JP2023166081A - 法面復旧工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】工事期間を短くできて工事コストも低減することができる法面復旧工法を提供する。
【解決手段】崩壊した法面を復旧する法面復旧工法であって、崩壊が進行することを防止する応急処置工程と、応急処置工程の後で盛土を行って天面を拡げ法面を後退させる復旧工程とを備えており、前記応急処置工程では、崩壊により新たに形成された法面に隣り合う位置に第1の石詰籠を設置する工程Aを含み、前記復旧工程は、前記第1の石詰籠から離れた位置の地盤に第2の石詰籠を設置する工程Bと、前記第1の石詰籠と前記第2の石詰籠との間に充填材を充填する工程Cとを含んでいる。
【選択図】図6
【解決手段】崩壊した法面を復旧する法面復旧工法であって、崩壊が進行することを防止する応急処置工程と、応急処置工程の後で盛土を行って天面を拡げ法面を後退させる復旧工程とを備えており、前記応急処置工程では、崩壊により新たに形成された法面に隣り合う位置に第1の石詰籠を設置する工程Aを含み、前記復旧工程は、前記第1の石詰籠から離れた位置の地盤に第2の石詰籠を設置する工程Bと、前記第1の石詰籠と前記第2の石詰籠との間に充填材を充填する工程Cとを含んでいる。
【選択図】図6
Description
本発明は、法面復旧工法に関するものである。
近年、気候変動のために短時間で大量の降雨(集中豪雨)が頻繁に発生するようになっている。そのため、土砂災害も頻繁に発生している。
このような土砂災害の中には、道路や線路等の築かれた地盤が崩壊してしまう災害があり、このような災害が発生すると交通網が止まってしまって日常生活に大きな支障が生じてしまう。
例えば高速道路では、道路を支える地盤が盛土で形成されている場所があり、このような場所では道路の脇が法面となっている。豪雨によってこの法面が崩壊すると、道路そのものも崩落したり、道路の崩落までには至らなくても道路下の一部が崩落して、道路の支持地盤の一部が消失してしまう事態が生じることがある。
このような場合、従来はとりあえずの応急処置のために大型の土嚢によって道路を支える工事を行い、その後に特許文献1に開示されているような石詰籠等を用いた本格的な復旧工事が行われてきた。
しかしながら応急処置に大型の土嚢を用いると、形状を保って道路を支持する機能が経時的に失われていくために、本格的な復旧工事ではまず土嚢を除去して、その後に長期間にわたって安定した構造を保持する石詰籠やコンクリート擁壁を設置する必要があり、コストが大きくなり工事時間が長くなるという問題があった。また、土嚢は透水性が悪いために応急処置から本格的な復旧工事の間に雨が降ると、残存する道路の支持地盤が大量の水を含んで崩壊しやすくなるという問題もあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、工事期間を短くできて工事コストも低減することができる法面復旧工法を提供することにある。
上記の課題を解決するための手段は、崩壊した法面を復旧する法面復旧工法であって、崩壊が進行することを防止する応急処置工程と、応急処置工程の後で盛土を行って天面を拡げ法面を後退させる復旧工程とを備えており、前記応急処置工程では、崩壊により新たに形成された法面に隣り合う位置に第1の石詰籠を設置する工程Aを含み、前記復旧工程は、前記第1の石詰籠から離れた位置の地盤に第2の石詰籠を設置する工程Bと、前記第1の石詰籠と前記第2の石詰籠との間に透水性を有する充填材を充填する工程Cとを含んでいる、法面復旧工法である。
ここで盛土とは土砂等を盛ってその上部に水平な敷地を形成することであり、天面を拡げ法面を後退させるというのは、盛土により形成される水平な敷地が天面の一部になるので天面が拡がることになり、天面が拡がることによって法面は元の位置から遠ざかっていくことになるので後退していくことになる。崩壊により新たに形成された法面に隣り合う位置とは、崩壊により新たに形成された法面に接する位置またはその法面から少し離れた位置であって、第1の石詰籠と崩壊により新たに形成された法面との間に隙間がある場合は土砂や砕石等でその隙間を埋めることが好ましい。なお、崩壊後の法面をそのまま「崩壊により新たに形成された法面」としてもよいし、崩壊後の法面を応急処置がやりやすいように整えた法面を「崩壊により新たに形成された法面」としてもよい。
前記工程Cでは、前記第1の石詰籠と前記第2の石詰籠とを連結部材により連結を行ってもよい。
前記工程Cでは、前記第1の石詰籠の上端よりも低い位置まで前記充填材を充填し、それから前記第1の石詰籠と前記第2の石詰籠とを連結部材により連結をし、その後に前記第1の石詰籠の上端まで前記充填材を充填してもよい。
前記第1の石詰籠は天面に設置された構造物を支持していてもよい。
前記充填材は透水性を有していてもよい。透水性を有する充填材は、粗粒のドレーン材であって、土砂よりも粒径が大きく透水性がよいものであり、例えば礫、割栗石等の石、岩石の破砕物(砕石)、コンクリートの破砕物などを挙げることができる。
前記工程Aでは、石を詰められた前記第1の石詰籠を吊り上げて移動させて設置してもよい。
応急処置において用いられた復旧部材である石詰籠を、本格的な復旧工程にもそのまま使用するため、応急処置後の排水性を確保でき、復旧工事全体のコストと工事時間を低減させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
(実施形態1)
図1は道路の長手方向に対する垂直の道路の断面図である。地盤100の上面である天面200に道路400が形成され、道路400の側方は法面300となっている。
図1は道路の長手方向に対する垂直の道路の断面図である。地盤100の上面である天面200に道路400が形成され、道路400の側方は法面300となっている。
図2は、図1の道路と法面が豪雨のために崩壊してしまった状態の断面を表す図である。道路400を支持していた地盤100が大量の雨のために緩んで崩落してしまい、道路400も崩落してしまった状態である。崩壊後の法面310は、雨が再度降ったらさらに崩壊が進んでしまう不安定な状態になっている。そこで法面310の崩壊が進行しないように、崩壊後できるだけ速やかに応急処置の工程を行う。
従来の応急処置の方法は緊急性を重視して崩壊後の法面310に沿って土嚢を積み上げていくものであるが、土嚢は透水性が劣っているので、雨が降ると法面310の内部の土砂等に水が貯まって地盤が緩んでしまう。そのような状態になると地盤が崩れてしまうおそれがある。また、本格的な復旧工事においては、土嚢は強度が低いことや透水性の悪さ等の理由で取り除いて、石詰籠などの別の土木構築部材に換える必要がある。
本実施形態に係る応急処置の工程は、まず法面310を図3に示すように所定の勾配の法面320に整え、それに伴って破損した道路400部分を除去する。それから図4に示すように、法面320に沿って応急処置用の第1の石詰籠10を設置する(工程A)。本実施形態では第1の石詰籠10を5段に積み上げている。法面320と第1の石詰籠10との間には透水性の充填材である裏込め材12(例えば単粒砕石)を入れる。なお、法面320から裏込め材12側へ土砂が入り込んでしまうことを防ぐために、法面320に水は通すが土砂は通さない不織布などからなるシート状の吸出防止材を設置した後に、法面320と第1の石詰籠10との間に裏込め材12を入れることが好ましい。
すなわち、本実施形態に係る応急処置の工程では、崩壊後の法面310を整えて崩壊により新たに形成された法面320にする。次に新たに形成された法面320に吸出防止材を設置する。そして、法面320に隣り合う位置に1段目の第1の石詰籠10を設置する。第1の石詰籠10は金網からなる籠に中詰め材(石や砕石、割り栗石、取り壊した構造物から発生するコンクリート破砕物など)を詰め込んだものである。中詰め材は透水性に優れているので、雨が降っても水は第1の石詰籠10の外側に速やかに排出される。なお、第1の石詰籠10の設置方法であるが、法面320に隣り合う位置に金網を組み立てて籠を形成し、その中に中詰め材を詰め込んで第1の石詰籠10を形成してもよいし、別の場所で第1の石詰籠10を形成・中詰めをして、それをクレーン等で吊り上げて法面320に隣り合う位置に設置してもよい。後者の場合、特許文献2に開示されているような石詰籠を用いることが好ましく、組立のしやすい場所で石詰籠を形成・中詰めをできるので時間とコストを低減できる。
第1の石詰籠10は略直方体であるので、法面320と第1の石詰籠10との間には隙間ができる。そこで法面320と第1の石詰籠10との間に、第1の石詰籠10と同じ高さまで裏込め材12を入れる。そして2番目の第1の石詰籠10を1番目の第1の石詰籠10および裏込め材12の上に設置する。それから法面320と2番目の第1の石詰籠10との間に、裏込め材12を入れる。同様の工程を繰り返して5つの第1の石詰籠10を積み上げて、図4に示す状態となり、応急処置の工程が完了する。道路400が全壊せずに一部残っていてその部分は通行可能であれば、応急処置の完了により残った道路部分の通行が可能となる。
応急処置の工程が完了すると、第1の石詰籠10により法面320が保護され排水もされるため、雨が降っても法面320が崩壊することはない。そこで次は崩壊してしまった道路を再建する工事を行う。この再建の工事は準備に時間がかかるので、通常は応急処置工程完了から数週間から数ヶ月後に行われる。道路の再建にあたっては、まず土台となる盛土を行い、天面を拡げ法面を後退させる法面の復旧工程を行う。拡げた天面の上に道路を再建する。
復旧工程ではまず図5に示すように、天面を拡げ法面を後退させた際に法尻となる場所に第2の石詰籠20(1段目)を設置する。第2の石詰籠20が設置される場所は、第1の石詰籠10から離れた位置の地盤の上である(工程B)。第2の石詰籠20は第1の石詰籠10と同じもの(大きさや材料、中詰め材の種類など)を用いてもよいし、違う石詰籠を用いても構わない。図5では第1の石詰籠10と第2の石詰籠20との高さは同じである。第2の石詰籠20の設置方法も第1の石詰籠10と同様に、その場において金網を組み立てて中詰め材を詰め込んで設置してもよいし、別の場所で第2の石詰籠20を形成して、それをクレーン等で吊り上げて設置してもよい。
次に図6に示すように、1段目の第1の石詰籠10と1段目の第2の石詰籠20との間に充填材30を、第1及び第2の石詰籠10,20の略半分の高さまで入れ、表面をならして締め固めることにより、充填を行う(工程Cの1)。充填材30は土砂や砕石等様々なものを使用することができるが、雨水を速やかに排出できる透水性を有している材料(例えば礫、割栗石等の石、岩石の破砕物(砕石)、コンクリートの破砕物など)からなることが好ましく、本実施形態では充填材30として砕石を用いている。そのため、大雨が降っても雨水を速やかに流して外部に排水することができ、盛土の崩壊を防止できる。
それから、図7に示すように、第1の石詰籠10と第2の石詰籠20とを連結部材35で連結する。連結部材35は第1の石詰籠10と第2の石詰籠20とを連結しかつ引っ張り強度が高い材料からなるものであって、例えば、表面に防錆加工がなされた鉄線や金網、鋼材、合成樹脂製の綱や網、前記のものを組み合わせたものなどを挙げることができる。例えば連結部材35に鉄線を用いると、少ない材料で籠同士を連結できて、籠と鉄線との連結も容易に行えるため手間とコストの面で好ましい。
次に図8に示すように、連結部材35の上であって、第1の石詰籠10と第2の石詰籠20と間に充填材30を第1及び第2の石詰籠10,20の上面と略同じ高さまで入れ、表面をならして締め固めることにより、充填を行う(工程Cの2)。この充填により第1及び第2の石詰籠10,20が連結部材35と充填材30とによって一体化されるので、第2の石詰籠20が背圧によって滑ってずれてしまうことを防止できる。
それから1段目の第2の石詰籠20と充填材30の上に2段目の第2の石詰籠20を載せる。2段目の第2の石詰籠20は、1段目の第2の石詰籠20との関係において所定の法勾配となる位置に設置される。そして、工程Cの1,Cの2を行って、2段目の第1及び第2の石詰籠10,20の間に充填材30を充填するとともに連結部材35によって2段目の第1及び第2の石詰籠10,20を連結する。これを繰り返して図9に示すように第2の石詰籠20を5段に積み上げるとともに、それぞれの第2の石詰籠20を第1の石詰籠10と連結部材35により連結し、第1及び第2の石詰籠10,20の間を充填材30で充填する。
この後、5段目の第2の石詰籠20の上に石詰籠22を載せる。この石詰籠22は第2の石詰籠20と同じものであっても別のものであっても構わない。それから図10に示すように、石詰籠22の上にもう一つ石詰籠24を載せるとともに、充填材30及び5段目の第1の石詰籠10の上に路床50を載せる。路床50は例えばセメント改良土を用いる。このとき、充填材30の上および石詰籠22,24の背面側にシート状の吸出防止材を設置することが好ましい。こうして盛土を行って天面を拡げ法面を後退させた復旧工事の後で、路床50の上に道路400を設置する。道路400の下には第1の石詰籠10が存在しており、第1の石詰籠10が道路400を支えている。
本実施形態では法面が崩壊した後の応急処置において第1の石詰籠10を用い、第1の石詰籠10をそのまま本格的な復旧工事にも用いるので、応急処置で土嚢を使用する場合に比較するとコスト及び工事期間が低減できる。また、第1及び第2の石詰籠10,20を連結部材35で連結し、その連結部材35は充填材30の中に埋め込まれて固定されているので、第2の石詰籠20は第1の石詰籠10及び充填材30と一体化しており、背圧によりずれることが防止される。別言すると、充填材30を充填する空間に石詰籠を設置する必要がないので、コスト及び工事期間が低減できる。
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1において連結部材35を使用しない工法であり、それ以外は実施形態1と同じである。連結部材35を使用しないため、コスト及び工事期間をさらに低減できる。なお、連結部材35を用いないと第2の石詰籠20は第1の石詰籠10及び充填材30との一体性を持てないが、背圧の小さい構造であれば特に問題はない。
実施形態2は、実施形態1において連結部材35を使用しない工法であり、それ以外は実施形態1と同じである。連結部材35を使用しないため、コスト及び工事期間をさらに低減できる。なお、連結部材35を用いないと第2の石詰籠20は第1の石詰籠10及び充填材30との一体性を持てないが、背圧の小さい構造であれば特に問題はない。
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
実施形態1においては崩壊した法面310を整えて新たな法面320としたが、崩壊した法面310を整えないで、そのまま崩壊による新たに形成された法面として応急処置工程を行ってもよい。
第1の石詰籠を積み上げる段数は特に限定されず、盛土の高さに応じて段数を決めればよい。また、第2の石詰籠を積み上げる段数は擁壁として要求される機能に応じて決定すればよい。
最下段の第1の石詰籠、第2の石詰籠の下側に、法尻まで伸びる基盤排水層を設けてもよい。基盤排水層は透水性を有するドレーン材(砕石など)からなる。また、裏込め材は透水性が低い材料であっても構わない。
連結部材は籠の高さ方向の中央のみではなく、いずれの位置に連結してもよい。また、連結部材と籠との連結方法は特に限定されない。さらに連結部材を複数分割し、設置現場において長さを調整することが好ましい。
10 第1の石詰籠
20 第2の石詰籠
30 充填材
35 連結部材
320 法面
20 第2の石詰籠
30 充填材
35 連結部材
320 法面
Claims (4)
- 崩壊した法面を復旧する法面復旧工法であって、
崩壊が進行することを防止する応急処置工程と、応急処置工程の後で盛土を行って天面を拡げ法面を後退させる復旧工程とを備えており、
前記応急処置工程では、崩壊により新たに形成された法面に隣り合う位置に第1の石詰籠を設置する工程Aを含み、
前記復旧工程は、前記第1の石詰籠から離れた位置の地盤に第2の石詰籠を設置する工程Bと、前記第1の石詰籠と前記第2の石詰籠との間に充填材を充填する工程Cとを含んでいる、法面復旧工法。 - 前記工程Cでは、前記第1の石詰籠と前記第2の石詰籠とを連結部材により連結を行っている、請求項1に記載の法面復旧工法。
- 前記工程Cでは、前記第1の石詰籠の上端よりも低い位置まで前記充填材を充填し、それから前記第1の石詰籠と前記第2の石詰籠とを前記連結部材により連結をし、その後に前記第1の石詰籠の上端まで前記充填材を充填する、請求項2に記載の法面復旧工法。
- 前記第1の石詰籠は天面に設置された構造物を支持している、請求項1から3のいずれか一つに記載の法面復旧工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022076845A JP2023166081A (ja) | 2022-05-09 | 2022-05-09 | 法面復旧工法 |
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2022
- 2022-05-09 JP JP2022076845A patent/JP2023166081A/ja active Pending
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