JP2004036518A - 圧縮自己着火式内燃機関の制御装置 - Google Patents

圧縮自己着火式内燃機関の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】圧縮自己着火燃焼と火花点火燃焼とを両立させた内燃機関を用い、高効率でかつ排出ガスのクリーンなハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】要求車軸出力が小さいとき内燃機関の燃焼状態を圧縮自己着火燃焼に制御し、要求車軸出力が大きいとき火花点火燃焼に制御すると共に、燃焼状態に応じて実筒内圧力及び実筒内温度を圧縮自己着火燃焼に適した筒内圧力及び筒内温度と火花点火燃焼に適した筒内圧力及び筒内温度とに制御し、燃焼状態が圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼に切替るとき、筒内への燃料供給を停止して圧縮自己着火燃焼を停止し、実筒内圧力と実筒内温度とが火花点火燃焼に適した筒内圧力と筒内温度に変化してから、燃料供給及び火花点火を開始して火花点火燃焼を開始する。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮自己着火式内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転状態に応じて圧縮自己着火燃焼と火花点火燃焼とを選択的に切替可能な圧縮自己着火式内燃機関の制御装置として、例えば特開2000−220458号に開示の技術が知られている。
【0003】
この従来技術では、圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へと切替えるとき、吸入空気量を減少させつつ、圧縮自己着火の着火時期より遅い時期で火花点火を開始し、その後、点火時期を徐々に進角することで圧縮自己着火する前で火花点火燃焼するようになって火花点火燃焼へと円滑に移行させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、圧縮自己着火燃焼と火花点火燃焼とを一つの内燃機関で両立させる場合、圧縮自己着火燃焼と火花点火燃焼とが安定的に成立する運転領域は図4に示したように限定される。これは、圧縮自己着火燃焼を失火させずに安定的に実現するには高い筒内圧力と筒内温度とが必要である一方、このような高い筒内圧力と筒内温度とで火花点火燃焼を実施するとノッキングが発生するためである。
【0005】
しかしながら、上記従来技術のように、吸入空気量を制御して筒内圧力及び筒内温度とを制御しつつ圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切替えても、実吸入空気量は目標吸入空気量に対して遅れを伴うため、燃焼させたままで切替えようとすると、内燃機関の運転点が圧縮自己着火燃焼も火花点火燃焼も成立しない領域を必ず通過することとなり、切替時に失火したりノッキングが発生したりするといった問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、燃焼状態が圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼に切替るとき、筒内への燃料供給を停止して圧縮自己着火燃焼を停止し、実筒内圧力と実筒内温度とが火花点火燃焼に適した筒内圧力と筒内温度に変化してから、燃料供給及び火花点火を開始して火花点火燃焼を開始する。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り換えを行う際に懸念されるノッキング現象を起こすことなく火花点火燃焼へ移行することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明に係る圧縮自己着火式エンジンをシリーズハイブリッド車両に適用した第1の実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【0010】
本実施例形態において圧縮自己着火式エンジン1は、運転条件に応じて圧縮自己着火燃焼と火花点火燃焼とを切換可能となっている。
【0011】
図中のハイブリッド車両は、圧縮自己着火式エンジン1(以下、エンジン1と略す)、第1回転電機としての第1の発電電動機2、第2回転電機としての第2の発電電動機3、駆動伝達装置4、バッテリー5、インバータ6を備えている。第1の発電電動機2は、エンジン1の出力軸7に連結され、第2の発電電動機3は、駆動輪の車軸8に連結されている。
【0012】
図2は本発明に係るエンジン1のシステム構成図である。図中のエンジン本体20は、吸気ポート21、排気ポート22、ピストン23、吸気バルブ24、排気バルブ25、クランク角センサ26、燃料噴射装置27、点火プラグ28、筒内状態制御手段としてのスロットルバルブ29を備えている。
【0013】
この圧縮自己着火エンジン1を制御する電子制御装置(以下、ECUと略す)11は、運転状態に基づいて車軸8に要求される要求車軸出力を設定する要求車軸出力設定手段としての要求車軸出力制御部17と、第2の発電電動機3の出力を制御して車軸8の出力を上記要求車軸出力にする第2回転電機制御手段としての第2回転電機制御部18と、上記要求車軸出力が小さいときエンジン1の燃焼状態を圧縮自己着火燃焼に制御する自己着火燃焼制御手段としての自己着火燃焼制御部14と、上記要求車軸出力が大きいとき火花点火燃焼に制御する火花点火燃焼制御手段としての火花点火燃焼制御部13と、エンジン1の燃焼状態が圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼に切替るとき、筒内への燃料供給を停止して圧縮自己着火燃焼を停止し、実筒内圧力と実筒内温度とが火花点火燃焼に適した筒内圧力と筒内温度に変化してから、燃料供給及び火花点火を開始して火花点火燃焼を開始する切替時制御手段としての切り換え制御部15と、を有している。
【0014】
スロットルバルブ29は、エンジン1の燃焼状態に応じて実筒内圧力及び実筒内温度を圧縮自己着火燃焼に適した筒内圧力及び筒内温度と火花点火燃焼に適した筒内圧力及び筒内温度とに制御するものである。
【0015】
尚、ECU11の構成要素(火花点火燃焼制御部13、自己着火燃焼制御部14等)は、はハードワイヤードの論理回路で構成することもできるが、本実施の形態では、マイクロコンピュータのプログラムとして実現されている。
【0016】
またECU11は、クランク角センサ26が検出したエンジン回転速度信号、及びアクセル開度センサ(図示せず)が検出したアクセル開度信号(負荷)に基づいて、運転条件を判定する。また運転条件に応じて燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期を算出する。そして、この算出結果に基づき、燃料噴射装置27、点火プラグ28に信号を送る。
【0017】
また吸気ポート21の上流には、空気量調整用のスロットルバルブ29と図示しない空気量測定用のエアフロメータとエアクリーナと配管からなる吸気系が設けられている。
【0018】
次に、本実施例の形態の動作について説明する。
【0019】
図3に、圧縮自己着火燃焼による燃焼方式と火花点火燃焼による燃焼方式を用いた場合の回転速度と燃焼安定性の関係を示す。圧縮自己着火運転は、低速回転の狭い範囲において燃焼安定性が高く、火花点火運転においては高速回転の範囲に燃焼安定性が高い。火花点火に関しては、圧縮自己着火燃焼を成立するためエンジンを高圧縮比にしていることが要因とされる。また、燃焼不安定な領域を運転することはNOxやHCの排出量の増加につながる。この双方の燃焼方式の安定した領域を運転し、高効率で排出ガスのクリーンなハイブリッド車両を実現することが本発明の目的である。
【0020】
図4にエンジン1の運転領域を、図5に本発明におけるエンジン1の運転領域と車軸出力、エンジン出力との関係を示す。前述したように、圧縮自己着火燃焼は低速回転かつ低中負荷の限られた狭い範囲においてのみ成立し、成立領域の中で負荷の比較的高い運転領域において最良燃費となる(以後、運転領域Aと略す)。本発明においては、圧縮自己着火燃焼の高効率かつ低NOxな特性を最大限に生かすため、車軸8からの要求出力が運転領域Aにおけるエンジン出力値P以下であって、バッテリー残量が多い状態ではエンジン1を停止してバッテリー放電により第2の発電電動機3を駆動させ、バッテリー残量が少ない状態では運転領域Aにおいてエンジン1により充電を行うデューティー制御を行う。これにより、最も使用頻度が高い運転領域において高効率な圧縮自己着火運転を行うことになり、高効率でかつクリーンなハイブリッド車両を提供することが出来る。
【0021】
また、車軸8からの要求出力がP以上である場合には、エンジン1の燃焼方式を火花点火燃焼に切り換えて運転を行う。このときの運転領域は図4中の運転領域Bのようなノッキング限界上における車軸からの要求出力点で行うものとする。ところで、圧縮自己着火燃焼で要求される筒内圧力・温度は非常に高く、一方火花点火燃焼で要求される筒内圧力・温度はノッキング現象を抑制するために低くなければならない。すなわち、火花点火燃焼に切り換える際には、温度および圧力を低下させる必要がある。このため、エンジン1のみで燃焼方式を繋ぐ際には、機械的な可変圧縮比機構の採用、吸気弁閉時期の遅角化を行うなどして、圧縮比を低下させる機構が必要とされるため、高負荷運転領域における効率の低下は避けられない。本発明においては、圧縮自己着火燃焼を安定的に発生させるため、やはり高圧縮比にて運転を行っているが、火花点火燃焼切り換え時においても圧縮比を低下させることなく、運転可能なシステム構成となっている。
【0022】
以上のように、低負荷及び低速回転の特定の運転条件において圧縮自己着火燃焼を行い、高速回転域においては火花点火燃焼を行うことにより、高効率でかつクリーンなハイブリッド車両を提供することが出来る。
【0023】
図6に、圧縮自己着火運転から火花点火運転への切り換え手段を示す。圧力が高くてかつ温度が高い圧縮自己着火運転から火花点火運転に切り換える場合、ノッキングを起こさない圧力および温度条件にした後、火花点火運転を起動させる構成としている。本実施例においては、切り換え時に燃料噴射を停止することにより、瞬時にエンジン出力を低下もしくは無負荷にし、スロットル開度を絞った後、ノッキングが発生しない運転領域において火花点火運転を起動して、その後ノッキング限界ラインをたどって高負荷運転領域へ移行する構成とした。また、切り換え時には、エンジンからの出力が一時的に低下、もしくは無負荷となるため、切り換え制御中にはバッテリー5からの放電により第2の発電電動機3を駆動させ、運転者からの要求トルクを満足するとともに、エンジン出力が要求車軸出力に達した際には、バッテリー放電による第2の発電電動機3の駆動を停止して、無駄なエネルギー消費を防いでいる。
【0024】
図7に、バッテリー必要残量を模式的に表したものを示す。バッテリー残量は燃焼方式切り換えの際に火花点火運転による出力が圧縮自己着火運転時の出力点に達するまでの車軸駆動力分の容量を常に確保することにより、常に要求負荷を満足することが出来るシステムの提供が可能になる。また、バッテリー残量が十分であるとき、例えば規定値Bas以上であった場合には、要求車軸出力がP以上であっても火花点火運転に切り換えず、バッテリー放電による第2の発電電動機3の駆動を行うことで、エンジン1の作動を必要最低限に抑え、システムの効率を向上させるとともに、エンジン1からの排出ガスを低減することが可能となる。
【0025】
次に、本実施例における制御フローを示す。
【0026】
図8にメインフローを示す。ステップ101(以下ステップを単にSと表記する)において、アクセル開度に対応させた図16に示すマップから要求車軸出力を取得する。このマップは、ECU11内の要求車軸出力設定部17に予め記憶させてある。
【0027】
S102においてバッテリー残量を取得する。そして、S103において、このときのバッテリー残量がバッテリー蓄電量低下判断量であるBmin以下であるかどうかを判定し、Bmin以上、すなわち急速充電が必要ではないと判断された場合には、エンジン制御フローであるサブルーティンA(詳細は後述)からなるS104へ進み、サブルーティンAの処理を行った後に、S101へ戻る。一方、バッテリー残量がバッテリー蓄電量低下判断量Bminを下回ったと判断された場合には、S105へ進み、そのときのエンジン運転状態が火花点火運転中であるか否かを判定し、火花点火運転中でないと判定した場合には第1切り換え制御フローであるサブルーティンB(詳細は後述)からなるS106へ進み、燃焼方式を火花点火燃焼へ切り換えてから第1火花点火制御フローであるサブルーティンC(詳細は後述)からなるステップ107へ進む。S105にて、火花点火運転中もしくはエンジン停止中であった場合にはS106を経由せずにステップ107へ進む。そして、ステップ107でサブルーティンCの処理が終了すると、S101に戻る。
【0028】
すなわち、バッテリ残量がBminを下回ったと判断された場合には、要求車軸出力の取得値に関わらず、火花点火切り換え制御を行い、火花点火運転により第1の発電電動機2によりバッテリー5の急速充電を行う。なお、S103の段階において、エンジン1が火花点火運転を行っていた場合には、そのときの要求車軸出力値以上の運転を行うことにより、余剰出力を急速充電に充てる。また、第2の発電電動機3の出力は要求車軸出力を満たすように制御される。
【0029】
図9に、エンジン制御フローであるサブルーティンA内の制御の流れを示す。
【0030】
S201において要求車軸出力値が運転領域Aにおけるエンジン出力値P以上(図4を参照)であった場合には、S202へ進んでバッテリー残量がバッテリー補助判定蓄電量Bas以下(図7を参照)であるかどうか、すなわちバッテリー残量が十分あるかどうかを判定する。
【0031】
バッテリー残量がバッテリー補助判定蓄電量Bas以下であった場合には、S203に進み、そのときのエンジン運転状態が自己着火運転中であるか否かを判定し、自己着火運転中であると判定した場合にはサブルーティンBからなるS204に進み、燃焼方式を火花点火燃焼へ切り換えてから第2火花点制御フローであるサブルーティンD(詳細は後述)からなるS205へ進む。S203にて、火花点火運転中もしくはエンジン停止中であった場合にはS204を経由せずにサブルーティンDからなるS205へ進む。
【0032】
一方、S201において要求車軸出力がP以下であった場合には、S206へ進んで火花点火運転中か否かを判定する。S206で火花点火運転中であった場合には、第2切り換え制御フローであるサブルーティンEからなるS207へ進み、エンジン1を自己着火燃焼可能な状態まで制御した後、第1自己着火制御フローであるサブルーティンFからなるS208へ進む。S206で火花点火運転中ではないと判定した場合には、S207を経由せずにS208へ進む。
【0033】
また、S202でバッテリー残量がバッテリー補助判定蓄電量Bas以上であった場合には、S209へ進んで火花点火運転中か否かを判定する。S209で火花点火運転中であった場合には、サブルーティンEからなるS210へ進み、エンジン1を自己着火燃焼可能な状態まで制御した後、第2自己着火制御フローであるサブルーティンGからなるS211へ進む。S209で火花点火運転中ではないと判定した場合には、S210を経由せずにS211へ進む。
【0034】
図10に、第1切り換え制御フローであるサブルーティンBを示す。
【0035】
S301において燃料噴射を停止するとともに、S302において、図6に示すように、バッテリー放電により要求車軸出力で第2の発電電動機3の駆動を行う。続いてS303において負荷の低い領域、たとえば図4に示すノッキング限界ライン以下になるようにスロットル開度を小さく制御する。そして、S304では、吸気遅れが無くなった後に、エンジン1の火花点火運転を開始し、要求車軸出力になるようスロットル開度を制御する。尚、シリーズハイブリッド車両の場合、第2の発電電動機3は、要求車軸出力に基づいて制御されるので、第1の発電電動機2の発電電力が第2の発電電動機3の要求電力に満たない場合には、不足分がバッテリ5から持ち出されることになる。
【0036】
図11に、第1火花点火制御フローであるサブルーティンCを示す。
【0037】
S401で要求車軸出力に対して、急速充電に必要な出力分を上乗せした値を算出する。S402では、S401で算出した値に基づいて、図4に示すマップから、エンジン回転速度及び負荷を読み取る。そして、S403では、S402で読み取ったエンジン回転速度及び負荷となるようスロットル開度を制御し、エンジン1の火花点火運転を行う。
【0038】
図12に、第2火花点火制御フローであるサブルーティンDを示す。
【0039】
S501において、図4に示す運転領域B上のマップから要求車軸出力に対応するエンジン回転速度および負荷を読み取る。そしてS502において、S501の読み取り値に対応した回転速度、負荷になるようスロットル開度を制御し、エンジン1の火花点火運転を行う。
【0040】
図13に、第2切り換え制御フローであるサブルーティンEを示す。
【0041】
S601で燃料噴射を停止し、S602にてスロットル開度が全開となるよう制御する。つまり、このサブルーティンEでは、エンジン1を自己着火可能な状態にするまでの制御を行っている。
【0042】
図14に、第1自己着火制御フローであるサブルーティンFを示す。
【0043】
このフローは運転領域Aにおいて、デューティー制御によるエンジン1の自己着火運転を行う制御フローである。S701においてバッテリー蓄電量がBmax(図7を参照)であるか否かを判定し、バッテリー蓄電量がBmaxに達していた場合にはS705へ進んでエンジン1を停止し、S706においてバッテリー放電による第2の発電電動機3の駆動にて目標車軸出力を実現し、バッテリー蓄電量がBmaxに達していない場合には、S702へ進み、エンジン1が運転中であるか否かを判定する。エンジン1が運転中と判定された場合にはS703を経由せずにS704へ進み、運転領域Aにおいて自己着火運転を行い、バッテリー蓄電量がBmaxに達するまでエンジン1の余剰分は充電運転を継続する。S702でエンジン1が停止していると判定された場合にはS703へ進み、バッテリー蓄電量がBduty(図7を参照)以上であるかどうかを判定し、バッテリー蓄電量がBduty以上であった場合にはS706に進んで、バッテリー放電による第2の発電電動機3の駆動にて運転を行い、S703でバッテリー蓄電量がBduty以下であった場合にはS704に進んで自己着火運転を行う。
【0044】
図15に、第2自己着火制御フローであるサブルーティンGを示す。
【0045】
S801では、エンジン1が運中であるか否かを判定し、エンジン1が停止していると判定された場合には、S802に進み、エンジン1の自己着火運転を開始する。
【0046】
以上説明してきたように、エンジン1の圧縮自己着火運転領域と火花点火運転領域を切り換え時に、圧縮白己着火運転から筒内圧力および温度が低い火花点火運転へ切り換えた後、高負荷の火花点火運転を行うことにより、圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り換えを行う際に懸念されるノッキング現象を起こすことなく火花点火燃焼へ移行することが可能になる。
【0047】
エンジン1の圧縮自己着火運転領域と火花点火運転領域を切り換え時に、圧縮自己着火運転時の負荷よりも低負荷の火花点火運転へ切り換えた後、高負荷の火花点火運転を行うことより、機関の圧縮比を下げる構成なしで、ノッキング現象を起こすことなく圧縮自己着火運転から火花点火運転に移行することが可能となる。
【0048】
エンジン1の圧縮自己着火運転領域と火花点火運転領域を切り換え時に、燃料噴射を停止することにより、瞬時に機関の負荷を落とすことが可能になり、早期に火花点火可能な領域に移行することが可能となる。
【0049】
圧縮自己着火運転時の負荷より低負荷の火花点火運転への切り換え時に負荷を下げるとともに、バッテリー5の放電による第2の発電電動機3の駆動によって車軸出力をアシストすることにより、出力段差を発生することなく、運転者に違和感のない滑らかな運転が可能になる。
【0050】
エンジン1の圧縮自己着火運転領域と火花点火運転領域を切り換え時に、スロットル開度を小さくした後、火花点火運転を行うことにより、ノッキングが起きない十分な条件を整えてから、火花点火に移行することが可能となる。
【0051】
火花点火により要求車軸出力到達後は、バッテリー5の放電による第2の発電電動機3の駆動を停止することにより、過度のバッテリー消費を抑制でき、高効率な運転が可能となる。
【0052】
バッテリー残量は、少なくとも運転方式切り換え時に必要な車軸出力量以上を維持することにより、車両の要求出力を損なうことなく運転をすることが可能となる。
【0053】
要求車軸出力が規定値以上でかつバッテリー残量がある規定残量値(Bmax)よりも大きい状態においては、バッテリー5の放電による第2の発電電動機3の駆動により車軸出力をアシストすることにより、過度にエンジン1を運転させることなく、システムの効率を向上させるとともに、エンジン1からの排出ガスを低減することが可能となる。
【0054】
バッテリー残量が低下した状態においては、エンジン1を火花点火運転へ切り換え、要求車軸出力以上の運転を行い、余剰出力を第1の発電電動機2により充電することにより、運転者の要求出力を常に確保し、安定した運転条件を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧縮自己着火式エンジンの制御装置が搭載されたハイブリッド車両の全体構成図ウェザーストリップ。
【図2】本発明に係る圧縮自己着火式エンジンの制御装置の説明図。
【図3】エンジン回転速度とエンジン燃焼安定度との相関図。
【図4】本実施例における圧縮自己着火式エンジンの運転領域を説明する説明図。
【図5】本実施例における圧縮自己着火式エンジンの運転領域と、エンジン出力、車軸出力との関係を示す説明図。
【図6】燃焼方式の切り換えを模式的に示した説明図。
【図7】バッテリーの蓄電量を模式的に示した説明図。
【図8】本発明に係る圧縮自己着火式エンジンの制御装置の制御の流れを示すフローチャート。
【図9】サブルーティンAの制御の流れを示すフローチャート。
【図10】サブルーティンBの制御の流れを示すフローチャート。
【図11】サブルーティンCの制御の流れを示すフローチャート。
【図12】サブルーティンDの制御の流れを示すフローチャート。
【図13】サブルーティンEの制御の流れを示すフローチャート。
【図14】サブルーティンFの制御の流れを示すフローチャート。
【図15】サブルーティンGの制御の流れを示すフローチャート。
【図16】要求車軸出力を求めるためのマップ図。
【符号の説明】
1…圧縮自己着火式エンジン
2…第1の発電電動機
3…第2の発電電動機
5…バッテリー

Claims (9)

  1. 燃焼状態を圧縮自己着火燃焼と火花点火燃焼とのいずれかに切替可能な内燃機関と、
    前記内燃機関の出力軸に連結される第1回転電機と、
    駆動輪の車軸に連結される第2回転電機と、
    前記第1回転電機と前記第2回転電機との間で電力の授受を行うバッテリーと、
    運転状態に基づいて前記車軸に要求される要求車軸出力を設定する要求車軸出力設定手段と、
    前記第2回転電機の出力を制御して前記車軸の出力を前記要求車軸出力にする第2回転電機制御手段と、
    前記要求車軸出力が小さいとき前記内燃機関の燃焼状態を前記圧縮自己着火燃焼に制御する自己着火燃焼制御手段と、
    前記要求車軸出力が大きいとき前記火花点火燃焼に制御する火花点火燃焼制御手段と、
    前記燃焼状態に応じて実筒内圧力及び実筒内温度を前記圧縮自己着火燃焼に適した筒内圧力及び筒内温度と前記火花点火燃焼に適した筒内圧力及び筒内温度とに制御する筒内状態制御手段と、
    前記燃焼状態が前記圧縮自己着火燃焼から前記火花点火燃焼に切替るとき、筒内への燃料供給を停止して圧縮自己着火燃焼を停止し、実筒内圧力と実筒内温度とが火花点火燃焼に適した筒内圧力と筒内温度に変化してから、燃料供給及び火花点火を開始して火花点火燃焼を開始する切替時制御手段と、を備えることを特徴とする圧縮自己着火式内燃機関の制御装置。
  2. 前記筒内状態制御手段は、筒内へ吸入される吸入空気量を制御して前記実筒内圧力及び実筒内温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置。
  3. 前記筒内状態制御手段は、内燃機関の吸気通路に配置され、前記吸入空気量を制御する吸気絞り弁であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置。
  4. 前記バッテリーの充電量に応じて圧縮自己着火燃焼を行うか停止するかを選択的に切替ることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置。
  5. 前記圧縮自己着火燃焼を、圧縮自己着火燃焼可能な運転領域での燃費が最良となる最良燃費点で行うことを特徴とする請求項4に記載の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置。
  6. 前記火花点火燃焼を、火花点火燃焼可能な運転領域でのノッキング限界で行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置。
  7. バッテリー残量は、少なくとも運転方式切り換え時に必要な車軸出力量以上を維持することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置。
  8. 要求車軸出力が規定値以上でかつバッテリー残量がある規定残量値よりも大きい状態においては、バッテリーの放電による前記第2回転電機の駆動により車軸出力をアシストすることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置。
  9. バッテリー残量が低下した状態においては、エンジンを火花点火運転へ切り換え、要求車軸出力以上の運転を行い、余剰出力を前記第1回転電機により充電することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置。
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