JP2023170307A - ドアウエザーストリップ - Google Patents
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Abstract
【課題】中空シール部の適切な撓み変形を確保し得るドアウエザーストリップを提供する。【解決手段】本発明に係るドアウエザーストリップ(4)では、中空シール部(6)の内周側の一部に、当該中空シール部(6)の外周側よりも硬質な材料で形成された硬質被膜部(64)が設けられている。これにより、ドア(1)の閉時において、硬質被膜部(64)が設けられている箇所は撓み変形し難く、硬質被膜部(64)が設けられていない箇所は撓み変形し易くなるため、中空シール部(6)の撓み変形を、適切な姿勢に制御することが可能となる。その結果、ドア(1)の閉時における中空シール部(6)の適切な撓み変形が確保され、中空シール部(6)が車体パネル(2)と弾接した際の折れ皺の発生を抑制し、ドアウエザーストリップ(4)の良好な外観を維持することができる。【選択図】図3
Description
本発明は、例えば自動車のドアの周囲に装着され、ベースとなる取付基部がクリップを介してドアパネルに固定されるドアウエザーストリップに関する。
従来のドアウエザーストリップとしては、例えば以下の特許文献に記載されたものが知られている。
概略を説明すれば、このドアウエザーストリップは、主として、ドアパネルに取り付けられる取付基部と、この取付基部から室内側へ向かって斜めに突出する中空シール部と、を備えている。そして、このドアウエザーストリップは、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)スポンジ材を押出成形してなり、長手方向に均一断面形状を有し、中空シール部のうち車体パネルと弾接しない一部の周方向領域について、前記EPDMスポンジ材よりも硬質又は高比重のスポンジ材により形成されている。
すなわち、前記従来のドアウエザーストリップは、中空シール部のうち車体パネルと弾接しない一部の周方向領域に対し、前記EPDMスポンジ材よりも硬質又は高比重のスポンジ材により形成することで、ドア閉じ性の悪化を抑制しつつ、外部の騒音の減衰効果を向上させている。
しかしながら、前記従来のドアウエザーストリップの場合、中空シール部の一部の周方向領域が、他の領域よりも硬質又は高比重となる異材によって形成されている。このため、ドア閉時に、中空シール部が車体パネルと弾接した際、中空シール部が車体パネルに追従して適切に撓み変形できず、中空シール部に折れ皺が形成されて見栄えが悪化してしまう点で、改善の余地が残されていた。
また、前記従来のドアウエザーストリップは、中空シール部の一部の周方向領域が異材によって形成されていることで、中空シール部の外周側に、材質の異なる部位の境界部(継ぎ目)が形成される。このため、中空シール部の撓み変形に伴い前記材質の異なる部位の境界部にいわゆる「切れ」が発生し、ドアウエザーストリップの外観の悪化はもとより、ドアウエザーストリップの耐久性の低下を招来してしまうおそれがあった。
本発明は、かかる技術的課題に着目して案出されたものであり、中空シール部の適切な撓み変形を確保し得るドアウエザーストリップを提供することを目的としている。
本発明に係るドアウエザーストリップは、その一態様として、車両のドアパネルに取り付けられる取付基部と、前記取付基部に一体に設けられ、ドア閉時において車体パネルに弾接する中空シール部と、を備えたドアウエザーストリップであって、前記中空シール部の内周側の一部に、前記中空シール部の外周側よりも硬質な材料で形成された硬質被膜部が設けられている。
このように、本発明では、中空シール部の内周側の一部に、当該中空シール部の外周側よりも硬質な材料で形成された硬質被膜部が設けられていることで、当該硬質被膜部が設けられている領域と、当該硬質被膜部が設けられていない領域とで中空シール部の剛性を変化させて、ドア閉時における中空シール部の撓み変形を適切に制御することが可能となる。これにより、ドア閉時における中空シール部の適切な撓み変形が確保され、中空シール部が車体パネルと弾接した際の折れ皺の発生を抑制し、ドアウエザーストリップの良好な外観を維持することができる。
また、中空シール部の適切な撓み変形が確保されることにより、車体パネルに対する中空シール部の追従性を向上させることができる。これにより、中空シール部のシール性の向上や、遮音性の向上を図ることができる。
さらに、硬質被膜部を中空シール部の内周側にのみ配置することとし、当該硬質被膜部を中空シール部の外周側に配置しなかったことで、中空シール部の外周側に、材質の異なる部位の境界部が形成されるおそれがない。これにより、中空シール部の撓み変形に伴って前記材質の異なる部位の境界部に発生する「切れ」を防止し、ドアウエザーストリップの良好な外観の維持、及び耐久性の向上を図ることができる。
加えて、硬質被膜部は、中空シール部の内周側の一部に設けられているため、中空シール部の反力を極端に増大させるおそれがない。これにより、硬質被膜部によってドア閉じ性が悪化する不具合を防止することができる。
ここで、本発明に係るドアウエザーストリップの好ましい態様として、前記硬質被膜部は、前記ドア閉時において前記中空シール部が撓み変形するときの屈曲部を除く位置に設けられている、ことが望ましい。
このように、硬質被膜部が、ドア閉時において中空シール部が撓み変形するときの屈曲部を除く位置に設けられていることで、硬質被膜部が中空シール部の撓み変形を阻害するおそれがない。これにより、中空シール部の適切な撓み変形が効果的に確保され、その結果、中空シール部が車体パネルと弾接した際の折れ皺の発生を、より効果的に抑制することができる。
また、本発明に係るドアウエザーストリップのさらに好ましい態様として、
前記硬質被膜部は、前記屈曲部の両側に設けられている、ことが望ましい。
前記硬質被膜部は、前記屈曲部の両側に設けられている、ことが望ましい。
このように、硬質被膜部が屈曲部の両側に設けられていることで、屈曲部の剛性のみが低下し、当該屈曲部以外の剛性を高めることが可能となる。これにより、屈曲部の撓み変形が促進され、中空シール部の適切な撓み変形を、より効果的に確保することができる。
また、本発明に係るドアウエザーストリップのさらに好ましい態様として、前記ドアウエザーストリップは、押出成形により均一断面形状を有する長尺状に形成されたものであり、前記取付基部は、長手方向に延びる中空状を呈し、底壁を貫通する取付孔に挿通されたクリップを介して前記車体パネルに取り付けられ、前記取付基部の内周側には、少なくとも前記底壁の内側に、前記硬質被膜部が設けられている、ことが望ましい。
このように、取付基部においても、内周側の一部、少なくとも底壁の内側に、硬質被膜部が設けられていることで、クリップ固定に供する底壁の剛性を向上させることができる。これにより、ドアウエザーストリップの組み付け作業の安定化が図れ、当該ドアウエザーストリップをドアパネルに適切に取り付けることが可能となり、ドア閉時における中空シール部の適切な撓み変形を、一層効果的に確保することができる。
また、取付基部の内周側であって少なくとも底壁の内側に硬質被膜部が設けられていることで、クリップ固定に供する底壁について、押出成形時における引張強度を向上させることができる。これにより、取付基部の形状の安定化が図れ、特に底壁については取付孔の位置や精度を向上させることが可能となる。その結果、ドアパネルにドアウエザーストリップをより適切に取り付け可能となり、ドア閉時における中空シール部の適切な撓み変形が、より一層効果的に確保される。
また、本発明に係るドアウエザーストリップのさらに好ましい態様として、前記硬質被膜部は、前記取付基部の内周側に、前記中空状の空間を包囲するように全域にわたって設けられている、ことが望ましい。
このように、硬質被膜部が、取付基部の内周側に全域にわたって設けられていることにより、取付基部について、より高い強度を確保することができる。これにより、取付基部をドアパネルにクリップ固定する際の組み付け作業性が向上すると共に、当該クリップ固定の状態が長く適切に維持され、中空シール部における前記折れ皺の発生を長きにわたって防止することができる。
また、本発明に係るドアウエザーストリップのさらに好ましい態様として、前記取付基部は、幅方向の中間部に設けられた仕切り壁によって前記中空状の空間が第1空間部と第2空間部に分割されていて、前記第1空間部の前記底壁を貫通する前記取付孔に挿通された前記クリップを介して前記車体パネルに取り付けられ、前記硬質被膜部は、少なくとも前記第1空間部に設けられている、ことが望ましい。
このように、中空状の取付基部が仕切り壁により2つの空間部(第1空間部及び第2空間部)に分割して形成されていることで、当該仕切り壁によって、外部からの騒音に対する減衰効果を高めることができる。
また、取付基部の内部に設けた仕切り壁によって当該取付基部自体の剛性が向上するため、前記クリップによる組み付け作業性の向上、及び組み付け強度の向上が図れ、ドアパネルに対してドアウエザーストリップをより適切に組み付け可能となる。その結果、ドア閉時における中空シール部の適切な撓み変形を、さらに一層効果的に確保することができる。
また、本発明に係るドアウエザーストリップのさらに好ましい態様として、前記硬質被膜部は、EPDMソリッド材により形成され、その他の部位は、EPDMスポンジ材によって形成されている、ことが望ましい。
このように、硬質被膜部がEPDMソリッド材により形成されていることで、当該硬質被膜部を例えば高発泡のEPDMスポンジ材によって形成する場合と比べて、硬質被膜部の強度を効果的に高めることができる。これにより、ドアパネルに対するドアウエザーストリップの適切な組み付け状態の確保と、中空シール部の適切な撓み変形の確保に供する。
本発明によれば、中空シール部の内周側の一部に当該中空シール部の外周側よりも硬質な材料で形成された硬質被膜部が設けられていることで、当該硬質被膜部が設けられている領域と、当該硬質被膜部が設けられていない領域とをもって、ドア閉時における中空シール部の撓み変形を適切に制御可能となる。これにより、ドア閉時における中空シール部の適切な撓み変形が確保されて、中空シール部が車体パネルと弾接して屈曲することに伴う折れ皺の発生を抑制し、ドアウエザーストリップの良好な外観を維持することができる。
以下に、本発明に係るドアウエザーストリップの実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、以下では、本発明に係るドアウエザーストリップを自動車用ドアに適用した態様を例示する。また、説明の便宜上、車体取付状態の天地を基準として、鉛直方向上側に相当する各図の上側を「上」と定義すると共に、鉛直方向下側に相当する各図の下側を「下」と定義して説明する。
(ドアウエザーストリップの構成)
図1は、本実施形態に係るドアウエザーストリップが適用される自動車の側面の要部拡大図を示している。そして、図2は、図1のA-A線断面におけるドア開時のドアウエザーストリップの自由状態の断面図を示し、図3は、図1のA-A線断面におけるドア閉時のドアウエザーストリップの変形状態の断面図を示している。
図1は、本実施形態に係るドアウエザーストリップが適用される自動車の側面の要部拡大図を示している。そして、図2は、図1のA-A線断面におけるドア開時のドアウエザーストリップの自由状態の断面図を示し、図3は、図1のA-A線断面におけるドア閉時のドアウエザーストリップの変形状態の断面図を示している。
図1に示すほぼアーチ状のドアサッシュ11(本発明のドアパネルに相当)を有するフロントドア(以下、単に「ドア」と略称する。)1の室内側の周縁部には、図2に示すように、長尺状のドアウエザーストリップ4が、例えばクリップ3等を用いて閉ループ状に装着されている。そして、ドア1の閉時には、図3に示すように、ドアウエザーストリップ4が、車体側のドア開口部周縁の車体パネル2に弾接することにより、車室内外がシールされ、気密性、水密性及び遮音性等が確保されている。
ドアウエザーストリップ4は、図1に示すように、ドアサッシュ11の上辺部に沿うほぼ直線状の上辺部41と、ドア1の前後の縦辺部及び下辺部にそれぞれ沿う縦辺部42,43及び下辺部44と、を含む一般部が、EPDMスポンジ材を押出成形することによって形成されている。また、上辺部41と縦辺部43とは、図示外の型成形部を介して接続されている。
ドアウエザーストリップ4の上辺部41は、前記押出成形により形成される、図2に示すような均一断面形状を呈し、中空状の空間部(後述する第1空間部501及び第2空間部502)を含む取付基部5と、取付基部5から室内側へ向かって斜めに突出し、ドア1の閉時に車体パネル2の内側シール領域21に弾接可能に設けられた中空シール部6と、取付基部5から室外側へ向かって屈曲し、ドア1の閉時に車体パネル2の外側シール領域22に弾接可能に設けられたサブシールリップ7と、取付基部5の室外側の側部に上下二段状に配置され、室外側へ向かって延出することによりドアサッシュ11の上辺部内側面に弾接可能に設けられた一対の第1パネルリップ81及び第2パネルリップ82と、を有している。
取付基部5は、内部に中空状の空間部を含み、横断面が概ね矩形枠状となるように形成されていて、ドアサッシュ11に当接するかたちで複数のクリップ3により固定される底壁51と、中空シール部6及びサブシールリップ7が接続される上壁52と、底壁51と上壁52とを繋ぐ一対の側壁である室外側壁53及び室内側壁54と、を有している。
また、底壁51には、長手方向に沿って所定の間隔でクリップ3の軸部32が挿通する複数の取付孔510が、それぞれ厚さ方向に沿って貫通形成されている。これにより、複数のクリップ3がそれぞれ取付孔510に挿通した状態で、各クリップ3の軸部32の先端側に概ね鉤状に設けられた係止突部33がドアサッシュ11の上辺部に形成された係止孔110の孔縁部に係止することにより、取付基部5の底壁51がクリップ3の頭部31とドアサッシュ11とに挟み込まれるようにして、ドアウエザーストリップ4がドアサッシュ11に固定される。
また、取付基部5には、幅方向の中間部に、上下方向に延設されて底壁51と上壁52とを繋ぐ仕切り壁55が設けられていて、この仕切り壁55により、前記中空状の空間部が第1空間部501と第2空間部502とに二分されている。また、第1空間部501及び第2空間部502の内周側には、取付基部5を構成するEPDMスポンジ材とは異なる材料であって、当該EPDMスポンジ材よりも硬質のEPDMソリッド材からなる硬質被膜部56が、全周にわたって設けられている。
硬質被膜部56は、取付基部5の内周側の表面に、全周にわたって概ね一定の厚さでもって極薄の被膜状に形成されたもので、ドアウエザーストリップ4を押出成形する際に取付基部5と一体に形成される。この硬質被膜部56は、取付基部5を構成するEPDMスポンジ材よりも硬質なEPDMソリッド材によって形成されることにより、取付基部5の各部(底壁51、上壁52及び両側壁53,54)の剛性を高めている。
なお、本実施形態では、硬質被膜部56を第1空間部501及び第2空間部502の内周側全周に配置したものを例示するが、硬質被膜部56の配置態様は当該構成に限定されるものではない。換言すれば、硬質被膜部56は、第1空間部501及び第2空間部502の内周側の一部、例えば底壁51の内側にのみ設ける構成としてもよく、当該硬質被膜部56を配置する範囲については、ドアウエザーストリップ4の仕様等に応じて任意に変更可能である。一方で、本実施形態のように、第1空間部501及び第2空間部502の内周側全周に硬質被膜部56を配置することで、取付基部5の剛性を最大限に高めることができる。
中空シール部6は、図2に示す自由状態では横断面ほぼ逆U字状に形成されていて、自由状態において弓なりに湾曲する室内側の室内側辺部61と、中間部に比較的肉薄の屈曲部63を中間部に有する「く」字状に形成された室外側辺部62と、を有する。かかる構成から、中空シール部6は、ドア1の閉時に、図3に示すように、室内側辺部61の先端側領域611が車体パネル2に弾接して撓み変形すると共に、室内側辺部61が車体パネル2に押圧されることで屈曲部63が折れ曲がるようにして室外側辺部62が屈曲変形することにより、シール機能を発揮する。
また、中空シール部6の内周側には、室内側辺部61の基端側領域612と、室外側辺部62の屈曲部63の両側辺部621,622の全域に、中空シール部6の外周側を構成するEPDMスポンジ材とは異なる材料であり、かつ当該EPDMスポンジ材よりも硬質の材料であるEPDMソリッド材からなる硬質被膜部64が設けられている。
硬質被膜部64は、中空シール部6の内周側の表面のうち、車体パネル2に弾接しない領域及び屈曲しない領域に、具体的には、室内側辺部61の基端側領域612の内周側の表面と、室外側辺部62の屈曲部63の両側辺部621,622の全域の表面に、それぞれ概ね一定の厚さでもって極薄の被膜状に形成されたものであり、ドアウエザーストリップ4を押出成形する際に中空シール部6と一体に形成される。この硬質被膜部64は、中空シール部6の構成するEPDMスポンジ材よりも硬質なEPDMソリッド材によって形成されることにより、中空シール部6の各部(室内側辺部61の基端側領域612、及び室外側辺部62の屈曲部63の両側辺部621,622の全域)の剛性を高めている。
また、硬質被膜部64は、中空シール部6の周方向において、中間の一般部については前述したように概ね一定の厚さに設定されている一方、両側端部が徐々に薄肉となるように形成されていて、室内側辺部61の基端側領域612の内周側の表面と、室外側辺部62の屈曲部63の両側辺部621,622の全域の表面とに対して、段差なく滑らかに連続する構成となっている。
ここで、硬質被膜部64について、本実施形態では、前述のように、室内側辺部61の基端側領域612の内周側の表面と、室外側辺部62の屈曲部63の両側辺部621,622全域の表面に配置したものを例示しているが、かかる構成に限定されるものではない。換言すれば、硬質被膜部64の配置については、中空シール部6の内周側の表面のうち、車体パネル2に弾接しない領域と屈曲しない領域であればよく、その設定箇所及び領域については、ドアウエザーストリップ4の仕様等に応じて任意に変更可能である。
サブシールリップ7は、取付基部5の上壁52の室外側端部から上方へ延び、根元側に向かって徐々に幅広となるように形成された基部71と、基部71の先端から屈曲部73を介して室外側へと折れ曲がるリップ部72と、を有し、ドア1の閉時に屈曲部73を介して室外側へ屈曲したリップ部72の先端部が車体パネル2の外側シール領域22に弾接するようになっている。
第1パネルリップ81は、取付基部5の上壁52の室外側端部から室外側へ向かって上壁52の延長線上に延設されていて、ドア1の閉時に根元部に設けられた薄肉の基部811を屈曲点として上方へ屈曲し、その反力でもって第1パネルリップ81の先端部812がドアサッシュ11の内側面に弾接するようになっている。
第2パネルリップ82は、取付基部5の底壁51の室外側端部から室外側へ向かって底壁51の延長線上に延設されていて、前記第1パネルリップ81と同様に、ドア1の閉時に根元部に設けられた薄肉の基部821を屈曲点として上方へ屈曲し、その反力でもって第2パネルリップ82の先端部822がドアサッシュ11の内側面に弾接するようになっている。
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4によれば、中空シール部6の内周側の一部に、当該中空シール部6の外周側よりも硬質な材料で形成された硬質被膜部64が設けられていて、当該硬質被膜部64が設けられている領域と、当該硬質被膜部64が設けられていない領域とで中空シール部6の剛性を変化させている。これにより、ドア1の閉時において、硬質被膜部64が設けられている箇所は撓み変形し難く、硬質被膜部64が設けられていない箇所は撓み変形し易くして、中空シール部6の撓み変形を適切な姿勢に制御することが可能となる。その結果、ドア1の閉時における中空シール部6の適切な撓み変形が確保されて、中空シール部6が車体パネル2と弾接した際の折れ皺の発生を抑制し、ドアウエザーストリップ4の良好な外観を維持することができる。
以上のように、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4によれば、中空シール部6の内周側の一部に、当該中空シール部6の外周側よりも硬質な材料で形成された硬質被膜部64が設けられていて、当該硬質被膜部64が設けられている領域と、当該硬質被膜部64が設けられていない領域とで中空シール部6の剛性を変化させている。これにより、ドア1の閉時において、硬質被膜部64が設けられている箇所は撓み変形し難く、硬質被膜部64が設けられていない箇所は撓み変形し易くして、中空シール部6の撓み変形を適切な姿勢に制御することが可能となる。その結果、ドア1の閉時における中空シール部6の適切な撓み変形が確保されて、中空シール部6が車体パネル2と弾接した際の折れ皺の発生を抑制し、ドアウエザーストリップ4の良好な外観を維持することができる。
また、中空シール部6の適切な撓み変形が確保されることで、車体パネル2に対する中空シール部6の追従性を向上させることが可能となる。これにより、中空シール部6のシール性の向上や、遮音性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、硬質被膜部64を中空シール部6の内周側にのみ配置することとし、当該硬質被膜部64を中空シール部6の外周側に配置しなかったことで、中空シール部6の外周側に、材質の異なる部位の境界部が形成されるおそれがない。これにより、中空シール部6の撓み変形に伴い前記材質の異なる部位の境界部に発生する「切れ」を防止し、ドアウエザーストリップ4の良好な外観の維持、及び耐久性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態とは逆の態様で、硬質被膜部64を中空シール部6の外周側の一部に配置した場合には、硬質被膜部64が設けられている領域と、硬質被膜部64が設けられていない領域とで、中空シール部6の表面の摩擦係数が変化してしまうため、ドア1の閉時において車体パネル2に弾接した際の中空シール部6の撓み変形の姿勢を制御することが困難となるおそれがあるため、適切ではない。換言すれば、硬質被膜部64を中空シール部6の外周側の一部に配置しても、中空シール部6の表面の摩擦係数の変化により当該中空シール部6の撓み変形の姿勢を適切に制御できず、中空シール部6が車体パネル2と弾接した際の折れ皺の発生を抑制することは困難となる。
加えて、前記硬質被膜部64は、中空シール部6の内周側の一部に設けられているため、中空シール部6の一部の領域の全体を硬質材料で形成する従来と比べて、中空シール部6の反力を極端に増大させるおそれがない。これにより、硬質被膜部64の設定に起因してドア1の閉じ性が悪化する不具合を防止することができる。
また、本実施形態では、硬質被膜部64が、中空シール部6の内周側のうち、ドア1の閉時に中空シール部6が撓み変形するときの屈曲部63を除く位置に設けられているため、硬質被膜部64が中空シール部6の撓み変形を阻害するおそれがない。これにより、中空シール部6の適切な撓み変形が効果的に確保され、その結果、中空シール部6が車体パネルと弾接した際の折れ皺の発生を、より効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、硬質被膜部64が、中空シール部6の内周側のうち、屈曲部63の両側辺部621,622に設けられていることで、当該硬質被膜部64によって屈曲部63の両側辺部621,622の剛性を高めると共に、当該硬質被膜部64が配置されない屈曲部63の剛性を相対的に低下させることが可能となる。これにより、屈曲部63の撓み変形が促進され、中空シール部6の適切な撓み変形を、より効果的に確保することができる。
また、本実施形態では、取付基部5の第1空間部501及び第2空間部502の内周側にも硬質被膜部56が設けられているため、クリップ3により挟持状態に固定される底壁51の剛性を向上させることが可能となる。これにより、ドアウエザーストリップ4の組み付け作業の安定化が図れ、当該ドアウエザーストリップ4をドアサッシュ11に適切に取り付けることが可能となり、ドア1の閉時における中空シール部6の適切な撓み変形を、一層効果的に確保することができる。
さらには、取付基部5の内周側に硬質被膜部56が設けられていることで、底壁51について、押出成形時における引張強度を向上させることができる。これにより、取付基部5の形状の安定化が図れ、とりわけ底壁51については取付孔510の位置及び精度を向上させることが可能となる。その結果、ドアサッシュ11にドアウエザーストリップ4をより適切に取り付け可能となり、ドア1の閉時における中空シール部6の適切な撓み変形が、より一層効果的に確保される。
なお、上記取付基部5に対する硬質被膜部56の設定範囲は、上述したような第1空間部501及び第2空間部502の内周側全周に限定されるものではなく、具体的な図示は省略するが、例えばクリップ3により挟持される底壁51の内側など、第1空間部501及び第2空間部502の内周側の一部の領域に設定することも可能である。そして、かかる構成の場合でも、取付基部5の剛性の向上に寄与できるため、ドアウエザーストリップ4の組み付け作業の安定化に供する。
また、本実施形態では、硬質被膜部56が、取付基部5の第1空間部501及び第2空間部502の内周側の全域にわたって設けられていることにより、取付基部5について、より高い強度を確保することが可能となる。このため、クリップ3により取付基部5をドアサッシュ11に固定する際の組み付け作業性が向上すると共に、当該クリップ3による取付基部5の固定状態が長く適切に維持され、中空シール部6における前記折れ皺の発生を長きにわたって防止することができる。
また、本実施形態では、中空状の取付基部5が、仕切り壁55により2つの空間部(第1空間部501及び第2空間部502)に分割して形成されているため、当該仕切り壁55によって、外部からの騒音に対する減衰効果を高めることができる。すなわち、取付基部5の室外側壁53と室内側壁54との間に仕切り壁55が介在することにより、外部からの騒音が、室外側壁53と室内側壁54に加えて、仕切り壁55によっても減衰されることになり、外部からの騒音がより効果的に減衰され、ドアウエザーストリップ4の遮音性の向上を図ることができる。
さらには、取付基部5の内部に設けられた仕切り壁55により当該取付基部5自体の剛性が向上するため、前記クリップ3による組み付け作業性の向上、及び組み付け強度の向上が図れ、ドアサッシュ11に対してドアウエザーストリップ4をより適切に組み付けることが可能となる。その結果、ドア1の閉時における中空シール部6の適切な撓み変形を、さらに一層効果的に確保することができる。
また、本実施形態では、硬質被膜部56,64がそれぞれEPDMソリッド材により形成されていることで、当該硬質被膜部56,64を例えば高発泡のEPDMスポンジ材によって形成する場合と比べて、硬質被膜部56,64の強度を効果的に高めることができる。これにより、ドアサッシュ11に対するドアウエザーストリップ4の適切な組み付け状態の確保と、中空シール部6の適切な撓み変形の確保に供する。
本発明は、前記実施形態において開示された構成に限定されるものではなく、例えば中空シール部6や各リップ7,81,82の具体的な形状及び配置など、本発明の技術的特徴と直接関係しない細部の具体的な態様については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適用対象である車体の仕様等に応じて自由に変更することができる。
1…フロントドア
11…ドアサッシュ(ドアパネル)
2…車体パネル
3…クリップ
4…ドアウエザーストリップ
5…取付基部
501…第1空間部
502…第2空間部
51…底壁
510…取付孔
56…硬質被膜部
6…中空シール部
63…屈曲部
64…硬質被膜部
11…ドアサッシュ(ドアパネル)
2…車体パネル
3…クリップ
4…ドアウエザーストリップ
5…取付基部
501…第1空間部
502…第2空間部
51…底壁
510…取付孔
56…硬質被膜部
6…中空シール部
63…屈曲部
64…硬質被膜部
Claims (7)
- 車両のドアパネルに取り付けられる取付基部と、前記取付基部に一体に設けられ、ドア閉時において車体パネルに弾接する中空シール部と、を備えたドアウエザーストリップであって、
前記中空シール部の内周側の一部に、前記中空シール部の外周側よりも硬質な材料で形成された硬質被膜部が設けられている、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。 - 請求項1に記載のドアウエザーストリップであって、
前記硬質被膜部は、前記ドア閉時において前記中空シール部が撓み変形するときの屈曲部を除く位置に設けられている、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。 - 請求項2に記載のドアウエザーストリップであって、
前記硬質被膜部は、前記屈曲部の両側に設けられている、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。 - 請求項1に記載のドアウエザーストリップであって、
前記ドアウエザーストリップは、押出成形により均一断面形状を有する長尺状に形成されたものであり、
前記取付基部は、長手方向に延びる中空状を呈し、底壁を貫通する取付孔に挿通されたクリップを介して前記車体パネルに取り付けられ、
前記取付基部の内周側には、少なくとも前記底壁の内側に、前記硬質被膜部が設けられている、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。 - 請求項4に記載のドアウエザーストリップであって、
前記硬質被膜部は、前記取付基部の内周側に、前記中空状の空間を包囲するように全域にわたって設けられている、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。 - 請求項4に記載のドアウエザーストリップであって、
前記取付基部は、幅方向の中間部に設けられた仕切り壁によって前記中空状の空間が第1空間部と第2空間部に分割されていて、前記第1空間部の前記底壁を貫通する前記取付孔に挿通された前記クリップを介して前記車体パネルに取り付けられ、
前記硬質被膜部は、少なくとも前記第1空間部に設けられている、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。 - 請求項1~6のいずれか一項に記載のドアウエザーストリップであって、
前記硬質被膜部は、EPDMソリッド材により形成され、
その他の部位は、EPDMスポンジ材によって形成されている、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2022081969A JP2023170307A (ja) | 2022-05-19 | 2022-05-19 | ドアウエザーストリップ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022081969A JP2023170307A (ja) | 2022-05-19 | 2022-05-19 | ドアウエザーストリップ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=88927944
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2022081969A Pending JP2023170307A (ja) | 2022-05-19 | 2022-05-19 | ドアウエザーストリップ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023170307A (ja) |
-
2022
- 2022-05-19 JP JP2022081969A patent/JP2023170307A/ja active Pending
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