JP2023159605A - トナー - Google Patents

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Shotaro Nomura
祐 吉田
Yu Yoshida
健二 青木
Kenji Aoki
健太郎 山脇
Kentaro Yamawaki
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Abstract

【課題】従来以上の低温定着性を発揮しつつ、耐ホットオフセット性及びラフ紙におけるグロス均一性に優れるトナーを提供することにある。【解決手段】樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記樹脂Aは、下記式(1)で示すユニット(a)を30質量%以上含有し、TIFF2023159605000016.tif4168トナーの質量を基準とした樹脂Aの含有量が20.0質量%以上100.0質量%以下であり、前記トナーは、前記トナーの粘弾性測定において、特定の関係式を満足し、前記トナーがTHF不溶分を含有し、前記樹脂Aがシロキサン構造を有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法などに用いられるトナーに関する。
近年のレーザービームプリンター(以下LBP)及び複写機といった電子写真方式の画像形成装置においては、従来にも増して印刷速度の高速化と省エネルギー化が求められている。
そのため現像剤であるトナーに関しても、上記への対応が必要となっている。具体的には、より少量の熱量で定着する低温定着性能の重要性が年々増している状況である。
その達成手段として、従来、トナーのメインバインダーに対する可塑剤の添加が広く行われてきた。可塑剤とは具体的には炭化水素ワックス等の結晶性分子や、結晶性ポリエステル等の結晶性樹脂である。特に低分子量の可塑剤に比べ分子量が高い結晶性ポリエステルは、ブリードなどの弊害が少ないため現在広く用いられている(特許文献1)。
しかし可塑剤が溶融した後、結着樹脂を可塑させるというステップを経てトナーが軟化するため、トナーの溶融速度には限界があり、さらなる低温定着性の向上が望まれている。
そこで、メインバインダーとして結晶性樹脂を使用する方法が検討されている。結晶性樹脂は結着樹脂として考えた場合、分子鎖が規則的に配列することにより、融点よりも低温においてはほとんど軟化しないといった性質を有する。また、融点を越えると結晶が急激に融解し、それに伴った急激な粘度の低下が起こる。このため、シャープメルト性に優れ、低温定着性を示す材料として注目されている。
しかし、更なる低温定着性能を求め結晶性樹脂の成分量が増大するに従い、溶融時の結晶性樹脂の低い弾性に由来するホットオフセットの悪化と、更に凹凸の大きいラフ紙においてはグロスの不均一性が課題となっていた。
これらの課題の対策として従来、重合性架橋剤を添加・増量し、高弾性を発揮するゲル成分を増量する手法がある(特許文献2)。
特許4192717号公報 特開2018-151619号公報
しかしながら、上記特許文献2のようにゲルの架橋度を上げた場合、他のバインダー成分との相溶性が低下するという問題が発生する。このため、他の低粘性成分をむしろ分離させる方向になってしまい、ホットオフセットやグロス不均一性の改善の効果は限定的となり、また低温定着性が阻害されるという問題があった。
本発明の目的は上記課題を解決し、従来以上の低温定着性を発揮しつつ、耐ホットオフセット性及びラフ紙におけるグロス均一性に優れるトナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂として樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記樹脂Aは、(i)下記式(1)で示すユニット(a)を30質量%以上含有し、
Figure 2023159605000001
[式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基を表し、L1は、単結合またはエステル結合、アミド結合を表し、mは、15以上30以下の整数を表す。]
(ii)トナーの質量を基準とした含有量が20.0質量%以上100.0質量%以下であり、
前記トナーは、前記トナーの粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が1.0×107Paとなる温度をT1[℃]とし、温度T1[℃]における損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)をtanδ(T1)、温度T1-10[℃]におけるtanδをtanδ(T1-10)としたとき、以下の式(2)~(4)を満足し、
50.0≦T1≦70.0 (2)
0.30≦tanδ(T1)≦1.00 (3)
1.00≦tanδ(T1)/tanδ(T1-10)≦1.90 (4)
前記トナーがTHF不溶分を含有し、前記THF不溶分は下記式(5)で表される構造を有し、
Figure 2023159605000002
式(5)中、Aはそれぞれ独立して樹脂Aを表し、nが1以上10以下の整数であり、Xはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、又はアルキル基を表し、下記方法で測定されるシロキサン構造部位に由来するケイ素の質量が前記THF不溶分の0.005%以上0.150%以下であり、
〔パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて、前記THF不溶分を昇温速度25℃/分で、50℃から900℃まで加熱し、減少したSi量をシロキサン構造由来のSi質量とする。〕
前記樹脂Aが式(5)で表される構造を有することを特徴とするトナーである。
本発明によれば、従来以上の低温定着性を発揮しつつ、耐ホットオフセット性及びラフ紙におけるグロス均一性に優れるトナーを提供することが可能となる。
粘弾性を測定するための測定サンプル及び治具の概略図である。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。例えば、ポリマー中の重合性単量体が重合した主鎖中の、炭素-炭素結合1区間を1ユニットとする。重合性単量体とは下記式(7)で表すことができる。
Figure 2023159605000003
[式(7)中、RAは水素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基)を表し、RBは任意の置換基を表す。]
結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂をいう。
〔本発明の特徴〕
本発明は、結着樹脂として樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記樹脂Aは、
(i)下記式(1)で示すユニット(a)を30質量%以上含有し、
Figure 2023159605000004
[式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基を表し、L1は、単結合またはエステル結合、アミド結合を表し、mは、15以上30以下の整数を表す。]
(ii)トナーの質量を基準とした含有量が20.0質量%以上100.0質量%以下であり、
前記トナーは前記トナーの粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が1.0×107Paとなる温度をT1[℃]とし、温度T1[℃]における損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)をtanδ(T1)、温度T1-10[℃]におけるtanδをtanδ(T1-10)としたとき、以下の式(2)~(4)を満足し、
50.0≦T1≦70.0 (2)
0.30≦tanδ(T1)≦1.00 (3)
1.00≦tanδ(T1)/tanδ(T1-10)≦1.90 (4)
前記トナーがTHF不溶分を含有し、前記THF不溶分は下記式(5)で表される構造を有し、
Figure 2023159605000005
式(5)中、Aはそれぞれ独立して樹脂Aを表し、nが1以上10以下の整数であり、Xはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、又はアルキル基を表し、下記方法で測定されるシロキサン構造部位に由来するケイ素の質量が前記THF不溶分の0.005%以上0.150%以下であり、
〔パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて、前記THF不溶分を昇温速度25℃/分で、50℃から900℃まで加熱し、減少したSi量をシロキサン構造由来のSi質量とする。〕
前記樹脂Aが式(5)で表される構造を有することを特徴とするトナーである。
本発明者らの検討によれば、上記トナーにより、従来以上の低温定着性を発揮しつつ、耐ホットオフセット性及びラフ紙におけるグロス均一性に優れるトナーを提供することが可能となる。
以下にその詳細を説明する。
そもそも、保存性等の弊害を抑制しつつ低温定着性を発揮させる為には、耐熱保存性に必要な温度までは貯蔵弾性率が高く、それよりも高い温度にすることで急激に貯蔵弾性率が低下する、すなわちシャープメルト性を示すことが必要である。
また、一般に、損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)は、高分子材料が弾性的性質を強く示すのか、あるいは粘性的性質を強く示すのかといった変形のしやすさを表す。tanδが小さいほど変形しにくく、いわゆる「ゴム」状になり、tanδが大きいほど変形しやすく、いわゆる「ガム」状になる。従って、シャープメルトしている温度領域におけるtanδの変化を適切にすることで、低温定着時におけるトナーの変形のしやすさを制御でき、トナーのグロス均一性を確保する方向となる。
しかしながら、従来以上の低温定着性を求める場合、上記構成では不十分であった。また低温定着の追求に伴いトナーが溶融し易くなるために、発生するホットオフセットへの対策も必須であった。そこで本発明者らは、トナー樹脂中の高弾性部位であるTHF不溶分(ゲル分)中にシロキサン結合部位を導入することで、上記課題を解決できることを見出した。
従来トナーの高温弾性を高めようとした場合、架橋剤モノマーの添加が一般的であった。これにより高架橋部位であるゲル分を増大させ、トナーの高温弾性を高めることが可能となる。
しかしながら、ゲル分は高架橋である場合他の樹脂成分と分離する傾向にあり、多量添加してもその効果は飽和する傾向があった。分離した低弾性成分の存在は結局ホットオフセットやグロス不均一性の原因となる。また低温定着性が阻害される等、弊害も多い手法であった。
そこで、本発明者らは、高弾性の付与と、ゲル分と他の樹脂成分の分離を抑制するため、ゲル樹脂中にシロキサン結合部位を導入し上記課題の解決を試みた。これは、周囲の樹脂の炭素を基本とした構造に対し、極性の異なるシロキサン結合部位同士の間で親和力を生じさせ、ゲルドメイン間で緩やかに結合した大規模なゲル構造を作製するものである。これにより低温定着性を阻害することなくトナーに高弾性を付与し、ホットオフセット及びグロス均一性を改善することができると考えられる。
そのメカニズムとしては、シロキサン結合部位同士の弱い相互作用により、大規模なゲル構造内に他の樹脂成分を包含することが出来るためと考えられる。これによりゲルと他の樹脂成分の分離を促進することなく、従来技術で架橋密度を高めた場合に近しい高弾性を付与せしめることが可能となっていると考えられる。
〔本発明トナーの構成〕
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明のトナーは樹脂Aを含有し、該樹脂Aは下記式(1)で示すユニット(a)を30質量%以上含有することが低温定着性の観点から必要である。30質量%未満である場合は、低温定着性が不十分となる。
Figure 2023159605000006
[式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基を表し、L1は、単結合またはエステル結合、アミド結合を表し、mは、15以上30以下の整数を表す。]
また樹脂Aは、トナーの質量を基準とした含有量が20.0質量%以上であると低温定着性の観点から必要である。20.0質量%未満であると低温定着性が不十分となる。樹脂Aのその含有量は、25.0質量%以上85.0質量%以下であることが好ましい。
本発明はトナーの粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が1.0×107Paとなる温度をT1[℃]とし、温度T1[℃]における損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)をtanδ(T1)、温度T1-10[℃]におけるtanδをtanδ(T1-10)としたとき、以下の式(2)を満足する。
50.0≦T1≦70.0 (2)
式(2)を満足することでトナーの低温定着性が良好となる。T1が50.0℃よりも小さいと、低温定着性には有利となるが、トナーの耐熱保存性などの弊害が生じる。またT1が70.0℃よりも大きいと低温定着性が低下する。
T1は、トナー中の結晶性樹脂が長鎖アルキル基を有するビニル樹脂の場合は、長鎖アルキル基の長さや、結着樹脂中の長鎖アルキル基の割合等により制御可能である。また、結晶性樹脂がポリエステル樹脂の場合は、使用するジオール成分及びジカルボン酸成分の炭素数で制御可能である。
また本発明は以下の式(3)、および(4)を満足する。
0.30≦tanδ(T1)≦1.00 (3)
1.00≦tanδ(T1)/tanδ(T1-10)≦1.90 (4)
T1は、シャープメルトしている最中の温度であるため、tanδ(T1)が上記式(3)の範囲内であることで、低温定着時におけるトナーの変形のしやすさが適度に保たれる。後述するシロキサン結合を含有するゲル分と併せて、ラフ紙でのグロスを高めることが可能である。
また、tanδ(T1)/tanδ(T1-10)が上記式(4)の範囲内であることで、後述するシロキサン結合を含有するゲル分と併せて、ラフ紙での凸部及び凹部において変形のしやすさが一定の範囲内になり、グロス均一性が良化する。
tanδ(T1)が0.30よりも小さいと、低温定着時において弾性的性質が大きくなりすぎ、ラフ紙でのグロスが低下する。また、1.00よりも大きいと、低温定着時において粘性的性質が大きくなりすぎ、紙へトナーが染み込みやすくなることで、グロス均一性が悪化する。
tanδ(T1)は、トナーにおける結晶性樹脂の添加量等で制御可能である。特に、結晶性樹脂が長鎖アルキル基を有するビニル樹脂の場合は、長鎖アルキル基の長さや、結着樹脂中の長鎖アルキル基の割合等により制御可能である。また、トナー製造時における架橋剤の種類や添加量によっても制御可能である。
また、tanδ(T1)/tanδ(T1-10)が1.00よりも小さいと、シャープメルトしても変形しにくくなるため、定着画像の耐擦過性が低下する。tanδ(T1)/tanδ(T1-10)が1.90よりも大きいと、溶融開始温度付近にてトナーが弾性的性質から粘性的性質に急激に変化していくようになり、低温定着時において凸部では更に変形しやすくなり、凹部では更に変形しにくくなる。その結果、グロス均一性が悪化する。
tanδ(T1)/tanδ(T1-10)は、トナーに使用する非晶性樹脂の種類や添加量等で制御可能である。
本発明のトナーはTHF不溶分を含有し、前記THF不溶分は下記式(5)で表される構造を有し、
Figure 2023159605000007
式(5)中、Aはそれぞれ独立して樹脂Aを表し、nが1以上10以下の整数であり、Xはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、又はアルキル基を表す。また、下記方法で測定されるシロキサン構造部位に由来するケイ素の質量が、前記THF不溶分の0.005質量%以上0.150質量%以下である。
ケイ素の質量の測定方法は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて、前記THF不溶分を昇温速度25℃/分で、50℃から900℃まで加熱し、減少したSi量をシロキサン構造由来のSi質量とする。
THF不溶分が式(5)の構造を有することで、上述のシロキサン構造部位同士の親和性が発揮され、非ゲル成分を包含する緩やかなゲル構造が形成され、低温定着性と耐ホットオフセット性、ラフ紙におけるグロス均一性を並立させることが可能となる。
シロキサン構造部位がケイ素重量に換算して0.005質量%より少ない場合、シロキサン構造部位が少なすぎるため上記緩やかなゲル構造が形成されず、耐ホットオフセット性とグロス均一性を発揮させることが難しい。また0.150質量%より多い場合、シロキサン構造部位の量が増えることでそれ自体が凝集しドメイン化することで、緩やかなゲル構造を形成しがたくなる。
本発明は、前記樹脂Aが式(5)で表される構造を有する。これによりゲル成分とそれ以外の樹脂成分の分離を抑制し、低温定着性と耐ホットオフセット性とグロス均一性を並立させることが出来る。
前記樹脂A中のユニット(a)の割合は、50.0質量%以上90.0質量%以下であると、耐ホットオフセット性とグロス均一性を保持しつつ低温定着性を発揮させることができるので好ましい。
本発明のトナーの粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が3.0×107Paになる温度をT2[℃]、貯蔵弾性率G’が3.0×106Paとなる温度をT3[℃]としたとき、以下の式(6)を満足することが好ましい。
|T3-T2|≦10.0 (6)
前記式(2)及び式(6)を満足することで、トナーの低温定着性と耐熱保存性を両立することができ好ましい。|T3-T2|は、トナー中の結晶性樹脂の割合や、結晶性樹脂中の結晶性を示す部位の割合等により制御可能である。
また、前記式(5)中、n=1であると、シロキサン結合部位のトナーバインダー中での分散性が良好となり、緩やかなゲル構造と非ゲル成分の混合が良好となり、耐ホットオフセット性とグロス均一性を保持しつつ低温定着性を発揮させることができるので好ましい。
<樹脂A>
以下に本発明で用いる樹脂Aに関して具体的に説明する。
樹脂Aとしては、結晶性を有するビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、結晶性を有するビニル樹脂であることが好ましい。
樹脂Aは上記式(1)で表されるモノマーユニット(a)を有するが、式(1)は、長鎖アルキル基を有することを示しており、長鎖アルキル基を有することで、樹脂が結晶性を示しやすくなる。また、式(1)中のnが15以上30以下であることで、上記式(2)を範囲内に制御しやすくなる。好ましくはnは17以上29以下である。
モノマーユニット(a)を導入するための方法としては、以下のような(メタ)アクリル酸エステルを重合させる方法がある。例えば、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコサ、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドドリアコンタ及び(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル等が挙げられる。
式(2)のユニットは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
樹脂Aが結晶性を有するビニル樹脂の場合、前記モノマーユニット(a)に加えて、他のモノマーユニットを有することも可能である。他のモノマーユニットを導入するための方法としては、前記(メタ)アクリル酸エステルと、他のビニル系単量体を重合させる方法がある。
他のビニル系単量体としては、以下が挙げられる。
スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル類。
ウレア基を有する単量体:例えば炭素数3以上22以下のアミン[1級アミン(ノルマルブチルアミン、t―ブチルアミン、プロピルアミン及びイソプロピルアミン等)、2級アミン(ジノルマルエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン、ジノルマルブチルアミン等)、アニリン及びシクロキシルアミン等]と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2以上30以下のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体等。
カルボキシ基を有する単量体;例えば、メタクリル酸、アクリル酸、(メタ)アクリル酸-2-カルボキシエチル。
ヒドロキシ基を有する単量体;例えば、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等。
アミド基を有する単量体;例えば、アクリルアミド、炭素数1以上30以下のアミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数2以上30以下のカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸等)を公知の方法で反応させた単量体。
中でも、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチルを使用することが好ましい。
樹脂Aがポリエステル樹脂の場合、2価以上の多価カルボン酸と多価アルコールの反応により得ることができるポリエステル樹脂のうち、結晶性を示す樹脂が使用可能である。
多価カルボン酸としては例えば以下の化合物が挙げられる。琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸のような二塩基酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル、並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸。1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、以下の化合物を挙げることができる。アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール及び1,3-プロピレングリコール);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物。アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。さらに、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸のような1価の酸、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールのような1価のアルコールも使用することができる。
ポリエステル樹脂の製造方法については特に限定されないが、例えばエステル交換法や直接重縮合法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
樹脂Aに上記式(5)で表される構造を導入する手法としては、特に限定されないが、前記ビニル系単量体の重合時にビニル重合性部位を有するシランカップリング剤を添加し、その後の製造工程でシランカップリング剤を縮合させるといった方法が挙げられる。ビニル重合性部位を有する重合性シランカップリング剤としては、具体的には3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
また、樹脂Aのカルボキシル基にエポキシシラン化合物のエポキシ基を反応させシラノール構造を導入し、その後の製造工程でシランカップリング剤を縮合させるといった方法が挙げられる。エポキシシラン化合物として、具体的には3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、樹脂Aのカルボキシル基にアミノシラン化合物のアミノ基を反応させシラノール構造を導入し、その後の製造工程でシランカップリング剤を縮合させるといった方法が挙げられる。アミノシラン化合物として、具体的には3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
<他の結着樹脂及び樹脂成分>
本発明のトナーは、上記樹脂Aとは別に結着樹脂として、(メタ)アクリル酸ラウリルと上記ビニル系単量体との重合体等、公知のものを用いることができる。
また、本発明のトナーは、結着樹脂以外に種々の目的で樹脂成分を含んでもよい。使用可能なものとしては例えば、結着樹脂には該当しないビニル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂等が挙げられる。
<離型剤>
トナーは、離型剤を含有してもよい。離型剤は、炭化水素系ワックス及びエステルワックスからなる群から選択される少なくとも一である。炭化水素系ワックス及び/又はエステルワックスを使用することで、有効な離型性を確保しやすくなる。
炭化水素系ワックスとしては特に限定はないが、例えば以下のものが挙げられる。
脂肪族炭化水素系ワックス:低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、フィッシャートロプシュワックス、またはこれらが酸化、酸付加されたワックス。
エステルワックスは、1分子中にエステル結合を少なくとも1つ有していればよく、天然エステルワックス、合成エステルワックスのいずれを用いてもよい。
エステルワックスとしては特に限定はないが、例えば以下のものが挙げられる。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル等の1価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
セバシン酸ジベヘニル等の2価カルボン酸とモノアルコールのエステル類;
エチレングリコールジステアレート、ヘキサンジオールジベヘネート等の2価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
グリセリントリベヘネート等の3価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート等の4価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ポリグリセリンベヘネート等の多官能アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステルワックス類;
なかでも、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類が好ましい。
離型剤は、炭化水素系ワックス又はエステルワックスを単独で用いてもよく、炭化水素系ワックス及びエステルワックスを併用してもよく、それぞれ二種類以上を混合して用いてもよい。特に炭化水素系ワックスを単独で、もしくは二種類以上を使用することが好ましい。離型剤が炭化水素ワックスであることがより好ましい。
トナーにおいて、トナー粒子中の離型剤の含有量は、好ましくは1.0質量%以上30.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以上25.0質量%以下である。トナー粒子中の離型剤の含有量が上記範囲にあることで、定着時の離型性が確保されやすくなる。
離型剤の融点は、60℃以上120℃以下であることが好ましい。離型剤の融点が上記範囲にあることで、定着時に溶融してトナー粒子表面に染み出しやすく、離型性が発揮されやすくなる。より好ましくは70℃以上100℃以下である。
<着色剤>
トナーは、着色剤を含有してもよい。着色剤として、公知の有機顔料、有機染料、無機顔料、黒色着色剤としてのカーボンブラック、磁性粒子などが挙げられる。そのほかに従来トナーに用いられている着色剤を用いてもよい。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、好ましくは結着樹脂100.0質量部に対し、1.0質量部以上20.0質量部以下である。着色剤として磁性粒子を用いる場合、その含有量は結着樹脂100.0質量部に対し、40.0質量部以上150.0質量部以下であることが好ましい。
<荷電制御剤>
必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に含有させてもよい。また、荷電制御剤をトナー粒子に外部添加してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
<外添剤>
トナー粒子はそのままトナーとして用いてもよいし、必要により外添剤などを混合しトナー粒子表面に付着させることで、トナーとしてもよい。
外添剤としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子からなる群から選ばれる無機微粒子又はその複合酸化物などが挙げられる。複合酸化物としては、例えば、シリカアルミニウム微粒子やチタン酸ストロンチウム微粒子などが挙げられる。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上4.0質量部以下であることがより好ましい。
<トナーの製造方法>
本発明のトナー粒子は、本件構成の範囲内であれば、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、粉砕法といった、従来公知のいずれの方法において製造されてもよいが、懸濁重合法によって製造されることが好ましい。
懸濁重合法について、詳細を述べる。
例えば、予め合成した樹脂Aを、非晶性樹脂を生成する各重合性単量体の混合物に添加する。必要に応じて、着色剤、離型剤、荷電制御剤などのその他材料を添加し、均一に溶解、又は分散して重合性単量体組成物を調製する。
その後、該重合性単量体組成物を水系媒体中に撹拌器などを用いて分散し、重合性単量体組成物の懸濁粒子を調製する。その後、粒子に含有される重合性単量体を開始剤等によって重合させることにより、トナー粒子を得る。
トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要に応じて外添剤を添加して、トナーを得るとよい。
該重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることが可能である。
例えば、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレ-ト、t-ブチルパーオキシイソブチレ-ト、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドのような過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
また、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤を用いてもよい。
該水系媒体は、無機又は有機の分散安定剤を含有してもよい。分散安定剤としては、公知の分散安定剤を用いることが可能である。
無機の分散安定剤としては、例えば、ヒドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛のようなリン酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのような炭酸塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウムのような硫酸塩;メタケイ酸カルシウム;ベントナイト;シリカ;アルミナが挙げられる。
一方、有機の分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンが挙げられる。
分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて上記無機化合物を生成させて用いてもよい。
例えば、ヒドロキシアパタイトや第三リン酸カルシウムのようなリン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液を混合するとよい。
該水系媒体は界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、公知の界面活性剤を用いることが可能である。例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
[本発明トナーに係る物性の測定方法]
トナー及びトナー材料の各種物性についての算出方法及び測定方法について以下に記す。
<貯蔵弾性率G’及びtanδの測定方法>
本発明において、貯蔵弾性率G’及びtanδは、粘弾性測定装置(レオメーター)ARES(Rheometrics Scientific社製)を用いて測定を行う。測定の概略は、Rheometrics Scientific社製発行のARES操作マニュアル902-30004(1997年8月版)、902-00153(1993年7月版)に記載されているが、以下の通りである。
・測定治具:torsion rectangular
・測定試料:トナーについて、加圧成型機を用い幅約12mm、高さ約20mm、厚み約2.5mmの直方体型試料を作製する(常温で30分間25kNを維持する)。加圧成型機はNPaシステム社製100kNプレスNT-100Hを用いる。
治具及びサンプルを常温(23℃)に1時間放置した後、治具にサンプルを取り付ける。図1のように、測定部の幅約12mm、厚さ約2.5mm、高さ10.0mmになるように固定する。測定開始温度30℃まで10分間かけて温調した後、下記設定で測定を行う。
・測定周波数 :6.28rad/s
・測定歪みの設定:初期値を0.1%に設定し、自動測定モードにて測定を行う
・試料の伸長補正:自動測定モードにて調整
・測定温度 :30℃から150℃まで毎分2℃の割合で昇温する
・測定間隔 :30秒おき、すなわち1℃おきに粘弾性データを測定する
Microsoft社製Windows(登録商標)2000上で動作するRSI Orchesrator(制御、データ収集および解析ソフト)(Rheometrics Scientific社製)へ、インターフェースを通じてデータ転送する。
測定データのうち、貯蔵弾性率G’が1.0×107Paになる温度をT1[℃]、貯蔵弾性率G’が3.0×107Paとなる温度をT2[℃]、貯蔵弾性率G’が3.0×106Paとなる温度をT3[℃]とする。また、温度T1[℃]における損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)をtanδ(T1)、温度T1-10[℃]におけるtanδをtanδ(T1-10)とする。
<THF不溶分のシロキサン構造部位に由来するケイ素の質量の測定方法>
THF不溶分中のシロキサン部位に由来するケイ素の質量は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。
前記THF不溶分を昇温速度25℃/分で、50℃から900℃まで加熱し、減少したケイ素質量をシロキサン構造由来のSi質量とする。
減少前後のTHF不溶分中のケイ素含有量は、蛍光X線を用いて測定する。
蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.5.0L」(PANalytical社製)を用いる。
なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mmとする。測定は、Omnianのメソッドを用いて元素FからUまでの範囲を測定し、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
また、X線発生装置の加速電圧、電流値は、出力2.4kW(電圧32kV、電流125mA)となるように設定する。測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にTHF不溶分4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で成形したペレットにX線を照射して、発生する特性X線(蛍光X線)を分光素子にて分光する。次に、サンプルに含まれる各元素固有の波長に対応する角度に分光された蛍光X線の強度を、FP法(ファンダメンタルパラメータ法)により分析する。これによりTHF不溶分中に含まれる各元素の含有比率を分析結果として得て、THF不溶分中のケイ素原子の含有量を求める。
<トナーのTHF不溶分の測定方法>
トナー約1.5gを秤量(W1g)し、予め秤量した円筒濾紙(例えば、商品名No.86R(サイズ28×100mm)、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットする。溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)200mlを用いて20時間抽出し、その際に溶媒の抽出サイクルが約5分に一回になるような還流速度で抽出を行う。
抽出終了後、円筒ろ紙を取り出して風乾した後、40℃で8時間真空乾燥し、抽出残分を含む円筒濾紙の質量を秤量し、円筒濾紙の質量を差し引くことにより、抽出残分の質量(W2g)を算出する。
次に、樹脂成分以外の成分の含有量(W3g)を以下の手順で求める。予め秤量した30mlの磁性るつぼに約2gのトナーを秤量(Wag)する。るつぼを電気炉に入れ約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケーター中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量を秤量し、るつぼの質量を差し引くことにより焼却残灰分(Wbg)を算出する。そして、下記式(A)により、資料W1g中の焼却残灰分の質量(W3g)を算出する。
W3=W1×(Wb/Wa) (A)
この場合、THF不溶分は、下記式(B)で求められる。
THF不溶分(質量%)={(W2-W3)/(W1-W3)}×100 (B)
<樹脂A中の式(5)の構造の確認方法>
樹脂A中に含まれる式(5)の構造の確認は核磁気共鳴装置(NMR)を用いて行う。
NMR測定用試料は、以下のように調製する。
測定試料の調製:樹脂A10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中のろ物を40℃で数時間真空乾燥して得られたものをNMR測定用試料とする。
式(5)で表される構造のうち、ケイ素原子に結合するXについては、13C-NMR(固体)測定により確認する。以下に測定条件を示す。
13C-NMR(固体)の測定条件」
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
式(5)で表される構造のうち、シロキサン結合部分については、29Si-NMR(固体)測定により確認した。以下に測定条件を示す。
29Si-NMR(固体)の測定条件」
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:97.38MHz(29Si)
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
試料回転数:10kHz
コンタクト時間:10ms
遅延時間:2s
積算回数:2000~8000回
<トナーの分子量の測定方法>
トナーのTHF可溶分の分子量(重量平均分子量Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
・カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<トナーからの樹脂Aの分離方法>
トナーからの樹脂Aの分離については、公知の方法により可能であるが、以下に一例を示す。
トナーからの樹脂成分を分離する方法として、グラジエントLCを使用する。本分析では、分子量によらず、結着樹脂中の樹脂の極性に応じた分離をすることができる。
まず、トナーをクロロホルムに溶解する。試料はクロロホルムにてサンプル濃度が0.1質量%となるように調整し、その溶液を0.45μmのPTFEフィルターで濾過したものを測定に供した。グラジエントポリマーLC測定条件を以下に示す。
装置 :UlTIMATE3000 (Thermo Fisher Scientific製)
移動相 :A クロロホルム(HPLC)、B アセトニトリル(HPLC)
グラジエント:2min(A/B=0/100)→25min(A/B=100/0)
(なお、移動相の変化の勾配は直線になるようにした。)
流速 :1.0mL/分
注入 :0.1質量%×20μL
カラム :Tosoh TSKgel ODS(4.6mmφx150mm x 5μm)
カラム温度 :40℃
検出器 :Corona荷電化粒子検出器(Corona-CAD)(Thermo Fisher Scientific製)
測定で得られた時間-強度のグラフについて、極性に応じて樹脂成分が2ピークに分離できる。その後、再度上記測定を行い、それぞれのピークの谷になる時間で分取することで、二種類の樹脂に分離することが可能である。分離した樹脂についてDSC測定を行い、融点ピークが存在する樹脂を樹脂Aとする。
なお、トナー中に離型剤を含有する場合、トナーから離型剤を分離する必要がある。離型剤の分離は、リサイクルHPLCにより、分子量2000以下の成分を離型剤として分離する。測定方法を以下に示す。まず、上記した方法にてトナーのクロロホルム溶液を作製する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、クロロホルムに可溶な成分の濃度が1.0質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:LC-Sakura NEXT(日本分析工業社製)
・カラム:JAIGEL2H、4H(日本分析工業社製)
・溶離液:クロロホルム
・流速:10.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:1.0ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
こうして得られた分子量曲線から、分子量2000以下となる成分を繰り返し分取し、トナーから離型剤を除去する。
<樹脂中の各種モノマーユニットの含有割合の測定方法>
樹脂中の各種モノマーユニットの含有割合の測定は、1H-NMRにより以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料 :測定試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。得られた1H-NMRチャートを解析し、各モノマーユニットの構造を同定する。ここでは一例として、結晶性樹脂A中のモノマーユニット(a)の含有割合の測定について記載する。得られた1H-NMRチャートにおいて、モノマーユニット(a)の構成要素に帰属されるピークの中から、その他のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値S1を算出する。樹脂A中に含有されるその他のモノマーユニットについても、それぞれ同様に積分値を算出する。
樹脂Aを構成するモノマーユニットがモノマーユニット(a)とその他のモノマーユニット1種である場合、モノマーユニット(a)の含有割合は、上記積分値S1、及びその他のモノマーユニットのピークの積分値S2を用いて、以下のようにして求める。なお、n1、n2はそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
モノマーユニット(a)の含有割合(モル%)=
{(S1/n1)/((S1/n1)+(S2/n2))}×100
その他のモノマーユニットが2種以上ある場合でも同様にモノマーユニット(a)の含有割合を算出できる。
なお、ビニル基以外の構成要素に水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C-NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、1H-NMRにて同様にして算出する。上記方法によって算出した各モノマーユニットの割合(モル%)に、各モノマーユニットの分子量を乗じて、各モノマーユニットの含有割合を質量%に変換する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。
(樹脂A1の調製)
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・トルエン 100.000部
・単量体組成物 100.000部
(単量体組成物は以下の単量体を以下に示す割合で混合したものとする)
・アクリル酸ベヘニル(単量体(a)) 80.000部
・スチレン 18.000部
・メタクリル酸 2.000部
・3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 2.036部
・重合開始剤 t-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)
0.500部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して樹脂A1を得た。
(樹脂A2~A14の調製)
樹脂A1の調製において、単量体組成物の各成分の添加量を表1に変更する以外はすべて同様にして、樹脂A2~A14を調製した。
Figure 2023159605000008
Figure 2023159605000009
(樹脂B1の調製)
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・トルエン 100.0部
・単量体組成物 100.0部
(単量体組成物は以下の単量体を以下に示す割合で混合したものとする)
・アクリル酸ラウリル(単量体(b)) 25.0部
・スチレン 75.0部
・重合開始剤 t-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)0.5部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して樹脂B1を得た。
(樹脂B2~B7の調製)
樹脂B1の調製において、単量体組成物の各成分の添加量を表2に変更する以外は同様にして、樹脂B2~B7を調製した。樹脂B4とB7に関しては、更に架橋剤(HDDA;1,6-ヘキサンジオール-ジアクリレート)を所定量添加した。
Figure 2023159605000010
<実施例1>
[懸濁重合法によるトナーの製造]
(トナー粒子1の製造)
・アクリル酸ラウリル(単量体(b)) 15.0部
・スチレン 45.0部
・着色剤 ピグメントブルー15:3 6.5部
からなる混合物を調製した。上記混合物をアトライター(日本コークス社製)に投入し、直径5mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmで2時間分散することで原材料分散液を得た。
一方、高速撹拌装置ホモミクサー(プライミクス社製)及び温度計を備えた容器に、イオン交換水735.0部とリン酸三ナトリウム(12水和物)16.0部を添加し、12000rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、イオン交換水65.0部に塩化カルシウム(2水和物)9.0部を溶解した塩化カルシウム水溶液を投入し、60℃を保持しながら12000rpmで30分間撹拌した。そこに、10%塩酸を加えてpHを6.0に調整し、ヒドロキシアパタイトを含む無機分散安定剤が水中に分散した水系媒体を得た。
続いて、上記原材料分散液を撹拌装置及び温度計を備えた容器に移し、100rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、
・樹脂A1 40.0部
・樹脂B1 60.0部
・離型剤1 9.0部
(離型剤1:DP18(ジペンタエリスリトールステアリン酸エステルワックス、融点79℃、日本精蝋社製)
を添加して60℃を保持しながら100rpmで30分間撹拌した後、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)9.0部を添加してさらに1分間撹拌した。その後、上記高速撹拌装置にて12000rpmで撹拌している水系媒体中に投入した。60℃を保持しながら上記高速撹拌装置にて12000rpmで20分間撹拌を継続し、造粒液を得た。
上記造粒液を還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に移し、窒素雰囲気下において150rpmで撹拌しながら70℃に昇温した。70℃を保持しながら150rpmで12時間重合反応を行い、トナー粒子分散液を得た。
得られたトナー粒子分散液を150rpmで撹拌しながら45℃まで冷却した後、45℃を維持したまま5時間熱処理を行った。その後、撹拌を保持したままpHが1.5になるまで希塩酸を加えて分散安定剤を溶解させた。固形分をろ別し、イオン交換水で充分に洗浄した後、30℃で24時間真空乾燥して、トナー粒子1を得た。
(トナー1の調製)
上記トナー粒子1:98.0部に対して、外添剤として、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m2/g)2.0部を加えてヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー1を得た。得られたトナー1の物性を表4に示す。
<実施例2~19>
実施例1において、使用する樹脂AとBそれぞれの種類と添加量を表3のように変更する以外はすべて同様にして、トナー粒子2~19を得た。
さらに、実施例1と同様の外添を行い、トナー2~19を得た。トナーの物性を表4に示す。
<比較例1~11>
実施例1において、使用する樹脂AとBそれぞれの種類と添加量を表3のように変更する以外はすべて同様にして、比較用トナー粒子1~11を得た。
さらに、実施例1と同様の外添を行い、比較用トナー1~11を得た。トナーの物性を表4に示す。
<比較例12>
実施例1において、樹脂A1から3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを除き、トナー製造時の70℃の重合反応開始時に添加した以外は同様にして比較用トナー粒子12を得た。
さらに、実施例1と同様の外添を行い、比較用トナー12を得た。トナーの物性を表4に示す。
<比較例13>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2モル付加物): 50.0モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2モル付加物): 50.0モル部
・テレフタル酸: 90.0モル部
・無水トリメリット酸: 10.0モル部
ポリエステル部位を形成するための上記モノマー97部及び両末端にヒドロキシ基を有するシリコーンオイル(KF-6001、信越化学工業(株)製)3部を、チタンテトラブトキシド500ppmと共に5リットルオートクレーブに混合した。
そこに、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で縮重合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整し、反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂P1を得た。
・溶媒:トルエン 100.0部
・単量体組成物 100.0部
(単量体組成物は以下のアクリル酸ベヘニル・メタクリロニトリル・スチレンを以下に示す割合で混合したものである)
(アクリル酸ベヘニル(第一単量体) 67.0部(28.9モル%))
(メタクリロニトリル(第二単量体) 22.0部(53.8モル%))
(スチレン(第三単量体) 11.0部(17.3モル%))
・重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV) 0.5部
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、上記材料を投入した。反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して重合体A1を得た。
・結着樹脂P1 100.0部
・重合体A1 5.0部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)6.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 9.0部
該処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM75J型、三井三池化工機(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した。その後混合した原材料を温度130℃、バレル回転数200rpmに設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、比較用トナー粒子13を得た。得られた比較用トナー粒子13の重量平均粒径(D4)は6.5μmであった。
比較用トナー粒子13:100.0部に、疎水性シリカ(BET:200m2/g)2.0部をヘンシェルミキサー(FM75J型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、回転時間5minで混合した。得られた混合物を目開き54μmの超音波振動篩を通過させ比較例用トナー13を得た。
トナーの物性を表4に示す。
<比較例14>
・スチレン 72.1モル
・ブチルアクリレート 19.5モル
・シランカップリング剤 0.1モル
(信越シリコーン社製、商品名:KBM503)
上記組成からなるモノマー混合物をラジカル重合させ、下記分子量の高分子量体と低分子量体とを作製した。
高分子量体 Mw=9.0×105 Mn=3.9×105
低分子量体 Mw=8.0×103 Mn=2.7×103
ついで、得られた高分子量体および低分子量体を、低分子量体:高分子量体=70:30の割合で混合させて、スチレン-ブチルアクリレート-シラン共重合体樹脂Aを得た。
下記組成からなる原料をスーパーミキサーで混合し、溶融混練後、粉砕分級して重量平均粒径(D4)が11.0μmの負帯電性のトナー母粒子(比較用トナー粒子14)を得た。
スチレン-ブチルアクリレート-シラン共重合体樹脂A 100部
カーボンブラック(三菱化成工業社製MA-100) 6.5部
クロム含金属染料(オリエント化学工業社製S-34) 2.0部
ポリプロピレン 3.0部
その後、ヘンシェルミキサーを用いて、疎水性シリカ(日本アエロジル社製R-972):0.3部を、得られた比較用トナー粒子14:100部の表面に付着させて比較例用トナー14を得た。
トナーの物性を表4に示す。
Figure 2023159605000011
Figure 2023159605000012
〔トナーの評価方法〕
実施例1~19に係るトナー1~19、比較例1~14に係る比較用トナー1~14に関し、それぞれ下記要領にて性能評価を行った。
<1>低温定着性
トナーが充填されたプロセスカートリッジを25℃、湿度40%RHにて48時間放置した。定着器を外しても動作するように改造したLBP-712Ciを用いて、10mm×10mmの四角画像が転写紙全体に均等に9ポイント配列された画像パターンの未定着画像を出力した。転写紙上のトナー乗り量は、0.80mg/cm2とし、定着開始温度を評価した。なお、転写紙は、ラフ紙相当のA4用紙(「プローバーボンド紙」:105g/m2、フォックスリバー社製)を使用した。
定着器は、LBP-712Ciの定着器を外部へ取り外し、レーザービームプリンター外でも動作するようにした外部定着器を用いた。なお、外部定着器は、定着温度を90℃から5℃刻みに上げて行き、プロセススピード:260mm/secの条件で定着を行った。
定着画像を目視で確認し、コールドオフセットが発生しない最低温度を定着開始温度として、低温定着性を以下の基準で評価した。評価結果を表5に示す。
[評価基準]
A:定着開始温度が100℃以下
B:定着開始温度が105℃以上110℃以下
C:定着開始温度が115℃以上120℃未満
D:定着開始温度が125℃以上
<2>グロス及びグロスムラの評価
上記<1>の評価における、定着開始温度の定着画像を使用した。ハンディ型グロスメーターPG-1(日本電色工業株式会社製)を用いてグロス値を測定した。測定条件は、投光角度、受光角度をそれぞれ75°に合わせ、9ポイント配列された画像パターンをすべて測定し、その平均値を評価した。また、測定値の標準偏差をグロスムラの評価とした。評価結果を表5に示す。
[グロス評価基準]
A:グロスの平均値が25.0以上
B:グロスの平均値が20.0以上25.0未満
C:グロスの平均値が15.0以上20.0未満
D:グロスの平均値が15.0未満
[グロスムラ評価基準]
A:グロスの標準偏差が1.00以下
B:グロスの標準偏差が1.00を超えて2.00以下
C:グロスの標準偏差が2.00を超えて3.00以下
D:グロスの標準偏差が3.00を超える
<3>ホットオフセットの評価
常温常湿(25℃/50%RH)環境下にて、プロセススピ-ド260mm/secで、定着温度を10℃刻みで変更し、ベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を形成した。転写紙は、普通紙(LETTERサイズのXEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m2)を用いた。耐ホットオフセット性は目視で評価した。本発明では、C以上を良好と判断した。評価結果を表5に示す。
[評価基準]
A:160℃以上でオフセット発生
B:150℃以上160℃未満でオフセット発生
C:140℃以上150℃未満でオフセット発生
D:140℃未満でオフセット発生
Figure 2023159605000013

Claims (4)

  1. 結着樹脂として樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記樹脂Aは、
    (i)下記式(1)で示すユニット(a)を30質量%以上含有し、
    Figure 2023159605000014
    [式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基を表し、L1は、単結合またはエステル結合、アミド結合を表し、mは、15以上30以下の整数を表す。]
    (ii)トナーの質量を基準とした含有量が20.0質量%以上100.0質量%以下であり、
    前記トナーは、前記トナーの粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が1.0×107Paとなる温度をT1[℃]とし、温度T1[℃]における損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)をtanδ(T1)、温度T1-10[℃]におけるtanδをtanδ(T1-10)としたとき、以下の式(2)~(4)を満足し、
    50.0≦T1≦70.0 (2)
    0.30≦tanδ(T1)≦1.00 (3)
    1.00≦tanδ(T1)/tanδ(T1-10)≦1.90 (4)
    前記トナーがTHF不溶分を含有し、前記THF不溶分は下記式(5)で表される構造を有し、
    Figure 2023159605000015
    式(5)中、Aはそれぞれ独立して樹脂Aを表し、nが1以上10以下の整数であり、Xはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、又はアルキル基を表し、下記方法で測定されるシロキサン構造部位に由来するケイ素の質量が前記THF不溶分の0.005%以上0.150%以下であり、
    〔パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて、前記THF不溶分を昇温速度25℃/分で、50℃から900℃まで加熱し、減少したSi量をシロキサン構造由来のSi質量とする。〕
    前記樹脂Aが式(5)で表される構造を有することを特徴とするトナー。
  2. 前記樹脂A中のユニット(a)の割合が、50.0質量%以上90.0質量%以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 該トナーの粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が3.0×107Paになる温度をT2[℃]、貯蔵弾性率G’が3.0×106Paとなる温度をT3[℃]としたとき、以下の式(6)を満足する請求項1又は2に記載のトナー。
    |T3-T2|≦10.0 (6)
  4. 前記式(5)中、n=1である請求項1に記載のトナー。
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