JP2023158574A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

Figure 2023158574000001
【課題】燃料電池の内部状態のばらつきに起因する燃料電池の電圧変動を抑制し、電極が有する触媒の発電性能の劣化を抑制する。
【解決手段】燃料電池システムは、固体高分子製の電解質膜および空気極を有する燃料電池と、制御部とを備え、制御部は、電解質膜の相対湿度の現在値を取得し、取得した現在値が予め設定された目標値に近づく側へ相対湿度を変化させるように、相対湿度を調整可能なアクチュエータの作動を制御する第1制御を行うとともに、空気極の触媒の酸化被膜率の現在値を取得し、取得した現在値が予め設定された目標値に近づく側へ酸化被膜率を変化させるように、酸化被膜率を調整可能なアクチュエータの作動を制御する第2制御を行う。
【選択図】図6

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
従来、燃料電池の電圧変動によって、燃料電池の電極が有する触媒の発電性能が劣化することが知られている。そこで、特許文献1に記載の燃料電池システムでは、制御部が燃料電池の目標電力の変動を小さくすることで、燃料電池の実際の電圧変動を抑制する。これにより、電圧変動に起因する触媒の性能劣化を抑えることができる。
特開2020-149882号公報
しかし、燃料電池の内部状態のばらつきによっても、燃料電池の電圧変動が生じる。この電圧変動によって、電極が有する触媒の発電性能が劣化する。
本発明は上記点に鑑みて、燃料電池の内部状態のばらつきに起因する燃料電池の電圧変動を抑制し、電極が有する触媒の発電性能の劣化を抑制できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば、
燃料電池システムは、
固体高分子製の電解質膜(22)、電解質膜の一方側に配置された燃料極(23)、および電解質膜の他方側に配置された空気極(24)を有する燃料電池(20)と、
燃料電池の内部状態を示す第1状態量を調整可能な第1アクチュエータ(44)と、
第1状態量と異なる燃料電池の内部状態を示す第2状態量を調整可能な第2アクチュエータ(37、39、41、43、61)と、
第1アクチュエータの作動および第2アクチュエータの作動を制御する制御部(70)と、を備え、
制御部は、第1状態量の現在値を取得し、取得した第1状態量の現在値が予め設定された第1目標値に近づく側へ第1状態量を変化させるように、第1アクチュエータの作動を制御する第1制御を行うとともに、第2状態量の現在値を取得し、取得した第2状態量の現在値が予め設定された第2目標値に近づく側へ第2状態量を変化させるように、第2アクチュエータの作動を制御する第2制御を行う。
これによれば、燃料電池の内部状態のばらつきに起因する燃料電池の電圧変動を抑制することができる。このため、空気極が有する触媒の発電性能の劣化を抑制することができる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態の燃料電池システムの全体構成を示す模式図である。 第1実施形態の燃料電池の内部構造を示す模式図である。 第1実施形態の燃料電池システムが備える制御部の模式図である。 理想特性での燃料電池の出力電圧と出力電流との関係を示す図である。 本発明が解決する課題を説明するための燃料電池の出力電圧と出力電流との関係を示す図である。 第1実施形態の燃料電池システムにおいて、制御部が行う膜湿度制御のフローチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムと比較例1の燃料電池システムとのそれぞれにおける燃料電池の電圧および膜湿度等のタイムチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムにおいて、制御部が行う触媒酸化被膜率制御の開始許可処理のフローチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムにおいて、制御部が行う触媒酸化被膜率制御のフローチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムと比較例2の燃料電池システムとのそれぞれにおける燃料電池の電圧および触媒酸化被膜率等のタイムチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムにおいて、制御部が行う運転制御のフローチャートである。 図10のステップS36の間欠運転処理のフローチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムと比較例3の燃料電池システムとのそれぞれにおける燃料電池の電圧および触媒酸化被膜率等のタイムチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムにおいて、制御部が行う拡散抵抗制御の開始許可処理のフローチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムにおいて、制御部が行う拡散抵抗制御のフローチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムと比較例4の燃料電池システムとのそれぞれにおける燃料電池の電圧および拡散抵抗等のタイムチャートである。 第2実施形態の燃料電池システムと比較例5の燃料電池システムとのそれぞれにおける燃料電池の電圧および膜湿度等のタイムチャートである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態の燃料電池システム10は、車両駆動用の電源として、車両に搭載される。車両には、燃料電池システム10の他に、駆動モータ100が搭載される。燃料電池システム10は、燃料電池(すなわち、FC)20と、燃料ガス供給系30と、酸化剤ガス供給系40と、排ガス系50と、電力回路60と、を備える。
FC20は、固体高分子形燃料電池である。FC20は、図2に示す単セル21が複数積層されたスタック構成を有している。単セル21は、固体高分子製の電解質膜22と、燃料極23と、空気極24とを有する。
電解質膜22は、PEMとも呼ばれる。PEMは、Polymer Electrolyte Membraneの略称である。電解質膜22は、プロトン伝導性を有する。燃料極23は、電解質膜22の一方側に配置される。燃料極23には、燃料ガスとしての水素ガスが供給される。燃料極23は、電子を放出するアノードである。空気極24は、電解質膜22の他方側に配置される。空気極24には、酸化剤ガスとしての空気、すなわち、酸素ガスが供給される。空気極24は、電子を受容するカソードである。
燃料極23と空気極24のそれぞれは、触媒層231、241と、撥水層232、242と、ガス拡散層233、243とを有する。
触媒層231、241は、触媒を含む層であり、CLとも呼ばれる。CLは、Catalyst Layerの略称である。より具体的には、触媒層231、241は、触媒粒子(例えば、Pt粒子)25と、Pt粒子を担持する担持粒子26と、担持粒子26を保持するとともにプロトン伝導を担う図示しないアイオノマー等の高分子材料とを有する。
撥水層232、242は、水を凝縮させないようにガス拡散層233、243へ送る層である。撥水層232、242は、MPLとも呼ばれる。MPLは、Micro Porous Layerの略称である。
ガス拡散層233、243は、ガスを拡散させて均一に触媒層231、241に行き渡らせる層である。ガス拡散層233、243は、GDLとも呼ばれる。GDLは、Gas Diffusion Layerの略称である。
単セル21のうち燃料極23側には、水素ガスが流れる水素ガス流路27が形成されている。単セル21のうち空気極24側には、空気が流れる空気流路28が形成されている。
燃料極23と空気極24とのそれぞれでは、水素ガスと空気とが供給され、図2に示すように、下記の電気化学反応が生じる。
(燃料極)
→2H+2e
(空気極)
1/2O+2H+2e→H
なお、本実施形態では、ガス拡散層233、243と撥水層232、242とが別々に設けられているが、ガス拡散層233、243が撥水層を兼ねていてもよい。
図1に示す燃料ガス供給系30は、FC20へ燃料ガスとしての水素ガスを供給する。燃料ガス供給系30は、燃料ガスタンク31と、水素供給流路32と、燃料ガス排出流路33と、循環流路34と、主止弁35と、レギュレータ36と、インジェクタ37と、気液分離器38と、循環ポンプ39と、を有する。
燃料ガスタンク31は、水素ガスが貯蔵される貯蔵装置であり、水素供給流路32を介してFC20に接続されている。水素供給流路32は、FC20へ供給される水素ガスが流れる流路である。燃料ガスタンク31に貯蔵された水素ガスは、主止弁35による水素供給流路32の流路開閉と、レギュレータ36での減圧と、インジェクタ37からの吐出を経て、FC20のアノード側流路に供給される。
燃料ガス排出流路33は、FC20から排出されるアノードオフガスが流れる流路である。循環流路34は、燃料ガス排出流路33と、水素供給流路32のうちインジェクタ37よりも下流側の部位とに接続されている。循環流路34を循環する水素の圧力は、循環ポンプ39によって調節される。FC20に供給される燃料ガス量は、インジェクタ37および循環ポンプ39の駆動量によって調節可能である。気液分離器38は、燃料ガス排出流路33と循環流路34との接続部に設けられている。気液分離器38は、アノードオフガス中の水とガスとを分離する。
酸化剤ガス供給系40は、酸化剤ガスとしての空気をFC20へ供給する。酸化剤ガス供給系40は、エアコンプレッサ41と、空気供給流路42と、分流弁43と、加湿器44と、を有する。
エアコンプレッサ41は、空気を圧縮し、空気供給流路42を介して、FC20のカソード側流路に空気を供給する。空気供給流路42は、FC20に供給される空気が流れる流路である。分流弁43は、空気供給流路42のうち後述する空気バイパス流路55との接続部に設けられる。加湿器44は、空気供給流路42のうちFC20の空気入口側に設けられる。加湿器44は、FC20の空気極24へ水を供給する。
排ガス系50は、FC20から外部へオフガスを排出する。排ガス系50は、排ガス流路51と、調圧弁52と、水素排出流路53と、パージ弁54と、空気バイパス流路55と、を備える。
排ガス流路51は、FC20からカソードオフガスが排出される流路である。調圧弁52は、排ガス流路51に設けられており、FC20中の空気の圧力を調整する。水素排出流路53は、気液分離器38と、排ガス流路51とを接続している。水素排出流路53には、パージ弁54が設けられている。パージ弁54は、アノードオフガス中の窒素濃度が高くなったとき、あるいは、気液分離器38中の水の量が多くなったときに、開弁して、気液分離器38から水とガスとを排出する。パージ弁54を介して排出されるアノードオフガス中の水素は、排ガス流路51を流れることで、カソードオフガスにより希釈される。空気バイパス流路55は、空気供給流路42と、排ガス流路51とを接続する。
電力回路60は、FC20に接続されている。電力回路60には、駆動モータ100および図示しない種々の補機が接続されている。電力回路60は、FC昇圧コンバータ(すなわち、FDC)61と、インバータ62と、バッテリコンバータ63と、バッテリ64と、バッテリセンサ65と、を有する。
FC昇圧コンバータ61は、FC20の出力電圧を駆動モータ100で利用可能な高電圧に昇圧するDC/DCコンバータである。インバータ62は、FC昇圧コンバータ61で昇圧された直流電圧を交流電圧に変換して、駆動モータ100に供給する。駆動モータ100は、車両の車輪を駆動するモータであり、車両の減速時には回生して回生電力を発生させる。
バッテリコンバータ63は、双方向のDC/DCコンバータである。バッテリコンバータ63は、FC昇圧コンバータ61で昇圧された電圧や駆動モータ100の回生運転で生じた電圧を降圧して、バッテリ64に供給する。また、バッテリコンバータ63は、バッテリ64の電圧を昇圧して、インバータ62に供給する。
バッテリ64は、充放電可能な蓄電装置である。バッテリ64は、FC20が発電した電力、駆動モータ100からの回線電力を蓄電する。バッテリ64は、駆動モータ100を含む負荷に電力を供給する。バッテリセンサ65は、バッテリ64に接続されており、バッテリ64の電圧、電流および充電状態(すなわち、SOC)を検知する。SOCは、「State Of Charge」の略である。
燃料電池システム10は、図3に示す制御部70を備える。制御部70は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPUと、ROMと、RAMと、入出力ポートと、を有する。制御部70は、燃料電池システム10の発電制御を行うとともに、電力回路60を含む車両全体の制御を行なう。
制御部70は、車両に設けられた複数のセンサ71からの出力信号を取得する。複数のセンサ71としては、燃料電池システム10の各部に設けられたセンサ、アクセル開度センサ、シフトポジションセンサ、外気温センサ、および車速センサが挙げられる。燃料電池システム10の各部に設けられたセンサとしては、FC20の温度を検出する温度センサ72、FC20が出力する電流を検出する電流センサ73、バッテリセンサ65が挙げられる。
そして、制御部70は、車両における発電や走行等に係る各種アクチュエータ81に駆動信号を出力することで、各種アクチュエータ81の作動を制御する。各種アクチュエータ81としては、インジェクタ37、循環ポンプ39、エアコンプレッサ41、分流弁43、FC昇圧コンバータ61等が挙げられる。
図4Aに示すように、FC20の理想特性では、FC20の出力電流と出力電圧とは一対一の関係がある。しかし、本発明が適用されていない場合、図4Bに示すように、FC20の出力電流に対するFC20の出力電圧の大きさに、ばらつきがある。すなわち、出力電流がある値のときの出力電圧の値に、ばらつきがある。このばらつきの要因の1つは、FC20の内部状態のばらつきである。
FC20の内部状態としては、電解質膜22の乾湿の状態、空気極24の触媒を覆う酸化被膜の形成状態、空気極24の空気(すなわち、酸素ガス)のガス拡散状態が挙げられる。電解質膜22の湿度が変動すると、FC20の出力電圧が変動する。空気極24の触媒の表面積に対して、表面積を覆う酸化被膜の割合が変動すると、FC20の出力電圧が変動する。空気極24に生成する凝縮水によって空気の拡散性が変動すると、FC20の出力電圧が変動する。
ここで、FC20の出力電流が100A以下等の低負荷のとき、セル電圧は0.8V以上の高電位となる。空気極24において、セル電圧が高電位のとき、触媒である白金(すなわち、Pt)粒子の表面上に酸化被膜(すなわち、PtO)が形成される。また、セル電圧が高電位のとき、Ptのイオン化による溶出が生じる。一方、セル電圧が0.6V以下の低電位のとき、酸化被膜が還元されて消失する。
FC20の内部状態のばらつきによるFC20の出力電圧の変動幅が大きいと、セル電圧が低電位となって触媒の酸化被膜が消失し、この状態でセル電圧が高電位となる時間が長くなる。溶出と析出の繰り返しにより粒子が粗大化することで、触媒の有効表面積が低下し、発電性能が低下する。このため、Ptの溶出による触媒のECSAの低下、すなわち、発電性能の劣化が促進される。ECSAは、Electrochemically active surface area(すなわち、電気化学的有効表面積)の略称である。
そこで、本実施形態では、制御部70は、FC20の内部状態を検出し、FC20の内部状態を目標の状態にする制御を行う。
まず、FC20の内部状態の検出について説明する。制御部70は、FC20の内部状態を示す複数の状態量を取得する。複数の状態量のうち1つの状態量は、電解質膜22の相対湿度である。以下では、電解質膜22の相対湿度は、膜湿度とも呼ばれる。複数の状態量のうち他の1つの状態量は、空気極24の触媒の酸化被膜率である。以下では、空気極24の触媒の酸化被膜率は、触媒酸化被膜率とも呼ばれる。複数の状態量のうち他の1つの状態量は、空気極24のガス拡散抵抗である。以下では、空気極24のガス拡散抵抗は、拡散抵抗とも呼ばれる。
[膜湿度の算出]
制御部70は、下記の式(1-1)~式(1-4)に示す抵抗過電圧のモデル式と、抵抗過電圧の値と、センサの値と、定数とを用いて、モデル式中の未知パラメータであるσPEMrefを算出する。
Figure 2023158574000002
これらの式中の記号の内容は、表1に示す通りである。
Figure 2023158574000003
抵抗過電圧の値は、インピーダンスから求められる。具体的には、FC20における交流インピーダンスを測定することによって、FC20における内部抵抗を構成するオーム抵抗Rohm、反応抵抗Ract、拡散抵抗Rgasの値をそれぞれ導き出すことができることが知られている。そして、下記の式(1-5)に示す通り、抵抗過電圧ΔVohmとオーム抵抗Rohmとの間には、一定の関係がある。すなわち、オーム抵抗RohmとFC電流iの積が抵抗過電圧ΔVohmである。この関係を用いて、導き出されたオーム抵抗Rohmから抵抗過電圧ΔVohmの値を求めることができる。
Figure 2023158574000004
センサの値は、電流センサ73で計測されるFC運転時でのFC電流iの値である。式中の各定数の値は、制御部70が有する記憶部に予め記憶されている。なお、劣化によって変化が考えられる定数(例えば、PEM厚さ、GDL/MPL抵抗)は、経時的に緩やかに変化する傾向である。このため、膜湿度およびセンサの値が固定となる運転条件下にて検出した抵抗過電圧の検出結果の差から劣化分を学習した値が、定数の値として用いられてもよい。
σPEMrefを算出した後、制御部70は、σPEMrefから膜湿度を算出する。σPEMrefと膜湿度との間には所定の関係がある。この関係を示すマップは実験によって求められる。この関係を示すマップが記憶部に記憶されており、制御部70は、この関係を示すマップを用いて、σPEMrefの算出値から膜湿度を求めることができる。
[触媒酸化被膜率の算出]
上記の膜湿度の算出によって膜湿度が既知となった後、制御部70は、下記に示す式(2-1)、式(2-2)のカソード活性化過電圧のモデル式と、カソード活性化過電圧の値と、センサの値と、定数の値とを用いて、モデル式中の未知パラメータであるECSAを算出する。
Figure 2023158574000005
これらの式中の記号の内容は、表2に示す通りである。
Figure 2023158574000006
カソード活性化過電圧の値は、インピーダンスから求められる。上記の通り、FC20における交流インピーダンスを測定することによって、反応抵抗Ractの値を導き出すことができる。そして、下記の式(2-3)に示す通り、カソード活性化過電圧ΔVactと反応抵抗Ractとの間には、所定の関係がある。この所定の関係は、FC電流、FC温度等の諸条件での関係である。この関係を示すマップが実験によって求められる。この関係を示すマップが記憶部に記憶されており、制御部70は、この関係を示すマップを用いて、カソード活性化過電圧ΔVactの値を求めることができる。
Figure 2023158574000007
センサの値は、電流センサ73で計測されるFC運転時でのFC電流の値と、温度センサ72で計測されるFC運転時でのFC温度の値である。ECSA温度湿度依存係数CRH ECSAは、物理式またはマップを用いて、膜湿度から算出される。式中の各定数の値は、制御部70が有する記憶部に予め記憶されている。
ECSAを算出した後、制御部70は、ECSAから触媒酸化被膜率を算出する。触媒酸化被膜率は、ECSAの算出値と、ECSAの初期値との比として、算出される。なお、ECSAは、酸化被膜の影響により可逆的に変化し、かつ劣化によって経時的に緩やかに変化する。このため、酸化被膜が無く、各パラメータが固定となる条件下にて検出した活性化過電圧の検出結果の差から劣化分を学習したものが学習値として、初期値のかわりに用いられてもよい。
[ガス拡散抵抗の算出]
上記の膜湿度の算出によって膜湿度が既知となり、上記の触媒酸化被膜率の算出によって触媒酸化被膜率が既知となった後、制御部70は、下記に示す式(3-1)~式(3-4)のカソード濃度過電圧のモデル式と、センサ値と、定数とを用いて、式中の未知パラメータであるガス拡散抵抗を算出する。
Figure 2023158574000008
これらの式中の記号の内容は、表3に示す通りである。
Figure 2023158574000009
カソード濃度過電圧の値は、インピーダンスから求められる。上記の通り、FC20における交流インピーダンスを測定することによって、拡散抵抗Rgasの値を導き出すことができる。そして、下記の式(3-5)に示す通り、カソード濃度過電圧ΔVcncと拡散抵抗Rgasとの間には、所定の関係がある。この所定の関係は、FC電流、FC温度等の諸条件での関係である。この関係を示すマップが実験によって求められる。この関係を示すマップが記憶部に記憶されており、制御部70は、この関係を示すマップを用いて、カソード濃度過電圧ΔVcncの値を求めることができる。
Figure 2023158574000010
センサの値は、電流センサ73で計測されるFC運転時でのFC電流の値と、温度センサ72で計測されるFC運転時でのFC温度の値と、流量センサで計測されるFC運転時にFC20に供給される空気流量(すなわち、エア流量)の値である。触媒細孔Oモル濃度mo2は、物理式またはマップを用いて、エア流量の値から算出される。式中の各定数の値は、制御部70が有する記憶部に予め記憶されている。
なお、拡散抵抗は、空気流路内の凝縮水の影響により可逆的に変化し、かつGDL/MPLの機械的変化による劣化によって、経時的に緩やかに変化する。このため、凝縮水の影響が無く、各パラメータが固定となる条件下にて検出した濃度過電圧の検出結果の差から拡散抵抗初期および劣化分を学習してもよい。
次に、制御部70が行うFC20の内部状態を目標の状態にする制御について説明する。
[膜湿度制御]
システム要求出力が負荷運転基準値よりも大きい場合に、燃料電池システム10の負荷運転が行われる。負荷運転基準値は、0よりも大きく、0に近い値である。負荷運転時に、制御部70は、膜湿度を膜湿度の目標値に近づける膜湿度制御を行う。具体的には、制御部70は、図5に示す制御処理を実行する。図5に示す制御処理は、その実行が停止されるまで、繰り返される。図5中に示したステップは、各種機能を実現する機能部に対応するものである。このことは、他の図においても同様である。
図5に示すように、ステップS11で、制御部70は、膜湿度の現在値を取得する。このとき、膜湿度の現在値は、上記した算出方法によって算出される。
続いて、ステップS12で、制御部70は、ステップS11で取得した膜湿度の現在値と、制御部70に記憶されている膜湿度の目標値とを用いて、膜湿度の目標値からの膜湿度の現在値の差であるΔ膜湿度を算出する。膜湿度の目標値は、理想的な数値であり、例えば、80%前後の数値である。
続いて、ステップS13で、制御部70は、ステップS12で算出したΔ膜湿度の絶対値が予め定められた所定値以上か否かを判定する。ステップS13で、NO判定の場合、制御部70は、本処理を一旦終了する。ステップS13で、YES判定の場合、制御部70は、ステップS14に進む。
ステップS14で、制御部70は、ステップS12で算出したΔ膜湿度が負の値か否かを判定する。
膜湿度の現在値が膜湿度の目標値よりも大きく、Δ膜湿度が負の値の場合、ステップS14で、制御部70はYES判定する。この場合、制御部70は、ステップS15に進み、膜湿度を減少させるように、加湿器44の加湿量を減少させる。これにより、膜湿度の現在値が膜湿度の目標値に近づく側へ膜湿度が変化する。その後、制御部70は、本処理を一旦終了する。
その一方で、膜湿度の現在値が膜湿度の目標値よりも小さく、Δ膜湿度が正の値の場合、ステップS14で、制御部70はNO判定する。この場合、制御部70は、ステップS16に進み、膜湿度を増大させるように、加湿器44の加湿量を増大させる。これにより、膜湿度の現在値が膜湿度の目標値に近づく側へ膜湿度が変化する。その後、制御部70は、本処理を一旦終了する。
このように、制御部70は、膜湿度の現在値を取得する。制御部70は、その取得した膜湿度の現在値が予め設定された膜湿度の目標値に近づく側へ膜湿度を変化させるように、加湿器44の作動を制御する。本実施形態では、膜湿度が、第1状態量に対応する。膜湿度の目標値が、第1目標値に対応する。加湿器44が、第1状態量の調整が可能な第1アクチュエータに対応する。上記の加湿器44の作動の制御が、第1制御に対応する。
ここで、本実施形態と比較例1とを対比する。比較例1では、制御部70は、FC20の運転条件から電解質膜22が過乾燥の状態であると判定した場合に、空気極24内の空気の圧力を増大させる等により、膜湿度を増大させる制御を行う。
この場合、図6中の波線で示すように、時刻t11から時刻t12まで、時間の経過に伴って膜湿度が減少することで、時間の経過に伴ってFC20の電圧が減少する。時刻t12が、過乾燥の状態であると判定された時刻である。時刻t12以降では、時間の経過に伴って膜湿度が上昇することで、時間の経過に伴ってFC20の電圧が増大する。このため、時刻t11と時刻t12のそれぞれのFC20の電圧値を比較してわかるように、FC20の電圧の変動幅が大きい。
これに対して、本実施形態では、制御部70は、上記の膜湿度制御を行う。この場合、図6に示すように、FC20の空気極24の入口エア加湿量が調整される。これにより、膜湿度は、図6中の実線で示すように、膜湿度の目標値に近い値に維持される。このため、FC20の電圧は、図6中の実線で示すように変動する。よって、本実施形態によれば、FC20の電圧の変動幅を、比較例1よりも小さくすることができる。
このように、本実施形態によれば、膜湿度が目標値に近づくように制御される。このため、膜湿度のばらつきによる電圧変動を小さくすることができる。よって、空気極24が有する触媒の発電性能の劣化を抑制することができる。
なお、膜湿度の調整が可能なアクチュエータとして、加湿器44の他に、エアコンプレッサ41、調圧弁52を用いてもよい。エアコンプレッサ41および調圧弁52によって、エア流量を調整することで、膜湿度を調整することができる。調圧弁52によって、空気圧力(すなわち、エア圧力)を調整することで、膜湿度を調整することができる。エア圧力が上がると、エア流量が減少し、膜湿度が下がりにくくなる。エア圧力が下がると、エア流量が増大し、膜湿度が下がる。FC20の負荷運転時では、FC20へ発電に必要な量の空気が供給されるようにするため、膜湿度の調整が可能なアクチュエータとして、加湿器44と調圧弁52を用いることが好ましい。
[触媒酸化被膜率制御]
また、負荷運転時に、制御部70は、システム要求出力の大きさに応じて、FC20の出力(すなわち、FC出力)を調整する。これに加えて、制御部70は、触媒酸化被膜率を触媒酸化被膜率の目標値に近づける触媒酸化被膜率制御を行う。
本実施形態では、制御部70は、触媒酸化被膜率制御を行う前に、図7に示す処理を行う。ステップS101で、図5のステップS11と同様に、制御部70は、膜湿度の現在値を取得する。続いて、ステップS102で、図5のステップS12と同様に、制御部70は、Δ膜湿度を算出する。
続いて、ステップS103で、制御部70は、算出したΔ膜湿度の絶対値が予め定められた所定値未満か否かを判定する。このとき、膜湿度制御がすでに行われた場合、所定値未満になるので、制御部70は、YES判定して、ステップS104に進む。膜湿度制御が行われていない場合、所定値未満にならないので、制御部70は、NO判定して、ステップS101に戻る。
ステップS104で、制御部70は、触媒酸化被膜率制御の開始許可をする。触媒酸化被膜率制御の開始許可がされた場合に、制御部70は、触媒酸化被膜率制御を行う。すなわち、制御部70は、膜湿度制御を行った後、触媒酸化被膜率制御を行う。
触媒酸化被膜率制御では、制御部70は、図8に示す制御処理を実行する。図8に示す制御処理は、その実行が停止されるまで、繰り返される。
図8に示すように、ステップS21で、制御部70は、触媒酸化被膜率の現在値を取得する。このとき、触媒酸化被膜率の現在値は、上記した算出方法によって算出される。図8に示す制御処理が所定間隔で繰り返されることで、触媒酸化被膜率の現在値の取得は、定期的(例えば、1sec毎)に行われる。
続いて、ステップS22で、制御部70は、ステップS21で算出した触媒酸化被膜率の現在値と、制御部70に記憶されている触媒酸化被膜率の目標値とを用いて、触媒酸化被膜率の目標値からの触媒酸化被膜率の現在値の差であるΔ被膜率を算出する。
続いて、ステップS23で、制御部70は、ステップS22で算出したΔ被膜率の絶対値が予め定められた所定値以上か否かを判定する。ステップS23で、NO判定の場合、制御部70は、本処理を一旦終了する。ステップS23で、YES判定の場合、制御部70は、ステップS24に進む。
ステップS24で、制御部70は、ステップS22で算出したΔ被膜率が負の値か否かを判定する。
ステップS24において、触媒酸化被膜率の現在値が触媒酸化被膜率の目標値よりも大きく、Δ被膜率が負の値の場合、制御部70はYES判定する。この場合、制御部70は、ステップS25に進み、バッテリ64のSOCが所定値未満か否かを判定する。NO判定の場合、制御部70は、本処理を一旦終了する。YES判定の場合、制御部70は、ステップS26に進み、FC20の電圧が被膜還元用電圧になるように、FC20の出力(すなわち、FC出力)を補正するとともに、バッテリ64が充電状態になるように、バッテリ64の出力(すなわち、BAT出力)を補正する。
被膜還元用電圧とは、還元により触媒酸化被膜が減少する電圧であり、例えば、セル電圧が0.7Vよりも低い電圧である。被膜還元用電圧になるように、FC出力を補正するとは、FC出力を上昇させることである。制御部70は、FC出力を上昇させるために、FC昇圧コンバータ61からの電流指令が大きくなり、水素ガスおよび空気の供給量が増大するように、インジェクタ37、循環ポンプ39、エアコンプレッサ41、分流弁43、FC昇圧コンバータ61の作動を制御する。これにより、触媒酸化被膜率の現在値が触媒酸化被膜率の目標値に近づく側へ、触媒酸化被膜率が変化する。
また、制御部は、システム要求出力に対してのFC出力の余剰分がバッテリ64に充電されるように、バッテリコンバータ63の作動を制御する。その後、制御部70は、本処理を一旦終了する。
また、ステップS24において、触媒酸化被膜率の現在値が触媒酸化被膜率の目標値よりも小さく、Δ被膜率が正の値の場合、制御部70はNO判定する。この場合、制御部70は、ステップS27に進み、バッテリ64のSOCが所定値以上か否かを判定する。NO判定の場合、制御部70は、本処理を一旦終了する。YES判定の場合、制御部70は、ステップS28に進み、FC20の電圧が被膜生成用電圧になるように、FC出力を補正するとともに、BAT出力が不足分補完出力になるように、BAT出力を補正する。
被膜生成用電圧とは、触媒酸化被膜が生成される電圧であり、例えば、セル電圧が0.8Vよりも高い電圧である。被膜生成用電圧になるように、FC出力を補正するとは、FC出力を低下させることである。制御部70は、FC出力を低下させるために、FC昇圧コンバータ61からの電流指令が小さくなり、水素ガスおよび空気の供給量が減少するように、インジェクタ37、循環ポンプ39、エアコンプレッサ41、分流弁43、FC昇圧コンバータ61の作動を制御する。これにより、触媒酸化被膜率の現在値が触媒酸化被膜率の目標値に近づく側へ、触媒酸化被膜率が変化する。
不足分補完出力とは、システム要求出力に対してFC出力では不足する分を補完する出力である。制御部70は、システム要求出力に対しての不足を補完する大きさの電力をバッテリ64に出力させるように、バッテリコンバータ63の作動を制御する。その後、制御部70は、本処理を一旦終了する。
このように、制御部70は、触媒酸化被膜率の現在値を取得する。制御部70は、その取得した触媒酸化被膜率の現在値が予め設定された触媒酸化被膜率の目標値に近づく側へ触媒酸化被膜率を変化させるように、インジェクタ37、循環ポンプ39、エアコンプレッサ41、分流弁43、FC昇圧コンバータ61の作動を制御する。本実施形態では、触媒酸化被膜率が、第2状態量に対応する。触媒酸化被膜率の目標値が、第2目標値に対応する。インジェクタ37、循環ポンプ39、エアコンプレッサ41、分流弁43、FC昇圧コンバータ61が、第2状態量を調整可能な第2アクチュエータに対応する。上記のインジェクタ37等の作動の制御が、第2制御に対応する。
ここで、本実施形態と比較例2とを対比する。図9のタイムチャートにおいて、破線が比較例2であり、実線が本実施形態である。時刻t20から時刻t22までが、システム要求出力が高負荷基準値よりも低い低負荷時である。時刻t22から時刻t24までが、システム要求出力が高負荷基準値よりも高い高負荷時である。時刻t24の経過後が、低負荷時である。
比較例2では、図9に示すように、時刻t20から時刻t22までの低負荷時に、制御部70は、FC出力をシステム要求出力に応じた低い出力値とする。時刻t22から時刻t24までの高負荷時に、制御部70は、FC出力をシステム要求出力に応じた高い出力値とする。時刻t24の経過後の低負荷時に、制御部70は、FC出力をシステム要求出力に応じた低い出力値とする。
比較例2では、低負荷のときに、FC出力が低く、セル電位が0.8Vよりも高い高電位となる。このため、触媒の酸化被膜が増大し、図9に示すように、時間の経過とともに触媒酸化被膜率が増大する。また、比較例2では、高負荷のときに、FC出力が高く、セル電位が0.7Vよりも低い低電位となる。このため、還元によって触媒の酸化被膜が減少し、時間の経過とともに触媒酸化被膜率が減少する。比較例2では、低負荷から高負荷に切り替わったとき、触媒の酸化被膜が増大した状態で、FCが所望の電力を出力するため、電圧が大きく低下する。このため、図9に示すように、低負荷時と高負荷時での電圧の差が大きく、すなわち、電圧変動幅が大きい。
本実施形態では、図9の時刻t20からt21までの期間に示す通り、基本的に、比較例2と同様に、低負荷時に、制御部70は、FC出力をシステム要求出力に応じた低い出力値とする。触媒酸化被膜率の現在値が目標値を上回る場合であって、バッテリ64が充電可能な状態である場合、制御部70は、触媒酸化被膜率制御において、図8のステップS26を行う。これにより、図9の時刻t21から時刻t22までの期間に、制御部70は、FC20の電圧が被膜還元用電圧になるように、FC出力を上昇させ、その際のFC余剰出力をバッテリ64に充電させる。
そして、図9の時刻t22の低負荷から高負荷に転じるタイミングで、制御部70は、電圧が低い側であるFC出力を上昇させて、FC出力をシステム要求出力に応じた高い出力値とする。このとき、制御部70は、バッテリ64へのFC余剰出力の充電を停止させる。
高負荷時に、触媒酸化被膜率の現在値が目標値を下回る場合であって、バッテリ64が出力可能な状態である場合、制御部70は、触媒酸化被膜率制御において、図8のステップS28を行う。これにより、図9の時刻t23から時刻t24までの期間に、制御部70は、FC20の電圧が被膜生成用電圧になるように、FC出力を低下させ、その際に不足する電力を補完するように、バッテリ64の出力を上昇させる。
そして、図9の時刻t24の高負荷から低負荷に転じるタイミングで、制御部70は、電圧が高い側であるFC出力を低下させて、FC出力をシステム要求出力に応じた低い出力値とするとともに、バッテリ64からの出力を停止させる。その後、図9の時刻t25では、時刻t21と同じことが行われる。
上記の説明の通り、本実施形態によれば、低負荷時の時刻t21から時刻t22までの期間において、比較例2と比較して、触媒酸化被膜率を低くすることができる。この状態で、低負荷から高負荷に切り替わるため、比較例2と比較して、高負荷時の発電効率を高くすることができる。これにより、図9中の領域A1に示されるように、FC出力を同じ大きさとして比較したときに、比較例2と比較して、高負荷時のFC20の電圧を高くすることができる。このため、比較例2と比較して、低負荷時と高負荷時での電圧の差を小さくすることができる。すなわち、電圧変動幅を小さくすることができる。
このように、本実施形態によれば、触媒酸化被膜率が目標値に近づくように制御される。このため、触媒酸化被膜率のばらつきによる電圧変動を小さくすることができる。よって、空気極24が有する触媒の発電性能の劣化を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、制御部70は、膜湿度制御を行った後、触媒酸化被膜率制御を行う。膜湿度が低いと、触媒酸化被膜率の検出精度が低い。触媒酸化被膜率制御のとき、制御部70は、膜湿度がその目標値に近い状態で、触媒酸化被膜率を検出する。よって、触媒酸化被膜率の検出精度を高めることができる。
[間欠運転処理]
また、制御部70は、システム要求出力が負荷運転基準値よりも小さく、FC20からの電力供給が不要な場合に、燃料電池システム10の間欠運転を行う。例えば、アクセルがオフであり、システム要求出力が0の場合に、間欠運転が行われる。間欠運転は、FC20への空気供給を間欠的に行う運転である。間欠運転は、FC20の電圧を所定の大きさに維持するために、FC出力を低く抑えつつ、FC20に発電させる運転である。間欠運転は、発電を制限しながらも少量の発電は継続するものに限らず、FC20による発電を完全に停止する運転モードであってもよい。
ここで、本実施形態と異なり、システム要求出力が負荷運転基準値よりも小さい場合に、FC20への水素ガスおよび空気の供給が停止され、FC20の発電が停止される。この状態からシステム要求出力が負荷運転基準値よりも大きくなると、起動運転が必要となり、負荷運転へ移行するまでに、時間がかかる。そこで、本実施形態では、システム要求出力が負荷運転基準値よりも小さい場合に、間欠運転を行う。これにより、システム要求出力が0から負荷運転基準値よりも大きな状態に切り替わったときに、起動運転を行わずに、負荷運転への切り替えが可能となる。
スタートスイッチSTがONにされたとき、制御部70は、図10の制御処理を開始する。まず、ステップS31で、制御部70は、起動時の間欠運転を実施する。間欠運転の実施では、制御部70は、FC20への空気の供給と停止とが交互に繰り返されるように、エアコンプレッサ41の作動を制御する。制御部70は、最小限の水素ガス消費量で、水素ガスの供給が連続して行われるように、インジェクタ37等の作動を制御する。
続いて、ステップS32で、制御部70は、システム要求出力が負荷運転基準値以上であるか否かを判定する。NO判定の場合、制御部70は、ステップS31に戻り、起動時の間欠運転を継続する。YES判定の場合、制御部70は、ステップS33に進み、負荷運転を実施する。負荷運転では、制御部70は、FC出力をシステム要求出力に応じた出力値となるように、インジェクタ37、エアコンプレッサ41等の作動を制御する。
続いて、ステップS34で、制御部70は、負荷運転時の触媒酸化被膜率を取得する。このとき、触媒酸化被膜率は、上記した算出方法によって算出される。
続いて、ステップS35で、制御部70は、システム要求出力が負荷運転基準値未満か否かを判定する。NO判定の場合、制御部70は、ステップS33に戻り、負荷運転を継続する。これにより、システム要求出力が負荷運転基準値以上のとき、負荷運転が継続され、触媒酸化被膜率が定期的に取得される。
ステップS35でYES判定の場合、制御部70は、ステップS36に進み、間欠運転処理を行う。
間欠運転処理を実施した後、制御部70は、ステップS37に進み、システム要求出力が負荷運転基準値未満であるか否かを判定する。NO判定の場合、制御部70は、ステップS33に進み、負荷運転を実施する。これにより、間欠運転中に要求出力が高くなると、間欠運転から負荷運転に切り替えられる。
ステップS37でYES判定の場合、制御部70は、ステップS38に進み、スタートスイッチSTがOFFであるか否かを判定する。ステップS38で、NO判定の場合、制御部70は、ステップS36に戻り、間欠運転処理を行う。ステップS38でYES判定の場合、制御部70は、ステップS39に進み、燃料電池システム10の運転を停止させる。
次に、ステップS36の間欠運転処理について説明する。まず、図11のステップS41で、制御部70は、バッテリ64のSOCが所定値未満であるか否かを判定する。すなわち、制御部70は、バッテリ64が充電可能な状態であるかどうかを判定する。
ステップS41において、SOCが所定値以上であり、バッテリ64が充電不可能な状態である場合、制御部70は、NO判定し、ステップS42に進む。ステップS42で、制御部70は、通常の間欠運転時のFC電圧設定を行う。その後、制御部70は、ステップS45に進む。
ステップS41において、SOCが所定値未満であり、バッテリ64が充電可能な状態である場合、制御部70は、YES判定し、ステップS43に進む。ステップS43で、制御部70は、間欠運転前のFC電圧調整を行う。FC電圧調整が完了した後、制御部70は、ステップS44に進む。ステップS44で、制御部70は、間欠運転時のFC電圧設定を行う。その後、制御部70は、ステップS45に進む。
ステップS45で、制御部70は、間欠運転を実施する。すなわち、エア流量が0の状態と0よりも大きな所定値の場合とが交互に繰り返されるように、制御部70は、エアコンプレッサ41および分流弁43の作動を制御する。このとき、ステップS42またはステップS44で設定されたFC電圧となるように、制御部70は、FC20に供給されるエア流量を調整する。間欠運転を実施した後、制御部70は、間欠運転処理を終了する。
ここで、本実施形態と比較例3とを対比する。比較例3では、図10の制御処理のうちステップS36で行う間欠運転処理が本実施形態と異なる。また、比較例3では、図10の制御処理のうちステップS34が行われない。図10の制御処理のうち他の部分は、第1実施形態と同じである。
図12のタイムチャートにおいて、破線が比較例3であり、実線が本実施形態である。図12には、燃料電池システム10の運転初期に、システム要求出力が負荷運転基準値よりも低い場合が例として示されている。運転初期は、スタートスイッチSTがONにされて、燃料電池システム10の運転が開始された直後からの所定期間である。時刻t40で、スタートスイッチSTがONにされる。時刻t40から時刻t41までの期間が運転初期である。運転初期では、システム要求出力は、0または0に近く、負荷運転基準値よりも低い。
本実施形態と比較例3のどちらも、時刻t40以降に、制御部70のステップS31の実行により、起動時の間欠運転が行われる。すなわち、FC20へ供給されるエア流量(すなわち、スタック供給エア流量)が0よりも大きい所定値の状態と0の状態とが交互に繰り返される。起動時の間欠運転では、平均電圧V2が高く、セル電圧が0.7V~0.8Vの高電位となる。このため、時間の経過に伴って、触媒の酸化被膜が増大し、触媒酸化被膜率が増大する。
時刻t41以降で、システム要求出力が負荷運転基準値よりも高い値になると、本実施形態と比較例3のどちらも、制御部70のステップS32、S33の実行により、負荷運転が行われる。空気が連続して供給され、FC出力がシステム要求出力に応じた出力値とされる。
時刻t43以降で、システム要求出力が負荷運転基準値よりも低い値になると、比較例3では、制御部70のステップS36の実行により、負荷運転後の間欠運転が行われる。この負荷運転後の間欠運転では、空気の供給が停止され、FC出力が0とされる。その後、起動時の間欠運転と同様に、エア流量が0よりも大きい所定値の状態と0の状態とが交互に繰り返される。
時刻t45以降で、システム要求出力が負荷運転基準値よりも高い値になると、比較例3では、制御部70のステップS37、S33の実行により、負荷運転が行われる。すなわち、システム要求出力に応じたエア流量で、連続的に空気が供給される。FC出力がシステム要求出力に応じた出力値とされる。
このように、比較例3では、システム要求出力が負荷運転基準値よりも高い値から負荷運転基準値よりも低い値に切り替わったとき、FC出力が直ちに0にされ、間欠運転が行われる。FC出力が急激に低下されると、FC20の内部では、水素ガスと空気とがともにリッチの状態のため、FC20の電圧が急上昇し、セル電圧が0.7V~0.8Vの高電位となる。このため、間欠運転時では、時間の経過ともに触媒酸化被膜率が増大する。その後、システム要求出力が負荷運転基準値よりも低い値から負荷運転基準値よりも高い値に切り替わり、負荷運転が行われる。このとき、触媒酸化被膜率が高い状態で、負荷運転が行われるので、FC20の電圧が大きく低下する。このため、システム要求出力が負荷運転基準値よりも低いときと高いときでの電圧の差が大きい。すなわち、電圧変動幅が大きい。
本実施形態では、比較例3と異なり、時刻t42等の負荷運転中、制御部70は、ステップS34の実行により、定期的に触媒酸化被膜率を取得する。時刻t43以降で、システム要求出力が負荷運転基準値よりも低い値になると、制御部70は、ステップS36の間欠運転処理を行う。この間欠運転処理では、バッテリ64が充電可能な状態であれば、制御部70は、ステップS43の実行により、間欠運転前のFC電圧調整を行う。
間欠運転前のFC電圧調整では、制御部70は、ステップS34で取得した触媒酸化被膜率の現在値と、触媒酸化被膜率の目標値とを比較し、現在値と目標値との差に応じて、FC電圧が狙いの電圧となるように、FC出力およびエア流量を調整する。狙いの電圧は、酸化被膜が還元される電圧であり、0.7Vよりも低いセル電位である。セル電位を0.7Vから下げるほど、還元が早くなる。
具体的には、触媒酸化被膜率の現在値が目標値よりも大きければ、触媒酸化被膜が還元される電圧となるように、制御部70は、FC出力を徐々に低下させるとともに、余剰となるFC出力をバッテリ64に充電させる。FC出力を徐々に低下させることは、FC20に供給される水素ガス流量およびエア流量を徐々に減らし、FC昇圧コンバータ61からの電流指令を小さくすることで実現される。水素ガス流量は、インジェクタ37、循環ポンプ39によって調整される。エア流量は、エアコンプレッサ41、分流弁43によって調整される。
FC出力が徐々に低下することで、電圧の急上昇を抑制することができる。エア流量が徐々に低下することで、FC20の内部がエア不足になり、IV性能が悪化する。IV性能をあえて悪化させることで、電圧が過大になることを抑制することができる。
時刻t44で、FC出力が0になり、FC電圧の調整が完了すると、制御部70は、ステップS44の間欠運転時のFC電圧設定を行う。このとき、間欠運転時の平均電圧V1が、FC電圧調整時の電圧に維持されるように、間欠運転時のエア流量が起動時の間欠運転と比較して少なく設定される。
時刻t44以降で、制御部70のステップS45の実行により、間欠運転が行われる。すなわち、エア流量が0の状態と所定値の状態とが交互に繰り返される。このときのエア流量の所定値は、上記の通り、起動時の間欠運転と比較して少ない。なお、間欠運転時の平均電圧が、FC電圧調整時の電圧に維持されるように、制御部70は、必要に応じてエアの供給タイミングを調整してもよい。
その後、時刻t45以降で、システム要求出力が負荷運転基準値よりも大きな値になると、比較例3と同様に、負荷運転が行われる。
このように、本実施形態では、システム要求出力が負荷運転基準値よりも高い値から負荷運転基準値よりも低い値に切り替わったとき、FC出力が徐々に減少されて0になった後に、間欠運転が行われる。FC出力が徐々に減少されることで、セル電位が0.7Vよりも低い低電位とされる。この間欠運転では、起動時の間欠運転と比較して、空気流量が少なくされることで、セル電位が低電位に維持される。これにより、触媒の酸化被膜が還元され、触媒酸化被膜率が低下する。
その後、システム要求出力が負荷運転基準値よりも低い値から負荷運転基準値よりも高い値に切り替わり、負荷運転が行われる。このとき、触媒酸化被膜率が低い状態で、負荷運転が行われるので、比較例3と比較して、高負荷時の発電効率を高くすることができる。これにより、図12中の領域A2に示されるように、FC出力を同じ大きさとして比較したときに、比較例3と比較して、FC20の電圧を高くすることができる。このため、比較例3と比較して、起動時の間欠運転時と負荷運転時の電圧の差を小さくすることができる。すなわち、電圧変動幅を小さくすることができる。よって、空気極24が有する触媒の発電性能の劣化を抑制することができる。
[拡散抵抗制御]
制御部70は、負荷運転時等のFC20の発電時に、拡散抵抗を拡散抵抗の目標値に近づける拡散抵抗制御を行う。
本実施形態では、制御部70は、拡散抵抗制御を行う前に、図13に示す処理を行う。
ステップS201で、図8のステップS21と同様に、制御部70は、触媒酸化被膜率の現在値を取得する。続いて、ステップS202で、図8のステップS22と同様に、Δ被膜率を算出する。
続いて、ステップS203で、制御部70は、算出したΔ被膜率の絶対値が予め定められた所定値未満か否かを判定する。このとき、触媒酸化被膜率制御がすでに行われた場合、所定値未満になるので、制御部70は、YES判定して、ステップS204に進む。触媒酸化被膜率制御が行われていない場合、所定値未満にならないので、制御部70は、NO判定して、ステップS201に戻る。
ステップS204で、制御部70は、拡散抵抗制御の開始許可をする。拡散抵抗制御の開始許可がされた場合に、制御部70は、拡散抵抗制御を行う。すなわち、制御部70は、被膜率制御を行った後、拡散抵抗制御を行う。
拡散抵抗制御では、制御部70は、図14に示す制御処理を実行する。図14に示す制御処理は、その実行が停止されるまで、繰り返される。
図14に示すように、ステップS51で、制御部70は、拡散抵抗の現在値を取得する。このとき、拡散抵抗の現在値は、上記した算出方法によって算出される。
続いて、ステップS52で、制御部70は、ステップS51で取得した拡散抵抗の現在値と、制御部70に記憶されている拡散抵抗の目標値とを用いて、拡散抵抗の目標値からの拡散抵抗の現在値の差であるΔ拡散抵抗値を算出する。
続いて、ステップS53で、制御部70は、ステップS52で算出したΔ拡散抵抗値の絶対値が予め定められた所定値以上か否かを判定する。ステップS53で、NO判定の場合、制御部70は、本処理を一旦終了する。ステップS53で、YES判定の場合、制御部70は、ステップS54に進む。
ステップS54で、制御部70は、ステップS52で算出したΔ拡散抵抗値が負の値か否かを判定する。
拡散抵抗の現在値が拡散抵抗の目標値よりも大きく、Δ拡散抵抗値が負の値の場合、ステップS14で、制御部70はYES判定する。この場合、制御部70は、ステップS55に進み、拡散抵抗値を減少させるように、エアコンプレッサ41と分流弁43の少なくとも一方の作動を制御して、空気流量を増大させる。これにより、拡散抵抗の現在値が拡散抵抗の目標値に近づく側へ、拡散抵抗値が変化する。その後、制御部70は、本処理を一旦終了する。
その一方で、拡散抵抗の現在値が拡散抵抗の目標値よりも小さく、Δ拡散抵抗値が正の値の場合、ステップS54で、制御部70はNO判定する。この場合、制御部70は、ステップS56に進み、拡散抵抗値を増大させるように、エアコンプレッサ41と分流弁43の少なくとも一方の作動を制御して、空気流量を減少させる。これにより、拡散抵抗値の現在値が拡散抵抗値の目標値に近づく側へ、拡散抵抗値が変化する。その後、制御部70は、本処理を一旦終了する。
このように、制御部70は、拡散抵抗の現在値を取得する。制御部70は、その取得した拡散抵抗の現在値が予め設定された拡散抵抗の目標値に近づく側へ拡散抵抗を変化させるように、エアコンプレッサ41と分流弁43の少なくとも一方の作動を制御する。本実施形態では、拡散抵抗が、第3状態量に対応する。拡散抵抗の目標値が、第3目標値に対応する。エアコンプレッサ41と分流弁43は、第3状態量の調整が可能な第3アクチュエータに対応する。上記のエアコンプレッサ41等の制御が、第3制御に対応する。
ここで、本実施形態と比較例4とを対比する。比較例4では、本実施形態と異なり、制御部70は、FC20の運転状態からフラッディング(すなわち、空気極24の内部の水詰まり)が生じたと判定したときに、エア流量を増大させる。
この場合、図15に示すように、FC出力が0よりも大きな所定値のとき、時刻t51以前では、FC20の発電によって水が生成するため、時間が経過するにつれて、拡散抵抗が大きくなる。時刻t51で、フラッディングが生じたと判定されることで、エア流量が増大される。時刻t51以降では、時刻t51の前と比較して、エアストイキ比が大きくなる。比較例4では、フラッディングが生じたと判定されるまで、拡散抵抗が増大する。拡散抵抗が増大することで、FC20の電圧が低下する。このため、FC20の電圧変動幅が大きい。
これに対して、本実施形態では、制御部70は、上記の拡散抵抗制御を行う。この場合、図15に示すように、エア流量が調整され、拡散抵抗が目標値に近い値に維持される。FC20の発電中に常にエア流量が調整されるため、エアストイキ比が常に変動する。拡散抵抗が目標値に近い値に維持されるため、図15の領域A3に示すように、FC20の電圧変動幅を、比較例4よりも小さくすることができる。
このように、本実施形態によれば、拡散抵抗が目標値に近づくように制御される。このため、拡散抵抗のばらつきによる電圧変動を小さくすることができる。よって、空気極24が有する触媒の発電性能の劣化を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、制御部70は、膜湿度制御および触媒酸化被膜率制御を行った後、拡散抵抗制御を行う。このため、拡散抵抗制御のとき、制御部70は、膜湿度および触媒酸化被膜率がそれぞれの目標値に近い状態で、拡散抵抗を検出する。このため、拡散抵抗の検出精度を高めることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、制御部70は、膜湿度制御を行った後に、拡散抵抗制御を行う。膜湿度制御と拡散抵抗制御のそれぞれの制御内容は、第1実施形態と同じである。本実施形態では、膜湿度が第1状態量に対応する。膜湿度制御が第1制御に対応する。加湿器44が第1アクチュエータに対応する。拡散抵抗が第2状態量に対応する。拡散抵抗制御が第2制御に対応する。エアコンプレッサ41と分流弁43が第2アクチュエータに対応する。
ここで、本実施形態と比較例5とを対比する。図16のタイムチャートにおいて、破線が比較例5であり、実線が本実施形態である。膜湿度が第1状態量に対応する。拡散抵抗が第2状態量に対応する。
比較例5では、時刻t61に、制御部70は、膜湿度制御と拡散抵抗制御とを同時に開始する。時刻t61のとき、膜湿度の現在値が目標値よりも低い。このため、制御部70は、膜湿度の現在値を目標値に近づけるために、加湿量を増大させる。加湿量が増大すると、空気極24の内部に凝縮水が発生し、拡散抵抗が増大する。拡散抵抗の現在値が目標値よりも大きくなると、制御部70は、拡散抵抗の現在値を目標値に近づけるために、エア流量を増大させる。エア流量が増大すると、電解質膜からの水持ち去り量が増大し、膜湿度が低下する。
このように、比較例5では、一つの状態量を調整可能なアクチュエータを操作すると、その操作量が別の状態量に影響を及ぼす。すなわち、別の状態量が目標値から離れる側へ変動する。このため、膜湿度、拡散抵抗のそれぞれの状態量は、目標値に近づいたり、目標値から離れたりの変動を繰り返す。それぞれの状態量が目標値に近づくまでに時間がかかる。また、膜湿度、拡散抵抗のそれぞれの状態量が変動することで、FC20の出力電圧が変動する。
これに対して、本実施形態では、制御部70は、時刻t61に膜湿度制御を開始する。そして、膜湿度制御によって膜湿度が目標値に近づいた後である時刻t62に、制御部70は、拡散抵抗制御を開始する。換言すると、制御部70は、膜湿度制御を行うときに、エア流量を調整するアクチュエータの作動の膜湿度に対しての影響が小さくなるように、加湿器の作動およびエア流量を調整するアクチュエータの作動を制御する。さらに、換言すると、制御部70は、膜湿度制御を行うときに、エア流量を調整するアクチュエータの作動によって膜湿度が目標値から離れる側へ変化することが抑制されるように、エア流量を調整するアクチュエータの作動を制御する。
これによれば、膜湿度制御に対して拡散抵抗制御が邪魔にならない。膜湿度が目標値に近づいたり、目標値から離れたりの変動を小さくすることができる。このため、膜湿度制御を開始してから膜湿度が目標値に近づくまでにかかる時間を短くすることができる。
さらに、拡散抵抗制御のときでは、先に調整した膜湿度が目標値に近いので、拡散抵抗制御の影響による膜湿度の変動が小さく済む。このため、拡散抵抗制御に対しての膜湿度制御の影響が小さく済む。拡散抵抗が目標値に近づいたり、目標値から離れたりの変動を小さくすることができる。
このように、膜湿度および拡散抵抗の変動が小さくなることで、図16に示すように、本実施形態によれば、比較例5と比較して、FC20の電圧変動を小さく抑えることができる。よって、空気極24が有する触媒の発電性能の劣化を抑制することができる。
なお、本実施形態では、制御部70は、膜湿度を検出し、膜湿度の現在値を目標値に近づける膜湿度制御を行う。しかしながら、制御部70は、膜湿度に替えて、H伝導度(すなわち、プロトン伝導度)を検出し、H伝導度の現在値を目標値に近づける制御を行ってもよい。H伝導度は、膜湿度と所定の関係があり、膜湿度に関する物理量である。
(他の実施形態)
(1)上記した実施形態では、膜湿度、触媒酸化被膜率、拡散抵抗の算出は、モデル式を用いて行われるが、センサ値等の変数を入力とする多次元マップを用いて行われてもよい。
(2)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
(3)本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
20 燃料電池
22 電解質膜
24 空気極
37 インジェクタ
39 循環ポンプ
41 エアコンプレッサ
43 分流弁
44 加湿器
61 FC昇圧コンバータ
70 制御部

Claims (6)

  1. 燃料電池システムであって、
    固体高分子製の電解質膜(22)、前記電解質膜の一方側に配置された燃料極(23)、および前記電解質膜の他方側に配置された空気極(24)を有する燃料電池(20)と、
    前記燃料電池の内部状態を示す第1状態量を調整可能な第1アクチュエータ(44)と、
    前記第1状態量と異なる前記燃料電池の内部状態を示す第2状態量を調整可能な第2アクチュエータ(37、39、41、43、61)と、
    前記第1アクチュエータの作動および前記第2アクチュエータの作動を制御する制御部(70)と、を備え、
    前記制御部は、前記第1状態量の現在値を取得し、取得した前記第1状態量の現在値が予め設定された第1目標値に近づく側へ前記第1状態量を変化させるように、前記第1アクチュエータの作動を制御する第1制御を行うとともに、前記第2状態量の現在値を取得し、取得した前記第2状態量の現在値が予め設定された第2目標値に近づく側へ前記第2状態量を変化させるように、前記第2アクチュエータの作動を制御する第2制御を行う、燃料電池システム。
  2. 前記制御部は、前記第1制御を行うときに、前記第2アクチュエータの作動によって前記第1状態量が前記第1目標値から離れる側へ変化することが抑制されるように、前記第2アクチュエータ(41、43)の作動を制御する、請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記第1状態量は、前記電解質膜の相対湿度または前記相対湿度に関する物理量であり、
    前記第2状態量は、前記空気極のガス拡散抵抗であり、
    前記制御部は、前記第1制御を行った後、前記第2制御を行う、請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記第1状態量は、前記電解質膜の相対湿度または前記相対湿度に関する物理量であり、
    前記第2状態量は、前記空気極が有する触媒の酸化被膜率であり、
    前記制御部は、前記第1制御を行った後、前記第2制御を行う、請求項1に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池システムは、前記燃料電池の内部状態を示す第3状態量としての前記空気極のガス拡散抵抗を調整可能な第3アクチュエータ(41、43)を備え、
    前記制御部は、前記第2制御を行った後、前記第3状態量の現在値を取得し、取得した前記第3状態量の現在値が予め設定された第3目標値に近づく側へ前記第3状態量を変化させるように、前記第3アクチュエータの作動を制御する第3制御を行う、請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記第1状態量と前記第2状態量との一方は、前記空気極が有する触媒の酸化被膜率である、請求項1に記載の燃料電池システム。
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