JP2023168758A - コーティング剤、グラフト型ポリマーの製造方法、及びコーティング膜 - Google Patents

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博之 嶋中
Hiroyuki Shimanaka
陽一 田儀
Yoichi Tagi
敬亘 辻井
Takanobu Tsujii
公洋 松川
Koyo Matsukawa
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Abstract

【課題】基材への密着性が良好であるとともに、耐溶剤性、低摩擦性、及び耐摩耗性等の特性に優れた硬化塗膜(皮膜)を形成することが可能な紫外線・電子線硬化性のコーティング剤を提供する。【解決手段】グラフト型ポリマー及び溶剤を含有し、グラフト型ポリマーが、一般式(1)で表される第1ユニットを含み、グラフト型ポリマー中、第1ユニットの割合が、80質量%以上であり、グラフト型ポリマーの数平均分子量が、100,000~5,000,000である紫外線・電子線硬化性のコーティング剤である。TIFF2023168758000038.tif36170(R1は、メチル基等を示し、R2は、炭素数2~4のアルキレンオキシ基等を示し、R3及びR4が結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、[Polymer A]は、メタクリル酸系モノマー等に由来する第1のポリマー鎖を示し、第1のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には不飽和結合が存在する)【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング剤、グラフト型ポリマーの製造方法、及びコーティング膜に関する。
従来、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド、及びこれらの共重合ポリマー等の様々なビニル系モノマーを構成成分とするポリマーは、塗料、グラビアインキ、インクジェットインク等に配合される被覆(コーティング)成分として用いられている。このようなコーティング成分は、例えば、木材、プラスチック、ゴム、金属、陶器、ガラス、及び皮革等の基材の表面保護だけでなく、基材への意匠性付与、材質耐久性向上、美観付与、熱伝導性付与、帯電防止性付与、導電性付与、耐汚染性付与、耐腐食性付与等の目的で用いられている。そして、各種の機能が付与された基材は、建物、建材、構造物、自動車、車両、電気機器、精密機器、食品包装、食品容器、家具、電池材料、電子部品、及び機械部品等の様々な用途に採用されている。
コーティング剤用のビニル系ポリマーや、ビニル系ポリマーを配合したコーティング剤としては、多種多様なものが開発されている。例えば、フッ素特性とシリコーン特性とが高度にバランス化されているとともに、基材への密着性及び強度が良好な塗膜を形成しうる、グラフト共重合体を用いたコーティング剤が提案されている(特許文献1)。また、シリコーンアクリルグラフト共重合樹脂を皮膜成分として含有する皮革用のコーティング剤が提案されている(特許文献2)。さらに、低光沢を付与するアクリル樹脂と、その他のポリマー種とを用いたコーティング剤が提案されている(特許文献3)。
また、パーフルオロ(メタ)アクリレート単位を主成分とする重合体を側鎖に有するとともに、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等と、その他のラジカル重合性単量体との重合体を主鎖とするグラフト共重合体が知られている。さらに、非フッ素系重合体が側鎖であるとともに、パーフルオロ(メタ)アクリレートを必須成分とする重合体を主鎖とするグラフト共重合体が提案されている(特許文献4)。また、パーフルオロ(メタ)アクリレート及びアルキル(メタ)アクリレートを主構成成分とする重合体を側鎖とするグラフト共重合体が提案されている(特許文献5)。
特開2015-013911号公報 特開2016-138242号公報 特開2015-232149号公報 特開平6-228534号公報 特開平9-67417号公報
本発明の課題とするところは、基材への密着性が良好であるとともに、耐溶剤性、低摩擦性、及び耐摩耗性等の特性に優れた硬化塗膜(皮膜)を形成することが可能な紫外線・電子線硬化性のコーティング剤を提供することにある。また、本発明の課題は、上記のコーティング剤に配合されるグラフト型ポリマーの製造方法を提供することにある。さらに、本発明の課題は、上記のコーティング剤を用いて形成される、基材への密着性が良好であるとともに、耐溶剤性、低摩擦性、及び耐摩耗性等の特性に優れた硬化塗膜(皮膜)を含むコーティング膜を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示すコーティング剤が提供される。
[1]グラフト型ポリマー及び溶剤を含有し、前記グラフト型ポリマーが、下記一般式(1)で表される第1ユニットを含み、前記グラフト型ポリマー中、前記第1ユニットの割合が、80質量%以上であり、前記グラフト型ポリマーの数平均分子量が、100,000~5,000,000である紫外線・電子線硬化性のコーティング剤。
Figure 2023168758000001
(前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、R及びRは、相互に独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは任意の繰り返し数を示し、[Polymer A]は、メタクリル酸系モノマー及びメタクリル酸アミド系モノマーの少なくともいずれかのメタクリル系モノマーに由来する、繰り返し数10以上の第1のポリマー鎖を示し、前記第1のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、下記一般式(2)で表される基が存在する)
Figure 2023168758000002
(前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
Figure 2023168758000003
(前記一般式(2)中、Rは、前記メタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基を示す)
[2]前記溶剤が、不飽和結合を有する紫外線・電子線硬化性モノマー及び不飽和結合を有する紫外線・電子線硬化性オリゴマーの少なくともいずれかである前記[1]に記載のコーティング剤。
また、本発明によれば、以下に示すグラフト型ポリマーの製造方法が提供される。
[3]下記一般式(3)で表されるモノマーに由来する第2ユニットを含むポリマー型の重合開始剤の存在下、メタクリル酸系モノマー及びメタクリル酸アミド系モノマーの少なくともいずれかのメタクリル系モノマーを重合して、下記一般式(4)で表される前駆体を得る工程(1)と、前記前駆体にアルカリを反応させて、下記一般式(1)で表される第1ユニットを含むグラフト型ポリマーを得る工程(2)と、を有し、前記グラフト型ポリマー中、前記第1ユニットの割合が、80質量%以上であり、前記グラフト型ポリマーの数平均分子量が、100,000~5,000,000であるグラフト型ポリマーの製造方法。
Figure 2023168758000004
(前記一般式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す)
Figure 2023168758000005
(前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
Figure 2023168758000006
(前記一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、R及びRは、相互に独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは任意の繰り返し数を示し、[Polymer B]は、前記メタクリル系モノマーに由来する、繰り返し数10以上の第2のポリマー鎖を示し、前記第2のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、下記一般式(5)で表される基が存在する)
Figure 2023168758000007
(前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
Figure 2023168758000008
(前記一般式(5)中、Rは、前記メタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基を示し、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す)
Figure 2023168758000009
(前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、R及びRは、相互に独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは任意の繰り返し数を示し、[Polymer A]は、メタクリル酸系モノマー及びメタクリル酸アミド系モノマーの少なくともいずれかのメタクリル系モノマーに由来する、繰り返し数10以上の第1のポリマー鎖を示し、前記第1のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、下記一般式(2)で表される基が存在する)
Figure 2023168758000010
(前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
Figure 2023168758000011
(前記一般式(2)中、Rは、前記メタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基を示す)
[4]前記工程(1)において、さらに、第4級アンモニウム塩及び第4級ホスホニウム塩の存在下で、前記メタクリル系モノマーを重合して、前記グラフト型ポリマー前駆体を得る前記[3]に記載のグラフト型ポリマーの製造方法。
[5]前記アルカリが、ジアザビシクロウンデセン及びジアザビシクロオクタンの少なくともいずれかである前記[3]又は[4]に記載のグラフト型ポリマーの製造方法。
[6]前記一般式(3)で表されるモノマーが、2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)エチルメタクリレートである前記[3]~[5]のいずれかに記載のグラフト型ポリマーの製造方法。
さらに、本発明によれば、以下に示すコーティング膜が提供される。
[7]前記[1]又は[2]に記載のコーティング剤に紫外線又は電子線を照射して硬化させた硬化膜を含むコーティング膜。
[8]前記硬化膜を膨潤させる液媒体をさらに含み、前記液媒体が、水、有機潤滑油、イオン液体、シリコーンオイル、及びフッ素系炭化水素潤滑油からなる群より選択される少なくとも一種である前記[7]に記載のコーティング膜。
本発明によれば、基材への密着性が良好であるとともに、耐溶剤性、低摩擦性、及び耐摩耗性等の特性に優れた硬化塗膜(皮膜)を形成することが可能な紫外線・電子線硬化性のコーティング剤を提供することができる。また、本発明によれば、上記のコーティング剤に配合されるグラフト型ポリマーの製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、上記のコーティング剤を用いて形成される、基材への密着性が良好であるとともに、耐溶剤性、低摩擦性、及び耐摩耗性等の特性に優れた硬化塗膜(皮膜)を含むコーティング膜を提供することができる。
本発明のコーティング剤は、その片末端に不飽和結合を有するポリマー鎖(Polymer A)が主鎖にグラフトしたグラフト型ポリマーを含有するため、紫外線や電子線を照射することで、グラフトしたポリマー鎖どうしが架橋して架橋構造を形成し、基材との密着性や、耐溶剤性等の各種特性が向上した硬化塗膜を形成することができる。また、架橋したポリマー鎖が連結することで、ポリマーどうしの間に液媒体を取り込むことが可能となり、ゲル状に膨潤したコーティング膜を形成することができる。取り込まれた液媒体が、例えば潤滑油として機能すると、コーティング膜は低摩擦性及び潤滑性等の特性を示す。さらに、グラフト型ポリマーを構成するグラフト鎖(Polymer A)の末端に存在する不飽和結合の量(不飽和結合当量)を制御することで、架橋の程度が変動し、保持される液媒体の量(膨潤の程度)が変化する。本発明のコーティング剤を用いることで、基材への密着性や耐溶剤性、低摩擦性、及び耐摩耗性のみならず、例えば、耐水性、耐油性、耐薬品性、耐擦過性、耐汚染性、潤滑性、防曇性、撥水性、撥油性等の特性が向上した硬化塗膜を製造することが期待される。
実施例1で製造したグラフト型ポリマーGP-1の前駆体のH-NMRチャートである。 実施例1で製造したグラフト型ポリマーGP-1のH-NMRチャートである。
<コーティング剤>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明のコーティング剤の一実施形態は、グラフト型ポリマー及び溶剤を含有する紫外線・電子線硬化性のコーティング剤である。グラフト型ポリマーは、一般式(1)で表される第1ユニットを含み、グラフト型ポリマー中、第1ユニットの割合は、80質量%以上である。そして、グラフト型ポリマーの数平均分子量は、100,000~5,000,000である。以下、本実施形態のコーティング剤の詳細について説明する。
(グラフト型ポリマー)
グラフト型ポリマーは、下記一般式(1)で表される第1ユニットを80質量%以上、好ましくは90質量%以上含む。すなわち、グラフト型コポリマーは、一般式(1)で表される構成単位(第1ユニット)を主成分とする、これまでにない性能を発揮しうるポリマーである。このグラフト型ポリマーは、例えば、ボトルブラシ型ポリマー又はシリンダー型ポリマーとも呼ばれ、一般式(1)中の[Polymer A]で表されるポリマー鎖が高密度に主鎖に結合しているため、良溶媒中では伸び切り鎖長に匹敵するほど高度に伸長配向しうる。これにより、圧縮抵抗、超摩擦特性、明確なサイズ排除効果、生体適合性、及び優れた機械的特性等の種々の特性を発揮することが期待される。そして、このグラフト型ポリマーを皮膜形成成分として含有する本実施形態のコーティング剤を用いれば、これまでにない特性を有するコーティング膜を形成することができる。
Figure 2023168758000012
(前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、R及びRは、相互に独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは任意の繰り返し数を示し、[Polymer A]は、メタクリル酸系モノマー及びメタクリル酸アミド系モノマーの少なくともいずれかのメタクリル系モノマーに由来する、繰り返し数10以上の第1のポリマー鎖を示し、前記第1のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、下記一般式(2)で表される基が存在する)
Figure 2023168758000013
(前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
Figure 2023168758000014
(前記一般式(2)中、Rは、前記メタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基を示す)
グラフト型ポリマーの主鎖は、(メタ)アクリロイルオキシ基の不飽和基が重合することで形成されている。すなわち、グラフト型ポリマーは、一般式(1)中の[Polymer A]で表されるグラフト鎖(側鎖)が連結基を介して主鎖にグラフトした構造を有する。
グラフト型ポリマーは、一般式(1)で表される第1ユニット以外のユニット(その他の構成単位)をさらに含んでいてもよい。その他の構成単位を構成するモノマーとしては、ビニル基、ビニリデン基、及びビニレン基等の不飽和結合を有する、ラジカル重合しうる従来公知のモノマーを用いることができる。その他の構成単位を構成するモノマーとしては、スチレン系モノマー、アルカン酸ビニル系モノマー、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、及び(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。
一般式(1)中、nで表される繰り返し数は、2以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましい。繰り返し数nを2以上とすることで、主鎖がポリマーとしてより機能しやすくなる。一般式(1)で表される第1ユニットは、ホモポリマーであってもよいし、その他の構成単位を含むランダム型ポリマーであってもよい。さらに、第1ユニットは、ブロック構造、グラジエント構造、グラフト構造、及び多分岐構造等の構造を有していてもよい。
一般式(1)中、Rで表される炭素数2~4のアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、メチルエチレンオキシ基、テトラメチレンオキシ基、及びメチルプロピレンオキシ基等を挙げることができる。なかでも、汎用性が高く、入手が容易であること等の理由から、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、テトラメチレンオキシ基、メチルプロピレンオキシ基、式(1a)で表される基(ポリエチレンオキシ基)、及び式(1b)で表される基(ポリプロピレンオキシ基)が好ましい。
一般式(1)中、[Polymer A]は、主鎖に結合した(グラフトした)グラフト鎖であり、メタクリル酸系モノマー及びメタクリル酸アミド系モノマーの少なくともいずれかのメタクリル系モノマーに由来する、繰り返し数10以上の第1のポリマー鎖である。
メタクリル酸系モノマーとしては、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-メチルプロピルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、べへニルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロデシルメタクリレート、シクロデシルメチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、t-ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アリルメタクリレート等の脂肪族、脂環族、及び芳香族アルキルメタクリレート;
2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシへキシルメタクリレート等の水酸基を有するメタクリレート;
ポリ(n=2以上)エチレングリコールモノメタクリレート、ポリ(n=2以上)プロピレングリコールモノメタクリレート、ポリ(n=2以上)テトラメチレングリコールモノメタクリレート、モノ又はポリ(n=2以上)エチレングリコールモノ又はポリ(n=2以上)プロピレングリコールランダムコポリマーのモノメタクリレート、モノ又はポリ(n=2以上)エチレングリコールモノ又はポリ(n=2以上)プロピレングリコールブロックコポリマーのモノメタクリレート等のポリアルキレングリコールのモノメタクリレート;
(ポリ)エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノオクチルエーテルメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノラウリルエーテルメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノステアリルエーテルメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノオレイルエーテルメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノステアリン酸エステルメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノノニルフェニルエーテルメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノオクチルエーテルメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノラウリルエーテルメタクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート等の(ポリアルキレン)グリコールモノアルキル、アルキレン、アルキンエーテル又はエステルのモノメタクリレート;
ヒドロキシアルキルメタクリレートに無水マレイン酸、無水コハク酸、及び無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー等のカルボキシ基を有するモノマー;スルホン酸エチルメタクリレート等のスルホン酸基を有するモノマー;(ジ、トリ)(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル等のリン酸基を有するモノマー;
グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、オキセタニルメチルメタクリレート、モルホリノメタクリレート、メチルモルホリノメタクリレート、メチルモルホリノエチルメタクリレート等の酸素原子含有モノマー;
2-アミノエチルメタクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラメチルピペリジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレート、N-エチルモルホリノメタクリレート、塩化トリメチルアミノエチルメタクリレート、塩化ジエチルメチルアミノエチルメタクリレート、塩化ベンジルジメチルアミノエチルメタクリレート、トリメチルアミノエチルメタクリレートメチル硫酸塩等のアミノ基を有するモノマー;
(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、これらのモノマーのイソシアネート基をカプロラクトン等でブロックしたブロック化イソシアネート含有メタクリレート等の窒素原子含有モノマー;等を挙げることができる。
メタクリル酸アミド系モノマーとしては、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、ジヒドロキシフェニルエチルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等を挙げることができる。
一般式(1)中、Rに結合するエステル基の具体例としては、下記式(1-1)~(1-5)で表される基を挙げることができる。下記式(1-1)~(1-5)中、「*」は、一般式(1)中のRとの結合位置を示す。
Figure 2023168758000015
グラフト型ポリマーの数平均分子量(Mn)は、100,000~5,000,000であり、好ましくは200,000~300,000、さらに好ましくは300,000~1,000,000である。グラフト型ポリマーの数平均分子量(Mn)が100,000未満であると、グラフト型ポリマーの特定の構造に由来する性能が発揮されない。一方、グラフト型ポリマーの数平均分子量が5,000,000超であると、コーティング剤の粘度が過剰に高くなり、基材等への塗布が困難になる。なお、本明細書における「数平均分子量(Mn)」及び「重量平均分子量(Mw)」は、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
一般式(1)中、[Polymer A]で表される第1のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、一般式(2)で表される基(不飽和結合)が存在する。その末端に不飽和結合を持った第1のポリマー鎖(グラフト鎖)を有するグラフト型ポリマーを用いることで、第1のポリマーの末端どうしが結合した三次元網目構造が形成されて硬化し、基材との密着性や、耐溶剤性及び耐摩擦性等の耐久性が向上すると考えられる。また、不飽和結合はグラフト鎖の末端に存在するので、グラフト鎖の末端以外の部分は架橋構造を形成しない。このため、架橋構造を形成しないグラフト鎖の末端以外の部分は、液媒体を含んで膨潤しうると考えられる。また、[Polymer A]で表される第1のポリマー鎖の一部の末端にのみ一般式(2)で表される基(不飽和結合)が存在する場合には、液媒体に溶解しうるフリーのポリマーが存在することになり、より多くの液媒体を保持して膨潤すると考えられる。架橋したコーティング膜が液媒体で膨潤すると、コーティング膜中に液媒体が保持されることになる。このため、保持された液媒体が染み出るので、低摩擦性及び潤滑性を示すコーティング膜とすることができる。
一般式(2)中、Rで表される基は、一般式(1)中の[Polymer A]で表される第1のポリマー鎖を構成するメタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基である。例えば、メタクリル系モノマーがメチルメタクリレートである場合、Rは「OCH」である。また、メタクリル系モノマーがN,N-ジメチルアクリルアミドである場合、Rは「(CHN」である。
一般式(1)中、[Polymer A]で表される第1のポリマー鎖の一部の末端にのみ、一般式(2)で表される基が存在することが好ましい。第1のポリマー鎖の一部の末端にのみ、一般式(2)で表される基が存在することで、より優れた液保持性を示すコーティング膜を形成することができるとともに、いわゆる「濃厚ポリマーブラシ」と同様の構成のコーティング膜を形成することができる。
「濃厚ポリマーブラシ」とは、高分子量のポリマーの片末端が基材表面に高密度(0.1本/nm以上)に結合して形成された構造を有する表面膜を意味する。濃厚ポリマーブラシは、液媒体で膨潤することで、高弾性率、極低摩擦性、及びサイズ排除特性等の効果(濃厚ポリマーブラシ効果)を発揮することが知られている。但し、一般的な濃厚ポリマーブラシは、基材の表面活性化及び開始基付与の後、リビングラジカル重合によりポリマーを生成することによって得られるものであり、工程数が多い。これに対して、本実施形態のコーティング剤を用いれば、基材に塗布した後、乾燥及び硬化させるだけで、濃厚ポリマーブラシと同等の性能を有するコーティング膜を形成することができる。さらに、形成されるコーティング膜は架橋構造を含むので、基材への密着性や耐久性も優れている。
グラフト型ポリマーの不飽和結合の量(不飽和結合当量)は、10,000~1,000,000g/molであることが好ましく、50,000~500,000g/molであることがさらに好ましい。一般式(1)中、[Polymer A]で表される第1のポリマー鎖の数平均分子量(Mn)は、3,000~100,000であることが好ましく、5,000~30,000であることがさらに好ましい。また、グラフト型ポリマー及び第1のポリマー鎖の分子量分布(PDI=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、それぞれ、3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。
(溶剤)
溶剤としては、グラフト型ポリマーのグラフト鎖を溶解しうる溶剤を用いることが好ましい。溶剤としては、水、有機溶剤、及び紫外線・電子線硬化性モノマー・オリゴマー等を挙げることができる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;エチレグリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド等のアミド系溶剤;トルエン、キシレン、ヘキサン、イソパラフィン等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールジラウリン酸、トリメチロールプロパントリアセテート等のエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート等のグリコール系溶剤のエステル化物;等を挙げることができる。
なかでも、不飽和結合を有する紫外線・電子線硬化性モノマー及び不飽和結合を有する紫外線・電子線硬化性オリゴマー(以下、纏めて「UVEBモノマー等」とも記す)を溶剤として用いることが好ましい。[Polymer A]で表される第1のポリマー鎖の末端に存在する不飽和結合がUVEBモノマー等と反応して硬化するので、基材との密着性により優れているとともに、耐久性がさらに向上した硬化塗膜を形成することができる。UVEBモノマー等としては、単官能モノマー及び多官能モノマー等を用いることができる。単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アダマンチルメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニロキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、無水フタル酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物、アクリロイルモルホリン等のラジカル重合性モノマーを挙げることができる。
多官能モノマーとしては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(n=2以上)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2以上)ジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(n=2以上)ジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパンジアクリレート、ビス(2-(メタ)アクリロキシエチル)-ヒドロキシエチル-イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型ジエポキシと(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシポリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体に2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタントリ(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートと2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを反応させたウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルジイソシアネートとポリ(n=6-15)テトラメチレングリコールのウレタン化反応物に、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート等のウレタンポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンとコハク酸及び(メタ)アクリル酸を反応させたポリエステル(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンとコハク酸、エチレングリコール、及び(メタ)アクリル酸を反応させたポリエステル(メタ)アクリレート等のポリエステルポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
コーティング剤中、グラフト型ポリマー及び溶剤のそれぞれの含有量は、コーティング剤の塗布方法に適合する粘度に調整するため、又は形成する硬化塗膜を所望の膜厚に調整するため、適宜設定される。25℃におけるコーティング剤の粘度は、3~1,000mPa・sであることが好ましい。グラフト型ポリマーは分子量が大きく、高粘度であるため、コーティングに適した粘度となるように溶剤で希釈することが好ましい。
(添加剤)
コーティング剤には、各種の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、染料や顔料等の着色剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤、光開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤、光増感剤、抗菌剤、防カビ剤、防曇剤、撥水剤、帯電防止剤、導電剤、補強材、無機フィラー、繊維状物質、及び他のポリマー成分等を挙げることができる。
本実施形態のコーティング剤は、紫外線・電子線硬化性のコーティング剤であることから、光開始剤をさらに含有することが好ましい。光開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルエトキシフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイドなどのリン酸化合物;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1;カンファーキノン;等を挙げることができる。光開始剤の種類は、硬化させる光の波長で選択すればよく、複数種を併用してもよい。
本実施形態のコーティング剤は、例えば、グラビアインク、オフセットインク、インクジェットインク、紫外線硬化型インク、電子線硬化型インク、自動車や建築等の油性塗料、水性塗料等に用いられる。また、本実施形態のコーティング剤は、例えば、カラーフィルター材料、エネルギー関係材料、機械部品関係材料、医療機器、医療材料、薬剤関係、ヘルスケア、電池材料、有機EL材料等の様々な分野で用いられるコーティング膜を形成するための材料として有用である。
<グラフト型ポリマーの製造方法>
上述のコーティング剤に用いるグラフト型ポリマーは、以下に示す方法によって製造することができる。すなわち、本発明のグラフト型ポリマーの製造方法の一実施形態は、一般式(3)で表されるモノマーに由来する第2ユニットを含むポリマー型の重合開始剤の存在下、メタクリル酸系モノマー及びメタクリル酸アミド系モノマーの少なくともいずれかのメタクリル系モノマーを重合して、一般式(4)で表される前駆体を得る工程(1)と、工程(1)で得た前駆体にアルカリを反応させて、一般式(1)で表される第1ユニットを含むグラフト型ポリマーを得る工程(2)と、を有する。グラフト型ポリマー中、第1ユニットの割合は、80質量%以上である。そして、グラフト型ポリマーの数平均分子量は、100,000~5,000,000である。以下、本実施形態のグラフト型ポリマーの製造方法の詳細について説明する。
(工程(1))
工程(1)では、下記一般式(3)で表されるモノマーに由来する第2ユニットを含むポリマー型の重合開始剤の存在下、前述のメタクリル系モノマーを重合する。これにより、下記一般式(4)で表される前駆体を得ることができる。
Figure 2023168758000016
(前記一般式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す)
Figure 2023168758000017
(前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
Figure 2023168758000018
(前記一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、R及びRは、相互に独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは任意の繰り返し数を示し、[Polymer B]は、前記メタクリル系モノマーに由来する、繰り返し数10以上の第2のポリマー鎖を示し、前記第2のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、下記一般式(5)で表される基が存在する)
Figure 2023168758000019
(前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
Figure 2023168758000020
(前記一般式(5)中、Rは、前記メタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基を示し、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す)
ポリマー型の重合開始剤の存在下でメタクリル系モノマーを重合すると、一般式(3)中、Xで表される基からポリマーが伸長し、一般式(4)で表される前駆体が形成される。具体的には、一般式(3)中のXで表される基(ハロゲン原子)がラジカルとなって脱離するとともに、ハロゲン原子が結合していた炭素原子がラジカルとなる。そして、生成した炭素原子のラジカルがメタクリル系モノマーと反応してラジカルが生成して、重合が進行する。これにより、一般式(4)で表される前駆体を得ることができる。
一般式(3)で表されるモノマーとしては、汎用性等の観点から、2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)エチルメタクリレートを用いることが好ましい。また、ポリマー型の重合開始剤は、例えば、水酸基やグリシジル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有するポリマーに、2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸(2-ブロモイソ酪酸)類を反応させることによって調製することもできる。2-ブロモイソ酪酸類は、2-ブロモイソ酪酸と水酸基による脱水縮合、2-ブロモイソ酪酸とグリシジル基との開環反応、2-ブロモイソ酪酸クロライドや2-ブロモイソ酪酸ブロマイドの塩基の存在下での脱塩反応、2-ブロモイソ酪酸無水物の付加反応等によって容易に調製することができる。
ポリマー型の重合開始剤は、一般式(3)で表されるモノマーに由来する第2ユニットのみで構成されていてもよく、その他のモノマーに由来するユニット(その他のユニット)をさらに含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、前述のスチレン系モノマー、アルカン酸ビニル系モノマー、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、及び(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。ポリマー型の重合開始剤の構造は、ランダム構造、ブロック構造、グラジエント構造、グラフト構造、星形構造、及び多分岐型構造等の様々な構造であってもよい。
ポリマー型の重合開始剤の存在下でメタクリル系モノマーを重合する方法は、いわゆるリビングラジカル重合方法であり、好ましくは原子移動ラジカル重合法(ATRP法)と呼ばれるリビングラジカル重合方法である。このATRP法では、有機ハロゲン化物を開始基として用いるとともに、ポリアミンをリガンドとする銅イオンやルテニウムイオン等の金属イオンの錯体(金属錯体)を触媒として用いる。この触媒がポリマー型の重合開始剤からX(ハロゲン原子)をラジカルとして引き抜き、金属イオンの価数を変化させて金属ハロゲン化物塩の構造を安定化させる。そして、Xが引き抜かれて生成した炭素ラジカルにメタクリル系モノマーが付加して重合が進行する。但し、生成した炭素ラジカルは不安定であるため、金属ハロゲン化物塩となった触媒からXをラジカルとして引き抜いて結合し、元の開始基となって安定化してラジカル重合の停止反応が防止される。なお、Xが引き抜かれた触媒の金属イオンの価数は元に戻る。すなわち、ATRP法は酸化還元反応を利用した重合方法であり、酸化還元反応の繰り返しにより、ポリマー型の重合開始剤の開始基からモノマーが重合反応して第2のポリマー鎖が伸長する。この重合反応ではラジカル濃度が低い状態であるため、1~数分子ずつメタクリル系モノマーが付加して成長し、分子量が比較的均一な第2のポリマー鎖が生成する。
金属錯体としては、周期律表第7族~第11族元素を中心金属とする金属錯体を用いることができる。具体的には、一価の銅、二価の銅、二価のルテニウム、二価の鉄、及び二価のニッケルを含む金属錯体を挙げることができる。なかでも、安価で入手の容易な一価の銅及び二価の銅を含む金属錯体が好ましく、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、及びヨウ化第二銅がさらに好ましい。メタクリル系モノマー100質量部に対する金属錯体の量は、0.001~0.1質量部とすることが好ましい。
銅の金属錯体を触媒として用いる場合には、金属錯体を形成させるリガンドとしてポリアミンを用いる。ポリアミンとしては、2,2-ビピリジン、ジノニルビピリジン、フェナントロリン、トリジメチルアミノエチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン、トリス(2-ピコリル)アミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン等を挙げることができる。
重合時には、触媒の失活を防ぐために還元剤を用いてもよい。還元剤としては、ジラウリン酸スズ、アスコルビン酸等を挙げることができる。また、重合活性を高めるべく、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤を添加してもよい。ATRP法は、バルク重合であってもよく、有機溶剤等を用いる溶液重合であってもよい。但し、有機溶剤に有機塩を溶解させた溶媒を用いることが好ましい。
ATRP法の場合、用いた銅化合物等を除去することが必要となる。このため、ハロゲン化第4級アンモニウムイオン及びハロゲン化第4級ホスフォニウムイオンの少なくともいずれかのイオン化合物を用いる、ハロゲン交換を介するリビングラジカル重合法によって一般式(4)で表される前駆体を得ることが好ましい。ハロゲン交換を介するリビングラジカル重合法は、一般式(3)で表されるポリマー型重合開始剤中のハロゲン原子(X)が、上記のイオン化合物中のハロゲン原子と交換する際にメタクリル系モノマーが挿入されて重合する方法である。銅化合物等の金属化合物を使用することなく、一般式(4)で表される前駆体を得ることができるために好ましい。
ハロゲン化第4級アンモニウム塩としては、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラオクチルアンモニウム、塩化ノニルピリジニウム、及び塩化コリン等を挙げることができる。また、ハロゲン化第4級ホスホニウム塩としては、塩化テトラフェニルホスホニウム、臭化メチルトリブチルホスホニウム、及びヨウ化テトラブチルホスホニウム等を挙げることができる。
これらの塩としては、ヨウ化物塩を用いることが好ましい。ヨウ化物塩を用いることで、リビングラジカル重合が進行し、分子量分布がより狭い前駆体を得ることができる。なかでも、ヨウ化第4級アンモニウム塩やヨウ化第4級ホスホニウム塩等の、重合時に用いる溶媒に溶解しうる塩を用いることが好ましく、ヨウ化第4級アンモニウム塩を用いることがさらに好ましい。ヨウ化第4級アンモニウム塩としては、ヨウ化ベンジルテトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラオクチルアンモニウム、ヨウ化デドシルトリメチルアンモニウム、ヨウ化オクタデシルトリメチルアンモニウム、ヨウ化トリオクダデシルメチルアンモニウム等を挙げることができる。
重合温度は60℃以上とすることが好ましい。重合用の溶媒としては、有機溶剤を用いることが好ましい。重合時の溶媒の量は、重合反応系の全体を基準として、30~80質量%とすることが好ましく、40~70質量%とすることがさらに好ましい。溶媒の量が30質量%未満であると、固形分の量が多すぎて粘度が高くなりすぎる場合がある。一方、溶媒の量が80質量%超であると、モノマー濃度が低くなりすぎてしまい、重合率が低下する場合がある。活性度を高めるとともに、より濃厚で高分子量の前駆体を得る観点から、イオン化合物の量は、重合開始基に対して0.1~1.0モル倍とすることが好ましい。形成した前駆体は、そのまま(溶媒に溶解した状態のまま)であってもよく、貧溶媒中に析出させて取り出した後、他の溶剤に溶解させてもよい。
一般式(4)中、[Polymer B]で表される第2のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、下記一般式(5)で表される基が存在する。第2のポリマー鎖のすべての末端に一般式(5)で表される基が存在していることが好ましい。但し、ラジカル重合の停止反応である水素引き抜きの不均化反応が生ずるので、一般式(4)中のXが水素原子となっている末端も一部に存在しうる。
Figure 2023168758000021
(前記一般式(5)中、Rは、前記メタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基を示し、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す)
(工程(2))
工程(2)では、上述の工程(1)で得た前駆体にアルカリを反応させる。これにより、下記式で表される脱ハロゲン化水素反応が生じて、一般式(1)で表される第1ユニットを含むグラフト型ポリマーを得ることができる。なお、下記式中のRは、一般式(5)中のRと同義である。
Figure 2023168758000022
アルカリとしては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン等の有機アミン化合物;等を挙げることができる。なかでも、ジアザビシクロウンデセン及びジアザビシクロオクタンの少なくともいずれかが、強塩基化合物であり、少量を使用するのみで効率的に脱ハロゲン化水素反応が生ずるために好ましい。前述の工程(1)で得た前駆体の溶液に、ハロゲン末端に対して0.1~10mol%のアルカリを添加し、好ましくは加熱して脱ハロゲン化水素反応を生じさせればよい。
<コーティング膜>
本発明のコーティング膜の一実施形態は、上述のコーティング剤に紫外線又は電子線を照射して硬化させた硬化膜を含む。以下、本実施形態のコーティング膜の詳細について説明する。
本実施形態のコーティング膜は、例えば、前述のコーティング剤を基材等の上に塗布し、必要に応じて乾燥して塗膜を形成する。次いで、形成した塗膜に紫外線・電子線を照射し、コーティング剤に含まれるグラフト型ポリマーの不飽和結合を利用して架橋硬化させることによって形成することができる。コーティング剤が、紫外線・電子線硬化性モノマー及び不飽和結合を有する紫外線・電子線硬化性オリゴマーの少なくともいずれかの溶剤を含有する場合には、紫外線・電子線の照射によって、これらの紫外線・電磁線硬化性のモノマー等も硬化させてコーティング膜の一部とすることができる。
基材としては、プラスチック成形体等の樹脂成形品、木材系製品、繊維、セラミックス、ガラス、金属、及びこれらの複合物や積層体等を挙げることができる。基材とコーティング膜との密着性を高めるべく、基材の表面をコロナ処理、プラズマ処理、及び化学薬品処理等の活性化処理してもよい。
コーティング剤を基材に塗布する方法としては、刷毛塗、スプレー塗装、ディプコート、フローコート、ロール塗、カーテンコート、スピンコート、インクジェット等の各種塗装方法がある。コーティング剤の塗布後、従来公知の方法によって乾燥し、溶剤等を除去して乾燥膜とすることが好ましい。
コーティング剤を塗布して形成する塗膜の厚さは、例えば、0.1~50μmであることが好ましい。塗膜の厚さが0.1μm未満であると、欠損が生じやすくなることがあるとともに、紫外線・電子線の吸収能がやや低下する場合がある。一方、塗膜の厚さが50μm超であると、ひび割れが発生しやすくなる場合がある。硬さ、耐擦傷性、長期的に安定な密着性、及びクラックが発生しにくい等の性質を持たせるためには、塗膜の厚さは1~30μmであることがさらに好ましい。
形成した塗膜に紫外線や電子線を照射して硬化させることで、硬化膜(硬化塗膜)を形成することができる。紫外線や電子線は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンアーク、カーボンアーク、LEDランプ等の光源を用いて照射することができる。紫外線や電子線の照射量は、100~10,000mJ/cmとすることが好ましく、300~5,000mJ/cmとすることがさらに好ましい。
本実施形態のコーティング膜は、硬化膜を膨潤させる液媒体をさらに含むことが好ましい。コーティング剤に含まれるグラフト型ポリマーは、前述の通り、液媒体を保持して膨潤しうるポリマーである。このため、液媒体を保持して膨潤することによって、低摩擦性のコーティング膜とすることができる。
液媒体は、グラフト型ポリマーと親和する液媒体であることが好ましい。また、液媒体としては、潤滑油として機能しうる液媒体を用いることが好ましい。液媒体としては、水、有機潤滑油、イオン液体、シリコーンオイル、及びフッ素系炭化水素潤滑油からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
有機潤滑油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリα-オレフィン、ポリブテン、イソパラフィン、エチレンプロピレンオレフィンコポリマー、及びエチレンとα-オレフィンのコポリマーの他;ジオクチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジトリデシルグルタレート等の二塩基酸エステル;トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンオレート、ペンタエリスリトール2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリールモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコールジアルキルエーテル等のポリグリコール;モノアルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル等のフェニルエーテル;等を挙げることができる。
イオン液体は、不揮発性かつイオン性の液体であり、潤滑油として使用される。イオン液体としては、テトラメチルアンモニウム塩、エチルテトラメチルアンモニウム塩、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリブチルメチルアンモニウム塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、オクチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ベンジルドデシルジメチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、セチルピリジニウム塩、メチル4-メチルピリジニウム塩、ジメチルイミダゾリウム塩、エチルメチルイミダゾリウム塩、ブチルメチルイミダゾリウム塩等を第4級アンモニウム塩カチオンとし、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラホウ素イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン等のアニオンを対イオンとする、室温で液状のイオン性液体を用いることが好ましい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等を挙げることができる。フッ素系炭化水素潤滑油としては、パーフルオロエーテル等を挙げることができる。これらの潤滑油等の液媒体には、防錆剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、腐食防止剤、固体潤滑剤、金属不活性化剤等の添加剤を配合してもよい。
紫外線・電子線を照射して硬化させた硬化膜に液媒体を吹き付けたり、硬化膜を液媒体中に浸漬させたりすることによって、硬化膜を液媒体で膨潤させることができる。必要に応じて、余分な液媒体をスピンコータで振り切ったり、ティッシュや不織布で吸い取ったりしてもよい。液媒体で膨潤することで、硬化膜(コーティング膜)の膜厚は増大する。具体的には、膜厚が1.1~3.0倍に増加する
本実施形態のコーティング膜は、例えば、低摩擦性、防曇性、撥水性、撥油性、耐汚染性、サイズ排除特性、タンパク質付着防、抗菌性、高ウイルス性等の性能を発揮することが期待されるため、これらの性能が発揮される分野に適用するための材料として好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<ポリマー型の重合開始剤の合成>
(合成例1)
反応装置にメチルエチルケトン(MEK)335部を入れ、60℃に昇温した。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)エチルメタクリレート500部及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(商品名「V-65」、富士フイルム和光純薬社製)(V-65)2.5部の混合液を1時間かけて反応装置に滴下した後、9時間重合してポリマーを含有する溶液を得た。別容器にメタノール5,000部を入れ、ディスパーで撹拌しながら上記の溶液を徐々に添加してポリマーを析出させた。ろ過及び洗浄した後、50℃の送風乾燥機で24時間乾燥させて、白色で粉末状の固体であるポリマー型の重合開始剤1を得た。テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重合開始剤1の数平均分子量(Mn)は18,000であり、分子量分布(PDI=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は1.80であった。
(合成例2)
反応装置に3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(MDPA)592部、ヨウ素0.8部、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(商品名「V-70」、富士フイルム和光純薬社製)(V-70)3.0部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル250部、及びN-ヨードスクシンイミド0.18部を入れ、窒素をバブリングしながら65℃で7時間重合した。ピリジン227部を添加し、氷浴して5℃まで冷却した。2-ブロモイソ酪酸ブロミド485部を、10℃を超えないように3時間かけて滴下した。そのままの温度で2時間撹拌した後、45℃に加温して1時間反応させ、ポリマーを含有する溶液を得た。室温まで冷却した後、メタノール500部を添加して撹拌した。別容器にメタノール5,000部を入れ、ディスパーで撹拌しながら上記の溶液を徐々に添加してポリマーを析出させた。ろ過及び洗浄した後、50℃の送風乾燥機で24時間乾燥させて、白色で粉末状の固体であるポリマー型の重合開始剤2を得た。GPCにより測定した重合開始剤2のMnは37,000であり、PDIは1.35であった。
<グラフト型ポリマーの製造>
(実施例1)
反応装置に、重合開始剤1 17部及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(DPDG)516部を入れ、窒素をバブリングしながら溶解させた。メタクリル酸メチル(MMA)180部及びテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)12部を添加し、80℃で6時間重合した。反応液の一部を大過剰のメタノールに添加して、前駆体を析出させた。
反応液の残部を室温まで冷却し、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)24部を添加し、室温で12時間撹拌した。別容器にメタノール5,000部を入れ、ディスパーで撹拌しながら、上記の反応液を徐々に添加してポリマーを析出させた。ろ過及び洗浄した後、50℃の送風乾燥機で24時間乾燥させて、白色で粉末状の固体であるグラフト型ポリマーGP-1を得た。GPCにより測定したグラフト型ポリマーGP-1のMnは365,000であり、PDIは1.62であった。
前駆体及びグラフト型ポリマーGP-1を重クロロホルムにそれぞれ溶解させて、H-NMRを測定した。前駆体のH-NMRチャートを図1に示す。また、グラフト型ポリマーGP-1のH-NMRチャートを図2に示す。図1に示すように、前駆体には不飽和結合の存在が認められなかった。一方、前駆体を脱ハロゲン化水素化して得たグラフト型ポリマーGP-1では、図2に示すように、5.65ppm及び6.16ppmに不飽和結合(ビニル基)の2つのプロトンピークを確認することができた。これにより、グラフト型ポリマーGP-1にグラフトしたポリマー鎖の末端に不飽和結合が存在していることを確認した。さらに、メチルエステル基中のプロトンに由来するピーク(3.7ppm)から算出したプロトン数と、ビニル基のプロトン数とから算出したグラフト型ポリマーGP-1の不飽和結合当量は、76,700g/molであった。
(実施例2)
MMAに代えてメタクリル酸ラウリル(LMA)を用いたこと、及びTBAIに代えてテトラオクチルアンモニウムヨージド(TOAI)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、グラフト型ポリマーGP-2を得た。
(実施例3)
LMAに代えて、ポリジメチルシロキサンモノメタクリレート(商品名「X-22-174ASX」、信越シリコーン社製、官能基当量:約900)(PDMSMA)を用いたこと以外は、前述の実施例2と同様にして、グラフト型ポリマーGP-3を得た。
(実施例4)
反応装置に、重合開始剤2 17部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)516部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタクリレート(商品名「PME-400」、日油社製、オキシエチレン単位の繰り返し数≒9)(PEGMA)180部、及びTOAI12部を入れ、80℃で6時間重合させた。室温まで冷却した後、DBU24部を添加して室温で12時間撹拌した。反応液をヘキサン中に添加して析出させた析出物をろ過及び洗浄した後、乾燥させて、グラフト型ポリマーGP-4を得た。
(実施例5)
反応装置に、重合開始剤2 17部、DMDG516部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)180部、及びTOAI12部を入れ、80℃で6時間重合させた。室温まで冷却した後、DBU24部を添加して室温で12時間撹拌した。反応液をヘキサン中に添加して析出した析出物をろ過及び洗浄した後、乾燥させて乾燥物を得た。得られた乾燥物をエタノール420部に溶解させた後、塩化ベンジル(BzCl)152部を1時間かけて滴下した。80℃で4時間反応させた後、室温まで冷却し、ヘキサン中に添加した。析出物をろ過及び洗浄した後、乾燥させて、グラフト型ポリマーGP-5を得た。
(比較例1)
DBUを添加しなかったこと以外は、前述の実施例1と同様にして、その末端に不飽和結合を有しないポリマー鎖を持ったグラフト型のポリマーC-1を得た。
(比較例2)
重合開始剤1に代えて、2-ブロモイソ酪酸エチル(EBiB)12部用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、直鎖状のポリマーC-2を得た。
実施例1~5、比較例1及び2で得た(グラフト型)ポリマーの詳細を表1に示す。
Figure 2023168758000023
<コーティング剤の調製>
(実施例6~10、比較例3及び4)
表2に示す配合(単位:質量%)にしたがって各成分を混合し、コーティング剤を調製した。表2中の各成分の詳細を以下に示す。
・Irgacure 2959:2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、BASF Japan社製
・Irgacure 651:2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、BASF Japan社製
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、東京化成工業社製
・PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル、日本乳化剤社製
・ISOPAR E:イソパラフィン系溶剤、安藤パラケミー社製
Figure 2023168758000024
<試験片の作製>
バーコーターを使用して、表面易接着処理PETフィルム(商品名「コスモシャインA4360」、東洋紡社製、厚さ:100μm)上に乾燥膜厚3μmとなるようにコーティング剤を塗工した。100℃のオーブン内で1分間乾燥した後、160W/cmのメタルハライドランプを使用し、積算光量2000mJ/cmになるように光照射した。これにより、コーティング剤を硬化させて硬化塗膜を形成し、試験片を得た。
<評価>
(密着性)
カッターナイフを使用して硬化塗膜をクロスカットした後、カットした部分にセロハンテープを貼り付けた。貼り付けたセロハンテープを引き剥がした後、硬化塗膜の剥離具合を目視にて確認し、以下に示す評価基準にしたがって硬化塗膜の密着性を評価した。結果を表4に示す。
○:硬化塗膜の剥離がなかった。
△:硬化塗膜の剥離があったが、剥離面積は20%未満であった。
×:硬化塗膜の剥離面積が20%以上であった。
(耐溶剤性)
キシレンを含ませた脱脂綿を使用して、作製した試験片上の硬化塗膜の表面を荷重50g/cmで50回ラビングした。ラビング後の硬化塗膜の外観を目視にて観察し、以下に示す評価基準にしたがって、硬化塗膜の耐溶剤性を評価した。結果を表4に示す。
○:硬化塗膜に著しい変化は認められなかった。
×:硬化塗膜の膨潤又は剥離が認められた。
(低摩擦性)
表3に示す種類の潤滑油等の液媒体で硬化塗膜を膨潤させた。トライボメータ(商品名「TRB」、アントンパール・ジャパン社製)を使用してボールオンディスク試験(往復摺動、荷重:5N、ボール径:6mm、摺動速度:20mm/sec、100往復)を実施し、以下に示す評価基準にしたがって、硬化塗膜の低摩擦性を評価した。結果を表4に示す。
○:摩擦係数が0.05未満であった。
×:摩擦係数が0.05以上であった。
表3中の各成分の詳細を以下に示す。
・MEMP-TFSI:N-(2-メトキシエチル)-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、関東化学社製
・ユニスターH327R:ポリオールエステル、日油社製
・KF-96:ポリジメチルシロキサン、信越シリコーン社製
Figure 2023168758000025
(耐摩耗性)
前述の「低摩擦性」の評価と同様に、ボールオンディスク試験を実施した。
試験後の硬化塗膜の外観を目視にて観察し、以下に示す評価基準にしたがって硬化塗膜の耐摩耗性を評価した。結果を表4に示す。
○:摩耗痕が認められなかった。
×:摩耗痕が認められた。
Figure 2023168758000026
本発明のコーティング剤及びコーティング膜は、例えば、自動車、航空機、電子機器、家電、電池部材、医療用材料、ディスプレイ材料等の部品に適用する材料として有用である。また、本発明のグラフト型ポリマーの製造方法は、安価な装置、安価な材料で濃厚ポリマーブラシ効果を有するグラフト型ポリマーを得ることができることから、大量生産に適しており、濃厚ポリマーブラシ効果を示すコーティング剤を市場に展開するための製造方法として期待される。

Claims (8)

  1. グラフト型ポリマー及び溶剤を含有し、
    前記グラフト型ポリマーが、下記一般式(1)で表される第1ユニットを含み、
    前記グラフト型ポリマー中、前記第1ユニットの割合が、80質量%以上であり、
    前記グラフト型ポリマーの数平均分子量が、100,000~5,000,000である紫外線・電子線硬化性のコーティング剤。
    Figure 2023168758000027
    (前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、R及びRは、相互に独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは任意の繰り返し数を示し、[Polymer A]は、メタクリル酸系モノマー及びメタクリル酸アミド系モノマーの少なくともいずれかのメタクリル系モノマーに由来する、繰り返し数10以上の第1のポリマー鎖を示し、前記第1のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、下記一般式(2)で表される基が存在する)
    Figure 2023168758000028
    (前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
    Figure 2023168758000029
    (前記一般式(2)中、Rは、前記メタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基を示す)
  2. 前記溶剤が、不飽和結合を有する紫外線・電子線硬化性モノマー及び不飽和結合を有する紫外線・電子線硬化性オリゴマーの少なくともいずれかである請求項1に記載のコーティング剤。
  3. 下記一般式(3)で表されるモノマーに由来する第2ユニットを含むポリマー型の重合開始剤の存在下、メタクリル酸系モノマー及びメタクリル酸アミド系モノマーの少なくともいずれかのメタクリル系モノマーを重合して、下記一般式(4)で表される前駆体を得る工程(1)と、
    前記前駆体にアルカリを反応させて、下記一般式(1)で表される第1ユニットを含むグラフト型ポリマーを得る工程(2)と、を有し、
    前記グラフト型ポリマー中、前記第1ユニットの割合が、80質量%以上であり、
    前記グラフト型ポリマーの数平均分子量が、100,000~5,000,000であるグラフト型ポリマーの製造方法。
    Figure 2023168758000030
    (前記一般式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す)
    Figure 2023168758000031
    (前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
    Figure 2023168758000032
    (前記一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、R及びRは、相互に独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは任意の繰り返し数を示し、[Polymer B]は、前記メタクリル系モノマーに由来する、繰り返し数10以上の第2のポリマー鎖を示し、前記第2のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、下記一般式(5)で表される基が存在する)
    Figure 2023168758000033
    (前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
    Figure 2023168758000034
    (前記一般式(5)中、Rは、前記メタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基を示し、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す)
    Figure 2023168758000035
    (前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2~4のアルキレンオキシ基、下記式(1a)で表される基、又は下記式(1b)で表される基を示し、R及びRは、相互に独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示すとともに、R及びRが結合する炭素原子は、第3級炭素原子又は第4級炭素原子であり、nは任意の繰り返し数を示し、[Polymer A]は、メタクリル酸系モノマー及びメタクリル酸アミド系モノマーの少なくともいずれかのメタクリル系モノマーに由来する、繰り返し数10以上の第1のポリマー鎖を示し、前記第1のポリマー鎖の少なくとも一部の末端には、下記一般式(2)で表される基が存在する)
    Figure 2023168758000036
    (前記式(1a)及び(1b)中、mは、2以上の数を示す)
    Figure 2023168758000037
    (前記一般式(2)中、Rは、前記メタクリル系モノマーに由来するカルボキシ基、エステル基、又はアミド基を示す)
  4. 前記工程(1)において、さらに、第4級アンモニウム塩及び第4級ホスホニウム塩の存在下で、前記メタクリル系モノマーを重合して、前記グラフト型ポリマー前駆体を得る請求項3に記載のグラフト型ポリマーの製造方法。
  5. 前記アルカリが、ジアザビシクロウンデセン及びジアザビシクロオクタンの少なくともいずれかである請求項3に記載のグラフト型ポリマーの製造方法。
  6. 前記一般式(3)で表されるモノマーが、2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)エチルメタクリレートである請求項3~5のいずれか一項に記載のグラフト型ポリマーの製造方法。
  7. 請求項1又は2に記載のコーティング剤に紫外線又は電子線を照射して硬化させた硬化膜を含むコーティング膜。
  8. 前記硬化膜を膨潤させる液媒体をさらに含み、
    前記液媒体が、水、有機潤滑油、イオン液体、シリコーンオイル、及びフッ素系炭化水素潤滑油からなる群より選択される少なくとも一種である請求項7に記載のコーティング膜。
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