JP2023148779A - 画像形成装置及び画像形成装置の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化と印刷品質の劣化の抑制とを両立する。【解決手段】転写部における記録媒体搬送速度と定着部における記録媒体搬送速度との速度差によって発生する定着部モータの負荷の変動に基づく変化を検出し、その検出結果に基づいて、前記転写部における記録媒体搬送速度と前記定着部における記録媒体搬送速度との速度差が小さくなるように前記定着部モータの回転速度を調整する速度調整部を備え、前記速度調整部は、前記転写部及び前記定着部に通常印刷時の第1の記録媒体搬送速度よりも遅い第2の記録媒体搬送速度を設定して前記記録媒体を搬送させながら、前記定着部モータの負荷の変動に基づく変化を検出し、その検出結果に基づいて前記定着部モータの回転速度を調整し、その調整結果に基づいて通常印刷時における前記定着部モータの回転速度を補正する。【選択図】図2

Description

本発明は、画像形成装置及び画像形成装置の制御方法に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置は、画像形成部により感光体ドラム上に画像データに基づくトナー画像を形成し、感光体ドラム上に形成したトナー画像を転写部により記録媒体に転写し、記録媒体に転写したトナー画像を定着部により当該記録媒体に定着させるようになっている。
この種の画像形成装置では、転写部における記録媒体搬送速度と定着部における記録媒体搬送速度とが等しくなるように設計されるが、製造段階のばらつきや温度による形状変化などにより、転写部における記録媒体搬送速度と定着部における記録媒体搬送速度とで速度差が生じてしまう。つまり転写部と定着部のそれぞれに同じ記録媒体搬送速度が設定されていても、実際に記録媒体を搬送したときの転写部における記録媒体搬送速度と定着部における記録媒体搬送速度とには速度差が生じてしまう。
このように転写部と定着部とで記録媒体搬送速度に速度差が生じると、記録媒体が定着部側に引っ張られたり、転写部側に押し戻されたりして、感光体ドラムに対する記録媒体の副走査方向の位置がずれてしまう場合があり、この場合、記録媒体へ転写されたトナー画像に副走査方向への色ずれ等が発生して印刷品質が劣化する。
そこで従来、転写部の記録媒体搬送速度を通常印刷速度に設定して媒体を搬送しながら、転写部における記録媒体搬送速度と定着部における記録媒体搬送速度との速度差によって発生する記録媒体に加わる張力を検出し、検出した張力に基づいて、定着部に設定する記録媒体搬送速度を逐次調整することで、転写部における記録媒体搬送速度と定着部における記録媒体搬送速度との速度差を小さくする機能を備えた画像形成装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2004-233437号公報
従来の機能を備えた画像形成装置は、転写部と定着部との間に記録媒体がたるむのに十分な隙間があり、記録媒体に加わる張力の変動がゆるやかな為、検出した張力に基づいて定着部に設定する記録媒体搬送速度を逐次調整することで、記録媒体の位置ずれが発生する前に、転写部における記録媒体搬送速度と定着部における記録媒体搬送速度との速度差を小さくして印刷品質の劣化を抑制することができた。
しかしながら、小型化の為に転写部と定着部とが近接配置された画像形成装置では、記録媒体に加わる張力の変動が速い為、従来の機能により、検出した張力に基づいて定着部に設定する記録媒体搬送速度を逐次調整しても、記録媒体の位置ずれを十分に抑えることができず、印刷品質の劣化を抑制することができなかった。
本発明は以上の点を考慮したものであり、小型化と印刷品質の劣化の抑制とを両立し得る画像形成装置及びその制御方法を提案しようとするものである。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体上に画像データに基づく現像剤画像を形成する画像形成部と、前記静電潜像担持体上に形成された前記現像剤画像を記録媒体上に転写する転写部と、前記記録媒体に転写された前記現像剤画像を前記記録媒体上に定着させる定着部と、前記定着部を駆動させる定着部モータと、前記転写部における記録媒体搬送速度と前記定着部における記録媒体搬送速度との速度差によって発生する前記定着部モータの負荷の変動に基づく変化を検出し、その検出結果に基づいて、前記転写部における記録媒体搬送速度と前記定着部における記録媒体搬送速度との速度差が小さくなるように前記定着部モータの回転速度を調整する速度調整部とを備え、前記速度調整部は、前記転写部及び前記定着部に通常印刷時の第1の記録媒体搬送速度よりも遅い第2の記録媒体搬送速度を設定して前記記録媒体を搬送させながら、前記定着部モータの負荷の変動に基づく変化を検出し、その検出結果に基づいて前記定着部モータの回転速度を調整し、その調整結果に基づいて通常印刷時における前記定着部モータの回転速度を補正する。
また本発明の制御方法は、静電潜像担持体上に画像データに基づく現像剤画像を形成する画像形成部と、前記静電潜像担持体上に形成された前記現像剤画像を記録媒体上に転写する転写部と、前記記録媒体に転写された前記現像剤画像を前記記録媒体上に定着させる定着部と、前記定着部を駆動させる定着部モータとを備える画像形成装置の制御方法であって、速度調整部が、前記転写部及び前記定着部に通常印刷時の第1の記録媒体搬送速度よりも遅い第2の記録媒体搬送速度を設定して前記記録媒体を搬送させながら、前記転写部における記録媒体搬送速度と前記定着部における記録媒体搬送速度との速度差によって発生する前記定着部モータの負荷の変動に基づく変化を検出し、その検出結果に基づいて前記定着部モータの回転速度を調整し、その調整結果に基づいて通常印刷時における前記定着部モータの回転速度を補正する。
このように、通常印刷時よりも遅い記録媒体搬送速度で記録媒体を搬送しながら、転写部における記録媒体搬送速度と定着部における記録媒体搬送速度との速度差によって発生する定着部モータの負荷の変動に基づく変化に基づいて、定着部モータの回転速度を調整することにより、転写部と定着部とが近接配置されていて記録媒体に加わる張力の変動が速い場合でも、記録媒体搬送速度が遅い為に記録媒体の位置ずれを十分に抑えることができる。さらにこのときの調整結果に基づいて、通常印刷時における定着部に設定する記録媒体搬送速度を補正するようにしたことにより、記録媒体搬送速度が速い通常印刷時にも記録媒体の位置ずれを十分に抑えることができる。
本発明は、小型化と印刷品質の劣化の抑制とを両立し得る画像形成装置及び画像形成装置の制御方法を実現できる。
画像形成装置の機能ブロックを示す図である。 印刷部の構成を示す図である。 駆動電流検出部の回路構成を示す図である。 各種信号の波形を示す図である。 速度テーブルの構成を示す図である。 学習状態テーブルの構成を示す図である。 速度調整を伴う印刷動作を行うか、通常の印刷動作を行うか判断する動作を示すフローチャートである。 速度調整を伴う印刷動作を示すフローチャートである。 速度調整を伴わない印刷動作を示すフローチャートである。 学習状態を更新する動作を示すフローチャートである。
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.画像形成装置の構成]
図1に本実施の形態による画像形成装置1の機能ブロックを示す。この図1に示すように、画像形成装置1は、印刷部2と、表示部5と、制御部6と、通信部14とを有している。印刷部2は、ラスターデータに基づいて記録媒体としての用紙に画像を印刷する。表示部5は、例えばタッチパネルであり、各種画面を表示するとともに各種画面に対する操作を受け付ける。通信部14は、PC(パーソナルコンピュータ)などの上位装置と通信を行う。制御部6は、画像形成装置1全体を制御して各種動作を行う。具体的には、制御部6は、通信部14により上位装置から受信した印刷データを解析してラスターデータを生成し、当該ラスターデータを印刷部2に送り印刷を指示する。
つづけて図2に印刷部2の構成を示す。この図2に示すように、印刷部2は、電子写真方式により用紙Pにカラー印刷を行う機構を備え、露光装置としてLEDヘッド110を用いている。印刷部2は、画像形成部10と、転写部11と、定着器12とを有している。
画像形成部10は、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応する4つのイメージドラムユニット117を有している。4つのイメージドラムユニット117は、図中左右方向に延びる搬送路Rの上側に当該搬送路Rに沿って配置されている。4つのイメージドラムユニット117は、トナーの色が異なる点を除いて同一構成であり、それぞれ現像器111と、帯電器112と、感光体ドラム115とを有している。各イメージドラムユニット117の感光体ドラム115の上方には、上述したLEDヘッド110が配置されている。
帯電器112は、感光体ドラム115の表面を一様に帯電させる。LEDヘッド110は、複数の発光素子(LED)を主走査方向に配置した露光装置であり、制御部6から供給されるラスターデータに基づいて、一様に帯電された感光体ドラム115の表面を選択的に露光することにより当該表面に当該ラスターデータに基づく静電潜像を形成する。現像器111は、感光体ドラム115の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像することにより当該表面にトナー画像を形成する。このようにして画像形成部10は、感光体ドラム115の表面にトナー画像を形成する。
転写部11は、搬送路Rを間に挟んで画像形成部10の下方に配置されている。転写部11は、転写ローラ114と、搬送ベルト116とを有している。搬送ベルト116は、環状であり、搬送路Rの用紙搬送方向下流側(図中左側)に位置する図示しない駆動ローラと上流側(図中右側)に位置する図示しない従動ローラとに架け渡されている。この搬送ベルト116は、上側部分が4つの感光体ドラム115の下方に対向配置されている。搬送ベルト116は、駆動ローラによって上側部分が用紙搬送方向に移動するようになっていて、図示しない給紙装置から給紙された用紙Pを当該上側部分上に静電吸着して搬送する。尚、感光体ドラム115は、図示しないドラムモータによって駆動され、駆動ローラは、図示しないベルトモータによって駆動される。
この搬送ベルト116の内側には、4つの感光体ドラム115のそれぞれと対向する位置に1つずつ計4つの転写ローラ114が設けられている。つまり、各転写ローラ114は、搬送ベルト116の上側部分を間に挟んで、各感光体ドラム115の下方に対向配置されている。転写ローラ114は、高電圧が印加されるようになっていて、当該転写ローラ114と感光体ドラム115との間を用紙Pが通過する際に、感光体ドラム115の表面に形成されたトナー画像を用紙Pに転写する。このようにして転写部11は、用紙Pを搬送しながら、感光体ドラム115の表面に形成されたトナー画像を用紙Pに転写する。
定着器12は、転写部11の用紙搬送方向下流側(図中左側)に、当該転写部11と近接して設けられている。転写部11と定着器12との間隔は、用紙Pの用紙搬送方向の長さと比べて十分短く、用紙Pが弛むことができる程広くはない。定着器12は、ヒートローラ118と加圧ローラ119とを有している。ヒートローラ118は、内部に熱源を有していて、定着部モータ130によって駆動される。この定着部モータ130は、ブラシレスDCモータであり、クロック性のPWM(Pulse Width Modulation)信号である定着モータクロック信号が入力され、当該定着モータクロック信号により駆動制御されるようになっている。
加圧ローラ119は、搬送路Rを間に挟んでヒートローラ118の下方に対向配置されていて、ヒートローラ118と連れ回るようになっている。定着器12は、転写部11から搬送されてくる用紙Pを、ヒートローラ118と加圧ローラ119との間に挟んで搬送しながら、当該用紙Pを加熱及び加圧することにより、当該用紙P上にトナー画像を定着させる。
さらにこの定着器12の入口部分には、定着入口センサ113が設けられている。この定着入口センサ113は、定着器12に用紙Pが到達すると、用紙通過中を示す信号を出力する。
ここで、図4(A)に、定着入口センサ113から出力される信号の波形W1、定着部モータ130に入力される定着部モータクロック信号の波形W2、定着部モータ130に流れる定着部モータ電流の波形W3を示す。定着入口センサ113から出力される信号の波形W1は、オン(通過中)又はオフ(未通過)を示すパルス波形となっている。定着部モータクロック信号の波形W2は、交流波形となっている。定着部モータ電流は、定着部モータクロック信号に同期して流れる駆動電流である。この為、定着部モータ電流の波形W3も、定着部モータクロック信号の波形W2に同期した交流波形となっている。
図2に戻り、さらに印刷部2は、上述した構成に加えて、回転制御部120と、駆動電流検出部121と、速度調整機能部122とを有している。回転制御部120は、定着部モータ130の回転を制御する。尚、この回転制御部120は、CPU200により実行される制御プログラムによって実現される機能部の1つである。
尚、図中省略するが、CPU200は、感光体ドラム115を駆動するドラムモータの回転を制御する回転制御部と、転写部11の駆動ローラを駆動するベルトモータの回転を制御する回転制御部を有していて、これらによりドラムモータ、ベルトモータ、定着部モータ130のそれぞれの回転を制御することで、印刷時の転写部11の用紙搬送速度と定着器12の用紙搬送速度を制御するようになっている。具体的には、印刷部2では、転写部11の用紙搬送速度と定着器12の用紙搬送速度をそれぞれ35ppmに設定して印刷を行う通常印刷モードと、転写部11の用紙搬送速度と定着器12の用紙搬送速度をそれぞれ8ppmに設定して印刷を行う低速印刷モードとを有している。ちなみに8ppmは、印刷部2に設定可能な(つまり印刷部2で印刷を実行可能な)用紙搬送速度の最低速度である。
駆動電流検出部121は、定着部モータ130に流れる定着部モータ電流(つまり定着部モータ130の駆動電流)を検出して数値化する。速度調整機能部122は、駆動電流検出部121により数値化された定着部モータ電流の電流値に基づいて、回転制御部120に設定する定着部モータ130の回転速度(つまり定着器12の用紙搬送速度)をフィードバック制御により調整する。この速度調整機能部122も、後述するCPU200により実行される制御プログラムによって実現される機能部の1つであり、記憶部125、速度テーブル126、学習状態テーブル127及び比較部128を含んでいる。
速度調整機能部122に含まれる記憶部125は、後述するCPU200のワーキングメモリであり、駆動電流検出部121により検出されて数値化された定着部モータ電流の電流値を記憶する。
速度テーブル126は、詳しくは後述するが、図5の表に示すように、用紙搬送速度が低速度(低速印刷モードの「8ppm」)の場合と、通常速度(通常印刷モードの「35ppm」)の場合とに分かれていて、それぞれ用紙搬送速度に対応する定着部モータ130のデフォルト回転速度(例えば「511rpm」)と、当該デフォルト回転速度で定着部モータ130を駆動させ、且つ定着器12まで用紙Pが到達していないとき(空転時)に検出された定着部モータ130の電流値(以下、空転時電流値と呼び、例えば「0.6A」)と、当該デフォルト回転速度で定着部モータ130を駆動させ、且つ定着器12まで用紙Pが到達したときに検出された定着部モータ電流の電流値(以下、通過時電流値と呼ぶ)の学習状態(例えば「1」)と、定着部モータ130のデフォルト回転速度に対する補正値(例えば「0.00%」)が記憶されている。
学習状態テーブル127は、詳しくは後述するが、図6の表に示すように、定着部モータ電流の通過時電流値の学習状態(「1」~「7」)ごとに分かれていて、それぞれ学習状態の内容(例えば「学習中、電流値+2%以上」)と、定着部モータ130の回転速度の補正値(例えば「速度-0.5%」)と、学習状態に関する説明(例えば「負荷が大きい」)が記憶されている。
比較部128は、空転時電流値と、通過時電流値とを比較する。速度調整機能部122は、比較部128による比較結果を用いて学習状態を判定し、当該学習状態に基づいて速度テーブル126を更新しながら、回転制御部120に設定する定着部モータ130の回転速度を調整していくようになっていて、このような動作を学習動作と呼ぶ。尚、速度調整機能部122は、用紙搬送速度が低速度に設定されている低速印刷モードのときに学習動作を行い、当該学習動作により得られた補正値に基づいて、用紙搬送速度が通常速度に設定されている通常印刷モードのときの定着部モータ130の回転速度を補正するようになっている。
[2.駆動電流検出部の構成]
次に、図3を用いて、印刷部2に含まれる駆動電流検出部121の構成(回路構成)について詳しく説明する。この図3に示すように、駆動電流検出部121は、差動増幅回路210と、RMS-DC回路202と、A/Dコンバータ201とで構成される。
差動増幅回路210は、周辺抵抗204、207と、NPN型トランジスタ205と、差動増幅器206と、検出抵抗208とで構成される。検出抵抗208は、定着部モータ130の電源ラインに挿入されている。周辺抵抗204と周辺抵抗207は、差動増幅器206の周辺抵抗である。差動増幅器206はOPアンプであり、NPN型トランジスタ205は汎用のNPN型トランジスタである。
この差動増幅回路210は、検出抵抗208に流れる電流ILoad(つまり定着部モータ130に流れる定着部モータ電流)を、検出抵抗208の両端の電位差として検出し、差動増幅器206で増幅して電圧Voutとして出力する。
ここで、検出抵抗208の抵抗値をRS、周辺抵抗204の抵抗値をR4、周辺抵抗207の抵抗値をR2とすると、差動増幅器206の増幅率は、以下の式(1)により表すことができる。
Vout=ILoad×(RS)(R4/R2)……(1)
さらに本実施の形態では、検出抵抗208の抵抗値RSを0.2[Ω]、周辺抵抗204の抵抗値R4を1K[Ω]、周辺抵抗207の抵抗値R2を200[Ω]とすることにより、以下の式(2)、(3)で表すように、差動増幅器206の増幅率が1倍に設定されている。つまり差動増幅回路210では、電流ILoadと、電圧Voutの関係が1対1となるように設定されている。この為、差動増幅回路210から出力される電圧Voutが、そのまま定着部モータ130に流れる定着部モータ電流(電流ILoad)を表していることになる。
Vout=ILoad×(0.2)(1K/200)……(2)
Vout=ILoad×1……(3)
ところで、図4(A)に示したように、定着部モータ電流の波形W3は、交流波形である為、電流値が時間でばらついてしまう。そこで、図3に示す駆動電流検出部121では、差動増幅器206から出力される電圧Vout(つまり定着部モータ電流)を、RMS-DC回路202により一定の実効値に変換するようになっている。つまり、図4(B)に示すように、定着部モータ電流の波形W3は、RMS-DC回路202により、直流の波形W4(実行値)に変換される。尚、RMS-DC回路202には、当該RMS-DC回路202の応答特性を決める平均化コンデンサ203が接続されている。この平均化コンデンサ203の容量は例えば0.01[μF]程度である。
そして、図3に示すRMS-DC回路202により実効値に変換された定着部モータ電流が、A/Dコンバータ201により10ビットのデジタル値に変換されて、CPU200によって読み取られる。CPU200は、A/Dコンバータ201から読み取ったデジタル値を、定着部モータ電流の電流値として記憶部125に記憶する。尚、図3に示す駆動電流検出部121の構成は一例であり、駆動電流検出部121の構成として他の構成を用いてもよい。
[3.画像形成装置の動作]
次に、画像形成装置1の動作について説明する。尚、ここでは、画像形成装置1の動作として、定着部モータ130に設定する回転速度(つまり定着器12に設定する用紙搬送速)の調整に関わる動作について説明する。まず図7に示すフローチャートを用いて、速度調整機能部122による速度調整を伴う印刷動作を行うか、通常の印刷動作を行うか判断する動作について説明する。
尚、この動作は、制御部6が主体となって行う動作である。制御部6は当該動作を開始(ステップSP491)すると、ステップSP492において、通信部14により上位装置から印刷データが送信されてくるのを待ち受ける。上位装置から送信されてきた印刷データを通信部14で受信すると、制御部6は、このステップSP492で肯定結果を得て、ステップSP493に移る。
ステップSP493において、制御部6は、今回の印刷が、定着器12又は搬送ベルト116の交換後、初めての印刷であるか否かを判定する。画像形成装置1では、定着器12及び搬送ベルト116に小規模なメモリが設けられていて、当該メモリに例えば交換してから現在までの印刷回数(初期値は0)が格納されている。制御部6は、定着器12のメモリに格納された印刷回数、又は搬送ベルト116のメモリに格納された印刷回数が例えば0の場合に、今回の印刷が定着器12又は搬送ベルト116の交換後、初めての印刷であると判定する。尚、制御部6は、例えば工場で出荷検査の為にテスト印刷を行う場合も、初めての印刷であると判定する。
今回の印刷が定着器12又は搬送ベルト116の交換後、初めての印刷であると判定した場合、制御部6は、上述のステップSP493で肯定結果を得て、ステップSP494に移る。ステップSP494において、制御部6は、速度調整機能部122による速度調整を伴う印刷動作(つまり学習動作を伴う低速印刷モードの印刷動作)を開始して、一連の動作を終了(ステップSP496)する。尚、速度調整機能部122による速度調整を伴う印刷動作については、図8に示すフローチャートを用いて詳述する。
これに対して、今回の印刷が定着器12又は搬送ベルト116の交換後、初めての印刷ではないと判定した場合、制御部6は、上述のステップSP493で否定結果を得て、ステップSP495に移る。ステップSP495において、制御部6は、速度調整機能部122による速度調整を伴わない印刷動作(つまり学習動作を伴わない通常印刷モードでの印刷動作)を開始して、一連の動作を終了(ステップSP496)する。通常の印刷動作については、図9に示すフローチャートを用いて詳述する。
尚、本実施の形態では、定着器12及び搬送ベルト116に設けられたメモリに格納された印刷回数に基づいて、制御部6が、定着器12又は搬送ベルト116の交換後、初めての印刷であるか否かを判定するようにしたが、これに限らず、定着器12及び搬送ベルト116に通電されると切れるヒューズを設け、当該ヒューズが切れたことを検出した場合に、今回の印刷が定着器12又は搬送ベルト116の交換後、初めての印刷であると判定するようにしてもよい。
次に、図8を用いて、速度調整機能部122による速度調整を伴う印刷動作(学習動作を伴う低速印刷モードでの印刷動作)について説明する。尚、この動作は、CPU200が主体となって行う動作である。
速度調整を伴う印刷動作が開始(ステップSP501)されると、ステップSP502において、CPU200の速度調整機能部122は、速度テーブル126(図5)から用紙搬送速度が低速度(8ppm)の場合の、定着部モータ130のデフォルト回転速度(511rpm)と、当該デフォルト回転速度に対する補正値を読み出して、これらを回転制御部120に設定する。
つづくステップSP503において、回転制御部120は、定着部モータ130の回転を開始する。尚、このとき回転制御部120は、デフォルト回転速度(511rpm)を補正値で補正した回転速度で定着部モータ130の回転を開始させる。これにより、定着器12は、用紙搬送速度が低速度(8ppm)に設定された状態で駆動することになる。またCPU200は、転写部11についても、用紙搬送速度を低速度(8ppm)に設定した状態で駆動させる。これにより、印刷部2では、低速印刷モードでの印刷が開始される。
つづくステップSP504において、CPU200の速度調整機能部122は、このとき駆動電流検出部121により検出された定着部モータ電流の電流値を読み取る。尚、この時点では、用紙Pがまだ定着器12には到達してなく(つまり定着器12がまだ用紙Pを噛みこんでなく)、定着入口センサ113はオフしている状態である。速度調整機能部122は、このとき読み取った電流値を、用紙搬送速度が低速度の場合の空転時電流値として速度テーブル126に書き込む。
つづくステップSP505において、CPU200の速度調整機能部122は、定着入口センサ113がオンするまで(つまり用紙Pが定着入口センサ113に到達するまで)待ち、定着入口センサ113がオンすると、肯定結果を得て、ステップSP506に移る。
ステップSP506において、CPU200の速度調整機能部122は、用紙Pの先端が定着入口センサ113を通過してから、ヒートローラ118と加圧ローラ119のニップ部に到達するまで(つまり用紙Pが定着器12に噛みこまれるまで)に要する時間だけ待ち、当該時間が経過すると、肯定結果を得て、ステップSP507に移る。尚、当該時間は、例えば、用紙搬送速度(この場合8ppm)と定着入口センサ113とニップ部との距離から算出された時間である。
ステップSP507において、CPU200の速度調整機能部122は、このとき駆動電流検出部121により検出された定着部モータ電流の電流値を読み取る。このときの定着器12は、用紙Pが通過している状態(つまり用紙Pを噛みこんでいる状態)である。よってこのときの電流値が通過時電流値となる。
ここで、定着器12における用紙搬送速度(設定した用紙搬送速度ではなく実際の用紙搬送速度)と、転写部11における用紙搬送速度とに速度差が生じていると、用紙Pが定着器12側に引っ張られて張り過ぎたり、転写部11側に押し戻されて弛んだりすること(つまり用紙Pに加わる張力が変動すること)で、定着部モータ130の負荷が変動し、当該負荷の変動が定着部モータ電流の変化として現れる。
つまり定着部モータ電流の電流値の変化を検出することは、定着部モータ130の負荷の変動に基づく変化を検出すること、さらに言えば用紙Pに加わる張力の変動に基づく変化を検出することと同義であると言える。そこで、本実施の形態では、詳しくは後述するが、定着器12が用紙Pを噛みこんでいないときの定着部モータ電流の空転時電流値を、用紙Pの張り過ぎや弛みの影響を受けていない状態の定着部モータ130の負荷(つまり定着器12における用紙搬送速度と転写部11における用紙搬送速度とに速度差が生じていない状態の負荷)とみなして、定着器12が用紙Pを噛みこんでいるときの定着部モータ電流の通過時電流値が、この空転時電流値に近づくように、定着部モータ130に設定する回転速度をフィードバック制御により調整するようになっている。このように定着部モータ130に設定する回転速度を調整することを、ここでは学習と呼んでいる。
つづくステップSP508において、CPU200の速度調整機能部122は、学習状態の更新を開始する。具体的には、速度調整機能部122は、ステップSP504、SP507で得た空転時電流と通過時電流を用いて学習状態の更新を行う。学習状態の更新については図10に示すフローチャートを用いて詳述するが、簡単に説明すると、通過時電流値と空転時電流値の差分の変化に基づいて学習状態を判定し、判定した学習状態と、当該学習状態のときに適した定着部モータ130に設定する回転速度の補正値で、速度テーブル126を更新する動作である。
つづくステップSP509において、CPU200の速度調整機能部122は、速度テーブル126から、用紙搬送速度が低速の場合のデフォルト回転速度と、補正値と、学習状態を読み出し、デフォルト回転速度と補正値を回転制御部120に設定することで定着部モータ130に設定する回転速度を調整する。以降、回転制御部120は、デフォルト回転速度(511rpm)を補正値で補正した回転速度で定着部モータ130を回転する。
つづくステップSP510において、CPU200の速度調整機能部122は、定着部モータ130に補正後の回転速度が反映されるまでに時間を要することから、所定時間(例えば50ms程度)待ち、ステップSP511に移る。ステップSP511において、CPU200の速度調整機能部122は、ステップSP509で読み出した学習状態が「4」と「7」のどちらか一方であるか否かを判定する。詳しくは後述するが、図6に示すように、学習状態が「4」と「7」のどちらか一方であるということは、学習が完了したことを意味する。学習状態が「4」でも「7」でもない場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP511で否定結果を得てステップSP507に戻り、ステップSP507~SP511までの学習動作を継続する。
これに対して、学習状態が「4」と「7」のどちらか一方である場合、CPU200の速度調整機能部122は、上述のステップSP511で肯定結果を得てステップSP512に移る。ステップSP512において、速度調整機能部122は、学習状態が「4」であるか否かを判定する。ここで学習状態が「4」である場合、このことは学習が正常に完了したこと(つまり定着部モータ130に設定する回転速度を調整し終えたこと)を意味する。この場合、CPU200は、上述のステップSP512で肯定結果を得て、ステップSP513に移り、低速印刷モードでの印刷が完了するまで(つまり用紙Pが画像形成装置1から排出されるまで)待った後、一連の動作を終了(ステップSP514)する。
これに対して、学習状態が「7」である場合、このことは、学習は完了したが定着部モータ130に設定する回転速度を適切に調整できなかったことを意味する。例えば、持ち運び時などに画像形成装置1を落下して、ヒートローラ118の軸などが変形してしまい、定着部モータ130の回転速度がばらついてしまうような場合、回転速度を適切に調整できなくなる。この場合、CPU200は、上述のステップSP511で否定結果を得てステップSP515に移り、一連の動作をエラー終了する。尚、エラー終了の場合、制御部6は、例えば、低速印刷モードでの印刷を途中で終了して表示部5にエラー内容(例えば定着器12の動作エラー)を表示したり、用紙Pが画像形成装置1から排出されるまで待つとともに表示部5にエラー内容を表示したりすることで、エラー内容をユーザに通知するようになっている。
次に、図9を用いて、速度調整機能部122による速度調整を伴わない印刷動作(学習動作を伴わない通常印刷モードでの印刷動作)について説明する。尚、この動作は、CPU200が主体となって行う動作である。
速度調整を伴わない印刷動作が開始(ステップSP521)されると、ステップSP522において、CPU200の速度調整機能部122は、速度テーブル126(図5)から用紙搬送速度が通常速度(35ppm)の場合の、定着部モータ130のデフォルト回転速度(2235rpm)と、当該デフォルト回転速度に対する補正値を読み出して、これらを回転制御部120に設定する。尚、図5に示すように、速度テーブル126には、デフォルト回転速度に対する補正値として、デフォルト回転速度に対する比率(%)が記憶されている。つまり、この比率が例えば+0.5%である場合、デフォルト回転速度+デフォルト回転速度×(0.5/100)が補正後の回転速度となる。
また用紙搬送速度が通常速度(35ppm)の場合の補正値は、用紙搬送速度が低速速度(8ppm)の場合の補正値が適用されている。つまり、速度調整機能部122は、低速印刷モードで速度調整することにより得られた補正値(比率)を用いて、通常印刷モードで印刷する際の定着部モータ130の回転速度を補正するようになっている。
つづくステップSP523において、回転制御部120は、定着部モータ130の回転を開始する。尚、このとき回転制御部120は、デフォルト回転速度(2235rpm)を補正値で補正した回転速度で定着部モータ130の回転を開始させる。これにより、定着器12は、用紙搬送速度が通常速度(35ppm)に設定された状態で駆動することになる。またCPU200は、転写部11についても、用紙搬送速度を通常速度(35ppm)に設定した状態で駆動させる。これにより、印刷部2では、通常印刷モードでの印刷が開始される。
つづくステップSP524において、CPU200は、通常印刷モードでの印刷が完了するまで(つまり用紙Pが画像形成装置1から排出されるまで)待った後、一連の動作を終了(ステップSP525)する。
次に、図10を用いて、速度調整機能部122による学習状態の更新について説明する。尚、この動作は、速度調整機能部122が主体となって行う動作であり、上述したように低速印刷モード時に行われる動作である。速度調整機能部122は、学習状態の更新を開始(ステップSP531)すると、ステップSP532において、空転時電流と通過時電流とを比較し、通過時電流が空転時電流よりも2%以上増加しているか否かを判定する。
ここで、通過時電流が空転時電流よりも2%以上増加している場合というのは、転写部11側よりも定着器12側の方が用紙搬送速度が速く、用紙Pが定着器12側に引っ張られる為に定着部モータ130の負荷が大きいことを意味する。この場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP532で肯定結果を得て、ステップSP538に移る。
ステップSP538において、速度調整機能部122は、速度テーブル126(図5)から用紙搬送速度が低速度(8ppm)の場合の学習状態を読み出し、当該学習状態が「1」又は「2」であるか否かを判定する。
ここで図5に示すように、学習状態が「1」であるということは、未学習であること、つまり学習状態の更新は今回初めてであることを意味する。また学習状態が「2」であるということは、前回の学習状態更新時も通過時電流が空転時電流よりも2%以上大きかったこと、つまり学習動作により通過時電流が空転時電流に向かって収束している可能性が高いことを意味する。
学習状態が「1」又は「2」である場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP538で肯定結果を得て、ステップSP542に移る。ステップSP542において、速度調整機能部122は、学習中であり通過時電流が空転時電流よりも2%以上大きいことから、現在の学習状態が「2」であると判定し、学習状態テーブル127から、学習状態が「2」の場合の補正値(例えば「-0.5%」)を読み出す。尚、学習状態テーブル127には、各学習状態において、通過時電流を空転時電流に近づける為に適切な補正値が記憶されている。例えば学習状態が「2」の場合、転写部11側よりも定着器12側の方が用紙搬送速度が速く、用紙Pが定着器12側に引っ張られる為に定着部モータ130の負荷が大きいことから、定着部モータ130の回転速度を落とす補正値が適切となる。
そして速度調整機能部122は、判定した学習状態と読み出した補正値により、速度テーブル126における、用紙搬送速度が低速の場合の学習状態と補正値を更新し、今回の学習状態の更新を終了(ステップSP545)する。尚、このとき、速度調整機能部122は、速度テーブル126に記憶されている補正値に、今回読み出した補正値を加算した値で、速度テーブル126の補正値を更新するようになっている。例えば、速度テーブル126に記憶されている補正値が「-0.5%」で、今回読み出した補正値が「-0.1%」の場合、速度テーブル126の補正値を、「-0.5%」に「-0.1%」を加算した値である「-0.6%」に更新する。
一方で、通過時電流が空転時電流よりも2%以上増加していて、且つ学習状態が「1」でも「2」でもない場合、このことは、学習動作を実行しても通過時電流が空転時電流に向かって収束しないこと(つまり定着部モータ130に設定する回転速度を適切に調整できないこと)を意味する。この場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP538で否定結果を得て、ステップSP541に移る。
ステップSP541において、速度調整機能部122は、回転速度を適切に調整できないことから、現在の学習状態が「7」であると判定し、学習状態テーブル127から、学習状態が「7」の場合の補正値(例えば「速度変更なし」)を読み出す。そして速度調整機能部122は、判定した学習状態と読み出した補正値により、速度テーブル126における、用紙搬送速度が低速の場合の学習状態と補正値を更新し、今回の学習状態の更新を終了(ステップSP545)する。尚、学習状態が「7」の場合の補正値は「速度変更なし」なので、速度テーブル126に記憶されている補正値はそのまま変更されない。
また一方で、通過時電流が空転時電流よりも2%以上増加していない場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP532で否定結果を得て、ステップSP533に移る。ステップSP533において、速度調整機能部122は、通過時電流が空転時電流よりも1%以上且つ2%未満の範囲で増加している否かを判定する。
ここで、通過時電流が空転時電流よりも1%以上2%未満の範囲で増加している場合というのは、通過時電流が空転時電流よりも2%以上増加している場合ほどではないが、転写部11側よりも定着器12側の方が用紙搬送速度が速く、用紙Pが定着器12側に引っ張られる為に定着部モータ130の負荷が少し大きいことを意味する。この場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP533で肯定結果を得て、ステップSP539に移る。
ステップSP539において、速度調整機能部122は、速度テーブル126(図5)から用紙搬送速度が低速度(8ppm)の場合の学習状態を読み出し、当該学習状態が「1」、「2」、「3」のいずれかであるか否かを判定する。
ここで図5に示すように、学習状態が「1」であるということは、未学習であること、つまり学習状態の更新は今回初めてであることを意味する。また学習状態が「2」であるということは、前回の学習状態更新時は通過時電流が空転時電流よりも2%以上増加していたこと、つまり学習動作により通過時電流が空転時電流に向かって収束していることを意味する。さらに学習状態が「3」であるということは、前回の学習状態更新時も通過時電流が空転時電流よりも1%以上2%未満の範囲で増加していたこと、つまり学習動作により通過時電流が空転時電流に向かって収束している可能性が高いことを意味する。
学習状態が「1」、「2」、「3」のいずれかである場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP539で肯定結果を得て、ステップSP543に移る。ステップSP543において、速度調整機能部122は、学習中であり通過時電流が空転時電流よりも1%以上2%未満の範囲で増加していることから、現在の学習状態が「3」であると判定し、学習状態テーブル127から、学習状態が「3」の場合の補正値(例えば「-0.1%」)を読み出す。尚、学習状態が「3」の場合、学習状態が「2」の場合よりも通過時電流が空転時電流に近い為、その分、補正値が小さくなっている。
そして速度調整機能部122は、判定した学習状態と読み出した補正値により、速度テーブル126における、用紙搬送速度が低速の場合の学習状態と補正値を更新(補正値については加算)し、今回の学習状態の更新を終了(ステップSP545)する。
一方で、通過時電流が空転時電流よりも1%以上2%未満の範囲で増加していて、且つ学習状態が「1」でも「2」でも「3」でもない場合、このことは、学習動作を実行しても通過時電流が空転時電流に向かって収束しないこと(つまり定着部モータ130に設定する回転速度を適切に調整できないこと)を意味する。この場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP539で否定結果を得て、ステップSP541に移る。ステップSP541以降の動作については、上述した為、説明を省略する。
また一方で、通過時電流が空転時電流よりも1%以上増加していない場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP533で否定結果を得て、ステップSP534に移る。ステップSP534において、速度調整機能部122は、通過時電流が空転時電流よりも-1%以上且つ-2%未満の範囲で減少している否かを判定する。
ここで、通過時電流が空転時電流よりも-1%以上-2%未満の範囲で減少している場合というのは、転写部11側よりも定着器12側の方が用紙搬送速度が遅く、用紙Pが転写部11側に押し戻される為に定着部モータ130の負荷が少し小さいことを意味する。この場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP534で肯定結果を得て、ステップSP540に移る。
ステップSP540において、速度調整機能部122は、速度テーブル126(図5)から用紙搬送速度が低速度(8ppm)の場合の学習状態を読み出し、当該学習状態が「1」、「5」、「6」のいずれかであるか否かを判定する。
ここで図5に示すように、学習状態が「1」であるということは、未学習であること、つまり学習状態の更新は今回初めてであることを意味する。また学習状態が「5」であるということは、前回の学習状態更新時も通過時電流が空転時電流よりも-1%以上-2%未満の範囲で減少していたこと、つまり学習動作により通過時電流が空転時電流に向かって収束している可能性が高いことを意味する。さらに学習状態が「6」であるということは、前回の学習状態更新時は通過時電流が空転時電流よりも-2%以上減少していたこと、つまり学習動作により通過時電流が空転時電流に向かって収束していることを意味する。
学習状態が「1」、「5」、「6」のいずれかである場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP540で肯定結果を得て、ステップSP544に移る。ステップSP544において、速度調整機能部122は、学習中であり通過時電流が空転時電流よりも-1%以上-2%未満の範囲で減少していることから、現在の学習状態が「5」であると判定し、学習状態テーブル127から、学習状態が「5」の場合の補正値(例えば「+0.1%」)を読み出す。
そして速度調整機能部122は、判定した学習状態と読み出した補正値により、速度テーブル126における、用紙搬送速度が低速の場合の学習状態と補正値を更新(補正値については加算)し、今回の学習状態の更新を終了(ステップSP545)する。
一方で、通過時電流が空転時電流よりも-1%以上-2%未満の範囲で減少していて、且つ学習状態が「1」でも「5」でも「6」でもない場合、このことは、学習動作を実行しても通過時電流が空転時電流に向かって収束しないこと(つまり定着部モータ130に設定する回転速度を適切に調整できないこと)を意味する。この場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP540で否定結果を得て、ステップSP541に移る。ステップSP541以降の動作については、上述した為、説明を省略する。
また一方で、通過時電流が空転時電流よりも1%以上増加してなく、且つ-1%以上-2%未満の範囲で減少していない場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP534で否定結果を得て、ステップSP535に移る。ステップSP535において、速度調整機能部122は、通過時電流が空転時電流よりも-2%以上減少しているか否かを判定する。
ここで、通過時電流が空転時電流よりも-2%以上減少している場合というのは、通過時電流が空転時電流よりも-1%以上-2%未満の範囲で減少している場合以上に、転写部11側よりも定着器12側の方が用紙搬送速度が遅く、用紙Pが転写部11側に押し戻される為に定着部モータ130の負荷が小さいことを意味する。この場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP535で肯定結果を得て、ステップSP536に移る。
ステップSP536において、速度調整機能部122は、速度テーブル126(図5)から用紙搬送速度が低速度(8ppm)の場合の学習状態を読み出し、当該学習状態が「1」又は「6」であるか否かを判定する。
ここで図5に示すように、学習状態が「1」であるということは、未学習であること、つまり学習状態の更新は今回初めてであることを意味する。また学習状態が「6」であるということは、前回の学習状態更新時も通過時電流が空転時電流よりも-2%以上減少していたこと、つまり学習動作により通過時電流が空転時電流に向かって収束している可能性が高いことを意味する。
学習状態が「1」又は「6」である場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP536で肯定結果を得て、ステップSP537に移る。ステップSP537において、速度調整機能部122は、学習中であり通過時電流が空転時電流よりも-2%以上減少していることから、現在の学習状態が「6」であると判定し、学習状態テーブル127から、学習状態が「6」の場合の補正値(例えば「+0.5%」)を読み出す。尚、学習状態が「6」の場合、学習状態が「5」の場合よりも通過時電流が空転時電流から遠い為、その分、補正値が大きくなっている。
そして速度調整機能部122は、判定した学習状態と読み出した補正値により、速度テーブル126における、用紙搬送速度が低速の場合の学習状態と補正値を更新(補正値については加算)し、今回の学習状態の更新を終了(ステップSP545)する。
一方で、通過時電流が空転時電流よりも-2%以上減少していて、且つ学習状態が「1」でも「6」でもない場合、このことは、学習動作を実行しても通過時電流が空転時電流に向かって収束しないこと(つまり定着部モータ130に設定する回転速度を適切に調整できないこと)を意味する。この場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP536で否定結果を得て、ステップSP541に移る。ステップSP541以降の動作については、上述した為、説明を省略する。
また一方で、通過時電流と空転時電流との差分が-1%~+1%の範囲に収まっている場合、通過時電流が空転時電流に十分近づいていること、つまり定着器12における用紙搬送速度と転写部11における用紙搬送速度との速度差が十分に小さくなっており、定着部モータ130に設定する回転速度を適切に調整できていることを意味する。
この場合、速度調整機能部122は、上述のステップSP535で否定結果を得て、ステップSP546に移る。ステップSP546において、速度調整機能部122は、定着部モータ130に設定する回転速度を適切に調整できていることから、現在の学習状態が「4」であると判定し、学習状態テーブル127から、学習状態が「4」の場合の補正値(例えば「速度変更なし」)を読み出す。
そして速度調整機能部122は、判定した学習状態と読み出した補正値により、速度テーブル126における、用紙搬送速度が低速の場合の学習状態と補正値を更新し(補正値についてはそのまま変更されず)、今回の学習状態の更新を終了(ステップSP545)する。
以上で、学習状態の更新についての説明を終える。この学習状態の更新は、図8のフローチャートで説明したように、学習状態が「4」又は「7」になるまで(つまり学習完了となるまで)、繰り返し実行される。
[4.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、画像形成装置1に、静電潜像担持体としての感光体ドラム115上に画像データに基づく現像剤画像としてのトナー画像を形成する画像形成部10と、感光体ドラム115上に形成されたトナー画像を記録媒体としての用紙P上に転写する転写部11と、用紙P上に転写されたトナー画像を用紙P上に定着させる定着部としての定着器12を設けた。
さらに画像形成装置1に、定着器12を駆動させる直流モータとしての定着部モータ130と、定着部モータ130に流れる駆動電流としての定着部モータ電流を検出する駆動電流検出部121と、定着器12に用紙Pが到達していない場合に駆動電流検出部121により検出された空転時電流値と、定着器12に用紙Pが到達している場合に駆動電流検出部121により検出された通過時電流値とを比較し、その比較結果に基づいて、転写部11における用紙搬送速度と定着器12における用紙搬送速度との速度差が小さくなるように(つまり通過時電流値が空転時電流値に近づくように)、定着部モータ130に設定する回転速度を調整する速度調整機能部122を設けた。
ここで、定着部モータ130における空転時電流値と通過時電流値とを比較すること(つまり定着部モータ電流の電流値の変化を検出すること)は、定着部モータ130の負荷の変動に基づく変化を検出することと同義であり、さらに言えば用紙Pに加わる張力の変動に基づく変化を検出することと同義であると言える。また定着部モータ130に設定する回転速度を調整することは、定着器12の用紙搬送速度を調整することと同義である。よって、速度調整機能部122は、定着部モータ130の負荷の変動に基づく変化を検出し、その検出結果に基づいて、定着部モータ130の回転速度を調整する(つまり定着器12の用紙搬送速度を調整する)速度調整部として機能していると言える。
そしてこの速度調整機能部122が、転写部11及び定着器12に通常印刷時の用紙搬送速度(第1の記録媒体搬送速度)よりも遅い用紙搬送速度(第2の記録媒体搬送速度)を設定して用紙Pを搬送させながら、空転時電流値と通過時電流値との比較結果に基づいて、定着部モータ130に設定する回転速度を調整し、このときの調整結果(定着部モータ130に設定する回転速度の補正値)を速度テーブル126に記憶し、当該速度テーブル126に記憶した調整結果に基づいて、通常印刷時における定着部モータ130に設定する回転速度を補正するようにした。
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、通常印刷時よりも遅い搬送速度で用紙を搬送しながら、転写部11における用紙搬送速度と、定着器12における用紙搬送速度との速度差によって発生する定着部モータ130に流れる駆動電流の変動(つまり空転時電流値と通過時電流値との差)に基づいて、定着部モータ130に設定する回転速度を調整することにより、転写部と定着部とが近接配置されていて用紙Pに加わる張力の変動が速い場合でも、用紙搬送速度が遅い為に用紙Pの位置ずれを十分に抑えることができる。さらにこのときの調整結果に基づいて、通常印刷時における定着部モータ130に設定する回転速度を補正するようにしたことにより、用紙搬送速度が速い通常印刷時にも用紙Pの位置ずれを十分に抑えることができる。かくして本実施の形態の画像形成装置1では、小型化と印刷品質の劣化の抑制とを両立することができる。
また速度調整機能部122では、空転時電流値と通過時電流値との差が小さくなるようにフィードバック制御により定着部モータ130に設定する回転速度を少しずつ調整していくようにした。この為、定着部モータ130に設定する回転速度の調整は、用紙搬送速度をできるだけ遅くして行うことが望ましい。そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、印刷を実行可能な用紙搬送速度で最も遅い用紙搬送速度(例えば「8ppm」)で用紙を搬送しながら定着部モータ130に設定する回転速度を調整するようにした。こうすることで、本実施の形態の画像形成装置1では、用紙Pの位置ずれを最大限抑えることができる。
また本実施の形態の画像形成装置1では、定着部モータ130に設定する回転速度の調整時も、印刷速度は遅いものの印刷できるので、用紙Pを無駄に消費したりすることがないという利点も有している。
さらに本実施の形態の画像形成装置1では、定着部モータ130に設定する回転速度を調整しても通過時電流値が空転時電流値に向かって収束しない場合には、速度調整機能部122が、調整を中断してエラー終了するようにした。こうすることで、本実施の形態の画像形成装置1では、用紙Pの位置ずれが発生する状態のまま使用されてしまう状況を回避することができる。
[5.他の実施の形態1]
[5-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、定着器12を駆動する定着部モータ130として、ブラシレスDCモータを用いた。これに限らず、他の種類のモータを用いてもよい。他の種類のモータを用いる場合、例えば、ロータリーエンコーダにより、空転時の回転速度と通過時の回転速度を検出するようにして、通過時の回転速度が空転時の回転速度に近づくように、モータに設定する回転速度を調整するようにすればよい。
[5-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、速度調整機能部122が、定着器12に用紙Pが到達していない場合に駆動電流検出部121により検出された空転時電流値と、定着器12に用紙Pが到達している場合に駆動電流検出部121により検出された通過時電流値とを比較し、その比較結果に基づいて、定着部モータ130に設定する回転速度を調整するようにした。これに限らず、空転時電流値については、基準電流値として、速度テーブル126に登録されていてもよい。
[5-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、速度調整機能部122が、定着部モータ130における空転時電流値と通過時電流値とを比較すること(つまり定着部モータ電流の電流値の変化を検出すること)で、定着部モータ130の負荷の変動に基づく変化を検出するようにした。これに限らず、他の方法(例えば上述したように定着部モータ130の回転速度の変動を検出する方法など)で、定着部モータ130の負荷の変動を直接的もしくは間接的に検出するようにしてもよい。
[5-4.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、定着器12又は搬送ベルト116の交換後、初めての印刷時に、速度調整機能部122による速度調整を行うようにした。これに限らず、例えば、所定期間経過するごとに、印刷時に速度調整機能部122による速度調整を行うようにしたり、所定枚数印刷するごとに、印刷時に速度調整機能部122による速度調整を行うようにしたりしてもよい。つまり、速度調整機能部122による速度調整については、所定のタイミングで行うようにしてもよい。
[5-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、画像形成部10により感光体ドラム115上に形成したトナー画像を搬送ベルト116により搬送されてくる用紙Pに転写し、その後、用紙Pに転写したトナー画像を定着器12によって定着させるいわゆる直接転写方式の画像形成装置1に本発明を適用した場合について述べた。これに限らず、本発明は、画像形成部により形成したトナー画像を、中間転写ベルトに一次転写した後、当該中間転写ベルトから用紙に二次転写し、その後、用紙に転写したトナー画像を定着器によって定着させるいわゆる中間転写方式の画像形成装置にも適用することができる。さらに上述した実施の形態では、電子写真方式のカラープリンタである画像形成装置1に本発明を適用した場合について述べたが、これに限らず、本発明は、電子写真方式の印刷部を備えるモノクロプリンタ、コピー機、複合機、ファックスなどの画像形成装置にも適用することができる。
[5-6.他の実施の形態6]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
本発明は、例えば電子写真方式のプリンタなどで広く利用することができる。
1……画像形成装置、2……印刷部、5……表示部、6……制御部、10……画像形成部、11……転写部、12……定着器、113……定着入口センサ、114……転写ローラ、115……感光体ドラム、116……搬送ベルト、117……イメージドラムユニット、118……ヒートローラ、119……加圧ローラ、120……回転制御部、121……駆動電流検出部、122……速度調整機能部、125……記憶部、126……速度テーブル、127……学習状態テーブル、128……比較部、130……定着部モータ、200……CPU、201……A/Dコンバータ、202……RMS-DC回路、210……差動増幅回路。

Claims (8)

  1. 静電潜像担持体上に画像データに基づく現像剤画像を形成する画像形成部と、
    前記静電潜像担持体上に形成された前記現像剤画像を記録媒体上に転写する転写部と、
    前記記録媒体に転写された前記現像剤画像を前記記録媒体上に定着させる定着部と、
    前記定着部を駆動させる定着部モータと、
    前記転写部における記録媒体搬送速度と前記定着部における記録媒体搬送速度との速度差によって発生する前記定着部モータの負荷の変動に基づく変化を検出し、その検出結果に基づいて、前記転写部における記録媒体搬送速度と前記定着部における記録媒体搬送速度との速度差が小さくなるように前記定着部モータの回転速度を調整する速度調整部と
    を備え、
    前記速度調整部は、
    前記転写部及び前記定着部に通常印刷時の第1の記録媒体搬送速度よりも遅い第2の記録媒体搬送速度を設定して前記記録媒体を搬送させながら、前記定着部モータの負荷の変動に基づく変化を検出し、その検出結果に基づいて前記定着部モータの回転速度を調整し、その調整結果に基づいて通常印刷時における前記定着部モータの回転速度を補正する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記定着部モータに流れる駆動電流を検出する駆動電流検出部をさらに備え、
    前記速度調整部は、
    前記定着部に記録媒体が到達していない場合に前記駆動電流検出部により検出された空転時電流値と、前記定着部に記録媒体が到達している場合に前記駆動電流検出部により検出された通過時電流値とを比較し、前記通過時電流値が前記空転時電流値に近づくように前記定着部モータの回転速度を調整する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記速度調整部は、
    前記通過時電流値が前記空転時電流値よりも増加している場合には、前記定着部モータの回転速度が遅くなるように調整し、前記通過時電流値が前記空転時電流値よりも減少している場合には、前記定着部モータの回転速度が速くなるように調整する
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記速度調整部は、
    フィードバック制御により前記通過時電流値が前記空転時電流値に近づくように前記定着部モータの回転速度を調整する
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記速度調整部は、
    前記通過時電流値が前記空転時電流値に近づくように前記定着部モータの回転速度を調整しても、前記通過時電流値が前記空転時電流値に向かって収束しない場合には、前記回転速度の調整をエラー終了する
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記第2の記録媒体搬送速度は、
    印刷を実行可能な最も遅い記録媒体搬送速度である
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 前記転写部と前記定着器が近接配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  8. 静電潜像担持体上に画像データに基づく現像剤画像を形成する画像形成部と、前記静電潜像担持体上に形成された前記現像剤画像を記録媒体上に転写する転写部と、前記記録媒体に転写された前記現像剤画像を前記記録媒体上に定着させる定着部と、前記定着部を駆動させる定着部モータとを備える画像形成装置の制御方法であって、
    速度調整部が、前記転写部及び前記定着部に通常印刷時の第1の記録媒体搬送速度よりも遅い第2の記録媒体搬送速度を設定して前記記録媒体を搬送させながら、前記転写部における記録媒体搬送速度と前記定着部における記録媒体搬送速度との速度差によって発生する前記定着部モータの負荷の変動に基づく変化を検出し、その検出結果に基づいて前記定着部モータの回転速度を調整し、その調整結果に基づいて通常印刷時における前記定着部モータの回転速度を補正する
    ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
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