JP2023174110A - 電子部品、フィルタおよびマルチプレクサ - Google Patents

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Abstract

【課題】接合層に加わる応力を抑制することが可能な電子部品を提供する。【解決手段】電子部品は、基板10と、基板10上に設けられた機能素子と、平面視において機能素子を囲むように基板10上に設けられた環状金属層30と、環状金属層30上に設けられ、環状金属層30とで機能素子を空隙26に封止するリッド20と、リッド20と環状金属層30におけるリッド20側の面と環状金属層30の側面におけるリッド20側の部分とに接合された金属接合層24とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品、フィルタおよびマルチプレクサに関する。
基板上に弾性波素子等の機能素子を設け、機能素子を囲むように基板上に環状金属層を設け、環状金属層上にリッドを接合することで、リッドと環状金属層により機能素子を空隙に封止する電子部品が知られている(例えば特許文献1~4)。
特開2020-205500号公報 特開2016-152612号公報 特開2014-143640号公報 特開2013-115664号公報
リッドと環状金属層とをはんだ等の接合層を用いて接合する場合、リッドと基板との熱応力により、接合層に応力が加わり、接合層に亀裂等が生じることがある。これにより、リッドと環状金属層内の空隙の気密性が低下する。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、接合層に加わる応力を抑制することを目的とする。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた機能素子と、平面視において前記機能素子を囲むように前記基板上に設けられた環状金属層と、前記環状金属層上に設けられ、前記環状金属層とで前記機能素子を空隙に封止するリッドと、前記リッドと前記環状金属層における前記リッド側の面と前記環状金属層の側面における前記リッド側の部分とに接合された金属接合層と、を備える電子部品である。
上記構成において、前記環状金属層は、第1金属層と、前記第1金属層の主成分の第1金属元素より抵抗率が高い第2金属元素を主成分とし、前記第1金属層より薄く、前記金属接合層と接触し、前記第1金属層上に設けられた第2金属層と、を備え、前記金属接合層は前記第2金属層の側面に接合された構成とすることができる。
上記構成において、前記第1金属層における前記第1金属元素の含有量は50原子%以上であり、前記第2金属層における前記第2金属元素の含有量は50原子%以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記金属接合層は、前記第1金属層の側面の一部に接合された構成とすることができる。
上記構成において、前記第1金属層と前記第2金属層とが接する面において、前記第1金属層の前記環状金属層が延伸する方向に直交する方向における幅は前記第2金属層の前記直交する方向における幅より小さい構成とすることができる。
上記構成において、前記第1金属層は銅を主成分とし、前記第2金属層はニッケルを主成分とし、前記金属接合層は金および錫を主成分とする構成とすることができる。
上記構成において、前記第1金属層における銅の含有量は50原子%以上であり、前記第2金属層におけるニッケルの含有量は50原子%以上であり、前記金属接合層における金の含有量および錫の含有量の合計は50原子%以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記金属接合層ははんだである構成とすることができる。
上記構成において、前記金属接合層は、前記環状金属層における前記リッド側の面と前記環状金属層の側面における前記リッド側の部分とに接触する構成とすることができる。
上記構成において、前記基板と前記リッドとの線膨張係数は異なる構成とすることができる。
上記構成において、前記機能素子は弾性波素子である構成とすることができる。
上記構成において、前記基板は、支持基板と前記支持基板上に設けられた圧電層とを備え、前記弾性波素子は前記圧電層の表面に設けられ、前記環状金属層は前記圧電層が除去された領域における前記支持基板上に設けられている構成とすることができる。
本発明は、上記電子部品を備えるフィルタである。
本発明は、上記フィルタを備えるマルチプレクサである。
本発明によれば、接合層に加わる応力を抑制することができる。
図1(a)および図1(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの断面図および平面図である。 図2は、実施例1における弾性波素子の平面図である。 図3は、実施例1における環状金属層付近の拡大断面図である。 図4(a)から図4(d)は、実施例1における弾性波デバイスの環状金属層の形成方法を示す拡大断面図である。 図5は、比較例1における環状金属層付近の拡大断面図である。 図6(a)および図6(b)は、実施例1の変形例1および2における環状金属層付近の拡大断面図である。 図7は、実施例1の変形例3における環状金属層付近の拡大断面図である。 図8(a)は、実施例1の変形例4に係る弾性波デバイスの断面図、図8(b)は、実施例1の変形例4における弾性波素子の断面図である。 図9(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図、図9(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。
以下、図面を参照し本発明の実施例について説明する。
実施例1は、電子部品として、弾性波素子を有する弾性波デバイスの例である。図1(a)および図1(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの断面図および平面図である。図1(b)は、基板10および環状金属層30を主に示している。基板10の厚さ方向をZ方向、基板10の平面方向をX方向およびY方向とする。
図1(a)および図1(b)に示すように、基板10は、支持基板10aと、支持基板10a上に設けられた圧電層10cと、支持基板10aと圧電層10cとの間に設けられた絶縁層10bと、を備えている。圧電層10c上に弾性波素子12および金属層14が設けられている。弾性波素子12は例えば弾性表面波素子である。金属層14は、弾性波素子12に電気的に接続された配線およびパッドとして機能する。基板10の周縁部および基板10のビア配線16が設けられた領域において、圧電層10cおよび絶縁層10bが除去されており、基板10の上面は支持基板10aの上面である。ビア配線16は、支持基板10aを貫通する。基板10の下面に端子18が設けられている。ビア配線16は金属層14と端子18とを電気的に接続する。基板10の周縁部における支持基板10a上に、弾性波素子12を囲むように環状金属層30が設けられている。環状金属層30は、基板10上に設けられた環状金属層30aと、環状金属層30a上に設けられた環状金属層30bと、を備えている。基板10の上方にリッド20が設けられている。リッド20の下面に金属層22が設けられている。環状金属層30と金属層22とは接合層24により接合されている。リッド20および環状金属層30は、弾性波素子12を空隙26に封止する。
支持基板10aは、例えばサファイア基板、アルミナ基板、石英基板、水晶基板、スピネル基板、SiC基板またはシリコン基板である。絶縁層10bは、例えば酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層もしくは窒化アルミニウム層の単層またはこれらの層の積層である。圧電層10cは、例えば単結晶タンタル酸リチウム基板、単結晶ニオブ酸リチウム基板または単結晶水晶基板等の圧電基板である。単結晶タンタル酸リチウム基板、単結晶ニオブ酸リチウム基板は、例えば回転YカットX伝搬基板である。金属層14、ビア配線16および端子18は、例えば銅層、金層、銀層、チタン層、ニッケル層、タングステン層等の金属層の単層またはこれらの層の積層である。リッド20は、例えばコバール等の金属層、または、例えばサファイア基板、アルミナ基板、石英基板、水晶基板、スピネル基板、SiC基板またはシリコン基板等の絶縁層である。リッド20の下面に別の機能素子が設けられていてもよい。この場合、別の機能素子は空隙26に封止される。
金属層22は、接合層24とリッド20とが直接接合できない場合に設けられる層であり、接合層24の濡れ性のよい層である。接合層24が金錫の場合、金属層22は例えば金層である。接合層24とリッド20とが直接接合できる場合、金属層22は設けられていなくてもよい。接合層24は、例えば金錫はんだ、錫銀はんだまたは錫銀銅はんだである。環状金属層30aは、シールドとして機能するため、抵抗率の低い材料を用いることが好ましく、例えば銅層、金層、アルミニウム層または銀層である。環状金属層30bは、接合層24と環状金属層30aとの間の拡散を防止する拡散防止層として機能し、例えばニッケル層、クロム層またはチタン層である。接合層24と環状金属層30aとの間の拡散が問題とならない場合には、環状金属層30bは設けられていなくてもよい。環状金属層30は、基板10と環状金属層30aとの間に別の環状金属層を有してもよい。
図2は、実施例1における弾性波素子の平面図である。図2に示すように、弾性波素子12は弾性表面波共振器またはLamb波共振器である。圧電層10c上にIDT(Interdigital Transducer)40と反射器42が形成されている。IDT40は、互いに対向する1対の櫛型電極40aを有する。櫛型電極40aは、複数の電極指40bと複数の電極指40bを接続するバスバー40cとを有する。反射器42は、IDT40の両側に設けられている。IDT40は圧電層10cに弾性表面波を励振する。弾性波の波長は一対の櫛型電極40aの一方の櫛型電極40aの電極指40bのピッチにほぼ等しい。すなわち、弾性波の波長は一対の櫛型電極40aの電極指40bのピッチの2倍にほぼ等しい。IDT40および反射器42は例えばアルミニウム膜、銅膜またはモリブデン膜により形成される。圧電層10c上にIDT40および反射器42を覆うように保護膜または温度補償膜が設けられていてもよい。弾性波素子12は、弾性波を励振する電極を含む。このため、弾性波を制限しないように、弾性波素子12は空隙26に覆われている。
図3は、実施例1における環状金属層付近の拡大断面図である。図3に示すように、接合層24は環状金属層30の上面および環状金属層30はYZ面に相当する側面を覆っている。すなわち、環状金属層30の上面と接合層24との界面における端50を接合層24が覆っている。環状金属層30aおよび30bの上面は中央部が上方に突出するような曲面である。これは、環状金属層30aおよび30bを電界めっき法を用い形成したためである。環状金属層30aおよび30bの上面は平面でもよい。環状金属層30の両側面は平行である。環状金属層30の両側面は、基板10側の幅がリッド20側の幅より狭くてもよいし、広くてもよい。環状金属層30の側面は曲面でもよいし、凹凸面でもよい。
環状金属層30aおよび30bのZ方向における厚さをそれぞれT1およびT2とする。環状金属層30とリッド20との間における接合層24のZ方向における最大の厚さおよび最小の厚さをそれぞれT3aおよびT3bとする。環状金属層30のX方向における幅をW1とする。環状金属層30と接合層24との界面における接合層24のX方向における幅をW3とする。リッド20および金属層22と接合層24との界面における接合層24のX方向における幅をW4とする。接合層24が環状金属層30の側面に接するZ方向における高さをHとする。厚さT1は例えば10μm~20μm、厚さT2は例えば1μm~5μm、厚さT3aおよびT3bは、例えばそれぞれ1μm~5μmおよび2μm~6μm、幅W1は例えば10μm~30μm、幅W3は、例えば0.5μm~10μm、幅W4は例えば10μm~50μm、高さHは、例えば1μm~10μmである。基板10の支持基板10aの厚さは例えば50μm~200μm、リッド20の厚さは例えば10μm~50μmである。
図4(a)から図4(d)は、実施例1における弾性波デバイスの環状金属層の形成方法を示す拡大断面図である。図4(a)に示すように、基板10上に、開口53を有するマスク層52を形成する。マスク層52は、例えばフォトレジストであり、例えばフォトリソグラフィ法を用い形成される。
図4(b)に示すように、電界めっき法を用い開口53内に環状金属層30および接合層24を形成する。マスク層52の側面が傾斜している場合、環状金属層30の側面が傾斜することもある。電界めっき法の条件により、環状金属層30の上面および接合層24の上面の中央部が上方向に突出する曲面状となることもある。
図4(c)に示すように、マスク層52を除去する。接合層24が接合層24の融点以上の温度となるように、基板10を加熱する。矢印54のように、上方からリッド20を接合層24に押し当てる。図4(d)に示すように、接合層24は金属層22に接合する。矢印55のようにリッド20を更に接合層24に押し当てる。これにより、矢印56のように、溶融した接合層24は環状金属層30の側面に回り込む。その後、基板10が室温に戻ることで、接合層24が固化し、リッド20は接合層24を介し環状金属層30に接合される。
[比較例1]
図5は、比較例1における環状金属層付近の拡大断面図である。図5に示すように、比較例1では、接合層24は、環状金属層30の上面を覆っているが、側面を覆っていない。その他の構成は実施例1と同じである。比較例1では、基板10とリッド20とに線膨張係数の差がある。このため、温度を上げ接合層24を溶融させ、環状金属層30とリッド20とを接合した後に室温に戻ると、環状金属層30の上面と接合層24との界面における端50での応力が高くなる。また、温度サイクルにより端50における応力が大きくなる。これにより、接合層24と環状金属層30とが剥がれる、または、接合層24に亀裂が入る、可能性がある。剥がれまたは亀裂が生じると、空隙26の気密性が低下する可能性がある。
[シミュレーション]
比較例1と実施例1について接合層24に加わる応力を2次元の有限要素法を用いシミュレーションした。シミュレーションでは、基板10およびリッド20のX方向における中点を通る直線を鏡面条件とし、X方向における半分領域においてシミュレーションした。
シミュレーションにおける各部材の寸法および材料は以下である。
支持基板10a:厚さが75μmのサファイア基板
絶縁層10b、圧電層10c:設けていない
環状金属層30a:厚さT1が21μm、幅W1が25μmの銅層
環状金属層30aの上面:円弧の一部
環状金属層30b:厚さT2が2.5μm、幅W1が25μmのニッケル層
環状金属層30bの上面:円弧の一部
接合層24:厚さT3aが7μm、厚さT3bが5μmの金錫(錫が20質量%)
接合層24の上面の幅W4:31μm
金属層22:基板10側から厚さが1μmの金層および厚さが1μmのニッケル層
リッド20:厚さが30μmのコバール
幅W3:2μm
高さH:2.5μm
接合層24は環状金属層30aの側面には接合されていない(後述する実施例1の変形例2の構造)。
支持基板10aおよびリッド20のX方向における半分の領域の幅は550μmとした。
リッド20を環状金属層30に接合させる工程の条件は以下である。
図4(c)のように、リッド20が接合層24に接触しない状態において、25℃から320℃まで時間に対し温度を線形的に昇温する。その後、320℃において、リッド20を接合層24に接触させる。リッド20と接合層24とを固定し、320℃から25℃まで時間に対し温度を線形的に降温する。
25℃に降温後において、実施例1の図3および比較例1の図5における環状金属層30の上面と接合層24との界面における-X方向の端50での応力は以下である。
比較例1:204MPa
実施例1:137MPa
このように、実施例1では、端50における応力は比較例1に比べ約67%となる。
このように、実施例1では、接合層24が環状金属層30の上面に加え、環状金属層30の上部の一部を覆う。これにより、接合層24と環状金属層30の上面との界面付近における応力を抑制できる。これにより、接合層24と環状金属層30との剥がれ、接合層24の亀裂が生じることを抑制でき、空隙26の気密性を向上できる。
[実施例1の変形例1]
図6(a)は、実施例1の変形例1における環状金属層付近の拡大断面図である。図6(a)に示すように、環状金属層30bは設けられておらず、環状金属層30は環状金属層30aである。環状金属層30aと接合層24との間の元素の拡散が問題とならないような場合には、環状金属層30bは設けなくてもよい。例えば環状金属層30aが金層であり、接合層24が金錫の場合には環状金属層30bはなくてもよい。その他の構成は実施例1と同じであり、説明を省略する。
[実施例1の変形例2]
図6(b)は、実施例1の変形例2における環状金属層付近の拡大断面図である。図6(b)に示すように、接合層24は環状金属層30bの側面を覆い、環状金属層30aの側面を覆っていない。実施例1のように、接合層24が環状金属層30aの側面の一部を覆うことにより、接合層24に加わる応力をより抑制できる。しかし、接合層24と環状金属層30aとが接触すると、接合層24および環状金属層30aの元素が拡散する。実施例1の変形例2では、接合層24と環状金属層30aとが接触しないため、接合層24および環状金属層30aの元素が拡散を抑制できる。その他の構成は実施例1と同じであり、説明を省略する。
[実施例1の変形例3]
図7は、実施例1の変形例3における環状金属層付近の拡大断面図である。図7に示すように、環状金属層30aと30bとが接する界面における環状金属層30aの幅W1は環状金属層30bの幅W2より小さい。接合層24は、環状金属層30aと30bの側面の段差を覆う。このため、接合層24と環状金属層30との密着性が向上し、接合層24と環状金属層30とが剥がれることを抑制できる。その他の構成は実施例1と同じであり、説明を省略する。
[実施例1の変形例4]
図8(a)は、実施例1の変形例4に係る弾性波デバイスの断面図である。図8(a)に示すように、基板10上に弾性波素子12aが設けられている。基板10は、例えばサファイア基板、アルミナ基板、石英基板、水晶基板、スピネル基板、SiC基板またはシリコン基板である。その他の構成は実施例1の図1(a)と同じである。
図8(b)は、実施例1の変形例4における弾性波素子の断面図である。図8(b)に示すように、圧電薄膜共振器である弾性波素子12aでは、基板10上に圧電膜46が設けられている。圧電膜46を挟むように下部電極44および上部電極48が設けられている。下部電極44と基板10との間に空隙45が形成されている。圧電膜46の少なくとも一部を挟み下部電極44と上部電極48とが対向する領域が共振領域47である。共振領域47において、下部電極44および上部電極48は圧電膜46内に、厚み縦振動モードまたは厚み滑り振動モードの弾性波を励振する。下部電極44および上部電極48は例えばルテニウム膜等の金属膜である。圧電膜46は例えば窒化アルミニウム膜、タンタル酸リチウム膜またはニオブ酸リチウム膜である。空隙45の代わりに弾性波を反射する音響反射膜が設けられていてもよい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1およびその変形例によれば、弾性波素子12または12a(機能素子)および環状金属層30は基板10上に設けられ、平面視において環状金属層30は弾性波素子12または12aを囲むように設けられている。リッド20は、環状金属層30上に設けられ、環状金属層30とで弾性波素子12または12aを空隙26内に封止する。接合層24(金属接合層)は、リッド20と環状金属層30のリッド20側の面と環状金属層30の側面のリッド20側の部分とに接合されている。これにより、シミュレーションのように、環状金属層30と接合層24との界面付近における接合層24に加わる応力を抑制できる。
接合層24は、例えばはんだである。接合層24の融点は環状金属層30より低い。例えば金錫(錫の濃度は20質量%)の融点は約270℃である。このように、はんだの融点は300℃以下である。これに対し、環状金属層30に用いる銅、ニッケル、金、アルミニウムおよび銀の融点はそれぞれ1085℃、1455℃、1064℃、660℃および962℃であり、接合層24の融点より300℃以上高い。
環状金属層30と接合層24との界面における応力を抑制するため、環状金属層30と接合層24との界面における接合層24の幅W3は大きいことが好ましい。幅W3を環状金属層30の幅W1に対し比較すると、幅W3は、環状金属層30の幅W1の1/50倍以上が好ましく、1/20倍以上がより好ましく、1/10倍以上がさらに好ましく、2μm以上が好ましい。幅W3が大きいと大型化する。この観点から幅W3は幅W1の1/2倍以下が好ましく、1/5倍以下がより好ましい。幅W3を接合層24の厚さT3bと比較すると、幅W3は、厚さT3bの1/5倍以上が好ましく、1/2倍以上がより好ましい。幅W3は、厚さT3bの2倍以下が好ましい。
環状金属層30と接合層24との界面における応力を抑制するため、接合層24が環状金属層30の側面と接触する高さHは大きいことが好ましい。高さHを環状金属層30の厚さ(T1+T2)に対し比較すると、高さHは、厚さT1+T2の1/20倍以上が好ましく、1/10倍以上がより好ましく、1/5倍以上がさらに好ましい。厚さHが大きいと接合層24が基板10に接触する可能性がある。この観点から高さHは厚さT1+T2の1/2倍以下が好ましい。
実施例1の変形例1の図6(a)のように、接合層24と環状金属層30aとの間の元素の拡散が問題とならない場合、環状金属層30bは設けられていなくてもよい。
実施例1およびその変形例2~4の図3、図6(b)、図7のように、環状金属層30は、環状金属層30a(第1金属層)および環状金属層30b(第2金属層)を備えている。環状金属層30bは、環状金属層30a上に設けられ、接合層24に接触する。また、接合層24は環状金属層30bの側面に接合されている。接合層24の元素の環状金属層30aへの拡散が問題となる場合、拡散防止層として環状金属層30bを設けることができる。環状金属層30aはシールド等として機能するため、環状金属層30aの抵抗率は低く、厚さT1は厚いことが好ましい。一方、環状金属層30bは拡散防止が主な機能である。このため、環状金属層30bの抵抗率は、環状金属層30aの抵抗率より高い。環状金属層30bの主成分の第1金属元素の抵抗率は、環状金属層30aの主成分の第2金属元素の抵抗率より高い。なお、第1金属元素および第2金属元素の抵抗率とは、それぞれ第1金属元素および第2金属元素が100%のバルクにおける抵抗率である。環状金属層30bにおける第1金属元素の含有量は例えば50原子%以上(または80原子%以上もしくは90原子%以上)であり、環状金属層30aにおける第2金属元素の含有量は例えば50原子%以上(または80原子%以上もしくは90原子%以上)である。また、環状金属層30bの厚さT2は環状金属層30aの厚さT1より小さい。
環状金属層30aに用いる銅、金、アルミニウムおよび銀の抵抗率は、それぞれ1.68×10-8Ω・m、2.44×10-8Ω・m、2.65×10-8Ω・mおよび1.59×10-8Ω・mである。環状金属層30bに用いるニッケル、チタンおよびクロムの抵抗率は、それぞれ7.0×10-8Ω・m、4.2×10-7Ω・mおよび1.3×10-7Ω・mである。このように、環状金属層30bの抵抗率は、環状金属層30aの抵抗率の2倍以上であり、3倍以上である。また、環状金属層30bの厚さT2は環状金属層30aの厚さT1の1/2倍以下であり、1/5倍以下である。
環状金属層30aは銅を主成分とし、環状金属層30bはニッケルを主成分とし、接合層24は金錫を主成分とする。これにより、シミュレーションのように、接合層24に加わる応力を抑制できる。なお、ある層がある元素を主成分とするとは、ある層におけるある元素の含有量が50原子%以上のことであり、ある層におけるある元素の含有量が80原子%または90原子%以上でもよい。接合層24が金錫を主成分とするとは、接合層24における金の含有量と錫の含有量の合計が50原子%以上であり、80原子%または90原子%以上でもよい。金錫における金と錫の比率は、金と錫の共晶が形成される程度の比率であり、錫の含有量が10質量%~30質量%である。
接合層24は、環状金属層30bの側面を覆う。これにより、環状金属層30と接合層24との界面における応力を抑制することができる。接合層24は、環状金属層30bの側面の全面に接触することが好ましい。
接合層24が環状金属層30aの側面の一部に接触しても、接合層24と環状金属層30aとの元素の拡散が大きな問題とならない場合、実施例1および変形例3の図3および図7のように、接合層24は、環状金属層30aの側面の一部に接合されていてもよい。これにより、環状金属層30と接合層24との界面における応力をより抑制することができる。
接合層24が環状金属層30aの側面の一部に接触すると、接合層24と環状金属層30aとの元素の拡散が大きな問題となる場合、実施例1の変形例2の図6(b)のように、接合層24は、環状金属層30aの側面に接合されていなくてもよい。これにより、接合層24と環状金属層30aとの元素の拡散を抑制できる。
実施例1の変形例3の図7のように、環状金属層30aと30bとが接する面において、環状金属層30aの幅W1は環状金属層30bの幅W2より小さい。これにより、環状金属層30bの周縁部の下に庇が形成され、庇に周りむように接合層24が設けられる。よって、接合層24と環状金属層30との剥がれを抑制できる。幅W1は幅W2の0.99倍以下が好ましく、0.98倍以下がより好ましく、0.95倍以下がさらに好ましい。幅W1が小さすぎると環状金属層30aの強度が弱くなる。この観点から、幅W1は幅W2の0.7倍以上が好ましい。なお、幅W1およびW2は、図7における環状金属層30の延伸方向(Y方向)に直交する方向(X方向)における幅である。
基板10とリッド20との線膨張係数が異なる場合、接合層24に熱応力が加わる。よって、接合層24は環状金属層30の側面の一部に接合されることが好ましい。基板10がサファイア基板のとき、基板10の線膨張係数は約7ppm/℃である。リッド20がコバールのとき、リッド20の線膨張係数は約0ppm/℃である。基板10とリッド20との線膨張係数の差が1ppm/℃以上、2ppm/℃または5ppm/℃のとき、接合層24は環状金属層30の側面の一部に接合されることが好ましい。
図1(a)のように、基板10は、支持基板10aと支持基板10a上に設けられた圧電層10cとを備える。弾性波素子12は圧電層10cの表面に設けられ、環状金属層30は圧電層10cが除去された領域における支持基板10a上に設けられている。
実施例1およびその変形例では、機能素子として弾性波素子12および12a(圧電薄膜共振器または弾性表面波共振器)の例を説明したが、機能素子は、インダクタまたはキャパシタ等の受動素子、トランジスタを含む能動素子、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子でもよい。
図9(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図である。図9(a)に示すように、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の並列共振器P1からP4が並列に接続されている。直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4の少なくとも1つの共振器に実施例1およびその変形例の弾性波素子12および12aを用いることができる。直列共振器および並列共振器の個数等は適宜設定できる。フィルタとしてラダー型フィルタを例に説明したが、フィルタは多重モード型フィルタでもよい。
図9(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。図9(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ60が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ62が接続されている。送信フィルタ60は、送信端子Txから入力された高周波信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ62は、共通端子Antから入力された高周波信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ60および受信フィルタ62の少なくとも一方を実施例2のフィルタとすることができる。
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
10a 支持基板
10b 絶縁層
10c 圧電層
12、12a 弾性波素子
14、22 金属層
16 ビア配線
18 端子
20 リッド
24 接合層
26 空隙
30、30a、30b 環状金属層
60 送信フィルタ
62 受信フィルタ

Claims (14)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた機能素子と、
    平面視において前記機能素子を囲むように前記基板上に設けられた環状金属層と、
    前記環状金属層上に設けられ、前記環状金属層とで前記機能素子を空隙に封止するリッドと、
    前記リッドと前記環状金属層における前記リッド側の面と前記環状金属層の側面における前記リッド側の部分とに接合された金属接合層と、
    を備える電子部品。
  2. 前記環状金属層は、
    第1金属層と、
    前記第1金属層の主成分の第1金属元素より抵抗率が高い第2金属元素を主成分とし、前記第1金属層より薄く、前記金属接合層と接触し、前記第1金属層上に設けられた第2金属層と、
    を備え、
    前記金属接合層は前記第2金属層の側面に接合された請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記第1金属層における前記第1金属元素の含有量は50原子%以上であり、前記第2金属層における前記第2金属元素の含有量は50原子%以上である請求項2に記載の電子部品。
  4. 前記金属接合層は、前記第1金属層の側面の一部に接合された請求項2に記載の電子部品。
  5. 前記第1金属層と前記第2金属層とが接する面において、前記第1金属層の前記環状金属層が延伸する方向に直交する方向における幅は前記第2金属層の前記直交する方向における幅より小さい請求項4に記載の電子部品。
  6. 前記第1金属層は銅を主成分とし、前記第2金属層はニッケルを主成分とし、前記金属接合層は金および錫を主成分とする請求項2から5のいずれか一項に記載の電子部品。
  7. 前記第1金属層における銅の含有量は50原子%以上であり、前記第2金属層におけるニッケルの含有量は50原子%以上であり、前記金属接合層における金の含有量および錫の含有量の合計は50原子%以上である請求項6に記載の電子部品。
  8. 前記金属接合層ははんだである請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品。
  9. 前記金属接合層は、前記環状金属層における前記リッド側の面と前記環状金属層の側面における前記リッド側の部分とに接触する請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品。
  10. 前記基板と前記リッドとの線膨張係数は異なる請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品。
  11. 前記機能素子は弾性波素子である請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品。
  12. 前記基板は、支持基板と前記支持基板上に設けられた圧電層とを備え、
    前記弾性波素子は前記圧電層の表面に設けられ、前記環状金属層は前記圧電層が除去された領域における前記支持基板上に設けられている請求項11に記載の電子部品。
  13. 請求項11に記載の電子部品を備えるフィルタ。
  14. 請求項13に記載のフィルタを備えるマルチプレクサ。
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