JP2023181628A - 金属粉およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性に優れたMLCCを高歩留りで製造するための内部電極に好適な金属粉とその製造方法を提供する。【解決手段】金属成分の99.5質量%以上がNiである金属粉で、金属粉を構成する金属粒子の短径Sと金属粒子の等体積球相当径DPVとの比S/DPVが0.92以下で、等体積球相当径DPVと体積基準中位径DPV50との比DPV/DPV50が1.8以上である金属粒子の割合が1.0体積%以下で、金属粒子の体積基準中位径DPV50が0.08~0.35μmである。さらに、比表面積1m2/gあたりのS含有量が70~600ppm、同様にO含有量が1200~7000ppmであることが好ましい。また、気化工程、反応工程、冷却工程が連続する金属粉の製造方法の冷却工程で、冷却された気体が反応工程に逆流しないようにし、不活性気体と還元性気体の総量の0.5~5.0倍mol量の冷却用気体を使用する。【選択図】図1

Description

本発明は、金属粉およびその製造方法に関し、特に積層セラミックコンデンサの製造用に好適な金属成分中のニッケル含有量が99.5質量%以上の微細な金属粉およびその製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサ(以下、「MLCC」ともいう。)は、小型化、高容量化が求められ、電極と誘電体層の薄層化が要求され、最も薄いものはニッケルの電極層と誘電体層がともに0.5μm以下が求められる。これらの層厚が薄くなるにつれ、従来の厚い層厚では顕在化しなかった品質面の問題が顕著になる。その一例が、電極の過焼結によるセラミック相間の短絡が発生することである。その過焼結の原因となるのは、電極用原料粉の中の粗大粒子である、この粗大粒子を取り除くには、一般的に分級処理が行われている。
例えば、特許文献1には、1μmを超える粗大粒子量を低減して、コンデンサ間の金属粒子による短絡を防ぎ、高容量のMLCCを得ることを課題として、気相水素還元法で製造したニッケル粉をスラリーとした後、遠心分離機で分級することにより、粗大粒子を除去して、一次粒子の平均粒径が0.05~0.3μmで、かつ一次粒子径が1μm以上の粒子個数が全粒子個数の50ppm以下であり、かつ一次粒子で平均粒子径の0.6倍以下の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の10%以下のニッケル超微粉を得ることが開示されている。
また、特許文献2には、内部電極の薄層化に伴うコンデンサの容量低下を改善することを課題として、金属粒子が連結してなる連結粒子のうち、アスペクト比が1.2以上であり、円形度が0.675以下であり、長径が金属粉末の個数50%径の3倍以上である連結粒子が上記金属粉末に含まれる割合が、個数基準で500ppm以下であり、上記金属粉末の個数50%径に対する結晶子径の比が0.50以上であり、上記金属粒子を構成する金属は、ニッケルであることを特徴とする金属粉末が開示されている。ここには、還元反応工程および冷却工程において特定の処理条件で行うことにより、粗大粒子となる連結粒子の生成を抑制して、上記の金属粉末を得ることが記載されている。
特許第4409989号公報 特許第6553313号公報
しかしながら、連結粒子を低減してコンデンサ容量の低下を抑制することはできても、MLCCの品質における信頼性の指標であるクラック発生の抑制や破壊電圧の向上については、十分に解決できていないという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、電極層および誘電体層が薄層化しても信頼性に優れたMLCCを高歩留りで製造するための内部電極に好適な金属粉およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するために、金属粉の粉体特性とMLCCの信頼性について鋭意検討した。まず、第一に、信頼性の高いMLCCを高歩留りで得るためには、金属粒子中の粗大粒子や連結粒子を除去するための分級処理が必要である。しかし、単に分級処理を行うだけでは、MLCCの信頼性を損なう一部のカプセル状の粗大な連結粒子が分級処理後の微粉側にも残留していることを知見した。この知見から、分級処理で除去できないカプセル状の粗大な連結粒子をなくすには、その分級処理前の段階であるCVD反応の段階で生成する粉体においてカプセル状の粗大な連結粒子を低減しておく必要があると思い至った。
本発明は、かかる知見に基づき、上記の分級で除去されない一部のカプセル状の粗大な連結粒子の生成を抑制するCVD反応方法について、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
〔1〕質量基準で金属成分の99.5%以上がニッケルであり、残部が不可避的不純物である金属粉であって、
前記金属粉を構成する金属粒子の最大長径を長径(L)とし、該長径(L)の対角幅を短径(S)としたときの、前記短径(S)と前記金属粒子の等体積球相当径(DPV)との比(S/DPV)が0.92以下で、前記等体積球相当径(DPV)と体積基準中位径(DPV50)との比(DPV/DPV50)が1.8以上である金属粒子の割合が体積基準で1.0%以下であり、
前記金属粒子の前記体積基準中位径(DPV50)が0.08μm~0.35μmである
ことを特徴とする金属粉。
〔2〕前記〔1〕において、前記金属粉の比表面積1m2/gあたりのS(硫黄)含有量が70ppm~600ppmであることを特徴とする金属粉。
〔3〕前記〔1〕または〔2〕において、前記金属粉の比表面積1m2/gあたりのO(酸素)含有量が1200ppm~7000ppmであることを特徴とする金属粉。
〔4〕金属粉の製造方法であって、
金属化合物を蒸発または気化させて金属化合物気体とする気化工程と、
前記金属化合物気体と還元性気体とを反応させて金属粉を生成する反応工程と、
前記生成した金属粉を冷却する冷却工程とが連続しており、
前記冷却工程において冷却された気体が、前記反応工程に逆流しないようにし、
前記冷却工程において、反応に必要な不活性気体および前記還元性気体の総量の0.5倍mol量~5.0倍mol量の冷却用気体を使用する
ことを特徴とする金属粉の製造方法。
〔5〕前記〔4〕において、前記金属粉が、質量基準で金属成分の99.5%以上がニッケルであり、残部が不可避的不純物であって、
前記金属粉を構成する金属粒子の最大長径を長径(L)とし、該長径(L)の対角幅を短径(S)としたときの、前記短径(S)と前記金属粒子の等体積球相当径(DPV)との比(S/DPV)が0.92以下で、前記等体積球相当径(DPV)と体積基準中位径(DPV50)との比(DPV/DPV50)が1.8以上である金属粒子の割合が体積基準で1.0%以下であり、
前記金属粒子の前記体積基準中位径(DPV50)が0.08μm~0.35μmである
ことを特徴とする金属粉の製造方法。
〔6〕前記〔5〕において、前記金属粉の比表面積1m2/gあたりのS(硫黄)含有量が70ppm~600ppmであることを特徴とする金属粉の製造方法。
〔7〕前記〔5〕または〔6〕において、前記金属粉の比表面積1m2/gあたりのO(酸素)含有量が1200ppm~7000ppmであることを特徴とする金属粉の製造方法。
本発明によれば、電極層と誘電体層が薄層化しても信頼性に優れたMLCCを高歩留りで製造するための内部電極に好適な金属粉とその製造方法を提供することができ、産業上格段の効果を奏する。
本発明に係る金属粉の製造装置の概要を示す模式断面図である。 カプセル状の連結粒子の概略を示す模式図である。 カプセル状の連結粒子のSEM写真の画像である。
本発明者らが検討した金属粉の粉体特性とMLCCの信頼性について、さらに詳しく説明する。
[金属粉の粉体特性]
MLCCの信頼性の指標に影響する粉体特性について検討した。まず、金属粉の焼結は、一般に粒子表面の曲率が大きいと焼結しやすいが、球状粒子の場合には焼結しにくい。しかしながら、図2に示す模式図および図3に示すSEM写真画像のようなカプセル状の連結粒子10は、体積が大きい割に端部の曲率が大きく、容易に焼結が進行すると考えられる。そのため、過焼結を起こしやすく、MLCCの信頼性を損なう過焼結の核になりやすいことが懸念される。
このカプセル状の連結粒子10は、図2に示すように、画像解析で測定された粒子の最大長径を長径(L)とし、その最大長径に直行する対角幅を短径(S)とすると、粒子の両端部にはその短径(S)を直径とする球体部分(半球体)を有している。そして、その中心部には、その短径(S)を直径とし、「L-S」の長さを有する円柱部分と見立てるとよく近似できるカプセル状の形状をしている。
本発明者らが鋭意検討した結果、このカプセル状の連結粒子は、ある程度の体積を有しているが、その両端の球体部分は短径を直径とする半球形状なので、曲率が高く焼結しやすいことが分かった。さらに、同じ体積で形状が球状であったとした場合の等体積球相当径(DPV)と、連結粒子の両端部分の曲率を決める短径(S)との比(S/DPV)が過焼結の核へのなりやすさの指標となることを見出した。そして、粗大な金属粒子の存在がMLCCの信頼性に関係することを明らかにした。
以上の検討結果に基づき、本発明に係る金属粉を規定したが、その実施態様について、以下に説明する。
[金属粉]
本発明に係る金属粉は、以下に説明する要件から構成されている。
〔A〕質量基準で金属成分の99.5%以上がニッケルであり、残部が不可避的不純物である金属粉である。
〔B〕金属粉を構成する金属粒子のうち、以下の〔b1〕と〔b2〕に特定される金属粒子の割合が体積基準で1.0%以下である。
〔b1〕金属粒子の最大長径を長径(L)とし、長径(L)の対角幅を短径(S)としたときの、短径(S)と金属粒子の等体積球相当径(DPV)との比(S/DPV)が0.92以下である。
〔b2〕等体積球相当径(DPV)と体積基準中位径(DPV50)との比(DPV/DPV50)が1.8以上である。
〔C〕金属粒子の体積基準中位径(DPV50)が0.08μm~0.35μmである。
さらに、好ましくは、
〔D〕金属粉の比表面積1m2/gあたりのS(硫黄)含有量が70ppm~600ppmである。
〔E〕金属粉の比表面積1m2/gあたりのO(酸素)含有量が1200ppm~7000ppmである。
[金属粉の化学成分]
まず、〔A〕の要件である金属粉の化学成分については、質量基準で金属成分の99.5%がニッケルであり、残部は不可避的不純物である。この不可避的不純物は、原材料や装置から不可避的に混入する金属成分であり、具体的には、Fe、Cr、Co、Cu、Si、Ag、Mo、W、Ta、Nb、Pt、Al、Zrなどが挙げられる。これらの不可避的不純物の合計含有量が質量基準で0.5%未満であれば、許容される。
[金属粒子の形状と分布]
次に、金属粉を構成する金属粒子に関する要件〔B(b1+b2)〕および〔C〕について説明する。
金属粒子などの粉体の形状、サイズを特定する方法として、一般的には画像解析法によって粉体等の物体を計測している。その場合に、その物体の絶対最大長を最大長径と規定するが、本発明においては、その最大長径を金属粒子の長径(L)と定義する。次に、その絶対最大長に平行な2本の直線で図形(物体画像)を挟んだときの2直線間の最短距離を対角幅というが、本発明においては、その対角幅を金属粒子の短径(S)と定義する。
また、金属粒子の等体積球相当径とは、同じ体積を持つ球形粒子の場合の直径に相当する。例えば、ある粒子の体積がVだとすると、等体積球相当径(DPV)は、次の式(1)で求められる。
PV=(V÷π×6)1/3 ・・・・・(1)
本発明の目的は、前述したように、金属粉を構成する金属粒子のうち、粗大な連結粒子を低減し、粒度のバラツキを抑えた平均粒子径が1μm以下の金属粉(以下、「金属超微粉」ともいう。)を提供するものである。つまり、従来技術では排除されなかった一部の粗大な連結粒子をも除外した結果の金属粒子の形状を規定したのが、本発明の〔b1とb2〕の要件である。
まず、粗大な粒子を排除するためには、〔b1〕の要件である金属粒子の短径(S)と等体積球相当径(DPV)との比(S/DPV)が0.92以下とする粒子を減らすことである。
この金属粒子の短径(S)と等体積球相当径(DPV)との比(S/DPV)とは、その値が1.00であれば、金属粒子の短径が等体積球相当径と同じとなり、その金属粒子が球形であることを意味している。その比が1.00より小さいということは、球形ではなく楕円形状から粒子が連なった連結粒子となっていることを意味している。本発明が目的とするのは、前述した従来技術では排除が困難であったカプセル状の連結粒子を低減することであり、上記の比(S/DPV)が0.92以下となる粒子を対象としている。
次の〔b2〕の要件は、粒度分布のバラツキを抑えるための指標であって、等体積球相当径(DPV)を用いて規定した。その内容は、前記等体積球相当径(DPV)と体積基準中位径(DPV50)との比(DPV/DPV50)が1.8以上となる粒子を減らすことである。
ここで、体積基準中位径(DPV50)とは、等体積球相当径(DPV)の体積基準中位径のことであって、体積基準で等体積球相当径が累積50%となる径のことである。そして、等体積球相当径(DPV)とその中位径(DPV50)との比(DPV/DPV50)が1.8以上の粒子が多いとは、粒度分布が広く、粗大側の粒子が多く存在することを意味している。
以上の〔b1〕と〔b2〕で対象とした金属粒子の割合が体積基準で1.0%以下とする要件〔B〕により、大きな粒子の存在を低減した粒度分布の狭い金属粒子を揃えており、目的とする粗大な連結粒子を低減した金属粉が得られることになる。
[等体積球相当径の体積基準中位径]
また、〔C〕の要件は、前述の金属粒子の等体積球相当径の体積基準中位径(DPV50)が0.08μm~0.35μmである。
粒子径があまりに小さすぎると、焼結が進行しやすくなることから、MLCCの品質を保つために、体積基準中位径(DPV50)が0.08μm以上の粒子径と規定した。そして、近年の小型・大容量化が求められるMLCCの製品においては、電極の薄層化が求められるため、粒子径については0.35μm以下と規定した。好ましくは、0.10μm~0.30μmである。
[S(硫黄)含有量]
さらに、〔D〕の要件は、金属粉の比表面積1m2/gあたりのS(硫黄)含有量が70ppm~600ppmであることが好ましい。少量のS(硫黄)には、MLCCの焼成時の脱バインダ工程で、焼結開始温度を高温化する効果があるからである。金属粉の比表面積1m2/gあたりのS(硫黄)含有量が70ppmより少ないと過焼結が起こりやすくなる。また、S(硫黄)含有量が多すぎても、低融点の硫化物となり、MLCCの焼成時に過焼結の原因となることから600ppm以下とすることが好ましい。より好ましくは、安定して目的の含有量が得られる範囲である、金属粉の比表面積1m2/gあたり100ppm~450ppmである。
[O(酸素)含有量]
また、〔E〕の要件は、金属粉の比表面積1m2/gあたりのO(酸素)含有量が1200ppm~7000ppmであることが好ましい。O(酸素)含有量が7000ppmを超えると、酸化物が占める割合が高くなるため比表面積1m2/gあたりのニッケル金属量が減少することにより、MLCCの内部電極の熱収縮量が増大し、クラックが発生しやすくなる。したがって、金属粉の比表面積1m2/gあたりのO(酸素)含有量は、7000ppm以下が好ましい。また、O(酸素)含有量が1200ppm未満では、ニッケル金属の焼結速度が速くなりすぎて過焼結の原因となることから好ましくない。より好ましくは、目的の酸素濃度を安定して再現性よく得られことから、金属粉の比表面積1m2/gあたり2500ppm~4500ppmである。
[金属粉の製造方法]
以上で説明した連結粒子を低減させることが重要であって、そのための金属粉の製造方法について説明する。
平均粒子径が1μm以下の金属超微粉は、原子、分子、イオンなどから合成される成長法が利用されることが多く、その中で既知の気相法や液相法などにより製造することができる。気相法には、気体化した金属塩化物と還元性気体を反応させる気相化学反応法(「CVD法」ともいう。)や、金属化合物や溶液を気相に噴霧し熱分解する噴霧熱分解法、金属を高熱で蒸発させて急冷・凝縮させる蒸発法(「PVD法」ともいう。)などがある。気相法で製造した金属超微粉は、液相法で製造したものと比較して結晶性が高く焼結開始温度が高いため、MLCC作製の焼成時に過焼結しにくく、内部電極層を薄く形成する際に好適であることが知られている。
ニッケル超微粉を製造する気相化学反応法は、ニッケルアルコキシドの還元反応やニッケルハロゲン化物の還元反応が利用される。中でも塩化ニッケルは、入手しやすく不純物の除去が容易なため、工業的規模の製造方法としては、ニッケル塩化物蒸気を水素などの還元性ガスと反応させる方法が好ましい。ここで、工業的規模とは、一例として1日あたり10kg以上の製品を製造できることを指す。
上述したCVD法やPVD法などのいわゆる気相法で金属超微粉を作製すると、一次粒子が熱融着した連結粒子が生成して粗大化する。したがって、通常、金属粉はある程度の粒度分布を持つため、これらの粗大な粒子は分級処理をして除去している。これまでの従来技術では、部分分級点(粗粉50%、微粉50%となる分級点)が体積累積中位径と同等となるような分級操作を行うことにより、粗大粒子の混入を防いでいたが、このような分級操作でも一部のカプセル状の粗大な連結粒子は除去されなかった。
工業的な規模での分級は、重力分級機、サイクロン分級機、遠心力分級機などが用いられるが、不規則形状の粒子は、球形粒子よりも流体から大きな抵抗を受けるため、粗大な粒子が微粒子側に混入することになる。したがって、連結粒子は分級で除去されず、微粒子側に残ってしまう。このことから分級前の金属粉中の連結粒子を少なくすることが重要である。
そこで、そのような粗大な連結粒子を生成させない方法として、例えば、前述した特許文献2には、連結粒子は一般に粒子生成・成長後に冷却することで生成率を低くすることができるとしている。しかしながら、一定以上の急冷を行うには、大量の冷却気体が必要となり、そのため実際の工業的規模での装置では、多量の冷却気体を用いると粒子が成長する領域に冷却ガスが逆流し、反応場での粒子の合一を促進するため、連結粒子が増大してしまう。
以上の検討結果から、本発明者らは、反応場のガスを冷却部に送る際に、冷却ガスを逆流させない処置を施すことが、連結粒子の生成抑制に有効であることを見出した。
本発明に係るニッケル超微粉の製造方法の一実施態様として、CVD法を利用した製造方法を例に説明する。図1は、本発明の製造方法に好適なニッケル超微粉の製造装置の一例(以下、「本装置」ともいう。)である。
本装置は、円筒型をしており、工業的規模の場合は、装置内部への粉体の付着を考慮すると直径が100mm以上あることが好ましく、また、設置の容易さと取り扱い性を考慮すると2000mm以下が好ましい。
本装置には、塩化ニッケル源を蒸気化する気化部1と、塩化ニッケル蒸気と還元性気体を反応させニッケル超微粉を析出させる反応部2と、不活性ガスを冷却用媒体として、生成したニッケル超微粉を冷却する冷却部3が連続して設けられている。塩化ニッケル蒸気の供給からニッケル超微粉が析出する反応、さらにその後の冷却と捕集を連続で行い、反応部2と冷却部3の間にオリフィス7を設けることにより、逆流による装置内の大きな渦の発生を抑制し、粒度分布が狭く粗大粒子の少ないニッケル超微粉が得られる。
具体的な、製造方法の工程を順に説明する。
(1)気化工程
まず、塩化ニッケル蒸気を得るための塩化ニッケル源を、原料導入管4から塩化ニッケルなどのニッケルハロゲン化物の粉体を運搬用の窒素ガスなどの非反応性の不活性ガスにより気化部1に導入する。塩化ニッケル源としてはこれに限定されるわけではないが、加熱すると液化せず昇華する無水和物の固体塩化ニッケルを用いることが好ましく、気化しやすいように3mm以下の細粒を用いることがさらに好ましい。また、上記の他に塩化ニッケル源としては、他に金属ニッケルを塩素ガスと共に導入しても構わない。その際には気化部1でニッケル金属が塩化ガスと反応して塩化ニッケル蒸気となるが、反応を容易にするために金属ニッケルは、平均粒子径が10μm以下の微細な粉末であることが好ましい。
また、S(硫黄)を含有させるためには、原料である塩化ニッケルに硫化物や硫酸物を混合したり、運搬用の窒素ガスに亜硫酸ガスなどの硫黄源を混合しておくのがよい。
気化部1の周囲には、蒸気化に必要な熱を付与する熱源(図示せず)があり、好適な温度に維持している。熱源は、既知のものが利用でき、設備的に容易に設置できる電気炉などが好ましい。装置内の温度は、塩化ニッケルを用いた場合、容易に気化させるために、分圧0.9以上となる980℃以上に維持することが好ましい。また、塩化ニッケルガスが高温になりすぎると次の反応部2で急速に反応して粗大な粒子ができやすくなるため、1300℃以下にすることが好ましい。より好ましくは、1050℃~1200℃である。
(2)反応工程
気化部1で得られた塩化ニッケル蒸気は、導入管5を通り、運搬用の不活性ガスと共に反応部2に導入される。さらに、水素ガスを水素ノズル6により反応部2に導入する。反応部2の周囲には熱源(図示せず)があり、好適な温度に維持している。塩化ニッケル熱源は、既知の電気炉などが利用できる。塩化ニッケル蒸気は、ある一定以上の温度で水素ガスにより還元され、気体中でニッケル超微粉が生成するが、十分に塩化ニッケル蒸気が還元されるためには、装置内温度を900℃以上に保つことが好ましい。また、気化部1と同様に温度が高すぎないように1300℃以下にすることが好ましい。より好ましくは、1000℃~1150℃である。
また、運搬用の不活性ガスは、生成した粒子径を制御するためにガス量を適正にする必要がある。CVD法においては、反応部2における滞留時間が粒子径に最も影響があるため、目的の粒子径のニッケル超微粉を得るためにはガス量を制御することが好ましい。必要なガス量は用いる装置の径と長さにより変動するため、目的の粒子径を得るために適時調整が必要である。さらに、ガス量の時間的変動があると、回収した粉体の粒度分布が広がってしまうため、ガス量は一定であることが好ましい。ガス量の制御には、既知のガス制御機器を用いることが可能であるが、装置や配管の圧損の変動を受けても一定量の供給が可能なマスフローコントローラなどを用いることが好ましい。
(3)冷却工程
生成したニッケル超微粉は、運搬用の不活性ガスに運ばれて、オリフィス7の中心部を通り、冷却部3に導入される。このオリフィス7は、冷却部3から反応部2へのガスの逆流防止のために設けている。冷却部3では、冷却ガスノズル8から導入される冷却用不活性ガスにより、高温であるニッケル超微粉が冷却される。高温のままでいると、ニッケル超微粉同士が融着してしまい、粗大な粒子やカプセル状の粒子を生成してしまうため、急速に冷却することが好ましい。冷却用の不活性ガスは、非反応性であれば良いが、工業的には、窒素ガスなどの安価なガスを用いるのが好ましい。
また、冷却ガス量について検討した結果、冷却ガス量は、運搬用不活性ガスと還元性ガスを併せた反応ガスの総量に対して0.5倍mol量以上が好ましい。0.5倍mol量未満では、粒子の冷却が上手くいかず、カプセル状の粒子が多く生成してしまうからである。より好ましくは、反応ガスの総量に対して1.0倍mol量以上であり、さらに好ましくは、3.0倍mol量以上である。また、反応ガスの総量の5.0倍mol量を超えると、装置全体の圧損が大きくなりすぎて管路への付着により連続運転性が落ちることから、反応ガスの総量に対して5.0倍mol量以下が好ましい。なお、連続運転性とは、装置が付着により閉塞せずに運転できるかどうかの指標であり、閉塞するまでの運転時間によって評価する。
さらに、冷却部3から反応部2への冷却ガスの逆流を防止するために設けているオリフィス7の構造について鋭意検討した結果、オリフィス7の中心の開口部7aにおける開口面積が反応部2の断面積の25%~75%が好ましく、また、36%~66%がより好ましいことが分かった。オリフィス7の開口部7aの開口面積が大きすぎる場合は、逆流を抑える効果が弱く、開口面積が小さすぎる場合は、金属粉の付着で閉塞してしまうためである。
さらに、開口部7aの冷却部3側には、整流のためのガイドの円筒7bを設けることが好ましく、円筒7bの長さは、開口部7aの直径の10%以上の長さがあることが好ましい。円筒7bの長さの上限は無いが、長すぎる場合は金属粉の付着により閉塞することが予測されるため、適切な長さにすることが好ましい。
(4)冷却工程後
冷却されたニッケル超微粉は、反応ガスおよび冷却ガスにより、下流側に設けられた排出管9から排出され図示していない捕集器に運ばれ回収される。
なお、CVD法で生成したニッケル超微粉には、微量の塩化ニッケルが残留していることがあるため、これを洗浄する。洗浄の溶媒は、塩化ニッケルが溶解するなら何を用いてもよいが、水には容易に溶解するため、不純物がない純水もしくは蒸留水で行うことが好ましい。
さらに洗浄後に、箱型乾燥機、回転乾燥機、気流乾燥機、流動層乾燥機、真空乾燥機などの既知の乾燥装置を用いて乾燥させる。乾燥装置は何を用いても良いが、ニッケル超微粉は酸化しやすいため、不活性ガス中もしくは真空で処理を行うことが好ましい。また、ニッケル超微粉の酸素量を制御したい場合には、乾燥中に所定の酸素分圧を持つガスを導入することで目的の酸素量とすることができる。
CVD法で生成したニッケル超微粉には、平均粒子径の数倍の直径を持つ粗大粒子が微量ながら存在し、内部電極が薄層化したMLCCでは信頼性を損なう。そのため一般に、粗大な粒子は分級処理をして除去される。工業的な規模での分級処理は、前述した重力分級機、サイクロン分級機、遠心力分級機などが用いられる。
このような重力を利用した分級では、 粒子形状が球形の場合、計算上の部分分級点(粗粉50%、微粉50%となる分級点)が、分級後の等体積球相当径と同等となるように分級操作を行うと、粗大粒子の混入を防げることが多い。本発明における分級処理は、目的の等体積球相当径を用いる装置における計算上の部分分級点とした分級操作を行っている。
しかしながら、 不規則形状の粒子は、球形粒子よりも流体から大きな抵抗を受けるため、粗大な粒子が微粒子側に混入してしまう。そのため連結した粒子は、分級で除去されず、微粉側に残ってしまう。このことから、分級前の金属粉中の連結した粒子を少なくすることが重要である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
[金属粉の製造方法]
試料のニッケル金属粉は、次のように作製した。本実施例では、前述した図1の金属粉の製造装置を用いた。
まず、塩化ニッケルの粉体を運搬用の窒素ガスにより約1100℃に維持した気化部1に導入し、塩化ニッケル蒸気を得る。得られた塩化ニッケル蒸気を運搬用の不活性ガスと共に反応部2に導入し、水素ガスにより約1000℃で還元反応を行い、ニッケル超微粉を生成させる。運搬用の不活性ガスのガス量は、分級後に目的粒子径となるように制御した。また、水素ガスは十分に還元反応が進むように、塩化ニッケルの3.0倍mol量を導入した。さらに、所定のS(硫黄)含有量になるように運搬用の不活性ガスに亜硫酸ガスを所定量混合した。
生成したニッケル超微粉は冷却部3に導入される。冷却ガス量は、運搬用不活性ガスと還元性ガスを併せた反応ガスの総量に対して、0.0倍mol量(すなわち、冷却ガスを流さない場合に相当)から5.0倍mol量の範囲で実施した。
また、本発明例の場合には、冷却部3から反応部2への冷却ガスの逆流を防止するために管の中心にオリフィス7を設けた。このオリフィス7の中心の開口部7aの開口面積が反応部2の断面積の16%~100%(すなわちオリフィスを設置しない場合に相当)と変化させた装置を用いた。さらに、オリフィス7の開口部7aの冷却部3側には、整流のためのガイドの円筒7bを設けた。この円筒7bの長さは、オフィリス7の開口部7aの直径の0%(すなわちガイドを設置しない場合に相当)~60%の装置を用意した。
冷却されたニッケル超微粉を回収し、純水を用いて洗浄した後、乾燥を行った。また、必要に応じて酸素量を制御するために、乾燥機内に所定の酸素分圧にした不活性ガスを導入した。最後に、粗大粒子除去のために、部分分級点を分級後の目的の体積累積中位径と同等となるようにし、遠心力分級機により分級操作を行って、ニッケル超微粉を得た。
〔連続稼働時間〕
運転する金属粉の製造装置は、連続で稼働するものであるが、オリフィスを設けた場合は金属粉の付着が成長する場合があり、閉塞することがある。閉塞とは、反応部下流での圧力損失が高くなり、反応管内の圧力が標準の内圧から0.1MPa高くなった状態と定義する。標準の内圧とは、所定の温度と所定のガス量を流し始めた時点での反応管内の圧力とし、連続稼働時間とは、閉塞せずに連続して運転できる時間(hr)とする。
〔連続運転性〕
連続運転性は、工業的な生産の可否についての指標であり、上記の連続稼働時間が、24hr以上の場合をA(良)とし、20hr以上、24hr未満の場合をB(可)とし、20hr未満の場合をC(不可)と評価した。
[金属粉の評価方法]
得られたニッケル超微粉は、以下の方法により測定し、また、そのニッケル超微粉を用いて電極を製造し、それを内部電極とするMLCCを作製した。そのMLCCについて、信頼性の評価を行った。
〔金属成分〕
金属粉を硝酸に溶解し、所定の濃度に希釈した液体試料をICP発光分光分析装置(島津製作所製ICPE-9000)にて測定することにより金属成分を測定した。
〔S(硫黄)含有量〕
金属粉のS含有量は、炭素硫黄分析装置(LECOジャパン製CS844)にて測定した。
〔O(酸素)含有量〕
金属粉のO含有量は、固体中ガス分析装置(堀場製作所製EMGA-900)にて測定した。
〔比表面積〕
比表面積の測定は、空気透過法、吸着法、浸漬熱法などがあるが、表面の凹凸などの影響による値の変動が大きいため、本発明では、画像解析で得られた粒度分布より算出した。
具体的には、走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製SU5000)により、金属粉の反射電子像を撮影し、その画像を画像解析ソフトウェア(三谷商事製:WinRoof)にて解析し、8000個以上の金属粒子を測定して算出した。
走査電子顕微鏡で観察される連結粒子10は、そのほとんどが球形もしくはカプセル状となっている。図2に示すように、連結粒子10の最大長径を長径(L)としたときに、両端部が短径(S)を直径とする球体と、短径(S)を直径とし、〔長径(L)-短径(S)〕の長さを有する円柱部分とするとよく近似ができる。また、長径=短径の場合は、円柱の部分の体積が0となり球体となる。画像解析で得られた全金属粒子について前述の長径(L)と短径(S)から表面積を積算し、また金属粒子の密度と長径(L)と短径(S)の形状から算出された積算の重量を求め、積算表面積を積算の重量で除することにより比表面積を得た。その単位は、m2/gとして表記した。
〔粒子径〕
走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製SU5000)により、金属粉の反射電子像を撮影し、その画像を画像解析ソフトウェア(三谷商事製:WinRoof)にて解析し、8000個以上の粒子を測定して算出した。画像解析においては、粒子の最大長である絶対最大長を粒子の長径(L)とし、絶対最大長に平行な2本の直線で粒子を挟んだ時の2直線間の最短距離を短径(S)とした。また、画像解析の解像度は、測長がミクロンメータ(μm)単位の場合、有効数字が小数点第二位以上の精度で行うことが好ましい。
〔粒子体積〕
走査電子顕微鏡で観察される連結粒子10は、そのほとんどが球形もしくはカプセル状となっている。図2に示すように、連結粒子10の最大長径を長径(L)としたときに、両端部が短径(S)を直径とする球体と、短径(S)を直径とし、〔長径(L)-短径(S)〕の長さを有する円柱部分とするとよく近似ができる。また、長径=短径の場合は、円柱の部分の体積が0となり球体となる。
〔等体積球相当径の体積基準中位径〕
等体積球相当径(DPV)とは、金属粒子と同体積の球形粒子を仮想し、その場合の直径を意味する。その体積基準中位径(DPV50)は、体積基準の粒子径順に体積を積算し、全体の50%となった粒子径を求める。
[MLCCの作製と評価]
積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、セラミックグリーンシート上に内部電極材料を塗布したシートを積層し、圧着、切断、焼成して作製する。
〔内部電極材料〕
まず、電極材料としてニッケル超微粉を46重量部、焼結抑制の共材として粒径50nmのチタン酸バリウム粉末を9重量部、エチルセルロース樹脂2重量部とジヒドロターピニルアセテートを成分とする有機ビヒクル45重量部とを混合する。そして、三本ロールミルで分散処理を施して内部電極ペーストを得る。分散処理では、必要に応じて有機ビヒクルを減じて高分子分散材を0.2重量部~0.7重量部程度加えても良い。
〔セラミックグリーンシート〕
次に、比表面積径200nmのチタン酸バリウムを50重量部、有機溶剤としてトルエン/エタノール=1/1で26重量部に分散剤0.5重量部でボールミルを用いて分散処理を行う。その後、有機バインダとしてPVB18%トルエン/エタノール溶液を21重量部、可塑剤1.5重量部を加え混合してセラミックスラリーを得る。
セラミックスラリーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にドクターブレード法により塗布し、焼成後の厚みが0.5μmになるようなセラミックグリーンシートを得る。
〔コンデンサ素体〕
このセラミックグリーンシート上に、焼成後に1.0mm×0.5mmになるように、上述の内部電極用ペーストをスクリーン印刷により印刷し、焼成後の厚みが0.5μmになるように内部電極層を形成する。内部電極層を印刷したセラミックシートをPETフィルムより剥がし、このシートをずれが無いように100枚重ねてからプレス機で圧着しセラミック素体を作製する。この圧着されたセラミック素体を切断機で所定の大きさに切断し、コンデンサ素体を得る。
〔焼成〕
コンデンサ素体は、Air雰囲気で260℃に6時間保ち脱バインダを行う。必要に応じて、窒素雰囲気中で400℃に6時間保ち脱バインダを行っても良い。脱バインダされたコンデンサ素体は、水素2%の湿潤窒素雰囲気で1200℃まで4時間で昇温され1200℃で2時間保持された後、1000℃まで1時間で下げた後、1000℃、3時間湿潤窒素中で再酸化処理を施した後、室温まで冷却される。
〔クラック率〕
クラック率の評価には、100個をデジタルマイクロスコープ(キーエンス製:VHX-5000)で外観を、超音波探傷映像装置(本多電子製:HA-60A)で内部を観察し、構造上の欠陥が発生していた場合にクラックが発生したと判定した。
クラックが発生した個数を数え、クラック数が0個の場合にA(良)、1個の場合にB(可)、2個以上の場合に品質に瑕疵があるC(不可)として判定した。
〔絶縁破壊電圧〕
また、絶縁破壊電圧(BDV)を測定するにあたり、焼成後のコンデンサ素体の両端面にCu電極を塗布し外部電極を形成し、耐圧試験機(HIOKI製:自動耐圧試験機3153)でDC-BDV試験を行った。試験は、昇圧速度を100V/秒、検出電流を50mAとして、コンデンサ素体が短絡する直流電圧をBDVとした。
コンデンサ素体20個の測定を行い、BDVが平均値-3σ以下である数が0個の場合に高品質であるA(良)、1個の場合に許容される品質であるB(可)、2個以上の場合に品質に瑕疵があるC(不可)として判定した。
以上の金属粉の製造条件および特性評価、並びに作製したMLCCの評価の結果を表1に示す。
Figure 2023181628000002
本発明例によるニッケル超微粉は、それを基に作製したMLCCの信頼性評価であるクラック率および絶縁破壊電圧について、いずれも優れた効果を奏するものであった。
いっぽう、本発明の範囲を外れる比較例は、クラックの発生も多く、絶縁破壊電圧も低レベルとなっており、信頼性を損なう結果であった。
具体的には、表1の試料を6つのグループに分けて整理した。
第1Grは、本発明の製造方法における冷却ガスの逆流を防止する機構(オリフィス関連)に関して変化させた実施例である。オリフィス機構のない場合(試料No.1-1)やオリフィス開口面積が大きい場合(試料No.1-2)、またガイドの円筒がない場合(試料No.1-1、1-9)では、冷却ガスの逆流が発生したことにより、カプセル状の粗大な連結粒子の割合が大きくなった。そのために、クラックが発生し、破壊電圧のNG数が劣る結果となった。
第2Grは、原料の塩化ニッケルに所定の量の塩化鉄を混ぜて反応させることにより、便宜的にニッケルの純度を下げ、ニッケル金属成分が本発明の範囲から外れた比較例である。この場合には、クラックの発生が多くなった。
第3Grは、冷却用の不活性ガス量を増減することにより、金属粒子におけるカプセル状の粗大連結粒子の割合を変化させた試料群である。その割合が本発明の範囲を外れる比較例(試料No.3-1、3-2)では、クラック発生も多く、絶縁破壊電圧も低レベルであった。また、冷却ガス量の倍率が多すぎる場合(試料No.3-9)は、金属粒子の品質は充分であるが、工業的な生産の可否の指標である連続生産性は充分ではなかった。
第4Grは、運搬用の不活性ガス量を増減することにより、粒子径のDPV50を変化させた試料群である。その値が本発明の範囲を外れる比較例(試料No.4-1)では、クラック発生も多く、比較例(試料No.4-6)では、絶縁破壊電圧も低レベルであった。
第5Grは、運搬用の不活性ガスに混合する亜硫酸ガスを増減することにより、S(硫黄)含有量を変化させた試料群である。請求項2に係る発明の範囲を外れる本発明例(試料No.5-1、5-6、5-7)では、若干クラック率と絶縁破壊電圧のNG数が劣る結果となった。
第6Grは、乾燥機内の酸素分圧を増減することにより、O(酸素)含有量を変化させた試料群である。請求項3に係る発明の範囲を外れる本発明例(試料No.6-1、6-6、6-7)では、若干クラック率と絶縁破壊電圧のNG数が劣る結果となった。
1 気化部
2 反応部
3 冷却部
4 原料導入管
5 導入管
6 水素ノズル
7 オリフィス
7a オリフィスの開口部
7b オリフィスのガイドの円筒
8 冷却ガスノズル
9 排出管
10 連結粒子
L 長径
S 短径

Claims (7)

  1. 質量基準で金属成分の99.5%以上がニッケルであり、残部が不可避的不純物である金属粉であって、
    前記金属粉を構成する金属粒子の最大長径を長径(L)とし、該長径(L)の対角幅を短径(S)としたときの、前記短径(S)と前記金属粒子の等体積球相当径(DPV)との比(S/DPV)が0.92以下で、前記等体積球相当径(DPV)と体積基準中位径(DPV50)との比(DPV/DPV50)が1.8以上である金属粒子の割合が体積基準で1.0%以下であり、
    前記金属粒子の前記体積基準中位径(DPV50)が0.08μm~0.35μmである
    ことを特徴とする金属粉。
  2. 前記金属粉の比表面積1m2/gあたりのS(硫黄)含有量が70ppm~600ppmであることを特徴とする請求項1に記載の金属粉。
  3. 前記金属粉の比表面積1m2/gあたりのO(酸素)含有量が1200ppm~7000ppmであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属粉。
  4. 金属粉の製造方法であって、
    金属化合物を蒸発または気化させて金属化合物気体とする気化工程と、
    前記金属化合物気体と還元性気体とを反応させて金属粉を生成する反応工程と、
    前記生成した金属粉を冷却する冷却工程とが連続しており、
    前記冷却工程において冷却された気体が、前記反応工程に逆流しないようにし、
    前記冷却工程において、反応に必要な不活性気体および前記還元性気体の総量の0.5倍mol量~5.0倍mol量の冷却用気体を使用する
    ことを特徴とする金属粉の製造方法。
  5. 前記金属粉が、質量基準で金属成分の99.5%以上がニッケルであり、残部が不可避的不純物であって、
    前記金属粉を構成する金属粒子の最大長径を長径(L)とし、該長径(L)の対角幅を短径(S)としたときの、前記短径(S)と前記金属粒子の等体積球相当径(DPV)との比(S/DPV)が0.92以下で、前記等体積球相当径(DPV)と体積基準中位径(DPV50)との比(DPV/DPV50)が1.8以上である金属粒子の割合が体積基準で1.0%以下であり、
    前記金属粒子の前記体積基準中位径(DPV50)が0.08μm~0.35μmである
    ことを特徴とする請求項4に記載の金属粉の製造方法。
  6. 前記金属粉の比表面積1m2/gあたりのS(硫黄)含有量が70ppm~600ppmであることを特徴とする請求項5に記載の金属粉の製造方法。
  7. 前記金属粉の比表面積1m2/gあたりのO(酸素)含有量が1200ppm~7000ppmであることを特徴とする請求項5または6に記載の金属粉の製造方法。
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