JP2023178756A - ロータリー式切換弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、弁体の傾き、およびその傾きに伴う弁漏れを抑制し、安定した作動性を得ることができるロータリー式切換弁を提供することを目的とする。【解決手段】ロータリー式切換弁100は、弁本体1と、4個のポート20D、20S、20C、20Eを有する弁座部20と、中心軸6まわりに回転可能に設けられる主弁3と、を備えている。主弁3は、隣り合う2個のポートを連通させる高圧流路30Hおよび低圧流路30Lを有した樹脂成形部品である。低圧流路30Lの開口端縁には、シール面31bが設けられている。高圧流路30Hおよび低圧流路30Lの開口端縁は、つなぎ部33によって接続されている。つなぎ部33には、弁座部20側に突出して弁座面20aに摺接可能な摺動リブ33cが設けられている。つなぎ部33は、中心軸6の軸線X方向に所定の板厚を有した板状に形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、ロータリー式切換弁に関する。
流体の流路を切り換えるロータリー式切換弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のロータリー式切換弁の弁体は、合成樹脂成形品であり、2個の弁通路を有し、弁通路の開口端縁が弁座部に摺接しつつ弁体が回転することで、弁座部に設けられた4個のポートと弁通路との連通状態を切り換えるように構成されている。この弁体において、2個の弁通路のうち一方は低圧流路であり、他方は高圧流路である。そして、それぞれの流路は、弁座部側に開口した全体椀状かつ弁体の回転軸線回りに湾曲した勾玉状に形成され、開口端縁が弁座面に摺接するシール部とされている。
一方、高圧流路の開口端縁にシール部が設けられず、高圧流路と弁室とが連通されたロータリー式切換弁が知られている(例えば、特許文献2参照)。このロータリー式切換弁では、弁体の高圧流路側に、弁座面に摺接する摺動リブが設けられ、弁体が倒れることが防止されている。
しかしながら、特許文献2に記載のロータリー式切換弁では、弁体が全体ドーム状に形成されていることで、高圧流路および低圧流路を構成する壁部の肉厚よりも、当該流路が形成されていない壁部の肉厚、すなわち摺動リブが設けられる部分の肉厚が相対的に厚くなることから、成形時の樹脂のひけが大きくなり、低圧流路のシール部と摺動リブとが同一平面に位置し難くなるおそれがある。この場合、弁体が傾きやすくなって弁漏れや作動性悪化という問題が生じる可能性がある。
本発明は、弁体の傾き、およびその傾きに伴う弁漏れを抑制し、安定した作動性を得ることができるロータリー式切換弁を提供することを目的とする。
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明のロータリー式切換弁は、弁室を構成する弁本体と、前記弁室に開口する4個のポートを有する弁座部と、前記弁本体の内部で前記弁座部に交差する中心軸まわりに回転可能に設けられる弁体と、を備えるロータリー式切換弁であって、前記弁体は、隣り合う2個のポートを連通させる高圧流路および低圧流路を有した樹脂成形部品であって、前記低圧流路の開口端縁に設けられ、前記弁座部側に突出して前記弁座部の弁座面に摺接可能なシール部と、前記高圧流路および前記低圧流路の前記開口端縁を接続するつなぎ部と、前記つなぎ部から前記弁座部側に突出して前記弁座面に摺接可能な摺動リブと、を備え、前記つなぎ部は、前記中心軸の軸線方向に所定の板厚を有した板状に形成されていることを特徴とする。
このような本発明によれば、摺動リブを有し、高圧流路および低圧流路を接続するつなぎ部は、所定の板厚を有する板状としたので、従来のように相対的に肉厚が厚くなる部分に摺動リブを設ける構成と比較して、摺動リブを設ける箇所の肉厚を調整しやすくすることができる。このため、肉厚差による成形時の収縮量の違いによって発生するひけ、ボイド、およびクラック等によって、弁体が変形するのを抑制することができる。そして、弁体の変形を抑制することで、それぞれ弁座面に摺接可能なシール部と摺動リブの摺動面を平坦にするとともに、同一平面上に位置させやすくすることができる。これにより、弁体の傾き、およびその傾きに伴う弁漏れを抑制し、安定した作動性を得ることができるロータリー式切換弁を提供することができる。
また、この際、前記つなぎ部は、前記高圧流路および前記低圧流路の外側壁部よりも径方向外側に突出するとともに、前記弁体の全周に連続するフランジ状に形成されていてもよい。このような構成によれば、弁体の全周に連続してつなぎ部を設けることで、特に弁体の周方向の強度を向上させることができる。これにより、例えば、内外の圧力差による応力の影響を受けやすい低圧流路の変形等を抑制することができる。また、つなぎ部は、径方向外側に突出しているので、その分肉厚を大きくすることなく、つなぎ部の樹脂の量を増量し、弁体の強度を向上させることができる。また、このようにつなぎ部により弁体の強度を向上させることができるので、弁体自体の樹脂量は、少なくすることができ、弁体の材料コストを低減することができる。
また、前記つなぎ部は、前記弁体と一体に成形された樹脂製であることが好ましい。このような構成によれば、つなぎ部を備える弁体を一体成形により容易に製造することができる。なお、つなぎ部は、内部に金属製のインサート金具を含むことも可能であり、これによって、つなぎ部の強度を向上させることができる。また、金属製の板をつなぎ部としてインサート成形により一体としてもよい。これにより、つなぎ部の強度を向上することができる。
また、前記つなぎ部の板厚は、前記高圧流路および前記低圧流路の壁の肉厚と同等であることが好ましい。このような構成によれば、つなぎ部と高圧流路および低圧流路の壁の肉厚差を小さくすることができるので、当該肉厚差による成形時の収縮量の違いによって発生するひけ、ボイド、およびクラックを抑制することができる。
本発明によれば、弁体の傾き、およびその傾きに伴う弁漏れを抑制し、安定した作動性を得ることができるロータリー式切換弁を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図1~3、および図5に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るロータリー式切換弁100の組み立て断面図である。図2は、主弁3(弁体)を斜め上側から見た斜視図である。図3は、主弁3を斜め下側から見た斜視図である。図5(A)は、冷房運転時の状態を示す冷凍サイクルシステムの概略図であり、図5(B)は、暖房運転時の状態を示す冷凍サイクルシステムの概略図である。
なお、図面において、矢印X、矢印Yは、互いに直交する方向であり、矢印Xを弁本体1および中心軸6の軸線方向とし、「軸線X方向」と記す。また、軸線X方向の一方側を「上側X1」とし、他方側を「下側X2」と記す。また、軸線Xに交差する交差方向を矢印Yで示し、「径方向Y」と記す。そして、特に径方向Yにおいて中心軸6のある側を「内側」とし、内側の反対側を「外側」とする。これは、あくまでも説明の便宜のためであり、必ずしもロータリー式切換弁100の実際の使用状態における方向と一致するとは限らず、ロータリー式切換弁100の実際の使用状態における方向を限定するものではない。
ロータリー式切換弁100は、弁本体1と、弁座部材2と、主弁3(弁体)と、副弁4と、駆動部5と、中心軸6と、を備えている。弁本体1は、軸線X方向に延びる筒状の第一円筒部10と、第一円筒部10に連続し第一円筒部10よりも縮径した有底筒状の第二円筒部11と、を備え、主弁3、副弁4、駆動部5、および中心軸6を収容している。第一円筒部10の内部は、弁室10aを構成している。第二円筒部11の内部は、主に駆動部5等を収容する収容部11aを構成している。
弁座部材2は、円柱状の弁座部20と、弁座部20の外周に形成されたフランジ部21と、を備えている。弁座部20は、外周面が第一円筒部10の内周面に接するようにして弁本体1に嵌め込まれており、その上面は、径方向Yに延びる弁座面20aを構成している。図5(A)、(B)に示すように、弁座部20には、弁座部20の下端部から弁座面20aまで貫通して弁室10aに開口する4個のポート20D、20S、20C、20Eが設けられている。各ポート20D、20S、20C、20Eは、それぞれ90°離間する位置に開口している。
4個のポートは、弁室10aと圧縮機Pの冷媒の吐出側に連通されるDポート20Dと、圧縮機Pの冷媒の吸入側に連通されるSポート20Sと、室外熱交換器60側に連通されるC切換ポート20Cと、室内熱交換器80側に連通されるE切換ポート20Eと、で構成されている。各ポート20D、20S、20C、20Eには、それぞれ継手管8(図1にのみ図示)が接続されて冷媒の流路を構成している。フランジ部21は、上面が第一円筒部10の下端面に接触した状態で、溶接により弁本体1に固定されている。
主弁3は、樹脂成形部品であり、弁本体1の内部で中心軸6まわりに回転可能および軸線X方向に変位可能に設けられている。主弁3は、軸線X方向に延びる円筒状のピストン部30と、ピストン部30の外周面に沿って円弧状に延び弁座部20側に開口する椀状の第一椀部31と、第一椀部31と径方向に対向し、ピストン部30の外周面に沿って円弧状に延び、弁座部20側に開口する椀状の第二椀部32と、第一椀部31および第二椀部32の開口端縁を接続するつなぎ部33と、を備えている。
ピストン部30は、図2に示すように、その周囲にピストンリングRを嵌め込むように形成されており、ピストンリングRは、主弁3が軸線X方向に変位する際に第二円筒部11の内周面に摺接するようになっている。ピストン部30の中心部には、上側X1に開口する円筒状の凹部が形成されており、この凹部は、副弁4を収容する副弁収容室30aを構成している。
副弁収容室30aの内周面には、径方向Y内方に突出し軸線X方向に延びる副弁ストッパ30a1が形成されている。また、副弁収容室30aの底面には、軸線Xまわりの周上で上側X1に凸となる主弁凸部30a2が形成されている。この主弁凸部30a2には、図1に示すように、後述する均圧孔30eの上側X1の端部が開口している。副弁収容室30aの底面中央部は、中心軸6の軸受部を構成し、この軸受部の中心には、軸線X方向に沿って主弁3の下端部まで貫通する軸挿入孔3aが形成されている。軸挿入孔3aには、中心軸6の後述する下側部分6bが挿入されており、これによって、後述するストップピン9(図5(A)および(B)にのみ図示)に当接する第一切換位置(切換位置、図5(A)が示す位置)と、第二切換位置(切換位置、図5(B)が示す位置)と、の間で、主弁3が中心軸まわり(軸線Xまわり)に回転可能および軸線X方向に変位可能に支持されている。
第一椀部31は、図2、3に示すように、ピストン部30の外周面を約半周囲み、弁座部20側に開口する椀状に形成されている。この第一椀部31の内部は、低圧流路30Lを構成している。低圧流路30Lは、上述のポート各ポート20D、20S、20C、20Eのうち隣り合う2個のポートを連通させる弁通路である。低圧流路30Lの天井部には、図1に示すように、収容部11aに連通可能な均圧孔30eが形成されており、この均圧孔30eが収容部11aに連通された状態では、低圧流路30L内と収容部11aの圧力が等しくなるように構成されている。
図3に示すように、低圧流路30Lにおいて、径方向Y外側の壁である外側壁部31cと、径方向Y内側の壁である内側壁部31dとは、それぞれ開口端縁近傍が、同心で中心軸6まわりに延びる円弧形状に形成されている。そして、外側壁部31cは、内側壁部31dに比べて、その開口端縁近傍の周長が長く形成されている。また、開口端縁において外側壁部31cと内側壁部31dとをつなぐ周方向両端部は、周方向に向かって互いに離れる方向に湾曲している。これにより、低圧流路30Lの開口端縁は、軸線X方向から見て、略勾玉状に形成されている。
低圧流路30Lの開口端縁には、図3に示すように、弁座部20側に向かって突出するリブ31aが設けられている。リブ31aは、低圧流路30Lの開口端縁を途切れなく一周するように設けられており、その下端面はシール面31b(シール部)を構成している。図1に示すように、シール面31bは、弁座面20aに摺接可能となっており、シール面31bと弁座面20aと、で囲まれて弁室10aと隔てられた空間によって上述の4個のポート20D、20S、20C、20Eのうち2個が連通されるようになっている。
外側壁部31cの内壁面には、径方向Y外側に凹む溝状の第一当て止め部31c1が形成されている。また、内側壁部31dの内壁面には、径方向Y内側に凹む溝状の第二当て止め部31d1が形成されている。第一当て止め部31c1と第二当て止め部31d1との間には、径方向Yに延びる補強部材7が設置されている。補強部材7は、主弁3内外の圧力差による応力により、低圧流路30Lが変形することを防止するための部材であり、例えば、ステンレス、黄銅、アルミニウム、および銅金属などの金属材料や、樹脂等の材料で棒状に形成され、圧入等によって低圧流路30L内に固定されている。
第二椀部32は、中心軸6を挟んで第一椀部31と径方向Yに対向し、ピストン部30の外周面を約半周囲み、弁座部20側に開口する椀状に形成されている。この第二椀部32の内部は、高圧流路30Hを構成している。高圧流路30Hは、各ポート20D、20S、20C、20Eのうち、隣り合う2個のポートを連通させる弁通路である。高圧流路30Hの開口端縁も低圧流路30Lの開口端縁と同様に略勾玉状に形成されているが、高圧流路30Hの径方向Y外側の壁32aには、開口端縁から上側X1に切り欠かれ周方向に延びる切欠き部33aが形成されているため、高圧流路30Hは、弁室10aと隔てられない常時開放した空間となっている。
つなぎ部33は、図2および図3に示すように、高圧流路30Hおよび低圧流路30Lの開口端縁を接続する部分であり、主弁3と一体に成形された樹脂製である。つなぎ部33は、中心軸6の軸線X方向に所定の板厚を有した板状であり、本実施形態では、図2に示すように上側X1から見て略扇状に形成され、第一椀部31と第二椀部32の周方向両端部をそれぞれ接続することで、低圧流路30Lと高圧流路30Hの開口端縁を接続している。
つなぎ部33の下端面には、弁座部20側に突出して弁座面20aに摺接可能な摺動リブ33cが形成されている。摺動リブ33cの下端面は、弁座面20aに摺接可能な摺動面33dを構成しており、この摺動面33dは、図1に示すように、上述のシール面31bと同一平面上に位置している。
ここで、つなぎ部33の中心軸6の軸線X方向の所定の板厚について説明する。つなぎ部33の板厚は、樹脂のひけを防止する観点から、高圧流路30Hおよび低圧流路30Lの壁、すなわち、上述の外側壁部31cや内側壁部31d、および径方向Y外側の壁32aの肉厚と同等であることが好ましい。具体的には、つなぎ部33の肉厚は、外側壁部31cや内側壁部31d、および径方向Y外側の壁32aの肉厚に対して、0.5倍から2倍の範囲に設定することが好ましく、0.75倍から1.5倍の範囲に設定することがさらに好ましい。
副弁4は、主弁3と同様に、中心軸6まわりに回転可能および軸線X方向に変位可能に設けられている。副弁4は、副弁収容室30aに収容される略半円板状のフランジ部40と、フランジ部40の中央に形成され軸線X方向に延びるボス部41と、を備えている。フランジ部40の径方向Y外側の端部は、上述の主弁3が第一切換位置または第二切換位置でストップピン9に当接し回転を規制された状態で、副弁4が中心軸6まわりに回転した際に上述の副弁ストッパ30a1に当接するようになっており、この当接によって副弁4の中心軸6まわりの回転が規制されるようになっている。
フランジ部40の下面には、主弁凸部30a2と同一円周上で下側X2に凸となる複数の副弁凸部40aが形成されている。副弁凸部40aは、軸線Xまわりで離間するように、少なくとも一対形成されており、一対の副弁凸部40a間に主弁凸部30a2を位置させることで、当該主弁凸部30a2と噛み合うようになっている。副弁凸部40a下端面は、上述の均圧孔30eを封止するシール面40a1を構成している。そして、フランジ部40の下面において、2個の副弁凸部40a間には、均圧孔30eと連通可能な、不図示の均圧流路が形成されている。このため、副弁凸部40aのシール面40a1が均圧孔30eを封止している状態では、高圧の弁室10aと低圧の低圧流路30L内と、が区画されることとなるが、均圧流路と均圧孔30eが連通した状態では、低圧流路30Lと弁室10aとの圧力が均一となる。
ボス部41の中心には、上側X1に開口する角孔41aが形成されており、この角孔41aには、後述するウォームホイール50のカム部50aが嵌め込まれるようになっている。角孔41aの底部の中心には、軸線X方向に沿ってフランジ部40の下端まで貫通する軸挿入孔4aが形成されている。軸挿入孔4aには、中心軸6の後述する上側部分6aが挿入されており、これによって副弁4が中心軸6まわりに回転可能および軸線X方向に変位可能に支持されている。
駆動部5は、中心軸6に回転可能に配置されたウォームホイール50と、ウォームホイール50に歯合されたウォーム歯車51と、を有している。ウォームホイール50は、下側X2に突出するカム部50aを有しており、カム部50aによって中心軸6に回転可能に配置されている。カム部50aは、副弁4の角孔41aに嵌合されている。これにより副弁4とウォームホイール50とは、一体となり、共に協働して軸線Xまわりに回転するようになっている。そして、ウォームホイール50と副弁4との間には、副弁4を下側X2に付勢するコイルばね52が配置されている。ウォーム歯車51は、図示しないモータの駆動軸に固定されている。
中心軸6は、軸線X方向に延びる主軸である。中心軸6は、ウォームホイール50の中心部および副弁4の軸挿入孔4aに挿通される上側部分6aと、上側部分6aよりも小径に形成され、主弁3の軸挿入孔3aに挿通される下側部分6bと、を備えている。上側部分6aの上端部には、円環状のリムをかしめることによりボールBが固定されており、このボールBを介して上側部分6aが、弁本体1の第二円筒部11の天井壁の中心に設けられた軸受溝に支持されている。下側部分6bの下端部は、弁座部材2の弁座部20の中心に設けられた軸受溝に支持されている。上側部分6aと下側部分6bとの連続部分には、ワッシャ61が嵌め込まれており、このワッシャ61を介して主弁3が上側X1に上昇する際の力が中心軸6に伝達されるようになっている。
次に、主弁3と副弁4の動作について説明する。まず、図5(A)に示すように、主弁3の低圧流路30LがE切換ポート20EとSポート20Sとを連通させ、高圧流路30HがDポート20DとC切換ポート20Cとを連通させた第一切換位置から、駆動部5が作動する。そうすると、ウォーム歯車51とウォームホイール50の駆動力が、カム部50aを介して副弁4に伝達され、副弁4が軸線Xまわり(左回り)に回転する。
なお、このときは、副弁凸部40aのシール面40a1と主弁凸部30a2の上面が図1に示すように当接しているため、主弁凸部30a2に開口する均圧孔30eがシール面40a1によって閉じられている。このため、主弁3は、内外の圧力差により弁座部20に押しつけられた状態であり、副弁4が回転しても主弁3は弁座部20との摩擦力により回転できず、副弁4だけが回転する。
副弁4が回転すると、副弁凸部40aが主弁凸部30a2上をスライドして、均圧孔30eが、副弁4のフランジ部40下面において2個の副弁凸部40a間に形成された不図示の均圧流路により開かれる。これにより、主弁3の外部の上側X1の流体の圧力が低圧流路30L内(低圧側)へ逃げる。そして、主弁凸部30a2は、一対の副弁凸部40aの間の位置に移動し、主弁凸部30a2と、一対の副弁凸部40aと、が互い違いに噛み合う。この状態では、主弁3の上側X1と低圧流路30L内は均圧となるため、上述のように主弁3を弁座部20に押し付ける力は小さくなり、主弁3と、弁座部20と、の摩擦力が、主弁凸部30a2と2個の副弁凸部40aとが噛み合う力よりも小さくなる。
このため、副弁4を軸線Xまわりに回転させることで、主弁凸部30a2と、副弁凸部40aと、が当接しながら一体となって軸線Xまわりに回転する。これにより、図5(B)に示すように、主弁3は、低圧流路30LがC切換ポート20CとSポート20Sとを連通させ、高圧流路30HがDポート20DとE切換ポート20Eとを連通させる第二切換位置に移動する。この際、高圧流路30Hの壁がストップピン9に当接することで、主弁3はそれ以上軸線Xまわりに回転することが規制される。
この状態でさらに副弁4を軸線Xまわりに回転させると、回転を規制されていない副弁4のみが、上述の副弁ストッパ30a1に当接するまで軸線Xまわりに回転する。これにより、副弁凸部40aが主弁凸部30a2に乗り上がり、シール面40a1により均圧孔30eが閉じられる。したがって、高圧の流体は、均圧孔30eから低圧流路30Lに逃げることができないため、主弁3の外部の上側X1が高圧となり、主弁3の上側X1と低圧流路30Lとの圧力差によって主弁3が弁座部20に押し付けられる。
次に、ロータリー式切換弁100を流路切換弁に用いた冷凍サイクルシステムについて説明する。図5は実施形態の冷凍サイクルシステムを示す図であり、空気調和機の冷凍サイクルシステムの例である。空気調和機は、圧縮機P、室外熱交換器60(凝縮器または蒸発器)、膨張弁70、室内熱交換器80(凝縮器または蒸発器)、流路切換弁としてのロータリー式切換弁100を有しており、これらの各要素は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルシステムを構成している。
冷凍サイクルシステムの流路は、ロータリー式切換弁100の主弁3を上記説明のように回転させることで、冷房運転および暖房運転の2通りの流路に切換えられるようになっている。図5(A)の冷房運転時には、ロータリー式切換弁100において主弁3の低圧流路30LによりSポート20SがE切換ポート20Eに接続され、高圧流路30HによりDポート20DがC切換ポート20Cに接続される。そして、図に矢印で示すように、圧縮機Pで圧縮された流体としての冷媒がロータリー式切換弁100のDポート20Dに流入してC切換ポート20Cから室外熱交換器60に流入し、室外熱交換器60から流出する冷媒が、膨張弁70に流入する。そして、この膨張弁70で冷媒が膨張され、室内熱交換器80に供給される。室内熱交換器80から流出する冷媒は、ロータリー式切換弁100でE切換ポート20EからSポート20Sに流れ、Sポート20Sから圧縮機Pへ循環される。
図5(B)の暖房運転時には、ロータリー式切換弁100において主弁3の低圧流路30LによりSポート20SがC切換ポート20Cに接続され、高圧流路30HによりDポート20DがE切換ポート20Eに接続される。そして、図に矢印で示すように、圧縮機Pで圧縮された冷媒がロータリー式切換弁100のDポート20Dに流入してE切換ポート20Eから室内熱交換器80に流入し、室内熱交換器80から流出する冷媒が、膨張弁70に流入する。そして、この膨張弁70で冷媒が膨張され、室外熱交換器60に供給される。室外熱交換器60から流出する冷媒は、ロータリー式切換弁100でC切換ポート20CからSポート20Sに流れ、Sポート20Sから圧縮機Pへ循環される。
以上、本実施形態によれば、摺動リブ33cを有し、高圧流路30Hおよび低圧流路30Lを接続するつなぎ部33は、上述のとおり所定の板厚を有する板状としたので、従来のように高圧流路30Hおよび低圧流路30Lを構成する壁部の肉厚よりも相対的に肉厚が厚くなる部分に摺動リブを設ける構成と比較して、摺動リブを設ける箇所の肉厚を調整しやすくすることができる。このため、肉厚差による成形時の収縮量の違いによって発生するひけ、ボイド、およびクラック等によって、主弁3が変形するのを抑制することができる。そして、主弁3の変形を抑制することで、それぞれ弁座面20aに摺接可能なシール面31bと摺動リブ33cの摺動面33dを平坦にするとともに、同一平面上に位置させやすくすることができる。これにより、主弁3の傾き、およびその傾きに伴う弁漏れを抑制し、安定した作動性を得ることができるロータリー式切換弁100を提供することができる。
また、つなぎ部33を主弁3と一体に成形された樹脂製としたので、つなぎ部33を備える主弁3を一体成形により容易に製造することができる。なお、つなぎ部33は、主弁3と一体に成形される樹脂製としたが、例えば、このつなぎ部33は、内部に金属製のインサート金具を含むことも可能であり、これによって、つなぎ部33の強度を向上させることができる。また、金属製の板をつなぎ部33としてインサート成形により一体としてもよい。これにより、つなぎ部33の強度を向上することができる。
また、つなぎ部33の板厚は、高圧流路30Hおよび低圧流路30Lの壁、すなわち外側壁部31c、内側壁部31d、および径方向Y外側の壁32aの肉厚と同等にしたことで、当該肉厚差による成形時の収縮量の違いによって発生するひけ、ボイド、およびクラックを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、主弁3の傾き、およびその傾きに伴う弁漏れを抑制し、安定した作動性を得ることができるロータリー式切換弁100を流路切換弁として、冷凍サイクルシステムを構成することができる。
以上、本発明の実施の形態、および変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
図4(A)は、変形例における主弁3を斜め上側から見た斜視図であり、図4(B)は、変形例における主弁3を斜め下側から見た斜視図である。この変形例では、つなぎ部33は、高圧流路30Hの径方向Y外側の壁32a、および低圧流路30Lの外側壁部31cよりも径方向Y外側に突出するとともに略全周に連続するフランジ状に形成されている点が上述の実施形態と異なっている。すなわち、つなぎ部33は、高圧流路30Hおよび低圧流路30Lの外側の壁部よりも径方向Y外側に突出するとともに、主弁3の全周に連続するフランジ状に形成されている。
このような構成によれば、主弁3の全周に連続してつなぎ部33を設けることで、特に主弁3の周方向の強度を向上させることができる。これにより、例えば、内外の圧力差による応力の影響を受けやすい低圧流路30Lの変形等を抑制することができる。また、つなぎ部33は、径方向Y外側に突出させることができるので、その分肉厚を大きくすることなく、つなぎ部33の樹脂の量を増量し、主弁3の強度を向上させることができる。また、このようにつなぎ部33により主弁3の強度を向上させることができるので、主弁3自体の樹脂量は、少なくすることができ、主弁3の材料コストを低減することができる。
1 弁本体
3 主弁(弁体)
6 中心軸
10a 弁室
20 弁座部
20a 弁座面
20C C切換ポート(4個のポート)
20D Dポート(4個のポート)
20E E切換ポート(4個のポート)
20S Sポート(4個のポート)
30H 高圧流路
30L 低圧流路
31b シール面(シール部)
33 つなぎ部
33c 摺動リブ
100 ロータリー式切換弁
3 主弁(弁体)
6 中心軸
10a 弁室
20 弁座部
20a 弁座面
20C C切換ポート(4個のポート)
20D Dポート(4個のポート)
20E E切換ポート(4個のポート)
20S Sポート(4個のポート)
30H 高圧流路
30L 低圧流路
31b シール面(シール部)
33 つなぎ部
33c 摺動リブ
100 ロータリー式切換弁
Claims (4)
- 弁室を構成する弁本体と、前記弁室に開口する4個のポートを有する弁座部と、前記弁本体の内部で前記弁座部に交差する中心軸まわりに回転可能に設けられる弁体と、を備えるロータリー式切換弁であって、
前記弁体は、隣り合う2個のポートを連通させる高圧流路および低圧流路を有した樹脂成形部品であって、
前記低圧流路の開口端縁に設けられ、前記弁座部側に突出して前記弁座部の弁座面に摺接可能なシール部と、
前記高圧流路および前記低圧流路の前記開口端縁を接続するつなぎ部と、
前記つなぎ部から前記弁座部側に突出して前記弁座面に摺接可能な摺動リブと、を備え、
前記つなぎ部は、前記中心軸の軸線方向に所定の板厚を有した板状に形成されていることを特徴とするロータリー式切換弁。 - 前記つなぎ部は、前記高圧流路および前記低圧流路の外側壁部よりも径方向外側に突出するとともに、前記弁体の全周に連続するフランジ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリー式切換弁。
- 前記つなぎ部は、前記弁体と一体に成形された樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載のロータリー式切換弁。
- 前記つなぎ部の板厚は、前記高圧流路および前記低圧流路の壁の肉厚と同等であることを特徴とする請求項1に記載のロータリー式切換弁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022091625A JP2023178756A (ja) | 2022-06-06 | 2022-06-06 | ロータリー式切換弁 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022091625A JP2023178756A (ja) | 2022-06-06 | 2022-06-06 | ロータリー式切換弁 |
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JP2023178756A true JP2023178756A (ja) | 2023-12-18 |
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JP2022091625A Pending JP2023178756A (ja) | 2022-06-06 | 2022-06-06 | ロータリー式切換弁 |
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Country | Link |
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2022
- 2022-06-06 JP JP2022091625A patent/JP2023178756A/ja active Pending
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