JP2023171816A - コンクリート構造物の施工方法および施工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、例えばコンクリートスラブのようなコンクリート構造物の施工方法および施工装置に関するものである。
従来、一般的なコンクリートスラブ施工におけるコンクリート打込み作業は、(1)コンクリートの打込み→(2)アマ出し→(3)仕上げ→(4)養生という手順により行われている。コンクリート天端の高さ管理は、(1)のコンクリートの打込み作業中のみであり、その時点でスラブの平滑性の精度が概ね決定される。この高さ管理の方法は、回転レーザーレベル、オートレベル、レベル指示冶具等を用いてコンクリート天端の高さを測定することにより行われる。測定の結果、目標高さと異なる箇所があった場合には、目標高さに近づけるように作業員がコンクリート天端を均して高さを修正する。
しかし、上記のいずれの測定方法も人の目あるいは耳でコンクリート天端高さの目標高さに対する高低を判断するものであり、高さ測定を行うポイントは通常、数m(多くの場合2~3m)ピッチである。得られた測定結果は図面上に記録されるが、測定点が多い場合は誤記が多くなるおそれがある。また、測定者による個人差が見られるケースもあり、スラブの平滑性データは十分に活用されていないのが現状である。
一方、コンクリートの表面を効率よく正確な高さに仕上げるための従来の技術として、例えば特許文献1~4に記載のものが知られている。
特許文献1は、コンクリートを打設しようとする領域の上面の周囲に複数の基準点を設置して、コンクリートの打設前後に2つの異なる位置からデジタルカメラで画像を撮影する工程と、コンクリートの上面の高さを画像から演算する工程と、演算された上面の高さが計画仕上げ高さより高い位置と低い位置とを表示手段に表示する工程と、表示にしたがってコンクリートの上面を計画仕上げ高さに近づけるように均す工程とを含むものである。
特許文献2は、レーザ測距機でコンクリート床版の表面の高さを計測し、ディスプレイに目標表面の高さと打設表面との高さの違いを、その度合いに応じて識別して表示するものである。特許文献3は、レーザ測距機でコンクリート床版の表面をスキャニングし、コンクリート床版の表面の設計値と計測値の変位を求め、ディスプレイに変位値に応じて強調表示するものである。
特許文献4は、計画仕上げ面の位置と相対的な位置を特定してマーカーを設置し、2つのデジタルカメラで表面およびマーカーを撮影し、撮影した画像に写し込まれたマーカーの位置と形状からマーカーの位置と撮影位置との相対的な位置を特定し、マーカーとの相対的な位置が特定されている計画仕上げ面と撮影位置との関係から該撮影位置で撮影した画像内における該計画仕上げ面の位置に、該撮影位置で撮影された画像に重ねて現況表面高さの情報を表示するものである。
しかし、上記の従来の特許文献1、4では、異なる位置からデジタルカメラで撮影した画像からコンクリートの上面の高さを演算するため、高さの管理精度が低くなるおそれがある。また、上記の従来の特許文献2、3では、高さ修正箇所をディスプレイに表示するため、作業員は現場における高さ修正箇所を把握するのが難しい。このため、高さ管理をより高精度に行うことができるとともに、作業員が現場で高さ修正箇所を直感的に把握することのできる技術が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高さ管理を高精度に行うことができるとともに、高さ修正箇所を直感的に把握することができるコンクリート構造物の施工方法および施工装置を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るコンクリート構造物の施工方法は、コンクリートを打込むステップと、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するステップと、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成するステップと、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示するステップと、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正するステップとを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他のコンクリート構造物の施工方法は、上述した発明において、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正した後、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差が所定の範囲になるまで、コンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するステップと、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成するステップと、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示するステップと、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正するステップを繰り返すことを特徴とする。
また、本発明に係る他のコンクリート構造物の施工方法は、上述した発明において、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データをレーザースキャナで複数の計測点について取得して表面の形状を計測する一方、作成した分布を示す情報をプロジェクタでコンクリートの表面の対応する位置に投影することを特徴とする。
また、本発明に係るコンクリート構造物の施工装置は、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測する形状計測手段と、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成する分布作成手段と、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他のコンクリート構造物の施工装置は、上述した発明において、形状計測手段は、コンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するレーザースキャナであり、表示手段は、分布を示す情報をコンクリートの表面の対応する位置に投影するプロジェクタであることを特徴とする。
本発明に係るコンクリート構造物の施工方法によれば、コンクリートを打込むステップと、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するステップと、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成するステップと、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示するステップと、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正するステップとを備えるので、コンクリートの天端高さなどの表面の形状管理を高精度に行うことができる。また、天端高さなどの形状の修正が必要な箇所を直感的に把握することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のコンクリート構造物の施工方法によれば、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正した後、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差が所定の範囲になるまで、コンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するステップと、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成するステップと、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示するステップと、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正するステップを繰り返すので、コンクリート構造物を高精度に施工することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のコンクリート構造物の施工方法によれば、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データをレーザースキャナで複数の計測点について取得して表面の形状を計測する一方、作成した分布を示す情報をプロジェクタでコンクリートの表面の対応する位置に投影するので、表面の形状を高精度で容易に計測できる一方で、表面の対応する位置に情報を容易に可視化表示することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るコンクリート構造物の施工装置によれば、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測する形状計測手段と、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成する分布作成手段と、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示する表示手段とを備えるので、コンクリートの天端高さなどの表面の形状管理を高精度に行うことができる。また、天端高さなどの形状の修正が必要な箇所を直感的に把握することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のコンクリート構造物の施工装置によれば、形状計測手段は、コンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するレーザースキャナであり、表示手段は、分布を示す情報をコンクリートの表面の対応する位置に投影するプロジェクタであるので、表面の形状を高精度で容易に計測できる一方で、表面の対応する位置に情報を容易に可視化表示することができるという効果を奏する。
以下に、本発明に係るコンクリート構造物の施工方法および施工装置の実施の形態について、コンクリート構造物がコンクリートスラブである場合を例にとり、図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係るコンクリート構造物の施工方法は、図1に示すようなステップS1~S8の手順で実施される。
まず、ステップS1では、コンクリートの打込みを行う。
次のステップS2では、レーザースキャナを用いてコンクリート表面の形状を計測する。
次のステップS3では、コンクリート天端高さと目標高さの差の分布図(凹凸図)を作成する。
次のステップS4では、プロジェクタを用いてコンクリート表面に凹凸図を投影する。
次のステップS5では、アマ出し時に投影した凹凸図に基づいて、コンクリート天端高さを修正する。
次のステップS6では、再度レーザースキャナにて表面計測を行う。
次のステップS7では、修正結果が目標となる精度を満足するか否かを判定する。この結果、ステップS5の修正結果が目標となる精度を満足していれば(Yes)、次のステップS8に進める。満足していなければ(No)、ステップS3に戻って処理を繰り返す。
次のステップS8では、コンクリート表面の仕上げを行う。
次のステップS9では、仕上げたコンクリート表面を養生する。
まず、ステップS1では、コンクリートの打込みを行う。
次のステップS2では、レーザースキャナを用いてコンクリート表面の形状を計測する。
次のステップS3では、コンクリート天端高さと目標高さの差の分布図(凹凸図)を作成する。
次のステップS4では、プロジェクタを用いてコンクリート表面に凹凸図を投影する。
次のステップS5では、アマ出し時に投影した凹凸図に基づいて、コンクリート天端高さを修正する。
次のステップS6では、再度レーザースキャナにて表面計測を行う。
次のステップS7では、修正結果が目標となる精度を満足するか否かを判定する。この結果、ステップS5の修正結果が目標となる精度を満足していれば(Yes)、次のステップS8に進める。満足していなければ(No)、ステップS3に戻って処理を繰り返す。
次のステップS8では、コンクリート表面の仕上げを行う。
次のステップS9では、仕上げたコンクリート表面を養生する。
上記の手順によれば、コンクリートスラブの平滑性に関する情報を対応位置に可視化できるので、作業員に修正必要箇所を明示することができる。また、レーザースキャナにて表面計測を行うので、従来の方法よりも平滑性および平坦性の高いコンクリートスラブを高精度に施工することができる。さらに、平滑性に関する情報をデジタルデータとして保存、保有することができる。
上記の手順において、ステップS5の修正作業中の所定のタイミングでステップS2に戻り、レーザースキャナによる表面計測を行ってステップS3、S4の処理を実行してもよい。このようにすれば、最新の凹凸図が投影されるので、残り作業が明確となり作業能率が向上する。
上記のステップS1、ステップS8、ステップS9は、従来の方法と同様に行うことができる。ステップS1終了時点におけるスラブ精度は従来の方法と同様である。これにステップS2~S7を追加することで精度の高いスラブの施工が可能となる。以下に、上記のステップS2~S5のそれぞれに関して、より具体的に説明する。
まず、ステップS2(レーザースキャナを用いた表面計測)について説明する。
レーザースキャナは、打込んだコンクリート表面の3次元形状データ(点群データ)を複数の計測点について取得して表面の形状を計測する形状計測手段である。レーザースキャナを用いることで、コンクリートの天端高さを高精度で容易に計測できる。これにより、高さ管理を高精度に行うことが可能となる。使用するレーザースキャナは、目標とするコンクリートスラブの精度を考慮して選定することが望ましい。レーザースキャナは、レーザー光が測定対象面に対して垂直に照射されるように設置することが望ましく、例えばコンクリートスラブ表面の真上に天吊りして上から照射する方法を採用することができる。レーザースキャナの天吊りは、高所作業車を利用して行ってもよい。施工環境等によって天吊りが困難な場合は、例えば三脚にレーザースキャナを設置し、側方からコンクリートスラブ表面を測定する方法を採用してもよい。その場合、三脚はコンクリートスラブ内、またはその近傍の地上等に設置してもよいが、コンクリートスラブ表面からなるべく高く設置するのが望ましく、少なくとも測定する面積の最大水平距離の1/3の高さ程度に設置するのが好ましい。一度に測定する面積は、レーザースキャナの測定精度や測定可能範囲等によって決定するが、通常は、測定器を中心とした測定範囲がコンクリートスラブの柱間隔(例えば、8~10m程度)であるように設定するのが望ましい。
レーザースキャナは、打込んだコンクリート表面の3次元形状データ(点群データ)を複数の計測点について取得して表面の形状を計測する形状計測手段である。レーザースキャナを用いることで、コンクリートの天端高さを高精度で容易に計測できる。これにより、高さ管理を高精度に行うことが可能となる。使用するレーザースキャナは、目標とするコンクリートスラブの精度を考慮して選定することが望ましい。レーザースキャナは、レーザー光が測定対象面に対して垂直に照射されるように設置することが望ましく、例えばコンクリートスラブ表面の真上に天吊りして上から照射する方法を採用することができる。レーザースキャナの天吊りは、高所作業車を利用して行ってもよい。施工環境等によって天吊りが困難な場合は、例えば三脚にレーザースキャナを設置し、側方からコンクリートスラブ表面を測定する方法を採用してもよい。その場合、三脚はコンクリートスラブ内、またはその近傍の地上等に設置してもよいが、コンクリートスラブ表面からなるべく高く設置するのが望ましく、少なくとも測定する面積の最大水平距離の1/3の高さ程度に設置するのが好ましい。一度に測定する面積は、レーザースキャナの測定精度や測定可能範囲等によって決定するが、通常は、測定器を中心とした測定範囲がコンクリートスラブの柱間隔(例えば、8~10m程度)であるように設定するのが望ましい。
また、複数の測定結果を合成する場合には、各測定にて合成の基準となる基準マーカーAを少なくとも3点以上共有する必要がある。その際、3点が一直線上に並ばないように設置しなければならない。図2(1)に基準マーカーAの設置例を、(2)に要部拡大図を示す。また、測定範囲には後述のステップS4にて利用する基準マーカーB(図5を参照)を含める必要がある。基準マーカーAおよびBは施工中あるいは測定中に動かしてはならない。
図3に、コンクリートスラブの平面と測定範囲の設定例を示す。この図に示すように、本実施の形態では、横長L1=26m、縦長L2=16m程度のコンクリートスラブを施工することを想定し、レーザースキャナによる測定は2回に分けて実施する。後述の凹凸図の作成範囲は、コンクリートスラブよりも数m大きい範囲に設定している。レーザースキャナは、コンクリートスラブを中央で横に2分割した左右対称の位置に設置し、各位置よりスキャン範囲1、2をそれぞれ測定する。スキャン範囲1は凹凸図の作成範囲の左半分をカバーし、スキャン範囲2は右半分をカバーする。
次に、ステップS3(凹凸図の作成)について説明する。
凹凸図は、レーザースキャナで計測した表面の形状と、目標とする表面の形状との差の分布を表した情報である。本実施の形態では、コンクリートスラブの目標高さを基準高さとし、レーザースキャナによって得られた点群データから各測定点のz座標(高さを示す座標)と基準高さの差分によって凹凸図を作成する。凹凸図の作成には、演算機能と作図機能を有するコンピュータ(分布作成手段)を用いることができる。図4に、点群データから作成した凹凸図の一例を示す。凹凸図における凹凸の区分は、例えば凹凸の度合いに応じて色分けすることによって表現することが望ましい。色分けの表現方法は作業員が視認しやすいものであるのが望ましく、目標精度や施工条件等を考慮して決定することが好ましい。視認しやすい表現方法とは、例えば、ある閾値を設けて二色化する方法や、大きく目標値から外れる箇所のみを色付けする方法などが考えられる。目標精度や施工条件などで表現方法を決定することが好ましい。
凹凸図は、レーザースキャナで計測した表面の形状と、目標とする表面の形状との差の分布を表した情報である。本実施の形態では、コンクリートスラブの目標高さを基準高さとし、レーザースキャナによって得られた点群データから各測定点のz座標(高さを示す座標)と基準高さの差分によって凹凸図を作成する。凹凸図の作成には、演算機能と作図機能を有するコンピュータ(分布作成手段)を用いることができる。図4に、点群データから作成した凹凸図の一例を示す。凹凸図における凹凸の区分は、例えば凹凸の度合いに応じて色分けすることによって表現することが望ましい。色分けの表現方法は作業員が視認しやすいものであるのが望ましく、目標精度や施工条件等を考慮して決定することが好ましい。視認しやすい表現方法とは、例えば、ある閾値を設けて二色化する方法や、大きく目標値から外れる箇所のみを色付けする方法などが考えられる。目標精度や施工条件などで表現方法を決定することが好ましい。
次に、ステップS4(プロジェクタを用いてコンクリート表面に凹凸図を投影)について説明する。
プロジェクタは、凹凸図をコンクリートスラブ表面の対応する位置に投影表示する装置であり、本発明の表示手段として機能する。プロジェクタを用いることで、コンクリートスラブ表面の対応する位置に凹凸図を容易に可視化表示することができる。プロジェクタとしては、作業を行う照度環境にて、色分けした凹凸図をコンクリートスラブ表面に投影した状態での色の違いが視認できるような光束を有する装置を使用する。ステップS5のアマ出し作業時に作業員が作業位置において色分けを視認できることを予め確認しておくのが望ましい。また、プロジェクタの出力、台数、設置位置等は、コンクリートスラブ表面の規模に応じて設定することが好ましい。プロジェクタは、コンクリートスラブ内に配置してもよいし、側方の近傍に配置してもよい。例えば高所作業車等を用いてコンクリートスラブの真上にプロジェクタを配置し、上から凹凸図を投影してもよいし、コンクリートスラブの側方にプロジェクタを配置し、斜め側方から凹凸図を投影してもよい。また、使用位置が屋外の場合には、日光によって凹凸図の視認性が低下するおそれがあるため、夕暮れ時や夜間などに投影してもよい。
プロジェクタは、凹凸図をコンクリートスラブ表面の対応する位置に投影表示する装置であり、本発明の表示手段として機能する。プロジェクタを用いることで、コンクリートスラブ表面の対応する位置に凹凸図を容易に可視化表示することができる。プロジェクタとしては、作業を行う照度環境にて、色分けした凹凸図をコンクリートスラブ表面に投影した状態での色の違いが視認できるような光束を有する装置を使用する。ステップS5のアマ出し作業時に作業員が作業位置において色分けを視認できることを予め確認しておくのが望ましい。また、プロジェクタの出力、台数、設置位置等は、コンクリートスラブ表面の規模に応じて設定することが好ましい。プロジェクタは、コンクリートスラブ内に配置してもよいし、側方の近傍に配置してもよい。例えば高所作業車等を用いてコンクリートスラブの真上にプロジェクタを配置し、上から凹凸図を投影してもよいし、コンクリートスラブの側方にプロジェクタを配置し、斜め側方から凹凸図を投影してもよい。また、使用位置が屋外の場合には、日光によって凹凸図の視認性が低下するおそれがあるため、夕暮れ時や夜間などに投影してもよい。
図5に、凹凸図の投影状況を示す。この凹凸図は、コンクリートスラブの真上から15000ルーメンの明るさで投影したものである。この図の基準マーカーBは、投影面と凹凸図の位置合わせのためのものである。基準マーカーBの他にも、型枠位置にて端部の位置合わせを行うことが望ましい。
次に、ステップS5(投影した凹凸図に基づいてコンクリート天端を修正)について説明する。
コンクリート天端高さの修正作業は、コンクリートスラブ表面に投影された凹凸図(図5を参照)に基づいて実施する。図5の例では色分けが鮮明ではないが、実際の現場では色分けが鮮明な凹凸図(図4を参照)が投影されている。図4の例では、比較的に色濃い部分が目標高さに対して高い箇所となっており、この箇所が修正必要箇所となる。このように、本実施の形態では、コンクリートスラブ表面の対応する位置に修正必要箇所が投影されているので、作業員は現場で修正必要箇所を直感的に把握することができる。修正必要箇所へのアクセスが迅速になると同時に、作業範囲の把握が容易となるので、作業能率が向上する。
コンクリート天端高さの修正作業は、コンクリートスラブ表面に投影された凹凸図(図5を参照)に基づいて実施する。図5の例では色分けが鮮明ではないが、実際の現場では色分けが鮮明な凹凸図(図4を参照)が投影されている。図4の例では、比較的に色濃い部分が目標高さに対して高い箇所となっており、この箇所が修正必要箇所となる。このように、本実施の形態では、コンクリートスラブ表面の対応する位置に修正必要箇所が投影されているので、作業員は現場で修正必要箇所を直感的に把握することができる。修正必要箇所へのアクセスが迅速になると同時に、作業範囲の把握が容易となるので、作業能率が向上する。
図6に、コンクリート天端高さの修正概念を示す。図のグラフは、コンクリート天端高さと目標高さの差(凹凸)のヒストグラムを示している。図6(1)に示すように、コンクリート天端高さの修正は、目標高さに対して高い箇所に対して実施する。図6(2)に示すように、高い箇所を低く修正することで、スラブ全体の高さの平均値が下がるものの、標準偏差が減少し、スラブ全体の精度が向上する。
修正作業は、コンクリート上に人が乗れる程度までコンクリートが硬化した後に実施することが望ましい。修正は、作業員がコテ等を使用して直接表面を削り取る方法のほか、アマ出し作業時に発生するノロを除去する方法で実施することができる。コテで修正する方法は、人が乗れる程度まで硬化した段階ですぐに実施するのが望ましい。硬化状態は、JIS A 1147を参考に凝結試験を実施し、貫入抵抗値によって管理するのが望ましい。その際、試験に使用する試料はスラブに打込んだコンクリートと同じコンクリートから採取したモルタルとし、スラブと同環境に存置して試験を実施するのがよい。本試験によって、貫入抵抗値が0.5N/mm2程度の結果が得られる状態が、上記の人が乗れる程度の硬化状態に相当する。
アマ出し時に修正する方法では、手押し式の均し機械を使用する場合は貫入抵抗値が例えば0.5~1.5N/mm2程度、騎乗式の均し機械を使用する場合は貫入抵抗値が例えば1.5~2.5N/mm2程度の範囲にある場合に高さの修正が可能である。なお、高い箇所のアマ出しを入念に実施することで2~3mmの修正が可能であることを本発明者は実験にて確認済みである。
なお、上記の実施の形態においては、コンクリートスラブの天端高さを施工管理する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではなく、任意の形状のコンクリート構造物の表面を施工管理する場合に適用することができる。
また、上記の実施の形態においては、表示手段がプロジェクタである場合を例にとり説明したが、本発明の表示手段はこれに限るものではない。例えば、着色料など視認可能な材料をスプレー等でコンクリート表面に噴射することによって、コンクリート表面の対応する位置に凹凸図等を表示する手段を採用してもよい。
以上説明したように、本発明に係るコンクリート構造物の施工方法によれば、コンクリートを打込むステップと、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するステップと、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成するステップと、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示するステップと、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正するステップとを備えるので、コンクリートの天端高さなどの表面の形状管理を高精度に行うことができる。また、天端高さなどの形状の修正が必要な箇所を直感的に把握することができる。
また、本発明に係る他のコンクリート構造物の施工方法によれば、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正した後、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差が所定の範囲になるまで、コンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するステップと、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成するステップと、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示するステップと、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正するステップを繰り返すので、コンクリート構造物を高精度に施工することができる。
また、本発明に係る他のコンクリート構造物の施工方法によれば、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データをレーザースキャナで複数の計測点について取得して表面の形状を計測する一方、作成した分布を示す情報をプロジェクタでコンクリートの表面の対応する位置に投影するので、表面の形状を高精度で容易に計測できる一方で、表面の対応する位置に情報を容易に可視化表示することができる。
また、本発明に係るコンクリート構造物の施工装置によれば、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測する形状計測手段と、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成する分布作成手段と、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示する表示手段とを備えるので、コンクリートの天端高さなどの表面の形状管理を高精度に行うことができる。また、天端高さなどの形状の修正が必要な箇所を直感的に把握することができる。
また、本発明に係る他のコンクリート構造物の施工装置によれば、形状計測手段は、コンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するレーザースキャナであり、表示手段は、分布を示す情報をコンクリートの表面の対応する位置に投影するプロジェクタであるので、表面の形状を高精度で容易に計測できる一方で、表面の対応する位置に情報を容易に可視化表示することができる。
以上のように、本発明に係るコンクリート構造物の施工方法および施工装置は、例えばコンクリートスラブのような表面の平滑性が要求されるコンクリート構造物に有用であり、特に、高さ管理を高精度に行うとともに、高さ修正箇所を直感的に把握するのに適している。
Claims (5)
- コンクリートを打込むステップと、打込んだコンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するステップと、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成するステップと、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示するステップと、打込んだコンクリートの貫入抵抗値が0.5N/mm2の状態まで硬化した後、コテを使用してコンクリートの表面を削り取る方法により、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正するステップとを備えることを特徴とするコンクリート構造物の施工方法。
- 表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正した後、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差が所定の範囲になるまで、コンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するステップと、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成するステップと、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示するステップと、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正するステップを繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の施工方法。
- 打込んだコンクリートの表面の3次元形状データをレーザースキャナで複数の計測点について取得して表面の形状を計測する一方、作成した分布を示す情報をプロジェクタでコンクリートの表面の対応する位置に投影することを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート構造物の施工方法。
- 打込んだコンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測する形状計測手段と、計測した表面の形状と目標とする表面の形状との差の分布を作成する分布作成手段と、作成した分布を示す情報を、コンクリートの表面の対応する位置に表示する表示手段と、打込んだコンクリートの貫入抵抗値が0.5N/mm2の状態まで硬化した後に使用され、表示した情報に基づいてコンクリートの表面の形状を修正するコテまたは均し機械とを備えることを特徴とするコンクリート構造物の施工装置。
- 形状計測手段は、コンクリートの表面の3次元形状データを複数の計測点について取得して表面の形状を計測するレーザースキャナであり、表示手段は、分布を示す情報をコンクリートの表面の対応する位置に投影するプロジェクタであることを特徴とする請求項4に記載のコンクリート構造物の施工装置。
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