JP2023178253A - 光学素子および機器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023178253000001
【課題】紫外光に対する光学特性を向上する上で有利な技術を提供する。
【解決手段】基体および前記基体の上に設けられた光学構造体を備える光学素子であって、前記光学構造体は、第1の誘電体層と、第2の誘電体層と、前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との間に位置し、前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層よりも低い屈折率を有する第3の誘電体層と、を少なくとも有し、前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層が、酸化アルミニウムおよび水素を含む膜であり、前記膜における酸素の含有量を[O]at%、前記膜におけるアルミニウムの含有量を[Al]at%、前記膜における水素の含有量を[H]at%として、
[Al]+[O]≧50.0at% および [O]/([Al]+[H])≦1.40を満たす光学素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化アルミニウム膜を有する光学素子に関する。
酸化アルミニウム膜は紫外光を透過することから、紫外光用の光学素子への利用が検討されている。特許文献1には、フッ素や水酸基を含有する酸化アルミニウム膜が開示されている。
特開平9-316631号公報
特許文献1の技術では、紫外光に対する光学特性に改善の余地がある。そこで本発明は、紫外光に対する光学特性を向上する上で有利な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段の第1の観点は、
基体および前記基体の上に設けられた光学構造体を備える光学素子であって、
前記光学構造体は、第1の誘電体層と、第2の誘電体層と、前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との間に位置し、前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層よりも低い屈折率を有する第3の誘電体層と、を少なくとも有し、
前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層が、酸化アルミニウムおよび水素を含む膜であり、
前記膜における酸素の含有量を[O]at%、前記膜におけるアルミニウムの含有量を[Al]at%、前記膜における水素の含有量を[H]at%として、
[Al]+[O]≧50.0at%
および
[O]/([Al]+[H])≦1.40を満たすことを特徴とする。
上記課題を解決するための手段の第2の観点は、
基体および前記基体の上に設けられた光学構造体を備える光学素子であって、
前記光学構造体は、酸化アルミニウム、水素およびフッ素を含む膜を少なくとも有し、
前記膜における酸素の含有量を[O]at%、前記膜におけるアルミニウムの含有量を[Al]at%、前記膜における水素の含有量を[H]at%、前記膜におけるフッ素の含有量を[F]at%として、
[Al]+[O]≧50.0at%
および
[F]/[H]≦1.0
を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、紫外光に対する光学特性を向上する上で有利な技術を提供することができる。
光学素子を説明する模式図。 酸化アルミニウム膜を説明する図。 酸化アルミニウム膜を説明する図。 酸化アルミニウム膜を説明する図。 酸化アルミニウム膜を説明する図。 酸化アルミニウム膜を説明する図。 酸化アルミニウム膜を説明する図。 酸化アルミニウム膜を説明する図。 機器を説明する図。 実施例の結果を説明する図。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
図1は本実施形態に係る光学素子の模式図である。光学素子100は、基体101および基体101の上に設けられた光学構造体102を備える。基体101は樹脂やガラス、セラミックス、金属等である。光学構造体102は、酸化アルミニウム膜105を有する。光学構造体102は、単層構造であってもよいが、図1の例では複層構造を有する。複層構造の光学構造体102は、誘電体層103aと、誘電体層103bと、誘電体層103aと誘電体層103bとの間に位置し、誘電体層103aおよび誘電体層103bよりも低い屈折率を有する誘電体層104aと、を有する。複層構造の光学構造体102は、さらに、誘電体層103aおよび誘電体層103bよりも低い屈折率を有する誘電体層104bを有することもでき、誘電体層103bが誘電体層104aと誘電体層104bとの間に位置する。相対的に高屈折率な誘電体層103a、103bを高屈折率層103と総称し、相対的に低屈折率な誘電体層104a、104bを低屈折率層104と総称する。光学構造体102は、高屈折率層103と低屈折率層104とが交互に積層されたものでありうる。ここで、第1種類の層と第2種類の層が交互に積層していることは、2つの第1種類の層の間に少なくとも1つの第2種類の層が位置しており、かつ、2つの第2種類の層の間に少なくとも1つの第1種類の層が位置している状態を意味する。従って、第1種類の層と第2種類の層が交互に積層されているためには、少なくとも4層が必要である。
図1(a)には、交互に積層された高屈折率層103と低屈折率層104のうち、高屈折率相103としては最下層の誘電体層103aと、最上層の誘電体層103xを示し、高屈折率相104としては最下層の誘電体層104aと、最上層の誘電体層104xを示している。誘電体層103aや誘電体層104aの下にさらに誘電体層があってもよく、誘電体層103xや誘電体層104xの上にさらに誘電体層があってもよい。 ここで、高屈折率層103である誘電体層103a、誘電体層103b、誘電体層103xは、例えば図1(b)の概念図で示される酸化アルミニウム膜105からなる。酸化アルミニウム膜105において、アルミニウム(Al)と酸素(O)とが結合している。酸化アルミニウム膜105は、酸化アルミニウムを主成分とする膜である。また、酸化アルミニウム膜105は水素(H)を含むことができ、この水素(H)はアルミニウム(Al)に結合しうる。ただし、酸素(O)に結合した水素(H)が存在していてもよい。図1(b)は、酸化アルミニウムの化学量論的組成であるAlに対して、1つのアルミニウム(Al)に結合しうる2つの酸素(O)のうちの1つが欠損し、欠損した酸素(O)の代わりに水素(H)がアルミニウム(Al)に結合したモデルを示している。酸化アルミニウム膜105には、このようなモデルを含みうるが、このモデルとは異なるモデルも含みうる。また、酸化アルミニウム膜105はフッ素(F)を含むことができ、このフッ素(F)はアルミニウム(Al)に結合しうる。また、本実施形態の酸化アルミニウム膜105はアルゴン(Ar)を含みうる。
酸化アルミニウム膜105におけるアルミニウムの含有量を[Al]at%、酸化アルミニウム膜105における酸素の含有量を[O]at%とする。さらに、酸化アルミニウム膜105における水素の含有量を[H]at%、酸化アルミニウム膜105におけるフッ素の含有量を[F]at%とする。また、酸化アルミニウム膜105におけるアルゴンの含有量を[Ar]at%とする。ここで、「at%」は、「atomic percentage」を意味するもので、対象中組成の全原子数に対する、特定原子数の割合である。
酸化アルミニウム膜105は酸素とアルミニウムを含むため、[Al]>0および[O]>0を満たし、[H]≧0、[F]≧0および[Ar]≧0を満たす。例えば、酸化アルミニウム膜105がフッ素を含まない場合、フッ素の含有量[F]=0at%である。酸化アルミニウム膜105がアルゴンを含まない場合、アルゴンの含有量[Ar]=0at%である。上述のように、酸化アルミニウムを主成分とする酸化アルミニウム膜105において、[Al]+[O]≧50.0at%である。酸化アルミニウム膜105が酸化アルミニウムを主成分とする膜ということは、酸化アルミニウム膜105中におけるアルミニウム含有量[Al]と酸素含有量[O]との和が、50.0at%以上であることを意味する。
酸化アルミニウム膜105において、アルミニウム、酸素、水素、フッ素およびアルゴンではない元素の含有量は、0.1at%未満であってよい。酸素の含有量[0]と、アルミニウムの含有量[Al]と、水素の含有量[H]と、フッ素の含有量[F]と、アルゴンの含有量[Ar]と、の和が、99.0at%以上であってよく、99.9at%以上であってもよい。すなわち、[Al]+[O]+[H]+[F]+[Ar]≧99.0at%であってもよく、[Al]+[O]+[H]+[F]+[Ar]≧99.9at%であってもよい。
誘電体層103aと誘電体層103bと誘電体層103xは、完全に同じ組成、膜厚を有する必要はなく、以下に説明する酸化アルミニウム膜105としての特徴を有していれば、誘電体層103aと誘電体層103bと誘電体層103xの組成や膜厚は互いに異なっていてもよい。
低屈折率層104に用いられる材料は、フッ化アルミニウム(AlF)やフッ化マグネシウム(MgF)、酸化ケイ素(SiO)を主成分として含有する材料、あるいは混合物が挙げられる。なお、材料はこれらに限定されるものではなく、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化イットリウム(YF)を主成分として含有する材料、あるいは混合物でもよい。なお、主成分として含有するということは、副成分の含有を必要とするものではなく、低屈折率層104は、ここで低屈折率層104の主成分として挙げた材料のみで構成されていてもよい。もちろん、低屈折率層104は、ここで低屈折率層104の主成分として挙げた材料のほかに、水素や炭素、窒素、酸素、フッ素、アルゴンなどの副成分を含有していてもよい。
光学構造体102は、図1に示すように、基体101側から順に高屈折率層103と低屈折率層104が交互に積層し、最表層が低屈折率層104となる構成である。ただし、光学素子の用途に応じて構成を変更しても構わない。例えば、基体101側から順に低屈折率層104と高屈折率層103とが交互に積層し、最表層が低屈折率層104となる構成でもよいし、最表層が高屈折率層103となる構成でもよい。さらに保護層を設けて、保護層を最表層としてもよい。基体101と光学構造体102の間に密着層を設けてもよい。密着層を設ける場合は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウムや、これらを主成分として含有する材料あるいは混合物が、基体101との密着性の観点から好適である。なお、光学構造体102が、低屈折率層104と高屈折率層103とが交互に積層した交互積層構造を有することは必須ではない。高屈折率層103と低屈折率層104とを含む複層構造を有することも必須ではなく、高屈折率層103の1層のみの単層構造を有してもよい。誘電体層103aと基体101との間にさらに層があってもよく、この層は誘電体層に限らず、単体金属や合金などからなる金属層であってもよい。反射型の光学素子において、誘電体層103aと基体101との間の金属層を反射層として用いることもできる。
光学構造体102の複数の高屈折率層103(酸化アルミニウム膜105)は全てを同一とする必要はない。複数の酸化アルミニウム膜105の組成を後述する範囲内で異なる膜としてもよい。複数の高屈折率層103のうち、一部をフッ化ランタン(LaF3)とし、残りを酸化アルミニウム膜105とするように一部を異なる材料を用いてもよい。光学構造体102の低屈折率層104についても必ずしも全てを同一とする必要はない。例えば、複数の低屈折率層104のうち、一部をフッ化アルミニウム、残りをフッ化マグネシウムのように、異なる材料を用いてもよい。
典型的には、酸化アルミニウム膜105は高屈折率層103として用いられることが好ましいが、酸化アルミニウム膜105を低屈折率層104として用い、高屈折率層103に酸化アルミニウム膜105よりも高屈折率な膜を用いることもできる。
基体101は、設計波長(例えば193nm)の光に対して吸収が小さいフッ化カルシウム結晶あるいは石英ガラスのような光学ガラスで構成することができる。反射型の光学素子においては基体101が紫外光を透過することは必須ではない。また、基体101は、平面形状や曲面を有する形状など、光学素子の用途や種類(たとえば、レンズ、ミラー、フィルム、プリズム等)に応じて様々な形状のものを用いることができる。レンズやミラーにおいては、基体101における酸化アルミニウム膜105の側の表面が凹面または凸面である。
光学構造体102は、反射構造を有することができる。この時、高屈折率層103と低屈折率層104は、設計波長(例えば193nm)あるいは設計波長範囲で反射特性を最大化するために、各層の物理膜厚が最適化されうる。光学構造体102のみで反射構造を有する場合、高反射率を得るため、高屈折率層103と低屈折率層104は合計30層以上で構成されてもよい。また基体101と光学構造体102の間に、アルミニウムなどの反射層を形成してもよい。この場合は反射層を形成すると光学構造体102の層数を30層より少なくできるという利点がある。最表層は、高反射率を得るためには高屈折率層103であることが好ましい。もちろん、最表層は必ずしも高屈折率層103である必要はなく、低屈折率層104でもよい。例えば、高屈折率層103よりも低屈折率層104の方が大気中の水分の影響を抑制できる材料である場合は、最表層を低屈折率層104としてもよい。求められる性能に応じて最表層は自由に選ぶことができる。このように、光学構造体102の層数や材料は、反射率、大気中の水分の影響、さらにはレーザーの影響を考慮して決定される。なお、反射ミラーやハーフミラーなどのような使用用途も考慮して決定される。
光学構造体102は、反射防止構造を有することができる。反射防止構造において、高屈折率層103と低屈折率層104は、設計波長あるいは設計波長範囲で反射特性を最小化するために、各層の物理膜厚が最適化されうる。この時、反射防止構造を有する光学構造体102は、光学構造体102を有しない場合よりも、基体101での反射率が小さくなるように、光学構造体102が最適化されうる。光学構造体102が1層で構成される場合は、基体101の屈折率よりも小さな屈折率を持つ材料が用いられうる。例えば光学構造体102が酸化アルミニウム膜105の単層で構成される場合、酸化アルミニウム膜105の屈折率をNH、基体101の屈折率をNSとすると、NH<NSの関係がある。光学構造体102の反射防止構造が複層で形成される場合は、基体101の屈折率は、NH<NSの関係に限定されることはない。また反射防止構造が複層で形成される場合、反射抑制のためには最表層を低屈折率層104とすることが好ましい。
光学素子100を備えた光学機器は、光学素子100を保持する保持部品を備える。この保持部品は、光学素子100を含む複数の光学素子を保持してもよい。保持部品は、鏡筒であってもよい。
光学素子100を備えた光学機器は、紫外光を生成する光源を備えていてもよい。この光源で生成された紫外光が酸化アルミニウム膜105に照射された際に、酸化アルミニウム膜105は、紫外光に対して低吸収および/または高屈折率でありうる。この紫外光の波長が200nm未満である場合に、より好適である。
図2は、酸化アルミニウム膜105の成膜に用いられる成膜装置200の一例の模式図である。本例の成膜装置200はスパッタリング法を用いた成膜装置200である。成膜装置200は気密容器としての真空チャンバー201と、真空チャンバー201内を排気するための排気系202を有している。また、成膜に必要なガスを真空チャンバー201内に導入できるように、アルゴンガス導入ポート204、酸素ガス導入ポート205、水素ガス導入ポート206、フッ素系ガス導入ポート207を備えている。フッ素系ガス導入ポート207から導入されるガスは、フッ素(F)、四弗化炭素(CF)、三弗化窒素(NF)、弗化水素(HF)、四弗化珪素(SiF)、ハイドロフルオロオレフィンを含むガスのうち少なくとも一種である。さらに、真空チャンバー201に付帯して、スパッタリングターゲット211、バッキングプレート212、磁石機構208、基体保持機構209が設けられている。基体保持機構209に光学素子の基体101を保持させ、電源203から電力を印加することで、反応性スパッタリング法により成膜を実施することができる。この時、基体保持機構209は、スパッタリングターゲット211と基体101の成膜面との相対的な位置関係を、駆動機構(不図示)を用いて、基体101面内の膜厚分布が一定になるように予め調整しておく。
酸化アルミニウム膜105の成膜方法について説明する。
酸化アルミニウム膜105(高屈折率層103)を形成するには、下記の手順にて反応性スパッタリング法により成膜を行う。例えば、所定の光学素子の形状に加工された石英ガラスよりなる基体101と、例えば9inchの金属アルミニウム(純度99.9wt%以上)をスパッタリングターゲット211として、真空チャンバー201内にセットする。このとき、基体101とスパッタリングターゲット211の間の距離は、例えば200mmとする。そして、排気系202を用いて、圧力が5×10-5Pa程度の真空度になるまで真空チャンバー201内を排気する。その後、アルゴンガス導入ポート204からアルゴンガスを、酸素ガス導入ポート205から酸素ガスを、水素ガス導入ポート206から水素ガスを、フッ素系ガス導入ポート207からフッ素系ガスとしてフッ素ガスを導入する。それぞれのポートからガスを供給しながらプラズマ放電を行う。すなわち、電源203からスパッタリングターゲット211に10W/cmの電力を印加してプラズマ放電を生成し、基体101上に水素とフッ素を含有した酸化アルミニウム膜を100nm程度の厚さで成膜する。なお、各層の厚さは必ずしも100nm程度に限られるわけではなく、当該光学素子で取り扱う光の波長や、光学構造体を構成する層数により適宜設定される。光学素子における酸化アルミニウム膜105の物理膜厚は、例えば8~1000nmである。厚さ100nmの酸化アルミニウム層を、間に他の層を介さずに10層積層して1000nmの酸化アルミニウム膜105としてもよい。
酸化アルミニウム膜105は、結晶質であってもよいし、非晶質であってもよいが、非晶質であることが好ましい。非晶質の酸化アルミニウム膜は結晶性の酸化アルミニウム膜に比べて、酸化アルミニウム膜の表面粗さを小さくするうえで有利である。非晶質(あるいはアモルファス)とは、測定対象の膜に0.5度程度の小さな入射角でX線もしくは電子線を照射して回折パターンを観測した際に、明瞭な回折ピークが検出されないこと、言い換えればハローパターンが観測されることをいう。したがって、ここでいう非晶質とは、微結晶状態の材料が含有されている状態を必ずしも除外するものではない。
膜の結晶性は、成膜圧力、基体101とスパッタリングターゲット211の配置、ガスの供給流量で制御することができうる。成膜装置200で成膜される酸化アルミニウム膜105は、非晶質となるように予め成膜条件を設定しておくことが望ましい。
低屈折率層104の形成については、公知の成膜方法を用いることができるため説明を省略する。図2に示す成膜装置200ではスパッタリングターゲット211は1つの構成であるが、多層膜を成膜する場合は、スパッタリングターゲット211を真空チャンバー201内に2つ以上配置し、それぞれ異なる材料としてもよい。この時、スパッタリングターゲット表面近傍にはシャッターを配置し、他材料の成膜中における表面への異種材料の付着を抑制するとよい。
酸化アルミニウム膜105中の水素含有量[H]at%の評価は、酸化アルミニウム膜105に、例えばMeVオーダーの高エネルギイオンビームを照射し、水素前方散乱分析法(HFS:Hydrogen Forward scattering Spectrometry)の手法により行うことができる。
酸化アルミニウム膜10中の水素以外の元素の評価は、MeVオーダーの高エネルギイオンビームを照射し、ラザフォード後方散乱スペクトロメトリ(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)の手法により行うことができる。
これらの結果を用いて、酸化アルミニウム膜105における、アルミニウムの含有量[Al]at%、酸素の含有量[O]at%、水素の含有量[H]at%、フッ素の含有量[F]at%、アルゴンの含有量[Ar]at%を求めることができる。
反射率と透過率は、分光光度計を用いて波長が180nm~250nmの範囲について、光線入射角10度の場合について測定できる。測定結果から、以下の数式により光吸収率を算出できる。
A=1-T-R
ただし、Aは入射光強度に対する吸収の割合を示す光吸収率、Tは入射光強度に対する透過の割合を示す透過率、Rは入射光強度に対する反射の割合を示す反射率を表す。また、光吸収率Aは、消衰係数kと以下の関係にある。
A=1-exp(-4πkx/λ)
ここでxは薄膜内の距離、λは光の波長である。上式より消衰係数kを算出し、酸化アルミニウム膜105の光吸収の評価を行える。
屈折率は、測定した反射率について、Sciencetific Computing International社製の光学薄膜解析・設計ソフトFilmWizardTMを用いて解析することにより算出できる。ここでは、λ=193nmの光に対する消衰係数、193nmの光に対する屈折率を算出する。
酸化アルミニウム膜105の表面粗さは、AFM(Atomic Force Microscope)を用いて1μm×1μmの範囲内を測定し、RMS(二乗平均平方根粗さ)を、nmの単位で算出できる。
成膜条件を変えて、酸化アルミニウム膜105のサンプル00~18を作製した例を説明する。
サンプル00~06では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガス導入ポート204よりアルゴンガスを150sccmの流量で、酸素ガス導入ポート205から酸素ガスを50sccmの流量で、水素ガス導入ポート206から水素ガスを導入して成膜した。水素ガス導入ポート206より導入する水素の流量は0~100sccmの範囲内で変更して酸化アルミニウム膜を作製した。
サンプル00では、図2の成膜装置200を用いて、水素を含有した酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは0sccmの流量で、各々のポートから導入して成膜した。
サンプル06では、図2の成膜装置200を用いて、水素を含有した酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは50sccmの流量で、各々のポートから導入して成膜した。
サンプル07では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは20sccmの流量で、フッ素ガスは4.0sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は20.0at%、フッ素含有量[F]は11.0at%、酸素含有量[O]は42.5at%、アルミニウム含有量[Al]は26.2%、アルゴン含有量[Ar]は0.3at%であった。また、193nm波長での消衰係数は6.3E-3であった。
サンプル08では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは50sccmの流量で、フッ素ガスは4.5sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は17.9at%、フッ素含有量[F]は14.9at%、酸素含有量[O]は39.9at%、アルミニウム含有量[Al]は26.7%、アルゴン含有量[Ar]は0.6at%であった。また、193nm波長での消衰係数は2.0E-3であった。
サンプル09では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは50sccmの流量で、フッ素ガスは5.0sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は21.5at%、フッ素含有量[F]は15.9at%、酸素含有量[O]は35.7at%、アルミニウム含有量[Al]は26.5%、アルゴン含有量[Ar]は0.4at%であった。また、193nm波長での消衰係数は1.8E-3であった。
サンプル10では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは70sccmの流量で、フッ素ガスは3.5sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は26.9at%、フッ素含有量[F]は8.2at%、酸素含有量[O]は39.1at%、アルミニウム含有量[Al]は25.7%、アルゴン含有量[Ar]は0.1at%であった。また、193nm波長での消衰係数は2.7E-3であった。
サンプル11では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは50sccmの流量で、フッ素ガスは4.0sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は24.2at%、フッ素含有量[F]は11.0at%、酸素含有量[O]は39.3at%、アルミニウム含有量[Al]は25.1%、アルゴン含有量[Ar]は0.4at%であった。また、193nm波長での消衰係数は2.3E-3であった。
サンプル12では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは100sccmの流量で、フッ素ガスは1.0sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は29.2at%、フッ素含有量[F]は1.5at%、酸素含有量[O]は43.6at%、アルミニウム含有量[Al]は25.5%、アルゴン含有量[Ar]は0.2at%であった。また、193nm波長での消衰係数は1.9E-3であった。
サンプル13では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは30sccmの流量で、フッ素ガスは2.5sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は21.0at%、フッ素含有量[F]は8.0at%、酸素含有量[O]は45.7at%、アルミニウム含有量[Al]は24.9%、アルゴン含有量[Ar]は0.4at%であった。また、193nm波長での消衰係数は7.0E-4であった。
サンプル14では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは70sccmの流量で、フッ素ガスは0.5sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は27.3at%、フッ素含有量[F]は0.8at%、酸素含有量[O]は46.5at%、アルミニウム含有量[Al]は25.1%、アルゴン含有量[Ar]は0.3at%であった。また、193nm波長での消衰係数は6.8E-4であった。
サンプル15では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは50sccmの流量で、フッ素ガスは1.0sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は24.8at%、フッ素含有量[F]は1.7at%、酸素含有量[O]は47.9at%、アルミニウム含有量[Al]は25.4%、アルゴン含有量[Ar]は0.2at%であった。また、193nm波長での消衰係数は4.7E-4であった。
サンプル16では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは50sccmの流量で、フッ素ガスは0.5sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は24.4at%、フッ素含有量[F]は0.7at%、酸素含有量[O]は49.8at%、アルミニウム含有量[Al]は24.8%、アルゴン含有量[Ar]は0.3at%であった。
サンプル17では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは50sccmの流量で、フッ素ガスは2.0sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は24.0at%、フッ素含有量[F]は4.5at%、酸素含有量[O]は46.0at%、アルミニウム含有量[Al]は25.2%、アルゴン含有量[Ar]は0.3at%であった。また、193nm波長での消衰係数は3.3E-4であった。
サンプル18では、図2の成膜装置200を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。アルゴンガスは150sccmの流量で、酸素ガスは50sccmの流量で、水素ガスは50sccmの流量で、フッ素ガスは3.0sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は24.0at%、フッ素含有量[F]は5.5at%、酸素含有量[O]は44.8at%、アルミニウム含有量[Al]は25.1%、アルゴン含有量[Ar]は0.6at%であった。また、193nm波長での消衰係数は1.3E-4であった。
サンプル19では、図2の成膜装置200に類似のスパッタリング法を用いた成膜装置を用いて、石英ガラス基体上に水素とフッ素を含有する酸化アルミニウム膜を作製した。ここで用いた成膜装置は、成膜装置200とは導入するガス種が異なる。アルゴンガスは20sccmの流量で、酸素ガスは150sccmの流量で、HOガスは4sccmの流量で、CFガスは2sccmの流量で各々のポートから導入して成膜した。作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]は2.3at%、フッ素含有量[F]は4.3at%、酸素含有量[O]は56.9at%、アルミニウム含有量[Al]は36.2%、アルゴン含有量[Ar]は0.3at%であった。また、193nm波長での消衰係数は3.1E-3であった。
各サンプルについて結晶性の評価を行ったところ、消衰係数の大きさによらず、全て非晶質であった。
各サンプルで、酸化アルミニウム膜中にアルゴンの含有が確認されたが、これは、アルゴンを導入して成膜を行うスパッタリング法を用いて酸化アルミニウム膜を作製しているからである。
表1に各サンプルのデータをまとめて示す。表1では、193nmの波長に対する屈折率も示している。また、表1では、光学特性を総合的に評価して、評価I~Vに分類している。評価Iは、消衰係数がサンプル19よりも大きく、屈折率がサンプル19よりも高いものである。評価IIは消衰係数がサンプル19よりも小さく、屈折率がサンプル00よりも高いものである。評価IIIは消衰係数がサンプル19よりも小さく、屈折率がサンプル19よりも低いものである。評価IV、Vは消衰係数がサンプル19よりも小さく、屈折率がサンプル19よりも高いものである。評価Vは消衰係数が1.0E-03よりも小さいものである。なお、評価Vに該当するサンプル13~18は屈折率がサンプル00以上であるが、この点は評価Vの基準でなくてもよい。評価基準としても用いたサンプル00、19についてはそれぞれ評価X、Yとしている。
Figure 2023178253000002
表1を踏まえて、[Al]、[O]、[H]、[F]、[Ar]について、満たすことが好ましい条件A~Eを説明する。
条件A1・・・[Al]≦39.0at%
条件A1は、酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるAlの含有量40.0at%よりも有意に[Al]が低いことを意味する。少なくともサンプル01~19が条件A2を満たす。
条件A2・・・[Al]≦35.0at%
少なくともサンプル01~18が条件A2を満たす。
条件A3・・・[Al]≦30.0at%
少なくともサンプル02~18が条件A3を満たす。
条件A4・・・[Al]≦25.4at%
少なくともサンプル13~18が条件A4を満たす。サンプル15が[Al]=25.4at%に該当する。
条件A5・・・[Al]≧20.0at%
条件A5は、[Al]が、酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるAlの含有量40.0at%の半分以上であることを意味する。少なくともサンプル01~18が条件A5を満たす。
条件A6・・・[Al]≧24.8at%
少なくともサンプル01~18が条件A6を満たす。サンプル16が[Al]=24.8at%に該当する。
条件B1・・・[O]≦59.0at%
条件B1は、酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるOの含有量60.0at%よりも有意に[O]が低いことを意味する。水素含有量[H]が0at%の酸化アルミニウム膜は、理想的には化学量論的組成であるAlとなり、酸素含有量[O]は60.0at%となると考えられるが、表1ではサンプル00の[O]は60.0at%よりも小さい。これは、酸化アルミニウム膜中に酸素欠陥が生じているからと推測される。他のサンプル01~19も同様であり、少なくともサンプル01~18が条件A5を満たす。
条件B2・・・[O]≦55.5at%
少なくともサンプル01~18が条件B2を満たす。
条件B3・・・[O]≦53.5at%
少なくともサンプル02~18が条件B3を満たす。
条件B4・・・[O]≦49.8at%
少なくともサンプル13~18が条件B3を満たす。サンプル16が[O]=49.8at%に該当する。
条件B5・・・[O]≧30.0at%
条件B5は、[O]が、酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるOの含有量60.0at%の半分以上であることを意味する。少なくともサンプル01~18が条件B5を満たす。
条件B6・・・[O]≧44.8at%
少なくともサンプル13~18が条件B6を満たす。サンプル18が[O]=44.8at%に該当する。
条件C1・・・[H]≧1.0at%
少なくともサンプル01~18が条件C1を満たす。不可避的な水素の混入を考慮しても、サンプル00が条件C0を満たすことは考えにくい。
条件C2・・・[H]≧5.0at%
[H]=5.0at%はサンプル00における[H]とサンプル01における[H]の中間値である。少なくともサンプル01~18が条件C2を満たす。
条件C3・・・[H]≧10.0at%
少なくともサンプル01~18が条件C3を満たす。
条件C4・・・[H]≧20.0at%
少なくともサンプル02~18が条件C4を満たす。
条件C5・・・[H]≦40.0at%
少なくともサンプル01~18が条件C5を満たす。
条件C6・・・[H]≦30.0at%
少なくともサンプル01~18が条件C6を満たす。
条件D1・・・[F]≧0.1at%
少なくともサンプル07~18が条件D1を満たす。不可避的なフッ素の混入を考慮しても、サンプル00~06が条件D1を満たすことは考えにくい。
条件D2・・・[F]≧0.5at%
少なくともサンプル07~19が条件D2を満たす。
条件D3・・・[F]≦20.0at%
少なくともサンプル01~18が条件D3を満たす。
条件D4・・・[F]≦10.0at%
少なくともサンプル01~18が条件D4を満たす。
条件D5・・・[F]≦8.0at%
少なくともサンプル01~18が条件D5を満たす。
条件E1・・・[Ar]≧0.1at%
少なくともサンプル01~18が条件E1を満たす。
条件E2・・・[Ar]≦1.0at%
少なくともサンプル01~18が条件E1を満たす。
作製した酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]を測定し、得られた酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]と193nm波長での消衰係数kの関係を図3(a)に示す。酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]が増えると消衰係数が小さくなる、すなわち193nm波長の光に対する吸収が小さくなるという結果であった。また、酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]が増えると屈折率が高くなるという結果であった。
水素含有量[H]が10.0at%以上で消衰係数は2E-2以下となり、消衰係数が小さくなる効果が確認された。20.0at%より大きい水素含有量[H]で消衰係数は急激に減少し、1E-2よりも小さくなることが確認された。酸化アルミニウム膜における最大の水素含有量[H]である29.2at%まで小さな消衰係数を実現した。
表1の結果から、サンプル07~18について、酸化アルミニウム膜中の酸素含有量[O]と消衰係数の関係を表したグラフを図3(b)に示す。酸化アルミニウム膜105の酸素含有量[O]が多いと消衰係数が小さくなる。そのため、酸化アルミニウム膜中の酸素含有量[O]に関しても、酸化アルミニウム膜105の光学特性と相関がある。図3(b)より、酸素含有量[O]は44.8at%より大きい場合に消衰係数が極めて小さい酸化アルミニウム膜を得ることができる。
また表1より、水素含有量[H]が増えると酸素含有量[O]は減少し、酸素含有量[O]が55.2at%で消衰係数が小さくなる効果が確認でき、51.9at%より小さい領域で消衰係数は著しく小さくなった。
サンプル13~18において、水素とフッ素の含有量が異なる酸化アルミニウム膜を作製したが、全て193nm波長での消衰係数は小さく、良好な酸化アルミニウム膜を得ることができる。
サンプル16として作製した酸化アルミニウム膜の消衰係数のスペクトルを図4に示す。ArF波長である193nmにおいて消衰係数は4.7E-4と小さく、低吸収な酸化アルミニウム膜が得られた。また、ArFエキシマレーザーを照射しても吸収の発生は抑制されていた。
サンプル06、サンプル15~18で作製した酸化アルミニウム膜の消衰係数スペクトルを図5(a)に示す。200nm未満の波長域において、消衰係数の低減が顕著になることが分かる。図5(a)より、フッ素を含有しないサンプル06よりも、フッ素を含有するサンプル15~18の方が消衰係数は小さいことがわかる。ここで、消衰係数が4E-4になる波長を基準波長とする。基準波長を吸収端波長とみなすことができる。図5(a)より、サンプル06(フッ素含有量[F]0at%)の基準波長は194nmである。同様に、サンプル16([F]=0.7at%)の基準波長は193nm、サンプル15([F]=1.7at%)の基準波長は193nm、サンプル17([F]=4.5at%)の基準波長は191nm、サンプル18([F]=5.5at%)の基準波長は190nmであった。このように、また、サンプル15~18は、サンプル06に比べて基準波長が短波長側へシフトしていることがわかる。
基準波長が短波長側へシフトしていることをより理解しやすくするため、フッ素含有量[F]と基準波長の関係を図5(b)に示す。図5(b)よりフッ素含有が0at%より多ければ基準波長が短波長側へシフトすることがわかる。これは、フッ素を含有することで酸化アルミニウムが持つ材料固有のバンドギャップが拡大するからと推定される。基準波長は材料固有のバンドギャップの大きさに依存して決定される。酸化アルミニウム膜中にフッ素を含有すると、アルミニウムとフッ素で新たな結合を生じ、バンドギャップが拡大すると考えられる。酸素を含有しないフッ化アルミニウム(AlF)のバンドギャップは11eVであり、酸化アルミニウムのバンドギャップ7eVよりも大きい。そのため、酸化アルミニウム膜中にフッ素を含有させてアルミニウムとフッ素で新たな結合を生じさせることで、フッ化アルミニウムと同様の結合ができるため、バンドギャップが拡大すると考えられる。酸化アルミニウム膜中にフッ素を含有すればこの効果は得ることができ、0.1at%以上のフッ素含有量[F]で効果を得ることができる。より好ましいフッ素含有量[F]は、吸収端が193nmよりも短波長化する0.7at%以上である。
なお表1より、サンプル13~18はサンプル07~12よりも屈折率が高く、多層膜成膜時の高屈折率材料として適していることがわかる。酸化アルミニウムを高屈折率材料として使用する場合、屈折率は高い方が好ましい。屈折率の観点からフッ素含有量[F]は8.0at%以下が好ましい。
さらに発明者らは、水素含有量[H]とフッ素含有量[F]が酸化アルミニウム膜に及ぼす影響を明らかにするため、酸化アルミニウム膜の表面の粗さに着目し、AFMにて粗さを測定した。サンプル13~18とサンプル07~12について、酸化アルミニウム膜中に含まれる水素含有量[H]、フッ素含有量[F]、消衰係数、粗さを表1に示している。
表1より、消衰係数と粗さには関係性があることがわかる。消衰係数が大きいと粗さも大きい。これは酸化アルミニウム膜の表面で光の散乱が発生していることを示している。消衰係数は光吸収率Aより算出されるが、光吸収率Aは
A=1-T-R
の式から算出される。酸化アルミニウム膜の表面の粗さが大きいと、酸化アルミニウム膜の表面で散乱が発生するため、透過率Tが小さくなる。そのため、実際に光が膜中に吸収されているわけではないが、見かけ上、光吸収率Aは大きくなり、消衰係数が大きくなる。
粗さが大きくなる原因を特定するためサンプル11の表面をAFMで観察した。観察結果を図6に示す。サンプル11の酸化アルミニウムの表面では、高さが10nm以上の突起部の存在が確認された。なお図6において、突起部の先端が平坦となっているが、これは測定レンジである10nmを超えると平坦となって観察されるためである。実際には突起部は10nm以上の高さである。サンプル07~12についても同様の観察を行なったところ、全てにおいてこのような突起部が容易に観察された。またサンプル13~18について観察したところ、このような突起部の存在は確認が困難であった。
水素含有量[H]が少ない場合、あるいは多い場合の両方において、消衰係数が小さい場合もあれば大きい場合もある。フッ素含有量[F]についても同様である。
表1において、単に各種の含有量[Al]、[O]、[H]、[F]、[Ar]に着目するだけでは、含有量と消衰係数あるいは屈折率との間に明確な関係性を把握する上で不十分である。そこで[Al]、[O]、[H]、[F]のうちの2つの和または比、あるいは、[Al]、[O]、[H]、[F]のうちの2つの和と他の1つの比を、指標として検討を行った。その結果を表2、表3に示す。各サンプルにおける各種の評価は表1を参照されたい。
Figure 2023178253000003
表2を踏まえて、[Al]、[O]、[H]、[F]、[Ar]について、酸化アルミニウム膜105の光学特性の向上のために満たすことが好ましい条件F~Mを説明する。
条件F1・・・[Al]+[O]≧50.0at%
条件F1は、酸化アルミニウム膜105の主成分が酸化アルミニウムであることを意味する。少なくともサンプル01~18が条件F1を満たす。
条件F2・・・[Al]+[O]≧69.9at%
少なくともサンプル01~06、13~18が条件F2を満たす。
条件F3・・・[Al]+[O]≦99.0at%
少なくともサンプル01~18が条件F3を満たす。
条件F4・・・[Al]+[O]≦90.0at%
少なくともサンプル01~18が条件F4を満たす。
条件F5・・・[Al]+[O]≦74.6at%
少なくともサンプル07~18が条件F5を満たす。
条件G1・・・[Al]+[H]≧40.0at%
少なくともサンプル01~18が条件G1を満たす。条件G1は、[H]>0の場合に、[Al]+[H]が、酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるAlの含有量40.0at%以上であることを意味する。
条件G2・・・[Al]+[H]≧42.0at%
少なくともサンプル01~18が条件G2を満たす。
条件G3・・・[Al]+[H]≧45.9at%
少なくともサンプル04~06、13~18が条件G3を満たす。
条件G4・・・[Al]+[H]≦60.0at%
少なくともサンプル01~18が条件G4を満たす。
条件G5・・・[Al]+[H]≦52.4at%
少なくともサンプル13~18が条件G5を満たす。
条件H1・・・[O]+[H]≦75.0at%
少なくともサンプル01~18が条件H1を満たす。
条件H2・・・[O]+[H]≧60.0at%
少なくともサンプル01~06、10~18が条件H2を満たす。条件H2は、[H]>0の場合に、[O]+[H]が酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるOの含有量60.0at%以上であることを意味する。
条件H3・・・[O]+[H]≧63.0at%
少なくともサンプル01~06、10~18が条件H3を満たす。
条件H4・・・[O]+[H]≧66.7at%
少なくともサンプル13~18が条件H4を満たす。
条件I1・・・[O]/[Al]≧1.30
少なくともサンプル01~18が条件I1を満たす。
条件I2・・・[O]/[Al]≧1.60
少なくともサンプル01~07、12~18が条件I2を満たす。条件I2は、[O]/[Al]が酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるOの含有量60.0at%とAlの含有量40.0at%との比(1.50)よりも有意に大きいことを意味する。
条件I3・・・[O]/[Al]≧1.75
少なくともサンプル04~06、13~18が条件I3を満たす。
条件I4・・・[O]/[Al]≦2.10
少なくともサンプル01~18が条件I4を満たす。
条件J1・・・[H]/[Al]≧0.25
少なくともサンプル01~18が条件J1を満たす。
条件J2・・・[H]/[Al]≧0.50
少なくともサンプル02~18が条件J2を満たす。
条件J3・・・[H]/[Al]≧0.75
少なくともサンプル03~18が条件J3を満たす。
条件J4・・・[H]/[Al]≦1.25
少なくともサンプル01~18が条件J4を満たす。
条件J5・・・[H]/[Al]≦1.10
少なくともサンプル13~18が条件J5を満たす。
条件K1・・・[H]/[O]≧0.10
少なくともサンプル01~18が条件K1を満たす。
条件K2・・・[H]/[O]≧0.25
少なくともサンプル02~18が条件K2を満たす。
条件K3・・・[H]/[O]≧0.46
少なくともサンプル10~18が条件K3を満たす。
条件K4・・・[H]/[O]≦0.75
少なくともサンプル01~18が条件K4を満たす。
条件K5・・・[H]/[O]≦0.59
少なくともサンプル13~18が条件K5を満たす。
条件L1・・・[O]/([Al]+[H])≦1.40
少なくともサンプル01~18が条件L1を満たす。条件L1は、[O]/([Al]+[H])が酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるOの含有量60.0at%とAlの含有量40.0at%との比(1.50)よりも有意に小さいことを意味する。
条件L2・・・[O]/([Al]+[H])≦1.10
少なくともサンプル02~18が条件L2を満たす。
条件L3・・・[O]/([Al]+[H])≦1.01
少なくともサンプル07~18が条件L3を満たす。
条件L4・・・[O]/([Al]+[H])≧0.70
少なくともサンプル01~18が条件L4を満たす。
条件L5・・・[O]/([Al]+[H])≧0.89
少なくともサンプル13~18が条件L5を満たす。
条件M1・・・([O]+[H])/[Al]≧1.60
少なくともサンプル01~18が条件M1を満たす。条件M1は、([O]+[H])/[Al]が酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるOの含有量60.0at%とAlの含有量40.0at%との比(1.50)よりも有意に大きいことを意味する。
条件M2・・・([O]+[H])/[Al]≧1.90
少なくともサンプル01~18が条件M2を満たす。
条件M3・・・([O]+[H])/[Al]≧2.68
少なくともサンプル13~18が条件M3を満たす。
条件M4・・・([O]+[H])/[Al]≦3.00
少なくともサンプル01~18が条件M4を満たす。
条件N1・・・[H]/([Al]+[O])≧0.10
少なくともサンプル01~18が条件N1を満たす。
条件N2・・・[H]/([Al]+[O])≦0.40
少なくともサンプル13~18が条件N2を満たす。
本発明者らは、酸化アルミニウム膜に生じた格子欠陥(酸素欠陥)を水素が埋めるモデルを推測している。欠陥のない酸化アルミニウム膜は化学量論的組成であるAlと考えられ、Al膜中のアルミニウムと酸素の原子数の比は2:3、すなわち[O]/[Al]=1.50となる。表2において、条件I、L、Mがこれに関連するが、[H]が直接的に関係する条件L,Mについて検討する。
図7(a)には、条件Lすなわち[O]/([Al]+[H])と消衰係数との関係を示し、図7(b)には、条件Lすなわち[O]/([Al]+[H])と屈折率との関係を示している。図7(a)から理解されるように、評価Y(サンプル19)よりも低い消衰係数が得られるサンプルは、条件L1、L2を満たしている。また、図7(b)から理解されるように、評価Y(サンプル19)よりも高い屈折率が得られるサンプルは、条件L1を満たしている。
次に、酸化アルミニウム膜中の水素含有量[H]と酸素含有量[O]の和とアルミニウム含有量[Al]の比である([O]+[H])/[Al]、すなわち条件Mに着目する。評価I~Vのサンプル01~19では、化学量論的組成であるAlから得られる([O]+[H])/[Al]=1.50([H]=0)よりも大きく条件M1を満たし、さらに、([O]+[H])/[Al]≧1.90という条件M2を満たしている。
消衰係数や屈折率が条件L、Mに依存するのは、酸化アルミニウム膜中に生じた格子欠陥を水素が埋めるだけでなく、水素が格子間にトラップされているからと推測される。これらにより酸化アルミニウム膜で発生する吸収が抑制され、消衰係数が小さくなると考えられる。条件M1で消衰係数がサンプル00より小さくなる効果が確認できる。また、条件M3を満たすと消衰係数はかなり小さくなることがわかる。これは格子間にトラップされる水素が多くなることで、その効果が顕著に現れていると推測される。
水素と、アルミニウムおよび酸素の少なくとも一方の比で表される、他の条件J、K、Nでも同様に、サンプル00~18とサンプル19との間には顕著な違いがみられる。
水酸基(OH)のように水素(H)が酸素(O)を介してアルミニウム(Al)に結合するよりも、水素(H)が直接、アルミニウム(Al)に結合する方が、低吸収化および/または高屈折率化に有利であると考えられる。サンプル01~18は、水素ガス(Hガス)を用いて成膜しているため、水素(H)がアルミニウム(Al)に結合しやすく、サンプル19はHOガスを用いて成膜しているため、水酸基(OH)がアルミニウム(Al)に結合しやすい。酸素ガス(O)によって供給されるべき酸素(O)が欠陥を生じ、その欠陥に水素または水酸基が配置されて、アルミニウム(Al)に結合すると考えられる。ここで、図3に基づき、水素の含有量を増大させることを考える。酸素欠陥に水素が配置される場合には、[O]の変動が小さく、[H]の増加が大きくなるため、水素の含有量が増大すると、[H]/[O]は増加し、[O]/[H]は減少する傾向にある。一方、酸素欠陥に水酸基が配置される場合には、[O]と[H]が共に増加するため、[H]/[O]および[O]/[H]の変動が小さい。このことが、条件K、L、Nに表れていると考えられる。
Figure 2023178253000004
表3を踏まえて、[Al]、[O]、[H]、[F]、[Ar]について、酸化アルミニウム膜105の光学特性の向上のために満たすことが好ましい条件O~Wを説明する。
条件O1・・・[O]+[F]≦60.0at%
少なくともサンプル01~18が条件O1を満たす。条件O1は、[F]>0の場合に、[O]+[F]が酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるOの含有量60.0at%以下であることを意味する。
条件O2・・・[O]+[F]≦56.0at%
少なくともサンプル01~18が条件O2を満たす。
条件O3・・・[O]+[F]≧45.0at%
少なくともサンプル07~18が条件O3を満たす。
条件P1・・・[H]+[F]≧10.0at%
少なくともサンプル01~18が条件P1を満たす。
条件P2・・・[H]+[F]≧20.0at%
少なくともサンプル02~18が条件P2を満たす。
条件P3・・・[H]+[F]≦40.0at%
少なくともサンプル01~18が条件P3を満たす。
条件P4・・・[H]+[F]≦30.0at%
少なくともサンプル13~18が条件P4を満たす。
条件Q1・・・[Al]+[F]≦42.4at%
少なくともサンプル01~18が条件Q1を満たす。
条件Q2・・・[Al]+[F]≦40.0at%
少なくともサンプル10~18が条件Q2を満たす。条件Q2は、[F]>0の場合に、[Al]+[F]が酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるAlの含有量40.0at%以下であることを意味する。
条件Q3・・・[Al]+[F]≦32.9at%
少なくともサンプル13~18が条件Q3を満たす。
条件Q4・・・[Al]+[F]≧25.5at%
少なくともサンプル01~18が条件Q4を満たす。
条件R1・・・[F]/[H]≦1.00
少なくともサンプル01~18が条件R1を満たす。
条件R2・・・[F]/[H]≦0.50
少なくともサンプル01~18が条件R2を満たす。
条件R3・・・[F]/[H]≧0.01
少なくともサンプル07~18が条件R3を満たす。
条件R4・・・[F]/[H]≧0.03
少なくともサンプル07~18が条件R4を満たす。
条件S1・・・([O]+[F])/[Al]≧1.60
少なくともサンプル01~18が条件S1を満たす。条件S1は、([O]+[F])/[Al]が酸化アルミニウムの化学量論的組成AlにおけるOの含有量60.0at%とAlの含有量40.0at%との比(1.50)よりも有意に大きいことを意味する。
条件S2・・・([O]+[F])/[Al]≧1.75
少なくともサンプル07~18が条件S2を満たす。
条件S3・・・([O]+[F])/[Al]≧1.88
少なくともサンプル13~18が条件S3を満たす。
条件S4・・・([O]+[F])/[Al]≦2.20
少なくともサンプル01~18が条件S4を満たす。
条件S5・・・([O]+[F])/[Al]≦2.04
少なくともサンプル14~18が条件S5を満たす。
条件T1・・・([H]+[F])/[Al]≧0.25
少なくともサンプル01~18が条件T1を満たす。
条件T2・・・([H]+[F])/[Al]≧1.00
少なくともサンプル07~18が条件T2を満たす。
条件T3・・・([H]+[F])/[Al]≦1.50
少なくともサンプル07~18が条件T3を満たす。
条件T4・・・[H]/([Al]+[F])≦1.18
少なくともサンプル13~18が条件T4を満たす。
条件U1・・・[H]/([Al]+[F])≧0.25
少なくともサンプル07~18が条件U1を満たす。
条件U2・・・[H]/([Al]+[F])≧0.50
少なくともサンプル07~18が条件U1を満たす。
条件U3・・・[H]/([Al]+[F])≧0.75
少なくともサンプル13~18が条件U3を満たす。
条件U4・・・[H]/([Al]+[F])≦1.25
少なくともサンプル01~18が条件U4を満たす。
条件U5・・・[H]/([Al]+[F])≦1.10
少なくともサンプル07~18が条件U5を満たす。
条件V1・・・([H]+[F])/[O]≧0.18
少なくともサンプル01~18が条件V1を満たす。
条件V2・・・([H]+[F])/[O]≧0.50
少なくともサンプル07~18が条件V2を満たす。
条件V3・・・([H]+[F])/[O]≦1.05
少なくともサンプル01~18が条件V3を満たす。
条件V4・・・([H]+[F])/[O]≦0.66
少なくともサンプル13~18が条件V4を満たす。
条件W1・・・[H]/([O]+[F])≧0.10
少なくともサンプル01~18が条件W1を満たす。
条件W2・・・[H]/([O]+[F])≧0.39
少なくともサンプル09~18が条件W2を満たす。
条件W3・・・[H]/([O]+[F])≧0.48
少なくともサンプル10~12、14~18が条件W3を満たす。
条件W4・・・[H]/([O]+[F])≦0.66
少なくともサンプル01~18が条件W4を満たす。
条件W5・・・[H]/([O]+[F])≦0.58
少なくともサンプル13~18が条件W5を満たす。
図8には、水素含有量[H]とフッ素含有量[F]との関係を示す。図8には、水素含有量[H]を横軸に、フッ素含有量[F]を縦軸にとり、評価結果との関連を示している。図8より、水素含有量[H]とフッ素含有量[F]と評価には相関があることがわかる。発明者らは、酸化アルミニウム膜中にフッ素を含有させると、酸化アルミニウム分子内でアルミニウムとフッ素で新たな結合が生じ、基準波長(吸収端波長)の短波長化が実現したと推定している。フッ素の含有量[F]が比較的小さくても低吸収化の効果は十分に得られるが、フッ素の含有量[F]をさらに大きくしても、低吸収化の効果はそれほど上がらないか、むしろ低下する。また、フッ素の含有量[F]の増大は、低屈折率化を招きうる。一方で、水素の含有量[H]は大きいほど、低吸収化および高屈折率化に有利であるのは図3に示した通りである。そして、条件Rである[F]/[H]が小さい方が、評価がよくなる傾向にある。これは、上述したように、フッ化アルミニウムの生成が関与していると推測される。評価Yであるものが条件R1を満たさないのに対し、条件R1を満たすものは評価III、IV,Vとなっていることが分かる。さらに、評価IIIであるものが条件R2を満たさないのに対し、条件R2を満たすものは評価IV、Vとなっていることが分かる。また、評価III、IVであるものが条件P4を満たさないのに対し、条件P4を満たすものが評価Vとなっている。
なお、ここでは消衰係数1.0E-3を境界として評価IVと評価Vを判断している。水素含有量[H]が多い場合、消衰係数が1.0E-3よりも小さくなるのは、フッ素含有量[F]が少ない場合である。さらには、水素含有量[H]が少ない場合、ある程度フッ素含有量[F]が多くても消衰係数が1.0E-3よりも小さくなっている。図8に示すように、消衰係数が1.0E-3よりも小さくなる水素含有量[H]とフッ素含有量[F]の関係性は、水素含有量[H]とフッ素含有量[F]の和が30.0at%≦である場合であり、このとき良好な酸化アルミニウム膜105を得ることができる。
酸化アルミニウム膜の表面を観察することで、サンプル13~18よりもサンプル07~12で消衰係数が大きい原因の1つは、突起部の存在であることがわかった。この突起部は、フッ化アルミニウムがかたまりとなって存在していると推定される。フッ素ガスの供給量が多くなると、フッ化アルミニウム分子が形成され、図6で観察されたような突起部が生じたと考えられる。また水素は、フッ化アルミニウムの形成を促進させる効果があると考えられる。本実施形態の酸化アルミニウム膜は、反応性ガスを供給してスパッタリングを行う反応性スパッタリング法にて成膜している。成膜中に水素ガスとフッ素ガスを供給しているが、水素ガスの供給量が多いと、基体上でのフッ化アルミニウムの形成を促進させてしまう。一方、水素ガスの供給量が少なければ、基体上でのフッ化アルミニウムの形成は抑制できると考えられる。水素ガスの導入量が少なければ、ある程度フッ素ガスの供給量が多くても突起部の形成は抑制されて消衰係数が小さな酸化アルミニウム膜が実現する。一方、水素ガスの供給量が多くなると、フッ素ガスの量が少なくても、フッ化アルミニウムの形成が促進されて突起部が形成されるため、消衰係数は大きくなると考えられる。 フッ素と、水素の比で表される、他の条件T、U,Wでも同様に、サンプル00~18とサンプル19との間には顕著な違いがみられる。
フッ素と、アルミニウムおよび酸素の少なくとも一方の比で表される、他の条件S、T,Vでも同様に、サンプル00~18とサンプル19との間には顕著な違いがみられる。
評価I~Vのいずれかの光学特性が得られるように上述した条件A~Wの1つ以上の条件を満たす酸化アルミニウム膜105を用いて、光学素子100を製造することができる。
光学素子100は、様々な光学機器EQPに適用可能である。光学素子100を備えた光学機器EQPの例としては、カメラレンズや望遠鏡、プロジェクター、露光装置、計測器などである。とりわけ、プロジェクターや露光装置、計測器の様に光源を備えた光学機器に好適である。光学素子100が、光源からの光を透過および/または反射するように、光学素子100の積層膜20を、光源の波長に合わせて設計することできるからである。光源からの光は、赤外光、可視光、紫外光のいずれでもよいが、本実施形態の光学素子は紫外光の吸収が小さいため、光源が紫外光である場合に好適である。
図9には、光学機器EQPの一例としての露光装置の模式図を示している。露光装置である光学機器EQPは、光源1と、照明光学系を構成するミラー2、3を備える。また、光学機器EQPは、レチクル4を搭載するレチクルステージ5と、レチクル4のパターンを投影する投影光学系6と、基板7を搭載する基板ステージ8とを備える。光源1からの露光光9は照明光学系のミラー2,3で反射されてレチクル4へ導かれ、レチクル4のパターンを伴った露光光9は投影光学系6で集光されて、基板7へ投影される。光源1および光学素子100によってレチクル4に形成されたパターンを基板7に投影する。基板7にはフォトレジストが塗布されており、露光光9によってフォトレジストが露光される。基板7は半導体ウエハであってもよいし、FPD(フラットパネルディスプレイ)用のガラス基板であってもよい。露光装置の露光光は典型的には紫外光である。露光光の波長は、g線光源であれば436nmであり、i線光源であれば約365nmである。露光光の波長は、KrFエキシマレーザー光源であれば約248nmであり、ArFエキシマレーザー光源であれば約193nmであり、Fエキシマレーザー光源であれば約157nmであり、EUV(極端紫外線)光源であれば10~20nmである。図5を用いて説明したように、本実施形態は200nm未満の波長域において、顕著に吸収を低減できるため、200nm未満の波長域の光を含む光源を用いる場合に好適である。ここでは、照明光学系のミラー2,3に光学素子100を採用した例を示したが、投影光学系のレンズに光学素子100を採用してもよい。また、投影光学系をミラーで構成して、このミラーに光学素子100を採用してもよい。投影光学系は縮小投影型であってもよいし、等倍投影型であってもよいし、拡大投影型であってもよい。ここでは透過型のレチクル4を例示したが、反射型のレチクル4を用いてもよい。投影光学系はレンズを用いた屈折型であってもよいし、ミラーを用いた反射型であってもよい。EUV光源を備えた露光装置が備える反射型の縮小投影光学系のミラーに、光学素子100を用いてもよい。
近年、露光装置においては、感光基板上に到達する光の強度を上げて短時間で基板を露光し、露光装置の生産能力を向上させることが検討されている。そのため、露光装置の光源は高出力化される傾向にある。高出力なArFエキシマレーザーの光に対して、複数の酸化アルミニウム膜の光学特性を向上すれば、露光装置の生産能力は大幅に向上する。
実施例1、2では、反射型光学素子の表面に反射構造を有することを特徴とする光学構造体を作製した具体例を説明する。石英ガラスの基体101上に、高屈折率層103と低屈折率層104が交互に合計で40層積み重ねられ、光学構造体102を構成している。実施例1では、高屈折率層103として表1のサンプル16を用い、実施例2では、高屈折率層103としてサンプル11を用いた。低屈折率層104としては、フッ化アルミニウムを用いた。それぞれの屈折率に鑑み、光学素子100の使用目的に鑑みて、波長193nmで反射特性を最大化するため、各層の物理膜厚を最適化して光学構造体の構成を決定した。表4に実施例1の光学素子の層構成を示し、表5に実施例2の光学素子の層構成を示す。
Figure 2023178253000005
Figure 2023178253000006
図10(a)に、実施例1、2の反射型光学素子の反射特性を示す。反射型光学素子の反射率については、波長が180nm~250nmの範囲について、光線入射角45度の場合について測定した。実施例1では、193nmにおける反射率は98%以上と良好な結果であった。実施例2では、193nmにおける反射率は96.4%であった。実施例1は、実施例2よりも高い反射率を実現できた。
実施例3、4では、反射型光学素子の表面に反射構造を有することを特徴とする光学構造体を作製した具体例を説明する。石英ガラスの基体101上に、高屈折率層103と低屈折率層104が交互に合計で7層積み重ねられ、光学構造体102を構成している。実施例1では、高屈折率層103として表1のサンプル16を用い、実施例2では、高屈折率層103としてサンプル11を用いた。低屈折率層104としては、フッ化アルミニウムを用いた。それぞれの屈折率に鑑み、光学素子100の使用目的に鑑みて、波長193nmで透過特性を最大化するため、各層の物理膜厚を最適化して光学構造体の構成を決定した。表6に実施例3の光学素子の層構成を示し、表7に実施例4の光学素子の層構成を示す。透過型光学素子の反射率については、波長が180nm~250nmの範囲について、光線入射角45度の場合について測定した。実施例3では、193nmにおける透過率は99%以上と良好な結果であった。実施例2では、193nmにおける透過率は98.8%であった。
Figure 2023178253000007
Figure 2023178253000008
図10(b)に、実施例3、4の透過型光学素子の透過特性を示す。透過型光学素子の透過率については、光線入射角10度の場合について測定した。実施例3では、193nmにおける透過率は99%以上と良好な結果であった。実施例4では、193nmにおける透過率は98.8%であった。実施例3は、実施例2よりも高い透過率を実現できた。
本明細書の開示内容は少なくとも以下の構成1~31を含む。
[構成1]
基体および前記基体の上に設けられた光学構造体を備える光学素子であって、
前記光学構造体は、第1の誘電体層と、第2の誘電体層と、前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との間に位置し、前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層よりも低い屈折率を有する第3の誘電体層と、を少なくとも有し、
前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層が、酸化アルミニウムおよび水素を含む膜であり、
前記膜における酸素の含有量を[O]at%、前記膜におけるアルミニウムの含有量を[Al]at%、前記膜における水素の含有量を[H]at%として、
[Al]+[O]≧50.0at%
および
[O]/([Al]+[H])≦1.40
を満たす光学素子。
[構成2]
([O]+[H])/[Al]≧1.90
を満たす、構成1に記載の光学素子。
[構成3]
[H]/[O]≧0.10を満たす、構成1または2に記載の光学素子。
[構成4]
[H]/([Al]+[O])≧0.10
を満たす、構成1乃至3のいずれかに記載の光学素子。
[構成5]
前記膜におけるフッ素の含有量を[F]at%として、
([O]+[F])/[Al]≧1.60
を満たす、構成1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
[構成6]
[H]/[Al]≧0.25
を満たす、構成1乃至5のいずれかに記載の光学素子。
[構成7]
[O]/[Al]≧1.75
[H]/[Al]≧0.75
[H]/[O]≧0.46
[O]/([Al]+[H])≦1.10
([O]+[H])/[Al]≧2.68
の少なくともいずれかを満たす、構成1乃至6のいずれかに記載の光学素子。
[構成8]
[H]≧10.0at%
[Al]≦35.0at%
[O]≦55.5at%
[Al]+[O]≦90.0at%
[Al]+[H]≧40.0at%
[O]+[H]≧60.0at%
の少なくともいずれかを満たす、構成1乃至7のいずれかに記載の光学素子。
[構成9]
[H]≧20.0at%
および
[H]≦30.0at%
を満たす、構成1乃至8のいずれかに記載の光学素子。
[構成10]
[H]/[O]≦0.75
[H]/[Al]≦1.25
[O]/([Al]+[H])≧0.70
([O]+[H])/[Al]≦3.00
[H]/([Al]+[O])≦0.40
の少なくとも何れかを満たす、構成1乃至9のいずれかに記載の光学素子。
[構成11]
基体および前記基体の上に設けられた光学構造体を備える光学素子であって、
前記光学構造体は、酸化アルミニウム、水素およびフッ素を含む膜を少なくとも有し、
前記膜における酸素の含有量を[O]at%、前記膜におけるアルミニウムの含有量を[Al]at%、前記膜における水素の含有量を[H]at%、前記膜におけるフッ素の含有量を[F]at%として、
[Al]+[O]≧50.0at%
および
[F]/[H]≦1.0
を満たす光学素子。
[構成12]
[H]/([Al]+[F])≧0.25
を満たす、構成11に記載の光学素子。
[構成13]
[H]/([O]+[F])≧0.10
を満たす、構成11または12に記載の光学素子。
[構成14]
([H]+[F])/[Al]≧0.25
を満たす、構成11乃至14のいずれかに記載の光学素子。
[構成15]
([H]+[F])/[Al]≧1.00
および
([H]+[F])/[Al]≦1.50
を満たす、構成11乃至14のいずれかに記載の光学素子。
[構成16]
[F]/[H]≦0.50
を満たす、構成11乃至15のいずれかに記載の光学素子。
[構成17]
([H]+[F])/[O]≧0.50
を満たす、構成11乃至16のいずれかに記載の光学素子。
[構成18]
[H]+[F]≧20.0at%
および
[H]+[F]≦30.0at%
を満たす、構成11乃至17のいずれかに記載の光学素子。
[構成19]
[O]+[F]≦60.0at%
[Al]+[F]≦40.0at%
の少なくとも何れかを満たす、構成11乃至18のいずれかに記載の光学素子。
[構成20]
([O]+[F])/[Al]≧1.75
を満たす、構成11乃至19のいずれかに記載の光学素子。
[構成21]
前記光学構造体は、第1の誘電体層と、第2の誘電体層と、前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との間に位置し、前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層よりも低い屈折率を有する第3の誘電体層と、を有し、
前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層が、前記膜である、構成11項に記載の光学素子。
[構成22]
前記光学構造体が、反射防止構造を有する、
構成1乃至21のいずれかに記載の光学素子。
[構成23]
前記光学構造体が、反射構造を有する、構成1乃至21のいずれかに記載の光学素子。
[構成24]
前記基体における前記膜の側の表面が凹面または凸面である、構成1乃至20のいずれかに記載の光学素子。
[構成25]
前記光学素子は、レンズ、ミラーまたはプリズムである、構成1乃至20のいずれかに記載の光学素子。
[構成26]
前記基体の主成分が、酸化シリコンまたはフッ化カルシウムである、構成1乃至20のいずれかに記載の光学素子。
[構成27]
構成1乃至20のいずれかに記載の光学素子と、
前記光学素子を保持する保持部品と、を備える、
ことを特徴とする機器。
[構成28]
構成1乃至20のいずれかに記載の光学素子と、
前記膜に照射する紫外光を生成する光源と、を備える、
ことを特徴とする機器。
[構成29]
前記紫外光の波長が200nm未満である、構成28に記載の機器。
[構成30]
レチクルを搭載するレチクルステージと、
基板を搭載する基板ステージと、を備え、
前記光源で生成された紫外光が前記レチクルと前記光学素子とを介して前記基板に照射される構成29に記載の機器。
[構成31]
前記膜はアルゴンを含み、前記膜における酸素の含有量と、前記膜におけるアルミニウムの含有量と、前記膜における水素の含有量と、前記膜におけるフッ素の含有量と、前記膜におけるアルゴンの含有量と、の和が、99.0at%以上である、構成27乃至30のいずれかに記載の機器。
以上、説明した実施形態は、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。たとえば複数の実施形態を組み合わせることができる。また、少なくとも1つの実施形態の一部の事項の削除あるいは置換を行うことができる。また、少なくとも1つの実施形態に新たな事項の追加を行うことができる。
なお、本明細書の開示内容は、本明細書に明示的に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した個別の概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨の記載があれば、たとえ「AはBではない」場合の記載を省略していたとしても、本明細書は「AはBではない」場合を開示していると云える。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、「AはBではない」場合を考慮していることが前提だからである。
100 光学素子
101 基体
102 光学構造体
103a、103b、104a 誘電体層
105 酸化アルミニウム膜

Claims (31)

  1. 基体および前記基体の上に設けられた光学構造体を備える光学素子であって、
    前記光学構造体は、第1の誘電体層と、第2の誘電体層と、前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との間に位置し、前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層よりも低い屈折率を有する第3の誘電体層と、を少なくとも有し、
    前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層が、酸化アルミニウムおよび水素を含む膜であり、
    前記膜における酸素の含有量を[O]at%、前記膜におけるアルミニウムの含有量を[Al]at%、前記膜における水素の含有量を[H]at%として、
    [Al]+[O]≧50.0at%
    および
    [O]/([Al]+[H])≦1.40
    を満たす光学素子。
  2. ([O]+[H])/[Al]≧1.90
    を満たす、請求項1に記載の光学素子。
  3. [H]/[O]≧0.10
    を満たす、請求項1に記載の光学素子。
  4. [H]/([Al]+[O])≧0.10
    を満たす、請求項1に記載の光学素子。
  5. 前記膜におけるフッ素の含有量を[F]at%として、
    ([O]+[F])/[Al]≧1.60
    を満たす、請求項1に記載の光学素子。
  6. [H]/[Al]≧0.25
    を満たす、請求項1に記載の光学素子。
  7. [O]/[Al]≧1.75
    [H]/[Al]≧0.75
    [H]/[O]≧0.46
    [O]/([Al]+[H])≦1.10
    ([O]+[H])/[Al]≧2.68
    の少なくともいずれかを満たす、請求項1に記載の光学素子。
  8. [H]≧10.0at%
    [Al]≦35.0at%
    [O]≦55.5at%
    [Al]+[O]≦90.0at%
    [Al]+[H]≧40.0at%
    [O]+[H]≧60.0at%
    の少なくともいずれかを満たす、請求項1に記載の光学素子。
  9. [H]≧20.0at%
    および
    [H]≦30.0at%
    を満たす、請求項1に記載の光学素子。
  10. [H]/[O]≦0.75
    [H]/[Al]≦1.25
    [O]/([Al]+[H])≧0.70
    ([O]+[H])/[Al]≦3.00
    [H]/([Al]+[O])≦0.40
    の少なくとも何れかを満たす、請求項1に記載の光学素子。
  11. 基体および前記基体の上に設けられた光学構造体を備える光学素子であって、
    前記光学構造体は、酸化アルミニウム、水素およびフッ素を含む膜を少なくとも有し、
    前記膜における酸素の含有量を[O]at%、前記膜におけるアルミニウムの含有量を[Al]at%、前記膜における水素の含有量を[H]at%、前記膜におけるフッ素の含有量を[F]at%として、
    [Al]+[O]≧50.0at%
    および
    [F]/[H]≦1.0
    を満たす光学素子。
  12. [H]/([Al]+[F])≧0.25
    を満たす、請求項11に記載の光学素子。
  13. [H]/([O]+[F])≧0.10
    を満たす、請求項11に記載の光学素子。
  14. ([H]+[F])/[Al]≧0.25
    を満たす、請求項11に記載の光学素子。
  15. ([H]+[F])/[Al]≧1.00
    および
    ([H]+[F])/[Al]≦1.50
    を満たす、請求項11に記載の光学素子。
  16. [F]/[H]≦0.50
    を満たす、請求項11に記載の光学素子。
  17. ([H]+[F])/[O]≧0.50
    を満たす、請求項11に記載の光学素子。
  18. [H]+[F]≧20.0at%
    および
    [H]+[F]≦30.0at%
    を満たす、請求項11に記載の光学素子。
  19. [O]+[F]≦60.0at%
    [Al]+[F]≦40.0at%
    の少なくとも何れかを満たす、請求項11に記載の光学素子。
  20. ([O]+[F])/[Al]≧1.75
    を満たす、請求項11に記載の光学素子。
  21. 前記光学構造体は、第1の誘電体層と、第2の誘電体層と、前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との間に位置し、前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層よりも低い屈折率を有する第3の誘電体層と、を少なくとも有し、
    前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層が、前記膜である、請求項11に記載の光学素子。
  22. 前記光学構造体が、反射防止構造を有する、
    請求項1乃至21のいずれか1項に記載の光学素子。
  23. 前記光学構造体が、反射構造を有する、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の光学素子。
  24. 前記基体における前記膜の側の表面が凹面または凸面である、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の光学素子。
  25. 前記光学素子は、レンズ、ミラーまたはプリズムである、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の光学素子。
  26. 前記基体の主成分が、酸化シリコンまたはフッ化カルシウムである、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の光学素子。
  27. 請求項1乃至21のいずれか1項に記載の光学素子と、
    前記光学素子を保持する保持部品と、を備える、
    ことを特徴とする機器。
  28. 請求項1乃至21のいずれか1項に記載の光学素子と、
    前記膜に照射する紫外光を生成する光源と、を備える、
    ことを特徴とする機器。
  29. 前記紫外光の波長が200nm未満である、請求項28に記載の機器。
  30. レチクルを搭載するレチクルステージと、
    基板を搭載する基板ステージと、を備え、
    前記光源で生成された紫外光が前記レチクルと前記光学素子とを介して前記基板に照射される請求項29に記載の機器。
  31. 前記膜はアルゴンを含み、前記膜における酸素の含有量と、前記膜におけるアルミニウムの含有量と、前記膜における水素の含有量と、前記膜におけるフッ素の含有量と、前記膜におけるアルゴンの含有量と、の和が、99.0at%以上である、請求項29に記載の機器。
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