JP2023149984A - ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル - Google Patents

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Abstract

【課題】高融点で柔軟、かつ熱分解温度が高く耐熱性に優れ、また高温下でも有害なガスが発生しないポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを提供する。【解決手段】ジカルボン酸成分、ジオール成分及び下記式(1)で表されるポリアルキレングリコール成分を含むポリアルキレングリコール共重合ポリエステルであって、該ポリアルキレングリコール成分の数平均分子量が600~5,000であるポリアルキレングリコール共重合ポリエステル。HO-(R1-O)n-H ・・・(1)(式(1)中、R1は、不飽和脂肪酸の二量体である環式又は非環式二量体酸が還元された炭素数36~44の二量体ジオールに由来する2価の炭化水素基を表し、nは2以上の実数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、アルキレン鎖の長いポリアルキレングリコールを共重合したポリアルキレングリコール共重合エステルに関する。
ポリエステル樹脂は、その優れた機械的特性や化学的特性から、工業的に重要な位置を占めている。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート(PBT)等の芳香族ポリエステルは、耐熱性、耐薬品性に優れた樹脂で、成形加工の容易さと経済性から、繊維、フィルム、シート、ボトル、電気電子部品、自動車部品、精密機器部品等の押出成形用途、射出成形用途等の分野で広く使用されている。しかし、近年、ポリエステルの基本特性を維持しつつ、柔軟性や低温特性、そして耐衝撃性といった新たな機能を付与したポリエステルが求められるようになった。またそのようなポリエステルを効率的に製造することが望まれている。
特許文献1には、共重合成分としてポリアルキレングリコールを用いたポリアルキレングリコール共重合ポリエステルであって、高融点で柔軟、かつ熱分解温度が高く耐熱性に優れ、また高温下でも有害なガスが発生しないポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを提供することを課題として、アルキレン鎖の炭素数が5以上のポリアルキレングリコール成分を用いたものが提案されている。
特開2020-147744号公報
特許文献1のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのような一般的なポリアルキレングリコールを用いたポリアルキレングリコール共重合ポリエステルよりも、高融点かつ柔軟で熱分解温度が高く、耐熱性にも優れるが、諸物性、特に柔軟性において、更なる向上が望まれる。
本発明は、共重合成分としてポリアルキレングリコールを用いたポリエステルにおいて、高融点で柔軟、かつ溶融時の熱分解が抑えられ耐熱性に優れる、より改良されたポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、共重合成分であるポリアルキレングリコール成分として、不飽和脂肪酸を二量体化して得られる環式及び非環式二量体酸を還元して得られるアルコール中に通常存在する36~44の炭素原子を含む二量体ジオール由来の骨格を導入し、アルキレン鎖の炭素数を増加させると、得られるポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの熱安定性、柔軟性が更に向上し、これらの課題が克服できることを知見し、本発明に到達した。
即ち本発明の要旨は以下である。
[1] ジカルボン酸成分、ジオール成分及び下記式(1)で表されるポリアルキレングリコール成分を含むポリアルキレングリコール共重合ポリエステルであって、該ポリアルキレングリコール成分の数平均分子量が600~5,000であるポリアルキレングリコール共重合ポリエステル。
HO-(R-O)-H ・・・(1)
(式(1)中、Rは、不飽和脂肪酸の二量体である環式又は非環式二量体酸が還元された炭素数36~44の二量体ジオールに由来する2価の炭化水素基を表し、nは2以上の実数を表す。)
[2] 前記ポリアルキレングリコール成分の前記ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の含有量が10~80質量%であることを特徴とする、[1]に記載のポリアルキレングリコール共重合ポリエステル。
[3] 前記ジカルボン酸成分が炭素数8以上の脂環式及び/または芳香族ジカルボン酸成分を主成分とすることを特徴とする、[1]または[2]に記載のポリアルキレングリコール共重合ポリエステル。
[4] 前記ジオール成分が炭素数2以上の脂肪族及び/または脂環式グリコール成分を主成分とすることを特徴とする、[1]から[3]のいずれかに記載のポリアルキレングリコール共重合ポリエステル。
本発明によれば、共重合成分としてポリアルキレングリコールを有するポリエステルにおいて、高融点で柔軟、かつ溶融時の熱分解が抑えられ耐熱性に優れる、より改良されたポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において「主成分とする」とは、当該成分の70モル%以上を占めることを意味する。例えば、「テレフタル酸成分を主成分として含むジカルボン酸成分」とは、ポリエステルを構成する全酸成分の70モル%以上がテレフタル酸成分であることを意味する。
また、「ジカルボン酸成分」とは、「ジカルボン酸成分に由来してポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中に組み込まれる構成単位」との意味合いでも用いられる。「ジオール成分」、「ポリアルキレングリコール成分」についても同様である。
なお、本発明のポリアルキレングリコール共重合エステルは、ポリアルキレングリコール成分を含まないポリエステルと混合した組成物として用いてもよい。
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分、ジオール成分及び下記式(1)で表されるポリアルキレングリコール成分を含むポリアルキレングリコール共重合ポリエステルであって、該ポリアルキレングリコール成分の数平均分子量が600~5,000であることを特徴とする。
HO-(R-O)-H ・・・(1)
(式(1)中、Rは、不飽和脂肪酸の二量体である環式又は非環式二量体酸が還元された炭素数36~44の二量体ジオールに由来する2価の炭化水素基を表し、nは2以上の実数を表す。)
本発明においては、ソフトセグメントとして用いるポリアルキレングリコール成分として、不飽和脂肪酸を二量体化して得られる環式及び非環式二量体酸を還元して得られるアルコール中に通常存在する36~44の炭素原子を含む二量体ジオール由来の骨格を導入し、アルキレン鎖の炭素数を増加させることで、熱分解し易いエーテル結合の、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル全体に対する数濃度を減少させることができ、また、エーテル結合切断時に、安定な五員環エーテルのTHFの発生を抑え、熱安定性、柔軟性を更に向上させることができる。
[1]ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの原料
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分、ジオール成分、及びポリアルキレングルコール成分、さらに必要に応じて用いられる、その他の共重合可能な成分をエステル交換反応及び/又はエステル化反応させた後、重縮合反応することにより得られる。
エステル化反応及び/又はエステル交換反応、重縮合反応においては反応触媒を使用することができる。
(ジカルボン酸成分)
本発明におけるジカルボン酸成分としては、下記に記載するジカルボン酸並びにそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。またこれらは、石油化学法及び/又はバイオマス資源由来の発酵工程を有する製法によって製造されたものを用いることもできる。ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としてはジカルボン酸の低級アルコールエステルの他、酸無水物や酸塩化物等のエステル形成性誘導体が好ましい。ここで、低級アルコールとは、通常、アルキル基の炭素数が1~4の直鎖式もしくは分岐鎖式のアルコールを指す。
本発明におけるジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族鎖式ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体;
ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(1,4-DMCD)等の脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体;
テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びテレフタル酸メチルエステル(DMT)等の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体等
が挙げられる。
また、前記エステル形成性誘導体としては、前記のほかに例えば無水コハク酸、無水アジピン酸等の無水物等が挙げられる。
これらのなかでも得られるポリエステルの物性の面から、炭素数8以上例えば炭素数8~14の脂環式及び/または芳香族ジカルボン酸成分が好ましく、このようなジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、テレフタル酸ジメチルエステル(DMT)、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル(NDCE)等の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(1,4-DMCD)等の脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体等が挙げられ、特にテレフタル酸、テレフタル酸のエステル形成性誘導体、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のエステル形成性誘導体が好ましい。本発明におけるジカルボン酸成分はこれらを主成分として含むことが好ましい。
これらのジカルボン酸成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(ジオール成分)
本発明におけるジオール成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール(1,4-BG)、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール等の直鎖式脂肪族ジオール;
1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール(1,4-CHDO)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-CHDM)等の環式脂肪族ジオール;
キシリレングリコール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール;
イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、エリトリタン等の植物原料由来のジオール等
が挙げられる。
なお、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-BG等もバイオマス資源由来のものを使用することができる。
これらの中でも得られるポリエステルの物性の面から、炭素数2以上、例えば炭素数2~8の脂肪族及び/または脂環式グリコール成分が好ましく、このようなグリコール成分としては、EG、1,4-BG、1,6-ヘキサンジオール、1,4-CHDMが挙げられ、特に1,4-BG、1,4-CHDMが好ましい。本発明におけるジオール成分は、これらを主成分として含むことが好ましい。
これらのジオール成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
これらのジオール成分はジカルボン酸成分と組み合わさって、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルのハードセグメントを構成する。
なお、ジオール成分の量は後述のポリアルキレングリコール成分と合算したグリコール全体のモル量がジカルボン酸成分のモル量と概ね等しくなるような量とする。ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルが「その他の共重合可能な成分」を含む場合は、この量を加味してジオール成分の量を定める。
(ポリアルキレングリコール成分)
本発明におけるポリアルキレングリコール成分(以下、「ポリアルキレングリコール(1)」と称す場合がある。)は下記式(1)で表される構造を有する。
HO-(R-O)-H ・・・(1)
(式(1)中、Rは、不飽和脂肪酸の二量体である環式又は非環式二量体酸が還元された炭素数36~44の二量体ジオールに由来する2価の炭化水素基を表し、nは2以上の実数を表す。)
式(1)中、nは、2~50であることが好ましく、2~25であることがより好ましく、2~10であることがさらに好ましい。
nが上記下限値以上であることにより、共重合による融点降下の程度を抑えることができる。一方、nが上記上限値以下であることで、エステル交換反応及び/又はエステル化反応時、ポリアルキレングリコールと、その他原料のモノマーとの相溶性が良好となる。
式(1)中、Rは不飽和脂肪酸の二量体である環式又は非環式二量体酸が還元された炭素数36~44の二量体ジオールに由来する2価の炭化水素基を表す。
二量体ジオールとしては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
HO-(CH-Y-(CH-OH ・・・(2)
式(2)中、Yは、置換基を有していてもよい炭素数16~42の直鎖、分岐鎖、又は環状の2価の炭化水素基を表し、sは1~10の整数を表し、tは1~10の整数を表す。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数16~42の直鎖、分岐鎖、又は環状の2価の炭化水素基である。Yの炭素数は、16~36であってもよく、18~30であってもよい。
2価の炭化水素基としては、2価の飽和炭化水素基であってもよく、2価の不飽和炭化水素基であってもよい。
置換基としては、炭素数1~10の直鎖、分岐鎖、若しくは環状のアルキル基、又は炭素数2~10の直鎖、分岐鎖、若しくは環状のアルケニル基が挙げられる。
sは、1~10の整数であり、6~10の整数であることが好ましく、6~8の整数であることがより好ましい。
tは、1~10の整数であり、6~10の整数であることが好ましく、6~8の整数であることがより好ましい。
二量体ジオールが非環式二量体酸を還元して得られた直鎖状の二量体ジオールである場合、式(2)中、Yは下記式(3)で表される基であることが好ましい。
-Ra1-X-Ra2- ・・・(3)
式(3)中、Ra1及びRa2は、それぞれ独立に、炭素数8~21の直鎖のアルキレン基、又は炭素数8~21の直鎖のアルケニレン基を表し、Xは、単結合、又は-O-を表す。
アルケニレン基は、1~3の不飽和結合を含む。
二量体ジオールが非環式二量体酸を還元して得られた分岐構造を有する二量体ジオールである場合、式(2)中、Yは下記式(4)で表される基であることが好ましい。
-CH(Rb1)-CH(Rb2)- ・・・(4)
式(4)中、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、炭素数8~20の直鎖のアルキレン基、又は炭素数8~20の直鎖のアルケニレン基を表す。
アルケニレン基は、1~3の不飽和結合を含む。
二量体ジオールが環式二量体酸を還元して得られた環状構造を有する二量体ジオールである場合、式(2)中、Yは下記式(5)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023149984000001
式(5)中、環Cは炭素数5~14の飽和炭化水素環、又は炭素数5~14の不飽和炭化水素環を表し、pは1~6の整数であり、Rc1は、それぞれ独立に、炭素数1~16の直鎖のアルキレン基、又は炭素数1~16の直鎖のアルケニレン基を表す。
環Cは、単環であってもよく、2つ以上の単環が縮合した縮合環であってもよい。前記単環は5員環であってもよく、6員環であってもよい。
pは1~6の整数であり、環Cの炭素数から2を減じた数以下の整数である。環Cが6員環の単環の場合、pは1~4であり、環Cが2つの6員環の単環が縮合した縮合環の場合、pは1~6である。
不飽和炭化水素環は、1~3の不飽和結合を含む。
アルケニレン基は、1~3の不飽和結合を含む。
のアルキレン基を構成する二量体ジオールは、炭素数18~22の不飽和脂肪酸を二量体化し、得られる環式又は非環式二量体酸を還元することによって得ることができる。
ここで、「環式二量体酸」とは、環状構造を有する二量体酸を意味し、「非環式二量体酸」とは、環状構造を有さない二量体酸を意味する。
炭素数18~22の不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、γ-リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、ステアリドン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸、アドレン酸を例示できる。なかでも、入手容易性の点から、オレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸が好ましい。
非環式二量体酸を還元して得られた分岐構造を有する二量体ジオールとしては、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023149984000002
環式二量体酸を還元して得られた環状構造を有する二量体ジオールとしては、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023149984000003
式(1)中、Rは、下記式(7)で表される2価の炭化水素基であることが好ましい。
-(CH-Y-(CH- ・・・(7)
式(7)中、Y、s、及びtは上述したものと同様である。
ポリアルキレングリコール(1)の数平均分子量(Mn)は、600~5,000であり、600~3,000であることが好ましく、700~2,500であることがより好ましく、800~2,300が更に好ましい。
数平均分子量がこの範囲であると、共重合ポリエステル製造時の反応性が良好であり、共重合による融点降下の程度が小さく、機械的特性等が良好な共重合ポリエステルを得ることができる。
ポリアルキレングリコール(1)の質量平均分子量(Mw)は、600~25,000であることが好ましく、600~12,000であることがより好ましく、700~6,900であることがさらに好ましく、800~4,600が特に好ましい。
質量平均分子量(Mw)がこの範囲であると、共重合ポリエステル製造時の反応性が良好であり、共重合による融点降下の程度が小さく、機械的特性等が良好な共重合ポリエステルを得ることができる。
ポリアルキレングリコール(1)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~5.0であることが好ましく、1.0~4.0であることがより好ましく、1.1~3.0であることがさらに好ましく、1.1~2.0が特に好ましい。
ポリアルキレングリコール(1)の分子量分布が上記上限値以下であると、該ポリアルキレンエーテルグリコールをモノマーとして重合する際に品質が安定しやすくなる効果が得られやすい。
本明細書において、分子量分布は[質量平均分子量]/[数平均分子量(1)]で表され、GPCを使用して得られた質量平均分子量、及び数平均分子量(1)から算出した値である。
なお、ポリアルキレングリコール成分の質量平均分子量及び数平均分子量の測定方法は、後述の実施例の項に記載される通りである。ポリアルキレングリコールの質量平均分子量及び数平均分子量は、それを製造するときの反応温度、反応時間、触媒量等により制御することができる。
ポリアルキレングリコール(1)の末端オレフィン化率は、10.0mol%以下あることが好ましく、5.0mol%以下であることがより好ましく、2.0mol%以下であることがさらに好ましく、1.0mol%以下が特に好ましい。末端オレフィン化率が上記上限値以下であると、共重合ポリエステル製造時の反応性が良好である。
本明細書において、末端オレフィン化率は、H-NMRを用いて後述の実施例の項に記載の方法により算出することができる。
これらのポリアルキレングリコール(1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に係るポリアルキレングリコール(1)の、本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の含有量、即ち、本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルにおける共重合割合は好ましくは10~80質量%、より好ましくは10~65質量%、更に好ましくは10~50質量%である。ポリアルキレングリコール(1)の共重合割合がこの範囲であると、熱安定性に優れ、柔軟性と融点のバランスがよいポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを得ることができる。
(ポリアルキレングリコール(1)の製造方法)
ポリアルキレングリコール(1)の製造方法は、特段の制限はないが、酸触媒を用いてグリコール成分を脱水縮合することにより製造することができる。
<グリコール成分>
グリコール成分は、不飽和脂肪酸を二量体化して得られる環式及び非環式二量体酸を還元して得られるアルコール中に通常存在する36~44の炭素原子を含む二量体ジオールを含む。
二量体ジオールとしては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
HO-(CH-Y-(CH-OH ・・・(2)
式(2)中、Y、s、及びtは前述したものと同様である。
脱水縮合反応は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。反応圧力は、反応系が液相に保持される限り任意であり、通常は常圧条件が採用される。所望ならば反応により生成した水の反応系からの脱離を促進するため、反応を減圧下で行ったり、反応系に不活性ガスを流通させてもよい。
反応温度は、通常80~250℃、好ましくは100~200℃、更に好ましくは120~180℃である。反応温度が高過ぎる場合は、原料が揮発してしまったり、末端不飽和基の量が多くなったり、ポリマーが着色し易くなる傾向があり、低過ぎる場合は、十分な反応速度が得られなくなる傾向がある。
反応時間は、触媒の使用量、反応温度、生成ポリマーの収率や物性等により異なるが、通常0.5~50時間、好ましくは1~20時間である。なお、反応は通常は無溶媒で行うが、所望ならば溶媒を使用することも出来る。溶媒は、通常有機合成反応に使用する有機溶媒から適宜選択して使用すればよい。例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、デカン、トルエン、キシレン等の炭化水素、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等があげられる。
脱水縮合触媒(重縮合触媒とも言う)としては、アルキレンジオールの脱水縮合反応によりポリアルキレンエーテルグリコールを生成することができればよく、通常、酸触媒が用いられる。酸触媒としては例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸等のヘテロポリ酸;ゼオライト、モンモリロナイト、陽イオン交換樹脂、硫酸痕金属酸化物、金属有機構造体(MOF)等の固体触媒;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、10-カンファースルホン酸等のスルホン酸;トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛等のルイス酸等が挙げられる。好ましくは、酸の強度や腐蝕性等の観点からスルホン基を持つ酸であり、たとえば硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、10-カンファースルホン酸であり、より好ましくは、価格等の観点から硫酸、p-トルエンスルホン酸である。
脱水縮合反応にスルホン基(-SOH)を持つ酸を使用する場合、その使用量は触媒の種類によっても異なるが、グリコール成分100重量部に対して通常1~20重量部、好ましくは1~10重量部、さらに好ましくは1~5重量部である。
酸触媒としては、酸触媒水溶液を使用することが好ましい。酸触媒水溶液中の酸の濃度は、酸触媒水溶液の総重量に対し、90重量%以下であることが好ましく、1~80重量%であることがより好ましく、5~70重量%であることがさらに好ましい。
酸触媒水溶液中の酸の濃度が上記下限値以上であると、脱水縮合反応が進行しやすくなる。
酸触媒水溶液中の酸の濃度が上記上限値以下であると、酸添加時の着色を軽減しやすい。
<加水分解>
酸触媒等の重縮合触媒の存在下で脱水縮合反応を行うことによって得られるポリアルキレンエーテルグリコールは、通常末端の一部がエステル基となっているため、酸性又は塩基性水溶液中で加水分解することで、末端エステル基を水酸基に再び戻すことができる。
加水分解温度は、60℃より高く、200℃以下、好ましくは80℃以上180℃以下、更に好ましくは100℃以上160℃以下である。温度が高過ぎる場合は、ポリマー末端以外の部分の分解が懸念され、低過ぎる場合は、十分な反応速度が得られなくなる傾向がある。
反応温度が上記の範囲である場合、還流下あるいはオートクレーブ等の閉じ込みの反応器内で行うのが好ましい。
反応時間は、酸又は塩基の濃度、反応温度、ポリアルキレンエーテルグリコールの末端エステル基量等により異なるが、通常1~50時間、好ましくは2~30時間、更に好ましくは3~20時間である。
重縮合触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸等の超酸の存在下で脱水縮合反応を行うことによって得られるポリアルキレンエーテルグリコールは、通常末端にエステル基を生じないため、加水分解工程を省略することができる。
反応溶媒としては通常、水を用いるが、所望ならば有機溶媒を併用することも出来る。有機溶媒は、通常の有機合成反応に使用する有機溶媒から適宜選択して使用すればよく、上述した有機溶媒に加えて、たとえば、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類も使用できる。加水分解時の水の添加量は、酸又は塩基の濃度によって異なるが、ポリアルキレンエーテルグリコール100重量部に対して通常0.1~200重量部、好ましくは0.5~150重量部、さらに好ましくは2~100重量部である。反応に用いる水の量が少なすぎても末端不飽和基量が増大する恐れがあり、また水の量が多すぎても、より大きな反応器が必要となり好ましくない。
上述したように加水分解反応は酸性又は塩基性水溶液下で行うが、脱水縮合で用いた酸触媒をそのまま用いても良いし、酸又は塩基を新たに添加しても良い。用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム、ナフタレンスルホン酸、10-カンファースルホン酸等のスルホン酸等が使用できる。また塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩等が使用できるが、好ましくはアルカリ金属の水酸化物であり、水溶性の観点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。
加水分解反応における酸又は塩基の量は、脱水縮合反応における酸量や種類によっても異なるが、添加する水100重量部に対して通常0.1~20重量部、好ましくは1~10重量部である。
<油水分離工程>
本発明の製造方法は、加水分解反応後に、反応液に含まれる酸、塩基及び塩等を低減させるために油水分離工程を有することが好ましい。油水分離工程とは、ポリアルキレンエーテルグリコール層と、酸、塩基及び塩等を含む水層とを分層させる工程である。なお、脱水縮合反応後、得られたポリアルキレンエーテルグリコールの水酸基数の値が1.970~1.999である場合には、加水分解反応を経ずに、脱水縮合反応後に油水分離を行ってもよい。
油水分離工程の温度は、ポリアルキレンエーテルグリコールの融点以上が好ましい。ポリアルキレンエーテルグリコールのアルキレン鎖の炭素数や製造するポリアルキレンエーテルグリコールの分子量等によって異なるが、たとえば融点が75~80℃の数平均分子量が1000のポリデカメチレンエーテルグリコールであれば、油水分離工程の温度は80℃以上が好ましい。通常、有機溶媒は使用しないが、ポリアルキレンエーテルグリコールが高粘度で分層の操作性がよくない場合は、有機溶媒を使用しても良い。有機溶媒を使用する場合は、有機溶媒の種類やポリアルキレンエーテルグリコールの濃度や分子量等によって異なるが、通常20℃以上、より好ましくは40℃以上である。温度が低すぎるとポリアルキレンエーテルグリコールが析出する等油水分離が困難となる傾向がある。
油水分離工程における分離時間は特に限定されないが、通常0.01~10時間、好ましくは0.2~7時間、より好ましくは、0.5~5時間である。分液時間が短すぎると油層と水層の分液性が悪い傾向があり、分液時間が長いと生産性が悪化する傾向にある。
分層により取得したポリマー層に酸、塩基及び塩等が残存している場合には、水を再添加して油水分離することを繰り返して残存している不純物を除去する。
(その他の共重合可能な成分)
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルは、前記のジカルボン酸成分、ジオール成分、及びポリアルキレングリコール(1)に加えて、必要に応じその他の共重合可能な成分を含んでもよい。
本発明でポリエステルの原料として使用可能なその他の共重合可能な化合物としては、グリコール酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-β-ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸;ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t-ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能カルボン酸;トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸等の三官能以上の多官能カルボン酸;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能アルコール等が挙げられる。
その他の共重合可能な成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
その他の共重合可能な成分の使用量、即ち、本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の含有量は、酸にあっては全カルボン酸成分に対し、水酸基化合物にあっては全ジオール成分に対し、好ましくは10モル%未満、より好ましくは5モル%未満である。
[2]ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの製造方法
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分、ジオール成分及びポリアルキレングリコール(1)と、必要に応じて用いられるその他の共重合可能な成分を出発物質として、エステル交換反応及び/又はエステル化反応工程、及びこの反応により得られたオリゴマーの重縮合反応、更に必要に応じて固相重縮合を行う重縮合工程を経てポリエステルを得る方法により製造することができる。
(エステル交換反応及び/又はエステル化反応)
本発明においては、第1段階として、ジカルボン酸成分と、ジオール成分及びポリアルキレングリコール(1)との間のエステル交換反応及び/又はエステル化反応を行う。
通常、ジカルボン酸成分とポリアルキレングリコール(1)は、エステル交換反応及び/又はエステル化反応に続く後述の重縮合反応おいて留去されることはないが、ジオール成分には、重縮合反応において留去されるものとされないものがある。
重縮合反応において留去できるジオール成分を用いる場合には、ジオール成分とポリアルキレングリコール(1)とを合算したグリコール全体のモル量をジカルボン酸成分のモル量よりも多少多く使用して、エステル交換反応及び/又はエステル化反応において全てのジカルボン酸成分を反応させた後、重縮合反応時に未反応のジオール成分を留去するのがよい。
一方、重縮合反応において留去できないジオール成分を用いる場合、重縮合反応を十分に進めるためには、使用するジオール成分とポリアルキレングリコール(1)とを合算したグリコール全体のモル量を、ジカルボン酸成分のモル量とほぼ等しくするのがよい。
すなわち、ジオール成分とポリアルキレングリコール(1)とを合算したグリコール全体の使用量は、1,4-BG等の重縮合反応において留去できるジオール成分を用いる場合、ジカルボン酸成分1モルに対して、1.1~3.0モルであることが好ましく、さらには1.1~1.5モルが好ましい。この値が小さすぎると、重縮合反応が十分に進行しない傾向があり、大きすぎると1,4-BGの分解によるTHFの生成が増える傾向がある。また、1,4-CHDM等の重縮合反応において留去できないジオール成分を用いる場合、ジカルボン酸成分1モルに対して、0.9~1.1モルであることが好ましく、さらには0.98~1.02モルが好ましい。この値が小さすぎても大きすぎても、重縮合反応が十分に進行しない傾向がある。
この第1段階の反応に用いる触媒としては、例えば、三酸化二アンチモン等のアンチモン化合物;二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物;テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等のチタン化合物;ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート等のスズ化合物;酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等のマグネシウム化合物や、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド、燐酸水素カルシウム等のカルシウム化合物等の周期表第2A族金属の原子を含む金属化合物の他、マンガン化合物、亜鉛化合物等が挙げられる。中でも、チタン原子及び周期表第2A族金属の原子を含む金属化合物が好ましく、特に、チタン化合物、スズ化合物が好ましく、テトラブチルチタネートが特に好ましい。これらの触媒は、単独でも2種以上混合して使用することもできる。
これらの反応触媒は、製造されたポリアルキレングリコール共重合ポリエステルに含まれる該反応触媒由来の金属濃度が下記の範囲内となるように添加するのが好ましい。
エステル交換反応の場合、これらの触媒の使用量は、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量として、通常1~300質量ppm、好ましくは5~250質量ppm、さらに好ましくは10~200質量ppm、特に好ましくは20~175質量ppm、最も好ましくは25~150質量ppmである。エステル化反応の場合、これらの触媒の使用量は、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量として、通常1~300質量ppm、好ましくは5~200質量ppm、さらに好ましくは10~100質量ppm、特に好ましくは20~90質量ppm、最も好ましくは30~70質量ppmである。
エステル交換反応及び/又はエステル化反応において添加する触媒量が、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量がこの範囲内にあると、異物の生成が抑制され、また得られるポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの熱滞留時の劣化反応やガス発生が起こりにくい。
エステル交換反応及び/又はエステル化反応条件は、その反応を進行させることができる限り任意であり、反応温度は通常120℃以上、好ましくは150℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは210℃以下である。また、反応時間は通常2~8時間、好ましくは2~6時間、更に好ましくは2~4時間である。
上記第1段階の反応により、ジカルボン酸成分、ジオール成分、及びポリアルキレングリコール(1)が反応したオリゴマーが生成する。
(重縮合反応)
次いで、前記第1段階で生成したオリゴマーの重縮合反応(第2段階の反応)を行なう。重縮合反応は、通常溶融重縮合反応で行う。溶融重縮合反応における条件は、その反応を進行させることができる限り任意である。重縮合反応時における反応温度は好ましくは300℃以下、好ましくは250℃以下であり、一方200℃以上が好ましく、更に好ましくは240℃以上である。反応温度が上記上限値以下であると、製造時の熱分解反応を抑制し、色調が良化する傾向にある。反応温度が上記下限値以上であると効率的に重縮合反応を進行させやすい。
重縮合反応触媒としては、エステル交換反応及び/又はエステル化反応において記載した触媒種を用いることができる。エステル交換反応及び/又はエステル化反応における触媒をそのまま重縮合反応触媒として用いてもよいし、触媒を更に添加してもよい。その量は、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の重縮合反応触媒の金属換算含有量が下記の範囲内となるように添加するのが好ましい。
エステル交換反応に続いて重縮合する場合、追加する触媒量は、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量で、通常5~300質量ppm、好ましくは10~200質量ppm、更に好ましくは15~150質量ppm、特に好ましくは20~100質量ppm、最も好ましくは30~90質量ppmである。
エステル化反応に続いて重縮合する場合、追加する触媒量は、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量で、通常0.5~300質量ppm、好ましくは1~200質量ppm、更に好ましくは3~100質量ppm、特に好ましくは5~50質量ppm、最も好ましくは10~40質量ppmである。
重縮合反応における追加する触媒量が、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量としてこの範囲内にあると、異物の生成が抑制され、また得られるポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの熱滞留時の劣化反応やガス発生が起こりにくい。
重縮合反応時の反応槽内圧力は低いほど反応は進みやすく、最終段階では通常27kPa以下、好ましくは20kPa以下、より好ましくは13kPa以下、中でも少なくとも1つの重縮合反応槽においては好ましくは0.4kPa以下の状態をとることが好ましい。重縮合反応に要する時間は、得られるポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの固有粘度を測定しその範囲を一定にするように調整されるが、通常2~12時間、好ましくは2~10時間である。重縮合反応を連続式で行う場合、重縮合反応槽での平均滞留時間を重縮合反応に要する時間とみなす。
なお、本発明において、ポリアルキレングリコール(1)の反応系への添加時期は、エステル交換反応及び/又はエステル化反応の開始時以降、重縮合反応終了までの間である。
この間にポリアルキレングリコール(1)を添加することにより、共重合成分としてのブロック性が保持しやすく、高融点のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを得ることができる。添加時期としては、エステル交換反応及び/又はエステル化反応の開始時から重縮合反応開始までの間が、添加操作及びブロック性確保の点から好ましい。
重縮合反応終了後、得られたポリマーを反応槽からストランド状に抜き出し、水冷下又は水冷後、カッティングしてペレットとする。ペレットは必要に応じて固相重縮合を行うことで更に高重合度化することができる。
固相重縮合反応は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、減圧にて、又は不活性ガス流通下行う。反応温度は通常180℃以上、好ましくは190℃以上で、一方、通常210℃以下、好ましくは200℃以下である。固相重縮合反応は所望の固有粘度に達するまで比較的長時間行われる。固相重縮合の反応時間は通常5~20時間、好ましくは6~15時間である。固相重縮合は回分式または連続式で行うことができる。
[3]ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの物性
以下に、本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの好適な物性値を挙げる。各物性の測定方法は後述の実施例の項に記載される通りである。
(MVR)
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルのメルトボリュームレイト(MVR)は、30~200cm/10minであることが好ましく、30~180cm/10minであることがより好ましい。MVRが上記下限以上であれば、流動しやすく成形性が良好であり、上記上限以下であれば、重合反応停止後にポリマーをストランドとして抜き出しやすい。
(固有粘度)
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの固有粘度(dL/g)は好ましくは0.20~1.60であり、より好ましくは0.50~1.55、更に好ましくは0.70~1.50である。
固有粘度がこの範囲であると、成形性が良好で、成形品にしたときの物性に優れたものとなる。
(融点)
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの融点は好ましくは100~220℃であり、さらに好ましくは150~220℃である。
融点がこの範囲であると、高温での使用に耐える優れた耐熱性を有し、また熱安定性に優れ、高温下でも有害なガスが発生しないものとなる。
(ガラス転移温度)
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルのガラス転移温度は通常-80~25℃程度であるが、この値は低いほど弾性率が一定である温度域が広く、部材としての使用温度範囲が広い場合に好適である。
(末端カルボキシル基量)
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの末端カルボキシル基量(AV:当量/トン)は好ましくは3~50当量/トンであり、より好ましくは3~30当量/トン、更に好ましくは4~20当量/トンである。
末端カルボキシル基量がこの範囲であると耐熱性、耐加水分解性が良好となる。
(溶融熱安定性)
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの溶融熱安定性は、通常80~98%程度であるが、この値は高いほど熱安定性に優れ、好ましい。
ここで、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの溶融熱安定性は、後述の実施例の項に記載の通り、ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを230℃の温度条件下に30分保持した後の固有粘度の保持前の固有粘度に対する割合(百分率:固有粘度保持率)である。
(引張弾性率)
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの引張弾性率は、通常30~800MPa程度、好ましくは30~600MPaとなるように設計されるが、この値が小さいほど柔軟性に優れ、好ましい。
[4]組成物・成形体
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステルには、必要に応じて安定剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤等の各種添加剤、あるいはPBTやその他の樹脂を配合してポリエステル組成物とすることができる。また、該ポリエステル組成物を用いて成形体とすることもできる。
(配合方法)
前記の各種添加剤や樹脂の配合方法は、特に制限されない。各種添加剤はポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの製造段階あるいは製造後に、PBTやその他の樹脂はポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの製造後に配合することができる。ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの製造後に配合する場合は、ベント口から脱揮できる設備を有する1軸又は2軸の押出機を混練機として使用する方法が好ましい。各成分は、混練機に順次供給することもでき、また一括して供給することもできる。また、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合しておいてもよい。
(成形方法)
本発明のポリアルキレングリコール共重合ポリエステル及びそれを含む組成物は、熱可塑性樹脂について一般に使用されている成形法、すなわち、射出成形、中空成形、押出成形、プレス成形、延伸成形、インフレ成形等の成形法によってフィラメント、繊維、シート、フィルム等を含む各種の成形体とすることができる。
なお、得られる成形体は適度な柔軟性を有し、例えば引張弾性率として30~600MPaを有するものとすることができ、輸液バッグフィルムやFPC離型フィルムなど柔軟性が必要とされる用途に好適に使用することができる。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[測定・評価方法]
以下の諸例で採用した物性および評価項目の測定方法は次の通りである。
<ポリアルキレングリコールの分子量>
ポリアルキレングリコールの分子量のSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定は東ソー株式会社製高速GPC装置HLC-8120GPCを使用して行った。
試料は移動相液である試薬1級THF(酸化防止剤ジブチルヒドロキシトルエン含有)で溶解し、0.45μmのポリテトラフルオロエチレンのフィルターでろ過したものを測定に供した。
質量平均分子量(Mw)は、測定データから東ソー株式会社製高速GPC装置Tosoh GPC-8020modelIIを用いて解析し、ポリスチレン換算値として算出した数平均分子量(Mn)と、分子量分布(Mw/Mn)より導出した。
SEC条件を以下に示す。
検出器:RI(装置内蔵)
移動相:試薬1級THF(酸化防止剤ジブチルヒドロキシトルエン含有)
流速:0.6mL/分
注入量:20μL
カラム:TSKgel SuperHM-L
(6.0mmI.D.×15cmL×2)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
較正曲線近似式:3次式。)
<ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの固有粘度>
(株)センテック製の全自動粘度測定装置(型式 DT553、毛細管式)を使用し次の要領で求めた。
すなわち、PTM11(フェノールと1,1,2,2-テトラクロロエタンとの質量比1/1混合物)の混合液を溶媒として使用し、30℃において、濃度1.0g/dLの試料溶液および溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式より求めた。
固有粘度(dL/g)=((1+4Kηsp0.5-1)/(2KC)
(但し、ηsp=η/η-1であり、ηは試料溶液落下秒数、ηは溶媒の落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、Kはハギンズの定数である。Kは0.33を採用した。)
<ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの融点>
DSC(示差走査熱量計)により測定した。測定条件としては、-10℃から300℃まで20℃/分で昇温し、300℃で3分間保持した後、20℃/分で急冷した後に、再度-10℃から300℃まで20℃/分で昇温し、吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。
<ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの末端カルボキシル基量>
自動滴定装置として、東亜ディーケーケー製のAUT-501(自動ビュレット ABT-511:5mLシリンジ使用)を使用した。また、滴定には0.01Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液を用いた。粉砕後の試料から、0.5gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール25mLを加えて、195℃、9分間で溶解させた後、氷水で40秒浸漬し、室温まで冷却した。次いで、これにエタノール2mLを加えた。この試験管を測定攪拌用スターラーに乗せ、pH電極、滴定ノズルを入れ、攪拌ながら自動滴定を行った。ブランクとして、試料を溶解させずに同様の操作を実施し、以下の式によって末端カルボキシル基量(酸価)を算出した。
末端カルボキシル量(当量/トン)=(a-b)×0.01×f/w
(ここで、aは、滴定に要した0.01Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、bは、無試料で滴定に要した0.01Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、wは、試料の量(g)、fは、0.01Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。)
<ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルのガラス転移温度>
動的粘弾性測定装置として、株式会社アイティー計測制御製のDVA-200を使用し、長さ75mm、幅40mm、厚さ50μmの試験片を用いた。測定条件としては、引張モード、周波数1Hz、方向性なし、また温度を-150℃から300℃まで3℃/分で昇温し、貯蔵弾性率の変曲点をガラス転移温度(℃)とした。
<ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルのMVR>
メルトインデクサ(立山科学工業株式会社製、型式 L227-41、測定法 自動時間測定法)を用いて、試料を250℃の加熱炉にて溶融し、2.16kgの荷重を使用してピストンが降下する時間を測定し、その時間よりMVR(cm/10min)を算出した。
<ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの溶融熱安定性>
ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを230℃の温度条件に30分保持した後の固有粘度を上記の方法で測定し、(保持後の固有粘度/保持前の固有粘度)×100で溶融熱安定性を評価した。
<ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの引張弾性率>
引張試験装置として、島津製作所の引張試験器Autograph AGS型を用いた。厚さ1mm、標線間距離15mmのダンベル試験片をつかみ装置に取り付け、一定の速度(10mm/min)で引き伸ばし、変形時の応力と歪みを測定した。これら測定結果より引張弾性率を算出した。なお、試験片は、得られたペレットをプレス成形し、そのプレスシートから試験片サイズに打ち抜くことにより作成した。プレス成形には、手動油圧加熱プレス装置(井元製作所株式会社製、型式 IMC-180C)を使用した。
[実施例1]
<ポリアルキレングリコール(1)の製造>
二量体ジオール(クローダジャパン株式会社製 プリポール2033)401g(0.733mol)を蒸留管、窒素導入管、熱電対及び攪拌機を備えた四つ口フラスコに仕込み、オイルバスにて50℃まで加熱した後、反応器内を減圧脱気し窒素置換した。窒素を0.20NL/minで供給しながら、50℃に維持した状態でゆっくりとトリフルオロメタンスルホン酸4.02g(26.8mmol)を添加した。このフラスコをオイルバス中に浸して加熱し、約0.5-1時間でフラスコ内液温を150℃に到達させた。フラスコ内液温が150℃になった時点を反応開始とし、以後、液温を148~152℃に保持して1.5時間反応させた。反応により生成した水は窒素に同伴させて留去した。
反応物を120℃付近まで放冷し、イオン交換水を400g注いだ。80℃で約15分攪拌し、15分静置し油層と水層に分離したことを確認したのち、水層を抜出した。水層の電導度を測定し、電導度が0~10μS/cmに到達するまで計17回イオン交換水の添加と油水分離を繰り返した。油層を取り出した後、ロータリーエバポレーターで水分を減圧留去し、目的のポリアルキレンエーテルグリコールを得た。このポリアルキレングリコール(ダイマージオールオリゴマー)を、以下「PDD」と略記する。
PDDについて、NMRより求めた重合度は1.53、末端オレフィン化率は0.103mol%であった。また、GPCより求めた数平均分子量は1028、質量平均分子量は1398、分子量分布は1.36であった。
<ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルの製造>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管を備えたエステル交換反応槽に、テレフタル酸ジメチルエステル(DMT)を84.1質量部、1,4-ブチレングリコール(1,4-BG)を40.4質量部、PDDを60.0質量部(生成するPDD共重合ポリエステルに対し40質量%)、触媒としてテトラブチルチタネートを金属チタン換算で、生成するポリマー(PDD共重合PBT)に対して25質量ppmとなるように1,4-BG溶液として添加した。次いで、槽内液温を150℃に60分保持した後105分かけて210℃まで昇温し、210℃で45分保持した。この間、生成するメタノールを留出させつつ、トータル210分エステル交換反応を行った。
エステル交換反応終了後、テトラブチルチタネートを金属チタン換算で生成するポリマーに対して33質量ppmとなるように、酢酸マグネシウムをマグネシウム換算で生成するポリマーに対して48質量ppmとなるように、それぞれ1,4-BGの溶液として添加した後、攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管、減圧用排気口を備えた重縮合反応槽に移送し、減圧を付加して重縮合反応を行った。重縮合反応は槽内圧力を常圧から1.0Torrまで90分かけて徐々に減圧し、1.0Torr以下で継続した。反応温度は減圧開始から15分間210℃に保持し、以後、240℃まで45分間で昇温してこの温度で保持した。所定の攪拌トルクに到達した時点で反応を終了した。
次に槽内を減圧状態から窒素で復圧し、次いでポリマー抜出しのため加圧状態にした。抜出しの際の口金の熱媒温度を235℃としてポリマーを口金からストランド状にして押出し、次いで冷却水槽内でストランドを冷却した後、ストランドカッターでカッティングし、ペレット化した。得られたPDD共重合PBTの融点は195℃であった。また、動的粘弾性測定から、PDD共重合PBTはガラス転移点が-20℃の1点であり、相分離していないことが確認できた。また、ガラス転移点の-20℃付近から、融点の195℃付近まで弾性率が一定であり、部材としての使用温度範囲が広い場合に好適である。
このPDD共重合PBTの評価結果を表-1に示す。
[比較例1]
実施例1において、PDD60.0質量部の代わりに、質量平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル社製PTMG)60.0質量部(生成するPTMG共重合ポリエステルに対し40質量%)を用いるほかは実施例1と同様にして、PTMG共重合PBTを得た。このPTMG共重合PBTの評価結果を表-1に示す。
[比較例2]
実施例1において、PDD60.0質量部の代わりに、質量平均分子量1,000のポリデカメチレングリコール(三菱ケミカル社製PDMG)60.0質量部(生成するPDMG共重合ポリエステルに対し40質量%)を用いるほかは実施例1と同様にして、PDMG共重合PBTを得た。PDMG共重合PBTの評価結果を表-1に示す。
Figure 2023149984000004
[結果の評価]
ソフトセグメントとしてPDDを含む実施例1の共重合PBTは、PTMGを同量含有する比較例1の共重合PBTと比較して、溶融熱安定性が向上しているため、溶融成形時の分解ガスの発生や、発生したガスの気泡が樹脂中に混入するという問題を抑制することができる。また、実施例1のPDD共重合PBTは、比較例1のPTMG共重合PBTおよび比較例2のPDMG共重合PBTに比べて、融点が高く、引張弾性率が小さく柔軟性に優れるため、高融点かつ柔軟性が必要とされる用途に好適に使用することができる。
特に実施例1のPDD共重合PBTは、比較例2のPDMG共重合PBTと同程度の融点(高融点)かつ溶融熱安定性(溶融時の熱分解が抑えられている)を持ちつつ、引張弾性率が小さく、より柔軟性に優れていることが分かる。

Claims (4)

  1. ジカルボン酸成分、ジオール成分及び下記式(1)で表されるポリアルキレングリコール成分を含むポリアルキレングリコール共重合ポリエステルであって、
    該ポリアルキレングリコール成分の数平均分子量が600~5,000であるポリアルキレングリコール共重合ポリエステル。
    HO-(R-O)-H ・・・(1)
    (式(1)中、Rは、不飽和脂肪酸の二量体である環式又は非環式二量体酸が還元された炭素数36~44の二量体ジオールに由来する2価の炭化水素基を表し、nは2以上の実数を表す。)
  2. 前記ポリアルキレングリコール成分の前記ポリアルキレングリコール共重合ポリエステル中の含有量が10~80質量%であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアルキレングリコール共重合ポリエステル。
  3. 前記ジカルボン酸成分が炭素数8以上の脂環式及び/または芳香族ジカルボン酸成分を主成分とすることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリアルキレングリコール共重合ポリエステル。
  4. 前記ジオール成分が炭素数2以上の脂肪族及び/または脂環式グリコール成分を主成分とすることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリアルキレングリコール共重合ポリエステル。
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