JP2023152790A - 軟磁性金属粒子、圧粉磁心および磁性部品 - Google Patents

軟磁性金属粒子、圧粉磁心および磁性部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 初透磁率μiが高い圧粉磁心を提供できる軟磁性金属粒子を提供する。【解決手段】 コア粒子と、コア粒子の表面に形成される絶縁膜と、を有し、絶縁膜がSiの酸化物およびTiを含み、絶縁膜におけるSiとTiとの合計含有量に対するTiの含有割合が1.0mol%以上30mol%以下である軟磁性金属粒子。【選択図】 図1

Description

本開示は、軟磁性金属粒子、圧粉磁心および磁性部品に関する。
特許文献1には、偏平粉末のアスペクト比を制御し、かつ、偏平粉末を被覆する絶縁被覆がチタンアルコキシド類を含む重合物からなることが記載されている。
特許文献2には、複数の種類の酸化膜により被覆された軟磁性合金粒子を含む磁性材料に関する発明が記載されている。
国際公開第2015/033825号 特開2018-11043号公報
本開示の一実施形態は、初透磁率μiが高い圧粉磁心を提供できる軟磁性金属粒子を提供する。
本開示の一実施形態に係る軟磁性金属粒子は、コア粒子と、前記コア粒子の表面に形成される絶縁膜と、を有し、
前記絶縁膜がSiの酸化物およびTiを含み、
前記絶縁膜におけるSiとTiとの合計含有量に対するTiの含有割合が1.0mol%以上30mol%以下である。
上記軟磁性金属粒子において、前記コア粒子がFeを含んでもよい。
本開示の一実施形態に係る圧粉磁心は、上記いずれかの軟磁性金属粒子を含む。
本開示の一実施形態に係る磁性部品は、上記の圧粉磁心を含む。
本開示の一実施形態に係る圧粉磁心の断面の模式図である。
以下、本開示の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下に説明する本開示の実施形態は、本開示を説明するための例示である。本開示の実施形態に係る各種構成要素、例えば数値、形状、材料、製造工程などは、技術的に問題が生じない範囲内で改変したり変更したりすることができる。
また、本開示の図面に表された形状等は、実際の形状等とは必ずしも一致しない。説明のために形状等を改変している場合があるためである。
本開示の一実施形態に係る圧粉磁心1は図1に示すように、金属磁性粒子(コア粒子)11および粒界相12を含む。さらに、コア粒子11の表面11aに形成される絶縁膜13を含む。
本開示の一実施形態に係る軟磁性金属粒子は、コア粒子11と、コア粒子11の表面11aに形成される絶縁膜13と、を有する。
コア粒子11の成分は軟磁性を示す材料が含まれていれば特に制限はないが、コア粒子11がFeを含んでもよい。コア粒子11がFeを主成分として含む場合には、飽和磁化が高くなりやすい。コア粒子11がFeおよびSiを主成分として含む場合には、初透磁率μiが高くなりやすい。コア粒子11がFeおよびNiを主成分として含む場合には、初透磁率μiが高くなりやすい。コア粒子11がFeおよびCoを主成分として含む場合には、初透磁率μiが高くなりやすい。
なお、「主成分として含む」とは、主成分として含まれる元素のそれぞれの含有比率が1重量%以上であり、主成分として含まれる元素の合計含有比率が40重量%以上であり、かつ、主成分として含まれる元素以外の元素のそれぞれの含有比率が主成分として含まれる元素のうち含有比率が最も低い元素の含有比率よりも低いことを指す。
コア粒子11がFeを主成分として含む場合には、Feの含有比率が40重量%以上であり、かつ、Fe以外の各元素の含有比率がFeの含有比率よりも低い。なお、コア粒子11における主成分以外の成分の種類には特に制限はない。主成分(Fe)以外の成分の種類としては、例えば、Ni、Co、Si、Zr、Vなどが挙げられる。
コア粒子11がFeおよびSiを主成分として含む場合には、Feの含有比率が1重量%以上であり、Siの含有比率が1重量%以上であり、FeおよびSiの合計含有比率が40重量%以上であり、かつ、FeおよびSi以外の各元素の含有比率がFeとSiのうち含有比率が低い元素の含有比率よりも低い。なお、コア粒子11における主成分以外の成分の種類には特に制限はない。主成分(FeおよびSi)以外の成分の種類としては、例えば、Ni、Co、Zr、Vなどが挙げられる。
コア粒子11がFe、または、FeおよびSiを主成分として含む場合には、コア粒子11におけるFeとSiとの含有比率には特に制限はない。重量比でSi/Fe=0/100~20/80であってもよい。重量比でSi/Fe=0/100~10/90である場合に、飽和磁化が高くなりやすい。
コア粒子11がFeおよびNiを主成分として含む場合には、Feの含有比率が1重量%以上であり、Niの含有比率が1重量%以上であり、FeおよびNiの合計含有比率が40重量%以上であり、かつ、FeおよびNi以外の各元素の含有比率がFeとNiのうち含有比率が低い元素の含有比率よりも低い。なお、コア粒子11における主成分以外の成分の種類には特に制限はない。主成分(FeおよびNi)以外の成分の種類としては、例えば、Co、Si、Zr、Vなどが挙げられる。
コア粒子11がFe、または、FeおよびNiを主成分として含む場合には、コア粒子11におけるFeとNiとの含有比率には特に制限はない。重量比でNi/Fe=0/100~75/25であってもよい。
コア粒子11がFeおよびCoを主成分として含む場合には、Feの含有比率が1重量%以上であり、Coの含有比率が1重量%以上であり、FeおよびCoの合計含有比率が40重量%以上であり、かつ、FeおよびCo以外の各元素の含有比率がFeとCoのうち含有比率が低い元素の含有比率よりも低い。なお、コア粒子11における主成分以外の成分の種類には特に制限はない。主成分(FeおよびCo)以外の成分の種類としては、例えば、Ni、Si、Zr、Vなどが挙げられる。
コア粒子11がFe、または、FeおよびCoを主成分として含む場合には、コア粒子11におけるFeとCoとの含有比率には特に制限はない。重量比でCo/Fe=0/100~50/50であってもよい。
図1に示すように、軟磁性金属粒子はコア粒子11と、コア粒子11の表面に形成される絶縁膜13とを有する。すなわち、絶縁膜13はコア粒子11を被覆している。
絶縁膜13はコア粒子11の表面11aの全体を被覆していなくてもよく、コア粒子11の表面11a全体の90%以上を被覆していればよい。
絶縁膜13はコア粒子11の表面に直接的または間接的に形成される。すなわち、コア粒子11の表面11aと絶縁膜13とが接していてもよく、コア粒子11の表面11aと絶縁膜13との間に絶縁膜13以外の膜が介在していてもよい。
絶縁膜13以外の膜の材質には特に制限はない。例えば絶縁膜13以外の膜がSiおよびOを含み、かつ、コア粒子11に含まれる元素(例えばFe)を含む膜であってもよい。また、絶縁膜13以外の膜がSiの酸化物を含みTiを含まない膜であってもよい。また、絶縁膜13以外の膜がリン酸化合物を含む膜であってもよい。絶縁膜13以外の膜が介在する場合における絶縁膜13以外の膜の厚みは20nm以下であってもよい。
絶縁膜13はSiの酸化物およびTiを含む。絶縁膜13がSiの酸化物に加えてTiを含むことにより、Tiを含まない場合と比較して、同等な密度で圧粉磁心1の初透磁率μiが向上しやすくなる。
絶縁膜13に含まれるSiの酸化物の種類には特に制限はない。例えば、Si-O系酸化物(シリコン酸化物)であってもよい。また、Si-O系酸化物の種類には特に制限はない。例えば、SiO2などのSiの酸化物の他、Siおよびその他の元素を含む複合酸化物などであってもよい。
絶縁膜13においてTiがどのようにして含まれるかについては特に制限はない。例えば、絶縁膜13にTiの単体が点在していてもよい。また、絶縁膜13にTiを含む化合物が含まれていてもよい。Tiを含む化合物の種類には特に制限はない。例えばチタンアルコキシドやチタネート(Tiを中心金属とする金属錯体)などのTiを含む有機金属化合物が挙げられる。また、Tiを含む化合物がTiの単純酸化物であってもよく、Tiと他の元素との複合酸化物であってもよい。
絶縁膜13におけるTiの含有割合については特に制限はない。絶縁膜13におけるSiとTiとの合計含有量に対するTiの含有割合(以下、Ti/(Si+Ti)と表記する場合がある)が1.0mol%以上30mol%以下である。Ti/(Si+Ti)は3.0mol%を上回り15mol%未満であってもよい。また、Ti/(Si+Ti)は4.0mol%以上10mol%以下であってもよい。Ti/(Si+Ti)が上記の範囲内であることにより、初透磁率μiがさらに向上しやすくなる。
絶縁膜13がTiに加えて、Ti以外の金属元素を含んでいてもよい。例えば、酸化物が絶縁性のあるBa、Ca、Mg、Al、Zr、Ni、Mn、Zn等が挙げられる。その中でもCa、Mg、Zr、Ni、Mn、Znは比較的、絶縁膜に導入しやすい。Ti以外の金属元素の含有量には特に制限はない。例えば、Tiの含有量に対する含有割合が1mol%以下であってもよい。
絶縁膜13の膜厚には特に制限はない。例えば5nm以上500nm以下であってもよい。絶縁膜13の膜厚は、10nm以上200nm以下であってもよい。
圧粉磁心1に含まれる軟磁性金属粒子同士の間には粒界相12が含まれる。粒界相12に含まれる化合物の種類には特に制限はない。例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、および/または、Si-O系酸化物であってもよい。また、粒界相12が空隙を含んでいてもよい。粒界相12に含まれていてもよいシリコーン樹脂としては、例えばメチル系のシリコーン樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えばクレゾールノボラックなどが挙げられる。イミド樹脂としては、例えばビスマレイミドなどが挙げられる。
なお、後述する熱処理により、粒界相12に含まれるシリコーン樹脂の一部または全部がSiO2等のSi-O系酸化物に変性する場合がある。
コア粒子11の含有量、および、粒界相12に含まれる化合物の含有量には特に制限はない。圧粉磁心1全体に占めるコア粒子11の含有量は90重量%~99.9重量%であってもよい。圧粉磁心1全体に占める粒界相12に含まれる化合物の含有量は0.1重量%~10重量%であってもよい。
絶縁膜13と同様に、粒界相12にもTiが含まれていてもよい。
圧粉磁心1の断面を観察する方法には特に制限はない。例えば、SEMまたはTEMを用いて適切な倍率で圧粉磁心1を観察してもよい。さらに、EDS分析を行うことで、圧粉磁心1の各箇所における組成、特にTiの含有量およびSiの含有量を測定することができる。そして、絶縁膜13におけるTi/(Si+Ti)を測定することができる。同様の方法でコア粒子11におけるTiの含有量を測定することもできる。
粒界相12に存在するTiの含有割合を測定する場合には、例えば、まず、上記の測定でコア粒子11におけるTiの含有量および絶縁膜13におけるTiの含有量を測定する。その後、圧粉磁心1全体のTi含有量をICPで定量する。そして、圧粉磁心1全体のTi含有量からコア粒子11全体におけるTiの含有量および絶縁膜13全体におけるTiの含有量を引くことで粒界相12に存在するTiの含有割合を測定できる。
本実施形態に係る圧粉磁心1の製造方法を以下に示すが、圧粉磁心1の製造方法は下記の方法に限定されない。
まず、コア粒子11を作製する。コア粒子11の作製方法には特に制限はないが、例えばガスアトマイズ法、水アトマイズ法などが挙げられる。コア粒子11の粒子径および円形度には特に制限はない。粒子径の中央値(D50)は1μm~100μmである場合には初透磁率μiが高くなりやすい。コア粒子11の円形度は、例えば、0.5以上1以下であってもよく、0.7以上1以下であってもよく、0.8以上1以下であってもよい。
必要に応じてコア粒子11の表面11aにリン酸化合物を含む膜を形成してもよい。リン酸化合物を含む膜を形成する方法には特に制限はない。
次に、コア粒子11の表面11aにSiの酸化物およびTiを含む絶縁膜13を形成するためのコーティングを行う。なお、コア粒子11の表面11aにリン酸化合物を含む膜を形成する場合には当該リン酸化合物を含む膜の表面に絶縁膜13を形成するためのコーティングを行う。コーティング方法には特に制限はないが、例えば、アルコキシシランおよびTiを含むコーティング溶液をコア粒子11へ塗布する方法が例示される。コーティング溶液をコア粒子11へ塗布する方法には特に制限はなく、例えば噴霧拡散による方法が挙げられる。コーティング溶液にどのような状態でTiが含まれるかについては特に制限はない。例えば、チタンアルコキシドとしてTiが含まれていてもよく、チタネートとしてTiが含まれていてもよい。チタネートまたはチタンアルコキシドとしてTiが含まれ、かつ、後述する圧粉体の熱処理を行う場合には、熱処理によりチタネートまたはチタンアルコキシドが分解する。以下、コーティング溶液にチタンアルコキシドを添加する場合について説明する。
コーティング溶液におけるアルコキシシランの濃度、チタンアルコキシドの濃度、および溶媒の種類にも特に制限はない。アルコキシシランの濃度およびチタンアルコキシドの濃度は目的とするTi/(Si+Ti)の大きさ、目的とする絶縁膜13の膜厚等により決定すればよい。
アルコキシシランとしては、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランが例示される。モノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル(フェノキシ)シラン等が例示される。ジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン等が例示される。トリアルコキシシランとしては、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等が例示される。テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が例示される。アルコキシシランとしては、1種類のアルコキシシランを用いてもよく、2種類以上のアルコキシシランを併用してもよい。
チタンアルコキシドとしては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ-n-プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ-n-ブトキシド等が例示される。チタンアルコキシドとしては、1種類のチタンアルコキシドを用いてもよく、2種類以上のチタンアルコキシドを併用してもよい。入手容易性の点から、チタンアルコキシドがチタンテトラエトキシドまたはチタンテトラ-n-ブトキシドであってもよい。
溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコールなどが例示される。
また、噴霧拡散時において、コア粒子11全量に対するアルコキシシランの割合は0.1重量%~5重量%であってもよい。また、アルコキシシランが多いほど絶縁膜13の膜厚が厚くなる傾向にある。
噴霧拡散の条件には特に制限はないが、50℃~90℃で熱処理を行いながら噴霧拡散を行うことにより、絶縁膜13を形成するゾルゲル反応が促進されやすい。
コーティング溶液を噴霧拡散した後のコア粒子11を乾燥させて溶媒を除去した後に、200℃~400℃で1時間~10時間加熱することにより、ゾルゲル反応が進行してSiの酸化物およびTiを含む絶縁膜13が形成される。このときの加熱温度が高く加熱時間が長いほど絶縁膜13の密度が高くなる傾向にある。また、コア粒子11を加熱する前に、コア粒子11をメッシュの篩に通して整粒してもよい。
コーティング溶液にチタネートを添加する場合に関しては、上記のチタンアルコキシドをチタネートに置き換える点以外はコーティング溶液にチタンアルコキシドを添加する場合と同様である。チタネートとしては、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンジエタノールアミネート等が例示される。チタネートとしては、1種類のチタネートを用いてもよく、2種類以上のチタネートを併用してもよい。
次に、後述する熱処理前の圧粉体における粒界相12が樹脂を含む場合には、樹脂溶液を作製する。樹脂溶液には、上記したシリコーン樹脂、エポキシ樹脂および/またはイミド樹脂の他、硬化剤を添加してもよい。硬化剤の種類には特に制限はなく、例えばエピクロルヒドリンなどが挙げられる。また、樹脂溶液の溶媒についても特に制限はないが、揮発性の溶媒であってもよい。例えば、アセトン、エタノール等を用いることができる。また、樹脂溶液全体を100重量%とした場合における樹脂および硬化剤の合計濃度は10~80重量%としてもよい。
さらに、粒界相12がTiを含む場合には、この時点で樹脂溶液にTiを添加する。樹脂溶液にどのような状態でTiが含まれるかについては特に制限はない。例えば、チタンアルコキシドとしてTiが含まれていてもよく、チタネートとしてTiが含まれていてもよい。チタンアルコキシドとしては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ-n-プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ-n-ブトキシド等が例示される。チタンアルコキシドとしては、1種類のチタンアルコキシドを用いてもよく、2種類以上のチタンアルコキシドを併用してもよい。入手容易性の点から、チタンアルコキシドがチタンテトラエトキシドまたはチタンテトラ-n-ブトキシドであってもよい。さらに、Tiの添加量を制御することで、粒界相12に存在するTiの含有割合を制御することができる。
次に、絶縁膜13を形成したコア粒子11、すなわち軟磁性金属粒子と、樹脂溶液とを混合する。そして、樹脂溶液の溶媒を揮発させて顆粒を得る。得られた顆粒はそのまま金型に充填してもよいが、整粒してから金型に充填してもよい。整粒する場合の整粒方法には特に制限はなく、例えば、目開き45~500μmのメッシュを用いてもよい。
次に得られた顆粒を所定の形状の金型に充填し、加圧して圧粉体を得る。加圧時の圧力(成形圧力)には特に制限はなく、例えば500~1500MPaとすることができる。成形圧力が高いほど最終的に得られる圧粉磁心1の初透磁率μiが高くなる。
絶縁膜13がTiを含む場合とTiを含まない場合とを比較すると、成形圧力が同一でも絶縁膜13がTiを含む場合の方が圧粉磁心1の初透磁率μiが高くなる。
作製した圧粉体を圧粉磁心としてもよい。また、作製した圧粉体に対して熱処理を行い、当該熱処理により作製した焼結体を圧粉磁心としてもよい。熱処理の条件に特に制限はない。樹脂としてシリコーン樹脂を用いる場合にはシリコーン樹脂が焼結する条件で熱処理を行ってもよい。例えば400℃~1000℃で0.1時間~10時間、熱処理を行ってもよい。また、熱処理時の雰囲気にも特に制限はなく、大気中で熱処理をしてもよく、窒素雰囲気中で熱処理してもよい。
圧粉体にチタネートまたはチタンアルコキシドが含まれる場合には、上記の熱処理によりチタネートまたはチタンアルコキシドの一部または全部が分解してもよい。特にチタネートに関しては700℃以上1000℃以下での熱処理により、その全部を分解させることができる。すなわち、700℃以上1000℃以下での熱処理により、焼結体にチタネートが含まれないようにすることができる。
以上、本実施形態に係る圧粉磁心およびその製造方法について説明したが、本開示の圧粉磁心およびその製造方法は上記の実施形態に限定されない。
また、本開示の圧粉磁心の用途にも特に制限はない。例えば、インダクタ、リアクトル、チョークコイル、トランス等の磁性部品が挙げられる。本開示の磁性部品は上記の圧粉磁心を含む。
以下、本開示を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本開示は、これら実施例に限定されない。
(実験例1)
金属磁性粒子(コア粒子)として、重量比でSi/Fe=4.5/95.5であり、FeとSiとの合計量が99重量%以上であるFe-Si系合金粒子(FeおよびSiを主成分として含む合金粒子)をガスアトマイズ法で作製した。なお、当該Fe-Si系合金粒子の粒子径の中央値(D50)は30μm、円形度は約0.90であった。
次に、前記金属磁性粒子の表面に絶縁膜を形成するためのコーティング溶液を作製した。コーティング溶液は前記金属磁性粒子の全量を100重量部として15重量部のエタノールと、トリメトキシシランおよびチタンテトラ-n-ブトキシドの少なくとも1種と、2.0重量部の純水と、を混合して作製した。トリメトキシシランとチタンテトラ-n-ブトキシドとの割合は、最終的に得られるコーティング膜におけるTi/(Si+Ti)が表1に示す値となるようにした。また、トリメトキシシランとチタンテトラ-n-ブトキシドとの合計量は、最終的に得られる絶縁膜の膜厚が50nmとなるようにした。
前記金属磁性粒子および前記コーティング溶液を混合し、噴霧拡散しながら熱処理を行った。熱処理温度は80℃、熱処理時間は1時間とした。さらに、熱処理後に乾燥することで表面に絶縁膜を有する金属磁性粒子を得た。
ただし、比較例10では金属磁性粒子を被覆している絶縁膜が成膜されなかった。したがって、比較例10では以下の試験を実施しなかった。
得られた金属磁性粒子を140メッシュの篩に通した後に熱処理を行った。熱処理温度は300℃、熱処理時間は5時間とした。
次に、シリコーン樹脂およびアセトンを混合して樹脂溶液を作製した。シリコーン樹脂としては信越シリコーンKR-242A(信越化学工業社製)を用いた。シリコーン樹脂およびアセトンの重量比が34:66となるように混合した。
上記の金属磁性粒子の全量を100重量部として、上記の樹脂溶液を6重量部添加し、混合した。次に乾燥させてアセトンを揮発させて顆粒を得た。次に、顆粒を42メッシュの篩に通して整粒した。得られた顆粒を50℃のホットプレート上で0.5時間、乾燥させて造粒粉を作製した。
造粒粉100重量部に対してステアリン酸亜鉛を0.1重量部添加し、金型成形を行いトロイダルコアを得た。造粒粉の充填量を5gとした。成形圧は、最終的に得られるトロイダル圧粉磁心の密度が6.4g/cm3程度となるように適宜、調整した。金型の形状は外径Φ17.5mm、内径Φ10.0mm、厚さ4.8mmのトロイダル形状とした。
得られたトロイダルコアに対して700℃で1時間、熱処理を行い、トロイダル圧粉磁心を得た。最終的に得られる圧粉磁心全体を100重量%として、金属磁性粒子が98重量%程度となるようにした。
TEM-EDS観察によって、金属磁性粒子を被覆している絶縁膜が存在していることを確認した。そして、Tiが実質的に絶縁膜のみに含まれることを確認した。さらに、絶縁膜におけるTi/(Si+Ti)をEDSで定量した。絶縁膜において測定箇所を10箇所設定し、各測定箇所におけるTi/(Si+Ti)を平均した結果を表1に示す。
絶縁膜の膜厚はTEM観察によって計測した。金属磁性粒子の表面に測定点を設定した。そして、当該測定点から絶縁膜の方向に垂線を引き、当該垂線のうち絶縁膜にある部分の長さを当該測定点における絶縁膜の厚みとした。測定点を10点設定して各測定点について絶縁膜の厚みを測定した。そして、測定した絶縁膜の厚みの平均を当該金属磁性粒子における絶縁膜の厚みとした。全ての実施例および比較例において絶縁膜の厚みが50nm程度であることを確認した。
トロイダル圧粉磁心の初透磁率μiは、トロイダル圧粉磁心にワイヤを巻数50ターンで巻きつけ、LCRメーター(HP社LCR428A)により測定した。初透磁率μiは50.0以上を良好とし、55.0以上をさらに良好とした。
トロイダル圧粉磁心の密度は得られた圧粉磁心の寸法および重量から算出した。全ての実施例および比較例において6.4g/cm3程度であることを確認した。
Figure 2023152790000002
表1より、トロイダル圧粉磁心の密度を概ね同一とした場合において、絶縁膜がTiを含み、Ti/(Si+Ti)が1.0以上30.0以下である各実施例は絶縁膜がTiを含まない比較例1等のTi/(Si+Ti)が上記の範囲外である各比較例と比較して初透磁率μiが高かった。Ti/(Si+Ti)が4.0以上10.0以下である各実施例は他の実施例と比較して初透磁率μiがさらに高かった。
(実験例2)
実験例2は、樹脂溶液にチタンテトラ-n-ブトキシドを添加した点以外は実験例1と同様にしてトロイダル圧粉磁心を作製した。チタンテトラ-n-ブトキシドの添加量は、粒界相に存在するTiの含有割合が、トロイダル圧粉磁心に対する質量基準で表2に記載される値となるようにした。
実験例2では、TEM-EDS観察によって、金属磁性粒子を被覆している絶縁膜が存在していることを確認した。そして、Tiが実質的に絶縁膜および粒界相のみに含まれることを確認した。
粒界相に存在するTiの含有割合の算出方法を説明する。まず、絶縁膜全体におけるTi含有量およびコア粒子全体におけるTi含有量をEDSで定量し、トロイダル圧粉磁心全体のTi含有量をICPで定量した。そして、トロイダル圧粉磁心全体のTi含有量から絶縁膜全体におけるTi含有量およびコア粒子全体におけるTi含有量の合計を引くことで粒界相に存在するTiの含有量を算出した。そして、トロイダル圧粉磁心の総重量で割ることで粒界相に存在するTiの含有割合を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2023152790000003
表2より、絶縁膜に加えて粒界相にTiが含まれる場合でも良好な初透磁率μiが得られた。
(実験例3)
金属磁性粒子(コア粒子)として、重量比でSi/Fe=4.5/95.5であり、FeとSiとの合計量が99重量%以上であるFe-Si系合金粒子(FeおよびSiを主成分として含む合金粒子)をガスアトマイズ法で作製した。なお、当該Fe-Si系合金粒子の粒子径の中央値(D50)は30μm、円形度は約0.90であった。
次に、前記金属磁性粒子の表面に絶縁膜を形成するためのコーティング溶液を作製した。コーティング溶液は前記金属磁性粒子の全量を100重量部として15重量部のエタノールと、トリメトキシシランおよびチタンアセチルアセトネートの少なくとも1種と、2.0重量部の純水と、を混合して作製した。トリメトキシシランとチタンアセチルアセトネートとの割合は、最終的に得られるコーティング膜におけるTi/(Si+Ti)が表3に示す値となるようにした。また、トリメトキシシランとチタンアセチルアセトネートとの合計量は、最終的に得られる絶縁膜の膜厚が50nmとなるようにした。
前記金属磁性粒子および前記コーティング溶液を混合し、噴霧拡散しながら熱処理を行った。熱処理温度は80℃、熱処理時間は1時間とした。さらに、熱処理後に乾燥することで表面に絶縁膜を有する金属磁性粒子を得た。
ただし、比較例19では金属磁性粒子を被覆している絶縁膜が成膜されなかった。したがって、比較例19では以下の試験を実施しなかった。
得られた金属磁性粒子を140メッシュの篩に通した後に熱処理を行った。熱処理温度は300℃、熱処理時間は5時間とした。
次に、シリコーン樹脂およびアセトンを混合して樹脂溶液を作製した。シリコーン樹脂としては信越シリコーンKR-242A(信越化学工業社製)を用いた。シリコーン樹脂およびアセトンの重量比が34:66となるように混合した。
上記の金属磁性粒子の全量を100重量部として、上記の樹脂溶液を6重量部添加し、混合した。次に乾燥させてアセトンを揮発させて顆粒を得た。次に、顆粒を42メッシュの篩に通して整粒した。得られた顆粒を50℃のホットプレート上で0.5時間、乾燥させて造粒粉を作製した。
造粒粉100重量部に対してステアリン酸亜鉛を0.1重量部添加し、金型成形を行った。造粒粉の充填量を5gとした。成形圧は、最終的に得られるトロイダル圧粉磁心の密度が6.4g/cm3程度となるように適宜、調整した。金型の形状は外径Φ17.5mm、内径Φ10.0mm、厚さ4.8mmのトロイダル形状とした。
得られたトロイダルコアに対して700℃で1時間、熱処理を行い、トロイダル圧粉磁心を得た。最終的に得られる圧粉磁心全体を100重量%として、金属磁性粒子が98重量%程度となるようにした。
TEM-EDS観察によって、金属磁性粒子を被覆している絶縁膜が存在していることを確認した。そして、Tiが実質的に絶縁膜のみに含まれることを確認した。さらに、絶縁膜におけるTi/(Si+Ti)をEDSで定量した。絶縁膜において測定箇所を10箇所設定し、各測定箇所におけるTi/(Si+Ti)を平均した結果を表3に示す。
絶縁膜の膜厚はTEM観察によって計測した。金属磁性粒子の表面に測定点を設定した。そして、当該測定点から絶縁膜の方向に垂線を引き、当該垂線のうち絶縁膜にある部分の長さを当該測定点における絶縁膜の厚みとした。測定点を10点設定して各測定点について絶縁膜の厚みを測定した。そして、測定した絶縁膜の厚みの平均を当該金属磁性粒子における絶縁膜の厚みとした。全ての実施例および比較例において絶縁膜の厚みが50nm程度であることを確認した。
トロイダル圧粉磁心の初透磁率μiは、トロイダル圧粉磁心にワイヤを巻数50ターンで巻きつけ、LCRメーター(HP社LCR428A)により測定した。初透磁率μiは50.0以上を良好とし、55.0以上をさらに良好とした。
トロイダル圧粉磁心の密度は得られた圧粉磁心の寸法および重量から算出した。全ての実施例および比較例において6.4g/cm3程度であることを確認した。
Figure 2023152790000004
表3より、トロイダル圧粉磁心の密度を概ね同一とした場合において、絶縁膜がTiを含み、Ti/(Si+Ti)が1.0以上30.0以下である各実施例は絶縁膜がTiを含まない比較例1等のTi/(Si+Ti)が上記の範囲外である各比較例と比較して初透磁率μiが高かった。Ti/(Si+Ti)が4.0以上10.0以下である各実施例は他の実施例と比較して初透磁率μiがさらに高かった。
1・・・圧粉磁心
11・・・金属磁性粒子(コア粒子)
11a・・・金属磁性粒子の表面
12・・・粒界相
13・・・絶縁膜

Claims (4)

  1. コア粒子と、前記コア粒子の表面に形成される絶縁膜と、を有し、
    前記絶縁膜がSiの酸化物およびTiを含み、
    前記絶縁膜におけるSiとTiとの合計含有量に対するTiの含有割合が1.0mol%以上30mol%以下である軟磁性金属粒子。
  2. 前記コア粒子がFeを含む請求項1に記載の軟磁性金属粒子。
  3. 請求項1または2に記載の軟磁性金属粒子を含む圧粉磁心。
  4. 請求項3に記載の圧粉磁心を含む磁性部品。
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