JP2023161086A - 触媒層 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023161086000001
【課題】固体高分子形燃料電池の高電流域での発電性能を向上可能な触媒層を提供する。
【解決手段】触媒担体に触媒が担持されてなる触媒担持担体、及び高分子電解質を含む、固体高分子形燃料電池用触媒層であって、前記触媒層が空隙部を有し、前記触媒層の表面と直交する厚さ方向における断面において観察される前記空隙部のうち、0.01μm以上1μm以下の断面積を有する空隙部の断面積の総和が、前記空隙部全ての断面積の総和に対して60%以上である、触媒層。
【選択図】図2

Description

本開示は、固体高分子形燃料電池に用いられる触媒層に関する。
燃料電池(FC)は、1つの単セル(以下、セルと記載する場合がある)又は複数の単セルを積層した燃料電池スタック(以下、単にスタックと記載する場合がある)で構成され、水素等の燃料ガスと酸素等の酸化剤ガスとの電気化学反応によって電気エネルギーを取り出す発電装置である。
燃料電池は、電解質の種類によって、アルカリ形、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体高分子形、固体酸化物形等に分類することができる。固体高分子形燃料電池は、小型化、軽量化が可能であり、常温作動で出力密度が高く、起動性に優れていることから注目を集めている。
固体高分子形燃料電池の単セルは、固体高分子形電解質膜(以下、単に「電解質膜」と記載する場合がある)を燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)で挟んだ構造を含む。アノード及びカソードの各々は、通常、高分子電解質膜側から順に触媒層及びガス拡散層を有する。アノードでは、ガス流路及びガス拡散層から供給される燃料ガス中の水素(H)が、触媒層の触媒作用によりプロトン化する。生成したプロトンは、電解質膜を通過してカソードへと移動し、同時に生成した電子は、外部回路を通り、カソードへと移動する。カソードでは、供給された酸化剤ガス中の酸素(O)が、触媒層でプロトンおよび電子と反応し、水を生成する。生成した水は、電解質膜に適度な湿度を与え、余剰な水はガス拡散層を透過して、系外へと排出される。
アノード及びカソードが備える触媒層は、微細な空隙を有し、この空隙が、ガスや生成水等の物質を輸送する通路の役割を果たす。そこで、触媒層中の空隙の大きさや分布を制御することで発電性能を向上させることが試みられている。
例えば特許文献1には、触媒層の表面と直交する厚さ方向における断面において観察される空隙部のうち、10000nm以上の断面積を有する空隙部の頻度が占める割合が13%以上20%以下であり、断面積が10000nm以上である空隙部の断面積の総和が、空隙部全ての断面積の総和に対して40%以上50%以下を占める固体高分子形燃料電池用触媒層が開示されている。
特許文献2には、高分子電解質膜との接合面と直交する断面の面積に対する細孔の合計面積の割合である細孔面積率が、前記断面の走査型電子顕微鏡による画像において、25.0%以上35.0%以下であり、前記細孔の合計面積に対する、面積が90000nmより大きい細孔の合計面積の割合が15.0%以上30.0%以下である触媒層が開示されている。
国際公開第2020/196419号 特開2019-186193号公報
しかしながら、固体高分子形燃料電池において、特許文献1又は2に記載されるように触媒層中の空隙の大きさ及び分布を調整しても、高電流域における発電性能が不十分になる場合がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、固体高分子形燃料電池の高電流域での発電性能を向上可能な触媒層を提供することを目的とする。
本開示の触媒層は、触媒担体に触媒が担持されてなる触媒担持担体、及び高分子電解質を含む、固体高分子形燃料電池用触媒層であって、
前記触媒層が空隙部を有し、
前記触媒層の表面と直交する厚さ方向における断面において観察される前記空隙部のうち、0.01μm以上1μm以下の断面積を有する空隙部の断面積の総和が、前記空隙部全ての断面積の総和に対して60%以上であることを特徴とする。
本開示の触媒層においては、前記触媒担体が炭素粒子であってもよい。
本開示の触媒層においては、前記触媒担体に対する前記高分子電解質の質量比率(高分子電解質/触媒担体)が、0.6以上1.8以下であってもよい。
本開示の触媒層においては、前記触媒担体の比表面積が600m/g以上であってもよい。
本開示の触媒層は、固体高分子形燃料電池が備えるカソードに用いられるカソード触媒層であってもよい。
本開示の触媒層によれば、固体高分子形燃料電池の高電流域での発電性能を向上させることができる。
図1は、固体高分子形燃料電池に関し、触媒層の断面において観察される空隙部の積算分布と、電池の発電性能の関係を概略的に示す図である。 図2は、実施例1~3又は比較例1~2で作製した膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池について、カソード触媒層の断面積0.01~1μmの空隙面積割合と、電圧0.4Vのときの電流密度の関係を示すグラフである。 図3は、実施例1又は比較例1で作製した膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池について、電流密度と電圧の関係を示すグラフである。 図4は、実施例1又は比較例1で作製した膜電極接合体が備えるカソード触媒層について、断面積10000nm以上の空隙面積割合を示すグラフである。
1.触媒層
本開示の触媒層は、触媒担体に触媒が担持されてなる触媒担持担体、及び高分子電解質を含む、固体高分子形燃料電池用触媒層であって、
前記触媒層が空隙部を有し、
前記触媒層の表面と直交する厚さ方向における断面において観察される前記空隙部のうち、0.01μm以上1μm以下の断面積を有する空隙部の断面積の総和が、前記空隙部全ての断面積の総和に対して60%以上であることを特徴とする。
本開示の触媒層は、固体高分子形燃料電池が備えるカソード又はアノードにおいて、固体高分子形電解質膜と接合するように配置される。そのため、触媒層の表面とは、固体高分子形電解質膜との接合面であってよい。
本開示では、触媒層の表面と直交する厚さ方向における断面を、単に「触媒層の断面」と称する場合がある。
また、本開示では、触媒層の断面において観察される、空隙部全ての断面積の総和に対する、0.01μm以上1μm以下の断面積を有する空隙部の断面積の総和の割合を、単に「断面積0.01~1μmの空隙面積割合」と称する場合がある。
また、本開示では、固体高分子形燃料電池を、単に「燃料電池」と称する場合がある。
燃料電池の発電に関するシミュレーションモデル等から、触媒層で行われるガスや生成水等の物質輸送は、Knudsen拡散が支配的であると考えられている。本開示の触媒層が、固体高分子形燃料電池の高電流域での発電性能を向上できるのは、発電に有効に利用される空隙部を多く含むためと推定される。すなわち、断面積が0.01~1μmとなるサイズの空隙部内では、Knudsen拡散による物質輸送が行われやすく、本開示の触媒層は、このサイズの空隙部の割合が多いため、触媒層での物質輸送が効率的に行われて、燃料電池の発電性能を向上させることができると推定される。高電流域(高負荷域)での発電においては、ガス拡散が律速となって発電性能が低下する傾向があるところ、本開示の触媒層を用いた場合は、高電流域での発電においても触媒層でのガス拡散性が良好であるため、優れた発電性能を発揮することができる。
図1は、固体高分子形燃料電池に関し、触媒層の断面において観察される空隙部の積算分布と、電池の発電性能の関係を概略的に示す図である。図1において、空隙部の分布が最も小面積側に偏っている触媒層は、断面積0.01μm未満の空隙部が多いため、断面積0.01~1μmの空隙面積割合は60%未満であり、空隙部の分布が最も大面積側に偏っている触媒層は、断面積1μm超過の空隙部が多いため、断面積0.01~1μmの空隙面積割合は60%未満である。これらの触媒層を備える固体高分子形燃料電池は、断面積0.01~1μmの空隙面積割合が60%以上の触媒層を備える固体高分子形燃料電池に比べると、発電性能に劣り、特に高電流域での発電性能に劣る。触媒層中に、断面積が0.01~1μmとなるサイズの空隙部の割合が少ないと、ガス拡散抵抗が上がりやすいため、発電性能が低下しやすいと推定される。断面積が0.01μm未満の空隙部が多い場合は、排水性が悪化しやすいことも発電性能低下の原因となり、一方、断面積1μm超過の空隙部が多い場合は、プロトン抵抗が増加しやすいことも発電性能低下の原因となると考えられる。また、断面積1μm超過の空隙部が多い場合は、触媒層中にクラックが発生しやすく、触媒層の強度不足が生じるという問題もある。
本開示の触媒層において、断面積0.01~1μmの空隙面積割合は、60%以上であればよいが、燃料電池の発電性能をより向上させる点から、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である。触媒層の断面積0.01~1μmの空隙面積割合の上限は、特に限定はされないが、製造容易性の観点から、90%以下であってもよく、85%以下であってもよい。
また、本開示では、触媒層の断面において観察される全空隙部の断面積の総和の、当該断面の全面積に対する百分率を、触媒層の空隙率とする。
本開示の触媒層は、上記空隙率が、好ましくは30%以上であり、一方、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。触媒層の空隙率が上記範囲内であると、触媒層での物質輸送が効率的に行われやすいため、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
本開示において、触媒層の断面において観察される各空隙部の断面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて、好ましくは5,000倍以上10,000倍以下の倍率で観察される触媒層の断面画像から測定される。各空隙部の断面積を測定する際には、まず、触媒層の断面画像を、例えば、トリミング、フィルタリング、2値化等の画像処理を行うことにより、空隙部を可視化する。この2値化された画像において、空隙部を構成する画素は黒画素として表される。空隙部を構成する黒画素の数と、一画素の面積との積を算出することにより、当該空隙部の断面積を求めることができる。
断面積0.01~1μmの空隙面積割合は、断面画像内に存在する空隙部全ての断面積の総和(S)に対する、断面画像内に存在する断面積0.01~1μmの空隙部の断面積の総和(S)の百分率((S/S)×100)として求める。
空隙率は、断面の面積(S)に対する、断面画像内に存在する空隙部全ての断面積の総和(S)の百分率((S/S)×100)として求める。
本開示において、触媒層の断面積0.01~1μmの空隙面積割合、及び空隙率は、当該触媒層から得られる9枚の断面画像で求めた値の平均値とする。
触媒層の断面は、例えば、イオンミリング、ウルトラミクロトーム等の公知の方法により、触媒層を、表面と直交する厚さ方向に切断することにより得ることができる。
以下、本開示の触媒層が含有する各材料について説明する。
本開示の触媒層は、触媒担体に触媒が担持されてなる触媒担持担体、及び高分子電解質を含み、本開示の効果を損なわない範囲で、その他の材料を更に含んでいてもよい。なお、触媒担持担体は、触媒を担持している触媒担体である。
触媒としては、例えば、白金及び白金合金から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。白金合金としては、例えば、コバルト又はニッケル等の金属材料と白金との合金を挙げることができる。
触媒担体としては、導電性を有し、触媒に侵されずに触媒を担持可能なものであればよく、特に限定はされないが、カーボン担体を好ましく用いることができる。カーボン担体としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、フラーレン等の炭素粒子、及びカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等の炭素繊維等を挙げることができる。中でも、燃料電池の発電性能を向上する点から、触媒担体としては炭素粒子が好ましい。
触媒担体としては、市販品を用いてもよい。カーボン担体として使用可能な炭素粒子の市販品としては、例えば、ケッチェンブラック(商品名、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)、バルカン(商品名、Cabot社製)、ノーリット(商品名、Norit社製)、ブラックパール(商品名、Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名、Chevron社製)等が挙げられる。
触媒担体の比表面積は、特に限定はされないが、高密度で触媒を担持でき、触媒活性を向上できる点から、好ましくは600m/g以上、より好ましくは1000m/g以上、更に好ましくは1300m/g以上である。触媒担体の比表面積の上限は、特に限定はされず、例えば、1600m/g以下であってもよい。触媒担体の比表面積は、BET吸着測定により求められる。
燃料電池の発電性能を向上する点から、触媒担体は粒子状であることが好ましく、平均粒径が10nm以上10μm以下の粒子状であることがより好ましく、10nm以上1μm以下であることが更に好ましい。触媒担体の平均粒径が上記下限値以上であると、触媒層のガス拡散性を向上することができ、上記上限値以下であると、触媒担体の分散性を向上することができ、また、触媒層でのクラックの発生を抑制することができる。
なお、本開示における粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、適切な倍率(例えば、5万~100万倍)の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)画像又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状とみなした際の粒径を算出する。このようなTEM観察又はSEM観察による粒径の算出を、同じ種類の200~300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
高分子電解質としては、プロトン伝導性を有する樹脂を用いることができ、特に限定はされないが、燃料電池の発電性能を向上する点から、アイオノマを好ましく用いることができる。アイオノマとしては、フッ素系樹脂等であってもよい。フッ素系樹脂としては、例えば、Nafion(登録商標)等のパーフルオロスルホン酸系樹脂等を用いてもよい。
本開示の触媒層においては、高分子電解質の触媒担体に対する質量比率(高分子電解質/触媒担体)は、特に限定はされないが、燃料電池の発電性能を向上する点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上であり、一方、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。
また、本開示の触媒層においては、高分子電解質がアイオノマであり、触媒担体がカーボン担体であり、アイオノマのカーボン担体に対する質量比率(I/C)が上記範囲内であることが好ましい。
本開示の触媒層の厚さは、特に限定はされないが、例えば5μm以上50μm以下であってよい。触媒層の厚さが上記下限値以上であると、触媒層の厚さのばらつきが生じにくくいため、性能の均一性を向上させることができる。触媒層の厚さが上記上限値以下であると、触媒層でのガス拡散性を向上することができるため、発電性能を向上させることができる。
本開示の触媒層は、固体高分子形燃料電池用であり、カソードに用いられるカソード触媒層であってもよく、アノードに用いられるアノード触媒層であってもよい。燃料電池の発電性能を向上する点から、本開示の触媒層は、固体高分子形燃料電池において、少なくともカソード触媒層として用いられることが好ましい。
2.触媒層の製造方法
本開示の触媒層は、例えば、触媒、触媒担体、高分子電解質、溶媒、及び必要に応じて更に添加されるその他の材料を混合することにより、触媒スラリーを調製する工程と、
前記触媒スラリーを支持体上に塗布する工程と、
前記触媒スラリーから前記溶媒を除去することにより触媒層を形成する工程と、を有する方法により製造することができる。
触媒スラリーが含有する触媒、触媒担体、及び高分子電解質については、上述した通りである。触媒スラリーを調製する際に添加する触媒及び触媒担体は、予め触媒担体に触媒を担持させた触媒担持担体であってよい。
触媒スラリーが含有する溶媒は、高分子電解質等の種類に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド等を用いてもよい。また、溶媒としては、2種類以上の溶媒を混合した混合溶媒を用いてもよい。
触媒スラリー中の固形分の量は、特に限定されず、例えば、5質量%以上15質量%以下であってよい。
触媒スラリーを調製する際の混合方法は、特に限定されず、例えば、ホモジナイザー、ボールミル、シェアミキサー、ロールミル等の公知の方法を採用することができる。断面積0.01~1μmの空隙面積割合が60%以上の触媒層が形成されやすい点から、触媒スラリーを調製する際の混合は、ホモジナイザーを用いて攪拌することにより行うことが好ましい。
触媒スラリーの塗布方法は、特に限定されず、例えば、ドクターブレード法、メタルマスク印刷法、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、及びスクリーン印刷法等の公知の方法を採用することができる。
触媒スラリーを塗布する支持体は、固体高分子形電解質膜であってもよいし、剥離可能な転写用シートであってもよい。転写用シート上に形成された触媒層は、固体高分子形電解質膜又はその他各種基材に転写接合することができる。
転写用シートとしては、自己支持性を有するものを適宜選択して用いることができ、例えば、Cu及びAl等の金属箔、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂シート等を用いることができる。
支持体上に塗布した触媒スラリーの乾燥方法は、特に限定されず、例えば、音風乾燥、IR乾燥等の公知の方法を採用することができる。
乾燥温度は、特に限定はされないが、断面積0.01~1μmの空隙面積割合が60%以上の触媒層が形成されやすい点から、好ましくは50℃以上120℃以下、より好ましくは75℃以上85℃以下である。
乾燥時間は、特に限定はされず、例えば3秒~1時間とすることができる。
3.固体高分子形燃料電池
本開示の固体高分子形燃料電池は、固体高分子形電解質膜と、前記固体高分子形電解質膜の一方の面に接合するアノード触媒層を含むアノードと、前記固体高分子形電解質膜の他方の面に接合するカソード触媒層を含むカソードとを備え、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくともいずれかが、上述した本開示の触媒層である。
本開示の固体高分子形燃料電池においては、高電流域での発電性能を向上する観点から、少なくともカソード触媒層が本開示の触媒層であることが好ましく、アノード触媒層及びカソード触媒層の両方が、本開示の触媒層であってもよい。
アノード触媒層又はカソード触媒層のいずれかが本開示の触媒層ではない場合、本開示の触媒層ではない触媒層としては、固体高分子形燃料電池に従来用いられている公知の触媒層を採用することができる。
本開示の固体高分子形燃料電池は、単セルを、1つのみ備えるものであってもよいし、単セルを複数個積層した積層体である燃料電池スタックであってもよい。単セルは、固体高分子形電解質膜をアノードとカソードで挟持してなる膜電極ガス拡散層接合体を含み、更に、膜電極ガス拡散層接合体を挟持する一対のセパレータを備えていてもよい。セパレータは、反応ガス及び冷媒を単セルの積層方向に流通させるための供給孔、排出孔及び流路等を有していてもよい。
本開示の固体高分子形燃料電池が燃料電池スタックである場合、単セルの積層数は特に限定されず、例えば、2~数百個であってもよく、2~300個であってもよく、2~200個であってもよい。燃料電池スタックは、単セルの積層方向の両端にエンドプレートを備えていてもよい。
膜電極ガス拡散層接合体が備えるアノード及びカソードは、通常、固体高分子形電解質膜側から順に、触媒層と、ガス拡散層とを有する。すなわち、膜電極ガス拡散層接合体は、通常、アノード側ガス拡散層、アノード触媒層、固体高分子形電解質膜、カソード触媒層、及びカソード側ガス拡散層をこの順に有する。
触媒層とガス拡散層との間には、マイクロポーラス層(MPL)等の別の層を有していてもよい。マイクロポーラス層としては、例えば、PTFE等の撥水性樹脂とカーボンブラック等の導電性材料との混合物を含む層を用いることができる。
ガス拡散層としては、固体高分子形燃料電池に従来用いられている公知のガス拡散層を採用することができ、特に限定はされず、例えば、ガス透過性を有する導電性部材等であってもよい。ガス拡散層に用いられる導電性部材としては、例えば、カーボンクロス及びカーボンペーパー等のカーボン多孔質体、並びに、金属メッシュ及び発泡金属等の金属多孔質体等が挙げられる。
固体高分子電解質膜としては、例えば、水分が含まれたパーフルオロスルホン酸の薄膜等のフッ素系電解質膜、及び炭化水素系電解質膜等が挙げられる。固体高分子電解質膜は、例えば、Nafion(登録商標)膜であってもよい。
セパレータとしては、固体高分子形燃料電池に従来用いられている公知のセパレータを採用することができ、特に限定はされず、例えば、ガス不透過の導電性部材等であってもよい。セパレータに用いられる導電性部材としては、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボン、及び、鉄、アルミニウム又はステンレス等の金属をプレス成形した金属板等を挙げることができる。また、セパレータが集電機能を備えるものであってもよい。
本開示の固体高分子形燃料電池において、アノードに供給される反応ガスは、燃料ガスであり、カソードに供給される反応ガスは酸化剤ガスである。燃料ガスは、主に水素を含有するガスであり、水素であってもよい。酸化剤ガスは酸素、空気、乾燥空気等であってもよい。
また、本開示の固体高分子形燃料電池において、冷却用の冷媒としては、低温時の凍結を防止するために、例えば、エチレングリコールと水との混合溶液を用いることができる。
(実施例1)
固体高分子形電解質膜(パーフルオロスルホン酸(PFSA)膜)の一方の面に、カソード触媒層を転写接合し、他方の面にアノード触媒層を転写接合することにより、膜電極接合体(MEA)を作製した。
カソード触媒層は、以下の方法により形成した。まず、白金-コバルト合金担持カーボン担体(PtCo/C)と、アイオノマ(パーフルオロスルホン酸系樹脂)と、水及びアルコールを含む溶媒とを、ホモジナイザーを用いて攪拌混合することにより、触媒スラリーを調製した。次いで、転写用シート(PTFEシート)上に得られた触媒スラリーを塗布し、80℃で5分間乾燥することにより、厚さ9μmのカソード触媒層を形成した。なお、カーボン担体としては、比表面積が1600m/gの炭素粒子を用いた。カソード触媒層において、アイオノマのカーボン担体に対する質量比(I/C)は0.95とした。
アノード触媒層は、白金担持カーボン担体(Pt/C)と、アイオノマ(パーフルオロスルホン酸系樹脂)との複合体を用いて形成した。アノード触媒層において、アイオノマのカーボン担体に対する質量比(I/C)は1.0とした。
(実施例2~3及び比較例2)
実施例1において、カソード触媒層の形成の際に、カーボン担体として、表1に示す比表面積を有する炭素粒子を用い、アイオノマのカーボン担体に対する質量比(I/C)を表1に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~3及び比較例2のMEAを作製した。
(比較例1)
実施例1において、カソード触媒層の形成の際に、カーボン担体として、表1に示す比表面積を有する炭素粒子を用い、アイオノマのカーボン担体に対する質量比(I/C)を表1に従って変更し、更にホモジナイザーの周速を変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のMEAを作製した。
[触媒層の状態]
実施例1~3及び比較例1~2で製造した膜電極接合体が備えるカソード触媒層について、以下の手順により、断面積0.01~1μmの空隙面積割合、及び空隙率を測定した。
まず、各膜電極接合体から約5mm四方の小片を3ヶ所から切り出し、イオンミリング装置を用いて各小片を加工して、カソード触媒層の表面(PFSA膜との接合面)と直交する断面を露出させた。1つの小片につき、カソード触媒層の3つの断面を、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて5000倍で撮像して、1280ピクセル(24μm)×960ピクセル(18μm)の断面画像を計9枚取得した。
各断面画像について、画像処理ソフト「Image J」を用いて画像処理を行うことにより、各空隙部の断面積の一覧を得た。なお、ひと続きの黒画素が5画素より少ないものは、ノイズと見なして除外した。
各断面画像について、各空隙部の断面積の一覧に基づいて、全空隙部の断面積の総和(S)、及び断面積0.01~1μmの空隙部の断面積の総和(S)を算出した。更に、Sに対するSの百分率((S/S)×100)を算出することにより、断面積0.01~1μmの空隙面積割合を求め、断面の面積(S)に対する全空隙部の断面積の総和(S)の百分率((S/S)×100)を算出することにより、空隙率を求めた。9枚の断面画像で求めた断面積0.01~1μmの空隙面積割合の平均値、及び空隙率の平均値を、それぞれカソード触媒層の断面積0.01~1μmの空隙面積割合、及び空隙率とした。これらの値を表1に示す。
[発電性能の評価]
実施例1~3又は比較例1~2で製造した膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池(評価用単セル)について、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization: NEDO)による「セル評価解析プロトコル」に準拠して、セル温度60℃、湿度80%RHの環境下で、I-V測定を実施した。
電圧が0.4Vのときの電流密度が、4.2A/cm以上の場合を発電性能「〇」と評価し、4.2A/cm未満の場合を発電性能「×」と評価した。
Figure 2023161086000002
表1に示すように、断面積0.01~1μmの空隙面積割合が60%未満のカソード触媒層を含む比較例1~2の膜電極接合体を備える燃料電池は、発電性能が劣っていた。これに対し、断面積0.01~1μmの空隙面積割合が60%以上のカソード触媒層を含む実施例1~3の膜電極接合体を備える燃料電池は、発電性能が優れていた。
図2は、上記I-V測定の結果に基づいて、実施例1~3又は比較例1~2で作製した膜電極接合体を備える燃料電池について、カソード触媒層の断面積0.01~1μmの空隙面積割合と、電圧が0.4Vのときの電流密度の関係を示したグラフである。図2により、カソード触媒層の断面積0.01~1μmの空隙面積割合が60%以上であると、発電性能に優れ、カソード触媒層の断面積0.01~1μmの空隙面積割合が大きいほど、発電性能が向上することが示された。
また、図2に示されるように、カソード触媒層の断面積0.01~1μmの空隙面積割合と、電圧が0.4Vのときの電流密度との決定係数Rは0.9851であり、非常に高い相関があることが明らかにされた。
図3は、上記I-V測定の結果に基づいて、実施例1の膜電極接合体を備えた燃料電池と、比較例1の膜電極接合体を備えた燃料電池について、電流密度と電圧の関係を示したグラフである。これら2つの電池を比較すると、電流密度が大きくなるにつれて、発電性能の差が大きくなっており、実施例1の膜電極接合体を備えた燃料電池は、高電流域での発電性能に優れることが示された。実施例2~3の膜電極接合体を備えた燃料電池も同様に、高電流域での発電性能に優れていた。
図4は、実施例1の膜電極接合体が備えるカソード触媒層と、比較例1の膜電極接合体が備えるカソード触媒層について、断面積10000nm以上の空隙面積割合を示すグラフである。図4に示されるように、実施例1の膜電極接合体が備えるカソード触媒層は、断面積10000nm以上の空隙面積割合が88%であり、比較例1の膜電極接合体が備えるカソード触媒層は、断面積10000nm以上の空隙面積割合が95%であった。なお、触媒層の断面積10000nm以上の空隙面積割合は、触媒層の断面画像から、全空隙部の断面積の総和(S)に対する、断面積10000nm以上の空隙部の断面積の総和(S)の百分率((S/S)×100)を算出することにより求めた。触媒層の断面画像の取得方法等は、上述した「触媒層の状態」を調べる方法と同じである。
カソード触媒層において、特許文献1で指標としている10000nm以上の空隙面積割合が同程度であっても、燃料電池の発電性能が異なる場合があることが、図3及び図4から明らかにされた。

Claims (5)

  1. 触媒担体に触媒が担持されてなる触媒担持担体、及び高分子電解質を含む、固体高分子形燃料電池用触媒層であって、
    前記触媒層が空隙部を有し、
    前記触媒層の表面と直交する厚さ方向における断面において観察される前記空隙部のうち、0.01μm以上1μm以下の断面積を有する空隙部の断面積の総和が、前記空隙部全ての断面積の総和に対して60%以上である、触媒層。
  2. 前記触媒担体が炭素粒子である、請求項1に記載の触媒層。
  3. 前記触媒担体に対する前記高分子電解質の質量比率(高分子電解質/触媒担体)が、0.6以上1.8以下である、請求項1又は2に記載の触媒層。
  4. 前記触媒担体の比表面積が600m/g以上である、請求項1又は2に記載の触媒層。
  5. 固体高分子形燃料電池が備えるカソードに用いられるカソード触媒層である、請求項1又は2に記載の触媒層。
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