JP2023150863A - 表面保護フィルム - Google Patents

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Abstract

【解決課題】ポリウレタン樹脂を使用せずに施工性、柔軟性、及び伸張性に優れた表面保護フィルムを提供すること。【解決手段】ウレタン結合を含まない熱可塑性エラストマーを含有する基材層と、ハートコード層と、を備える表面保護フィルムであって、前記表面保護フィルムの300%モジュラスが10MPa以下であることを特徴とする、該表面保護フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、施工性、柔軟性、及び伸長性に優れた表面保護フィルムに関する。
石はねや傷、凹み等から塗装面や車体を保護するためのフィルムとして、耐チッピングフィルム、ペイントプロテクションフィルム、車両外装保護用フィルムなどが利用されている。このような自動車等の車両外装用保護フィルム(以下、「保護フィルム」とも称する)は、フィルム貼り付け時に車両の外面の曲線に容易に追従する延伸性(柔軟性)が求められる。さらに、保護フィルムは、砂などの粒子が接触することによる傷付きを抑制する柔軟性や、外的な摩擦力が加わった際における耐傷性、車両自体の外観を損なわない高い透明性、長時間外気に曝される用途に耐える耐候性及び耐久性も求められる。
これらの保護フィルムの基材としては、従来はポリウレタン樹脂や塩化ビニル樹脂を用いたフィルムが用いられている。
しかしながら、ポリウレタン樹脂は高価であることから、コスト的制約により部分的にしか用いられない場合が多く、また、塩化ビニル樹脂は安価であるがフィルムが硬く伸びにくいため追従性に不足するなどの問題を抱えている。
特許文献1にはポリウレタン樹脂層の使用量を低減するために、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とアイオノマー樹脂層からなる基材を用いた表面保護フィルムが提案されているが、同文献に記載の表面保護フィルムではフィルム全体としてポリウレタン樹脂層の使用量が低減しているものの、ポリウレタン樹脂自体を使用しないものではない。また、特許文献1に開示されている表面保護フィルムは、伸びに比例して応力が高くなるため、局所的に伸ばされ場合には、車両外面への追従性が不十分なものであった。
また、特許文献2では、ポリウレタン樹脂を用いないアイオノマーを使用したフィルムが提案されているが、エラストマーが使用されておらず、柔軟性や300%モジュラスで懸念が残る。
特開2021-84331号公報 WO2009/096020
本発明は、ポリウレタン樹脂を使用せずに施工性、柔軟性、及び伸張性に優れた表面保護フィルムを提供するものである。
保護フィルムにはフィルム貼り付け時に車両の外面の曲線に容易に追従する柔軟性(追従性)に加えて、車両に貼り付けた後に形状を維持し、剥がれないという特性も要求される。前者はフィルムの弾性率と関係することが知られていたが、後者については弾性率では判別することはできなかった。本発明者は、このような特性を定量的に把握できないかを検討した結果、試験片に特定の伸びを与えた時の引張応力(モジュラス)、特に300%モジュラス(伸び300%時の引張応力)が、保護フィルムの貼付け時の形状維持や剥がれにくさに関係していることを見出した。そして、300%モジュラスを特定の範囲にすることにより、施工性、及び伸張性にも優れる表面保護フィルムを提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明特定事項からなる表面保護フィルムを提供するものである。
[1]ウレタン結合を含まない熱可塑性エラストマーを含有する基材層と、コート層と、を備える表面保護フィルムであって、前記表面保護フィルムの300%モジュラスが10MPa以下であることを特徴とする、該表面保護フィルム。
[2]前記表面保護フィルムの200%モジュラスが7Mpa以下である、[1]に記載の表面保護フィルム。
[3]前記表面保護フィルムの引張破断伸度が500%以上である、[1]又は[2]に記載の表面保護フィルム。
[4]前記基材層単体での引張弾性率が50MPa以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の表面保護フィルム。
[5]前記熱可塑性エラストマーがスチレン系エラストマーである、[1]~[4]のいずれかに記載の表面保護フィルム。
[6]前記表面保護フィルムの平行透過率が87%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の表面保護フィルム。
[7]前記コート層が、ポリオール系樹脂を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の表面保護フィルム。
[8]前記コート層の膜厚が0.2~50μmである、[1]~[7]のいずれかに記載の表面保護フィルム。
[9]前記基材層のコート層とは反対側の面に粘着剤層を有する、[1]~[8]のいずれかに記載の表面保護フィルム。
[10]耐チッピングフィルム、ペイントプロテクションフィルム、車両外装保護用フィルム、のいずれかに用いられる、[1]~[9]のいずれかに記載の表面保護フィルム。
本発明により、ポリウレタン樹脂を使用せずに施工性、柔軟性、及び伸張性に優れた表面保護フィルムを提供することが可能である。
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
<表面保護フィルム>
本発明の1つの実施態様は、ウレタン結合を含まない熱可塑性エラストマーを含有する基材層と、コート層を備える表面保護フィルムであって、前記表面保護フィルムの300%モジュラスが10MPa以下であることを特徴とする、該表面保護フィルムである(以下「本発明の表面保護フィルム」とも言う)。
本発明の表面保護フィルムにおいては、その300%モジュラスが10MPa以下であることが重要である。
車両外装用保護フィルム(保護フィルム)には、フィルム貼り付け時に車両の外面の曲線に容易に追従する柔軟性(追従性)が求められるが、このようなフィルムの柔軟性の尺度として一般に弾性率が用いられる。また、ペイントプロテクションフィルム等の保護フィルムは、水や専用液を車体に噴霧してフィルムの位置を決め、治具で空気を抜きながら貼り付けていくが、車両に貼り付けた後に形状を維持し、剥がれないという特性も要求される。このような特性の優劣は弾性率では判別することはできなかった。
本発明者らは、このような特性を定量的に把握できないかを検討した結果、試験片に特定の伸びを与えた時の引張応力(モジュラス)、特に300%モジュラス(伸び300%時の引張応力)が、保護フィルムの貼付け時の形状維持や剥がれにくさに関係していることを見出した。即ち、300%モジュラスが10MPa以下であることにより、車両にフィルムを貼り付けた後の形状維持が良好であり、剥がれにくい。
本発明の表面保護フィルムにおいては、300%モジュラスが7MPa以下であることがより好ましく、5MPa以下であることが更に好ましい。
本発明の表面保護フィルムの300%モジュラスの下限値は特に限定されないが、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1MPa以上、さらに好ましくは1.5MPa以上である。
300%モジュラスの測定は、23℃の雰囲気下で、オートグラフ(島津製作所製AGS-X)を用いて、引張速度50mm/分にて行う。
貼り付け対象物(車両等)の形状や部位に応じて、貼り付ける際にフィルム伸びが異なり、伸びによらず引張応力(モジュラス)が低いことが好ましい。かかる点から、本発明の表面保護フィルムにおいては、その200%モジュラスが7Mpa以下であることが好ましい。
また、本発明の表面保護フィルムにおいては、200%モジュラスが5MPa以下であることが更に好ましい。
本発明の表面保護フィルムの200%モジュラスの下限値は特に限定されないが、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1MPa以上、さらに好ましくは1.5MPa以上である。
200%モジュラスの測定は23℃の雰囲気下で、オートグラフ(島津製作所製AGS-X)を用いて、引張速度50mm/分にて行う。
本発明の表面保護フィルムにおいては、その引張破断伸度が500%以上であることが好ましく、より好ましくは600%以上、さらに好ましくは700%以上であることがより好ましい。
本発明の表面保護フィルムの引張破断伸度の上限値は特に限定されていないが、好ましくは1500%以下、より好ましくは1300%以下、さらに好ましくは1100%以下である。
本発明者らは、引張破断伸度は、保護フィルムの施工性、伸長性、柔軟性に関係しており、この数値が高いほどこれら特性が良好であることも見出した。
引張破断伸度の測定は、23℃の雰囲気下で、オートグラフ(島津製作所製AGS-X)を用いて、引張速度300mm/分にて行う。
本発明の表面保護フィルムにおいては、平行透過率が87%以上であることが好ましい。平行透過率は、全光線透過率から拡散光を除いた値のため、平行透過率を用いるのが実用的な透明性の評価として適している。平行透過率の測定はヘイズメーター(日本電色工業製NDH2000)を用いて、JIS-K7136:2000に準拠し、光源ハロゲンランプ定格5V9W、全光線透過率及び拡散透過率の交照測光方式にて、測定する。
以下、本発明の表面保護フィルムについて、これを構成する材料とその製造方法とともに順次説明する。
1.基材層
本発明の表面保護フィルムの基材層は、ウレタン結合を含まない熱可塑性エラストマーを含有する。ウレタン結合を含まない熱可塑性エラストマーとは、分子内にウレタン結合を有さない熱可塑性エラストマーを意味する。
かかる熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー(TPS)、ポリオレフィン系エラストマー(TPO)、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、動的架橋型熱可塑性エラストマー(ポリプロピレンとEPDMゴムのコンパウンドで、動的に加硫されているエラストマー)、アクリル系エラストマー等が挙げられる。
上記した熱可塑性エラストマーの内、本発明の表面保護フィルムの特性である、基材層とコート層を備える表面保護フィルムとした時に、その300%モジュラスが10MPa以下であるという特性を示すものであれば、特に制限なく用いることができ、1種類で用いても、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の表面保護フィルムの1つの態様においては、ウレタン結合を含まない熱可塑性エラストマーとして、スチレン系エラストマーを用いることが好ましい。スチレン系エラストマーの特徴の1つに優れたゴム弾性があり、これによりポリウレタン系エラストマーの代替が可能になる。スチレン系エラストマーはポリオレフィン系エラストマーと比較しても弾性率や300%モジュラスの値が低く、柔軟性に優れるため好ましい。
スチレン系エラストマーの一般的な構造としては、下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
X-(Y-X)n …(I)
(X-Y)n …(II)
一般式(I)および(II)におけるXはスチレンに代表される芳香族ビニル重合体ブロック(以下、スチレン成分)で、式(I)においては分子鎖両末端で重合度が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、Yとしてはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、ブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、水添されたブタジエン重合体ブロック、水添されたイソプレン重合体ブロック、水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、部分水添されたブタジエン重合体ブロック、部分水添されたイソプレン重合体ブロックおよび部分水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロックの中から選ばれた少なくとも1種である。また、nは1以上の整数である。
スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-ブテン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-水添ブタジエンジブロック共重合体、スチレン-水添イソプレンジブロック共重合体、スチレン-ブタジエンジブロック共重合体、スチレン-イソプレンジブロック共重合体等が挙げられ、その中でもスチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-ブテン-スチレン共重合体が好適である。また、スチレン-エチレン・ブチレン-結晶性オレフィン共重合体であるブロック共重合体を用いることもできる。
スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、ゼラスMP7205C(三菱ケミカル社製)、タフプレンA、タフプレン125、アサプレンT-438、アサプレンT-439、タフテックH1221、タフテックH1041、タフテックH1052、タフテックH1053、タフテックH1517(以上、旭化成社製)、セプトン4099、セプトンHG252、セプトン8004、セプトン8006、セプトン8007L、セプトンHG252、セプトンV9461、セプトンV9475、ハイブラー7311、ハイブラー7125F、ハイブラー5127、ハイブラー5125(以上、クラレ社製)、ダイナロン1320P、ダイナロン4600P、ダイナロン8300P、ダイナロン8903P、ダイナロン9901P(以上、JSR社製)等が挙げられる。
上記スチレン系エラストマーは、1種類のエラストマーを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
本発明の表面保護フィルムの基材層は、ウレタン結合を含まない熱可塑性エラストマーを必須成分として含有するが、本発明の表面保護フィルムの性能を損なわない範囲でその他の樹脂を含有することができる。その他の樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アイオノマー、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体等が挙げられる。
本発明の表面保護フィルムの基材層は、上記の熱可塑性エラストマーに加え、これ以外の種々の成分を含んでもよい。基材層が含み得るその他の成分としては、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、波長変換剤、帯電防止剤、界面活性剤、着色剤、光安定剤、発泡剤、潤滑剤、結晶核剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、触媒失活剤、熱線吸収剤、熱線反射剤、放熱剤、無機充填剤、有機充填剤、耐衝撃性改良剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、加工助剤、離型剤、加水分解防止剤、耐熱安定剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、難燃剤、難燃助剤、光拡散剤、抗菌剤、防黴剤、分散剤やその他の樹脂等を挙げることができる。各種添加剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の表面保護フィルムの基材層中の熱可塑性エラストマーの含有率は特に限定されないが、基材層の総質量に対して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
本発明の表面保護フィルムの基材層においては、基材層単体での引張弾性率が50MPa以下であることが好ましい。基材層単体での引張弾性率が50MPa以下とすることにより、延伸された場合でも引張抵抗が少なく容易に貼り付けが可能である。
本発明の表面保護フィルムの基材層において、基材単体での引張弾性率は、より好ましくは48MPa以下、さらに好ましくは46MPa以下である。
本発明の表面保護フィルムの基材層において、基材単体での引張弾性率の下限値は特に限定されないが、好ましくは5MPa以上、より好ましくは8MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上である。
ここで、引張弾性率の測定は、基材単体での厚みを150μmとし、23℃の雰囲気下で、オートグラフ(島津製作所製AGS-X)を用いて、引張速度50mm/分にて行う。
本発明の表面保護フィルムの基材層の厚みは50μm~300μmの範囲であることが好ましく、100μm~250μmの範囲であることがより好ましい。厚みが上記範囲にあることで、車両の外面に貼り付ける際に、延伸された場合でも、破断が効果的に抑制され、適度なクッション性と柔軟性とを有するため、表面保護フィルムの貼付により、車両の耐傷性が良好となる。
基材層の厚み、及び表面保護フィルムにおける後述の各層の厚みは、表面保護フィルムを面方向に垂直に切断した切断面を観察することで測定することができる。従って、本明細書における表面保護フィルムにおける各層の膜厚は、乾燥後の膜厚を指す。
2.コート層
本発明の表面保護フィルムが備えるコート層(被膜層とも言う)は、本発明の表面保護フィルムの特性である、基材層とコート層を備える表面保護フィルムとした時に、その300%モジュラスが10MPa以下であるという特性を示すものであれば、特に制限なく用いることができる。コート層は、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を含むことができるが、耐傷つき性向上の観点から、アクリルポリオールを含むことが好ましい。
本発明の1つの好ましい態様において、コート層は、アクリルポリオールとカプロラクトンポリオールとイソシアネート系架橋剤を含む組成物の硬化物からなる。
アクリルポリオールは、(メタ)アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物、又は(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物などのうち、末端にヒドロキシル基を有するもので、イソシアネート系化合物のイソシアネート基と反応するものである。
末端にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプチル(メタ)アクリレートなどがある。
末端にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレートなどの末端にアルキル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、(メタ)アクリル酸などの末端にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレートなどの末端に芳香環や環状構造を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーがある。(メタ)アクリル酸誘導体モノマー以外では、スチレンモノマー、シクロへキシルマレイミドモノマー、フェニルマレイミドモノマーなどがある。上記のその他のモノマーは、それ自身が末端にヒドロキシル基を有していてもよい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を指し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方を指す。
アクリルポリオールのヒドロキシ基は、イソシアネート系化合物のイソシアネートと反応し、より分子量の大きい硬化膜を形成することで、高い層間密着力と、水蒸気バリア性又は酸素バリア性とを発現する。アクリルポリオールの水酸基価は50mgKOH/g以上であることが好ましく、60mgKOH/g以上がより好ましく、80mgKOH/g以上が更に好ましい。またアクリルポリオールの水酸基価の上限は300mgKOH/g以下であり、270mgKOH/g以下がより好ましく、250mgKOH/g以下が更に好ましい。水酸基価が50mgKOH/gよりも小さいと、イソシアネート系化合物との反応量が少なく、基材層への密着力が十分発現しない。一方、水酸基価が300mgKOH/gよりも大きいと、イソシアネート系化合物との反応量が多くなり過ぎてコート層の膜収縮が大きくなり、フィルムにカールが生じやすく施工性の観点で好ましくない。
尚、水酸基価(mgKOH/g)とは、アクリルポリオール中の水酸基量の指標であり、アクリルポリオール1g中の水酸基をアセチル化するために必要な水酸化カリウムのmg数を示す。
アクリルポリオールの分子量は特に規定しないが、具体的には、3000以上200000以下、好ましくは5000以上100000以下がよい。
カプロラクトンポリオールとしては、下記一般式(1)のような2官能ポリカプロラクトンジオール類や、下記一般式(2)のような3官能ポリカプロラクトントリオール類、その他4官能ポリカプロラクトンポリオール等を使用することができる。
Figure 2023150863000001
Figure 2023150863000002
ポリカプロラクトンポリオールは、多官能であり、かつ重量平均分子量Mwが500未満、好ましくは470以下、更に好ましくは450以下のものを好適に用いることができる。また、ポリカプロラクトンポリオールの水酸基価は500mgKOH/g以下、好ましくは、450mgKOH/g以下、更に好ましくは400mgKOH/g以下である。カプロラクトンポリオールが多官能であり、かつ、上記のような重量平均分子量と水酸基価を有することにより、架橋密度が高く、かつ硬化物の硬度や強靭性が高くなるという効果が得られる。
本発明におけるコート層において、アクリルポリオールとポリカプロラクトンポリオールに更にイソシアネート系架橋剤を加えて反応させることにより、コート層の耐傷付き性等を更に向上することができる。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、モノマー系イソシアネートとして、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などの芳香族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの脂肪族系イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族系イソシアネートなどがある。また、これらのモノマー系イソシアネートの重合体あるいは誘導体も使用可能である。例えば、3量体のヌレート型、1,1,1-トリメチロールプロパンなどと反応させたアダクト型、ビウレットと反応させたビウレット型などがある。
イソシアネート系化合物は、上記のイソシアネート系化合物あるいはその重合体、誘導体から任意に選択してよく、1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
アクリルポリオールとポリカプロラクトンポリオールの質量比は95/5~50/50、好ましくは90/10~70/30、更に好ましくは85/15~75/25である。
アクリルポリオールの量が50~95質量%の範囲内であれば、コート層の耐傷付性を保持することができ、またポリカプロラクトンポリオールの量が5~50質量%の範囲であれば、耐汚染性の低下が少なく、実用上好ましい。
イソシアネート系架橋剤の量はアクリル系共重合体及びポリカプロラクトンポリオールの水酸基価により異なるが、通常OH基とイソシアネート系架橋剤中のNCO基の比(NCO/OH)がモル比で1.01~10、更に1.5~5であることが好ましい。
更に、コート層には、耐汚染性などの性能を付与する目的で、ポリシロキサンを混合することもできる。ポリシロキサンとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル及び該オルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等から選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。
コート層を基材層に形成する場合、コート層を構成する組成物を公知の有機溶剤に溶解し、更に必要に応じ希釈剤等を用いて適当な濃度に調製し、バーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコートまたはグラビアロールコート等の公知の方法で基材層に塗工し、次いで熱風乾燥機等を用いて、通常50~200℃で数秒間~数分加熱して乾燥及び硬化させることにより行う。硬化速度が遅い場合は、例えば離型性フィルムの離型層上にハードコート層を形成し、基材層の面とラミネートすることでコート層を基材層上に形成することもできる。塗工乾燥等した後、更に例えば40~50℃の室温下にて数日間硬化反応を促進させることが好ましい。
このようにして形成されたコート層の厚さは、0.2~50μmであるのが好ましい。コート層の厚さが 0.2μm以上であると、耐候性や耐傷付き性を付与することができ、50μm以下であると、厚みムラによる外観不良を抑制することができる。
3.粘着剤層
本発明の表面保護フィルムは、基材層のコート層とは反対側の面に粘着剤層を有することができる。
本発明の表面保護フィルムは、基材層側を車両の外面に直接貼付けることができるが、粘着層を介して車両の外面に貼付けることもできる。
粘着剤層は、例えば、基材層側に粘着剤を塗布して形成することができる。基材層の面上に直接形成してもよく、基材層との間に他層を介して積層してもよい。
粘着剤層に用いる粘着剤としては特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、スチレン系粘着剤、オレフィン系粘着剤等が挙げられる。耐熱性・耐候性に優れる点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着剤は、溶媒中で重合した溶剤型アクリル系粘着剤であっても、水中で重合したエマ ルジョン系粘着剤であっても、また、モノマー混合物に紫外線照射した塊状重合型粘着剤 であってもよい。
粘着剤層の層厚は、粘着剤の組成により異なり、特に限定されるものではないが、例えば3~100μm、好ましくは5~50μm、さらに好ましくは10~30μmとすることができる。
粘着剤層(D)に接する基材層の面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布等の表面処理を予め施すことができる。
4.支持フィルム
本発明の表面保護シートは、基材層のコート層とは反対側の面に支持フィルムを有することができる。本発明の表面保護シートが基材層のコート層とは反対側の面に粘着剤層を有する場合には、下側から支持フィルム/粘着剤層/基材層/コート層の順に設けることができる。
支持フィルムの基材としては、紙、樹脂フィルムなどが挙げられる。
支持フィルムは、樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等)、離型処理された紙、樹脂をラミネートした紙などを、適宜選択して用いることができる。
支持フィルムは、車両に表面保護フィルムを貼り付ける際に剥離される。
<表面保護フィルムの製造方法>
本発明の表面保護フィルムは、基材層の上にコート層を形成することにより得ることができる。基材層の上にコート層を形成する方法については上記で詳述したように、コート層を構成する組成物を公知の有機溶剤に溶解し、更に必要に応じ希釈剤等を用いて適当な濃度に調製し、バーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコートまたはグラビアロールコート等の公知の方法で基材層に塗工し、次いで熱風乾燥機等を用いて、通常50~200℃で数秒間~数分加熱して乾燥及び硬化させることにより行う。
また、表面保護フィルムが支持フィルムを有する場合は、基材層を支持フィルムと予め貼り合わせておき、基材層の支持フィルムと反対側の面にコート層を形成してもよい。
基材層の形成方法には特に制限はなく、公知のシート成形方法、例えば、押出し法(Tダイ押出法等)、カレンダー法、キャスティング法等を適用することができる。
表面保護フィルムが支持フィルムを有する場合は、基材層を押出成形しながら支持フィルム(例えば、PETフィルム)と貼り合わせる押出ラミネート成形により形成するのが好ましい。
粘着剤層は、基材層側に粘着剤を塗布して形成することもできる。また、支持フィルム上に予め粘着剤を形成しておき、基材層を押出成形しながら、粘着剤付き支持フィルムと貼り合わせる押出ラミネート成形により、支持フィルム/粘着剤層/基材層を有する積層フィルムを形成して粘着剤層を設けることもできる。
<表面保護フィルムの用途>
本発明の表面保護フィルムは、耐チッピングフィルム、ペイントプロテクションフィルム又は車両外装保護用フィルムに好適に用いることができる。
本発明の表面保護フィルムは、自転車、オートバイ、三輪車、自動車、トラック等の車両のほか、鉄道車両、航空機、船舶などにも適用することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で使用した材料、評価した特性の測定方法等は、次の通りである。
[使用材料]
[基材層の材料]
<スチレン系エラストマー>
三菱ケミカル社製、「ゼラス(登録商標)MP7205C」(スチレン系エラストマー、230℃、21Nにおけるメルトフローレート:9g/10分、結晶融解ピーク:133℃) 100質量部
<光安定剤マスターバッチ>
日本ポリプロ社製、「MBU10A」(ヒンダードアミン系光安定剤を10質量部ポリプロピレン系光安定剤マスターバッチ) 4質量部
[コート層の材料]
<アクリルポリオール系樹脂>
日立化成社製「ヒタロイド(登録商標)D1002」(水酸基価200mgKOH/g) 100質量部
<カプロラクトンポリオール>
ダイセル社製「プラクセル(登録商標)FM1D」(分子量358) 16.3質量部
<HDI>
旭化成社製「デュラネート(登録商標)TPA100」 51.2質量部
<耐候助剤>
耐候助剤 5.8質量部
[支持フィルム]
三菱ケミカル社製「ダイアホイル(登録商標)T100-25」(ポリエステル系樹脂フィルム、25μm)
<基材層の調製>
上記のスチレン系エラスマー樹脂100質量部に対して、光安定剤マスターバッチを4質量部添加し、ドライブレンドし混合した。目視にて均一に混合できていることを基材層用の樹脂組成物を得た。
<コート層の調製>
上記のアクリルポリオール系樹脂を100質量部に対して、カプロラクトンポリオールを16.3質量部、HDIを51.2質量部、耐候助剤5.8質量部の配合比で混合して、その混合物をコート層形成用の組成物として使用した。
<フィルムの製造方法>
支持フィルムの片面に、基材層の材料を押出し、キャストロールでラミネートする(押出ラミネーション)ことにより、支持フィルムと基材シートの積層フィルムを得た。支持フィルムを積層することで、タック感のある基材層の材料であっても、フィルム搬送ができ、巻取りが可能となる。巻き取った際にもブロッキングを防止することができる。
次に、支持フィルムをラミネーションした面とは、反対側の面にバーコートにより、コート層を形成し、コート層を備える表面保護フィルムを得た。
使用の際には、支持フィルムを剥離しコート層と反対側の面が接触面となるように貼り付けを行うことができる。
[測定方法]
(1) 引張特性
[引張弾性率]
得られた表面保護フィルムより1号ダンベル試験片を採取した。オートグラフ(島津製作所製AGS-X)を用いて、JIS-K7127:1999を準拠し、23℃、試験片幅10mm、チャック間距離40mm、引張速度50mm/分の条件にて引張弾性率(MPa)を測定した。ここで、表面保護フィルムのMD方向およびTD方向について引張弾性率(MPa)を測定した。得られ結果を表1に示す。
[モジュラス]
得られた表面保護フィルムより1号ダンベル試験片を採取した。オートグラフ(島津製作所製AGS-X)を用いて、JIS-K7127:1999を準拠し、23℃、試験片幅10mm、チャック間距離40mm、引張速度50mm/分の条件にて、100%、200%、300%のモジュラス(MPa)を測定した。ここで、表面保護フィルムのMD方向およびTD方向についてモジュラス(MPa)を測定した。得られ結果を表1に示す。
[10分後100%モジュラス]
モジュラス強度の測定において、100%伸長で停止し、10分間その状態で維持した。次いで、10分保持後のモジュラス強度(MPa)を測定した。ここで、表面保護フィルムのMD方向およびTD方向について10分後100%モジュラス強度(MPa)を測定した。得られ結果を表1に示す。
(2) 破断点強伸度
[引張破断強度]
得られた表面保護フィルムから1号ダンベル試験片を採取した。型卓上試験機(島津製作所製EZ-L)を用いて、JIS-K7127:1999を準拠し、23℃、引張速度300mm/分の条件にて、引張破断強度(MPa)を測定した。ここで、表面保護フィルムのMD方向およびTD方向について引張破断強度(MPa)を測定した。得られ結果を表1に示す。
[引張破断伸度]
得られた表面保護フィルムから1号ダンベル試験片を採取した。型卓上試験機(島津製作所製EZ-L)を用いて、JIS-K7217:1999を準拠し、23℃、引張速度300mm/分の条件にて、引張破断伸度(%)を測定した。ここで、表面保護フィルムのMD方向およびTD方向について引張破断伸度(%)を測定した。得られ結果を表1に示す。
(3) 光学特性
[ヘイズ、全光線透過率、拡散透過率、平行透過率]
得られた表面保護フィルムから試験片を採取し、ヘイズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を用いて、JIS-K7136:2000に準拠し、光源ハロゲンランプ定格5V9W、全光線透過率及び拡散透過率の交照測光方式にて、ヘイズ(%)、全光線透過率(%)、拡散透過率(%)、平行透過率(%)を測定した。ここで、上記ヘイズメーターは、特定光源からサンプルを通して積分球に入る光によって測定する原理になっている。得られた結果を表1に示す。
(4)耐傷つき性
[学振摩耗試験]
得られた表面保護フィルムから試験片を採取し、コート層の側の面が試験面になるよう学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業社製AB-301)に設置した。JISK5701-1を参考にし、表面保護フィルムと接する20mm角の摩擦子に、かなきん3号の綿布を取り付け、500gの荷重をかけた後、表面保護フィルムのコート層の側の面を1000往復(往復速度:3.6m/min、往復距離:120mm)させ試験を行った。
学振摩耗試験は、表面保護フィルムの押出方向(MD)で測定を行った。
[60°光沢値]
得られた表面保護フィルムを使用し、JISK7105に準拠し、携帯用光沢計(村上色彩技術研究所社製光沢計GMX-203)を用いてコート層の側の面の60°光沢値を測定した。
前述した学振摩耗試験を実施する前、実施した後のそれぞれの状態で60°光沢値を測定し、以下の数式により算出した値を学振摩耗試験前後の60°光沢値の変化率として用いた。
Figure 2023150863000003
[評価方法]
<透明性(平行透過率)>
得られた表面保護フィルムの透明性を以下の基準で評価した。
◎:フィルムの平行透過率が89%以上のもの
○:フィルムの平行透過率が89%より小さく、87%以上のもの
×:フィルムの平行透過率が87%より小さいもの
<柔軟性(引張破断伸度)>
得られた表面保護フィルムの柔軟性を以下の基準で評価した。ここで、MD方向とTD方向で大きい方の引張破断伸度で評価した。
◎:フィルムの引張破断伸度が700%以上のもの
○:フィルムの引張破断伸度が700%より小さく、600%以上のもの
△:フィルムの引張破断伸度が600%より小さく、500%以上のもの
×:フィルムの引張破断伸度が500%より小さいもの
<100%モジュラス>
得られた表面保護フィルムの100%モジュラスが以下の基準で評価した。ここで、MD方向とTD方向で大きい方の100%モジュラスで評価した。
◎:100%モジュラスが5MPa以下のもの
○:100%モジュラスが5MPaより大きく、10MPa以下のもの
△:100%モジュラスが10MPaより大きく、20MPa以下のもの
×:100%モジュラスが20MPaより大きい
<200%モジュラス>
得られた表面保護フィルムの200%モジュラスを以下の基準で評価した。ここで、MD方向とTD方向で大きい方も200%モジュラスで評価した。
◎:200%モジュラスが5MPa以下のもの
○:200%モジュラスが5MPaより大きく、7MPa以下のもの
△:200%モジュラスが7MPaより大きく、10MPa以下のもの
×:200%モジュラスが10MPaより大きいもの
<300%モジュラス>
得られた表面保護フィルムの300%モジュラスを以下の基準で評価した。ここで、MD方向とTD方向で大きい方も300%モジュラスで評価した。
◎:300%モジュラスが5MPa以下のもの
○:300%モジュラスが5MPaより大きく、7MPa以下のもの
△:300%モジュラスが7MPaより大きく、10MPa以下のもの
×:300%モジュラスが10MPaより大きいもの
<耐傷つき性(学振摩耗試験前後の60°光沢値の変化率)>
得られた表面保護フィルムの学振摩耗試験前後の60°光沢値の変化率を以下の基準で評価した。
◎:60°光沢値の変化率が1%以下のもの
○:60°光沢値の変化率が1%より大きく、3%以下のもの
△:60°光沢値の変化率が3%より大きく、20%以下のもの
×:60°光沢値の変化率が20%より大きいあるいは測定不可のもの
[実施例1]
支持フィルムの片面に、基材層の材料を押出ラミネーションにより積層し、離形層を有するフィルムを得た。ここでの基材層の材料は、スチレン系エラストマー100質量部に対して、光安定マスターバッチが4質量部となる配合量とした。
次に離形層を有する層と反対側の面に、バーコート法により、コート層の乾燥膜厚が13μmとなるようにコート層を形成し、表面保護フィルムを得た。ここでのコート層の材料は、アクリルポリオール系樹脂100質量部に対して、カプロラクトンポリオールが16.3質量部、HDIが51.2質量部、耐候助剤5.8質量部となる配合量とした。
離型フィルムを剥離し、表1に記載の測定、評価を行った。
表面保護フィルムの300%モジュラスは、MD方向が3.4MPa、TD方向が3.5MPaであり、300%モジュラスが10MPa以下であることから、施工性と伸長性が良好である特性を示した。
表面保護フィルムの200%モジュラスは、MD方向が2.9MPa、TD方向が2.9MPaであり、200%モジュラスが7MPa以下であることから、施工性と伸長性が良好である特性を示した。
引張破断伸度はMD方向が780%、TD方向が808%であり、引張破断伸度が700%以上であることから、柔軟性に優れることを確認した。透明性、耐傷つき性についても良好な結果を示し、車両外装に張り付けた際に外観を阻害しないと判断できる。
[実施例2]
コート層の乾燥膜厚が8μmとなるようにコート層を形成した以外は実施例1と同様に行った。
離型フィルムを剥離し、表1に記載の測定、評価を行った。
表面保護フィルムの300%モジュラスは、MD方向が4.5MPa、TD方向が4.4MPaであり、300%モジュラスが10MPa以下であることから、施工性と伸長性が良好である特性を示した。
表面保護フィルムの200%モジュラスは、MD方向が4.4MPa、TD方向が4.1MPaであり、200%モジュラスが7MPa以下であることから、施工性と伸長性が良好である特性を示した。
引張破断伸度はMD方向が726%、TD方向が619%であり、引張破断伸度が700%以上であることから、柔軟性に優れることを確認した。透明性、耐傷つき性についても良好な結果を示し、車両外装に張り付けた際に外観を阻害しないと判断できる。
[比較例1]
コート層を有さない以外は実施例1と同様に行った。
離型フィルムを剥離し、表1に記載の測定、評価を行った。
表面保護フィルムの300%モジュラスは、MD方向が4.9MPa、TD方向が5.1MPaであり、300%モジュラスが10MPa以下であることから、施工性と伸長性が良好である特性を示した。しかしながら学振摩耗試験において摩擦が大きく測定不可であったことから耐傷つき性に劣る結果となった。
[比較例2]
e-Sugo社製のPVC樹脂製ペイントプロテクションフィルムを用いて、離型フィルムを剥離し、表1に記載の測定、評価を行った。
e-Sugo製のPVC製のペイントプロテクションフィルムの300%モジュラスは、MD方向が25.5MPa、TD方向が21.2MPaであり、300%モジュラスが10MPaより大きく好適な範囲から外れていることから、車両の外面への貼り付け時に追従性が不十分であり、施工性と伸張性に劣り、端部の剥離等が起こる可能性がある。
[比較例3]
3M社製のウレタン樹脂製カーラッピングフィルム「スクラッチガード(登録商標)」を用いて、離型フィルムを剥離し、表1に記載の測定、評価を行った。
スクラッチガード(登録商標)の300%モジュラスは、MD方向が11.2MPa、TD方向が10.9MPaであり、300%モジュラスが10MPaより大きいことから、施工性と伸長性が不十分である。また引張強伸度が500%より小さいことから柔軟性に劣ることが確認された。
Figure 2023150863000004

Claims (10)

  1. ウレタン結合を含まない熱可塑性エラストマーを含有する基材層と、コート層と、を備える表面保護フィルムであって、
    前記表面保護フィルムの300%モジュラスが10MPa以下であることを特徴とする、該表面保護フィルム。
  2. 前記表面保護フィルムの200%モジュラスが7Mpa以下である、請求項1に記載の表面保護フィルム。
  3. 前記表面保護フィルムの引張破断伸度が500%以上である、請求項1又は2に記載の表面保護フィルム。
  4. 前記基材層単体での引張弾性率が50MPa以下である、請求項1~3のいずれかに記載の表面保護フィルム。
  5. 前記熱可塑性エラストマーがスチレン系エラストマーである、請求項1~4のいずれかに記載の表面保護フィルム。
  6. 前記表面保護フィルムの平行透過率が87%以上である、請求項1~5のいずれかに記載の表面保護フィルム。
  7. 前記コート層が、ポリオール系樹脂を含有する、請求項1~6のいずれかに記載の表面保護フィルム。
  8. 前記コート層の膜厚が0.2~50μmである、請求項1~7のいずれかに記載の表面保護フィルム。
  9. 前記基材層のコート層とは反対側の面に粘着剤層を有する、請求項1~8のいずれかに記載の表面保護フィルム。
  10. 耐チッピングフィルム、ペイントプロテクションフィルム、車両外装保護用フィルム、のいずれかに用いられる、請求項1~9のいずれかに記載の表面保護フィルム。
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