JP2023158504A - 積層体及びそれを用いた包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材フィルムとアルミニウム蒸着膜を有するガスバリアフィルムとを溶融押出樹脂を介して積層した包装用積層フィルムであって、しかも、この包装用積層フィルムで包装袋を構成し、振動や屈曲を繰り返したときにもピンホールを生じ難い包装用積層フィルムを提供すること。【解決手段】少なくとも基材フィルムと、第1インキ層、第2インキ層、押出し樹脂層、ガスバリアフィルム、シーラント層をこの順に備えた包装用積層フィルムであって、前記第1インキ層は1液硬化型のポリウレタンを含み、前記第2インキ層は2液硬化型のポリウレタンを含むことを特徴とする包装用積層フィルムである。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体及びそれを用いた包装袋に関する。
従来、ボイル処理、レトルト処理等の加熱処理又は加熱加圧処理を行う包装袋(例えば軟包装袋)に用いられる包装材としては、費用対効果を考慮しつつ、内容物の保存性、耐熱性、耐圧性、外部応力への耐久性(強度)、印刷適性等を備える素材からなる積層構造を有する積層体が用いられている。
包装材の分野では環境対応として脱VOC(volatile organic compounds)化が図られている。すなわち、文字、絵柄、模様などのインキ層の形成には、揮発性有機化合物(VOC)である溶剤(トルエン、メチルエチルケトン等)を含む油性インキから、溶剤を含まない水性インキへの転換が行われている。水性インキは、VOCである有機溶剤を含まないことから、生産現場の環境改善と積層体中の残留有機溶剤の問題を解消できる利点がある。例えば、特許文献1には、水性インキを用いた加熱殺菌包装用積層材が開示されている。
特開2001-79986号公報
加熱処理又は加熱加圧処理を行う軟包装袋に用いられる従来の積層体の製造において、水性インキを用いてインキ層を形成した場合、インキ層とこれに接する層(例えば、接着剤層)との間で層間剥離(デラミネーション)が生じやすい。層間剥離が生じると、インキ層表面の劣化、バリア性の低下、及び破袋のおそれの増大等の問題が生じ、殺菌処理に要求される軟包装袋の加熱処理又は加熱加圧処理を充分に行うことが困難となり得る。
これに対し、上記特許文献1では特定のラミネート用接着剤層を設けることが提案されている。しかしながら、特許文献1の方法では、インキ層とラミネート用接着剤層との間の接着強度が充分とはいえないことが本発明者らの検討により明らかとなった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、水性インキを用いた場合でも、層間接着強度が充分に高い積層体及びそれを用いた包装袋を提供することを目的とする。
上記課題に対して、これまでの接着剤のインキ層に対する接着強度の向上として、インキ層に用いられる材料と接着剤層に用いられる材料との化学的な親和性を高めることに対して、本発明者は、接着剤の物理的特性に着目し、接着剤の25℃における最大歪みを500%(500%モジュラス)以上とすることで、インキ層と接着剤層との間の接着強度が向上することを見出した。
すなわち、請求項1に記載の積層体は、第1の基材、ガスバリア層、インキ層、接着層、第2の基材をこの順に積層してなる積層体であって、
前記インキ層は、顔料と、バインダー樹脂と、水溶性溶媒とを含む水性リキッドインキを用い、且つフレキソ印刷により形成され、
前記インキ層の全質量を基準として、前記顔料の含有量が40~75質量%であり、
前記接着層がポリエステルポリオールとポリイソシアネートからなるウレタン化合物を含む樹脂からなり、かつ最大歪み500%以上であることを特徴とする積層体である。
次に、請求項2に記載の積層体は、前記接着層のポリエステルポリオールとポリイソシアネートの配合質量比が、7:1~9:1である、請求項1に記載の積層体である。
これによれば、インキ層中の網目構造の接着剤が応力によって壊れることなく接着剤層の応力追従性を向上させるため、インキ層と接着剤層との間の接着強度が充分に高いものとなり、結果として、第1の基材と第2の基材との間の接着強度が充分に高いものとなると推察される。印刷版として凸版を使用するフレキソ印刷は、凹版を使用するグラビア印刷と比較して、被印刷物に対して付着させるインキの量が少ないため、発色性に劣るといわれ、フレキソ印刷で使用する水性インキは、発色性の向上のため、顔料を高濃度で含む傾向があり、このような水性インキを使用してフレキソ印刷を実施すると、インキ層内に顔料間の空隙が形成されやすくなり、インキ層内に形成される接着剤の網目構造がより密な構造となる。これにより、上述のインキ層と接着剤層との間の接着強度の向上効果が顕著となると推察される。
次に、請求項3に記載の積層体は、前記第1の基材が、プラズマ処理を施されてなる、請求項1または2に記載の積層体である。
次に、請求項4に記載の積層体は、前記ガスバリア層がプライマー層と、無機薄膜層と、第1のガスバリア性被覆層とからなる、請求項1~3のいずれかに記載の積層体である。
次に、請求項5に記載の積層体は、前記第1のガスバリア性被覆層が、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の積層体である。
次に、請求項6に記載の積層体は、前記プライマー層が、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の積層体である。
次に、請求項7に記載の積層体は、前記ガスバリア層が、ポリカルボン酸系重合体を含有する第2のガスバリア性被覆層であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層体である。
次に、請求項8に記載の積層体は前記ガスバリア層が、金属酸化物とリン化合物との反応物を含有する第3のガスバリア性被覆層であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層体である。
次に、請求項9に記載の包装袋は、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体を製袋してなる包装袋である。
上記包装袋によれば、上記積層体を用いることで生産性に優れ、インキ層と接着剤層との間の剥離による、インキ層表面の劣化、バリア性の低下、及び破袋のおそれの増大等の問題の発生を抑制することができ、また、殺菌処理に要求される軟包装袋の加熱処理又は加熱加圧処理を充分に行うことが可能となる。
本発明によれば、水性インキを用いた場合でも、層間接着強度が充分に高い積層体及びその積層体を用いた包装袋を提供することができる。
本発明に係る積層体の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る積層体の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る積層体の他の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図1に示す積層体の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る積層体を用いた包装袋の一実施形態を模式的に示す平面図である。 本発明に係るガスバリア層の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明に係るガスバリア層の他の例を模式的に示す断面図である。
<積層体>
図1は本発明の一実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。図1に示す積層体10は、シート状を呈しており、第1の基材1と、ガスバリア層6と、インキ層2と、接着剤層3と、第2の基材4とを備える。
インキ層2は、顔料2aを含む。接着剤層3は、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応物であるウレタン化合物を含む接着剤からなる。上記接着剤の25℃における最大歪みを500%(500%モジュラス)以上とすることで、インキ層2と接着剤層3との間の接着強度が向上する。
本発明の一実施形態に係る積層体10は、接着剤層3を構成する接着剤がこのような物理的特性を有することで、インキ層2と接着剤層3との間の接着強度(剥離強度)が充分に高く、第1の基材1と第2の基材4との間の接着強度(剥離強度)が充分に高い。具体的には、第1の基材1と第2の基材4との間の25℃における剥離強度が1.0N/15mm以上である。このような剥離強度を有する積層体10は、加熱処理又は加熱加圧処理が施されたとしても、インキ層2と接着剤層3との間の層間剥離を生じ難い。そのため、積層体10は、ボイル処理、レトルト処理等の加熱処理又は加熱加圧処理を行う包装袋(例えば軟包装袋)に用いられる包装材として好適に使用される。なお、第1の基材1と第2の基材4との間の25℃における剥離強度は、JIS K 6854に準拠して測定される値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
接着剤の最大歪み500%(500%モジュラス)は、例えば、接着剤に用いられる成分(ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート等)の種類、配合量等によって調整可能である。例えば、ポリエステルポリオールの量が多い場合、分子量が大きくなり最大歪み500%(500%モジュラス)は高くなりやすく、ポリエステルポリオールの量が少ない場合、最大歪み500%(500%モジュラス)は低くなりやすい。
具体的には、例えば、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの配合質量比が、7:1~9:1であると、接着剤の最大歪み500%(500%モジュラス)が上記範囲となりやすい。このような観点から、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの配合質量比は、7.5:1~8.5:1又は7.7:1~8.2:1であってもよい。なお、上記配合質量比は、固形分の配合質量比である。
(第1の基材)
第1の基材1は、例えば、樹脂フィルムである。第1の基材1は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂で構成される樹脂フィルムであってよい。第1の基材1は、未延伸樹脂フィルムであってよく、一軸方向又は二軸方向に延伸した樹脂フィルムであってもよい。第1の基材は、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムであってよく、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)樹脂フィルムであってもよく、二軸延伸ナイロン(ONy ポリアミド樹脂)フィルムであってもよい。
第1の基材1(例えば樹脂フィルム)の厚さは、加熱・加圧処理に対応する強度、剛性等を満たすことができる厚さであってよく、例えば、10μm~100μm又は12μm~50μmであってよい。第1の基材1の厚さが100μm以下であると、軟包装袋の開封時に手切れがし易く、また、製造コストを抑えることができる。第1の基材1の厚さが10μm以上であると、充分な強度、剛性等が得られやすい。
(ガスバリア層)
ガスバリア層6は、接着剤層3と接している。図1の積層体10において、ガスバリア層6は、例えば、無機薄膜層6aと、無機薄膜層6aの接着剤層3側の面上に設けられたガスバリア性被覆層6bとを含む。
無機薄膜層6aは、例えば、金属、或いは、珪素等の酸化物、窒化物又は窒化酸化物等の成膜(例えば真空成膜)により形成される。無機薄膜層6aの材料としては、具体的には、アルミニウム、チタン、銅、インジウム、スズ等の金属、又はそれらの酸化物(アルミナ等)、或いは、珪素、珪素酸化物、さらには、金属や珪素の窒化物や窒化酸化物を用いることができる。無機薄膜層6aは、これらの複数の金属を含む薄膜層であってもよい。特に、アルミニウム、チタン、銅、インジウム、珪素の酸化物、窒化物又は窒化酸化物を含む無機薄膜層は、透明性とバリア性の両方に優れる傾向があり、中でも珪素を含む酸化物又は窒化酸化物を含む無機薄膜層はバリア性がより高い傾向がある。
無機薄膜層6aの形成には、真空蒸着法(抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法)、スパッタリング法(反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法で)及びPECVD法(プラズマの生成方法としては、DC(Direct Current)方式、RF(Radio Frequency)方式、MF(Middle Frequency)方式、DCパルス方式、RFパルス方式、及びDC+RF重畳方式等)を用いることができる。無機薄膜層6aの形成方法は目的、用途に応じて適宜選択できる。例えば、膜の均質性の観点ではスパッタリング法を選択してよく、コストの観点では真空蒸着法を選択してよい。
無機薄膜層6aの厚さは、例えば、5nm以上であってよく、100nm以下であってよい。無機薄膜層6aの厚さが5nm以上であると、良好なバリア性が得られやすく、100nm以下であると、クラックの発生が抑制され、水蒸気及び酸素バリア性の低下が少なく、材料使用量の低減と形成時間の短縮等に起因するコストを低減できる。
無機薄膜層6aとしては、アルミニウム金属箔等の金属箔を使用してもよい。この場合、金属箔の厚さは、6~9μmであってよい。
ガスバリア性被覆層6bは、ガスバリア性を持った被膜層であり、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするガスバリア性被覆層形成用組成物(以下、コーティング剤ともいう)を用いて形成される
。コーティング剤は、レトルト処理等の熱水処理後のガスバリア性をより十分に維持する観点から、少なくともシランカップリング剤又はその加水分解物を含有することが好ましく、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、シランカップリング剤又はその加水分解物とを含有することがより好ましく、水酸基含有高分子化合物又はその加水分解物と、金属アルコキシド又はその加水分解物と、シランカップリング剤又はその加水分解物とを含有することが更に好ましい。コーティング剤は、例えば、水溶性高分子である水酸基含有高分子化合物を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液に、金属アルコキシドとシランカップリング剤とを直接、或いは予め加水分解させるなどの処理を行ったものを混合して調製することができる。
ガスバリア性被覆層6bを形成するためのコーティング剤に含まれる各成分について詳細に説明する。コーティング剤に用いられる水酸基含有高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でもポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)をガスバリア性被覆層6bのコーティング剤に用いた場合、後工程での二次的な各種損傷を防止することができると共に、ガスバリア性が特に優れるので好ましい。
ガスバリア性被覆層6bは、優れたガスバリア性を得る観点から、下記一般式(1)で表わされる金属アルコキシド及びその加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を含む組成物から形成されることが好ましい。
M(OR(Rn-m ・・・(1)
上記一般式(1)中、R1及びRはそれぞれ独立に炭素数1~8の1価の有機基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であることが好ましい。MはSi、Ti、Al、Zr等のn価の金属原子を示す。mは1~nの整数である。なお、R又はRが複数存在する場合、R同士又はR同士は同一でも異なっていてもよい。
金属アルコキシドとして具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O-2’-C〕などが挙げられる。テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムは、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
シランカップリング剤としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Si(OR11(R123-P13 ・・・(2)
上記一般式(2)中、R11はメチル基、エチル基等のアルキル基を示し、R12はアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アクリロキシ基で置換されたアルキル基、又は、メタクリロキシ基で置換されたアルキル基等の1価の有機基を示し、R13は1価の有機官能基を示し、pは1~3の整数を示す。なお、R11又はR12が複数存在する場合、R11同士又はR12同士は同一でも異なっていてもよい。R13で示される1価の有機官能基としては、グリシジルオキシ基、エポキシ基、メルカプト基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、又は、イソシアネート基を含有する1価の有機官能基が挙げられる。
シランカップリング剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。
また、シランカップリング剤は、上記一般式(2)で表される化合物が重合した多量体であってもよい。多量体としては三量体が好ましく、より好ましくは1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。これは、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮重合体である。この1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシア部には化学的反応性はなくなるが、ヌレート部の極性により反応性は確保されることが知られている。一般的には、3-イソシアネートアルキルアルコキシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。よって1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートを、水酸基含有高分子化合物に添加することにより、水素結合によりガスバリア性被覆層5Aの耐水性を向上させることができる。3-イソシアネートアルキルアルコキシランは反応性が高く、液安定性が低いのに対し、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、ヌレート部はその極性により水溶性ではないが、水系溶液中に分散しやすく、液粘度を安定に保つことができる。また、耐水性能は3-イソシアネートアルキルアルコキシランと1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートとは同等である。
1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3-イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものもあり、原料の3-イソシアネートプロピルアルコキシシランが含まれる場合もあるが、特に問題はない。さらに好ましくは、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートであり、より好ましくは1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。このメトキシ基は加水分解速度が速く、またプロピル基を含むものは比較的安価に入手し得ることから1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートは実用上有利である。
コーティング剤には、ガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、あるいは、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
ガスバリア性被覆層6bの厚さは、50~1000nmであることが好ましく、100~500nmであることがより好ましい。ガスバリア性被覆層6bの厚さが50nm以上であると、より十分なガスバリア性を得ることができる傾向があり、1000nm以下であると、十分な柔軟性を保持できる傾向がある。
ガスバリア性被覆層6bを形成するためのコーティング剤は、例えば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により塗布することができる。このコーティング剤を塗布してなる塗膜は、例えば、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、UV照射法、またはそれらの組み合わせにより乾燥させることができる。塗膜の乾燥は、高速加工性を考慮すると、熱風乾燥法により行うことが最も好ましい。
上記実施形態においては、図1に示すガスバリア層6を有する積層フィルム10を例示し、他の例として図2に、プライマー層5を含むガスバリア層6(プライマー層に関しては後述する)を有する積層フィルム20を例示したが、ガスバリア層の構成はこれに限定されず、図6、図7に示すものであってもよい。
図6に示すガスバリア層6は、第1の基材1と、ガスバリア性被覆層6cとによって構成されている。ガスバリア性被覆層6cは、例えば、ポリカルボン酸系重合体を含有する層である。ポリカルボン酸系重合体を用いることで、基材フィルム層1とガスバリア性被
膜層6cの密着性が向上し、それらの間でデラミネーションが起きることが抑制されやすくなる。
ポリカルボン酸系重合体とは、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する重合体をいう。ポリカルボン酸系重合体としては、例えば、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸の単独重合体;少なくとも2種類のα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体;α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類が挙げられる。これらポリカルボン酸系重合体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アルキルイタコネート類、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、スチレン等が挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体が、α、β-モノエチレン性不飽和カルボン酸とその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である場合には、ガスバリア性、耐水性の観点から、α、β-モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合割合は、60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、100モル%が特に好ましい。
ポリカルボン酸系重合体が、α、β-モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる重合体の場合には、当該重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体の重合によって得られる。当該重合体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる少なくとも1種の単量体の重合によって得られる重合体が好ましく、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、又はそれらの混合物がより好ましい。
ポリカルボン酸系重合体が酸性多糖類の場合には、モノマー成分としてアルギン酸が好ましく用いられる。ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量は、特に限定されない。ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量は、コーティング性の観点から、2,000~10,000,000が好ましく、5,000~1,000,000がより好ましい。
ガスバリア性皮膜層6bには、ガスバリア性を損なわない範囲で、ポリカルボン酸系重合体に他の重合体が混合されてもよい。例えば、ガスバリア性皮膜層6bが、ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類の混合物からなるものであってもよい。
ポリアルコール類は、分子内に2個以上の水酸基を有する低分子化合物からアルコール系重合体を含む。ポリアルコール類は、ポリビニルアルコール(PVA)、糖類及び澱粉類を含む。前記分子内に2個以上の水酸基を有する低分子量化合物としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンタエリトリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
PVAのケン化度は、95%以上が好ましく、98%以上がより好ましい。PVAの平均重合度は、300~1500が好ましい。ポリカルボン酸系重合体との相溶性の観点か
ら、ビニルアルコールを主成分とするビニルアルコール-ポリ(メタ)アクリル酸共重合体を、ポリアルコール類として用いることが好ましい。
単糖類、オリゴ糖類及び多糖類が、糖類として使用される。これらの糖類は、特開平7-165942号公報に記載のソルビトール、マンニトール、ズルシトール、キシリトール、エリトリトール等の糖アルコール、糖アルコールの置換体、糖アルコールの誘導体を包含する。好ましい糖類は、水、アルコール、あるいは水とアルコールの混合溶剤に溶解するものである。澱粉類は、前記多糖類に含まれる。澱粉類の具体例は、例えば、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉等の生澱粉(未変性澱粉)、各種の加工澱粉が挙げられる。加工澱粉の具体例は、例えば、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学変性澱粉、澱粉類にモノマーをグラフト重合したグラフト澱粉が挙げられる。これらの澱粉類のなかでも、馬鈴薯澱粉が酸で加水分解された水可溶性加工澱粉、澱粉の末端基(アルデヒド基)が水酸基に置換された糖アルコールが好ましい。澱粉類は、含水物であってもよい。これらの澱粉類は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類との混合比(質量比)は、高湿度条件下でも優れた酸素ガスバリア性を有する包装容器を得るという観点から、99:1~20:80が好ましく、95:5~40:60がより好ましく、95:5~50:50がさらに好ましい。
図6に示すガスバリア層6は、基材フィルム1とガスバリア性被覆層6dによって構成されている。ガスバリア性被覆層6dは、例えば、金属酸化物とリン化合物との反応物を含有する層である。
ポリカルボン酸系重合体を用いることで、基材フィルム層1とガスバリア性被膜層6cの密着性が向上し、それらの間でデラミネーションが起きることが抑制されやすくなる。金属酸化物とリン化合物の反応物を用いることで、基材フィルム層1とガスバリア性被膜層6dの密着性が向上し、それらの間でデラミネーションが起きることが抑制されやすくなる。
ガスバリア性被膜層6dは、金属酸化物とリン化合物の反応物を含有する層の単層であってもよく、多層であってもよい。金属酸化物を構成する金属原子としては、原子価が2価以上(例えば、2~4価や3~4価)の金属原子が挙げられる。具体的な金属原子としては、例えば、Mg、Ca、Zn、Al、Si、Ti、Zr等が挙げられる。特に、金属原子としてAlを用いることが好ましい。
金属原子の表面には、通常、水酸基が存在する。金属酸化物は、加水分解可能な特性基が金属原子に結合した化合物を原料として用いて、これを加水分解縮合させることで、化合物の加水分解縮合物として合成することができる。化合物を加水分解縮合させる方法としては、液相合成法、具体的にはゾルゲル法を採用することができる。合成された金属酸化物は微小な粒子となる。金属酸化物の粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、扁平状、多面体状、繊維状、針状等の形状が挙げられる。粒子を繊維状又は針状の形状にすると、バリア性及び耐熱水性がさらに優れるので好ましい。金属酸化物の粒子の大きさも特に限定されず、ナノメートルサイズからサブミクロンサイズのものが使用できる。バリア性と透明性により優れることから、金属酸化物の平均粒径は、1~100nmが好ましい。
リン化合物は、例えばリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸及びそれらの誘導体のような、金属酸化物と反応可能な部位を1以上有するものである。反応可能な部位とし
ては、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子が挙げられる。これらハロゲン原子や酸素原子は、金属酸化物の表面に存在する水酸基と縮合反応(加水分解縮合反応)を起こすことで、結合することができる。金属酸化物とリン化合物との反応物は、金属酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して結合された構造を有することができる。具体的には、金属酸化物の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)と、リン化合物における金属酸化と反応可能な部位(例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子)とが縮合反応(加水分解縮合反応)を起こし、結合する。
反応生成物は、例えば、金属酸化物とリン化合物とを含む塗液を基材の表面に塗工し、形成した塗膜を熱処理することにより得られる。金属酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して結合される反応を進行させる。
熱処理の温度は、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、140℃以上がさらに好ましく、170℃以上が特に好ましい。熱処理温度が下限値以上であれば、反応時間が短くなり、生産性が向上する。また、熱処理温度は、基材フィルム層11の種類等によって異なるが、220℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましい。
熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下等で実施することができる。熱処理の時間は0.1秒~1時間が好ましく、1秒~15分がより好ましく、5~300秒がさらに好ましい。
ガスバリア性被膜層6dには、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、でんぷん等の多糖類、多糖類から誘導される多糖類誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、(ポリ)アクリル酸/メタクリル酸、及びそれらの塩、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸交互共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体のけん化物等が含まれてもよい。
ガスバリア性被膜層6dは、800~1400cm-1の範囲における赤外線吸収スペクトルの赤外線吸収が最大となる波数が1080~1130cm-1の範囲にあることが好ましい。吸収ピークが、一般に各種の原子と酸素原子との結合に由来する吸収が見られる800~1400cm-1の領域において最大吸収波数の吸収ピークとして現れる場合には、より優れたバリア性と耐熱水性が発現される。この要件を満たす金属酸化物を構成する金属原子としては、例えばAl等が挙げられる。
ガスバリア性被膜層6dの厚さの上限は、4.0μmが好ましく、2.0μmがより好ましく、1.0μmがさらに好ましく、0.9μmが特に好ましい。ガスバリア性被膜層6dを薄くすることによって、印刷、ラミネート等の加工時におけるガスバリア層6の寸法変化を低く抑えることができる。さらに、ガスバリア層6の柔軟性が増し、その力学的特性を、第1の基材1自体の力学的特性に近づけることができる。ガスバリア性被膜層6dの厚さの下限は、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましい。
(プライマー層)
図2に、プライマー層5を含むガスバリア層6を有する積層フィルム20を例示した。プライマー層5は、基材フィルム1の表面上に設けられ、基材フィルム1と無機薄膜層6aとの間の密着性能向上を目的としたものである。これに加え、プライマー層5は、無機薄膜層6aが形成される面を平滑にすることで無機薄膜層6aを欠陥なく均一に製膜することを目的としたものである。基材フィルム1が紙である場合、プライマー層5は目止めの役割を果たす。なお、基材フィルム1の積層面に上述の各種前処理を施す等によって、無機薄膜層6aに対して充分な密着性が得られる場合には必ずしもプライマー層5は設け
なくてもよい。
プライマー層5を構成する材料としては、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン及びフェノールが挙げられる。プライマー層5に耐熱水性を付与することを考慮すると、プライマー層5はウレタン結合及びウレア結合を一つ以上有する有機高分子が含まれることがより好ましい。プライマー層5は、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物を含有することが更に好ましい。
プライマー層5は基材フィルム1の表面上にコーティング液を塗布する工程を経て形成される。塗布方法としては、通常用いられるキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等の従来公知の方法を用いることが可能である。コーティング液の塗布によって形成された塗膜を加熱乾燥させることでプライマー層5が形成される。プライマー層5の厚さは、例えば、0.01μm~10μm程度である。
(インキ層)
インキ層2は、ガスバリア層6及び接着剤層3に接している。インキ層2は、例えば、顔料2a及びバインダー樹脂(「ビヒクル」とも呼ばれる)を含有する水性インキをガスバリア層6上に印刷して形成された水性インキ層である。
顔料2aは、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。無機顔料としては、酸化チタン(白顔料)、カーボンブラック(墨顔料)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質顔料などが挙げられる。有機顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、染付レーキ系顔料等が挙げられる。顔料2aの平均一次粒子径は、例えば、0.3~1.0μmである。ここで、顔料2aの平均一次粒子径は、レーザー回折法によって測定される値である。
顔料2aは、一種の顔料であっても複数種の顔料であってもよい。例えば、インキ層2は、色の異なる複数の顔料を含んでいてもよく、粒径の異なる複数の顔料を含んでいてもよい。
顔料2aの含有量は、インキ層2の全質量を基準として、40~75質量%であってよい。顔料2aの含有量が40質量%以上であると、優れた発色性が得られやすく、また、接着強度の向上効果が顕著となる傾向がある。また、顔料2aの含有量が75質量%以下であると、インキ層2と接着剤層3の層間剥離(デラミネーション)が起こり難い傾向にある。優れた発色性及び層間剥離の抑制をより一層高度に両立する観点から、顔料2aの含有量は、インキ層2の全質量を基準として、例えば、45~75質量%又は50~70質量%であってもよい。
インキ層2に含まれるバインダー樹脂は、例えば水系バインダー樹脂である。水系バインダー樹脂としては、水溶性バインダー樹脂、エマルション型バインダー樹脂及びコロイダルディスパージョン型バインダー樹脂が挙げられる。これらの中でも、水溶性バインダー樹脂を用いる場合、インキの分散安定性、インキ層の密着性及びインキ層の強度が良好となりやすい。水溶性バインダー樹脂としては、天然樹脂系のカゼイン樹脂、シェラック樹脂、合成樹脂系のロジン変成マレイン酸樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、スチレン-アクリル酸樹脂、スチレン-マレイン酸-アクリル酸樹脂、アクリル酸-アクリル酸エステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂の他、水溶性ポリアミド樹脂、水性ポリウレ
タン樹脂等が挙げられる。接着強度の向上効果がより顕著に得られる観点では、水系バインダー樹脂は、ウレタン骨格を有さない樹脂であってよい。水溶性バインダー樹脂としては、インキの分散安定性、インキ層の密着性及びインキ層の強度がより良好となりやすい観点から、酸価を有さない又は低酸価の樹脂を主成分として、当該樹脂と、高酸価の樹脂とを併用してよい。水系バインダー樹脂の含有量は、例えば、インキ層2の全質量を基準として、25~60質量%、25~55質量%又は30~50質量%であってよい。
インキ層2には、分散剤、可塑剤、ワックス、滑剤、消泡剤等の補助剤が含まれていてもよい。可塑剤としては、例えばジオクチルテレフタレート等が挙げられる。ワックスとしては、例えばポリエチレン、ポロプロピレン等が挙げられる。滑剤としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー等が挙げられる。消泡剤としては、例えばシリコーン系、炭化水素系等が挙げられる。
インキ層2には、水性インキに含まれていた水又は親水性溶媒の一部が残留していてもよいが、水又は親水性溶媒の含有量は、例えば、インキ層2の全質量を基準として、1質量%以下である。親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。水性インキには、樹脂の溶媒への溶解性や分散性を向上させる目的で、例えば、アンモニア、トリメチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基化合物が加えられることがあるが、インキ層2にはこれらの成分が含まれていてもよい。
インキ層2は、例えば、網目状に連続する通孔を有する。インキ層2中には、インキ層2の表面に存在する上記通孔の端部から接着剤層3を構成する接着剤が染み込んでいてよく、これにより、通孔の少なくとも一部が当該接着剤によって満たされていてよい。インキ層2中の通孔は、例えば、インキ層2に含まれる顔料2aが互いに接触することで形成される顔料2a間の隙間が連続することによって形成される。そのため、顔料2aの含有量を調整することで、通孔のサイズ、インキ層2に占める通孔の体積割合等を調整可能である。インキ層2の厚さは、例えば、0.3~2.5μmである。
図1ではインキ層2が一層として示されているが、インキ層2は二層以上の多層構造を有していてもよい。例えば、インキ層2は、ガスバリア層6の表面に粒径が比較的小さい顔料を含む第一のインキ層を形成し、その後、この第一のインキ層の表面に粒径が比較的大きい顔料(例えば、白色顔料)を含む第二のインキ層を形成することで得られる二層構造のインキ層であってもよい。積層体が、白色顔料を含む第二のインキ層を含む場合、第一のインキ層の発色性がより向上する傾向がある。
(接着剤層)
接着剤層3は、インキ層2と第2の基材4の間に介在し、これらの層を接着している。接着剤層3を構成する接着剤は、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応物であるウレタン化合物を含む。
ポリエステルポリオールは、水酸基(ヒドロキシル基)を2つ以上有し、且つ、主骨格がポリエステル構造を有する化合物である。ポリエステル構造は、ポリエステルポリウレタン構造であってもよい。すなわち、ポリエステルポリオールは、ポリエステルウレタンポリオールであってもよい。ポリエステルポリオールは、ポリエステル構造及びポリウレタン構造に加えて、ポリエーテル構造を更に有していてもよい。ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリアジペートポリオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールの数重量平均分子量は、例えば、600~10000である。ポリエステルポリオールは、一種の化合物であっても二種以上の化合物の組み合わせであってもよい。ポリエステルポリオールには、市販品を用いてよい。ポリエステルポリ
オールの市販品としては、三井化学株式会社製のタケラックA525(商品名、「タケラック」(登録商標)(以下同じ))、DIC株式会社製 ディックドライ LX-747等が挙げられる。
ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物である(ただし、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体は除く)。ポリイソシアネートは、芳香族化合物であっても脂肪族化合物であってもよい。ポリイソシアネートの具体例としては、フェニルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体等が挙げられる。ポリイソシアネートには、市販品を用いてよい。ポリイソシアネートの市販品としては、三井化学株式会社製のタケネートA52(商品名、「タケネート」は登録商標(以下同じ))、DIC株式会社製 KX-75等が挙げられる。
ウレタン化合物は、接着強度の向上効果を阻害しない限り、ポリエステルポリオール以外のポリオールを反応成分に含んでいてもよい。ポリエステルポリオール以外のポリオールとしては、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリアクリラートポリオール等のハイドロカーボン系ポリオールなどが挙げられる。
接着剤層3中のウレタン化合物の含有量は、例えば、接着剤層3の全質量を基準として、60質量%以上、75質量%以上又は90質量%以上であってよい。接着剤層3は、実質的にウレタン化合物のみからなっていてもよい。接着剤層3中のウレタン化合物の含有量は、接着剤層3の全質量を基準として、100質量%以下であり、95質量%以下又は90質量%以下であってもよい。
接着剤層3は、上記ウレタン化合物の他に、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、ワックス等の添加剤を更に含んでいてよい。接着剤層3には、接着剤層形成用の塗液に含まれていた溶剤(希釈剤等)の一部が残留していてもよいが、溶剤の含有量は、例えば、接着剤層3の全質量を基準として、1質量%以下である。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
接着剤層3の厚さは、例えば、0.5~5.0μmである。なお、接着剤層3の厚さは、インキ層2側の表面からインキ層2とは反対側の表面までの最短距離を意味し、接着剤層3の厚さには、インキ層2中の接着剤が染み込んでいる領域の厚さは含まない。
(第2の基材)
第2の基材4は、例えば、樹脂フィルムである。樹脂フィルムの例は、第1の基材1の例として上述した樹脂フィルムであってよい。
第2の基材4(例えば樹脂フィルム)の厚さは、加熱・加圧処理に対応する強度、剛性等を満たすことができる厚さであってよく、例えば、10μm~100μm又は12μm~50μmであってよい。第2の基材の厚さが100μm以下であると、軟包装袋の開封時に手切れがし易く、また、製造コストを抑えることができる。第2の基材の厚さが10μm以上であると、充分な強度、剛性等が得られやすい。積層体10、20の厚さ(総厚)は、例えば、20~300μmであってよい。
図3は、他の一実施形態に係る積層体30を模式的に示す断面図である。他の一実施形
態に係る積層体30は、第1の基材1と、ガスバリア層6と、インキ層2と、接着剤層3と、第2の基材4と、第2の基材4の接着剤層3側とは反対側の面上にシーラント層7と、これらを貼り合わせる接着層8とを備える。したがって、接着層8とシーラント層7を積層した点を除き、積層体30の構成は積層体10の構成と同一である。例えば、耐熱水性を有する接着層8及びシーラント層7を選択することで、積層体30を用いた包装材も優れた耐熱水性を有するものとすることができる。
接着層8は、第2の基材4とシーラント層7とを接着している。接着層7を構成する接着剤として、接着層8を構成する接着剤として、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、二官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。各種ポリオールは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。接着層8は、接着促進を目的として、上述のポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などが配合されたものであってもよい。また、環境対応の観点から、無溶剤の接着剤組成物を使用して接着層8を形成することが好ましく、上述の接着層3と同様のもの使用できる。積層体30が適用される包装材の用途に応じて適宜選択すればよい。
(シーラント層)
シーラント層7は、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂で構成される。シーラント層7を構成する樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、これらをアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等の樹脂などであってよい。シーラント層7を構成する樹脂は、一種であっても二種以上であってもよい。
シーラント層7の厚さは、例えば、5~300μmであってよく、10~100μmであってもよい。シーラント層7は、例えば、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法等の従来公知の手段を用いて上記樹脂を含む塗液を塗布することにより形成することができる。また、上記樹脂で構成されるフィルム又はシートを貼り付けることにより形成することもできる。
<積層体の製造方法>
次に、図4を用いて、積層体10の製造方法について説明する。図4は、積層体10の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。積層体10の製造方法は、第1の基材1の表面に形成したガスバリア層6面に水性インキを印刷してインキ層2を形成する工程1(図4の(a)参照)と、インキ層2の第1の基材1とは反対側の表面に接着剤層形成用の塗液を塗工し、接着剤層3を形成する工程2(図4の(b)参照)と、接着剤層3のインキ層2側とは反対側の面上に第2の基材4を積層する工程3(図4の(c)参照)と、を含む。
水性インキは、例えば、上述した顔料2a及びバインダー樹脂を含む。水性インキの溶媒(分散媒)は、水又は上述した親水性溶媒である。顔料は溶媒中に分散しており、バインダー樹脂は溶媒中に溶解しているか又は分散している。水性インキ中の溶媒の含有量は、例えば、水性インキの全質量を基準として40~80質量%である。水性インキは、インキ層2に含まれ得る成分として上述した補助剤及び塩基化合物を更に含んでいてもよい。
水性インキの印刷は、例えば、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェット印刷方式等の公知に方法により行うことができる。工程1では、ベタ印刷によりインキ層を形成してよく、文字、図形、記号、絵柄、その他の所望のパターンのパターン印刷によりインキ層を形成してもよく、ベタ印刷により第1のインキ層を形成した後、当該第1のインキ層上に所望のパターンのパターン印刷を行い、第2のインキ層をしてもよい。
接着剤層形成用の塗液は、少なくとも、上述したポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを混合してなる。さらに、塗液には、硬化剤として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体以外のポリイソシアネートをあわせて添加してよい。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体を主成分として含む(例えば50質量%以上含む)混合物を混合液に添加してもよい。該混合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体及びウレトジオン体並びにこれらの付加体から群より選択される少なくとも一種と、を含む混合物(HDI混合物)であってよい。HDI混合物を用いる場合、混合液の調製に使用するヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体以外のポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体以外のポリイソシアネートであってよい。を混ぜ合わせて調製してもよい。接着剤層形成用の塗液は、VOC低減の観点から、溶剤を含まない無溶剤型の接着剤組成物であってよいが、溶剤を含んでいてもよい。例えば、塗液の調製時に使用するポリエステルポリオール、ポリイソシアネートが溶剤によって希釈された溶液である場合、塗液はこれらの溶液(希釈液)を含有する。溶剤は、接着剤層3に含まれ得る成分として上述した溶剤であってよい。
接着剤層形成用の塗液は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネートを含むが、これらの一部が反応してなる反応物(ウレタン化合物)を含んでいてもよい。
接着剤層形成用の塗液の調製時には、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート及以外の成分(例えば接着剤層3に含まれ得る成分として上述した添加剤及び溶剤)を配合してもよい。
塗液の塗工方法としては、通常用いられるキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等の従来公知の方法を用いることが可能である。
塗液が溶剤を含む場合、溶剤を除去するために、塗工後に乾燥処理を行って塗膜を乾燥させてよい。塗膜の乾燥は、例えば、25~120℃で行ってよい。
<接着剤の物性評価>
接着剤の物性評価として、JIS K 7161に準拠する引張応力の測定から500%モジュラスを求めることができる。具体的には、接着剤形成用の塗液を用いて、固形分40%配合液を離型紙上でドクターブレード(200μm)を利用して製膜、室温24時間・窒素雰囲気下にて溶剤乾燥後、60℃×6日間養生させ、硬化膜(膜厚40~50μm)を形成した試験片を作製し、幅5mm幅の短冊状サンプルにして,24℃の下,引張速度300mm/minで、引張試験機を用いて試験片の長さ方向の引張応力の測定を行い、試験片が500%伸びたときの引張応力である。
<接着強度評価>
接着強度評価は、積層体から幅15mmの試験片を切り出し、引張試験機を用い、JIS K 6854に準拠して、室温(20℃、30%RH)の条件で、積層体の初期の接着強度(第1の基材と第2の基材との間の接着強度)を測定できる。
以上、一実施形態に係る積層体及びその製造方法について説明したが、本開示に係る積層体は上記実施形態に限定されない。
<包装袋>
本発明の包装袋40は、本発明の積層体30を用いた製袋であり、本発明の積層体30を用いる以外は、公知の態様を採用することができる。例えば、図5は、積層体30を用いた包装袋40の一実施形態を模式的に示す平面図である。図5に示す包装袋40は、2枚の矩形の積層体30をシーラント層7同士が接するように重ねて、三つの辺L1,L2,L3がヒートシールされることによって袋状に加工されたものである。ヒートシールがされていない開口部40aから内容物を入れた後、開口部40aもヒートシールすることで、包装袋40を密閉することができる。
また、矩形の積層体30をシーラント層7同士が接するように二つ折りにしてその三方をヒートシールした包装袋が挙げられる。また、矩形の積層体30をシーラント層7が内側となるように筒状にし、両方の側端部のシーラント層7同士を合わせてヒートシールして背貼り部を形成し、その上下をヒートシールして密封したピロー形状の包装袋としてもよい。さらに他の例として、ガゼット包装が挙げられる。これらの包装袋は、本発明の積層体30を用いる以外は、公知の方法で製造することができる。本発明の積層体を用いることにより、密着強度を改善でき、より優れた耐熱性を有し、包装袋に内容物充填後にレトルト殺菌等の加熱処理によっても性能が劣化し難くなる。
以下、本開示について実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(積層体の製造)
[工程1]
第1の基材として、厚さ12μmの、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを基材フィルムとするバリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-ARH)を用意し、当該第1の基材の表面に、フレキソ印刷用の水性インキ(DIC株式会社製、商品名:XS-911)をフレキソ印刷により印刷し、厚さ0.3μmのインキ層を形成した。
[工程2]
ポリエステルポリオールである三井化学株式会社製のタケラックA525と、ポリイソシアネートである三井化学株式会社製のタケネートA52とを、7.9:1の質量比(固形分量比)で配合し、混合することにより接着剤層形成用の塗液を調製した。ポリエステルポリオールの水酸基の総モル数とポリイソシアネートのイソシアネート基の総モル数の比(NCO/OH)は1.3とした。
次いで、工程1で形成された上記インキ層の表面に、上記で得られた接着剤形成用の塗液をロールコーティング法により塗工し、乾燥させることにより、厚さ3.3μmの接着剤層を形成した。乾燥状態での塗布量は、3.0g/mであった。
[工程3]
工程2で形成された上記接着剤層上に、第2の基材として、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:エンブレム)を積層した。
[工程4]
工程3で積層された第2の基材上に、シーラント層として、厚さ60μmの無軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ株式会社製、商品名:パイレンZK207)をドライラミネートにより積層した。ラミネート後、50℃で72時間養生することにより、実施例1の
積層体を得た。
(包装袋の作製)
積層体から縦140mm×横180mmのシートを2枚切り出し、これらのシートをシーラント層同士が接するように重ね合わせ、端部の三辺を熱シールにより接着し、図5に示されるような袋状包装容器(包装袋)を作製した。熱シールは、10mm巾シールバーで、上記三辺を160℃で1秒間加熱することにより行った。
<実施例2>
ガスバリアフィルムとして、GL-ARHの代わりに、PB-A(凸版印刷社製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを作製し、包装袋を得た。実施例2に係るガスバリアフィルムの構成は図6に示すガスバリア層6の構成に相当するものである。
<実施例3>
ガスバリアフィルムとして、クラリスタC(クラレ製)を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。実施例3係るガスバリアフィルムの構成は図7に示すガスバリア層6の構成に相当するものである。
<実施例4>
無溶剤接着層を形成する接着剤組成物として、RN-800/HN-800の代わりに、2K-SF-900A/930B(DIC社製、Mn=2000)を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。
<実施例5>
水性インキとして、XS911の代わりに、XS903(DIC社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。この水性インキのビヒクル(バインダー樹脂)は、メタクリル酸メチルからなる主剤と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を含む硬化剤とを含有するものであった。
<比較例1>
接着剤組成物として、ポリウレタン系ラミネート用接着剤(水酸基の総モル数とポリイソシアネートのイソシアネート基の総モル数の比(NCO/OH)9:0)を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。
<比較例2>
接着剤組成物として、ポリウレタン系ラミネート用接着剤(水酸基の総モル数とポリイソシアネートのイソシアネート基の総モル数の比(NCO/OH)6:0)を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。
<デラミネーション評価>
実施例1~5及び比較例1~2の包装袋の上方の開口部から、水100mlを注入した後、開口部(上部)を包装袋の作製時と同じ条件で熱シールして密封した。密封後の包装袋の外観を目視で確認し、デラミネーションの有無を確認した。デラミネーションが生じていないものを「○(良好)」、デラミネーションが生じているものを「×(不良)」とした。結果を表1に示す。
次に、密封後の包装袋を、121℃の熱水中で30分間の条件で、包装袋のレトルト処理を行った。レトルト処理後の包装袋から幅15mmの試験片を切り出し、初期のラミネート強度と同様にしてレトルト処理後のラミネート強度を測定した。また、レトルト処理
後の包装袋の外観を目視で確認し、デラミネーションの有無を確認した。デラミネーションが生じていないものを「○(良好)」、デラミネーションが生じているものを「×(不良)」とした。結果を表1に示す。
Figure 2023158504000002
この結果から、インキ層に用いられる材料と接着剤層に用いられる材料との化学的な親和性を高める接着剤の物理的特性に着目し、接着剤の25℃における最大歪みを500%(500%モジュラス)以上となり、インキ層と接着剤層との間の接着強度が向上するができる。
1…第1の基材、2…インキ層、2a…顔料、3…接着剤層、4…第2の基材、5…プライマー層、6…ガスバリア層、6a…無機薄膜層、6b、6c、6d…ガスバリア性被膜層、7…シーラント層、8…接着層、10,20、30…積層体、40…包装袋

Claims (9)

  1. 第1の基材、ガスバリア層、インキ層、接着層、第2の基材をこの順に積層してなる積層体であって、
    前記インキ層は、顔料と、バインダー樹脂と、水溶性溶媒とを含む水性リキッドインキを用い、且つフレキソ印刷により形成され、
    前記インキ層の全質量を基準として、前記顔料の含有量が40~75質量%であり、
    前記接着層がポリエステルポリオールとポリイソシアネートからなるウレタン化合物を含む樹脂からなり、かつ最大歪み500%以上であることを特徴とする積層体。
  2. 前記接着層のポリエステルポリオールとポリイソシアネートの配合質量比が、7:1~9:1である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第1の基材が、プラズマ処理を施されてなる、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記ガスバリア層がプライマー層と、無機薄膜層と、第1のガスバリア性被覆層とからなる、請求項1に記載の積層体。
  5. 前記第1のガスバリア性被覆層が、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
  6. 前記プライマー層が、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の積層体。
  7. 前記ガスバリア層が、ポリカルボン酸系重合体を含有する第2のガスバリア性被覆層であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  8. 前記ガスバリア層が、金属酸化物とリン化合物との反応物を含有する第3のガスバリア性被覆層であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  9. 請求項1に記載の積層体を製袋してなる包装袋。
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