JP2023159769A - 乳母車 - Google Patents
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Abstract
【課題】幌の開閉を容易に行うことが可能な乳母車を提供すること。【解決手段】乳母車(1)は、車体フレーム(10)と、第1回動軸(71)を介して回動規制力をもって回動可能に車体フレームに連結される前幌骨(4)と、第1回動軸(71)と異なる位置に設けられる第2回動軸(72)を介して、回動規制力をもって回動可能に前幌骨に連結される中幌骨(5)とを備える。【選択図】図5
Description
この発明は、幌を備えた乳母車に関する。
従来から、乳母車には、座席部に着座した乳幼児へ直接日光が当たらないようにするために、座席部の上方空間を覆う幌が設けられている。
特開2004-203354号公報(特許文献1)の従来技術には、逆U字状に屈曲された複数の幌骨間の角度を変えることにより、幌の開き具合を変えるようにした乳母車が開示されている。幌の両端部に設けられる幌開度調整部材によって、幌骨間の角度を最大に広げた状態、または、閉じた状態に保持することができることが開示されている。
上記特許文献1に開示された乳母車は、幌骨間の角度を変えるためには、幌を開閉する前に幌開度調整部材を操作する必要があり、片手で容易に幌の開閉を行うことができなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、幌の開閉を容易に行うことが可能な乳母車を提供することを目的とする。
この目的のため、本発明の一態様に係る乳母車は、車体フレームと、第1回動軸を介して回動規制力をもって回動可能に車体フレームに連結される前幌骨と、第1回動軸と異なる位置に設けられる第2回動軸を介して、回動規制力をもって回動可能に前幌骨に連結される中幌骨とを備える。
好ましくは、第2回動軸と異なる位置に設けられる第3回動軸を介して、回動規制力をもって車体フレームに回動可能に連結される後幌骨とをさらに備える。
好ましくは、第3回動軸の回動規制力は、第2回動軸の回動規制力よりも大きい。
好ましくは、前幌骨は、第1回動軸から上方に向かって延び、その後前方に延びる屈曲形状を有しており、第2回動軸は、屈曲部分に設けられている。
好ましくは、第1回動軸と第3回動軸は、同軸上に位置する。
好ましくは、車体フレームは、座面の幅方向両端部に設けられる一対のアームレストと、その上端部が一対のアームレストの後端部に連結される一対のアームレスト支持部材と、アームレストとアームレスト支持部材とを連結する第4回動軸とを含み、第4回動軸は、第1回動軸と3回動軸と同軸上に位置する。
好ましくは、後幌骨は、第3回動軸から後方に向かって延び、その後上方に立ち上がる屈曲形状を有している。
好ましくは、前幌骨は、両側部において中幌骨よりも外側に位置し、後幌骨は、両側部において中幌骨よりも内側に位置する。
好ましくは、前幌骨、中幌骨、および後幌骨は、逆U字形状を有しており、その幅寸法および高さ寸法は、前幌骨、中幌骨、後幌骨の順に小さくなる。
本発明の乳母車によれば、幌の開閉を容易に行うことが可能となる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
(乳母車の概要について)
図1および図4を参照して、本実施の形態に係る乳母車1の概要について説明する。乳母車1は、押し棒が背面対面切り替え可能であり、図1では、対面押し位置に設けられている状態が示されている。また、乳母車1は、折り畳み可能に設けられる。発明の理解を容易にするため、図面には乳母車の車体フレームを主に示し、幼児用座席などの図示を省略する。なお、以下の説明において、前後方向は、乳母車の前後方向に対応し、左右方向は、乳母車の前方から見た左右方向に対応している。
図1および図4を参照して、本実施の形態に係る乳母車1の概要について説明する。乳母車1は、押し棒が背面対面切り替え可能であり、図1では、対面押し位置に設けられている状態が示されている。また、乳母車1は、折り畳み可能に設けられる。発明の理解を容易にするため、図面には乳母車の車体フレームを主に示し、幼児用座席などの図示を省略する。なお、以下の説明において、前後方向は、乳母車の前後方向に対応し、左右方向は、乳母車の前方から見た左右方向に対応している。
本実施形態の乳母車1は、車体フレーム10として、一対の前脚11、一対の後脚13、アームレスト15、アームレスト支持部材17、座席支持部材18、および背もたれ支持部材19を備える。座席支持部材18および背もたれ支持部材19を除く車体フレーム10は、幅方向(車幅方向)に離隔して左右に設けられ、対をなす。
上下方向に延びる各前脚11の下端には、前輪12が設けられる。各前脚11よりも後方で上下方向に延びる各後脚13の下端には、後輪14が設けられる。一対の前脚11の下端は、幅方向に延びる前脚結合部材21により連結されている。前脚結合部材21は、幼児の足置き台としても機能する。一対の後脚13の下端は、幅方向に延びる後脚結合部材22により連結されている。
図4にも示すように、前脚11の上端は、乳母車1の前後方向に延びるアームレスト15の前端部と回動可能に連結する。後脚13の上端は、前脚11の上端よりも後方でアームレスト15の前端領域と回動可能に連結する。さらに、前脚11の幅方向厚みと後脚13の幅方向厚みは、略一致する。図示は省略するが、前後方向から車体フレーム10を観察すると、前脚11および後脚13は幅方向位置が一致するよう整列し、重なって見える。
同図を参照して、アームレスト15の後端部は、上下方向に延びるアームレスト支持部材17の上端部と第4回動軸74を介して回動可能に連結する。具体的には、アームレスト15の後端部とアームレスト支持部材17の上端部とは、第4回動軸74を介して幌3とも連結されている。
図1に特に示すように、アームレスト15よりも下方には、座席支持部材18が配置される。座席支持部材18の前端部は、一対の前脚11の中央部と連結する。座席支持部材18の後端部は、押し棒20の下端部と、反転ブラケット23の上端部と、アームレスト支持部材17の下端部と揺動軸24を介して回動可能に連結する。
座席支持部材18の後端部は、背もたれ支持部材19の下端部と回動可能に連結する。座席支持部材18は、乳幼児の座部を下方から支持し、背もたれ支持部材19は、乳幼児の背もたれ部を下方から支持する。図示はしていないが、座席支持部材18および背もたれ支持部材19には、ハンモックが掛け渡され、ハンモック上には、クッションが取り付けられている。これにより、座席支持部材18上には、座席部を形成する座面が形成され、座席支持部材18は、座面を下方から支持する。
前ガード16は、座席部の前方に設けられ、座席部を幅方向に横切る。前ガード16の幅方向両端部は、アームレスト15の内方に設けられる。前ガード16の幅方向両端部は、座席支持部材18の後端部に連結される。
押し棒20は、揺動軸24を介して、車体フレーム10に対して前後方向に揺動可能に設けられる。これにより、押し棒20は、背面押し位置または対面押し位置の間で切り換え可能に設けられる。
アームレスト支持部材17は、上下に延びる部材である。アームレスト支持部材17の上端部は、アームレスト15の後端部に第4回動軸74を介して回動可能に連結する。アームレスト支持部材17の下端部は、押し棒20の下端部、反転ブラケット23の上端部、および座席支持部材18の後端部と揺動軸24を介して回動可能に連結する。
アームレスト支持部材17の下端部には、後脚13に対してロック可能なロック部(図示せず)が設けられ、ロック部のロックを解除することで、後脚13とアームレスト支持部材17のロックが解除され、乳母車1を折り畳むことが可能となる。なお、反転ブラケット23の上端に後脚13に対してロック可能なロック部が設けられていてもよい。
(折り畳み構造について)
次に、乳母車1の折り畳み構造について説明する。上述のように、座席支持部材18の後端部、アームレスト支持部材17の下端部、押し棒20の下端部、および反転ブラケット23の上端部は、揺動軸24を介して互いに連結されている。また、アームレスト支持部材17の下端部は、後脚13に対してロックされる位置とロック解除される位置との間を切り換え可能に設けられている。
次に、乳母車1の折り畳み構造について説明する。上述のように、座席支持部材18の後端部、アームレスト支持部材17の下端部、押し棒20の下端部、および反転ブラケット23の上端部は、揺動軸24を介して互いに連結されている。また、アームレスト支持部材17の下端部は、後脚13に対してロックされる位置とロック解除される位置との間を切り換え可能に設けられている。
展開状態から折り畳み状態にするには、押し棒20を背面押し位置に切り換える。さらに、アームレスト支持部材17の下端部のロック部と後脚13とのロックを解除し、反転ブラケット23を上下に反転させ、後脚13の上方に当接していた押し棒20の下端部を、後脚13の下方に当接させる。
折り畳み状態から展開状態にするには、反転ブラケット23を上下に反転させ、後脚13の下方に当接していた押し棒20の下端部を、後脚13の上方に当接させる。この状態で、アームレスト支持部材17の下端部のロック部と後脚13とをロックする。さらに、押し棒20を対面押し位置に切り換える。このように、車体フレーム10は、図1に示す展開状態(背面押し位置)から折り畳み状態へ、あるいはその逆へ、形態が変化する。
(幌について)
図1~図7を参照して、本実施の形態に係る幌3について説明する。幌3は、座席部の上方領域を覆うものである。幌3は、前幌骨4、中幌骨5、後幌骨6、幌布9、および補助幌骨95~98を備える。なお、図2および図3では、後述する幌骨本体49,59,69の図示を省略している。また、図2および図3の矢印Aが示す方向は、座席部に対して外側であり、反対方向が座席部に対して内側である。また、図4において、幌布9および補助幌骨95~98を破線で示している。
図1~図7を参照して、本実施の形態に係る幌3について説明する。幌3は、座席部の上方領域を覆うものである。幌3は、前幌骨4、中幌骨5、後幌骨6、幌布9、および補助幌骨95~98を備える。なお、図2および図3では、後述する幌骨本体49,59,69の図示を省略している。また、図2および図3の矢印Aが示す方向は、座席部に対して外側であり、反対方向が座席部に対して内側である。また、図4において、幌布9および補助幌骨95~98を破線で示している。
前幌骨4、中幌骨5、および後幌骨6は、互いの角度が可変となるように設けられている。図5に示すように、前幌骨4は、第1回動軸71を介して回動可能であり、中幌骨5は、第2回動軸72を介して回動可能であり、後幌骨6は、第3回動軸73を介して回動可能である。前幌骨4および後幌骨6は、車体フレーム10に取り付けられており、中幌骨5は、前幌骨4に取り付けられている。本実施の形態では、第1回動軸71、第3回動軸73、および上述した第4回動軸74は、同軸上に位置する。まず、前幌骨4、中幌骨5、および後幌骨6の構成について詳細に説明する。
図5に示すように、前幌骨4は、第1回動軸71を介して回動可能にアームレスト15の外側に連結される。図4および図7に示すように、前幌骨4は、前幌骨基部40と、逆U字形状の前幌骨本体49とを含む。
図7に示すように、前幌骨基部40は、前幌骨本体49の両端部を保持するものである。図4~図6に示すように、前幌骨基部40は、第1回動軸71から上方に向かって延び、その後前方に延びる屈曲形状を有している。具体的には、前幌骨基部40は、側面視において反転したL字形状であり、上下方向に延びる第1部分41と、第1部分41の上端から前方に向かって延びる第2部分42とを含む。第1部分41と第2部分42とがなす角度は、略90度である。これにより、従来の直線に延びる形状の幌骨と比較して、幌骨の全長を長くすることができ、幅広い領域を覆うことができる。さらに、乳幼児の指挟みを防止することができる。
図2に示すように、第1部分41の下端部には、凹部41aが設けられる。この凹部41aには、第1ピン81、ワッシャ82、およびばね83が位置する。特に図3に示すように、第1部分41は、アームレスト15側において、ギア状の第1係合部44と、第1係合部44の中央部からアームレスト15側に向かって突出する凸部44aとが設けられる。第1係合部44は、アームレスト15の貫通穴15aの外側(矢印Aの方向)に設けられる第1被係合部(図示せず)に係合する。凸部44aは、アームレスト15の貫通穴15aを貫通する。また、第1部分41の下端部には、凸部44aの先端から凹部41aの間を軸方向に貫通する貫通穴43が設けられる。上述した第1ピン81は、前幌骨4の貫通穴43、アームレスト15の貫通穴15a、および後述する後幌骨6の貫通穴63を貫通する。これにより、第1ピン81は第1回動軸71となり、前幌骨4はアームレスト15に対して回動可能に設けられる。
第1係合部44は、アームレスト15の貫通穴15aの外側に設けられる第1被係合部と係合する。これにより、前幌骨4が複数の所定角度(位置)に維持される。言い換えると、第1回動軸71において、車体フレーム10に対して回動を規制する規制力(回動規制力)が生じる。この回動規制力よりも強い力で前幌骨4を押すと、第1係合部44とアームレスト15の外側の第1被係合部との係合がたとえば弾性変形により解除されて、前幌骨4が車体フレーム10に対して回動する。
第2部分42には、第2部分42が延びる方向(前方)に向かって開口する嵌合穴45が設けられる。嵌合穴45は、前幌骨本体49(図4)の端部を嵌合して保持するためのものである。
図2に示すように、第1部分41と第2部分42とが交差する角部(屈曲部分)には、貫通穴46が設けられる。図3に示すように、その屈曲部分には、アームレスト15側に向かって突出する円筒部48と、円筒部48の先端部分に設けられるギア状の第2係合部47とが設けられる。円筒部48の内部には、後述する中幌骨5の凸部58が位置する。図2に示すように、円筒部48の内部には、軸方向に貫通する貫通穴46が設けられる。貫通穴46には、第2ピン85が貫通する。
前幌骨本体49は、たとえば合成樹脂などで形成されており、ある程度の可撓性を有している。前幌骨本体49は、たとえば断面視略矩形形状などであることが好ましい。
図5に示すように、中幌骨5は、第2回動軸72を介して回動可能に前幌骨4に連結される。図4および図7に示すように、中幌骨5は、中幌骨基部50と、逆U字形状の中幌骨本体59とを含む。
図7に示すように、中幌骨基部50は、中幌骨本体59の両端部を保持するものである。中幌骨基部50は、座席部の両側部において前幌骨4よりも内側に位置する。図2に示すように、中幌骨基部50の下方部分には、外側(矢印Aの方向)向かって突出する凸部58と、凸部58の付け根に設けられるギア状の第2被係合部57とが設けられる。
凸部58は、上述した前幌骨4の円筒部48内に位置する。図3に示すように、中幌骨基部50のアームレスト15側には、凹部54が形成される。この凹部54は、ワッシャ86およびばね87が配置される。また、図2に示すように、中幌骨基部50の下端部には、凸部58の先端から凹部54の間を軸方向に貫通する貫通穴56が設けられる。上述した第2ピン85は、前幌骨4の貫通穴46および中幌骨5の貫通穴56を貫通する。これにより、第2ピン85は第2回動軸72となり、中幌骨5は前幌骨4に対して回動可能に設けられる。第2回動軸72は、第1回動軸71と異なる位置に設けられる。
第2被係合部57は、上述した前幌骨4の第2係合部47と係合する。これにより、中幌骨5が複数の所定角度(位置)に維持される。言い換えると、第2回動軸72において、前幌骨4に対して回動を規制する規制力(回動規制力)が生じる。この回動規制力よりも強い力で中幌骨5を押すと、第2被係合部57と第2係合部47との係合がたとえば弾性変形により解除されて、中幌骨5が他の幌骨4,6に対して回動する。第2回動軸72の回動規制力は、第1回動軸71の回動規制力よりも小さくなるように設定されていてもよい。
中幌骨基部50には、中幌骨基部50が延びる方向(斜め上方)に向かって開口する嵌合穴55が設けられる。嵌合穴55は、中幌骨本体59(図4)の端部を嵌合して保持するためのものである。
中幌骨本体59は、前幌骨本体49と同様に、たとえば合成樹脂などで形成されており、ある程度の可撓性を有している。中幌骨本体59は、たとえば断面視略矩形形状などであることが好ましい。図4および図7に示すように、中幌骨本体59は、その幅寸法および高さ寸法が前幌骨本体49よりも小さい。さらに、中幌骨5は、座席部の両側部において前幌骨4よりも内側に位置する。
図5に示すように、後幌骨6は、第3回動軸73を介して回動可能にアームレスト15の内側に連結される。図4および図7に示すように、後幌骨6は、後幌骨基部60と、逆U字形状の後幌骨本体69とを含む。
図7に示すように、後幌骨基部60は、後幌骨本体69の両端部を保持するものである。後幌骨基部60は、座席部の両側部において前幌骨4および中幌骨5よりも内側に位置する。図4および図5に示すように、後幌骨基部60は、第3回動軸73から後方に向かって延び、その後上方に立ち上がる屈曲形状を有している。具体的には、後幌骨基部60は、側面視左右反転したL字形状であり、前後方向に延びる第1部分61と、第1部分61の後端から上方に向かって延びる第2部分62とを含む。第1部分61と第2部分62とがなす角度は、略90度である。これにより、前幌骨4と合わせて、幌骨の全長を長くすることができ、幅広い領域を覆うことができる。さらに、乳幼児の指挟みを防止することができる。
図2に示すように、第1部分61の前端部には、アームレスト15側に向かって突出する円筒部61aと、円筒部61aの先端部分に設けられるギア状の第3係合部64とが設けられる。図3に示すように、円筒部61aの内部には、軸方向に貫通する貫通穴63が設けられる。貫通穴63には、上述した第1ピン81が貫通する。これにより、第1ピン81は、第3回動軸73を兼ねることとなり、後幌骨6は、アームレスト15に対して回動可能に設けられる。
第3係合部64は、アームレスト15の貫通穴15aの内側(矢印Aの反対方向)に設けられる第3被係合部(図示せず)と係合する。これにより、後幌骨6が複数の所定角度(位置)に維持される。言い換えると、第3回動軸73において、車体フレーム10に対して回動を規制する規制力(回動規制力)が生じる。この回動規制力よりも強い力で後幌骨6を押すと、第3係合部64とアームレスト15の内側の第3被係合部との係合がたとえば弾性変形により解除されて、後幌骨6が車体フレーム10に対して回動する。
また、図7に示すように、アームレスト15とアームレスト支持部材17とは、第4回動軸74を介して連結されている。第4回動軸74は、第1ピン81により回動可能に連結される。すなわち、本実施の形態では、第1回動軸71、第3回動軸73、および第4回動軸74は、同軸上に位置している。また、前幌骨4の第1回動軸71の回動規制力と、後幌骨6の第3回動軸73の回動規制力とは、略同じである。一方で、第3回動軸73の回動規制力は、第2回動軸72の回動規制力よりも大きく設定されている。これにより、中幌骨5は、後幌骨6よりも小さい力で回動する。
第2部分62は、第2部分62が延びる方向(斜め後方)に向かって延在する篏合穴65を含む。篏合穴65は、後幌骨本体69(図4)の端部を嵌合して保持するためのものである。
後幌骨本体69は、前幌骨本体49および中幌骨本体59と同様に、たとえば合成樹脂などで形成されており、ある程度の可撓性を有している。前幌骨本体49は、たとえば断面視略矩形形状などであることが好ましい。図4および図7に示すように、後幌骨本体69は、その幅寸法および高さ寸法が前幌骨本体49および中幌骨本体59よりも小さい。つまり、その幅寸法および高さ寸法は、前幌骨本体49、中幌骨本体59、後幌骨本体69の順に小さくなる。これにより、前幌骨4、中幌骨5、および後幌骨6を完全に閉じた場合に、幅方向に整列させることができるため、幌3をコンパクトに折り畳むことができる。
次に、図4を参照して、幌布9および補助幌骨95,96,97,98について説明する。
幌布9は、前幌骨4、中幌骨5、および後幌骨6の間に掛け渡され、ドーム型の立体形状を形成する。幌布9は、典型的には2層構造であり、その間に前幌骨4、中幌骨5、および後幌骨6が配置される。また、幌布9は、前幌骨4と中幌骨5の間に架け渡される前幌布91と、中幌骨5と後幌骨6の間に架け渡される中幌布92と、後幌骨6の後方を覆う後幌布93とを含む。幌布の面積は、前幌布91、中幌布92、後幌布93の順に小さくなる。
前幌骨4、中幌骨5、および後幌骨6の間には、第1~3回動軸71,72,73に連結されていない複数の補助幌骨95,96,97,98が設けられる。補助幌骨95,96は、前幌布91の領域に設けられ、補助幌骨97,98は、中幌布92の領域設けられる。後幌布93の領域には、補助幌骨は設けられていない。補助幌骨95,96は、たとえば合成樹脂などで形成されており、ある程度の可撓性を有しているが、幌骨4,5,6よりも可撓性の程度が低い。補助幌骨95,96,97,98は、略同一形状であり、直線的に延びる長尺形状であるが、上述した幌布9の外布および内布の間に挟まれているため、幌骨4,5,6と同様の逆U字形状となる。
(幌の折り畳み操作および展開操作について)
図8~図10を参照して、幌3の折り畳み操作および展開操作について説明する。なお、図8および図10において、幌布9を破線で示している。図9には、幌3のうち、前幌骨基部40、中幌骨基部50、および後幌骨基部60が示されている。
図8~図10を参照して、幌3の折り畳み操作および展開操作について説明する。なお、図8および図10において、幌布9を破線で示している。図9には、幌3のうち、前幌骨基部40、中幌骨基部50、および後幌骨基部60が示されている。
まず、幌3を折り畳み操作する方法について説明する。図8(A),図9(A)には、幌3が完全に開いた状態が示されている。幌3が完全に開いた状態では、前幌骨4は、前方に延びており、アームレスト15と平行に延びる状態となっている。中幌骨5は、前方かつ斜め上方に延びている。後幌骨6は、後方かつ斜め上方に延びている。幌3は、完全に開いた状態において、座席部の上方空間を完全に覆っている。なお、後幌骨6は、この状態よりも後方に回動可能であるが、幌の折り畳み、開閉の動作においては、後幌骨6は今の時点よりも後方には回動させなくてもよい。
図8(A),図9(A)に示す状態から前幌骨4を掴んで後方に回動させると、第1回動軸71の第1係合部44(図2)とアームレスト15の外側の第1被係合部との係合が、弾性変形により解除されて、前幌骨4および中幌骨5の角度が同角度のまま後方に移動し、図8(B),図9(B)に示す状態となる。前幌骨4と中幌骨5との角度が一定角度のまま、中幌骨5と後幌骨6との角度だけが小さくなる。これにより、中幌骨5と後幌骨6との間に掛け渡される中幌布92は折り畳まれるものの、前幌骨4と中幌骨5の間に架け渡される前幌布91は、張った状態を維持したままであるため、幌3の角度を小さくしたとしても、幌の美観を保つことができる。
図8(B),図9(B)に示す状態から、前幌骨4を掴んでさらに後方に回動させると、折り畳まれた中幌布92が第2回動軸72の回転の抵抗となり、第2回動軸72の前幌骨4の第2係合部47(図2)と中幌骨5の第2被係合部57(図3)との係合が、たとえば弾性変形により解除されて、前幌骨4が後方に向かって回動し、図8(C),図9(C)に示すように、前幌骨4と中幌骨5との角度が小さくなる。このとき、第3回動軸73の回動規制力が第2回動軸72の回動規制力よりも大きいため、第3回動軸73は回動せずに第2回動軸72だけが回動する。さらに前幌骨4を後方に押していくことで、第1回動軸71が回動し、前幌骨4と中幌骨5の角度を小さくすることができる。
さらに、前幌骨4を掴んでさらに後方に回転させることで、図8(D),図9(D)に示すように、前幌骨4、中幌骨5、および後幌骨6が幅方向に整列し、側面視では前幌骨4しか見えない状態となる。これにより、幌3をコンパクトに畳むことができる。
次に、図10を参照して、幌3の展開操作について説明する。図10(A)には、幌3が全て閉じた状態が示されている。この状態から、前幌骨4を手で掴んで前方に回転させると、第1回動軸71の第1係合部44(図2)とアームレスト15の外側の第1被係合部との係合が、たとえば弾性変形により解除されて、前幌骨4および中幌骨5が幅方向に整列した状態のまま、図10(B)に示す状態を経由して、図10(C)に示す状態に変位する。中幌骨5と後幌骨5の間に掛け渡されている中幌布92が張った状態になると、中幌骨5の第2回動軸72(図5)の回動は停止する。
さらに前幌骨4を前方に回転させていくと、後幌骨6と中幌骨5との角度が固定されたまま、第1回動軸71を介して前幌骨4および中幌骨5が前方に向かって回動する。これにより、幌3を展開状態にして、すべての幌布9が張った状態にすることができる。
本実施の形態の幌3は、前幌骨4が第1回動軸71を介して回動規制力をもって車体フレーム10に連結され、中幌骨5が第1回動軸71と異なる位置に設けられる第2回動軸72を介して回動規制力をもって前幌骨4に設けられているため、前幌骨4と中幌骨5の角度を保った状態で幌3の折り畳み操作および展開操作を行うことができる。そのため、幌3の折り畳み操作および展開操作を片手で行うことができるため、幌3の開閉を容易に行うことができる。さらに、前幌骨4と中幌骨5の角度を保った状態で幌3の折り畳み操作および展開操作を行うことができるため、幌3の美観を向上させることができる。
さらに、後幌骨6が第2回動軸72とは異なる位置に設けられる第3回動軸73を介して回動規制力を持って車体フレーム10に回動可能に連結されるため、幌3の面積を広くしたとしても、幌3の開閉を容易に行うことができるとともに、幌3の美観を向上させることができる。
第3回動軸73の回動規制力は、第2回動軸72の回動規制力よりも大きくなるように設定されている。これにより、前幌骨4と中幌骨5の角度を保った状態で、中幌骨5と後幌骨6の角度を小さくすることができるため、幌3を半分開いた場合であっても、前幌布91が張った状態を維持することができ、幌の美観を向上させることができる。さらに、その操作を片手ですることができるため、操作性がよい。
前幌骨4、中幌骨5、後幌骨6の幅寸法および高さ寸法は、前幌骨4、中幌骨5、後幌骨6の順に小さくなるため、幌3を閉じた状態で、前幌骨4、中幌骨5、後幌骨6を軸方向に整列することができる。これにより、幌3をコンパクトに折り畳むことができる。
なお、本実施の形態の幌3は、前幌骨4、中幌骨5、および後幌骨6の3本を備えていたが、少なくとも前幌骨4と中幌骨5の2本を備えていればよい。また、中幌骨5は、前幌骨4の屈曲部分に連結される一例が示されていたが、たとえば前幌骨4の前方端などに連結されていてもよく、前幌骨4の連結箇所については限定されない。
また、本実施の形態の前幌骨4および後幌骨6は、アームレスト15に連結されたが、連結される部材はアームレスト15でなくてもよく、車体フレーム10であればいずれの部材であってもよい。さらに、前幌骨4はアームレスト15の外側に取り付けられ、後幌骨6はアームレスト15の内側に取り付けられたが、取り付け箇所も限定されない。
さらに、本実施の形態の幌3は、第1回動軸71、第3回動軸73、および第4回動軸74が同軸上に設けられる一例が示されていたが、この構造に限定されるものではなく、たとえば第1回動軸71と第4回動軸74が同軸上に設けられ、第3回動軸73が異なる位置に設けられてもよいし、すべて異なる位置に設けられてもよい。
また、本実施の形態では、前幌骨4、中幌骨5、後幌骨6の順に幅寸法および高さ寸法が小さくなるとして説明したが、限定的ではなく、すべて同じ大きさであってもよいし、たとえば中幌骨5が一番大きく、次いで前幌骨4、後幌骨6の順にそれらの寸法が小さくなってもよい。
さらに、前幌骨4および後幌骨6は、屈曲形状を有しているとして説明したが、一般的な直線形状であってもよい。
また、本実施の形態では、乳母車1は折り畳み式乳母車であるとして説明したが、折り畳むことができない乳母車であってもよい。この場合、アームレスト支持部材17の下端部は、車体フレーム10のいずれかに連結されていればよく、たとえば後脚13に連結されていてもよい。さらに、乳母車1の押し棒20は、背対面切替式であるとしたが、背面式または対面式のいずれかに固定されていてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
1 乳母車、3 幌、4 前幌骨、5 中幌骨、6 後幌骨、10 車体フレーム、15 アームレスト、17 アームレスト支持部材、30 幌、71 第1回動軸、72 第2回動軸、73 第3回動軸、74 第4回動軸。
Claims (9)
- 車体フレームと、
第1回動軸を介して回動規制力をもって回動可能に前記車体フレームに連結される前幌骨と、
前記第1回動軸と異なる位置に設けられる第2回動軸を介して、回動規制力をもって回動可能に前記前幌骨に連結される中幌骨とを備える、乳母車。 - 前記第2回動軸と異なる位置に設けられる第3回動軸を介して、回動規制力をもって前記車体フレームに回動可能に連結される後幌骨とをさらに備える、請求項1に記載の乳母車。
- 前記第3回動軸の回動規制力は、前記第2回動軸の回動規制力よりも大きい、請求項2に記載の乳母車。
- 前記前幌骨は、前記第1回動軸から上方に向かって延び、その後前方に延びる屈曲形状を有しており、
前記第2回動軸は、屈曲部分に設けられている、請求項1または2に記載の乳母車。 - 前記第1回動軸と前記第3回動軸は、同軸上に位置する、請求項2に記載の乳母車。
- 前記車体フレームは、座面の幅方向両端部に設けられる一対のアームレストと、その上端部が前記一対のアームレストの後端部に連結される一対のアームレスト支持部材と、前記アームレストと前記アームレスト支持部材とを連結する第4回動軸とを含み、
前記第4回動軸は、前記第1回動軸と前記第3回動軸と同軸上に位置する、請求項2または3に記載の乳母車。 - 前記後幌骨は、前記第3回動軸から後方に向かって延び、その後上方に立ち上がる屈曲形状を有している、請求項2に記載の乳母車。
- 前記前幌骨は、両側部において前記中幌骨よりも外側に位置し、
前記後幌骨は、両側部において前記中幌骨よりも内側に位置する、請求項2に記載の乳母車。 - 前記前幌骨、前記中幌骨、および前記後幌骨は、逆U字形状を有しており、その幅寸法および高さ寸法は、前記前幌骨、前記中幌骨、前記後幌骨の順に小さくなる、請求項8に記載の乳母車。
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2023
- 2023-03-21 CN CN202310281390.3A patent/CN116902052A/zh active Pending
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