JP2023176477A - グリッパ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分なストロークを有しつつ、サイズを抑えたグリッパ装置を提供する。【解決手段】グリッパ装置10は、ピストンロッド18を有するエアシリンダ12と、ネジ軸22およびナット24を有し、前記ピストンロッド18の直進運動を回転運動に変換する回転出力機構20と、それぞれにグリッパ爪60が連結された複数の直動部62と、前記回転出力機構20から出力された回転運動を直進運動に変換して複数の前記直動部62に伝達する直進出力機構40であって、ピニオンギヤ42およびラックギヤ48を有する直進出力機構40と、を備え、前記ナット24は、前記ピニオンギヤ42の内径側に配されており、前記ピストンロッド18の直進ストロークより、前記直動部62の直進ストロークのほうが大きい。【選択図】図3
Description
本明細書は、複数のグリッパ爪で対象物を保持するグリッパ装置を開示する。
従来から、複数のグリッパ爪を直進進退させることで、対象物を保持するグリッパ装置が知られている。こうしたグリッパ装置は、例えば、エンドエフェクタとして、ロボットに装着されたり、工作機械の加工室内に設けられたりする。
また、従来から、グリッパ爪を進退させる動力源として、エアシリンダを用いることが広く提案されている。ここで、グリッパ爪のストロークを大きくするために、ロングストロークのエアシリンダを採用した場合、グリッパ装置全体が大型化するという問題があった。
そこで、一部では、エアシリンダとグリッパ爪との間に、複数のギヤを設けることで、グリッパ爪のストロークの拡大を図る技術が提案されている。例えば、特許文献1には、一対のフィンガー体(グリッパ爪に対応)を、エアシリンダで進退させるチャック装置が開示されている。特許文献1において、エアシリンダのピストンには、ラックギヤが形成されており、このラックギヤは、主動ピニオンギヤと噛み合っている。主動ピニオンギヤは、従動軸を介して従動ピニオンギヤに連結されている。さらに、従動ピニオンギヤは、一対のフィンガー体に設けられた従動ラックギヤと噛み合っている。この場合、ピストンの進退に伴い、主動ピニオンギヤおよび従動ピニオンギヤが回転し、これにより、従動ラックギヤおよびフィンガー体が直進進退する。また、特許文献1には、従動ピニオンギヤを主動ピニオンギヤよりもピッチ径を大きく形成すれば、エアシリンダのストロークに比べて、フィンガー体の開閉ストロークを大きく確保できることも記載されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、グリッパ装置を十分に小型化できなかった。すなわち、特許文献1の構成では、ピストンの直進運動を回転運動に変換する主動ピニオンギヤと、回転運動を従動ラックギヤに伝達する従動ピニオンギヤは、その回転軸方向に大きくズレて配置されている。ここで、主動ピニオンギヤおよび従動ラックギヤの回転軸は、チャック装置の厚み方向と平行である。そのため、特許文献1の構成では、チャック装置の厚み方向寸法が、大きくなりやすかった。
そこで、本明細書では、十分なストロークを有しつつ、サイズを抑えたグリッパ装置を開示する。
本明細書で開示するグリッパ装置は、直進進退するピストンロッドを有するエアシリンダと、前記ピストンロッドに固着されたネジ軸と、前記ネジ軸に螺合されたナットと、を有し、前記ピストンロッドの直進運動を回転運動に変換する回転出力機構と、互いに同期して進退する複数の直動部であって、それぞれにグリッパ爪が連結された複数の直動部と、前記回転出力機構から出力された回転運動を直進運動に変換して複数の前記直動部に伝達する直進出力機構であって、前記ナットと同期して回転するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと噛み合うラックギヤと、を有する直進出力機構と、を備え、前記ナットは、前記ピニオンギヤの内径側に配されており、前記ピストンロッドの直進ストロークより、前記直動部の直進ストロークのほうが大きい、ことを特徴とする。
かかる構成とすることで、ネジ軸のリードおよびピニオンギヤのピッチ円直径等を調整することで、グリッパ爪に関して、十分なストロークを確保できる。また、ナットがピニオンギヤの内径側に配されているため、グリッパ装置のサイズ、特に、グリッパ装置の厚み方向の寸法(すなわち、グリッパ爪の開閉方向と直交する方向)を低減できる。
この場合、前記ピニオンギヤのモジュールをm、前記ピニオンギヤの歯数をz、前記ネジ軸のリードをRとした場合、(π・m・z/R)>1を満たしてもよい。
かかる構成とすることで、直動部の直進ストロークを、ピストンロッドの直進ストロークよりも確実に大きくできる。
また、前記ピストンロッドの軸方向と、前記ネジ軸の軸方向と、前記ナットの軸方向と、前記ピニオンギヤの回転軸方向は、平行であり、前記ピストンロッドの軸方向は、複数の前記直動部の直進方向と直交しており、前記ピストンロッドの軸方向範囲は、前記ネジ軸の軸方向範囲の少なくとも一部と重複しており、前記ネジ軸の軸方向範囲は、前記ピニオンギヤの軸方向範囲の少なくとも一部と重複していてもよい。
かかる構成とすることで、グリッパ装置の厚み方向の寸法をより低減できる。
本明細書で開示するグリッパ装置によれば、十分なストロークを有しつつ、サイズを抑えることができる。
以下、グリッパ装置10の構成について図面を参照して説明する。図1は、閉鎖態のグリッパ装置10の斜視図であり、図2は、開状態のグリッパ装置10の斜視図である。また、図3は、ケース28および保護カバー52を取り外したグリッパ装置10の斜視図である。さらに、図4、図5は、グリッパ装置10の断面図であり、図6は、図4のA-A断面図であり、図7は、図5のB-B断面図である。
本例のグリッパ装置10は、120度間隔で配置された三つのグリッパ爪60を有しており、この三つのグリッパ爪60を互いに直進進退させることで対象物を保持する。なお、以下では、グリッパ爪60の進退方向を「爪開閉方向」と呼び、三つのグリッパ爪60の進退方向に対して直交する方向を、グリッパ爪60の「厚み方向」と呼ぶ。かかるグリッパ装置10は、例えば、エンドエフェクタとして多関節ロボットに装着されたり、工作機械において、工具やワークを搬送するためのアクチュエータに装着されたりする。
三つのグリッパ爪60を動かすために、グリッパ装置10は、エアシリンダ12と、回転出力機構20と、直進出力機構40と、直動部62と、を有している。エアシリンダ12は、グリッパ爪60を動かす動力源である。図4、図5に示す通り、エアシリンダ12は、シリンダチューブ14と、当該シリンダチューブ14内で直進進退するピストン16と、ピストン16からシリンダチューブ14の外側まで突出するピストンロッド18と、を有する。そして、一般的なエアシリンダ12と同様に、シリンダチューブ14にエアを供給またはシリンダチューブ14からエアを排出することで、ピストン16およびピストンロッド18が直進進退する。
ピストンロッド18の進退方向(すなわちピストンロッド18の軸方向)は、グリッパ爪60の進退方向(ひいては直動部62の軸方向)に対して直交している。すなわち、ピストンロッド18の進退方向は、グリッパ装置10の厚み方向と平行である。
なお、シリンダチューブ14の周面には、連結部70が、固着されている。連結部70は、ロボットやアクチュエータに連結される部位である。連結部70には、一般的なジョイント機構が設けられている。連結部70の上部には、ロボット等から取り外されたグリッパ装置10を吊り保持する際に利用される係止溝72が形成されている。
回転出力機構20は、ピストンロッド18の直進運動を回転運動に変換する。かかる回転出力機構20は、ネジ軸22と、ナット24と、を有する。ネジ軸22は、その外周面に雄ネジが形成された軸部材である。ネジ軸22には、その軸方向に貫通する孔が形成されており、当該孔にピストンロッド18の末端が挿し込まれて、固着されている。したがって、ネジ軸22の軸方向は、ピストンロッド18の軸方向と平行であり、ネジ軸22は、ピストンロッド18とともに直進進退する。
このネジ軸22には、回り止め26が固着されている。回り止め26の外周面には、径方向外側に突出する複数の突起(図示せず)があり、ケース28の内面には、この突起を受け入れる溝(図示せず)が形成されている。換言すれば、回り止め26は、ケース28の内面に周方向に係合している。そして、これにより、回り止め26およびネジ軸22は、軸方向への進退が許容される一方で、その回転が禁止される。
ネジ軸22の雄ネジには、ナット24が螺合している。ナット24は、連結ボルト44によりピニオンギヤ42に連結されており、ピニオンギヤ42は、ベアリング46により、保護カバー52に対して回転可能に支持されている。したがって、ナット24は、回転可能である一方で、軸方向への移動が禁止されている。そのため、ネジ軸22が、軸方向に直進進退した場合、ナット24は、軸方向に移動することなく回転する。つまり、ナット24は、ピストンロッド18の直進運動を回転運動に変換する。
直進出力機構40は、回転出力機構20から出力された回転運動を直進運動に変換して三つの直動部62に伝達する。かかる直進出力機構40は、一つのピニオンギヤ42と、三つのラックギヤ48と、を有する。ピニオンギヤ42は、上述した通り、ナット24に連結され、ナット24とともに回転する歯車である。このピニオンギヤ42の中央には、軸方向に貫通する孔が形成されており、この孔に、ナット24、ネジ軸22、および、ピストンロッド18の一部が進入している。別の見方をすると、ナット24は、ピニオンギヤ42の内径側に配されている。
図6、図7に示す通り、ピニオンギヤ42の周囲には、三つの直動部62が、120度間隔で配置されている。各直動部62は、シャフト状の部材であり、その基端の周面には、当該直動部62の軸方向に延びるラックギヤ48が形成されている。ピニオンギヤ42は、このラックギヤ48と噛み合っている。そのため、ピニオンギヤ42が回転すると、ラックギヤ48、ひいては、直動部62が、ピニオンギヤ42の接線方向(換言すれば爪開閉方向)に直進進退する。なお、保護カバー52の内部には、この直動部62が挿入されるガイド穴54が形成されている。直動部62は、ガイド穴54にガイドされて、直進進退する。
直動部62の末端(すなわち、ラックギヤ48と反対側の端部)には、グリッパ爪60が取り付けられている。したがって、ピストンロッド18が直進進退することで、ナット24およびピニオンギヤ42が回転し、直動部62およびグリッパ爪60が直進進退する。
ここで、これまでの説明で明らかな通り、本例では、グリッパ爪60を動かすための動力源として、エアシリンダ12を用いている。この場合、電動や油圧の動力源に比べて、グリッパ装置10のロボットやアクチュエータへの着脱が容易になる。すなわち、本例のグリッパ装置10は、工作機械の加工室内で用いることを想定しているが、通常、加工室内では、切削水や切粉が舞うことが多い。そのため、電動式を用いた場合、電気接点が切削水で短絡したり、腐食したりするおそれがある。また、油圧式では、作動油が漏れたり、油圧回路に空気が入りこんだりするおそれがある。一方、エアシリンダ12を利用する空圧式の場合、こうした問題が生じないため、空圧回路の接続が容易に行える。
また、通常、一つの工作機械は、様々な大きさのワークを取り扱う。また、同じワークであっても、加工前の素材の状態から加工後の製品の状態へと、大きく形を変化させる。そのため、工作機械とともに用いられるグリッパ装置10は、ストロークが大きいことが求められる。そこで、本例では、ネジのリードピッチおよびピニオンのモジュールを調整することで、直進部の直進ストロークをピストンロッド18の直進ストロークより大きくしている。
具体的に説明すると、ピストンロッド18の直進ストロークをS、ネジ軸22のリードをRとした場合、ナット24の回転角θnは、θn=2・π・S/Rとなる。一方、直動部62の直進ストロークLは、ピニオンギヤ42のモジュールをm、ピニオンギヤ42の歯数をzとすれば、L=m・z・θn/2=π・m・z・S/Rとなる。したがって、L>Sとするためには、(π・m・z・S/R)>S、ひいては、(π・m・z/R)>1とすればよい。
なお、(m・z)は、ピニオンギヤ42のピッチ円直径である。したがって、例えば、ピストンロッド18のストロークSを変えずに、グリッパ爪60のストロークを増やしたい場合は、ネジ軸22のリードRを小さくする、あるいは、ピニオンギヤ42のピッチ円直径を大きくすればよい。なお、モジュールmが小さければ、ピッチ円直径を大きくしても、ピニオンギヤ42のサイズの拡大、ひいては、グリッパ装置10のサイズ拡大を小さく抑えることができる。
また、グリッパ装置10は、コンパクトであることも求められる。特に、グリッパ装置10が工作機械の加工室で使用される場合において、グリッパ装置10のサイズが大きいと、当該グリッパ装置10が、主軸や刃物台等の他部材と干渉するおそれがある。また、グリッパ装置10の厚み方向寸法が大きい場合、ワークを積層する作業が制限される。これについて図8を参照して説明する。
工作機械では、図8に示すように、ロボット100を使用して、複数のワーク110を積層することがある。この場合、複数のワーク110は、その厚み方向に重ねられる。ロボット100には、グリッパ装置10が取り付けられており、グリッパ装置10は、グリッパ装置10の厚み方向と、ワーク110の厚み方向と、が略平行になる姿勢でワーク110を把持する。
ここで、図8のグリッパ装置10aとグリッパ装置10bとの比較から明らかな通り、厚み方向寸法が小さいグリッパ装置10bの方が、厚み方向寸法が大きいグリッパ装置10aよりも、グリッパ爪60を積層方向上側に配置できる。そのため、ワーク110の厚み方向の寸法が小さいほど、積層できるワーク110の個数が多くなる。
本例では、グリッパ装置10の厚み方向寸法を小さく抑えるため、ナット24をピニオンギヤ42の内径側に配置している。別の見方をすれば、本例では、ナット24の軸方向範囲を、ピニオンギヤ42の軸方向範囲の少なくとも一部と重複させている。ナット24およびピニオンギヤ42の軸方向は、厚み方向と平行であるため、両者の軸方向範囲を重複させることで、グリッパ装置10の厚み方向寸法を小さく抑えることができる。さらに、本例では、ピストンロッド18の軸方向範囲を、ネジ軸22の軸方向範囲の少なくとも一部と重複させ、ネジ軸22の軸方向範囲を、ピニオンギヤ42の軸方向範囲の少なくとも一部と重複させている。これにより、グリッパ装置10の厚み方向寸法をより低減できる。
なお、これまで説明した構成は一例であり、適宜変更されてもよい。例えば、グリッパ爪60の個数は、二つでもよいし、四つ以上でもよい。また、グリッパ爪60の形状も適宜変更されてもよい。また、本例では、ピストンロッド18とネジ軸22とを別部材としているが、両者は一体化されてもよい。すなわち、ピストンロッド18の末端に、ネジ軸22として機能する雄ネジを形成してもよい。ただし、この場合、専用のピストンロッド18を製作する必要がある。したがって、汎用的なエアシリンダ12を使用する場合には、ピストンロッド18とネジ軸22とを別部材とすればよい。かかる構成とすれば、目的に応じてチューブ径の異なるエアシリンダ12に交換することも容易となり、グリッパ装置10の把持力を容易に変更できる。また、ナット24およびピニオンギヤ42も別部材で構成する必要はなく、ナット24の外周面にピニオンギヤ42として機能する歯を形成してもよい。
10 グリッパ装置、12 エアシリンダ、14 シリンダチューブ、16 ピストン、18 ピストンロッド、20 回転出力機構、22 ネジ軸、24 ナット、26 回り止め、28 ケース、40 直進出力機構、42 ピニオンギヤ、44 連結ボルト、46 ベアリング、48 ラックギヤ、52 保護カバー、54 ガイド穴、60 グリッパ爪、62 直動部、70 連結部、72 係止溝、100 ロボット、110 ワーク。
Claims (3)
- 直進進退するピストンロッドを有するエアシリンダと、
前記ピストンロッドに固着されたネジ軸と、前記ネジ軸に螺合されたナットと、を有し、前記ピストンロッドの直進運動を回転運動に変換する回転出力機構と、
互いに同期して進退する複数の直動部であって、それぞれにグリッパ爪が連結された複数の直動部と、
前記回転出力機構から出力された回転運動を直進運動に変換して複数の前記直動部に伝達する直進出力機構であって、前記ナットと同期して回転するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと噛み合うラックギヤと、を有する直進出力機構と、
を備え、前記ナットは、前記ピニオンギヤの内径側に配されており、
前記ピストンロッドの直進ストロークより、前記直動部の直進ストロークのほうが大きい、
ことを特徴とするグリッパ装置。 - 請求項1に記載のグリッパ装置であって、
前記ピニオンギヤのモジュールをm、前記ピニオンギヤの歯数をz、前記ネジ軸のリードをRとした場合、(π・m・z/R)>1を満たす、ことを特徴とする、グリッパ装置。 - 請求項1または2に記載のグリッパ装置であって、
前記ピストンロッドの軸方向と、前記ネジ軸の軸方向と、前記ナットの軸方向と、前記ピニオンギヤの回転軸方向は、平行であり、
前記ピストンロッドの軸方向は、複数の前記直動部の直進方向と直交しており、
前記ピストンロッドの軸方向範囲は、前記ネジ軸の軸方向範囲の少なくとも一部と重複しており、
前記ネジ軸の軸方向範囲は、前記ピニオンギヤの軸方向範囲の少なくとも一部と重複している、
ことを特徴とする、グリッパ装置。
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