JP2023149143A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

積層体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023149143A
JP2023149143A JP2022057555A JP2022057555A JP2023149143A JP 2023149143 A JP2023149143 A JP 2023149143A JP 2022057555 A JP2022057555 A JP 2022057555A JP 2022057555 A JP2022057555 A JP 2022057555A JP 2023149143 A JP2023149143 A JP 2023149143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inorganic insulating
laminate
polyimide
polyimide layer
dianhydride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022057555A
Other languages
English (en)
Inventor
敏弘 森本
Toshihiro Morimoto
宏遠 王
Hongyuan Wang
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd filed Critical Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Priority to JP2022057555A priority Critical patent/JP2023149143A/ja
Publication of JP2023149143A publication Critical patent/JP2023149143A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Resistance Heating (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Heating Bodies (AREA)

Abstract

【課題】面方向の熱の均一性・熱伝導率に優れ、靭性・柔軟性などの特性も両立した、金属基板とポリイミド層との積層体を提供する。【解決手段】金属箔からなる金属基板と、当該金属基板の少なくとも一方の面に積層された無機絶縁粒子含有ポリイミド層とを有する積層体であって、前記金属箔は、体積固有抵抗率が10μΩ・cm以上であり、前記無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、厚みが3~70μm、引き裂き伝播抵抗が7mN以上、及び端裂抵抗が0.3N/20mm以上であることを特徴とする積層体である。【選択図】図2

Description

本発明は、金属箔からなる金属基板と、当該金属基板の少なくとも一方の面に積層された無機絶縁粒子含有ポリイミド層とを有する積層体に関し、より詳細には、フレキシブル面状発熱体として好適な積層体及びその製造方法に関する。
ポリイミドは、テトラカルボン酸無水物とジアミンを原料とし、これらの縮合反応により合成されるポリアミド酸を閉環反応して得られる耐熱性の樹脂で、分子鎖の剛直性、共鳴安定化、強い化学結合により熱分解に優れた抵抗を有し、酸化又は加水分解のような化学変化に対して高い耐久性を持ち、柔軟性、機械的特性及び電気的特性に優れている。一般的に電子機器に使用されるフレキシブルプリント基板(FPC;Flexible Printed Circuits)の絶縁樹脂層には、ポリイミドが広く用いられている。
ポリイミドのこのような特性から、従来から、フレキシブルヒーターなどの面状発熱体を構成する材料としてポリイミド樹脂が好適に用いられており、例えば、ステンレス箔や銅箔などの金属箔上に、フィラー含有又は非含有のポリイミドの層(フィルム)を形成した積層体が提案されている(例えば、特許文献1~7)。
特開2005-26185号公報 特開2015-79202号公報 特開2012-134132号公報 特許第5023667号公報 特許第4536335号公報 特開2021-30523号公報 特開2008-224056号公報
このように、ポリイミドの層(フィルム)を有する面状発熱体は従来から知られていたものの、面状発熱体は、とりわけ、配管、パイプや不定形状物の加熱を目的とするのみならず燃料電池の加熱ヒーターや複写機やレーザープリンターなどのトナーの熱定着に使用されることから耐熱性が要求される用途が多く、200℃を超える耐熱性が要求される用途は多い。ポリイミドなどの耐熱性樹脂の層においては、例えばフィラーを含有させることや薄膜化することなどの手法によって、厚み方向の熱伝導率を向上させる試みが見られた。ところが、本願の発明者らが鋭意検討を進めたところ、第一に、フィラーなどの添加によって熱の伝導を向上させる手法においては、その含有量が増えるほど相対的に樹脂成分の含有量が低下して、ポリイミドの層(フィルム)の靭性や柔軟性などの特性が低下するおそれがあること、また、第二に、従来からの面状発熱体においては、発熱部(金属箔、電気抵抗発熱体)から面方向に沿って急激に温度低下する傾向が強いことが知見され、面方向の熱の均一性が著しく低下することが分かり、むしろ面方向の熱の均一性(熱伝導性)が重要であることが示唆された。
それに加えて、このような面状発熱体においては、電力使用と発熱の効率化から、発熱部の配線をできるだけ小さく(細く)することが要求されており、このような設計を維持しながらも、熱の均一性が担保されることが好都合である。
したがって、従来からの、ポリイミドを用いた面状発熱体においては、その複雑な形状への追従性や精密な加熱性を必要とする用途のため、耐熱性、フレキシブル性や面内温度の均一性が重要な観点から現状市販品を見るに、総じて改善の余地があり、靭性や柔軟性を保持しながらも、とくに面方向の熱の均一性が改善させることが求められていた。
本発明は、上述した知見に基づいて発明されたものであり、その目的とするところは、熱の均一性(とくに面方向の熱の均一性、熱伝導率)に優れるとともに靭性・柔軟性などの特性にも優れ、さらには、電力使用と発熱との効率も良いような、金属基板とポリイミド層との積層体を提供することであり、とりわけ、フレキシブルな面状発熱体の用途に好適な積層体を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、そのような積層体の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]金属箔からなる金属基板と、当該金属基板の少なくとも一方の面に積層された無機絶縁粒子含有ポリイミド層とを有する積層体であって、
前記金属箔は、体積固有抵抗率が10μΩ・cm以上であり、
前記無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、厚みが3~70μm、引き裂き伝播抵抗が7mN以上、及び端裂抵抗が0.3N/20mm以上であることを特徴とする積層体。
[2]前記無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、面方向の熱伝導率(λxy)が0.5~7.0W/m・Kであることを特徴とする[1]に記載の積層体。
[3]前記無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、無機絶縁粒子の含有量が10~60体積%であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記無機絶縁粒子は、平均粒子径が0.6~15μmであることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記無機絶縁粒子は、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、石英及び酸化マグネシウムからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]フレキシブル面状発熱体として用いられることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、
金属箔である金属基板の表面に、無機絶縁粒子含有ポリイミドの前駆体溶液を塗布する工程と、
前記ポリイミドの前駆体溶液を、乾燥後、100~150℃の温度を積算時間で3~15分間、320~380℃の温度を積算時間で5分間以上となる加熱条件にて硬化させ、厚みが3~70μm、引き裂き伝播抵抗が7mN以上、及び端裂抵抗が0.3N/20mm以上であるポリイミド層を形成する工程とを有することを特徴とする積層体の製造方法。
本発明によれば、とくに面方向の熱の均一性・熱伝導率に優れ、尚且つ靭性・柔軟性などの特性も両立した、金属基板とポリイミド層との積層体が得られる。このような積層体は、電力使用と発熱の効率が良いことから、フレキシブルな面状発熱体として、例えば、配管、パイプや不定形状物の加熱を目的とするのみならず燃料電池の加熱ヒーターや複写機やレーザープリンターなどのトナーの熱定着用の加熱部の用途として好適である。
図1は、実施例の評価(温度評価、均一性評価)における配線パターンの概略を図示したものである。 図2は、実施例1の積層体のサーモグラフィーによる測定結果を示す図である。 図3は、実施例2の積層体のサーモグラフィーによる測定結果を示す図である。 図4は、実施例3の積層体のサーモグラフィーによる測定結果を示す図である。 図5は、比較例1の積層体のサーモグラフィーによる測定結果を示す図である。 図6は、比較例2の積層体のサーモグラフィーによる測定結果を示す図である。 図7は、比較例5の積層体のサーモグラフィーによる測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<積層体>
本発明の積層体は、金属箔からなる金属基板と、当該金属基板の少なくとも一方の面に積層された無機絶縁粒子含有ポリイミド層とを有し、前記金属基板の片面に前記ポリイミド層を有してもよいし、前記金属基板の両面に前記ポリイミド層を有してもよい。片面だけに無機絶縁粒子含有ポリイミド層を有する場合、金属基板の反対の面については、用途や目的などによっては何も積層させなくてもよく、或いは、熱が金属基板から逃げることを防止すべく断熱性能の良い材料からなる層を有することであってもよい。また、片面の無機絶縁粒子含有ポリイミド層が二層以上で形成されていてもよく、さらには、金属基板に直接積層されない他のポリイミドのみからなる層や、ポリイミド層以外の層を含むことも排除はされず、用途等によって、シリコーンやエポキシ等の樹脂層を含むことができるがこれらに限定されない。
<金属基板>
金属箔からなる金属基板は、抵抗発熱により通電で発熱するものであればよいが、単位長さ当たりの抵抗が高いものである必要があり、加熱出力や通電量の調整の容易性など観点から、体積固有抵抗率が10μΩ・cm以上の金属箔を用いる。合金であってもよい。好ましくは、体積抵抗率が30μΩ・cm以上のものであり、より好ましくは50μΩ・cm以上である。上限値は特に限定されないが、体積固有抵抗率が大きくなることで発熱は大きくなるが抵抗率が大きいため配線の長さによっては必要な電力も大きくなることから、200μΩ・cm以下であることが好ましい。体積固有抵抗率の値は、温度25℃で上記を満足することが好ましい。
このような体積固有抵抗率を有する金属としては、例えば、ステンレス系合金、鉄・ニッケル合金、ニッケル・クロム合金、鉄・クロム・アルミニウム合金、それらの複合材などを挙げることができるがこれらに限定されない。この中でも、機械的強度、耐熱性、加工性等の理由から、ステンレス系合金、鉄・クロム・アルミニウム合金を用いることが好ましく、より好ましくはステンレス系合金である。ステンレス系合金としては、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト系やそれらの複合系などの任意のステンレス系合金の箔を使用することができる。この中でも、機械的強度、耐熱性、加工性、発熱性、価格等の理由から、SUS304、鉄・クロム・アルミニウム合金を用いることが好ましい。
金属箔(金属基板)の厚みは特に限定されないが、柔軟性、加工性などの観点から、10~100μmであることが好ましく、より好ましくは、10~50μmであることがよい。
金属箔(金属基板)の形状は、積層体の用途に応じて適宜採用することができ、シート状、線状、ひも状、テープ状などのいずれであってもよい。また、公知の方法によって適宜加工されてもよく、例えば、エッチング法によって精緻なパターンに加工されたものであってもよく、本発明の目的を害しないものであればよい。また、公知の方法により表面処理などがなされていてもよい。
<無機絶縁粒子含有ポリイミド層>
本発明の無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、ポリイミド樹脂からなる層中に、熱伝導性フィラーとして無機絶縁粒子が混合・含有されて形成されてなるものである。
無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、主として、発熱体としての前記金属基板を被覆して絶縁する役割や面内の温度均一効果の役割を有するものであるが、好適には面状発熱体の用途として金属基板からの発熱の伝導性が良好であることがよく、熱伝導率が高いことが好ましい。また、とくにフレキシブル性を有する面状発熱体の用途に用いられるようにするために、柔軟性や靭性が良好であることが好ましい。
そのため、当該無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、その引き裂き伝播抵抗が高く、7mN以上であることが必要である。好ましくは、8mN以上、より好ましくは10mN以上がよい。上限値は特に限定されない。このような範囲であることで、加工時・使用時の破れなどの不具合を防止することができる。
また、無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、その端裂抵抗が高く、JIS規格に準拠した幅20mm当たりを基準として、端裂抵抗が0.3N/20mm以上であることが必要である。好ましくは、0.4N/20mm以上、より好ましくは0.5N/20mm以上であることがよい。上限値は特に限定されない。このような範囲であることで、加工時・使用時の破れなどの不具合を防止することができる。
また、無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、熱伝導性、靭性、柔軟性、加工性、フィルム自体の支持性等を持たせ、前記の引き裂き伝播抵抗や端裂抵抗を満足させるなどの観点から、その厚みを3~70μmの範囲とすることが必要である。厚みは使用される用途などによって適宜選択することができるが、好ましくは10~30μmとすることがよい。ここで、無機絶縁粒子含有ポリイミド層の厚みについては、金属基板の片面側あたりの厚みを指し、金属基板の片面における無機絶縁粒子含有ポリイミド層が複数層からなる場合は複数層の合計の厚みを指す。
また、無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、面方向の熱伝導率(λxy)が0.5~7.0W/m・Kであることが好ましい。より好ましくは、0.8~5.0W/m・Kであることがよい。熱伝導率λxyを前記の下限値以上とすることにより、無機絶縁粒子含有ポリイミド層の面方向の熱の均一性を高めることができる。前述したとおり、従来から厚み方向の熱伝導性の検討が行われていたところ、本願の発明者らによる知見によれば、面状発熱体としてはむしろ面方向の熱伝導性を考慮することが必要であり、それにより面状発熱体としての熱の均一性が向上すると考えられるため好ましい。熱伝導率λxyの上限値については、数値が大きいほど熱の伝導性・均一性には好ましいと考えられるが、逆に、無機絶縁粒子含有ポリイミド層側に熱が過度に伝わる(逃げる)ことによって金属基板側の温度上昇の遅延や、電流が過大になると考えられることから、前記の上限値に設定されるようにすることが好ましい。面方向の熱伝導率λxyは、無機絶縁粒子の種類や含有量、層厚み、ポリイミドの組成(高熱伝導性を有するものを選択するなど)などによって適宜調整することができる。
ここで、無機絶縁粒子は、熱伝導性フィラーであり、熱伝導性が高く、通常導電性を有するとされるものでなければ特に限定されないが、体積固有抵抗値が1.0×10Ω・cm以上であるものを好適に用いることができる。より好ましくは体積固有抵抗値が1.0×1010Ω・cm以上、さらに好ましくは、1.0×1014Ω・cm以上のものである。体積固有抵抗値の上限値は特に制限されない。このような無機絶縁粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、石英、酸化マグネシウムなどを挙げることができ、これらを混合したものであってもよい。形状としては、球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状等が挙げられるが制限されない。
無機絶縁粒子は、熱伝導性、ポリイミドとの混錬性、塗工性及び加工性の観点から、その平均粒子径が0.6~15μmであることが好ましく、より好ましくは、1.0~15μmであることがよい。ここで、平均粒子径は、レーザー回折法により、体積基準の粒度分布測定によって得られる頻度分布曲線における小粒子側からの累積値が50%となる値から求めることができる。
無機絶縁粒子含有ポリイミド層における無機絶縁粒子の含有量については、無機絶縁粒子の含有量が10~60体積%であることが好ましい。熱伝導性を向上させるためには無機絶縁粒子の含有量が多いほど好ましいが、相対的にポリイミド樹脂の含有量が低下することから靭性や柔軟性などが低下する抵抗があるため、前記の範囲とすることが好適である。より好ましくは、無機絶縁粒子の含有量が20~50体積%であることがよい。
使用されるポリイミド樹脂(ポリイミド層)としては、市販の無機絶縁粒子含有ポリイミドフィルムとして、例えば東レ・デュポン社製のカプトンMTタイプ(商品名)をそのまま使用することもできて特に制限されないが、例えば、[1]支持基材である金属基板に、無機絶縁粒子を含有したポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、イミド化して樹脂フィルムとして形成されたもの(以下、キャスト法)、[2]支持基材である金属基板に、無機絶縁粒子を含有したポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、当該ポリアミド酸のゲルフィルムを支持基材から剥がし、イミド化して樹脂フィルムとして形成されたものが挙げられる。また、複数層からなる場合、例えば、[3]支持基材である金属基板に、無機絶縁粒子を含有したポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返した後、イミド化を行う方法(以下、逐次塗工法)、[4]支持基材である金属基板に、多層押出により、同時に無機絶縁粒子を含有したポリアミド酸の積層構造体を塗布・乾燥した後、イミド化を行う方法(以下、多層押出法)などにより形成されたものが挙げられる。また、フィルム化されたものを、接着剤などを介して若しくは介さずに加熱圧着して形成されたものであってもよい。
寸法安定性や、金属基板との密着性などの観点から、キャスト法・逐次塗工法により形成されたものが好ましい。
また、無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、耐熱特性としてガラス転移温度(Tg)が200℃以上、線膨張係数(CTE)は0~40ppm/Kであることが好ましい。
<ポリイミドの組成、積層体の製造方法>
本発明における無機絶縁粒子含有ポリイミド層に用いられるポリイミドの組成については特に制限されず、公知の成分を用いることができる。
公知のとおり、ポリイミドは、ポリアミド酸をイミド化して得られる。ポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物成分から誘導される4価の基であるテトラカルボン酸残基と、ジアミン成分から誘導される2価の基であるジアミン残基とを有して構成され、これらの構成成分が連結したものを1つの繰り返し単位としてみた場合に、その繰り返し単位の重合物から構成されるものである。無機絶縁粒子を含有すること以外は、ポリアミド酸もポリイミドも、基本的には公知の方法を用いて製造することができる。
例えば、通常ポリイミド酸は、所定のテトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分をほぼ等モルで有機溶剤中に溶解させ、通常0~100℃の範囲の温度で30分から24時間攪拌して重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5~30重量%の範囲内、好ましくは10~20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチル-2-ピロリドン、2-ブタノン、ジメチルスルホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、γ‐プチロラクトン等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。
本発明においては、前記ポリアミド酸と、前記無機絶縁粒子とを混合して、無機絶縁粒子含有ポリアミド酸を得るようにすることが好適である。この際、前記のとおり、無機絶縁粒子が、無機絶縁粒子含有ポリイミド層として形成された際に10~60体積%となるように調製されることが好ましい。
ポリイミド酸及びポリイミドの合成において、テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分はそれぞれ1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分の種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、例えば、熱伝導性、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度等の物性を制御することができる。
ここで、ジアミン成分としては、ポリイミド酸及びポリイミドの製造に使用される公知のものを制限なく用いることができるが、芳香族ジアミン化合物が好ましい。また、脂環式ジアミン化合物を用いてもよい。例えば、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ‐α,α‐ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゾフェノン4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(BABP)、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン(BABB)、1,4-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、3,7-ジアミノ-2,8-ジメチルベンゾチオフェンスルホン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル(TFMB)、2,2’-ジフルオロー4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジフルオロー4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-DAPE)、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、又は1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンが挙げられる。より好ましくは、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-DAPE)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、又は1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノメシチレン、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、2,4-トルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3’-ジアミノ-p-テルフェニル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール等が挙げられる。
また、テトラカルボン酸二無水物成分は、ポリイミド酸及びポリイミドの製造に使用される公知のものを制限なく用いることができるが、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。また、脂環式テトラカルボン酸の無水物を用いてもよく、例えば、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、フルオレニリデンビス無水フタル酸、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸ニ無水物、シクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物などの脂環式テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’、4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(パラフェニレンジカルボニル)ジフタル酸無水物、4,4’-(メタフェニレンジカルボニル)ジフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)、4,4’-オキシジフタル酸ニ無水物(ODPA)、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、5,5’-ビス(トリフルオロメチル)-3,3’,4,4’-テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ジフェニルエーテル二無水物、ビス{3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ベンゼン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}、ビス(ジカルボキシフェノキシ)トリフルオロメチルベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、2,2-ビス{(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-テトラクロロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’’,4,4’’-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’’,3,3’’-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’’,4’’-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-2,3,8,9-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-4,5,10,11-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,7,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物、ペンタフルオロエチルピロメリット酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5,5’-ビス(トリフルオロメチル)-3,3’,4,4’-テトラカルボキシビフェニル二無水物、2,2’,5,5’-テトラキス(トリフルオロメチル)-3,3’,4,4’-テトラカルボキシビフェニル二無水物、5,5’-ビス(トリフルオロメチル)-3,3’,4,4’-テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、トリフルオロメチルベンゼン二無水物等が挙げられる。この中でも、面方向の熱伝導率の向上の観点から、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を用いることがより好ましい。
また、ポリアミド酸は、制限されないが、濃度やMwの調整により粘度が1,000~50,000cPの範囲とすることが好ましい。粘度が高い場合は、溶剤を加えて希釈すればよい。
合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。ポリアミド酸をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80~400℃の範囲内の温度条件で1~24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
具体的には、以下のような手順を挙げることができる。
すなわち、無機絶縁粒子を含有したポリアミド酸(ポリイミドの前駆体)の溶液を金属基板に塗布する工程と、塗布した溶液を乾燥後、100~150℃の温度を積算時間で3~15分間と、320~380℃の温度を積算時間で5分間以上となる加熱条件で硬化させる工程とを有する。
ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を基材上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。多層のポリイミド層の形成に際しては、例えば、前記した塗布、乾燥、加熱する操作を繰り返す方法が好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
本実施例に用いた略号は以下の化合物を示す。
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DAPE:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
また、実施例において評価した各特性については、下記評価方法に従った。
[粘度の測定]
ポリアミド酸溶液の粘度は、恒温水槽付のコーンプレート式粘度計(トキメック社製)
にて、25℃で測定した。
[体積平均粒子径D50の測定]
レーザー粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製「マイクロトラックMT3300EXII」)を用いてレーザー回折法により、体積基準の粒度分布測定によって得られる頻度分布曲線における累積値が50%となる値を体積平均粒子径とした。測定に際しては、0.2質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液にアルミナを入れ、装置内蔵の超音波装置を用いて40Wで5分間分散し、アルミナの屈折率は1.76とした。
[面方向熱伝導率(λxy)]
ポリイミド樹脂フィルムを5mm×30mmのサイズに切り出し、光交流法による面方向の熱拡散率(アドバンス理工社製、商品名;Laser PIT装置)、示差走査熱量測定(DSC)(TAインスツルメンツ社製、商品名;DSC25)による比熱、水中置換法による密度をそれぞれ測定し、これらの結果をもとに熱伝導率(W/m・K)を比重(g/cm)×比熱(J/g・K)×熱拡散率(mm/s)の式にて算出した。測定結果を表3に示す。
[引き裂き伝播抵抗(TPR)]
63.5mm×50mmのポリイミド樹脂フィルムを試験片とし、試験片に長さ12.7mmの切り込みを入れ、(株)東洋精機製の軽荷重引裂き試験機を用いて引き裂き伝播抵抗を測定した。
[端裂抵抗]
JIS C2151(2019)のB法に従い、幅20mm×長さ200mmのポリイミド樹脂フィルムを試験片として、東洋精機社製、商品名;ストログラフR1を用いて端裂抵抗を測定した。
[加工性]
ポリイミド層-金属箔積層体において、20cm×30cmの金属箔を酸溶液(40℃の塩化第二鉄溶液)にて全エッチングした際に、ポリイミドフィルム部に割れ・破れ等によってフィルム欠損が生じるものを×、欠損無く良好なフィルムが得られたものを○と評価した。
[面状ヒーター温度評価、ヒーター均一性評価]
金属箔発熱体の温度を200℃とし、赤外線サーモグラフィー(NEC Avio社製)及び熱電対温度計(キーエンス社製温度計測ユニット)にて表面の温度を測定し、とくに金属箔発熱配線から2mm離れた場所の温度分布を測定した。2mm離れた場所の温度が100℃以上であれば〇、100℃未満である場合はヒーターとしての均一性が劣るため×とした。
(合成例1)
窒素気流下で、DAPE(17.26g、0.086mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc255g中に溶解させた。次いで、BTDA(27.73g、0.086mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘度12000cPの淡黄色の粘稠なポリアミド酸溶液Aを得た。
(合成例2)
合成例1と同様に、窒素気流下で、BAPP(29.23g、0.071mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc255g中に溶解させた。次いで、PMDA(15.38g、0.071mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘度10000cPの淡黄色の粘稠なポリアミド酸溶液Bを得た。
(配合例1)
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液A65.0重量部と、熱伝導性フィラー(無機絶縁粒子。以下同様である。)として酸化アルミニウム粒子[住友化学(株)社製、商品名:AA-3、球状、体積平均粒子径D50 3.4μm]5.0重量部を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液Cを得た。このフィラー含有ポリアミド酸溶液Cを硬化させた層における酸化アルミニウム粒子の含有量は15体積%(vol%)である。
(配合例2)
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液A59.0重量部と、熱伝導性フィラーとして酸化アルミニウム粒子[住友化学(株)社製、商品名:AA-3、球状、体積平均粒子径D50 3.4μm]11.0重量部を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液Dを得た。このフィラー含有ポリアミド酸溶液Dを硬化させた層における酸化アルミニウム粒子の含有量は30vol%である。
(配合例3)
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液A48.7重量部と、熱伝導性フィラーとして酸化アルミニウム粒子[住友化学(株)社製、商品名:AA-3、球状、体積平均粒子径D50 3.4μm]21.3重量部を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液Eを得た。このフィラー含有ポリアミド酸溶液Eを硬化させた層における酸化アルミニウム粒子の含有量は50vol%である。
(配合例4)
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液A61.3重量部と、熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素粒子[昭和電工(株)社製、商品名:UHP-1、鱗片形状、平均長径8μm、分級機により25μm以上の粒子を取除いたもの)]8.7重量部を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液Fを得た。このフィラー含有ポリアミド酸溶液Fを硬化させた層における窒化ホウ素粒子の含有量は30vol%である。
(配合例5)
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液B59.0重量部と、熱伝導性フィラーとして酸化アルミニウム粒子[住友化学(株)社製、商品名:AA-3、球状、体積平均粒子径D50 3.4μm]11.0重量部を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液Gを得た。このフィラー含有ポリアミド酸溶液Gを硬化させた絶縁樹脂層における酸化アルミニウム粒子の含有量は30vol%である。
(配合例6)
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液B61.3重量部と、熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素粒子[昭和電工(株)社製、商品名:UHP-1、鱗片形状、平均長径8μm、分級機により25μm以上の粒子を取除いたもの)]8.7重量部を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液Hを得た。このフィラー含有ポリアミド酸溶液Hを硬化させた絶縁樹脂層における窒化ホウ素粒子の含有量は30vol%である。
(配合例7)
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液A34.7重量部と、熱伝導性フィラーとして酸化アルミニウム粒子[住友化学(株)社製、商品名:AA-3、球状、体積平均粒子径D50 3.4μm]35.3重量部を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液Iを得た。このフィラー含有ポリアミド酸溶液Iを硬化させた層における酸化アルミニウム粒子の含有量は70vol%である。
(配合例8)
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液A59.0重量部と、熱伝導性フィラーとして酸化アルミニウム粒子[住友化学(株)社製、商品名:AA-04、球状、体積平均粒子径D50 0.5μm]11.0重量部を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液Jを得た。このフィラー含有ポリアミド酸溶液Jを硬化させた層における酸化アルミニウム粒子の含有量は30vol%である。
Figure 2023149143000002
(実施例1)
SUS箔1(日鉄ケミカル&マテリアル社製 SUS304、厚み:30μm)上に配合例1で得たポリアミド酸溶液Cを硬化後の厚みが20.0μmとなるように塗布し、90~140℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。その後、130~360℃の温度範囲で、段階的に30分かけて昇温加熱して、SUS箔1上にポリイミド層を有するポリイミド/SUS箔1の積層体を作製した。積層体におけるポリイミド層の特性を評価するためにSUS箔1をエッチング除去してポリイミド樹脂フィルムM1を作製し、面方向熱伝導率(λxy)、引き裂き伝播抵抗(TPR)、端裂抵抗、加工性をそれぞれ評価した。また、積層体におけるSUS箔1を面状ヒーター用にエッチングし、発熱配線を作成した。配線パターンの概略を図1に示す。図1において、発熱配線部(符号:1)の幅は各14.5mmであり、配線部と配線部との間隔は7.25mmである。発熱配線部以外の部分(符号:2)は、非配線部(ポリイミド部)を示す。発熱配線に電気を流し、SUS箔配線部を発熱させ、面状ヒーターの表面温度を赤外線サーモグラフィー及び熱電対温度計にて評価した。結果を表2~3に示す。サーモグラフィーによる測定結果を図2に示した。
(実施例2、3)
使用するポリアミド酸溶液の種類を変更し、実施例1と同様にしてポリイミド樹脂フィルムM2、M3を得て同様に評価した。結果を表2~3に示す。また、実施例2のサーモグラフィーによる測定結果を図3に示し、実施例3のサーモグラフィーによる測定結果を図4に示した。
(実施例4)
SUS箔2(日鉄ケミカル&マテリアル社製 SUS344、厚み:30μm)上に配合例2で得たポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20.0μmとなるように塗布し、90~140℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。その後、130~360℃の温度範囲で、段階的に30分かけて昇温加熱して、SUS箔2上にポリイミド層を有するポリイミド/SUS箔2の積層体を作製した。積層体におけるポリイミド層の特性を評価するためにSUS箔2をエッチング除去してポリイミド樹脂フィルムM4を作製し、面方向熱伝導率(λxy)、引き裂き伝播抵抗(TPR)、端裂抵抗、加工性をそれぞれ評価した。また、積層体におけるSUS箔2を面状ヒーター用にエッチングし、発熱配線を作成した。発熱配線に電気を流し、SUS箔配線部を発熱させ、面状ヒーターの表面温度を赤外線サーモグラフィー及び熱電対温度計にて評価した。結果を表2~3に示す。
(実施例5~7、比較例1、2)
使用するポリアミド酸溶液の種類を変更し、実施例1と同様にしてポリイミド樹脂フィルムM5~M9を得て同様に評価した。結果を表2~3に示す。比較例1のサーモグラフィーによる測定結果を図5に示し、比較例2のサーモグラフィーによる測定結果を図6に示した。
(比較例3)
銅箔1(電解銅箔、福田金属箔粉工業社製、商品名;CF-T4MDS-HD-35、厚み;35μm、Rz=1.4μm)上に、配合例2で得たポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20.0μmとなるように塗布し、90~140℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。その後、130~360℃の温度範囲で、段階的に30分かけて昇温加熱して、銅箔1上にポリイミド層を有するフレキシブル基板用積層体を作製した。フレキシブル基板用積層体におけるポリイミド層の特性を評価するために銅箔1をエッチング除去してポリイミド樹脂フィルムM10を作製し、面方向熱伝導率(λxy)、引裂き伝播抵抗(TPR)、端裂抵抗、加工性をそれぞれ評価した。また、積層体における銅箔1を面状ヒーター用にエッチングし、発熱配線を作成した。発熱配線に電気を流し、銅箔1配線部を発熱させ、面状ヒーターの表面温度を赤外線サーモグラフィー及び熱電対温度計にて評価した。結果を表2~3に示す。
(比較例4、5)
使用するポリアミド酸溶液の種類、ポリイミド厚みを変更し、実施例1と同様にしてフィルムM11、M12を得て同様に評価した。結果を表2~3に示す。比較例5のサーモグラフィーによる測定結果を図7に示した。
Figure 2023149143000003
以上の結果をまとめて表3に示す。
Figure 2023149143000004
比較例1はフィラーを含有しない系であるが、面内熱伝導率が小さいため非配線部(非発熱部)の温度が小さく、面状ヒーターとしての均一性に欠けるものである。比較例2は高熱伝導フィラーを70vol%と高濃度フィラーを添加した系であるが、端裂抵抗、引裂伝播抵抗、加工性が悪く、大変脆いことが分かる。比較例3は発熱体部に銅箔を使用したものであるが、銅の固有抵抗率は3μΩ・cmと発熱効率が悪く、目標温度に到達しなかった。比較例4は高熱伝導フィラー微細粒径であるものを使用したが、フィラーの凝集が見られ、加工性に問題があった。比較例5はポリイミド部の厚みを75μmと厚くしたものである。端裂抵抗、引裂伝播抵抗と厚さのため強度向上が見られたが、加工性にて破断し、フレキシブル性に劣ることが分かった。さらにポリイミド厚みが厚いため、非配線部(非発熱部)の温度が小さく、面状ヒーターとしての均一性に欠けるものであった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
1…発熱配線部、2…非配線部(ポリイミド部)

Claims (7)

  1. 金属箔からなる金属基板と、当該金属基板の少なくとも一方の面に積層された無機絶縁粒子含有ポリイミド層とを有する積層体であって、
    前記金属箔は、体積固有抵抗率が10μΩ・cm以上であり、
    前記無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、厚みが3~70μm、引き裂き伝播抵抗が7mN以上、及び端裂抵抗が0.3N/20mm以上であることを特徴とする積層体。
  2. 前記無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、面方向の熱伝導率(λxy)が0.5~7.0W/m・Kであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記無機絶縁粒子含有ポリイミド層は、無機絶縁粒子の含有量が10~60体積%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記無機絶縁粒子は、平均粒子径が0.6~15μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記無機絶縁粒子は、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、石英及び酸化マグネシウムからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
  6. フレキシブル面状発熱体として用いられることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の積層体。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、
    金属箔である金属基板の表面に、無機絶縁粒子含有ポリイミドの前駆体溶液を塗布する工程と、
    前記ポリイミドの前駆体溶液を、乾燥後、100~150℃の温度を積算時間で3~15分間、320~380℃の温度を積算時間で5分間以上となる加熱条件にて硬化させ、厚みが3~70μm、引き裂き伝播抵抗が7mN以上、及び端裂抵抗が0.3N/20mm以上であるポリイミド層を形成する工程とを有することを特徴とする積層体の製造方法。
JP2022057555A 2022-03-30 2022-03-30 積層体及びその製造方法 Pending JP2023149143A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022057555A JP2023149143A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 積層体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022057555A JP2023149143A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 積層体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023149143A true JP2023149143A (ja) 2023-10-13

Family

ID=88288038

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022057555A Pending JP2023149143A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 積層体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023149143A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101045149B1 (ko) 금속 피복 폴리이미드 필름
JP5235211B2 (ja) フレキシブル基板用積層体及び熱伝導性ポリイミドフィルム
JP6971580B2 (ja) 多層ポリイミドフィルム、およびフレキシブル金属張積層板
JP5796628B2 (ja) ポリイミドフィルム
JP7479781B2 (ja) 金属張積層板、接着シート、接着性ポリイミド樹脂組成物及び回路基板
JP6515180B2 (ja) 多層接着フィルム及びフレキシブル金属張積層板
JP2007016200A (ja) ポリアミック酸樹脂組成物およびポリイミドフィルム
JP4474152B2 (ja) ポリイミドフィルム、その製造方法およびそれを用いたベース基板
WO2007108284A1 (ja) 接着フィルム
TW202118816A (zh) 聚醯亞胺薄膜、其製造方法及包含其的多層薄膜、可撓性金屬箔層壓板和電子部件
JP5468913B2 (ja) レジスト付き多層ポリイミドフィルム及びその製造方法
JP2023149143A (ja) 積層体及びその製造方法
JP7230148B2 (ja) 金属張積層板及び回路基板
JP5665449B2 (ja) 金属張積層体及び熱伝導性ポリイミドフィルム
JP5274207B2 (ja) ポリイミド系多層フィルムの製造方法
JP2008251900A (ja) フレキシブル基板用積層体及びその製造方法
JP2023006387A (ja) ポリアミド酸、ポリイミド、ポリイミドフィルム、金属張積層板及び回路基板
JP2022101201A (ja) ポリアミド酸組成物、ポリイミド組成物、金属張積層板及び回路基板
JP2023552081A (ja) 高い寸法安定性を有するポリイミドフィルム及びその製造方法
JP2003192891A (ja) 耐熱性ポリイミド重合物及びその銅被覆積層板
JP5329163B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法およびポリイミドフィルム
JP2024022280A (ja) 樹脂フィルム、金属張積層板及び回路基板
JP5608049B2 (ja) 多層フィルムの製造方法
JP3852987B2 (ja) 熱可塑性ポリイミド多層シート
JP2022099779A (ja) 金属張積層板及びその製造方法