JP2023174210A - 水素透過フィルタ - Google Patents

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Yui Nakai
昌紀 笠原
Akitoshi Kasahara
健史 辻
Kenshi Tsuji
哲也 中畔
Tetsuya Nakaaze
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Abstract

【課題】脆化が起こりにくい水素透過フィルタを提供する。【解決手段】水素透過フィルタ1は、複数のタングステン線10を用いて製織されたタングステンメッシュ2を備える。例えば、複数のタングステン線10の各々の伸び率は、5%以上である。例えば、複数のタングステン線10の各々の引張強度は、1600MPa以上である。例えば、複数のタングステン線10の各々の線径は、40μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、水素透過フィルタに関する。
特許文献1には、燃料電池用の水素透過フィルタとして、ステンレス鋼を用いて製造された筒型フィルタが開示されている。
特開2016-221523号公報
しかしながら、上記従来の筒型フィルタでは、脆化が起こりやすいという問題がある。
そこで、本発明は、脆化が起こりにくい水素透過フィルタを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る水素透過フィルタは、複数のタングステン線を用いて製織されたタングステンメッシュを備える。
本発明によれば、脆化が起こりにくい水素透過フィルタを提供することができる。
図1は、水素透過フィルタの外観及び一部を拡大して示す模式図である。 図2は、水素透過フィルタが備えるタングステン線の製造方法を示すフローチャートである。 図3は、実施例及び比較例に係るタングステン線の伸び率と引張強度との関係を示す散布図である。 図4は、水素チャージ後のタングステン線の引張試験の結果を示す図である。 図5は、水素チャージによる引張強度の変化を示す図である。 図6は、実施の形態に係るタングステン線のコイリング試験の概要を示す図である。 図7は、実施の形態に係るタングステン線を用いて製織された金属メッシュの断面図である。 図8Aは、コイリング試験後の実施例16に係るタングステン線の外観を示す図である。 図8Bは、図8Aの一部を拡大した図である。 図9Aは、コイリング試験後の比較例10に係るタングステン線の外観を示す図である。 図9Bは、図9Aの一部を拡大した図である。
以下では、本発明の実施の形態に係る水素透過フィルタについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、要素間の関係性を示す用語、及び、円筒などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
(実施の形態)
[構成]
まず、本実施の形態に係る水素透過フィルタ1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る水素透過フィルタ1の外観及び一部を拡大して示す模式図である。
水素透過フィルタ1は、水素を透過させ、異物を除去するフィルタである。例えば、水素透過フィルタ1は、燃料電池に使用される。例えば、水素透過フィルタ1は、水素圧が135MPa以下の範囲で使用される。なお、135MPaは、後述するSSRT試験を実施可能な水素圧の上限の圧力である。
水素透過フィルタ1は、水素圧が110MPa以下の範囲で使用されてもよい。これにより、水素透過フィルタ1は、一般的な水素ステーションなどで利用することができる。また、水素透過フィルタ1は、水素圧が70MPa以下の範囲で使用されてもよい。これにより、水素透過フィルタ1は、燃料電池を搭載する自動車、又は、水素燃料エンジンを搭載する自動車などに利用することができる。
図1に示されるように、水素透過フィルタ1は、複数のタングステン線10を用いて製織されたタングステンメッシュ2を備える。具体的には、水素透過フィルタ1は、円筒形状のタングステンメッシュ2を1つ又は複数備える。例えば、水素透過フィルタ1は、2重に重ねられた円筒形状のタングステンメッシュ2を備える。複数のタングステンメッシュ2が重ねられることにより、1つのタングステンメッシュ2に破れが生じたとしても、濾過(フィルタ)性能を確保することができる。
なお、タングステンメッシュ2の形状は、角筒、円錐台又は角錐台形状であってもよく、底面を有する形状であってもよい。この場合の底面は、平面であってもよく、凹面又は凸面であってもよい。また、タングステンメッシュ2は、立体的な形状でなくてもよく、平面形状であってもよい。
タングステンメッシュ2は、複数のタングステン線10をそれぞれタテ糸及びヨコ糸として備える。タングステンメッシュ2の織組織は、畳織である。畳織は、例えば綾畳織又は平畳織である。複数のタングステン線10がタテ糸及びヨコ糸として用いられて畳織されることで、タングステンメッシュ2が製造される。
畳織は、メッシュの開口を小さくすることができる織組織である。このため、畳織のタングステンメッシュ2を備える水素透過フィルタ1は、フィルタ性能が高い。また、タングステン線10は脆化しにくい(詳細については後述する)ので、耐久性に優れた水素透過フィルタ1を実現することができる。
[タングステン線]
次に、タングステン線10の構成について説明する。
タングステン線10は、タングステン(W)と、タングステンとは異なる少なくとも1種類の金属元素(以下、合金元素と記載)との合金からなる合金線である。タングステン線10に含まれるタングステンの含有量は、例えば90wt%以上である。ここで、含有量は、タングステン線10の質量に対する金属元素(例えばタングステン)の質量の割合である。タングステンの含有量は、95wt%以上であってもよく、99wt%以上であってもよく、99.9wt%以上であってもよい。
少なくとも1種類の合金元素はそれぞれ、周期表の第7族又は第8族に含まれる金属元素である。具体的には、合金元素は、第7族のレニウム(Re)、又は、第8族のルテニウム(Ru)である。例えば、タングステン線10は、タングステンとレニウムとの合金線(以下、レニウムタングステン合金線と記載)である。あるいは、タングステン線10は、タングステンとルテニウムとの合金線(以下、ルテニウムタングステン合金線と記載)である。なお、タングステン線10は、タングステンとレニウムとルテニウムとの合金線のように、タングステンと2種類以上の合金元素との合金線であってもよい。
レニウムタングステン合金線の場合、レニウムの含有量は、例えば、0.1wt%以上10wt%以下である。レニウムの含有量は、0.5wt%以上9wt%以下であってもよく、3wt%以上5wt%以下であってもよい。ルテニウムタングステン合金線の場合、ルテニウムの含有量は、例えば、0.05wt%以上0.3wt%以下である。ルテニウムの含有量は、0.1wt%以上0.2wt%以下であってもよい。
レニウム及び/又はルテニウムの含有量が多い程、タングステン線10の伸び率及び引張強度が高められる。ただし、引張強度が高くなると、伸び率が高くなりにくいという問題が生じる。また、レニウム及び/又はルテニウムの含有量が多い程、タングステン線10の細径化が難しい。本実施の形態では、本願発明者らの鋭意検討により、合金元素の含有量及び細径化の加工工程を工夫することで、細くて伸び率が高く、かつ、引張強度が高いタングステン線10を実現している。具体的なタングステン線10の製造方法については、後で説明する。
タングステン線10の線径は、40μm以下である。タングステン線10の線径は、30μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。例えば、タングステン線10の線径は、18μm以下であってもよく、15μm以下であってもよく、12μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。タングステン線10の線径は、加工限界(例えば、5μm)まで小さくてもよい。
本実施の形態に係るタングステン線10の伸び率は、5%以上である。これにより、タングステン線10をタングステンメッシュ2のタテ糸及びヨコ糸として用いた場合に、製織加工時及びタングステンメッシュ2の使用時において、タングステン線10の破断が抑制される。タングステン線10の伸び率は、7%以上であってもよく、9%以上であってもよく、11%以上であってもよく、13%以上であってもよく、16%以上であってもよい。伸び率が高い程、タングステン線10の破断の抑制効果が高まる。
また、伸び率が5%以上に高くなることで、タングステン線10を用いた畳織が可能になる。伸び率が3%のタングステン線10では、畳織を行うことができずに、織り加工中に断線した。なお、伸び率が5%未満のタングステン線10であっても、平織などの織組織でタングステンメッシュ2を製造することができる。
なお、伸び率とは、破断時全伸びに対応しており、伸び計によって計測される。具体的には、タングステン線10の全伸びは、タングステン線10の破断時の全伸びであり、伸び計の弾性伸びと塑性伸びとを合わせたものであり、伸び計標点距離に対する百分率で表した値である。簡単に言えば、伸び率は、伸びる前の長さに対する、伸びた後の長さと伸びる前の長さとの差分の割合を示している。伸び率が正の値である場合、線が伸びたことを意味し、伸び率が負の値である場合、線が縮んだことを意味する。
タングステン線10の引張強度は、1600MPa(=N/mm)以上2400MPa以下である。これにより、タングステン線10をタングステンメッシュ2のタテ糸及びヨコ糸として用いた場合に、タングステンメッシュ2の製造時及び使用時において、タングステン線10の破断が抑制される。タングステン線10の引張強度は、1700MPa以上であってもよく、1800MPa以上であってもよく、2000MPa以上であってもよく、2100MPa以上であってもよい。引張強度が高い程、タングステン線10の破断の抑制効果が高まる。また、引張強度が高いタングステン線10を用いて製織されたタングステンメッシュ2の耐久性を高めることができる。
本実施の形態に係るタングステン線10では、5%以上の伸び率と、1600MPa以上の引張強度とを両立しているが、これに限定されない。例えば、タングステン線10の引張強度は、2400MPa以上であってもよく、4800MPa以上であってもよい。この場合において、タングステン線10の伸び率が5%未満であってもよい。また、タングステン線10の線径は、40μmより大きくてもよい。
[製造方法]
続いて、本実施の形態に係るタングステン線10の製造方法について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係るタングステン線10の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図2に示されるように、まず、金属のインゴットを準備する(S10)。具体的にはまず、タングステン粉末と、合金金属からなる粉末(例えば、レニウム粉末又はルテニウム粉末)とを所定の割合で混合した混合物を準備する。粉末の平均粒径は、例えば3μm以上4μm以下の範囲であるが、これに限らない。準備した混合物に対してプレス及び焼結(シンター)を行うことで、タングステン合金のインゴットを作成する。インゴットは、例えば断面の直径が約15mmの棒状のインゴットである。
次に、インゴットに対してスエージング加工を行う(S11)。具体的には、インゴットを周囲から鍛造圧縮して伸展させることで、ワイヤー状のタングステン線に成形する。スエージング加工の代わりに圧延加工でもよい。スエージング加工(S11)は、アニール(S13)とともに繰り返し行われる。
具体的には、スエージング加工が繰り返されることで、インゴットの径が13.6mm、10.6mm、8mm、6.5mm、3.3mmと順に小さくなる。インゴットの径がこれらの径の場合に(S12でYes)、アニールを行う(S13)。アニール温度は、例えば2400℃である。径が3.3mmになった後、アニール及びスエージング加工が
行われることで、径が3mmになる。
次に、スエージング加工後の径が3mmのタングステン線を900℃で加熱する(S14)。具体的には、バーナーなどで直接的にタングステン線を加熱する。タングステン線を加熱することで、以降の加熱線引きで加工中に断線しないようにタングステン線の表面に酸化物層を形成する。
次に、加熱線引きを行う(S15)。具体的には、1つ以上の伸線ダイスを用いてタングステン線の線引き、すなわち、タングステン線の伸線(細径化)を加熱しながら行う。加熱温度は、例えば1000℃である。なお、加熱温度が高い程、タングステン線の加工性が高められるので、容易に線引きを行うことができる。加熱線引きは、伸線ダイスを交換しながら繰り返し行われる。1つの伸線ダイスを用いた1回の線引きによるタングステン線の断面減少率は、例えば10%以上40%以下である。加熱線引き工程において、黒鉛を水に分散させた潤滑剤を用いてもよい。
次に、線引き後のタングステン線に対して、中間再結晶処理を行う(S16)。具体的には、1200℃以上の温度でタングステン線を加熱することで、タングステン線に含まれる結晶を再結晶させる。線引き工程が最後の1回になるまで(S17でNo)、加熱線引きと中間再結晶処理とが繰り返し行われる。このときの繰り返し回数(すなわち、中間再結晶処理の回数)は、例えば5回以上10回以下である。
加熱線引きの繰り返しにおいては、直前の線引きで用いた伸線ダイスよりも孔径が小さい伸線ダイスが用いられる。また、加熱線引きの繰り返しにおいて、直前の線引き時の加熱温度よりも低い加熱温度でタングステン線は加熱される。例えば、最後の線引き工程の直前の線引き工程での加熱温度は、それまでの加熱温度より低く、例えば400℃である。
線引き工程が最後の1回になった場合(S17でYes)、最後の線引きとして加熱線引きを行う(S18)。これにより、線径が約40μm未満のタングステン線が得られる。
次に、線引き後のタングステン線に対して電解研磨を行う(S19)。電解研磨は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液などの電解液に、タングステン線と対向電極とを浸した状態で、タングステン線と対向電極との間に電位差が生じることで電解研磨が行われる。電解研磨によって、タングステン線の線径を微調整することができる。
電解研磨の後、タングステン線に対して最終熱処理を行う(S20)。最終熱処理の温度は、例えば、1200℃以上1700℃以下である。
以上の工程を経て、本実施の形態に係るタングステン線10が製造される。上記製造工程を経ることで製造直後のタングステン線10の長さは、例えば50km以上の長さであり工業的に利用できる。タングステン線10は、使用される態様に応じて適切な長さに切断され、タングステンメッシュ2の製織などに利用される。このように、本実施の形態では、タングステン線10の大量生産が工業的に可能であり、水素透過フィルタ1に利用することが可能になる。
なお、タングステン線10の製造方法に示される各工程は、例えばインラインで行われる。具体的には、ステップS15で使用される複数の伸線ダイスは、生産ライン上で孔径が小さくなる順で配置される。また、各伸線ダイス間にはバーナーなどの加熱装置が配置されている。加熱装置は、加熱線引き用及び中間再結晶処理用に配置されている。また、ステップS15で使用される伸線ダイスの下流側(後工程側)に、ステップS18で使用される複数の伸線ダイスが、孔径が小さくなる順で配置され、最も孔径が小さい伸線ダイスの下流側に電解研磨装置と最終熱処理用の加熱装置とが配置される。なお、各工程は、個別に行われてもよい。
[実施例]
続いて、上述した製造方法に従って製造されたタングステン線10の実施例と比較例とについて説明する。以下に示す実施例1~15及び比較例1~8に係るタングステン線10は、製造方法における各種パラメータ(具体的には、線径、添加物の種類、添加量、最終熱処理温度及び中間再結晶処理回数)を適宜異ならせたものである。具体的には、以下の表1及び表2に示される通りである。
Figure 2023174210000002
Figure 2023174210000003
図3は、実施例及び比較例に係るタングステン線10の伸び率と引張強度との関係を示す散布図である。図3において、横軸はタングステン線10の伸び率(単位:%)を表し、縦軸はタングステン線10の引張強度(単位:MPa)を表している。
実施例1~15に係るタングステン線10はいずれも、線径が40μm未満である。また、図3に示されるように、各実施例に係るタングステン線10はいずれも、引張強度が1600MPa以上2400MPa以下であり、かつ、伸び率が5%以上16%以下であるという範囲内に含まれている。なお、図3には、引張強度及び伸び率の上記範囲を破線で表している。これに対して、比較例1~8に係るタングステン線10は、図3の破線で表される範囲外に位置している。
以下では、実施例と比較例との差異の要因と想定されるタングステン線10の製造方法におけるパラメータについての検討結果について説明する。
<添加物>
まず、添加物である合金元素の種類と添加量(タングステン線10における含有量)とについて説明する。表1から、合金元素の添加量を増やすと伸び率が増加する傾向があることが分かる。
また、表1の実施例5と実施例9とは、線径(35μm)、添加物(Re)、最終熱処理温度(1600℃)、中間再結晶処理回数(6回)であり、Reの添加量以外のパラメータが同じである。実施例5と実施例9とを比較することで、Reの添加量が多い実施例9の方が実施例5に比べて、伸び率が高く、かつ、引張強度が低いことが分かる。
このことから、合金元素の添加量を増やした場合には、引張強度が1600MPa以上で確保しながら、伸び率をより高くすることができる。逆に、合金元素の添加量を減らした場合には、伸び率が5%以上で確保しながら、引張強度をより高くすることができる。
なお、実施例11のように、添加物としてRuを使用した場合には、Reの場合の添加量よりも約一桁小さい添加量でも伸び率及び引張強度の両方を高く確保することができる。
<最終熱処理温度>
次に、最終熱処理温度について説明する。表1から、最終熱処理温度が高くなると伸び率が増加する傾向があることが分かる。
また、表1の実施例1と実施例2とは、線径(11μm)、添加物(Re)、添加量(5wt%)、中間再結晶処理回数(8回)であり、最終熱処理温度以外のパラメータが同じである。実施例1と実施例2とを比較することで、最終熱処理温度が高い実施例2の方が実施例1に比べて、伸び率が高く、かつ、引張強度が低いことが分かる。実施例5と実施例6とも、最終熱処理温度以外のパラメータが同じであり、同様の傾向が現れている。実施例7~9、実施例12及び13、並びに、実施例14及び15の各々についても、最終熱処理温度以外のパラメータが同じであり、同様の傾向が現れている。線径が11μmの場合(実施例1及び2)、及び、35μmの場合(実施例5など)のいずれにおいても、同様の傾向が現れている。
これらのことから、タングステン線10の線径の大小によらず、最終熱処理温度を高くした場合には、引張強度が1600MPa以上で確保しながら、伸び率をより高くすることができる。逆に、タングステン線10の線径の大小によらず、最終熱処理温度を低くした場合には、伸び率が5%以上で確保しながら、引張強度をより高くすることができる。
なお、表2の比較例1及び2は、表1の実施例12及び13と、最終熱処理温度以外のパラメータが同じである。しかしながら、最終熱処理温度が1400℃以下である比較例1及び2は、伸び率が5%未満になっている。このことから、少なくとも線径が35μmで、Reを5wt%添加し、中間再結晶処理を5回行う場合には、最終熱処理温度が1400℃より大きい温度、好ましくは1500℃以上の温度で行うことで、伸び率を5%以上にすることができるといえる。
なお、実施例11のように、添加物としてRuを使用した場合には、最終熱処理温度は1200℃でも伸び率及び引張強度の両方を高く確保することができる。
<中間再結晶処理回数>
次に、中間再結晶処理回数について説明する。表1から、中間再結晶処理回数が多くなると伸び率が増加する傾向があることが分かる。具体的には、中間再結晶処理回数が5回以上であれば、伸び率を5%以上にすることができる。
また、表1の実施例6と実施例10とは、線径(35μm)、添加物(Re)、添加量(3wt%)、最終熱処理温度(1700℃)であり、中間再結晶処理回数以外のパラメータが同じである。実施例6と実施例10とを比較することで、中間再結晶処理回数が多い実施例6の方が実施例10と比べて、伸び率が高く、かつ、引張強度が低いことが分かる。逆に、中間再結晶処理回数を減らした場合には、伸び率を5%以上で確保しながら、引張強度をより高くすることができる。
なお、表2の比較例4も、表1の実施例6及び10と、中間再結晶処理回数以外のパラメータが同じである。しかしながら、この場合、中間再結晶処理回数が5回以上である実施例6及び10は、中間再結晶処理回数が3回である比較例4に比べて、伸び率及び引張強度のいずれも高くなっている。この点から、中間再結晶処理回数が3回以下では、伸び率を5%以上にすることができないことが分かる。
また、表1からは、線径の差異によって必要となる中間再結晶処理回数が異なることが分かる。具体的には、線径が11μm以上18μm以下の範囲では、中間再結晶処理回数が8回以上である場合に、タングステン線10の伸び率が5%以上になっている。一方で、線径が35μmの場合には、中間再結晶処理回数が5回以上でタングステン線10の伸び率が5%以上になっている。この点から、線径が細いタングステン線10を得るためには、線径が太いタングステン線10を得る場合よりも中間再結晶回数を増やせばよいと判断できる。
なお、再結晶処理とは、熱処理によって結晶の再配列を行うことである。再結晶処理によって、Re又はRuなどの固溶元素の分散が促進され、タングステン線10を細径化した場合の伸び率の増大に貢献する。このように、製造工程中に再結晶処理としてタングステン線10に対して熱が加えられることによって、タングステン線10中の合金元素(Re又はRu)の分散性が良くなる。これにより、合金元素が偏在するのを抑制することができるので、細いタングステン線10において、引張強度の向上と伸び率の増大とを両立させることができる。
[脆化]
続いて、本実施の形態に係るタングステン線10の脆化について説明する。以下では、主に水素に起因する脆化、すなわち、水素脆化について説明する。
本願発明者らは、上述した製造方法に基づいて製造したタングステン線10に対して、水素チャージを行い、その前後で低歪速度引張遅れ破壊試験(SSRT:Slow Strain Rate Technique)を行った。
水素チャージは、いわゆる陰極チャージ法によって行った。具体的には、所定の電解液中に、対象となるタングステン線10を陰極として、プラチナを陽極として配置し、陽極-陰極間に通電することにより行った。電解液としては、亜ヒ酸ナトリウムと塩化ナトリウムとの混合液を利用した。
低歪速度引張遅れ破壊試験では、対象となるタングステン線10を所定の変位速度で引き伸ばし、断線に至るまでの伸び量(ストローク)と荷重とを測定した。
図4は、水素チャージ後のタングステン線10の引張試験の結果を示す図である。図4において、横軸は、引っ張られたタングステン線10の伸び量であるストローク(単位:mm)を表している。縦軸は、引っ張られたタングステン線10に加わる荷重(単位:N)である。
図4では、タングステン線10の引っ張りの速度(変位速度)毎に、ストロークに対する荷重の変化を示すグラフを表している。図4に示されるように、いずれの変位速度においても、ストロークが増加するに従って荷重も増加し、荷重の増加が飽和した後、所定のストロークに達した場合に、タングステン線10が耐えきれずに断線し、荷重が0になる。
図4に示されるように、変位速度が速い程、タングステン線10に加わる荷重の最大値が大きい。例えば、図4には比較例として、水素チャージを行わなかったタングステン線の荷重の変化も示しているが、変位速度が0.3mm/minの場合、水素チャージを行ったタングステン線10の荷重の変化は、水素チャージを行わなかったタングステン線の荷重の変化とほぼ同じであった。すなわち、変位速度が速い場合には、水素脆化による荷重の変化(引張強度の変化)を正しく測定できていないことが分かる。
変位速度が遅い程、タングステン線10に加わる荷重の最大値が小さくなる。これは、変位速度が遅い程、タングステン線10内にチャージされた水素が局所的に集まりやすく、水素脆化が起こりやすくなって断線に至りやすくなるためと推定される。
変位速度が0.005mm/minになると、変位速度が0.01mm/minの場合と荷重の最大値は約220Nでほぼ同じになっている。すなわち、変位速度が0.005mm/minでは、荷重の最大値の減少が抑制されていることが分かる。このため、0.005mm/minの変位速度で引張試験を行うことで、タングステン線10の水素脆化による引張強度の低下を正確に測定することができる。
図5は、水素チャージ前後でのタングステン線10の引張強度の変化を示す図である。図5において、横軸は引張強度(単位:MPa)を表し、縦軸は引張強度の変化率を表している。引張強度の変化率は、水素チャージ前の引張強度に対する水素チャージ後の引張強度の比率である。変化率が1である場合、水素チャージ後の引張強度の変化がないことを表している。変化率が1未満である場合、水素チャージ後の引張強度の低下があることを表している。変化率が1未満で、かつ、小さな値になる程、水素チャージ後の引張強度の低下量が大きいことを表している。
また、表3は、水素チャージ前後の引張強度の変化を示している。表3には、比較例としてステンレスを用いた例も表している。図5に示される各プロットは、表3の比較例及び実施例A~Cに対応している。
Figure 2023174210000004
表3及び図5から分かるように、水素チャージの前後において、ステンレス線に比べてタングステン線の引張強度の低下量が少ない。また、タングステン線は、ステンレスに比べて引張強度の絶対値が高い。すなわち、タングステン線は、ステンレス線に比べて、高い引張強度を実現でき、かつ、水素脆化が発生しにくいといえる。
タングステンは、耐熱性に優れ、900℃又は1000℃程度まで機械的特性の変化がない。特に、伸びが5%以上のタングステン線10においては、タングステン線10が製造された時点で1200℃以上1700℃以下の温度で熱処理されている。このため、使用前又は使用時に1700℃以下の熱影響を受けたとしても、機械的特性及び結晶状態は全く変化しない。空気中又は酸素雰囲気においても、200℃、300℃又は400℃などの熱影響を受けても、表面が僅かに酸化する程度で、水素透過フィルタ1のフィルタ性能を維持することができる。
[タングステン線の曲げ性]
続いて、タングステン線10の曲げ性について説明する。
図1に示したように、タングステン線10は、タングステンメッシュ2のタテ糸及びヨコ糸に使用されるので、所定の曲率以上の曲げに耐えうることが求められる。そこで、本願発明者らは、タングステン線10の曲げ性を確認するためにコイリング試験を行った。以下に、コイリング試験の内容とその結果とを説明する。
図6は、実施の形態に係るタングステン線10のコイリング試験の概要を示す図である。コイリング試験では、断面形状が円形で均一な径の棒状の芯材20に対して、タングステン線10を巻き付け、タングステン線10の破断又は表面剥離が生じるか否かを確認した。コイリング試験に用いる芯材20の断面の径R及びタングステン線10の径φは、例えば、タングステンメッシュ2の仕様に応じて定められる。
図7は、本実施の形態に係るタングステン線10を用いて製織されたタングステンメッシュ2を示す断面図である。タングステンメッシュ2は、タングステン線10をタテ糸及びヨコ糸として用いて製織された金属メッシュである。ここでは、タングステンメッシュ2の一例として、径が12μmのタングステン線10を用いて900メッシュの平織のタングステンメッシュ2を製造する場合を想定する。水素透過フィルタ1として利用するためには、タングステンメッシュ2のメッシュ数は、例えば600以上である。これにより、水素透過フィルタ1のフィルタ性能を高めることができる。なお、ここでのメッシュ(メッシュ数)は、25.4mm(1インチ)間にある線の数を意味する。この場合、隣り合う2本のタングステン線10間の距離であるピッチは、28.2μm(=25.4mm÷900)になる。
この場合、図7に示されるように、タングステン線10の曲率半径Rcは、19.6μmになる。なお、曲率半径Rcは、タングステン線10の中心軸線(図中の破線)に基づいて定義される。また、タングステン線10の内側曲率半径Riは、13.6μmになる。内側曲率半径Riは、タングステン線10の曲がりの内側の表面に基づいて定義される。つまり、タングステン線10は、曲率半径Rcが19.6μm以下で、かつ、内側曲率半径Riが13.6μm以下である状態にした場合に、破断せず、表面剥離が発生しなければ、タングステンメッシュ2のタテ糸及びヨコ糸として利用可能である。
コイリング試験では、タングステンメッシュ2として製織可能な限界を超えた条件で行った。製織可能な限界を超えた条件で行ったコイリング試験の結果、タングステン線10の破断(断線)又は表面剥離が発生しなかった場合に、試験に用いたタングステン線10を用いてタングステンメッシュ2を安定して製造することができる。
例えば、径が12μmのタングステン線10同士が接触する条件は、1222メッシュの場合である。つまり、1222メッシュ以上のメッシュ数のタングステンメッシュ2を製造することはできない。コイリング試験の条件として、12μmのタングステン線10で1324メッシュのタングステンメッシュ2を想定する。
なお、タングステン線10の断線は、タングステン線10を構成する材料の歪みによって発生するので、線径が異なるタングステン線10を用いて検討可能である。例えば、12μmで1324メッシュの条件を35μmのタングステン線10に換算すると、454メッシュ(=1324メッシュ×12μm÷35μm)となる。この条件では、曲率半径Rcが31μmであり、内側曲率半径Riが13.5μmである。
本願発明者らは、コイリング試験において、径R=27μmの芯材20と、径φ=35μmのタングステン線10とを用いた。この芯材20に巻き付けられたタングステン線10は、内側曲率半径Riが13.5μm(=R÷2)になり、かつ、曲率半径Rcが31.0μm(=Ri+φ÷2)になる。したがって、この条件の下でのコイリング試験において、破断又は表面剥離が発生しなかった場合、12μmのタングステン線10を用いて900メッシュのタングステンメッシュ2を製造することができることを意味する。
以下の表4に、上述した比較例9及び10、並びに、実施例16について、コイリング試験を行った結果を示す。なお、いずれも線径は35μmであり、添加物である合金元素はReであり、添加量は5wt%である。また、いずれも中間再結晶処理回数は6回であった。
Figure 2023174210000005
図8Aは、コイリング試験後の実施例16に係るタングステン線の外観を示す図である。図8Bは、図8Aの一部を拡大した図である。図8A及び図8Bに示されるように、実施例16では、タングステン線10の破断もなく、表面剥離も発生しなかった。
図9Aは、コイリング試験後の比較例10に係るタングステン線の外観を示す図である。図9Bは、図9Aの一部を拡大した図である。図9A及び図9Bに示されるように、比較例10では、タングステン線の破断はなかったが、表面剥離が僅かながら発生している。したがって、伸び率が4%の場合でも、タングステンメッシュ2の製造は可能であるが、より質の高いタングステンメッシュ2の製造には、伸び率が5%以上であることが望ましい。
なお、タングステン線10の線径及びメッシュのピッチは、上記例に限定されない。
[効果など]
従来の水素透過フィルタでは、複数のステンレス線が金属メッシュを構成していることによって、複数のステンレス線の各々に曲げ応力が加わっている。この状態で水素透過フィルタが水素に曝されると、曲げ応力が加わっている部分に水素原子が溜まって脆化が起こり、最終的に断線が発生する。すなわち、金属メッシュの破れが発生するので、フィルタ性能が低下する。従来は、金属メッシュを4重又はそれ以上に重ねて設けることにより、破れが発生したとしてもフィルタ性能の低下を抑制しようとしている。また、脆化は、熱に起因して起きる場合もある。
これに対して、本実施の形態に係る水素透過フィルタ1は、複数のタングステン線10を用いて製織されたタングステンメッシュ2を備える。
これにより、タングステン線10はステンレス線に比べて脆化が起こりにくいので、脆化が起こりにくい水素透過フィルタ1を実現することができる。例えば、タングステン線10は、水素又は熱に起因する脆化がステンレス線に比べて起こりにくい。このため、耐久性に優れた水素透過フィルタ1を実現することができる。タングステンメッシュ2の破れが発生しにくいため、タングステンメッシュ2を重ねる数が少なくてもよく、あるいは、1つのタングステンメッシュ2のみでもフィルタ性能の高い水素透過フィルタ1を実現することができる。
また、例えば、複数のタングステン線10の各々の伸び率は、5%以上である。
これにより、伸び率が高いタングステン線10を利用することで、複雑な織り加工又は編み加工を行うことができる。開口が小さくて精細なタングステンメッシュ2が実現できるので、水素透過フィルタ1のフィルタ性能を高めることができる。
また、例えば、タングステンメッシュ2のメッシュ数は、600以上である。
これにより、開口が小さくて精細なタングステンメッシュ2が実現できるので、水素透過フィルタ1のフィルタ性能を高めることができる。
また、例えば、複数のタングステン線10の各々の引張強度は、1600MPa以上である。
これにより、タングステンメッシュ2の製造時、及び、水素透過フィルタ1の使用時の断線の発生を抑制することができる。このため、信頼性の高い水素透過フィルタ1を実現することができる。
また、例えば、複数のタングステン線10の各々の引張強度は、2400MPa以上であってもよい。
これにより、信頼性がより高い水素透過フィルタ1を実現することができる。
また、例えば、複数のタングステン線10の各々の引張強度は、4800MPa以上であってもよい。
これにより、信頼性がより一層高い水素透過フィルタ1を実現することができる。
また、例えば、複数のタングステン線10の各々の線径は、40μm以下である。
これにより、開口が小さくて精細なタングステンメッシュ2が実現できるので、水素透過フィルタ1のフィルタ性能を高めることができる。
また、例えば、タングステンメッシュ2の織組織は、畳織である。
これにより、開口が小さくて精細なタングステンメッシュ2が実現できるので、水素透過フィルタ1のフィルタ性能を高めることができる。
また、例えば、水素透過フィルタ1は、水素圧が135MPa以下の範囲で使用される。また、水素透過フィルタ1は、水素圧が110MPa以下の範囲で使用されてもよい。あるいは、水素透過フィルタ1は、水素圧が70MPa以下の範囲で使用されてもよい。
これにより、実験環境、水素ステーション、又は、燃料電池若しくは水素燃料エンジンを搭載する自動車などの様々な用途で水素透過フィルタ1を十分に利用することができる。
(その他)
以上、本発明に係る水素透過フィルタについて、上記の実施の形態などに基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、タングステンメッシュ2の織組織は、平織、綾織又は繻子織であってもよい。タングステンメッシュ2は、複数のタングステン線10を編糸として用いて、所定のゲージ数でメリヤス編みなどの編み加工を施すことで製造されてもよい。
また、例えば、本発明は、水素透過フィルタ1を備える燃料電池、及び、当該燃料電池を備える自動車などとして実現されてもよい。なお、水素透過フィルタ1は、燃料電池に限定されるものではなく、水素を利用する様々な環境下で利用することができる。
例えば、水素透過フィルタ1は、水素ステーションで水素を液化する水素冷凍機のフィルタに利用することができる。水素冷凍機のコンプレッサーは、300℃程の温度になることがあり、耐熱性に優れるタングステンメッシュ2を用いることで、耐熱性フィルタとして利用することができる。
また、タングステンメッシュ2は、水素透過フィルタ1に限らず、他の用途にも利用することができる。上述の通り、本発明によれば、伸び率が高いタングステン線10を利用することで、開口が小さくて精細なタングステンメッシュ2が実現できる。そのため、タングステンメッシュ2は、微細な濾過粒度を必要とする濾過フィルタ又は印刷用のスクリーンメッシュなどに利用できる。他にも、タングステンメッシュ2は、水素透過フィルタ1ではない耐熱性フィルタ、メッシュヒータ、電磁波などを遮蔽する機能性フィルタとして利用することもできる。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
1 水素透過フィルタ
2 タングステンメッシュ
10 タングステン線

Claims (9)

  1. 複数のタングステン線を用いて製織されたタングステンメッシュを備える、
    水素透過フィルタ。
  2. 前記複数のタングステン線の各々の伸び率は、5%以上である、
    請求項1に記載の水素透過フィルタ。
  3. 前記タングステンメッシュのメッシュ数は、600以上である、
    請求項2に記載の水素透過フィルタ。
  4. 前記複数のタングステン線の各々の引張強度は、1600MPa以上である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の水素透過フィルタ。
  5. 前記複数のタングステン線の各々の引張強度は、2400MPa以上である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の水素透過フィルタ。
  6. 前記複数のタングステン線の各々の引張強度は、4800MPa以上である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の水素透過フィルタ。
  7. 前記複数のタングステン線の各々の線径は、40μm以下である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の水素透過フィルタ。
  8. 前記タングステンメッシュの織組織は、畳織である、
    請求項1又は2に記載の水素透過フィルタ。
  9. 水素圧が135MPa以下の範囲で使用される、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の水素透過フィルタ。
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