JP2023150216A - 冷凍装置 - Google Patents

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Nobutaka KABASHIMA
正喜 山口
Masaki Yamaguchi
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Abstract

【課題】圧縮機のケーシング内の油貯まり部の油の濃度を精度よく推定できる冷凍装置を提供する。【解決手段】冷凍装置は、内部流路(54)の下側に形成される油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて油貯まり部(56)の油の濃度を推定する制御部(C)を備えている。【選択図】図2

Description

本開示は、冷凍装置に関する。
従来より、冷凍サイクルを行う冷凍装置が知られている。特許文献1に開示の冷凍装置は、圧縮機の吸入配管に冷媒の液戻り量を検出する手段を設け、検出した液戻り量に基づいて圧縮機内の潤滑油の濃度を求めている。
特開平05-87428号公報
特許文献1に記載の冷凍装置では、圧縮機内の油貯まり部に対して冷媒がどれだけ溶け込むかを運転条件に応じて正確に把握できない。このため、圧縮機内の油貯まり部の油の濃度を精度よく推定できなかった。
本開示の目的は、圧縮機のケーシング内の油貯まり部の油の濃度を精度よく推定できる冷凍装置を提供することである。
第1の態様は、冷凍装置を対象とし、
ケーシング(50)と、該ケーシング(50)の内部に収容される圧縮機構(52)および電動機(51)と、前記ケーシング(50)に接続される吐出管(55)とを有するとともに、前記圧縮機構(52)から吐出された冷媒が前記ケーシング(50)の内部流路(54)を通過して前記吐出管(55)に送られる圧縮機(21)と、
前記内部流路(54)の下側に形成される油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて前記油貯まり部(56)の油の濃度を推定する制御部(C)とを備えている。
油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とがわかれば、油貯まり部(56)の油に対して冷媒がどれだけ溶け込むかを推定できる。そこで、第1の態様の制御部(C)は、油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて、油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。これにより、油の濃度を精度よく推定できる。
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部(C)は、前記内部流路(54)を通過する前の冷媒の温度と、高圧圧力と、前記圧縮機(21)の回転数と、前記電動機(51)の発熱量とを変数とする関係式により前記油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。
第2の態様の制御部(C)は、上記の関係式に基づき、油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量および蒸発量を求め、油貯まり部(56)における油の濃度を推定する。これにより、油の濃度を精度よく推定できる。
第3の態様は、第2の態様において、前記関係式は、機械学習によって決定される。
第3の態様では、機械学習により決定された関係式に基づいて、油の濃度を推定するため、油の濃度をさらに精度よく推定できる。
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記制御部(C)は、前記圧縮機(21)が起動時に前記油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。
圧縮機(21)の起動時には、冷媒が油に溶け込みやすいため、油貯まり部(56)における油の濃度が変動しやすい。第4の態様では、このように油の濃度が変動しやすい条件下において、制御部(C)が、冷媒の凝縮量や蒸発量に基づいて油の濃度を推定する。このため、圧縮機(21)の起動時において、冷媒が油に溶け込むことで油の濃度が過剰に低下したりすることを速やかに把握できる。
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記制御部(C)は、前記圧縮機(21)の吐出冷媒が湿り状態である、または該吐出冷媒の過熱度が所定値よりも低いときに、前記油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。
圧縮機(21)の吐出冷媒が湿り状態、あるいは過熱度が所定値よりも低い場合、冷媒が凝縮して油貯まり部(56)の油に溶け込み油貯まり部(56)の油の濃度が低下している可能性がある。そこで、第5の態様の制御部(C)は、吐出冷媒が湿り状態である、または吐出冷媒の過熱度が所定値よりも低いときに、油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。これにより、油貯まり部(56)の油の濃度の低下を確実に把握できる。
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記制御部(C)は、前記油の濃度が所定値より高い場合に、前記圧縮機(21)の回転数を大きくする。
第6の態様では、油の濃度が高く、圧縮機(21)の摺動部の潤滑不良が生じにくいときには、制御部(C)が圧縮機(21)の回転数を大きくする。これにより、冷凍装置の能力を速やかに増大できる。
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記制御部(C)は、前記油の濃度が所定値より低い場合に、前記圧縮機(21)の回転数を小さくする。
第7の態様では、油の濃度が低いときに、制御部(C)が圧縮機(21)の回転数を小さくする。これにより、圧縮機(21)の吐出冷媒の圧力が低下するため、圧縮機(21)内の冷媒の飽和温度が下がり、冷媒が蒸発し易くなる。これにより、油貯まり部(56)の油の濃度を増大でき、圧縮機(21)の信頼性を確保できる。
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、膨張弁(26,41)を備え、前記制御部(C)は、前記油の濃度が所定値より低い場合に、前記圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度を大きくするように前記膨張弁(26,41)の開度を小さくする。
第8の態様では、油の濃度が低いときに、制御部(C)が膨張弁(26,41)の開度を小さくする。これにより、圧縮機(21)の内部流路(54)を乾いた状態の冷媒が流れるので、油貯まり部(56)の油の濃度を増大でき、圧縮機(21)の信頼性を確保できる。
図1は、実施形態に係る空気調和装置の配管系統図である。 図2は、空気調和装置の主要機器を示すブロック図である。 図3は、圧縮機を拡大した概略構成図である。 図4は、油貯まり部の油の濃度を推定する制御のフローチャートである。 図5は、油濃度に基づく冷媒回路の制御例を示すフローチャートである。 図6は、変形例1に係る図5に相当する図である。 図7は、変形例2に係る図3に相当する図である。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
《実施形態》
(1)空気調和装置の概要
空気調和装置(10)は、本開示の冷凍装置の一例である。図1は、空気調和装置(10)の配管系統図である。空気調和装置(10)は、対象空間の空気の温度を調節する。本例の対象空間は、ビルなどの室内空間である。空気調和装置(10)は、対象空間の冷房および暖房を行う。本例の空気調和装置(10)は、1つの熱源ユニット(20)と、複数の利用ユニット(40)と、連絡配管(12)と、制御部(C)とを有する。複数の利用ユニット(40)と熱源ユニット(20)とは、連絡配管(12)を介して互いに接続される。この接続により、閉回路である冷媒回路(11)が構成される。
冷媒回路(11)は、熱源ユニット(20)に設けられる熱源回路(20a)と、各利用ユニット(40)にそれぞれ設けられる利用回路(40a)とを含む。連絡配管(12)は、第1連絡配管(13)と第2連絡配管(14)とを含む。
第1連絡配管(13)は、液連絡配管である。第1連絡配管(13)は、第1主管(13a)と、第1主管(13a)から分岐する複数の第1分岐管(13b)とを含む。第1主管(13a)の一端は、液閉鎖弁である第1閉鎖弁(15)を介して熱源回路(20a)に接続する。複数の第1分岐管(13b)のそれぞれの一端は、第1主管(13a)と接続する。複数の第1分岐管(13b)のそれぞれの他端は、対応する利用回路(40a)に接続する。
第2連絡配管(14)は、ガス連絡配管である。第2連絡配管(14)は、第2主管(14a)と、第2主管(14a)から分岐する複数の第2分岐管(14b)とを含む。第2主管(14a)の一端は、ガス閉鎖弁である第2閉鎖弁(16)を介して熱源ユニット(20)に接続する。複数の第2分岐管(14b)のそれぞれの一端は、第2主管(14a)と接続する。複数の第2分岐管(14b)のそれぞれの他端は、対応する利用ユニット(40)に接続する。
(1-1)熱源ユニット
熱源ユニット(20)は、室外に配置される室外ユニットである。熱源ユニット(20)は、例えばビルなどの屋上や地上に配置される。
熱源ユニット(20)は、圧縮機(21)、熱源熱交換器(22)、熱源ファン(23)、およびアキュムレータ(24)を有する。熱源ユニット(20)は、冷媒の流路を切り換える四方切換弁(25)と、熱源膨張弁(26)とを有する。
圧縮機(21)は、吸入した冷媒を圧縮する。圧縮機(21)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(21)は、スクロール型の回転式圧縮機である。圧縮機(21)は、揺動ピストン式、ローリングピストン式、スクリュー式などの他の回転式圧縮機でああってもよい。圧縮機(21)は、インバータ装置により運転周波数(回転数)が可変に構成される。
熱源熱交換器(22)は、室外熱交換器である。熱源熱交換器(22)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。熱源熱交換器(22)は、その内部を流れる冷媒と室外空気とを熱交換させる。熱源熱交換器(22)は、本開示の放熱器および蒸発器として機能する。
熱源ファン(23)は、室外において熱源熱交換器(22)の近傍に配置される。熱源ファン(23)は、熱源熱交換器(22)を通過する空気を搬送する。
四方切換弁(25)は、切換機構の一例である。四方切換弁(25)は、冷房サイクルである第1冷凍サイクルと、暖房サイクルである第2冷凍サイクルとを切り換えるように、冷媒回路(11)の流路を変更する。四方切換弁(25)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、第3ポート(P3)、および第4ポート(P4)を有する。四方切換弁(25)の第1ポート(P1)は、圧縮機(21)の吐出部と繋がる。四方切換弁(25)の第2ポート(P2)は、アキュムレータ(24)を介して圧縮機(21)の吸入部と繋がる。四方切換弁(25)の第3ポート(P3)は、第2閉鎖弁(16)を介して第2連絡配管(14)と繋がる。四方切換弁(25)の第4ポート(P4)は、熱源熱交換器(22)のガス端と繋がる。
四方切換弁(25)は、第1状態と第2状態とに切り換わる。第1状態(図1の実線で示す状態)の四方切換弁(25)は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とを連通し且つ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とを連通する。第2状態(図1の破線で示す状態)の四方切換弁(25)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通し、第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通する。
アキュムレータ(24)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。アキュムレータ(24)は、中空の円筒状の容器である。アキュムレータ(24)には、戻し管(65)が接続される。戻し管(65)には、第1開閉弁(66)が設けられる。第1開閉弁(66)は、電磁開閉弁であるが、開度が調節可能な電動弁であってもよい。
熱源膨張弁(26)は、冷媒を減圧する。熱源膨張弁(26)は、室外膨張弁である。熱源膨張弁(26)は、熱源回路(20a)において、第1閉鎖弁(15)と熱源熱交換器(22)の間に配置される。熱源膨張弁(26)は、開度が調節可能な電子膨張弁である。熱源膨張弁(26)は、本開示の膨張弁として機能する。
熱源ユニット(20)は、油戻し機構を有する。油戻し機構は、油分離器(31)と、油管(32)と、第2開閉弁(33)と、キャピラリーチューブ(34)とを有する。油分離器(31)は、圧縮機(21)の吐出部に設けられる。油分離器(31)は、圧縮機(21)から吐出された冷媒中から油を分離する。油管(32)は、その流入端が油分離器(31)に接続し、その流出端が圧縮機(21)の油貯まり部(56)(詳細は後述する)と連通する。第2開閉弁(33)は、油戻し管(65)に設けられる。第2開閉弁(33)は、電磁開閉弁であるが、開度が調節可能な電動弁であってもよい。キャピラリーチューブ(34)は、油管(32)に設けられる。キャピラリーチューブ(34)は、減圧部の一例である。減圧部は、開度が調節可能な電動弁(膨張弁)であってもよい。
熱源ユニット(20)は、制御部(C)に含まれる第1制御装置(C1)を有する。
(1-2)利用ユニット
利用ユニット(40)は、ビルなどの室内に設置される室内ユニットである。利用ユニット(40)は、利用膨張弁(41)、利用熱交換器(42)、および利用ファン(43)を有する。
利用膨張弁(41)は、冷媒を減圧する。利用膨張弁(41)は、室内膨張弁である。利用膨張弁(41)は、利用回路(40a)における利用熱交換器(42)の液側の流路に配置される。利用膨張弁(41)は、開度が調節可能な電子膨張弁である。利用膨張弁(41)は、本開示の膨張弁として機能する。
利用熱交換器(42)は、室内熱交換器である。利用熱交換器(42)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。利用熱交換器(42)は、その内部を流れる冷媒と室内空気とを熱交換させる。利用熱交換器(42)は、本開示の蒸発器および放熱器として機能する。
利用ファン(43)は、室内において利用熱交換器(42)の近傍に配置される。利用ファン(43)は、利用熱交換器(42)を通過する空気を搬送する。
利用ユニット(40)は、制御部(C)に含まれる第2制御装置(C2)を有する。各利用ユニット(40)の第2制御装置(C2)と、第1制御装置(C1)とは、第1通信線(W1)を介して互いに接続される。第1通信線(W1)は、有線または無線である。
(1-3)圧縮機の詳細
図3に示すように、圧縮機(21)は、ケーシング(50)と、ケーシング(50)の内部に収容される電動機(51)および圧縮機構(52)を有する。圧縮機(21)は、電動機(51)と圧縮機構(52)とを連結する回転軸(53)を有する。ケーシング(50)は、中空の縦長の容器である。ケーシング(50)の内部は、圧縮機構(52)から圧縮された吐出冷媒が満たされる。圧縮機(21)は、いわゆる高圧ドーム型である。ケーシング(50)の内部には、吐出冷媒が流れる内部流路(54)が形成される。ケーシング(50)の外部は、外気雰囲気となる。
電動機(51)は、ステータ(51a)とロータ(51b)とを有する。ステータ(51a)は、ケーシング(50)の内周面に固定される。ステータ(51a)は、ステータコアと、ステータコアに巻回されるコイルとを有する(図示省略)。ロータ(51b)は、ステータ(51a)の内部に配置され、回転軸(53)と連結する。電動機(51)では、コイルが通電することで回転磁界が形成される。この回転磁界によりロータ(51b)および回転軸(53)が回転する。
圧縮機構(52)は、回転軸(53)によって駆動される。圧縮機構(52)は、その内部の圧縮室において冷媒を圧縮する。圧縮機構(52)には、圧縮室で圧縮した冷媒が吐出される吐出ポート(52a)が形成される。本例の圧縮機構(52)の吐出ポート(52a)は、ケーシング(50)の上壁(50b)の近傍に位置する。吐出ポート(52a)は、ケーシング(50)の上壁(50b)に対向するように上方を向いて開口している。
ケーシング(50)の胴部(50a)には、吐出管(55)が接続される。吐出管(55)の入口端はケーシング(50)の内部に連通し、吐出管(55)の出口端は冷媒回路(11)の高圧ガスラインと繋がる。
ケーシング(50)の内部には、圧縮機構(52)の吐出ポート(52a)から吐出管(55)までの間に内部流路(54)が形成される。圧縮機構(52)の吐出ポート(52a)から吐出された冷媒は、内部流路(54)において電動機(51)の周囲を通過した後、吐出管(55)に送られる。
ケーシング(50)の底部には、油貯まり部(56)が形成される。油貯まり部(56)には、冷凍機油である油が貯まる。油は、圧縮機(21)内の摺動部の潤滑油である。冷凍機油は、回転軸(53)に形成された油通路を介して圧縮機構(52)や軸受け(図示省略)の摺動部に供給される。ケーシング(50)の油貯まり部(56)には、油戻し管(65)の流出端が連通する。
圧縮機(21)は、ケースヒータ(68)を有する。ケースヒータ(68)は、油貯まり部(56)の油を加熱する加熱部の一例である。ケースヒータ(68)は、例えばケーシング(50)の下部において油貯まり部(56)に対応する位置に設けられる。ケースヒータ(68)は、胴部(50a)の周囲に巻き付けられる。ケースヒータ(68)は、圧縮機(21)の停止時においてON状態となる。これにより、圧縮機(21)の停止時において、油貯まり部(56)の油の温度が低くなることを抑制でき、圧縮機(21)内の冷媒が油貯まり部(56)に貯まることを抑制できる。
(1-4)センサ
図2および図3に示すように、空気調和装置(10)は、複数のセンサを備える。複数のセンサは、吐出温度センサ(71)と、吐出圧力センサ(72)と、吸入圧力センサ(73)と、ポート温度センサ(74)とを含む。
本実施形態の吐出温度センサ(71)は、吐出管(55)に設けられる。吐出温度センサ(71)は、圧縮機(21)から吐出される冷媒の温度を検出する。厳密には、吐出温度センサ(71)は、圧縮機構(52)から吐出される冷媒の温度を検出する。
吐出圧力センサ(72)は、冷媒回路(11)の高圧ガスラインの圧力(高圧圧力)を検出する。吐出圧力センサ(72)は、吐出管(55)に設けられ、吐出冷媒の圧力を検出する。
吸入圧力センサ(73)は、冷媒回路(11)の低圧ガスラインの圧力(低圧圧力)を検出する。吸入圧力センサ(73)は、吸入管(64)に設けられ、吸入冷媒の圧力を検出する。吸入圧力センサ(73)は、低圧ガスラインのうちアキュムレータ(24)の上流側に設けられてもよい。
ポート温度センサ(74)は、圧縮機構(52)の吐出ポート(52a)から吐出された直後の冷媒の温度を検出する。ポート温度センサ(74)は、吐出ポート(52a)の近傍に配置される。本実施形態のポート温度センサ(74)は、ケーシング(50)の外部に設けられる。ポート温度センサ(74)は、ケーシング(50)のうち吐出ポート(52a)に対向する部分に取り付けられる。ケーシング(50)のうち吐出ポート(52a)に対向する部分の温度は、圧縮機構(52)から吐出された直後の冷媒の温度と同等となる。このため、ポート温度センサ(74)をケーシング(50)に容易に取り付けることができるとともに、圧縮機構(52)から吐出された冷媒の温度を容易に検出できる。
空気調和装置(10)は、圧縮機(21)の回転数を計測する回転数検知部(75)を備える。回転数検知部(75)は、例えば電動機(51)の電流値や回転数を計測し、圧縮機(21)の回転数を求める。圧縮機(21)の回転数は、電動機(51)の発熱量を推定することにも利用される。言い換えると、回転数検知部(75)は、電動機(51)の発熱量を取得する発熱量取得部を兼用する。
(1-5)制御部
制御部(C)は、空気調和装置(10)の動作を制御する。制御部(C)は、第1制御装置(C1)と第2制御装置(C2)とを含む。第1制御装置(C1)および第2制御装置(C2)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
第1制御装置(C1)は、熱源ユニット(20)側の熱源制御部である。第1制御装置(C1)は、圧縮機(21)、熱源ファン(23)、四方切換弁(25)、熱源膨張弁(26)、第1開閉弁(66)、第2開閉弁(33)、およびケースヒータ(68)を制御する。具体的には、第1制御装置(C1)は、圧縮機(21)の運転および停止と、圧縮機(21)の回転数と、熱源ファン(23)の運転および停止と、熱源ファン(23)の回転数と、四方切換弁(25)の流路の連通状態と、熱源膨張弁(26)の開度と、第1開閉弁(66)の開閉状態と、第2開閉弁(33)の開閉状態と、ケースヒータ(68)のON/OFF状態を制御する。
第2制御装置(C2)は、利用ユニット(40)側の利用制御部である。第2制御装置(C2)は、利用ファン(43)および利用膨張弁(41)を制御する。第2制御装置(C2)は、利用ファン(43)の回転数と、利用膨張弁(41)の開度とを制御する。
制御部(C)は、油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて前記油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。具体的には、制御部(C)は、内部流路(54)を通過する前後のそれぞれの冷媒の温度及び圧力と、圧縮機(21)の回転数と、電動機(51)の発熱量とを変数とする関係式(詳細は後述する)により油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。
制御部(C)は、圧縮機(21)の起動時において、油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。制御部(C)は、推定した油の濃度に基づき冷媒回路(11)を制御する。具体的には、本実施形態の制御部(C)は、推定した油の濃度に基づき圧縮機(21)の回転数を制御する。
(1-6)記憶部
制御部(C)は、記憶部(M)を有する。記憶部(M)は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などで構成される。
記憶部(M)には、油貯まり部(56)の油の濃度を推定するためのデータが記憶される。データは、関係式(厳密には、回帰式)を含んでいる。本実施形態の記憶部(M)は、第1制御装置(C1)に設けられる。回帰式は、ディープラーニング等を用いた機械学習によって決定される。具体的には、製造メーカなどの作業者は、既存の複数の空気調和装置の運転データを取得する。回帰式は、この運転データを入力値として機械学習によって得られる。厳密には、詳細は後述する関係式の係数が機械学習によって取得される。得られた関係式は、空気調和装置(10)の製造段階において、記憶部(M)に記憶される。
(2)運転動作
空気調和装置(10)の運転動作について図1を参照しながら説明する。空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。図1では、冷房運転時の冷媒の流れを実線矢印で示し、暖房運転時の冷媒の流れを破線矢印で示している。
(2-1)冷房運転
冷房運転では、第1制御装置(C1)が圧縮機(21)および熱源ファン(23)を運転させ、四方切換弁(25)を第1状態とし、熱源膨張弁(26)を全開とする。第2制御装置(C2)が利用ファン(43)を運転させ、利用膨張弁(41)を所定開度に調節する。
冷房運転時の冷媒回路(11)は、第1冷凍サイクルを行う。第1冷凍サイクルでは、熱源熱交換器(22)が放熱器(厳密には、凝縮器)として機能し、利用熱交換器(42)が蒸発器として機能する。
具体的には、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。熱源熱交換器(22)で凝縮した冷媒は、第1連絡配管(13)を流れ、各利用回路(40a)に分流する。各利用回路(40a)では、冷媒が利用膨張弁(41)で減圧された後、利用熱交換器(42)を流れる。利用熱交換器(42)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。各利用熱交換器(42)で蒸発した冷媒は、第2連絡配管(14)で合流した後、アキュムレータ(24)を通過し、圧縮機(21)に吸入される。
(2-2)暖房運転
暖房運転では、第1制御装置(C1)が圧縮機(21)および熱源ファン(23)を運転させ、四方切換弁(25)を第2状態とし、熱源膨張弁(26)を所定開度に調節する。第2制御装置(C2)が利用ファン(43)を運転させ、利用膨張弁(41)を所定開度に調節する。
暖房運転時の冷媒回路(11)は、第2冷凍サイクルを行う。第2冷凍サイクルでは、利用熱交換器(42)が放熱器(厳密には、凝縮器)として機能し、熱源熱交換器(22)が蒸発器として機能する。
具体的には、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、第2連絡配管(14)を流れ、各利用回路(40a)に分流する。各利用回路(40a)では、冷媒が利用熱交換器(42)を流れる。利用熱交換器(42)では、冷媒が室内空気に放熱して凝縮する。各利用熱交換器(42)で凝縮した冷媒は、各利用膨張弁(41)で減圧されたのち、第1連絡配管(13)で合流する。第1連絡配管(13)の冷媒は、熱源膨張弁(26)で減圧された後、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。熱源熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、アキュムレータ(24)を通過し、圧縮機(21)に吸入される。
(3)油の濃度の推定
制御部(C)は、油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。推定した油の濃度は、圧縮機(21)の摺動部の潤滑不良を抑制することに役立つ。
(3-1)油の濃度の推定の概要
制御部(C)が油貯まり部(56)の油の濃度を推定する制御(以下、推定制御ともいう)の概要について、図4を参照しながら説明する。制御部(C)は、圧縮機(21)の起動時において推定制御を行う。
ステップS11では、制御部(C)は、油貯まり部(56)に貯まった初期の油量、および初期の冷媒量を取得する。ここで、初期の油量は、推定制御の開始時における油貯まり部(56)の油量[kg]であり、初期の冷媒量は、推定制御の開始時における油貯まり部(56)の冷媒量[kg]である。
ステップS12では、制御部(C)は、ケーシング(50)の温度を取得する。ケーシング(50)の温度は、例えばケーシング(50)の胴部(50a)の温度である。
ステップS13では、制御部(C)は、内部流路(54)を流れる前の冷媒の比エンタルピh1と、吐出冷媒の飽和ガスの比エンタルピh2とを取得する。内部流路(54)を流れる前の冷媒は、圧縮機構(52)から内部流路(54)に吐出された直後の冷媒である。内部流路(54)を流れる前の冷媒の比エンタルピh1は、この冷媒の温度と圧力とに基づいて求められる。この冷媒の温度は、ポート温度センサ(74)によって検出できる。この冷媒の圧力は、吐出圧力センサ(72)によって検出される。飽和ガスの比エンタルピh2は、ケーシング(50)の内圧ないし吐出管(55)の圧力に基づいて求められる。具体的には、飽和ガスの比エンタルピh2は、吐出圧力センサ(72)によって検出された圧力に基づいて求められる。
ステップS14では、制御部(C)は、モータ発熱量を取得する。モータ発熱量は、圧縮機(21)の運転に伴い電動機(51)から発する熱量である。制御部(C)は、回転数検知部(75)で検出した電動機(51)の回転数や、電動機(51)の電流値などに基づきモータ発熱量を推定する。
ステップS15では、制御部(C)は、油戻り量を取得する。油戻り量は、油分離器(31)から油管(32)を経由して油貯まり部(56)に返送される油の流量[kg/sec]である。油戻り量は、冷媒回路(11)の高低差圧、油管(32)の圧力損失、第2開閉弁(33)の圧力損失、キャピラリーチューブ(34)の圧力損失などに基づいて推定できる。
ステップS16では、制御部(C)は、油上がり量を取得する。油上がり量は、油貯まり部(56)から吐出管(55)に流出する油の流量[kg/sec]である。油戻り量は、圧縮機(21)の回転数特性に基づいて推定できる。
ステップS17では、制御部(C)は、記憶部(M)に記憶された関係式に基づき、現在の油貯まり部(56)の油濃度を推定する。油濃度は、油貯まり部(56)に貯まった、油に冷媒が溶け込んだ流体のうち、実際の油が占める割合を意味する。
なお、ステップS11~S16の順序は単なる一例であり、これらのステップを異なる順序としてもよい。
(3-2)初期の油量、および初期の冷媒量の取得
ステップS11における初期の油量、および初期の冷媒量の取得方法の例を説明する。
制御部(C)は、推定制御の開始時における油貯まり部(56)の油面の高さ、および初期の油の濃度を推定する。制御部(C)は、油面高さ、および初期の油の濃度から初期の油量、および初期の冷媒量を推定する。
ここで、推定制御の開始時の油面高さは、例えば油面高さセンサで検出してもよい。また、圧縮機(21)を起動してから冷媒回路(11)の高低差圧が所定値になるまでの間の圧縮機(21)の回転数と油面高さの特性に関するデータを用いて、油面高さを推定してもよい。あるいは、前回の圧縮機(21)の停止前に、油面高さが所定の目標高さとなるように冷媒回路(11)で油戻し運転を行い、この目標高さを推定制御の開始時の油面高さとしてもよい。あるいは、油面高さに影響を与える指標を変数として油面高さを推定する回帰式を機械学習によって取得し、この回帰式により推定制御の開始時の油面高さを求めてもよい。油面高さに影響を与える指標としては、圧縮機(21)の回転数、ケーシング(50)内の圧力、圧縮機構(52)の高低差圧などがある。
初期の油の濃度は、油貯まり部(56)の油に冷媒が飽和状態で溶け込んだとみなして推定できる。つまり、初期の油の濃度は、油に対する冷媒の溶解度によって算出できる。溶解度は、ケーシング(50)の内部の温度および圧力から算出できる。ケーシング(50)の内部の温度は、吐出温度センサ(71)により検出でき、ケーシング(50)の内部の圧力は、吐出圧力センサ(72)により検出できる。
以上のようにして取得された初期の油面高さ、および初期の油の濃度に基づき、制御部(C)は、初期の油量、および初期の冷媒量を算出する。
(3-3)ケーシングの温度の取得
ステップS12におけるケーシング(50)の温度の取得方法の例を説明する。
制御部(C)は、ケーシング(50)の温度を取得する。ケーシング(50)の温度は、温度センサによって検出してもよい。
あるいは、制御部(C)は、吐出温度センサ(71)やポート温度センサ(74)の検出温度をケーシング(50)の初期の温度とし、その後は、このケーシング(50)の初期の温度に、ケーシング(50)の温度変化を加えることで、ケーシング(50)の温度を時々刻々と推定してもよい。ケーシング(50)の温度変化は、例えばケーシング(50)が内部流路(54)を流れる冷媒から受けた熱量、ケーシング(50)の質量、ケーシング(50)の比熱に基づいて推定できる。
(3-4)関係式に基づく油濃度の推定
ステップS17では、制御部(C)は、ステップS11~ステップS16で取得した各パラメータと、記憶部(M)に記憶された関係式とに基づいて、油貯まり部(56)の油濃度を時々刻々と推定する。油濃度は、以下の関係式に基づいて算出される。
油貯まり部(56)の油濃度は、[数1]式で表すことができる。ここで、油量[kg]は、油貯まり部(56)に存在する純粋な油の質量であり、冷媒量[kg]は、油貯まり部(56)に存在する純粋な冷媒の質量である。
油貯まり部(56)の油量は、[数2]式に示すように、推定制御の開始時の初期油量に、油戻り量から油上がり量を差し引いた値のt時間毎の積分値を時々刻々と加えることで算出できる。初期油量、油戻り量、および油上がり量は、上述のようにして推定できる。
油貯まり部(56)の冷媒量は、[数3]式に示す様に、推定制御の開始時の初期冷媒量に、冷媒取込量から冷媒放出量を差し引いた値のt時間毎の積分値を時々刻々と加えることで算出できる。
ここで、[数3]式における冷媒取込量は、以下の[数4]式により算出できる。
[数4]式の冷媒取込量[kg/sec]は、油貯まり部(56)に取り込まれる冷媒の質量流量である。冷媒取込量は、冷媒凝縮量[kg/sec]と冷媒戻り量[kg/sec]との和で表される。冷媒戻り量は、油管(32)から戻る油中に含まれる冷媒の質量流量である。したがって、冷媒戻り量は、油管(32)からの油戻り量と、油管(32)から油貯まり部(56)へ戻る油の濃度、あるいは冷媒の濃度から推定できる。油管(32)から油貯まり部(56)へ戻る油の濃度は、推定制御により前回推定した油の濃度を用いることができる。油貯まり部(56)の油の濃度と、油管(32)から戻る油の濃度は略同一だからである。制御部(C)は、キャピラリーチューブ(34)などの減圧部の減圧に伴う冷媒の蒸発量を考慮して、油管(32)の油の濃度を推定してもよい。
[数4]式における冷媒凝縮量は、以下の[数5]式により算出できる。
[数5]式では、内部流路(54)を流れる冷媒がケーシング(50)と熱交換して凝縮する熱量を冷媒凝縮量として算出する式である。ケーシング温度は、上述のようにして推定できる。凝縮温度は、内部流路(54)を流れる冷媒の凝縮温度である。凝縮温度は、吐出温度センサ(71)で検出する吐出冷媒の圧力に相当する飽和温度により求めることができる。
αは係数であり、上述した機械学習により取得される回帰係数の一つである。
[数3]式における冷媒放出量は、以下の[数6]式により算出できる。
[数6]式の冷媒放出量[kg/sec]は、油貯まり部(56)から放出される冷媒の質量流量である。冷媒放出量は、冷媒蒸発量[kg/sec]と冷媒上がり量[kg/sec]との和で表される。冷媒上がり量は、油貯まり部(56)から油とともに吐出管(55)に持ち出される冷媒の質量流量である。したがって、冷媒上がり量は、油上がり量と、油貯まり部(56)から持ち出される油の濃度、あるいは冷媒の濃度から推定できる。油貯まり部(56)から持ち出される油の濃度は、推定制御により前回推定した油の濃度を用いることができる。
[数6]式における冷媒蒸発量は、以下の[数7]式により算出できる。
ここで、[数7]式では、冷媒および電動機(51)が油貯まり部(56)に付与した熱に基づき冷媒蒸発量を算出する。ここで、Vrは、冷媒循環量であり、厳密には圧縮機(21)の吐出冷媒の質量流量である。冷媒循環量は、圧縮機(21)の回転数から求めることができる。h1は、上述したように内部流路(54)を流れる直前の冷媒の比エンタルピであり、h2は、内部流路(54)を通過した冷媒を飽和ガスとみなし、その飽和ガスの比エンタルピを表している。Qmは、モータ発熱量であり、上述したようにして求められる。
βおよびγは係数であり、上述した機械学習により取得される回帰係数の一つである。
制御部(C)は、以上のような[数1]~[数7]式も用いることで、圧縮機(21)の起動直後から、油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。制御部(C)は、特に圧縮機(21)の起動時から圧縮機(21)、あるいは空気調和装置(10)が定常状態に至るまでの間、推定制御をを行う。これまでの間は、ケーシング(50)の内圧が低い傾向にあり、冷媒が油貯まり部(56)の凝縮して溶け込み易い。このため、油の濃度が低下し、潤滑不良を招く可能性が高いからである。
(4)推定制御に基づく圧縮機の制御例
推定制御に基づく圧縮機(21)の制御例について、図5を参照しながら説明する。
ステップS21では、制御部(C)は、圧縮機(21)の吐出冷媒が湿り状態であるか、または吐出冷媒の過熱度が所定値よりも低いか否かを判定する。吐出冷媒の湿り状態や、吐出冷媒の過熱度は、吐出温度センサ(71)で検出した吐出冷媒温度、および吐出圧力センサ(72)で検出した吐出冷媒圧力に相当する飽和温度により求めることができる。
ステップS21の条件が成立する場合、油貯まり部(56)の油濃度が低くなっている可能性がある。吐出冷媒が湿り状態であったり、吐出冷媒の過熱度が低い場合、凝縮した冷媒が油に溶け込んでしまっている可能性があるからである。一方で、この条件が成立していたとしても、運転条件によっては油貯まり部(56)の油の濃度が高い可能性もある。そこで、ステップS21の条件が成立する場合、処理はステップS22に移行し、制御部(C)は上述した推定制御により、現在の油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。
ステップS23では、制御部(C)は、推定した油濃度が第1値より高いか否かを判定する。推定した油濃度が第1値より高い場合、処理はステップS24に移行する。ステップS24では、制御部(C)は空気調和装置(10)の空調能力の増大要求の指令があるか否かを判定する。この指令がある場合、処理はステップS25に移行し、制御部(C)は圧縮機(21)の回転数を増大させる。
このように、油濃度が所定値(第1値)より高く且つ空気調和装置(10)の空調能力の増大要求の指令がある場合、制御部(C)は圧縮機(21)の回転数を増大させる。したがって、潤滑不良が生じにくい条件下において、空気調和装置(10)の空調能力を確実に増大できる。
ステップS23の条件が成立しない場合、処理はステップS26に移行する。ステップS26では、制御部(C)は推定した油濃度が第2値以下であるか否かを判定する。ここで、第2値は、第1値より小さい、または第2値と同じ値である。ステップS23の条件がする場合、処理はステップS27に移行し、制御部(C)は圧縮機(21)の回転数を低下させる。これにより、圧縮機(21)の潤滑不良を抑制できる。加えて、圧縮機(21)の回転数が低下すると、圧縮機構(52)から吐出される冷媒の圧力が下がり、ケーシング(50)の内圧が低下する。この結果、油貯まり部(56)の油に溶け込んだ油が蒸発しやすくなるとともに、吐出冷媒の過熱度を増大できる。したがって、油貯まり部(56)の油濃度の希釈の進行を抑制でき、この油濃度を増大できる。
例えばステップS26の条件が成立しない場合、処理はステップS21に戻る。この場合、圧縮機(21)の回転数は維持される。
(5)特徴
(5-1)
本実施形態の空気調和装置(10)は、内部流路(54)の下側に形成される油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて油貯まり部(56)の油の濃度を推定する制御部(C)を備える。これにより、冷媒の凝縮に起因して油貯まり部(56)の油に取り込まれる冷媒の量や、冷媒の蒸発に起因して油貯まり部(56)から放出される冷媒の量を考慮して、油貯まり部(56)の油の濃度を推定できる。油貯まり部(56)の油を計測するセンサも不要となるため、空気調和装置(10)の簡素化、低コスト化を図ることができる。
特に制御部(C)は、内部流路(54)を通過する前の冷媒の温度と、冷媒回路(11)の高圧圧力(吐出圧力)と、圧縮機(21)の回転数と、電動機(51)の発熱量とを変数とする関係式により油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。これにより、冷媒の凝縮量および蒸発量を推定でき、油貯まり部(56)の油の濃度を精度よく推定できる。
さらに、上述した関係式は、機械学習によって決定される。関係式における回帰係数などを機械学習によって決定することで、油貯まり部(56)の油の濃度を精度よく推定できる。
(5-2)
圧縮機(21)が起動時には、上述したように凝縮した冷媒が油貯まり部(56)に溶け込みやすいので、油の濃度が変化しやすく、潤滑不良を招きやすい。制御部(C)は、圧縮機(21)の起動時において油貯まり部(56)の油貯まり部(56)の油の濃度を推定するため、この間における油の濃度の低下を速やかに把握できる。
(5-3)
ステップS22のように、制御部(C)は、圧縮機(21)の吐出冷媒が湿り状態、または該吐出冷媒の過熱度が所定値よりも低いときに、油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。このため、油貯まり部(56)の油の濃度が低下している可能性があるときに、油濃度を推定することで、油の濃度の低下をより確実に把握できる。
(5-4)
ステップS25のように、制御部(C)は、油の濃度が所定値より高い場合に、圧縮機(21)の回転数を大きくする。厳密には、制御部(C)は、油の濃度が所定値より高く、且つ空調能力の増大要求がある場合に、圧縮機(21)の回転数を大きくする。これにより、油貯まり部(56)の油の濃度が十分に高いときに、潤滑不良を招くことなく、空調能力を増大させることができる。
(5-5)
ステップS27のように、制御部(C)は、油の濃度が所定値より低い場合に、圧縮機(21)の回転数を小さくする。このため、潤滑不良を招きやすい条件下においては、圧縮機(21)の回転数を低下さえることで、摺動部の焼き付きなどを未然に回避できる。加えて、高圧圧力が低下するため、油貯まり部(56)の油濃度を速やかに増大できる。
(6)変形例
以上の実施形態は、以下のような変形例の構成としてもよい。
(6-1)変形例1
変形例1の制御部(C)は、油貯まり部(56)の油濃度が高いと判定された場合に、膨張弁(26,41)を制御する。具体的には、図6に示すように、ステップS26において油濃度が第2値以下である場合に、ステップS37では、制御部(C)が、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度を大きくするように膨張弁(26,41)の開度を小さくする。ここで、膨張弁(26,41)は、蒸発器の蒸発圧力を制御する減圧弁である。冷房運転であれば、制御部(C)は、利用膨張弁(41)の開度を小さくし、暖房運転であれば、制御部(C)は熱源膨張弁(26)の開度を小さくする。
膨張弁(26,41)の開度を小さくすると、蒸発器として機能する利用熱交換器(42)や熱源熱交換器(22)を通過した冷媒の過熱度が大きくなる。これにより、圧縮機(21)のケーシング(50)内の冷媒の過熱度も大きくなり、油貯まり部(56)の油の濃度を増大できる。したがって、油貯まり部(56)の油の濃度の希釈の進行を抑制できる。
(6-2)
図7に示すように、変形例2のポート温度センサ(74)は、ケーシング(50)の内部に配置される。ポート温度センサ(74)は、圧縮機構(52)の吐出ポート(52a)の近傍に配置される。ポート温度センサ(74)は、吐出ポート(52a)に対向する位置にある。この構成では、内部流路(54)を通過する前の冷媒の温度をより正確に検出できる。
(7)その他の実施形態
本開示の冷凍装置は、空気調和装置(10)でなくてもよく、冷凍サイクルを行う装置であれば、他の装置であってもよい。他の装置としては、冷蔵庫や冷凍庫などの空気を冷却する冷却装置、海上コンテナやトレーラの庫内を冷却する輸送用冷凍装置、温水を生成する給湯装置などがある。
本開示の加熱部は、ケースヒータ(68)でなくてもよく、例えば電動機(51)であってもよい。電動機(51)は、圧縮機(21)の停止時において通電することで熱を発し、油貯まり部(56)の油を加熱する。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態の要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
以上に説明したように、本開示は、冷凍装置について有用である。
10 空気調和装置(冷凍装置)
21 圧縮機
26 熱源膨張弁(膨張弁)
41 利用膨張弁(膨張弁)
50 ケーシング
51 電動機
52 圧縮機構
54 内部流路
55 吐出管

Claims (8)

  1. ケーシング(50)と、該ケーシング(50)の内部に収容される圧縮機構(52)および電動機(51)と、前記ケーシング(50)に接続される吐出管(55)とを有するとともに、前記圧縮機構(52)から吐出された冷媒が前記ケーシング(50)の内部流路(54)を通過して前記吐出管(55)に送られる圧縮機(21)と、
    前記内部流路(54)の下側に形成される油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて前記油貯まり部(56)の油の濃度を推定する制御部(C)とを備えている
    冷凍装置。
  2. 前記制御部(C)は、前記内部流路(54)を通過する前の冷媒の温度と、高圧圧力と、前記圧縮機(21)の回転数と、前記電動機(51)の発熱量とを変数とする関係式により前記油貯まり部(56)の油の濃度を推定する
    請求項1に記載の冷凍装置。
  3. 前記関係式は、機械学習によって決定される
    請求項2に記載の冷凍装置。
  4. 前記制御部(C)は、前記圧縮機(21)の起動時において、前記油貯まり部(56)の油の濃度を推定する
    請求項1~3のいずれか1つに記載の冷凍装置。
  5. 前記制御部(C)は、前記圧縮機(21)の吐出冷媒が湿り状態、または該吐出冷媒の過熱度が所定値よりも低いときに、前記油貯まり部(56)の油の濃度を推定する
    請求項1~4のいずれか1つに記載の冷凍装置。
  6. 前記制御部(C)は、前記油の濃度が所定値より高い場合に、前記圧縮機(21)の回転数を大きくする
    請求項1~5のいずれか1つに記載の冷凍装置。
  7. 前記制御部(C)は、前記油の濃度が所定値より低い場合に、前記圧縮機(21)の回転数を小さくする
    請求項1~6のいずれか1つに記載の冷凍装置。
  8. 膨張弁(26,41)を備え、
    前記制御部(C)は、前記油の濃度が所定値より低い場合に、前記圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度を大きくするように前記膨張弁(26,41)の開度を小さくする
    請求項1~7のいずれか1つに記載の冷凍装置。
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