JP2023167732A - 含気性フィリングおよびその製造方法 - Google Patents

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香織 川上
Kaori Kawakami
くるみ 町田
Kurumi Machida
晴香 有沢
Haruka Arisawa
侑子 松本
Yuko Matsumoto
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Abstract

【課題】含気されたフィリングを菓子やパン等にトッピングした後、焼成工程を経てもフィリング中の気泡が膨張した後に不活性ガス等が抜けてできる空間を保持し、焼成後のフィリングの体積の減少を抑えることができ、また、新たな食感を有する含気性フィリングおよびその製造方法を提供すること。【解決手段】フィリング原料を混合、乳化し、乳化物を得る乳化工程と、前記乳化物を加熱殺菌する加熱殺菌工程と、前記加熱殺菌工程の後に、不活性ガスの1種類又は2種類以上のガス或いは空気又はその混合気体を最終製品の状態で含気率12~18%(v/w)になるように注入する注入工程とを含み、前記フィリング原料が、リン酸架橋膨潤抑制澱粉を4~12%(w/w)と、乳清たん白を1~2.9%(w/w)と、卵白を乾燥重量として0.5~1.2%(w/w)とを含む含気性フィリングの製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、含気性フィリングおよびその製造方法に関する。
パン、菓子業界において、カスタードクリームやフラワーペースト等のフィリングは、菓子パンのセンター材、洋菓子のトッピング、デコレーションなどとして、商品価値を左右する非常に重要な役割を果たしている。
これまでに、良好な口溶けを有し、常温においても保形性の良好な起泡済み製菓・製パン用フィリング材として、澱粉および乳由来の蛋白質を含有する製菓・製パン用フィリング材であって、フィリング材全体中、油脂5~35重量%および主構成脂肪酸がベヘン酸である乳化剤0.2~2重量%を含有する起泡済み製菓・製パン用フィリング材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ナベ或は釜等で炊いたカスタードクリーム様に含気されており、その口溶けは澱粉質の糊感を感じなく良好で、且つクリームパンのような焼成前に包餡されるパン用クリームと同様にボディー感があり包餡適性のある含気性フラワーペースト及び該フラワーペーストを工業的に生産性良く、且つ衛生的に連続的して生産する技術として、フラワーペースト組成原料を混合・予備乳化した後、完全脱気してから澱粉の糊化・殺菌工程前に不活性ガスの1種類又は2種類以上のガス或いは空気又はその混合を最終製品の状態で含気率3.0%~13.0%になるように注入し、更に1回以上の乳化工程を経て加熱殺菌し冷却して充填して得られる含気性フラワーペーストが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、含気されたフィリングを菓子やパン等にトッピングした後、焼成工程を経ると、フィリング中の気泡が膨張した後に不活性ガス等の気体が抜けてできる空間を保持できず、焼成後のフィリングの体積が減少してしまうため、菓子やパン等の商品価値が低下してしまうという問題がある。そのため、含気されたフィリングを菓子やパン等にトッピングした後、焼成工程を経ても焼成後のフィリングの体積の減少を抑えることができる技術の速やかな提供が求められているのが現状である。
特開2006-204129号公報 特開2004-329048号公報
本発明は、このような要望に応え、現状を打破し、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、含気されたフィリングを菓子やパン等にトッピングした後、焼成工程を経てもフィリング中の気泡が膨張した後に不活性ガス等の気体が抜けてできる空間を保持し、焼成後のフィリングの体積の減少を抑えることができ、また、新たな食感を有する含気性フィリングおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、リン酸架橋膨潤抑制澱粉を4~12%(w/w)と、乳清たん白を1~2.9%(w/w)と、卵白を乾燥重量として0.5~1.2%(w/w)とを含むフィリング原料を、乳化工程、加熱殺菌工程、注入工程の順に処理することで、含気されたフィリングを菓子やパン等にトッピングした後に、オーブン等で焼成してもフィリング中の気泡が膨張した後に不活性ガス等の気体が抜けてできる空間を保持し、焼成後のフィリングの体積が焼成前と比べて小さくなる(焼き縮み)ことを抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> フィリング原料を混合、乳化し、乳化物を得る乳化工程と、
前記乳化物を加熱殺菌する加熱殺菌工程と、
前記加熱殺菌工程の後に、不活性ガスの1種類又は2種類以上のガス或いは空気又はその混合気体を最終製品の状態で含気率12~18%(v/w)になるように注入する注入工程とを含み、
前記フィリング原料が、リン酸架橋膨潤抑制澱粉を4~12%(w/w)と、乳清たん白を1~2.9%(w/w)と、卵白を乾燥重量として0.5~1.2%(w/w)とを含むことを特徴とする含気性フィリングの製造方法である。
<2> 前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉が、18%(w/v)懸濁液とした場合において、ラピッドビスコアナライザー(RVA)にて、液温95℃まで撹拌しながら加熱し、95℃で維持したときに測定した粘度が80~95cPである前記<1>に記載の製造方法である。
<3> リン酸架橋膨潤抑制澱粉と、乳清たん白と、卵白とを含む含気性フィリングであって、
リン酸架橋膨潤抑制澱粉と乳清たん白との重量比(乳清たん白/リン酸架橋膨潤抑制澱粉)が、0.12~0.45の範囲内であり、
リン酸架橋膨潤抑制澱粉と卵白との重量比(卵白/リン酸架橋膨潤抑制澱粉)が、0.08~0.25の範囲内であり、
卵白と乳清たん白との重量比(乳清たん白/卵白)が、1.0~2.8の範囲内であり、
焼成前に品温20℃で測定した含気性フィリングの体積(A)と、雰囲気温度175~185℃で焼成した後、品温20℃まで冷却した後のフィリングの体積(B)との比率(B/A)が、1.35~2.1であることを特徴とする含気性フィリングである。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、含気されたフィリングを菓子やパン等にトッピングした後、焼成工程を経てもフィリング中の気泡が膨張した後に不活性ガス等の気体が抜けてできる空間を保持し、焼成後のフィリングの体積の減少を抑えることができ、また、新たな食感を有する含気性フィリングおよびその製造方法を提供することができる。
図1は、試験例1において、ラピッドビスコアナライザー(RVA)にて測定した試料の粘度を示したグラフである。 図2Aは、試験例2における焼成前の含気性フィリングの外観を示す図である。 図2Bは、試験例2における焼成後の含気性フィリングの外観を示す図である。
(含気性フィリングおよびその製造方法)
本発明の含気性フィリングの製造方法は、乳化工程と、加熱殺菌工程と、注入工程とを少なくとも含み、必要に応じて、さらにその他の工程を含む。
本発明の含気性フィリングは、本発明の含気性フィリングの製造方法により、好適に製造することができる。
以下、本発明の含気性フィリングの製造方法の説明と併せて、本発明の含気性フィリングについても説明する。
<乳化工程>
前記乳化工程は、フィリング原料を混合、乳化し、乳化物を得る工程である。
<<フィリング原料>>
前記フィリング原料は、リン酸架橋膨潤抑制澱粉と、乳清たん白と、卵白とを少なくとも含み、必要に応じて、さらにその他の成分を含む。
-リン酸架橋膨潤抑制澱粉-
前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉は、架橋度が高く、加熱糊化した際に澱粉粒子の膨潤が抑制されて澱粉粒形が残存するようなものが好ましい。
前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉の原料となる澱粉としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉などが挙げられる。これらの中でも、タピオカ澱粉が好ましい。
前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、リン酸架橋膨潤抑制澱粉の懸濁液の粘度をラピッドビスコアナライザー(以下、「RVA」と称することがある。)で測定したときに、所定の粘度範囲にあるものが好ましい。
前記RVAは加熱及び冷却をしながら澱粉懸濁液の粘度を測定することができる機器であり、例えば、Perten社のRVA4500を使用することができる。本明細書では、前記RVA4500を使用し、下記のようにして、リン酸架橋膨潤抑制澱粉の懸濁液の粘度を測定した。
1) 測定用アルミニウムカップに所定量のリン酸架橋膨潤抑制澱粉とイオン交換水を量り入れ、全量25gの懸濁液(18%(w/v)懸濁液)を調製する。
2) パドルを0~10秒までは960rpm、10秒以降は160rpmで撹拌させながら、50℃で1分間保持した後、50℃から95℃まで12.2℃/分の昇温速度で加熱する。
3) 95℃で2.5分間保持する。
4) 95℃から50℃まで-11.8℃/分の降温速度で冷却し、50℃に達したら2分間保持する。
前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉の18%(w/v)懸濁液とした場合において、RVAにて、液温95℃まで撹拌しながら加熱し、95℃で維持したときに測定した粘度としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、80~95cPであることが好ましい。前記95℃で維持したときに測定した粘度が好ましい範囲にあるリン酸架橋膨潤抑制澱粉を用いると、製造時における粘度の発現をより抑制することができ、菓子やパン等にトッピングして焼成した際に粘度を発現し、焼成後のフィリングの体積の減少をより抑え、また、より良好な食感とすることができる点で、有利である。
前記95℃で維持したときに測定した粘度の値は、リン酸架橋膨潤抑制澱粉の架橋の程度により、適宜調整することができる。
前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉は、市販品を適宜使用することができる。
前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉のフィリング原料中の含有量としては、4~12%(w/w)である限り、特に制限はなく、適宜選択することができるが、5~10%(w/w)が好ましい。前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉の含有量が4%(w/w)未満であると、含気性フィリングに耐熱性がなく、焼成の際に水と油の分離が生じてしまい、12%(w/w)を超えると良好な食感が得られない。
-乳清たん白-
前記乳清たん白は、乳清たん白のみからなるものを使用してもよいし、乳清たん白を含むものを使用してもよい。
前記乳清たん白のみからなるものとしては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、乳清タンパク質分離物粉末、乳清タンパク質濃縮物粉末などが挙げられる。
前記乳清たん白を含むものとしては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、液体乳、クリーム、ヘビークリーム、コンデンスミルク、エバミルク、液体スキムミルク、液体全乳、無脂肪乾燥乳粉末、全乳粉末、乳たん白質濃縮物粉末、バターミルク粉末乳製品などが挙げられる。
前記乳清たん白は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳清たん白は、市販品を適宜使用することができる。
前記乳清たん白のフィリング原料中の含有量としては、乳清たん白の量として1~2.9%(w/w)である限り、特に制限はなく、適宜選択することができるが、1~2.5%(w/w)がより好ましい。前記乳清たん白の含有量が1%(w/w)未満であると、含気性フィリングに耐熱性がなく、焼成の際に水と油の分離が生じてしまい、2.9%(w/w)を超えると良好な食感が得られない。
-卵白-
前記卵白は、鶏卵等の家禽卵の卵白部分を主成分とする食品に使用可能な原料である。
前記卵白は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記卵白は、使用の際に家禽卵より調製して使用してもよいし、粉末状卵白(以下卵白粉末と記載することがある)、液状卵白等の市販品を使用してもよい。
前記卵白のフィリング原料中の含有量としては、乾燥重量として0.5~1.2%(w/w)である限り、特に制限はなく、適宜選択することができるが、0.7~1.1%(w/w)が好ましい。前記卵白の含有量が0.5%(w/w)未満であると、含気性フィリングに耐熱性がなく、焼成の際に水と油の分離が生じてしまい、1.2%(w/w)を超えると良好な食感が得られない。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、従来カスタードクリームやフラワーペースト等のフィリングに用いられている成分を適宜選択することができ、例えば、ホイップクリーム、カゼインミセル粉末、油脂、砂糖、水飴、増粘多糖類、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の原料中の含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
-混合、乳化-
前記乳化工程における混合、乳化の方法としては、特に制限はなく、公知のフィリングの製造における方法を適宜選択することができ、例えば、各種原料を調合タンクに投入し、高速撹拌にて予備乳化物或いは混合物を調製し、次いで、インラインミキサー、高圧ホモゲナイザーなどにより、乳化する方法などが挙げられる。
前記混合、乳化における条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
<加熱殺菌工程>
前記加熱殺菌工程は、前記乳化物を加熱殺菌する工程である。
-加熱殺菌-
前記加熱殺菌工程における加熱殺菌の方法としては、特に制限はなく、公知のフィリングの製造における方法を適宜選択することができ、例えば、蒸気を直接注入するスチームインジェクション式加熱、掻き取り式熱交換器等の間接加熱などが挙げられる。
前記加熱殺菌の条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
<注入工程>
前記注入工程は、前記加熱殺菌工程の後に、不活性ガスの1種類又は2種類以上のガス或いは空気又はその混合気体を最終製品の状態で含気率12~18%(v/w)になるように注入する工程である。後述する試験例に示したように、前記注入工程を前記加熱殺菌工程の後に行うことで、フィリング中の不活性ガス等の気体を良好に保持することができる。
なお、本明細書において、「最終製品」とは、菓子やパンにトッピングした後、焼成工程を経た後の含気性フィリングのことではなく、本発明の含気性フィリングの製造方法により製造された際の含気性フィリングのことをいう。
前記注入工程では、不活性ガスの1種類又は2種類以上のガスか或いは空気又はそれら混合気体をフィリングに注入する。前記不活性ガスの種類としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、窒素ガス、炭酸ガスなどが挙げられる。これらの中でも、経済的な点、フィリングに対する味の影響も少ない点で、窒素ガスが好ましい。
本発明のフィリングにおける含気率としては、最終製品の状態で12~18%(v/w)であれば、特に制限はなく、適宜選択することができる。前記範囲内であると、エアリーな軽く口溶けの良い食感となり、かつ加熱焼成した際に気泡が膨張してもフィリングがパンクしない点で、有利である。
本明細書において、含気率とは、次式で計算されるフィリング中に分散されたガス量のことをいう。
含気率(%)={(ガス注入前の比重-ガス注入後の比重)/ガス注入前の比重}×100
-注入-
前記注入工程における注入の方法としては、特に制限はなく、公知のフィリングの製造における方法を適宜選択することができる。例えば、加熱殺菌工程後の乳化物の流量を測定し、最終製品が設定の含気率に保持できるよう注入ガス流量を流量計等で測定しながら、注入量を予め設定した値に制御し、注入する方法、フローメーターを使用し、ガスボンベからのガス注入量を一定に保つ手動制御により注入する方法などが挙げられる。
前記注入における条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、冷却工程、充填工程などが挙げられる。
-冷却工程-
前記冷却工程は、前記加熱殺菌した前記乳化物や充填工程後の製品を冷却する工程である。
前記冷却の方法としては、特に制限はなく、公知のフィリングの製造における方法を適宜選択することができ、例えば、掻き取り式熱交換器による方法、冷水中への浸漬による方法などが挙げられる。
前記冷却における条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
-充填工程-
前記充填工程は、前記注入工程後の前記乳化物を包装容器に充填する工程である。前記充填工程では、必要に応じて、充填後の最終製品を冷却してもよい。
前記充填工程における充填の方法としては、特に制限はなく、公知のフィリングの製造における方法を適宜選択することができ、例えば、前記乳化物をピロー包装形態で充填する方法などが挙げられる。
前記充填における条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
<含気性フィリング>
本発明の含気性フィリングは、菓子やパンにトッピングした後、焼成工程を経てもフィリング中の気泡が膨張した後に不活性ガス等の気体が抜けてできる空間を保持することができ、焼き縮みが抑えられる。また、従来のフィリングにはない新たな食感を有する。
本発明の含気性フィリングは、菓子やパン等のトッピング用として、好適に用いることができ、例えば、ガトーショコラ状フィリング、バスクチーズケーキ状フィリングなどとして用いることができる。
本発明の含気性フィリングは、上記したリン酸架橋膨潤抑制澱粉と、乳清たん白と、卵白とを含む含気性フィリングであって、リン酸架橋膨潤抑制澱粉と乳清たん白との重量比(乳清たん白/リン酸架橋膨潤抑制澱粉)が、0.12~0.45の範囲内であり、リン酸架橋膨潤抑制澱粉と卵白との重量比(卵白/リン酸架橋膨潤抑制澱粉)が、0.08~0.25の範囲内であり、卵白と乳清たん白との重量比(乳清たん白/卵白)が、1.0~2.8の範囲内であり、焼成前に品温20℃で測定したフィリングの体積(A)と、雰囲気温度175~185℃で焼成した後、品温20℃まで冷却した後のフィリングの体積(B)との比率(B/A)が、1.35~2.1である。
なお、上記した重量比における卵白の重量は、乾燥重量とした場合の重量である。
前記含気性フィリングの体積は、例えば、下記のようにして測定し、算出することができる。
焼成前の含気性フィリングの体積は、20℃において、円柱型の耐熱ガラス容器(直径約6cm、高さ約4cm)にフィリングを50g絞り、フィリングの高さを測定し、算出する。
含気性フィリングを焼成した後の体積は、焼成前の体積を測定した含気性フィリングを雰囲気温度175~185℃で13分間焼成し、品温が20℃になるまで放冷した後に、フィリングの高さを測定し、算出する。
以下、試験例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
(試験例1)
後述の試験例で用いたリン酸架橋膨潤抑制澱粉およびリン酸架橋澱粉について、18%(w/v)懸濁液とし、ラピッドビスコアナライザー(RVA)(Perten社のRVA4500)を用いて、下記のようにして、粘度を測定した。
1) 測定用アルミニウムカップに所定量の澱粉とイオン交換水を量り入れ、全量25gの懸濁液(18%(w/v)懸濁液)を調製した。
2) パドルを0~10秒までは960rpm、10秒以降は160rpmで撹拌させながら、50℃で1分間保持した後、50℃から95℃まで12.2℃/分の昇温速度で加熱した。
3) 95℃で2.5分間保持した。
4) 95℃から50℃まで-11.8℃/分の降温速度で冷却し、50℃に達したら2分間保持した。
結果を図1に示す。
95℃で2.5分間保持したときに測定した粘度は、リン酸架橋膨潤抑制澱粉では84~90cPであったのに対し、リン酸架橋澱粉では1,149~1,164cPであった。
(試験例2)
<試験例2-1>
下記のようにして、含気性フィリングを製造した。
<<乳化工程>>
表1に記載の各種原料を調合タンクに投入し、調合タンクに備え付けの撹拌機で、5分間以上高速撹拌にて、予備乳化物を作製した。次いで、高圧ホモゲナイザー(150Kgf/平方センチメートル)にて、乳化を行い、乳化物を得た。
<<加熱殺菌工程>>
前記乳化物を、掻き取り式熱交換器にて98~104℃設定で加熱殺菌を行った。
<<冷却工程>>
加熱殺菌した前記乳化物を、掻き取り式熱交換器にて冷却した。
<<注入工程>>
注入ガスとして窒素ガスを選択し、質量流量計でガス量を測定し、注入ガスバルブを制御し、最終製品の状態で含気率が15%(v/w)となるように、配管中の前記乳化物に注入した。
<<充填工程>>
注入工程後の前記乳化物をピロー包装形態で充填し、冷水中に浸漬して最終製品とした。
<試験例2-2>
試験例2-1において、乳化工程→加熱殺菌工程→冷却工程→注入工程の順に行っていた工程を、乳化工程→注入工程→加熱殺菌工程→冷却工程の順に変えた以外は、試験例2-1と同様にして、含気性フィリングを製造した。
<評価>
-体積-
試験例2-1および2-2で得られた含気性フィリングの20℃における体積(焼成前の体積)は、円柱型の耐熱ガラス容器(直径約6cm、高さ約4cm)に前記含気性フィリングを50g絞り、フィリングの高さを計測し、算出した。
また、上記した容器に入れたフィリングを180℃のオーブンで13分間焼成し、品温20℃まで冷却した後に、フィリングの高さを計測し、含気性フィリングの体積(焼成後の体積)を算出した。
結果を、焼成前の体積(A)と焼成後の体積(B)との比(B/A)と併せて、表1に示す。
また、焼成前の含気性フィリングの外観を図2Aに、焼成後の含気性フィリングの外観を図2Bに示す。
Figure 2023167732000001
試験例2-1および2-2の比較から、加熱殺菌工程の後に注入工程を行った方が、焼成前の体積(A)と焼成後の体積(B)との比(B/A)が大きく、試験例2-1の方が、焼成後のフィリングの体積の減少が抑制されていることが確認された。
(試験例3)
表2に記載の原料を用いた以外は、試験例2-1と同様にして、含気性フィリングを製造した。
<評価>
-体積-
試験例2と同様にして、得られた含気性フィリングの焼成前および焼成後の体積を測定し、焼成前の体積(A)と焼成後の体積(B)との比(B/A)を算出した。結果を表2に示す。なお、試験例3-3および3-4では、含気性フィリングが、耐熱性がなく、焼成の際に、水と油が分離し、液状化してしまったため、焼成後の体積は測定しなかった。
-官能評価-
焼成後の含気性フィリングについて、10名の評価者により、下記の評価基準により評価した。評価点が3点以上の場合を合格とした。10名の評価者による評価の中で、最も多い評価となった結果を表2に示す。なお、焼成の際に分離してしまったものについては、本評価は行わず、表中に「分離」と記載した。
[評価基準]
4点 : 噛んだ時にほろほろと崩れ、内層が詰まっておらず口どけが良い。
3点 : 表面は硬さがあり歯切れが良く、内層は少し詰まっているが、口どけは良い。
2点 : 気泡が十分に保持されておらず内層が詰まっており、口どけが悪い。
1点 : ガスが抜けて気泡がなくペースト状で、べたついて口どけが悪い。
※ 評価点が4点の場合は、ソフトクッキーのような食感であり、点数が下がるにつれて、ヌガーのような食感となる。
Figure 2023167732000002
(試験例4)
表3に記載の原料を用いた以外は、試験例2-1と同様にして、含気性フィリングを製造した。
<評価>
試験例3と同様にして、体積および官能評価の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2023167732000003
(試験例5)
表4に記載の原料を用いた以外は、試験例2-1と同様にして、含気性フィリングを製造した。
<評価>
試験例3と同様にして、体積および官能評価の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2023167732000004
(試験例6)
表5に記載の原料を用いた以外は、試験例2-1と同様にして、含気性フィリングを製造した。
<評価>
試験例3と同様にして、体積および官能評価の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2023167732000005
以上のように、本発明によれば、含気されたフィリングを菓子やパン等にトッピングした後、焼成工程を経てもフィリング中の気泡が膨張した後に不活性ガス等が抜けてできる空間を保持し、焼成後のフィリングの体積の減少を抑えることができ、また、新たな食感を有する含気性フィリングを得ることができる。

Claims (3)

  1. フィリング原料を混合、乳化し、乳化物を得る乳化工程と、
    前記乳化物を加熱殺菌する加熱殺菌工程と、
    前記加熱殺菌工程の後に、不活性ガスの1種類又は2種類以上のガス或いは空気又はその混合気体を最終製品の状態で含気率12~18%(v/w)になるように注入する注入工程とを含み、
    前記フィリング原料が、リン酸架橋膨潤抑制澱粉を4~12%(w/w)と、乳清たん白を1~2.9%(w/w)と、卵白を乾燥重量として0.5~1.2%(w/w)とを含むことを特徴とする含気性フィリングの製造方法。
  2. 前記リン酸架橋膨潤抑制澱粉が、18%(w/v)懸濁液とした場合において、ラピッドビスコアナライザー(RVA)にて、液温95℃まで撹拌しながら加熱し、95℃で維持したときに測定した粘度が80~95cPである請求項1に記載の製造方法。
  3. リン酸架橋膨潤抑制澱粉と、乳清たん白と、卵白とを含む含気性フィリングであって、
    リン酸架橋膨潤抑制澱粉と乳清たん白との重量比(乳清たん白/リン酸架橋膨潤抑制澱粉)が、0.12~0.45の範囲内であり、
    リン酸架橋膨潤抑制澱粉と卵白との重量比(卵白/リン酸架橋膨潤抑制澱粉)が、0.08~0.25の範囲内であり、
    卵白と乳清たん白との重量比(乳清たん白/卵白)が、1.0~2.8の範囲内であり、
    焼成前に品温20℃で測定した含気性フィリングの体積(A)と、雰囲気温度175~185℃で焼成した後、品温20℃まで冷却した後のフィリングの体積(B)との比率(B/A)が、1.35~2.1であることを特徴とする含気性フィリング。
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