側に配置され、前記装着者の発話音声を収音可能なマイクにより前記装着者の発話音声を収音している動作を含む通話中である第1動作中、前記経路を前記オープン状態に切り替えるステップと、前記第1動作中とは異なる状態である第2動作中、前記経路を前記オープン状態と前記クローズ状態のいずれかに切り替えるステップと、を実行させるための、プログラムを提供する。
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示によれば、装着者の使用状況に応じて音の聴き取り易さを適応的に調整し、装着者の違和感を抑制することができる。
イヤフォンの正面図 イヤフォンの背面図 バルブが閉状態となっている時のA-A断面図 バルブが開状態となっている時のA-A断面図 本実施の形態に係るイヤフォンのハードウェア構成例を示すブロック図 本実施の形態に係るスマートフォンのハードウェア構成例を示すブロック図 第1動作例に係るイヤフォンの音響モードの状態遷移例を示す図 第1動作例に係るイヤフォンの音響モードと動作との関係例を示す対応テーブルを示す図 第1動作例に係るイヤフォンの動作手順例を時系列に示すフローチャート 第2動作例に係るイヤフォンの音響モードの状態遷移例を示す図 第2動作例に係るイヤフォンの音響モードと動作との関係例を示す対応テーブルを示す図 第2動作例に係るイヤフォンの動作手順例を時系列に示すフローチャート 第3動作例に係るイヤフォンの音響モードの状態遷移例を示す図 外音取込モード中のバルブ開閉の設定画面例を示す図 第3動作例に係るイヤフォンの音響モードと動作との関係例を示す対応テーブルを示す図 第3動作例に係るイヤフォンの動作手順例を時系列に示すフローチャート
以下、図面を適宜参照して、本開示に係るイヤフォン、音響制御方法およびプログラムを具体的に開示した実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
まず、図1および図2を参照して、イヤフォンのハードウェア構成例について説明する。図1は、イヤフォンの正面図である。図2は、イヤフォンの背面図である。図1および図2では、イヤフォン1L,1Rを互いに横並びで配置し、かつ、タッチセンサTCL,TCRのそれぞれの全面が紙面前面側を向くように配置した場合の様子を図示している。
説明の便宜上、図1に示すようにイヤフォン1LのタッチセンサTCLの面に平行な面に沿ってX軸およびY軸を定義し、さらに、そのタッチセンサTCLの面に対して直交する軸をZ軸とする。イヤフォン1Lにおいて、タッチセンサTCLのマイクMC1L側を上端側、タッチセンサTCLのマイクMC1Lとは反対側のマイクMC2L側を下端側とした場合に、下端側から上端側に向かう方向をX軸と定義する。Z軸およびX軸の両方に直交する方向をY軸と定義する。なお、XYZ軸の定義はイヤフォン1Rにおいても同様に適用可能である。本実施の形態では、例えば図1に係るイヤフォン1Lの向きを正面図と定義する。これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。また、他の図面についても同様である。
また、本実施の形態では、左右一対のイヤフォン1L、1Rにおいて左耳のイヤフォン1Lおよび右耳のイヤフォン1Rの構成は同一である。同一の構成要素の符合は、左耳のイヤフォン1Lでは末尾に「L」を、右耳のイヤフォン1Rでは末尾に「R」を付して表現する。以下の説明では、その一方の左側のイヤフォン1Lのみを説明し、その他方の、右側のイヤフォン1Rの説明を省略する。
イヤフォン1は、ユーザの左耳および右耳のそれぞれに装着され、それぞれの一端側に異なるサイズを有する複数のイヤーピースが交換可能に装着されるイヤフォン1L、1Rにより構成される。具体的には、イヤフォン1は、ユーザの左耳に装着されるイヤフォン1Lとユーザの右耳に装着されるイヤフォン1Rとにより、独立して単独で動作可能な2つのイヤフォン(つまり、イヤフォン1Lおよびイヤフォン1R)により構成されてよい。この場合、イヤフォン1Lとイヤフォン1Rとは無線(例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信)で通信可能となっている。なお、イヤフォン1は、イヤフォン1Lとイヤフォン1Rとが有線(言い換えると、ワイヤ等のケーブル)で接続される一対のイヤフォンとして構成されてもよい。
図1に示すように、イヤフォン1Lは、ユーザの耳に装着して使用されるインナー型の音響装置であり、ユーザが所持するスマートフォンあるいは携帯型音楽プレーヤ等の外部機器から無線(例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信)で送信される音データ(例えば音楽データ)を受信する。イヤフォン1Lは、受信された音データに基づく音信号を音響的に出力する。また、イヤフォン1Lは、未使用時には充電ケースであるクレードル(図示略)に載置される。イヤフォン1Lに内蔵されるバッテリB1L(図5)が満充電でない場合等に、イヤフォン1Lがクレードルの所定の載置箇所に載置されると、クレードルから送電される電力に基づいてイヤフォンに内蔵されるバッテリB1Lは充電される。
イヤフォン1Lは、その構造部材としてハウジングHOLを有する。ハウジングHOLは、例えば合成樹脂、金属、セラミックなどの材料の複合体で設けられ、その内部にイヤフォン1Lを構成する各種の部材が収納される収納空間が形成される。また、ハウジングHOLには、その収納空間に連通する取付円筒部FCL1(図3および図4参照)が設けられる。この取付円筒部FCL1は、後述するタッチセンサTCLとは反対側となるハウジングHOLの一端側に設けられる。
イヤフォン1Lは、イヤフォン1Lの本体に取り付けられるイヤーピースIPLを有する。例えば、イヤフォン1Lは、ユーザの耳に対しイヤーピースIPLにより外耳道の内部に挿入された状態で保持され、この保持された状態がイヤフォン1Lの使用状態とされる。
イヤーピースIPLは、シリコンなどの柔軟性のある部材からなり、内筒部(図示略)および外筒部(図示略)を有して射出成型される。イヤーピースIPLは、その内筒部でハウジングHOLの取付円筒部FCL1に挿嵌して固定され、またこのハウジングHOLの取付円筒部FCL1に対し交換可能(着脱自在)に設けられる。イヤーピースIPLは、その外筒部でユーザの外耳道内に装着され、装着する外耳道の形状に応じて弾性変形する。この弾性変形により、イヤーピースIPLはユーザの外耳道内で保持される。イヤーピースIPLは、複数の異なるサイズを有する。イヤーピースIPLは、複数の異なるサイズのイヤーピースのうちいずれかのサイズのイヤーピースがイヤフォン1Lに取り付けられユーザの左耳に装着される。
操作入力部の一例として、タッチセンサTCLは、図1に示すようにハウジングHOLのイヤーピースIPLが配置された一端側と反対側の他端側に設けられる。タッチセンサTCLは、ユーザの入力操作(例えばタッチ操作)を検知するタッチセンサ機能を有するセンサ素子である。センサ素子は、例えば静電容量式のタッチセンサの電極である。タッチセンサTCLは、例えば真円状の面として形成されてもよいし、例えば、楕円上の面として形成されてもよい。また、タッチセンサTCLは、矩形状の面として形成されてもよい。
また、ユーザの指等によるタッチセンサTCLへのタッチ操作として、例えば次のような操作が挙げられる。イヤフォン1Lは、短い時間のタッチ操作が行われた場合、外部機器に対し音楽の再生、停止、曲送り、曲戻し等のうちいずれかを指示してもよい。イヤフォン1Lは、長い時間のタッチ操作(いわゆる長押しタッチ)が行われた場合、スマートフォン等の外部機器とBluetooth(登録商標)等の無線通信を行うためのペアリング動作等を行ってもよい。また、イヤフォン1Lは、タッチセンサTCLの表面を指でなぞる(いわゆるスワイプ動作)が行われた場合、再生されている音楽の音量調整等を行ってもよい。
開口部60Lは、ハウジングHOLの表面に露出可能に形成され、ユーザの外耳道内に挿入されて保持された時点でユーザの外耳道側の一端側から、外気側(周囲環境側)の他端側までを通気可能な経路に通じる穴である。開口部60Lの詳細な構造の断面例については、図3および図4を参照して後述する。
イヤフォン1Lは、電気電子部材として、複数のマイク(マイクMC1L、マイクMC2LおよびマイクMC3L)を有する。これら複数のマイクはハウジングHOLの収納空間(図示略)に収納される。
マイクMC1Lは、図1に示すように、ハウジングHOLの表面上に露出するようにあるいはその表面付近に設けられ、イヤフォン1Lの外部の周囲音などを収音可能に配置される。つまり、マイクMC1Lは、イヤフォン1Lがユーザの耳に装着された状態でのユーザの周囲音を検出することが可能である。マイクMC1Lは外部の周囲音を電気信号(音信号)に変換して音信号入出力制御部S1Lに送る。
マイクMC2Lは、図1に示すように、ハウジングHOLの表面上に露出するようにあるいはその表面付近に設けられ、イヤフォン1Lを装着したユーザの発話に基づく音声信号を収音可能に配置される。そのため、イヤフォン1Lは、ユーザのスマートフォンF1などの携帯電話装置に通信可能な状態でいわゆるハンズフリー通話を実現することが可能である。マイクMC2Lは、ユーザの発話に基づいて生じる音声を収音(つまり、音声信号を検知)可能なマイクロフォンデバイスにより構成される。マイクMC2Lは、ユーザの発話に基づいて生じる音声を収音して電気信号に変換して音信号入出力制御部S1Lに送る。マイクMC2Lは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に挿入された時にイヤフォン1Lの延在方向がユーザの口元を向くように配置され(図1参照)、タッチセンサTCL下部(つまり-X方向)の位置に配置される。ユーザによって発話される音声はマイクMC2Lにより収音されては電気信号に変換され、この電気信号の大小によって、マイクMC2Lによるユーザの発話の有無が検知可能となる。
マイクMC3Lは、図2に示すように、ハウジングHOLの取付円筒部FCL1付近の面内に配置され、イヤフォン1Lがユーザの左耳内に挿入されるとその左耳の外耳道に可能な限り近接して配置される。マイクMC3Lは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に装着された状態でのユーザの左耳とイヤーピースIPLとの間から漏れた音を電気信号(音信号)に変換して音信号入出力制御部S1Lに送る。
スピーカSP1Lは、図2に示すように、ハウジングHOLの取付円筒部FCL1内に配置される。スピーカSP1Lは、ドライバSP1LDr(図3および図4参照)を有する電子部品であり、外部機器から無線で送信された音データ(例えば音楽データ)を音響的に出力する。ハウジングHOLの内部では、スピーカSP1Lの前面(言い換えると、音響的に出力される音の放音面)は、イヤーピースIPLで覆われたハウジングHOLの取付円筒部FCL1側に向けられる。これにより、スピーカSP1Lから音響的に出力された音楽データは、ユーザの耳穴(例えば外耳部分)から更に外耳の外耳道、中耳の鼓膜に伝達されていき、ユーザが音楽データを聴取できる。
装着センサSELは、ユーザの左耳への装着の有無を検知するデバイスにより構成され、例えば赤外線センサあるいは静電センサを用いて構成される。赤外線センサの場合、装着センサSELは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に装着されていれば、装着センサSELから照射された赤外線が左耳内で反射した赤外線を受光することでユーザの左耳への装着を検知可能である。また、装着センサSELは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に装着されていなければ、装着センサSELから照射された赤外線が反射しないで赤外線を受光しないことでユーザの左耳への非装着を検知可能である。一方、静電センサの場合、装着センサSELは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に装着されていれば、ユーザの左耳内までの距離に応じた静電容量の変化値が装着センサSELが保持する閾値より大きいと判定することでユーザの左耳への装着を検知可能である。また、装着センサSELはイヤフォン1Lがユーザの左耳に装着されていなければ、静電容量値の変化値が装着センサSELが保持する閾値より小さいと判定することでユーザの左耳への非装着を検知可能である。装着センサSELは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に挿入された時に外耳道に対向する位置、かつタッチセンサTCLの背面側に設けられる。
次に、図3および図4を参照して、バルブの開状態および閉状態を説明する。図3は、バルブが閉状態となっている時のA-A断面図である。図4は、バルブが開状態となっている時のA-A断面図である。図3および図4は説明の都合上イヤフォン1Rを例示して説明しているが、上述したようにイヤフォン1L,1Rはともに同一の構造を有しており、イヤフォン1Lにも同様な説明が適用可能である。なお、以下の説明において、開状態をオープン状態、閉状態をクローズ状態と称する場合がある。また、図3および図4では、イヤーピースIPL,IPR(図1および図2参照)の図示は省略している。
図3に示す断面図は、図1に係るイヤフォン1RのA-A断面図である。バルブ70Rは、経路71を通る空気の制御を行う可動機構を有した機器である。バルブ70Rは、ハウジングHOR内に残存している音をハウジングHOR外に開放するための経路71をオープン状態にするかクローズ状態にするかを切り替える。ハウジングHOR内に残存している音は、例えば、ドライバSP1RDrから出力された音の反響音、あるいは、ユーザの発話によってユーザ自身の体内を介して右耳付近まで音響的に伝達した伝達音である。これらの音は、ユーザがイヤフォン1Rを装着した状態で発話する際に、ユーザが外部の音を聞き取る際の違和感もしくは聞き取りにくさを与える原因となっている。バルブ70Rの動作(具体的には、開閉)は、イヤフォン制御部S2Rによって制御される。バルブは、例えば図3に示したゲートバルブでもよいし、グローブバルブ、ニードルバルブ、ボールバルブまたはバタフライバルブでもよい。
バルブ70Rは、方向DR1(図4参照)に沿って前後するように可動して壁面72に当接することで経路71を塞いてクローズ状態にすることができる。図3に示したバルブ70が壁面72に当接し経路71の一部を塞いでいる状態を「閉状態」もしくは「クローズ状態」と称する。ユーザがイヤフォン1Rを右耳に装着し、バルブ70が閉状態(クローズ状態)の場合、経路71はバルブ70Rによって塞がれているのでユーザの耳は周囲環境(外気)から遮断されて密閉された状態となる。
図4に示すバルブ70Rが壁面72から一定距離ほど離れ経路71を開放している状態を「開状態」もしくは「オープン状態」と称する。ユーザがイヤフォン1Rを右耳に装着し、バルブ70Rが開状態(オープン状態)の場合、経路71はバルブ70Rによって塞がれていなくタッチセンサTCR側の周囲環境(外気)と通じているためユーザの耳は周囲環境(外気)から遮断(密閉)されていない状態となる。この状態では、ハウジングHOR内に残存している音が経路71を介してハウジングHOR外に開放されることになり、ユーザがイヤフォン1Rを装着した状態で発話する際に、ユーザが外部の音を聞き取る際の違和感もしくは聞き取りにくさを感じることが抑制されることが期待される。
次に、図5を参照して、イヤフォンのハードウェア構成例について説明する。図5は、本実施の形態に係るイヤフォンのハードウェア構成例を示すブロック図である。具体的には、図5には、図1および図2に示す左右一対のイヤフォン1L、1Rのそれぞれのハードウェア構成例を示すブロック図が図示されている。なお、以下では、左右一対のイヤフォン1L、1Rのうち、イヤフォン1Lの構成について説明するが、イヤフォン1Rの構成はイヤフォン1Lの構成と同じであるため、イヤフォン1Lの構成の説明は符号の相違を除けばイヤフォン1Rの対応する構成要素の説明にも同様に適用可能である。
図5に示すワイヤレス音響システム100は、イヤフォン1Lと、イヤフォン1Rと、スマートフォンF1と、を含む。イヤフォン1Lは、タッチセンサTCLと、装着センサSELと、ROM(Read Only Memory)11Lと、RAM(Random Access Memory)12Lと、バッテリB1Lを含む電力監視部13Lと、無線通信部14Lと、音信号入出力制御部S1Lと、イヤフォン制御部S2Lと、バルブ70Lと、マイクMC1Lと、マイクMC2Lと、マイクMC3Lとを含む。
操作入力部の一例としてのタッチセンサTCLは、イヤフォン制御部S2Lと通信可能に接続される。タッチセンサTCLは、装着者であるユーザによって行われたタッチ操作に関する信号を生成してイヤフォン制御部S2Lに出力する。
装着センサSELは、イヤフォン制御部S2Lとの間でデータ入出力可能に接続され、ユーザの左耳とイヤフォン1Lとが接触しているか否かに関する信号を生成してイヤフォン制御部S2Lに出力する。
電力監視部13Lは、例えば半導体チップを用いて構成されている。電力監視部13Lは、バッテリB1Lを有し、バッテリB1Lの充電残容量を計測する。バッテリB1Lは例えばリチウムイオン電池などの二次電池である。電力監視部13Lは、計測したバッテリB1Lの充電残容量に関する情報をイヤフォン制御部S2Lに出力する。
無線通信部14Lは、スマートフォンF1との間でデータ通信可能に無線接続し、音信号入出力制御部S1Lまたはイヤフォン制御部S2Lで処理された音信号をスマートフォンF1に送る。無線通信部14Lは、アンテナATLを有し、例えばBluetooth(登録商標)の通信規格に従った近距離無線通信を行う。無線通信部14Lは、Wi-Fi(登録商標)などの通信回線または移動体通信回線などに接続可能に設けられてもよい。また、イヤフォン1L、1Rのそれぞれは、無線通信部14Lおよび無線通信部14Rを用いてスマートフォンF1との間で個別に無線通信を行うことが可能である。そのため、イヤフォン1L、1Rのそれぞれは、スマートフォンF1から送信されるデータ、音信号あるいは情報を受信することが可能である。
音信号入出力制御部S1Lは、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等のプロセッサを用いて構成されている。音信号入出力制御部S1Lは、イヤフォン制御部S2Lとの間でデータ入出力可能に接続されており、音信号をPCM(Pulse Code Modulation)方式でデジタル形式に変換されたデジタル信号でやり取りする。音信号入出力制御部S1Lは、スマートフォンF1から取得した音信号に関するデジタル信号に対し、音量レベルを調整してスピーカSP1Lに出力する。
音信号入出力制御部S1Lは、マイクMC1L、マイクMC2LおよびマイクMC3Lと接続され、各マイクから各マイクによって収音された音信号を入力する。音信号入出力制御部S1Lは、各マイクから入力された音信号を増幅する、アナログ信号からデジタル信号に変換するなどといった処理が可能であってもよい。音信号入出力制御部S1Lは、各マイクから入力された音信号のデータをイヤフォン制御部S2Lへ送る。
制御部の一例としてのイヤフォン制御部S2Lは、例えばCPU、MPU、DSPあるいはFPGA等のプロセッサを用いて構成されており、音信号入出力制御部S1L、ROM11L、RAM12L、電力監視部13Lおよび無線通信部14Lとの間でデータ入出力可能に接続され、音信号をPCM方式でデジタル形式に変換されたデジタル信号でやり取りする。イヤフォン制御部S2Lは、イヤフォン1Lの全体的な動作を司るコントローラとして機能し、イヤフォン1Lの各部の動作を統括するための制御処理、イヤフォン1Lの各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。
音信号入出力制御部S1Lおよびイヤフォン制御部S2Lは、ROM11Lに記憶されたプログラムおよび制御用データを用いることで、それぞれの機能を実現する。音信号入出力制御部S1Lおよびイヤフォン制御部S2Lは、動作中にRAM12Lを使用し、生成あるいは取得したデータもしくは情報をRAM12Lに一時的に保存してもよい。
バルブ70Lは、イヤフォン制御部S2Lとの間でデータ入出力可能に接続される。バルブ70Lは、イヤフォン制御部S2Lからの信号に基づき動作(つまり、開閉の動作)する。バルブ70Lは、例えば、スマートフォンF1に表示される設定画面から設定された内容に基づき、イヤフォン制御部S2Lによって開状態(オープン状態)もしくは閉状態(クローズ状態)となるよう制御される。本実施の形態では、例えば、バルブ70Lは、イヤフォン1Lの動作あるいはイヤフォン1Lの音響モード(後述参照)に基づいて制御される。バルブ70Lの制御方法の詳細は後述する。
スマートフォンF1は、ユーザにより携帯される無線端末である。
次に、図6を参照して、スマートフォンのハードウェア構成例について説明する。図6は、本実施の形態に係るスマートフォンのハードウェア構成例を示すブロック図である。スマートフォンF1は、表示/操作部30と、公衆回線通信I/F部31と、公衆回線プロトコル制御部32と、制御部33と、ROM34と、RAM35と、音信号バス36と、音信号入出力制御部37と、近距離無線制御部38と、無線LAN通信I/F部39と、イヤフォン通信I/F部40と、USB通信I/F部41と、バッテリB2とを含む。なお、図6では、インターフェースを「I/F」と略記している。
表示部あるいは操作部の一例としての表示/操作部30は、ユーザの操作を受け付けたり、制御部33により生成されたデータを表示したりするタッチパネルを用いて構成され、いわゆるユーザインタフェースを形成する。表示/操作部30は制御部33によって生成される各種画面を表示してよい。表示/操作部30は、表示された各種画面に対するユーザの操作を受け付けて入力信号を生成して制御部33に送る。
公衆回線通信I/F部31は、スマートフォンF1が備えるアンテナAT3と接続され、公衆基地局(不図示)との間で公衆回線を用いた無線通信(例えばLTE(Long Term Evolution)等の4G(第4世代移動通信方式)あるいは5G(第5世代移動通信方式)に準拠した無線通信)を行う。なお、公衆回線通信I/F部は、スマートフォンF1の構成から省略されてもよい。
公衆回線プロトコル制御部32は、音信号バス36と公衆回線通信I/F部31との間でデータの入出力に関する制御を実行する。なお、公衆回線プロトコル制御部32は、スマートフォンF1の構成から省略されてもよい。
制御部33は、例えばCPU、MPUまたはDSP等のプロセッサを用いて構成されている。スマホOS処理部33Aおよびスマホアプリ処理部33Bを機能的に有しており、スマホOS処理部33Aおよびスマホアプリ処理部33BのそれぞれとROM34との協働によって各種の処理および制御を行う。
ROM34は、制御部33の動作を規定するプログラムとそのプログラムの実行時に使用するデータとが書き込まれている。ROM34には、スマートフォンF1の識別情報、音信号を送信する先として事前に登録(ペアリング)されたイヤフォン1の識別情報をそれぞれ記憶している。
RAM35は、制御部33の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMである。RAM35には、制御部33により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。
音信号バス36は、制御部33との間での音信号データ、公衆回線プロトコル制御部32との間での音信号データ、音信号入出力制御部37との間での音信号データ、近距離無線制御部38との間での音信号データの入出力を行う。
音信号入出力制御部37は、制御部33から出力された指令に基づいて、マイクMC4により収音された音信号データを、音信号バス36を介して制御部33に送ったり、音信号バス36を介して入力された音信号をスピーカSP2から出力させたりする。
マイクMC4は、スマートフォンF1を使用するユーザの発話に基づく音声を収音して音信号に変換し、変換後の音信号を音信号入出力制御部37に送る。マイクMC4により収音された音信号は、音信号入出力制御部37、音信号バス36を経由して制御部33に入力される。
スピーカSP2は、音信号入出力制御部37からの音信号データを音響的に出力する。
近距離無線制御部38は、音信号バス36と無線LAN通信I/F部39との間および音信号バス36とイヤフォン通信I/F部40との間のデータの入出力に関する制御を実行する。近距離無線制御部38は、制御部33から出力された指令、音信号バス36を介して入力された音信号のデータを、無線LAN通信I/F部39またはイヤフォン通信I/F部40に送る。また近距離無線制御部38は、無線LAN通信I/F部39またはイヤフォン通信I/F部40から入力された音信号のデータを制御部33に送ってもよい。
無線LAN通信I/F部39は、スマートフォンF1が備えるアンテナAT2と接続され、イヤフォン1との間で無線LANによる無線通信(例えば近距離無線制御部38からのデータ送信)を行う。無線LAN通信I/F部39は、無線LANルータ(図示略)を介してインターネットに接続可能な通信回路を用いて構成される。また、無線LAN通信I/F部39は、上述した無線LANルータ(図示略)を介して、イヤフォン1L、1Rのそれぞれとの間で無線通信(例えばWi-Fi(登録商標)等の無線LAN)を行ってもよい。
イヤフォン通信I/F部40は、スマートフォンF1が備えるアンテナAT1と接続され、イヤフォン1との間でBluetooth(登録商標)による近距離無線通信(例えば近距離無線制御部38からのデータ送信)を行う。
USB通信I/F部41は、スマートフォンF1と外部機器(例えばPC(Personal Computer))とをケーブル等の有線で通信するためのインターフェースである。USB通信I/F部41は、制御部33とデータ通信可能に接続されていて、外部機器からのデータを制御部33に送信することができる。また、USB通信I/F部41は、外部の商用電源からバッテリB2に電荷を供給してもよい。
バッテリB2は、外部の商用電源から供給される電荷を蓄積可能な二次電池(例えばリチウムイオン電池)であり、スマートフォンF1の各部に必要な電源を供給する。なお、バッテリB2は、スマートフォンF1の筐体から脱着可能に構成されてもよい。バッテリB2は、外部の商用電源から電源の供給を直接得てもよいし、外部の商用電源から切り離された状態においてスマートフォンF1に電源を供給可能であってもよい。
次に、イヤフォン1L,1Rの動作あるいは音響モードによってバルブの開閉を制御するための各種の動作例について説明する。本実施の形態では、例えば3種類の動作例を説明する。
(第1動作例)
図7は、第1動作例に係るイヤフォンの音響モードの状態遷移例を示す図である。図8は、第1動作例に係るイヤフォンの音響モードと動作との関係例を示す対応テーブルを示す図である。図9は、第1動作例に係るイヤフォンの動作手順例を時系列に示すフローチャートである。図9のフローチャートは、イヤフォン1L,1Rの状態(例えばイヤフォン1L,1Rの動作あるいは音響モード)が変化した時にイヤフォン制御部S2L,S2Rによって実行される。
第1動作例は、3種類の動作例の最も基本形であり、例えばユーザが電話中あるいはリモート会議(オンライン会議)に参加中である場合には音響モードに拘わらずにバルブ70L,70Rのそれぞれはオープン状態に切り替えられ、ユーザが音楽を聴いている音楽再生中である場合には音響モードによってバルブ70L,70Rの状態が異なるように切り替えられる。
ここで、イヤフォンの音響モードとは、イヤフォン1L,1Rから音響的に出力する音信号(例えば音楽信号)の音響特性を指定する動作モードであり、例えばノイズキャンセルモードMD1と外音取込モードMD2とオフモードMD0とが存在している。
ノイズキャンセルモードMD1は、公知のノイズキャンセル処理を実行する動作モードである。ノイズキャンセル処理は、例えばイヤフォン1L(具体的には、マイクMC1L,MC3L),イヤフォン1R(具体的には、マイクMC1R,MC3R)のそれぞれにより収音された音信号を用いて周囲のノイズ成分の逆位相信号を生成してその逆位相信号と音響出力対象の音信号とを合成することにより周囲のノイズ成分を抑制あるいは除去することが可能である。
外音取込モードMD2は、イヤフォン1L,1Rの周囲の外音を積極的に収音して取り込む動作モードである。外音取込モードでは、イヤフォン1LのマイクMC1L,イヤフォン1RのマイクMC1Rのそれぞれにより収音された外音の音信号がイヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれに入力される。
オフモードMD0は、いわゆる通常の動作モードであり、ノイズキャンセル処理も行わないし、外音取込の処理も行わない。
ノイズキャンセルモードMD1と外音取込モードMD2とオフモードMD0とは、それぞれ互いに所定のユーザ操作により簡易に切り替え可能である。所定のユーザ操作は、例えばイヤフォン1L,1RのそれぞれのタッチセンサTCL,TCRの長押し操作でもよいし、スマートフォンF1にインストールされた専用アプリケーション(図示略)から音響モードを指定するための操作でもよい。これにより、ユーザの簡易な操作により、イヤフォン1L,1Rの音響モードの変更を行うことができる。
図8に示す対応テーブルTBL1は、第1動作例において、イヤフォン1L,1Rの再生状態(具体的には、音楽再生中、通話中)と音響モード(具体的には、ノイズキャンセルモードMD1、外音取込モードMD2、オフモードMD0)とに応じたバルブ70L,70Rの状態を定義する。バルブ70L,70Rの状態は、オープン状態、クローズ状態である。
上述したように、第1動作例では、ユーザが通話中(例えば、マイクMC2L,MC2Rがユーザの発話音声を収音している間、もしくは、ユーザが発話していなくても通話相手である他の人物が発話している音声を聴いている間)、イヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれは、音響モードに拘わらずバルブ70L,70Rをオープン状態に切り替える。つまり、ノイズキャンセルモードMD1、外音取込モードMD2、オフモードMD0のいずれであってもバルブ70L,70Rはオープン状態に維持される。これにより、ユーザが通話中はバルブ70L,70Rの両方がオープン状態に維持されるのでハウジングHOL,HOR内の経路71が外気に通じることになり、ユーザは、イヤフォン1L,1Rが装着されている間でも自ら発話した音声がこもるように聞こえる感覚を持つことが抑制される。
一方、ユーザが音楽再生中(つまり、スピーカSP1L,SP1Rから音楽信号を音響的に出力している間)、イヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれは、音響モードがノイズキャンセルモードMD1およびオフモードMD0であればバルブ70L,70Rをクローズ状態に切り替える。そして、イヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれは、音響モードが外音取込モードMD2であればバルブ70L,70Rをオープン状態に切り替える。これにより、ユーザは、例えば集中して音楽を聴きたい場合などでは、ノイズキャンセルモードMD1あるいはオフモードMD0に切り替えてバルブ70L,70Rをクローズ状態にすることで音楽の音質の劣化を抑制できて音楽リスニングを快適に楽しむことができる。また、ユーザは、たとえ通話中でない場合(例えば音楽再生中)でも、外音取込モードMD2に切り替えてバルブ70L,70Rをオープン状態にすることで周囲の外音を聴くことができ利便性を向上できる。したがって、ユーザは、音楽を聴いている間に他の人物から話しかけられたときにその人物の声をよく聞こえるようになり、さらに、ユーザ自身が発話する際にこもったように聴こえる感覚を持つことを抑制できる。
図9において、イヤフォン1L,1Rのイヤフォン制御部S2L,S2Rは、例えばマイクMC2L,MC2Rにより収音される音声信号の音圧レベル、または、通話相手である他の人物の発話している音声に対応する音声信号の音圧レベルが通話中であることが想定される時の所定の音圧レベルの閾値を超えるか否か、もしくはBluetooth(登録商標)のハンズフリープロファイルで接続中か否か、に基づいて、現在ユーザが通話中であるか否かを判定する(ステップSt1)。イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在ユーザが通話中であると判定した場合には(ステップSt1、YES)、バルブ70L,70Rをオープン状態にして経路71を外気に通じるように開放する(ステップSt2)。これにより、ユーザが通話中であれば経路71が外気に通じることでユーザは自ら発話した音声が耳の中でこもるような違和感を持つことを抑制できて快適に通話を行うことができる。
一方、イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在ユーザが通話中ではないと判定した場合には(ステップSt1、NO)、例えばRAM12L,12Rを参照することにより現在の音響モードが外音取込モードMD2であるか否かを判定する(ステップSt3)。ユーザが通話中でない場合とは、例えばユーザがスマートフォンF1から転送されてくる音楽をイヤフォン1L,1Rにおいて再生している場合が該当する。
イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在の音響モードが外音取込モードMD2であると判定した場合には(ステップSt3、YES)、バルブ70L,70Rをオープン状態にして経路71を外気に通じるように開放する(ステップSt2)。これにより、ユーザがたとえ通話中でなくても外音取込モードMD2中は周囲の外音がマイクMC1L,MC1Rにより収音されてスピーカSP1L,SP1Rから音響出力されてユーザが聴くことができるので音楽を聴いている時でも話しかけられるだけでなく、経路71が外気に通じることでユーザは周囲で何が起きているかを把握し易くできる。
一方、イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在の音響モードが外音取込モードMD2ではないと判定した場合には(ステップSt3、NO)、バルブ70L,70Rをクローズ状態にして経路71を外気から遮断(閉鎖)する(ステップSt4)。これにより、ユーザが通話中でもなく音響モードが外音取込モードMD2でもない場合(例えばスマートフォンF1から転送されている音楽を再生中)に、ユーザは周囲の外音を気にすることなく集中して音楽を聴くことができる。
(第2動作例)
図10は、第2動作例に係るイヤフォンの音響モードの状態遷移例を示す図である。図11は、第2動作例に係るイヤフォンの音響モードと動作との関係例を示す対応テーブルを示す図である。図12は、第2動作例に係るイヤフォンの動作手順例を時系列に示すフローチャートである。図10あるいは図12の説明において、図7あるいは図9の説明と重複する要素の説明は対応する符号と同一の符号を付与することにより説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。図12のフローチャートは、図9と同様に、イヤフォン1L,1Rの状態(例えばイヤフォン1L,1Rの動作あるいは音響モード)が変化した時にイヤフォン制御部S2L,S2Rによって実行される。
第2動作例は、第1動作例の発展形であり、例えばユーザが電話中あるいはリモート会議(オンライン会議)に参加中である場合には第1動作例と同様に音響モードに拘わらずにバルブ70L,70Rのそれぞれはオープン状態に切り替えられるが、ユーザが音楽を聴いている音楽再生中である場合には外音取込モードの密閉モードもしくは開放モードによってバルブ70L,70Rの状態が異なるように切り替えられる。
第2動作例では、外音取込モードMD2は、そのサブモードとして、密閉モードMD2aと開放モードMD2bとの2つを有している。外音取込モードMD2の開放モードMD2bは、第1動作例の外音取込モードMD2と同様に、イヤフォン1L,1Rの周囲の外音を積極的に収音して取り込む動作モードである。開放モードMD2bは、例えば周囲で発話している他人の話を積極的に聴き取りたい場合に使用される。一方、外音取込モードMD2の密閉モードMD2aは、積極的に周囲の外音を取り込むことまでは求めないが周囲の外音を取り込むことがユーザの動作を補助することを意図する場合に使用される。例えばユーザが散歩中あるいは電話などのアナウンスを聴きたい場合など、通話はしないが周囲の外音を聴きたい場合には密閉モードにすることでイヤフォン1L,1Rから音響的に出力される音楽の音質が向上することが期待される。
図11に示す対応テーブルTBL2は、第2動作例において、イヤフォン1L,1Rの再生状態(具体的には、音楽再生中、通話中)と音響モード(具体的には、ノイズキャンセルモードMD1、外音取込モードMD2の密閉モードMD2a、外音取込モードMD2の開放モードMD2b、オフモードMD0)とに応じたバルブ70L,70Rの状態を定義する。バルブ70L,70Rの状態は、オープン状態、クローズ状態である。
第2動作例でも、第1動作例と同様に、ユーザが通話中(例えば、マイクMC2L,MC2Rがユーザの発話音声を収音している間、もしくは、ユーザが発話していなくても通話相手である他の人物が発話している音声を聴いている間)、イヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれは、音響モードに拘わらずバルブ70L,70Rをオープン状態に切り替える。つまり、ノイズキャンセルモードMD1、外音取込モードMD2の密閉モードMD2a、外音取込モードMD2の開放モードMD2b、オフモードMD0のいずれであってもバルブ70L,70Rはオープン状態に維持される。これにより、ユーザが通話中はバルブ70L,70Rの両方がオープン状態に維持されるのでハウジングHOL,HOR内の経路71が外気に通じることになり、ユーザは、イヤフォン1L,1Rが装着されている間でも自ら発話した音声がこもるように聞こえる感覚を持つことが抑制される。
一方、ユーザが音楽再生中(つまり、スピーカSP1L,SP1Rから音楽信号を音響的に出力している間)、イヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれは、音響モードがノイズキャンセルモードMD1、オフモードMD0、そしてさらに外音取込モードMD2の密閉モードMD2aであればバルブ70L,70Rをクローズ状態に切り替える。そして、イヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれは、音響モードが外音取込モードMD2の開放モードMD2bであればバルブ70L,70Rをオープン状態に切り替える。これにより、ユーザは、例えば集中して音楽を聴きたい場合もしくは音楽再生中でも周囲の音を聴いてみたい場合などでは、ノイズキャンセルモードMD1、外音取込モードMD2の密閉モードMD2aあるいはオフモードMD0に切り替えてバルブ70L,70Rをクローズ状態にすることで音楽の音質を向上できて音楽リスニングを快適に楽しむことができる。また、ユーザは、たとえ通話中でない場合(例えば音楽再生中)でも、外音取込モードMD2の開放モードMD2bに切り替えてバルブ70L,70Rをオープン状態にすることで周囲の外音を聴くことができ利便性を向上できる。したがって、ユーザは、音楽を聴いている間に他の人物から話しかけられたときにその人物の声をよく聞こえるようになり、さらに、ユーザ自身が発話する際にこもったように聴こえる感覚を持つことを抑制できる。
図12において、イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在の音響モードが外音取込モードMD2であると判定した場合には(ステップSt3、YES)、その現在のサブモードが密閉モードMD2aか開放モードMD2bのいずれであるかを判定する(ステップSt11)。イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在のサブモードが開放モードMD2bであると判定した場合(ステップSt11、開放モード)、バルブ70L,70Rをオープン状態にして経路71を外気に通じるように開放する(ステップSt2)。これにより、ユーザがたとえ通話中でなくても外音取込モードMD2の開放モード2b中は周囲の外音がマイクMC1L,MC1Rにより収音されてスピーカSP1L,SP1Rから音響出力されてユーザが聴くことができるので音楽を聴いている時でも周囲の人物の声を積極的に聴き取り易くなるだけでなく、経路71が外気に通じることでユーザは周囲で何が起きているかを把握し易くできる。
一方、イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在のサブモードが密閉モードMD2aであると判定した場合には(ステップSt11、密閉モード)、バルブ70L,70Rをクローズ状態にして経路71を外気から遮断(閉鎖)する(ステップSt4)。これにより、ユーザが通話中でもないので発話はしないまでも周囲の音を何となく聴きたい時などに聴くことができるだけでなく、ユーザは再生中の音楽の音質を向上できて快適に音楽を楽しむことができる。
(第3動作例)
図13は、第3動作例に係るイヤフォンの音響モードの状態遷移例を示す図である。図14は、外音取込モード中のバルブ開閉の設定画面例を示す図である。図15は、第3動作例に係るイヤフォンの音響モードと動作との関係例を示す対応テーブルを示す図である。図16は、第3動作例に係るイヤフォンの動作手順例を時系列に示すフローチャートである。図13あるいは図16の説明において、図10あるいは図12の説明と重複する要素の説明は対応する符号と同一の符号を付与することにより説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。図16のフローチャートは、図9あるいは図12と同様に、イヤフォン1L,1Rの状態(例えばイヤフォン1L,1Rの動作あるいは音響モード)が変化した時にイヤフォン制御部S2L,S2Rによって実行される。
第3動作例は、第1動作例の発展形であり、例えばユーザが電話中あるいはリモート会議(オンライン会議)に参加中である場合には第1動作例と同様に音響モードに拘わらずにバルブ70L,70Rのそれぞれはオープン状態に切り替えられるが、外音取込モードについてユーザが自身の嗜好に基づいて個別に2つのサブモードを設定し、それぞれのサブモードにおいてバルブ70L,70Rの開閉状態が異なるように切り替えられる。
第3動作例では、外音取込モードMD2は、そのサブモードとして、ユーザが自由に定めることができるサブモードA,Bの2つを有している。外音取込モードMD2のサブモードAは、例えば、全周波数帯の音信号を取り込む動作モードであり、以下の説明でも同様とする。外音取込モードMD2のサブモードBは、例えば、人の声の周波数帯(例えば100~1000Hz帯)の音信号を取り込む動作モードであり、以下の説明でも同様とする。なお、サブモードA,Bの内容は、これらに限定されなくてもよく、例えばスマートフォンF1にインストールされた専用アプリケーションに対するユーザ操作によって任意に選択あるいは指定できてよい。サブモードAによれば、イヤフォン1L,1Rは、人の声に限らず周囲で発生している音を漏らさず取り込むことが可能である。一方、サブモードBによれば、イヤフォン1L,1Rは、周囲で発生している人の声に絞って取り込むことが可能である。
図14に示す設定画面WD1は、例えばユーザ操作によって、スマートフォンF1にインストールされた専用アプリケーションの中で表示/操作部30に表示される。この設定画面は、第3動作例において、ユーザが通話中でない動作中の外音取込モードMD2中のバルブ70L,70Rの開閉要否を設定することができる。設定画面WD1は、サブモードAの設定領域SB1と、サブモードBの設定領域SB2とを含む。図14では、例えばサブモードAではバルブ70L,70Rを「開ける」(つまり、オープン状態)が指定され、かつ、サブモードBではバルブ70L,70Rを「閉じる」(つまり、クローズ状態)が指定されている。これらの指定の上で、ユーザ操作によりOKアイコンBT1が押下されると、スマートフォンF1は、このOKアイコンBT1の押下に対応するサブモードA,Bでのバルブ70L,70Rの開閉設定をイヤフォン1L,1Rに共有する。これにより、イヤフォン1L,1Rは、第3動作例において、ユーザが通話中でない動作中(例えば音楽再生中)の外音取込モードMD2中に、スマートフォンF1から共有された設定に基づいて、バルブ70L,70Rの開閉を容易に制御することができる。
図15に示す対応テーブルTBL3は、第3動作例において、イヤフォン1L,1Rの再生状態(具体的には、音楽再生中、通話中)と音響モード(具体的には、ノイズキャンセルモードMD1、外音取込モードMD2のサブモードA、外音取込モードMD2のサブモードB、オフモードMD0)とに応じたバルブ70L,70Rの状態を定義する。バルブ70L,70Rの状態は、オープン状態、クローズ状態である。
第3動作例でも、第1動作例および第2動作例と同様に、ユーザが通話中(例えば、マイクMC2L,MC2Rがユーザの発話音声を収音している間、もしくは、ユーザが発話していなくても通話相手である他の人物が発話している音声を聴いている間)、イヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれは、音響モードに拘わらずバルブ70L,70Rをオープン状態に切り替える。つまり、ノイズキャンセルモードMD1、外音取込モードMD2のサブモードA、外音取込モードMD2のサブモードB、オフモードMD0のいずれであってもバルブ70L,70Rはオープン状態に維持される。これにより、ユーザが通話中はバルブ70L,70Rの両方がオープン状態に維持されるのでハウジングHOL,HOR内の経路71が外気に通じることになり、ユーザは、イヤフォン1L,1Rが装着されている間でも自ら発話した音声がこもるように聞こえる感覚を持つことが抑制される。
一方、ユーザが音楽再生中(つまり、スピーカSP1L,SP1Rから音楽信号を音響的に出力している間)、イヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれは、音響モードがノイズキャンセルモードMD1、オフモードMD0、そしてさらに外音取込モードMD2のサブモードA,Bの設定「CLOSE(閉じる)」であればバルブ70L,70Rをクローズ状態に切り替える。そして、イヤフォン制御部S2L,S2Rのそれぞれは、音響モードが外音取込モードMD2のサブモードA,Bの「OPEN(開ける)」であればバルブ70L,70Rをオープン状態に切り替える。これにより、ユーザは、例えば自身の使い方に合わせて取り込みたい周波数帯(サブモードA,B)の外音を聴いてみたい場合などでは、バルブ70L,70Rをオープン状態にすることで周囲の外音を聴くことができ利便性を向上できる。また、ユーザは、例えば自身の使い方に合わせて取り込みたい周波数(サブモードA,B)の外音を遮断して集中して音楽を聴きたい場合には、バルブ70L,70Rをクローズ状態にすることで音楽リスニングを快適に楽しむことができる。
図16において、イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在の音響モードが外音取込モードMD2であると判定した場合には(ステップSt3、YES)、その現在のサブモードAあるいはサブモードBの設定が「CLOSE」あるいは「OPEN」のいずれであるかを判定する(ステップSt21)。イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在のサブモードAあるいはサブモードBの設定が「OPEN」であると判定した場合(ステップSt21、OPEN)、バルブ70L,70Rをオープン状態にして経路71を外気に通じるように開放する(ステップSt2)。これにより、ユーザがたとえ通話中でなくても外音取込モードMD2のサブモードAあるいはサブモードB中は周囲の外音がマイクMC1L,MC1Rにより収音されてスピーカSP1L,SP1Rから音響出力されてユーザが聴くことができるので音楽を聴いている時でも周囲の人物の声を積極的に聴き取り易くなるだけでなく、経路71が外気に通じることでユーザは周囲で何が起きているかを把握し易くできる。
一方、イヤフォン制御部S2L,S2Rは、現在のサブモードAあるいはサブモードBの設定が「CLOSE」であると判定した場合には(ステップSt21、CLOSE)、バルブ70L,70Rをクローズ状態にして経路71を外気から遮断(閉鎖)する(ステップSt4)。これにより、ユーザが通話中でもないので発話はしないまでも外音取込モードMD2のサブモードAあるいはサブモードB中に周囲の音を何となく聴きたい時などに聴くことができるだけでなく、ユーザは再生中の音楽の音質を向上できて快適に音楽を楽しむことができる。
以上により、本実施の形態に係るイヤフォン1L,1Rは、内部に空間を有し、装着者(ユーザ)の外耳道側の一端側から周囲環境側(外気側)の他端側までを通気可能な経路を有するハウジングHOL,HORと、ハウジングHOL,HORの内部に収納され、経路71をオープン状態およびクローズ状態のいずれかに切り替え可能なバルブ70L,70Rと、ハウジングHOL,HORの一端側に配置され、装着者の発話音声を収音可能なマイクMC2L,MC2Rと、オープン状態およびクローズ状態を制御する制御部(例えばイヤフォン制御部S2L,S2R)と、を備える。制御部は、マイクMC2L,MC2Rにより装着者の発話音声を収音している動作を含む通話中である第1動作中、経路71をオープン状態に切り替え、第1動作中とは異なる状態である第2動作中(例えば音楽再生中)、経路71をオープン状態とクローズ状態のいずれかに切り替える。これにより、イヤフォン1L,1Rは、装着者の使用状況(例えば第1動作中あるいは第2動作中)に応じて音の聴き取り易さを適応的に調整し、装着者の違和感を抑制することができる。
また、制御部(例えばイヤフォン制御部S2L,S2R)は、イヤフォン1L,1Rの音響モードを制御可能であり、音響モードがノイズキャンセルモードである場合、第2動作中において経路71をクローズ状態に切り替え、音響モードが外音取込モードである場合、第2動作中において経路をオープン状態に切り替える。これにより、イヤフォン1L,1Rは、ユーザが周囲の外音に含まれるノイズ成分を抑圧可能なノイズキャンセルモードMD1である場合にはバルブ70L,70Rをクローズ状態にすることによりユーザが音楽を集中する環境を容易に提供できる。また、イヤフォン1L,1Rは、ユーザが周囲の外音を取り込みたい外音取込モードMD2である場合にはバルブ70L,70Rをオープン状態にすることによりユーザが周囲を気にし易くなる環境を容易に提供できる。
また、制御部(例えばイヤフォン制御部S2L,S2R)は、音響モードがノイズキャンセルモードおよび外音取込モードのいずれでもない場合、第2動作中において経路71をクローズ状態に切り替える。これにより、イヤフォン1L,1Rは、音響モードがいわゆるオフモードMD0である場合には、従来のイヤフォンと同様にバルブ70L,70Rをクローズ状態にすることによりユーザが音楽を集中して聴きたい環境を容易に提供できる。
また、制御部(例えばイヤフォン制御部S2L,S2R)は、イヤフォンの音響モードを制御可能であり、音響モードが外音取込モードMD2の密閉モードMD2aである場合、第2動作中において経路71をクローズ状態に切り替え、音響モードが外音取込モードMD2の開放モードMD2bである場合、第2動作中において経路71をオープン状態に切り替える。これにより、ユーザは、例えば集中して音楽を聴きたい場合もしくは音楽再生中でも周囲の音を聴いてみたい場合などでは、ノイズキャンセルモードMD1、外音取込モードMD2の密閉モードMD2aあるいはオフモードMD0に切り替えてバルブ70L,70Rをクローズ状態にすることで音楽の音質を向上できて音楽リスニングを快適に楽しむことができる。また、ユーザは、たとえ通話中でない場合(例えば音楽再生中)でも、外音取込モードMD2の開放モードMD2bに切り替えてバルブ70L,70Rをオープン状態にすることで周囲の外音を聴くことができ利便性を向上できる。
また、制御部(例えばイヤフォン制御部S2L,S2R)は、音響モードがノイズキャンセルモードMD1である場合、第2動作中において経路71をクローズ状態に切り替え、音響モードがノイズキャンセルモードMD1および外音取込モードMD2のいずれでもない場合、第2動作中において経路71をクローズ状態に切り替える。これにより、ユーザは、ノイズキャンセルモードMD1中に音楽再生している時には高音質な音楽を集中して楽しんで聴くことができる。また、ユーザは、ノイズキャンセルモードMD1および外音取込モードMD2のいずれでもない場合、従来のイヤフォンと同様にバルブ70L,70Rをクローズ状態にすることによりユーザが音楽を集中して聴きたい環境を容易に得ることができる。
また、制御部(例えばイヤフォン制御部S2L,S2R)は、イヤフォン1L,1Rの音響モードを制御可能であり、音響モードが外音取込モードMD2の第1サブモード(例えばサブモードA)において装着者による指定に基づいて、第2動作中において経路71をクローズ状態に切り替え、音響モードが外音取込モードMD2の第1サブモードにおいて装着者による指定に基づいて、第2動作中において経路71をオープン状態に切り替え、音響モードが外音取込モードMD2の第2サブモード(例えばサブモードB)において装着者による指定に基づいて、第2動作中において経路71をクローズ状態に切り替え、音響モードが外音取込モードMD2の第2サブモードにおいて装着者による指定に基づいて、第2動作中において経路71をオープン状態に切り替える。これにより、ユーザは、例えば自身の使い方に合わせて取り込みたい周波数帯(サブモードA,B)の外音を聴いてみたい場合などでは、バルブ70L,70Rをオープン状態にすることで周囲の外音を聴くことができ利便性を向上できる。また、ユーザは、例えば自身の使い方に合わせて取り込みたい周波数(サブモードA,B)の外音を遮断して集中して音楽を聴きたい場合には、バルブ70L,70Rをクローズ状態にすることで音楽リスニングを快適に楽しむことができる。
また、制御部(例えばイヤフォン制御部S2L,S2R)は、音響モードがノイズキャンセルモードMD1である場合、第2動作中において経路71をクローズ状態に切り替え、音響モードがノイズキャンセルモードMD1および外音取込モードMD2のいずれでもない場合、第2動作中において経路71をクローズ状態に切り替える。これにより、ユーザは、ノイズキャンセルモードMD1中に音楽再生している時には高音質な音楽を集中して楽しんで聴くことができる。また、ユーザは、ノイズキャンセルモードMD1および外音取込モードMD2のいずれでもない場合、従来のイヤフォンと同様にバルブ70L,70Rをクローズ状態にすることによりユーザが音楽を集中して聴きたい環境を容易に得ることができる。
また、イヤフォン1L,1Rは、ハウジングHOL,HORの一端側に配置され、装着者のタッチ操作を検知可能なタッチセンサTCL,TCR、をさらに備える。制御部(例えばイヤフォン制御部S2L,S2R)は、タッチセンサTCL,TCRへのタッチ操作の検知に基づいて、音響モードの変更を検知する。これにより、ユーザは、イヤフォン1L,1Rを装着中でもハウジングHOL,HORに対して扁平形状であって広い面積を有するタッチセンサTCL,TCRへの簡易なタッチ操作により、音響モードを手軽に変更できる。
また、イヤフォン1L,1Rは、外部端末(例えばスマートフォンF1)との間でデータ通信を行う通信部(例えばアンテナATLが接続された無線通信部14L、アンテナATRが接続された無線通信部14R)、をさらに備える。制御部(例えばイヤフォン制御部S2L,S2R)は、外部端末からのモード変更指示の通信部からの取得に基づいて、音響モードの変更を検知する。これにより、ユーザは、イヤフォン1L,1Rへのタッチ操作を行わずとも手元に把持しているスマートフォンF1への簡易な操作により、音響モードを手軽に変更できる。
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
本開示は、装着者の使用状況に応じて音の聴き取り易さを適応的に調整し、装着者の違和感を抑制するイヤフォン、音響制御方法およびプログラムとして有用である。
100 ワイヤレス音響システム
1,1L,1R イヤフォン
IPL,IPR イヤーピース
MC1L,MC1R,MC2L,MC2R,MC3L,MC3R,MC4 マイク
TCL,TCR タッチセンサ
HOL,HOR ハウジング
SEL,SER 装着センサ
SP1L,SP1R,SP2 スピーカ
11L,11R,34 ROM
12L,12R,35 RAM
13L,13R 電力監視部
B1L,B1R,B2 バッテリ
14L,14R 無線通信部
ATL,ATR,AT1,AT2,AT3 アンテナ
S2L,S2R イヤフォン制御部
S1L,S1R,37 音信号入出力制御部
F1 スマートフォン
30 表示/操作部
31 公衆回線通信I/F部
32 公衆回線プロトコル制御部
33 制御部
33A スマホOS処理部
33B スマホアプリ処理部
36 音信号バス
38 近距離無線制御部
39 無線LAN通信I/F部
40 イヤフォン通信I/F部
41 USB通信I/F部
60L,60R 開口部
70L,70R バルブ
71 経路
72 壁面

Claims (11)

  1. 内部に空間を有し、装着者の外耳道側の一端側から周囲環境側の他端側までを通気可能な経路を有するハウジングと、
    前記ハウジングの内部に収納され、前記経路をオープン状態およびクローズ状態のいずれかに切り替え可能なバルブと、
    前記ハウジングの一端側に配置され、前記装着者の発話音声を収音可能なマイクと、
    前記オープン状態および前記クローズ状態を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記マイクにより前記装着者の発話音声を収音している動作を含む通話中である第1動作中、前記経路を前記オープン状態に切り替え、
    前記第1動作中とは異なる状態である第2動作中、前記経路を前記オープン状態と前記クローズ状態のいずれかに切り替える、
    イヤフォン。
  2. 前記制御部は、前記イヤフォンの音響モードを制御可能であり、
    前記音響モードがノイズキャンセルモードである場合、前記第2動作中において前記経路を前記クローズ状態に切り替え、
    前記音響モードが外音取込モードである場合、前記第2動作中において前記経路を前記オープン状態に切り替える、
    請求項1に記載のイヤフォン。
  3. 前記制御部は、
    前記音響モードが前記ノイズキャンセルモードおよび前記外音取込モードのいずれでもない場合、前記第2動作中において前記経路を前記クローズ状態に切り替える、
    請求項2に記載のイヤフォン。
  4. 前記制御部は、前記イヤフォンの音響モードを制御可能であり、
    前記音響モードが外音取込モードの密閉モードである場合、前記第2動作中において前記経路を前記クローズ状態に切り替え、
    前記音響モードが外音取込モードの開放モードである場合、前記第2動作中において前記経路を前記オープン状態に切り替える、
    請求項1に記載のイヤフォン。
  5. 前記制御部は、
    前記音響モードがノイズキャンセルモードである場合、前記第2動作中において前記経路を前記クローズ状態に切り替え、
    前記音響モードが前記ノイズキャンセルモードおよび前記外音取込モードのいずれでもない場合、前記第2動作中において前記経路を前記クローズ状態に切り替える、
    請求項4に記載のイヤフォン。
  6. 前記制御部は、前記イヤフォンの音響モードを制御可能であり、
    前記音響モードが外音取込モードの第1サブモードにおいて前記装着者による指定に基づいて、前記第2動作中において前記経路を前記クローズ状態に切り替え、
    前記音響モードが前記外音取込モードの前記第1サブモードにおいて前記装着者による指定に基づいて、前記第2動作中において前記経路を前記オープン状態に切り替え、
    前記音響モードが外音取込モードの第2サブモードにおいて前記装着者による指定に基づいて、前記第2動作中において前記経路を前記クローズ状態に切り替え、
    前記音響モードが前記外音取込モードの前記第2サブモードにおいて前記装着者による指定に基づいて、前記第2動作中において前記経路を前記オープン状態に切り替える、
    請求項1に記載のイヤフォン。
  7. 前記制御部は、
    前記音響モードがノイズキャンセルモードである場合、前記第2動作中において前記経路を前記クローズ状態に切り替え、
    前記音響モードが前記ノイズキャンセルモードおよび前記外音取込モードのいずれでもない場合、前記第2動作中において前記経路を前記クローズ状態に切り替える、
    請求項6に記載のイヤフォン。
  8. 前記ハウジングの一端側に配置され、前記装着者のタッチ操作を検知可能なタッチセンサ、をさらに備え、
    前記制御部は、前記タッチセンサへの前記タッチ操作の検知に基づいて、前記音響モードの変更を検知する、
    請求項2に記載のイヤフォン。
  9. 外部端末との間でデータ通信を行う通信部、をさらに備え、
    前記制御部は、前記外部端末からのモード変更指示の前記通信部からの取得に基づいて、前記音響モードの変更を検知する、
    請求項2に記載のイヤフォン。
  10. 内部に空間を有し、装着者の外耳道側の一端側から周囲環境側の他端側までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路をオープン状態およびクローズ状態のいずれかに切り替え可能なバルブと、を有するイヤフォンによる音響制御方法であって、
    前記ハウジングの一端側に配置され前記装着者の発話音声を収音可能なマイクにより前記装着者の発話音声を収音している動作を含む通話中である第1動作中、前記経路を前記オープン状態に切り替えるステップと、
    前記第1動作中とは異なる状態である第2動作中、前記経路を前記オープン状態と前記クローズ状態のいずれかに切り替えるステップと、を有する、
    音響制御方法。
  11. 内部に空間を有し、装着者の外耳道側の一端側から周囲環境側の他端側までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路をオープン状態およびクローズ状態のいずれかに切り替え可能なバルブと、を有するイヤフォンに、
    前記ハウジングの一端側に配置され前記装着者の発話音声を収音可能なマイクにより前記装着者の発話音声を収音している動作を含む通話中である第1動作中、前記経路を前記オープン状態に切り替えるステップと、
    前記第1動作中とは異なる状態である第2動作中、前記経路を前記オープン状態と前記クローズ状態のいずれかに切り替えるステップと、を実行させるための、
    プログラム。
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