JP2023156811A - 血圧測定用カフおよび血圧計 - Google Patents
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Abstract
【課題】被測定部位を圧迫して阻血する血圧測定用カフであって、S/N比の低下を有効に防止でき、血圧測定の精度を高め得るものを提供すること。【解決手段】この発明の血圧測定用カフ20は、被測定部位90を取り巻く帯状の外布21と、外布21の被測定部位に対向する側の面に沿って設けられ、被測定部位90の特定の閉領域90Aのうち外周領域90sに相当する環状の形状をもつ第1空気袋22と、第1空気袋22の被測定部位に対向する側で、特定の閉領域90Aのうち外周領域90sに取り囲まれた中心領域90cに対応して設けられた第2空気袋40とを備える。この第2空気袋40の外周縁40eの平面的寸法は第1空気袋22の外周縁22eの平面的寸法よりも小さく設定されている。第2空気袋40は、特定の閉領域90Aを通る動脈91のうち中心領域90cに存する部分91cからの脈波による脈波情報を検出する。【選択図】図1
Description
この発明は血圧測定用カフに関し、より詳しくは、空気袋を含み、この空気袋によって被測定部位を圧迫して阻血する血圧測定用カフに関する。また、この発明は、そのような血圧測定用カフを備えた血圧計に関する。
この種の血圧測定用カフを用いてオシロメトリック法により血圧測定を行う場合、一般的に、図19(A)中に示すカフの幅方向(被測定部位90を動脈91が通る方向に相当する)Yに関して、空気袋200の中央部(動脈91が圧閉される領域Dpに相当する)200iと空気袋200の両側部分(動脈91が圧閉まで至らない領域に相当する)200e,200fとで取得される圧脈波の形状が異なる。このため、図19(B)中に示すカフ圧Pc(空気袋200の圧力)に、それらが混合した圧脈波Pwの波形が含まれる。この結果、S/N比(信号対ノイズ比)が低下し、血圧測定の精度が低下する、という課題がある。
従来の血圧測定用カフとして、例えば(特開2005-185295号公報)に開示されているように、カフ外皮の内部に、空気注入により膨張する大型ブラダーが設けられるとともに、上記大型ブラダーよりも内周側(被測定部位に対向する側)で一部の領域に、空気注入により膨張して人体の腕、手首、指、脚などを圧迫する小型ブラダーが設けられたものが知られている。
上述のように大型ブラダーと小型ブラダーとを含む血圧測定用カフであれば、上記大型ブラダーよりも内周側で、被測定部位のうち動脈が圧閉される領域の圧脈波のみを上記小型ブラダーによって検出できる可能性がある。しかしながら、特許文献1では、上記大型ブラダーが上記小型ブラダーの外周側(被測定部位から遠い側)全域を覆っている。このため、上記血圧測定用カフが被測定部位に装着された状態では、被測定部位から、上記大型ブラダーのうち上記小型ブラダーの外周縁を越えて延在する部分(動脈が圧閉まで至らない領域に相当する)を通して上記大型ブラダー内に入った圧脈波が、上記小型ブラダーの外周側全域を通して、上記小型ブラダー内に入る。このため、S/N比の低下を有効に防止することができず、血圧測定の精度が低下してしまう、という問題がある。
そこで、この発明の課題は、被測定部位を圧迫して阻血する血圧測定用カフであって、S/N比の低下を有効に防止でき、血圧測定の精度を高め得るものを提供することにある。この発明は、そのような血圧測定用カフを備えた血圧計を提供することにある。
上記課題を解決するため、この開示の血圧測定用カフは、
被測定部位を圧迫して阻血する血圧測定用カフであって、
被測定部位を取り巻く帯状の外布と、
上記外布の上記被測定部位に対向する側の面に沿って設けられ、上記被測定部位の特定の閉領域のうち外周領域に相当する環状の形状をもつ第1空気袋と、
上記第1空気袋の上記被測定部位に対向する側で、上記特定の閉領域のうち上記外周領域に取り囲まれた中心領域に対応して設けられた第2空気袋とを備え、この第2空気袋の外周縁の平面的寸法は上記第1空気袋の外周縁の平面的寸法よりも小さく設定され、上記第2空気袋は、上記特定の閉領域を通る動脈のうち上記中心領域に存する部分からの脈波による脈波情報を検出するようになっている
ことを特徴とする。
被測定部位を圧迫して阻血する血圧測定用カフであって、
被測定部位を取り巻く帯状の外布と、
上記外布の上記被測定部位に対向する側の面に沿って設けられ、上記被測定部位の特定の閉領域のうち外周領域に相当する環状の形状をもつ第1空気袋と、
上記第1空気袋の上記被測定部位に対向する側で、上記特定の閉領域のうち上記外周領域に取り囲まれた中心領域に対応して設けられた第2空気袋とを備え、この第2空気袋の外周縁の平面的寸法は上記第1空気袋の外周縁の平面的寸法よりも小さく設定され、上記第2空気袋は、上記特定の閉領域を通る動脈のうち上記中心領域に存する部分からの脈波による脈波情報を検出するようになっている
ことを特徴とする。
本明細書で、「~の上記被測定部位に対向する側」とは、この血圧測定用カフが被測定部位を取り巻いて装着された状態(装着状態)で、上記被測定部位に対向する側を意味する。
「特定の閉領域」とは、上記被測定部位のうち圧迫の対象となる閉領域を指す。また、「特定の閉領域のうち外周領域」とは、その特定の閉領域の外周縁を含む環状の領域を指す。上記外周領域には、上記特定の閉領域を通る動脈の上流側部分、下流側部分が存在する。「中心領域」とは、上記特定の閉領域のうち上記外周領域に取り囲まれた領域を指す。上記中心領域には、上記特定の閉領域を通る動脈の中央部分が存在する。
また、第1空気袋の「環状の形状」とは、上記外布に沿った面内における平面的な形状を意味する。
上記第1空気袋の外周縁の「平面的寸法」、上記第2空気袋の外周縁の「平面的寸法」は、それぞれ上記外布に沿った面内で設定される。上記「平面的寸法」は、血圧測定用カフの「長手方向」および「幅方向」の寸法を含む。ここで、血圧測定用カフについて、「長手方向」は、上記外布が帯状に延在する方向を意味し、装着状態では上記被測定部位を取り巻く周方向に相当する。また、「幅方向」は、上記外布に沿った面内で上記長手方向に対して垂直な方向を意味し、装着状態では上記被測定部位を動脈が通る方向に相当する。「厚さ方向」は、長手方向と幅方向との両方(つまり、外布)に対して垂直な方向を意味し、装着状態では上記被測定部位の外周面に対して垂直な方向に相当する。
「第2空気袋の外周縁の平面的寸法は上記第1空気袋の外周縁の平面的寸法よりも小さく設定され」とは、上記第2空気袋の外周縁の「長手方向」の寸法、「幅方向」の寸法が、それぞれ上記第1空気袋の外周縁の「長手方向」の寸法、「幅方向」の寸法よりも小さく設定されていることを意味する。なお、上記第2空気袋の外周縁の平面的寸法は、上記第1空気袋の内周縁の平面的寸法よりも若干大きくてもよい。
脈波による「脈波情報」とは、動脈の容積変化による圧力の変化(振動を含む)を表す情報を意味する。なお、上記第2空気袋には、例えば、予め定められた量の空気が封入されていればよい。
この開示の血圧測定用カフは、被測定部位の特定の閉領域の外周領域に対して上記第1空気袋が対応する状態で、帯状の外布が被測定部位を取り巻くことによって装着される。例えば、上記外布に沿った面内で、上記第2空気袋の外周縁の平面的寸法が、上記第1空気袋の内周縁の平面的寸法よりも若干大きく設定されているものとする。この場合、装着状態では、上記被測定部位の上記特定の閉領域のうち上記外周領域に対して、厚さ方向(上記被測定部位の外周面に対して垂直な方向)に関して、上記第1空気袋と、上記外布とが、この順に並ぶ。上記被測定部位の上記特定の閉領域のうち上記中心領域に対して、厚さ方向に関して、上記第2空気袋と、上記外布とが、この順に並ぶ。
この装着状態で、血圧測定時には、例えば、この血圧測定用カフの外部に設けられたポンプから空気が上記第1空気袋に供給される。このとき、上記第1空気袋が上記被測定部位から遠ざかる向きの膨張は、上記外布によって規制される。したがって、上記第1空気袋は、上記被測定部位の上記特定の閉領域のうち上記外周領域を押圧する向きに膨張する。これにより、上記外周領域が圧迫される。これとともに、上記第1空気袋の膨張によって、上記第2空気袋を介して上記中心領域が圧迫される。これにより、上記特定の閉領域を通る動脈が阻血される。そして、上記第1空気袋に対する加圧過程または減圧過程で、上記第2空気袋によって、上記特定の閉領域を通る動脈のうち中央部分(上記中心領域に存する部分)からの脈波による脈波情報が検出される。この脈波情報は、例えば、上記第2空気袋から上記第1空気袋の環を通して、この血圧測定用カフの外部へ出力される。この脈波情報に基づいて、例えばオシロメトリック法により血圧が算出される。
ここで、上記特定の閉領域のうち上記外周領域(上記特定の閉領域を通る動脈の上流側部分、下流側部分が存在する)を圧迫する上記第1空気袋は、上記上流側の動脈、下流側の動脈から浸入する血流の脈波(振動)の影響を受け易い。しかしながら、この血圧測定用カフでは、上記第1空気袋は環状の形状をもつので、上記外布に沿った面内で、上記第2空気袋のうち上記第1空気袋の内周縁よりも中心寄りの領域は、上記第1空気袋によって覆われていない。したがって、上記第1空気袋によって取得された脈波(振動)は、従来例に比して、上記第2空気袋には伝わり難い。したがって、この血圧測定用カフでは、上記第2空気袋によって、上記特定の閉領域を通る動脈のうち実質的に上記中央部分からの脈波のみによる脈波情報が検出され得る。したがって、S/N比の低下を防止でき、血圧測定の精度を高めることができる。
一実施形態の血圧測定用カフでは、
上記第1空気袋は、上記外布に対向する側に設けられた上シートと、上記被測定部位に対向する側に設けられた下シートとを含み、
上記第1空気袋の内周縁は、上記上シートと上記下シートとの間で、上記被測定部位の外周面に対して垂直な厚さ方向に伸縮し得る蛇腹構造を有する
ことを特徴とする。
上記第1空気袋は、上記外布に対向する側に設けられた上シートと、上記被測定部位に対向する側に設けられた下シートとを含み、
上記第1空気袋の内周縁は、上記上シートと上記下シートとの間で、上記被測定部位の外周面に対して垂直な厚さ方向に伸縮し得る蛇腹構造を有する
ことを特徴とする。
「蛇腹構造」とは、第1空気袋の内周縁をなす要素(典型的には、シート)が、上記厚さ方向に対して垂直な方向(より詳しくは、上記第1空気袋がなす環の中心に対して垂直な径方向)に蛇行している構造を指す。
この一実施形態の血圧測定用カフでは、血圧測定時に、上記第1空気袋に空気が供給されて上記第1空気袋が膨張するとき、上記上シートと上記下シートとの間で、上記第1空気袋の内周縁の蛇腹構造が上記厚さ方向に容易に伸長する。一方、上記第1空気袋から空気が排出されて上記第1空気袋が収縮するとき、上記上シートと上記下シートとの間で、上記第1空気袋の内周縁の蛇腹構造が上記厚さ方向に容易に収縮する。ここで、「容易に伸長」し、「容易に収縮」するとは、上記第1空気袋内の圧力の単位変化の割に、上記厚さ方向における伸縮ストロークが大きいことを意味する。したがって、上記第1空気袋によって、上記外周領域が比較的大きいストローク(例えば、上記上シートの内周縁と上記下シートの内周縁とが単に溶着されている場合に比して)で圧迫される。これとともに、上記第1空気袋によって、上記第2空気袋を介して上記中心領域が圧迫される。これにより、上記特定の閉領域を通る動脈が確実に阻血される。
一実施形態の血圧測定用カフでは、
上記蛇腹構造は、上記厚さ方向の位置が移るにつれて、上記第1空気袋がなす環の中心に対して径方向に接近と離間を繰り返しているシート要素を含む
ことを特徴とする。
上記蛇腹構造は、上記厚さ方向の位置が移るにつれて、上記第1空気袋がなす環の中心に対して径方向に接近と離間を繰り返しているシート要素を含む
ことを特徴とする。
この一実施形態の血圧測定用カフでは、血圧測定時に、上記第1空気袋に空気が供給されて上記第1空気袋が膨張するとき、上記上シートと上記下シートとの間で、上記蛇腹構造が上記厚さ方向にさらに容易に伸長する。一方、上記第1空気袋から空気が排出されて上記第1空気袋が収縮するとき、上記上シートと上記下シートとの間で、上記蛇腹構造が上記厚さ方向にさらに容易に収縮する。また、上記蛇腹構造は、複数の環状の形状をもつシート(これを「中間シート」と呼ぶ。)を上記厚さ方向に順次対向させ、上記厚さ方向に隣り合う中間シートの内周縁同士、外周縁同士を、上記厚さ方向の位置が移るにつれて交互に溶着することによって、作製され得る。
一実施形態の血圧測定用カフでは、
上記蛇腹構造をなす上記シート要素のうち、上記環の中心に対して径方向に接近している箇所の内周縁の直径は、上記厚さ方向の位置が移るにつれて順次段階的に異なっている
ことを特徴とする。
上記蛇腹構造をなす上記シート要素のうち、上記環の中心に対して径方向に接近している箇所の内周縁の直径は、上記厚さ方向の位置が移るにつれて順次段階的に異なっている
ことを特徴とする。
この一実施形態の血圧測定用カフでは、上記蛇腹構造を形成するために上記厚さ方向に隣り合う中間シートの内周縁同士を溶着する際に、保護板などを用いなくても、簡単に溶着を行うことができる。
一実施形態の血圧測定用カフでは、
上記被測定部位の外周面に対して垂直な厚さ方向に関して上記第1空気袋と上記第2空気袋との間に介挿された背板を備え、この背板の平面的な形状および寸法は、上記第2空気袋の平面的な形状および寸法と同じに設定され、上記背板は上記第1空気袋からの押圧力を上記第2空気袋へ伝えるようになっている
ことを特徴とする。
上記被測定部位の外周面に対して垂直な厚さ方向に関して上記第1空気袋と上記第2空気袋との間に介挿された背板を備え、この背板の平面的な形状および寸法は、上記第2空気袋の平面的な形状および寸法と同じに設定され、上記背板は上記第1空気袋からの押圧力を上記第2空気袋へ伝えるようになっている
ことを特徴とする。
上記背板の平面的な形状および寸法が上記第2空気袋の平面的な形状および寸法と「同じ」に設定されているとは、血圧測定の観点から、実質的に一致していることを意味する。例えば、血圧測定時に、上記第1空気袋によって圧迫されたとき、上記背板および/または上記第2空気袋が若干変形して、上記背板の平面的な形状および寸法が上記第2空気袋の平面的な形状および寸法と若干相違することは許容される。
この一実施形態の血圧測定用カフでは、上記被測定部位の外周面に対して垂直な厚さ方向に関して上記第1空気袋と上記第2空気袋との間に背板が介挿されている。この上記背板の平面的な形状および寸法は、上記第2空気袋の平面的な形状および寸法と同じに設定されている。したがって、血圧測定時に、上記第1空気袋によって、上記外周領域(より正確には、上記外布に沿った面内で、上記第2空気袋の外周縁よりも外の領域)が支障なく圧迫される。これととともに、上記第1空気袋によって、上記背板、上記第2空気袋をこの順に介して上記中心領域が圧迫される。ここで、上記第1空気袋による押圧力は、上記背板によって、上記第2空気袋へ確実に伝えられる。これにより、上記特定の閉領域を通る動脈が確実に阻血される。また、上記第1空気袋からの圧脈波は、上記背板によって遮られて(減衰されて)、上記第2空気袋へ入り難くなる。したがって、S/N比の低下を有効に防止でき、血圧測定の精度をさらに高めることができる。
一実施形態の血圧測定用カフでは、
上記第2空気袋よりも上記被測定部位から遠い側で、上記第1空気袋がなす環で囲まれた領域に搭載された圧力センサと、
上記第2空気袋と上記圧力センサとを流体流通可能に接続する導入管とを備え、
上記圧力センサは、上記導入管を通して上記第2空気袋内の圧力を受けて、上記脈波情報を電気信号として出力するようになっている
ことを特徴とする。
上記第2空気袋よりも上記被測定部位から遠い側で、上記第1空気袋がなす環で囲まれた領域に搭載された圧力センサと、
上記第2空気袋と上記圧力センサとを流体流通可能に接続する導入管とを備え、
上記圧力センサは、上記導入管を通して上記第2空気袋内の圧力を受けて、上記脈波情報を電気信号として出力するようになっている
ことを特徴とする。
ここで、上記第1空気袋と上記第2空気袋との間に上記背板が介挿されている場合は、上記導入管は、上記背板を貫通してストレートに延在しているのが望ましい。
この一実施形態の血圧測定用カフでは、上記第2空気袋よりも上記被測定部位から遠い側で、上記第1空気袋がなす環で囲まれた領域に、圧力センサが搭載されている。上記第2空気袋と上記圧力センサとは、上記導入管によって、流体流通可能に接続されている。血圧測定時に、上記圧力センサは、上記導入管を通して上記第2空気袋内の圧力を受ける。これにより、上記圧力センサから、上記特定の閉領域を通る動脈のうち中央部分(上記中心領域に存する部分)からの脈波による上記脈波情報が、電気信号として出力される。
ここで、上記圧力センサは、上記第2空気袋に近接して配置されているので、上記導入管には、例えば上記第1空気袋からのノイズなどが入り込み難い。したがって、S/N比の低下を有効に防止でき、血圧測定の精度をさらに高めることができる。
また、上記圧力センサは、上記第2空気袋よりも上記被測定部位から遠い側で、上記第1空気袋がなす環で囲まれた領域に搭載されているので、上記圧力センサは、血圧測定時に、上記第1空気袋、上記背板、上記第2空気袋と干渉することがない。したがって、上記圧力センサの存在は、上記血圧測定用カフが上記被測定部位の上記特定の閉領域を圧迫するための邪魔にはならない。
一実施形態の血圧測定用カフでは、
上記脈波情報を電気信号として伝えるための配線を備え、この配線は、上記第1空気袋がなす上記環を通して、この血圧測定用カフの外部へ延在している
ことを特徴とする。
上記脈波情報を電気信号として伝えるための配線を備え、この配線は、上記第1空気袋がなす上記環を通して、この血圧測定用カフの外部へ延在している
ことを特徴とする。
この一実施形態の血圧測定用カフでは、上記脈波情報を電気信号として伝えるための配線は、上記第1空気袋がなす上記環を通して、この血圧測定用カフの外部へ延在している。したがって、上記配線の存在は、上記血圧測定用カフが上記被測定部位の上記特定の閉領域を圧迫するための邪魔にはならない。典型的には、上記配線は、上記血圧測定用カフの外部で、血圧計の本体に接続される。これにより、上記脈波情報に基づいて、血圧計の本体において、例えばオシロメトリック法により血圧が算出され得る。
別の局面では、この開示の血圧計は、
被測定部位を圧迫して血圧を測定する血圧計であって、
上記血圧測定用カフと、
本体とを備え、
上記本体は、
ポンプを含み、このポンプからエア配管を通して、上記血圧測定用カフの上記第1空気袋に空気を供給して、上記被測定部位の上記特定の閉領域に対する押圧力を制御する圧力制御部と、
上記第2空気袋の圧力に含まれた上記脈波情報を取得する脈波情報取得部と、
上記脈波情報取得部が取得した上記脈波情報に基づいて、血圧を算出する血圧算出部と
を含むことを特徴する。
被測定部位を圧迫して血圧を測定する血圧計であって、
上記血圧測定用カフと、
本体とを備え、
上記本体は、
ポンプを含み、このポンプからエア配管を通して、上記血圧測定用カフの上記第1空気袋に空気を供給して、上記被測定部位の上記特定の閉領域に対する押圧力を制御する圧力制御部と、
上記第2空気袋の圧力に含まれた上記脈波情報を取得する脈波情報取得部と、
上記脈波情報取得部が取得した上記脈波情報に基づいて、血圧を算出する血圧算出部と
を含むことを特徴する。
この開示の血圧計によれば、被測定部位に上記血圧測定用カフが装着された装着状態で、血圧測定が行われる。血圧測定時に、上記圧力制御部は、上記ポンプから上記エア配管を通して、上記血圧測定用カフの上記第1空気袋に空気を供給して、上記被測定部位の上記特定の閉領域に対する押圧力を制御する。上記脈波情報取得部は、上記第2空気袋の圧力に含まれた上記脈波情報を取得する。例えば、血圧測定用カフに上記脈波情報を電気信号として出力する圧力センサが設けられている場合、上記脈波情報取得部は、上記脈波情報を、上記電気信号を伝える配線を通して取得する。または、上記脈波情報取得部は、上記脈波情報を、上記エア配管とは別に設けられたエア配管を通して取得する。上記血圧算出部は、上記脈波情報取得部が取得した上記脈波情報に基づいて、血圧を算出する。この血圧計は、上記血圧測定用カフを用いるので、S/N比の低下を防止でき、血圧測定の精度を高めることができる。
以上より明らかなように、この開示の血圧測定用カフおよび血圧計によれば、S/N比の低下を有効に防止でき、血圧測定の精度を高めることができる。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(血圧計の全体構成)
図1は、この発明の一実施形態の血圧測定用カフ20を備えた血圧計1の概略的な構成を、上記カフ20が棒状の被測定部位(この例では、上腕)90を取り巻いて装着された態様で示している。この例では、被測定部位90を通る動脈91に沿った断面が示されている。
図1は、この発明の一実施形態の血圧測定用カフ20を備えた血圧計1の概略的な構成を、上記カフ20が棒状の被測定部位(この例では、上腕)90を取り巻いて装着された態様で示している。この例では、被測定部位90を通る動脈91に沿った断面が示されている。
図1から分かるように、この血圧計1は、大別して、被測定部位90に装着されるカフ20と、本体10とを備えている。
(血圧測定用カフの構成)
カフ20は、概ね、最外周に位置する帯状の外布21と、この外布21の被測定部位90に対向する側の面21bに沿って設けられたカーラ24と、このカーラ24の被測定部位90に対向する側の面24bに沿って設けられた第1空気袋としての押圧カフ22と、この押圧カフ22の被測定部位90に対向する側の面(下シート22B)に沿って設けられた背板43と、この背板43の被測定部位90に対向する側の面(下面)43bに沿って設けられた第2空気袋としてのセンシングカフ40と、このセンシングカフ40の被測定部位90に対向する側の面(下シート40B)に接して設けられた最内周に位置する帯状の内布29とを備えている。この例では、押圧カフ22は、概略、外周縁22eと内周縁22iとを有する環状の袋状(その平面レイアウトについては図2を参照して後述する。)に構成されている。背板43の被測定部位90から遠い側の面(上面)43aのうち押圧カフ22がなす環(特に、内周縁22i)で囲まれた領域に、圧力センサ用の配線基板44と、圧力センサ41とが搭載されている。
カフ20は、概ね、最外周に位置する帯状の外布21と、この外布21の被測定部位90に対向する側の面21bに沿って設けられたカーラ24と、このカーラ24の被測定部位90に対向する側の面24bに沿って設けられた第1空気袋としての押圧カフ22と、この押圧カフ22の被測定部位90に対向する側の面(下シート22B)に沿って設けられた背板43と、この背板43の被測定部位90に対向する側の面(下面)43bに沿って設けられた第2空気袋としてのセンシングカフ40と、このセンシングカフ40の被測定部位90に対向する側の面(下シート40B)に接して設けられた最内周に位置する帯状の内布29とを備えている。この例では、押圧カフ22は、概略、外周縁22eと内周縁22iとを有する環状の袋状(その平面レイアウトについては図2を参照して後述する。)に構成されている。背板43の被測定部位90から遠い側の面(上面)43aのうち押圧カフ22がなす環(特に、内周縁22i)で囲まれた領域に、圧力センサ用の配線基板44と、圧力センサ41とが搭載されている。
ここで、カフ20について、「長手方向」Xは、外布21が帯状に延在する方向を意味し、カフ20が被測定部位90に装着された装着状態では被測定部位90を取り巻く周方向に相当する。また、「幅方向」Yは、外布21に沿った面内で長手方向に対して垂直な方向を意味し、装着状態では被測定部位90を動脈91が通る方向に相当する。「上流側」、「下流側」とは、動脈91を流れる血流に関してそれぞれ上流側、下流側を意味する。また、「厚さ方向」Zは、長手方向Xと幅方向Yとの両方(つまり、外布21)に対して垂直な方向であり、装着状態では被測定部位90の外周面に対して垂直な方向に相当する。
図2は、カフ20を展開した状態で、カフ20をなす外布21、内布29および押圧カフ22の平面レイアウトを模式的に示している。以下では、カフ20をなす要素について単に「形状」を述べるときは、カフ20を展開した状態での平面的な形状を指す。
外布21は、この例では図2の紙面(XY平面)に沿って長手方向(図2における横方向)Xに延在する帯状(この例では、丸角の長方形)の形状を有している。外布21は、湾曲または屈曲可能であるが、血圧測定時に押圧カフ22がカーラ24とともに被測定部位90から遠ざかる向きに膨張するのを全体として規制するために、実質的に伸縮しないように構成されている。ここで、「布」とは、編まれたものに限られず、樹脂の一層または複数層からなっていてもよい。外布21の長手方向の寸法は、被測定部位90としての上腕の周囲長よりも長く設定されている。
内布29は、外布21と同じ形状および寸法を有している。内布29は、被測定部位90を圧迫できるように、伸縮自在に構成されている。外布21の外周縁と内布29の外周縁は、図示が省略されているが、この例では縫製または溶着により互いに取り付けられている。これにより、外布21と内布29とは、袋状に構成されている。
押圧カフ22は、この例ではポリ塩化ビニル(PVC)からなる一対の上シート22Aと下シート22Bとを含み、平面的には外周縁22eと内周縁22iとを含む環状の形状を有している。ここで、上シート22Aは外布21に対向する側のシート、下シート22Bは被測定部位90に対向する側のシートを意味している。押圧カフ22の環状の形状は、概ね、装着状態では被測定部位90の特定の閉領域90Aのうち外周領域90s(図1中に示す)に相当する。ここで、特定の閉領域90Aとは、被測定部位90のうち圧迫の対象となる閉領域を指す。また、特定の閉領域90Aのうち外周領域90sとは、その特定の閉領域90Aの外周縁を含む環状の領域を指す。外周領域90sには、特定の閉領域90Aを通る動脈91の上流側部分91u、下流側部分91dが存在する。後述の中心領域90cは、特定の閉領域90Aのうち外周領域90sに取り囲まれた領域を指す。中心領域90cには、上記特定の閉領域を通る動脈の中央部分91cが存在する。
図2に示すように、押圧カフ22の外周縁22eは、上シート22Aの外周縁22Aeと下シート22Bの外周縁22Beとを互いに溶着(溶着領域を斜線で示す)して形成されており、丸角の長方形の形状になっている。この例では、押圧カフ22の長手方向寸法は、L=235.4mmに設定されている。また、押圧カフ22の幅方向寸法は、W=125.0mmに設定されている。上シート22Aと下シート22Bの厚さは、いずれも0.2mmに設定されている。
押圧カフ22の内周縁22iは、XY平面内では円形の形状になっており、図3中に示すように、上シート22Aと下シート22Bとの間で、厚さ方向Zに伸縮し得る蛇腹構造を有している。具体的には、この例では、押圧カフ22をなす上シート22A、下シート22Bは、XY平面で互いに対応する領域(中心Cを含む)に、それぞれ円形の開口22Ai、22Biを有している。この例では、開口(内周縁)22Ai、22Biの直径は、いずれもd1=40mmに設定されている。厚さ方向Zに関して、上シート22Aと下シート22Bとの間に、それぞれポリ塩化ビニルからなる一対の中間シート22C,22Dが設けられている。この例では、中間シート22C,22Dは、それぞれ外周縁22Ce,22Deと内周縁22Ci,22Diとを有する円環状に形成されている。中間シート22C,22Dの外径はいずれもd0=60mmに設定され、また、中間シート22C,22Dの内径はいずれもd2=30mmに設定されている。中間シート22C,22Dの厚さは、いずれも0.2mmに設定されている。上側の中間シート22Cの外周縁22Ceは、中心Cの周りで全周にわたって上シート22Aに溶着されて、溶着領域22Am1(斜線で示す)になっている。同様に、下側の中間シート22Dの外周縁22Deは、中心Cの周りで全周にわたって下シート22Bに溶着されて、溶着領域22Bm1(斜線で示す)になっている。さらに、中間シート22C,22Dの内周縁22Ci,22Diは互いに溶着されて、溶着領域22Am2(斜線で示す)になっている。これにより、押圧カフ22の内周縁22iをなすシート要素(この例では、中間シート22C,22D)が、厚さ方向Zに対して垂直な方向(この例では、中心Cに対する径方向)に蛇行した蛇腹構造が構成されている。なお、この例では、押圧カフ22の上シート22Aと下シート22Bとの間で、中心Cに向かって接近している箇所が1箇所(溶着領域22Am2)になっている。
これにより、血圧測定時に、押圧カフ22に空気が供給されて押圧カフ22が膨張するとき、上シート22Aと下シート22Bとの間で、押圧カフ22の内周縁22iの蛇腹構造が厚さ方向Zに容易に伸長する。一方、押圧カフ22から空気が排出されて押圧カフ22が収縮するとき、上シート22Aと下シート22Bとの間で、押圧カフ22の内周縁22iの蛇腹構造が厚さ方向Zに容易に収縮する。ここで、「容易に伸長」し、「容易に収縮」するとは、押圧カフ22内の圧力の単位変化の割に、厚さ方向における伸縮ストロークが大きいことを意味する。したがって、押圧カフ22によって、外周領域90s(図1中に示す)が比較的大きいストローク(例えば上シート22Aの内周縁22Aiと下シート22Bの内周縁22Biとが単に溶着されている場合に比して)で圧迫される。これとともに、押圧カフ22によって、センシングカフ40を介して中心領域90cが圧迫される。これにより、特定の閉領域90Aを通る動脈91(図1中に示す)が確実に阻血される。
図2中に示すように、押圧カフ22の上シート22Aには、この上シート22Aを貫通して屈曲した筒状のニップル25が設けられている。ニップル25は、長円状の溶着領域25m(斜線で示す)の所で、上シート22Aに溶着によって取り付けられている。図1中に示すように、このニップル25(および後述のエア配管37)を介して、押圧カフ22の外部から押圧カフ22の内部へ空気を供給し、また、押圧カフ22の内部から押圧カフ22の外部へ空気を排出することが可能となる。
図1中に示すように、センシングカフ40は、この例ではポリ塩化ビニルからなる一対の上シート40Aと下シート40Bとを含み、円形の平面的形状を有する袋状に構成されている。この例では、センシングカフ40の外周縁40eは、上シート40Aの外周縁と下シート40Bの外周縁とを互いに溶着して形成されている。センシングカフ40の外径は、この例では60mmに設定されている。このセンシングカフ40は、外布21に沿った面内で、被測定部位90の特定の閉領域90Aのうち外周領域90sで取り囲まれた中心領域90cに対応して設けられている。
センシングカフ40の上シート40Aには、この上シート40Aの中心Cを貫通して円筒状の導入管45が設けられている。導入管45は、この導入管45の根元45nの所で、上シート40Aに溶着によって取り付けられている。導入管45は、次に述べる背板43を貫通してストレートに上方へ延在し、導入管45の先端45sは、押圧カフ22の下シート22Bの開口22Bi内に入った所で止まっている。
背板43は、この例では厚さ1mm~2mm程度の円板状の樹脂(この例では、ポリプロピレン)からなり、厚さ方向Zに関して押圧カフ22とセンシングカフ40との間に介挿されている。背板43の外径は、この例では60mmに設定されている。つまり、この背板43の平面的な形状および寸法は、センシングカフ40の平面的な形状および寸法と実質的に同じに設定されている。背板43の中心Cには、この背板43を厚さ方向に貫通する貫通孔43iが設けられている。この貫通孔43iに、上記導入管45が通されている。
外布21に沿った面内で、押圧カフ22の中心C、背板43の中心C、センシングカフ40の中心Cは、互いに一致している。
上記背板43の被測定部位90から遠い側の面(上面)43aのうち押圧カフ22がなす環で囲まれた領域に、導入管45にまたがって、圧力センサ41用の平板状の配線基板44が搭載されている。この配線基板44には、この配線基板44を厚さ方向に貫通する貫通孔44iが設けられている。
配線基板44の被測定部位90から遠い側の面(上面)44a上に、圧力センサ41が搭載されている。この例では、圧力センサ41は、市販のピエゾ抵抗式圧力センサであり、直方体状の主部41bと、この主部41bに流体流通可能に接続された円筒状の導入筒部41aとを有している。この例では、圧力センサ41は、導入筒部41aが配線基板44の貫通孔44iを通して上記導入管45に流体密に嵌合された状態になっている。これにより、センシングカフ40と圧力センサ41とが流体流通可能に接続されている。この圧力センサ41は、背板43を貫通して設けられた導入管45を通してセンシングカフ40内の圧力を受けて、センシングカフ40が検出した圧力を電気信号として出力する。これにより、圧力センサ41から、特定の閉領域90Aを通る動脈のうち中央部分91c(中心領域90cに存する部分)からの脈波による脈波情報が、配線基板44を介して電気信号として出力される。
この電気信号は、図1中に示すように、配線基板44に接続された配線71によって、血圧計1の本体10へ伝えられる。この例では、配線71は、配線基板44から押圧カフ22がなす環(特に、内周縁22iが作る開口)を通して、このカフ20の外部へ延在し、本体10に接続されている。したがって、配線71の存在は、カフ20が被測定部位90の特定の閉領域90Aを圧迫するための邪魔にはならない。
また、圧力センサ41は、背板43の被測定部位90から遠い側の面(上面)43aのうち押圧カフ22がなす環で囲まれた領域に搭載されているので、圧力センサ41は、血圧測定時に、押圧カフ22、背板43、センシングカフ40と干渉することがない。したがって、圧力センサ41の存在は、カフ20が被測定部位90の特定の閉領域90Aを圧迫するための邪魔にはならない。
図1中に示すカーラ24は、自然状態で被測定部位90の外周面に沿って湾曲した帯状の樹脂板からなり、押圧カフ22と外布21との間に介挿されている。カーラ24は、適度な可撓性を有する。これにより、カーラ24は、自然状態ではカフ20を環状に維持する。一方、装着のために外力が加えられると、カーラ24は、撓んでカフ20の環が広がるのを許容する。したがって、ユーザは、カフ20を被測定部位90に容易に装着することができる。
(血圧測定用カフの作製手順)
図4(A)~図6(B)は、押圧カフ22を作製する手順を示している。また、図7(A)~図7(B)は、作製された押圧カフ22を含めて血圧測定用カフ20を作製する手順を示している。
図4(A)~図6(B)は、押圧カフ22を作製する手順を示している。また、図7(A)~図7(B)は、作製された押圧カフ22を含めて血圧測定用カフ20を作製する手順を示している。
まず、図4(A)に示すように、ポリ塩化ビニルからなる上シート22Aには円形の開口22Aiが予め形成され、また、ポリ塩化ビニルからなる中間シート22Cには円形の開口(内周縁)22Ciが予め形成されているものとする。また、上シート22Aには、ニップル25(図2参照)が予め取り付けられているものとする。図4(A)に示すように、この上シート22Aに対して中間シート22Cを、開口22Aiの中心と開口22Ciの中心とが同心(中心C)になる態様で、対向させる。なお、図4(A)では、上シート22Aと中間シート22Cは、図3におけるのとは上下反転して描かれている。この状態で、図示しない溶着機によって、矢印M1で示すように、上シート22Aの開口22Aiの周りに中間シート22Cの外周縁22Ceを溶着する。これにより、図4(B)に示すように、中間シート22Cの外周縁22Ceに沿って、全周にわたって溶着領域22Am1(斜線で示す)を形成する。この状態の物を仕掛かりシート22A′と呼ぶ。なお、溶着領域22Am1の幅(図4(A)における横幅)は約2mmとする(この点は、他の溶着領域についても同様とする。)
同様に、図5(A)に示すように、ポリ塩化ビニルからなる下シート22Bには円形の開口22Biが予め形成され、また、ポリ塩化ビニルからなる中間シート22Dには円形の開口(内周縁)22Diが予め形成されているものとする。この下シート22Bに対して中間シート22Dを、開口22Biの中心と開口22Diの中心とが同心(中心C)になる態様で、対向させる。この状態で、図示しない溶着機によって、矢印M2で示すように、下シート22Bの開口22Biの周りに中間シート22Dの外周縁22Deを溶着する。これにより、図5(B)に示すように、中間シート22Dの外周縁22Deに沿って、全周にわたって溶着領域22Bm1(斜線で示す)を形成する。この状態の物を仕掛かりシート22B′と呼ぶ。
次に、図6(A)に示すように、仕掛かりシート22A′と仕掛かりシート22B′とを、中間シート22C,22D同士が対向し、中心C同士が一致するとともに、外周縁22Ae,22Be同士が一致する態様で、対向させる。なお、図6(A)では、仕掛かりシート22A′は、図4(B)におけるのとは上下反転して描かれている。この状態で、図示しない溶着機によって、矢印M3で示すように、中間シート22Cの内周縁22Ciと中間シート22Dの内周縁22Diとを互いに溶着する。これとともに、矢印M4で示すように、仕掛かりシート22A′の外周縁22Aeと仕掛かりシート22B′の外周縁22Beとを互いに溶着する。これにより、図6(B)に示すように、中間シート22Cの内周縁22Ci(および中間シート22Dの内周縁22Di)に沿って、全周にわたって溶着領域22Am2(斜線で示す)を形成する。これとともに、押圧カフ22の外周縁22e(すなわち、上シート22Aの外周縁22Aeと下シート22Bの外周縁22Be)に沿って、全周にわたって溶着領域22mを形成する。このようにして、押圧カフ22を作製する。
図7(A)に示すように、背板43は、予め、中心に貫通孔43iを有する円板状に形成されているものとする。上述の作製された押圧カフ22の下シート22Bの開口22Biの周りに、その背板43を、開口22Biの中心と貫通孔43iの中心とが同心(中心C)になる態様で、この例では両面粘着テープ46を用いて取り付ける。なお、図7(A)では、押圧カフ22の輪郭が、簡単のため、楕円で描かれている。
図7(B)に示すように、センシングカフ40は、予め、円形の平面的形状を有する袋状に構成されているものとする。上述の押圧カフ22に取り付けられた背板43の下面43bに対して、そのセンシングカフ40を、貫通孔43iの中心とセンシングカフ40の中心とが同心(中心C)になる態様で、この例では両面粘着テープ47を用いて取り付ける。なお、図7(B)では、センシングカフ40の上シート40Aが湾曲して両面粘着テープ47から離間して描かれているが、実際には、センシングカフ40の上シート40Aは、両面粘着テープ47によって背板43の下面43bに沿って貼り付けられる。これにより、センシングカフ40の上シート40Aに取り付けられている導入管45の先端45sが、背板43の貫通孔43iを通して、押圧カフ22の下シート22Bの開口22Biに達する。この状態のものを仕掛かり品22Wと呼ぶ。
図1に示したように、配線基板44には、予め、圧力センサ41が搭載され、配線71が接続されているものとする。上述の仕掛かり品22Wに対して、その状態の配線基板44を、外部から押圧カフ22がなす環(特に、内周縁22iが作る開口)を通して、背板43の被測定部位90から遠い側の面(上面)43a上に、圧力センサ41の導入筒部41aが導入管45に嵌合する態様で、この例では両面粘着テープ46(図7(B)参照)を用いて取り付ける。これにより、センシングカフ40内に、予め定められた量の空気が封入された状態になる。また、配線71は、配線基板44から押圧カフ22がなす環を通して延在する状態になる。
次に、袋状に構成された外布21と内布29との間に、この状態の仕掛かり品を、カーラ24とともに収容する。この例では、押圧カフ22の上シート22Aに設けられたニップル25を、図1中に示すように、カーラ24と外布21に設けられた貫通孔38を通して、カフ20の外部へ露出させる。この露出したニップル25に後述のエア配管37を接続する。また、配線71を、この例では、カーラ24と外布21に設けられた別の貫通孔39を通して、カフ20の外部へ延在させ、本体10に接続する。なお、貫通孔39を省略して、配線71を、貫通孔38を通してエア配管37と一体に延在させ、本体10に接続してもよい。
(本体の構成)
図8に示すように、本体10は、制御部110と、表示器50と、操作部52と、記憶部としてのメモリ51と、電源部53と、圧力センサ31と、ポンプ32と、弁33とを搭載している。さらに、本体10は、圧力センサ31からの出力を周波数に変換する発振回路310と、ポンプ32を駆動するポンプ駆動回路320と、弁33を駆動する弁駆動回路330と、カフ20に搭載された上述の圧力センサ41からの出力を周波数に変換する発振回路410とを搭載している。圧力センサ31、ポンプ32、弁33には、それぞれエア配管37a,37b,37cが流体流通可能に接続されている。それらのエア配管37a,37b,37cは、本体10内で1本のエア配管37に合流し、このエア配管37がカフ20内の押圧カフ22(のニップル25)に流体流通可能に接続されている。以下では、エア配管37a,37b,37cを含めてエア配管37と総称する。また、発振回路410には、圧力センサ41の出力を伝える配線71が接続されている。
図8に示すように、本体10は、制御部110と、表示器50と、操作部52と、記憶部としてのメモリ51と、電源部53と、圧力センサ31と、ポンプ32と、弁33とを搭載している。さらに、本体10は、圧力センサ31からの出力を周波数に変換する発振回路310と、ポンプ32を駆動するポンプ駆動回路320と、弁33を駆動する弁駆動回路330と、カフ20に搭載された上述の圧力センサ41からの出力を周波数に変換する発振回路410とを搭載している。圧力センサ31、ポンプ32、弁33には、それぞれエア配管37a,37b,37cが流体流通可能に接続されている。それらのエア配管37a,37b,37cは、本体10内で1本のエア配管37に合流し、このエア配管37がカフ20内の押圧カフ22(のニップル25)に流体流通可能に接続されている。以下では、エア配管37a,37b,37cを含めてエア配管37と総称する。また、発振回路410には、圧力センサ41の出力を伝える配線71が接続されている。
表示器50は、この例では、ディスプレイおよびインジケータ等を含み、制御部110からの制御信号に従って所定の情報(例えば、血圧測定結果など)を表示する。
操作部52は、この例では、血圧の測定開始の指示を受け付けるためのプッシュ式スイッチを含んでいる。このスイッチは、ユーザによる指示に応じた操作信号を制御部110に入力する。
メモリ51は、血圧計1を制御するためのプログラムのデータ、血圧計1の各種機能を設定するための設定データ、および血圧値の測定結果のデータなどを記憶する。また、メモリ51は、プログラムが実行されるときのワークメモリなどとして用いられる。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)を含み、この血圧計1全体の動作を制御する。具体的には、制御部110は、メモリ51に記憶された血圧計1を制御するためのプログラムに従って圧力制御部として働いて、操作部52からの操作信号に応じて、ポンプ32や弁33を駆動する制御を行う。制御部110は、脈波情報取得部として働いて、センシングカフ40の圧力(圧力センサ41の出力)に含まれた脈波情報を、配線71、発振回路410を通して取得する。また、制御部110は、血圧算出部として働いて、上記脈波情報に基づいて血圧値を算出し、表示器50およびメモリ51を制御する。具体的な血圧測定の仕方については後述する。
電源部53は、制御部110、圧力センサ31,41、ポンプ32、弁33、表示器50、メモリ51、発振回路310,410、ポンプ駆動回路320、および弁駆動回路330の各部に電力を供給する。圧力センサ41には、配線71を通して電力が供給される。
圧力センサ31は、この例ではピエゾ抵抗式圧力センサであり、エア配管37を通して押圧カフ22の圧力(カフ圧)を受けて、ピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化に基づく電気信号値を出力する。発振回路310は、圧力センサ31からの電気信号値に基づき発振して、圧力センサ31の電気信号値に応じた周波数を有する周波数信号を制御部110に出力する。
ポンプ32は、押圧カフ22の圧力(カフ圧)を加圧するために、エア配管37を通して押圧カフ22に空気を供給する。弁33は、エア配管37を通して押圧カフ22内の空気を排出し、または封入してカフ圧を制御するために開閉される。ポンプ駆動回路320は、ポンプ32を制御部110から与えられる制御信号に基づいて駆動する。弁駆動回路330は、弁33を制御部110から与えられる制御信号に基づいて開閉する。
カフ20内に搭載された圧力センサ41も、この例ではピエゾ抵抗式圧力センサであり、センシングカフ40の圧力に応じて、ピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化に基づく電気信号値を出力する。発振回路410は、配線71を通して圧力センサ41からの出力を受けて、上記電気信号値に基づき発振して、圧力センサ41の電気信号値に応じた周波数を有する周波数信号を制御部110に出力する。
(血圧測定方法)
図9は、ユーザが血圧計1によって血圧測定を行う際の動作フローを示している。
図9は、ユーザが血圧計1によって血圧測定を行う際の動作フローを示している。
血圧測定に際して、上記カフ20は、図1中に示したように、被測定部位(この例では、上腕)90のうち圧迫の対象となる特定の閉領域90Aに対して押圧カフ22が対応する状態で、帯状の内布29、外布21が被測定部位90を取り巻くことによって装着される。なお、装着状態では、図示しない面ファスナによって、外布21が緩まないように固定される。この装着状態では、被測定部位90の特定の閉領域90Aのうち外周領域90s(環状の領域)に対して、厚さ方向Zに関して、内布29と、押圧カフ22と、カーラ24と、外布21とが、この順に並ぶ。被測定部位90の特定の閉領域90Aのうち中心領域90cに対して、厚さ方向Zに関して、内布29と、センシングカフ40と、背板43と、カーラ24と、外布21とが、この順に並ぶ。
カフ20が被測定部位90に装着された装着状態で、ユーザが本体10に設けられた操作部52によって測定開始を指示すると、制御部110は、初期化を行う(図9のステップS1)。具体的には、制御部110は、処理用メモリ領域を初期化するとともに、ポンプ32をオフ(停止)し、弁33を開いた状態で、圧力センサ31の0mmHg調整(大気圧を0mmHgに設定する。)を行う。
次に、制御部110は圧力制御部として働いて、弁駆動回路330を介して弁33を閉じ(ステップS2)、続いて、ポンプ駆動回路320を介してポンプ32をオン(起動)して、カフ20の加圧を開始する(ステップS3)。すなわち、制御部110は、ポンプ32からエア配管37を通してカフ20内の押圧カフ22に空気を供給する。これとともに、圧力センサ31は、押圧カフ22の圧力を、エア配管37を通して受ける。制御部110は、圧力センサ31の出力に基づいて、ポンプ32による加圧速度を制御する。
このとき、図1に示した押圧カフ22がカーラ24とともに被測定部位90から遠ざかる向きの膨張は、全体として外布21によって規制される。したがって、図10に示すように、押圧カフ22は、被測定部位90の特定の閉領域90Aのうち外周領域90sを押圧する向きに膨張する(なお、図10では、簡単のため、外布21、カーラ24、内布29などの図示が省略されている。)。これにより、図10中に矢印Fsで示すように、外周領域90sが圧迫される。これとともに、押圧カフ22の膨張によって、背板43と、センシングカフ40を介して、図10中に矢印Fcで示すように、中心領域90cが圧迫される。これにより、被測定部位90の特定の閉領域90Aが圧迫されて、特定の閉領域90Aを通る動脈91が阻血される。このとき、特定の閉領域90Aを通る動脈91のうち中央部分91c(中心領域90cに存する部分)が、圧閉される。一方、特定の閉領域90Aを通る動脈91のうち外周領域90sに存する上流側部分91u、下流側部分91dは、圧閉にまで至らない。
次に、図5のステップS4で、制御部110は、圧力センサ31の出力に基づいて、カフ20(この例では、押圧カフ22)の圧力が予め定められた値(所定圧)に達したか否かを判断する。ここで、この所定圧は、被験者の想定される血圧値を十分上回るように、例えば200mmHgというように定められていてもよいし、前回測定された被験者の血圧値プラス40mmHgというように定められていてもよい。制御部110は、押圧カフ22の圧力が上記所定圧に達するまで、加圧を継続し、押圧カフ22の圧力が上記所定圧に達すると(ステップS4でYES)、ポンプ32を停止する(ステップS5)。続いて、制御部110は、弁駆動回路330を介して弁33を徐々に開く(ステップS6)。これにより、押圧カフ22の圧力を略一定速度で減圧してゆく。この減圧過程で、制御部110は脈波情報取得部として働いて、センシングカフ40の圧力(圧力センサ41の出力)に含まれた脈波情報を、配線71、発振回路410を通して取得する。ここで、図11に示すように、センシングカフ40の圧力Psには、脈波による脈波情報としての脈波信号(変動成分)Pm(図11下部に拡大して示す)が重畳されている。制御部110は、センシングカフ40の圧力Psからフィルタ(図示せず)を介して脈波信号Pmを抽出して取得する。
この減圧過程で、制御部110は血圧算出部として働いて、この時点で取得されている脈波信号Pmに基づいて、公知のオシロメトリック法により血圧値(収縮期血圧SBP(Systolic Blood Pressure)と拡張期血圧DBP(Diastolic Blood Pressure))の算出を試みる(図5のステップS7)。
この時点で、データ不足のために未だ血圧値を算出できない場合は(ステップS8でNO)、算出できるまでステップS6~S8の処理を繰り返す。
このようにして血圧値の算出ができたら(ステップS8でYES)、制御部110は圧力制御部として働いて、弁33を開いて、押圧カフ22内の空気を急速排気する制御を行う(ステップS9)。
この後、制御部110は、算出した血圧値を表示器50へ表示し(ステップS10)、血圧値をメモリ51へ保存する制御を行う。
なお、血圧算出は、カフ20の減圧過程でなく、加圧過程で行われてもよい。
ここで、特定の閉領域90Aのうち外周領域90s(特定の閉領域90Aを通る動脈91の上流側部分91u、下流側部分91dが存在する)を圧迫する押圧カフ22は、上流側の動脈、下流側の動脈から浸入する血流の脈波(振動)の影響を受け易い。しかしながら、このカフ20では、押圧カフ22は環状の形状をもつので、外布21に沿った面内で、センシングカフ40のうち押圧カフ22の内周縁22iよりも中心寄りの領域は、押圧カフ22によって覆われていない。したがって、押圧カフ22によって取得された脈波(振動)は、従来例(特開2005-185295号公報)に比して、センシングカフ40には伝わり難い。
さらに、このカフ20では、厚さ方向Zに関して押圧カフ22とセンシングカフ40との間に背板43が介挿されている。この背板43の平面的な形状および寸法は、上記第2空気袋の平面的な形状および寸法と同じに設定されている。したがって、血圧測定時に、押圧カフ22によって、外周領域90s(より正確には、外布21に沿った面内で、センシングカフ40の外周縁よりも外の領域)が支障なく圧迫される。これととともに、押圧カフ22によって、背板43、センシングカフ40をこの順に介して中心領域90cが圧迫される。ここで、押圧カフ22による押圧力は、背板43によって、センシングカフ40へ確実に伝えられる。これにより、特定の閉領域90Aを通る動脈が確実に阻血される。また、押圧カフ22からの圧脈波は、背板43によって遮られて(減衰されて)、センシングカフ40へ入り難くなる。
さらに、カフ20において、圧力センサ41は、センシングカフ40に対して背板43、配線基板44を介して近接して配置され、かつストレートの導入管45によって接続されているので、導入管45には、例えば押圧カフ22からのノイズなどが入り込み難い。
これらの結果、このカフ20では、センシングカフ40によって、特定の閉領域90Aを通る動脈91のうち実質的に中央部分91cからの脈波のみによる脈波信号Pmが検出され得る。したがって、脈波情報としての脈波信号PmのS/N比の低下を防止でき、血圧測定の精度を高めることができる。
図11中に示すように、実際にカフ20によって取得される脈波信号(変動成分)Pmの波形を観測したところ、動脈91が阻血(圧閉)された後に血流が再開する点(血流再開点)tsと、動脈91が完全に開いて脈波が先鋭になる点(脈波先鋭点)tdとを、明確に観測することができた。これらの血流再開点ts、脈波先鋭点tdは、聴診による伝統的な血圧測定法によって測定された標準値(収縮期血圧SBP、拡張期血圧DBP)に精度良く対応した。
(変形例1)
図12は、カフ20を変形した変形例(変形例1)としての血圧測定用カフ20Aの断面を、図10に対応して示している。なお、図12において、図10におけるのと同じ要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する(後述する図13(A)、図13(B)~図19でも同様。)。
図12は、カフ20を変形した変形例(変形例1)としての血圧測定用カフ20Aの断面を、図10に対応して示している。なお、図12において、図10におけるのと同じ要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する(後述する図13(A)、図13(B)~図19でも同様。)。
このカフ20Aでは、カフ20に対して、背板43が省略されている点が異なっている。カフ20Aのその他の構成は、カフ20におけるのと同様である。
このカフ20Aを作製する場合は、作製された押圧カフ22の下シート22Bの開口22Bi(図7(B)参照)の周りに、センシングカフ40を、センシングカフ40の中心が同心(中心C)になる態様で、例えば両面粘着テープを用いて直接取り付ける。これにより、センシングカフ40の上シート40Aに取り付けられている導入管45の先端45sが、押圧カフ22の下シート22Bの開口22Biに達する。カフ20Aのその他の作製手順は、カフ20の作製手順におけるのと同様である。
このカフ20Aを用いて血圧測定を行う場合も、押圧カフ22は環状の形状をもつので、外布21に沿った面内で、センシングカフ40のうち押圧カフ22の内周縁22iよりも中心寄りの領域は、押圧カフ22によって覆われていない。したがって、押圧カフ22によって取得された脈波(振動)は、従来例(特開2005-185295号公報)に比して、センシングカフ40には伝わり難い。
さらに、カフ20Aにおいて、圧力センサ41は、センシングカフ40に対して配線基板44を介して近接して配置されているので、導入管45には、例えば押圧カフ22からのノイズなどが入り込み難い。
これらの結果、このカフ20Aでは、センシングカフ40によって、特定の閉領域90Aを通る動脈91のうち実質的に中央部分91cからの脈波のみによる脈波信号Pmが検出され得る。したがって、脈波情報としての脈波信号PmのS/N比の低下を防止でき、血圧測定の精度を高めることができる。
(変形例2)
図13(A)は、カフ20Aをさらに変形した変形例(変形例2)としての血圧測定用カフ20Bの断面を、図12に対応して示している。
図13(A)は、カフ20Aをさらに変形した変形例(変形例2)としての血圧測定用カフ20Bの断面を、図12に対応して示している。
このカフ20Bでは、カフ20Aの押圧カフ22に対して、押圧カフ(符号22′で示す)の内周縁(符号22i′で示す)が有する蛇腹構造において、中心Cに対して径方向に接近と離間を繰り返す蛇行回数が増えている点が異なっている。カフ20Bのその他の構成は、カフ20Aにおけるのと同様である。
具体的には、カフ20,20A(図10,12参照)では、押圧カフ22の上シート22Aと下シート22Bとの間で、中心Cに向かって接近している箇所が1箇所であった。これに対して、図13(B)に示すように、このカフ20Bでは、押圧カフ22′の上シート22Aと下シート22Bとの間で、中心Cに向かって接近している箇所が2箇所(すなわち、内径d12,d13を示す箇所)になっている。
これにより、血圧測定時に、押圧カフ22′に空気が供給されて押圧カフ22′が膨張するとき、押圧カフ22′の内周縁22i′の蛇腹構造が、カフ20,20Aに比して厚さ方向Zにさらに容易に伸長する。一方、押圧カフ22′から空気が排出されて押圧カフ22′が収縮するとき、押圧カフ22′の内周縁22i′の蛇腹構造が、カフ20,20Aに比して厚さ方向Zにさらに容易に収縮する。したがって、押圧カフ22′によって、外周領域90s(図13(A)中に示す)がより大きいストロークで圧迫される。これとともに、押圧カフ22′によって、センシングカフ40を介して中心領域90cが圧迫される。これにより、特定の閉領域90Aを通る動脈91が確実に阻血される。
図14(A)~図18(B)は、カフ20Bの押圧カフ22′を作製する手順を示している。
まず、図14(A)に示すように、ポリ塩化ビニルからなる上シート22Aには円形の開口22Aiが予め形成され、また、ポリ塩化ビニルからなる中間シート22Cには円形の開口(内周縁)22Ciが予め形成されているものとする。この例では、開口22Aiの直径は、d11=50mmに設定されている。また、中間シート22Cの外径はd10=60mmに設定され、また、中間シート22Cの内径はd12=40mmに設定されている。また、上シート22Aには、ニップル25(図2参照)が予め取り付けられているものとする。図14(A)に示すように、この上シート22Aに対して中間シート22Cを、開口22Aiの中心と開口22Ciの中心とが同心(中心C)になる態様で、対向させる。この状態で、図示しない溶着機によって、矢印M11で示すように、上シート22Aの開口22Aiの周りに中間シート22Cの外周縁22Ceを溶着する。これにより、図14(B)に示すように、中間シート22Cの外周縁22Ceに沿って、全周にわたって溶着領域22Am11(斜線で示す)を形成する。
次に、図15(A)に示すように、図14(B)中の中間シート22Cに対してポリ塩化ビニルからなる別の中間シート22Eを対向させる。この中間シート22Eは、中間シート22Cと全く同じ円環状に形成されているものとする。すなわち、中間シート22Eの外径はd10=60mmに設定され、また、中間シート22Eの内径はd12=40mmに設定されている。中間シート22Eの厚さは、0.2mmに設定されている。この状態で、図示しない溶着機によって、矢印M12で示すように、中間シート22Cの内周縁22Ciと中間シート22Eの内周縁22Eiとを互いに溶着する。これにより、図15(B)に示すように、中間シート22Cの内周縁22Ci(および中間シート22Eの内周縁22Ei)に沿って、全周にわたって溶着領域22Am12(斜線で示す)を形成する。
次に、図16(A)に示すように、図15(B)中の中間シート22Eに対してポリ塩化ビニルからなるさらに別の中間シート22Fを対向させる。この中間シート22Fは、中間シート22C,22Eと同じ外径をもち、より幅広の円環状に形成されているものとする。具体的には、中間シート22Fの外径はd10=60mmに設定され、また、中間シート22Fの内径はd13=30mmに設定されている。中間シート22Fの厚さは、0.2mmに設定されている。この状態で、図示しない溶着機によって、矢印M13で示すように、中間シート22Eの外周縁22Eeと中間シート22Fの外周縁22Feとを互いに溶着する。これにより、図16(B)に示すように、中間シート22Eの外周縁22Ee(および中間シート22Fの外周縁22Fe)に沿って、全周にわたって溶着領域22Am13(斜線で示す)を形成する。なお、この溶着は、中間シート22Cと中間シート22Eとの間に、保護板99を介挿した状態で行う。保護板99は、溶着領域22Am12の全周を密接して取り囲み、中間シート22C,22Eの外径d10よりも十分大きい寸法を有するものとする。これにより、溶着領域22Am13以外の意図しない箇所が溶着されるのを防止する(具体的には、溶着領域22Am13が既存の溶着領域22Am11と溶着されるのを防止する)。この状態の物を仕掛かりシート22A″と呼ぶ。
一方、図17(A)に示すように、ポリ塩化ビニルからなる下シート22Bには円形の開口22Biが予め形成され、また、ポリ塩化ビニルからなる中間シート22Dには円形の開口(内周縁)22Diが予め形成されているものとする。この例では、開口22Biの直径は、d11=50mmに設定されている。中間シート22Dの外径はd10=60mmに設定され、また、中間シート22Dの内径はd13=30mmに設定されている。この下シート22Bに対して中間シート22Dを、開口22Biの中心と開口22Diの中心とが同心(中心C)になる態様で、対向させる。この状態で、図示しない溶着機によって、矢印M14で示すように、下シート22Bの開口22Biの周りに中間シート22Dの外周縁22Deを溶着する。これにより、図17(B)に示すように、中間シート22Dの外周縁22Deに沿って、全周にわたって溶着領域22Bm1(斜線で示す)を形成する。この状態の物を仕掛かりシート22B″と呼ぶ。
次に、図18(A)に示すように、仕掛かりシート22A″と仕掛かりシート22B″とを、中間シート22D,22F同士が対向し、中心C同士が一致するとともに、外周縁22Ae,22Be同士が一致する態様で、対向させる。なお、図18(A)では、仕掛かりシート22A″は、図17(B)におけるのとは上下反転して描かれている。この状態で、図示しない溶着機によって、矢印M15で示すように、中間シート22Dの内周縁22Diと中間シート22Fの内周縁22Fiとを互いに溶着する。これとともに、矢印M16で示すように、上シート22Aの外周縁22Aeと下シート22Bの外周縁22Beとを互いに溶着する。これにより、図18(B)に示すように、中間シート22Dの内周縁22Di(および中間シート22Fの内周縁22Fi)に沿って、全周にわたって溶着領域22Am14(斜線で示す)を形成する。これとともに、押圧カフ22′の外周縁22e(すなわち、上シート22Aの外周縁22Aeと下シート22Bの外周縁22Be)に沿って、全周にわたって溶着領域22mを形成する。このようにして、押圧カフ22′を作製する。
分かるように、押圧カフ22′の内周縁22i′が有する蛇腹構造は、円環状の形状をもつ中間シート22C,22E,22F,22Dを厚さ方向Zに順次対向させ、厚さ方向Zに隣り合う中間シートの内周縁22Ci,22Ei同士、外周縁22Ee,22Fe同士、内周縁22Fi,22Di同士を、厚さ方向Zの位置が移るにつれて交互に溶着することによって、作製されている。
ここで、上シート22Aの内周縁22Ai(および下シート22Bの内周縁22Bi)の直径d11に対して、押圧カフ22′の内周縁22i′の蛇腹構造をなすシート要素(この例では、中間シート22C,22E,22F,22D)のうち、中心Cに対して接近している箇所(溶着領域22Am12,22Am14)の内周縁の直径d12,d13は、厚さ方向Zの位置が移る(この例では、上シート22Aから離れる)につれて順次段階的に小さくなっている。つまり、d11>d12>d13になっている。これにより、図18(A)中の矢印M15で示す溶着(中間シート22Dの内周縁22Diと中間シート22Fの内周縁22Fiとの溶着)の際に、保護板などを用いなくても、簡単に溶着を行うことができる。
なお、仕掛かりシート22A″と仕掛かりシート22B″との立場を入れ替えて、図18(B)の押圧カフ22′を上下反転させた構造に作製してもよい。
(その他の変形例)
上の例では、カフ20(および20A,20B)は、センシングカフ40の圧力に含まれた脈波情報を電気信号として出力する圧力センサ41を備えたが、これに限られるものではない。それに代えて、本体10に圧力センサ41を搭載し、カフ20(および20A,20B)のセンシングカフ40と本体10の圧力センサ41とを、エア配管37とは別のエア配管(図示せず)によって、流体流通可能に接続してもよい。
上の例では、カフ20(および20A,20B)は、センシングカフ40の圧力に含まれた脈波情報を電気信号として出力する圧力センサ41を備えたが、これに限られるものではない。それに代えて、本体10に圧力センサ41を搭載し、カフ20(および20A,20B)のセンシングカフ40と本体10の圧力センサ41とを、エア配管37とは別のエア配管(図示せず)によって、流体流通可能に接続してもよい。
また、上の例では、外布21に沿った面内で、センシングカフ40と背板43は、それぞれ円形の形状を有するものとしたが、これに限られるものではない。それらの平面的な形状は、丸角の正方形または長方形であってもよいし、楕円形、長円形などであってもよい。
また、上の例では、被測定部位90は上腕であるものとしたが、これに限られるものではない。被測定部位90は、手首などの上腕以外の上肢、または、足首などの下肢であってもよい。
以上の実施形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。上述した複数の実施の形態は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、実施の形態同士の組みあわせも可能である。また、異なる実施の形態の中の種々の特徴も、それぞれ単独で成立し得るものであるが、異なる実施の形態の中の特徴同士の組みあわせも可能である。
1 血圧計
10 本体
20,20A,20B 血圧測定用カフ
21 外布
31,41 圧力センサ
32 ポンプ
37,37a~37c エア配管
22,22′ 押圧カフ
40 センシングカフ
43 背板
71 配線
10 本体
20,20A,20B 血圧測定用カフ
21 外布
31,41 圧力センサ
32 ポンプ
37,37a~37c エア配管
22,22′ 押圧カフ
40 センシングカフ
43 背板
71 配線
Claims (8)
- 被測定部位を圧迫して阻血する血圧測定用カフであって、
被測定部位を取り巻く帯状の外布と、
上記外布の上記被測定部位に対向する側の面に沿って設けられ、上記被測定部位の特定の閉領域のうち外周領域に相当する環状の形状をもつ第1空気袋と、
上記第1空気袋の上記被測定部位に対向する側で、上記特定の閉領域のうち上記外周領域に取り囲まれた中心領域に対応して設けられた第2空気袋とを備え、この第2空気袋の外周縁の平面的寸法は上記第1空気袋の外周縁の平面的寸法よりも小さく設定され、上記第2空気袋は、上記特定の閉領域を通る動脈のうち上記中心領域に存する部分からの脈波による脈波情報を検出するようになっている
ことを特徴とする血圧測定用カフ。 - 請求項1に記載の血圧測定用カフにおいて、
上記第1空気袋は、上記外布に対向する側に設けられた上シートと、上記被測定部位に対向する側に設けられた下シートとを含み、
上記第1空気袋の内周縁は、上記上シートと上記下シートとの間で、上記被測定部位の外周面に対して垂直な厚さ方向に伸縮し得る蛇腹構造を有する
ことを特徴とする血圧測定用カフ。 - 請求項2に記載の血圧測定用カフにおいて、
上記蛇腹構造は、上記厚さ方向の位置が移るにつれて、上記第1空気袋がなす環の中心に対して径方向に接近と離間を繰り返しているシート要素を含む
ことを特徴とする血圧測定用カフ。 - 請求項3に記載の血圧測定用カフにおいて、
上記蛇腹構造をなす上記シート要素のうち、上記環の中心に対して径方向に接近している箇所の内周縁の直径は、上記厚さ方向の位置が移るにつれて順次段階的に異なっている
ことを特徴とする血圧測定用カフ。 - 請求項1から4までのいずれか一つに記載の血圧測定用カフにおいて、
上記被測定部位の外周面に対して垂直な厚さ方向に関して上記第1空気袋と上記第2空気袋との間に介挿された背板を備え、この背板の平面的な形状および寸法は、上記第2空気袋の平面的な形状および寸法と同じに設定され、上記背板は上記第1空気袋からの押圧力を上記第2空気袋へ伝えるようになっている
ことを特徴とする血圧測定用カフ。 - 請求項1から4までのいずれか一つに記載の血圧測定用カフにおいて、
上記第2空気袋よりも上記被測定部位から遠い側で、上記第1空気袋がなす環で囲まれた領域に搭載された圧力センサと、
上記第2空気袋と上記圧力センサとを流体流通可能に接続する導入管とを備え、
上記圧力センサは、上記導入管を通して上記第2空気袋内の圧力を受けて、上記脈波情報を電気信号として出力するようになっている
ことを特徴とする血圧測定用カフ。 - 請求項6に記載の血圧測定用カフにおいて、
上記脈波情報を電気信号として伝えるための配線を備え、この配線は、上記第1空気袋がなす上記環を通して、この血圧測定用カフの外部へ延在している
ことを特徴とする血圧測定用カフ。 - 被測定部位を圧迫して血圧を測定する血圧計であって、
請求項1から4までのいずれか一つに記載の血圧測定用カフと、
本体とを備え、
上記本体は、
ポンプを含み、このポンプからエア配管を通して、上記血圧測定用カフの上記第1空気袋に空気を供給して、上記被測定部位の上記特定の閉領域に対する押圧力を制御する圧力制御部と、
上記第2空気袋の圧力に含まれた上記脈波情報を取得する脈波情報取得部と、
上記脈波情報取得部が取得した上記脈波情報に基づいて、血圧を算出する血圧算出部と
を含むことを特徴する血圧計。
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