JP2023167855A - アセトン水素化触媒及びイソプロパノールの製造方法 - Google Patents

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Atsushi Okamura
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Abstract

【課題】アセトン水素化反応において、高い活性を有し、低温域、例えば外部からの加熱をおこなわない場合であっても、イソプロパノールを製造することが出来る触媒を提供することを目的とする【解決手段】周期表10族の金属元素と、酸強度(H0定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含むアセトン水素化触媒。【選択図】なし

Description

本発明は、アセトン接触水素化によるイソプロパノール製造に有用な周期表10族の金属元素担持触媒、及び、当該触媒を用いたアセトン接触水素化によるイソプロパノールの製造方法に関する。
アセトンを水素共存下、触媒を用いて水素化してイソプロパノールを得る反応は古くから知られている(特許文献1)。触媒としては、ニッケル系触媒(特許文献1)、銅系触媒(特許文献2)、ルテニウム系触媒(特許文献3)、白金系触媒(特許文献4)が開示されている。
アセトン水素化反応の反応方式としては、液相での回分反応、トリクルベッド反応(特許文献5)に関するものが多く開示されている。
一方、気相で実施することについては、アセトン水素化反応に有効な触媒を用いたイソプロパノール製造法に関する提案はあまりなされていなかった(特許文献6)。
特開昭62―012729号公報 特開2010―077055号公報 特開2000―103751号公報 特開2009―207976号公報 特開平2―270829号公報 特開2002―128716号公報
アセトン水素化反応において、例えば、トリクルベッド反応を含む液相でのアセトン水素化反応では、触媒成分の溶出が起こりやすく、触媒活性の低下を抑制することは困難であった。気相反応においては、効率的にアセトン水素化によるイソプロパノール製造を行うことができる触媒には、依然、改善の余地があった。
よって、本発明は、アセトンの水素化反応において、高い活性を有し、低温域、例えば外部からの加熱をおこなわない場合であっても、イソプロパノールを製造することが出来る触媒を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に想到した。すなわち、本開示の触媒は、周期表10族の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含むアセトン水素化触媒である。
本発明によれば、低温域、例えば外部からの加熱を行わない室温付近の低温域でもアセトンを水素化してイソプロパノールを製造することができるアセトンの水素化触媒を提供することが可能となる。
以下、本開示を詳細に説明する。なお、以下において記載する本開示の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本開示の好ましい形態である。
[アセトン水素化触媒]
<周期表10族元素>
本開示のアセトン水素化触媒(以下、本開示の触媒ともいう)は、周期表10族に属する少なくとも1種の金属元素を含む。周期表10族に属する金属元素としては、Ni、Pd、Ptが挙げられる。本開示の触媒は、周期表10族に属する金属元素を1種のみ含んでも良く、2種以上含んでも良い。
本開示の触媒に含まれる周期表10族に属する金属元素の形態は特に制限されないが、例えば、金属として含まれていてもよく、酸化物として含まれていてもよい。
本開示の触媒に含まれる周期表10族の金属元素の割合は、本開示の触媒の総量に対し、0.1~20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2~10質量%であり、さらに好ましくは0.3~5質量%である。
本開示の触媒は、Ptを含むことがより好ましい。
本開示の触媒は、その他金属元素を含んでいてもよい。例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等の周期表1族に属する金属元素;Be、Mg、Ca、Sr、Ba等の周期表2族に属する金属元素;Sc、Y、La、Ce等の周期表3族に属する金属元素;Ti、Zr、Hf等の周期表4族に属する金属元素;V、Nb、Ta等の周期表5族に属する金属元素;Cr、Mo、W等の周期表6族に属する金属元素;Mn、Tc、Re等の周期表7族に属する金属元素;Fe、Ru、Os等の周期表8族に属する金属元素;Co、Rh、Ir等の周期表9族に属する金属元素;Cu、Ag、Au等の周期表11族に属する元素;Zn、Cd、Hg等の12族元素;Al、Ga、In、Tl等の周期表13族に属する金属元素、Sn、Pb等の周期表14族に属する金属元素等が挙げられる。
本開示の触媒は、その他金属元素を1種のみ含んでも良く、2種以上含んでも良い。本開示の触媒に含まれるその他金属元素の形態は特に制限されないが、例えば、金属として含まれていてもよく、酸化物として含まれていてもよい。
本開示の触媒に含まれる、その他金属元素の割合は本開示の触媒の総量に対し、0.1~20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2~15質量%であり、さらに好ましくは0.3~10質量%である。
本開示の触媒に含まれるその他金属元素として、好ましくは、周期表1族、周期表2族、周期表3族、周期表8族が挙げられる。
本開示の触媒は、前記金属元素が後述する金属酸化物や担体として含まれていてもよい。
<金属酸化物>
本開示の触媒には、金属酸化物を含む。本開示の触媒は、金属酸化物を1種のみ含んでも良く、2種以上含んでも良い。
本開示の触媒には、酸強度(H)(以下、単に「酸強度」または「H」という場合もある)が、+7.2以上である金属酸化物を1又は2以上含む。
本開示の触媒に含まれる金属酸化物は、より好ましくは、金属酸化物の酸強度は、+7.2以上であることが好ましく、より好ましくは+8.0以上である。一方、+22.3以下であることが好ましく、より好ましくは+17.2以下である。
本開示の金属酸化物の形状は特に限定されないが、例えば、粉体状、粒子状、ペレット形状、ハニカム形状などが挙げられる。 本開示の金属酸化物の結晶構造は特に限定されないが、例えば、正方晶、六方晶、三方晶、斜方晶、単斜晶、三斜晶、ウルツ鉱型結晶などが挙げられる。本開示の金属酸化物としては、単独金属酸化物であってもよく、複合金属酸化物であってもよい。
本開示の触媒に含まれる金属酸化物としては、好ましくは、周期表2族~15族に属する金属元素の酸化物であり、より好ましくは、周期表2族~4族に属する金属元素の酸化物である。
本開示の触媒に含まれる金属酸化物としては、具体的には、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化ランタン(La)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、CeO-ZrOなどが挙げられる。より好ましくは、CeO、ZrO、MgOであり、さらに好ましくは、CeO、ZrOである。
本開示の触媒に含まれる、金属酸化物の割合は、本開示の触媒の総量に対し、50~99.9質量%であることが好ましく、より好ましくは60~99質量%であり、さらに好ましくは70~95質量%である。
本開示の触媒に含まれる金属酸化物は、前記金属元素を担持する担体であることが好ましい。担体の比表面積としては、1~500m/gであることが好ましく、より好ましくは、2~400m/gであり、さらに好ましくは、5~300m/gである。
<アセトン水素化触媒の好ましい形態の例示>
本開示のアセトン水素化触媒の好ましい形態として、下記の(1)~(4)が例示される。
(1)周期表10族の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含むアセトン水素化触媒。
(2)周期表10族の金属元素の含有量が0.1~10質量%である前記(1)に記載のアセトン水素化触媒。
(3)金属酸化物が、酸化ジルコニウム、および/または、酸化セリウムである前記(1)又は(2)に記載のアセトン水素化触媒。
(4)周期表10族の金属元素が、白金である前記(1)~(3)に記載のアセトン水素化触媒。
[アセトン水素化触媒の製造方法]
本開示のアセトン水素化触媒の製法は特に制限されず、公知の方法で製造しても良い。例えば、固相反応法、含浸法、沈殿法、共沈法などによって製造することができる。例えば、構成する元素の酸化物や炭酸塩などの固体原料を混合し焼成する方法、構成する元素の一つの酸化物に別の構成元素の塩を含む水溶液を添加して混合・含浸し、乾燥、焼成する方法、構成する元素の塩を含む水溶液を混合し、pH調整し沈殿物を得た後、沈殿物を乾燥、焼成する方法、等により製造しても良い。前記構成する元素もしくは構成元素としては、周期表第10族に属する金属元素、その他の金属元素、金属酸化物を構成する金属元素等が例示される。周期表第10族に属する金属元素を含む化合物の溶液やスラリーと、必要に応じて金属の酸化物を混合し、乾燥させた後に焼成する方法により製造しても良い。
前記周期表10族に属する金属元素を含む化合物としては、特に限定されないが、塩化白金酸、塩化白金酸ナトリウム、塩化白金酸カリウム、塩化白金酸アンモニウム、ヘキサヒドロオクソ白金酸、ジニトロジアンミン白金硝酸、ヘキサアンミン白金クロライド、ヘキサアンミン白金水酸塩、ヘキサアンミン白金硝酸塩、テトラアンミン白金クロライド、テトラアンミン白金水酸塩、テトラアンミン白金硝酸塩、ヘキサヒドロキソ白金酸エタノールアンモニウム、白金アセチルアセトナートなどの白金化合物、硝酸ニッケル・六水和物、酢酸ニッケル・四水和物、硫酸ニッケル・六水和物などのニッケル化合物、塩化パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム水酸塩、ジニトロジアンミンパラジウム硝酸塩、などのパラジウム化合物が例示される。これらは1種のみを用いても、2種以上を用いても良い。
周期表第10族に属する金属元素を含む化合物の溶液やスラリーに含まれる溶媒としては、特に限定されないが、水;エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のアルコール;等が例示される。これらは1種のみを用いても、2種以上を用いても良い。
金属酸化物としては、特に限定されないが、前記「アセトン水素化触媒」で例示した化合物が例示される。
前記混合は、攪拌しながら実施しても良い。常温下で混合しても良いが、冷却条件下または加熱条件下で実施しても良い。混合工程は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施しても良い。
本開示の触媒の製造方法は、成形工程を含んでも良い。成形工程では、特に制限されないが、例えば、金属酸化物の1種以上を、必要に応じて有機バインダーやガラス繊維などの成型助剤の存在下、ニーダーなどの混合機で十分混合し、必要に応じて固形分調整を行い、所定の形状に押出成型することができる。成型物を乾燥、焼成した後で、周期表10族に属する金属元素を、含浸法などにより担持させることにより本開示の触媒を製造しても良い。
前記焼成を行う温度としては、特に限定されないが、好ましくは200~600℃、より好ましくは250~550℃、さらに好ましくは、300~500℃である。なお、焼成は一定温度で実施しても良いが、2以上の温度条件で実施しても良い。焼成工程は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施しても良い。焼成時間は特に限定されないが、例えば、10分以上、10時間以下が好ましく、30分以上、5時間以下がより好ましい。
[イソプロパノールの製造方法]
本開示の製造方法では、触媒存在下で、アセトンと水素を反応させることでイソプロパノール含有ガスを得る。
<原料の供給工程>
本開示のイソプロパノールの製造方法は、水素、およびアセトンを含む原料を、周期表10族に属する少なくとも1種の金属元素と酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物を含む触媒を含む触媒層に供給する工程(以下、原料供給工程ともいう)を含む。原料を触媒層に供給する形態としては、特に制限は無いが、原料成分を全てガスとして触媒層を含む反応器に供給しても良く、原料成分の1種または2種以上を液体として触媒層を含む反応器に供給し、反応器内で気化することにより原料を触媒層に供給しても良い。触媒層を含む反応器の前に、加熱炉等のガス化装置を設けても良い。
本開示において触媒層とは、通常の意味に理解すればよいが、例えば反応器の中で、触媒が充填もしくは配置されている部分である。原料は水素、およびアセトンを含めばよく、特に制限はされず、水素、およびアセトンを別々に準備しても良い。
原料供給工程における周期表10族に属する少なくとも1種の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含む触媒としては、後述するアセトン水素化工程における周期表10族に属する少なくとも1種の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含む触媒と同様である。
原料の水素、およびアセトンは、混合して反応器に添加しても良いが、別々に反応器に添加しても良い。
反応器の形状は特に制限されない。例えば、固定床流通反応器などであっても良い。反応器の材質も特に制限されない。例えばSUS製の反応器であっても良い。
原料におけるアセトンの濃度は、2体積%以上、50体積%以下であることが好ましく、5体積%以上、45体積%以下であることがより好ましく、10体積%以上、40体積%以下であることがさらに好ましい。なお、上記は通常、触媒層に供給される濃度(すなわち、アセトンなどが気化している濃度)である。
原料におけるアセトン濃度に対する水素濃度の比率は、1.1~5であることが好ましく、1.2~3であることがより好ましい。原料におけるアセトン濃度に対する水素濃度の比率が1.1未満であると、アセトン転化率が低下する傾向にある。原料におけるアセトン濃度に対する水素濃度の比率が5を超えるとアセトンやイソプロパノールの水素化分解反応等の副反応が進行しやすくなる傾向にある。
原料は、任意であるが、窒素やヘリウムなどの不活性ガスを含んでもよい。原料は、任意であるが、水、メタン、一酸化炭素などを含んでもよい。なお、一酸化炭素はアセトン水素化触媒の活性金属に吸着してアセトン水素化活性が低下する傾向にあるため、原料に含まれる一酸化炭素の濃度は20体積ppm未満であることが好ましい。
触媒層に供給される原料ガスの温度は、供給原料を加熱器により加温することによって、適宜調整することができる。好ましくは、20~100℃であり、より好ましくは20~90℃であり、さらに好ましくは20~80℃である。
<アセトン水素化工程>
本開示のイソプロパノールの製造方法は、アセトンの水素化を行う工程(以下、アセトン水素化工程とも言う)を含む。前記アセトン水素化工程は、周期表10族に属する少なくとも1種の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含む触媒の存在下で実施される。周期表10族に属する少なくとも1種の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含む触媒としては、上記本開示の触媒が好適に例示される。周期表10族に属する少なくとも1種の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含む触媒は、1種または2種以上で用いても良い。周期表10族に属する少なくとも1種の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含む触媒を2種以上使用する場合には、混合して使用しても良く、タンデム構造に充填しても良く、2以上の反応器に分けて充填しても良い。
本開示のイソプロパノールの製造方法は、周期表10族に属する少なくとも1種の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含む触媒以外の、例えば公知のアセトン水素化触媒を併用しても良い。
アセトン水素化工程は、気相反応で実施することが好ましい。気相反応による反応形式は特に限定されず、固定床、移動床、流動床などが挙げられるが、より簡便な固定床形式が好ましい。
アセトン水素化工程は、反応圧力は、0.1MPa~2MPaであることが好ましく、より好ましくは、0.1MPa~1.0MPaである。
アセトン水素化工程における反応温度は20℃~100℃であることが好ましく、より好ましくは20℃~80℃である。反応温度が低くなると、平衡的には有利となるが、水素化が進行し難い傾向にあり、一方、反応温度が高くなると、平衡制約のためにアセトン水素化転化率が低くなる傾向にあり、加えて、アセトンやイソプロパノールの水素化分解が併発し、収率が低下する傾向にある。
ここで、アセトン水素化工程における反応温度とは、アセトン水素化工程において触媒層に供給される原料ガスの温度である。前記触媒層に供給される原料ガスの温度は適宜調整することができる。温度を調整する方法は特に制限されないが、具体的には、電気ヒーター、熱交換器が挙げられる。例えば、電気ヒーターを用いる場合の電気ヒーターの温度は、20~100℃であることが好ましく、より好ましくは、20~90℃であり、さらに好ましくは20~80℃である。
アセトン水素化工程における空間速度は、200~200000(1/h)であることが好ましく、より好ましくは1000~100000(1/h)であり、さらに好ましくは、4000~20000(1/h)である。
アセトン水素化工程は、前記原料供給工程における、原料を供給する触媒層を含む反応器でアセトンの水素化を行う工程を含む。アセトン水素化工程で2以上の反応器を使用する場合には、少なくとも1つが、前記原料供給工程における、原料を供給する触媒層を含む反応器であればよい。
<その他工程>
本開示のイソプロパノールの製造方法は、原料供給工程と、アセトン水素化工程以外に任意の工程(以下、その他の工程とも言う)を含んでも良い。
(アセトン製造工程)
本開示のイソプロパノールの製造方法は、エタノールと水を触媒存在下で反応させてアセトンを得る工程(以下、アセトン製造工程とも言う)を含んでも良い。前記エタノールの一部または全部はバイオエタノールであることが好ましい。
前記アセトン製造工程で使用する触媒としては、特に限定されないが、各種金属元素を含有すればよく、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、マンガン、亜鉛、銅、アルミニウム、ジルコニウムなどの元素を含むことが好ましい。上記の中でも、触媒活性の観点から、鉄を含有することが好ましい。より好ましくは、鉄(Fe)ならびにマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、マンガン(Mn)および亜鉛(Zn)からなる群より選ばれる一種以上の金属(Me)を含むことが好ましい。
前記アセトン製造工程で使用する触媒に含まれる金属元素の状態は特に限定されず、例えば、前記金属元素を含む金属酸化物、前記金属元素を含む担体、前記金属元素を担持した担体などが挙げられる。金属酸化物を担体に担持してもよい。金属酸化物は、複合金属酸化物であってもよい。複合金属酸化物として、例えば、スピネル型、ペロブスカイト型、マグネトプランバイト型、ガーネット型などが挙げられるが、好ましくは、スピネル型である。
前記アセトン製造工程で使用する触媒としては、一般式、MeO・nFe(Meは、Mg、Ca、MnおよびZnからなる群より選ばれる一種以上の金属を表し、nは1~6の整数を表す)で表される、鉄複合酸化物(フェライトという場合がある)が例示される。
前記アセトン製造工程で使用する触媒としては、鉄1モルに対し、マグネシウム、カルシウム、マンガンおよび亜鉛からなる群より選ばれる一種以上の金属(Me)を、0.4~0.7モル含むことが好ましく、より好ましくは0.4~0.6モルであり、さらに好ましくは、0.45~0.55モルである。上記範囲であることにより、触媒活性が向上する傾向にある。
前記アセトン製造工程で使用する触媒としては、鉄1モルに対し、ジルコニウムを、0.01~1モル含むことが好ましく、より好ましくは0.1~0.8モルであり、さらに好ましくは、0.2~0.6モルである。上記範囲とすることで、耐久性が向上する傾向にある。
前記アセトン製造工程で使用する触媒としては、マグネシウム、カルシウム、マンガンおよび亜鉛からなる群より選ばれる一種以上の金属(Me)、鉄、並びにジルコニウムの合計量が、触媒100質量%に対し、50~100質量%が好ましく、より好ましくは、80~100質量%である。
前記アセトン製造工程では、原料であるエタノールと水とを触媒と接触させることにより、アセトン、水素および二酸化炭素を含む反応生成物を得ることができる。反応式で表すと、下記のとおりである。
2COH+HO → CHCOCH+4H+CO
前記アセトン製造工程は、バッチ式で行っても良いが、生産性の観点から連続式で実施することが好ましい。前記アセトン製造工程は、液相反応で実施しても良いが、気相反応で実施することが好ましい。気相反応による反応形式としては、固定床、移動床、流動床などが例示されるが、より簡便な固定床形式が好ましい。固定床形式である場合、原料は、ガス状のエタノールとガス状の水(水蒸気という場合もある)を混合してから、反応器へ供給して触媒と接触させてもよく、ガス状のエタノールと水蒸気を別々に反応器へ供給して触媒と接触させてもよい。原料(以下原料ガスという場合もある)には、窒素やヘリウムなどの不活性ガスを含んでいてもよい。ここで原料ガスとは、反応器へ供給するガス全てを含む。
前記アセトン製造工程において、原料ガスに含まれるエタノール濃度は、3~66モル%であることが好ましく、より好ましくは5~50モル%である。原料ガスに含まれるエタノールに対する水のモル比率は、0.5~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。
前記アセトン製造工程において、原料ガスに用いるエタノールは、特に限定されない。エチレンの水和反応により得られるエタノールや、バイオマス原料、例えば、サトウキビ等の糖質系、穀物等のでんぷん系、草木などのセルロース系などを原料にしたバイオエタノールなどが挙げられる。前記アセトン製造工程において、原料ガスに用いるエタノールには、バイオエタノールが含まれていることが好ましい。エタノール100質量%に含まれるバイオエタノールの含有量は、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上であり、よりさらに好ましくは90質量%以上である。
前記アセトン製造工程において、反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも実施できるが、0.07MPa~0.2MPaであることが好ましく、より好ましくは、0.1MPa~0.15MPaである。反応温度は、250~600℃が好ましく、より好ましくは300~550℃であり、さらに好ましくは330~500℃である。空間速度は、300~10000(1/h)であることが好ましく、より好ましくは400~8000(1/h)であり、さらに好ましくは、500~6000(1/h)である。
(アセトン精製工程)
本開示のイソプロパノールの製造方法は、アセトンを分離及び/または精製する工程(以下、アセトン精製工程とも言う)を含んでも良い。
アセトン精製工程は、公知の気液分離方法等により、実施しても良い。例えば、前記アセトン製造工程で得られた組成物を、水素や二酸化炭素などを主体とする気体と、アセトンを主体とする液体混合物に分離(気液分離という場合もある)してもよい。アセトン精製工程は、アセトンを蒸留する工程を含んでも良い。
(水素精製工程)
本開示のイソプロパノールの製造方法は、水素を精製する工程(以下、水素精製工程とも言う)を含んでも良い。水素精製工程は、特に限定されないが、物理吸収法、化学吸収法、膜分離法、深冷分離法、圧縮液化法などの公知の方法を実施することができる。
物理吸収法とは、二酸化炭素を、化学反応を行うことなしに、吸着、溶解など物理的作用により混合ガスから分離回収する方法であり、特に好ましくはPSA(Pressure Swing Adsorption)法が挙げられる。化学吸収法とは主にアミンやアルカリなど塩基性物質に二酸化炭素を反応させ、炭酸水素塩などの形に変換して吸収させるものである。二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱あるいは減圧することで吸収液から二酸化炭素が気体として分離・回収される。膜分離法は、選択的に水素又は二酸化炭素を透過させる分離膜を用いる方法が好ましい。この時使用する膜は特に限定されないが、高分子素材膜、デンドリマー膜、アミン基含有膜、ゼオライト膜などを挙げることができる。分離膜には金属原子を含んでいてもよい。金属原子は特に限定されないが、例えば、Pd等が挙げられる。これらの方法は、1種または2種以上を実施しても良い。例えば、前記アセトン製造工程で得られた組成物からアセトンを分離した後に、水素と二酸化炭炭素を含む組成物から、二酸化炭素を分離しても良い。
(イソプロパノール精製工程)
本開示のイソプロパノールの製造方法は、イソプロパノールの精製工程を含んでいても良い。例えば、前記アセトン水素化工程で得られた組成物が、気体を含有する気液混合物である場合は、公知の気液分離の方法により、例えば水素などを主体とする気体と、イソプロパノールを含む液体混合物に分離してもよい。ここで、気体とは、気液分離操作における加圧・冷却条件下で気体として存在する物質をいう。イソプロパノールの精製工程において、気液分離操作における圧力は、0.1MPa~2MPaであることが好ましく、より好ましくは、0.2MPa~1MPaである。イソプロパノールの精製工程において、気液分離操作における温度は、0℃~50℃であることが好ましく、より好ましくは、5℃~40℃である。
イソプロパノールの精製工程は、蒸留工程を含んでも良い。蒸留工程は、例えば、薄膜蒸留や精留で実施しても良い。連続式でもバッチ式であってもよい。蒸留工程は、共沸蒸留を行っても良い。イソプロパノールは水と共沸混合物を形成するため、前記イソプロパノールを含む液体混合物が水を含有する場合、共沸蒸留を行うことで、高純度のイソプロパノールを取得することもできる。
(触媒再生工程)
本開示のイソプロパノールの製造方法において、触媒の活性に劣化が見られた場合は、触媒を再生する工程を含んでいてもよい。再生する方法は特に限定されないが、酸素などの酸化性ガスと高温で接触させることにより再生することができる。例えば、原料ガスを固定床形式の反応器に供給しておこなった場合、原料ガスを酸化性ガスに変更しておこなってもよく、反応器から触媒を抜き出しておこなってもよい。
<イソプロパノールの製造方法の好ましい形態の例示>
本開示のイソプロパノールの製造方法の好ましい形態として、下記の(5)~(8)が例示される。
(5)アセトンと水素を含む組成物を、周期表10族の金属元素と酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含む触媒を含む反応器に供給する工程と、アセトンを水素化する工程を含むイソプロパノールの製造方法。
(6)反応温度が20℃~100℃で、アセトンを水素化する工程とを含む前記(5)に記載のイソプロパノールの製造方法。
(7)前記触媒が前記(1)~(4)のいずれかに記載のアセトン水素化触媒である前記(5)又は(6)のいずれかに記載のイソプロパノールの製造方法。
(8)前記アセトン製造工程をさらに含む、前記(5)~(7)の何れかに記載のイソプロパノールの製造方法。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<触媒の合成>
(触媒調製例1)10質量%Pt/ZrO
ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(田中貴金属社製 Pt含有率8.19質量%)5.4gをビーカーに秤取った。磁性皿に入れた4gのZrO粉末(第一稀元素化学社製 EP-L、比表面積102m/g、H定数+9.3~+7.2)に前記ジニトロジアンミン白金硝酸溶液を加えた後、ガラス棒で混ぜながら加熱して水分を蒸発させた。得られた粉体を120℃で10時間乾燥後、400℃で1時間焼成して触媒1を調製した。得られた触媒1の組成は、10質量%Pt/ZrOであった。
(触媒調製例2)10質量%Pt/SiO
触媒調製例1におけるZrOをSiO(富士シリシア化学社製 キャリアクトQ-50C、比表面積70m/g、H定数+6.8~+3.3)に変更した以外は触媒調製例1と同様にして触媒2を調製した。得られた触媒1の組成は、10質量%Pt/SiOであった。
(触媒調製例3)10質量%Ru/SiO
触媒調製例1におけるジニトロジアンミン白金硝酸溶液5.4gを硝酸ルテニウム溶液(田中貴金属社製 Ru含有率3.92質量%)11.3gに変更した以外は触媒調製例1と同様にして触媒3を調製した。得られた触媒3の組成は、10質量%Ru/SiOであった。
(触媒調製例4)20質量%Cu/SiO
触媒調製例1におけるジニトロジアンミン白金硝酸溶液5.4gを硝酸銅・三水和物(ナカライテスク社製 特級)3.8gに変更した以外は触媒調製例1と同様にして触媒4を調製した。得られた触媒4の組成は、20質量%Cu/SiOであった。
(触媒調製例5)60質量%CuO/30質量%ZnO/10質量%Al
硝酸銅・三水和物(ナカライテスク社製 特級)30g、硝酸亜鉛・六水和物(ナカライテスク社製 特級)18g、硝酸アルミニウム・六水和物(ナカライテスク社製 特級)12.1gを300mLの純水に溶解した(溶液A)。炭酸ナトリウム(ナカライテスク社製 特級)52.5gを純水300mLに溶解した(溶液B)。750mLの純水を入れたビーカーに、攪拌下、室温で溶液Aと溶液Bを等速で滴下して沈殿物を生成させた。生成した沈殿物をろ過・水洗後、120℃で10時間乾燥、300℃で4時間焼成して触媒5を調製した。得られた触媒5の組成は、60質量%CuO/30質量%ZnO/10質量%Alであった。
(触媒調製例6)1質量%Pt/ZrO
触媒調製例1におけるジニトロジアンミン白金硝酸溶液5.4gを0.49gに変更した以外は触媒調製例1と同様にして触媒6を調製した。得られた触媒6の組成は、1質量%Pt/ZrOであった。
(触媒調製例7)1質量%Pt/CeO
触媒調製例1におけるジニトロジアンミン白金硝酸溶液5.4gを0.49gに、ZrOをCeO(Rhodia社製3CO、比表面積171m/g、H定数+7.2 /+7.2でのみ指示薬変化したため範囲指定なし)に変更した以外は触媒調製例1と同様にして触媒7を調製した。得られた触媒7の組成は、1質量%Pt/CeOであった。
(触媒調製例8)1質量%Pt/Al
触媒調製例1におけるジニトロジアンミン白金硝酸溶液5.4gを0.49gに、ZrOをAl(Sasol社製NGa-150、比表面積150m/g、H定数+6.8~+3.3)に変更した以外は触媒調製例1と同様にして触媒8を調製した。得られた触媒8の組成は、1質量%Pt/Alであった。
(触媒調製例9)1質量%Pt/TiO
触媒調製例1におけるジニトロジアンミン白金硝酸溶液5.4gを0.49gに、ZrOをTiO(Crystal Global社製DT-51、比表面積64m/g、H定数+6.8~+1.5)に変更した以外は触媒調製例1と同様にして触媒9を調製した。得られた触媒9の組成は、1質量%Pt/TiOであった。
(触媒調製例10)1質量%Pt/NaY
触媒調製例1におけるジニトロジアンミン白金硝酸溶液5.4gを0.49gに、ZrOをNaY型ゼオライト(東ソー社製「HSZ―320NAA」、比表面積766m/g、H定数+6.8~―3.0)に変更した以外は触媒調製例1と同様にして触媒10を調製した。得られた触媒10の組成は、1質量%Pt/NaYであった。
(触媒調製例11)1質量%Ru/CeO
触媒調製例1におけるジニトロジアンミン白金硝酸溶液5.4gを硝酸ルテニウム溶液(田中貴金属社製 Ru含有率3.92質量%)1.0gに、ZrOをCeO(Rhodia社製3CO、比表面積171m/g、H定数+7.2 /+7.2でのみ指示薬変化したため範囲指定なし)に変更した以外は触媒調製例1と同様にして触媒11を調製した。得られた触媒11の組成は、1質量%Ru/CeOであった。
Figure 2023167855000001
<アセトン水素化>
(実施例1)
触媒1(0.7g)をステンレス製の固定床流通式反応器に充填し、窒素(N)2.5cm/分(標準状態:0℃、1気圧での流量)および水素(H)15cm/分(標準状態:0℃、1気圧での流量)を流通しながら300℃で1時間前処理を行った。次いで、反応温度に設定後、アセトン(ナカライテスク社製 特級)をマイクロシリンジフィーダーにより19.14mg/分で触媒層入口側の加熱部分に供給し、アセトンを気化して触媒層に供給することでアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を開始した。
反応器出口ガスは氷水浴に配置されたトラップに導入し、ここで未反応原料、生成物を捕集した。トラップで捕集された液体成分はGC-FID(Agilent社 7890B / キャピラリーカラム HP―plot Q)により定量分析を行った。トラップで捕集されなかった気体生成物については直接GC-FIDに導入して分析した。これらの分析結果から、下記式によりアセトン転化率とイソプロパノール選択率を算出した。電気炉温度60℃で得られた反応結果を表2に示す。
転化率(%)=100-(出口アセトンモル流速/入口アセトンモル流速)
選択率(%)=100×[生成したイソプロパノールモル流速/(入口アセトンモル流速×転化率)]
(比較例1)
触媒1を触媒2に変更した以外は実施例1と同様にアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を実施した。電気炉温度100℃で得られた反応結果を表2に示す。
(比較例2)
触媒1を触媒3に変更した以外は実施例1と同様にアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を実施した。電気炉温度100℃で得られた反応結果を表2に示す。
(比較例3)
触媒1を触媒4に変更した以外は実施例1と同様にアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を実施した。電気炉温度100℃で得られた反応結果を表2に示す。
(比較例4)
触媒1を触媒5に変更した以外は実施例1と同様にアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を実施した。電気炉温度80、100℃で得られた反応結果を表2に示す。
Figure 2023167855000002
SiOを担体として調製した10質量%Pt/SiO(比較例1)、10質量%Ru/SiO(比較例2)、20質量%Cu/SiO(比較例3)による100℃での反応結果を比較すると、Ptを用いた触媒での転化率が高く、これら活性金属の中ではPtのアセトン水素化活性が優れていることが分かる。さらに、PtをH定数+9.3~+7.2のZrOに担持した触媒1を用いると(実施例1)、電気炉温度60℃でアセトン転化率99.2%、イソプロパノール選択率99.4%が得られた。
60質量%CuO-30質量%ZnO―10質量%Al触媒では(比較例4)、100℃で転化率93.5%と比較例1~3の触媒よりも高活性を示したが、80℃では転化率47%となり、その活性は10質量%Pt/ZrOと比較して低位であった。
(実施例2)
触媒6(0.7g)をステンレス製の固定床流通式反応器に充填し、窒素(N)55cm/分(標準状態:0℃、1気圧での流量)および水素(H)30cm/分(標準状態:0℃、1気圧での流量)を流通しながら300℃で1時間前処理を行った。次いで、反応温度に設定後、アセトン(ナカライテスク社製 特級)をマイクロシリンジフィーダーにより40.45mg/分で触媒層入口側の加熱部分に供給し、アセトンを気化して触媒層に供給することでアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を開始した。反応器出口成分の分析は、実施例1と同様にして実施した。
電気炉加熱を行わずに室温で反応した場合の結果と45℃での反応結果を表3に示す。
(実施例3)
触媒6を触媒7に変更した以外は実施例2と同様にアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を実施した。室温、および、電気炉温度50℃で得られた反応結果を表3に示す。
(比較例5)
触媒6を触媒8に変更した以外は実施例2と同様にアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を実施した。室温、および、電気炉温度45℃で得られた反応結果を表3に示す。
(比較例6)
触媒6を触媒9に変更した以外は実施例2と同様にアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を実施した。室温、および、電気炉温度60℃で得られた反応結果を表3に示す。
(比較例7)
触媒6を触媒10に変更した以外は実施例2と同様にアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を実施した。室温で得られた反応結果を表3に示す。
(比較例8)
触媒6を触媒11に変更した以外は実施例2と同様にアセトン水素化によるイソプロパノール製造反応を実施した。室温で得られた反応結果を表3に示す。
Figure 2023167855000003
Pt担持量を1質量%として担体成分を変更した触媒6~10において、本願の触媒6、7では室温でもアセトン水素化反応が進行して高転化率が得られた(実施例2、3)。この時、アセトン水素化反応による発熱により触媒層温度が上昇し、電気炉による外部加熱なしに、触媒層の最低温度と最高温度から算出した触媒層平均温度を、室温(24~28℃)より高温の45~47℃に維持することができた。触媒8(比較例5)でもいくらかアセトン水素化が進行したが、実施例2、3と比べ、活性は不十分であった。高性能を示した1質量%Pt/CeO(触媒6)のPtをRuとすると(比較例8)、室温付近でアセトン水素化反応はほぼ進行しなかった。
以上より、本開示の触媒は、アセトンの水素化に高い活性を示し、低温域、例えば外部からの加熱をおこなわない場合であっても、イソプロパノールの製造ができることが明らかとなった。
本願触媒は室温付近の低温域でもアセトン水素化反応を効果的に促進することができる。そのため、外部からの熱供給なしに反応で発生する熱量を利用して自立的に反応を行わせることが可能となる。また、アセトン水素化反応は平衡の影響を大きく受ける反応であり、平衡回避には低温・高圧条件が有利となる。よって、より低温で活性を有する触媒が望ましい。本願触媒では室温付近より高活性を示すため平衡制約を回避するという観点からも非常に有用である。

Claims (6)

  1. 周期表10族の金属元素と、酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含むアセトン水素化触媒。
  2. 前記周期表10族の金属元素の含有量が0.1~10質量%である請求項1記載のアセトン水素化触媒。
  3. 前記金属酸化物が、酸化ジルコニウム、および/または、酸化セリウムである請求項1又は2に記載のアセトン水素化触媒。
  4. 前記周期表10族の金属元素が、白金である請求項1又は2に記載のアセトン水素化触媒。
  5. アセトンと水素を含む組成物を、周期表10族の金属元素と酸強度(H定数)が+7.2以上である金属酸化物とを含む触媒を含む反応器に供給する工程と、アセトンを水素化する工程を含むイソプロパノールの製造方法。
  6. 反応温度が20℃~100℃で、アセトンを水素化する工程とを含む請求項5記載のイソプロパノールの製造方法。
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