JP2023179243A - データ処理装置、データ処理方法、及びプログラム - Google Patents

データ処理装置、データ処理方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 異なる複数の発色層を積層した印刷媒体を複数の発熱素子を用いて適正に発色させることが可能な印刷技術を提供する。【解決手段】 データ処理装置40は、異なる加熱エネルギーを付与することにより互いに異なる色を発色する複数の発色層14、16、18が積層された印刷媒体10に対して加熱エネルギーを付与する複数の発熱素子34を備える。また、印刷装置40は、複数の前記発熱素子それぞれの発熱特性を取得する取得手段46と、画素に対応する画像データに基づいて各発熱素子に前記加熱エネルギーを発生させる印刷データを、複数の発色層14、16、18のそれぞれの発色加熱特性と前記各発熱素子34の発熱特性とに基づいて補正するための補正値を導出する導出手段401と、を備える。【選択図】図11

Description

本開示は、異なる色を発色させる複数の発色層が積層された印刷媒体を複数の発熱素子により加熱して画像を形成するためのデータ処理技術に関する。
従来の技術
従来、感熱紙やインクリボンなどの印刷媒体を用いてカラー印刷を行うサーマル印刷が知られている。このようなサーマル印刷に関し、特許文献1には、熱転写印刷装置において1ラインに配列された複数の発熱素子の熱的及び機械的なばらつきに基づき、発熱素子への印加エネルギーを補正することによって印刷画像の濃度むらを低減する技術か開示されている。
特開2016-68360号公報
しかしながら、特許文献1では、加熱するインク領域の色に拘わりなく、各発熱素子に印加する印加エネルギーを発熱素子のばらつきに応じて補正値する。このため、発色加熱特性の異なる複数の発色層を積層した印刷媒体に対し、特許文献1に開示の補正技術によって発熱素子の発熱量を補正したとしても各発色層を適正に発色させることができない。
本開示は、異なる複数の発色層を積層した印刷媒体が適正に発色するように複数の発熱素子を制御することが可能な技術の提供を目的とする。
本開示は、異なる加熱エネルギーが付与されることにより互いに異なる色を発色する複数の発色層が積層された印刷媒体に対し前記加熱エネルギーを付与する複数の発熱素子を制御するためのデータを処理するデータ処理装置であって、複数の前記発熱素子それぞれの発熱特性を取得する取得手段と、画素に対応する画像データに基づいて前記各発熱素子に前記加熱エネルギーを発生させる印刷データを、複数の前記発色層それぞれの発色加熱特性と前記各発熱素子の前記発熱特性とに基づいて補正するための補正値を導出する導出手段と、を備える。
本開示によれば、異なる複数の発色層を積層した印刷媒体を適正に発色させるように複数の発熱素子を制御することが可能になる。
本実施形態で使用する印刷媒体の構造を示す図である。 第1の印刷媒体の発色条件を説明するための図である。 (a)及び(b)は、印刷ヘッドを説明するための図である。 第1の実施形態における印刷装置の内部構成図である。 印刷システムにおける制御の構成を説明するためのブロック図である。 印刷サービス提供処理を説明するためのフローチャートである。 第1実施形態における加熱パルスの例を示す図である。 濃度むら補正値の作成処理を示すフローチャートである。 第1実施形態における検出画像の一例を示す部分拡大図である。 第1実施形態における補正前及び補正後の加熱パルスを示す図である。 第1実施形態における画像形成処理を示すフローチャートである。 第2実施形態における検出画像の例を示す部分拡大図である。 第3実施形態における画像形成処理を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本開示を限定するものではなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本開示の解決手段に必須のものとは限らない。
(第1実施形態)
<印刷媒体>
図1は、本実施形態で使用する印刷媒体の構造を示す図である。印刷媒体10は、基材12の上に、第3画像形成層18、第2スペーサ層17、第2画像形成層16、第1スペーサ層15、第1画像形成層14、及び保護層13が順次に積層して構成されている。保護層13の側(図1の上側)が表面であり、後述する印刷ヘッドが接触したり形成された画像を観察したりする側となる。
基材12は光を反射する白色層であり、保護層13は透明層である。第1画像形成層(第1発色層)14、第2画像形成層(第2発色層)16、及び第3画像形成層(第3発色層)18は、基本的には無色透明であるが、それぞれが固有の温度で活性化し異なる色(イエロー、マゼンタ、シアン)を発色する。
第1スペーサ層15及び第2スペーサ層17は、保護層13に付与された熱の拡散を制御するための層であり、それぞれの厚さは、熱が拡散する速度と3つの画像形成層の活性化温度等に応じて調整されている。
表面に付与された温度が下層の画像形成層に到達するまでの時間はスペーサ層の厚さに依存し、付与された熱は拡散とともに放熱する。このため、例えば上層と下層の画像形成層の活性化温度よりも高い熱を印刷媒体の表面に短時間付与することにより、上層の画像形成層のみを活性化させ下層の画像形成層を活性化させないようにすることができる。また、下層の画像形成層の活性化温度よりも高く、且つ上層の画像形成層の活性化温度よりも低い温度を長時間付与することにより、上層の画像形成層を活性化させることなく、下層の画像形成層を活性化させることができる。すなわち、画像データに従って、保護層13の表面に付与する熱の温度(加熱温度)と付与時間等のパラメータとを調整することにより、第1画像形成層14、第2画像形成層16、第3画像形成層18を個別に活性化させ、発色を調整することができる。
そして、このように画像が形成された後の印刷媒体において、保護層13より入射する光は、スペーサ層及び活性化していない画像形成層を透過し、活性化した画像形成層または基材12で反射する。このため、印刷媒体10を表面側より目視で観察した場合、観察者は個々の画像形成層で反射した光の組み合わせに応じた色を視認し、画像として認識することができる。
3つの画像形成層で発色させる色(色材)は特に限定されるものではない。以下では、第1の印刷媒体として、第1画像形成層14にイエロー、第2画像形成層16にマゼンタ、第3画像形成層18にシアンの色材を含有させた印刷媒体を用いた場合について説明するが、本開示に適用可能な印刷媒体の構成は、これに限定されない。
一般に、フルカラー画像を形成する場合に使用する印刷媒体では、上記のように、第1画像形成層14、第2画像形成層16、及び第3画像形成層18が、イエロー、マゼンタ、及びシアンをそれぞれ発色させるものとなっている。しかし、本開示に適用可能な印刷媒体10における各画像形成層の色の順番(積層の順)及び発色させる色の組み合わせは、図1に示す例に限定されない。さらに、図1に示す例では、3つの色に対応した画像形成層(発色層)が設けられているが、より多くの色に対応した画像形成層、またはより少ない色に対応した画像形成層が設けられていてもよい。図1では、各画像形成層の厚さは同一となっているが、色(色材)に応じて異なる厚さの画像形成層を設けてもよい。
また、各画像形成層14、16、及び18の間に設けられているスペーサ層15及び17の厚さは、各画像形成層14、16、及び18の発色加熱特性、各スペーサ層15、17の熱の伝導特性及び熱拡散率等に応じて適宜設定可能である。各スペーサ層は、同一の材質で形成してもよいし、異なる材質で形成してもよい。スペーサ層は、印刷媒体10内での熱拡散を制御する機能を果すことから、第1スペーサ層15と第2スペーサ層17とを同一の材質で形成する場合には、第2スペーサ層17を4倍以上の厚さに形成することが好ましい。
また、図1に示す印刷媒体10における3つの画像形成層(第1ないし第3画像形成層)14、16、18は、基材12の同一面側に配置されているが、いくつかの画像形成層が、基材12の反対面側に配置されていてもよい。
なお、印刷媒体10に対する加熱は、印刷媒体に対して熱を付与する印刷ヘッドを用いて行われることが好ましいが、他の方法が用いられてもよい。例えば、変調された光源(レーザーのような手段)等、既知の他の加熱手段を用いた印刷ヘッドを使用することも可能である。
<発色加熱特性>
図2は、第1の印刷媒体の発色条件を説明するための図である。図において、横軸は印刷媒体10表面を加熱する時間(加熱時間)を、縦軸は加熱する温度(加熱温度)をそれぞれ示している。そして、イエロー(Y)の発色材を含む第1画像形成層14、マゼンタ(M)の発色材を含む第2画像形成層16、シアン(C)の発色材を含む第3画像形成層18が活性化する加熱時間と加熱温度の組み合わせを領域21、領域22、領域23として示している。
図2に示すように、第1画像形成層14であるイエロー層は、Ta3以上の温度をt1以上付与すれば発色する。第2画像形成層16であるマゼンタ層は、Ta2(<Ta3)以上の温度をt2(>t1)以上付与すれば発色する。第3画像形成層18であるシアン層は、Ta1(<Ta2<Ta3)以上の温度をt3(>t2>t1)以上付与すれば発色する。
例えばイエローのみ発色させたい領域に対しては、Ta3以上の温度をt1以上t2以下だけ付与すればよい。マゼンタのみ発色させたい領域に対しては、Ta2以上Ta3以下の温度をt2以上t3以下だけ付与すればよい。シアンのみ発色させたい領域に対しては、Ta1以上Ta2以下の温度をt3以上付与すればよい。このように、それぞれの色要素の発色を個別に制御することにより、イエロー、マゼンタおよびシアンの組み合わせによる色空間を表現することが可能となる。
Ta1、Ta2、Ta3は、それぞれの画像形成層に含まれる材料によって調整される値であるが、一般的には、約90℃から約300℃の範囲内で、適切な間隔(温度差)をもって設定されることが好ましい。例えばTa1については、出荷および保管の間に活性化しない程度の範囲でなるべく低い温度に設定されることが求められ、100℃程度であることが好ましい。一方、Ta3については、下層に位置する第2、第3画像形成層15、18が短時間の熱拡散では活性化しない程度の温度であることが求められ、200℃程度であることが好ましい。Ta2については、多少の温度変化が生じてもTa1やTa3に達しない程度の温度であることが求められ、140℃~180℃程度であることが好ましい。
なお、各画像形成層は、対応する領域内の加熱エネルギーを付与された場合でも、その領域内の位置に応じて、形成される色の濃度は異なる。例えば、第2画像形成層16に対して領域22内の加熱エネルギーを与えた場合、同じ加熱時間であっても、Ta3に近い温度を与えた方が、Ta2に近い温度を与えるよりも高い濃度の画像が形成されることとなる。
<印刷ヘッド>
図3(a)及び(b)は、本実施形態で使用する印刷ヘッド30を説明するための図である。図3(a)は印刷媒体10への印刷処理を行っている状態を示す側面図、図3(b)は印刷ヘッド30を、印刷媒体10に接触させる面を示す平面図である。
図3(a)に示すように、印刷ヘッド30の基盤31の一方の面には、グレーズ32、グレーズ32と同じ材質の凸面グレーズ33が設けられている。凸面グレーズ33の最も突出している部分には発熱素子34が配されている。なお、グレーズ32、凸面グレーズ33および発熱素子34には、これらを保護するための保護膜(不図示)が表面を覆うように設けられていることが好ましい。なお、凸面グレーズ33は必須の構成ではなく、発熱素子34は平板からなるグレーズ32上に配されていてもよい。基盤31の他方の面にはヒートシンク35が設けられ、ファンの使用によって印刷ヘッド全体が冷却されるようになっている。
図3に示すx方向は、印刷媒体10の幅方向に相当し、印刷媒体10は印刷ヘッド30の凸面グレーズ33および発熱素子34と接触しながら所定の速度でx方向と交差(本例では直交)するy方向に搬送される。
印刷ヘッド30において、グレーズ32及び凸面グレーズ33は、図3(b)に示すように、印刷媒体10の幅をカバーできる距離だけx方向に延在し、凸面グレーズ33には、複数の発熱素子34がx方向(第1方向)に沿って実質的に直線配列されている。本実施形態では、個々の発熱素子34においてx方向の長さが約40μm、y方向の長さが約120μmに設定されている。印刷媒体10が図3(b)のように搬送される際、印刷媒体10は、発熱素子34を含む凸面グレーズ33と約200ミクロン以上の長さで接触する。
印刷ヘッドに配列された各発熱素子は、電流が供給されることによって発熱し、その熱が印刷媒体10に付与される。印刷媒体は、印刷ヘッド30の抵抗からの熱を受けつつ搬送され、付与された熱によって各画像形成層が発色する。これにより、発熱素子34の配列方向に沿って1ライン毎に画像が形成される。なお、本実施形態では、発熱源としての発熱素子34が記録媒体に対して赤外線を照射して印刷媒体を加熱する赤外線画像化方式を採用しているが、他の方式や熱源を用いてもよい。
印刷ヘッド30によって印刷媒体10に熱が加えられる時間は、典型的には、画像のライン毎に約0.001ミリ秒から約100ミリ秒の範囲内である。熱付与時間の上限は、印刷速度によって設定されるが、熱付与時間の下限は、電子回路(不図示)の制約によって定められる。
印刷媒体10における1画素領域は、x方向については発熱素子34のサイズで決まり、y方向については発熱素子34のサイズと印刷媒体10の搬送速度で決まる。よって、1画素領域の大きさは特に限定されるものではないが、一般的には、x方向及びy方向において100~600dpi(ドット/インチ)である。1画素領域のx方向とy方向の領域の大きさが異なってなっていてもよい。本実施形態ではx方向においてもy方向においても約40μmの領域を有するものとする。すなわち、印刷媒体10において、個々の画素は約600dpi(ドット/インチ)の密度で配列する。
<印刷装置>
図4は、本実施形態に係る印刷装置の内部構成図である。なお、図中、x方向は印刷媒体10の幅方向、y方向は印刷媒体10の搬送方向、z方向は鉛直方向を示している。印刷装置40内には、印刷ヘッド30、保持部41、搬送ローラ42、プラテン43、排出口44、温度センサ45、カメラ(取得手段)46、撮像ボタン47、バッテリー48等が設けられている。プリント前の印刷媒体10は保持部41に収納されている。このとき、複数の印刷媒体10は、その表面(図1の保護層13側)が上位(+z方向)に向いた状態で、重ねられている。
印刷ジョブを受信すると、搬送ローラ42が回転し、最下層に位置する印刷媒体10をy方向に搬送する。これにより、印刷媒体10は印刷ヘッド30とプラテン43が配置された印刷部へと送られる。印刷部において、印刷ヘッド30の凸面グレーズ33は搬送される印刷媒体10の表面(上面)に接触し、プラテン43は印刷中の印刷媒体10を下面から支持する。発熱素子34は印刷データに従って駆動され、発熱素子34により付与された熱に応じて印刷媒体10が発色する。印刷ヘッド30によって印刷された後の印刷媒体10は、排出口44より排出される。
印刷ヘッド30とプラテン43のニップ部の周辺には温度センサ45が設けられ、印刷ヘッド30により供給される温度を検知する。なお、温度センサ45にて検知する対象は、例えば、印刷ヘッド30が有する熱源としての発熱素子34の温度でもよいし、印刷媒体10の表面温度であってもよい。また、温度センサ45は、複数個配置することにより印刷ヘッド30の幅方向に沿って複数個配置されており、記録媒体10の幅方向全域を測定できる構成となっている。印刷媒体10の搬送速度は、画像形成の速度や画像形成時の解像度などに応じて制御される。例えば、高解像度の画像の形成を行う場合には、低解像度の画像の形成を行う場合に比べて搬送速度を遅くするような制御が行われる。また、印刷速度を優先する場合には、搬送速度を上げ、解像度を低下させるような制御が行われる。
<システム構成>
図5は、本実施形態におけるデータ処理装置を含むシステムの全体構成の例を示す図である。図5に示すように、本実施形態に係るシステムは、図4に示した印刷装置40と、当該印刷装置40のホスト装置としてのスマートフォン50とを含み構成される。ホスト装置は、スマートフォン50の他、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、あるいはデジタルカメラとすることができる。
スマートフォン50は、CPU(Central Processing Unit)501、RAM(Read Only Memory)502、HDD(Hard Disk Drive)503を備える。さらに、スマートフォン50は、通信I/F504、入力I/F505、表示デバイスI/F506、カメラ507等を備える。これらの構成要素は、内部バスにより互いに通信可能に接続されている。
CPU501は、HDD503やRAM502に保持されているプログラムや各種データに従った処理を実行する。RAM502は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。また、HDD503は、不揮発性のストレージであり、プログラムやデータを保持する。カメラ507は、ユーザ操作により撮像可能なデバイスであり、撮像した画像データはHDD503に保持される。
通信I/F504は外部装置との通信を司るインターフェースであり、ここでは印刷装置40との間におけるデータの送受信を制御する。ここでのデータ送受信の接続方式としては、USB等の有線接続や、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)等の無線接続を用いることができる。入力デバイスI/F505は、タッチパネル等のHID(Human Interface Device)を制御するインターフェースであり、ユーザによる入力を受け付ける。表示デバイスI/F506は、撮像画像や画像データ等を表示する不図示の表示デバイスにおける表示を制御する。
印刷装置40は、データ処理装置を構成するCPU401、RAM402、ROM403、通信I/F404、ヘッドコントローラ405、カメラコントローラ406、画像処理アクセラレータ407等を含み構成される。さらに、これらの構成要素は、内部バスにより互いに通信可能に接続される。CPU401は、ROM403及びRAM402に保持されているプログラム及び各種データをRAM402の所定のメモリ領域に転送し、それらプログラム及びデータに応じて後述する各実施形態の処理を実行する。RAM402は、揮発性のストレージであり、前述のようにCPU401等によって転送されたプログラムやデータを一時的に保持する。また、ROM403は不揮発性のストレージであり、後述する処理で使用されるテーブルデータやプログラムを保持する。
通信I/F404は、外部装置との通信を司るインターフェースであり、ここではスマートフォン50との間におけるデータの送受信を制御する。ヘッドコントローラ405は、図3に示した印刷ヘッド30に対し、印刷データに基づいて加熱動作を制御する。即ち、ヘッドコントローラ405は、RAM402の所定のアドレスから制御パラメータと印刷データを読み込む。そして、CPU401が、制御パラメータと印刷データをRAM402の所定のアドレスに書き込むと、ヘッドコントローラ405による処理が開始され、印刷ヘッド30の加熱動作が行われる。
カメラコントローラ406は、図4に示したカメラ46の動作を制御する。具体的には、ユーザが撮像ボタン47を押すと、カメラコントローラ406はカメラ46に対して撮像指示を出し、撮像指示を受けたカメラ46が撮像を行う。撮像した画像はRAM402に一時的に保持される。
撮像した画像等の印刷を行う場合、ヘッドコントローラ405が処理を開始し、印刷ヘッド30による印刷媒体への加熱動作を制御する。画像処理アクセラレータ407は、ハードウェアにより構成され、所定の画像処理を高速に実行することができる。
画像処理を行うに際し、CPU401は、まず、RAM402の所定のアドレスに画像処理に必要なパラメータ及びデータを書き込む。これに応じて画像処理アクセラレータ407が起動され、所定の画像処理を開始する。なお、本開示において、画像処理アクセラレータ407は必ずしも必要な要素ではない。印刷装置40の仕様などに応じてCPU401が後述のテーブルパラメータの作成処理及び画像処理を実行することも可能である。
また、温度センサ45は、印刷ヘッド30の発熱素子34の周辺温度を検知し、検知結果を温度情報としてCPU401等に提供する。CPU401は、温度情報等を含む所定の取得情報に基づき、印刷ヘッド30の各発熱素子34の発熱制御を行うための各種処理を行う。CPU401によって実行される処理および制御の詳細は後述する。
なお、本実施形態では、独立した2つの装置、すなわち印刷装置40とスマートフォン50とを通信可能に接続したシステム構成を例示したが、このシステム構成を単一の装置構成内に実現することも可能である。また、印刷装置40と撮像装置(不図示)とが一体化した装置内に、上記システム構成を実現することも可能である。
<印刷サービス>
図6は、印刷サービス提供処理における一連の処理の流れを示すフローチャートであり、図中、破線矢印はデータの送受信を示している。図6において、S601~605の処理は、スマートフォン50において実行され、S611~S616の処理は、印刷装置40において実行される。これらの処理は、各装置に設けられたCPUにより行われる。即ち、ホスト装置であるスマートフォン50では、CPU501が、HDD503及びRAM502に保持されているプログラムを読み出して実行することによりS601~S605の処理を行う。また、印刷装置40では、CPU401が、ROM403及びRAM402に保持されているプログラムを読み出して実行することによりS611~S616の処理を行う。なお、図中、破線矢印はデータの送受信を示している。
印刷装置40は、電源が投入されると、まず、S611において自らが印刷可能であることを確認し、印刷可能状態であることが確認されると待機状態となる。
一方、スマートフォン50は、S601において、印刷サービスDiscoveryを実施する。ここでは、印刷サービスDiscoveryとして、ユーザ操作に従った周辺機器の検索処理、または印刷サービスを提供可能な状態の印刷装置を定期的に検索する検索処理等を行う。なお、スマートフォン50と印刷装置40とが接続された際にスマートフォン50が問い合わせを行う処理等を行ってもよい。
S612において、印刷装置40は、スマートフォン50から印刷サービスDiscoveryを受信すると、これに対する応答として、自らが印刷サービスを提供できる機器であることを通知する。
S602にて、スマートフォン50は、印刷装置40から印刷サービスを提供できる旨の通知を受信した場合、印刷装置40に対して印刷可能情報を要求する。
S613にて、印刷装置40は、スマートフォン50からの印刷可能情報の要求への応答として、自身が提供できる印刷サービスの情報を通知する。
印刷装置40から印刷可能情報を受信すると、スマートフォン50は、S603において印刷可能情報を元に、印刷ジョブ作成用のユーザインタフェースを生成する。具体的には、印刷装置40の印刷可能情報を元に、印刷画像の指定、印刷サイズ、印刷可能用紙サイズ等の情報と、適切な選択肢を示す情報とをディスプレイ(不図示)に表示させる。そして、タッチパネル等の入力デバイス(不図示)を介して行われるユーザからの設定を受け付ける。この後、S604において、スマートフォン50は、ユーザから受け付けた設定情報に基づき印刷ジョブを発行し、印刷装置40へ送信する。
S614において、印刷装置40は、スマートフォン50からの印刷ジョブを受信する。そして印刷装置40は、受信した印刷ジョブを解析し、実行する(S615)。印刷ジョブに対応する処理(印刷処理)の詳細については後述する。
印刷処理が完了すると、印刷装置40は、S616において印刷完了通知情報をスマートフォン50に送信する。これにより、印刷装置40側の処理は完了し、待機状態となる。
一方、スマートフォン50は、S605において印刷ジョブ完了通知情報を受信して、その通知情報をディスプレイ上に表示し、ユーザに伝達する。以上により、スマートフォン50側の処理は完了する。
なお、上記の説明では、種々の情報伝達はいずれもスマートフォン50側から印刷装置40に対してリクエストを行い、そのリクエストに対し印刷装置40が応答する、といういわゆるPuLL型の通信方式を例示した。しかし、スマートフォン50と印刷装置40との間で行う通信方式は、Pull型の通信に限定されない。印刷装置40がネットワークに存在する1または複数のスマートフォン50に対して自発的に発信を行う、いわゆるPush型の通信方式をとることも可能である。
<印刷ヘッド制御>
本実施形態において行う印刷ヘッド30の加熱制御について説明する。
図7は、印刷媒体10において1画素の発色を行うために印刷ヘッドの1つの発熱素子34に電圧を印加する加熱信号を示す図である。図7では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、黒色(K)のそれぞれの画素を発色させるため加熱信号を示している。各加熱信号は、複数の加熱パルス信号(電圧パルス)を含むパルス信号列により構成されている。なお、図7の横軸は時間を、縦軸は加熱信号の電圧を示している。
図7において、1画素を形成する加熱信号は、52個の区間(a~Zの区間)に対応する時間を有し、52個の区間内に所定数の加熱パルス信号が含まれる。1つの加熱パルス信号のパルス幅(時間)は、1つの区間に対応する時間内に設定されている。1つの区間の長さをΔt0としたとき、1画素を形成するために要する時間は、Δt0×52となる。つまり、1画素分の発色には、加熱パルスの52サイクル分の時間が用いられ、この時間内に含まれる複数の加熱パルス信号からなるパルス信号列により発色が制御される。
加熱パルス信号は、HighとLow(ONとOFF)の2値の電圧に変化する。以下の説明において、加熱パルスがONとなる状態をパルスON、加熱パルスがOFFと称す。加熱パルス信号の電圧がHighの際には、発熱素子34による加熱が行われ、加熱パルス信号の電圧がLowの際には発熱素子34による加熱は行われない。従って、各色に対する加熱信号に含まれるパルスONの数を制御することにより、印刷媒体10における発色を制御している。なお、本実施形態では、区間a~Zに印加される全ての加熱パルス信号が、同一のパルス幅と同一の電圧を有している。
印刷媒体10においてイエロー(Y)の発色層を活性化(発色)させる場合、図2の領域21に示す発色条件を満たす加熱を行う必要がある。そのため、区間a~区間jのそれぞれにおいて加熱パルスを発生させる。つまり、区間a~区間jにおいてパルスONとパルスOFFを繰り返し発生させる。また、マゼンタ(M)を発色させる場合、図2に示す領域22に示す発色条件を満たす必要があり、そのため、区間a~区間yにおいてパルスONとパルスOFFを繰り返し発生させる。同様に、シアン(C)を発色させる場合、図2に示す領域23の発色条件を満たすため、区間a~区間WにおいてパルスONとパルスOFFを繰り返し発生させる。このように、パルスONの期間の間にパルスOFFを介在させることにより、目的とする温度以上に印刷媒体10の温度が上昇することを抑制することができる。即ち、パルスONの時間とパルスOFFの時間を制御することで、目的とする温度を維持することが可能になる。なお、本実施形態では、パルスONのサイクルを一定としているが、パルスONのサイクルを異ならせるようにすることも可能である。
以上まとめると、図7に示す区間a~Zと、図2に示す加熱時間t1~t3及び加熱温度Ta1~Ta3との関係は以下のようになる。
即ち、図2に示す活性化温度を超えるために必要な加熱時間は、
t2>Yの加熱時間(区間a~区間j)>t1
t3>Mの加熱時間(区間a~区間y)>t2
Cの加熱時間(区間a~区間W)>t3
となっている。従って、Y、M、Cそれぞれの発色に要する加熱時間の相対的な関係は、
Yの加熱時間<Mの加熱時間<Cの加熱時間
となっている。なお、前述のように、Y、M、Cそれぞれの発色は、第1ないし第3画像形成層14、16、18において生じる。
印刷ヘッド30により印刷媒体10に付与される加熱エネルギー(熱量)は、各加熱信号におけるインターバル時間(パルスOFF時間)において図3に示す印刷ヘッド30のグレーズ32(及び凸面グレーズ33)、基盤31、ヒートシンク35等に熱伝導される。さらに、印刷媒体10中に熱伝導された熱量は、図4に示すプラテン43等の周辺にも伝搬する。そのため、インターバル時間には、印刷媒体10の温度は低下する。その結果、印刷媒体10に付与される加熱エネルギー(熱量)が同一である場合に、各画像形成層14、16、18におけるピーク温度は、
第1画像形成層14>第2画像形成層16>第3画像形成層18
となる。このため、各画像形成層14、16、18を発色させるためには、各画像形成層のピーク温度が以下のような関係となるように、印刷ヘッド30を制御する必要がある。
画像形成層14(Y)のピーク温度>Ta3
Ta3>第2画像形成層16(M)のピーク温度>Ta2
Ta2>第3画像形成層18(C)のピーク温度>Ta1
各画像形成層のピーク温度が上記のような関係となるように、印刷ヘッド30を制御することにより、Y、M、Cそれぞれの色を独立に発色させることができる。
次に、N次色の画素を形成するための加熱パルス信号について説明する。ここでN次色とは、異なるN個の色を組み合わせた色を意味する。本実施形態では、印刷媒体10に含まれる第1、第2、第3画像形成層、14、16、18の中の2層または3層を、同一の画素位置において発色させることにより、2次色または3次色の画素を形成する。本実施形態で形成する2次色は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)であり、3次色は黒色(K)である。
赤色(R)の画素を形成する場合には、図7の(R)に示す加熱パルス信号列を発熱素子34に印加する。これにより、イエロー(Y)、マゼンタ(M)をこの順で発色させ、2次色である赤(R)の画素を形成することができる。
また、緑色(G)の画素を形成する場合には、図7の(G)に示す加熱パルス信号列を発熱素子34に印加して、イエロー(Y)、シアン(C)をこの順で発色させる。同様に、図7に示す青色(B)の画素を形成する場合には、図7の(B)に示す加熱パルス信号列を発熱素子34に印加し、マゼンタ(M)、シアン(C)をこの順で発色させる。また、図7に示す黒色(K)の画素を形成する場合には、図7の(K)に示す加熱パルス信号列を発熱素子34に印加し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)をこの順で発色させる。これにより、3色が組み合わされた黒色(K)の画素が形成される。
<濃度むら補正値の算出フロー>
図8は、本実施形態に係る濃度むら補正値を算出する処理の流れを示すフローチャートであり、図中、破線矢印はデータの送受信を示している。図8において、S801~804の処理は、スマートフォン50において実行され、S811~S815の処理は印刷装置40において実行される。これらの処理は、各装置に設けられたCPUにより行われる。即ち、ホスト装置であるスマートフォン50では、CPU501が、HDD503及びRAM502に保持されているプログラムを読み出して実行することによりS801~S804の処理を行う。また、印刷装置40では、CPU401が、ROM403及びRAM402に保持されているプログラムを読み出して実行することによりS811~S815の処理を行う。
ユーザによって濃度むらの補正の指示が入力されると、スマートフォン50は、S8011において、濃度むら補正値の作成指示を印刷装置40に送信する。印刷装置40は、スマートフォン50から濃度むら補正指示を受信すると、発熱素子34の発熱特性を検出するための画像を印刷媒体10に形成する(S811)。この発熱素子の発熱特性を検出するための画像は、印刷ヘッド30に設けられている複数の発熱素子34の発熱特性のばらつきを検出するための画像であり、その画像データは印刷装置40のROM403に保持されている。以下、この画像を検出画像と称し、検出画像を表す画像データを検出画像データと称す。この検出画像については、後に、図9を参照しつつ説明する。検出画像の印刷処理が完了すると、印刷装置40は、印刷完了通知をスマートフォン50に送信し(S812)、待機状態となる。
なお、S811では、印刷装置40が、ROM403に保持されている検出画像データを読み出して印刷する例について述べたが、これに限定されない。スマートフォン50のHDD503に保持されている検出画像データを印刷装置40に送信し、印刷装置40が受信した検出画像を印刷するようにしてもよい。
S802において、スマートフォン50は、印刷装置40から送信された印刷完了通知を受信し、受信した印刷完了通知をディスプレイ上に表示する。さらに、スマートフォン50は、印刷媒体10に形成された検出画像を印刷装置40のカメラ46により撮像することを指示するメッセージをスマートフォン50のディスプレイ上に表示し、ユーザに検出画像の撮像を促す(S803)。
スマートフォン50に表示されたメッセージに従い、ユーザが印刷装置40の撮像ボタン47を押すと、印刷装置40は、カメラ46によって印刷媒体10に形成された検出画像の撮像を行う(S813)。この後、S814において、印刷装置40のCPU401は、カメラ46によって撮像した検出画像を解析し、濃度むら補正値の算出を行って、濃度むら補正用の補正テーブルを作成する。作成した濃度むら補正テーブルはRAM402に保持する。なお、濃度むら補正値の算出及び補正テーブルの作成処理の詳細については後述する。この後、印刷装置40は、補正テーブルの作成完了通知をスマートフォン50に送信し、待機状態となる(S815)。
S804において、スマートフォン50は、印刷装置40から受信した補正テーブルの作成完了通知をスマートフォンのディスプレイに表示する。この表示により、ユーザは、濃度むら補正された画像を印刷することが可能になったことを認識する。以上により、濃度むら補正値及び補正テーブル作成処理は完了する。
なお、上記のフローチャートでは、検出画像の撮像を印刷装置40のカメラ46で行い、印刷装置40のCPU(補正手段)401で濃度むら補正値を算出する例を示した。しかし、検出画像の撮像、濃度むら補正値の算出等の処理は、スマートフォン50側で行うことも可能である。例えば、スマートフォン50のカメラ507で検出画像を撮像し、スマートフォン50のCPU501で算出した濃度むら補正値を印刷装置40に転送し、印刷装置40は受信した補正値に基づいて補正テーブルを作成し、RAM402に保持するようにしてもよい。
<検出画像>
次に、本実施形態において形成される検出画像について説明する。図9(a)は、印刷媒体10に印刷される検出画像1001の一例を示す部分拡大図である。図中、y方向は印刷媒体の搬送方向(印刷媒体の幅方向)であり、x方向は印刷媒体10の搬送方向と直交する方向である。印刷媒体10に対して印刷を行う印刷ヘッド30の複数の発熱素子34は、x方向に沿って配列されている。
図9(a)に示す検出画像1001は、発熱素子34の発熱特性を検出するために印刷される画像であり、マーク1002と、予熱領域1003と、解析領域1004とにより構成されている。
マーク1002は、印刷媒体の幅方向(x方向)に沿って所定の間隔を介して複数印刷されている。この複数のマーク1002は、発熱素子34の位置を特定するために用いられる画像である。複数のマーク1002は、最も短い加熱時間で発色する第1画像形成層14を主に発色させることによって形成することが好ましい。このマークによって、印刷された検出画像の読み取りに際し、発熱素子34と検出画像とを高精度に対応付けることが可能になる。
予熱領域1003は、発熱素子34を加熱して温度を安定化させるために印刷される領域である。この予熱領域1003には、高濃度イエロー(Y)、即ち、(R,G,B)=(255,255,0)を印刷する。
解析領域1004は、発熱素子34の特性を解析するために印刷する領域であり、高濃度イエロー(Y)、即ち(R,G,B)=(255,255,0)を印刷する。つまり、第1画像形成層14を主に発色させる。前述のように、第1画像形成層14を発色させるための加熱時間は、t2>Yの加熱時間(区間a~区間j)>t1であり、印刷媒体10の中の3つの画像形成層14、16、18の中で発色に要する加熱時間は最も短い。この第1画像形成層14を主に発色させるように各発熱素子34を発熱させて印刷を行う。なお、解析領域1004の形成において、主たる発色層が画像形成層14であればよく、その発色領域が第2、第3の画像形成領域より大きければよい。
このように、主たる発色層を第1画像形成層14として加熱時間を短くすることにより、印刷媒体において隣接する画素からの熱の伝搬を抑制することができる。また、他の画像形成層16及び18の発色を抑制し、解析領域1004を単色(高濃度イエロー)で形成するため、他の画像形成層16及び18の発色のばらつき等による解析領域1004の濃度変化を抑制することができる。このため、各発熱素子34の発熱特性に応じた画素を形成することができ、形成された解析領域1004に基づき、高精度に各発熱素子34の発熱特性を検出することが可能になる。
なお、以上説明した図9(a)に示す検出画像では、印刷媒体10において、1階調の解析領域1004を形成する例を示したが、複数の階調のそれぞれに応じて解析領域1004を形成してもよい。
<濃度むら補正値>
印刷媒体に形成される画像の濃度むらを抑制するため、本実施形態では、印刷データを補正するための濃度むら補正値を以下のように作成する。まず、印刷媒体10に形成された上述の検出画像1001を、カメラ46で撮像し、複数の発熱素子34それぞれの発熱特性を検出する。次いで、検出した各発熱素子34の発熱特性と、予めROM403に保持されている各画像形成層14、16、18の発色加熱特性とに基づいて、各色の印刷データ(c、m、yデータ)を補正するための1D_LUT(一次元ルックアップテーブル)を作成する。ここで発色加熱特性とは、図2に示す加熱時間と加熱温度との関係、もしくは加熱パルス信号等を意味する。
ここで、補正テーブルの作成方法を具体的に説明する。
シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)それぞれの印刷データ(以下、cデータ、mデータ、yデータと記す)が、「0」~「255」の階調値をとる256階調のデータであるとする。この場合、まず、検出した発熱特性を有する発熱素子34に、cデータの階調「1」に対応する基準の加熱パルス信号を印加して印刷媒体10を加熱した場合に、印刷媒体10の第3画像形成層18が発色するであろう濃度値、つまりシアン(C)の濃度値を算出する。そして、検出された濃度値と階調値「1」で定められている濃度値(目標濃度値)とに基づき、階調値「1」に対応する加熱パルス信号を、目標濃度値が得られるような加熱パルス信号へと変換するための補正値を作成する。即ち、検出された濃度値が目標濃度値と異なる場合には、階調値「1」に対応する加熱パルス信号として予め定められている基準の加熱パルス信号を目標濃度値が得られる加熱パルス信号(補正後の加熱パルス信号)へと変換するための、基準の加熱パルス信号と補正後の加熱パルス信号の対応付けを行う。
次に、階調値「2」についても同様に、階調値「2」に対応する基準のパルス信号を印加した場合に発色するであろう濃度値を算出し、算出した濃度値と目標濃度値とに基づいて目標濃度値が得られるような加熱パルス信号へと変換するための対応付けを行う。以下、同様に階調値「255」まで、上記対応付けを行う。
さらに、mデータ、yデータについても同様に、「0」から「255」の階調値のそれぞれについて上記対応付けを行う。
以上のようにして階調値毎に求めた、基準の加熱パルス信号と補正後の加熱パルス信号の対応付けをまとめて1次元のルックアップテーブルとし、cデータを補正する1D_LUT_C、mデータを補正する1D_LUT_M、yデータを補正する1D_LUT_Yとして、発熱素子43毎にROMに保持しておく。
この1D_LUTを用いることにより、cデータ、mデータ、yデータを階調毎に適正に補正することができ、印刷媒体10に対し所望の加熱エネルギーを付与することが可能になる。
なお、濃度むら補正値の算出において用いる目標濃度は、複数の発熱素子34の中で印加電圧が中心値に近い発熱素子34で印刷した濃度に設定してもよいし、最も印加電圧が低い発熱素子34で印刷した場合の濃度に設定してもよい。また、N次色はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の組み合わせであるため、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のそれぞれの濃度むら補正値を適用する。
図10は、印加電圧が低い発熱素子34に対応する補正前の加熱パルス信号(第1加熱信号)のパルスON数を、濃度むら補正値によって調整することによって補正後の加熱パルス信号(第2加熱信号)を生成した例を示す図である。図10では、図7と同様に印刷媒体10の1画素において発色させたい色に対応する加熱パルス信号の構成例を示している。発熱素子に印加される電圧はV’であり、V’<Vの関係となっている。ここでは一例として、V/V’=約1.1とする。
図10には、各色の加熱パルス信号の代表例として、高濃度の加熱パルス信号と、低濃度の加熱パルス信号が示されている。即ち、図10の上から順に、
高濃度イエロー(Y)の濃度むら補正前の加熱パルス信号(第1加熱信号)
高濃度イエロー(Y)の濃度むら補正後の加熱パルス信号(第2加熱信号)
低濃度イエロー(Y)の濃度むら補正前の加熱パルス信号(第1加熱信号)
低濃度イエロー(Y)の濃度むら補正後の加熱パルス信号(第2加熱信号)
高濃度マゼンタ(M)の濃度むら補正前の加熱パルス信号(第1加熱信号)
高濃度マゼンタ(M)の濃度むら補正後の加熱パルス信号(第2加熱信号)
低濃度マゼンタ(M)の濃度むら補正前の加熱パルス信号(第1加熱信号)
低濃度マゼンタ(M)の濃度むら補正後の加熱パルス信号(第2加熱信号)
高濃度シアン(C)の濃度むら補正前の加熱パルス信号(第1加熱信号)
高濃度シアン(C)の濃度むら補正後の加熱パルス信号(第2加熱信号)
低濃度シアン(C)の濃度むら補正前の加熱パルス信号(第1加熱信号)
低濃度シアン(C)の濃度むら補正後の加熱パルス信号(第2加熱信号)
が示されている。
図10に示す高濃度イエロー(Y)の濃度むら補正前の加熱パルス信号は、図7に示すイエロー(Y)の加熱パルス信号より電圧が低い。従って、図10に示す加熱パルス信号は、図7に示す加熱パルス信号とパルスON数は同一であるが、印刷部材10上の画像濃度は薄くなる。そのため、図10に示す高濃度イエロー(Y)の濃度むら補正後の加熱パルス信号は、図7に示すイエロー(Y)の加熱パルス信号と略同一の濃度が得られるようにパルスON数を増加させている。
同様に、図10に示す高濃度マゼンタ(M)の濃度むら補正前の加熱パルス信号は、図7に示すイエロー(M)の加熱パルス信号より電圧が低いため、パルスON数は同一であっても印刷部材10上の画像濃度は薄くなっている。そのため、図10に示す高濃度マゼンタ(M)の濃度むら補正後の加熱パルス信号は、図7に示すマゼンタ(M)の加熱パルス信号と略同一の濃度が得られるようにパルスON数を増加させている。
さらに、図10に示す高濃度シアン(C)の濃度むら補正前の加熱パルス信号は、図7に示すシアンの加熱パルス信号より電圧が低い小さいため、パルスON数は同一であっても印刷部材10上の画像濃度は薄くなっている。そのため、図10に示す高濃度シアン(C)の濃度むら補正後の加熱パルス信号は、図7に示すシアン(C)の加熱パルス信号と略同一の濃度が得られるようにパルスON数を増加させている。
また、図10に示すように、イエロー(Y)の加熱パルス信号は、パルスONの間隔がマゼンタ(M)やシアン(C)に比べて密になっている。よって、区間a~区間jにおいて、図7に示す加熱パルス信号と略同一の濃度が得られるようにパルスON数を増加させることができない。つまり、区間a~区間jの加熱時間によって、必要とされる熱流束を得ることはできない。よって、図10に示す例では、区間a~区間mのように区間を広げることによりパルスON数を増加することによって印刷濃度を高める補正を行っている。
一方、マゼンタ(M)やシアン(C)はパルスONの間に広いパルス間隔が存在するため、図7に示す加熱パルス信号と同一の区間(加熱時間)内で、パルスON数を増加させて熱流束を増加させる補正を行っている。これにより、マゼンタ(M)やシアン(C)においても、図7に示す加熱パルス信号と略同一濃度の印刷が可能となる。
また、図10に示す例において、イエロー(Y)では、高濃度イエロー(Y)の濃度むら補正前の加熱パルス信号におけるパルスON数が10、濃度むら補正後の加熱パルス信号におけるパルスON数が13となっている。つまり、補正前のパルスON数に対して補正後のパルスON数を1.3倍に増加させている。一方、電圧Vに対する電圧V’の減少の割合は約1.1となっており、電圧の減少の割合よりパルスON数を増加させる割合の方が大きくしている。
またマゼンタ(M)では、高濃度マゼンタ(M)の濃度むら補正前の加熱パルス信号のパルスON数が7、高濃度マゼンタ(M)の濃度むら補正後の加熱パルス信号のパルスON数が8である。つまり、補正によりパルスON数が増加した割合は1.1となっており、これは、電圧Vに対する電圧V’の減少の割合(約1.1)と略同一である。同様に、シアン(C)では、高濃度シアン(C)の濃度むら補正前の加熱パルス信号のパルスON数が9、高濃度シアン(C)の濃度むら補正後の加熱パルス信号のパルスON数が11であり、補正によりパルスON数が増加した割合は1.1となっている。従って、シアン(C)においても補正によりパルスON数が増加した割合と、電圧Vに対する電圧V’の減少の割合(約1.1)とは略同一になっている。
このように、補正前の加熱パルス信号と同一の加熱時間においてONパルス数を増加させることができないイエロー(Y)の方が、マゼンタ(M)やシアン(C)に比べてパルスON数(即ち加熱エネルギー)の変化率が大きくなる。
また、低濃度イエロー(Y)の濃度むら補正前の加熱パルス信号におけるパルスON数は5、低濃度イエロー(Y)の濃度むら補正後の加熱パルス信号におけるパルスON数は6であり、補正によってパルスON数を増加させた割合は1.2となっている。つまり、低濃度イエロー(Y)より高濃度イエロー(Y)の方が、補正によるパルスON数の変化率(濃度むら補正値)が大きくなる。
図9(b)は、発熱素子34の発熱特性を検出するための検出用画像の他の例を示す部分拡大図である。図示の検出画像1010は、複数の発熱素子(第1発熱素子)34からなる発熱素子列のうち、奇数番号の発熱素子(第2発熱素子)34の発熱特性を検出するための領域(第1領域)と、偶数番号の発熱素子34の発熱特性を検出するための領域(第2領域)とを個別に印刷したものである。
即ち、検出画像1010には、奇数番号の発熱素子34を加熱して温度を安定化するための予熱領域1005と、奇数番号の発熱素子34の特性を解析するための解析領域1006とが印刷されている。これらの領域は、いずれも高濃度イエロー(Y)(R,G,B)=(255,255,0)により印刷する。さらに、検出画像1010には、偶数番号の発熱素子34を加熱して温度を安定化するための予熱領域1007と、偶数番号の発熱素子34の特性を解析するための解析領域1008とが印刷されている。これらの領域も高濃度イエロー(Y)(R,G,B)=(255,255,0)により印刷する。
検出画像1010では、隣接する発熱素子34を加熱させずに印刷が行われる。このため、隣接した発熱素子34からの熱の影響を受けることなく各領域を形成することができ、個々の発熱素子34の発熱特性を正確に反映した解析領域を形成することができる。従って、この検出画像1010を読み取ることにより、各発熱素子34の発熱特性を高精度に検出することができる。
なお、印刷ヘッド30において、x方向に沿って配列される複数の各発熱素子34は、x方向において隣接する発熱素子の間隔(配列ピッチ)が同一であればよく、y方向における発熱素子の位置は、特に限定されない。即ち、発熱素子のy方向における位置は、同一直線上に揃えていても良いし、異なる位置であってもよい。本実施形態では、奇数番号の発熱素子と、偶数番号の発熱素子とを千鳥状に配置している。このため、x方向に延在する2本の発熱素子列、即ち、奇数番号の発熱素子からなる発熱素子列と、偶数番号の発熱素子からなる発熱素子列が形成されており、これらの発熱素子列によってx方向に延びる1本のラインが形成される。また、奇数番号の発熱素子列、及び偶数番号の発熱素子列をさらに2列に分け、合計4列の発熱素子列によって1ラインを形成するようにしてもよい。
<画像処理>
図11は、本実施形態において行われる画像処理の流れを示すフローチャートである。図11の各工程において実行される処理は、図6のフローチャートのS615の工程において実行される。図11に示す処理は、例えば、印刷装置40のCPU401がROM403等に含まれるプログラムやデータを読み出して実行することにより実現される。即ち、本実施形態ではCPU401が印刷データである加熱信号を生成する生成手段としての機能を果す。なお、図11に示す一部の機能を画像処理アクセラレータ407などのASICによって実行することも可能である。
S1101において、CPU401は、図6のS614において受信した印刷ジョブ中の画像データを取得する。ここでは、画像データを1ページ毎に取得するものとして説明を行う。
S1102において、CPU401は、圧縮または符号化された画像データに対する復号化処理を行う。なお、画像データが圧縮や符号化されていない場合には、本処理は省略される。復号化処理により、画像データはRGBデータとなる。RGBデータの種別としては、例えば、sRGBやadobe(登録商標)RGB等の標準的な画像データが挙げられる。本実施形態における画像データは、各色8bitの情報を持ち、値域としては「0」~「255」を有するものとなっているが、16bitの情報、あるいは他のbit数の情報によって構成される画像データであってもよい。
S1103において、CPU401は、画像データに対して色補正処理を行う。なお、色補正処理は、スマートフォン50側で行うことも可能である。但し、印刷装置40に合わせた色補正を行う場合には、本例のように印刷装置40内で行うことが好ましい。色補正処理後の画像データはRGBデータであるが、この時点では印刷装置40に特化したRGB、いわゆるデバイスRGBの形式をとるものとする。
S1104において、CPU401は、画像データに対し、3次元ルックアップテーブルを用いて輝度濃度変換を行う。一般的なサーマル印刷装置では、例えば、画像データのRGBデータを用いて以下の変換を行う。
C=255-R
M=255-G
Y=255-B
一方、本実施形態に係るパルス制御の場合には、例えばマゼンタ(M)を単色で構成する場合におけるマゼンタの制御パラメータと、2次色である赤色(R)を構成するマゼンタの制御パラメータとが異なる。よって、両者を個別に設定するために、以下に示す3次元ルックアップテーブルを用いた輝度濃度変換を行うことが好ましい。
本実施形態では、以下に示す3次元ルックアップテーブルを用いて輝度濃度変換を行う。以下に示す3次元ルックアップテーブルの関数3D_LUT[R][G][B][N]において、変数R、G、BはそれぞれRGBデータの値が入力され、変数Nは出力するC,M,Yのいずれかが指定される。ここでは、C,M,Yとして、それぞれ0,1,2が指定されているものとする。
C=3D_LUT[R][G][B][0]
M=3D_LUT[R][G][B][1]
Y=3D_LUT[R][G][B][2]
上記の3D_LUTは、256×256×256×3の50331648個のデータテーブルから構成される。各データは、図7に示す区間a~区間Zのそれぞれにおいて印加するパルス幅に対応するデータとなっている。なお、ルックアップテーブルのデータ量を削減するために、例えば、グリッド数を256から17に減らして、17×17×17×3の14739個のデータテーブルを用い、グリッド間の値は補間演算によって算出してもよい。また、17グリッド以外にも、16グリッドや9グリッド及び8グリッド等、適宜好適なグリッド数を設定することも可能である。補間方法としては、四面体補間等、既知の方法を用いればよい。本実施形態において、3次元ルックアップテーブルは予め規定され、印刷装置40のROM403等に保持されている。
上記の3次元ルックアップテーブルを用いることで、各印刷色を構成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のそれぞれの制御パラメータを個別に設定することができる。即ち、2次色である赤色(R)を構成するイエロー(Y)及びマゼンタ(M)、緑色(G)を構成するシアン(C)及びイエロー(Y)、青色(B)を構成するマゼンタ(M)及びシアン(C)のそれぞれに対する制御パラメータを独立に設定することが可能となる。同様に、黒色(K)を構成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)それぞれに対する制御パラメータについても独立に設定することが可能となる。これにより、より細かな発色の制御が可能となり、色の再現性の向上に寄与することができる。
S1105において、CPU401は、変換された画像データに対して出力補正を行う。まず、CPU401は、各印刷色に対応した変換テーブルを用いて、C、M、Yの値に対応する加熱パルス信号のON数とパルスONの間隔を示す。この変換テーブル(変換式)は予め規定され、印刷装置40のROM403等に保持されているものとする。
c=1D_LUT[C]
m=1D_LUT[M]
y=1D_LUT[Y]
c、m、yによって示されるパルスON数とパルスONの間隔を補正することにょって、印刷媒体10中で発色強度を変調することが可能になり、所望の階調に対応する濃度を実現することができる。
さらに、CPU401は、温度センサ45によって取得した印刷媒体10または印刷ヘッド30の温度に応じて、加熱パルスを変調する。具体的には、温度センサ45によって検出した温度が高くなるに従って、活性化温度に到達させるために用いられる加熱パルスのパルスON数を減らすように制御する。この処理は既知の手段を用いて行うことができる。また、印刷媒体10の温度は、温度センサ45以外で取得することも可能である。例えば、スマートフォン50や印刷装置40において、印刷媒体10や印刷ヘッド30の温度を推定することによって取得することも可能であり、取得した推定温度に基づいて加熱パルス信号のパルスON数を制御してもよい。この温度の推定方法は、特に限定されるものではなく、既知の手法を用いることが可能である。
S1106において、CPU401は、S1105で生成したc、m、yデータを、発熱素子34毎に作成した下記の変換テーブルを用いて濃度むら補正値としてのc’、m’、y’データに変換(導出)する導出手段としての処理を行う。即ち、CPU401は、c、m、yデータによって示されるパルスON数及びパルスONの間隔を、c’、m’、y’データによって示されるパルスON数及びパルスONの間隔に変換(導出)する。
c’=1D_LUT_C[c]
m’=1D_LUT_M[m]
y’=1D_LUT_Y[y]
この後、CPU401は、S1107において上記の変換テーブルを参照して導出したパルスON数、パルスONの間隔に基づいてヘッドコントローラ405を介して印刷ヘッド30の制御を行う。この際、各発熱素子34には、濃度むらを補正値に基づいて制御されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)それぞれの加熱パルス信号が印加され、印刷媒体10の各画素領域への加熱を行う。これにより印刷媒体10上の各画素領域に所望の色を発色させることができる。
S1108において、CPU401は、1ページ分の印刷が完了したかを判定する。完了した場合は(S1108においてYES)、本処理フローを終了し、次ページの処理、もしくは、図6のS616の処理へ進む。1ページ分の印刷が完了していない場合は(S1108にてNO)S1101へ進み、当該ページに対する画像形成の処理を継続する。
以上のように本実施形態では、印刷ヘッド30の各発熱素子34の発熱特性と印刷媒体10の各画像形成層14、16、18の発色加熱特性とに応じた濃度むら補正を行うため、複数の画像形成層を積層した印刷媒体上に高品質な画像を形成することが可能になる。
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態を説明する。なお、本実施形態においても第1実施形態と同様に図3ないし図5に示す構成を備え、図1に示す印刷媒体10に対して印刷を行うものとする。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
上記の第1実施形態では、印刷媒体10に含まれる第1、第2、第3画像形成層14、16、18のうち、主に第1画像形成層14を発色させて高濃度イエロー(Y)の予熱領域1005と解析領域1004を含む検出画像1001を形成した。これに対し、本実施形態では、図12に示すような検出画像1201を形成する。即ち、マーク1202、高濃度イエローの予熱領域1203及び解析領域1204の他に、高濃度シアン(C)または高濃度マゼンタ(M)の予熱領域1205及び解析領域1206を形成する。
高濃度イエロー(Y)の予熱領域1203と解析領域1204(第3領域)は、第1実施形態と同様に、第1画像形成層14を発色させて形成する。高濃度イエロー(M)を発色させるための加熱パルス信号は、パルスONの間隔が密になっている。このため規定の加熱時間(区間a~区間j)においてパルスON数を増加させることができない。つまり、熱時間によっては、必要とされる熱流束を得ることができないため、区間a~区間mのように加熱時間を延長してパルスON数を増加することにより高濃度イエローの印刷を行う。
一方、高濃度シアン(C)または高濃度マゼンタ(M)の予熱領域1205、解析領域1206は、第2画像形成層16または第3画像形成層18を発色させて形成する。高濃度マゼンタ(M)は、(R,G,B)=(255,0,255)であり、高濃度シアン(C)は、(R,G,B)=(0,255,255)で表される。これらの色を発色させるための加熱パルス信号では、隣接するパルスONの間に広いパルス間隔が存在する。このため、規定の区間(加熱時間)内で、パルスON数を増加させて熱流束を増加させることが可能である。
そこで本実施形態では、イエロー(Y)の解析領域1204と、シアン(C)またはマゼンタ(M)の解析領域1206(第4領域)とを、それぞれ撮像・解析することによって発熱素子の発熱特性を求める。そして、求めた発熱特性に基づき各色の印刷データを補正するための補正テーブル(1D_LUT)を作成する。
即ち、yデータを補正する1D_LUTは、解析領域1204の撮像・解析によって求めた各発熱素子34の発熱特性と、予めROM403に保持されている第1画像形成層14の発色加熱特性(加熱パルス信号等)とに基づいて作成する。
また、mデータを補正する1D_LUTは、解析領域1206の撮像・解析によって求めた発熱素子34の発熱特性と、予めROM403に保持している第2画像形成層16の発色加熱特性(加熱パルス信号等)とに基づいて作成する。同様に、cデータを補正する1D_LUTは、解析領域1206によって求めた発熱素子34の発熱特性と、予めROM403に保持している第3画像形成層18の発色加熱特性(加熱パルス信号など)とに基づいて作成する。作成した1D_LUTはROM403に保持しておく。
以上のように、本実施形態では、規定の加熱時間内で発色させたシアン(C)またはマゼンタ(M)の解析領域から求めた発熱素子の発熱特性を用いてシアン(C)及びマゼンタ(M)の1D_LUTを作成する。このため、印刷媒体においてシアンマゼンタをより高精度に発色させることが可能となり、より高品質な画像を形成することが可能になる。
なお、第2画像形成層16と、第3画像形成層18に対する加熱パルス信号は、いずれも規定の加熱時間内で熱流束を変更する補正を行うことが可能であるため、解析領域1206を印刷する色は、シアン(C)とマゼンタ(M)のいずれであってもよい。但し、マゼンタ(M)は、シアン(C)より発色に要する加熱時間が短いため、マゼンタにより解析領域を印刷することがより好ましい。
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態を説明する。本実施形態においても図3ないし図5に示す構成を備え、図1に示す印刷媒体10に対して印刷を行うものとする。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
上記の実施形態では、図8で示したように、c、m、yデータとしての加熱パルス信号を補正する例を示した。これに対し、本実施形態では、画素値RGBを補正することにより、濃度むらの補正を行う。
以下、図13のフローチャートを参照しつつ本実施形態において実行する画像形成処理を説明する。なお、図13に示すS1301~S1303、S1305~S1308は、図11に示すS1101~S1103、S1105、S1107、S1108と同様であり、第1実施形態との重複説明は省略する。
本実施形態においても濃度むら補正値の算出処理では、一例として最も印加電圧が低い発熱素子34を基準の発熱素子とし、第1実施形態と同様に基準の発熱素子の発熱特性と、RGBデータから変換されたCMYデータにより発色するであろう色を算出する。この算出を全てのRGBの組み合わせにおける256×256×256=16777216個に対して行い、これらの色を目標色とする。同様に、他の発熱素子34においても発熱素子特性とRGBより変換されたCMYデータにより発色するであろう色の算出を、全てのRGBの組み合わせに対して行う。
次に、他の発熱素子34については、全てのRGBの組み合わせ(16777216通りの組みわせ)において基準発熱素子と略同一の色となるRGBの組み合わせとの対応付けを行い、3D_LUTとして保持する。この3D_LUTは発熱素子34それぞれにおいて作成する。3D_LUTは、256×256×256×3の50331648個のデータテーブルでもよいし、例えば、17グリッドや16グリッドや9グリッド及び8グリッド等、好適なグリッド数を適宜設定してもよい。補間方法についても四面体補間等、既知の方法を用いればよい。
本実施形態のS1304で行う濃度むら補正処理では、第1実施形態のS1106で行う濃度むら補正処理のようにcデータ、mデータ、yデータを補正するのではなく、画素値RGBを補正する。本実施形態と第1実施形態とはこの点で相違する。画素値RGBは、発熱素子34毎に作成した下記変換テーブルにより変換する。
R’=3D_LUT[R][G][B][0]
G’=3D_LUT[R][G][B][1]
B’=3D_LUT[R][G][B][2]
以上のように本実施形態では、印刷ヘッド30の各発熱素子34の発熱特性と印刷媒体10の各画像形成層14、16、18の発色加熱特性とに応じて、画像値RGBを補正することにより発熱素子34の発熱特性のばらつきによる濃度むらを低減することができる。
<他の実施形態>
上記実施形態では、濃度むら補正値の導出処理、及び補正テーブルの作成処理等を印刷装置40のCPU401で行う例を示したが、これらの処理は、ホスト装置であるスマートフォン50において行うことが可能である。例えば、印刷装置40から各発熱素子34の発熱特性を送信し、その発熱特性によってスマートフォン50のCPU501で濃度むら補正値または補正テーブルを導出してもよい。この場合、得られた濃度むら補正値または補正テーブルを印刷装置40に送信し、保持させるようにすることで、印刷装置40の処理に要する負担を軽減することができる。
また、本開示は、上記実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
なお、本開示は、以下の構成、方法、及びプログラムを含む。
(構成1)
異なる加熱エネルギーが付与されることにより互いに異なる色を発色する複数の発色層が積層された印刷媒体に対し前記加熱エネルギーを付与する複数の発熱素子を制御するためのデータを処理するデータ処理装置であって、
複数の前記発熱素子それぞれの発熱特性を取得する取得手段と、
画素に対応する画像データに基づいて前記各発熱素子に前記加熱エネルギーを発生させる印刷データを、複数の前記発色層それぞれの発色加熱特性と前記各発熱素子の前記発熱特性とに基づいて補正するための補正値を導出する導出手段と、を備えることを特徴とするデータ処理装置。
(構成2)
前記取得手段は、複数の前記発熱素子によって前記印刷媒体に形成された単色の検出画像の濃度を読み取り、読み取った濃度に基づいて前記発熱素子の前記発熱特性を取得することを特徴とする構成1に記載のデータ処理装置。
(構成3)
前記検出画像は、所定の発色層の発色領域が他の発色層の発色領域より大きく形成されていることを特徴とする構成2に記載のデータ処理装置。
(構成4)
前記発熱特性は、所定の前記印刷データに対して前記発熱素子が発生する加熱エネルギーの熱量を表すことを特徴とする構成1ないし3のいずれかに記載のデータ処理装置。
(構成5)
前記印刷データを生成する生成手段を更に備え、
前記生成手段は、複数の前記発色層それぞれの前記発色加熱特性に基づいて予め定められた第1加熱信号を前記補正値に基づいて補正することにより第2加熱信号を生成し、当該第2加熱信号を前記印刷データとして出力する補正手段を備えることを特徴とする構成1ないし4のいずれかに記載のデータ処理装置。
(構成6)
前記発熱素子は、電圧を印加することによって前記加熱エネルギーを発生し、
前記第1加熱信号及び前記第2加熱信号は、前記発熱素子に電圧を印加する複数の電圧パルスによって構成され、
前記補正手段は、前記発熱特性に応じて前記第1加熱信号を構成する前記電圧パルスのパルス数とパルス間隔の少なくとも一方を補正して前記第2加熱信号を生成することを特徴とする構成5に記載のデータ処理装置。
(構成7)
前記電圧パルスのパルス幅とパルス数は、前記発熱素子によって前記印刷媒体が加熱される加熱温度と加熱時間とを規定することを特徴とする構成6に記載のデータ処理装置。
(構成8)
前記補正手段は、複数の前記発熱素子のうち、発生する前記加熱エネルギーが少ない前記発熱素子ほど、前記第2加熱信号を構成する前記電圧パルスのパルス数を増加させることを特徴とする構成6または7に記載のデータ処理装置。
(構成9)
前記補正手段は、前記第1加熱信号を構成する前記電圧パルスのパルス数とパルス間隔の少なくとも一方を補正するための補正値を前記発色層に対応する複数の色のそれぞれの階調値毎に定めた補正テーブルを用いて前記第1加熱信号を補正することを特徴とする構成6ないし8のいずれかに記載のデータ処理装置。
(構成10)
前記印刷媒体は、イエローを発色する第1発色層と、マゼンタを発色する第2発色層と、シアンを発色する第3発色層と、を含むことを特徴とする構成1ないし9のいずれかに記載のデータ処理装置。
(構成11)
前記印刷媒体には、前記発熱素子により前記加熱エネルギーが付与される側から、前記第1発色層、前記第2発色層、前記第3発色層が順次に積層されていることを特徴とする構成10に記載のデータ処理装置。
(構成12)
前記検出画像は、前記発熱素子の温度を安定させるために印刷される予熱領域と、前記発熱素子の前記発熱特性を検出するための解析領域とを含み、
前記取得手段は、前記解析領域の濃度を読み取ると共に、当該読み取った濃度を複数の前記発熱素子のそれぞれに対応する領域毎に解析し、複数の前記発熱素子それぞれの発熱特性を定めることを特徴とする構成2または3に記載のデータ処理装置。
(構成13)
前記複数の発熱素子は、第1方向に沿って配列され、
前記検出画像は、複数の前記発熱素子のうち、前記第1方向において隣接しない複数の第1発熱素子によって印刷された第1領域と、前記第1方向において前記第1発熱素子に隣接する複数の第2発熱素子によって形成された第2領域とを含むことを特徴とする構成2または3に記載のデータ処理装置。
(構成14)
前記検出画像は、複数の前記発色層のうち、前記発熱素子による加熱時間が所定の時間より短く且つ加熱温度が所定の温度以上である場合に印刷される第3領域と、前記発熱素子による加熱時間が前記所定の時間以上であり且つ前記発熱素子による加熱温度が前記所定の温度以下である場合に印刷される第4領域とを少なくとも含むことを特徴とする構成2または3に記載のデータ処理装置。
(方法1)
異なる加熱エネルギーが付与されることにより互いに異なる色を発色する複数の発色層が積層された印刷媒体に対し、前記加熱エネルギーを付与する複数の発熱素子を制御するためのデータを処理するデータ処理方法であって、
複数の前記発熱素子それぞれの発熱特性を取得する取得工程と、
画素に対応する画像データに基づいて前記各発熱素子に前記加熱エネルギーを発生させる印刷データを、前記発色層の発色加熱特性と前記各発熱素子の発熱特性とに基づいて補正するための補正値を導出する導出工程と、を備えることを特徴とするデータ処理方法。
(プログラム1)
コンピュータに、方法1に記載の各工程を実行させるためのプログラム。
10 印刷媒体
14 第1画像形成層
16 第2画像形成層
18 第3画像形成層
34 発熱素子
40 印刷装置
46 カメラ
401 CPU

Claims (16)

  1. 異なる加熱エネルギーが付与されることにより互いに異なる色を発色する複数の発色層が積層された印刷媒体に対し前記加熱エネルギーを付与する複数の発熱素子を制御するためのデータを処理するデータ処理装置であって、
    複数の前記発熱素子それぞれの発熱特性を取得する取得手段と、
    画素に対応する画像データに基づいて前記各発熱素子に前記加熱エネルギーを発生させる印刷データを、複数の前記発色層それぞれの発色加熱特性と前記各発熱素子の前記発熱特性とに基づいて補正するための補正値を導出する導出手段と、を備えることを特徴とするデータ処理装置。
  2. 前記取得手段は、複数の前記発熱素子によって前記印刷媒体に形成された単色の検出画像の濃度を読み取り、読み取った濃度に基づいて前記発熱素子の前記発熱特性を取得することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
  3. 前記検出画像は、所定の発色層の発色領域が他の発色層の発色領域より大きく形成されていることを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
  4. 前記発熱特性は、所定の前記印刷データに対して前記発熱素子が発生する加熱エネルギーの熱量を表すことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
  5. 前記印刷データを生成する生成手段を更に備え、
    前記生成手段は、複数の前記発色層それぞれの前記発色加熱特性に基づいて予め定められた第1加熱信号を前記補正値に基づいて補正することにより第2加熱信号を生成し、当該第2加熱信号を前記印刷データとして出力する補正手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
  6. 前記発熱素子は、電圧を印加することによって前記加熱エネルギーを発生し、
    前記第1加熱信号及び前記第2加熱信号は、前記発熱素子に電圧を印加する複数の電圧パルスによって構成され、
    前記補正手段は、前記発熱特性に応じて前記第1加熱信号を構成する前記電圧パルスのパルス数とパルス間隔の少なくとも一方を補正して前記第2加熱信号を生成することを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
  7. 前記電圧パルスのパルス幅とパルス数は、前記発熱素子によって前記印刷媒体が加熱される加熱温度と加熱時間とを規定することを特徴とする請求項6に記載のデータ処理装置。
  8. 前記補正手段は、複数の前記発熱素子のうち、発生する前記加熱エネルギーが少ない前記発熱素子ほど、前記第2加熱信号を構成する前記電圧パルスのパルス数を増加させることを特徴とする請求項6または7に記載のデータ処理装置。
  9. 前記補正手段は、前記第1加熱信号を構成する前記電圧パルスのパルス数とパルス間隔の少なくとも一方を補正するための補正値を前記発色層に対応する複数の色のそれぞれの階調値毎に定めた補正テーブルを用いて前記第1加熱信号を補正することを特徴とする請求項6に記載のデータ処理装置。
  10. 前記印刷媒体は、イエローを発色する第1発色層と、マゼンタを発色する第2発色層と、シアンを発色する第3発色層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
  11. 前記印刷媒体には、前記発熱素子により前記加熱エネルギーが付与される側から、前記第1発色層、前記第2発色層、前記第3発色層が順次に積層されていることを特徴とする請求項10に記載のデータ処理装置。
  12. 前記検出画像は、前記発熱素子の温度を安定させるために印刷される予熱領域と、前記発熱素子の前記発熱特性を検出するための解析領域とを含み、
    前記取得手段は、前記解析領域の濃度を読み取ると共に、当該読み取った濃度を複数の前記発熱素子のそれぞれに対応する領域毎に解析し、複数の前記発熱素子それぞれの発熱特性を定めることを特徴とする請求項2または3に記載のデータ処理装置。
  13. 前記複数の発熱素子は、第1方向に沿って配列され、
    前記検出画像は、複数の前記発熱素子のうち、前記第1方向において隣接しない複数の第1発熱素子によって印刷された第1領域と、前記第1方向において前記第1発熱素子に隣接する複数の第2発熱素子によって形成された第2領域とを含むことを特徴とする請求項2または3に記載のデータ処理装置。
  14. 前記検出画像は、複数の前記発色層のうち、前記発熱素子による加熱時間が所定の時間より短く且つ加熱温度が所定の温度以上である場合に印刷される第3領域と、前記発熱素子による加熱時間が前記所定の時間以上であり且つ前記発熱素子による加熱温度が前記所定の温度以下である場合に印刷される第4領域とを少なくとも含むことを特徴とする請求項2または3に記載のデータ処理装置。
  15. 異なる加熱エネルギーが付与されることにより互いに異なる色を発色する複数の発色層が積層された印刷媒体に対し、前記加熱エネルギーを付与する複数の発熱素子を制御するためのデータを処理するデータ処理方法であって、
    複数の前記発熱素子それぞれの発熱特性を取得する取得工程と、
    画素に対応する画像データに基づいて前記各発熱素子に前記加熱エネルギーを発生させる印刷データを、前記発色層の発色加熱特性と前記各発熱素子の発熱特性とに基づいて補正するための補正値を導出する導出工程と、を備えることを特徴とするデータ処理方法。
  16. コンピュータに、請求項15に記載の各工程を実行させるためのプログラム。
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