JP2023148917A - 搬送制御装置、その制御方法、およびコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 複数のプリンタへプラテンを搬送するにあたって、同一ジョブを実行した場合の印刷画像の色再現性をより高めることのできる搬送制御装置、その制御方法、およびコンピュータプログラムを提供する。【解決手段】 搬送制御装置6は、印刷システム1における搬送装置2を制御するコンピュータであるMPU20と、第1印刷データ、および、第1印刷データに基づく印刷を実行したプリンタ5、が関連付けられた履歴情報を記憶する記憶装置であるメモリ21と、を備え、MPU20は、印刷データに含まれる第2印刷データを新たに受け付け、受け付けた第2印刷データとメモリ21に記憶されている履歴情報とに基づき、複数のプリンタ5の中から、第2印刷データに基づく印刷を行うプリンタである実行プリンタ5Aを決定する。【選択図】 図1
Description
本発明は、被記録媒体が載置されたプラテンを複数の印刷装置の何れかに搬送して印刷を行うときのプラテンの搬送を制御する搬送制御装置、その制御方法、およびコンピュータプログラムに関する。
従来、被記録媒体に画像を印刷する印刷装置として、例えば特許文献1に示すようなものが知られている。特許文献1の印刷装置は、プラテンであるトレイに載置された被記録媒体に印刷液を吐出して画像を印刷する。
ところで、印刷の処理能力を高めるために、複数の印刷装置を備えると共に、被記録媒体を載せたプラテンを、実行すべき印刷ジョブに応じて何れかの印刷装置へ搬送するような印刷システムを構築することが考えられる。しかしながら、例えば同一機種の印刷装置を複数用意したとしても、印刷装置ごとに再現できる色域が異なる可能性がある。そのため、同一画像を異なる印刷装置で印刷すると、得られる画像の色合いに違いが生じてしまう可能性がある。
そこで本開示は、複数のプリンタへプラテンを搬送するにあたって、同一ジョブを実行した場合の印刷画像の色再現性をより高めることのできる搬送制御装置、その制御方法、およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本開示に係る搬送制御装置は、印刷データ に基づいて被記録媒体への印刷を行う複数のプリンタ、および、複数の前記プリンタの何れかに被記録媒体が載置されたプラテンを搬送する搬送装置、を備える印刷システムにおける前記搬送装置を制御するコンピュータと、前記印刷データに含まれる第1印刷データ、および、前記第1印刷データに基づく印刷を実行した前記プリンタ、が関連付けられた履歴情報を記憶する記憶装置と、を備え、前記コンピュータは、前記印刷データに含まれる第2印刷データを受け付け、受け付けた前記第2印刷データと前記記憶装置に記憶されている前記履歴情報とに基づき、複数の前記プリンタの中から、前記第2印刷データに基づく印刷を行うプリンタである実行プリンタを決定する。
本開示に係る搬送制御装置の制御方法は、印刷データに基づいて被記録媒体への印刷を行う複数のプリンタ、および、複数の前記プリンタの何れかに被記録媒体が載置されたプラテンを搬送する搬送装置、を備える印刷システムにおける前記搬送装置を制御するコンピュータと、前記印刷データに含まれる第1印刷データ、および、前記第1印刷データに基づく印刷を実行した前記プリンタ、が関連付けられた履歴情報を記憶する記憶装置と、を備える搬送制御装置の制御方法であって、前記印刷データに含まれる第2印刷データを受け付け、受け付けた前記第2印刷データと前記記憶装置に記憶されている前記履歴情報とに基づき、複数の前記プリンタの中から、前記第2印刷データに基づく印刷を行うプリンタである実行プリンタを決定する。
本開示に係るコンピュータプログラムは、印刷データに基づいて被記録媒体への印刷を行う複数のプリンタ、および、複数の前記プリンタの何れかに被記録媒体が載置されたプラテンを搬送する搬送装置と、を備える印刷システムにおける前記搬送装置を制御するコンピュータと、前記印刷データに含まれる第1印刷データ、および、前記第1印刷データに基づく印刷を実行した前記プリンタ、が関連付けられた履歴情報を記憶する記憶装置と、を備える搬送制御装置における、前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータに、前記印刷データに含まれる第2印刷データを受け付けさせ、受け付けた前記第2印刷データと前記記憶装置に記憶されている前記履歴情報とに基づき、複数の前記プリンタの中から、前記第2印刷データに基づく印刷を行うプリンタである実行プリンタを決定させる。
本開示によれば、複数のプリンタへプラテンを搬送するにあたって、同一ジョブを実行した場合の印刷画像の色再現性をより高めることのできる搬送制御装置、その制御方法、およびコンピュータプログラムを提供することができる。
以下、本開示に係る実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では、全ての図面を通じて同一又は対応する要素には同一の参照符号を付することとし、重複した説明を省略する。
<印刷システム>
図1は、印刷システム1の概略構成を示す模式的な平面図である。図1に示す印刷システム1は、搬送装置2、プラテン3、前処理装置4、複数のプリンタ5、および搬送制御装置6を備えている。なお、以下の説明では図1中に矢印で示す前後および左右の方向、および、これら両方に交差する上下の方向を使用する。
図1は、印刷システム1の概略構成を示す模式的な平面図である。図1に示す印刷システム1は、搬送装置2、プラテン3、前処理装置4、複数のプリンタ5、および搬送制御装置6を備えている。なお、以下の説明では図1中に矢印で示す前後および左右の方向、および、これら両方に交差する上下の方向を使用する。
搬送装置2は、一例として、被記録媒体Mを支持するプラテン3を所定の開始位置P1から前処理装置4および何れか1つのプリンタ5へと順次搬送し、その後再び開始位置P1へ戻すように動作する。そのために、搬送装置2は、開始位置P1を基点として所定の正方向(図1では、反時計回り方向)へプラテン3を搬送する周回ライン2A、および、周回ライン2Aの途中から延びる直線状の複数の枝ライン2Bを備えている。
周回ライン2Aは、例えば無端ベルトとこれを駆動するベルトモータとから成る直動式の第1搬送機構10を4セット組み合わせて、各搬送機構10を4辺とする矩形状の周回軌道となるように構成される。図1の例では、左右方向へ延びる一対の搬送機構10と前後方向へ延びる一対の搬送機構10とが組み合わされており、最も前に位置して左右方向へ延びる1つの搬送機構10の途中に開始位置P1が設けられている。
なお、隣接する2つの搬送機構10の接続箇所には、一方から他方へプラテン3を移し替えるための第1移送機構11が設けられる。また、周回ライン2Aの構成はこれに限られず、曲線用のコンベアベルトまたはローラコンベアを用いた構成であってもよい。
複数の枝ライン2Bは、図1の例では右に位置して前後方向へ延びる1つの搬送機構10の途中の位置から延びている。これらの枝ライン2Bは、例えば無端ベルトとこれを駆動するベルトモータとから成る直動式の第2搬送機構12により、直線的な軌道となるように構成されている。このような第2搬送機構12は、その基端部が、第1搬送機構10の途中の位置に接続され、第1搬送機構10の長手方向に対して交差する左方向へ延びている。図1の例では、このような枝ライン2Bが3本設けられている。
第1搬送機構10および第2搬送機構12の接続箇所には、一方から他方へプラテン3を移し替えるための第2移送機構13が設けられている。また、これらの枝ライン2Bの構成もこれに限られず、ローラコンベアなど他の構成を採用してもよい。
前処理装置4は、周回ライン2A上において、開始位置P1と、この開始位置P1から正方向で最も近い枝ライン2Bとの間に設けられている。前処理装置4は、プラテン3に支持された被印刷媒体Mに対して印刷前に所定の処理を施す装置である。そのため、前処理装置4は、例えば塗布装置および熱処理装置を備えている。塗布装置は、被印刷媒体Mに印刷されたインクの発色を高めるための前処理液としてのコーティング剤などを噴霧するスプレーを有している。熱処理装置は、被印刷媒体Mに噴霧されたコーティング剤を定着させる熱を発するヒータ、または、所定の高温に保たれたプレス機などを有している。
プリンタ5は、各第2搬送機構12の先端部(左端部)に設けられている。プリンタ5は、枝ライン2Bに沿って搬送されてきたプラテン3上の被記録媒体Mに、印刷データに基づいて、ヘッドからインクを吐出して印刷(画像を形成)するインクジェットプリンタである。図1の例では、このようなプリンタ5が枝ライン2Bの本数と同じ3機設けられている(プリンタX,Y,Z)。また、搬送制御装置6は、搬送装置2、前処理装置4、およびプリンタ5などの動作を制御する。
図2は、印刷システム1の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように印刷システム1が備える搬送制御装置6は、コンピュータの一例としてMPU(Micro Processing Unit)20を備え、更に、MPU20と電気的に接続されたメモリ21、通信インターフェース23、および入出力装置24などを備えている。
メモリ21は記憶装置の一例であって、ROMおよびRAM等を含む。ROM(Read Only Memory)は、マスクROMやPROMなどから成る読み出し専用メモリであって、各種のデータ処理を行うためのコンピュータプログラム、および、データ処理時にMPU20が参照するデータなどを記憶する。RAM(Random Access Memory)は、DRAMやSRAMなどから成る読み書き可能なメモリであって、データ処理中に作成された情報を一時的に記憶すると共に、後述する履歴情報を記憶する。
通信インターフェース23は、搬送制御装置6を、搬送装置2、前処理装置4、およびプリンタ5や、更に他の外部機器に対して通信可能に接続するための接続装置であり、一例としてイーサネットなどを用いることができる。他の外部機器として、ここでは外部記録装置25、コードリーダ26、およびカメラ27が備えられている。このうち外部記録装置25は、HDD(Hard Disc Drive)などの読み書き可能な記録装置であって、例えば上記通信インターフェース23を介して制御装置6によりアクセス可能なネットワークドライブを用いることができる。また、コードリーダ26は、例えば発光素子および受光素子を有して一次元または二次元のバーコードを読み取り可能な読み取り装置である。カメラ27は、例えば複数のフォトダイオードを有するCMOSセンサーなどで構成され、開始位置P1にてプラテン3に支持された状態の被記録媒体Mを撮影する。
入出力装置24は、ユーザによる情報の入力操作を受け付け、または、ユーザに情報を出力する装置である。入出力装置24としては、ディスプレイ(表示装置)やスピーカ(音声出力装置)などの出力装置、物理ボタンを有するキーボードやマウスなどの入力装置、タッチパネル式ディスプレイなどのように表示装置を成す出力装置と入力装置とを兼ねたもの、などが採用できる。
以上の印刷システム1において、搬送制御装置6(特に、MPU20)は、搬送装置2の動作を制御して、周回ライン2Aおよび枝ライン2Bに沿ってプラテン3を搬送する。なお、プラテン3は、被記録媒体Mを適切に支持しつつ搬送装置2によって搬送可能であれば構成は特に限定されない。また、図1ではプラテン3を1つだけ示しているが、本開示では搬送装置2により搬送される複数のプラテン3が備えられている。以下では、印刷システム1の動作、および、搬送制御装置6の動作について説明する。
<印刷システムの動作>
本開示の印刷システム1では、ユーザが開始位置P1にてプラテン3に被記録媒体Mをセットする。これにより被記録媒体Mは、画像が印刷される箇所が上面となるようにしてプラテン3上に支持される。次に、ユーザは被記録媒体Mに付されたタグなどからコードリーダ26により識別情報を読み取る。搬送制御部6は、識別情報の読み取りにより印刷ジョブを受け付ける。そして、搬送制御装置6は、外部記憶装置25に予め記憶されたデータを参照して、この識別情報に対応する印刷データおよび前処理データを読み出すと共に、この被記録媒体Mへの印刷を実行する1つのプリンタ5である実行プリンタ5Aを決定する。
本開示の印刷システム1では、ユーザが開始位置P1にてプラテン3に被記録媒体Mをセットする。これにより被記録媒体Mは、画像が印刷される箇所が上面となるようにしてプラテン3上に支持される。次に、ユーザは被記録媒体Mに付されたタグなどからコードリーダ26により識別情報を読み取る。搬送制御部6は、識別情報の読み取りにより印刷ジョブを受け付ける。そして、搬送制御装置6は、外部記憶装置25に予め記憶されたデータを参照して、この識別情報に対応する印刷データおよび前処理データを読み出すと共に、この被記録媒体Mへの印刷を実行する1つのプリンタ5である実行プリンタ5Aを決定する。
なお、印刷データには、印刷する画像に関する画像データ(例えば、ラスターデータ)、プリンタ5での印刷時の設定に関する印刷設定情報などが含まれる。また、前処理データには、前処理装置4にて実行する前処理の設定に関する前処理設定情報などが含まれる。
制御装置6は、前処理装置4に対して前処理データを送信し、実行プリンタ5Aに対して印刷データを送信する。また、搬送制御装置6は、識別情報の読み取りをトリガにしてプラテン3への被記録媒体Mのセットが完了したとみなし、搬送装置2によるプラテン3の搬送を開始する。
すなわち、搬送制御装置6は、図1に示す周回ライン2Aに沿ってプラテン3を開始位置P1から反時計回り方向へ搬送する。そして、前処理装置4にてプラテン3を一時停止させ、前処理データに基づく所定の前処理を実行する。前処理が完了すると、再び周回ライン2Aに沿ってプラテン3を反時計回り方向へ搬送し、更に、所定の枝ライン2Bにプラテン3を移し替えて、枝ライン2Bの先端側に位置する実行プリンタ5Aまでプラテン3を搬送する。なお、図1では、3つのプリンタ5のうち最も前に位置するプリンタ5が実行プリンタ5Aとなっている。
プラテン3が実行プリンタ5Aに到達すると、プラテン3に支持された被記録媒体Mに対する印刷処理が実行される。すなわち、実行プリンタ5Aは、搬送制御装置6から送られてきた印刷データに基づき、ヘッドからインクを吐出して被記録媒体Mに画像を形成する。そして印刷処理が完了すると、プラテン3は枝ライン2Bに沿って基端側へ搬送され、再び周回ライン2Aに移し替えられる。その後、画像が印刷された被記録媒体Mを載せたプラテン3は、周回ライン2Aに沿って反時計回り方向へ搬送されて開始位置P1に戻り、ここでユーザによって回収される。
なお、印刷システム1の上記動作は一例であり、これに限定されない。例えば、印刷処理を終えた後に、被記録媒体M上のインクをより早く定着させるための後処理を実行してもよいし、前処理を省いてもよい。また、印刷済みの被記録媒体Mの回収位置は開始位置P1でなくてもよく、実行プリンタ5Aと開始位置P1との間に別途回収位置を設けてもよい。
<搬送制御装置の動作>
ところで、本開示の印刷システム1は複数のプリンタ5を備える。一般的に同一機種のプリンタであっても、各使用状況に応じてインクの粘性は経時的に変化し、ヘッドのインク吐出特性も相違するため、プリンタごとに再現できる色域が異なる。従って、同一画像を同一媒体に印刷するような同一の印刷ジョブを実行する場合であっても、使用するプリンタ5が異なれば、印刷結果に違いが生じ得る。
ところで、本開示の印刷システム1は複数のプリンタ5を備える。一般的に同一機種のプリンタであっても、各使用状況に応じてインクの粘性は経時的に変化し、ヘッドのインク吐出特性も相違するため、プリンタごとに再現できる色域が異なる。従って、同一画像を同一媒体に印刷するような同一の印刷ジョブを実行する場合であっても、使用するプリンタ5が異なれば、印刷結果に違いが生じ得る。
そこで本開示の印刷システム1では、同一の印刷ジョブを実行した場合の印刷画像の色再現性を高めるべく、搬送制御装置6は所定の手順により実行プリンタ5Aの決定を行う。このような決定処理には複数種類のモードが用意されている。以下、この実行プリンタ5Aの決定に関する動作についてモード別に説明する。なお、搬送制御装置6が、以下で説明する何れのモードで動作するかは、例えばユーザが入出力装置24を操作して入力した情報に基づいて予め設定することができる。
また、説明の便宜から、以下では図1に示す3つのプリンタ5を区別するべく、開始位置P1から正方向で近い順にプリンタX、プリンタY、プリンタZとも称する。また、これらのプリンタX,Y,Zには互いを識別可能な識別情報(ID)が付与されており、制御装置6はこのIDによってプリンタX,Y,Zを判別可能となっている。このようなIDは、例えばメモリ21に記憶されている。
<画質優先モードについて>
図3は、画質優先モードでの搬送制御装置6の動作例を示すフローチャートである。画質優先モードとは、印刷ジョブの実行において、被記録媒体Mへの印刷結果の高画質化を最も優先的に実現することを目標とする搬送制御装置6の動作である。
図3は、画質優先モードでの搬送制御装置6の動作例を示すフローチャートである。画質優先モードとは、印刷ジョブの実行において、被記録媒体Mへの印刷結果の高画質化を最も優先的に実現することを目標とする搬送制御装置6の動作である。
図3に示すように、搬送制御装置6は、印刷ジョブの受け付け(ステップS1)を実行する。例えば、上述したように、ユーザが開始位置P1にてプラテン3に被記録媒体Mをセットした後にコードリーダ26によって被記録媒体Mに付された識別情報を読み取ることで、印刷ジョブを受け付ける。そして、搬送制御装置6は、識別情報に対応する印刷データおよび前処理データを外部記憶装置25から読み出し、これらを受け付ける。すなわち、印刷ジョブの受け付け(S1)には、印刷データおよび前処理データの受け付けが含まれる。この印刷データには、前述したように画像データおよび印刷設定情報が含まれる。
次に搬送制御装置6は、メモリ21に記憶されている履歴情報を参照する(ステップS2)。ここで、履歴情報とは、過去に印刷が実行された印刷データ、および、この印刷データに基づく印刷を実行したプリンタ5(より具体的には、プリンタ5に付与されているID)、が関連付けられた印刷履歴に関する情報である。例えば、過去に画像Aを、3つのプリンタ5のうちの1つであるプリンタXで印刷したことがある場合には、画像Aを示す画像データとプリンタXのIDとを関連付けた印刷履歴を含む履歴情報が、メモリ21に記憶されている。なお、以下では、履歴情報に含まれる印刷データを「第1印刷データ」と称し、今回新たに受け付けた印刷ジョブに関する印刷データを「第2印刷データ」と称する。
搬送制御装置6は、履歴情報の中に、受け付けた印刷ジョブと同一条件の印刷履歴が存在するか否かを判断する(ステップS3)。「同一条件」とは、第1印刷データと第2印刷データとの同一性であり、更に言えば各印刷データに含まれる画像データが示す画像の同一性である。従って、ステップS3では具体的には、今回受け付けた印刷ジョブに係る第2印刷データが例えば画像Aを印刷する内容であった場合は、画像Aと何れかのプリンタ5とが関連付けられた印刷履歴が履歴情報に存在するか否かを判断する。
同一条件の印刷履歴が存在する場合は(S3:YES)、この印刷履歴が示すプリンタ5を、今回の印刷ジョブを実行するプリンタ5である実行プリンタ5Aに決定する(ステップS4)。一方、同一条件の印刷履歴が存在しない場合は(S3:NO)、複数のプリンタ5の中から何れか1つを実行プリンタ5Aとして決定する(ステップS5)。そして、今回の印刷ジョブに係る第2印刷データと、ステップS5で決定した実行プリンタ5Aとを関連付けた印刷履歴を、履歴情報に追加してメモリ21に記憶する(ステップS6)。
このようにして今回の印刷ジョブに対する実行プリンタ5Aを決定すると(S4,S6)、次の印刷ジョブが存在するか否かを判断する(ステップS7)。そして、次の印刷ジョブが存在する場合は(S7:YES)再びステップS1からの動作を実行し、存在しない場合は(S7:NO)搬送制御装置6は動作を停止する。
図4は、図3のフローチャートに従って6つの印刷ジョブについて実行プリンタ5Aを決定した場合の例を示す図表である。この6つの印刷ジョブは、連続して印刷処理を実行することが予定されている一連の印刷ジョブである。図4では、各印刷ジョブについて、印刷データに基づいて印刷する画像に関する「画像」、被記録媒体Mの主に材質の種類に関する「媒体」、被記録媒体Mの「色」、各種の「印刷設定」、および「プリンタの指定」が示されると共に、図3のステップS4またはS5で決定されたプリンタが「決定」欄に示されている。
印刷ジョブ1は、画像Aを印刷するジョブであり、履歴情報に同一条件の印刷履歴がない(S3:NO)。そこで、プリンタXが実行プリンタ5Aとして決定されると共に(S5)、履歴情報に印刷履歴が追加される(S6)。ステップS5での実行プリンタ5Aの決定方法については特に限定されないが、予め所定の条件を設定しておくとよい。図4では、一例として、空いている(使用されていない)プリンタ5のうち、開始位置P1から正方向で最も近いプリンタ5を、実行プリンタ5Aとして選択することとしている。このために、各プリンタ5は、所定のタイミング(所定の周期など)で少なくとも使用中か否かを含む自機のステータス情報を搬送制御装置6へ送信するよう構成されており、搬送制御装置6は、受信したステータス情報に基づいて各プリンタ5の状況を把握できるようになっている。また、このような搬送制御装置6による各プリンタ5の状況把握は、開始位置P1からプラテン3を搬送する前の時点から行われる。
印刷ジョブ2は、画像Bを印刷するジョブであり、履歴情報に同一条件の印刷履歴がない(S3:NO)。また、印刷ジョブ2の実行を開始するタイミングで、先の印刷ジョブ1の実行によりプリンタXが使用中であったとする。この場合、空いている中で最も近いプリンタYが印刷ジョブ2の実行プリンタ5Aとして決定されると共に(S5)、履歴情報に印刷履歴が追加される(S6)。
印刷ジョブ3は、画像Aを印刷するジョブであり、履歴情報に同一条件である印刷ジョブ1の印刷履歴が存在する(S3:YES)。この場合、履歴情報において同一条件に係る印刷ジョブ1の印刷データに関連付けられたプリンタXが、印刷ジョブ3の実行プリンタ5Aとして決定される(S4)。
印刷ジョブ4は、画像Cを印刷するジョブであり、履歴情報に同一条件の印刷履歴がない(S3:NO)。また、印刷ジョブ4の実行を開始するタイミングで、先の印刷ジョブ2,3の実行によりプリンタX,Yが使用中であったとする。この場合、空いている残り1つのプリンタZが印刷ジョブ4の実行プリンタ5Aとして決定されると共に(S5)、履歴情報に印刷履歴が追加される(S6)。
印刷ジョブ5は、画像Bを印刷するジョブであり、履歴情報に同一条件である印刷ジョブ2の印刷履歴が存在する(S3:YES)。この場合、履歴情報において同一条件に係る印刷ジョブ2の印刷データに関連付けられたプリンタYが、印刷ジョブ5の実行プリンタ5Aとして決定される(S4)。
印刷ジョブ6は、画像Aを印刷するジョブであり、履歴情報に同一条件である印刷ジョブ3の印刷履歴が存在する(S3:YES)。この場合、履歴情報において同一条件に係る印刷ジョブ3の印刷データに関連付けられたプリンタXが、印刷ジョブ6の実行プリンタ5Aとして決定される(S4)。
このような印刷ジョブ1~6についての各実行プリンタ5Aを決定する処理は、一例として、一連の印刷ジョブ1~6をまとめて受け付けた後であって、開始位置P1から最初の印刷ジョブ1に対応してプラテン3の搬送を開始する前に行う。この場合、印刷ジョブの印刷データに含まれる画像データや前処理設定情報から、当該印刷ジョブに要する時間(典型的には、搬送、前処理、および印刷に要する時間)を算出することで、各プリンタ5の空き状況、つまり、ある印刷ジョブの実行開始時におけるプリンタの空き状況をシミュレートすることができる。
以上に説明したように、本開示に係る搬送制御装置6は、履歴情報に基づいて、過去の印刷ジョブと同一条件の印刷ジョブの実行にあたっては、過去の印刷ジョブで使用したのと同じプリンタ5を使用する。これにより、同一ジョブを実行した場合の印刷画像の色再現性をより高めることができる。
なお、図4の印刷ジョブ6の場合のように、今回受け付けた印刷ジョブに対して、同一条件に係る過去の印刷ジョブが複数存在する場合(印刷ジョブ1,3)は、直近に実行された印刷ジョブ(印刷ジョブ3)に係る履歴情報を参照すればよい。ただし、これに限られず、同一条件に係る複数の印刷ジョブのうち、最も古い印刷ジョブに係る履歴情報を参照することとしてもよいし、その他の条件を設定し、当該条件に該当する印刷ジョブに係る履歴情報を参照することとしてもよい。
<変形例1>
ところで、第1印刷データと第2印刷データとの同一性については、完全一致であってもよいし、完全一致ではない場合であっても所定条件を満たせば同一と見なすこととしてもよい。例えば、第1印刷データに含まれる画像データと、第2印刷データに含まれる画像データとを比較し、両者の類似度が所定値以上である場合に、両印刷データを同一と見なしてもよい。
ところで、第1印刷データと第2印刷データとの同一性については、完全一致であってもよいし、完全一致ではない場合であっても所定条件を満たせば同一と見なすこととしてもよい。例えば、第1印刷データに含まれる画像データと、第2印刷データに含まれる画像データとを比較し、両者の類似度が所定値以上である場合に、両印刷データを同一と見なしてもよい。
より具体的には、第1印刷データの画像データから、画像を形成する各画素の座標と色値(例えば、RGB値)とを取得する。同様に、第2印刷データの画像データから、画像を形成する各画素の座標と色値とを取得する。そして、互いの対応する画素における色値の差分を全画素について取得することで、画像全体での差分値(第1合計差分値)を取得する。この第1合計差分値が予め設定された所定の閾値未満である場合には類似度が所定値以上である(同一である)と判定し、第1合計差分値が閾値以上である場合には類似度が所定値未満である(同一ではない)と判定することができる。
また、類似判定の方法はこれに限られない。例えば、第1印刷データおよび第2印刷データに基づき画像全体でのRGB値の平均をそれぞれで算出し、両平均値の差分値が所定値以下の場合に同一と判定してもよい。また、第1印刷データおよび第2印刷データに基づきR値、G値、B値をビンとするヒストグラムをそれぞれ作成し、両データ間での各ビンの差がいずれも所定値以下の場合に同一と判定してもよい。さらに、第1印刷データおよび第2印刷データのそれぞれから抽出した対応する特徴箇所についてマッチングを行い、所定の色空間中での互いの距離が所定値以下の場合に同一を判定してもよい。
<変形例2>
また、上記では、実行プリンタ5Aの決定処理を画像データの同一性に基づいて判断する例を説明したが、これに限られない。例えば、画像データの同一性に加えて、被記録媒体Mの同一性にも基づいて、実行プリンタ5Aの決定を行ってもよい。
また、上記では、実行プリンタ5Aの決定処理を画像データの同一性に基づいて判断する例を説明したが、これに限られない。例えば、画像データの同一性に加えて、被記録媒体Mの同一性にも基づいて、実行プリンタ5Aの決定を行ってもよい。
例えば、メモリ21に記憶された履歴情報において、第1印刷データに基づく印刷が実行された被記録媒体Mの種類に関する情報(第1媒体情報)も、第1印刷データに関連付けておく。一方、新たに印刷ジョブを受け付けた場合、この印刷ジョブにおいて画像が印刷される被記録媒体Mの種類に関する情報(第2媒体情報)を取得する。そして、第1画像データおよび第2画像データが一致し、かつ、第1媒体情報および第2媒体情報が一致する場合にのみ、同一条件での印刷履歴あり(S3:YES)と判断してもよい。
すなわち、印刷する画像が同一であっても、印刷する被記録媒体Mの種類が異なると印刷結果も相違する可能性がある。従って、被記録媒体Mの種類が異なる場合は、履歴情報に基づくことなく、空いているプリンタ5の中から実行プリンタ5Aを決定することができる。なお、第2媒体情報は、被記録媒体Mをプラテン3にセットしたときに、カメラ27により被記録媒体Mを撮影し、搬送制御装置6がこの撮影した画像を分析して取得することとしてもよい。あるいは、ユーザが入出力装置24を介して入力してもよいし、印刷データが有する印刷設定情報に含めてもよい。
<変形例3>
上記では、履歴情報に同一条件に係る印刷履歴がない場合(S3:NO)に、所定の条件として、空いているプリンタ5のうち開始位置P1から正方向で最も近いプリンタ5を実行プリンタ5Aとして選択する例を説明した。これに替えて、空いているプリンタ5の中から、今回受け付けた印刷ジョブを実行したときの色再現性に基づいて、1つのプリンタ5を実行プリンタ5Aとして決定してもよい。
上記では、履歴情報に同一条件に係る印刷履歴がない場合(S3:NO)に、所定の条件として、空いているプリンタ5のうち開始位置P1から正方向で最も近いプリンタ5を実行プリンタ5Aとして選択する例を説明した。これに替えて、空いているプリンタ5の中から、今回受け付けた印刷ジョブを実行したときの色再現性に基づいて、1つのプリンタ5を実行プリンタ5Aとして決定してもよい。
より具体的には、各プリンタ5について、印刷により再現可能な色域を取得すると共に、受け付けた第2印刷データの画像データについての色域を取得する。両者の色域をLab値にして比較し、画素ごとの差分値を合算して第2合計差分値を取得する。そして、この第2合計差分値が最も小さいプリンタ5を、実行プリンタ5Aとして決定してもよい。
<速度優先モードについて>
上述した図3の画質優先モードでの動作例によれば、同一条件の印刷データについては同一のプリンタ5で印刷するので印刷結果の画質を均一化できる。一方、実行プリンタ5AをステップS4で決定した場合(例えば、図4の印刷ジョブ3,5,6参照)であって、当該印刷ジョブの実行開始時に、先行する印刷ジョブによりその実行プリンタ5Aが使用中となる場合がある。この場合、当該実行プリンタ5Aが空くまで待機する必要があるため、一連の印刷ジョブを開始してから終了するまでに長い時間を要する場合がある。
上述した図3の画質優先モードでの動作例によれば、同一条件の印刷データについては同一のプリンタ5で印刷するので印刷結果の画質を均一化できる。一方、実行プリンタ5AをステップS4で決定した場合(例えば、図4の印刷ジョブ3,5,6参照)であって、当該印刷ジョブの実行開始時に、先行する印刷ジョブによりその実行プリンタ5Aが使用中となる場合がある。この場合、当該実行プリンタ5Aが空くまで待機する必要があるため、一連の印刷ジョブを開始してから終了するまでに長い時間を要する場合がある。
そこで、搬送制御装置6は、画質優先モードに加え、速度優先モードでも動作可能である。図5は、速度優先モードでの搬送制御装置6の動作例を示すフローチャートである。この速度優先モードとは、印刷ジョブの実行において、一連の印刷ジョブを開始してから終了するまでに要する時間を短くすることを目標とする搬送制御装置6の動作である。そのために、速度優先モードにおいて搬送制御装置6は、図3のステップS4で決定した実行プリンタ5Aが使用中であった場合に、当該実行プリンタ5Aが空くまで待機するのではなく、他の1のプリンタ5を代替プリンタ5Bとして決定する。
以下、具体的に説明する。図5に示すフローチャートでは、図3と同様のステップS1~S7の処理を備えると共に、ステップS4の処理後に実行されるステップS10~S11の処理を備える。ステップS1~S7の処理内容は図3を参照して説明したのと同様であるため省略し、以下ではステップS10~S11の処理について説明する。
搬送制御装置6は、ステップS4にて実行プリンタ5Aを決定した後、当該実行プリンタ5Aが使用中であるか否かを判断する(ステップS10)。例えば、図4の印刷ジョブ3は印刷ジョブ1と同一条件であるためステップS4にてプリンタXが実行プリンタ5Aとして決定されるが、このプリンタXが先行する印刷ジョブ1により使用中である可能性がある。使用中か否かは、上述したように各プリンタ5から送られてくるステータス情報に基づいて搬送制御装置6において把握できる。
そして、使用中ではないと判断した場合(S10:NO)はステップS7へ移行する。一方で、使用中であると判断した場合(S10:YES)は、代替プリンタ5Bの決定処理を実行する(ステップS11)。代替プリンタ5Bの決定方法は特に限定されず、実行プリンタ5Aを除く他のプリンタ5の中から1のプリンタ5を代替プリンタ5Bとして決定すればよい。
なお、好適な一例として、実行プリンタ5Aとの色域の比較結果に基づいて選択された1のプリンタ5を代替プリンタ5Bとして決定する方法が挙げられる。この方法について図6および図7を参照して更に説明する。図6(A)は、複数のプリンタ5の間での色域の比較結果を示す図表であり、図6(B)は、複数のプリンタ5の間での代替順位を示す図表である。図7は、図5のフローチャートに従って実行プリンタ5Aおよび代替プリンタ5Bを決定した場合の例を示す図表である。
図6(A)に示すように、複数のプリンタ5であるプリンタX,Y,Zの中の任意の2つの間で、予め互いの色域の近似度を算出しておく。例えば、ある2つのプリンタ5を対象とした場合に、Lab空間での一方のプリンタ5の色域全体が占める体積を、両方のプリンタ5の間で一致する色域が占める体積で除して近似度とすることができる。この場合、2つのプリンタ5の色域が完全一致する場合の近似度が[1.0]となり、一致する割合が減るに従って近似度は増加する。
図6(A)の場合、プリンタX,Yの互いの近似度は[1.2]、プリンタY,Zの互いの近似度は[1.4]、プリンタZ,Xの互いの近似度は[1.5]となっている。従って、図6(B)に示すように、プリンタXに代替するプリンタ5は、第1順位がプリンタY、第2順位がプリンタZとなる。また、プリンタYに代替するプリンタ5は、第1順位がプリンタXであり第2順位がプリンタZであり、プリンタZに代替するプリンタ5は、第1順位がプリンタYであり第2順位がプリンタXである。メモリ21には、図6(B)に対応する複数のプリンタ5の間での代替順位を示す情報(代替プリンタ情報)が記憶されている。
このような代替プリンタ5Bの決定方法を用いて決定される、一連の印刷ジョブ1~6に対応するプリンタ5を、図7を参照して説明する。図7において、印刷ジョブ1,2については、図4の場合と同様に図3のステップS5でプリンタX,Yがそれぞれの実行プリンタ5Aとして決定される。次に、印刷ジョブ3について、図3のステップS4で実行プリンタ5Aに決定されたプリンタXが、先行する印刷ジョブ1により使用中であったとする(S10:YES)。この場合、搬送制御装置6は、メモリ21に記憶された代替プリンタ情報を参照し、プリンタXに対する代替順位が第1位のプリンタ5を取得する。
図6(B)の場合、代替順位第1位のプリンタYが代替プリンタ5Bとして取得される。しかしながら、図7から分かるように、プリンタYも先行の印刷ジョブ2により使用中である(S10:YES)。従って、再びメモリ21の代替プリンタ情報を参照して代替順位第2位のプリンタ5を取得する。図6(B)の場合、代替順位第2位のプリンタZが改めて代替プリンタ5Bとして取得される。このプリンタZは、印刷ジョブ3の実行開始時に空いているため(S10:NO)、代替プリンタ5Bに決定される。
ところで、ある印刷ジョブで使用されるプリンタ5が、実行プリンタ5Aから代替プリンタ5Bに代替されると、それ以降の印刷ジョブで使用されるプリンタ5の決定にも影響する。例えば図7の場合でも、印刷ジョブ3にて使用されるプリンタ5が代替プリンタ5BとしてプリンタXに決定された結果、次の印刷ジョブ4で使用されるプリンタ5の決定に影響している。
具体的には、印刷ジョブ4について、ステップS4にてプリンタZが実行プリンタ5Aとして決定されるが、このプリンタZが印刷ジョブ3にて代替プリンタ5Bとされたことにより、印刷ジョブ4の実行開始時に使用中となる(S10:YES)。そのため、搬送制御装置6は、メモリ21の代替プリンタ情報を参照し、プリンタZに対する代替順位第1位のプリンタXが代替プリンタ5Bとして取得される(S11)。
更に、図7の場合、印刷ジョブ6について、ステップS4にてプリンタXが実行プリンタとして決定されるが、このプリンタXは印刷ジョブ4にて代替プリンタ5Bとされている。そのため、印刷ジョブ6の実行開始時に使用中である(S10:YES)。従って、搬送制御装置6は、メモリ21の代替プリンタ情報を参照し、プリンタXに対する代替順位第1位のプリンタYを代替プリンタ5Bとして取得する(S11)。しかし、このプリンタYも印刷ジョブ5により使用中であるため(S10:YES)、再び代替プリンタ情報を参照して代替順位第2位のプリンタZを、改めて代替プリンタ5Bとして取得する(S11)。このプリンタZは、印刷ジョブ6の実行開始時に空いているため(S10:NO)、代替プリンタ5Bに決定される。
以上のように、速度優先モードでは、基本的には画質優先モードと同様に実行プリンタ5Aを決定することで印刷結果の画質の均一化を図る。一方、速度優先モードでは、実行プリンタ5Aが使用中により印刷ジョブの実行を開始するまでに待機時間が生じる場合は、実行プリンタ5Aに代わる代替プリンタ5Bを決定し、この代替プリンタ5Bにより印刷ジョブを実行する。従って、待機時間の発生を抑制でき、一連の印刷ジョブに要する時間の短縮化を図ることができる。
<折衷モードについて>
図8は、折衷モードでの搬送制御装置6の動作例を示すフローチャートである。この折衷モードとは、印刷ジョブの実行において、画質の均一化、および、一連の印刷ジョブに要する時間の短縮化、の両方を目標とする搬送制御装置6の動作である。そのために、折衷モードにおいて搬送制御装置6は、ある印刷ジョブについて図3のステップS4で決定した実行プリンタ5Aが、当該印刷ジョブの実行開始時に使用中となる場合に、新たに受け付けられた別の印刷ジョブに係る第2印刷データと履歴情報とに基づいて、この第2印刷データに基づく印刷を行うための実行プリンタ5Aの決定を行うものである。
図8は、折衷モードでの搬送制御装置6の動作例を示すフローチャートである。この折衷モードとは、印刷ジョブの実行において、画質の均一化、および、一連の印刷ジョブに要する時間の短縮化、の両方を目標とする搬送制御装置6の動作である。そのために、折衷モードにおいて搬送制御装置6は、ある印刷ジョブについて図3のステップS4で決定した実行プリンタ5Aが、当該印刷ジョブの実行開始時に使用中となる場合に、新たに受け付けられた別の印刷ジョブに係る第2印刷データと履歴情報とに基づいて、この第2印刷データに基づく印刷を行うための実行プリンタ5Aの決定を行うものである。
以下、具体的に説明する。図8に示すように、このモードでは、図3と同様のステップS1~S7の処理を備えると共に、ステップS4の処理後に実行されるステップS20~S21の処理を備える。ステップS1~S7の処理内容は図3を参照して説明したのと同様であるため省略し、以下ではステップS20~S21の処理について説明する。
搬送制御装置6は、ステップS4にて実行プリンタ5Aを決定した後、当該実行プリンタ5Aが使用中であるか否かを判断する(ステップS20)。この判断処理は、速度優先モードに関する図5のステップS10と同様である。そして、使用中ではないと判断した場合(S20:NO)はステップS7へ移行する。一方で、使用中であると判断した場合(S20:YES)は、ジョブ入れ替え処理を実行する(ステップS21)。
一例として、図4に示す一連の印刷ジョブを参照すると、印刷ジョブ3について、図3のステップS4で実行プリンタ5Aに決定されたプリンタXが、先行する印刷ジョブ1により使用中であったとする(S20:YES)。この場合、搬送制御装置6は、ジョブの実行順序を変更し、印刷ジョブ3よりも印刷ジョブ4を先行させるよう、ジョブの実行順序を変更する(ステップS21)。そして、印刷ジョブ4、印刷ジョブ3の順に、ステップS1からの処理を実行して、それぞれの実行プリンタ5Aを決定する。印刷ジョブ5以降についても同様である。
以上のように、折衷モードでは、基本的には画質優先モードと同様に実行プリンタ5Aを決定することで印刷結果の画質の均一化を図る。そして、決定した実行プリンタ5Aが使用中で待機時間が生じる場合には、印刷ジョブの実行順序を変更し、別の印刷ジョブについて実行プリンタ5Aを決定する。これにより、印刷結果の画質の均一化、および、待機時間の発生の抑制、の両方を実現することができる。
<ユーザ選択モードについて>
上述した各モードでは、基本的に搬送制御装置6によって実行プリンタ5Aおよび代替プリンタ5Bが決定されたが、一連の印刷ジョブの実行において使用するプリンタ5の決定にユーザの判断を介在させてもよい。以下では、プリンタ5の決定にユーザの判断が介在するユーザ選択モードについて説明する。
上述した各モードでは、基本的に搬送制御装置6によって実行プリンタ5Aおよび代替プリンタ5Bが決定されたが、一連の印刷ジョブの実行において使用するプリンタ5の決定にユーザの判断を介在させてもよい。以下では、プリンタ5の決定にユーザの判断が介在するユーザ選択モードについて説明する。
ここで説明するユーザ選択モードは、一例として、画質優先モードにより実行プリンタ5Aを決定した場合に、ある印刷ジョブに関する実行プリンタ5Aが、当該印刷ジョブの実行開始時に、先行する印刷ジョブにより使用中となる場合に、実行される。すなわち、画質優先モードで実行プリンタ5Aを決定すると待機時間が発生する場合に、画質優先モードおよび速度優先モードの何れのモードに基づいて実行プリンタ5Aまたは代替プリンタ5Bを最終決定するかを、ユーザに選択可能とするものである。
図9は、ユーザ選択モードでの搬送制御装置6の動作例を示すフローチャートである。図9に示すように、搬送制御装置6は、一連の印刷ジョブの全てについて入力を受け付ける(ステップS30)。そして、受け付けた全印刷ジョブの印刷データに基づき、モードごとの所要時間を計算し(ステップS31)、この計算結果を、入出力装置24によりユーザに出力(表示)する(ステップS32)。これに対してユーザが入出力装置24を操作していずれかのモードを選択する入力を行うと、搬送制御装置6は、入力された情報、すなわち、モードの選択を受け付ける(ステップS33)。そして、受け付けたモードに基づいて各印刷ジョブについて実行プリンタ5Aまたは代替プリンタ5Bを決定し、一連の印刷ジョブについての印刷処理を実行する(ステップS34)。
ステップS31でのモードごとの所要時間の計算について、図10および図11を参照して更に説明する。図10(A)および図10(B)は、画質優先モードにて一連の印刷ジョブを実行した場合の所要時間を説明する図表およびタイムチャートである。なお、図10(A)に示す各印刷ジョブ1~6についての「画像」、「印刷設定」、「決定」の各項目の内容は、画質優先モードの説明で用いた図4の図表に示したものと同じである。
搬送制御装置6は、図10(A)の「印刷時間」の項目に示すように、各印刷ジョブ1~6について、画像を印刷するのに要する時間である印刷時間を取得する。この印刷時間は、各印刷ジョブの印刷データに含まれる画像データから算出することができる。図10(A)に示す例では、画像Aを印刷する印刷ジョブ1,3,6の印刷時間は60秒であり、画像Bを印刷する印刷ジョブ2の印刷時間は65秒であり、画像Cを印刷する印刷ジョブ4の印刷時間は58秒である。ただし、印刷ジョブ5は、画像Bを印刷するものであるが、図4に示すように被記録媒体Mの色が印刷ジョブ2の場合と違って黒であり下地色の印刷が必要であるため、印刷時間はその分だけ長い70秒となっている。
図10(B)では、横軸が時間を表しており、白抜き矢印TP1は各印刷ジョブで印刷処理に要する時間の長さを示し、白抜き矢印TP1の中の数字1~6は印刷ジョブ1~6との対応関係を示している。各白抜き矢印TP1は、プリンタX~Zのうち、対応する印刷ジョブで使用されるプリンタの横に表示されている。また、両端に矩形のドットが付された線分TP2は、開始位置P1から各プリンタ5までのプラテン14の搬送時間を表し、線分TP2の下に添えられた数字は搬送時間の具体的な秒数を表している。なお、ここで説明する例では、搬送装置15の構成上の理由により、周回ライン2A上をプリンタ5へ向かって同時に搬送できるプラテン14は1つである。
従って、図10(B)の場合、時刻T0に印刷ジョブ1についてプリンタXで印刷が開始された後、プリンタYへのプラテン14の搬送が開始され、12秒後にプリンタYで印刷ジョブ2についての印刷が開始される。次に、印刷ジョブ1の印刷が終了してから、印刷ジョブ3のためのプラテン14の搬送が開始され、その10秒後にプリンタXにおいて印刷ジョブ3についての印刷が開始される。また、印刷ジョブ3についての印刷の開始後に印刷ジョブ4のためのプラテン14の搬送が開始され、その14秒後にプリンタZにおいて印刷ジョブ4についての印刷が開始される。
更に、印刷ジョブ4についての印刷の開始後に印刷ジョブ5のためのプラテン14の搬送が開始され、その12秒後にプリンタYにおいて印刷ジョブ5についての印刷が開始される。また、印刷ジョブ3の印刷が終了してから、印刷ジョブ6のためのプラテン14の搬送が開始され、その10秒後にプリンタXにおいて印刷ジョブ6についての印刷が開始される。
この結果、印刷ジョブ1~6に係る一連の印刷ジョブは、プリンタXでの印刷ジョブ1についての印刷開始(時刻T0)で始まり、プリンタXでの印刷ジョブ6についての印刷終了(時刻T3)で終わる。従って、一連の印刷ジョブの全てを終了するまでに要する全工程所要時間は200秒(=60秒+10秒+60秒+10秒+60秒)となる。また、印刷ジョブ3については印刷の開始前に待機時間が発生する。具体的には、図10(B)に示すように、印刷ジョブ3についての印刷の開始は時刻T0から70秒(60秒+10秒)後の時刻T1である。一方、仮に空いているプリンタZで印刷ジョブ3についての印刷を実行するとした場合、その開始時刻T2は時刻T0から26秒後(=12秒+14秒)である。従って、印刷ジョブ3の実行にあたり、時刻T1から時刻T2の間に44秒(=70秒-26秒)の待機時間が発生していることが分かる。
次に、速度優先モードの所要時間の計算について説明する。図11(A)および図11(B)は、速度優先モードにて一連の印刷ジョブを実行した場合の所要時間を説明する図表およびタイムチャートである。なお、図11(A)に示す各印刷ジョブ1~6についての「画像」、「印刷設定」、「決定」の各項目の内容は、速度優先モードの説明で用いた図7の図表に示したものと同じである。
図11(B)の場合、時刻T0に印刷ジョブ1についてプリンタXで印刷が開始された後、プリンタYへのプラテン14の搬送が開始され、12秒後にプリンタYで印刷ジョブ2についての印刷が開始される。ここで、図11(A)に示すように、印刷ジョブ3については実行プリンタ5AであるプリンタXが使用中ゆえプリンタZが代替プリンタ5Bとされている。従って、印刷ジョブ2についてプリンタYで印刷が開始された後、プリンタZへのプラテン14の搬送が開始され、14秒後にプリンタZで印刷ジョブ3についての印刷が開始される。
次に、プリンタXでの印刷ジョブ1についての印刷が終了すると、プリンタXへのプラテン14の搬送が開始され、10秒後にプリンタXでの印刷ジョブ4についての印刷が開始される。なお、印刷ジョブ4においてプリンタXは代替プリンタ5Bである。更に、プリンタYでの印刷ジョブ2についての印刷が終了すると、プリンタYへのプラテン14の搬送が開始され、12秒後にプリンタYでの印刷ジョブ5についての印刷が開始される。同様に、プリンタZでの印刷ジョブ3についての印刷が終了すると、プリンタZへのプラテン14の搬送が開始され、14秒後にプリンタZでの印刷ジョブ6についての印刷が開始される。なお、印刷ジョブ6においてプリンタZは代替プリンタ5Bである。
この結果、印刷ジョブ1~6に係る印刷ジョブは、プリンタXでの印刷ジョブ1についての印刷開始(時刻T0)で始まり、プリンタZでの印刷ジョブ6についての印刷終了(時刻T4)で終わる。従って、一連の印刷ジョブの全てを終了するまでに要する全工程所要時間は、160秒(=12秒+14秒+60秒+14秒+60秒)となる。一方、図11(B)の場合には待機時間が発生しない。
ユーザ選択モードのステップS31では、一例として上記のようにして各モードの所要時間を計算する。そして、ステップS32で、計算された時間を表示する。なお、表示する情報としては、各モードについての全工程所要時間だけに限られず、待機時間も表示することとしてもよい。
このように、各モードについての所要時間を表示した上で、ユーザによるモード選択を受け付けることにより、ユーザが所望するモードにより各印刷ジョブで使用するプリンタ5を決定することができる。ゆえに、印刷ジョブの実行に際して、ユーザの要望を反映することができる。
なお、この明細書において開示する各要素の機能は、説明された機能を実行するように構成またはプログラムされた各種のプロセッサや回路を使用して実現することができる。またプロセッサは回路と見なすことができ、かつ、この明細書で開示する回路、ユニット、または手段などは、説明された機能を実行するハードウェアであるか、あるいは、当該機能を実行するようプログラムされたハードウェアである。
上記の全実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。そして、本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本開示は、複数のプリンタへプラテンを搬送するにあたって、同一ジョブを実行した場合の印刷画像の色再現性をより高めることのできる搬送制御装置、その制御方法、およびコンピュータプログラムに適用することができる。
1 印刷システム
2 搬送装置
3 プラテン
5 プリンタ
6 搬送制御装置
20 MPU(コンピュータ)
21 メモリ
24 入出力装置
25 外部記憶装置
27 カメラ
M 被記録媒体
2 搬送装置
3 プラテン
5 プリンタ
6 搬送制御装置
20 MPU(コンピュータ)
21 メモリ
24 入出力装置
25 外部記憶装置
27 カメラ
M 被記録媒体
Claims (9)
- 印刷データに基づいて被記録媒体への印刷を行う複数のプリンタ、および、複数の前記プリンタの何れかに被記録媒体が載置されたプラテンを搬送する搬送装置、を備える印刷システムにおける前記搬送装置を制御するコンピュータと、
前記印刷データに含まれる第1印刷データ、および、前記第1印刷データに基づく印刷を実行した前記プリンタ、が関連付けられた履歴情報を記憶する記憶装置と、を備え、
前記コンピュータは、
前記印刷データに含まれる第2印刷データを受け付け、
受け付けた前記第2印刷データと前記記憶装置に記憶されている前記履歴情報とに基づき、複数の前記プリンタの中から、前記第2印刷データに基づく印刷を行うプリンタである実行プリンタを決定する、
搬送制御装置。 - 前記コンピュータは、前記第1印刷データと前記第2印刷データとの類似度が所定値以上である場合に、前記履歴情報において前記第1印刷データに関連付けられたプリンタを前記実行プリンタとして決定する、
請求項1に記載の搬送制御装置。 - 前記コンピュータは、前記履歴情報の中に前記第2印刷データとの前記類似度が所定値以上である前記第1印刷データが存在しない場合には、複数の前記プリンタのうち、前記被記録媒体への印刷結果における前記第2印刷データの色再現性に基づいて前記実行プリンタを決定する、
請求項2に記載の搬送制御装置。 - 前記履歴情報には、前記第1印刷データに基づく印刷が実行された被記録媒体に関する情報である第1媒体情報が、前記第1印刷データに関連付けられて含まれており、
前記コンピュータは、前記プラテンに載置された前記被記録媒体をカメラで撮影した画像から前記被記録媒体に関する情報である第2媒体情報を取得し、取得した前記第2媒体情報と前記第2印刷データと前記履歴情報とに基づいて前記実行プリンタを決定する、
請求項1~3の何れかに記載の搬送制御装置。 - 前記コンピュータは、前記第2印刷データおよび前記履歴情報に基づいて決定した前記実行プリンタが、前記第2印刷データに基づく印刷を実行できない状態であるときは、複数の前記プリンタのうち前記実行プリンタ以外のプリンタと前記実行プリンタとの各色域の比較結果に基づいて選択された1のプリンタを、前記実行プリンタに替えて前記第2印刷データに基づく印刷を行うプリンタである代替プリンタとして決定する、
請求項1~4の何れかに記載の搬送制御装置。 - 前記コンピュータは、前記第2印刷データおよび前記履歴情報に基づいて決定した前記実行プリンタが、前記第2印刷データに基づく印刷を実行できない状態であるときは、新たに受け付けられた別の第2印刷データと前記履歴情報とに基づいて前記別の第2印刷データに基づく印刷を行うための前記実行プリンタを決定する、
請求項1~5の何れかに記載の搬送制御装置。 - 情報を表示する表示装置を更に備え、
前記コンピュータは、前記第2印刷データおよび前記履歴情報に基づいて決定した前記実行プリンタが、前記第2印刷データに基づく印刷を実行できない状態であるときは、前記印刷システムが実行可能な一又は複数の処理を示す選択肢と、各処理に要する時間に関する情報とを、前記表示装置により表示する、
請求項1~6の何れかに記載の搬送制御装置。 - 印刷データに基づいて被記録媒体への印刷を行う複数のプリンタ、および、複数の前記プリンタの何れかに被記録媒体が載置されたプラテンを搬送する搬送装置、を備える印刷システムにおける前記搬送装置を制御するコンピュータと、
前記印刷データに含まれる第1印刷データ、および、前記第1印刷データに基づく印刷を実行した前記プリンタ、が関連付けられた履歴情報を記憶する記憶装置と、
を備える搬送制御装置の制御方法であって、
前記印刷データに含まれる第2印刷データを受け付け、
受け付けた前記第2印刷データと前記記憶装置に記憶されている前記履歴情報とに基づき、複数の前記プリンタの中から、前記第2印刷データに基づく印刷を行うプリンタである実行プリンタを決定する、
搬送制御装置の制御方法。 - 印刷データに基づいて被記録媒体への印刷を行う複数のプリンタ、および、複数の前記プリンタの何れかに被記録媒体が載置されたプラテンを搬送する搬送装置と、を備える印刷システムにおける前記搬送装置を制御するコンピュータと、
前記印刷データに含まれる第1印刷データ、および、前記第1印刷データに基づく印刷を実行した前記プリンタ、が関連付けられた履歴情報を記憶する記憶装置と、
を備える搬送制御装置における、前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記印刷データに含まれる第2印刷データを受け付けさせ、
受け付けた前記第2印刷データと前記記憶装置に記憶されている前記履歴情報とに基づき、複数の前記プリンタの中から、前記第2印刷データに基づく印刷を行うプリンタである実行プリンタを決定させる、
コンピュータプログラム。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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