JP2023162460A - 細胞膜透過性分子及びその利用 - Google Patents

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Chiaki Komiya
敏裕 鹿倉
Toshihiro SHIKAKURA
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Keita Iguchi
祐介 平山
Yusuke Hirayama
俊秀 藤井
Toshihide Fujii
光昭 北野
Mitsuaki Kitano
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Abstract

【課題】有効成分を細胞内に取り込む機能を有しつつ、生体に対する毒性が低い細胞膜透過性分子、前記細胞膜透過性分子を含むペプチド複合体及びその製造方法、前記ペプチド複合体を含むペプチドライブラリ、及び前記ペプチドライブラリを用いた機能性ペプチドのスクリーニング方法を提供する。【解決手段】下記一般式(I)で表される構造を有し、pKaの値が4.7未満の酸との塩であることを特徴とする細胞膜透過性分子である。【選択図】なし

Description

本発明は、細胞膜透過性分子、前記細胞膜透過性分子を含むペプチド複合体及びその製造方法、前記ペプチド複合体を含むペプチドライブラリ、及び前記ペプチドライブラリを用いた機能性ペプチドのスクリーニング方法に関する。
分子量が500程度までの低分子医薬品は、製造コストが安く免疫原性が低いため、これまで多くの医薬品として開発されてきた。しかし、この低分子医薬品は、特異性が低く、オフターゲットによる副作用の問題から近年は次第に開発が難しくなってきている。これに対し、分子量が10,000を超えるような抗体やタンパク質由来の高分子医薬品は、特異性が高く副作用も少ないことから売り上げが伸びている。しかし、高価であること、その大きな分子量から免疫原性を起こす可能性があること、一般に細胞内へ移行しないためその標的となりうる分子が限られることが課題となっている。
そこで近年、ペプチドや核酸などをはじめとする分子量が500~5,000程度の分子、いわゆる中分子医薬品が、安価で免疫原性が低いという低分子医薬品の利点と、標的分子への特異性が高く、副作用が少ないというという高分子医薬品の利点を併せ持つ医薬品として期待されている。
また、中分子医薬品としてのペプチドを取得する技術として、様々なアミノ酸配列から成るペプチド(ポリペプチド)ライブラリを作製しその中から、疾患関連タンパク質などの特定の標的分子に対して高い親和性を持つペプチドを選別する方法が汎用される。
前記ペプチドライブラリの作製方法として、例えば、in vitro翻訳系の方法として、ペプチド鎖、mRNA分子、及びリボソームを含むリボソームディスプレイ複合体を用いるリボソームディスプレイ法(RD法)が知られている(例えば、特許文献1参照)。前記RD法は、in vitro翻訳系とmRNAさえあれば、それらを混合するだけで、1012種類以上のペプチドライブラリを数分で作製することができる非常に優れた有用なものである。
一方、ペプチドや核酸などの中分子医薬品は細胞内の分子を標的とする場合、細胞膜を透過させて所望の細胞内標的分子に到達させる手段が必要となる。細胞内には、細胞骨格関連タンパク質やキナーゼ関連因子など種々の疾病治療に際して標的となりうるものが多い。このため、有用な細胞内導入法の確立は、中分子医薬品の適用範囲を大幅に拡大することに繋がる。
有効成分を細胞内に取り込む技術としては、例えば、塩基性アミノ酸を多く含む細胞膜透過ペプチドのアミノ酸配列を融合する方法や、中心から規則的に分枝した構造を有する樹状高分子であるデンドリマーを用いる方法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
特開2008-271903号公報 米国特許第7,862,807号明細書
上記したように、有効成分を細胞内に取り込む技術として、特許文献2に記載した方法などが検討されているものの、医薬品の開発という観点からは、有効成分を細胞内に取り込む機能を有しつつ、生体に対する毒性が低いことも求められる。
したがって、本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、有効成分を細胞内に取り込む機能を有しつつ、生体に対する毒性が低い細胞膜透過性分子、前記細胞膜透過性分子を含むペプチド複合体及びその製造方法、前記ペプチド複合体を含むペプチドライブラリ、及び前記ペプチドライブラリを用いた機能性ペプチドのスクリーニング方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、下記一般式(I)で表される構造を有し、pKの値が4.7未満の酸との塩とすることで、有効成分を細胞内に取り込む機能を有しつつ、生体に対する毒性が低い細胞膜透過性分子とすることができることを知見した。
(前記一般式(I)中、Rは結合手を表す。)。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(I)で表される構造を有し、pKの値が4.7未満の酸との塩であることを特徴とする細胞膜透過性分子である。
(前記一般式(I)中、Rは結合手を表す。)。
<2> ペプチドと、前記<1>に記載の細胞膜透過性分子とを含むことを特徴とするペプチド複合体である。
<3> 前記<2>に記載のペプチド複合体を含むことを特徴とするペプチドライブラリである。
<4> ペプチドに、前記<1>に記載の細胞膜透過性分子を導入することを含むことを特徴とするペプチド複合体の製造方法である。
<5> 前記<3>に記載のペプチドライブラリを用いて機能性ペプチドをスクリーニングすることを含むことを特徴とする機能性ペプチドのスクリーニング方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、有効成分を細胞内に取り込む機能を有しつつ、生体に対する毒性が低い細胞膜透過性分子、前記細胞膜透過性分子を含むペプチド複合体及びその製造方法、前記ペプチド複合体を含むペプチドライブラリ、及び前記ペプチドライブラリを用いた機能性ペプチドのスクリーニング方法を提供することができる。
(細胞膜透過性分子)
本発明の細胞膜透過性分子は、少なくとも下記一般式(I)で表される構造を有し、pKの値が4.7未満の酸との塩である。
(前記一般式(I)中、Rは結合手を表す。)。
<一般式(I)で表される構造>
前記一般式(I)で表される構造における前記R以外の部分は、細胞膜透過性に寄与する部分である。
前記細胞膜透過性分子における一般式(I)で表される構造のR以外の部分の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1つであることが好ましい。即ち、本発明の細胞膜透過性分子は、前記一般式(I)で表される樹状構造を1つ有する態様が好ましい。
前記一般式(I)で表される構造の前記Rの部分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヘテロ原子含有基と結合していることが好ましい。
-ヘテロ原子含有基-
前記ヘテロ原子含有基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(A)ペプチドと連結するペプチド連結用基と、前記ペプチド連結用基と前記一般式(I)で表す構造とを連結する連結基とからなる態様、(B)ペプチドと連結するペプチド連結用基からなる態様などが挙げられる。また、前記ヘテロ原子含有基は、ペプチドや核酸の骨格を有してもよい。
前記ヘテロ原子含有基の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば直鎖上に結合している原子数の下限値としては1原子以上が好ましく、上限値としては50原子以下が好ましく、25原子以下がより好ましい。前記直鎖上に結合している原子数が25原子以下の例としては、後述する細胞膜透過性分子G3-DCXにおけるヘテロ原子含有基などが挙げられる。
前記ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも1種などが挙げられる。前記ヘテロ原子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子の含有割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、細胞膜透過性分子の水溶性が高まる点で、10%以上であることが好ましい。前記ヘテロ原子の含有割合の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。前記ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子の含有割合の範囲としては、10%以上60%以下が好ましく、10%以上50%以下がより好ましい。
前記ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子の含有割合は、下記のようにして算出することができる。なお、全原子には、水素原子も含まれる。
ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子の含有割合(%)={(ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子の数)/(ヘテロ原子含有基の全原子数)}×100
前記ヘテロ原子含有基は、繰返し単位を含むことが好ましい。
前記繰返し単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレンオキサイド、アルキレンイミン、アルキレンスルフィドなどが挙げられる。前記繰返し単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、前記繰返し単位は、置換基を有していてもよい。前記繰り返し単位としては、入手容易性、安定性の観点からアルキレンオキサイドが好ましい。
前記アルキレンオキサイドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチレンオキサイド、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドからなる群から選択される少なくとも1種などが挙げられる。
前記繰返し単位の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記繰り返し単位の下限としては1以上が好ましく、上限としては10以下が好ましい。
前記繰り返し単位が有する置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記置換基としては、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボニル、アミド、チオアミド、ウレア、スルホンアミド、カルボキシ、ニトリルが好ましい。
--ペプチド連結用基--
前記ペプチド連結用基は、前記ペプチドにおける反応性アミノ酸残基との反応により、細胞膜透過性分子のペプチドへの導入に寄与する。
前記反応性アミノ酸残基は、前記ペプチド連結用基と反応するアミノ酸残基であり、前記ペプチド連結用基と直接反応するアミノ酸残基であってもよいし、前記ペプチド連結用基と反応できるように修飾されたアミノ酸残基であってもよい。
前記ペプチド連結用基としては、前記ペプチドと連結することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、システイン残基のチオール基、リジン残基の側鎖アミノ基(-NH)、ヒスチジン残基又はトリプトファン残基の側鎖アミノ基(>NH)、トリプトファン残基のインドール環2位及び3位炭素、チロシン残基又はセリン残基又はスレオニン残基の側鎖水酸基(-OH)、チロシン残基のオルト位炭素、メチオニン残基の側鎖スルフィド基(-SMe)と反応して結合を形成可能な基などが挙げられる。
前記ペプチド連結用基の具体例としては、例えば、国際公開第2017/213158号の段落〔0067〕~〔0076〕に記載されているハロゲン化アルキル基、活性化カルボニル基、不飽和炭化水素基、エポキシ基、スルホニル含有基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、カルベン発生基、ジスルフィド結合含有基、チオール基などが挙げられる。
また、前記ペプチド連結用基は、ペプチドにおける反応性アミノ酸残基との反応により、前記ペプチドの環状化に寄与するもの(以下、「環状化基」と称することがある。)であることが好ましい。
前記環状化基と反応する反応性アミノ酸残基は、前記環状化基と直接反応するアミノ酸残基であってもよいし、前記環状化基と反応できるように修飾されたアミノ酸残基であってもよい。
前記環状化基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子吸引基が好ましい。
前記電子吸引基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハロゲンを有することが好ましい。前記ハロゲンの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。前記ハロゲンの数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ハロゲン数の下限としては2以上が好ましく、上限としては、5以下、4以下が好ましい。
前記電子吸引基は、置換基を有していてもよい。前記電子吸引基は、その構造中に不飽和構造を含むとペプチドを環状化させやすい。前記不飽和構造としては、特に制限はないが、例えば芳香環構造、複素環構造、脂環式炭化水素構造、アルケニル構造、アルキニル構造、カルボニル構造、チオカルボニル構造、オキシム構造、シアノ構造、イソシアネート構造を挙げることができる。中でも前記電子吸引基としては、ベンジルハライドがより好ましく、3,5-ビス(ハロメチル)ベンジル基が特に好ましい。前記ハロゲンの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
前記環状化基によるペプチドの環状化は、前記環状化基と、ペプチドに含まれるチオール基、アミノ基、及びヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の基との反応により行われることが好ましい。
また、例えば、オキシムライゲーション法により、前記ペプチドと前記細胞膜透過性分子とを結合する場合には、下記構造式で表されるものを前記ペプチド連結用基として用いることもできる。
--連結基--
前記連結基は、前記ペプチド連結用基と前記一般式(I)で表す構造とを連結する基である。
前記連結基の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した繰返し単位を含む構造などが挙げられる。
前記細胞膜透過性分子は、ペプチドに導入される際に、前記ペプチドにおける反応性アミノ酸残基と反応する部位の構造が変化してもよい。
前記細胞膜透過性分子の具体例としては、例えば、以下の構造式で表される化合物などが挙げられる。なお、前記細胞膜透過性分子は、塩の形態とする際に、その構造の一部が変化してもよい。
下記構造式で表される細胞膜透過性分子G3-DCXは、一般式(I)において、Rの部分にヘテロ原子含有基として、3,5-ビス(クロロメチル)ベンジル基である環状化基(ペプチド連結用基)と、連結基とを有している例である。前記細胞膜透過性分子G3-DCXは環状化基を有しているので、ペプチドの環状化と、ペプチドへの細胞膜透過性の付与とを1工程で行うことができる。
下記構造式で表される細胞膜透過性分子G3は、一般式(I)において、Rの部分にヘテロ原子含有基として、オキシムライゲーション法によりペプチドと結合可能なペプチド連結用基を有している例である。
<pKの値が4.7未満の酸>
本発明の細胞膜透過性分子は、pK(酸解離定数)の値が4.7未満の酸との塩である。
本発明において、酸が複数のpKの値を有している場合には、1段階目の解離におけるpKの値であるpKa1の値をpKの値とする。
前記pKの値が4.7未満の酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、生体に対してより低毒性である点で、トリフルオロ酢酸(-0.3)、塩酸(-8.0)、硫酸(-3.0)、硝酸(-1.3)、リン酸(2.1(pKa1))、メシル酸(-2.6)、トシル酸(-2.8)、酒石酸(3.2(pKa1))及びクエン酸(3.1(pKa1))からなる群から選択されるいずれかが好ましい。前記酸の名称の後のかっこ内の数値はpKの値を表す。なお、pKa1の値の場合は、数値の後にpKa1と記載した。
前記pKの値が4.7未満の酸の中でも、生体に対してより低毒性である点では、pKの値の下限としては、-8.0超(pKの値が-8.0よりも大きい)が好ましく、-3.0超(pKの値が-3.0よりも大きい)がより好ましい。また、前記pKの値が4.7未満の酸におけるpKの値の上限としては3.5以下が好ましく、3.3未満がより好ましい。
前記細胞膜透過性分子は、上記した一般式(I)で表される構造を有し、pKの値が4.7未満の酸との塩であって、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他の構成を有していてもよい。
<細胞膜透過性分子の製造方法>
前記細胞膜透過性分子の製造方法としては、特に制限はなく、公知の化学合成の技術を適宜選択して行うことができる。例えば、米国特許第7,862,807号明細書などに記載の方法を参考にして、公知の化学合成の技術を適宜選択することにより製造することができる。例えば、塩の形態とする方法としては、塩の形態ではない細胞膜透過性分子の粗生成物を、目的の塩の種類に応じた移動相を用いたHPLCにより精製し、目的とする塩の形態の細胞膜透過性分子とする方法、塩の形態である細胞膜透過性分子を、対イオンを目的の塩のイオンへと置換した陰イオン交換樹脂に通じ、溶出することで目的とする塩の形態の細胞膜透過性分子とする方法などが挙げられる。
得られた細胞膜透過性分子が所望の構造を有するか否かを確認する方法としては、特に制限はなく、公知の分析方法を適宜選択することができ、例えば、質量分析法、プロトン核磁気共鳴分光法、炭素13核磁気共鳴分光法、紫外分光法、赤外分光法などの分析方法が挙げられる。
本発明の細胞膜透過分子は、生体への毒性を低減しつつ、ペプチド、核酸、タンパク質及びこれらの複合体などの有効成分に対して優れた細胞膜透過性を付与することができる。
(ペプチド複合体)
本発明のペプチド複合体は、ペプチドと、上記した本発明の細胞膜透過性分子とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
<ペプチド>
前記ペプチドとしては、前記細胞膜透過性分子を導入することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記細胞膜透過性分子を導入することにより環状化されるペプチドが好ましい。
前記ペプチドにおけるアミノ酸の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、天然のアミノ酸であってもよいし、非天然のアミノ酸であってもよく、また、D体であってもよいし、L体であってもよい。
前記ペプチドは、リポペプチドなどの修飾型ペプチドであってもよい。
前記細胞膜透過性分子の導入に利用するアミノ酸残基(以下、「反応性アミノ酸残基」と称することがある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、システイン残基、リジン残基、ヒスチジン残基、トリプトファン残基、チロシン残基、セリン残基、スレオニン残基などが挙げられる。
前記ペプチドとして、細胞膜透過性分子を導入することにより環状化されるペプチドを用いる場合には、前記反応性アミノ酸残基としては、例えば、システイン残基、リジン残基、セリン残基、スレオニン残基などが挙げられる。
また、アミノ酸残基におけるアルコール側鎖を利用してもよい。
前記反応性アミノ酸残基は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記反応性アミノ酸残基のペプチドにおける数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、前記ペプチドとして、細胞膜透過性分子を導入することにより環状化されるペプチドを用いる場合には、前記反応性アミノ酸残基のペプチドにおける数は、2以上が好ましい。前記反応性アミノ酸残基のペプチドにおける数の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、反応点が多くなるとペプチドに結合する前記細胞膜透過性分子の数や位置が安定せず、アミノ酸配列に由来するペプチドの特性を比較し難くなる場合があるので、10以下が好ましい。
なお、例えば、ペプチド中のシステイン残基がジスルフィド結合により前記ペプチドの高次構造の安定化に関与しているような場合には、別途、上記反応性アミノ酸残基を前記ペプチドに導入することが好ましい。
前記反応性アミノ酸残基の前記ペプチドにおける位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、前記ペプチドとして、mRNA分子、その翻訳物であるペプチド鎖(以下、「ポリペプチド鎖」と称することもある。)、及びリボソームを含むリボソームディスプレイ複合体(以下、「RD複合体」と称することがある。)を用いる場合には、例えば、リボソームの出口トンネル(exit tunnel)から外に出ている部分であり、具体的にはN末端から2番目~C末端から30番目の位置(N末端から2番目の位置及びC末端から30番目の位置を含む)の間とすることが、前記リンカー分子による修飾反応がリボソームにより立体的に阻害され難くなり得る点で、好ましい。
前記C末端からの位置としては、C末端から50番目が好ましく、100番目がより好ましい。
また、前記反応性アミノ酸残基の位置をN末端側から数えた場合、その位置は、ペプチドの鎖長に応じて適宜設定できるが、例えば、N末端から2~1,000番目の位置であり、N末端から2~100番目の位置が好ましく、N末端から2~50番目の位置がより好ましい。
前記RD複合体の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、国際公開第2017/213158号に記載の方法などが挙げられる。また、市販のキットを利用して製造することもできる。
前記ペプチドのアミノ酸配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ペプチドライブラリとして有用であるように、特定の位置にランダム配列を含むものが好ましい。かかるランダム配列の中から、所定の目的に応じて有用なアミノ酸配列を特定し得る。
前記ランダム配列の前記ペプチドにおける位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記反応性アミノ酸残基の位置と同様に、RD複合体を用いる場合には、N末端から2番目~C末端から30番目の位置(N末端から2番目の位置及びC末端から30番目の位置を含む)の間とすることが好ましい。即ち、反応性アミノ酸残基は、ランダム配列内に含まれることが好ましい。従ってランダム配列の好ましい位置は、反応性アミノ酸残基の好ましい位置と同じ範囲から設定できる。
前記ランダム配列の前記ペプチドにおける数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。前記ランダム配列の数の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10以下が好ましい。
前記ランダム配列1つあたりのアミノ酸残基数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1以上、30以下とすることができる。
1つのランダム配列が長くなるほど、またランダム配列の数が多くなるほど、ペプチドライブラリの多様性を高めることができる。
前記ペプチドは、更に、FLAG(登録商標)配列やポリHis配列等のポリペプチド鎖の精製のための配列、プロテアーゼなどにより選択的に切断される配列、スペーサー配列などを含んでいてもよい。
前記ペプチドのアミノ酸残基数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10以上、5,000以下とすることができる。
前記ペプチドのアミノ酸残基数の下限値としては、150以上が好ましく、200以上がより好ましい。また、ペプチドのアミノ酸残基数の上限値としては、800以下が好ましく、600以下がより好ましく、500以下が特に好ましい。前記下限値と上限値とは、適宜組み合わせて選択することができる。
前記ペプチドの合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
<細胞膜透過性分子>
前記細胞膜透過性分子は、上記した本発明の細胞膜透過性分子である。
前記細胞膜透過性分子は、ペプチドに導入される際に、前記ペプチドにおける反応性アミノ酸残基と反応する部位の構造が変化してもよい。
<その他の構成>
前記ペプチド複合体におけるその他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光物質などの発光物質、色素、放射性物質、薬剤、毒素、核酸、アミノ酸、糖類、脂質、各種ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記蛍光物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フルオレセイン類、ローダミン類、クマリン類、ピレン類、シアニン類などの蛍光色素が挙げられる。
前記その他の構成は、例えば、上記したペプチドに、直接又は連結基などを介して結合させることができる。
本発明のペプチド複合体は、優れた細胞透過性を有しつつ、生体への毒性も低い。したがって、例えば、ランダム配列を含むペプチド複合体ライブラリとし、スクリーニングを行うことで、優れた細胞透過性を有しつつ、生体への毒性も低く、かつ対象物質への親和性が高い等の有用なアミノ酸配列を特定し得る。
(ペプチド複合体の製造方法)
本発明のペプチド複合体の製造方法は、ペプチドに、本発明の細胞膜透過性分子を導入する導入工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<導入工程>
前記導入工程は、ペプチドに、本発明の細胞膜透過性分子を導入する(以下、「結合する」、「挿入する」、「連結する」と称することもある。)工程である。
前記導入工程により、ペプチドへ細胞膜透過性を付与することができる。また、上記した環状化基を有する細胞膜透過性分子を導入する場合には、ペプチドの環状化と、ペプチドへの細胞膜透過性の付与とを同時に行うことができる。
前記導入工程では、反応物中における少なくとも1つのペプチドに細胞膜透過性分子が導入されればよいが、全てのペプチドに細胞膜透過性分子が導入されることが好ましい。
-ペプチド-
前記ペプチドは、上記した(ペプチド複合体)の<ペプチド>の項目に記載したものと同様である。前記導入工程に用いるペプチドは、ペプチドライブラリの態様であってもよい。なお、このペプチドライブラリにおけるペプチドは本発明の細胞膜透過性分子が導入されていない状態のものである。
-細胞膜透過性分子-
前記細胞膜透過性分子は、上記した本発明の細胞膜透過性分子である。
-導入-
前記導入の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記細胞膜透過性分子におけるペプチド連結用基と、前記ペプチドにおける反応性アミノ酸残基とを反応させる方法などが挙げられる。例えば、還元剤の存在下で、前記細胞膜透過性分子と、前記ペプチドとを反応させる方法などが挙げられる。前記還元剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩などが挙げられる。
前記反応の温度、時間等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ペプチド複合体を塩の形態とする方法としては、特に制限はなく、公知の化学合成の技術を適宜選択して行うことができ、例えば、上記した<細胞膜透過性分子の製造方法>の項目に記載した方法と同様の方法などが挙げられる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
得られたペプチド複合体が所望の構造を有するか否かを確認する方法としては、特に制限はなく、公知の分析方法を適宜選択することができ、例えば、質量分析法、プロトン核磁気共鳴分光法、炭素13核磁気共鳴分光法、紫外分光法、赤外分光法などの分析方法が挙げられる。
(ペプチドライブラリ)
本発明のペプチドライブラリは、本発明のペプチド複合体を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。即ち、本発明のペプチドライブラリは、本発明の細胞膜透過性分子が導入されたペプチド複合体を含むものである。
前記ペプチドライブラリは、本発明のペプチド複合体のみからなるものであってもよいし、前記細胞膜透過性分子が導入されていないペプチドが含まれていてもよい。
前記ペプチドライブラリは、上記した(ペプチド複合体の製造方法)と同様にして、製造することができる。
(機能性ペプチドのスクリーニング方法)
本発明の機能性ペプチドのスクリーニング方法は、本発明のペプチドライブラリを用いて機能性ペプチドをスクリーニングする工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
前記スクリーニングの方法としては、本発明のペプチドライブラリを用いる限り、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。例えば、所望の対象物質と、前記ペプチドライブラリとを混合し、結合したペプチド複合体(例えば、RD複合体)を選択し、前記RD複合体からRNAを解離させ、前記RNAからDNAを調製し、増幅した後、mRNAに転写し、再度RD複合体ライブラリを作製するという工程を繰り返し、前記対象物質に対する親和性を有する機能性ペプチドをスクリーニングする、リボソームディスプレイ法によるスクリーニング方法が挙げられる。また、ファージディスプレイ法、mRNAディスプレイ法、DNAディスプレイ法、1ビーズ1化合物(one-bead one-compound)法などを用いたスクリーニング方法なども挙げられる。
前記スクリーニング方法では、スクリーニング工程を繰返す過程などにおいて、選択されたペプチドに、本発明の細胞膜透過性分子を導入する導入工程を含んでいてもよい。前記導入工程は、上記した(ペプチド複合体の製造方法)における<導入工程>と同様にして行うことができる。
以下に実施例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
(実施例1:細胞膜透過性分子G3-DHXトリフルオロ酢酸塩の合成)
毒性評価用として、細胞膜透過性分子の一例であるG3-DHXトリフルオロ酢酸塩を下記のようにして合成した。
<化合物G3-DCXの合成>
-化合物C1の合成-
米国特許第7,862,807号明細書に記載の方法と同様の方法により、下記構造式で表される化合物C1を合成した。
なお、構造式中の「Boc」は、「tert-ブトキシカルボニル基」を表す。
-化合物C3の合成-
上記反応式のようにして、上記構造式で表される化合物C3を合成した。
具体的には、化合物C1(500mg,0.42mmol)の塩化メチレン溶液(15mL)を0℃に冷却し、化合物C2(東京化成工業株式会社製、製品番号A2293)(117.5mg,0.504mmol)と1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(85.1mg,0.630mmol)と1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC/HCl)(120mg,0.630mmol)を加えて25℃で17時間撹拌した。ここにHO(20mL)を加え、塩化メチレンで抽出を行い(30mLで3回)、有機層は1N塩酸(20mLで2回)と飽和重曹水(20mLで2回)と水(20mLで2回)で洗浄した。NaSOで乾燥しろ過と濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製(メタノール(MeOH)/CHCl=1/10)することにより、化合物C3を白色固体として取得した(533mg,0.379mmol,収率90%)。
前記化合物C3の1H NMRによる同定データは、以下のとおりであった。
1H NMR(CDCl): δ 11.4(s, 3H), 8.58(t, HH=6.0Hz, 3H), 7.69(t, HH=5.0Hz, 3H), 6.84(s, 1H), 3.89(s, 2H), 3.71-3.65(m, 22H), 3.56-3.53(m, 6H), 3.42-3.38(m, 8H), 2.43(t, HH=6.0Hz, 6H), 1.49(s, 27H), 1.48(s, 27H)
-化合物DBXAの合成-
水素化ナトリウム(132mg,3.02mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(6mL)に懸濁させ0℃に冷却した。ここに2-プロピン-1-オール(0.165mL,2.80mmol)を加え0℃で30分間撹拌した。1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン(1.00g,2.80mmol)を加え25℃で20時間撹拌した。酢酸エチル(100mL)を加えてから水(100mL)と飽和食塩水(100mL)で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで洗浄した。ろ過と濃縮を行い得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)で精製し(塩化メチレン/ヘキサン=1/2)、下記構造式で表される化合物DBXA(416.6mg,1.25mmol,収率45%)を淡黄色油状物として取得した。
前記化合物DBXAの1H NMRによる同定データは、以下のとおりであった。
1H NMR(CDCl): δ 7.29(s, 1H), 7.26(s, 2H), 4.53(s, 2H), 4.40(s, 4H), 4.15(HH=2.5Hz, 2H), 2.43(HH=2.0Hz, 1H)
-化合物C4の合成-
上記反応式のようにして、上記構造式で表される化合物C4を合成した。
具体的には、化合物C3(533mg, 0.379mmol)と化合物DBXA(188mg, 0.568mmol)とTHF(40mL)からなる溶液に窒素ガスバブリングを行い、窒素雰囲気下とした。ここに、硫酸銅水溶液(200mM; 1.89mL,0.379mmol)とアスコルビン酸ナトリウム水溶液(100mM; 7.58mL,0.758mmol)を加え、25℃で3時間撹拌した。反応液に水を加え塩化メチレンで抽出を行い(20mLで3回)、有機層をNaSOで乾燥しろ過と濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製(MeOH/CHCl=1/20)することにより、化合物C4を白色固体として取得した(497mg,0.286mmol,収率76%)。
前記化合物C4の1H NMRによる同定データは、以下のとおりであった。
1H NMR(CDCl): δ 8.58(t, HH=5.5Hz, 3H), 7.77(s, 1H), 7.74(t, HH=5.0Hz, 3H), 7.34(s, 1H), 7.32(s, 2H), 6.82(s, 1H), 4.69(s, 2H), 4.58(s, 2H), 4.56(t, HH=5.0Hz, 2H), 4.47(s, 4H), 3.89(t, HH=5.0Hz, 2H), 3.87(s, 2H), 3.69(t, HH=6.0Hz, 6H), 3.66(s, 6H), 3.61(s, 8H), 3.56-3.52(m, 6H), 3.41-3.38(m, 6H), 2.42(t, HH=6.0Hz, 6H), 1.49(s, 27H), 1.48(s, 27H)
-化合物G3-DCXの合成-
上記反応式のようにして、上記構造式で表される化合物G3-DCXを合成した。
具体的には、化合物C4(497mg,0.286mmol)と4N塩酸ジオキサン溶液(30mL)を混合し、25℃で46時間撹拌した。反応後、白色固体が析出した。上清を除去し、化合物G3-DCXの粗生成物を取得した。分取HPLC(high performance liquid chromatography)で精製し、化合物G3-DCXを白色固体として取得した(116mg, 0.110mmol, 収率54%)。
前記化合物G3-DCXのマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析(MALDI-TOF MS)による同定データは、以下のとおりであった。
MALDI-TOF MS C245114 計算値([M+H])1047.502、測定値1047.953
<G3-DHXトリフルオロ酢酸塩の合成>
上記反応式のようにして、上記構造式で表される細胞膜透過性分子G3-DHXトリフルオロ酢酸塩を合成した。
具体的には、化合物G3-DCX(506mg,0.480mmol)とHO(6mL)を混合し、80℃で2時間撹拌した。反応液を濃縮し、化合物G3-DHX粗生成物を取得した。トリフルオロ酢酸(TFA)を含む移動相を用いたHPLC(high performance liquid chromatography)で精製し、細胞膜透過性分子G3-DHXトリフルオロ酢酸塩を白色固体として取得した(224.6mg, 0.169mmol, 収率35%)。
前記G3-DHXトリフルオロ酢酸塩のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析(MALDI-TOF MS)による同定データは、以下のとおりであった。
MALDI-TOF MS C42741613 計算値([M+H])1011.153、測定値1011.550。
(実施例2:細胞膜透過性分子G3-DHX塩酸塩の調製)
毒性評価用として、細胞膜透過性分子の一例であるG3-DHX塩酸塩を下記のようにして調製した。
実施例1と同様にして合成したG3-DHXトリフルオロ酢酸塩(19.7mg)を、超純水に溶解し(5mg/mL)、対イオンを塩化物イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)に通じた。溶出には超純水を用いた。得られた溶液を凍結乾燥して、白色乃至オフホワイト色粉末としてG3-DHX塩酸塩(17.8mg)を得た。
(実施例3:細胞膜透過性分子G3-DHX硝酸塩の調製)
毒性評価用として、細胞膜透過性分子の一例であるG3-DHX硝酸塩を下記のようにして調製した。
実施例1と同様にして合成したG3-DHXトリフルオロ酢酸塩(1.5mg)を、超純水に溶解し(2mg/mL)、対イオンを硝酸イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)に通じた。溶出には超純水を用いた。得られた溶液を凍結乾燥して、白色乃至オフホワイト色粉末としてG3-DHX硝酸塩(0.9mg)を得た。
(実施例4:細胞膜透過性分子G3-DHX硫酸塩の調製)
毒性評価用として、細胞膜透過性分子の一例であるG3-DHX硫酸塩を下記のようにして調製した。
実施例1と同様にして合成したG3-DHXトリフルオロ酢酸塩(1.5mg)を、超純水に溶解し(2mg/mL)、対イオンを硫酸イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)に通じた。溶出には超純水を用いた。得られた溶液を凍結乾燥して、白色乃至オフホワイト色粉末としてG3-DHX硫酸塩(1.0mg)を得た。
(実施例5:細胞膜透過性分子G3-DHXリン酸塩の調製)
毒性評価用として、細胞膜透過性分子の一例であるG3-DHXリン酸塩を下記のようにして調製した。
実施例1と同様にして合成したG3-DHXトリフルオロ酢酸塩(1.5mg)を、超純水に溶解し(2mg/mL)、対イオンをリン酸イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)に通じた。溶出には超純水を用いた。得られた溶液を凍結乾燥して、白色乃至オフホワイト色粉末としてG3-DHXリン酸塩(1.4mg)を得た。
(実施例6:細胞膜透過性分子G3-DHXメシル酸塩の調製)
毒性評価用として、細胞膜透過性分子の一例であるG3-DHXメシル酸塩を下記のようにして調製した。
実施例1と同様にして合成したG3-DHXトリフルオロ酢酸塩(2.2mg)を、超純水に溶解し(2mg/mL)、対イオンをメシル酸イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)に通じた。溶出には超純水を用いた。得られた溶液を凍結乾燥して、無色液体としてG3-DHXメシル酸塩(2.2mg)を得た。
(実施例7:細胞膜透過性分子G3-DHXトシル酸塩の調製)
毒性評価用として、細胞膜透過性分子の一例であるG3-DHXトシル酸塩を下記のようにして調製した。
実施例1と同様にして合成したG3-DHXトリフルオロ酢酸塩(2.2mg)を、超純水に溶解し(2mg/mL)、対イオンをトシル酸イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)に通じた。溶出には超純水を用いた。得られた溶液を凍結乾燥して、白色粉末としてG3-DHXトシル酸塩(2.4mg)を得た。
(実施例8:細胞膜透過性分子G3-DHX酒石酸塩の調製)
毒性評価用として、細胞膜透過性分子の一例であるG3-DHX酒石酸塩を下記のようにして調製した。
実施例1と同様にして合成したG3-DHXトリフルオロ酢酸塩(2.2mg)を、超純水に溶解し(2mg/mL)、対イオンを酒石酸イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)に通じた。溶出には超純水を用いた。得られた溶液を凍結乾燥して、淡黄色粉末としてG3-DHX酒石酸塩(1.8mg)を得た。
(実施例9:細胞膜透過性分子G3-DHXクエン酸塩の調製)
毒性評価用として、細胞膜透過性分子の一例であるG3-DHXクエン酸塩を下記のようにして調製した。
実施例1と同様にして合成したG3-DHXトリフルオロ酢酸塩(2.2mg)を、超純水に溶解し(2mg/mL)、対イオンをクエン酸イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)に通じた。溶出には超純水を用いた。得られた溶液を凍結乾燥して、淡黄色粉末としてG3-DHXクエン酸塩(1.6mg)を得た。
(比較例1:細胞膜透過性分子G3-DHX酢酸塩の調製)
実施例1と同様にして合成したG3-DHXトリフルオロ酢酸塩(43mg)を、超純水に溶解し(5mg/mL)、対イオンを酢酸イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)に通じた。溶出には超純水を用いた。得られた溶液を凍結乾燥して、白色乃至オフホワイト色粉末としてG3-DHX酢酸塩(36mg)を得た。
(実施例10:ペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩の合成)
細胞膜透過性分子とペプチドとの複合体の一例であるペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩を下記のようにして合成した。
<ペプチドの合成>
マイクロウェーブを用いた固相合成法により、リンクアミド(Rink Amide)樹脂(0.2mmol/g)上で、以下の配列を有するペプチドを合成した。
FITC-Ahx-Cys-Gly-Ser-Gly-Leu-Ala-Ser-Pro-Asn-Gly-Tyr-Cys-NH
(上記配列中、「FITC」はフルオレセインイソチオシアネートを表し、「Ahx」は6-アミノヘキサン酸を表す。)
前記ペプチドを形成した樹脂を、TFA/水/トリイソプロピルシラン/3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(92.5/2.5/2.5/2.5(容量比))に3時間浸漬し、前記ペプチドを樹脂から切り出した。得られたペプチドをHPLCで精製し凍結乾燥することにより、上記配列を有するペプチド(以下、「P」と表すことがある。下記構造式参照。)を取得した。前記ペプチドPのエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)による同定データは、以下のとおりであった。
ESI-MS C72921622 計算値([M+2H]2+)815.295、測定値814.67
<ペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩の合成>
上記反応式のようにして、上記構造式で表されるペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩を合成した。
具体的には、上記で合成したペプチドP(11.0mg,6.75μmol)を20mM重炭酸アンモニウム緩衝液(11.8mL)とアセトニトリル(MeCN)(1.7mL)の混合溶液に溶解させた。この溶液に、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)(500mM in HO;14.8μL,7.4μmol)を添加し、25℃下で15分間撹拌した。続いて、上記で合成したG3-DCX(10.6mg,10.1μmol)と25℃下で24時間撹拌した。その後、反応液を、TFAを含む移動相を用いたHPLCで精製することにより、環状ペプチド(ペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩)を取得した(3.25mg,1.10μmol,収率16%)。
前記ペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩のMALDI-TOF MSによる同定データは、以下のとおりであった。
MALDI-TOF MS C1141633233 計算値([M+H])2604.92、測定値2604.330
(実施例11:ペプチド複合体G3-DCX-P塩酸塩の調製)
実施例10と同様にして合成したペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩(1.1mg)を、超純水に溶解し(0.5mg/mL)、対イオンを塩化物イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)を添加した。1時間振とうしたのち、陰イオン交換樹脂を濾別し、超純水で溶出した。得られた溶液を凍結乾燥して、白色乃至オフホワイト色粉末としてG3-DCX-P塩酸塩(0.6mg)を得た。
(比較例2:ペプチド複合体G3-DCX-P酢酸塩の調製)
実施例10と同様にして合成したペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩(1.0mg)を、超純水に溶解し(0.5mg/mL)、対イオンを酢酸イオンへと置換した陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA306S)を添加した。1時間振とうしたのち、陰イオン交換樹脂を濾別し、超純水で溶出した。得られた溶液を凍結乾燥して、白色乃至オフホワイト色粉末としてG3-DCX-P酢酸塩(0.9mg)を得た。
(試験例1:細胞膜透過性分子の毒性評価)
<マウスでのin vivo毒性評価>
供与動物は、7週齢のマウス(雌性、15~25g、日本チャールズ・リバー社)を購入し、約7日間、環境馴化させたものを用いた。
実施例及び比較例で合成した細胞膜透過性分子G3-DHXの各種酸塩(トリフルオロ酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩)は、0.1%(v/v)DMSO PBSに1~10mg/mLで溶解後、シリンジフィルターユニット(酢酸セルロース製、0.22μm)でろ過した。
マウスに、下記の表1に記載の量となるように調製した細胞膜透過性分子G3-DHXの各種酸塩又はプラセボ緩衝液対照(0.1%(v/v)DMSO PBS)を尾静脈に単回投与し、投与後30分間については一般症状及び生死等について経時的に観察し、その後7日間については1回/日のペースで継続的に一般症状及び生死等について観察した。細胞膜透過性分子G3-DHXの各種酸塩及びプラセボ緩衝液対照は、各群3匹のマウスに投与し、観察を実施した。また、投与日及び投与後1、2、7日後には体重測定を行い、体重の著しい増減を調査した。死亡例がみられた場合には、その都度解剖を実施した。また、生存例では、観察最終日(投与後7日目)に、全例についてイソフルラン吸入麻酔下で腹大動脈及び後大静脈より放血させ、安楽死させたうえで解剖し、肉眼的観察を行った。表1には投与5分後の一般症状の観察結果を示す。
Figure 2023162460000015
表1に示されるとおり、G3-DHXトシル酸塩、G3-DHXメシル酸塩、G3-DHXリン酸塩、G3-DHXクエン酸塩、又はG3-DHX酒石酸塩を10mg/kgの用量で投与した群では、いずれに個体においても歩行障害や呼吸不整等の症状や体重の著しい増減は認められなかった。また投与後7日間にわたって生存を確認できた。
また、G3-DHXトリフルオロ酢酸塩については、10mg/kg又は20mg/kgのいずれの用量で投与しても、歩行障害や呼吸不整等症状や体重の著しい増減は認められなかった。
また、G3-DHX塩酸塩を投与した個体は、投与直後には歩行障害が僅かに認められたが3分後には回復した。その後7日間にわたって症状は認められず、体重の著しい増減もなかった。G3-DHX硫酸塩を投与した個体は、投与直後には呼吸不整が認められたが3分後には回復した。その後7日間にわたって異常症状は認められ体重の著しい増減もなかった。
一方、G3-DHX酢酸塩を10mg/kgの用量で投与した個体は、投与直後から振戦がみられ、投与から2分後に死亡した。
以上より、マウス単回静脈投与時の毒性は、G3-DHX酢酸塩が最も高く、オクタアルギニン(構造式は下記参照)と同程度である(Marcel Groggら, Cell Penetration, Herbicidal Activity, and in‐vivo‐Toxicity of Oligo‐Arginine Derivatives and of Novel Guanidinium‐Rich Compounds Derived from the Biopolymer Cyanophycin, Helv Chim Acta. 2018 October ; 101(10),e1800112)ことが分かった。
これに対し、G3-DHXトリフルオロ酢酸塩、G3-DHX塩酸塩、G3-DHX硫酸塩、G3-DHXリン酸塩、G3-DHXメシル酸塩、G3-DHXトシル酸塩、G3-DHX酒石酸塩、及びG3-DHXクエン酸塩は、G3-DHX酢酸塩よりも低毒性であることが分かった。各酸のpKの値と各酸塩の毒性の結果から、pKの値が4.7の酢酸が最も毒性が高く、pKの値が酢酸より小さい酸については毒性が低いことが分かる。すなわち、細胞膜透過性分子は、pKの値が4.7よりも小さい酸との塩とすることで低毒性となることが示唆された。また、G3-DHX塩酸塩とG3-DHX硫酸塩については、投与直後に僅からながらも症状が認められており、低毒性という観点からは、pK-8.0超の酸との塩が好ましく、またpK-3.0超の酸との塩がより好ましいことが明らかとなった。
(試験例2:ペプチド複合体の細胞膜透過能評価)
実施例10で合成したペプチドP及び実施例10で合成したペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩のいずれかを2μM含む細胞培養液中、5%(v/v)CO、37℃の条件下で、HeLa細胞(Human cervix adenocarcinoma cell)を2時間培養した。HeLa細胞の培養には、FluoroBrite D-MEM(ThermoFisher社製)(10%(v/v)FCS(ウシ胎児血清)、10%(v/v)GlutaMax(ThermoFisher社製)添加)を用いた。
次いで、D-PBS(-)(ヘパリン(20units/mL)添加)で細胞表面を洗浄後、細胞を回収し、D-PBS(-)(0.5%(v/v)BSA(ウシ血清アルブミン)、200mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、0.2%(v/v)ヨウ化プロピジウム(Sigma-Aldrich社製)添加)に懸濁させ、フローサイトメーター(BD FACS AriaIII)を用いて蛍光強度を測定した。フローサイトメトリー解析時には、ヨウ化プロピジウム陽性の死細胞を除いた生細胞集団に対し、蛍光強度最頻値を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2023162460000017
表2に示されるとおり、培養2時間後において、実施例10で合成したペプチドPはほぼ膜透過しないのに対し、実施例10で合成したペプチド複合体G3-DCX-Pトリフルオロ酢酸塩は膜透過していた。このことから、本発明の細胞膜透過性分子をペプチドに導入することにより、細胞膜透過性を獲得したことが実証された。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 下記一般式(I)で表される構造を有し、pKの値が4.7未満の酸との塩であることを特徴とする細胞膜透過性分子である。
(前記一般式(I)中、Rは結合手を表す。)。
<2> 前記一般式(I)で表される構造の前記Rの部分が、ヘテロ原子含有基と結合している前記<1>に記載の細胞膜透過性分子である。
<3> 前記ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子の含有割合が、10%以上である前記<2>に記載の細胞膜透過性分子である。
<4> 前記ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも1種である前記<2>から<3>のいずれかに記載の細胞膜透過性分子である。
<5> 前記ヘテロ原子含有基が、繰返し単位を含む前記<2>から<4>のいずれかに記載の細胞膜透過性分子である。
<6> 前記繰返し単位が、アルキレンオキサイドである前記<5>に記載の細胞膜透過性分子である。
<7> 前記アルキレンオキサイドが、メチレンオキサイド、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドからなる群から選択される少なくとも1種である前記<6>に記載の細胞膜透過性分子である。
<8> 前記pKの値が4.7未満の酸が、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、メシル酸、トシル酸、酒石酸及びクエン酸からなる群から選択されるいずれかである前記<1>から<7>のいずれかに記載の細胞膜透過性分子である。
<9> ペプチドと、前記<1>から<8>のいずれかに記載の細胞膜透過性分子とを含むことを特徴とするペプチド複合体である。
<10> 前記<9>に記載のペプチド複合体を含むことを特徴とするペプチドライブラリである。
<11> ペプチドに、前記<1>から<8>のいずれかに記載の細胞膜透過性分子を導入することを含むことを特徴とするペプチド複合体の製造方法である。
<12> 前記ペプチドが、ペプチドライブラリに含まれるペプチドである前記<11>に記載のペプチド複合体の製造方法である。
<13> 前記<10>に記載のペプチドライブラリを用いて機能性ペプチドをスクリーニングすることを含むことを特徴とする機能性ペプチドのスクリーニング方法である。
<14> ペプチドに、前記<1>から<8>のいずれかに記載の細胞膜透過性分子を導入することを含む前記<13>に記載の機能性ペプチドのスクリーニング方法である。

Claims (14)

  1. 下記一般式(I)で表される構造を有し、pKの値が4.7未満の酸との塩であることを特徴とする細胞膜透過性分子:
    (前記一般式(I)中、Rは結合手を表す。)。
  2. 前記一般式(I)で表される構造の前記Rの部分が、ヘテロ原子含有基と結合している請求項1に記載の細胞膜透過性分子。
  3. 前記ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子の含有割合が、10%以上である請求項2に記載の細胞膜透過性分子。
  4. 前記ヘテロ原子含有基におけるヘテロ原子が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも1種である請求項2から3のいずれかに記載の細胞膜透過性分子。
  5. 前記ヘテロ原子含有基が、繰返し単位を含む請求項2から4のいずれかに記載の細胞膜透過性分子。
  6. 前記繰返し単位が、アルキレンオキサイドである請求項5に記載の細胞膜透過性分子。
  7. 前記アルキレンオキサイドが、メチレンオキサイド、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドからなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の細胞膜透過性分子。
  8. 前記pKの値が4.7未満の酸が、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、メシル酸、トシル酸、酒石酸及びクエン酸からなる群から選択されるいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の細胞膜透過性分子。
  9. ペプチドと、請求項1から8のいずれかに記載の細胞膜透過性分子とを含むことを特徴とするペプチド複合体。
  10. 請求項9に記載のペプチド複合体を含むことを特徴とするペプチドライブラリ。
  11. ペプチドに、請求項1から8のいずれかに記載の細胞膜透過性分子を導入することを含むことを特徴とするペプチド複合体の製造方法。
  12. 前記ペプチドが、ペプチドライブラリに含まれるペプチドである請求項11に記載のペプチド複合体の製造方法。
  13. 請求項10に記載のペプチドライブラリを用いて機能性ペプチドをスクリーニングすることを含むことを特徴とする機能性ペプチドのスクリーニング方法。
  14. ペプチドに、請求項1から8のいずれかに記載の細胞膜透過性分子を導入することを含む請求項13に記載の機能性ペプチドのスクリーニング方法。

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