JP2023173702A - エンジンシステム及びシリーズハイブリッド車両 - Google Patents

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Kiyotaka Tanaka
雄剛 砂流
Taketaka Sunanagare
亮郎 坊田
Akiro Boda
亨 宮本
Toru Miyamoto
翔馬 小西
Shoma Konishi
皓大 小川
Akihiro Ogawa
雄一郎 安永
Yuichiro Yasunaga
信吾 狩川
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Abstract

【課題】ロータリエンジンの負荷に応じて冷却損失低減と排気損失低減との両立を図る。【解決手段】エンジンシステム12は、ロータハウジング16と、サイドハウジング18と、これらのロータハウジング及びサイドハウジングに囲まれたロータ収容室に収容され、3つの作動室24を形成するロータ20と、作動室に空気を導く吸気通路32と、を有するロータリエンジン14と、ロータリエンジンの排気ガスを吸気通路に還流するEGR通路46と、吸気通路に還流される排気ガスの量を調整するEGRバルブ50と、EGRバルブの開度を制御するように構成されたECM70とを備え、ECM70は、同一のエンジン回転数において、ロータリエンジンの負荷が相対的に高いときには、ロータリエンジンの負荷が相対的に低いときに比べて、作動室に導入される吸気のEGR率が高くなるように、EGRバルブを制御する。【選択図】図16

Description

本発明は、エンジンシステム及びシリーズハイブリッド車両に係り、より詳細にはロータリエンジンを備えたエンジンシステム及びシリーズハイブリッド車両に関する。
従来、ロータハウジングと、サイドハウジングと、これらのハウジングに囲まれたロータ収容室に収容されたロータとを有するロータリエンジンが知られている。例えば、特許文献1には、ロータリエンジンの燃焼行程において、ロータの回転に起因して燃焼室内をロータの回転方向のトレーリング側(遅れ側、つまりロータ回転方向の後方側)からリーディング側(進み側、つまりロータ回転方向の前方側)へ強いスキッシュ流が流れるため、トレーリング側の混合気の燃焼遅れが発生することが開示されている。
特開2013-050040号公報
ロータの回転に起因するスキッシュ流によりトレーリング側混合気の燃焼遅れが生じると、排気損失が増大するため、上述した従来技術ではスキッシュ流に起因する燃焼遅れを抑制することが好ましいとされている。しかしながら、スキッシュ流に起因するトレーリング側混合気の燃焼遅れを抑制しようとすると、リーディング側混合気の燃焼の割合が増加する。その結果、ロータリエンジンの負荷によっては、リーディング側混合気の燃焼による作動室内の圧力上昇が過剰に急峻になり、冷却損失が増加する可能性がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ロータリエンジンの負荷に応じて冷却損失低減と排気損失低減との両立を図ることのできるロータリエンジンを備えたエンジンシステム及びシリーズハイブリッド車両を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明によるエンジンシステムは、ロータハウジングと、サイドハウジングと、これらのロータハウジング及びサイドハウジングに囲まれたロータ収容室に収容され、3つの作動室を形成するロータと、作動室に空気を導く吸気通路と、を有するロータリエンジンと、ロータリエンジンの排気ガスを吸気通路に還流するEGR通路と、吸気通路に還流される排気ガスの量を調整するEGRバルブと、EGRバルブの開度を制御するように構成された制御器と、を備え、制御器は、同一のエンジン回転数において、ロータリエンジンの負荷が相対的に高いときには、ロータリエンジンの負荷が相対的に低いときに比べて、作動室に導入される吸気のEGR率が高くなるように、EGRバルブを制御する。
このように構成された本発明によれば、エンジン負荷が相対的に高いときには、エンジン負荷が相対的に低いときに比べて、2段目燃焼の割合を増大させ、主燃焼による圧力上昇を緩やかにして冷却損失を低減することができる。
また、本発明において好ましくは、エンジンシステムは、ロータリエンジンのエンジン回転数を検出する回転数センサを備え、ロータリエンジンは、作動室の1つに燃料を噴射するインジェクタを備え、制御器は、インジェクタによる燃料噴射を制御するように構成され、エンジン回転数が第1回転数以下である場合、エンジン回転数が第1回転数より高い場合よりも、作動室の各々の1回の燃焼サイクルにおける燃料噴射回数が多く且つ最後の燃料噴射の噴射終了時期が遅角されるようにインジェクタを制御する。
このように構成された本発明によれば、エンジン回転数が相対的に低いとき、即ち作動室内の気流が相対的に弱いときには、作動室の各々の1回の燃焼サイクルにおける燃料噴射回数を多くすると共に最後の燃料噴射終了時期を遅角させることによって、作動室内の気流が弱くてもリーディング側からトレーリング側まで均等に燃料を分布させて均質な混合気を得ることができ、EGR率に応じた主燃焼と2段目燃焼との割合の調整をより正確に行うことができる。
また、本発明において好ましくは、制御器は、同一のエンジン回転数において、ロータリエンジンの負荷が高い程、EGR率が高くなり且つ当該EGR率の上昇率が小さくなるように、EGRバルブを制御する。
このように構成された本発明によれば、エンジン負荷が高くなる程、EGR率の上昇が抑制されるので、燃焼時期の遅い2段目燃焼に起因する排気損失が過大になることが防止される。
他の観点では、本発明は、駆動力源である電動モータと、電動モータに電力を供給可能な発電機と、を備えたシリーズハイブリッド車両であって、上記のエンジンシステムを備え、ロータリエンジンは、発電機を駆動する。
ロータリエンジンの駆動力を発電機の駆動にのみ使用するシリーズハイブリッド車両においては、熱効率の高い領域、つまりエンジン負荷が相対的に高い領域でロータリエンジンが運転される傾向にある。したがって、エンジン負荷が相対的に高いときに冷却損失を低減する事ができる本発明によるエンジンシステムは、シリーズハイブリッド車両に好適である。
本発明のエンジンシステム及びシリーズハイブリッド方式の車両によれば、ロータリエンジンの負荷に応じて冷却損失低減と排気損失低減との両立を図ることができる。
本発明の実施形態によるシリーズハイブリッド車両の構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンシステムの構成図である。 本発明の実施形態によるシリーズハイブリッド車両の制御ブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジン制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態によるエンジン始動制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態によるエンジン始動制御における水温と要求回転数との関係を示すマップである。 本発明の実施形態によるエンジン始動制御における水温と回転上昇率との関係を示すマップである。 本発明の実施形態によるエンジン始動制御における水温と始動時オイル導入量との関係を示すマップである。 本発明の実施形態による燃焼制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態による燃焼制御におけるエンジン回転数に応じた燃料噴射時期のパターンを例示するチャートである。 本発明の実施形態による燃焼制御におけるエンジン回転数と燃料噴射回数との関係を示すテーブルである。 本発明の実施形態による燃焼制御におけるエンジン回転数と燃料噴射終了時期との関係を示すマップである。 本発明の実施形態による燃焼制御におけるエンジン負荷と燃料噴射量の分割比との関係を示すマップである。 ロータリエンジンにおけるエキセントリックシャフト角と熱発生率との関係を示すグラフである。 ロータリエンジンにおけるEGR率と2段目燃焼の割合との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態による燃焼制御におけるエンジン負荷とEGR率との関係を示すマップである。 本発明の実施形態による燃焼制御におけるエンジン回転数とEGR率との関係を示すマップである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<システム構成>
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態によるシリーズハイブリッド車両及びエンジンシステムの構成を説明する。図1はシリーズハイブリッド車両の構成図、図2はエンジンシステムの構成図である。
図1に示すように、シリーズハイブリッド車両1は、減速機2を介して駆動輪4(図の例では前輪)を駆動する駆動力源である電動モータ6と、電動モータ6に電力を供給可能なバッテリ8及びスタータジェネレータ10とを備えている。また、シリーズハイブリッド車両1はロータリエンジン14を有するエンジンシステム12を備えている。スタータジェネレータ10は、ロータリエンジン14により駆動されることで発電して電動モータ6やバッテリ8に電力を供給し、ロータリエンジン14の始動時にはバッテリ8から供給された電力によりロータリエンジン14を駆動する。
図2に示すように、エンジンシステム12は、ロータリエンジン14を備えている。ロータリエンジン14は、トロコイド状の内周面を有するロータハウジング16と、ロータハウジング16の両側にそれぞれ配置された平面状の内面を有するサイドハウジング18と、ロータハウジング16及びサイドハウジング18に囲まれたロータ収容室に収容されたロータ20とを備えている。
ロータ20は、その内方のエキセントリックシャフト22により支持されると共にそのエキセントリックシャフト22と共に偏心回転するようになっている。このロータ20の周囲には、ロータハウジング16及びサイドハウジング18とロータ20とにより囲まれた3つの作動室24が形成されている。各作動室24の容積は、ロータ20の偏心回転により変化するようになっている。そして、作動室24における吸気、圧縮、膨張(爆発)、排気の一連の行程により、ロータ20が回転させられると共にエキセントリックシャフト22が回転させられ、その回転力が動力としてエキセントリックシャフト22からドライブシャフト(図示せず)等を介してスタータジェネレータ10に出力される。
図2に示すように、ロータハウジング16には点火プラグ26が取り付けられ、また、サイドハウジング18には、吸気ポート28及び排気ポート30が形成されている。吸気ポート28には、吸気通路32が接続されており、その吸気通路32を介して作動室24内に空気が導かれる。また、排気ポート30には、排気通路34が接続されており、その排気通路34を介して作動室24内の排気ガスが排出される。ロータ20は、図2において時計回りに回転し、この図2に示す状態では、ロータ20の右上の作動室24において圧縮行程が行われ、右下の作動室24において膨張(爆発)行程が行われている。図2の例では、ロータ20は時計回りに回転するので、作動室24のリーディング側(進み側)とは作動室24の時計回り側(つまりロータ20の右上の作動室24では右下側、右下の作動室24においては左下側)であり、トレーリング側(遅れ側)とは作動室24の反時計回り側(つまりロータ20の右上の作動室24では左上側、右下の作動室24においては右上側)である。
図2に示すように、吸気通路32の上流側にはスロットルバルブ36、スロットル開度センサ38及びエアフローセンサ40が設けられ、さらにその上流側にはエアクリーナ42が設けられている。また、排気通路34の下流側には、排気通路34中の排気ガスの一部を吸気通路32に還流するためのEGR装置44及び排気ガス浄化触媒(図示せず)などが設けられている。EGR装置44は、排気通路34と吸気通路32とを連結するEGR通路46と、このEGR通路46内の還流する排気ガスを冷却して密度を高めるEGRクーラ48と、EGR率(吸気行程において作動室24に流入する全ガス量に対する既燃ガス量の割合)を制御するためのEGRバルブ50及びEGRバルブ開度センサ52とを有している。
また、ロータハウジング16には、燃料を作動室24内に噴射するインジェクタ54と、オイルをロータハウジング16の内周面に噴射するメタリングオイルポンプ56とが取り付けられている。インジェクタ54は、燃料供給通路を介して燃料タンクに接続され(何れも図示せず)、この燃料タンクから燃料が供給されるようになっている。メタリングオイルポンプ56は、例えば電磁作動式のオイルポンプであり、オイルギャラリ(図示せず)から取り出したオイルを計量して所要量のオイルをオイルノズル(図示せず)からロータハウジング16の内周面に噴射するようになっている。
さらにロータリエンジン14には、エキセントリックシャフト22の回転角度を検出するエキセントリックシャフト角センサ58が取り付けられている。エキセントリックシャフト角センサ58が検出した回転角度からエキセントリックシャフト22の回転数、つまりロータリエンジン14のエンジン回転数を検出することができる。したがって、エキセントリックシャフト角センサ58は本発明における「回転数センサ」に相当する。また、吸気通路32に、吸気通路32内の吸入空気圧を検出する吸気圧センサ60と、吸入空気温度を検出する吸気温度センサ62が設けられている。さらに、図2には示していないが、エンジン冷却水の温度(水温)を検出する水温センサ64も、ロータリエンジン14に設けられている。
エンジンシステム12は、ロータリエンジン14を制御する演算装置及び制御装置としてのECM(Electronic Control Module)70を備えている。ECM70は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラである。ECM70は、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)72、各種プログラムを記憶する記憶部(ROM、RAMなど)74などを備えたコンピュータにより構成される。なお、ECM70は、本発明における「制御器」の一例に相当する。
ECM70は、上述した各種センサ38、40、52、58、60、62、64や後述するPCM(Powertrain Control Module)84から入力された信号に基づき、ロータリエンジン14の点火プラグ26、インジェクタ54、メタリングオイルポンプ56、スロットルバルブ36、EGRバルブ50などの各デバイスの制御量を演算し、演算した制御量に対応する電気信号をそれらのデバイスに出力する。PCM84は、電動モータ6、スタータジェネレータ10、エンジンシステム12、減速機2、バッテリ8などを含むシリーズハイブリッド車両1の動力系統全体の制御を行うコントローラであり、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)、各種プログラムを記憶する記憶部(ROM、RAMなど)などを備えたコンピュータにより構成される。なお、PCM84は、本発明における「制御器」の一例に相当する。
<エンジン制御の概要>
次に、図3を参照して、本実施形態によるシリーズハイブリッド車両1におけるエンジン制御の概要を説明する。図3は本実施形態によるシリーズハイブリッド車両の制御ブロック図である。
シリーズハイブリッド車両1のバッテリ8には、バッテリ8の出力電圧を検出する電圧センサ76と、バッテリ8の出力電流を検出する電流センサ78が設けられている。これらの電圧センサ76及び電流センサ78は、それぞれの検出値に対応する電気信号をBCM(Battery Control Module)80に出力する。BCM80は、主にバッテリ8の充放電制御を行うコントローラであり、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)、各種プログラムを記憶する記憶部(ROM、RAMなど)などを備えたコンピュータにより構成される。
BCM80は、電圧センサ76及び電流センサ78から入力されたバッテリ8の電圧値及び電流値から、バッテリ8のSOC(State of Charge)を推定し、PCM84に出力する。PCM84は、BCM80から入力されたSOCと、シリーズハイブリッド車両1のアクセルペダル(図示せず)の開度を検出するアクセル開度センサ82から入力されたアクセル開度とに基づき、所望のエンジン出力を得るために必要なロータリエンジン14の回転数(要求エンジン回転数)及び負荷(要求エンジン負荷)を算出し、ECM70に出力する。
また、ロータリエンジン14を始動させる場合、PCM84は、ECM70から入力されたロータリエンジン14の水温に基づき、スタータジェネレータ10によりロータリエンジン14のエキセントリックシャフト22を回転させる際の回転数(要求回転数)及び回転数の上昇速度(回転上昇率)を算出し、SGCM(Starter Generator Control Module)86に出力する。SGCM86は、主にスタータジェネレータ10の制御を行うコントローラであり、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)、各種プログラムを記憶する記憶部(ROM、RAMなど)などを備えたコンピュータにより構成される。なお、SGCM86は、本発明における「制御器」の一例に相当する。
ECM70は、PCM84から入力された要求エンジン回転数及び要求エンジン負荷に基づき、ロータリエンジン14のメタリングオイルポンプ56、インジェクタ54、点火プラグ26、EGRバルブ50、スロットルバルブ36などの各デバイスの制御量を演算し、演算した制御量に対応する電気信号をそれらのデバイスに出力する。また、SGCM86は、ロータリエンジン14の始動時には、PCM84から入力された要求回転数及び回転上昇率に基づき、スタータジェネレータ10の制御量を演算し、演算した制御量に対応する電気信号をスタータジェネレータ10に出力する。
<エンジン制御処理>
次に、図4を参照して、本実施形態によるエンジン制御処理の流れについて説明する。図4は本実施形態によるエンジン制御処理のフローチャートである。
図4に示すエンジン制御処理は、ロータリエンジン14が停止している場合に、PCM84、ECM70及びSGCM86によって、所定周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS101において、PCM84は、ECM70、BCM80、アクセル開度センサ82等からシリーズハイブリッド車両1の状態に関する各種情報を取得する。具体的には、例えば、PCM84は、BCM80から入力されたSOC、アクセル開度センサ82から入力されたアクセル開度、ECM70から入力されたロータリエンジン14の水温の他、車速、モータ回転数などを取得する。以降、エンジン制御処理の実行中、PCM84はこれらの情報を継続して取得する。
次いで、ステップS102において、PCM84は、ステップS101において取得した情報に基づき、電動モータ6により出力させるべきトルク(要求モータトルク)を算出する。具体的には、PCM84は、アクセル開度と要求モータトルクとの関係を規定したマップや計算式(予め設定され記憶されている)を参照し、ステップS101で取得したアクセル開度に対応する要求モータトルクを算出する。
次に、ステップS103において、PCM84は、ステップS101において取得したSOCが所定の閾値(例えばSOCの許容下限値であり、予め設定され記憶されている)以下か否かを判定する。その結果、SOCが閾値以下ではない場合(ステップS103:No)、つまりSOCが閾値より大きく、スタータジェネレータ10によりバッテリ8の充電を行うためにロータリエンジン14を始動する必要がない場合、ステップS104に進む。
ステップS104において、PCM84は、ステップS102で算出した要求モータトルクが、電動モータ6が出力可能なトルク(出力可能モータトルク)より大きいか否かを判定する。出力可能モータトルクは、例えばバッテリ8から供給される電力のみによって電動モータ6が出力可能なトルクであり、SOCやモータ回転数と出力可能モータトルクとの関係を規定したマップや計算式が予め設定され記憶されている。PCM84は、それらのマップや計算式を参照し、ステップS101で取得したSOCやモータ回転数などに対応する出力可能モータトルクを取得して、要求モータトルクと比較する。
ステップS104の判定の結果、要求モータトルクが出力可能モータトルクより大きくない場合(ステップS104:No)、つまり要求モータトルクが出力可能モータトルク以下であり、スタータジェネレータ10から電動モータ6に電力を供給するためにロータリエンジン14を始動する必要がない場合、PCM84は、ロータリエンジン14を始動することなくエンジン制御処理を終了する。
一方、ステップS103の判定の結果、SOCが閾値以下である場合(ステップS103:Yes)、つまりスタータジェネレータ10によりバッテリ8の充電を行うためにロータリエンジン14を始動する必要がある場合、又は、ステップS104の判定の結果、要求モータトルクが出力可能モータトルクより大きい場合(ステップS104:Yes)、つまりスタータジェネレータ10から電動モータ6に電力を供給するためにロータリエンジン14を始動する必要がある場合、ステップS105に進み、PCM84、ECM70及びSGCM86はエンジン始動制御を実行してロータリエンジン14を始動する。このエンジン始動制御の詳細は後述する。
ステップS105のエンジン始動制御によりロータリエンジン14が始動した後、ステップS106において、PCM84及びECM70は燃焼制御を実行して所要の出力でロータリエンジン14を運転させる。この燃焼制御の詳細は後述する。
次いで、ステップS107において、PCM84は、直前にBCM80から取得したSOCが目標値(例えばSOCの許容上限値であり、予め設定され記憶されている)以上か否かを判定する。その結果、SOCが目標値以上ではない場合(ステップS107:No)、つまりSOCが目標値より小さく、スタータジェネレータ10によりバッテリ8の充電を継続する必要がある場合、ステップS106に戻り、ロータリエンジン14の燃焼制御を継続する。
一方、ステップS107の判定の結果、SOCが目標値以上である場合(ステップS107:Yes)、つまりスタータジェネレータ10によりバッテリ8の充電を行う必要がない場合、ステップS108に進む。
ステップS108において、PCM84は、要求モータトルクが出力可能モータトルク以下か否かを判定する。その結果、要求モータトルクが出力可能モータトルク以下ではない場合(ステップS108:No)、つまり要求モータトルクが出力可能モータトルクより大きく、スタータジェネレータ10から電動モータ6への電力供給を継続する必要がある場合、ステップS106に戻り、ロータリエンジン14の燃焼制御を継続する。
一方、ステップS108の判定の結果、要求モータトルクが出力可能モータトルク以下である場合(ステップS108:Yes)、つまりスタータジェネレータ10から電動モータ6へ電力供給する必要がない場合、ステップS109に進み、PCM84はロータリエンジン14を停止させ、エンジン制御処理を終了する。
<エンジン始動制御処理>
次に、図5から図8を参照して、本実施形態によるエンジン始動制御の流れについて説明する。図5は本実施形態によるエンジン始動制御処理のフローチャート、図6はエンジン始動制御における水温と要求回転数との関係を示すマップ、図7はエンジン始動制御における水温と回転上昇率との関係を示すマップ、図8はエンジン始動制御における水温と始動時オイル導入量との関係を示すマップである。
図5に示すように、エンジン始動制御が開始されると、まずステップS201において、PCM84は、エンジン制御処理のステップS101で取得したロータリエンジン14の水温に基づき、スタータジェネレータ10によりロータリエンジン14のエキセントリックシャフト22を回転させ点火プラグ26による点火を開始する際の回転数(要求回転数)要求回転数を設定し、SGCM86に出力する。具体的には、PCM84は、例えば図6に示すような、水温と要求回転数との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、ステップS101で取得した水温に対応する要求回転数を設定する。図6に例示したマップでは、横軸が水温を表し、縦軸が要求回転数を表している。この図6のマップによれば、水温がTr(℃)未満の場合には要求回転数がRr1(rpm)に設定され、水温がTr(℃)以上の場合には要求回転数がRr1より大きいRr2(rpm)に設定される。水温Tr及び要求回転数Rr1、Rr2は、例えばTr=-5℃、Rr1=1200rpm、Rr2=2000rpmとすることができるが、ロータリエンジン14に応じて他の適切な値を設定することができる。
このように、エンジン始動時の水温が相対的に低いとき、即ちロータハウジング16とロータ20との間のクリアランスが大きく、オイルを介在させ難い冷間始動時には、水温が相対的に高いときに比べて要求回転数を低く設定することによって、ロータリエンジン14の点火を開始するまで作動室24内の気流が弱まるので、導入されたオイルがロータリエンジン14の点火開始前に気流に吹き飛ばされることを防止することができる。
次いで、ステップS202において、PCM84は、エンジン制御処理のステップS101で取得したロータリエンジン14の水温に基づき、スタータジェネレータ10によりロータリエンジン14のエキセントリックシャフト22を回転させる際の回転数の上昇速度(回転上昇率)を設定し、SGCM86に出力する。具体的には、PCM84は、例えば図7に示すような、水温と回転上昇率との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、ステップS101で取得した水温に対応する回転上昇率を設定する。図7に例示したマップでは、横軸が水温を表し、縦軸が回転上昇率を表している。この図7のマップによれば、水温がTi1(℃)未満の場合には回転上昇率がIr1(rpm/s)に設定され、水温がTi1(℃)以上Ti2(℃)未満の場合には回転上昇率がIr2(rpm/s)に設定され、水温がTi2(℃)以上Ti3(℃)未満の場合には回転上昇率がIr3(rpm/s)に設定され、水温がTi3(℃)以上Ti4(℃)未満の場合には回転上昇率がIr4(rpm/s)に設定され、水温がTi4(℃)以上の場合には回転上昇率がIr5(rpm/s)に設定される。ここで、回転上昇率の大小関係は、Ir1<Ir2<Ir3<Ir4<Ir5である。水温及び回転上昇率は、例えば、水温Ti1=-5℃、Ti2=5℃、Ti3=15℃、Ti4=25℃、及び、回転上昇率Ir1=1500rpm/s、Ir2=2100rpm/s、Ir3=2600rpm/s、Ir4=3200rpm/s、Ir5=3600rpm/sとすることができるが、ロータリエンジン14に応じて他の適切な値を設定することができる。
このように、エンジン始動時の水温が相対的に低いとき、即ちロータハウジング16とロータ20との間のクリアランスが大きく、オイルを介在させ難い冷間始動時には、水温が相対的に高いときに比べて回転上昇率を低く設定することによって、作動室24内の気流の強さの上昇速度が緩やかになるので、ロータハウジング16内に導入されたオイルがロータハウジング16とロータ20との間に十分行き渡る前に気流に吹き飛ばされることを防止することができる。
次いで、ステップS203において、ECM70は、エンジン制御処理のステップS101で取得したロータリエンジン14の水温に基づき、ロータリエンジン14の始動時にメタリングオイルポンプ56によりロータハウジング16内に導入するオイル量(始動時オイル導入量)を設定する。具体的には、ECM70は、例えば図8に示すような、水温と始動時オイル導入量との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、ステップS101で取得した水温に対応する始動時オイル導入量を設定する。図8に例示したマップでは、横軸が水温を表し、縦軸が始動時オイル導入量を表している。この図8のマップによれば、水温が高い程、始動時オイル導入量(l/min)が少なくなっている。
このように、エンジン始動時の水温が相対的に低いとき、即ちロータハウジング16とロータ20との間のクリアランスが大きく、オイルを介在させ難い冷間始動時には、水温が相対的に高いときに比べ始動時オイル導入量を多く設定することによって、ロータハウジング16とロータ20との間にオイルを確実に行き渡らせることができる。
次いで、ステップS204において、ECM70及びSGCM86はロータリエンジン14を始動する。具体的には、SGCM86は、ステップS201及びS202においてPCM84から入力された要求回転数及び回転上昇率に従って、スタータジェネレータ10を駆動させ、ロータリエンジン14のエキセントリックシャフト22を回転させる。また、ECM70は、ステップS203において設定した始動時オイル導入量のオイルをメタリングオイルポンプ56によりロータハウジング16内に導入させると共に、エキセントリックシャフト22の回転数が要求回転数に達すると、インジェクタ54による燃料噴射及び点火プラグ26による点火を開始する。ステップS204においてロータリエンジン14を始動させた後、PCM84はエンジン始動制御を終了し、図4に示したエンジン制御に戻る。
<燃焼制御処理>
次に、図9から図17を参照して、本実施形態によるロータリエンジンの燃焼制御の流れについて説明する。図9は本実施形態による燃焼制御処理のフローチャート、図10は燃焼制御におけるエンジン回転数に応じた燃料噴射時期のパターンを例示するチャート、図11は燃焼制御におけるエンジン回転数と燃料噴射回数との関係を示すテーブル、図12は燃焼制御におけるエンジン回転数と燃料噴射終了時期との関係を示すマップ、図13は燃焼制御におけるエンジン負荷と燃料噴射量の分割比との関係を示すマップ、図14はロータリエンジンにおけるエキセントリックシャフト角と熱発生率との関係を示すグラフ、図15はロータリエンジンにおけるEGR率と2段目燃焼の割合との関係を示すグラフ、図16は燃焼制御におけるエンジン負荷とEGR率との関係を示すマップ、図17は燃焼制御におけるエンジン回転数とEGR率との関係を示すマップである。
図9に示すように、燃焼制御が開始されると、まずステップS301において、PCM84は、BCM80から入力されたSOCと、アクセル開度センサ82から入力されたアクセル開度とに基づき、所望の電力をスタータジェネレータ10に発電させるために必要なロータハウジング16の出力(要求エンジン出力)を算出する。具体的には、PCM84は、例えばSOC、アクセル開度及び車速と要求エンジン出力との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、直前に取得したSOC、アクセル開度及び車速に対応する要求エンジン出力を算出する。上記マップにおいては、例えば、車速が高い程、あるいはアクセル開度が大きい程、要求エンジン出力が大きくなるように設定されている。
次いで、ステップS302において、PCM84は、ステップS301で算出した要求エンジン出力を得るために必要なロータリエンジン14の回転数(要求エンジン回転数)及び負荷(要求エンジン負荷)を算出し、ECM70に出力する。具体的には、PCM84は、要求エンジン出力と要求エンジン回転数及び要求エンジン負荷との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、ステップS301で算出した要求エンジン出力に対応する要求エンジン回転数及び要求エンジン負荷を算出する。上記マップにおいては、例えば、要求エンジン負荷はほぼ一定とし、要求エンジン出力が大きい程、要求エンジン回転数が高くなるように設定されている。
次いで、ステップS303において、ECM70は、PCM84から入力された要求エンジン回転数及び要求エンジン負荷でロータリエンジン14を運転するために、各作動室24に対して1回の燃焼サイクルでインジェクタ54に燃料を噴射させる回数(燃料噴射回数)、燃料を噴射させる時期(噴射時期)、及び噴射させる燃料の量(噴射量)を設定する。
図10には、エキセントリックシャフト角センサ58により検出されたエンジン回転数に応じてECM70により設定される燃料噴射時期のパターンが例示されている。この図10において、横軸はエキセントリックシャフト角(EA)により表される噴射時期を示し、上段はエンジン回転数Rが第1回転数R1より大きい場合、中段はエンジン回転数Rが第1回転数R1以下且つ第2回転数R2より大きい場合、下段はエンジン回転数Rが第2回転数R2以下の場合を示している。この図10に例示するように、ECM70は、エンジン回転数Rが相対的に低いほど、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける燃料噴射回数が多く、且つ、最後の燃料噴射終了時期が遅角されるように、インジェクタ54を制御する。
具体的には、ECM70は、例えば図11に示すような、エンジン回転数と燃料噴射回数との関係を規定したテーブル(予め設定され記憶されている)を参照し、エキセントリックシャフト角センサ58により検出されたエンジン回転数に対応する燃料噴射回数を設定する。図11に示したテーブルでは、エンジン回転数Rが第1回転数R1(例えば4000rpm)より高い場合(R1<R)、燃料噴射回数は1回に設定される。また、エンジン回転数Rが第1回転数R1以下且つ第2回転数R2(例えば3000rpm)より高い場合(R2<R≦R1)、燃料噴射回数は2回に設定される。また、エンジン回転数Rが第2回転数R2以下である場合(R≦R2)、燃料噴射回数は3回に設定される。つまり、ECM70は、エンジン回転数Rが第1回転数R1以下である場合、エンジン回転数Rが第1回転数R1より高い場合よりも、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける燃料噴射回数が多くなるように、また、エンジン回転数Rが第1回転数R1より低い第2回転数R2以下である場合、エンジン回転数Rが第2回転数R2より高い場合よりも、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける燃料噴射回数が多くなるように、燃料噴射回数を設定する。
このように、エンジン回転数Rが相対的に低いほど、即ち作動室24内の気流が弱いときほど、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける燃料噴射回数を多くすることによって、作動室24内の気流が弱くてもリーディング側からトレーリング側まで均等に燃料を分布させることができ、均質な混合気を得る事ができる。
また、ECM70は、例えば図12に示すような、エンジン回転数と燃料噴射終了時期との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、エキセントリックシャフト角センサ58により検出されたエンジン回転数に対応する燃料噴射終了時期を設定する。図12に示したマップでは、横軸がエンジン回転数、縦軸が燃料噴射終了時期を表しており、燃料の1回目の噴射終了時期が実線、2回目の噴射終了時期が破線、3回目の噴射終了時期が一点鎖線により表されている。
上述したように、エンジン回転数Rが第1回転数R1より高い場合には、燃料噴射回数は1回に設定されるので、1回目の噴射終了時期が、1回の燃焼サイクルにおける最後の燃料噴射終了時期になる。また、エンジン回転数Rが第1回転数R1以下且つ第2回転数R2より高い場合には、燃料噴射回数は2回に設定されるので、2回目の噴射終了時期が、1回の燃焼サイクルにおける最後の燃料噴射終了時期になる。また、エンジン回転数Rが第2回転数R2以下である場合、燃料噴射回数は3回に設定されるので、3回目の噴射終了時期が、1回の燃焼サイクルにおける最後の燃料噴射終了時期になる。図12に示したマップでは、エンジン回転数Rが第1回転数R1以下の場合(燃料噴射回数が2回又は3回の場合)には、エンジン回転数Rが第1回転数R1より高い場合(燃料噴射回数が1回の場合)よりも、最後の燃料噴射終了時期(2回目又は3回目の燃料噴射終了時期)が遅角される。また、エンジン回転数Rが第2回転数R2以下の場合(燃料噴射回数が3回の場合)には、エンジン回転数Rが第2回転数R2より高い場合(燃料噴射回数が2回の場合)よりも、最後の燃料噴射終了時期(3回目の燃料噴射終了時期)が遅角される。つまり、ECM70は、エンジン回転数Rが第1回転数R1以下である場合、エンジン回転数Rが第1回転数R1より高い場合よりも、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける最後の燃料噴射終了時期が遅角されるように、また、エンジン回転数Rが第1回転数R1より低い第2回転数R2以下である場合、エンジン回転数Rが第2回転数R2より高い場合よりも、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける最後の燃料噴射終了時期が遅角されるように、燃料噴射量を設定する。
このように、エンジン回転数Rが相対的に低いほど、即ち作動室24内の気流が弱いときほど、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける最後の燃料噴射終了時期を遅角させることによって、作動室24内の気流が弱くてもリーディング側からトレーリング側まで均等に燃料を分布させることができ、均質な混合気を得る事ができる。
また、ECM70は、各作動室24の燃焼サイクル1回当たりの燃料噴射量(総燃料噴射量)と、エンジン負荷(充填効率)との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、ステップS302でPCM84から入力された要求エンジン負荷に対応する総燃料噴射量を取得する。更に、ECM70は、例えば図13に示すような、エンジン負荷(充填効率)と燃料噴射量の分割比との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、要求エンジン負荷に対応する分割比を取得する。そして、その取得した分割比により総燃料噴射量を分割することにより、噴射毎の燃料噴射量を設定する。図13は、エンジン回転数Rが第2回転数R2以下の場合(燃料噴射回数が3回の場合)の燃料噴射量の分割比を規定したマップであり、横軸がエンジン負荷、縦軸が燃料噴射量の分割比を表している。この図13では、1回目の燃料噴射の分割比が実線、2回目の燃料噴射の分割比が破線、3回目の燃料噴射の分割比が一点鎖線により表されている。図13に示したマップでは、エンジン負荷が高い程、1回目の燃料噴射の噴射量の割合が大きくなり、2回目及び3回目の噴射量の割合が小さくなるように、分割比が設定されている。また、図示していないが、エンジン回転数Rが第2回転数R2より高く第1回転数R1以下の場合(燃料噴射回数が2回の場合)の燃料噴射量の分割比を規定したマップでは、エンジン負荷が高い程、1回目の燃料噴射の噴射量の割合が大きくなり、2回目の噴射量の割合が小さくなるように、分割比が設定されている。つまり、ECM70は、エンジン回転数Rが第1回転数R1以下である場合、同一のエンジン回転数においてエンジン負荷が高いほど、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける1回目の燃料噴射量の割合が大きくなるように、燃料噴射量を設定する。
同一回転数の場合にはエンジン負荷が高いほど、作動室24に流入する新気量が多くリーディング側に向かう気流が強くなるので、1回目の燃料噴射量の割合を大きくしてリーディング側に噴射される燃料を多くすることによって、リーディング側に流動する新気と燃料との混合を促進して均質な混合気を得る事ができる。
次いで、ステップS304において、ECM70は、エキセントリックシャフト角センサ58により検出されたエンジン回転数及びPCM84から入力された要求エンジン負荷に基づき、EGRバルブ50の開度を設定する。
ロータリエンジン14においては、ロータ20の回転に起因して、燃焼行程において作動室24内をトレーリング側(ロータ回転方向の後方側)からリーディング側(ロータ回転方向の前方側)へ流れるスキッシュ流が存在する。このスキッシュ流のため、点火プラグ26の点火によって生じた火炎は、点火プラグ26よりもリーディング側には伝播し易いがトレーリング側には伝播し難い。したがって、点火プラグ26の点火時に点火プラグ26よりもトレーリング側に存在する混合気は、ロータ20の回転に伴って点火プラグ26よりもリーディング側に移動するまで燃焼が開始せず、これによって燃焼行程における熱発生が2段階になるという特性がある。即ち、図14のグラフに例示するように、ロータリエンジン14の燃焼行程では、まず、作動室24内において点火プラグ26の近傍から作動室24のリーディング側の端部までの範囲にある混合気の燃焼により主燃焼(i)が発生し、次いで、作動室24内において点火プラグ26よりもトレーリング側にある混合気の燃焼により2段目燃焼(ii)が発生する。
本発明者らは、研究の結果、ロータリエンジンにおいてEGR装置により排気ガスを吸気に導入すると、燃焼行程の熱発生における2段目燃焼の割合がEGR率によって変化することを見出した。図15のグラフには、EGR率と燃焼行程の熱発生における2段目燃焼の割合との関係が示されている。この図15に示すように、ロータリエンジンにおいてEGR装置により排気ガスを吸気に導入すると、EGR率が高い程、燃焼行程の熱発生における2段目燃焼の割合が増大する。本実施形態の燃焼制御では、このEGR率と2段目燃焼の割合との関係を利用して、エンジン回転数及びエンジン負荷に応じてEGR率を設定することにより、ロータリエンジン14の冷却損失低減と排気損失低減との両立を図っている。
具体的には、ECM84は、例えば図16に示すような、エンジン負荷(充填効率)とEGR率との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、ステップS302でPCM84から入力された要求エンジン負荷に対応するEGR率を取得する。図16のマップは、エンジン回転数Rが同一の場合のエンジン負荷とEGR率との関係を例示しており、横軸がエンジン負荷、縦軸がEGR率を表している。この図16のマップによれば、エンジン負荷が高い程、EGR率が高く、且つ、EGR率の増加率が小さくなっている。
エンジン負荷が相対的に高い場合には、作動室24のリーディング側で発生する主燃焼による圧力上昇がより急峻になるため、冷却損失が相対的に増大する傾向がある。そこで、上述したように、エンジン負荷が相対的に高いときには、エンジン負荷が相対的に低いときに比べて、EGR率を高く設定して2段目燃焼の割合を増大させることにより、主燃焼による圧力上昇を緩やかにして冷却損失を低減することができる。また、エンジン負荷が高い程、エンジン負荷の上昇に応じたEGR率の上昇率を小さくすることにより、燃焼時期の遅い2段目燃焼に起因する排気損失が過大になることが防止される。
また、エンジン負荷が相対的に低い場合には、主燃焼による冷却損失が小さくなるので、主燃焼から遅れて2段目燃焼が発生することによる排気損失の影響が相対的に大きくなる。そこで、エンジン負荷が相対的に低いときには、エンジン負荷が相対的に高いときに比べて、EGR率を低く設定して2段目燃焼の割合を減少させることにより、2段目燃焼に起因する排気損失を低減することができる。
また、ECM84は、例えば図17に示すような、エンジン回転数とEGR率との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、エキセントリックシャフト角センサ58により検出されたエンジン回転数に対応するEGR率を取得する。図17のマップは、エンジン負荷が同一の場合のエンジン回転数とEGR率との関係を例示しており、横軸がエンジン回転数、縦軸がEGR率を表している。この図17のマップによれば、エンジン回転数が高い程、EGR率が低く、且つ、EGR率の減少率が小さくなっている。
エンジン回転数が相対的に低い場合には、燃焼行程において作動室24内をトレーリング側からリーディング側へ流れるスキッシュ流が相対的に弱く、火炎伝播が遅くなるので、作動室24のトレーリング側に滞留している未燃混合気が、主燃焼の火炎が伝播するよりも早く自己着火することによりノッキングが発生し易くなる。そこで、エンジン回転数が相対的に低いときには、エンジン回転数が相対的に高いときに比べて、EGR率を高く設定して2段目燃焼の割合を増大させる、つまり主燃焼の割合を減少させることにより、主燃焼による圧力上昇を緩やかにして、ノッキングの発生を抑制することができる。一方、エンジン回転数が相対的に高くノッキングが発生し難いときには、EGR率を低く設定して2段目燃焼の割合を減少させることにより、燃焼時期の遅い2段目燃焼に起因する排気損失を低減することができる。
ECM70は、上述したとおりエンジン回転数及び要求エンジン負荷に対応するEGR率を取得し、EGR率とEGRバルブ50の開度との関係を規定したマップや計算式(予め設定され記憶されている)に基づき、取得したEGR率に対応するEGRバルブ50の開度を設定する。
次いで、ステップS305において、ECM70は、エキセントリックシャフト角センサ58により検出されたエンジン回転数及びPCM84から入力された要求エンジン負荷に基づき、点火プラグ26による点火時期を設定する。具体的には、ECM70は、点火プラグ26による点火時期と、エンジン回転数及びエンジン負荷(充填効率)との関係を規定したマップ(予め設定され記憶されている)を参照し、エキセントリックシャフト角センサ58により検出されたエンジン回転数及びステップS302でPCM84から入力された要求エンジン負荷に対応する点火時期を設定する。
次いで、ステップS306において、ステップS303で設定した燃料噴射回数、燃料噴射時期、燃料噴射量、ステップS304で設定したEGRバルブ開度、ステップS305で設定した点火時期が実現されるように、ロータリエンジン14のインジェクタ54、点火プラグ26、EGRバルブ50、スロットルバルブ36などの各種デバイスの制御量を演算し、演算した制御量に対応する電気信号をそれらのデバイスに出力する。この各種デバイスの制御は、PCM84から入力された要求エンジン回転数及び要求エンジン負荷でロータリエンジン14が運転されるまで継続される。ステップS306の後、PCM84は燃焼制御を終了し、図4に示したエンジン制御に戻る。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述した内容に限定されるものではなく、本発明によって、記載されていない課題を解決したり、記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
上述した実施形態では、ロータリエンジン14がシリーズハイブリッド車両1に搭載される場合を例に説明したが、本実施形態の燃焼制御は、パラレルハイブリッド車両やスプリットハイブリッド車両、非ハイブリッド車両に搭載されたロータリエンジンにも適用することができる。
<作用及び効果>
次に、本実施形態のシリーズハイブリッド車両1及びエンジンシステム12の作用効果について説明する。
本実施形態のECM70は、同一のエンジン回転数において、エンジン負荷が相対的に高いときには、エンジン負荷が相対的に低いときに比べて、作動室24に導入される吸気のEGR率が高くなるように、EGRバルブ50を制御する。これにより、エンジン負荷が相対的に高いときには、エンジン負荷が相対的に低いときに比べて、2段目燃焼の割合を増大させ、主燃焼による圧力上昇を緩やかにして冷却損失を低減することができる。
また、ECM70は、エンジン回転数Rが第1回転数R1以下である場合、エンジン回転数Rが第1回転数R1より高い場合よりも、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける燃料噴射回数が多く且つ最後の燃料噴射終了時期が遅角されるようにインジェクタ54を制御する。これにより、エンジン回転数Rが相対的に低いとき、即ち作動室24内の気流が相対的に弱いときには、作動室24の各々の1回の燃焼サイクルにおける燃料噴射回数を多くすると共に最後の燃料噴射終了時期を遅角させることによって、作動室24内の気流が弱くてもリーディング側からトレーリング側まで均等に燃料を分布させて均質な混合気を得ることができ、EGR率に応じた主燃焼と2段目燃焼との割合の調整をより正確に行うことができる。
また、ECM70は、同一のエンジン回転数において、エンジン負荷が高い程、EGR率が高くなり且つEGR率の上昇率が小さくなるように、EGRバルブ50を制御する。これにより、エンジン負荷が高くなる程、EGR率の上昇が抑制されるので、燃焼時期の遅い2段目燃焼に起因する排気損失が過大になることが防止される。
特に、ロータリエンジン14の駆動力をスタータジェネレータ10の駆動にのみ使用するシリーズハイブリッド車両1においては、熱効率の高い領域、つまりエンジン負荷が相対的に高い領域でロータリエンジン14が運転される傾向にある。したがって、エンジン負荷が相対的に高いときに冷却損失を低減する事ができる本実施形態のエンジンシステム12は、シリーズハイブリッド車両1に好適である。
1 シリーズハイブリッド車両
2 減速機
4 駆動輪
6 電動モータ
8 バッテリ
10 スタータジェネレータ
12 エンジンシステム
14 ロータリエンジン
16 ロータハウジング
18 サイドハウジング
20 ロータ
22 エキセントリックシャフト
24 作動室
26 点火プラグ
28 吸気ポート
30 排気ポート
32 吸気通路
34 排気通路
36 スロットルバルブ
38 スロットル開度センサ
40 エアフローセンサ
42 エアクリーナ
44 EGR装置
46 EGR通路
48 EGRクーラ
50 EGRバルブ
52 EGRバルブ開度センサ
54 インジェクタ
56 メタリングオイルポンプ
58 エキセントリックシャフト角センサ
60 吸気圧センサ
62 吸気温度センサ
64 水温センサ
70 ECM
72 プロセッサ
74 記憶部
76 電圧センサ
78 電流センサ
80 BCM
82 アクセル開度センサ
84 PCM
86 SGCM

Claims (4)

  1. ロータハウジングと、サイドハウジングと、これらのロータハウジング及びサイドハウジングに囲まれたロータ収容室に収容され、3つの作動室を形成するロータと、前記作動室に空気を導く吸気通路と、を有するロータリエンジンと、
    前記ロータリエンジンの排気ガスを前記吸気通路に還流するEGR通路と、
    前記吸気通路に還流される前記排気ガスの量を調整するEGRバルブと、
    前記EGRバルブの開度を制御するように構成された制御器と、を備え、
    前記制御器は、同一のエンジン回転数において、前記ロータリエンジンの負荷が相対的に高いときには、前記ロータリエンジンの負荷が相対的に低いときに比べて、前記作動室に導入される吸気のEGR率が高くなるように、前記EGRバルブを制御する、
    エンジンシステム。
  2. 前記ロータリエンジンのエンジン回転数を検出する回転数センサを備え、
    前記ロータリエンジンは、前記作動室の1つに燃料を噴射するインジェクタを備え、
    前記制御器は、前記インジェクタによる燃料噴射を制御するように構成され、前記エンジン回転数が第1回転数以下である場合、前記エンジン回転数が前記第1回転数より高い場合よりも、前記作動室の各々の1回の燃焼サイクルにおける燃料噴射回数が多く且つ最後の燃料噴射の噴射終了時期が遅角されるように前記インジェクタを制御する、
    請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 前記制御器は、同一のエンジン回転数において、前記ロータリエンジンの負荷が高い程、前記EGR率が高くなり且つ当該EGR率の上昇率が小さくなるように、前記EGRバルブを制御する、
    請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
  4. 駆動力源である電動モータと、前記電動モータに電力を供給可能な発電機と、を備えたシリーズハイブリッド車両であって、
    請求項1又は2に記載のエンジンシステムを備え、
    前記ロータリエンジンは、前記発電機を駆動する、
    シリーズハイブリッド車両。
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