JP2023149502A - 立体造形装置の性能維持方法 - Google Patents

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Kohei Egawa
博史 酒井
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Abstract

【課題】強化材分散液の粘度変化を防止し、強化材分散液の吐出性能を維持することができる立体造形装置の性能維持方法を提供する。【解決手段】液相材料中に強化材を分散せしめた強化材分散液116を吐出口120aから吐出し、強化材分散液116からなる立体造形物を形成させる立体造形装置100の性能維持方法であり、吐出口120aからの強化材分散液116の吐出を行っていないときに強化材分散液116の吐出経路120内で強化材分散液116の流動を生じさせる流動性維持工程を実施する。【選択図】図3

Description

本発明は、3Dプリンティングなどの付加製造技術を用いて立体造形物を形成させる立体造形装置の性能を維持する方法に関する。
3Dプリンティング技術を用いた製造装置の名称として、広く3Dプリンタという言葉が使われている。3Dプリンタは、3次元のCADデータをもとにコンピュータで造形物の断面形状を計算し、該造形物を薄い輪切り状の断面構成要素に分割して、その断面構成要素を種々の方法で形成し、それを積層させて目的とする造形物を形成する立体造形装置である。3Dプリンティング技術は、国際的にはAdditive Manufacturing Technologyと同義語として使われる場合が多く、日本語訳として、付加製造技術が用いられている。
近年は、3Dプリンタで形成した造形物に対しても、実製品の量産前の評価目的で外観だけでなく剛性や強度が要求されるようになり、金属3Dプリンタや複合材3Dプリンタが注目されている。特に、下記特許文献1に開示されている立体造形方法では、造形槽内で複数回のシェル層の造形とコア材(強化材分散液)の充填が繰り返された後、活性エネルギー線の照射または熱エネルギーの付与によりコア材を一括して硬化させることにより、コア材により形成される造形物には積層界面が存在しないため、剛性、強度に方向性が無い造形物を造形することができる。
特開2019-136923号公報
ここで、上記の立体造形装置で用いるコア材は、炭素繊維などの強化材が分散された樹脂であり、流動が生じていない状態下では樹脂の粘度が上昇し、また、強化材が沈降する。そのため、立体造形装置においてコア材の吐出が実施されない時間が続くとコア材の吐出経路内でコア材の粘度上昇、強化材の沈降が生じることにより吐出経路内で詰まりが生じ、コア材の吐出性能が低下してしまうおそれがあった。
本願発明は、上記問題点を鑑み、強化材分散液の粘度変化を防止し、強化材分散液の吐出性能を維持することができる立体造形装置の性能維持方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の立体造形装置の性能維持方法は、液相材料中に強化材を分散せしめた強化材分散液を吐出口から吐出し、当該強化材分散液からなる立体造形物を形成させる立体造形装置の性能維持方法であり、前記吐出口からの前記強化材分散液の吐出を行っていないときに前記強化材分散液の吐出経路内で前記強化材分散液の流動を生じさせる流動性維持工程を実施することを特徴としている。
本発明の立体造形装置の性能維持方法によれば、吐出口からの前記強化材分散液の吐出を行っていないときにも強化材分散液を浪費することなくその粘度変化を防止することができる。
また、前記流動性維持工程は、前記強化材分散液の吐出方向に対して逆方向への流動を含むと良い。
こうすることにより、強化材分散液を吐出させず吐出経路内で強化材分散液を流動させることができる。
また、前記吐出経路に供給する前記強化材分散液を貯留するタンクが前記供給経路と接続されており、前記流動性維持工程は、前記強化材分散液のヘッドが前記供給経路内にある状態を維持した状態で実施されると良い。
こうすることにより、タンク内に強化材分散液以外のものが混入することを防ぐことができる。
また、前記強化材分散液を流動させるポンプが前記吐出経路内に位置し、前記流動性維持工程は、前記強化材分散液のヘッドが前記ポンプよりも下流側にある状態を維持した状態で実施されると良い。
こうすることにより、ポンプの性能を維持することができる。
また、前記立体造形物は、外殻層であるシェルを液相材料であるシェル材を用いて先に造形し、次に造形済の前記シェルに囲われた部分であるコア部に前記強化材分散液材を充填することによって前記コア部を前記シェル材から前記強化材分散液へ置換することにより形成され、前記流動性維持工程は、前記吐出口が前記シェル材内に位置する状態で実施されると良い。
こうすることにより、吐出経路内に立体造形物の形成に関わるもの以外が混入することを防ぐことができる。
また、前記流動性維持工程は、前記吐出口が前記吐出経路の外部に貯留された前記強化材分散液内に位置する状態で実施されると良い。
こうすることにより、吐出経路内に強化材分散液以外の物質が混入することを防ぐことができる。
また、前記流動性維持工程は、前記吐出口が前記吐出経路を洗浄するための洗浄液内に位置する状態で実施されると良い。
こうすることにより、強化材分散液の流動性維持と同時に吐出経路の洗浄も実施することができる。
本発明の立体造形方法により、強化材分散液の粘度変化を防止し、強化材分散液の吐出性能を維持することができる。
本発明の性能維持方法にかかる立体造形装置を説明する図である。 本発明にかかる立体造形装置で用いるコア材の概略図である。 本発明の一実施形態における立体造形装置の性能維持方法を説明する図である。 本発明の他の実施形態における立体造形装置の性能維持方法を説明する図である。 本発明の他の実施形態における立体造形装置の性能維持方法を説明する図である。
本発明の性能維持方法を実施する立体造形装置について、図1を参照して説明する。
複合材3Dプリンタである立体造形装置100は、紫外線硬化樹脂であるシェル材121が貯留されている造形槽111、レーザ光学系112、コア材供給系113を主たる構成要素とする。
造形槽111中には液相材料であるシェル材121が貯留されており、図示しないシェル材調整系により、その液面位置を所定位置に維持、調整可能となっている。シェル材121としてはエポキシ系、アクリル系など公知のものが使用可能である。造形槽111中には造形台128が設けられている。造形台128は立体造形物を支持するためのもので、図示しない駆動機構により図中Z軸方向の任意の位置に移動かつ設置可能となっている。
レーザ光学系112は紫外線レーザ光源114、走査光学系115とからなり、紫外線レーザ光源114から出射される紫外線レーザ光130は走査光学系115によりシェル材121の液面上(すなわちXY平面)の所定範囲を走査することが可能となっている。
シェル材121は紫外線レーザ光130の照射により、図1にて硬化済み紫外線硬化樹脂123で示すように液面から所定の深さだけ硬化する。この硬化深さは0.1mmから0.2mm程度が一般的である。もちろん紫外線レーザ光源114の出力を調整することによりこの硬化深さを調整することが可能である。
造形台128上面をシェル材121の液面からこの硬化深さ程度まで沈めた深さに位置させ、シェル材121の液面の任意の位置へ紫外線レーザ光130を照射することにより、造形台128上に任意の面積の硬化済み紫外線硬化樹脂123が形成される。
造形台128上に硬化済み紫外線硬化樹脂123が形成された後、硬化深さ分だけ造形台128を下降させ、その後シェル材121の液面の任意の位置へ紫外線レーザ光130を照射することにより、硬化済み紫外線硬化樹脂123上に硬化済み紫外線硬化樹脂123が積層される。
そして、造形台128の下降とシェル材121液面への紫外線レーザ光130の照射とを繰り返し実施することにより、硬化済み紫外線硬化樹脂123の積層が進行し、三次元形状の硬化済み紫外線硬化樹脂123を得ることができる。本発明では、このようにして造形された造形物をシェルと呼ぶ。このシェルは中空形状を有するコア材116を充填するための外殻層であり、シェルで囲われた部分のうち底面を有する部分をコア部と呼ぶ。
コア材供給系113は液相材料であるコア材116をその内部に貯留するコア材タンク117中から、ポンプ119で配管系118b、118aを順に介してコア材116を送液、供給し、ノズル120の先端の吐出口120aから吐出する。ノズル120は図示しない移動機構により、図中XYZ軸各方向に移動かつ固定可能となっている。このため配管系118aはノズル120の移動に追随するようフレキシブルな構成及び材料となっている。コア材116は、本説明でいう強化材分散液であり、図2に示すように熱硬化性樹脂116b中に炭素繊維、ガラス繊維などの強化材116aが均一に分散されたもので、シェル材121同様エポキシ系、アクリル系など公知の熱硬化樹脂が使用可能である。また、コア材116の比重はシェル材121の比重よりも大きい。
シェルが有するコア部へコア材116を充填し、コア部に充填された状態のコア材116へ熱エネルギーを付与することにより、コア材116は熱硬化する。熱硬化したコア材116、もしくはそれとシェルの組み合わせが本説明における立体造形物であり、所望の形状を有するコア部に充填してから熱硬化させることにより、所望の形状の立体造形物を得ることができる。また、本方法によるとコア材116により形成される立体造形物には積層界面が存在しないため、剛性、強度に方向性が無い立体造形物を造形することができる。
次に、上記の立体造形装置100における本発明の性能維持方法を図3を用いて説明する。
本発明にかかる立体造形装置の性能維持方法は、主に立体造形装置が立体造形物の製造に供さず吐出口120aからのコア材116の吐出を行っていないとき、いわゆる待機時間中に実施されるものであり、コア材116の吐出経路(配管系118a、118b、ノズル120)内でコア材116の流動を生じさせる流動性維持工程を有する。
本実施形態の流動性維持工程では、造形槽111とは別に設けられた槽に貯められたシェル材121中にノズル120の吐出口120aが浸漬された状態において、ポンプ119の逆回転と順回転が交互に行われることにより、図3(a)の矢印が示すようにコア材116の吐出経路内でコア材116の吐出方向への進出と吐出方向に対する逆方向への後退が繰り返し行われ、すなわち、コア材116が流動する。
なお、本説明においてコア材116の吐出経路におけるタンク117に近い方を上流側、ノズル120の吐出口120aに近い方を下流側と呼ぶ。また、本説明においてコア材116の吐出経路(配管系118a、118b、ノズル120)内におけるコア材116の先端部をヘッドHと呼ぶ。
本実施形態の流動性維持工程では、ノズル120の下流側にシェル材121が進入し、ポンプ119の順回転と逆回転が交互に行われることにより、ヘッドHがノズル120内を往復する状態が維持される。すなわち、コア材116が吐出口120aから吐出されることなく流動性維持工程が実施され、流動性維持工程によりコア材116が消費することを防止している。
ここで、流動性維持工程がシェル材121中にノズル120の吐出口120aが浸漬された状態において実施されることにより、ヘッドHが空気と触れることを防止し、ヘッドHにおいてコア材116が乾燥することを防ぐことができる。
また、本実施形態の立体造形装置の性能維持方法では、立体造形物の製造を再開させるために流動性維持工程が終了する際、ノズル120の先端部にシェル材121が残った状態でノズル120を造形槽111へ移動させると良い。そうすることにより、このシェル材121が蓋となり、ノズル120が造形槽111内のシェル材121に浸漬される瞬間にノズル120内のコア材116が造形槽111内のシェル材121の液面にて拡散することを防ぎ、シェル材121の汚染を防ぐことができる。
なお、本実施形態では造形槽111とは異なる槽に貯められたシェル材121中にノズル120の吐出口120aが浸漬された状態において立体造形装置の性能維持方法が実施されるが、造形槽111内で実施されても良い。
一方、シェル材121は上記の通り立体造形装置100で用いられてシェル内のコア部においてコア材116との置換が行われる液体ではあるが、このシェル材121がノズル120内に進入することが好ましくない場合もある。その場合、シェル材121内で流動性維持工程を実施する場合には、図3(b)に示すように、まず一定量のコア材116を吐出し、そのコア材116を吐出口120aから出し入れするようにすることが好ましい。
次に、本発明の他の実施形態における立体造形装置の性能維持方法を図4を用いて説明する。
本実施形態では、シェル材121に代わりコア材116が貯められた槽内にノズル120が浸漬された状態で流動性維持工程が実施される。これにより、コア材116の吐出経路(配管系118a、118b、ノズル120)内にコア材116以外の物質が混入することなく、また、ヘッドHを乾燥させることなく、吐出経路内のコア材116の流動を行わせることができる。
次に、本発明のさらに他の実施形態における立体造形装置の性能維持方法を図5を用いて説明する。
本実施形態では、コア材116の吐出経路の洗浄に用いられる洗浄液140が貯められた槽内にノズル120が浸漬された状態で流動性維持工程が実施される。こうすることにより、コア材116の吐出経路内のコア材116における流動性確保と同時に、洗浄液140が進入した部分において吐出経路の洗浄が行われ、たとえば吐出経路内で固化した熱硬化性樹脂116bや吐出経路内にへばりついた強化材116aなどを除去することができる。
ここで、前述の実施形態では、コア材116の吐出経路内でのコア材116の流動が確保できれば充分であるため、コア材116のヘッドHの移動はノズル120内で行われれば充分であるのに対し、本実施形態では、吐出経路をできるだけ広範囲で洗浄することが好ましく、ヘッドHの移動量は可能な限り大きくとられることが好ましい。たとえば、ヘッドHが吐出経路内のタンク117の手前の位置まで来るぐらいまで洗浄液140を進入させても良い。
一方、ポンプ119にコア材116以外の液体が進入することによってポンプ119の性能に悪影響が出る場合は、図5に示す通り吐出経路中のコア材116のヘッドHはポンプ119よりも下流側に位置する状態が維持され、少なくとも配管系118aおよびノズル120の内部が洗浄液140により洗浄されるようにすると良い。
以上の立体造形装置の性能維持方法により、強化材分散液の粘度変化を防止し、強化材分散液の吐出性能を維持することが可能である。
ここで、本発明の立体造形装置の性能維持方法は、以上で説明した形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば、上記の説明では、流動性維持工程ではコア材の吐出方向および逆方向の流動が交互に行われるが、それに限らず、たとえばコア材のヘッドがポンプに到達するまでは逆方向の流動が所定時間毎に繰り返し行われるものであっても良い。
また、コア材の流動は、ポンプによる流動だけでなく、超音波などで吐出経路を振動させることによりコア材を流動させても良い。
また、流動性維持工程において、図1でいうノズル120の吐出口と配管系118bとをつなぐ別の配管を取り付け、配管系118b、ポンプ119、118a、ノズル120を通ったコア材116をこの別の配管を通して配管系118bに戻すことにより、コア材116を循環させることによってコア材116の流動性を維持するようにしても良い。
また、上記の説明では、ノズルを液体に浸漬させた状態で流動性維持工程が行われているが、ノズルが大気中に配置された状態で流動性維持工程が行われても良い。この場合、ポンプへのエアの噛み込みを防ぐため、吐出経路中のコア材のヘッドはポンプよりも下流側に位置する状態を維持することが望まれる。
100 立体造形装置
111 造形槽
112 レーザ光学系
113 コア材供給系
114 紫外線レーザ光源
115 走査光学系
116 コア材
116a 強化材
116b 熱硬化性樹脂
117 コア材タンク
118a 配管系
118b 配管系
119 ポンプ
120 ノズル
120a 吐出口
121 シェル材
123 硬化済み紫外線硬化樹脂
125 シェル
126 コア部
128 造形台
130 紫外線レーザ光
140 洗浄液
H ヘッド

Claims (7)

  1. 液相材料中に強化材を分散せしめた強化材分散液を吐出口から吐出し、当該強化材分散液からなる立体造形物を形成させる立体造形装置の性能維持方法であり、
    前記吐出口からの前記強化材分散液の吐出を行っていないときに前記強化材分散液の吐出経路内で前記強化材分散液の流動を生じさせる流動性維持工程を実施することを特徴とする、立体造形装置の性能維持方法。
  2. 前記流動性維持工程は、前記強化材分散液の吐出方向に対して逆方向への流動を含むことを特徴とする、請求項1に記載の立体造形装置の性能維持方法。
  3. 前記吐出経路に供給する前記強化材分散液を貯留するタンクが前記供給経路と接続されており、前記流動性維持工程は、前記強化材分散液のヘッドが前記供給経路内にある状態を維持した状態で実施されることを特徴とする、請求項1もしくは2に記載の立体造形装置の性能維持方法。
  4. 前記強化材分散液を流動させるポンプが前記吐出経路内に位置し、前記流動性維持工程は、前記強化材分散液のヘッドが前記ポンプよりも下流側にある状態を維持した状態で実施されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の立体造形装置の性能維持方法。
  5. 前記立体造形物は、外殻層であるシェルを液相材料であるシェル材を用いて先に造形し、次に造形済の前記シェルに囲われた部分であるコア部に前記強化材分散液材を充填することによって前記コア部を前記シェル材から前記強化材分散液へ置換することにより形成され、
    前記流動性維持工程は、前記吐出口が前記シェル材内に位置する状態で実施されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の立体造形装置の性能維持方法。
  6. 前記流動性維持工程は、前記吐出口が前記吐出経路の外部に貯留された前記強化材分散液内に位置する状態で実施されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の立体造形装置の性能維持方法。
  7. 前記流動性維持工程は、前記吐出口が前記吐出経路を洗浄するための洗浄液内に位置する状態で実施されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の立体造形装置の性能維持方法。
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