JP2023150367A - ウィンドウフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】被着体に貼着した状態で多湿環境下に置かれても、被着体に対する粘着力を好適に維持することができるウィンドウフィルムを提供すること。【解決手段】本発明のウィンドウフィルムは、基材と、前記基材の一方の面側に設けられた粘着剤層とを備えるウィンドウフィルムであって、前記粘着剤層は、紫外線硬化型のアクリル系ポリマーを含むホットメルト粘着剤と、シランカップリング剤とを含む材料を用いて形成されたものであることを特徴とする。前記アクリル系ポリマーは、ベンゾフェノン構造を有する官能基を備えたものであることが好ましい。前記アクリル系ポリマー全体に対する、前記ベンゾフェノン構造を有する官能基の割合が、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、ウィンドウフィルムに関する。
ウィンドウフィルムとは、自動車、船舶、鉄道等の車両、家屋、マンション、オフィスビル等の建築物等の窓ガラスに適用される粘着フィルムであり、太陽光中の紫外線および/または赤外線の遮蔽、プライバシー保護、防犯、ガラスの飛散防止、防曇、汚れの付着防止、装飾等を目的として広く使用されている(例えば、特許文献1)。
また、洗面所、浴室等の鏡に対しても、主に、ガラスの飛散防止、防曇、汚れの付着防止等を目的とした、上記と同様なフィルムが用いられている(例えば、特許文献2)。以下、本明細書では、「ウィンドウフィルム」とは、窓に貼着されるフィルムに加えて、鏡に貼着されるフィルムも含む概念として説明する。
一方、近年、有機溶剤を除去するための乾燥工程の必要がないこと、乾燥工程用の設備を必要とせず、省エネルギー化に寄与すること、揮発性有機化合物(VOC)の発生を抑え、環境負荷の軽減の観点から有利であること等から、従来の溶剤型の熱硬化型粘着剤組成物の代わりに、ホットメルト粘着剤組成物、特に、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物を用いる試みがある。
しかしながら、従来の溶剤型の熱硬化型粘着剤組成物の代わりに、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物を用いて製造されたウィンドウフィルムは、多湿環境下や、水で濡れる環境下で用いられるウィンドウフィルムでは、鏡や窓ガラス等の被着体に対する粘着力の経時的な低下が著しいという問題があった。
特開2020-012082号公報 特開2019-038140号公報
本発明の目的は、被着体に貼着した状態で多湿環境下に置かれても、被着体に対する粘着力を好適に維持することができるウィンドウフィルムを提供することにある。
このような目的は、以下の本発明により達成される。
本発明のウィンドウフィルムは、基材と、前記基材の一方の面側に設けられた粘着剤層とを備えるウィンドウフィルムであって、
前記粘着剤層は、紫外線硬化型のアクリル系ポリマーを含むホットメルト粘着剤と、シランカップリング剤とを含む材料を用いて形成されたものであることを特徴とする。
本発明では、前記材料中における、前記シランカップリング剤の含有量が、前記ホットメルト粘着剤:100質量部に対して、0.005質量部以上7.0質量部以下であることが好ましい。
本発明では、前記アクリル系ポリマーは、ベンゾフェノン構造を有する官能基を備えたものであることが好ましい。
本発明では、前記アクリル系ポリマー全体に対する、前記ベンゾフェノン構造を有する官能基の割合が、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
本発明では、前記基材は、ポリエステルを含む材料で構成されたものであることが好ましい。
本発明では、前記粘着剤層の厚さが、1μm以上100μm以下であることが好ましい。
本発明では、前記粘着剤層の、前記基材とは反対側の面に剥離ライナーが配されていることが好ましい。
本発明によれば、被着体に貼着した状態で多湿環境下に置かれても、被着体に対する粘着力を好適に維持することができるウィンドウフィルムを提供することができる。
本発明のウィンドウフィルムの一構成例を示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]ウィンドウフィルム
まず、本発明のウィンドウフィルムについて説明する。
図1は、本発明のウィンドウフィルムの一構成例を示す断面図である。
ウィンドウフィルム1は、基材2と、基材2の一方の面側に設けられた粘着剤層3とを備えている。そして、粘着剤層3は、紫外線硬化型のアクリル系ポリマーを含むホットメルト粘着剤と、シランカップリング剤とを含む材料を用いて形成されたものである。
これにより、ウィンドウフィルム1が被着体に貼着した状態で多湿環境下に置かれても、被着体に対する粘着力を好適に維持することができる。
特に、被着体の少なくとも表面の一部がガラスで構成されたものである場合に、ガラス表面に水素結合により吸着すること、または、ガラスとの間で-O-Si-O-という共有結合を形成することで、粘着剤層3とガラスとの密着性が優れたものとなる。
[1-1]基材
基材2は、粘着剤層3を支持する機能を有する。
基材2は、いかなる材料で構成されていてもよく、例えば、基材2の構成材料としては、各種樹脂材料等が挙げられるが、基材2は、ポリエステルを含む材料で構成されていることが好ましく、主としてポリエステルで構成されていることがより好ましい。
これにより、ウィンドウフィルム1のハンドリング性が良好なものとなり、ウィンドウフィルム1の被着体への貼着等の作業性が向上する。また、ウィンドウフィルム1の耐久性が良好なものとなる。また、基材2と粘着剤層3との密着性をより優れたものとすることができる。
なお、本明細書において、「主として」とは、対象となる部位のうち最も含有率が高いもののことを言う。
特に、基材2中におけるポリエステルの含有率は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
基材2を構成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられるが、中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
これにより、ウィンドウフィルム1のハンドリング性がより良好なものとなり、ウィンドウフィルム1の被着体への貼着等の作業性がより向上する。また、ウィンドウフィルム1の耐久性がより良好なものとなる。また、後述する材料で構成される粘着剤層3との密着性がさらに良好なものとなる。
基材2は、上記以外の成分を含んでいてもよい。
このような成分としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、改質剤、防錆剤、充填剤、表面潤滑剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、重合禁止剤、架橋剤、触媒、レベリング剤、増粘剤、分散剤等が挙げられる。
基材2は、全体にわたって実質的に均一な組成を有していてもよいし、組成の異なる部位を有していてもよい。例えば、基材2は、互いに組成が異なる(例えば、樹脂材料の分子量が異なる場合等を含む)部位を有する複数の層を備えた積層体であってもよいし、組成が厚さ方向に沿って傾斜的に変化する傾斜材料で構成されていてもよい。
基材2は、粘着剤層3との密着性を高めるための表面処理が施されていてもよい。
このような表面処理としては、例えば、コロナ処理や、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリエチレンイミン系、アクリル系等の接着向上剤の塗布等が挙げられる。
これらの表面処理法は、基材2を構成する材料に応じて適宜選ばれるが、一般には接着向上剤の塗布が効果および操作性等の面から好ましい。
基材2の厚さは、特に限定されないが、10μm以上300μm以下であることが好ましく、15μm以上200μm以下であることがより好ましく、20μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
これにより、ウィンドウフィルム1の耐久性が得られるとともに、ウィンドウフィルム1のハンドリング性が向上し、被着体への貼着等の作業を容易に行うことができる。また、湾曲した被着体への形状追従性等が向上し、皺等の発生が効果的に防止される。
[1-2]粘着剤層
粘着剤層3は、ウィンドウフィルム1を被着体に貼着する際に、被着体に接触し接合する機能を有する。
粘着剤層3は、紫外線硬化型のアクリル系ポリマーを含むホットメルト粘着剤と、シランカップリング剤とを含む材料を用いて形成されたものである。
[1-2―1]ホットメルト粘着剤
ホットメルト粘着剤は、紫外線硬化型のアクリル系ポリマーを含むものである。
ホットメルト粘着剤が紫外線硬化型のアクリル系ポリマーを含むことにより、紫外線の照射による架橋反応を進行させることができ、これにより、形成される粘着剤層3は、凝集力が高いものとなる。
紫外線硬化型のアクリル系ポリマーとしては、紫外線C波反応性基を有するものであるのが好ましい。
これにより、紫外線C波反応性基が、紫外線の照射、特に、紫外線C波の照射による架橋反応に寄与する紫外線反応性基として機能する。
このような紫外線C波反応性基としては、例えば、ベンゾフェノン構造を有する官能基、ベンジル構造を有する官能基、o-ベンゾイル安息香酸エステル構造を有する官能基、チオキサントン構造を有する官能基、3-ケトクマリン構造を有する官能基、2-エチルアントラキノン構造を有する官能基、カンファーキノン構造を有する官能基等が挙げられるが、ベンゾフェノン構造を有する官能基が好ましい。
これにより、架橋反応をより好適に進行させることができる。上記のようなベンゾフェノン構造は、紫外線の照射による架橋反応で、ジフェニルメタノール構造へと変化する。
アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーの重合体または共重合体である。
アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、特に、アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーとして、アルキル基の炭素数が1以上8以下のアルキル(メタ)アクリレートを含んでいることが好ましい。アルキル基の炭素数が1以上8以下のアルキル(メタ)アクリレートの中でも、特に、2-エチルへキシル(メタ)アクリレートおよびブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
紫外線反応性基は、紫外線の照射によって励起されて硬化反応(架橋反応)の引き金となるラジカルを発生させる。紫外線反応性基は、例えば、アクリル系ポリマーの側鎖に導入されている。
紫外線反応性基としてベンゾフェノン構造を有する官能基を備えることで、紫外線に対する反応性をより優れたものとしつつ、紫外線以外の刺激に対する安定性をより優れたものとすることができる。
アクリル系ポリマー全体に対する、ベンゾフェノン構造を有する官能基の割合は、0.1質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上3.0質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、上述した効果をより顕著なものとすることができる。また、粘着剤層3の形成に用いるホットメルト粘着剤のポットライフを長くしつつ、粘着剤層3の粘着性を優れたものとすることができる。
ベンゾフェノン構造を有する官能基を備えるアクリル系ポリマーとしては、例えば、BASF社製の「acResin(登録商標)」等が挙げられる。「acResin(登録商標)」としては、「acResin(登録商標)A250 UV」、「acResin(登録商標)A260 UV」、「acResin(登録商標)A204 UV」、「acResin(登録商標)UV 3532」が挙げられる。
[1-2-2]シランカップリング剤
粘着剤層3は、前述したホットメルト粘着剤とともにシランカップリング剤を含む材料を用いて形成されたものである。
これにより、ウィンドウフィルム1を被着体に貼着した状態で多湿環境下に置いても、被着体に対する粘着力を好適に維持することができる。
シランカップリング剤は、ケイ素原子を含み、分子内に異なる2種以上の反応基を有する化合物であればよいが、以下のような条件を満たすものであるのが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記材料、すなわち、粘着剤層3の形成に用いる材料中における、シランカップリング剤の含有量は、ホットメルト粘着剤:100質量部に対して、0.005質量部以上7.0質量部以下であるのが好ましく、0.05質量部以上5.0質量部以下であるのがより好ましく、0.1質量部以上3.0質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、被着体に対するウィンドウフィルム1の粘着力、特に、被着体に貼着した状態で多湿環境下に置かれた場合の粘着力をより好適に維持することができる。なお、シランカップリング剤の含有量が多すぎると、粘着剤の凝集力が低下して貼付時に粘着剤が変形したり、ウィンドウフィルム1を剥離する際に糊残りが生じやすくなる。
[1-2-3]その他の成分
粘着剤層3は、上記以外の成分を含んでいてもよい。以下、この項目内において、このような成分をその他の成分と言う。
その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合開始剤、光安定剤、熱安定剤、軟化剤、充填剤、着色剤および帯電防止剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ただし、粘着剤層3中におけるその他の成分の含有率は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
[1-2-4]その他の条件
粘着剤層3の厚さは、1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがより好ましく、10μm以上60μm以下であることがさらに好ましい。
これにより、ウィンドウフィルム1の耐久性が得られるとともに、ウィンドウフィルム1のハンドリング性が向上し、被着体への貼着等の作業をより容易に行うことができる。また、湾曲した被着体への形状追従性等が向上し、皺等の発生が効果的に防止される。
[1-3]剥離ライナー
ウィンドウフィルム1では、粘着剤層3の、基材2とは反対側の面に剥離ライナー4が配されていてもよい。
これにより、製造されるウィンドウフィルム1の保管時、搬送時等に、粘着剤層3に埃等が付着してしまったり、粘着剤層3が不本意な部位に貼着してしまったりすることを効果的に防止することができる。
剥離ライナー4は、ウィンドウフィルム1を被着体に貼着する際には、粘着剤層3から剥離される。
剥離ライナー4としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート等の各種樹脂よりなるシートや、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙、上質紙等の各種紙材を基材とし、この基材の粘着剤層3との接触面に、必要により剥離処理が施されたもの等を用いることができる。
剥離処理としては、例えば、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤よりなる剥離剤層の形成等が挙げられる。
剥離ライナー4の厚さは、特に限定されないが、例えば、10μm以上400μm以下であることが好ましい。また、上記の剥離層が設けられる場合の当該剥離層の厚さは、例えば、0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。
[1-4]その他の条件
ウィンドウフィルム1の厚さは、特に限定されないが、11μm以上400μm以下であることが好ましく、18μm以上230μm以下であることがより好ましく、20μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
これにより、ウィンドウフィルム1の耐久性等をより優れたものとすることができるとともに、ウィンドウフィルム1のハンドリング性がさらに向上し、被着体への貼着等の作業をより容易に行うことができる。また、湾曲した被着体への形状追従性等がさらに向上し、皺等の発生がより効果的に防止される。
なお、上記ウィンドウフィルム1の厚さには、剥離ライナー4の厚さは含まれない。言い換えると、被着体に貼着される部分のみの厚さである。
ウィンドウフィルム1は、被着体の外観を損なわないよう、透明であることが好ましい。
なお、本明細書において「透明」とは、可視光領域における透過率が60%以上(上限値100%)であることをいい、80%以上(上限値100%)であることが好ましい。ウィンドウフィルム1の透過率は、JIS A5759:2016(建築窓ガラス用フィルム-可視光線透過率試験)に準じた方法により測定することができる。
ウィンドウフィルム1は、黄色度(YI)が4以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、2.5以下であることがさらに好ましい。
これにより、着色がより好適に抑制されたウィンドウフィルム1が得られ、より優れた透明性や無色性を得ることができ、ウィンドウフィルム1としてより好適である。
なお、ウィンドウフィルム1の黄色度(YI)は、JIS K7373:2006に準じた方法により測定することができる。
ウィンドウフィルム1は、JIS A5759:2016の粘着力の測定法に準拠して、幅25mmに切断したウィンドウフィルム1を、2kgローラーを使用して圧着回数一往復でフロートガラス板に圧着し、23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置後における、180°の角度および剥離速度300mm/minの条件で測定される粘着力が、7.5N/25mm以上であることが好ましく、8.5N/25mm以上であることがより好ましく、9.0N/25mm以上であることがさらに好ましい。
これにより、ウィンドウフィルム1は、被着体に対し、より良好な密着性を有するものとなる。
また、ウィンドウフィルム1は、JIS Z0237:2009の粘着力の測定法に準拠して、幅25mmに切断したウィンドウフィルム1を、2kgローラーを使用して圧着回数一往復でフロートガラス板に圧着し、30℃、相対湿度80%の環境下で24時間放置後における、180°の角度および剥離速度300mm/minの条件で測定される粘着力が、5.0N/25mm以上であることが好ましく、7.5N/25mm以上であることがより好ましく、8.0N/25mm以上であることがさらに好ましい。
これにより、前述したような本発明による効果がより顕著に発揮される。
[2]ウィンドウフィルムの製造方法
次に、ウィンドウフィルムの製造方法について説明する。
ウィンドウフィルム1は、例えば、基材2の一方の面側に、紫外線硬化型のアクリル系ポリマーを含むホットメルト粘着剤と、シランカップリング剤とを含む組成物を付与する粘着剤組成物付与工程と、前記組成物に紫外線を照射することにより、前記組成物を硬化して粘着剤層3とする硬化工程と、を備える方法により、好適に製造することができる。
[2-1]粘着剤組成物付与工程
前記組成物を基材2上に供給する際、前記組成物は、溶融されるように加熱されていればよいが、前記組成物の温度(塗工温度)は、120℃以上210℃以下であるのが好ましく、130℃以上190℃以下であるのがより好ましい。
前記組成物の軟化点は、90℃以上150℃以下であるのが好ましく、100℃以上150℃以下であるのがより好ましい。
前記組成物の160℃における溶融粘度は、2000mPa・s以上13000mPa・s以下であるのが好ましく、4000mPa・s以上12000mPa・s以下であるのがより好ましい。
なお、前記組成物の溶融粘度は、JIS K6862:1984に準じた方法により測定される。
前記組成物の付与方法は、特に限定されないが、溶融押出し法を好適に採用することができる。より具体的には、溶融した前記組成物を、押出機を用いてTダイ等から基材2上に供給する方法を好適に採用することができる。
[2-2]硬化工程
硬化工程では、基材2上に供給された前記組成物に紫外線を照射することにより、前記組成物を硬化して粘着剤層3とする。
紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV-LED、Hバルブ等の無電極ランプバルブ等が用いられる。
紫外線は、前記組成物側から照射するのが好ましい。
[2-3]剥離ライナー積層工程
前記組成物を基材2上に供給した後、前記組成物(粘着剤層3)上に、粘着剤層3を保護するための剥離ライナー4を貼着してもよい。
これにより、ウィンドウフィルム1の保管時、搬送時等に、粘着剤層3に埃等が付着してしまったり、粘着剤層3が不本意な部位に貼着してしまったりすることを効果的に防止することができる。
剥離ライナー4は、ウィンドウフィルム1を被着体に貼着する際には、粘着剤層3から剥離される。
[2-3-1]剥離ライナー
剥離ライナー4としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート等の各種樹脂よりなるシートや、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙、上質紙等の各種紙材を基材とし、この基材の粘着剤層3との接触面に、必要により剥離処理が施されたもの等を用いることができる。
剥離処理としては、例えば、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤よりなる剥離剤層の形成等が挙げられる。
剥離ライナー4の厚さは、特に限定されないが、例えば、10μm以上400μm以下であることが好ましい。また、上記の剥離層が設けられる場合の当該剥離層の厚さは、例えば、0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。
なお、ウィンドウフィルム1の製造方法は、上記のような方法に限定されず、例えば、剥離ライナー4に粘着剤層3形成用の組成物を付与し、その後、剥離ライナー4上に付与された前記組成物と基材2とを接触させる方法を用いて製造してもよい。
剥離ライナー4上への粘着剤層3の形成は、上記の方法と同様にして行うことができる。
また、剥離ライナー積層工程と硬化工程とは、これらの順番を入れ替えて行ってもよい。
これにより、粘着剤層3の表面を好適に平坦化することができる。
硬化工程は、剥離ライナー積層工程より前に、粘着剤の表面側から紫外線の照射することにより行うのが好ましい。
[3]被着体
次に、ウィンドウフィルム1が貼着される被着体について説明する。
ウィンドウフィルム1は、浴室、洗面所等の鏡、住宅、ビル等の建物や、自動車、電車等の乗物の窓ガラス、鏡、ガラスケースやショーウィンドウのガラス等に好適に適用される。
特に、ウィンドウフィルム1は、高温多湿環境、より具体的には、温度30℃以上、相対湿度70%以上となる環境下(例えば、浴室内等)で用いられるものであるのが好ましい。
これにより、前述した本発明による効果がより顕著に発揮される。
また、被着体は、ウィンドウフィルム1が適用される表面に、-Si-OHの化学構造を有するものであることが好ましい。
[4]ウィンドウフィルムの貼着方法
次に、ウィンドウフィルム1の貼着方法について説明する。
ウィンドウフィルム1を被着体に貼着する場合、剥離ライナー4がある場合には、まず剥離ライナー4を剥離して粘着剤層3を露出させ、粘着剤層3を被着体に接触させることにより貼着することができる。ここで、粘着剤層3と被着体との界面に界面活性剤を水に添加した施工液を介して貼着し、その後施工液をスキージと呼ばれる治具を用いて掻きだす、いわゆる水貼りと呼ばれる方法により貼着してもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、ウィンドウフィルムは、前述した以外の構成を有するものであってもよい。より具体的には、例えば、基材と粘着剤層との間に、少なくとも1層の中間層を有していてもよいし、基材の外表面側に少なくとも1層のコート層(ハードコート層等)をさらに有していてもよい。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例中の処理、測定で、温度条件を示していないものについては、室温(23℃)で行った。
[5]ウィンドウフィルムの製造
(実施例1)
まず、基材として、ポリエチレンテレフタレートからなる厚さ50μmのフィルム(東洋紡社製、商品名「コスモシャインA4360」)を用意した。
次に、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤と、シランカップリング剤とを所定の割合で混合して紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物を調製した。紫外線硬化型ホットメルト粘着剤としては、ベンゾフェノン基含有アクリル系ホットメルト粘着剤であるBASF社製、商品名「acResin(登録商標)A250 UV」を用いた。シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた。シランカップリング剤の添加量は、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤:100質量部に対して、0.1質量部とした。
基材の一方の面側に、ホットメルト塗工機により粘着剤組成物を140℃で溶融して厚さ25μmに塗工し、粘着剤組成物付き基材を得た。
次に、紫外線照射装置としての高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製、アイグランテージECS-4011GX)を用いて、基材上に塗工された粘着剤組成物の表面側から、照射強度48mW/cm、積算光量60mJ/cmの条件下にて紫外線を含む光線を照射することにより、粘着剤組成物を硬化させて粘着剤層を形成した。
次に、粘着剤層の表面に剥離ライナーを貼り合わせることにより、剥離ライナー付きのウィンドウフィルムを得た。剥離ライナーとしては、粘着剤層と接触する面に剥離処理を施した、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
(実施例2~14)
紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物の調製に用いるシランカップリング剤の種類、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤に対するシランカップリング剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして、ウィンドウフィルムを製造した。
(比較例1)
紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物として、シランカップリング剤を添加していない紫外線硬化型ホットメルト粘着剤を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、ウィンドウフィルムを製造した。
[6]粘着力の評価
得られたウィンドウフィルムにつき、以下の評価を行った。
まず、JIS A5759:2016の粘着力の測定法に準拠して、ウィンドウフィルムを幅25mm、長さ250mmに切断してサンプルとした。続いて、剥離フィルムを除去したウィンドウフィルムの粘着剤層面を、フロートガラス板に、温度23℃、相対湿度50%の環境下で質量2kgのゴムローラを1往復させて圧着させた。
23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置した後に、引張試験機を用い、JIS A5759:2016の粘着力の測定法に準じて、180°の角度および剥離速度300mm/minの条件でサンプルを剥離し、その際の粘着力を測定した。
また、ウィンドウフィルムの圧着時およびウィンドウフィルムを圧着した後のフロートガラスを放置する際の雰囲気を、温度30℃、相対湿度80%に変更して、JIS Z0237:2009に準拠して、サンプルのウィンドウフィルムの剥離時の粘着力を測定した。
粘着力が7.5N/25mm以上の場合を「○」(合格)とし、5.0N/25mm以上7.5N/25mm未満の場合を「△」(合格)とし、5.0N/25mm未満の場合を「×」(不合格)とした。
表1に、前記各実施例および比較例について、粘着剤層の構成ととともに、上記の評価の結果をまとめて示す。表1中、ベンゾフェノン基含有アクリル系ホットメルト粘着剤であるacResinUV(BASF社製)を「acResin」、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを「C1」、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを「C2」、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシランを「C3」、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンを「C4」、メルカプト基含有オリゴマーであるKR-519(信越化学工業社製)を「C5」、3-アミノプロピルトリメトキシシランを「C6」、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を「C7」、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランを「C8」、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンを「C9」と示した。また、表1中、シランカップリング剤の添加量としては、ホットメルト粘着剤:100質量部に対する割合を示した。
Figure 2023150367000002
表1から明らかなように、紫外線硬化型のアクリル系ポリマーを含むホットメルト粘着剤とともに、シランカップリング剤を用いた前記各実施例では、被着体に貼着した状態で多湿環境下に放置した後でも高い粘着力を確保しており、良好な結果が得られた。これに対し、比較例では、満足の行く結果が得らなかった。
1:ウィンドウフィルム
2:基材
3:粘着剤層
4:剥離ライナー

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材の一方の面側に設けられた粘着剤層とを備えるウィンドウフィルムであって、
    前記粘着剤層は、紫外線硬化型のアクリル系ポリマーを含むホットメルト粘着剤と、シランカップリング剤とを含む材料を用いて形成されたものであることを特徴とするウィンドウフィルム。
  2. 前記材料中における、前記シランカップリング剤の含有量が、前記ホットメルト粘着剤:100質量部に対して、0.005質量部以上7.0質量部以下である、請求項1に記載のウィンドウフィルム。
  3. 前記アクリル系ポリマーは、ベンゾフェノン構造を有する官能基を備えたものである請求項1または2に記載のウィンドウフィルム。
  4. 前記アクリル系ポリマー全体に対する、前記ベンゾフェノン構造を有する官能基の割合が、0.1質量%以上5.0質量%以下である請求項3に記載のウィンドウフィルム。
  5. 前記基材は、ポリエステルを含む材料で構成されたものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載のウィンドウフィルム。
  6. 前記粘着剤層の厚さが、1μm以上100μm以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載のウィンドウフィルム。
  7. 前記粘着剤層の、前記基材とは反対側の面に剥離ライナーが配されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載のウィンドウフィルム。
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