JP2023149091A - 半透膜支持体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、半透膜支持体に半透膜を設けた際に、ピンホール及び裏抜けが少なく、均一な半透膜を形成することができ、かつ、半透膜と半透膜支持体との接着強度が高い半透膜支持体を提供することにある。【解決手段】ポリエステル系繊維を含有する湿式不織布からなる半透膜支持体において、半透膜支持体が陰イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする半透膜支持体。【選択図】なし

Description

本発明は、半透膜支持体に関する。
海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で、半透膜が広く用いられている。半透膜は、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等の合成樹脂で構成されている。しかしながら、半透膜単体では機械的強度に劣るため、不織布や織布等の繊維基材からなる半透膜支持体の片面に半透膜が設けられた形態である「濾過膜」として使用されている。「半透膜支持体の半透膜が設けられる面」を「半透膜形成面」と記載する場合がある。また、「半透膜形成面の反対面」を「非半透膜形成面」と記載する場合がある。
濾過膜の製造方法としては、上述したポリスルホン系樹脂等の合成樹脂を有機溶媒に溶解し、半透膜液(ドープ)を調製した後、半透膜支持体の片面(塗布面)にドープを塗布し、凝固浴中でゲル化の後に水洗し、微多孔膜を形成する方法が広く用いられている。そして、効率的に濾過を行うために、スパイラル型の半透膜エレメントが形成され、さらに、半透膜モジュールが組み立てられる(特許文献1)。
高い濾過流束と濾過性能を得るためには、半透膜表面に凹凸が少なく、半透膜形成時の横方向湾曲やシワの発生がなく、半透膜支持体上に半透膜が均一な厚みで設けられており、且つ膜欠陥(ピンホール)発生が抑制されている必要がある。半透膜が均一な厚みで設けられるには、半透膜支持体の半透膜形成面に優れた平滑性が必要とされ、また、ドープの浸透性が均一である必要がある。そして、良好な濾過性能を得るためには、半透膜と半透膜支持体との接着性にも優れている必要がある。また、半透膜モジュールを組み立てる際に、接着剤を使って、非半透膜形成面同士を貼り合わせる工程があるため、この非半透膜形成面同士の接着性に優れていることも要求されている。さらに、半透膜液が非半透膜形成面にまで裏抜けしないことが要求されている。裏抜けが発生すると、半透膜の厚みが不均一になる、非半透膜形成面同士の接着性が低下するという問題が発生するからである。
半透膜支持体として、引張強度の縦横比の異なる不織布を積層し、支持体を凸状に湾曲させ、半透膜液の収縮カールを抑制する支持体が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この方法では熱圧接着した際、引張強度の縦横比が異なる層を積層しているため、層同士の繊維結着点が少なくなり、層間強度が低下し、層間剥離を発生させるおそれがあった。また、引張強度の縦横比は繊維配向性に相関しており、繊維配向性は湿式抄造(抄紙)における水温や繊維を分散したスラリーの粘性に大きく左右され、繊維配向性のコントロールが困難であり、抄造方式によっては安定生産性に難があった。
半透膜支持体として、半透膜を設ける面に着色したN,N-ジメチルホルムアミドを滴下した際、濡れ跡の最長方向の長さが最短方向の長さの1.3倍以下であることにより、塗布工程を経て半透膜を形成し使用する際に、塗液浸透性が均一となり、半透膜の脱塩率の低下に繋がるピンホールの発生を抑制することができる支持体が提案されている(特許文献3)。しかしながら、この方法では、繊維の分散状態や繊維未離解起因によるピンホールは完全に防ぐことができない問題があった。
特開2008-238147号公報 特許第5739154号公報 特開2021-053595号公報
本発明の課題は、半透膜支持体に半透膜を設けた際に、ピンホール及び裏抜けが少なく、均一な半透膜を形成することができ、かつ、半透膜と半透膜支持体との接着強度が高い半透膜支持体を提供することにある。
上記課題は、下記手段によって解決された。
ポリエステル系繊維を含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、半透膜支持体が特定の界面活性剤を含有していることを特徴とする半透膜支持体。
具体的には、
(1)ポリエステル系繊維を含有する湿式不織布からなる半透膜支持体において、該半透膜支持体が陰イオン性界面活性剤を含有していることを特徴とする半透膜支持体である。
本発明において、半透膜支持体が陰イオン性界面活性剤を含有していることによって、半透膜支持体に半透膜を設けた際に、半透膜のピンホール及び裏抜けが少なく、均一な半透膜を形成することができ、かつ、半透膜と半透膜支持体との接着強度が高いという効果を達成できる。
以下、本発明の半導体膜支持体について詳説する。本明細書では、「半透膜と半透膜支持体との接着強度」を「膜接着強度」と略記する場合がある。
本発明の半透膜支持体は、ポリエステル系繊維を含有する湿式不織布からなり、陰イオン性界面活性剤を含有する。半透膜支持体が陰イオン性界面活性を含有していると、半透膜支持体に半透膜を設けた際、膜欠陥であるピンホールが少なくなり、かつ、膜接着強度が高くなる。一般的にドープの半透膜支持体への浸透が不均一になると、半透膜支持体中の気泡が抜けにくくなり、ピンホールが発生する。また、繊維分散時の気泡が抄紙の際、半透膜支持体に混入し、地合ムラが発生し、その地合ムラ部分がピンホールの原因となる。半透膜支持体が陰イオン性界面活性剤を含有すると、繊維分散の際、分散が均一となり、地合ムラが無くなる。また、ドープの半透膜支持体への浸透が均一となることで、ピンホールが抑制される。さらに、ドープの繊維へのレベリング性が向上し、半透膜が繊維表面を覆うように繊維に結着し、半透膜と繊維の結着面積が増えることで、ドープの浸透率が低い場合であっても、高い膜接着強度が得られる。ドープの浸透率を抑えることで、膜密度の高い緻密な半透膜を形成できる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、長鎖脂肪酸塩、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤は、1種だけを使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
陰イオン性界面活性剤の好ましい具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。アルキル基の炭素数は、8~14であることが好ましく、10~12であることが特に好ましい。すなわち、好ましいポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、ポリオキシエチレンデシルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸塩等が挙げられる。また、好ましいポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩としては、ポリオキシエチレンデシルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
本発明において、陰イオン性界面活性剤は、ポリエステル系繊維に付着された状態で、半透膜支持体中に含有されている。すなわち、半透膜支持体を製造する際、ポリエステル系繊維に予め付着している陰イオン性界面活性剤が、湿式抄造法(抄紙法)で製造された半透膜支持体中に残存する。この残存する界面活性剤によって、ドープの塗布・浸透が均一化される。本発明の効果を得るためには、陰イオン性界面活性剤のポリエステル系繊維に対する付着率は、0.01質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.4質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上0.3質量%以下がさらに好ましい。
本発明において、ポリエステル系繊維に対する(陰イオン性)界面活性剤の付着率は、絶乾したポリエステル系繊維に対する界面活性剤の付着量を百分率で表したものであり、例えば以下の方法で測定することができる。ポリエステル系繊維10gをメタノール/ヘキサン混合溶剤(容量比1/1)500mLを用いて3時間ソックスレー抽出を行い、溶剤を留去し、残存した界面活性剤の質量を測定し、界面活性剤抽出後に絶乾した繊維の質量に対する残存した界面活性剤の質量を百分率(%)で表したものである。
本発明において、半透膜支持体はポリエステル系繊維を含有し、該ポリエステル系繊維として、主体繊維とバインダー繊維を含有することが好ましい。主体繊維は、半透膜支持体の骨格を形成する繊維であり、バインダー繊維が軟化又は溶融する温度でも、主体繊維は軟化又は溶融しにくく、断面形状が変化することはあるものの、繊維としての形状が損なわれない繊維である。
本発明の半透膜支持体において、主体繊維の構成数は特に限定しないが、繊維径の異なる2種以上の繊維を含有することが好ましい。繊維径の異なる2種以上の主体繊維が絡み合って形成された繊維ネットワークによって、半透膜形成面に複雑で微細な凹凸が生じるため、膜接着強度を向上させることができる。また、この繊維ネットワークによって、半透膜形成面の平滑性も向上させることができ、均一な半透膜を得ることができる。
主体繊維の平均繊維径は、特に限定しないが、7~20μmであることが好ましく、8~16μmであることがより好ましい。また、少なくとも1種の主体繊維の繊維径が13μm以下の場合、半透膜形成面の平滑性をより高めることができ、膜の厚みが均一な半透膜が得られやすくなるため、さらに好ましい。主体繊維の平均繊維径が7μm未満の場合、膜接着強度が低下する場合や、非半透膜形成面同士の接着性が悪化する場合がある。主体繊維の平均繊維径が20μmを超える場合、半透膜形成面の平滑性が失われて、均一な厚みの半透膜が得難くなるだけでなく、フラジール(FG)通気度が高くなり過ぎて、半透膜液塗工時に裏抜けが発生する場合がある。
主体繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは1~12mmであり、より好ましくは3~10mmであり、さらに好ましくは4~6mmである。繊維長が1mm未満の場合、抄紙工程にて繊維の三次元ネットワークが形成されにくく、抄紙ワイヤーからの剥離性が悪化するおそれがある。一方、繊維長が12mmを超える場合、繊維同士の絡まりや縺れの発生により、半透膜支持体の均一性や半透膜の平滑性に悪影響を及ぼすおそれがある。主体繊維の断面形状は円形が好ましいが、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、半透膜形成面の平滑性のために、他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
本発明の半透膜支持体は、バインダー繊維を含有しているが、バインダー繊維が軟化又は溶融する温度付近まで温度を上げる工程を、半透膜支持体の製造工程に組み入れることで、バインダー繊維が半透膜支持体の機械的強度を向上させる。例えば、半透膜支持体を湿式抄造法で製造し、その後の乾燥工程や熱圧加工処理で、バインダー繊維を軟化又は溶融させることができる。
バインダー繊維としては、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維等の複合繊維、未延伸繊維等が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、半透膜支持体の機械的強度を向上させることができる。より具体的には、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組合せ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組合せ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組合せ、ポリエステル(芯)とポリエチレン(鞘)の組合せ、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーは、半透膜支持体の乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。本発明においては、ポリエステル系繊維である高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組合せ、ポリエステルの未延伸繊維を好ましく用いることができる。
バインダー繊維の繊維径は、主体繊維と異なっていることが好ましいが、特に限定されない。主体繊維とバインダー繊維との繊維径が異なることで、バインダー繊維は半透膜支持体の機械的強度を向上させる役割のほかに、主体繊維と共に均一な三次元ネットワークを形成する役割も果たし、さらに、乾燥工程や熱圧加工処理等の、バインダー繊維が軟化又は溶融する温度付近まで温度を上げる工程においては、半透膜形成面の平滑性をも向上させることができる。
バインダー繊維の繊維長は、特に限定されないが、繊維長が20mmを超えた場合、地合が悪化する傾向がある。バインダー繊維の断面形状は円形及びT型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も含有することが可能である。
本発明の半透膜支持体は、ポリエステル系繊維のほかに、性能を阻害しない範囲で、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ベンゾエート系、ポリクラール系、フェノール系等の合成繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等の再生繊維を含有することができる。
本発明の半透膜支持体としては、湿式抄造法(抄紙法)で製造された湿式不織布(湿式抄造不織布)であり、抄紙方式で、繊維を水に分散し、それらをシート状に集積し、一つ又は二つ以上の結合方法で作られた不織布である(JIS L 0222 : 2001「不織布用語」番号104)。本発明では、さらに、熱ロールによって熱圧加工処理が施された湿式不織布であることが好ましい。
湿式抄造法では、まず、繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を通り、最終の繊維濃度が0.01~0.50質量%に調整された抄造用スラリーが抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙方式としては、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー式等を用いることができる。これらの抄紙方式から選ばれる1種の抄紙方式を有する抄紙機を使用しても良いし、同種又は異種の2種以上の抄紙方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用しても良い。また、半透膜支持体が2層以上の多層構造の場合には、各々の抄紙方式で抄き上げた湿紙を積層する「抄き合わせ法」、一方の層を形成した後に、該層の上に繊維を分散したスラリーを流延する「流延法」等で製造することができる。流延法において、先に形成した一層は湿紙状態であっても良いし、乾燥状態であっても良い。また、2枚以上の乾燥状態の層を熱融着させて、多層構造とすることもできる。
抄紙機で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することにより、湿式不織布を得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100~180℃が好ましく、100~170℃がより好ましく、100~160℃がさらに好ましい。熱ロールの表面温度が100℃を下回る場合、抄紙機で製造された湿紙の水分が十分に蒸発せず、半透膜支持体の厚みが不均一になる場合があり、熱ロールの表面温度が180℃を超える場合、抄紙機で製造された湿紙が熱ロールに貼り付いて、半透膜支持体の地合が悪くなる場合がある。圧力は、好ましくは5~100kN/mであり、より好ましくは10~80kN/mである。圧力が5kN/mを下回る場合、抄紙機で製造された湿紙の水分が十分に抜けず、半透膜支持体の厚みが不均一になる場合があり、100kN/mを超える場合、抄紙機で製造された湿紙が熱ロールに貼り付いて、半透膜支持体の地合が悪くなる場合がある。
熱圧加工処理では、熱圧加工処理装置の熱ロール間をニップしながら、湿式不織布を熱ロール間に通過させる。熱ロールの組合せとしては、2本の金属ロール、金属ロールと樹脂ロール、金属ロールとコットンロール等が挙げられ、一方あるいは両方の熱ロールを加熱する。さらに、必要に応じて、不織布の表裏を逆にして、ニップへの通過回数を2回以上にしても良い。
熱圧加工処理に用いる熱ロールの表面温度は、示差熱分析によって測定した主体繊維の融点(融解温度、JIS K 7121-1987)より低く、バインダー繊維の融点に対して-70~-20℃であることが好ましく、-60~-30℃であることがより好ましい。熱ロールの表面温度を、バインダー繊維の融点より70℃を超えて低くすると、毛羽立ちが発生しやすくなる場合があり、均一な厚みの半透膜が得難くなる。一方、熱ロールの表面温度を、融点より20℃低い温度を超えて高くすると、熱ロールに繊維の溶融分が付着して、半透膜支持体が不均一になる場合があり、均一な厚みの半透膜が得難くなる。
本発明の半透膜支持体は、単層構造であっても構わないし、多層構造であっても構わない。多層構造の湿式不織布の場合、各層の坪量が下がることにより、抄造用スラリーの繊維濃度を下げることができるため、半透膜支持体の地合が良くなり、その結果、半透膜形成面の平滑性や均一性が向上する。また、各層の地合が不均一であった場合でも、積層することで補填できる。さらに、抄紙速度を上げることができ、操業性が向上する。
半透膜支持体の坪量は、特に限定しないが、20~150g/mが好ましく、より好ましくは50~100g/mである。該坪量が20g/m未満の場合は、十分な引張強度が得られない場合がある。また、該坪量が150g/mを超えた場合、通液抵抗が高くなる場合や厚みが増してユニットやモジュール内に規定量の半透膜を収納できない場合がある。
また、半透膜支持体の密度は、0.5~1.2g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.6~1.0g/cmである。半透膜支持体の密度が0.5g/cm未満の場合は、厚みが厚くなるため、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜のライフが短くなってしまうことがある。一方、該密度が1.2g/cmを超える場合は、通液性が低くなることがあり、半透膜のライフが短くなる場合がある。
半透膜支持体の厚さは、60~150μmであることが好ましく、70~130μmであることがより好ましく、80~120μmであることがさらに好ましい。半透膜支持体の厚さが150μmを超えると、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜のライフが短くなってしまうことがある。一方、該厚さが60μm未満の場合、十分な引張強度が得られない場合や通液性が低くなって、半透膜のライフが短くなる場合がある。
半透膜支持体のFG通気度は0.5~5.0cm/cm・secであることが好ましく、1.0~4.5cm/cm・secであることがより好ましく、1.5~4.0cm/cm・secであることがさらに好ましい。該FG通気度が0.5cm/cm・secより小さいと、膜接着強度に劣る場合がある。5.0cm/cm・secより大きいと、半透膜液を塗布した際に裏抜けが発生しやすくなる場合がある。また、半透膜形成面の平滑性が低下する場合がある。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。以下、特にことわりのないかぎり、実施例に記載される部及び比率は質量を基準とする。
(実施例1)
主体繊維として、平均繊維径7μm、繊維長5mm、配向結晶化(延伸)ポリエチレンテレフタレート(PET)系繊維35部、平均繊維径13μm、繊維長5mmの配向結晶化させたPET系繊維35部、バインダー繊維として、平均繊維径11μm、繊維長5mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)系繊維30部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製し、撹拌装置を有する2つのストックタンクに分けて貯蔵した。ポリエステル系繊維に対して、陰イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム)が0.50質量%の付着率で付与されていた。傾斜ワイヤー抄紙機と円網抄紙機とのコンビネーションマシンを用い、半透膜形成面側の層を傾斜ワイヤー抄紙機で、非半透膜形成面側の層を円網抄紙機で、各層36g/mの抄き合わせ湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて、半透膜形成面側がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥し、坪量72g/mの湿式不織布を得た。
得られた湿式不織布を、金属ロール(加熱)と樹脂ロール(非加熱)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一ロールニップ時の金属ロールの表面温度を220℃及び第二ロールニップ時の金属ロールの表面温度を225℃とし、ニップ圧力100kN/m、加工速度20m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。第一ロールニップでは、半透膜形成面が金属ロールに接触し、第二ロールニップでは、非半透膜形成面が金属ロールに接触するように、熱圧加工処理し、半透膜支持体を得た。
(実施例2~9、比較例1~2)
ポリエステル系繊維に付着している界面活性剤及び付着率を表1記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、半透膜支持体を得た。
<半透膜の作製>
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic FilmApplicator、安田精機社製)を用いて、実施例1~9及び比較例1~2の半透膜支持体の半透膜形成面にポリスルホン(SIGMA-ALDRICH Corporation製、質量平均分子量Mw<35,000、数平均分子量Mn<16,000、商品番号428302)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶液(濃度:18質量%)である半透膜液を塗工し、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の半透膜形成面に厚み50μmのポリスルホンからなる半透膜を形成させて、濾過膜を得た。
測定1(坪量)
JIS P8124:2011に準拠して、坪量を測定した。
測定2(厚さ)
JIS P8118:2014に準拠して、厚さを測定した。
測定3(通気度)
JIS L1096:2010のフラジール形法に準拠して、通気度(FG通気度)を測定した。
評価4(膜欠陥(ピンホール)評価)
実施例及び比較例で得られた該半透膜を透過光で観察し、15cm×15cmの範囲に存在するピンホールを以下の基準で評価した。
○:目視可能なピンホール数が0~5個以内である。高い脱塩率が期待できるレベル。
△:目視可能なピンホール数が6~30個以内である。脱塩率の低下を引き起こし易い。実用上、下限レベルであるが、問題無い。
×:目視可能なピンホール数が31個以上である。脱塩率の低下が大きくなる可能性が高く、実用不可レベル。
評価5(ドープ浸透率)
実施例及び比較例で得られた該半透膜にて、乾燥した幅100mm×長さ100mmに断裁した濾過膜の質量A(g)を測定した後、濾過膜から半透膜の多孔質層(半透膜支持体への非浸透部)をテープ(ニトムズ社製、商品名:透明梱包用テープNo.3303 品番:J6030)で剥ぎ取り、半透膜支持体の質量B(g)を測定した。次に、半透膜支持体をDMFに浸漬し、半透膜支持体の内部に浸透している半透膜を溶解させた。その後、半透膜支持体をDMFから取り出し、乾燥させ、半透膜支持体の質量C(g)を測定した。
半透膜の多孔質層(半透膜支持体への非浸透部)の質量D(g)は下記式より算出した。
質量D=質量A-質量B
半透膜支持体内部へ浸透した半透膜の質量E(g)は下記式より算出した。
質量E=質量B-質量C
ドープ浸透率(%)は下記式より算出した。
ドープ浸透率=[質量E/(質量D+質量E)]×100
評価6(ドープ裏抜け)
ポリスルホン(商品名:P-3500LCD MB-7、ソルベイ社製)19質量部を溶媒としてDMF(試薬特級、純正化学社製)81質量部に常温溶解したドープを調製し、ドープに黒色の油性インキを混合した後、一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:TQC全自動フィルムアプリケーター、コーテック社)を用いて、半透膜用半透膜支持体の塗布面にドープを塗布する際に、半透膜支持体の下に台紙を敷いてドープを塗布し、半透膜支持体を貫通して台紙に浸み込んだドープの状態を観察し、ドープ裏抜け評価を行った。
1:全く裏抜けしていない。非常に良好なレベル。
2:小さな点状で、ごくわずかに裏抜けしている。良好なレベル。
3:小さな点状で、裏抜けしている。使用上、問題無いレベル。
4:大きな点状で、多く裏抜けしている。
評価7(膜接着強度)
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:TQC全自動フィルムアプリケーター、コーテック社製)を用いて、半透膜支持体の塗布面にポリスルホン樹脂のDMF溶液(濃度:19%)を塗工し、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の塗布面にポリスルホン樹脂からなる半透膜を形成させ、濾過膜を作製した。作製した濾過膜を、濾過膜作製1日後、幅25mm(塗布方向に対してクロス方向)×長さ100mm(塗布方向)に断裁して試料とする。断裁した濾過膜の半透膜面全面に幅25mm、長さ100mmに切った両面テープ(ニチバン社製、商品名:ナイスタック(登録商標)NW-25)を貼り付け、半透膜支持体と両面テープが貼られた半透膜の界面で長さ30mmのみを剥離して残りの長さ70mmは剥がさずに残して試料とする(この時に両面テープの剥離紙は剥がさずに残しておく)。
卓上型材料試験機(商品名:STA-1150、エー・アンド・デイ社製)を用いて、試料の剥離した部分の半透膜支持体と半透膜が貼り付いている両面テープ(剥離紙含む)をそれぞれチャックに固定して、つかみ長さ各25mm、引張速度100mm/分の条件で、未だ剥がしていない部分が剥離する時の荷重を60mm移動する間を連続で測定し、その間の平均荷重の2回平均値[N/25mm]を半透膜支持体と半透膜の接着強度とした。
半透膜支持体が陰イオン性界面活性剤を含有している各実施例では、実用上、問題無いレベル以上の評価結果が得られた。一方、半透膜支持体が陰イオン性界面活性剤を含有していない比較例1及び2では、ピンホールが増加し、膜接着強度が低く、ドープ浸透率が高く、比較例1では裏抜けも多発した。
本発明の半透膜支持体は、海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で利用することができる。

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  1. ポリエステル系繊維を含有する湿式不織布からなる半透膜支持体において、該半透膜支持体が陰イオン性界面活性剤を含有していることを特徴とする半透膜支持体。
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